JP2011046570A - 石灰岩の不純物除去方法及びシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)炭素分を不純物として含む石灰岩を乾式粉砕して、石灰岩粉砕物を得る工程と、(B)該石灰岩粉砕物と、水と、分散剤を混合して、スラリーを得る工程と、(C)該スラリーを湿式粉砕して、石灰岩微粉砕物を含むスラリーを得る工程と、(D)工程(C)で得たスラリーと浮選剤を混合して、浮選剤を含むスラリーを得る工程と、(E)工程(D)で得たスラリーを浮選選鉱処理して、炭素分を含む浮鉱と、炭酸カルシウムを含む沈鉱を得る工程と、を含む石灰岩の不純物除去方法。
【選択図】図1
Description
その一例として、石灰石原料鉱石を100メッシ以下の微粒状に粉砕し、アルコール系の起泡剤を用いてアルカリ性パルプで浮選し、不純物を浮鉱として分離することを特徴とする炭素系不純物の浮遊除去による石灰石微粉の高純度化方法が、提案されている(特許文献1)。この文献の実施例では、浮遊選鉱の際に、薬剤として分散剤(ケイ酸ソーダ)、活剤(IAA)、捕集剤(ケロシン)および起泡剤(MIBC)を用いている。
一方、古紙からインキを剥離し、再生パルプを得て、再生紙を製造するための古紙再生技術において、古紙からインキを剥離する作用を有する脱墨剤を用いることが知られている。
古紙再生用脱墨剤の一例として、特定の化学式で表される化合物を含有することを特徴とする古紙再生用脱墨剤が提案されている(特許文献2)。
この技術において、スラリーの固形分濃度を増大させれば、処理装置の小型化、及び排水の量の削減を図ることができる。
一方、本発明者の最近の研究によると、石灰岩を非常に小さな粒度(例えば、ブレーン比表面積で16,000cm2/g以上)に粉砕した後に、浮遊選鉱処理を行なうと、非常に高い白色度を有する沈鉱が得られることがわかった。
しかし、本発明者の実験によると、石灰岩を非常に小さな粒度(例えば、ブレーン比表面積で20,000cm2/g)に粉砕し、かつ、スラリーの固形分濃度を大きな値(例えば、50質量%)に定めた場合、スラリーの粘度が大きくなり、浮遊選鉱処理を安定的に行なうことが困難であった。
そこで、本発明は、非常に小さな粒度を有する石灰岩粉砕物を含み、かつ大きな固形分濃度を有するスラリーであっても、浮遊選鉱処理を安定的に行なうことができる方法及びシステムであって、非常に高い白色度を有する炭酸カルシウム含有物質を得ることができ、かつ、処理装置の小型化、及び排水の量の削減を図ることができる方法及びシステムを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
[1] (A)炭素分を不純物として含む石灰岩を乾式粉砕して、石灰岩粉砕物を得る乾式粉砕工程と、(B)工程(A)で得た石灰岩粉砕物と、水と、分散剤を混合して、スラリーを得るスラリー調製工程と、(C)工程(B)で得たスラリーを湿式粉砕して、石灰岩微粉砕物を含むスラリーを得る湿式粉砕工程と、(D)工程(C)で得たスラリーと、浮選剤を混合して、浮選剤を含むスラリーを得る浮選剤添加工程と、(E)工程(D)で得たスラリーを浮選選鉱処理して、炭素分を含む浮鉱と、炭酸カルシウムを含む沈鉱を得る浮遊選鉱処理工程と、を含むことを特徴とする石灰岩の不純物除去方法。
[2] 工程(B)において、石灰岩粉砕物と水との合計量中の石灰岩粉砕物の割合を40〜85質量%に調整する上記[1]に記載の石灰岩の不純物除去方法。
[3] 工程(A)において、上記石灰岩粉砕物のブレーン比表面積を16,000cm2/g未満に調整し、かつ、工程(C)において、上記石灰岩微粉砕物のブレーン比表面積を16,000cm2/g以上に調整する上記[1]又は[2]に記載の石灰岩の不純物除去方法。
[4] 工程(B)において、上記分散剤としてポリカルボン酸系分散剤またはポリアクリル酸系分散剤を用いる上記[1]〜[3]のいずれかに記載の石灰岩の不純物除去方法。
