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JP2010524467A - 規定の糖タンパク質産物および関連の方法 - Google Patents

規定の糖タンパク質産物および関連の方法 Download PDF

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JP2010524467A JP2010504189A JP2010504189A JP2010524467A JP 2010524467 A JP2010524467 A JP 2010524467A JP 2010504189 A JP2010504189 A JP 2010504189A JP 2010504189 A JP2010504189 A JP 2010504189A JP 2010524467 A JP2010524467 A JP 2010524467A
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ドロタ エー. ブリク,
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ラジェーブ チラクル,
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Abstract

本発明は、規定の特性を備える糖タンパク質産物を製造するための方法、データベースおよびシステムを提供するものである。本明細書に開示の方法は、規定のグリカン構造および/または規定のグリカンによる機能的特性を備える糖タンパク質を製造できるようにするものである。方法によっては、製造パラメータと所望のグリカン特性との間の相関を含むデータベースの使用に頼っている。このデータベースは、製造プロトコルに取り入れるための製造パラメータを提供できるものである。この方法は、設計された糖タンパク質あるいは、広義には規定のグリカン特性を備える糖タンパク質を製造できるようにするものである。

Description

本出願は、本明細書に援用する、2007年4月16日に出願された60/912,102号の優先権の利益を主張するものである。
本発明は、糖タンパク質産物および関連の方法(参照糖タンパク質産物の製造方法、規定の物理的および機能的特性を備える糖タンパク質産物を製造するためのプロセスの設計方法など)に関する。
現在使われている多くの医薬品が「小分子医薬品」である。これらの医薬品は、合成誘導される単純な化学構造として存在する。活性成分は通常、同質の製品として存在する。これらの小分子医薬品ならびにその調製物は、化学的に特性決定可能であり、通常は比較的単純な化学合成によって容易に製造される。
複雑さの点で、典型的な糖タンパク質産物は代表的な小分子医薬品とは実質的に異なる。糖タンパク質のアミノ酸骨格に結合した糖構造には、配列、分岐、糖含有量、不均一性をはじめとして、構造的にみて多くの違いが考えられる。このため、糖タンパク質産物は、それ自体が複雑なグリカン構造を有する多くの構造的に異なる分子が複雑に混ざりあった、不均一混合物になる場合がある。グリコシル化によって、分子の構造的な複雑さが増すばかりでなく、糖タンパク質の生物学的属性や化学的属性の多くに影響がおよんだり、これが調節されたりする。
既存の医薬品に対するジェネリック医薬品を製造する場合であるか、特性を改善した、あるいは望ましい特性を有する第2世代または他の糖タンパク質を製造する場合であるかを問わず、複雑な化学構造やそれを含有する混合物を理解して合成するのが難しいことから、規定の特性を備える糖タンパク質医薬品の作製は、これまで科学的に難易度の高いものであった。
ジェネリック製品の製造まわりの現状から、規定の特性を備える糖タンパク質医薬品の製造にあたって生じる問題が見てとれる。ジェネリックな医薬品製品に対しては簡潔な調整手順が採用されてはいるが、バイオテクノロジーや製薬産業に従事する人々の多くは、複雑さがゆえに生物由来物質には同様の手法は向かないという考え方をしてきた。
糖タンパク質の製造方法
本明細書に開示の方法は、規定のグリカン構造および/または規定のグリカンによる機能的特性を備える糖タンパク質を製造できるようにするものである。方法によっては、製造パラメータと所望のグリカン特性との間の相関を含むデータベースの使用に頼っている。このデータベースは、製造プロトコルに取り入れるための製造パラメータを提供できるものである。この方法は、設計された糖タンパク質あるいは、広義には規定のグリカン特性を備える糖タンパク質を製造できるようにするものである。
したがって、一態様において、本発明は、
i)複数のグリカン特性の各々を、1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせの相関関数として相関させ、規定し、同定し、関連付け、あるいは提供するデータベースを提供するステップと、
ii)一次糖タンパク質産物のグリカン特性などの標的グリカン特性を同定するステップと、
iii)標的グリカン特性と相関した1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせをデータベースから選択するステップと、
iv)選択された製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせを、糖タンパク質産物を製造するためのプロセスに適用するステップと、を含み、
これによって糖タンパク質産物を製造する、糖タンパク質産物を製造するための方法を特徴とするものである。
詳細については本明細書の他の部分で説明するように、本明細書に開示の方法、データベースおよびシステムは、製造パラメータと、この製造パラメータで調整するグリカン特性との間のさまざまなタイプの相関を含むまたは使用することができる。これらを相関関数と呼ぶ。糖タンパク質の製造は複雑なプロセスであり、データベースに格納された相関にこれを反映させることが可能である。相関関数の例として、非線形相関関数があげられる。非線形相関には、製造パラメータとグリカン特性との間の関係を反映させることが可能であり、この場合、一緒に作用する2つ(またはそれよりも多く)の製造パラメータがグリカン特性に対しておよぼす影響は、グリカン特性に対する第1の製造パラメータ(単独で作用)と第2の製造パラメータ(単独で作用)がグリカン特性に対しておよぼす影響を組み合わせたものと同一ではない。これを本明細書で用いる表記法で次のように表すことが可能である。
X1→Y1;X2→Y2;X1+X2≠→Y1+Y2、たとえばX1+X2→Y3。
本明細書に記載の方法、データベースおよびシステムにおいて有用な他のタイプの相関関数としては、制約付き相関関数、多面的相関関数、チューニング可能な相関関数があげられる。簡単に説明すると、制約つき相関関数は、糖タンパク質合成の複雑さを反映し、矛盾するまたは望ましくない組み合わせまたは製造パラメータまたはグリカン特性によって特性決定される関係を表すことができる。たとえば、ある製造パラメータの組み合わせが、望ましくないグリカン特性につながることから制約付きとなる場合がある。多面的相関関数は、1つ以上の製造パラメータがグリカンの異なる特徴に対しておよぼす多様な影響を反映させることができる。チューニング可能な関数は、大きさが異なる入力などの複数の入力と、大きさが異なるなどの複数の出力を許容する関数である。これは、製造パラメータを調節することで、グリカン特性の調節を許容することが可能である。これらの相関関数および他の相関関数の詳細については後述する。
したがって、一実施形態では、データベースが、10またはそれよりも多く、たとえば、20、25、50、100、150、200、300、350、400、500、600、700、800、900またはそれよりも多くのチューニング可能な相関、非線形相関、多面的相関または制約つき相関を含む。一実施形態では、選択された製造パラメータが、チューニング可能な相関、非線形相関、多面的相関または制約つき相関と関連している。
一実施形態では、製造パラメータX1とグリカン特性Y1およびグリカン特性Y2との相関関数によって第1の製造パラメータX1を選択し、X1がY2に対しておよぼす影響を修正するために第2の製造パラメータX2を選択する。
もうひとつの態様では、本発明は、
a)任意に、選択された製造パラメータを提供し、
b)選択された製造パラメータを取り入れた細胞培養系などの産生系を提供し、
c)糖タンパク質産物の産生を可能にする条件下に前記システムを維持することを含み、
これによって糖タンパク質産物を製造する方法であって、選択された製造パラメータは、たとえば、
i)複数のグリカン特性の各々を、1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせの相関関数として相関させ、規定し、同定し、関連付け、あるいは提供するデータベースを提供し、
ii)一次糖タンパク質産物のグリカン特性などの標的グリカン特性を同定し、
iii)標的グリカン特性と相関した1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせをデータベースから選択するなどの本明細書に記載の方法によって同定されたものである、糖タンパク質産物を製造するための方法を特徴とするものである。
一実施形態では、選択された製造パラメータが、
一次糖タンパク質を選択し、
たとえば酵素消化によって参照糖タンパク質からグリカンを放出し、任意に、放出されたグリカンを分離するなどして、一次糖タンパク質などの参照糖タンパク質でのグリカン構造を示すグリカンパターンを提供し、たとえば1つ以上のグリカン特性を表す画分またはピークを産生し、
グリカン特性を選択し、
標的グリカン特性と相関した1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせをデータベースから選択することによって同定されたまたは同定されるものである。
一実施形態では、選択された製造パラメータを提供することが、別の事業体からパラメータのアイデンティティを受け取ることを含む。一実施形態では、第1の事業体が、a)、b)、c)のうちの1つ以上を実施し、第2の事業体が、ステップi)、ii)、iii)のうちの1つ以上を実施して、選択されたパラメータのアイデンティティを第1の事業体に送信する。よって、本明細書に記載の他の方法と同様に、単一の事業体がすべてのステップを実施してもよいし、1つ以上の第2の事業体による実施に必要な情報または選択を、受け取るあるいは提供を受けるようにしてもよい。
一実施形態では、データベースが、10またはそれよりも多く、たとえば、20、25、50、100、150、200、300、350、400、500、600、700、800、900またはそれよりも多くのチューニング可能な相関、非線形相関、多面的相関または制約つき相関を含む。一実施形態では、選択された製造パラメータが、チューニング可能な相関、非線形相関、多面的相関または制約つき相関と関連している。
もうひとつの態様では、本発明は、
a)一次糖タンパク質産物のグリカン特性などの標的グリカン特性を同定し、
b)
i)一次糖タンパク質産物のグリカンの特徴などの1つまたは複数のグリカン特性を同定するために一次糖タンパク質産物を任意に特性決定し、
ii)任意に、複数のグリカン特性の各々を、1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせの相関関数として相関させ、規定し、同定し、関連付け、あるいは提供するデータベースを提供し、
iii)データベースによって得られる相関に基づいて1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせを選択するなど、製造方法用に、前記標的グリカン特性の出現率と正相関した1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせを選択して選択された/される製造方法によって、1つまたは複数の標的グリカン特性を備える前記糖タンパク質産物を製造することを含む、1つまたは複数の標的グリカン特性を備える糖タンパク質産物の製造方法を特徴とするものである。
一実施形態では、データベースが、チューニング可能な相関、非線形相関、多面的相関または制約つき相関のうちの10またはそれよりも多く、たとえば、20、25、50、100、150、200、300、350、400、500、600、700、800、900またはそれよりも多くを含む。一実施形態では、選択された製造パラメータが、チューニング可能な相関、非線形相関、多面的相関または制約つき相関と関連している。
一実施形態では、この方法が、
iv)前記選択されたパラメータを用いるプロセスで、アミノ酸配列、好ましくは前記一次糖タンパク質産物のアミノ酸配列を発現させ、前記選択されたパラメータを相関のあるグリカンの特徴などの標的グリカン特性が前記アミノ酸配列に与えられたか否かを判断し、
v)別の製造パラメータを前記データベースから選択し、
vi)前記別の選択されたパラメータを用いるプロセスで、アミノ酸配列、好ましくは前記一次糖タンパク質産物のアミノ酸配列を発現させ、前記別の選択されたパラメータと相関するグリカンの特徴などのグリカン特性が前記アミノ酸配列に含まれているか否かを判断し、
vii)任意に、ステップvおよびviを1回、2回、3回またはそれよりも多くの回数繰り返すステップのうち、1つ以上をさらに含む。
もうひとつの態様では、本発明は、
i)前記糖タンパク質産物のグリカンの特徴などの1つまたは複数の必要なグリカン特性を同定し、
ii)前記1つまたは複数の必要なグリカン特性を提供する1つ以上の製造パラメータを同定し、
iii)少なくとも2つ、3つ、4つまたは5つの製造パラメータを逐次選択して、必要なグリカン特性または特徴を提供することによって選択されるプロセスによって糖タンパク質を製造することを含み、前記製造パラメータが、細胞アイデンティティ、細胞培養条件、発酵条件、単離条件、製剤条件、これらの組み合わせからなる群から選択可能である、糖タンパク質産物を製造するための方法を特徴とするものである。
本明細書に記載の方法では、実施形態をコンピュータで実現可能である。他の実施形態では、この方法は、頼っているデータベースがコンピュータで実現されないなど、コンピュータで実現されないものである。実施形態は、選択された製造パラメータまたはグリカンの特徴を表示、出力または記憶(memorialize)することを含み得る。
製造プロトコルの設計方法
本明細書に開示の方法は、糖タンパク質を製造するためのプロトコルの設計または条件の選択を可能にするものである。この方法は、製造パラメータの選択肢を許容するものであり、糖タンパク質を製造するためのプロトコルに取り入れると、あらかじめ選択されたグリカン構造および/またはグリカンによる機能的特性が糖タンパク質に取り入れられる。
もうひとつの態様では、本発明は、
製造パラメータを選択し、
前記製造パラメータに関連した、糖タンパク質の特徴などの糖タンパク質の特性を同定し、
任意に、前記同定した糖タンパク質の特性を表示、出力または記憶することを含む、コンピュータで実現される方法などの方法を特徴とするものである。
もうひとつの態様では、本発明は、
糖タンパク質の特徴などの糖タンパク質の特性を選択し、
前記糖タンパク質の特性に関連した製造パラメータを同定し、
任意に、前記同定した製造パラメータを表示、出力または記憶することを含む、コンピュータで実現される方法などの方法を特徴とするものである。
もうひとつの態様では、本発明は、糖タンパク質産物を製造するためのプロセスを設計する、あるいは、糖タンパク質産物を製造するためのプロセスの要素を選択するための方法であって、
a)複数のグリカン特性の各々を、1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせの相関関数として相関させ、規定し、同定し、関連付け、あるいは提供するデータベースを提供するステップと、
b)一次糖タンパク質産物のグリカン特性などの標的グリカン特性を同定するステップと、
c)標的グリカン特性と相関した1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせをデータベースから選択するステップと、を含み、
これによって糖タンパク質産物を製造するためのプロセスを設計する方法を特徴とするものである。
もうひとつの態様では、本発明は、糖タンパク質産物を製造するためのプロセスの要素を作成または選択するためのプロセスを設計する方法であって、
a)一次糖タンパク質産物のグリカン特性などの標的グリカン特性を同定し、
b)前記一次糖タンパク質産物のグリカンの特徴などの1つまたは複数のグリカン特性を同定するために一次糖タンパク質産物を任意に特性決定し、
c)複数のグリカン特性の各々を、1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせの相関関数として相関させ、規定し、同定し、関連付け、あるいは提供するデータベースを提供し、
d)データベースによって得られる相関に基づいて1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせを選択するなど、製造方法用に、前記標的グリカン特性の出現率と正相関した1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせを選択することを含み、
これによって、糖タンパク質産物を製造するためのプロセスの要素を作成または選択するためのプロセスを設計する、方法を特徴とするものである。
もうひとつの態様では、本発明は、糖タンパク質産物を製造するためのプロセスの要素を作成または選択するためのプロセスを設計する方法であって、
i)前記糖タンパク質産物の1つまたは複数の必要なグリカンの特徴を同定し、
ii)前記1つまたは複数の必要なグリカンの特徴を提供する1つ以上の製造パラメータを同定し、
iii)少なくとも2つ、3つ、4つまたは5つの製造パラメータを逐次選択して、必要なグリカンの特徴を提供することを含み、前記製造パラメータが、細胞アイデンティティ、細胞培養条件、発酵条件、単離条件、製剤条件、これらの組み合わせからなる群から選択される、方法を特徴とするものである。
本明細書に記載の方法の一実施形態では、データベースに、チューニング可能な相関、非線形相関、多面的相関または制約つき相関のうちの1つ以上を含み得る。一実施形態では、選択された製造パラメータが、チューニング可能な相関、非線形相関、多面的相関、制約つき相関と関連している。
本明細書に記載の方法では、実施形態をコンピュータで実現可能である。他の実施形態では、この方法は、頼っているデータベースがコンピュータで実現されないなど、コンピュータで実現されないものである。実施形態は、選択された製造パラメータまたはグリカンの特徴を表示、出力または記憶することを含み得る。
糖タンパク質産生の制御と監視
本明細書に記載の方法、データベースおよびシステムを、品質制御または製造監視などの方法をはじめとする多岐にわたる用途に利用することができる。本明細書に開示の方法を使用して、規定のプロセスによって製造される糖タンパク質を監視することができる。たとえば、糖タンパク質を分析し、必要なグリカン(gycan)特性を備えていないことが分かったら、本明細書に記載の方法を使用して、必要なグリカン特性を備える糖タンパク質を産生するようプロセスをチューニングまたは変更する目的で、製造プロセスの変動を選択することができる。
したがって、本発明は、
a)所定の製造プロセスで製造された、糖タンパク質から観察されたグリカンの特徴を提供し、
b)観察されたグリカンの特徴と参照値との比較を提供し、
c)観察された値が閾値レベルを超えて参照値と異なる場合、本明細書に記載のデータベースを使用するなど、本明細書に記載の方法によって製造パラメータの値を選択し、
d)任意に、前記所定の製造プロセスで製造パラメータXの値を変更して、変更後の製造プロセスを提供することを含み、
これによって糖タンパク質の産生を監視および/または制御する、糖タンパク質の産生を監視および/または制御する方法を特徴とするものである。
一実施形態では、この方法は、)変更後の製造プロセスによって製造される糖タンパク質から観察されたグリカンの特徴を提供し、これを本明細書に記載されているように評価するステップをさらに含む。実施形態において、変更後の製造プロセスで製造した糖タンパク質について、ステップb)、c)およびd)を繰り返す。
一実施形態では、所定の間隔などで、この方法を繰り返す。
一実施形態では、製造パラメータの値を選択することが、
i)複数のグリカン特性の各々を、1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせの相関関数として相関させ、規定し、同定し、関連付け、あるいは提供するデータベースを提供し、
ii)任意に、標的グリカン特性を同定し、
iii)参照グリカン特性の方向に観察されたグリカン特性をシフトさせる1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせをデータベースから選択することを含む。
一実施形態では、酵素消化などで糖タンパク質からグリカンを放出し、任意に、放出されたグリカンを分離するなどして、たとえば1つ以上のグリカン特性を表す画分またはピークを産生することによって、あらかじめ選択された製造プロセスで製造された糖タンパク質でのグリカン構造を表すグリカンパターンを提供することで、観察されたグリカン特性を判断した、あるいは判断する。
一実施形態では、酵素消化などで糖タンパク質からグリカンを放出し、任意に、放出されたグリカンを分離するなどして、たとえば1つ以上のグリカンの特徴を表す画分またはピークを産生することによって、あらかじめ選択されたプロセスの早い段階での別の実施あるいは、変更後の製造プロセスなどの異なる製造プロセスなどによって、あらかじめ選択された製造プロセスで製造された糖タンパク質でのグリカン構造を表すグリカンパターンを提供することで、参照グリカンの特徴を判断した、あるいは判断する。
一実施形態では、データベースが、少なくともチューニング可能な相関、非線形相関、多面的相関または制約つき相関のうちの1つ以上を含む。一実施形態では、選択された製造パラメータが、チューニング可能な相関、非線形相関、多面的相関または制約つき相関と関連している。
データベース
このセクションは、本発明のデータベースの態様および要素について説明するものである。これらを本明細書に記載の方法およびシステムと任意に組み合わせることが可能である。
したがって、もうひとつの態様では、本発明は、本明細書に記載のシステムの方法で有用なデータベースなど、本明細書に記載のデータベースを特徴とするものである
一実施形態では、このデータベースは、有形媒体に格納される;単一のコンピュータ上または単一の紙の文書など、有形媒体の単一ユニットに記入される;一部が紙の文書、一部がコンピュータ読み取り可能な媒体で、2以上のコンピュータ上、2以上の単一の紙の文書など、有形媒体の2以上のユニットで提供される;コンピュータ読み取り可能な媒体に格納される;印刷された文書、図、表またはカードカタログなど、コンピュータを使わずに人間が読み取り可能な紙などの従来の媒体に記入される。
一実施形態では、データベースの各要素が、同一の箇所、コンピュータ、メモリまたは場所に記憶されない。このデータベースはコンピュータによるアクセスを可能にするように構成される。
一実施形態では、データベースが複数の記録を含み、記録は、
製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせの識別子と、
グリカンによって調整された機能的特性などのグリカン(glcyan)特性またはグリカンの特徴(すなわち構造的な特徴)の識別子と、
たとえば、一方を他方に相関させ、規定し、同定し、関連付け、あるいは提供する、製造パラメータ(または組み合わせ)とグリカン特性との相関関数と、を含む。
一実施形態では、相関が、正相関または負相関である;実証的検定または予測によって確立された、あるいは確立可能である;正相関、負相関または相関なしなど定性的である;正相関を一連のスコアの次第に高くなる相関として表現できるなど、定量的である;たとえば別の方法同様に、多少なりとも、どのくらいの量で、多少なりとも特定のグリカンの特徴をタンパク質に与えやすい、絶対項または標準に対する相対物で表される。
システム
このセクションは、本明細書に記載の方法およびデータベースを実現するのに有用なシステムの態様および要素について説明するものである。
したがって、もうひとつの態様では、本発明は、
入力された糖タンパク質特性に基づいて製造パラメータを選択するか、あるいは入力された製造パラメータに基づいて糖タンパク質特性を選択するためのセレクタを含むシステムを特徴とするものである。
