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JP5381119B2 - 樹皮原料から糖類を製造する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、木本植物の樹皮を原料とする新規な糖化方法に関する。
地球温暖化を抑制するための二酸化炭素排出削減策の一つとして、バイオマスをエネルギーに転換して得られるバイオエネルギー開発が行われている。バイオマス転換の方法としては、多数の著書(非特許文献1〜4)に示されているように、熱分解、ガス化、嫌気性発酵などが広く行なわれているが、その中でも、バイオマスに含まれる糖質を発酵することによりエタノールを得る方法が広く研究されている。エタノールは液体燃料として、特に輸送用燃料として利用することが可能であり、既にアメリカやブラジルではトウモロコシやサトウキビから得られるデンプンや砂糖を原料としてバイオエタノールを製造するプロセスが実用化されている。これらの原料ではガソリン価格が高騰した場合、本来、食用として生産されたはずのトウモロコシやサトウキビなどがバイオエタノール原料として流用されることが指摘されている。そこで、食料とは競合しない未利用バイオマスを原料としたバイオエタノール生産が求められている。
未利用バイオマスとしては稲ワラやバガスなどの草本系バイオマスと林地残材や間伐材などの木質系バイオマスがあげられる。このうち稲わらやバガスなどの草本系バイオマスは一般に単年生であり、年間における入手可能な期間が短く、単位体積あたりの重量(以下、容積重)が低い(150以上、300kg/m3未満)。一方、木質系バイオマスは一般に多年生であるため、通年で入手可能であることと、容積重が高い(300kg/m3以上)ことが特徴であるといえる。草本系バイオマスでは短期間で排出される原料をストックするヤードが必要であるのに対し、木質系バイオマスではこのような心配が無く、さらに容積重が高いために原料の輸送コストも低く抑えることが出来ると考えられる。
一方、パルプ材や建材利用を目的とした事業植林が活発に行われており、国内企業が行う海外植林面積は40万haに達するとも言われている。このうち、大多数を占めるのがパルプ材として植栽されているユーカリである。ユーカリは成長が早く、10年程度で伐採が可能となることから、既に伐採、チップ化を経て国内でのパルプ製造が行われている。
樹木は細胞分裂が活発な形成層を境界にその内側の木部と外側の樹皮に分けられる。若いユーカリでは、樹皮は木部と比べてリグニン含量が比較的に低く、可溶性成分を多く含み柔軟である。さらに、樹皮は死んだ組織の外樹皮と生きている組織の内樹皮に分けられる。
外樹皮は主に周皮あるいはコルク層からなり、木材組織を機械的損傷から守るとともに、温度と湿度の変動を小さくしている。
内樹皮は師要素、柔細胞および厚壁細胞からなり、師要素は液体と栄養素の運搬の機能を持ち、柔細胞はデンプン等の栄養素貯蔵の機能を持ち、内樹皮の師要素間に介在する。厚壁細胞は支持組織として機能し、木部の年輪と同じように層状に観察され、形によって靭皮繊維とスクレレイドとに区別される。
樹皮組織は、大きく分けて、繊維、コルク細胞及び柔細胞を含む微細物質からなる。樹皮の繊維は、木部の繊維と化学的に似ており、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンからなる。コルク細胞及び柔細胞を含む微細物質には多量の抽出成分が存在し、コルク細胞の壁にはスベリン類が、微細物質画分にはポリフェノール類が多い。このように、樹皮は木部と異なり多くの有用な可溶性成分を含有し、その量は乾燥質量の20〜40%に達し、しかも繊維画分には木部と同様な繊維質を有しているという優れた性質を有している。しかし、樹皮は、材木用途では使用されず、製紙工程のパルプ化の際には、わずかに混入してもパルプの品質を低下させるため、枝や根とともに植林地で肥料として土壌に戻されるか、製材工場又はチップ工場で剥皮され焼却されており、木質系バイオマスとして有効利用されていない。
木質系バイオマスからバイオエタノールへの転換方法としては、多数の著書(非特許文献1、非特許分文献2、非特許分文献3)に示されているように、様々な方法が研究されてきているが、その中でも、酸糖化法又は酵素糖化法により単糖化した後、発酵によりエタノールを得る方法が広く研究されている。