[5] 工程(D)において、上記浮選剤としてアルコール系脱墨剤を用いる上記[1]〜[4]のいずれかに記載の石灰岩の不純物除去方法。
[6] 炭素分を不純物として含む石灰岩を乾式粉砕して、石灰岩粉砕物を得るための乾式粉砕手段と、上記石灰岩粉砕物と、水と、分散剤を混合して、スラリーを得るためのスラリー調製槽と、上記スラリーを湿式粉砕して、石灰岩微粉砕物を含むスラリーを得るための湿式粉砕手段と、上記石灰岩微粉末を含むスラリーと浮選剤を混合して、浮選剤を含むスラリーを得るための浮選剤添加槽と、上記浮選剤を含むスラリーを浮遊選鉱処理して、炭素分を含む浮鉱と、炭酸カルシウムを含む沈鉱を得るための浮遊選鉱装置と、を含むことを特徴とする石灰岩の不純物除去システム。
また、本発明によれば、石灰岩を非常に小さな粒度に粉砕した後に、浮遊選鉱処理を行なっているので、沈鉱として、非常に高い白色度を有する炭酸カルシウム含有物質を得ることができる。この炭酸カルシウム含有物質は、製紙用フィラー、プラスチック用またはゴム用の顔料、塗料、食品添加物、高級ガラス材料等として用いることができる。
さらに、本発明によれば、浮遊選鉱処理の対象となるスラリーの固形分濃度が大きいため、処理装置(具体的には、スラリー調製槽、湿式粉砕装置、浮選剤添加槽、浮遊選鉱装置)の小型化や、処理に必要な水の量の削減や、排水の量の削減等を図ることができ、設備費等を削減したり、排水処理の負担を軽減することができる。
本発明の石灰岩の不純物除去方法は、(A)炭素分を不純物として含む石灰岩を乾式粉砕して、石灰岩粉砕物を得る乾式粉砕工程と、(B)工程(A)で得た石灰岩粉砕物と、水と、分散剤を混合して、スラリーを得るスラリー調製工程と、(C)工程(B)で得たスラリーを湿式粉砕して、石灰岩微粉砕物を含むスラリーを得る湿式粉砕工程と、(D)工程(C)で得たスラリーと浮選剤を混合して、浮選剤を含むスラリーを得る浮選剤添加工程と、(E)工程(D)で得たスラリーを浮選選鉱処理して、炭素分を含む浮鉱と、炭酸カルシウムを含む沈鉱を得る浮遊選鉱処理工程と、を含む。
以下、各工程について詳しく説明する。なお、図1は、本発明の石灰岩の不純物除去方法の一例を示すフロー図である。
工程(A)は、炭素分を不純物として含む石灰岩を乾式粉砕して、石灰岩粉砕物を得る工程である。
本発明で用いられる石灰岩粉砕物は、着色原因物質である炭素分を不純物として含むものである。
本発明で好適な処理対象物としては、灰色結晶質石灰岩が挙げられる。灰色結晶質石灰岩は、ハンター白色度が89〜93程度であるため、本発明の方法によって白色度を高めることによって製紙用フィラー等の各種の用途に好適に用いることができる。
なお、白色結晶質石灰岩は、ハンター白色度が95〜97程度であるため、灰色結晶質石灰岩に比べて本発明を適用する必要性に乏しい。
乾式粉砕手段としては、例えば、ボールミル、スタンプミル、堅型ローラミル、タワーミル、ジェットミル等が挙げられる。
石灰岩粉砕物のブレーン比表面積は、好ましくは16,000cm2/g未満、より好ましくは4,000〜14,000cm2/g、特に好ましくは6,000〜12,000cm2/gである。該値が16,000cm2/g以上では、乾式の粉砕手段によって、目的とするブレーン比表面積を得ることは困難であり、また、仮に、目的とするブレーン比表面積を得ることが可能であったとしても、粉砕に要する手間および時間が増大し、処理効率が低下する。該値を4,000cm2/g以上に定めると、後工程での湿式粉砕において、粉砕媒体のサイズを小さくすることが可能となり、より短時間で粉砕することができる。
工程(B)は、工程(A)で得た石灰岩粉砕物と、水と、分散剤を混合して、スラリーを得る工程である。
