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JP2011079781A - センチネルリンパ節の造影剤ないし同定剤、温熱療法剤 - Google Patents

センチネルリンパ節の造影剤ないし同定剤、温熱療法剤 Download PDF

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Masakazu Ueda
政和 上田
Toshihide Muramatsu
俊英 村松
Hiroshi Handa
宏 半田
Tsukasa Hatakeyama
士 畠山
Kensuke Imai
乾介 今井
Masanori Abe
正紀 阿部
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Abstract

【課題】センチネルリンパ節を造影及び検出する。
【解決手段】少なくとも1個の磁性粒子と該磁性粒子を覆う生体適合性物質の被覆層を有する被覆磁性粒子を含み、前記磁性粒子の平均粒径が15〜30nmであることを特徴とする、センチネルリンパ節造影剤及び同定剤。
【選択図】図1A

Description

本発明は、センチネルリンパ節造影剤、センチネルリンパ節同定剤、並びにこれらを用いる温熱療法剤に関する。
センチネルリンパ節に流入したリンパ流は、さらに下流のリンパ節に流入した後、全身のリンパ流に乗る。病理学的にセンチネルリンパ節に癌の転移がなければ、それより下流のリンパ管に属するリンパ節への癌の転移はないと診断することができる。一方、センチネルリンパ節に癌の転移が認められる場合は、癌の転移がリンパ節に生じたと診断され、広い領域の外科的手術を施す必要がある。従って、癌診断や癌の外科的治療の際に、センチネルリンパ節を的確に同定検出する診断技術を確立することが要求されている。
すなわち、解剖学的に最も近いリンパ節が、必ずしもセンチネルリンパ節に相当するとは限らず、癌組織からのリンパ流が最初に流入するセンチネルリンパ節を同定することは簡単ではない。 従来、センチネルリンパ節を同定する方法として、放射性アイソトープ注入後のガンマプローブによる検出(特許文献1)、インジゴカルミン等の色素を用いた色素注入(非特許文献1)、蛍光物質注入(特許文献2及び3)、ヨウ化銀粒子を用いたX線造影(特許文献4)、マイクロバブル投与後の超音波授像(特許文献5)、アルブミン投与後の超音波撮像(特許文献6)、コロイド鉄粒子注入後の磁気共鳴断層撮影(MRI)(特許文献7)などが利用されていた。これらの物質は、癌組織に投与した後一定時間センチネルリンパ節に滞留し、それを検出することによりセンチネルリンパ節の検出が可能であるとされていた。しかしながら、従来の方法は、センチネルリンパ節だけでなく、下流の2次リンパ節にも滞留し、2次リンパ節とセンチネルリンパ節の区別をつけることができなかった。
また、特許文献8には、磁性粒子を用いるセンチネルリンパ節の造影剤が開示されているが、その磁性粒子の粒子径は70〜100nmと大きく、温熱効果は期待できないものであった。特許文献9は平均粒径が3〜40nmの磁性粒子がMRI造影剤として使用できることが記載されているが、センチネルリンパ節についての言及はない。
WO01/12071 特開2004-269439号公報 特開2005-132805号公報 特開2006-225346号公報 特開2006-503861号公報 特開2003-238450号公報 特開平10-120597号公報 WO2008/111687 WO2009/014201
A.E.Giulianoet al., Ann.Surg.220,1994,391-401
本発明は、センチネルリンパ節を特異的に検出する造影剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、センチネルリンパ節を他のリンパ節と区別して検出し得る試薬について鋭意検討を行い、特定の粒子径の磁性粒子をポリマーで被覆した複合体が、MRI、励磁音響効果などによりセンチネルリンパ節を検出、同定することができ、さらに、磁場により温熱療法を実施可能な程度に発熱させ得ることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下のセンチネルリンパ節の造影剤および同定剤、温熱療法剤を提供するものである。
