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JP2011083738A - 樹皮原料の前処理方法 - Google Patents

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JP2011083738A JP2009240235A JP2009240235A JP2011083738A JP 2011083738 A JP2011083738 A JP 2011083738A JP 2009240235 A JP2009240235 A JP 2009240235A JP 2009240235 A JP2009240235 A JP 2009240235A JP 2011083738 A JP2011083738 A JP 2011083738A
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Abstract

【課題】 木質バイオマスを原料とし、アルカリ性廃液の発生量を抑え、低い環境負荷で効率よく糖類を製造する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 樹皮原料を酵素糖化するための前処理方法であって、アルカリ処理工程、濃縮工程をこの順に有し、該アルカリ処理工程には水酸化カルシウム水溶液を用い、濃縮工程で樹皮から分離されたアルカリ液分をアルカリ処理工程に直接循環するか、または、アルカリ液分から水酸化カルシウムを再生してアルカリ処理工程に循環することを特徴とする樹皮原料の前処理方法。同法において、濃縮工程の後に洗浄処理工程を設けても良いし、洗浄工程の排出液に対して二酸化炭素を供給して中和した後に固液分離し、固形分を焼成してカルシウム分を回収しても良い。
【選択図】 図1

Description

本発明は、樹皮原料から酵素糖化法により糖組成物を製造する際、或いは、酵素糖化とアルコール発酵もしくは乳酸発酵を同時に行う糖化・発酵法により発酵を行う際の前処理方法に関する。
地球温暖化を抑制するための二酸化炭素排出削減策の一つとして、バイオマスの有効利用が注目されている。バイオマスのエネルギー転換の方法としては、多数の著書(非特許文献1〜3)に示されているように、熱分解、ガス化、嫌気性発酵などが広く行なわれているが、その中でも、バイオマスを加水分解して糖化、さらに発酵することによりエタノールを得る方法が広く研究されている。エタノールは液体燃料として、特に輸送用燃料として利用することが可能であり、既にアメリカやブラジルではトウモロコシやサトウキビから得られるデンプンや砂糖を原料としてバイオエタノールを製造するプロセスが実用化されている。これらの原料ではガソリン価格が高騰した場合、本来、食用として生産されたはずのトウモロコシやサトウキビなどがバイオエタノール原料として流用されることが指摘されている。そこで、食料とは競合しない未利用バイオマスを原料としたバイオエタノール生産が求められている。
未利用バイオマスとしては稲ワラやバガスなどの草本系バイオマスと林地残材や間伐材などの木質系バイオマスがあげられる。このうち稲わらやバガスなどの草本系バイオマスは一般に単年生であり、年間における入手可能な期間が短く、単位体積あたりの重量(以下、容積重)が低い(150以上、300kg/m3未満)。一方、木質系バイオマスは一般に多年生であるため、通年で入手可能であることと、容積重が高い(300kg/m3以上)ことが特徴であるといえる。草本系バイオマスでは短期間で排出される原料をストックするヤードが必要であるのに対し、木質系バイオマスではこのような心配が無く、さらに容積重が高いために原料の輸送コストも低く抑えることが出来ると考えられる。
一方、パルプ材や建材利用を目的とした事業植林が活発に行われており、国内企業が行う海外植林面積は40万haに達するとも言われている。このうち、大多数を占めるのがパルプ材として植栽されているユーカリである。ユーカリは成長が早く、10年程度で伐採が可能となることから、既に伐採、チップ化を経て国内でのパルプ製造が行われている。