酸糖化法は硫酸などの無機酸によって木質バイオマスを加水分解して糖を得る方法であり、その濃度によって、希酸法と濃酸法が提案されている(特許文献1および2)。希酸法では、温度、圧力がともに高く、添加した酸により装置が腐食してしまう。さらに生成した糖類と酸を分離するのが困難で経済的に有効な酸回収方法がない等の問題がある。また、濃酸法は、比較的に温度および圧力が低いため、安価な反応装置材料が利用でき、グルコースの収率も高い。しかし、希酸法と同様に生成した糖類から経済的に有効な酸の分離・回収法がないため、多量の廃酸が発生するという問題がある。
酵素糖化法はリグノセルロースをセルラーゼやヘミセルラーゼ等の酵素によって糖化する方法であり、酸糖化よりも穏和な条件で糖化が可能であることから、装置材質の制限がなく、排出物の処理も簡便である。しかし、リグノセルロース中のセルロースはリグニンおよびヘミセルロースによって覆われており、酵素が容易にセルロースへの接触できないため糖化率が低いのが一般的である。そこで、酵素糖化率向上のために微粉砕処理、加圧熱水処理、蒸煮・爆砕処理などの物理的前処理と、酸やアルカリなどの薬品による化学的前処理が主に研究されている。
物理的前処理のうち微粉砕処理は、微粉砕化によってセルロースを覆っているリグニンやヘミセルロースの一部を剥離させ、酵素がセルロースに接触させる頻度を上げることによって、糖化を促進させることを目的とした前処理方法である。
加圧熱水処理は、高温の熱水によりリグニンやヘミセルロースを軟化しセルロースと分離する方法である。更に、加圧熱水処理により軟化した後、機械的粉砕処理を行った処理物に対し、酵素による糖化を行う方法も知られている(特許文献3参照)。
またバイオマスを高温高圧処理後、瞬時に大気圧またはその付近の低温低圧条件下に放出してする蒸煮・爆砕処理方法では、セルロースを覆っているリグニンとヘミセルロースに亀裂を生じさせることによって、酵素がセルロースに接触可能となる(特許文献4参照)。
化学的前処理は、薬剤により、セルロースを覆っているリグニンやヘミセルロースを軟化もしくは溶解させることによって除去し、セルロースを表面に露出させることによって酵素糖化を可能とする前処理である。特許文献5のようなアルカリ処理が代表的な化学的前処理であるが、セルラーゼやヘミセルラーゼなどの多糖分解酵素は中性から弱酸性領域で処理する必要があるため、糖化前に薬品の除去もしくはpHを調整する工程が必要となる場合がある。
特許文献3の方法は、多大なエネルギーコストがかかり、特許文献4の方法も同様にエネルギーコストがかかると同時に、バッチ処理しか行うことができない。特許文献5は前記のように、中和工程を必要とするなど、夫々欠点がある。
また、植物、特に木本植物の組織は、セルロースやヘミセルロース等のような高分子多糖が強固に結合した複合ポリマー構造となっている。従って、酵素糖化を行う際には、セルラーゼに加え、各種ヘミセルロースの分解酵素を併用する手法が研究されている。
複数の酵素を用いる糖化方法としては、リグノセルロースをセルラーゼとキシラナーゼ等の補助酵素を用いる方法(特許文献6)、リグノセルロース(Miscanthus x giganteus)をAFEX前処理法(ammonia fiber explosion:アンモニア繊維爆砕法)で行ってからセルラーゼとキシラナーゼで酵素糖化を行う方法(非特許文献5)、木質系バイオマスを、アンモニア、アルカリ及び可塑剤等で処理した後、複数の酵素により糖化を行う方法(特許文献7)等がある。
特許文献6の方法はリグニンが含まれる樹皮には適用できない。また非特許文献5の方法は、多大なエネルギーを必要とする。また特許文献7については真空設備を必要とし、多数の薬品を必要とするなどの問題があった。
特開2006−75007号公報 特開2006−246711号公報 特開2006−136263号公報 特開昭59−204997号公報 特開2008−092910号公報 特表2005-523720号公報 特開2008-535664号公報
日本木材学会編「木質バイオマスの利用技術」p19-61、文永堂出版、1997年7月発行 湯川英明ら「バイオマスエネルギー利用の最新技術」各論編II−1章、CMC出版、2001年8月発行 飯塚尭介ら「ウッドケミカルスの最新技術」p6-34、CMC出版、2001年10月発行 船岡ら「木質系有機資源の新展開」第5章−2、CMC出版、2005年1月発行 Optimization of ammonia fiber expansion (AFEX) pretreatment and enzymatic hydrolysis of Miscanthus x giganteus to fermentable sugars. Biotechnology Progress. 23(4):846-50, 2007.