一実施形態では、このシステムは、
複数のグリカン特性の各々を、1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせの相関関数として相関させ、規定し、同定し、関連付け、あるいは提供するデータベースなど、本明細書に記載のデータベースと、
クエリを入力するためのユーザインタフェースと、
クエリ結果を生成するためのプロセッサと、を含む。
一実施形態では、システムが、あらかじめ選択されたグリカン特性を備える標的糖タンパク質産物を製造し、たとえばあらかじめ選択されたグリカン特性を備える糖タンパク質を製造する方法で用いられる製造パラメータを選択するためのプロセスの設計を可能にするよう構成される。
一実施形態では、前記クエリが、たとえば標的糖タンパク質産物の選択されたグリカン特性に基づくものであり、前記クエリ結果が、選択されたグリカン特性と相関するデータベースからの1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせを含む。
一実施形態では、前記クエリが、選択されたグリカン特性と相関するデータベースからの1つ以上の製造パラメータに基づくものであり、前記クエリ結果が、前記製造パラメータと相関するグリカン特性に基づくものである。
一実施形態では、前記ユーザインタフェースが、所望のグリカン特性の入力を可能にするよう構成され、前記プロセッサが、相関した製造パラメータに基づいてクエリ結果の出力を可能にするよう構成される。
一実施形態では、前記ユーザインタフェースが、所望の製造パラメータの入力を可能にするよう構成され、前記プロセッサが、相関したグリカン特性に基づいてクエリ結果の出力を可能にするよう構成される。
一実施形態では、前記システムが、Xの1つ以上の値の入力と、Yの1つ以上の値のクエリ結果などの出力を可能にするよう構成され、前記データベースにおける相関関数が、XをYに関連付け、Xは製造パラメータに関連する要素の値であり、Yはグリカン特性に関連する要素の値であり、前記システムはXの値を調節してYの値を選択または同定するよう構成されている。
一実施形態では、前記システムが、Yの1つ以上の値の入力と、Xの1つ以上の値の出力を可能にするよう構成され、前記データベースにおける相関関数が、XをYに関連付け、Xは製造パラメータに関連する要素の値であり、Yはグリカン特性に関連する要素の値であり、このシステムはYの値を調節してXの値を選択または同定するよう構成されている。
一実施形態では、製造パラメータ1が入力設定(または値)X1についてチューニング可能であり、Y1の出力または設定(または値)がX1の設定(または値)に応じて変化し、製造パラメータ2が入力設定(または値)X2についてチューニング可能であり、Y2の出力または設定(または値)がX2の設定(または値)に応じて変化する。
一実施形態では、X1およびX2またはY1およびY2の値または設定のいくつかの組み合わせが整合せず、Y1とY2の有効な組み合わせの可能性の総数または解空間が、Y1の可能性の数とY2の可能性の数の積未満である(あるいはX1X2で同様の状況である)。
一実施形態では、たとえば、どういうわけだか組み合わせることができない添加物の濃度または添加物と細胞の組み合わせなど、不整合によってX1とX2の組み合わせに解空間に対する制約が生じる。
一実施形態では、Y1とY2の組み合わせが合成的または構造的に不可能であるか、細胞培養物に対する毒性または糖タンパク質の不要な特性が発生するがゆえに、解空間に制約が生じる。
一実施形態では、相関関数が、無効な組み合わせに対応するヌル出力または信号を生成する。
一実施形態では、前記システムが、X1X2またはY1Y2の禁止された組み合わせまたは無効な組み合わせを同定し、これを標識するか出力から除去するフィルタを使って構成される。
一実施形態では、パラメータX2の値の選択を、少なくとも一部はX1で選択した値に基づいておこなう。
一実施形態では、システムがコンピュータで実現される。
一実施形態では、システムがコンピュータで実現されない。
一実施形態では、システムは、チューニング可能な相関、非線形相関、多面的相関または制約つき相関である相関関数を含む。
相関関数
本明細書に記載の方法、システムおよびデータベースのいくつかは、相関関数を特徴とするものである。以下のセクションは、さらに詳細、特定の実施形態および相関関数の選択肢を提供するものである。これは限定的なものではなく、むしろ例示である。これを、本明細書に記載の方法、データベースまたはシステムに任意に取り入れてもよい。
チューニング可能な相関関数
チューニング可能な関数は、大きさが異なる入力などの複数の入力と、大きさが異なるなどの複数の出力を許容する。これは、製造パラメータを調節することで、グリカン特性の調節を許容することが可能である。よって、実施形態では、相関関数がチューニング可能な関数である。一例として、相関関数はXをYと関連付け、ここでXは製造パラメータに関連する要素の値、Yはグリカン特性に関連する要素の値であり、Xの値を調節してYの値を選択または同定するか、Yの値を調節してXの値を選択または同定する。一例として、Xは、添加物の濃度の値、副生物の値、物理パラメータの値、時間の値、細胞型の値、コピー数の遺伝子発現レベルの値、これらの事例の1つ以上において、Yすなわち糖タンパク質のグリカン構造の量のうちのいずれであってもよい。
一実施形態では、製造パラメータ1が入力設定(または値)X1についてチューニング可能であり、Y1の出力または設定(または値)がX1の設定(または値)に応じて変化し、製造パラメータ2が入力設定(または値)X2についてチューニング可能であり、Y2の出力または設定(または値)がX2の設定(または値)に応じて変化する。いくつかの実施形態では、X1およびX2またはY1およびY2の値または設定のいくつかの組み合わせが整合せず、Y1とY2の有効な組み合わせの可能性の総数または解空間が、Y1の可能性の数とY2の可能性の数の積未満である(あるいはX1X2で同様の状況である)。
いくつかの実施形態では、たとえば、どういうわけだか組み合わせることができない添加物の濃度または添加物と細胞の組み合わせなど、不整合によってX1とX2の組み合わせに解空間に対する制約が生じる。
いくつかの実施形態ではY1とY2の組み合わせが合成的または構造的に不可能であるか、細胞培養物に対する毒性または糖タンパク質の不要な特性が発生するがゆえに、解空間に制約が生じる。いくつかの実施形態では、相関関数が、無効な組み合わせに対応するヌル出力または信号を生成する。
非線形相関関数
非線形相関には、製造パラメータとグリカン特性との間の関係を反映させることが可能であり、この場合、一緒に作用する2つ(またはそれよりも多く)の製造パラメータがグリカン特性に対しておよぼす影響は、グリカン特性に対する第1の製造パラメータ(単独で作用)と第2の製造パラメータ(単独で作用)がグリカン特性に対しておよぼす影響を組み合わせたものと同一ではない。これを本明細書で用いる表記法で、「X1,X2−Y1≠X1−Y1+X2−Y1」と表すことが可能である。
いくつかの実施形態では、相関関数が、製造パラメータの2以上の値の値(X1、X2など)を、Yなどの1つ以上のグリカン特性に関連付け、ここで、X1とX2の組み合わせなどの組み合わせがYに対しておよぼす影響は非線形である。製造パラメータX1およびX2(一緒に作用)などの一緒に作用する複数の製造パラメータが、Yなどの1つ以上のグリカン特性に対しておよぼす影響がX1(単独で作用)がYに対しておよぼす影響とX2(単独で作用)がYに対しておよぼす影響の組み合わせと同一でない場合に、相関は非線形である。一例として、グルコサミン(X1)を加えるとガラクトシル化(Y1)が減少し、フコシル化(Y2)が減少し、高マンノース構造(Y3)が増加し、ハイブリッド構造(Y4)も増加する。ウリジン(X2)を加えると高マンノース構造(Y3)が減少するが、他のグリカン特性(Y1、Y2およびY4)には何ら変化がない。グルコサミン(X1)とウリジン(X2)を組み合わせると、4つのパラメータY1、Y2、Y3、Y4のいずれも変化しない。よって、X1、X2とY1との間の相関関数は非線形である。同様に、X1、X2とY2との間の相関関数も非線形であり、X1、X2とY4との間の相関関数も非線形である。いくつかの実施形態では、一緒になると非線形である単一のX相関についても、個々に非線形になると考えられる。たとえば、一例として、グルコサミン(X1)とガラクトシル化(Y1)との相関、グルコサミン(X1)とフコシル化(Y2)との相関、グルコサミン(X1)とハイブリッド構造(Y4)との相関はいずれも非線形である。同様に、ウリジン(X2)とガラクトシル化(Y1)との相関、ウリジン(X2)とフコシル化(Y2)との相関、ウリジン(X2)とハイブリッド構造(Y4)との相関も、いくつかの実施形態で非線形相関であると考えられる。
制約つき相関関数
制約つき相関関数は、糖タンパク質合成の複雑さを反映し、矛盾するまたは望ましくない組み合わせまたは製造パラメータまたはグリカン特性によって特性決定される関係を表すことができる。たとえば、ある製造パラメータの組み合わせが、望ましくないグリカン特性につながることから制約付きとなる場合がある。いくつかの実施形態では、相関関数は、第1の製造パラメータX1の値を、一番から第1のグリカン特性Y1の値と関連付けるが、X1によって変化される第2などの別のグリカン特性Y2と、第1の製造パラメータと一緒に使用可能な第2などの別の製造パラメータX2のいずれか一方または両方も同定して、第2のグリカン特性Y2に対する全体としての影響をたとえば調節、たとえば最小限に抑える。この相関を制約付き製造パラメータと呼ぶ。なぜなら、グリカン特性Y2への不要な影響を回避するために、X1を使用するのならばX2も使用する必要があるからである。実施形態において、第1の製造パラメータの選択が第2の製造パラメータの選択に対する制約となることがあり、第2のパラメータを第1のパラメータと組み合わせる(または組み合わせない)場合に、タンパク質に対するグリカン特性の付与へのたとえば正または負の影響がゆえに、特定の第2の製造パラメータの選択を多少なりとも好ましいものにする。一例として、グルコサミンX1の添加はガラクトシル化の減少と相関している。X1はまた、高マンノースの増加とも相関している。ウリジンX2を加えると、ガラクトシル化のX1による減少をなくさずに高マンノースの増加が最小限に抑えられる。ガラクトースの減少が望ましいが高マンノースの増加は望ましくないのであれば、X1は制約付きである。X1−Y1相関またはX1−Y1、Y2相関は、X1に関連してX2を考慮または変更すべき別の製造パラメータとして同定する。
多面的相関関数
多面的相関関数は、1つ以上の製造パラメータがグリカンの異なる特徴に対しておよぼす多様な影響を反映させることができる。いくつかの実施形態では、相関関数はXを複数のグリカン特性に関連付け、この関係が多面的である。たとえば、Xが製造パラメータに関連する要素の値であり、Y1およびY2(任意にY3、Y4、Y5など)が各々グリカン特性に関連する要素の値である場合、製造パラメータXは、少なくとも2つのグリカン特性に異なる影響を与える(実施形態では、これらの影響は、一方が増加または減少するなどの形で変化して他方が変化しない場合との対比で、異なる方向へのものであり、たとえば一方が増加して他方が減少する)。一例として、製造パラメータXすなわち培地へのグルコサミンの添加は、ガラクトシル化(Y1など)の減少、フコシル化(Y2など)の減少、高マンノース(Y3など)の増加、ハイブリッド構造(Y4など)の増加と相関している。
糖タンパク質の分析:別の実施形態
本明細書に記載の方法、システムおよびデータベースのうちのいくつかは、糖タンパク質産物をさらに分析するステップなどの別のステップを含むかまたはこれに関連している。これらの方法、システムおよびデータベースのいくつかの具体的な好ましい実施形態については後述する。
一実施形態では、方法は製造パラメータの前記選択された組み合わせのもとで産生される一次糖タンパク質産物のアミノ酸配列などのアミノ酸配列を分析し、これをグリカンの特徴などのあらかじめ選択されたグリカン特性の存在、不在またはレベルなどのあらかじめ選択された基準と比較することをさらに含む。たとえば、アミノ酸配列が基準との間であらかじめ選択された関係にある場合、たとえばこれが組み合わせを選択する前記基準を満たすまたはこれを満たさない。一実施形態では、方法が、糖タンパク質があらかじめ選択された関係を呈するか否かに基づいて、増殖培地を変化させるなどして、選択された組み合わせの条件を変化させることをさらに含む。
一実施形態では、方法が、選択された組み合わせのもとで産生される糖タンパク質を分析し、これをグリカン構造などのあらかじめ選択されたグリカン特性を備えるなどのあらかじめ選択された基準と比較することをさらに含む。たとえば、糖タンパク質が前記あらかじめ選択された基準との間であらかじめ選択された関係にある場合、たとえばこれは前記基準を満たすまたは満たさず、この方法は、もうひとつのパラメータを変えるなどの成長培地の変更など、さらに分析するために上記の組み合わせによって産生される糖タンパク質または組み合わせを選択することを含む。
一実施形態では、方法が、製造方法によって製造した糖タンパク質産物を試験して、あらかじめ選択された化学的、生物学的または薬物動態学的特性が備わっているか否かを調べることをさらに含む。たとえば、この方法は、製造プロセスによって製造される糖タンパク質のあらかじめ選択された化学的、生物学的または薬物動態学的または薬力学的特性を、あらかじめ選択された標準と比較し、前記糖タンパク質産物の値があらかじめ選択された標準との間であらかじめ選択された関係にある場合、前記糖タンパク質産物を選択することを含み得るものである。
一実施形態では、糖タンパク質産物の特性を一次糖タンパク質産物の特性と比較する。
本明細書に記載の方法の実施形態は、一次糖タンパク質産物などの糖タンパク質産物を、グリカンの特徴などのグリカン特性について分析することを含む。この分析は、製造パラメータを選択する目的あるいは糖タンパク質を製造する際のガイドとして使用可能なものである。分析は、グリカン構造を糖タンパク質から放出することによって得られる情報に基づくものであってもよい。この文脈で、放出とは糖タンパク質のアミノ酸をすべてまたは少なくとも一部の放出を意味する。一例として、この方法では、完全酵素消化または部分酵素消化を使用して、単糖または大きなフラグメントなどのグリカン構造を糖タンパク質から放出することができる。放出されたグリカン構造については、たとえばグリカンパターンを提供して、これを参照グリカンパターンなどの所定の標準と比較するなどの方法で分析可能である。グリカンパターンとは、本明細書で使用する場合、1つ以上のグリカン特性の存在(または不在)を表現したものである。実施形態において、グリカンパターンによって、1つ以上のグリカン特性が定量的に判断される。定量的判断は、絶対項で、あるいは、外因的な標準などの標準の関数として、あるいはパターンの別のグリカン特性の関数として表現可能なものである。グリカンパターンの要素は、一例として、酵素消化など糖タンパク質から誘導されるグリカン構造からのピークまたは他の画分(1つ以上の種を示す)であってもよい。要素は、規定の構造的な用語などで、たとえば化学名または機能的特性または物性によって、たとえば分子量または精製や分離と関連したパラメータ、たとえばカラムまたは他の分離装置での保持時間によって、説明可能である。本明細書に記載の方法を使用して、所望のグリカン特性を備える糖タンパク質を製造することが可能である。これは、このような糖タンパク質を製造するためのプロセスまたはその産生の設計を含む。分析を使用して、糖タンパク質が選択された糖タンパク質特性を備えるか否か判断または備えることを確認することができる。一例として、本明細書に記載の方法を使用して、製造プロセスを監視および製造パラメータを選択し、選択されたグリカン特性を備えないなど、標準を満たさない産物を生み出すプロセスを改良することが可能である。
一実施形態では、方法が、分類、受け入れまたは廃棄、公開または保留、医薬品への加工、出荷、新たな場所への移動、製剤化、標識、包装、販売目的での商業圏への公開または販売のための申し出あるいは、あらかじめ選択された基準が満たされているか否かに応じて検閲または承認のために糖タンパク質産物に関する情報の第三者への提出のために、前記糖タンパク質産物を選択することをさらに含む。
一実施形態では、設計または製造方法の使用時に、設計者またはユーザが、たとえば政府の助言を求めたり、特許を商業的に列挙したりすることによって、参照糖タンパク質産物あるいは参照糖タンパク質産物の製造方法または使用方法を包含する米国特許の存在を検索している。
一実施形態では、方法が、たとえば本明細書の方法のステップiiの前に、標的糖タンパク質産物を分析して標的グリカン特性を同定するステップをさらに含む。
一実施形態では、方法が、前記選択された条件下で前記一次糖タンパク質産物のアミノ酸配列を発現させ、選択された条件が糖タンパク質の標的グリカン調整特性の存在と正相関するか否かを判断することをさらに含む。
本明細書に記載の方法のいずれも、以下のステップすなわち、
質量(たとえばSDS−PAGEまたはサイズ排除クロマトグラフィを使用)、pI、糖質含有量、ペプチドマッピング、タンパク質濃度、糖タンパク質産物の生物活性を測定するなど、糖タンパク質産物の物理化学的パラメータを評価するなど、糖タンパク質産物を評価、
糖タンパク質産物の分析証明書を提供するなど、糖タンパク質産物の1つ以上のパラメータの評価を記録し、
たとえばエンドトキシン含有量、滅菌試験、マイコプラズマ含有量、浸出液、宿主(CHOなど)細胞DNAまたはタンパク質汚染物質を含むがこれに限定されるものではない、糖タンパク質またはその細胞培養物のプロセス汚染物質を評価し、
糖タンパク質またはその細胞培養物のプロセス汚染物質を記録し、
産生pH、細胞生存度、産生、力価、収率、倍加時間、DOおよび温度を含むがこれに限定されるものではない、糖タンパク質細胞培養プロセスパラメータを測定し、
細胞培養物プロセスパラメータを記録し、
原材料ソースおよび材料のロット番号を含むプロセス培地成分を評価および記録し、
流量、pH、温度、収率、プロセス汚染物質、カラム容量または溶出容量を含むがこれに限定されるものではない、糖タンパク質精製プロセスパラメータを測定し、
精製プロセスパラメータを記録し、
本明細書に記載のプロセスから得られる糖タンパク質バッチのロット番号を記録することのうち1つ以上を含み得るものである。
製造パラメータおよびグリカン特性の選択:別の実施形態
本明細書に記載の方法、システムおよびデータベースのうちのいくつかは、グリカン特性または製造パラメータの選択または使用を含むかまたはこれに関連している。これらの方法、システムおよびデータベース特定の実施形態のいくつかを、以下にあげておく。
一実施形態では、たとえば、本明細書に記載の方法のステップiiiにおいて、複数の製造パラメータまたはその組み合わせを逐次的に選択する。
一実施形態では、たとえば、本明細書に記載の方法のステップiiにおいて、方法が少なくとも2つ、3つ、4つまたは5つの標的グリカン特性を同定することを含む。
一実施形態では、たとえば、本明細書に記載の方法のステップiiiにおいて、方法が製造パラメータの組み合わせを選択することを含み、この組み合わせが標的グリカン特性と相関している。
一実施形態では、たとえば、少なくとも1つまたは2つの一次製造パラメータの組み合わせ、あるいは少なくとも1つまたは2つの二次パラメータの組み合わせ、あるいは少なくとも1つの一次パラメータと1つの二次パラメータの組み合わせを選択する。
一実施形態では、製造パラメータを選択し、一次糖タンパク質産物の対応するグリカン特性とは異なる機能的特性などの標的グリカン特性を持たせる。
一実施形態では、グリカン特性が、血清半減期、受容体結合親和性または免疫原性などの糖タンパク質の機能的特性(一実施形態では、免疫原性以外)である。
一実施形態では、グリカン特性が、グリカンの特徴すなわち構造的な特性である。グリカンの特徴の例としては、化学単位の存在、不在または量;化学単位の成分(スルフェート、ホスフェート、アセテートなど)の存在、不在または量;潜在的なグリコシル化部位またはタンパク質全体での不均一性または微小不均一性、たとえば、タンパク質の潜在的なグリコシル化部位の占有の度合い(糖タンパク質産物における2つ以上の特定のタンパク質骨格の同一の潜在的なグリコシル化部位の占有の度合いと、同一のタンパク質骨格の異なる潜在的なグリコシル化部位に対するタンパク質骨格の1つの潜在的なグリコシル化部位の占有の度合いとの間など);分岐(二分されたGlcNAcホスホマンノース構造の存在、不在または量など)または未分岐グリカンのコア構造;グリカン構造の存在、不在または量(複合(二分岐型、三分岐型、四分岐型など)、高マンノースまたはハイブリッド型グリカン構造など);グリカン内での化学単位の相対位置(末端または最後から2番目の化学単位の存在、不在または量など);化学単位間の関係(化学単位、異性体および分岐点間の結合などがあげられる。
一実施形態では、標的グリカン特性が、ガラクトシル化、フコシル化、高マンノース、シアリル化、これらの組み合わせからなる群から選択される。
一実施形態では、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはそれよりも多くの製造パラメータを逐次的に選択し、たとえば、各々単一の製造パラメータとグリカンの特徴との相関に基づいて選択する。
一実施形態では、第1の製造パラメータの選択と第2の製造パラメータの選択との間に、選択されたグリカン特性(データベースにより第1の製造パラメータと相関したグリカンの特徴など)を一次糖タンパク質産物のアミノ酸配列などのアミノ酸配列に与える第1の製造パラメータの機能を試験する。
好ましい実施形態では、第2の製造パラメータの選択と第3の製造パラメータの選択との間に、選択されたグリカン特性(データベースにより第2の製造パラメータと相関したグリカンの特徴など)を一次糖タンパク質産物のアミノ酸配列などのアミノ酸配列に与える第2の製造パラメータの機能を試験する。
一実施形態では、製造パラメータ同士の組み合わせとグリカンの特徴などのグリカン特性との相関に基づいて製造パラメータ同士の組み合わせを選択するなど、2つ、3つ、4つまたはそれよりも多くの製造パラメータを同時に選択する。
一実施形態では、方法が、たとえばステップiiiにおいて、
i)前記第1の製造パラメータと、前記第1の製造パラメータを含むプロセスで製造されるタンパク質へのグリカンの特徴などの選択されたグリカン特性の付与との相関を含む前記データベースから、第1の製造パラメータ、たとえば一次製造パラメータ、たとえば細胞系に関連するパラメータ、プロセス変数またはバイオリアクター変数、たとえば回分、流加または灌流、精製プロセスまたは製剤化、
ii)前記二次製造パラメータと、前記第2の製造パラメータを含むプロセスで製造されるタンパク質へのグリカンの特徴などの選択されたグリカン特性の付与との相関を含む前記データベースから、第2の製造パラメータ、たとえば二次製造パラメータ、
を逐次的に選択することを含む。
一実施形態では、方法が、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの一次製造パラメータの選択を含み、これに1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの二次製造パラメータの選択が入り交じっているまたは続いている。
一実施形態では、製造方法における一ステップが、グリカンの特徴などの前記あらかじめ選択されたグリカン特性の糖タンパク質の産生に相関している製造パラメータをデータベースから選択することで決定される。
一実施形態では、前記パラメータまたはパラメータの組み合わせを糖タンパク質産物の製造方法に取り入れる場合、製造方法における一ステップが、複数の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせの各々、たとえば少なくとも2、5、10、20、30、40またはそれよりも多くのパラメータまたはパラメータの組み合わせが、グリカンの特徴などの前記あらかじめ選択されたグリカン特性を備える糖タンパク質の産生と相関しているデータベースから製造パラメータを選択することで決定される。
一実施形態では、前記一次糖タンパク質産物の対応するグリカン特性と同一または類似の機能的特性などの標的グリカン特性を与えるために製造パラメータを選択する。
一実施形態では、製造方法が、前記一次糖タンパク質産物を製造するための、刊行物に記載のある方法とは異なるものである。
一実施形態では、糖タンパク質産物に見られるグリカンの特徴をアミノ酸配列に与えることと相関あるいは、中間体であり、かつ、選択されたグリカンの特徴の発現された糖タンパク質産物の(最終的な)存在と正相関したグリカンの特徴と相関している製造パラメータを選択する。