混合の順序としては、(a)スラリー調製槽(混合槽)の中に、石灰岩粉砕物と水を投入して混合した後、分散剤を投入してさらに混合する方法、(b)スラリー調製槽の中に、石灰岩粉砕物、水、及び分散剤を同時に投入して混合する方法、等を採用することができる。
石灰岩粉砕物と水との合計量中の石灰岩粉砕物の割合は、好ましくは40〜85質量%、より好ましくは43〜82質量%、特に好ましくは46〜79質量%である。該割合が40質量%未満では、処理設備の小型化や排水の量の削減などを図ろうとする本発明の目的を十分に達成することができない。該割合が85質量%を超えると、分散剤を添加しても、スラリーの粘度の調整が困難となり、後工程における浮遊選鉱処理を安定的に行なうことが困難になる。
分散剤の好ましい例としては、ポリカルボン酸系分散剤、ポリアクリル酸系分散剤等が挙げられる。これらの分散剤は、液状のものである。また、これらの分散剤の固形分の割合は、通常、40〜45質量%である。
ポリカルボン酸系分散剤としては、ポリカルボン酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。ポリカルボン酸のアルカリ金属塩の例としては、ポリカルボン酸ナトリウム等が挙げられる。
ポリアクリル酸系分散剤としては、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。ポリアクリル酸のアルカリ金属塩の例としては、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
ポリカルボン酸系分散剤の市販品としては、「ポイズ535」、「ポイズ520」(以上、花王社製)、「アロンA−6310」、「アロンA−6330」、「アロンA−6410」(以上、東亞合成社製)等が挙げられる。ポリアクリル酸系分散剤の市販品としては、「アロンT−50」、「アロンT−540」(以上、東亞合成社製)等が挙げられる。
工程(C)は、工程(B)で得たスラリーを湿式粉砕して、石灰岩微粉砕物を含むスラリーを得る工程である。
湿式粉砕手段としては、例えば、ビーズミル、アトライタミル等の媒体撹拌ミルや湿式ボールミル等が挙げられる。
湿式粉砕後の石灰岩微粉砕物のブレーン比表面積は、好ましくは16,000cm2/g以上、より好ましくは17,000cm2/g以上、特に好ましくは18,000cm2/g以上である。該値が16,000cm2/g未満では、工程(E)における浮遊選鉱処理で得られる沈鉱(炭酸カルシウム含有物質)の白色度が低くなる傾向がある。
湿式粉砕後のスラリーの粘度は、好ましくは1,500mPa・s以下、より好ましくは1,200mPa・s以下、さらに好ましくは900mPa・s以下、特に好ましくは600mPa・s以下である。該値が1,500mPa・sを超えると、工程(E)において、浮遊選鉱を安定的に行なうことが困難となる。
湿式粉砕後のスラリーの粘度の下限値は、特に限定されないが、薬剤コスト等の観点から、通常、10mPa・sである。
本明細書中、スラリーの粘度は、JIS Z8803に準拠して得られる値である。
工程(C)における湿式粉砕中にスラリーの粘度が増大してきた場合には、分散剤を追加で添加して、スラリーの粘度を調整してもよい。この場合、工程(B)と工程(C)における分散剤の添加量の合計は、好ましくは、前述の工程(B)の説明における添加量の数値範囲内である。
工程(D)は、工程(C)で得た石灰岩微粉砕物を含むスラリーと、浮選剤を混合して、浮選剤を含むスラリーを得る工程である。
浮選剤としては、アルコール系脱墨剤、脂肪酸系脱墨剤等が挙げられる。
アルコール系脱墨剤としては、高級アルコール系脱墨剤が好適に用いられる。
高級アルコール系脱墨剤としては、例えば、高級アルコールにアルキレンオキサイドを付加した構造を有する非イオン性界面活性剤が挙げられる。