樹木は細胞分裂が活発な形成層を境界にその内側の木部と外側の樹皮に分けられる。若いユーカリでは、樹皮は木部と比べてリグニン含量が比較的に低く、可溶性成分を多く含み柔軟である。さらに、樹皮は死んだ組織の外樹皮と生きている組織の内樹皮に分けられる。
外樹皮は主に周皮あるいはコルク層からなり、木材組織を機械的損傷から守るとともに、温度と湿度の変動を小さくしている。
内樹皮は師要素、柔細胞および厚壁細胞からなり、師要素は液体と栄養素の運搬の機能を持ち、柔細胞はデンプン等の栄養素貯蔵の機能を持ち、内樹皮の師要素間に介在する。厚壁細胞は支持組織として機能し、木部の年輪と同じように層状に観察され、形によって靭皮繊維とスクレレイドとに区別される。
樹皮組織は、大きく分けて、繊維、コルク細胞及び柔細胞を含む微細物質からなる。樹皮の繊維は、木部の繊維と化学的に似ており、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンからなる。コルク細胞及び柔細胞を含む微細物質には多量の抽出成分が存在し、コルク細胞の壁にはスベリン類が、微細物質画分にはポリフェノール類が多い。このように、樹皮は木部と異なり多くの有用な可溶性成分を含有し、その量は乾燥質量の20から40%に達し、しかも繊維画分には木部と同様な繊維質を有しているという優れた性質を有している。しかし、樹皮は、材木用途では使用されず、製紙工程のパルプ化の際には、わずかに混入してもパルプの品質を低下させるため、枝や根とともに植林地で肥料として土壌に戻されるか、製材工場又はチップ工場で剥皮され焼却されており、木質系バイオマスとして有効利用されていない。
木質系バイオマスの糖化方法としては、多数の著書(非特許文献1〜3)に示されているように、様々な方法が研究されてきているが、その中でも、酸糖化法又は酵素糖化法によりセルロースを単糖であるグルコース等に分解する糖化方法が広く研究されている。
酸糖化法は硫酸などの無機酸によって木質バイオマスを加水分解して糖を得る方法であり、その濃度によって、希酸法と濃酸法が提案されている(特許文献1及び2)。希酸法では、温度、圧力がともに高く、添加した酸により装置が腐食してしまう。さらに生成した糖類と酸を分離するのが困難で経済的に有効な酸回収方法がない等の問題がある。また、濃酸法は、比較的に温度および圧力が低いため、安価な反応装置材料が利用でき、グルコースの収率も高い。しかし、希酸法と同様に生成した糖類から経済的に有効な酸の分離・回収法がないため、多量の廃酸が発生するという問題がある。
酵素糖化法はリグノセルロースをセルラーゼやヘミセルラーゼ等の酵素によって糖化する方法であり、酸糖化よりも穏和な条件で糖化が可能であることから、装置材質の制限がなく、排出物の処理も簡便である。しかし、リグノセルロース中のセルロースはリグニンおよびヘミセルロースによって覆われており、酵素が容易にセルロースへ接触できないため糖化率が低いのが一般的である。そこで、糖化率の向上のために、酵素処理前の原料に前処理を行う方法が研究されている。例えば、微粉砕処理、加圧熱水処理、蒸煮・爆砕処理などの物理的前処理や、酸やアルカリなどの薬品による化学的前処理がある。
物理的前処理のうち微粉砕処理は、原料の微粉砕化によってセルロースを覆っているリグニンやヘミセルロースの一部を剥離させて糖化を促進させるものである。また、加圧熱水処理は、高温の熱水によりリグニンやヘミセルロースを軟化してセルロースから分離する方法である。更に、加圧熱水処理後、更に機械的粉砕処理を行う前処理方法(特許文献3参照)も知られている。
またバイオマスを高温高圧処理後、瞬時に大気圧またはその付近の低温低圧条件下に放出してする蒸煮・爆砕処理方法では、セルロースを覆っているリグニンとヘミセルロースに亀裂を生じさせることによって、酵素がセルロースに接触可能となる(特許文献4参照)。
化学的前処理は、薬剤により、セルロースを覆っているリグニンやヘミセルロースを軟化もしくは溶解させることによって除去する方法であり、代表的な化学的前処理として、アルカリ処理(特許文献5参照)が知られている。
また、アルカリ処理に水酸化カルシウムを用い、二酸化炭素で中和して分離する方法として、特許文献6が提案されている。
また、上記の物理的前処理とアルカリによる前処理とを組み合わせた方法として、原料を粉砕した後にアルカリ処理し、その後さらに湿式粉砕するもの(特許文献7参照)が存在する。