一実施形態では、前記一次糖タンパク質産物の対応するグリカン特性とは異なる機能的特性などの標的グリカン特性を与えるように製造パラメータを選択する。
一実施形態では、方法が、糖タンパク質産物によって必要とされるグリカン特性を選択した後、本明細書に記載の方法のd)で選択されるものなどの製造パラメータを選択して、必要なグリカン特性を提供することを含む。
一実施形態では、方法が、製造パラメータ同士の組み合わせを選択することを含み、この組み合わせは標的グリカン特性と相関する。
糖タンパク質および特性の例
本明細書に記載の方法、システムおよびデータベースのいくつかは、改良された糖タンパク質産物、改良された糖タンパク質産物を製造するための方法の選択あるいは、改良された糖タンパク質産物の製造方法を含むかまたはこれに関連している。これらの方法、システムおよびデータベースのいくつかの具体的な好ましい実施形態については後述する。
一実施形態では、糖タンパク質産物が、あらかじめ選択されたグリカン特性を備える変更された(または次世代)糖タンパク質産物であり、ステップb)が、
1つまたは複数のグリカン特性を前記標的グリカン特性として選択することを含み、前記標的グリカン特性が前記一次糖タンパク質産物の対応するグリカン特性とは異なり、たとえば、受容体に対する親和性またはあらかじめ選択された部位に結合したグリカン構造の不均一性の度合いが異なる。
一実施形態では、製造方法が、前記一次糖タンパク質標的とは異なるグリカンの特徴を備える糖タンパク質産物につながる。
一実施形態では、標的グリカン特性が、一次糖タンパク質産物の血清半減期よりも長いまたは短い血清半減期である。
一実施形態では、標的グリカン特性が、一次糖タンパク質産物の血清半減期よりも長いまたは短い血清半減期である。
本明細書に記載の方法、システムおよびデータベースのうちのいくつかは、一次糖タンパク質産物の分析を含むかまたはこれに関連している。これらの方法、システムおよびデータベースのいくつかの具体的な好ましい実施形態については後述する。
一実施形態では、方法が、一次糖タンパク質産物に本明細書に記載の分析方法のうちの1つ以上を適用して、グリカンの特徴などのグリカン特性を提供して得られる情報を提供することを含む。この分析方法は、市販の一次糖タンパク質産物などの一次糖タンパク質産物の1つまたは複数の試料に適用可能である。この分析方法は、市販の一次糖タンパク質産物などの一次糖タンパク質産物の1つまたは複数の製造ロットに適用可能である。
一実施形態では、一次糖タンパク質産物と糖タンパク質産物が同一のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、一次糖タンパク質産物と糖タンパク質産物が、最大で1、2、3、4、5、10または20のアミノ酸残基だけ異なる。
一実施形態では、一次糖タンパク質産物を表Iから選択する。
データベース:別の実施形態
データベースならびに、データベースの使用を含む方法およびシステムを、本明細書に記載する。これらのデータベースのいくつかの具体的な好ましい実施形態については後述する。
好ましい実施形態では、データベースに少なくとも5、10、20、30、40、50、100、150、200、250の相関記録がある。
一実施形態では、データベースが、
第1の製造パラメータ(または製造パラメータ同士の組み合わせ)と、グリカンの特徴などの選択されたグリカン特性を前記第1のパラメータを含むプロセスで製造されるタンパク質に与えることとの相関、
第2の製造パラメータ(または製造パラメータ同士の組み合わせ)と、前記グリカンの特徴などの選択されたグリカン特性を前記第2の製造パラメータを含むプロセスで製造されるタンパク質に与えることとの相関を提供し、
データベースが、第1のパラメータと第2のパラメータとの間の選択を可能にするよう構成される。
一実施形態では、データベースが、
第1および第2の製造パラメータの組み合わせ(またはそれぞれの組み合わせ)を前記糖タンパク質産物の製造プロセスに用いることと、前記選択されたグリカンの特徴を前記組み合わせプロセスで製造されるタンパク質に与えることとの相関を提供し、
タンパク質にグリカンの特徴などの選択されたグリカン特性を加えることに関して、第1または第2の製造パラメータ(またはそれぞれの組み合わせ)を加えることで他の製造パラメータ(またはそれぞれの組み合わせ)におよぶ影響についての情報を提供できるようにする。
一実施形態では、データベースが、第1の製造パラメータ、第2の製造パラメータまたはその両方の製造パラメータを、糖タンパク質産物の産生に含むか否かを判断できるように構成される。
一実施形態では、データベースが、第1の製造パラメータの選択が第2の製造パラメータの選択に対する制約となり、第2のパラメータを第1のパラメータと組み合わせる(または組み合わせない)場合に、タンパク質に対するグリカン特性の付与へのたとえば正または負の影響がゆえに、特定の第2の製造パラメータの選択を多少なりとも好ましいものにすることを評価できるように構成される。
一実施形態では、データベースが、チューニング可能な相関、非線形相関、多面的相関または制約つき相関のうちの1つ、2つ、3つまたはすべてを含む。
一実施形態では、データベースが、
i)第1および第2の製造パラメータと、第1の選択されたグリカンの特徴を、前記第1および第2の(第3ではない)製造パラメータを含む方法によって製造されるタンパク質に与えることとの相関と、
ii)前記第1および第3の製造パラメータと前記第1の選択されたグリカンの特徴を、前記第1および第3の(前記第2ではない)製造パラメータを含む方法で製造されるタンパク質に与えることとの相関と、を含み、
(1)第1および第2の(前記第3ではない)製造パラメータを含む方法で製造されるタンパク質における、第1の選択されたグリカンの特徴の存在と(2)第1および第3であるが第2ではない製造パラメータを含む方法で製造されるタンパク質との比較を可能にし、
さらに、前記第1の選択されたグリカンの特徴の存在の最適化を理由にiの組み合わせとiiの組み合わせとの間の選択を可能にするものである。
一実施形態では、データベースが、
挿入部位、挿入のコピー数またはグリコシル化(glycoslyation)関連遺伝子が異なる複数のCHO細胞などの細胞型の変数などの第1の包括的製造パラメータの複数の種の各々とグリカンの特徴などのグリカン特性を種の使用を含む方法で製造されるタンパク質に与えることとの相関と、
細胞密度、回分プロセス、灌流プロセス、連続プロセスなどの複数の発酵条件などの発酵変数などの第2の包括的製造パラメータの複数の種の各々と、グリカンの特徴などのグリカン特性を種の使用を含む方法で製造されるタンパク質に与えることとの相関を含む。
一実施形態では、データベースが、
第1の製造パラメータの第1の種と第2の製造パラメータの第1の種との組み合わせと、グリカンの特徴などのグリカン特性を、組み合わせを含む方法で製造されるタンパク質に与えることとの相関と、
第1の製造パラメータの第2の種と第2の製造パラメータの第1または第2の種との組み合わせと、グリカンの特徴などのグリカン特性を、組み合わせを含む方法で製造されるタンパク質に与えることとの相関とを含み、
(1)第1の部位に挿入を有するCHO細胞などの第1の包括的製造パラメータの第1の種と、回分プロセス発酵などの第2の包括的製造パラメータの第1の種との組み合わせと、(2)第2の部位に挿入を有するCHO細胞などの第1の包括的製造パラメータの異なる種と、連続プロセス発酵などの前記第2の包括的製造パラメータの種との組み合わせとの比較(および選択)を可能にするものである。
一実施形態では、データベースが、
製造パラメータ同士の組み合わせと、グリカンの特徴などの選択されたグリカン特性を前記製造パラメータ同士の組み合わせを含むプロセスで製造されるタンパク質に与えることとの相関を含み、たとえば、製造パラメータ同士の組み合わせが細胞と培養液とを含む。
一実施形態では、データベースが、
複数の培養条件各々の下で培養された細胞、たとえば、第1、第2および第3の培地の各々において培養された前記細胞と、グリカンの特徴などの選択されたグリカン特性を、前記培養条件のうちの1つの下で培養された前記細胞を含むプロセスで製造されるタンパク質に与えることとの相関を含み、たとえば、CHO細胞などの選択された細胞型を複数の培地で培養可能であり、各細胞/条件の組み合わせが、グリカンの特徴などの同一または異なるグリカン特性の出現率と相関している。
一実施形態では、データベースが、
第1、第2および第3の培地で培養された第1の細胞型、第1、第2および第3の培地で培養された第2の細胞型、第1、第2および第3の培地で培養された第3の細胞型など、複数の条件下で培養された複数の細胞各々と、グリカンの特徴などの選択されたグリカン特性を、細胞/条件の組み合わせを含むプロセスで製造されるタンパク質に与えることとの相関を含む。
一実施形態では、データベースが、複数の培地(細胞/条件の組み合わせ)で培養された、異なる菌株または遺伝子型CHO細胞などのいくつかの選択された細胞型各々と、グリカンの特徴などのグリカン特性の出現率との相関を含む。
糖タンパク質産物の例
もうひとつの態様では、本発明は、糖タンパク質の製造プロセスあるいは糖タンパク質を製造するための方法のステップの選択プロセスなど、本明細書に記載のプロセスで製造される糖タンパク質産物の医薬製剤などの糖タンパク質産物または調製物を特徴とするものである。
一実施形態では、糖タンパク質産物が、表Iに記載のタンパク質のアミノ酸配列を有するか、わずか1、2、3、4または5アミノ酸残基だけ表Iのタンパク質とは異なる。
一実施形態では、糖タンパク質産物は、少なくとも1つのグリカンの特徴が表Iのタンパク質とは異なる。
もうひとつの態様では、本発明は、表Iに記載のタンパク質のアミノ酸配列を有する糖タンパク質産物の医薬製剤などの糖タンパク質産物または調製物を特徴とするものであるか、わずか1、2、3、4または5アミノ酸残基だけ表Iのタンパク質とは異なり、前記糖タンパク質産物は、表IIに列挙された1つ以上のグリカンの特徴が前記タンパク質の市販の調製物とは異なる。
一実施形態では、糖タンパク質産物の医薬製剤などの糖タンパク質産物または調製物が、表Iに記載の対応するタンパク質と比して多少なりともフコシル化、多少なりともガラクトシル化、多少なりとも高マンノース構造、多少なりともハイブリッド構造、多少なりともシアリル化のうちの1つ以上を有する。
もうひとつの態様では、本発明は、表IIに記載の製造パラメータを調節することによって表IIから選択されるグリカンの特徴の量が調節されたタンパク質の製造方法であって、
標的糖タンパク質などのあらかじめ選択された糖タンパク質で認められるレベルなど、前記グリカンの特徴の参照レベルを選択し、
(たとえば参照レベルに対して)調節されたレベルの前記グリカンの特徴を提供するための表IIに記載のパラメータの値を選択し、
選択されたパラメータを、前記グリカンの特徴の量が調節されたタンパク質を製造するためのプロセスに適用すること含む、方法を特徴とするものである。
もうひとつの態様では、本発明は、表IIに記載のパラメータを調節することで表IIIに記載のあらかじめ選択されたレベルの機能的特性または生物学的特性を備えるタンパク質を製造する方法であって、
あらかじめ選択された糖タンパク質に見られるレベルなどの前記生物学的特性の参照レベルを選択し、
調節する前記生物学的特性を調節されたレベルの前記グリカンの特徴を提供するために表IIに記載のパラメータの値を選択し、
選択されたパラメータを、前記機能的特性または生物学的特性の量が調節されたタンパク質を製造するためのプロセスに適用することを含む、方法を特徴とするものである。
別の実施形態
もうひとつの態様では、本発明は、情報担体で具体的に体現され、プロセッサによって実行されると、本明細書に記載の方法を実施する指示を含むコンピュータプログラム製品を特徴とするものである。
本明細書に記載の方法、データベースおよびシステムは、広範囲にわたる糖タンパク質(糖ペプチドを含む)で使用可能である。これには、自然発生的な糖タンパク質と非自然発生的な糖タンパク質が含まれる。代表的な糖タンパク質としては、IgG抗体、IgM抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、移植抗体およびキメラ抗体などの抗体ならびにそのフラグメント、Fcまたは定常領域ドメインなどのヒト(または他の)抗体ドメインを含む融合などの融合タンパク質、成長因子、ホルモン、表1に列挙したタンパク質で表されるクラスのタンパク質があげられる。
「データベース」という用語は、本明細書で使用する場合、データの集合を示す。一般にデータベースは、その内容に容易にアクセスし、管理し、更新できるように体系化されている。好ましい実施形態では、完全性および品質を保証し、本明細書に記載の記録外の内容を最小限に抑え、制御下でのアクセスを可能にするためにデータベースを構成または管理する。データベースは、媒体上に提示または記憶される。媒体は、たとえば、人間が直接的に(コンピュータの補助なしなど)使用可能な印字された記号または手書きの記号を表示する伝統的な紙媒体または他の媒体であってもよい。このようなデータベースは、たとえば製造パラメータとグリカンの特徴の関係を示す一組の印刷した表またはカードカタログで存続可能である。データベースはまた、電子形態または他のコンピュータ読み取り可能な形態で提示または記憶される。これらの実施形態は、単純なスプレッドシートから一層複雑な実施形態までの範囲におよび得る。データベースは、単一の表または本など、あるいは単一のコンピュータまたはネットワーク上などの単一ユニットの媒体に格納される必要はない。データベースは、たとえば、上述したような従来の媒体とコンピュータ読み取り可能な媒体とを組み合わせることも可能である。一般に、データベースは、記録の集合を含むものであり、ここで、各記録が相関関数によって製造パラメータをグリカン特性に関連付ける。データベースは、リレーショナルデータベースなどのさまざまな方法で体系化可能である。一般に、データベースは、各データベースに特有の方法で特定の情報または記録を検索可能な形式である。コンピュータデータベースは一般に、プログラムがこれを調べてクエリに答えられるようにコンピュータに記憶された記録の構造化された集合である。リレーショナルデータベースにクエリおよびクエリ結果に対するインタフェースを一緒にしたものが、特に好ましい。リレーショナルデータベースのマッピングオントロジーによって、本明細書に記載の方法で有用な相関を構築することができる。
いくつかの実施形態では公的にアクセス可能な情報から情報を引き出すが、このような実施形態で用いられるデータベースも一般に、公的にアクセス可能な情報には存在しない、あるいはそこからは引き出されない、少なくとも1、2、5、10、20または50の相関を含むことになり、たとえば、このような実施形態では、データベースは、少なくとも1、2、5、10、20、50またはそれよりも多くの非線形相関、多面的(plietropic)相関または制約つき相関を含むものであってもよい。公的にアクセス可能な情報は、PubMedなどの公的にアクセス可能なデータベースからの情報を含み得る。一実施形態では、本明細書に記載のデータベースは、たとえば出版物にはないなど、公的にアクセス可能な情報にはない、少なくとも1、2、5、10、20または50の相関を含む。なお、相関が出版物またはデータベースなどで公的にアクセス可能であるか否かの判断は、本特許が優先権を主張する非仮特許出願の最もはやい米国出願日の時点でなされている。
本明細書で使用する見出しは、読みやすくするためのものであり、ここに記載の実施形態を限定する目的で使われるべきものではない。
以下、図面について説明する。
計算装置およびシステムのブロック図である。 CHO細胞において産生されるヒトIgGからのグリカンパターンの代表的なクロマトグラムを示す図である。ヒトIgGをCHO細胞から産生させ、単離し、グリカン放出させ、単離し、蛍光タグ付けした上で、NP−HPLCで分解した。 独特なプロセス条件下でCHO細胞において産生されるヒトIgGからのグリカンパターンの図である。上昇させた(elevated)ウリジン、グルコサミンまたはその両方の存在下で培養したCHO細胞からヒトIgGを生成した。IgGを単離し、グリカンを放出させ、単離し、蛍光タグを付けた上で、NP−HPLCで分解した。上昇させたウリジン、グルコサミンまたはその両方の存在下で生成したIgGの正規化データの要約を図のように示す。データは、二重決定子(duplicate determinant)の代表であり、ピーク総面積に対する%で表してある。
本発明の他の特長および利点については、以下の詳細な説明ならびに特許請求の範囲から明らかになろう。
グリカン特性:
本明細書に記載の方法は、1つ以上の製造パラメータを選択して、1つ以上のあらかじめ選択されたグリカン特性を備える糖タンパク質を製造することを含む。グリカン特性とは、本明細書で使用する場合、(1)グリカン構造によってタンパク質に与えられるまたは調整される機能的特性、あるいは(2)構造的特性(本明細書では「グリカンの特徴」と呼ぶ)を示す。
あらかじめ選択された機能的活性をグリカンの特徴と相関させ、その相関に基づいて、どの製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせであらかじめ選択されたグリカンの特徴、よって機能的活性を備える糖タンパク質が得られるかを決定することができる。選択可能な活性としては、血清半減期、クリアランス、in vitro安定性(保管寿命)またはin vivo安定性、結合親和性、組織分布および標的、毒性、免疫原性、吸収速度、消失速度、三次元構造、代謝およびバイオアベイラビリティがあげられるが、これに限定されるものではない。
「グリカンの特徴」とは、本明細書で使用する場合、化学単位の存在、不在または量;化学単位の成分(スルフェート、ホスフェート、アセテート、グリコリル、プロピル、他のアルキル基修飾など)の存在、不在または量;潜在的なグリコシル化部位またはタンパク質全体での不均一性または微小不均一性、たとえば、タンパク質の潜在的なグリコシル化部位の占有の度合い(糖タンパク質産物における2つ以上の特定のタンパク質骨格の同一の潜在的なグリコシル化部位の占有の度合いと、同一のタンパク質骨格の異なる潜在的なグリコシル化部位に対するタンパク質骨格の1つの潜在的なグリコシル化部位の占有の度合いとの間など);分岐(二分されたGlcNAcホスホマンノース構造の存在、不在または量など)または未分岐グリカンのコア構造;グリカン構造の存在、不在または量(複合(二分岐型、三分岐型、四分岐型など)、高マンノースまたはハイブリッド型グリカン構造など);グリカン内での化学単位の相対位置(末端または最後から2番目の化学単位の存在、不在または量など);グリカンの化学的構成(特定のグリカン中の単糖成分の量および比など);化学単位間の関係(化学単位、異性体および分岐点間の結合など)を含む。実施形態において、グリカンの特徴は、一例として、酵素消化由来など糖タンパク質由来のグリカン構造から得られるピークまたは他の画分(1つ以上の種を表す)であってもよい。グリカンの特徴は、規定の構造的な用語などで、たとえば化学名または機能的特性または物性によって、たとえば分子量または精製や分離と関連したパラメータ、たとえばカラムまたは他の分離装置での保持時間によって、説明可能である。
「化学単位」とは、本明細書で使用する場合、炭素、水素および酸素の化学的な化合物であり、後者2つの元素の原子が2:1の比にある。化学単位は、たとえば、多価アルコールのアルデヒドまたはケトン誘導体、特に、五価(pantahydric)および六価アルコールであってもよい。化学単位の例としては、ガラクトース、フコース、シアル酸、マンノース、グルコース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)およびリボースなどの単糖ならびに、その誘導体および類似体があげられる。さまざまな単糖の誘導体は周知である。たとえば、シアル酸には、N−アセチルノイラミン酸およびN−グリコリルノイラミン酸がコア構造を形成している30を超える誘導体が包含される。米国特許第5,567,684号明細書には、合成ガングリオシド誘導体が記載されている。米国特許第5,559,103号明細書には、二価シアリル誘導体化糖が記載されている。米国特許第5,360,817号明細書には、2−デオキシ−2,3−ジデヒドロ−Nアセチルノイラミン酸の誘導体および類似体が記載されている。シアル酸類似体の例として、機能的にはシアル酸に似ているが、内在性宿主細胞シアリラーゼでは認識されないものがあげられる。シアル酸代謝に関与するシアル酸転移酵素および他の酵素は、「不自然」または「修飾された」単糖基質を認識することが多い(Kosa et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,190,914,1993;Fitz and Wong,J.,Org.Chem.,59,8279,1994;Shames et al.,Glycobiology,1,187,1991;Sparks et al.,Tetrahedron,49,1,1993;Lin et al.,J.Am.Chem. Soc.,114,10138,1992)。単糖類似体の他の例として、N−レブリノイルマンノサミン(ManLev)、Neu5Acα−メチルグリコシド、Neu5Acβ−メチルグリコシド、Neu5Acα−ベンジルグリコシド、Neu5Acβ−ベンジルグリコシド、Neu5Acα−メチルグリコシドメチルエステル、Neu5Acα−メチルエステル、9−O−アセチル−N−アセチルノイラミン酸、9−O−ラクチル−N−アセチルノイラミン酸、N−アジドアセチルマンノサミンおよびそのO−アセチル化変種、Neu5Acα−エチルチオグリコシドがあげられるが、これに限定されるものではない。また、米国特許第5,759,823号明細書および同第5,712,254号明細書に、このような類似体の生成に使用できるシアル酸類似体および方法の例が教示されている。
他の単糖の誘導体または類似体の例として、単糖のアミジン、アミドラゾンおよびアミドキシム誘導体(米国特許第5,663,355号明細書)、1,3,4,6−テトラ−0−アセチル−N−アシルマンノサミンまたはその誘導体、グリコシル環に5つまたは6つの炭素を有する糖またはアミノ糖の類似体または誘導体(不斉炭素の結合の向きまたは構成を問わず、アルドース、デオキシアルドースおよびケトースを含む)があげられる。これは、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、イドース、ガラクトース、タロース、リブロース、キシルロース、プシコース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミン、N−アセチルノイラミン酸、果糖、ソルボース、タガトース、ラムノースおよびフコースなどの化学単位を含む。たとえば、グルコース、N−アセチルグルコサミン、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、フコースおよびシアル酸から誘導される単糖類似体および誘導体の例が米国特許第5,759,823号明細書に教示されている。
グリカンの特徴は、化学単位のさまざまな誘導体または類似体の存在、不在または量を含み得る。たとえば、グリカンの特徴は、N−アセチルノイラミン酸の不在、存在または量であってもよい。
「グリカン構造」とは、本明細書で使用する場合、互いに結合した少なくとも2つの化学単位を示す。共有結合および非共有結合をはじめとして、どのような結合でも含まれる。
グリカンの特徴はさらに、化学単位、化学単位の一成分またはグリカン構造の存在、不在または量と、それぞれ別の化学単位、別の化学単位の成分または別のグリカン構造の存在、不在または量との比較であってもよい。たとえば、フコースの存在、不在または量に対するシアル酸の存在、不在または量を求めることができる。他の例では、N−アセチルノイラミン酸などのシアル酸の存在、不在または量を、たとえば、N−グリコリルノイラミン酸などのシアル酸誘導体の不在、存在または量と比較することができる。