このような特定の非イオン性界面活性剤である高級アルコール系脱墨剤の一例としては、一般式:R1−[O−(CXH2XO)K(AO)m(CyH2yO)n−H]p(式中、pは1〜16の整数である。R1は、pが1の場合には、炭素数8〜24の1価高級アルコール又は炭素数6〜16の直鎖もしくは分岐のアルキル基もしくはアルケニル基を有するアルキルフェノールから水酸基を除いた残基であり、pが2〜16の場合には、p個の水酸基を有する化合物から水酸基を除いた残基である。AOは、エチレンオキサイド基を必須として含む炭素数2〜4の1種類以上のアルキレンオキサイド基がブロックまたはランダムに配列する基である。x、yは各々3または4で、同一でも異なっていてもよい。kは、1以上、300以下の整数である。mは、pが1の場合には、50を超え、300以下の整数であり、pが2〜16の場合には、1以上、300以下の整数である。nは、1以上、300以下の整数である。)で表される化合物(特開平7−3681号公報参照)が挙げられる。
なお、アルコール系脱墨剤は、通常の使用条件下で液体である。
アルコール系脱墨剤の市販品としては、「DI−767」、「DI−7020」(以上、花王社製)、「リプトール」(以上、ライオン社製)等が挙げられる。
工程(D)においては、浮選剤を含むスラリーの調製後に十分に撹拌して養生することが好ましい。養生時間は、好ましくは5〜60分間である。
工程(E)は、工程(D)で得たスラリーを浮遊選鉱処理して、炭素分を含む浮鉱と、炭酸カルシウムを含む沈鉱を得る工程である。
浮遊選鉱とは、疎水性の表面を有する粒子及び親水性の表面を有する粒子を含む水中にガス(例えば、空気)を供給して、このガスの泡の表面に、疎水性の表面を有する粒子を付着させ、該粒子が付着している泡を、水中で浮力により浮上させることによって、沈鉱である親水性の表面を有する粒子と、浮鉱である疎水性の表面を有する粒子とに分離するものである。
浮遊選鉱の手段としては、ファーレンワルド型浮選機(FW型浮選機)、MS型浮選機、フェジャーグレン型浮選機、アジテヤ型浮選機、ワーマン型浮選機等の浮遊選鉱装置(浮選機ともいう。)が挙げられる。
浮鉱は、石灰岩に由来する炭素分を含む物質である。浮鉱は、スラリーの液中の上部領域(特に液面付近)に存在する固体分を回収することによって、スラリーの他の成分(液分、沈鉱)から分離することができる。
沈鉱は、石灰岩に由来する炭酸カルシウムを主成分とする物質である。沈鉱は、スラリーの液中の下部領域(特に底面上)に存在する固体分を回収することによって、スラリーの他の成分(液分、浮鉱)から分離することができる。
工程(A)で得られる石灰岩粉砕物と工程(D)で得られる沈鉱(白色の炭酸カルシウム含有物質)とのハンター白色度の差は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、特に好ましくは2.0以上である。
沈鉱(白色の炭酸カルシウム含有物質)のハンター白色度は、好ましくは92以上、より好ましくは93以上、特に好ましくは94以上である。
ここで、ハンター白色度とは、ハンター白色度計を用いてJIS P8123に準拠して得られる数値をいう。ハンター白色度が大きいほど、白色性に優れ、好ましい。
浮鉱は、炭素分を含むものの、炭酸カルシウムを主成分とする場合には、水洗し、ろ過し、乾燥させることによって、高い白色度を要求されない用途における炭酸カルシウム含有物質(炭酸カルシウム粉末)として利用することができる。
沈鉱と浮鉱の合計量100質量部中の浮鉱の量は、通常、5〜40質量部である。
未処理の石灰岩に対する工程(E)で得られる沈鉱(炭酸カルシウム含有粉末)の回収率は、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは75質量%以上である。
次に、本発明の石灰岩の不純物除去システムの一例について、説明する。