本発明においては、樹皮の糖化方法について、糖類の収率をさらに向上させ、同時に、より簡便かつ低エネルギーでの糖化を可能とする方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果以下の方法を取る。
すなわち、本発明の第1は、木本植物の樹皮を、アルカリ化合物水溶液中に浸漬するアルカリ処理工程と、該アルカリ処理工程からのアルカリ処理樹皮を機械的破砕処理する工程と、該機械的破砕処理した樹皮を酵素で糖化処理する酵素糖化処理工程を有し、該酵素糖化処理工程でペクチナーゼ及びセルラーゼを酵素として同時に使用することを特徴とする木本植物の樹皮の糖化方法である。
本発明の第2は、前記セルラーゼが、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、ベータグルコシダーゼ、からなる群より選択される1種類以上である、本発明の第1に記載の木本植物の糖化方法である。
本発明の第3は、前記ペクチナーゼが、ペクチンエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ、エンドポリガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、からなる群より選択される1種類以上である、本発明の第1〜2のいずれかに記載の木本植物の糖化方法である。
本発明の第4は、前記アルカリ化合物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア、からなる群より選択される1種類以上である、本発明の第1〜3のいずれかに記載の木本植物の樹皮の糖化方法。
本発明の第5は、前記木本植物が、グランディス(grndis)種、グロブラス(globulus)種、ナイテンス(nitens)種、カマルドレンシス(camaldulensis)種、デグラプタ(deglupta)種、ビミナリス(viminalis)種、ユーロフィラ(urophylla)種、ダニアイ(dunnii)種およびこれらの交雑種からなる群より選ばれるユーカリ(Eucalyptus)属に属する木本植物である、本発明の第1〜4のいずれかに記載の木本植物の糖化方法である。
本発明によって、糖類の収率をさらに向上させ、同時に、より簡便かつ低エネルギーでの糖化を可能とする樹皮の糖化方法を提供することが可能となった。
以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。
本発明でバイオマス原料として用いられるのは、木本植物の樹皮である。樹種については、特に限定されないが、好ましくはユーカリ(Eucalyptus)属、さらに好ましくはグランディス(grandis)種、グロブラス(globulus)種、ナイテンス(nitens)種、カマルドレンシス(camaldulensis)種、デグラプタ(deglupta)種、ビミナリス(viminalis)種、ユーロフィラ(urophylla)種、ダニアイ(dunnii)およびこれらの交雑種である。
樹皮原料は、入手できる状態のままで原料とすることができる。通常、搬送時の取り扱い性等を考慮して数cmに裁断ないし粉砕されている状態のものであればそのまま処理することが好ましい。樹皮原料のサイズは小さいほど処理しやすいが、本発明の方法では、前処理工程において処理された樹皮は解繊処理により少ないエネルギーコストで容易に微細化できるので、乾燥樹皮原料を過度に微細化処理することは避けることが好ましい。
以下に、本発明の工程を順に説明する。
入手した原料樹皮は、アルカリ化合物水溶液中に浸漬するアルカリ処理工程に供する。
用いるアルカリ化合物としては、樹皮を柔化せしめるものであれば特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等が好適に用いられる。その中でも水酸化ナトリウムが特に好適である。
また、アルカリ処理工程においては、アルカリ化合物水溶液中に必要に応じて任意の他の薬品、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等を添加することが可能である。
上記アルカリ化合物の添加量は、樹皮を柔化せしめることが可能であればよく、特に限定されないが、乾燥樹皮質量に対して0.1%以上が好ましく、さらに好ましくは6〜20%である。
アルカリ処理工程における処理温度は、樹皮を柔化せしめることが可能であればよく、特に限定されないが、好ましくは10〜300℃、さらに好ましくは25〜95℃である。
アルカリ処理工程の処理時間は、樹皮を柔化せしめることが可能であればよく、特に限定されないが、好ましくは10分〜72時間、さらに好ましくは1時間〜17時間である。