相関関数は、本明細書で使用する場合、たとえばデータベースでの、1つ以上の製造パラメータと1つ以上のグリカン特性との関係を規定する関数を提供する。一実施形態では、ひとつの製造パラメータがひとつのグリカン特性と相関する。相関関数は、製造パラメータの使用または存在とグリカン特性を糖タンパク質に与えることとの正の相関の場合、正の一定値などの一定値を具体化することが可能である。実施形態には、製造パラメータの複数の種(異なる濃度の指定の添加物など)それぞれに、各々異なる一定値を有する、異なる相関定数を割り当てたものも含まれる。たとえば、異なる濃度での培養条件に加えることのできるグルコサミンおよびフコース残基を有するグリカン特性などの製造パラメータの場合、データベースには、濃度1とグリカンレベル1、濃度2とグリカンレベル2などの相関を含み得る。相関関数は、その相関関数(またはその出力)が、たとえば線形または非線形に、一定範囲の入力値について、関数に基づいて可変であるなど、「チューニング可能」であってもよい。たとえば、相関関数は、XをYと関連付ける関数を具体化することが可能であり、ここで、Xはいくつかの製造パラメータに関連する要素の値であり、Yはいくつかのグリカン特性に関連する要素の値である(いくつかの実施形態では、Xが入力、Yが出力であり、他の実施形態では、Yが入力、Xが出力である)。たとえば、製造パラメータが培養液中のグルコサミンなどの添加物の存在である場合、Xは培養液に添加されるグルコサミンの濃度の値である。Yは、グルコサミンを濃度Xで用いる方法で製造したタンパク質に加えられるフコースの量の値であってもよい。この実施形態では、相関関数は、グルコサミンの濃度の値(入力値など)を糖タンパク質のフコシル部分の量の値(出力値など)に関連付けるものである。Xの値が大きくなると、Yの値はXとYとを関連付ける関数に応じて変化し、グルコサミンが増える場合は出力値が小さくなる。よって、グルコサミンの量が増えれば、相関関数はフコシル化の量の減少を示す。このような相関関数が、Xの値を変更してYに対する影響を確認可能であるという観点で、チューニング可能である。これは、所望のグリカン特性を得られるよう製造パラメータをチューニングできるようにするものである。また、この方法では、Yを変更してXに対する影響を確認することもできる。XとYを関連付ける関数は、たとえば経験的な試験によって判断できるものである。たとえば、グルコサミン濃度とフコシル化の量の場合、異なるグルコサミン濃度で一連の試験を実施し、グルコサミン濃度を観察したフコシル化レベルに対してプロットし、プロットした値の曲線を説明する式を導いて、関数を導くことが可能である。一実施形態では、製造パラメータ1が入力設定(または値)X1についてチューニング可能であり、Y1の出力または設定(または値)がX1の設定(または値)に応じて変換する。製造パラメータ2は、入力設定(または値)X2についてチューニング可能であり、Y2の出力または設定(または値)がX2の設定(または値)に応じて変化する。いくつかの実施形態では、Y1とY2の組み合わせの数が、Y1の確率数にY2の確率数をかけた積と等しい。たとえば、X1に10の入力値または設定があり、Y1に10の出力値または設定があり、X2に10の入力値または設定があり、Y2に10の出力値または設定がある状況では、合計で(X1X2またはY1Y2の)100とおりの組み合わせを利用できる。他の実施形態では、X1およびX2の値または設定の何とおりかの組み合わせあるいは、Y1およびY2の値または設定の何とおりかの組み合わせが、整合しない。いずれの場合も、解空間すなわちY1およびY2で利用できる組み合わせの可能性の総数が、Y1の確率数とY2の確率数の積未満(またはX1X2についても同様の状況)になる。この制約は、不整合によって、X1とX2の組み合わせに生じることがあり、たとえば、添加物の濃度またはあるいは何らかの理由で組み合わせることのできない添加物と細胞の組み合わせの場合がある。また、Y1とY2の組み合わせが合成的または構造的に不可能であるか、細胞培養物に対する毒性または糖タンパク質の不要な特性がゆえに、制約が生じることもある。解空間に対する物理的制約または生物学的制約などの制約については、経験的な実験によって判断または明らかにすることが可能である。(X1X2またはY1Y2の)解空間の制約は、データベースまたはシステムにおいて多数の方法で実現できる。たとえば、相関関数を、無効な組み合わせに対応するヌル出力または信号を生成するよう設計することが可能である。これは絶対的なものとはかぎらないが、望ましくないことの度合いで表すことができる。禁止された組み合わせまたは無効な組み合わせを同定し、これを標識するか出力から除去するフィルタを使ってシステムを構成してもよい。フィルタには、特定の許容できない組み合わせあるいは、許容できない組み合わせを排除するためのルールに基づくアルゴリズムを設けることができる。非線形相関、制約付き相関および多面的相関を、本明細書に記載の方法、システムおよびデータベースで使用することができる。
相関関数は、通常、ひとつの現象またはランダム変数(製造パラメータ、糖タンパク質の機能など)が別の現象またはランダム変数に関連しているか、別の現象またはランダム変数から予測可能な度合いである。統計的には、相関とは通常、相関係数で測定したランダム変数間に線形予測可能な関係が存在する度合いを示す。相関は、正(ただし、1よりも大きくならない)すなわち、両方の変数が一緒に増減するものであってもよいし、負または逆(ただし、−1よりも小さくならない)すなわち一方の変数が増加すると他方が減少するものであってもよく、ゼロすなわち、一方の変数の変化が他方には影響しないものであってもよい。
相関関数(自己相関、相互相関など)と一緒に、1つ以上の確率過程、ランダム変数理論または技法あるいは、確率理論を使用して、糖タンパク質の特徴、製造パラメータまたは他の現象またはランダム変数およびその関係を同定および選択してもよい。たとえば、共分散関数、一般化関数、分布関数、確率密度関数および他のタイプの数学的表現を実践できる。
一次糖タンパク質産物
本明細書に記載の方法は、自然発生的または合成的に製造される産物などの一次糖タンパク質産物を同定し、1つ以上のあらかじめ選択されたグリカン特性を備える糖タンパク質産物を製造することを含む。一次糖タンパク質産物とは、本明細書で使用する場合、糖タンパク質を示す。糖タンパク質は、糖タンパク質産物を設計するためのモデルの開始点または中間点としての役割を果たすことができる。これは、所望の糖タンパク質特性を提供または提示できる。よって、いくつかの実施形態では、あらかじめ選択されたグリカン特性が、一次糖タンパク質産物のあらかじめ選択されたグリカン特性と同一または実質的に類似のもの(一次糖タンパク質産物のジェネリック医薬品を製造するためなど)であってもよいし、一次糖タンパク質産物の対応するグリカン特性とは異なる1つ以上のグリカン特性(第二世代糖タンパク質産物を製造するためなど)であってもよい。一次糖タンパク質産物の例を以下の表Iにあげておく。
本明細書に記載の方法は、一次糖タンパク質産物と同一のアミノ酸配列を有する標的糖タンパク質産物を製造することを含み得る。他の実施形態では、標的糖タンパク質産物のアミノ酸配列が、たとえば最大で1、2、3、4、5、10または20アミノ酸だけ、一次アミノ酸残基と異なるものであってもよい。上記に列挙した一次糖タンパク質産物のアミノ酸配列は周知である。
グリカンの特性および特徴を判断する方法:
いくつかの実施形態では、方法が、製造パラメータを選択して、あらかじめ選択されたグリカン特性を生成することを含む。グリカン特性は、機能的特性であってもよいし、グリカンの特徴であってもよい。
グリカンの特徴を判断するための方法は周知である。たとえば、化学単位の存在、不在または量あるいは、化学単位の成分の存在、不在または量を、GeyerおよびGeyer(2006)Biochim Biophys.Acta 1764(12):1853〜1869に記載されているようにして、あるいはLC、MS、LC/MS、NMR、エキソグリコシダーゼ処理、GCまたはこれらの方法の組み合わせによって求めるようにしてもよい。潜在的なグリコシル化部位またはタンパク質全体での不均一性または微小不均一性については、たとえば、Larsen et al.(2005)Mol.Cell.Proteomics(2005)4(2):107〜119またはForno et al.(2004 Eur.J.Biochem.(2004)271(5):907〜919に記載されている方法あるいは、LC、MS、LC/MS、GC、PAGE、酵素処理またはこれらの方法の組み合わせを用いて求めることが可能である。
いくつかの実施形態では、たとえば、無傷糖タンパク質、糖ペプチドまたは放出されたグリカンについて、上掲のGeyerおよびGeyer(2006)、LC、MS、LC/MS、レクチン染色、GC、PAGE、酵素切断または付加、ELISA、NMR、単糖分析またはこれらの方法の組み合わせに記載されているようにして、分岐または未分岐グリカンのコア構造を判断する。グリカン構造ならびに、グリカン内の化学単位の相対位置の存在、不在または量の判断に使用可能な方法の例が、上掲のGeyerおよびGeyer(2006)に記載され、あるいは、糖タンパク質、糖ペプチドまたは放出されたグリカンについてのLC、MS、LC/MS、レクチン染色、クロマトグラフによる方法、酵素切断、ELISA定量化、単糖分析NMRまたはこれらの方法の組み合わせを含み得る。
化学単位間の関係(化学単位、異性体、分岐点間の結合など)についても、たとえば、上掲のGeyerおよびGeyer著、Biochim Biophys.Acta(2006)に記載されているようにして、あるいは、糖タンパク質、糖ペプチドまたは放出されたグリカンについてのLC、MS、LC/MS、レクチン染色、単糖分析、クロマトグラフによる方法、エキソグリコシダーゼ処理、NMRまたはこれらの方法の組み合わせによって、判断することが可能である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で得られるものなどのグリカン構造に関する情報を統合して、複合糖タンパク質産物のグリカンの特徴を説明することが可能である。たとえば、本明細書に記載のさまざまな方法などで得られる情報を、段階的に使用して、一次グリカン産物および/または標的グリカン産物におけるグリカンの特徴の初期確率を減らすことができる。一実施形態では、米国特許出願公開第20050065738号明細書に記載された方法を使用して、グリカンのさまざまな特徴に関して得られるデータを統合することが可能である。
製造パラメータ:
本明細書に記載の方法は、糖タンパク質調製物の製造時にあらかじめ選択されたグリカン特性が得られるように、糖タンパク質調製物のための製造パラメータを判断および/または選択することを含む。さまざまな製造パラメータがグリコシル化におよぼす影響に関する情報を使用して、所望のグリカン特性と正相関する糖タンパク質調製物の製造前に、製造パラメータを選択することが可能である。製造パラメータとは、本明細書で使用する場合、製造プロセスにおけるパラメータまたは要素である。選択可能な製造パラメータとしては、たとえば、糖タンパク質調製物の製造に用いられる細胞または細胞系、培養液、培養プロセスまたはバイオリアクターの変数(回分、流加または灌流など)、糖タンパク質調製物の精製プロセスおよび製剤があげられる。
一次製造パラメータは、1)宿主のタイプ、2)宿主の遺伝的特徴、3)培地のタイプ、4)発酵プラットホーム、5)精製ステップ、6)製剤を含む。二次製造パラメータは、本明細書で使用する場合、各一次製造パラメータの範囲内で調節可能または可変の製造パラメータである。一例として、所望のグリカン特性に基づく宿主サブクローンの選択、構成的または誘導性宿主遺伝子レベルの調節、新規な遺伝子またはプロモーター要素の導入、培地添加物(たとえば一部のリストを表IVに示す)、物理化学的増殖特性(たとえば一部のリストを表Vに示す)、増殖容器のタイプ(バイオリアクタータイプ、T型フラスコなど)、細胞密度、細胞サイクル、所望のグリカンタイプでの産物の富化(レクチンまたは抗体による富化、イオン交換クロマトグラフィ、CEまたは同様の方法など)、あるいは当業者には自明の同様の二次製造パラメータがあげられる。
細胞および細胞系
本明細書に記載の方法は、一次糖タンパク質調製物のグリカン特性と同一または実質的に同一あるいは、一次糖タンパク質産物のグリカン特性とは異なるグリカン特性を提供するための細胞または細胞系を判断することを含む。選択される細胞は、細胞中に存在する糖または細胞培養液中に存在する糖あるいは細胞に供給される糖を活性化および結合する酵素を細胞が提供またはこれに付加しているかぎり、真核生物の細胞であっても原核生物の細胞であってもよい。真核細胞の例としては、酵母、昆虫、真菌、植物および動物の細胞、特に哺乳類の細胞があげられる。好適な哺乳類細胞としては、SV40で形質転換したサル腎臓CV1系(COS−7、ATCC CRL 1651)、ヒト胎児由来腎臓系(293)(Graham et al.,J.Gen.Virol.36:59(1977))、ベビーハムスター腎細胞(BHK、ATCC CCL 10)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、たとえばDG44、DUKX−V11、GS−CHO(ATCC CCL 61、CRL 9096、CRL 1793およびCRL 9618)、マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Biol.Reprod.23:243 251(1980))、サル腎細胞(CV1 ATCC CCL 70)、アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76、ATCC CRL 1587)、ヒト子宮頚癌細胞(HeLa、ATCC CCL 2)、バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442)、ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75)、ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065)、マウス黒色腫細胞(NSO)、マウス乳癌(MMT 060562、ATCC CCL51)、TRI 細胞(Mather,et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44 46(1982))、イヌ腎細胞(MDCK)(ATCC CCL 34およびCRL 6253)、HEK 293(ATCC CRL 1573)、WI−38細胞(ATCC CCL 75)(ATCC:米国微生物系統保存機関(American Type Culture Collection)、Rockville、Md.)、MCF−7細胞、MDA−MB−438細胞、U87細胞、A127細胞、HL60細胞、A549細胞、SP10細胞、DOX細胞、SHSY5Y細胞、ジャーカット細胞、BCP−1細胞、GH3細胞、9L細胞、MC3T3細胞、C3H−10T1/2細胞、NIH−3T3細胞およびC6/36細胞をはじめとする、正常な死すべきまたは正常または異常な不死化動物またはヒトの細胞があげられる。ポリペプチドを発現させるのに哺乳類の組織細胞培養物を使用することについては、Winnacker,FROM GENES TO CLONES(VCH Publishers,N.Y.,N.Y.,198)に概説されている。
植物細胞の例としては、たとえば、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)菜種、トウモロコシ、コムギ、コメ、タバコなど)(Staub,et al.2000 Nature Biotechnology l(3):333−338 and McGarvey,P.B.,et al.1995 Bio−Technology 13(13):1484−1487;Bardor,M.,et al.1999 Trends in Plant Science 4(9):376〜380)。昆虫細胞の例(たとえば、ヨウトガ(Spodoptera frugiperda)Sf9,Sf21、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)など。細菌細胞の例としては、大腸菌(Escherichia coli)があげられる。ピキアパストリス(Pichiapastoris)、ピキアメタノリカ(Pichia methanolica)、ハンセヌラポリモルファ(Hansenula polymorpha)、サッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などのさまざまな酵母および真菌も選択可能である。
たとえば、所望のグリカンの特徴を生成または生成を優先する細胞自体の属性に基づいて糖タンパク質の製造用に細胞を選択することが可能である。グリコシル化に影響し得る細胞の属性としては、細胞のタイプ、細胞の状態、細胞サイクル、継代数、細胞の代謝的負荷レベルがあげられる。
他の実施形態では、遺伝子操作動物、酵母、真菌、植物または他の真核細胞発現系などの遺伝子操作細胞で糖タンパク質を産生させることが可能である。たとえば、細胞が、所望のグリカンの特徴を生むタンパク質および/または糖または糖前駆物質などの成分を発現または過発現する遺伝子操作細胞であってもよい。また、所望のグリカンの特徴を生むタンパク質および/または糖または糖前駆物質などの成分の活性が増すように細胞を遺伝子操作してもよい。さらに、細胞を遺伝子操作して、さまざまな化学単位、化学単位の成分またはグリカン構造の生成を減少または低下させてもよい。たとえば、細胞を遺伝子操作して、グリカンの特徴の生成に関与する酵素および/または糖または糖前駆物質などの特定のグリカンの特徴の合成を伴う成分の発現減少につながるアンチセンスまたはRNAiなどの核酸アンタゴニストを生成してもよい。さらに、細胞を遺伝子操作して、特定のグリカンの特徴の合成を伴う酵素および/または糖または糖前駆物質などの1つ以上の成分をノックアウトしてもよいし、特定のグリカンの特徴の合成を伴う酵素および/または糖または糖前駆物質などの成分の活性が低めまたは不活性な変異体を生成してもよい。コピー数、組込み部位および転写変数が、細胞によって産生される糖タンパク質のグリカンの特徴に影響することもある。
所望のグリカンの1つ以上の特徴につながる細胞の成分は、化学単位、化学単位の成分の付加または除去または所望のグリカン構造の生成を伴う酵素を含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、細胞を遺伝子操作して、グリコシル化に関与する1つ以上の酵素の活性を発現、過発現または増加させることが可能である。他の実施形態は、グリコシル化に関与する1つ以上の酵素の活性を低減、排除または変化させるために、遺伝子操作された細胞を含む。酵素の例としては、分解酵素などの多糖を切断する酵素、単糖(monoshaccharide)をグリカン構造に加える酵素、単糖の成分を除去する酵素、単糖に成分を付加する酵素、ガラクトースをグルコースに変換するなど化学単位を異なる化学単位に変換する酵素などがあげられる。
分解酵素の例としては、ガラクトシダーゼ(α−ガラクトシダーゼおよびβ−ガラクトシダーゼなど)、シアリダーゼ(α2→3シアリダーゼおよびα2→6シアリダーゼなど)、フコシダーゼ(α1→2フコシダーゼ、α1→3フコシダーゼ、α1→4フコシダーゼおよびα1→6フコシダーゼなどがあげられる。タチナタマメ由来のβ−N−アセチルヘキソサミニダーゼは非還元末端β1→2,3,4,6結合N−アセチルグルコサミンならびにN−アセチルガラクトサミンをオリゴ糖から切断し、α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ(ニワトリ肝臓)は、糖タンパク質から末端α1→3結合N−アセチルガラクトサミンを切断する。アスパルチル−N−アセチルグルコサミニダーゼなどの他の酵素は、N−結合型オリゴ糖のコア配列のGlcNAcの後ろのβ結合で切断する。
グリカン構造に単糖を付加する酵素の例としては、シアル酸転移酵素などのグリコシルトランスフェラーゼ(α2→3シアル酸転移酵素またはα2→6シアル酸転移酵素など)、フコシルトランスフェラーゼ(α1→2フコシルトランスフェラーゼ(fucosyltransferse)、α1→3フコシルトランスフェラーゼ、α1→4フコシルトランスフェラーゼまたはα1→6フコシルトランスフェラーゼなど)、ガラクトシルトランスフェラーゼ(α1→3ガラクトシルトランスフェラーゼ、β1→4ガラクトシルトランスフェラーゼまたはβ1→3ガラクトシルトランスフェラーゼなど)、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI、IIまたはIIIなど)、マンノシルトランスフェラーゼがあげられる。
単糖の成分を付加、移動または除去する酵素の例としては、グルコースアミンN−アセチルトランスフェラーゼ、N−アセチルノイラミネート7−0(または9−0)アセチルトランスフェラーゼ、ガラクトース−1−ホスフェートウリジルトランスフェラーゼ、N−アセチルノイラミネート9−ホスフェートホスファターゼ(phosphate phosphotase)、N−アセチルグルコサミン(acetylglucoasamine)デアセチラーゼ、L−フコースキナーゼ、ガラクトキナーゼ1、ガラクトース−1−ホスフェートウリジリルトランスフェラーゼ、グルコキナーゼ1、GDP−マンノース4,6デヒドラターゼ、GDPマンノースピロホスホリラーゼ、N−アセチルグルコサミンスルホトランスフェラーゼ、ガラクトシルスルホトランスフェラーゼ、グルコサミン−ホスフェートN−アセチルトランスフェラーゼ、ヘキソキナーゼ、N−アセチルグルコサミンキナーゼ、ホスホグルコムターゼ、N−アセチルノイラミン酸ホスフェートシンセターゼ、UDP−N−GlcNAc−ピロホスホリラーゼ、UDP−グルクロン酸デヒドロゲナーゼ、UDP−グルコースピロホスホリラーゼがあげられる。
遺伝子操作細胞で影響され得る他の酵素の例としては、N−アセチルグルコサミン−6−ホスフェート2−エピメラーゼ、CMP−Neu5Acヒドロキシラーゼ、CMP−Neu5Acシンセターゼ、環状シアル酸ヒドロラーゼ、フコース−1−ホスフェートグアニルトランスフェラーゼ、UDP−ガラクトース−4−エピメラーゼ、ガラクトースムタロターゼ(mutaratose)、マンノシルトランスフェラーゼ、UDP−N−アセチルグルコサミン2−エピメラーゼ、グルコースホスフェートイソメラーゼ、GDP−マンノシルトランスフェラーゼ、マンノースホスフェートイソメラーゼ、N−アセチルノイラミネートピルビン酸リアーゼ、シアル酸シクラーゼ、UDP−グルクロン酸デカルボキシラーゼ、CMP−シアル酸トランスポーター、GDP−フコシルトランスポーターおよびUDPガラクトシルトランスポーターがあげられる。
このような酵素をコードする配列は周知である。
糖タンパク質の産生用に選択された細胞が、グリコシル化に関与する1つ以上のタンパク質の発現および/または活性を低下させた遺伝子操作細胞であってもよい。たとえば、細胞を遺伝子操作して、特定のグリカンの特徴の合成を伴う1つ以上のタンパク質をノックアウトしたり、タンパク質の活性が低めまたは不活性な変異体を生成したりすることが可能である。また、細胞を遺伝子操作して、特定のグリカンの特徴の合成を伴う1つ以上のタンパク質の発現を低下させるための核酸アンタゴニストを生成してもよい。
遺伝子操作したノックアウト細胞
いくつかの実施形態では、特定のグリカンの合成を伴うタンパク質をコードする遺伝子の永久または調節された不活性化のための遺伝子操作された細胞を選択することが可能である。たとえば、本明細書に記載の酵素などの酵素をコードする遺伝子を不活性化することが可能である。遺伝子発現の永久または調節された不活性化は、トランスフェクトしたプラスミドDNAコンストラクトまたは合成オリゴヌクレオチドを遺伝子座に標的して達成可能である。プラスミドコンストラクトまたはオリゴヌクレオチドを、いくつかの形態に設計することが可能である。これらの形態としては、1)不活性化対照となる遺伝子のエキソン内の選択可能なマーカー遺伝子または他の配列の挿入、2)非コード配列の調節領域への外因性配列の挿入、3)調節配列および/またはコード配列の欠失または置換、4)部位特異的突然変異誘発によるタンパク質コード配列の変化があげられる。
選択可能なマーカー遺伝子をコード配列に挿入する場合、たとえば選択可能なマーカー遺伝子を含むようにエキソンを操作した遺伝子の内在性エキソンのインフレーム融合を作製することが可能である。このようにして標的に成功すると、内在性遺伝子が融合mRNA(核酸配列プラス選択可能なマーカー配列)を発現する。さらに、この融合mRNAは機能的翻訳産物を産生できないこともある。
DNA配列を調節領域に挿入する場合、転写に必要な5’非翻訳領域(5’UTR)における内在性プロモーター領域または他の領域を破壊することで、遺伝子の転写を発現停止することが可能である。このような領域としては、たとえば、イントロンのスプライス供与部位および翻訳調節領域があげられる。第2に、新たな制御配列を、遺伝子を細胞外因子の制御下におく遺伝子の上流に挿入することが可能である。よって、糖タンパク質産生の必要性に応じて遺伝子発現を下方制御したり消失させたりすることが可能である。さらに、選択可能なマーカーおよびプロモーターを含む配列を使用して、内在性配列の発現を破壊することが可能である。最後に、標的基質を適宜設計することで、内在性遺伝子のすべてまたは一部を欠失させることが可能である。