項1. 少なくとも1個の磁性粒子と該磁性粒子を覆う生体適合性物質の被覆層を有する被覆磁性粒子を含み、前記磁性粒子の平均粒径が15〜30nmであることを特徴とする、センチネルリンパ節造影剤。
項2. 磁性粒子がマグネタイト粒子、マグヘマイト粒子及びマグネタイトとマグヘマイトの中間体の粒子からなる群から選ばれる、項1に記載のセンチネルリンパ節造影剤。
項3. 前記生体適合性物質が、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体等の合成高分子、ポリシアル酸、アルギン酸およびアルギン酸塩、アガロース、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、デンプン、ペクチン等の多糖類、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリ−L−リジン、ポリアルギニン等のポリペプチド、これらのコポリマー、ならびにこれらの誘導体、ゼラチン、コラーゲン及びその誘導体等のタンパク質、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、シュウ酸、乳酸、グリコール酸、グルコース、マンノース、ショ糖、マルトースなどの低分子化合物およびその誘導体からなる群から選ばれる、項1または2に記載のセンチネルリンパ節造影剤。
項4. 少なくとも1個の磁性粒子と該磁性粒子を覆う生体適合性物質の被覆層を有する被覆磁性粒子を含み、前記磁性粒子の平均粒径が15〜30nmであることを特徴とする、センチネルリンパ節同定剤。
項5. 磁性粒子がマグネタイト粒子、マグヘマイト粒子及びマグネタイトとマグヘマイトの中間体の粒子からなる群から選ばれる、項5に記載のセンチネルリンパ節同定剤。
項6. 前記生体適合性物質が、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体等の合成高分子、ポリシアル酸、アルギン酸およびアルギン酸塩、アガロース、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、デンプン、ペクチン等の多糖類、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリ−L−リジン、ポリアルギニン等のポリペプチド、これらのコポリマー、ならびにこれらの誘導体、ゼラチン、コラーゲン及びその誘導体等のタンパク質、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、シュウ酸、乳酸、グリコール酸、グルコース、マンノース、ショ糖、マルトースなどの低分子化合物およびその誘導体からなる群から選ばれる、項4または5に記載のセンチネルリンパ節同定剤。
項7. センチネルリンパ節を励磁音響効果により検出することができる、項4〜6のいずれかに記載のセンチネルリンパ節同定剤。
項8. 項1〜3のいずれかに記載のセンチネルリンパ節造影剤または項4〜7のいずれかに記載のセンチネルリンパ節同定剤を含むセンチネルリンパ節に転移した癌の温熱療法剤。
本発明の造影剤は、センチネルリンパ節に選択的に集積し、且つ、励磁音響効果を有するため、MRIにより検出できるだけでなく、励磁音響効果に基づきその位置を同定することができる。
また、交流磁場(特に高周波磁場)により造影剤/同定剤粒子を加熱してセンチネルリンパ節を41℃以上、好ましくは42〜43℃にすることで、センチネルリンパ節に転移した癌細胞を温熱療法により死滅させることができる。