図2中、本発明の石灰岩の不純物除去システムは、(a)炭素分を不純物として含む石灰岩を乾式粉砕して、石灰岩粉砕物を得るための乾式粉砕手段(例えば、ボールミル)1と、(b)乾式粉砕手段1で得た石灰岩粉砕物と、水と、分散剤を混合して、スラリーを得るためのスラリー調製槽(混合槽)2と、(c)スラリー調製槽2で得たスラリーを湿式粉砕して、石灰岩微粉砕物を含むスラリーを得るための湿式粉砕手段(例えば、湿式粉砕装置)3と、(d)湿式粉砕手段3で得たスラリーと、浮選剤を混合して、浮選剤を含むスラリーを得るための浮選剤添加槽(混合槽)4と、(e)浮選剤添加槽4で得たスラリーを浮遊選鉱処理して、炭素分を含む浮鉱と、炭酸カルシウムを含む沈鉱を得るための浮遊選鉱装置5と、を含む。
本発明においては、連続式とバッチ式のいずれのシステムも採用してよいが、実用化に際しての処理効率の観点からは、連続式のシステムが好ましい。
灰色結晶質石灰岩の破砕物(粒径:30mm以下)を、スタンプミルおよびボールミルによって粉砕して、ブレーン比表面積が8,000cm2/gである石灰岩粉砕物を得た。この石灰岩粉砕物について、ハンター白色度計(商品名:NW−1、マイセック社製)を用いて、JIS P8123に準拠して、ハンター白色度を測定した。その結果、ハンター白色度は、92.6であった。
次いで、石灰岩粉砕物と水を撹拌翼付の混合槽内に投入し、5分間撹拌して混合し、スラリーを得た。この際、石灰岩粉砕物と水との合計量中の石灰岩粉砕物の割合(以下、「スラリーの濃度」ともいう。)は、50質量%に調整した。
次に、この混合槽内に、分散剤として、「ポイズ535(商品名)」(花王社製)を投入し、5分間撹拌して混合した。この分散剤は、固形分含量が40質量%の液状のものである。また、分散剤の添加量(液状での量)は、石灰岩粉砕物100質量部に対して0.70質量部であった。
次いで、湿式粉砕装置(製品名:アトライタ、三井鉱山社製)を用いて、スラリーを湿式粉砕して、ブレーン比表面積が21,000cm2/gの石灰岩微粉砕物を含むスラリーを得た。
次に、スラリーに、浮選剤として、高級アルコール系脱墨剤である「DI−7020(商品名)」(花王社製)を添加して、10分間、撹拌して混合した。この脱墨剤の添加量は、スラリー1リットル当たり0.02ミリリットルであった。
浮選剤の添加後のスラリーの粘度を、粘度計(商品名:デジタル粘度計、型式:DV−1+、ブルックフィールド社製)を用いて、JIS Z8803に準拠して測定した。その結果、粘度は70mPa・sであった。
得られたスラリーを、浮遊選鉱装置(太平洋セメント社の中央研究所内の試作機)内に収容し、10分間、液中に空気を供給しつつ浮遊選鉱処理を行った。処理後、沈鉱を回収して、乾燥させ、炭酸カルシウムを主成分とする粉末(炭酸カルシウム含有粉末)を得た。
この炭酸カルシウム含有粉末のハンター白色度及び回収率(未処理の石灰岩に対する質量割合)は、表1に示すとおりであった。
分散剤の添加量を変えたこと以外は実施例1と同様にして実験を行った。
結果を表1に示す。実施例1〜7では、分散剤を用いているため、石灰岩微粉末のブレーン比表面積が21,000cm2/gで、かつスラリーの濃度が50質量%であっても、浮遊選鉱を安定的に行なうことができ、しかも、浮鉱に関し、高い白色度及び高い回収率を得ることができた。一方、比較例1では、分散剤を用いていないため、浮遊選鉱を安定的に行なうことができず、実験の途中で浮遊選鉱処理を中断せざるを得なかった。
灰色結晶質石灰岩の破砕物(粒径:30mm以下)を、スタンプミルおよびボールミルによって粉砕して、ブレーン比表面積が11,000cm2/gである石灰岩粉砕物を得た。この石灰岩粉砕物について、ハンター白色度計(商品名:NW−1、マイセック社製)を用いて、JIS P8123に準拠して、ハンター白色度を測定した。その結果、ハンター白色度は、92.1であった。
次いで、石灰岩粉砕物と水を撹拌翼付の混合槽内に投入し、5分間撹拌して混合し、スラリーを得た。この際、石灰岩粉砕物と水との合計量中の石灰岩粉砕物の割合(スラリーの濃度)は、75質量%に調整した。