核酸アンタゴニスト
特定の実践例では、核酸アンタゴニストを用いて、上述したものなどの酵素などのグリカンの特徴の合成を伴うタンパク質などの標的タンパク質の発現を減少させる。一実施形態において、核酸アンタゴニストは、標的タンパク質をコードするmRNAを標的するsiRNAである。核酸アプタマー、dsRNA、リボザイム、三重らせん形成分子またはアンチセンス核酸など、他のタイプのアンタゴニスト核酸も使用可能である。
siRNAは、任意にオーバーハングを含む小さな二本鎖RNA(dsRNA)である。たとえば、siRNAの二本鎖領域は、約18から25ヌクレオチド長、たとえば約19、20、21、22、23または24ヌクレオチド長である。一般に、siRNA配列は標的mRNAと正確に相補的である。特に、dsRNAおよびsiRNAを使用して、哺乳類細胞(ヒト細胞など)で遺伝子発現を停止させることが可能である。Clemens,J.C.et al.(2000)Proc.Natl.Sci.USA 97,6499〜6503;Billy,E.et al.(2001)Proc.Natl.Sci.USA 98,14428〜14433;Elbashir et al.(2001)Nature.411(6836):494〜8;Yang,D.et al.(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99,9942〜9947,US 2003−0166282、2003−0143204、2004−0038278および2003−0224432などを参照のこと。
アンチセンス作用剤は、たとえば、約8から約50の核酸塩基または約12から約30の核酸塩基など、約8から約80の核酸塩基(すなわち約8から約80ヌクレオチド)を含み得る。アンチセンス化合物は、標的核酸とハイブリダイズされ、その発現を調節する、リボザイム、外部誘導配列(EGS)オリゴヌクレオチド(オリゴザイム)、他の短い触媒RNAまたは触媒オリゴヌクレオチドを含む。アンチセンス化合物は、標的遺伝子の配列と相補的な少なくとも8つの連続した核酸塩基の鎖を含み得る。オリゴヌクレオチドは、特異的にハイブリダイズ可能となるその標的核酸配列と100%相補である必要はない。標的に対するオリゴヌクレオチドの結合が標的分子の正常な機能に干渉して実用性が損なわれ、特異的結合が望まれる条件下で非標的配列へのオリゴヌクレオチドの非特異的結合を回避できるだけの十分な度合いの相補性があるときに、オリゴヌクレオチドを特異的にハイブリダイズ可能である。
アンチセンスオリゴヌクレオチドとmRNAとのハイブリダイゼーションがmRNAの1つ以上の正常な機能に干渉する場合がある。mRNAが干渉される機能としては、たとえば、RNAからタンパク質翻訳部位への転座、RNAからのタンパク質の翻訳、1つ以上のmRNA種が得られるRNAのスプライシング、RNAが関与することもある触媒活性などのあらゆる生体機能があげられる。RNAに対する特定のタンパク質の結合も、RNAとのアンチセンスオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションによって干渉されることがある。
アンチセンス化合物の例としては、標的核酸に特異的にハイブリダイズするDNA配列またはRNA配列があげられる。相補的な領域は、約8から約80の核酸塩基の間で延在可能である。化合物は、1つ以上の修飾核酸塩基を含み得る。修飾核酸塩基は、たとえば、5−インドウラシル、5−インドシトシンなどの5−置換ピリミジン、C5−プロピニルシトシンおよびC5−プロピニルウラシルなどのC5−プロピニルピリミジンを含むものであってもよい。他の好適な修飾核酸塩基は、N4−−(C1〜C12)アルキルアミノシトシンおよびN4,N4−−(C1〜C12)ジアルキルアミノシトシンを含む。修飾核酸塩基はまた、たとえば、7−ヨード−7−デアザプリン、7−シアノ−7−デアザプリン、7−アミノカルボニル−7−デアザプリンなどの7−置換−8−アザ−7−デアザプリンおよび7−置換−7−デアザプリンを含むものであってもよい。これらの例としては、6−アミノ−7−ヨード−7−デアザプリン、6−アミノ−7−シアノ−7−デアザプリン、6−アミノ−7−アミノカルボニル−7−デアザプリン、2−アミノ−6−ヒドロキシ−7−ヨード−7−デアザプリン、2−アミノ−6−ヒドロキシ−7−シアノ−7−デアザプリン、2−アミノ−6−ヒドロキシ−7−アミノカルボニル−7−デアザプリンがあげられる。さらに、N6−−(C1〜C12)アルキルアミノプリンおよびN6,N6−−(C1〜C12)ジアルキルアミノプリン(N6−メチルアミノアデニンおよびN6,N6−ジメチルアミノアデニンを含む)も好適な修飾核酸塩基である。同様に、たとえば、6−チオグアニンをはじめとする他の6−置換プリンも、適切な修飾核酸塩基となることがある。他の好適な核酸塩基として、2−チオウラシル、8−ブロモアデニン、8−ブロモグアニン、2−フルオロアデニン、2−フルオログアニンがあげられる。上述した修飾核酸塩基の誘導体も適切である。上述した化合物の置換基としては、C1〜C30アルキル、C2〜C30アルケニル、C2〜C30アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ハロ、アミノ、アミド、ニトロ、チオ、スルホニル、カルボキシル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルなどがあげられる。
他のタイプの核酸作用剤の説明も入手可能である。米国特許第4,987,071号明細書、同第5,116,742号明細書、同第5,093,246号明細書;Woolf et al.(1992)Proc Natl Acad Sci USA;Antisense RNA and DNA,D.A.Melton,Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1988);89:7305〜9;Haselhoff and Gerlach(1988)Nature 334:585〜59;Helene,C.(1991)Anticancer Drug Des.6:569〜84;Helene(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27〜36;Maher,L.J.(1992)Bioassays 14:807〜15などを参照のこと。
グリカン合成に関与する成分を発現するよう遺伝子操作された細胞
成分の発現または過発現目的で細胞を遺伝的に修飾する場合、細胞を従来の遺伝子操作方法で修飾してもよいし、遺伝子活性化で修飾してもよい。
従来の方法によれば、所望のタンパク質をコードするcDNAまたはゲノムDNA配列を含むDNA分子が発現コンストラクト内に含まれ、リポソーム、ポリブレンまたはDEAEデキストランによるトランスフェクション、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、マイクロインジェクションまたは速度マイクロプロジェクタイルなどを含むがこれに限定されるものではない、標準的な方法で、一次細胞、二次細胞または不死化細胞にトランスフェクトされることがある(米国特許第6,048,729号明細書などを参照のこと)。
あるいは、ウイルスベクターによって遺伝情報を送達する系を使用してもよい。遺伝子導入に有用であることが分かっているウイルスとしては、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、ポロウイルス、レトロウイルス、シンドビスウイルス、カナリア痘ウイルスなどのワクシニアウイルスがあげられる。
あるいは、たとえば米国特許第5,641,670号明細書、同第5,733,761号明細書、同第5,968,502号明細書、同第6,200,778号明細書、同第6,214,622号明細書、同第6,063,630号明細書、同第6,187,305号明細書、同第6,270,989号明細書、同第6,242,218号明細書に記載されているような遺伝子活性化の方法で細胞を修飾してもよい。
したがって、「遺伝子操作」とは、細胞に関連して本明細書で使用する場合、遺伝子産物をコードするおよび/または遺伝子産物のコード配列の発現を制御する調節要素を含むDNA分子の導入後に、特定の遺伝子産物を発現する細胞を包含することを意図している。DNA分子は、遺伝子標的または相同的組換えすなわち、特定のゲノム部位でのDNA分子の導入によって導入できるものである。
細胞をトランスフェクトする方法ならびに、組換え発現に使用可能なプロモーター、マーカー、シグナル配列などの試薬は周知である。
いくつかの実施形態では、プロモーターおよび/または発現系を、たとえば二次製造パラメータとして選択可能である。たとえば、使用する宿主細胞などに基づいてプロモーターを選択することが可能である。
培養液と処理:
本明細書に記載の方法は、所望のグリカン特性の生成につながる培地成分または培養条件を判断および/または選択することを含み得る。判断できる培養パラメータとしては、培地成分、pH、供給条件、モル浸透圧濃度、二酸化炭素濃度、攪拌速度、温度、細胞密度、播種密度、タイミングおよびスパージ速度があげられる。
細胞培養物の攪拌速度、細胞を培養する温度、培養液の成分、培養を開始および終了する時刻、栄養塩供給のタイミングの変動などの製造パラメータの変化によって、産生された糖タンパク質産物のグリカン特性にばらつきが生じる可能性がある。よって、本明細書に記載の方法は、細胞を攪拌する速度の増減、細胞を培養する温度の増減、培地成分の追加または除外、培養開始および/または終了時刻の変更のうちの1つ以上を含み得る。
製造パラメータまたはその組み合わせを逐次的に選択することは、本明細書で使用する場合、第1の製造パラメータの選択によって生じる制約などに基づいて、第1のパラメータ(または組み合わせ)を選択した後、第2のパラメータ(または組み合わせ)を選択することを意味する。
培地
本明細書に記載の方法は、所望のグリカン特性と正相関する培地成分および/または培地成分の濃度を判断および/または選択することを含み得る。培地成分は、培養条件に応じて糖タンパク質産生の過程で、あるいは培地に変更があったときに、追加または投与可能である。培地成分は、培養に直接的に追加される成分ならびに細胞培養物の副生物である成分を含む。
培地成分は、たとえば、緩衝液、アミノ酸含有量、ビタミン含有量、塩含有量、鉱物含有量、血清含有量、炭素源含有量、脂質含有量、核酸含有量、ホルモン含有量、微量元素含有量、アンモニア含有量、コファクター含有量、指示薬含有量、小分子含有量、加水分解物含有量、酵素モジュレーター含有量を含む。
表IVに、選択可能なさまざまな培地成分の例をあげておく。
緩衝液の例としては、Tris、トリシン、HEPES、MOPS、PIPES、TAPS、ビシン、BES、TES、カコジル酸塩、MES、酢酸塩、MKP、ADA、ACES、グリシンアミド、アセトアミドグリシンがあげられる。
培地は無血清であってもよいし、ウシ胎児血清(FBS)、ウシ胎仔血清(FCS)、ウマ血清(HS)、ヒト血清、動物由来の血清代替物(Ultroser G、SFおよびHYなど;脱脂粉乳;ウシEX−CYTE)、フェチュイン、ウシ血清アルブミン(BSA)、血清アルブミン、トランスフェリンなどの動物由来の産物を含むものであってもよい。無血清培地を選択する場合、パルミチン酸および/またはステアリン酸(steric acid)などの脂質を含むことが可能である。
脂質成分としては、油、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、グリセリド、ステロイド、リン脂質、スフィンゴ脂質、リポタンパク質があげられる。
培地に含むまたは培地から除外することが可能なアミノ酸の例としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、プロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンがあげられる。
培地に存在し得るまたは培地から除外することが可能なビタミンの例としては、ビタミンA(レチノイド)、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピロキシジン(pyroxidone))、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、ビタミンB12(シアノコパラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKがあげられる。
培地に存在し得るまたは培地から除外することが可能な鉱物としては、ビスマス、ホウ素、カルシウム、塩素、クロム、コバルト、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、リン、カリウム、ルビジウム、セレン、ケイ素、ナトリウム、ストロンチウム、イオウ、テルル、チタン、タングステン、バナジウム、亜鉛があげられる。塩および鉱物の例としては、CaCl(無水)、CuSO 5HO、Fe(NO)・9HO、KCl、KNO、KHPO、MgSO(無水)、NaCl、NaHPOO、NaHCO、NaSE(無水)、ZnSO・7HO;リノール酸、リポ酸、D−グルコース、ヒポキサンチン2Na、フェノールレッド、プトレシン2HCl、ピルビン酸ナトリウム、チミジン、ピルビン酸、コハク酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸・Na・六水和物、グルタチオン(還元)、パラアミノ安息香酸(PABA)、リノール酸メチル、バクトペプトンG、アデノシン、シチジン、グアノシン、2’−デオキシアデノシンHCl、2’−デオキシシチジンHCl、2’−デオキシグアノシンおよびウリジンがあげられる。所望のグリカンの特徴がフコシル化減少である場合、製造パラメータは、約0.1μMから50μMの濃度で存在するマンガンなどのマンガンの存在下で、dhfr欠損CHO細胞などのCHO細胞などの細胞を培養することを含み得る。フコシル化減少は、たとえば、オスモル濃度約350〜500mOsmで細胞(dhfr欠損CHO細胞などのCHO細胞など)を培養することによっても得られる。オスモル濃度は、培地に塩を加えるか、製造時に蒸発が発生する際に副生物として塩を発生させることでも調整可能である。
ホルモンとしては、たとえば、ソマトスタチン、成長ホルモン放出因子(GRF)、インスリン、プロラクチン、ヒト成長ホルモン(hGH)、ソマトトロピン、エストラジオール、プロゲステロンがあげられる。成長因子としては、たとえば、骨形態形成タンパク質(BMP)、上皮成長因子(EGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、神経成長因子(NGF)、骨由来成長因子(BDGF)、トランスフォーミング増殖因子−β1(TGF−β1)、[米国特許第6,838,284号B2明細書に記載の成長因子]、ヘミンおよびNADがあげられる。
培地に存在し得るまたは培地から除外することが可能な界面活性剤の例としては、Tween−80およびプルロニックF−68があげられる。
小分子は、たとえば、ブチレート、アンモニア、非天然糖、非天然アミノ酸、クロロキン、ベタインを含み得る。
いくつかの実施形態では、所望のグリカンの特徴を生成するための製造パラメータとしてアンモニア含有量を選択可能である。たとえば、アンモニアは、0.001から50mMの範囲で培地に存在可能である。アンモニアは、培養に直接添加可能および/またはグルタミンまたはグルコサミンの副生物として生成可能である。所望のグリカンの特徴が高マンノース構造数の増加、フコシル化減少およびガラクトシル化減少のうちの1つ以上である場合、選択される製造パラメータは、約0.01から50mMの濃度で存在するアンモニアなどのアンモニアの存在下で、細胞(dhfr欠損CHO細胞などのCHO細胞など)を培養することを含み得る。たとえば、所望のグリカンの特徴がガラクトシル化減少を含む場合、選択される製造パラメータは、血清含有培地中、約0.01から50mMの濃度で存在するアンモニアなどのアンモニアの存在下で、細胞(dhfr欠損CHO細胞などのCHO細胞など)を培養することを含み得る。
もうひとつの製造パラメータにブチレート含有量がある。培養液中にブチレートが存在すると、得られる糖タンパク質調製物のガラクトース濃度が高まることがある。ブチレートは、得られる糖タンパク質調製物のシアル酸含有量を増す。したがって、ガラクトシル化および/またはシアリル化の増加が望ましい場合、糖タンパク質の産生に用いる細胞(dhfr欠損CHO細胞などのCHO細胞など)をブチレートの存在下で培養することが可能である。いくつかの実施形態では、約2mMから10mMなど、約0.001から10mMの濃度でブチレートを存在させることが可能である。たとえば、所望のグリカンの特徴がシアリル化の増加を含む場合、選択される製造パラメータは、血清含有培地中、約2.0から10mMの濃度で存在するブチレートなどのブチレートの存在下で、細胞(dhfr欠損CHO細胞などのCHO細胞など)を培養することを含み得る。このような方法は、接着培養条件およびT型フラスコでの培養のうちの1つ以上を選択することをさらに含むものであってもよい。
いくつかの実施形態では、酵素、糖および/または糖前駆体などの成分を培地に加えるか、細胞に回分供給して糖合成に影響させることが可能である。たとえば、糖前駆体などの基質および酵素を培地に加えるか、細胞に回分供給して所望のグリカンの特徴を生成することが可能である。これらの方法では、細胞によって吸収され、in vivoで「活性化」単糖基質に変換され、細胞によって発現タンパク質に取り込まれる単糖基質を利用することができる。この方法は、所望の糖タンパク質を産生するよう操作可能なものであれば、どのような細胞にも応用できる。細胞は、たとえば、内在性の生化学的プロセシング経路を用いることができ、あるいは、外から付加された単糖を、in vivoまたはin vitroでの標的糖タンパク質へのコンジュゲーション用の基質として機能する活性型に変換または処理するために遺伝子操作可能なものである。
多糖鎖に加えられる単糖を活性化した形態で取り込むこともできる。加えることのできる活性化単糖としては、UDP−ガラクトース、UDP−グルコース、UDP−N−アセチルグルコサミン、UDP−N−アセチルガラクトサミン(acetylgactosamine)、UDP−キシロース、GDP−マンノース、GDP−フコース、CMP−N−アセチルノイラミン酸およびCMP−N−アセチルグリコリルノイラミン酸があげられる。培地に加えるか、細胞に回分供給できる他の単糖前駆体としては、N−アセチルグルコサミン、グルコサミン、グルコース、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、フルクトース、フコース、グルコース−6−ホスフェート、マンノース−6−ホスフェート、マンノース−1−ホスフェート、フルクトース−6−ホスフェート、グルコサミン−6−ホスフェート、N−アセチルグルコサミン−6−ホスフェート、N−アセチルマンノサミン、N−アセチルノイラミン酸−6−ホスフェート、フコース−1−ホスフェート、ATP、GTP、GDP、GMP、CTP、CDP、CMP、UTP、UDP、UMP、ウリジン、アデノシン、グアノシン、シトジン(cytodine)、ラクトース、マルトース、スクロース、フルクトース1,6ビホスフェート、2ホスホエノールピルベート、2−オキサロアセテート、ピルベートがあげられる。
単糖の活性型については、従来技術において周知の方法で生成可能である。たとえば、Gal−1−Pを得るための1位での直接リン酸化であり、これをUTPと反応させてUDP−ガラクトースを得る方法をはじめとするいくつかの方法で、ガラクトースを活性化してUDP−ガラクトースにすることが可能である。Glc−1−Pを置き換えるUDP−グルコースでのウリジルトランスフェラーゼ交換反応によって、Gal−1−PをUDP−ガラクトースに変換する。UDP−グルコースは、ヘキソキナーゼによってグルコースをGlc−6−Pに変換し、続いてホスホグルコースイソメラーゼによりFru−6−Pに変換するか、ホスホグルコムターゼによりGlc−1−Pに変換するかのいずれかで、グルコースから誘導可能である。Glc−1−PとUTPとの反応によってUDP−グルコースが形成される。GDP−フコースは、マンノースのC−6位にてCHOHでCHに還元してGDP−Manから誘導可能である。これは、2種類の酵素の逐次作用によって実現できる。まず、GDP−ManのC−4マンノースをGDP−Man4,6−デヒドラターゼで酸化してケトンすなわちGDP−4−デヒドロ−6−デオキシ−マンノースにすると同時に、NADPをNADPHに還元する。GDP−4−ケト−6−デオキシマンノースをC−3およびC−5でエピマー化して、GDP−4−ケト−6−デオキシグルコースを形成し、続いてC−4にてNADPHで還元してGDP−フコースを形成する。他の活性化単糖形態を得る方法が、たとえば、Varki,A et al.,eds.,Essentials of Glycobiology,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY(1999)に記載されている。
また、適当なグリコシルトランスフェラーゼを用いて、活性化単糖を多糖鎖に取り込むことが可能である。たとえば、シアル酸であるCMP−シアル酸を多糖鎖に取り込むには、α2→3シアル酸転移酵素またはα2→6シアル酸転移酵素などのシアル酸転移酵素を使用してもよい。フコースを取り込むには、α1→2フコシルトランスフェラーゼ(fucosyltransferase)、α1→3フコシルトランスフェラーゼ、α1→4フコシルトランスフェラーゼまたはα1→6フコシルトランスフェラーゼなどのフコシルトランスフェラーゼを使用してもよい。ガラクトースおよびGlcNAcを取り込むためのグリコシルトランスフェラーゼとしては、それぞれガラクトシルトランスフェラーゼ(α1→3ガラクトシルトランスフェラーゼ、β1→4ガラクトシルトランスフェラーゼまたはβ1→3ガラクトシルトランスフェラーゼなど)や、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI、IIまたはIIIなど)があげられる。他の単糖(monsaccharides)を取り込むためのグリコシルトランスフェラーゼも周知である。グリコシルトランスフェラーゼは、培地に加えるか、細胞に回分供給でき、あるいは、細胞が内在性のプロセシング経路を用いるか遺伝子操作されて外から加えられた単糖を変換または処理することが可能である。
培地に加えるか、細胞に回分供給できる酵素の他の例も本明細書に記載されている。
いくつかの態様は、グルコサミンを培地に存在させることを含む。グルコサミンを培地に加えるか、細胞に回分供給でき、あるいは、グルコサミンが産生されるようにして、適当な酵素および/または基質を培地に加えるか、細胞に回分供給できる。たとえば、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルグルコサミン6−ホスフェート、N−アセチルマンノサミンまたはフルクトースのうちの1つ以上を、グルコサミン産生用に培地に加えるか、細胞に回分供給できる。グルコサミンの存在下で培養される細胞は、フコシル化および/またはガラクトシル化のレベルを低下させることができる。よって、いくつかの実施形態では、フコシル化および/またはガラクトシル化の減少が望ましい場合、血清含有培地などで、グルコサミンの存在下にて細胞(dhfr欠損CHO細胞などのCHO細胞など)を培養してもよい。細胞培養物にグルコサミンが存在すると、糖タンパク質調製物における高マンノース構造およびハイブリッド構造の量を増やすことが可能である。よって、いくつかの実施形態では、高マンノースまたはハイブリッド型グリカン構造のレベルの増加が望ましい場合、グルコサミンの存在下にて細胞(dhfr欠損CHO細胞などのCHO細胞など)を培養してもよい。グルコサミンは、たとえば、約0.001から40mMなどの濃度で存在可能である。
この方法は、ウリジンを培地に添加または細胞に回分供給させて、たとえば、細胞によって産生されるタンパク質に関連する高マンノース構造のレベルを低下させることをさらに含む。シチジン、UTP、OMPおよび/またはアスパルテートを培地に加えるか、細胞への回分供給によって、培養時にウリジンが生成されることもある。好ましくは、ウリジンが約0.001から10mMの濃度で存在する。