鉄剤(20nm粒子)投与後に摘出されたセンチネルリンパ節(肘リンパ節)及び下流のリンパ節(腋窩リンパ節)及び、それぞれのリンパ節の組織標本を作製し、ベルリンブルーにより鉄の組織染色した結果を示す。鉄剤が滞留しているリンパ節は、茶色あるいは薄茶色を帯びている。 鉄剤(200nm粒子)投与後に摘出されたセンチネルリンパ節(肘リンパ節)及び下流のリンパ節(腋窩リンパ節)及び、それぞれのリンパ節の組織標本を作製し、ベルリンブルーにより鉄の組織染色した結果を示す。鉄剤が滞留しているリンパ節は、茶色あるいは薄茶色を帯びている。 鉄剤(Resovist)投与後に摘出されたセンチネルリンパ節(肘リンパ節)及び下流のリンパ節(腋窩リンパ節)及び、それぞれのリンパ節の組織標本を作製し、ベルリンブルーにより鉄の組織染色した結果を示す。鉄剤が滞留しているリンパ節は、茶色あるいは薄茶色を帯びている。 ICP-OES(高周波誘導結合プラズマ発光分析法)により鉄剤の投与2時間後、24時間後のリンパ節の鉄(Fe)量を定量した結果を示す。ICP-OESにて測定する試料は、凍結乾燥したリンパ節をテフロン(登録商標)耐圧容器に入れ、濃硝酸(1.42)(関東化学(株)製)を1 ml加え、蓋をして3 分間電子レンジで加熱し、完全にリンパ節を溶解させ、Y(イットリム)10ppm 溶液(和光純薬工業(株)製)0.5 ml、Milli-Q 水3.5 mlを加え、最終体積5 ml、Y濃度を全ての試料で1 ppmとした。 ICP-OESにより鉄剤の投与2時間後のセンチネルリンパ節(肘リンパ節)と下流のリンパ節(腋窩リンパ節)の鉄(Fe)量を比較した結果を示す。 摘出したリンパ節について、MRI画像を撮り(スピンエコー法、TR/TE:400/10msec、NEX(加算回数):1、スライス厚:1.5mm)、画像を作製した結果を示す。鉄剤投与側のセンチネルリンパ節(肘リンパ節)には鉄剤が含まれているため、信号低下して写っている。 20nm鉄剤とResovistの投与前と投与後のラットについてMRI画像を撮り(グラディエントエコー法、TR/TE:350/10 msec、FOV:6 x 6 cm、NEX: 4、スライス厚: 1.0mm)、画像を作製した結果を示す。Resovistの投与後の下流のリンパ節(腋窩リンパ節)には、Resovistが流入しているため、信号低下して写っている。
本明細書において、「1次リンパ節」は、解剖学的に癌の原発巣に最も近いリンパ節である。「センチネルリンパ節」は、癌組織からのリンパ流が最初に流入するリンパ節である。センチネルリンパ節は、必ずしも原発巣から最も近いリンパ節(1次リンパ節)ではない。 本発明のセンチネルリンパ節造影剤は、ナノサイズの磁性粒子複合体を含む造影剤である。磁性粒子複合体は、磁性粒子とその粒子を覆うポリマーから基本的に構成される。
磁性粒子のサイズは15〜30nm、好ましくは16〜28nm、より好ましくは17〜26nm、さらに好ましくは18〜24nm、特に約20nmがよい。磁性粒子の平均粒径がこの範囲内である場合には、励磁音響効果及び磁場による発熱効果を有し、励磁音響効果により粒子(即ちセンチネルリンパ節)の検出と癌細胞が転移したセンチネルリンパ節の温熱療法を行うことができる。励磁音響効果による磁性粒子の検出は、交流磁場発生装置(電磁石)にマイクロフォンを備えた検出装置により行うことができる。
磁性粒子の平均粒径が4nmないし8nmのような小さい粒子の場合、センチネルリンパ節を通過し、2次リンパ節に多量の粒子が集積するため好ましくない。Resovistは、2次粒子の平均粒径、すなわち水中での平均粒径が57nmとされているが、平均1次粒径は8nmであり、2次リンパ節に大量に移行する。したがって、センチネルリンパ節への集積に関しては2次粒子(被覆層を有する被覆磁性粒子)の平均粒径よりも、1次粒子(コアの磁性粒子)の平均粒径が重要である。本発明の、センチネルリンパ節造影剤、センチネルリンパ節同定剤、並びにこれらを用いる温熱療法剤に関しても、1次粒子の平均粒径が15〜30nmであれば、2次粒子の平均粒径は15〜250nmであってもセンチネルリンパ節に集積する。2次粒子の平均粒径は好ましくは15〜200nm、より好ましくは、15〜100nm、さらに好ましくは15〜50nm、特に15〜30nmである。この範囲の粒子径であれば、細網内皮系に取り込まれることなく毛細血管等の生体組織を通過することができ、リンパ節中にも進入することができる。本発明の被覆磁性粒子は、被覆層が非常に薄くてもよく、被覆磁性粒子の大きさは、磁性粒子自体とほぼ同じでもよく、被覆層が厚く、2次粒子が大きくてもよい。粒子径は、例えば、光散乱度計を用いて測定することができる。