特開2006−75007号公報 特開2006−246711号公報 特開2006−136263号公報 特開昭59−204997号公報 特開2008−092910号公報 特許第3493026号 特公昭63−28597号公報
日本木材学会編「木質バイオマスの利用技術」p19〜61、文永堂出版、1997年7月発行 湯川英明ら「バイオマスエネルギー利用の最新技術」各論編II−1章、CMC出版、2001年8月発行 飯塚尭介ら「ウッドケミカルスの最新技術」p6〜34、CMC出版、2001年10月発行
前記したような前処理方法は、木部と比べてリグニン含量が低く、可溶性成分を多量に含む樹皮を酵素糖化により糖類製造原料として利用する場合に必ずしも最適化された方法ではない。また、アルカリによる前処理を行った場合、大量のアルカリ性廃液が発生して環境負荷が高いという問題があった。
従って、本発明は、樹皮を糖類製造用の原料として利用する際に、アルカリ処理時に発生するアルカリ性廃液の発生を抑制し、より少ない投入エネルギーで効率的に糖化するための前処理方法の提供を課題とする。
前記課題を解決するため鋭意研究した結果、本発明の構成は以下の[1]〜[5]の構成を採用する。
[1] 樹皮原料を酵素糖化するための前処理方法であって、アルカリ処理工程、濃縮工程をこの順に有し、該アルカリ処理工程には水酸化カルシウム水溶液を用い、濃縮工程で樹皮から分離されたアルカリ液分をアルカリ処理工程に直接循環するか、または、アルカリ液分から水酸化カルシウムを再生してアルカリ処理工程に循環することを特徴とする樹皮原料の前処理方法。
[2] アルカリ処理工程の後に洗浄処理工程を設けることを特徴とする、[1]に記載の樹皮原料の前処理方法。
[3] 洗浄工程の排出液に対して二酸化炭素を供給して中和した後に固液分離し、固形分を焼成してカルシウム分を回収することを特徴とする、[2]に記載の樹皮原料の前処理方法。
[4] アルカリ処理された樹皮または洗浄処理された樹皮に磨砕処理を施すことを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹皮原料の前処理方法。
本発明により、樹皮を糖類製造用の原料として利用する際に、より少ない投入エネルギーで効率的に糖化を可能とし、さらにアルカリ処理時に発生するアルカリ性廃液の発生を抑制可能な前処理方法及び酵素糖化方法の提供が可能となった。
本発明の基本実施形態を示す工程図である。 本発明の一実施形態を示す工程図である。 本発明の一実施形態を示す工程図である。 本発明の一実施形態を示す工程図である。 本発明の一実施形態を示す工程図である。
以下、本発明の「樹皮原料の前処理方法」について詳述する。
本発明の原料は木本植物の樹皮である。
樹皮原料として用いる樹種は、特に限定されないが、樹皮が厚く、かつ、糖分(セルロース)が多いという理由で、ユーカリ(eucalyptus)属が好ましい。ユーカリ属の中でもさらに好ましくは、グランディス(grandis)種、グロブラス(globulus)種、ナイテンス(nitens)種、カマルドレンシス(camaldulensis)種、デグラプタ(deglupta)種、ビミナリス(viminalis)種、ユーロフィラ(urophylla)種、ダニアイ(dunnii)及びこれらの交雑種である。
本発明において、樹皮原料は、水酸化カルシウム水溶液を用いたアルカリ処理を主体とした前処理を行う。アルカリ処理の前または後に機械的処理を行っても良い。あるいは機械的処理を同時に行うアルカリ処理であっても良い。
樹皮原料は、アルカリ処理に供することがでる形態や大きさであれば、入手できる状態のままで原料とすることができる。通常、搬送時の取り扱い性等を考慮して数十cmから数mに裁断乃至粉砕されている状態のものであれば、そのままアルカリ処理することも可能であるが、必要に応じて、断裁機、チッパー、破砕機、ハンマークラッシャー等の機械的処理により形状や大きさを整えれば良い。
機械的処理として、特にアルカリ処理の効率を高めるため、グラインダーあるいは破砕機により樹皮を繊維化することが有効である。破砕機としては一軸破砕機が好ましい。