他の態様は、グリコシル化の特徴に大幅に影響しない培地成分を選択することを含む。たとえば、培養におけるグルコサミンおよびウリジンの存在は、下記の組み合わせの存在下で培養される細胞(dhfr欠損CHO細胞などのCHO細胞など)によって生成される糖タンパク質のガラクトシル化、フコシル化、高マンノース産生、ハイブリッド産生またはシアリル化を大幅に変化させることがない。また、培養におけるマンノースの存在は、マンノースの存在下で培養される細胞(dhfr欠損CHO細胞などのCHO細胞など)によって生成される糖タンパク質のガラクトシル化、フコシル化、高マンノース産生、ハイブリッド産生またはシアリル化を大幅に変化させることがない。よって、本明細書に記載の方法は、培地のこの成分によってグリカンの1つ以上の特徴が大幅に変化しないようにして、マンノースなどの培地成分および/またはグルコサミンとウリジンの組み合わせを選択することを含み得るものである。
マンノースの存在が選択された製造パラメータである場合、マンノースを培地に加えるか、細胞に回分供給するか、あるいは、フルクトースまたはマンナンなどの適当な基質に曝露した細胞によって産生させることが可能である。好ましくは、マンノースは、約0.001から50mMの濃度で存在する。
培地成分および培養条件(カラムA)ならびにグリカンの特徴(A列)への影響を含むさまざまな製造パラメータを以下の表IIにあげておく。
物理化学的パラメータ
本明細書に記載の方法は、所望のグリカン特性と相関する培養条件を選択することを含み得る。このような条件は、温度、pH、オスモル濃度、剪断力または攪拌速度、酸化、スパージ速度、培養容器、接線流、DO、CO、窒素、流加、酸化還元、細胞密度および供給戦略を含むものであってもよい。選択可能な物理化学的パラメータの例を表Vにあげておく。
たとえば、製造パラメータが、酸性、中性または塩基性のpH条件下で細胞を培養することであってもよい。温度については、10〜42℃から選択することが可能である。たとえば、約28から36℃の温度であれば、これらの温度で培養される細胞(dhfr欠損CHO細胞などのCHO細胞など)によって生成される糖タンパク質のガラクトシル化、フコシル化、高マンノース産生、ハイブリッド産生またはシアリル化を大幅に変化させることがない。また、細胞の成長率を落とす方法にもこの作用がある場合がある。よって、この製造パラメータで糖合成を変化させたくないのであれば、この範囲の温度または成長率を落とす方法を選択してもよい。
他の実施形態では、所望のグリカンの特徴が得られる二酸化炭素濃度を選択することが可能である。CO濃度は、たとえば、約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、13%、15%、17%、20%、23%および25%(ならびにその間の範囲)であってもよい。一実施形態において、フコシル化の減少が望ましい場合、約15%など、約11から25%のCO濃度で細胞を培養してもよい。CO濃度は手作業で調節してもよいし、細胞副生物であってもよい。
多岐にわたるフラスコ、ボトル、リアクター、コントローラによって、細胞培養系の生成とスケールアップが可能になる。系については、少なくとも一部は、所望のグリカン特性との相関に基づいて選択可能である。
細胞は、たとえば、回分培養、流加培養、灌流培養または連続培養で培養可能なものである。
選択可能な製造パラメータとしては、たとえば、いつ(培養時間の前半、なかほど、後半)どのくらいの頻度で培地を収集するかということを含む培地の追加または除去、細胞培養物を攪拌する速度の増減、細胞を培養する温度の増減、培養密度が調節されるように培地の追加または除去、細胞培養を開始または終了する時刻の選択、細胞培養パラメータを変更する時刻の選択があげられる。このようなパラメータは、後述する回分培養条件、流加培養条件、灌流培養条件、連続培養条件などのいずれにおいても選択可能である。
回分培養:回分培養は、培養対象となる細胞を決まった容量の培養液に入れ、そこで細胞を増殖させて実施される。通常、細胞数は最大値に達するまで指数関数的に増える、最大値に達した後は、増殖が止まって細胞は死滅してしまう。これは、栄養塩が枯渇するか、あるいは成長の阻害因子が蓄積されるかのいずれかによるものであろう。元に戻すには、細胞が死滅したときか、これよりも前の所定の時点で細胞を培地から取り出す。回分培養には、一定の時間(細胞が生存する時間に依存する)、(細胞を培地に入れたら何も添加しないため)決まった容量で進行させ、収集は1回で、プロセスの終わりに細胞が死滅するか廃棄されるという特徴がある。
流加培養:これは、回分培養の変形であり、原料をバッチに加える必要がある。細胞は決まった容量の培地で培養される。最大細胞濃度に達する前に、特定の補助栄養塩を培養に加える。原料の量は、培養の量と比較して最小限である。流加培養では、固体基質または濃縮した液体状の基質のいずれかを、増殖の期間中に定期的または連続的に加える先となる回分細胞培養が必要である。流加培養にも、通常は一定の時間、実質的に決まった容量で進行し、収集は細胞が死滅したときかこれよりも前の所定の時点の1回であるという特徴がある。流加培養については、たとえば、米国特許第5,672,502号明細書に記載されている。
灌流培養:灌流培養では、細胞をリアクターに保持あるいは、沈降、遠心分離または濾過によってリアクターに戻す際に、リアクターで培地を高速灌流する。1日あたり最大で10のリアクター容量の培地がバイオリアクターに灌流される。このような大量の培地を灌流することの主要な役割は主に、大半が乳酸塩である代謝物を培養流体から除去することである。灌流培養については、たとえば、米国特許第6,544,788号明細書に記載されている。
連続培養:連続培養では、細胞をまず決まった容量の培地で増殖させる。衰退期の開始を回避するために、細胞濃度が最大になる前に新鮮な培地のポンプ供給を開始する。ある比率の細胞を含む培養を連続的に容器から取り出し、一定の容量を維持する。このプロセスでは産物を取り出すが、これは連続的に収集され、栄養塩も連続供給されることから、細胞を指数関数的に増殖する状態に保つことができる。連続培養は、産物の培養容積が連続的に増え、指数関数的に増殖する培養が維持されるという特徴がある。死滅期または衰退期は、ほとんどないかまったくない。連続培養では、細胞は連続的に新鮮な栄養塩培地を与えられ、使用済みの培地、細胞、排泄された細胞産物は連続的に抜き取られる。連続培養およびバイオリアクターについては、たとえば、米国特許第4,764,471号明細書、同第5,135,853号明細書、同第6,156,570号明細書に記載されている。
バイオリアクター
バイオリアクターとは、細胞培養(哺乳類、植物、酵母、細菌細胞など)に関して細胞または組織を増殖させることを意図した装置またはシステムなど、生物学的に活性の環境を支持する装置またはシステムである。このプロセスは、好気性であっても嫌気性であってもよい。バイオリアクターは一般に円筒形であり、大きさは数リットルから数立方メートルの範囲であり、ステンレス鋼で作られていることが多い。動作モードに基づいて、バイオリアクターを、回分、流加または連続(連続攪拌タンクリアクターモデルなど)に分類できる。
バイオリアクターは、培養容積が大きい場合に使用できる(100〜10,000リットルの範囲)。たとえば、チャンバ容器(攪拌タンクまたは攪拌フラスコバイオリアクターなど)の底のプロペラ、あるいは、培養容器に通す気泡によって、浮遊細胞系を浮遊液中に維持することが可能である。これらの攪拌方法はいずれも、機械的応力を生じる可能性のあるものである。膜、多孔性マトリクス(セラミックマトリクスなど)、多糖ゲルを使用して、細胞を剪断から保護および/または数週間から数か月の期間にわたって生産性のあるバイオリアクターで高い細胞密度を得ることが可能である。
回転式バイオリアクターでは、細胞の十分な灌流を維持するのに、ローラボトルのようなローリング作用を利用している。高密度の環境を作るために、半透膜によって培養チャンバをフィーダーチャンバとは分けることが可能である。これによって、細胞を乱すことなく培地を交換できるようになる。この原理を利用して、Synthecon’s Rotary Cell Culture System(RCCS)では回転作用によって微少重力環境を生み、実質的に剪断力を排除する。これによって、in vivoにある複雑な三次元(3D)マトリクスであるかのように、細胞は損傷対策ではなく他の細胞との関係構築に資源を使うことができるようになる。リアクター容器は、大きさの範囲が10mlから500mlである。
バイオリアクターの非限定的な例は以下のとおりである。
Heraeus miniPERMバイオリアクターでは、外側のオートクレーブ可能な栄養塩容器と内側の使い捨てバイオリアクターチャンバとを組み合わせている。所望の産物(本明細書に記載の産物など)用の適切な分子量カットオフ膜を選択してもよい。これは大きさが小さいため、標準的なインキュベータの内側にうまく収まる。1mlあたり細胞10個よりも高い密度と、4週間の産物収率160mgが可能である。
New Brunswick ScientificのCELLIGEN PLUS(登録商標)は、実質的にすべての真核細胞系を培養できる極めて柔軟性の高いシステムである。特長として、O飽和量を高めるためのダブルスクリーンインペラ、双方向の四ガス制御、一体式のリングスパージャ、プログラム可能な5つのポンプ、システム制御およびデータログ記録のためのコンピュータインタフェース、4チャネルレコーダー出力がある。このユニットを攪拌タンクまたは繊維層システムのいずれとして使用してもよい。
Wave Bioreactor(商標)(Wave Biotech, LLC製)では、剪断力を低く保ちつつ培養を静かに曝気するための電子式エアポンプと可変速ロッキングプラットフォームを採用している。小さめの培養とロッキングプラットフォームは標準的なインキュベータに合う。培養液と細胞だけが、セルバッグと呼ばれる事前に滅菌した使い捨てのチャンバ(特別なロッキングプラットフォームに配置される)と接触する。このプラットホームの揺動運動によって、培養流体に波が作られる。これらの波がゆえに、混合と酸素の移動が起こり、細胞20×10個/mlを容易に支持できる細胞増殖用の完全な環境が得られる。バイオリアクターには、洗浄や滅菌は必要なく、二次感染に対する保護性と究極の操作性が得られる。
Quark Enterprisesは、高密度培養用のSpingro(登録商標)フラスコを含めてバイオリアクター一式を提供する。これらのホウケイ酸攪拌フラスコは、100mlから36lの範囲であり、Teflon(登録商標)製のスピンパドル、プローブ用のサイドベント、サンプリングの容易さ、再循環水浴で使用するためのジャケット付きのモデルが特徴である。いずれのモデルも完全にオートクレーブ可能である。
ProCulture DynaLiftシステム(Corning)では、細長いパドル、サイドバッフル、底部の曲線を取り入れることで、灌流を容易にするとともに、剪断効果を抑えている。これは、125mlから36lの範囲の大きさで入手可能である。
もうひとつの例に、Braun Biotech社のBiostat(登録商標)バイオリアクターがある。
細胞の最大培養は、発酵槽タイプのシステムで実現されることが多い。このシステムでスケールアップするには、浮遊細胞がもっとも直接的である。生産性を最大にするためのパラメータが詳細に決まってしまえば、細胞の増殖と収集が容易になることが多い。ほとんどの提供業者では、pH、気体飽和、代謝物用のインラインモニタを利用できる。付着細胞の場合は課題がもっと多い。なかには「浮遊液適応」可能なものもある。支持材としてのマイクロキャリアビーズを利用して培養を改善してもよい(下記参照)。
攪拌タンクバイオリアクター:
攪拌(およびフラスコ)では、密度の高い細胞培養物を提供することができる。一例として、以下のものがあげられる。
使い捨てStirred Tank Bioreactor(Xcellerex):独立型の可動式システムとして動作可能あるいは、FlexFactory(商標)に統合される、拡張性のある使い捨て攪拌タンクバイオリアクター(XDR(商標))。XDRでは、最大1,000Lまたは2,000Lの可動範囲規模で培養条件を監視および制御するプロセスセンサを取り入れている。FlexFactory(商標)は、生物学的薬剤およびワクチン用の完全なターンキーモジューラー生産トレインである。FlexFactory(商標)の核をなす単用で使い捨ての構成要素がゆえに、伝統的な固定タンク式の硬質パイプ設備と比べると劇的に低いコストで、複数の産物を1箇所で製造できるなど新たなプロセス変化に順応でき、なおかつ短時間で生産力を安定させるだけの高い柔軟性が得られる。
Applikonでは、2.3lのベンチシステムから10,000lの製造ユニットまで、フルラインの攪拌タンクを提供している。すべてのユニットについて、ポンプ、プローブ、コントローラおよびソフトウェアも利用可能である。最大20Lまでのホウケイ酸ガラス製の容器を利用可能であり、リップシールタイプあるいは磁気結合タイプの攪拌子に取り付けることができる。ステンレス鋼のBioClave(商標)容器は、中規模から大規模製造用に設計されており、長手方向に覗き窓としてのガラスが埋め込まれ、リップシール式の攪拌子か磁気式の攪拌子を選択できることが特徴である。
エアリフトバイオリアクター:
攪拌タンクに代わるものとして、エアリフトバイオリアクターがある。このリアクターには、いくつかの哺乳類やハイブリドーマの細胞が特に影響を受けやすい剪断力の原因となる可動式のブレードがない。培地は上からの灌流であり、酸素は下から流入するようになっているため、ほぼ理想的な混合環境が得られる。
Kimble−Kontesでは、有効容積580mlのCYTOLIFT(登録商標)ガラスエアリフト(airlft)バイオリアクターを製造している。これは、容易に洗浄でき、完全にオートクレーブ可能であることから、実施性が一貫している上に長寿命である。すべてのモデルにガラスジャケットが標準である。他の特長として、圧力低下時に逆流を防止するためのチェック弁、通気口、注水口および排水口に加えて、pH、発泡レベル、dO2プローブ用の3つのポートがある。CYTOSTIR(登録商標)(同じくKimble−Kontesから)は、大きさが100mlから36lまで9段階に分かれた、ダブルサイドアーム型のバイオリアクターの列である。高さ調節可能な大型の攪拌ブレードは、細胞付着を最小限に抑えるとともに洗浄が容易になるよう、Teflon(登録商標)で構成されている。構成要素は蒸気でオートクレーブ可能である。
回分バイオリアクター:
回分バイオリアクターでは、培地と種菌を最初に仕込み、そのまま細胞を増殖させる。培地の追加/交換はおこなわず、インキュベーション期間終了時に細胞塊全体を収集する。このようなバイオリアクターシステムの特性は以下のとおりである。(i)培地の連続枯渇、(ii)細胞廃棄物の蓄積、(iii)増殖率の変動、(iv)細胞組成の連続変化。
培地用の流入口と、培地/培地+細胞用の流出口を閉じて、スピンフィルタバイオリアクターを回分バイオリアクターとして使用してもよい。
回分バイオリアクターは、Rockland Immunochemicals,Inc.から入手可能である。
流加バイオリアクター:
流加(半回分)リアクターでは、原料を加えるが、排水(および細胞)は除去しない。よって、流加リアクターを使用すれば、ウォッシュアウトがなくても細胞を低基質または栄養塩条件下に維持することが可能である。培養時に細胞は除去されないため、流加バイオリアクター(biorecator)は増殖が極めて遅かったり増殖が起こらなかったりするときに生成される化合物の生成に極めて適している。連続バイオリアクターとは異なり、増殖を維持するのに必要なすべての栄養塩を原料に含有させておく必要はない。原料には、窒素源または代謝前駆物質だけを含有させてもよい。
連続バイオリアクター:
連続バイオリアクターでは、インキュベーション期間の最初から最後まで、新鮮な培地が連続的に供給され、使用済みの培地(細胞ありまたは細胞なし)が連続的に抜き取られる。よって、細胞はリアクターに流入してくる新鮮な培地で連続的に繁殖し、同時に、産物、代謝廃棄物、細胞が排水と一緒に取り除かれる。連続流バイオリアクターの一例にスピンフィルタ型のバイオリアクターがある。これは、以下のような特長を持ち得る。(1)バイオリアクターの中心軸に、スピニングフィルタが収容されており、これによって細胞を含まない使用済みの培地を軸から抜き出せる。(2)中心軸と磁気的に結合された攪拌子のプレートによって、連続的に攪拌することができる。フィルタを回転させると、培養も攪拌される。(3)スパージャーによって培養に通気されるため、広範囲にわたる通気速度が可能になる。(4)新鮮な培地を加えるためのポートが設けられている。(5)必要になる都度、別のポートで培養(使用済みの培地+細胞)を抜き取ることができる。
このバイオリアクターは、培地交換速度と細胞密度の制御用に極めて用途の広いシステムを提供するものである。これは、2つの培地抜き取り経路があるのに一方だけが細胞を抜き取りできるがゆえに可能になることである。
連続流バイオリアクターを使用すれば、細胞を特定の細胞密度で活発な増殖期に増殖させることが可能である。このような培養は、以後の培養用の種菌を提供するか、バイオマス収量(yields)の連続ソースとしての役目を果たせるものである。
固定化細胞型バイオリアクター:
これらのバイオリアクターは、ビーズを生成するためのアガロース、寒天、キトサン、ゼラチン、ジェラン、ポリアクリルアミドおよびアルギン酸カルシウムなどのゲル、あるいは膜または金属(ステンレス鋼)スクリーンコンパートメントまたはシリンダのいずれかに封入された細胞に基づくものである。
このようなバイオリアクターの動作例:細胞の入った膜スクリーンシリンダをチャンバに保持し、これを介して再利用チャンバからの培地を循環させる。培地はスクリーンシリンダと平行に流れ、スクリーン全体で細胞塊に拡散する。
同様に、細胞からの産物も培地に拡散し、スクリーンシリンダから出る。細胞を収容している膜/スクリーンコンパートメントは、円筒形であっても平らであってもよく、スクリーンコンパートメントに対して平行ではなく、その全体になるように培地の移動を調節してもよい。新鮮な培地を規則的に加え、等量の使用済み培地をリサイクル用チャンバから抜き取って、その栄養塩の状態を維持する。
細胞の固定化によって、浮遊液中の細胞と比較すると細胞の生理が変化する。この手法は、目的の生化学物質が細胞によって培地に排泄される場合に有用である。
産物の排泄も固定化自体によって生じることがあり、あるいは、pHの変更、浸透化剤としてのDMSO(ジメチルスルホキシド)の使用、培地のイオン強度の変化、エリシターなどの特定の処理によって生じることもある。
固定化細胞リアクターには、以下の利点があり得る。(i)細胞ウォッシュアウトのリスクなし、(ii)低汚染リスク、(iii)液体剪断からの細胞の保護、(iv)細胞凝集サイズの一層よい制御、(v)(固定化細胞バイオリアクターでの)産生段階からの(回分/連続バイオリアクターでの)増殖期の分離、(vi)システムから規則的に除去される細胞廃棄物、(vii)高細胞密度の培養。
多段階バイオリアクター:
このような培養系は、2つ以上のバイオリアクターを特定の順序で使用しており、各々が製造プロセス全体のうちの特定のステップを実施する。もっとも単純な状況では、2つのバイオリアクターが必要である。たとえば、生化学物質の産生では、両方のバイオリアクターが回分タイプであってもよい。すなわち、第1のバイオリアクターが、高速細胞増殖のための条件を提供する、バイオマスの産生向きのものであり、第2のバイオリアクターが、生化学的な生合成と蓄積に貢献する条件を有する。細胞バイオマスは、第1段のバイオリアクターから回収され、第2段のリアクターの種菌として用いられる。別の例として、第1のリアクターが連続モード、第2のリアクターが回分タイプであってもよい。
このバイオリアクターからの細胞塊は、第2段の回分タイプのバイオリアクター用の連続種菌源としての役目を果たすが、これは胚の発生と成熟に必要な(ただし細胞増殖には不要)条件を有する。連続した第1段のバイオリアクターを使用することで、1つ以上の利点が得られる。たとえば、(i)2回の実施の間で回分リアクターの洗浄などに伴う時間、労力、コストを回避できる、(ii)回分培養の遅滞期がなくなる、(iii)一層均質かつ活発に増殖する細胞集団が得られる。
灌流バイオリアクター:
灌流培養用のバイオリアクターを利用できる。例は以下のとおりである。
Corning Life SciencesからのCellCube(登録商標)Systemによって、連続灌流式のバイオリアクターにおける接着依存細胞の大量培養用の高速かつ単純でコンパクトな方法が得られる。このシステムは、あらゆるレベルのバイオマス、ウイルス、可溶性生体分子の産生で付着細胞を増殖させるために容易に拡張可能なシステムである。基本システムでは、同一の制御パッケージを用いる細胞増殖表面が8,500cmから85,000cmの使い捨てのCellCube(登録商標)Modulesを使用する。CellCube(登録商標)Modulesには、細胞の結合性を改善するためのスタンド式組織培養表面または新型のCorning CellBIND(登録商標)Surfaceと一緒に利用可能なポリスチレン製の増殖面がある。これらの使い捨てポリスチレンモジュールは、3.5lの培地を保持し、キューブ1つあたり21,000cm2の増殖総面積に25枚のパラレルプレートを含み、最大340,000cm2(4/100スタック)まで拡張可能である。連結可能なキューブが一方のコーナーに立ち、培地は底から流入して上から出る。CellCube(登録商標)Systemは、4つの資本設備すなわち、システムコントローラ、酸素供給器、循環、培地ポンプからなる。デジタルコントローラは、灌流、pH、dO、温度のインライン監視が特徴である。
遠心バイオリアクター
もうひとつのタイプのバイオリアクターに、Kinetic BiosystemsのCBR 2000遠心バイオリアクターなどの遠心バイオリアクターがある。工業生産用に設計され、攪拌タンクバイオリアクターの10,000倍の密度を実現可能である。培地は心棒を介して供給され、続いて回転作用によって強制的に外に送り出され、そこで反応チャンバに入る。細胞は、灌流で遠心力に抗して浮遊液で保持される。廃棄物は心棒を介して除去され、1時間あたり10回サンプリングされる。増殖および製造パラメータのリアルタイム分析は、攪乱があればすみやかに調節可能であることを意味する。最終的な結果は、産物の収率と品質を向上できることである。各チャンバでは、それぞれのロータで3つのチャンバを保持した状態で、1×1016個の細胞を生成できる。
マイクロキャリア
付着した細胞系(バイオリアクター細胞培養の場合など)では、マイクロキャリアビーズを加えることで、得られる細胞密度を高めることが可能である。これらの小さなビーズは直径が30〜1005μmであり、たとえば、デキストラン、セルロース、ゼラチン、ガラスまたはシリカなどで製造可能であって、細胞結合に利用可能な表面積を増すことができる。得られるマイクロキャリアの範囲は、このシステムでほとんどの細胞型を増殖可能であることを意味する。
粒子は、固体と多孔性の2つの形態を取り得る。固体ビーズはバイオマスの収集で一番管理しやすいものであり、一方分泌または溶解産物の場合は多孔性ビーズのほうが適している。他のマトリクスもビーズを静置状態で保持し、培地が灌流される固体床を生成する。
浮遊させたマクロ多孔性ビーズを用いるマイクロキャリア培養は容易にスケールアップ可能である。これらのシステムは、細胞がマトリクスの孔の中に高密度で固定化され、流体剪断から保護されるという点で、従来の表面マイクロキャリア培養とは違って独特なものである。マクロ多孔性ビーズのもうひとつの利点に、従来のマイクロキャリアと同じようにしてバルク培地から直接的に摂取できることがある。浮遊液ビーズ固定化システムは、懸濁床または攪拌タンクバイオリアクターをはじめとする多数の異なるリアクター構成で使用可能なものである。これらのシステムは、バイオリアクターの容積とビーズの数を増すことでスケールアップ可能である。浮遊液マクロ多孔性ビーズ技術も利用可能である。哺乳動物の細胞培養環境を真似ようとする試みで、これらのマクロ多孔性ビーズは、コラーゲンベース(コラーゲン、ゼラチンまたはコラーゲン−グリコサミノグリカンなど)であってもよい。
たとえば、Ashby Scientific製のPorous ImmobaSilマイクロビーズであれば、利用者の特定の培養容器に適応させやすい、異なる形状とサイズで入手可能である。これらのビーズは気体透過性であり、産物の収率を最大にするために培養密度を1mlあたり3×10まで高めることができる。