次に、この混合槽内に、分散剤として、「アロンT−50(商品名)」(東亞合成社製)を投入し、5分間撹拌して混合した。この分散剤は、固形分含量が41〜45質量%の液状のものである。また、分散剤の添加量(液状の量)は、石灰岩粉砕物100質量部に対して1.10質量部であった。
次いで、湿式粉砕装置(製品名:アトライタ、三井鉱山社製)を用いて、スラリーを湿式粉砕して、ブレーン比表面積が21,000cm2/gの石灰岩微粉砕物を含むスラリーを得た。
次に、得られたスラリーに、浮選剤として、高級アルコール系脱墨剤である「DI−7020(商品名)」(花王社製)を添加して、10分間、撹拌して混合した。この脱墨剤の添加量は、スラリー1リットル当たり0.02ミリリットルであった。
浮選剤の添加後のスラリーの粘度を、実施例1と同様にして測定した。その結果、粘度は60mPa・sであった。
得られたスラリーを、浮遊選鉱装置(太平洋セメント社の中央研究所内の試作機)内に収容し、10分間、液中に空気を供給しつつ浮遊選鉱処理を行った。処理後、沈鉱を回収して乾燥させ、炭酸カルシウム含有粉末を得た。
この炭酸カルシウム含有粉末のハンター白色度及び回収率は、表2に示すとおりであった。
分散剤の添加量を変えたこと以外は実施例8と同様にして実験を行った。
結果を表2に示す。実施例8〜10では、分散剤を用いているため、石灰岩微粉末のブレーン比表面積が21,000cm2/gで、かつスラリーの濃度が75質量%であっても、浮遊選鉱を安定的に行なうことができ、しかも、浮鉱に関し、高い白色度及び高い回収率を得ることができた。
2 スラリー調製槽(混合槽)
3 湿式粉砕手段
4 浮選剤添加槽(混合槽)
5 浮遊選鉱装置
Claims (6)
- (A)炭素分を不純物として含む石灰岩を乾式粉砕して、石灰岩粉砕物を得る乾式粉砕工程と、
(B)工程(A)で得た石灰岩粉砕物と、水と、分散剤を混合して、スラリーを得るスラリー調製工程と、
(C)工程(B)で得たスラリーを湿式粉砕して、石灰岩微粉砕物を含むスラリーを得る湿式粉砕工程と、
(D)工程(C)で得たスラリーと、浮選剤を混合して、浮選剤を含むスラリーを得る浮選剤添加工程と、
(E)工程(D)で得たスラリーを浮選選鉱処理して、炭素分を含む浮鉱と、炭酸カルシウムを含む沈鉱を得る浮遊選鉱処理工程と、
を含むことを特徴とする石灰岩の不純物除去方法。 - 工程(B)において、石灰岩粉砕物と水との合計量中の石灰岩粉砕物の割合を40〜85質量%に調整する請求項1に記載の石灰岩の不純物除去方法。
- 工程(A)において、上記石灰岩粉砕物のブレーン比表面積を16,000cm2/g未満に調整し、かつ、工程(C)において、上記石灰岩微粉砕物のブレーン比表面積を16,000cm2/g以上に調整する請求項1又は2に記載の石灰岩の不純物除去方法。
- 工程(B)において、上記分散剤としてポリカルボン酸系分散剤またはポリアクリル酸系分散剤を用いる請求項1〜3のいずれかに記載の石灰岩の不純物除去方法。
- 工程(D)において、上記浮選剤としてアルコール系脱墨剤を用いる請求項1〜4のいずれかに記載の石灰岩の不純物除去方法。
- 炭素分を不純物として含む石灰岩を乾式粉砕して、石灰岩粉砕物を得るための乾式粉砕手段と、
上記石灰岩粉砕物と、水と、分散剤を混合して、スラリーを得るためのスラリー調製槽と、
上記スラリーを湿式粉砕して、石灰岩微粉砕物を含むスラリーを得るための湿式粉砕手段と、
上記石灰岩微粉末を含むスラリーと浮選剤を混合して、浮選剤を含むスラリーを得るための浮選剤添加槽と、
上記浮選剤を含むスラリーを浮遊選鉱処理して、炭素分を含む浮鉱と、炭酸カルシウムを含む沈鉱を得るための浮遊選鉱装置と、
を含むことを特徴とする石灰岩の不純物除去システム。
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