なお、機械的処理とアルカリ処理とを同時に行う際には、原料樹皮を水と水酸化カルシウムと共にニーダーまたは二軸エクストルーダーで処理することもできる。
また、アルカリ処理を行い、柔軟化させた後の樹皮原料に対して、更に機械処理を行うことも可能であり、この方法については後述する。
本発明においては、樹皮原料を水酸化カルシウムと共に水に浸漬し、さらに必要に応じて加熱してアルカリ処理を行う。水酸化カルシウムは、他のアルカリ化合物と比較して安価であり、また、溶解度が低いため、沈殿として回収し再使用することが容易である。さらに、洗浄などで希薄溶液となった場合でも、二酸化炭素で中和すると炭酸カルシウムとなって沈殿するため、カルシウム分の回収が容易である。
アルカリ処理工程における水酸化カルシウムの添加量は、樹皮原料を柔軟化せしめ、糖化を促進せしめる量であればよい。好ましくは乾燥樹皮原料100質量部に対して0.1〜50質量部である。0.1質量部未満の場合は、原料のアルカリ処理による糖化促進の効果が十分でないおそれがあり、50質量部を超えた場合には、効果が頭打ちとなる。
アルカリ処理工程における水の添加量は、乾燥樹皮原料1質量部に対して5〜20質量部が好適である。水の添加量が20質量部より多いと、加熱のために必要なエネルギーが多くなり、エネルギー収支が悪化する。水の添加量が5質量部未満の場合は、樹皮原料と水酸化カルシウムとの接触が不十分となり、十分な糖化促進効果が得られないおそれがある。なお、水酸化カルシウムは溶解度が1.7g/Lと低いため、アルカリ処理工程においては、水酸化カルシウム水溶液が、原料樹皮及び固体の水酸化カルシウムに接触するように対流する状態にすることが重要である。
アルカリ処理工程における処理温度は、原料樹皮を柔軟化せしめる温度であればよく、好ましくは10〜100℃、さらに好ましくは25〜95℃、最も好ましくは60〜95℃である。10℃未満の場合ではアルカリとしての効果が低下するおそれがある。
なお、アルカリ処理工程は、簡易な設備で実施することができ、投入エネルギーも削減できるという点で、常圧下で行うことが特に好ましい。
アルカリ処理時間は、原料を柔軟化せしめ、原料の糖化性を促進せしめるに十分な時間であれば特に限定されないが、好ましくは5分〜72時間、さらに好ましくは10分〜2時間である。
本発明においては、アルカリ処理した後に脱液して濃縮する。濃縮する方法としては、フィルター等を用いた常圧下での濾過のほか、加圧濾過、吸引濾過や、遠心分離手段を適宜用いることができる。
分離された液分には、溶解している水酸化カルシウム分の他、固形分としての水酸化カルシウムも存在する。本発明の場合、投入した水酸化カルシウムに対して20〜70質量%程度が脱液中に存在する。この液分はそのままアルカリ処理の工程に循環して投入できる。
前記の循環によって、水酸化カルシウムを含む液分が、アルカリ処理工程で再利用されるので、本発明においては、前処理における水酸化カルシウム及び水の使用量の節減が可能となる。なお、水酸化カルシウムは濃縮後の固形分(樹皮分)に付着して先送りされるため、再利用の際には水酸化カルシウムを追加する必要がある。また、必要に応じて、循環する工程の途中で濾過等により有機分を除去してからアルカリ処理工程に戻してもよい。
更に、場合によっては、分離された液分から、焼成等を経て、水酸化カルシウムを再生しても良い。
濃縮を終えた樹皮は、任意の機械的手段によって、さらに細かくして、糖化発酵に適した状態にすることが可能である。具体的には樹皮を剪断力により磨砕処理することが好ましい。装置としては、パルプ製造に使用されるグラインダー、レファイナーなどが使用可能である。グラインダーとしてはストーン型、石臼型のいずれでもよい。
レファイナーとしては、木材から機械パルプを製造する際に用いられる各種高濃度レファイナー機を使用することができる。レファイナーの型としては、固定板と回転する1枚のディスクにより磨砕するシングルディスクレファイナー、2枚の逆回転するディスクにより磨砕するダブルディスクレファイナー、固定板を挟んで両側の回転するディスクにより磨砕するツインディスクレファイナーが使用できる。また、回転板が平板ではなく円錐型であるコニカルディスクレファイナーも使用できる。