Amersham Pharmacia(AP)Biotechからは、マイクロキャリアおよび流動床リアクターが提供されている。Cytopore IビーズがCHO−タイプの細胞用に最適化され、Cytopore IIは高めの表面電荷密度が必要な付着細胞用である。Cytoline Iビーズは、高い循環速度を必要とする弾力のある(resilient)細胞に適している。低密度Cytoline IIキャリアは、比較的ゆっくりな循環が必要なハイブリドーマなどの剪断の影響を受けやすい細胞用に最適化されている。AP Biotechは、そのCytolineビーズとの併用向けにCytopilot流動床システム灌流リアクターを設計した。
細胞培養物の増殖用のガラス表面マイクロキャリアについては、米国特許第4,448,884号明細書に記載されている。
さらに、マイクロキャリア細胞培養物用のダブルサイドアーム型の攪拌バイオリアクターのCYTOSTIR(登録商標)系(Kontesから)が、実用性を高め、かつ相互交換性を高めるべく完全に再設計された。CYTOSTIR(登録商標)バイオリアクターは、100mLから36リットルまでの9とおりの大きさで利用可能である。ホウケイ酸ガラスフラスコには、ネジ式の蓋がついた2つの大きなサイドアームがあり、サンプリングが容易になっている。フラスコ底部の中央にあるドームが、攪拌ブレード下にマイクロキャリアが直接蓄積されるのを防止している。高さ調節可能な大型のTeflon(登録商標)攪拌ブレードが、組織培養に必要なゆっくりとした攪拌速度でマイクロキャリアを浮遊液に保持するために攪拌効率を最大にするよう設計されている。攪拌時、培養はホウケイ酸ガラスおよびTeflon(登録商標)としか接触しない。1リットルのフラスコと、これよりも大型のフラスコにはいずれも、滴が垂れるのを防ぐリップとポリプロピレン製のキャップにシールリングが設けられている。CYTOSTIR(登録商標)バイオリアクターおよび構成要素はすべて、完全に蒸気オートクレーブ可能である。
攪拌培養
これは、ハイブリドーマを含む浮遊系用ならびに、浮遊液での増殖に適応された付着系用の一般的な培養方法のひとつである。スピナーフラスコは、プラスチックまたはガラスのボトルであり、中央の磁気攪拌子軸と、細胞および培地の供給と抜き取り用、さらには濃CO空気の供給用のサイドアームがある。接種後のスピナーフラスコを攪拌子に配置し、その細胞系に適した培養条件で培養する。培養をたとえば100〜250rpmで攪拌することが可能である。培養容積1〜12リットルに対応したスピナーフラスコシステムが、Techne、Sigma、Bellcoから入手可能である。例(型番Z380482−3L容量およびZ380474−1L容量)。スピナー培養系のもうひとつの例がMantaRay単用スピナーフラスコである。
Wheaton Science Productsからは、あらゆる製造レベル用のスケールアップシステムが提供されている。そのMagna−Flex(登録商標) Spinner Flaskには、マイクロビーズと併用するためのバルブ形でフレックスタイプのガラスインペラがある。着脱自在のステンレスピンによってインペラを固定し、取り扱い時の細胞の損傷を防ぐ。125mlから8lの大きさの範囲で入手可能であり、いずれも完全にオートクレーブ可能である。また、スケールアップ前に最適な培養条件を決定するためのCell Optimizer(商標)System、最大45lまでの工業レベルでの経済的な製造用のOVERDRIVE(商標)も利用可能である。
B.Braun BiotechからのSuperSpinnerは、500mlおよび1000mlの培養に対応し、気泡のない曝気/攪拌システムを特徴とするエントリレベルの攪拌フラスコである。攪拌容器のBiostat(登録商標)シリーズでは、50mlから10lの培養サイズに対応しており、すぐに使える完全なシステムと、既存の構成要素を統合するシステムを含む。
Techne UKからは、容量が最大で5lのフルラインの攪拌フラスコが提供されている。パドルではなく攪拌棒を用いて設計されているため、回転するベアリングを排除することで洗浄とオートクレーブが単純化されている。独特な攪拌作用によって、培養時をとおして穏やかな螺旋で垂直流と水平流が形成される。そのプログラム可能な攪拌プラットホームのラインは、過剰な攪乱による細胞の損傷を抑えるためのSOFTSTART(商標)加速/減速制御を特徴とするものである。
Wheaton Science Productsからは、あらゆる製造レベル用のスケールアップシステムが提供されている。そのMagna−Flex(登録商標) Spinner Flaskには、マイクロビーズと併用するためのバルブ形でフレックスタイプのガラスインペラがある。着脱自在のステンレスピンによってインペラを固定し、取り扱い時の細胞の損傷を防ぐ。125mlから8lの大きさの範囲で入手可能であり、いずれも完全にオートクレーブ可能である。また、スケールアップ前に最適な培養条件を決定するためのCell Optimizer(商標)、最大45lまでの工業レベルでの経済的な製造用のOVERDRIVE(商標)も利用可能である。
T型フラスコ培養
付着培養または浮遊培養を、T−25、T−76、T−225フラスコなどのT型フラスコで増殖することが可能である。キャップを栓で封止したり通気したりすることが可能である。このフラスコはプラスチックであってもガラスであってもよい。フラスコの表面に、たとえば、細胞の結合、拡がり、分化を助ける、多岐にわたる負に荷電した官能基および/または窒素含有官能基を含有する親水性部分のコーティングをほどこしてもよい。T型フラスコは、たとえば、Nunc、Nalgene、Corning、Greiner、Schott、PyrexまたはCostarから入手可能である。
細胞培養皿
細胞を培養皿で増殖させてもよい。皿の表面に、たとえば、細胞の結合、拡がり、分化を助ける、多岐にわたる負に荷電した官能基および/または窒素含有官能基を含有する親水性部分のコーティングをほどこしてもよい。皿は、たとえば、BD Biosciences、Corning、Greiner、Nunc、Nunclon、Pyrexから入手可能である。
浮遊細胞培養物
浮遊細胞については、たとえば、本明細書に記載のバイオリアクター、皿、フラスコまたはローラボトルなどで増殖させることが可能である。
静置浮遊培養系
静置浮遊液系の一例に、CELLine(商標)1000がある。CELLine(商標)1000(Integra Bioscience、Chur、Switzerland)装置は、膜ベースの使い捨て細胞培養系である。これは、半透性の透析膜(10kD分子量カットオフ)で分離された培養チャンバ(20mL)と栄養塩供給コンパートメント(1000mL)という2つのコンパートメントで構成され、これによって小さな栄養塩および増殖因子が産生チャンバに拡散できるようになっている。細胞およびCO拡散の酸素供給は、気体透過性シリコーン膜経由でなされる。抗体が産生培地に集中する。この培養系はCOインキュベータを必要とする。たとえば、最適な産生レベルを得るために、装置に50×10個の細胞を接種し、産生培地の80%と栄養培地全体を1週間に2回交換する。
回転浮遊培養系
このような系は、ローラボトル(本明細書に記載)を含む。回転浮遊液系の一例に、半透性の透析膜で産生モジュール(35mL)が栄養塩モジュール(450mL)とは分離された改良型のローラボトル2−コンパートメントバイオリアクターであるminiPERM(Vivascience、Hannover、Germany)がある。栄養塩と代謝物は、膜を介して拡散し、分泌される抗体は産生モジュールに集中する。酸素添加とCO供給は、産生モジュールの外側にある気体透過性のシリコーン膜と、栄養モジュールまで延在している第2のシリコーン膜とを介してなされる。miniPERMは、COインキュベータ内のローラベースに配置しなければならない。180L容のCO2インキュベータ内に、各々最大で4つのバイオリアクターを保持(すなわち、1〜4のインキュベーションに同じ量の空間があてられる)して2つのローラベースを一緒に配置することが可能である。
ローラボトル
これは、足場依存性細胞系としても知られる付着細胞の初期スケールアップで最も一般的に用いられる方法である。ローラボトルは、内面に結合した細胞に培地を曝露する、ゆっくりと回転(5〜60rph)する円筒形の容器である。ローラボトルは、一般に表面積1050cm2(型番Z352969)のものが入手可能である。いくつかのローラボトルは、微生物学的に安全なキャビネットの限定された空間での取り扱いが難しいため、その大きさが問題となる。最近になって、内面が拡大されたローラボトルが利用できるようになっており、これによって表面積の大きなボトルの取り扱いが一層管理しやすくなっているが、ローラボトルで操作と継代培養を繰り返すのは、可能であれば避けるべきである。ローラボトルに伴う別の問題に、いくつかの細胞系が均等に結合しないため、細胞の結合に伴う問題がある。これは、上皮細胞に固有の問題であるが、通常は低結合効率で細胞結合時の速度を落として回転速度を最適化すれば、若干であれば解決できるものである。
ローラボトルは、考えられるかぎりのあらゆる用途で用いられる。定期的にスケールアップの需要がある小規模な研究室での良い出発点から始まって、大規模な工業生産でも使用される。フラスコの場合と同様にして培養を播種して維持するため、一般に、別途の訓練は不要である。小さなラックが標準的なインキュベータの内側に合うようになっており、追加の資本支出をしなくてすむ。
ローラボトルには、プラスチック、ガラス、プリーツ形、平ら、通気式または固体などの多数の構成がある。ガラスは滅菌および再使用可能であるのに対し、さまざまなプラスチックやコーティングは各種の細胞型の増殖を最適化する。プリーツは、有効増殖面を増すため、追加の空間を必要とせずに産物の収率が高まる。CO環境での培養には通気孔のあるキャップが用いられ、暖かい部屋または調節されていないインキュベータでの培養には、固体のキャップが最適である。ローラボトルは、たとえば、Corningから入手可能である。
付着細胞培養物
付着細胞は、本明細書に記載のバイオリアクター、皿、フラスコ,またはローラボトルなどで増殖可能である。細胞が付着する表面を処理またはコーティングして、細胞の結合、拡がりおよび/または分化を促進または支援することができる。コーティングとしては、リジン(ポリ−D−リジンなど)、ポリエチレンイミン、コラーゲン、糖タンパク質(フィブロネクチンなど)、ゼラチンなどがあげられる。
振盪フラスコ
振盪フラスコを使用して、たとえば、静置培養と比較して細胞培養物の攪拌性を高め、酸素または気体の移動を改善することが可能である。振盪フラスコは、たとえば、PyrexおよびNalgeneから入手可能である。
灌流
灌流系は、本明細書に記載されているような外部の培地瓶からの細胞チャンバの連続供給を可能にするものである。細胞は、細胞チャンバ(バイオリアクター、床灌流バイオリアクター、充填層灌流バイオリアクターなど)に保持される。灌流系の提供業者としては、DayMoon Industries,Inc.,およびNew Brunswick Scientificがあげられる。
中空繊維細胞培養物
中空繊維は、分子量カットオフがあらかじめ規定された小さな管状のフィルタである。これらの繊維の大きな束を円筒形のモジュールに充填することができ、これで液体の灌流を保証しつつ細胞や抗体に対する絶対的な障壁が得られる。中空繊維モジュールでは、小さな体積で大きな表面積を得ることができる。中空繊維の壁は半透性の限外濾過膜として機能する。繊維を囲む毛細管外の空間で細胞を増殖させ、繊維内に培地を連続的に灌流する。代謝物および小さな栄養塩が濃度勾配に応じて、毛細管外の空間と毛細管内の空間との間を自由に灌流する。乳酸塩を測定して培養の監視を実施してもよい。
このような系の例としては、Cellex BiosciencesのAcuSyst中空繊維リアクターがあげられる。
もうひとつの例に、完全に統合された中空繊維細胞培養系であるCell−Pharm(登録商標)システム100(CP100、BioVest、Minneapolis、MN)がある。細胞培養ユニットは、2つのカートリッジからなる。一方は細胞コンパートメントとして機能し、他方は酸素供給ユニットとして機能する。この系は、収率が最大で400mg/月である使い捨ての流路を備える独立の卓上系である。
Cell−Pharm(登録商標)システム2500(CP2500、BioVest)は、たとえばモノクローナル抗体のハイスケール名量の細胞産生産物を産生可能な中空繊維細胞培養産生系である。CP100とは異なり、細胞用の2つの繊維カートリッジからなり、よって、大きな細胞増殖面(3.25m2)が得られる。第3のカートリッジは培地への酸素供給の役割を果たす。
FiberCell(商標)(Fibercell Systems Inc.,Frederick,MD)中空繊維細胞培養系は、培養液リザーバ(250mL)と60mL容の繊維カートリッジ(1.2m2)で構成され、いずれも単一のマイクロプロセッサ制御ポンプに接続されている。もとの培地リザーバの代わりに5L容のフラスコを用いれば、培地供給サイクルを長くすることが可能である。Cell−Pharm(登録商標)システムとは対照的に、FiberCell(商標)バイオリアクターは、COインキュベータ内で用いられる。酸素供給は気体透過性の管材によってなされる。
Cellex Biosciencesは、中空繊維リアクターをあらゆるレベルの製造用にするものである。AcuSyst−XCELL(登録商標)は、1か月あたり60から200グラムのタンパク質を製造する分泌タンパク質の大規模製造用に設計されている。そのAcuSyst miniMax(商標)は、1か月あたり最大10gのタンパク質を生成可能な柔軟な研究規模の卓上バイオリアクターである。数週間の期間のわたる単回またはパイロット研究の場合は、中空繊維およびセラミックマトリクスを選択することで、経済的なRESCU−PRIMER(商標)で1か月あたり最大200mgが生成される。
Unisyn Cell−Pharm(登録商標)MicroMouse(商標)は、標準的な実験用インキュベータの中に合う1.5ft2のフットプリントのある使い捨てシステムである。1か月あたり最大250mgのモノクローナル抗体を3か月間にわたって生成できる。
Integra BiosciencesによるTECNOマウス(登録商標)は、5つの別々のカセットチャンバがあるモジュラーラックシステムである。最大で30週間にわたって、1か月あたり200mgの抗体を産生しながら、最大で5つの異なる細胞系を培養することができる。統合型の気体供給・オンライン監視機能が培養条件の制御の一助となる。
セルファクトリー
セルファクトリーは、ワクチン、モノクローナル抗体または製薬などの生体材料の大規模(工業規模など)細胞培養物および産物に用いられる。付着細胞または浮遊培養にファクトリーを使用することができる。増殖動態は実験室規模の培養と同様である。セルファクトリーでは、小さな面積に大量の増殖面が得られ、取り扱いが容易で汚染のリスクが低い。セルファクトリーは、チャンバの封止されたスタックであり、共通のベントとフィルポートがある。30本のローラボトルに代えて40チャンバのファクトリーを使用することができる。チャンバ同士をつなぐ開口が、一貫した増殖条件になるように培地を均等に充填させる。通気孔には、キャップをするか、バクテリアエアーベントをはめるようにしてもよい。セルファクトリーは、たとえば、ポリスチレンなどから成形可能である。セルファクトリーの提供業者としては、Nuncがあげられる。たとえばNunclon(登録商標)Δで処理するなど、ファクトリーの表面を処理して、増殖または細胞の結合条件を改善することが可能である。
Nunclon(登録商標)Cell Factories(商標)は、1、2、10、40のスタックをなす低プロファイルで通気可能な使い捨てポリスチレンチャンバである。互いに接続されたプレートの革新的な設計がゆえに、接種、供給および収集は容易である。
細胞培養バッグ
単回使用細胞培養バッグなどの細胞培養バッグを用いて、哺乳類、昆虫および植物細胞を増殖することができる。浮遊液、灌流およびマイクロキャリア培養バッグの便利さと柔軟性。細胞培養バッグの提供業者としては、DayMoon Industries,Inc.およびDunn Labortechnik GmbHがあげられる。
バッグの攪拌によって誘導される穏やかな波の動きは、細胞増殖にとって優れた混合および酸素供給環境を作り出す。内側のディップチューブ(dip−tube)とメッシュフィルタが設けられ、マイクロキャリアを用いる灌流培養と培地交換が単純化される。ビルトインのネジ式キャップポートによって、マイクロキャリアビーズ、細胞結合マトリクスおよび組織培養の制約のないアクセスに対する便利さが得られる。
バッグ系はまた、バッグ頂部の空間と環境との間での気体移動の柔軟性を与えるものであり、気体の拡散と連続気体フラッシュの両方が可能である。ネジ式のキャップのビルトインのマイクロ多孔性膜を介しての気体拡散によって、ほとんどの細胞培養物が必要とする十分な気体交換がなされる。必要があれば、1.5psiの加圧空気または気体を一方のルアーポートから導入し、膜のキャップを介して通気する。
一例として、Optima(商標)は、昆虫、植物および哺乳類の細胞を増殖させるための便利さ、容量、柔軟性の得られる単用細胞培養バッグである。Optima(商標)は、従来の実験室での振盪機またはロッキングプラットフォームで使用するよう設計されている。処理量が最大で4lの2つの標準的なバッグで入手可能であり、Optima(商標)は高容量浮遊培養に有用であって、攪拌バイオリアクターに対するコスト効率のよい代用品となる。Optima−mini(商標)バッグは、ほとんどの実験室の振盪機およびロッキングプラットフォームに合うように設計されており、特別な設備は何ら必要ない。
製造パラメータを選択するステップが、から選択される供給条件を選択することを伴う。
グリカンおよび糖タンパク質の精製
精製および処方を含む製造パラメータを使用して、所望のグリカン特性を備える糖タンパク質調製物を産生することができる。さまざまな精製プロセスを用いて、精製糖タンパク質調製物のグリカンの特徴に先入観を抱かせる(prejudice)ことができる。たとえば、親和性ベースの方法、電荷ベースの方法、極性ベースの方法、サイズおよび/または凝集に応じて区別される方法を選択して、所望のグリカン特性を備える糖タンパク質調製物を得ることが可能である。たとえば、順相液体クロマトグラフィを利用して、グリカンおよび/または糖タンパク質を極性に応じて分離することができる。逆相クロマトグラフィは、たとえば、誘導体化した糖と一緒に使用可能である。陰イオン交換カラムを用いて、シアリル化糖、リン酸化糖および硫酸化糖を精製することが可能である。他の方法として、高pH陰イオン交換クロマトグラフィがあげられ、サイズ排除クロマトグラフィを使用することができ、これはサイズ分離に基づくものである。
特定の化学単位およびグリカン構造と優先的に結合する親和性ベースの方法を選択可能である。m−アミノフェニルボロン酸、固定化レクチンおよび抗体などのマトリクスが特定のグリカン構造を結合できる。M−アミノフェニルボロン酸マトリクスは、1,2−cis−ジオール基を含むどの分子(糖質など)とも一過性の共有結合を形成できる。続いて、共有結合を破壊して、目的のタンパク質を溶出される。レクチンは、さまざまな単糖の親和性を呈する糖質認識タンパク質のファミリである。レクチンは、糖質を特異的かつ可逆的に結合する。レクチンによって認識される一次単糖としては、マンノース/グルコース、ガラクトース/N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、フコース、シアル酸(QProteome Glycoarray Handbook,Qiagen,September 2005、http://wolfson.huji.ac.il/purification/PDF/Lectins/QIAGEN_GlycoArrayHandbook.pdfで入手可能)または同様のリファレンスがあげられる。レクチンマトリクス(カラムまたはアレイなど)は、特定のグリカン組成を持つ糖タンパク質を結合する可変および/または重なる特異性を持つ多数のレクチンからなるものであってもよい。糖タンパク質の精製に一般に用いられるいくつかのレクチンが、コンカナバリン(concavalin) A(セファロースまたはアガロースに結合されることが多い)およびコムギ胚芽を含む。抗グリカン抗体も従来技術において周知の方法で生成可能であり、糖タンパク質を結合および精製するための親和性カラムに用いられる。
レクチンまたは抗体と糖タンパク質などの配位子との相互作用によって、架橋型複合体を形成可能になるが、これは不溶性であることが多く、沈殿物として同定可能である(Varki et al.,ed.,“Protein−Glycan Interactions”in Essentials of Glycobiology、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/bv.fcgi?rid=glyco.section.269のワールドワイドウェブで入手可能)または同様の参考文献。この手法では、決まった量のレクチンまたは抗体(受容体)を糖タンパク質またはグリカンで滴定し、配位子と受容体の正確な比で、沈殿物を形成する(Varki et al.)。このような沈殿は、配位子対受容体の親和性定数に対する特異性が極めて高い(Varkiら)。もうひとつの沈殿法では、レクチンとグリカンとの間の複合体を硫酸アンモニウムで「塩析」または沈殿できる(Varki et al.)という事実を利用している。
標的糖タンパク質産物
本明細書に記載の方法を使用して、所望のグリカン特性を備える標的糖タンパク質産物を提供することができる。本明細書にて説明するように、標的糖タンパク質産物のグリカン特性が一次糖タンパク質産物と同一または実質的に類似であってもよいし、標的糖タンパク質産物のグリカン特性が一次糖タンパク質産物のものとは異なっていてもよい。たとえば、標的糖タンパク質産物のグリカン特性は、あらかじめ選択された部位に結合したグリカン構造の不均一性の度合いなど、一次糖タンパク質産物のグリカンの特徴とは異なるグリカンの特徴であってもよい。いくつかの実施形態では、グリカン特性は、たとえば、一次標的糖タンパク質産物とは異なる機能的特性であってもよい。機能的特性としては、血清半減期、クリアランス、in vitro安定性(保管寿命)またはin vivo安定性、結合親和性、組織分布および標的、毒性、免疫原性、吸収速度、消失速度およびバイオアベイラビリティがあげられるが、これに限定されるものではない。
製造パラメータを判断および/または選択して、たとえば一次糖タンパク質産物とは異なる機能的特性と相関されているなど、異なるグリカンの特徴を備える糖タンパク質産物を製造することが可能である。さまざまなグリカンの特徴とその特徴が影響し得る機能的特性との相関については、本明細書に記載する。表IIIに、このような相関の例をあげておく。
標的糖タンパク質産物のアミノ酸配列は、一次糖タンパク質産物のアミノ酸配列と同一であってもよいし、アミノ酸配列が、たとえば最大で1、2、3、4、5、10または20アミノ酸残基だけ、一次糖タンパク質産物のアミノ酸配列とは異なっていてもよい。タンパク質およびそのフラグメントをアルギニン残基でグリコシル化することができ、これをN−結合型グリコシル化と呼び、セリンまたはトレオニン残基でグリコシル化するとO−結合型グリコシル化になる。いくつかの実施形態では、標的糖タンパク質産物のアミノ酸配列を、糖部分を結合するための部位を加えるよう修飾することが可能である。標的糖タンパク質産物のアミノ酸配列は、たとえば、グリコシル化用の部位として機能しないアミノ酸をグリコシル化用の部位として機能するアミノ酸で置き換えるように修飾可能である。標的糖タンパク質産物のアミノ酸配列についても、あるタイプのグリコシル化、たとえばO−結合型グリコシル化に対する部位として機能するアミノ酸と、異なるタイプのグリコシル化、たとえばN−結合型グリコシル化のための部位として機能するアミノ酸とを置き換えて、修飾可能である。さらに、標的糖タンパク質産物のためのアミノ酸配列にアミノ酸残基を加えて、糖を結合するための部位を提供することができる。アミノ酸配列の修飾はまた、潜在的なグリコシル化部位とは関連しない1つ以上のアミノ酸残基での修飾であってもよい。糖タンパク質産物のアミノ酸配列またはこれをコードするヌクレオチド配列については、従来技術において周知の方法で修飾可能である。
コンピュータ実践例
本明細書に記載の方法および物品(システムまたはデータベースなど)は、コンピュータまたは電子形態での実践の必要がない。本明細書に記載のデータベースは、たとえば、印刷物としても実施可能なものである[その他?]。