本発明において、「粒子」とは完全な球形の粒子だけではなく、楕円や不定形の不完全な球形の粒子も含まれる。センチネルリンパ節造影剤に含まれる磁性粒子の粒径は均一であるのが好ましいが、上記の平均粒子径の範囲内に所定の粒度分布を有していればよい。
本発明に使用する磁性粒子の素材は、特に限定されるものではないが、酸化鉄、具体的には、マグネタイト粒子、マグヘマイト粒子及びマグネタイトとマグヘマイトの中間体の粒子などを挙げることができる。
本発明の磁性粒子は、生体適合性物質により被覆されている。被覆層は、粒子の凝集を防止することができる。このような物質としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体等の合成高分子、ポリシアル酸、アルギン酸およびアルギン酸塩、アガロース、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、デンプン、ペクチン等の多糖類、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリ−L−リジン、ポリアルギニン等のポリペプチド、これらのコポリマー、ならびにこれらの誘導体、ゼラチン、コラーゲン及びその誘導体等のタンパク質、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、シュウ酸、乳酸、グリコール酸、グルコース、マンノース、ショ糖、マルトースなどの低分子化合物およびその誘導体が挙げられる。
本発明の造影剤は、上記の平均粒径の磁性粒子を生体適合性物質の溶液に浸漬し、磁性粒子表面に当該生体適合性物質を結合させることで被覆粒子とすることができる。生体適合性物質の溶液は水またはアルコール等の適当な有機溶媒に生体適合性物質を溶解して調製する。生体適合性物質の濃度としては、0.001〜1M程度、好ましくは0.01〜0.5M程度である。
本発明の被覆磁性粒子を含む、センチネルリンパ節の造影剤は、MRIのための造影剤として用いることもできるが、MRIでは造影剤の正確な位置がわからないのみならず手術中に用いることができないので、励磁音響効果に基づきセンチネルリンパ節の位置を手術中をも含めて特定するのが望ましい。交流磁場をかける場合、本発明の磁性粒子複合体を含むセンチネルリンパ節の造影剤ないし同定剤は、センチネルリンパ節の温度を温熱療法に必要な程度(例えば41℃以上、好ましくは42〜43℃)に上昇させることができる。励磁音響効果による磁性粒子複合体の検出に必要な交流磁場としては、10 Oe程度以上、好ましくは20〜100 Oe程度であり、センチネルリンパ節を41〜43℃に加熱するために必要な交流磁場としては20 Oe 程度以上、好ましくは50〜200 Oe程度である。
該造影剤、同定剤もしくは温熱療法剤は、被覆磁性粒子の他に薬学的に許容できる成分を含んでいてもよい。このような成分として、殺菌剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、保存剤等が挙げられる。安定化剤としては、例えば、グリシン、アラニン等の通常のL型アミノ酸、グルコース、マンノース等の単糖類、ショ糖、マルトース等の二糖類、マンニトール、キシリトール等の糖アルコール類、デキストラン等の多糖類などを挙げることができる。また、殺菌剤としては、ベンザルコニウム塩、クロルヘキシジン塩、パラオキシ安息香酸エステル類等を挙げることができる。緩衝剤としては、ホウ酸、リン酸、酢酸、クエン酸、あるいはこれらの塩等を挙げることができる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、糖類等を挙げることができる。キレート剤としては、エデト酸ナトリウム、クエン酸等が例示される。その他、アセチルトリプトファンナトリウム、カプリル酸ナトリウムなどを挙げることができる。なお、pH値についてはpH調整試薬によりpH6-8程度の範囲に調整することが好ましい。
磁性粒子複合体は、水溶液中に分散させて保存することが、高い分散性を維持するために好ましい。磁性粒子複合体の水溶液は、癌部位、癌の周囲に局所投与するのが好ましい。癌の周囲に投与された本発明の磁性粒子複合体は、癌周囲のリンパ流に乗り、センチネルリンパ節に流入し、そこで滞留し、2次リンパ節等の他のリンパ節に流入することなく、センチネルリンパ節の特異的な造影を可能にする。投与後、一定時間経過後にMRI装置により、磁性粒子の集積を測定し、磁性粒子が集積しているリンパ節をセンチネルリンパ節と判断することができる。