また、メディア攪拌式湿式粉砕装置も使用できる。この装置は、粉砕容器に挿入した攪拌機を高速で回転させて、粉砕容器内に充填したメディアと繊維状セルロースを攪拌して剪断応力を発生させて粉砕する装置であり、例えばサンドグラインダーが代表的な装置である。以上の装置の中でも、樹皮はアルカリ処理で既に柔軟になっているため、動力が少ないレファイナーが好ましい。
前記磨砕処理に際しては、必要に応じて水を供給しても良い。例えば、レファイナー処理の場合、樹皮絶乾固形分1質量部に対して、水は2質量部以上存在することが好ましい。より好ましくは、水が5〜20質量部である。
なお、アルカリ処理後に直ちに磨砕処理を行い、その後に濃縮処理を行っても良い。その場合、磨砕により発生する新たな繊維表面からもアルカリが浸透することになり、アルカリ処理の効果としては増大する反面、微細繊維が発生すると濃縮の効率が下がる危険性もある。
本発明においては、前記アルカリ処理され濃縮された樹皮を、もしくはそれに引き続き磨砕された樹皮を、水で洗浄する洗浄工程が存在することが好ましい。洗浄処理は、処理物に水を加えて、アルカリ処理物に付着した水酸化カルシウムを洗い流し、又は水に溶解させて排出する。洗浄工程では、フォールウォッシャー、濃縮洗浄機、パルプ洗浄装置等により、洗浄を行うことが可能である。また、この工程の排出液には、水酸化カルシウム分の他、シュウ酸カルシウム分の一部も排出される可能性がある。これらカルシウム分の溶解度は低いので、固液分離することにより、かなりの部分が固形分として回収でき、これを焼成して酸化カルシウムとし、消和して水酸化カルシウムとして再利用することが可能となる。
ここにおいて、固液分離前に、二酸化炭素をスラリーに供給して液を中和し、カルシウム固形分の回収を促進しても良い。
また、上記固液分離工程で分離した水酸化カルシウムを含む液分の一部または全部を、二酸化炭素により中和する中和工程を設けることにより、中和して回収することができる。中和により生成した炭酸カルシウムは、沈殿槽等で沈殿させて回収される。回収された炭酸カルシウムからさらに水酸化カルシウムを再生し、本発明のアルカリ処理工程において再利用することができる。
炭酸カルシウムを除去した液分は、アルカリ処理工程及び洗浄工程において使用する水として再利用することができる。また、環境負荷が低くなるため廃棄することもできる。
中和工程に使用する二酸化炭素は、気体でも固体でもよく、また液体に溶解した状態であってもよい。
なお、本発明の前処理を行った原料を糖化し、さらに発酵によってエタノールを製造する場合には、副産物として二酸化炭素が発生するため、この二酸化炭素を回収して中和に用いることがさらに好ましい。
アルカリ処理工程に続く濃縮工程後に洗浄処理を行い、その後に磨砕処理を行っても良い。この方法の場合、スラリー中のカルシウム固形分を減らすことで、磨砕処理機に対する負荷を軽減し、目詰まり、磨耗などの防止をする効果もある。
<実施例1>
[樹皮の機械的処理]
チップ状のユーカリ・グロブラスの樹皮を、一軸破砕機(西邦機工製SC−15)を用いて以下の条件で破砕した。
一軸破砕機のホッパーに、含水率30.8質量%の樹皮217g(絶乾質量で150g相当)の樹皮を投入し、丸穴φ20mmのスクリーンを使用して運転を行った。樹皮の破砕に要した破砕動力は積算電力計を用いて計測した。所要動力は実際に樹皮を破砕するのに要した消費電力から空転に要した電力を差し引いた電力として求めた。空転は樹皮を破砕せずに一軸破砕機を動作させることと定義する。
所要動力は樹皮含水質量1t当たり6.0kWhと計算された。
[アルカリ処理(1バッチ目)]
上記の破砕樹皮に、水酸化カルシウム粉末を18.8g(対絶乾樹皮12.5質量%)を加えて良く混合した後、1283gのイオン交換水を加えた。これも良く混合した後、90℃にて40分間保持してアルカリ処理を施した。処理後、40メッシュの合成繊維メッシュを用いて、遠心分離機により、固形分であるアルカリ処理物と液分とを分離する濃縮処理を行った。アルカリ処理濃縮物(Wet)は586gで、水分は73.2質量%であった。また、液の量は933gであった。
[酵素糖化処理(1バッチ目)]
上記アルカリ処理物を、以下の反応液組成で、50℃20時間条件で1バッチ目の酵素糖化を行った(循環0回目)。生成した糖類をフェノール硫酸法により定量した。得られた糖収率(g-全糖/g−原料)の結果を表1に示す。