前記アルカリ処理を行った樹皮は、そのまま酵素処理工程に供することもできるが、酵素反応効率を向上させるためには、機械的破砕処理を経てから酵素処理工程に供することが望ましい。
機械的破砕処理に用いる機械は、前記した前処理の程度によって異なり、リグニンが充分に溶解されている場合には、パルプを離解する離解機あるいは、パルプを叩解するリファイナーが使用できる。また、前処理におけるリグニン溶解の程度が低い場合には、木材から機械パルプを製造する際に使用されるグラインダーやリファィナーを用いて摩砕してする。グラインダーとしてはストーンロールにリグノセルロース材料を押し付けて摩砕するストーングラインダーが好ましく、例えばシリンダーにより押し付けるポケットグラインダー、チェーンにより押し付けるチェーングラインダーが使用できる。ストーンとしては、天然石、セメントストーン、セラミックストーンなどが使用できる。また、石臼式のグラインダーも使用できる。
リファイナーとしては、木材から機械パルプを製造する際に用いられる各種高濃度リファイナー機を使用することができる。リファイナーの型としては、固定板と回転する1枚のディスクにより摩砕するシングルディスクリファイナー、2枚の逆回転するディスクにより摩砕するダブルディスクリファイナー、固定板を挟んで両側の回転するディスクにより摩砕するツインディスクリファイナーが使用できる。また、回転板が平板ではなく円錐型であるコニカルディスクリファイナーも使用できる。グラインダーやリファィナーでは、摩砕効率を維持するために温水シャワーなどを使用して摩砕機内の目詰まりを防ぎながら摩砕処理が行われる。
なお、アルカリ処理された樹皮は、そのまま機械的破砕処理に供しても良いが、固液分離により、固形分と液分に分けて固形分のみを処理に供しても良い。固液分離手段としては、フィルター等を用いた常圧下での濾過のほか、加圧濾過、吸引濾過や、遠心分離手段を用いることができる。
前述したアルカリ処理工程、もしくはアルカリ処理工程後さらに機械的破砕処理によって処理された樹皮は、そのまま、もしくは必要に応じて洗浄した後、次工程である酵素処理工程に適したpHに調整して酵素処理工程に供する。
本発明の酵素処理工程においては、酵素としてセルラーゼ及びペクチナーゼを使用する。
セルラーゼとしては、公知のものから適宜選択して使用可能であり、特に限定されないが、例えば、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、ベータグルコシダーゼ等が使用可能である。またこれらを複数任意に組み合わせて使用することも可能である。
なお、市販のセルラーゼ製剤としては、トリコデルマ(Trichoderma)属、アクレモニウム属(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ファネロケエテ(Phanerochaete)属、トラメテス属(Trametes)、フーミコラ(Humicola)属、バチルス(Bacillus)属などに由来するセルラーゼ製剤がある。このようなセルラーゼ製剤の市販品としては、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)等(以上全て商品名)が挙げられる。
ペクチナーゼとしては、公知のものから適宜選択して使用可能であり、特に限定されないが、
例えば、ペクチンエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ、エンドポリガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロナーゼが使用可能である。またこれらを複数任意に組み合わせて使用することも可能である。
また、本発明で使用するセルラーゼとペクチナーゼの組み合わせと添加比率は特に限定されないが、作用温度とpH範囲が類似であるセルラーゼとペクチナーゼを組み合わせて使用することが好ましい。
なお、本発明で使用するセルラーゼ及びペクチナーゼは、市販の製剤や、既に単離されたものを用いてもよく、また、微生物、真菌、酵母、細菌、植物等の生物により生産された後、発酵液をそのまま添加する等によって、単離せずこれを生産した生物ごと添加してもよい。
また、酵素処理工程における温度、pH、及び処理時間は特に限定されず、用いる原料や酵素の特性等に合わせて適宜調整することができる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下に示す各実施例において、%は、特に断りがない限りは全て質量%である。
(実施例1)
ユーカリ・グロブラスの樹皮を約4cm角に切断し、以下の試験に用いた。
上記樹皮の質量絶乾600gに対して、水酸化ナトリウム120g、樹皮に含まれる水分も含めて全体の含水率が3kgになるようにイオン交換水を加えて調製した。