本発明の造影剤は、特に限定されないが、例えば0.3〜300mg/mL程度、好ましくは15〜60mg程度の水懸濁液を静脈内に、複合体の量として0.05〜5mg/kg程度、好ましくは0.1〜1mg/kgを成人において1回の造影あたり投与することにより、センチネルリンパ節を造影することができる。また、このような投与量でMRIの造影、励磁音響効果によるセンチネルリンパ節の検出、センチネルリンパ節の温熱療法を行うことができる。造影は、MRIにより行ってもよく、例えば手術中に音響効果を測定可能な装置によりセンチネルリンパ節の有無を造影・検出し、切除部位を決定するようにしてもよい。
本発明は、磁性粒子複合体を生体に投与し、センチネルリンパ節を特異的に造影し、センチネルリンパ節を同定する方法を提供する。本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
以下の実施例において、磁性粒子を投与したラットは、癌の原発巣を有しないので厳密に言えば肘リンパ節は1次リンパ節であるが、肘リンパ節は掌からのリンパ管の流れでは一番最初のリンパ節であるため、癌の原発巣がラット掌と仮定するとセンチネルリンパ節になるので、以下の実施例では、「センチネルリンパ節」と記載する。以下の実施例から、本発明の磁性粒子がセンチネルリンパ節造影剤として優れていることが実証された。
実施例1 磁性粒子複合体のセンチネルリンパ節への集積
水中で単粒子分散状態を維持した、平均1次粒子径が4nm、8nm、20nmのクエン酸被覆磁性粒子(1次粒子とクエン酸被覆後の水中での磁性粒子(フェライト)の平均粒径は、いずれもほぼ同じ4nm、8nm、20nm)、デキストラン・マグネタイト(Resovist注(商標)、日本バイエル社)の懸濁液(100μg/mL)を調製し、各々ラット当たり0.2mLを前肢に投与した。また、1次粒子径が20nmの磁性粒子を複数含んだ、水中での平均粒子径が200nmである磁性粒子を、ポリγ-グルタミン酸ナトリウムを被覆物質として被覆して製造し、同様にラット当たり0.2mLを前肢に投与した。
各種鉄剤をラット掌に投与後、2時間または24時間経過後にラットを犠牲にし、センチネルリンパ節(肘リンパ節)及び下流のリンパ節(腋窩リンパ節)を摘出し、ベルリンブルー組織染色を行った (図1A−C)。組織像において、ブルーに染色されている部分は鉄の存在を示している。20nm粒径の鉄剤は、24時間後においても、下流のリンパ節(腋窩リンパ節)への流入が少ないが、200nm粒径の鉄剤は、24時間後には下流のリンパ節(腋窩リンパ節)へ流入していた。また、Resovistは2時間後においても、下流のリンパ節(腋窩リンパ節)への流出が認められた。
これにより20nm粒径の鉄剤が、最もセンチネルリンパ節(肘リンパ節)への滞留性が高いことが示唆される。
さらに、ICP-OES(LEEMAN LABS社製)により、リンパ節内の鉄の存在(Fe量)を、より定量的に求めた(図2)。センチネルリンパ節(肘リンパ節)/下流のリンパ節(腋窩リンパ節)のFe量の比をとると20nm粒径の鉄剤が2時間後、24時間後ともに他の鉄剤より高い結果となった(図3)。
これにより他の鉄剤に比べ20nm粒径の鉄剤が、最もセンチネルリンパ節(肘リンパ節)への滞留性が高いことが定量的にも示唆された。
また、鉄剤のMRIでの造影効果を調べるために、20nm粒径の鉄剤を投与した後に、取り出したリンパ節でMRI画像を撮像した(図4)。鉄剤が含まれている部分は信号低下を起こしている事がわかる。
これにより20nm粒径の鉄剤が、MRIの造影剤としても機能することが示唆された。
実際にラットの掌に鉄剤を投与し、鉄剤投与前後にMRI画像を撮像した (図5)。20nm粒径の鉄剤ではセンチネルリンパ節(肘リンパ節)でのみ信号低下を起こし、下流のリンパ節(腋窩リンパ節)では信号低下を起こしていない。一方Resovistでは、センチネルリンパ節(肘リンパ節)、下流のリンパ節(腋窩リンパ節)の両方で信号低下を起こしている。