(反応液組成)
4%樹皮(絶乾樹皮換算)
4%セルラーゼ(「Multifect CX10L」,ジェネンコア協和社製)
100mM酢酸緩衝液(pH5.0)
[循環工程]
前記と同様に一軸破砕された樹皮217gに13.5g(対絶乾樹皮9質量%)の水酸化カルシウム粉末を加え、良く混合した。これに、前記1バッチ目で遠心分離された液933gの全量を加え、更にイオン交換水を362g添加して、良く混合した後、90℃にて40分間保持して2バッチ目のアルカリ処理を施した。処理後、40メッシュの合成繊維メッシュを用いて、遠心分離機により、固形分であるアルカリ処理物と液分とを分離する濃縮処理を行った。アルカリ処理濃縮物(Wet)は589gで、水分は72.8質量%であった。また、液の量は936gであった。
以下は、アルカリ処理濃縮物を1バッチ目の酵素処理と同様の条件で、2バッチ目の酵素処理を行った。この時の糖収率も表1に記載した。
<実施例2>
[洗浄]
前記1バッチ目のアルカリ処理物と同様のものを作成し、これにイオン交換水4570gを加え、5分間攪拌後、40メッシュの合成繊維メッシュを用いて、遠心分離機により、固形分であるアルカリ処理物と液分とを分離することで洗浄処理を行った。固形分である洗浄処理物(Wet)は579gであり、水分は73.9質量%であった。排出液は4580gであった。
洗浄処理後の樹皮を、1バッチ目の酵素処理と同様の条件で酵素処理を行った。これについても、糖収率を表1に記載した。
また洗浄排出液について、炭酸ガスを吹き込み、沈殿物を得た。沈殿物を850℃で焼成して酸化カルシウムとし、更に消和して水酸化カルシウムを再生した。水酸化カルシウムは約8g再生された。
<実施例のまとめ>
以上の実施例から解るように、濃縮工程で排出する液を、アルカリ処理工程に使用することにより、2回目のバッチでは、水酸化カルシウムの使用量が1バッチ目より少なくても、同様のアルカリ処理効果を果たしており、水酸化カルシウム削減率は約28%であった。また2バッチ目では新たな追加水は1バッチ目に比較して大幅に減少できた。
洗浄の効果としては、理由は定かではないが、酵素処理時の糖化率の向上にも寄与している可能性があり、また、洗浄液からもカルシウムを回収する場合には、カルシウムの約8割が回収して使用できることになる。
<実施例3>
実施例1の1バッチ目のアルカリ処理濃縮物と同様のものを作成した。この処理物にイオン交換水921gを加え、レファイナー(熊谷理機工業製)を使用し、クリアランス0.5mm条件で磨砕処理した。
上記磨砕物に、イオン交換水を3650g加え、実施例2の洗浄処理と同様に洗浄処理を行い、酵素処理も同様に行った。糖収率は表1に記載した。また、この時の洗浄排出液について、実施例2と同様に水酸化カルシウムの再生を行った。この際には、水酸化カルシウムの再生量は約11gであった。即ち、磨砕処理後に洗浄液からカルシウムを回収すると、カルシウムの収率が増加しており、このことは、樹皮中に存在するシュウ酸カルシウムの一部が洗浄液に混入するためと推定され、カルシウムの利用効率は更に向上していることが解る。
Figure 2011083738

Claims (4)

  1. 樹皮原料を酵素糖化するための前処理方法であって、アルカリ処理工程、濃縮工程をこの順に有し、該アルカリ処理工程には水酸化カルシウム水溶液を用い、濃縮工程で樹皮から分離されたアルカリ液分をアルカリ処理工程に直接循環するか、または、アルカリ液分から水酸化カルシウムを再生してアルカリ処理工程に循環することを特徴とする樹皮原料の前処理方法。
  2. 濃縮工程の後に洗浄処理工程を設けることを特徴とする、請求項1に記載の樹皮原料の前処理方法。
  3. 洗浄工程の排出液に対して二酸化炭素を供給して中和した後に固液分離し、固形分を焼成してカルシウム分を回収することを特徴とする、請求項2に記載の樹皮原料の前処理方法。
  4. アルカリ処理された樹皮または洗浄処理された樹皮に磨砕処理を施すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の樹皮原料の前処理方法。
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