この混合物を25℃にて17時間静置することによりアルカリ処理を施した。
アルカリ処理後、篩を用いて樹皮とアルカリ溶液を分離し、この樹皮をさらに高濃度レファイナー(熊谷理機工業製)を用いて、クリアランス1mmにて破砕処理を行った。
次に、破砕処理した樹皮が固形分濃度10%になるようにイオン交換水を添加し、濃硫酸を用いてpHが5になるように調整したのち、セルラーゼ(MultifectCX10L、ジェネンコア協和製)、ペクチナーゼ(Peclyve FR acid、Lyven社製)を最終濃度それぞれ2.5%、1%になるように添加し、温度50℃、120rpmで振盪反応させて酵素糖化処理を行った。24時間後、上清の全糖濃度を測定した。なお全糖濃度はフェノール硫酸法で測定し、グルコースの標準液で作成した検量線から全糖濃度を計算した。また、グルコース濃度はバイオセンサー(BF4、王子計測機械製)を用い測定した。
(比較例1)
セルラーゼ(MultifectCX10L)を最終濃度2.5%使用、ペクチナーゼを使用せずに酵素糖化処理を行った以外、全て実施例1と同様の方法で処理を行い、全糖濃度、グルコース濃度を同様に測定した。
(比較例2)
実施例1で使用したものと同様の4cm角に切断した樹皮を、アルカリ処理を行わず、高濃度レファイナー(熊谷理機工業製)を用いて、クリアランス1mmにて破砕処理を行った。
次に、破砕処理した樹皮が固形分濃度10%になるようにイオン交換水を添加し、濃硫酸でpH5に調整した後、セルラーゼ(MultifectCX10L、ジェネンコア協和製)、ペクチナーゼ(Peclyve FR acid、Lyven社製)を最終濃度それぞれ2.5%、0.1%になるように添加して、実施例1と同様な条件で酵素糖化処理を行ったのち、反全糖濃度、グルコース濃度を同様に測定した。
実施例1、比較例1〜2の全糖濃度、グルコース濃度を表1に示す。
Figure 0005381119
表1から、樹皮をアルカリ前処理せずに酵素処理すると、糖の生産量が非常に低く、アルカリ処理を施すことにより、酵素反応が順調に進行することが示された。さらにペクチナーゼとセルラーゼを同時に反応させると、全糖生産量だけではなく、グルコース生産量も向上することが示された。樹皮中の高分子複合構造がペクチナーゼによって崩れ、セルラーゼのセルロースに対する分解が促進されたためと考えられる。
木質バイオマスである樹皮から酵素処理による糖の生産量を向上する方法を提供する。酵素処理によって得られた糖はバイオエタノールをはじめ様々な発酵産物の原料として供給可能である。

Claims (5)

  1. 木本植物の樹皮を、アルカリ化合物水溶液中に浸漬するアルカリ処理工程と、該アルカリ処理工程からのアルカリ処理樹皮を機械的破砕処理する工程と、該機械的破砕処理した樹皮を酵素で糖化処理する酵素糖化処理工程を有し、該酵素糖化処理工程でペクチナーゼ及びセルラーゼを酵素として同時に使用することを特徴とする木本植物の樹皮の糖化方法。
  2. 前記セルラーゼが、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、ベータグルコシダーゼ、からなる群より選択される1種類以上であることを特徴とする請求項1記載の木本植物の樹皮の糖化方法。
  3. 前記ペクチナーゼが、ペクチンエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ、エンドポリガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、からなる群より選択される1種類以上であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の木本植物の樹皮の糖化方法。
  4. 前記アルカリ化合物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア、からなる群より選択される1種類以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の木本植物の樹皮の糖化方法。
  5. 前記木本植物が、グランディス(grndis)種、グロブラス(globulus)種、ナイテンス(nitens)種、カマルドレンシス(camaldulensis)種、デグラプタ(deglupta)種、ビミナリス(viminalis)種、ユーロフィラ(urophylla)種、ダニアイ(dunnii)種およびこれらの交雑種からなる群より選ばれるユーカリ(Eucalyptus)属に属する木本植物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の木本植物の樹皮の糖化法。
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