これにより20nm粒径の鉄剤は、センチネルリンパ節(肘リンパ節)のみをMRIで同定出来ることが示唆された。 上記の結果から、平均粒径が15〜30nm、特に20nmの本発明のセンチネルリンパ節造影剤は、センチネルリンパ節に選択的に集積し、センチネルリンパ節の優れた造影剤および同定剤であることが明らかになった。
本発明の被覆磁性粒子は、センチネルリンパ節に選択的に集積し、2次リンパ節等のそれ以外のリンパ節には集積しない。従って、本発明の上記磁性粒子をMRIまたは励磁音響効果を用いたセンチネルリンパ節の造影剤として用いることができ、癌のリンパ節への転移等の的確な診断に利用することができる。MRI、励磁音響効果によるセンチネルリンパ節の同定は、空間分解能が高く、放射性物質が不要であるという利点を有する。本発明の造影剤により、センチネルリンパ節を特異的に検出することができ、癌の転移等の診断に利用することができる。また、温熱療法を行うこともできる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (8)

  1. 少なくとも1個の磁性粒子と該磁性粒子を覆う生体適合性物質の被覆層を有する被覆磁性粒子を含み、前記磁性粒子の平均粒径が15〜30nmであることを特徴とする、センチネルリンパ節造影剤。
  2. 磁性粒子が酸化鉄の粒子からなる群から選ばれる、請求項1に記載のセンチネルリンパ節造影剤。
  3. 前記生体適合性物質が、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体等の合成高分子、ポリシアル酸、アルギン酸およびアルギン酸塩、アガロース、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、デンプン、ペクチン等の多糖類、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリ−L−リジン、ポリアルギニン等のポリペプチド、これらのコポリマー、ならびにこれらの誘導体、ゼラチン、コラーゲン及びその誘導体等のタンパク質、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、シュウ酸、乳酸、グリコール酸、グルコース、マンノース、ショ糖、マルトースなどの低分子化合物およびその誘導体からなる群から選ばれる、請求項1または2に記載のセンチネルリンパ節造影剤。
  4. 少なくとも1個の磁性粒子と該磁性粒子を覆う生体適合性物質の被覆層を有する被覆磁性粒子を含み、前記磁性粒子の平均粒径が15〜30nmであることを特徴とする、センチネルリンパ節同定剤。
  5. 磁性粒子が酸化鉄の粒子からなる群から選ばれる、請求項5に記載のセンチネルリンパ節同定剤。
  6. 前記生体適合性物質が、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体等の合成高分子、ポリシアル酸、アルギン酸およびアルギン酸塩、アガロース、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、デンプン、ペクチン等の多糖類、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリ−L−リジン、ポリアルギニン等のポリペプチド、これらのコポリマー、ならびにこれらの誘導体、ゼラチン、コラーゲン及びその誘導体等のタンパク質、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、シュウ酸、乳酸、グリコール酸、グルコース、マンノース、ショ糖、マルトースなどの低分子化合物およびその誘導体からなる群から選ばれる、請求項4または5に記載のセンチネルリンパ節同定剤。
  7. センチネルリンパ節を励磁音響効果により検出することができる、請求項4〜6のいずれかに記載のセンチネルリンパ節同定剤。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載のセンチネルリンパ節造影剤または請求項4〜7のいずれかに記載のセンチネルリンパ節同定剤を含むセンチネルリンパ節に転移した癌の温熱療法剤。
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