コンピュータ実践の例において、図1は、計算装置およびシステム400、450のブロック図である。計算装置400は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、電子手帳、サーバ、ブレードサーバ、メインフレームおよび他の適切なコンピュータなどのデジタルコンピュータのさまざまな形態を表すことを意図したものである。計算装置450は、電子手帳、携帯電話、スマートフォン、他の同様の計算装置などのモバイルデバイスのさまざまな形態を表すことを意図したものである。ここに図示する構成要素、その接続と関係、その機能は、単なる例示にすぎず、本明細書に記載および/または権利請求された本発明の実践を限定することを意図したものではない。
計算装置400は、プロセッサ402、メモリ404、記憶装置406、メモリ404および高速拡張ポート410を接続している高速インタフェース408、低速バス414と記憶装置406を接続している低速インタフェース412を含む。構成要素402、404、406、408、410および412の各々は、さまざまなバスで相互接続されており、共通のマザーボードに、あるいは他の適当な方法で実装可能である。プロセッサ402は、メモリ404または記憶装置406に格納された指示を含む計算装置400内での実行のための指示を処理して、高速インタフェース408に接続されたディスプレイ416などの外部入力/出力デバイスにGUIのグラフィカル情報を表示させることができる。他の実践例では、複数のメモリおよびメモリのタイプと一緒に、複数のプロセッサおよび/または複数のバスを適宜使用することが可能である。また、各デバイスが必要な動作の一部を(サーババンク、ブレードサーバ群またはマルチプロセッサシステムなどとして)提供する形で、複数の計算装置400を接続してもよい。
メモリ404は、計算装置400内に情報を記憶する。一実践例では、メモリ404がコンピュータ読み取り可能な媒体である。一実践例では、メモリ404が揮発性メモリユニットである。もうひとつの実践例では、メモリ404が不揮発性メモリユニットである。
記憶装置406は、計算装置400用の大容量記憶を提供できる。一実践例では、記憶装置406はコンピュータ読み取り可能な媒体である。さまざまな異なる実践では、記憶装置406は、フロッピー(登録商標)ディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイスまたはテープデバイス、フラッシュメモリまたは他の同様の固体状態メモリデバイスであってもよいし、保管エリアネットワークまたは他の構成のデバイスを含むデバイスのアレイであってもよい。一実践例では、コンピュータプログラム製品は、情報担体において有形で実現される。コンピュータプログラム製品は、実行時に、上述したものなどの1つ以上の方法を実施する指示を含む。情報担体は、メモリ404、記憶装置406、プロセッサ402上のメモリまたは伝搬される信号などのコンピュータ読み取り可能な媒体または機械可読媒体である。
高速制御装置408は計算装置400の帯域集中動作を管理するのに対し、低速制御装置412は低帯域集中動作を管理する。このような負荷の割り当ては単なる例にすぎない。一実践例では、高速制御装置408は、メモリ404、ディスプレイ416(グラフィックプロセッサまたはアクセレレータによる)、さまざまな拡張カード(図示せず)を受け入れ可能な高速拡張ポート410に接続されている。実践において、低速制御装置412は、記憶装置406および低速拡張ポート414に接続される。低速拡張ポートは、ネットワークアダプタを介して、さまざまな通信ポート(USB、Bluetooth、イーサネット(登録商標)、無線イーサネット(登録商標)など)を含み得るものであり、キーボード、ポインティングデバイス、スキャナまたはネットワーキングデバイス(スイッチまたはルーターなど)などの1つ以上の入力/出力デバイスに接続可能である。
図に示すように、多数の異なる形態で計算装置400を実践することが可能である。たとえば、標準的なサーバ420として、あるいは、複数回、このようなサーバの群として実践可能である。また、ラックサーバシステム424の一部としての実践も可能である。さらに、ラップトップコンピュータ422などのパーソナルコンピュータでも実践可能である。あるいは、計算装置400からの構成要素を、デバイス450などのモバイルデバイス(図示せず)の他の構成要素と組み合わせてもよい。このようなデバイスは、1つ以上の計算装置400、450を含み得るものであり、システム全体を互いに通信する複数の計算装置400、450で構成できる。
計算装置450は、他の構成要素の中でも特に、プロセッサ452、メモリ464、ディスプレイ454などの入力/出力デバイス、通信インタフェース466、トランシーバ468を含む。デバイス450はまた、さらに格納領域を増やすためにマイクロドライブまたは他のデバイスなどの記憶装置を備えるものであってもよい。構成要素450、452、464、454、466および468の各々は、さまざまなバスを介して相互接続されており、これらの構成要素のうちのいくつかを共通のマザーボードに、あるいは他の適当な方法で実装可能である。
プロセッサ452は、メモリ464に格納された指示を含む、計算装置450内での実行のための指示を処理することができる。プロセッサはまた、別のアナログおよびデジタルプロセッサを含むものであってもよい。プロセッサは、ユーザインタフェースの制御、デバイス450によるアプリケーション実行、デバイス450による無線通信など、デバイス450の他の構成要素を調整できるものである。
プロセッサ452は、インタフェース458と、ディスプレイ454に接続されたディスプレイインタフェース456との制御によって、ユーザと通信することができる。ディスプレイ454は、たとえば、TFT LCDディスプレイまたはOLEDディスプレイあるいは、他の適当なディスプレイ技術であってもよい。ディスプレイインタフェース456は、ディスプレイ454を駆動して、グラフィカルな情報および他の情報をユーザに提示するための適当な回路を含み得る。制御インタフェース458は、ユーザからのコマンドを受信し、これをプロセッサ452に送れるように変換することができる。また、デバイス450が他のデバイスと近いエリアでの通信ができるように、外部インタフェース462をプロセッサ452と通信できる状態で設けることが可能である。外部インタフェース462は、たとえば、有線通信(ドッキング法などによる)または無線通信(Bluetoothまたは他のこのような技術などによる)を提供することができる。
メモリ464は、計算装置450内で情報を記憶する。一実践例では、メモリ464はコンピュータ読み取り可能な媒体である。一実践例では、メモリ464は揮発性メモリユニットである。もうひとつの実践例では、メモリ464は不揮発性メモリユニットである。たとえば、SIMMカードインタフェースを含み得る拡張インタフェース472によって、増設メモリ474を設けてデバイス450に接続してもよい。このような増設メモリ474は、デバイス450に予備の保存領域を提供できるものであり、あるいは、デバイス450用のアプリケーションまたは他の情報を記憶することもできる。具体的には、増設メモリ474は、上述したプロセスを実行または補足するための指示を含み得るものであり、かつ、安全情報も含み得る。よって、たとえば、増設メモリ474をデバイス450用のセキュリティモジュールとして提供してもよく、デバイス450を安全に使用できるようにする指示を用いてプログラム可能である。また、SIMMカードを使用して、このSIMMカードにバックアップできない形で識別情報を乗せるなどの別の情報と一緒にして、セキュアアプリケーションを提供してもよい。
後述するように、メモリには、たとえばフラッシュメモリおよび/またはMRAMメモリを含み得る。一実践例では、コンピュータプログラム製品は、情報担体において有形で具体化される。コンピュータプログラム製品は、実行されると、上述したものなどの1つ以上の方法を実施する指示を含む。情報担体は、メモリ464、増設メモリ474、プロセッサ452上のメモリまたは伝搬する信号などのコンピュータ読み取り可能な媒体または機械可読媒体である。
デバイス450は、必要であればデジタル信号処理回路を含み得る通信インタフェース466経由で無線通信することが可能である。通信インタフェース466によって、特に、GSMボイスコール、SMS、EMSまたはMMS伝言、CDMA、TDMA、PDC、WCDMA、CDMA2000またはGPRSなどのさまざまなモードまたはプロトコルで通信を実現できる。このような通信は、たとえば、無線周波数トランシーバ468を介してなされるものであってもよい。また、Bluetooth、WiFiまたはこのような他のトランシーバ(図示せず)を使うなど、短波長通信も起こり得る。また、GPSレシーバモジュール470によって、デバイス450への別の無線データを提供でき、これをデバイス450で実施するアプリケーションによって適宜使用することができる。
デバイス450はまた、ユーザが話した情報を受信して、これを使用可能なデジタル情報に変換できる音声コーデック460を使用して、可聴の通信をおこなうこともできる。オーディオコーデックス460も同様に、たとえばデバイス450のハンドセットで、スピーカーを経由するなどして、ユーザ用の可聴声を生成できる。このような音は、音声電話のコールからの音声を含むものであってもよいし、記録された音(ボイスメッセージ、音楽ファイルなど)を含むものであってもよく、デバイス450で動作するアプリケーションが生成した音を含むものであってもよい。
計算装置450は、図に示すように、多数の異なる形態で実践可能である。たとえば、携帯電話480として実践可能である。また、スマートフォン482、電子手帳または他の同様のモバイルデバイスの一部として実践してもよい。
必要に応じて、本明細書に記載のシステムおよび機能的動作は、デジタル電子回路で実践してもよいし、あるいは、本明細書に開示された構造的な手段およびその構造的な等価物、あるいはそれらの組み合わせを含むコンピュータソフトウェア、ファームウェアまたはハードウェアで実践することも可能である。この技法は、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータまたは複数のコンピュータなどのデータ処理装置による実行用、あるいはデータ処理装置の動作制御のために、機械読み取り可能な記憶装置または伝搬された信号などの情報担体にて有形で具体化される1つ以上のコンピュータプログラム製品、すなわち、1つ以上のコンピュータプログラムとして実践可能である。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーションまたはコードとしても周知)については、コンパイラ型言語またはインタープリター型言語をはじめとして、どのような形態のプログラミング言語で記述することが可能であり、コンピュータの環境で使用するのに適した独立型のプログラムまたはモジュール、コンポーネント、サブルーチンまたは他のユニットとしての形態を含むどのような形態でも配置可能である。コンピュータプログラムは、ファイルに必ずしも対応するとはかぎらない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを、目的とするプログラム専用の単一のファイルに保持するファイルの一部あるいは、複数のコーディネートしたファイル(1つ以上のモジュール、サブプログラムまたはコードの一部を記憶するファイルなど)に記憶可能なものである。コンピュータプログラムは、一部位で、あるいは複数の部位に分散して通信網によって相互接続される形で、一台のコンピュータまたは複数のコンピュータで実行されるように配置可能である。
本明細書に記載のプロセスおよび論理の流れは、1つ以上のコンピュータプログラムを実行し、さらには入力データを処理して出力を生成することによって、ここに記載の機能を実施する、1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって実施可能である。プロセスおよび論理の流れはまた、専用の論理回路で実施可能であり、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(アプリケーション特有の集積回路)などの装置が専用の論理回路として実践可能である。
コンピュータプログラムの実行向けのプロセッサは、一例として、汎用マイクロプロセッサと専用マイクロプロセッサの両方、さらにはあらゆる種類のデジタルコンピュータのうちの1つ以上のプロセッサも含む。通常、プロセッサは、リードオンリーメモリまたはランダムアクセスメモリまたはその両方から指示およびデータを受信する。コンピュータの必須要素は、指示を実行するためのプロセッサと、指示およびデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスである。通常、コンピュータは、1つ以上の光磁気ディスクまたは光ディスクなどのデータを格納するための大容量記憶装置を含むか、あるいはそこからデータを受信、またはそこにデータを送信する、あるいはその両方の目的で、これと作動的に結合される。コンピュータプログラムの指示およびデータを具体化するのに適した情報担体としては、一例として、EPROM、EEPROMおよびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス;内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;CD ROMおよびDVD−ROMディスクを含む、あらゆる形態の不揮発性メモリがあげられる。プロセッサおよびメモリは、専用の論理回路によって補強またはこれに組み込むことが可能である。
ユーザとの意志の疎通を図るために、ここに記載の技法の態様は、情報をユーザに表示するためのCRT(ブラウン管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタなどのディスプレイデバイスと、マウスまたはトラックボールなど、ユーザがコンピュータに何かを入力する手段となるキーボードおよびポインティングデバイスとを有するコンピュータ上で実践可能である。他の種類のデバイスを使用してユーザと意志の疎通を図るようにしてもよい。たとえば、ユーザに提供されるフィードバックは、可視フィードバック、可聴フィードバックまたは触覚フィードバックなどのどのような形態の感覚的フィードバックであってもよく、ユーザからの入力は、音響、スピーチまたは接触による入力を含むどのような形態で受信されてもよい。
この技法は、データサーバなどのバックエンドの構成要素を含むコンピューティングシステム、あるいはアプリケーションサーバなどのミドルウェアの構成要素を含むコンピューティングシステム、あるいは、実践またはこのようなバックエンド、ミドルウェアまたはフロントエンド構成要素の任意の組み合わせとユーザが意志の疎通を図ることが可能なグラフィカルユーザインタフェースまたはウェブブラウザを備えるクライアントコンピュータなどのフロントエンドの構成要素を含むコンピューティングシステムで実践可能である。システムの構成要素は、通信網などのデジタルデータ通信の任意の形態または媒体で相互接続可能である。通信網の例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)ならびに、インターネットなどの広域ネットワーク(「WAN」)があげられる。
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含むものであってもよい。クライアントとサーバは通常、互いに離れた場所にあり、一般に通信網を介して交信する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で動作して、互いにクライアント−サーバ関係にあるコンピュータプログラムのおかげでなされるものである。
以上、多数の実践例について説明してきた。しかしながら、ここに記載の実践の主旨および範囲から逸脱することなくさまざまな変更をほどこし得ることは理解できよう。たとえば、特許請求の範囲に記載の作用を異なる順序で実施し、依然として所望の結果を得ることが可能である。したがって、他の実践も以下の特許請求の範囲の範囲内に包含される。
他の翻訳後修飾
方法、データベースおよび産物は、本明細書では主に、グリコシル化の場合について説明したが、他の翻訳後修飾などがグリコシル化と同様の方法で対象となる同様の方法も含む。含むことができる翻訳後修飾の例としては、タンパク質分解、ラセミ化、N−Oアシルシフト、多量体化、凝集、糖修飾、ビオチニル化、NEDD8化、アシル化、ホルミル化、ミリストイル化、ピログルタミン酸形成、メチル化、糖化、カルバミル化、アミド化、グリコシルホスファチジルイノシトール付加、O−メチル化、GPIアンカー化(glypiation)、ユビキチン化、SUMO化、メチル化、アセチル化、アセチル化、水酸化、ユビキチン化、SUMO化、デスモシン形成、アルデヒドへの酸化および脱アミノ化、O−グリコシル化、イミン形成、糖化、カルバミル化、ジスルフィド結合形成、プレニル化、パルミトイル化、リン酸化、脱リン酸化、グリコシル化、硫酸化、ポルフィリン環結合、フラビン結合、GFP接合団(Thr−Tyr−Gly配列)形成、リジンチロシンキノン(LTQ)形成、トパキノン(TPQ)形成、スクシンイミド形成、トランスグルタミネーション、カルボキシル化、ポリグルタミル化、ポリグリシル化、シトルリン化、メチル化および水酸化があげられる。
他の実施形態
限定するものとは解釈されるべきではない以下の実施例を参照して、本発明についてさらに説明する。本出願で引用する参考文献、特許および特許出願公報の内容については、いずれも本明細書に援用する。
実施例I:CHO細胞での産生についてのさまざまな製造パラメータとグリカン特性との相関
さまざまな培地製造パラメータについて検討し、その培地製造パラメータの調節がdhfr欠失CHO細胞で産生された抗−IL−8抗体のグリカンの特徴に対しておよぼす影響があれば、これについて判断した。細胞をT型フラスコで培養した。結果を以下の表VIに示す。表VIは、評価対象とした各製造パラメータ(列A)およびグリカンの特徴(行A)を示す。残りの製造パラメータについては評価全体をとおして一定に維持した。製造パラメータがグリカンの特徴に対して持つ特定の影響に注目する。
0、3mM、10mMおよび20mMのグルコサミン含有量で、グルコサミン含有量を評価した。
IgG分子のFc部分がシアリル化からブロックされ(タンパク質骨格からの立体障害に似ている)、ManNAc()の補充後にシアリル化のわずかな増加が観察されただけであった。第2の例では、融合コンストラクトCTLA4−Igを発現しているCHO細胞を、ManNAcの量を増やして培養した。この分子は立体的に拘束されていないため、シアル酸の濃度は、増加したManNAcの存在下で大幅に増えた。
実施例II:CHO細胞での産生についての製造パラメータとグリカン特性との間の非線形添加物関係の相関
さまざまな培地製造パラメータについて検討し、その培地製造パラメータの調節がdhfr欠失CHO細胞で産生された抗−IL−8抗体のグリカンの特徴に対しておよぼす影響があれば、これについて判断した。細胞をT型フラスコで培養した。次に、タンパク質を収集し、ペプチド:N−グリコシダーゼF(PNGase−F)での酵素消化によってグリカンを放出させ、単離した。PNGase−Fは、N−結合型糖タンパク質からの高マンノース型、ハイブリッド型および複合型オリゴ糖の一番内側のGlcNAcとアスパラギン残基との間を切断するアミダーゼである(Marley et al.,1989,Anal.Biochem.,180:195)。PNGase Fは、糖ペプチドおよび/または糖タンパク質からのほぼすべてのタイプのN−グリカン鎖を加水分解可能である。得られるグリカン試料を活性化黒鉛化炭素固相抽出カートリッジで精製し、その還元末端で蛍光タグである2−ベンズアミドを用いて標識した。次に、標識後のグリカンを、アミドカラムを用いてNP−HPLCで分解し、そのパターンを求めた。図2参照。グリカンプロファイルをタンパク質レベルについて正規化し、最後にグリカンの総ピーク面積に対する割合として表した。
量を増やしたグルコサミン、ウリジンまたはウリジンとグルコサミンの両方の存在下で産生された抗体でのグリカンのパターンを図3に示す。ウリジンとグルコサミンの両方の存在下で産生されたIgGで観察されるグリカンプロファイルパターンは、ウリジンまたはグルコサミン個々の存在下で産生された抗体から観察されるプロファイルからは予測されない。たとえば、ピークA、B、D、M、TおよびVで表される製造パラメータとグリカンの特徴との関係は非線形である。
等価物
当業者であれば、定法による実験だけで、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識または確認できる。このような等価物も以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。

Claims (8)

  1. i)複数のグリカン特性の各々を、1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせの相関関数として相関させるデータベースを提供するステップと、
    ii)標的グリカン特性を提供するステップと、
    iii)標的グリカン特性と相関した1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせをデータベースから選択するステップと、
    iv)選択された製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせを、糖タンパク質産物を製造するためのプロセスに適用するステップと、を含み、
    これによって糖タンパク質産物を製造する、糖タンパク質産物の製造方法。
  2. i)複数のグリカン特性の各々を、1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせの相関関数として相関させるデータベースを提供するステップと、
    ii)標的グリカン特性を提供するステップと、
    iii)標的グリカン特性と相関した1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせをデータベースから選択するステップであって、少なくとも1つの選択された製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせが、前記データベースにおいて非線形相関または制約つき相関で表されるステップと、
    iv)選択された製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせを、糖タンパク質産物を製造するためのプロセスに適用するステップと、を含み、
    これによって糖タンパク質産物を製造する、糖タンパク質産物の製造方法。
  3. a)任意に、選択された製造パラメータを提供し、
    b)選択された製造パラメータを取り入れた産生系を提供し、
    c)糖タンパク質産物の産生を可能にする条件下に前記システムを維持することを含み、
    これによって糖タンパク質産物を製造する方法であって、選択された製造パラメータは、
    i)複数のグリカン特性の各々を、1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせの相関関数として相関させるデータベースを提供し、
    ii)標的グリカン特性を提供し、
    iii)標的グリカン特性と相関した1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせをデータベースから選択することによって同定されたものであり、少なくとも1つの選択された製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせが、前記データベースにおいて非線形相関または制約つき相関で表される、糖タンパク質産物を製造するための方法。
  4. 糖タンパク質産物を製造するためのプロセスを設計する、あるいは、糖タンパク質産物を製造するためのプロセスの要素を選択するための方法であって、
    a)複数のグリカン特性の各々を、1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせの相関関数として相関させるデータベースを提供し、
    b)標的グリカン特性を提供し、
    c)標的グリカン特性と相関した1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせをデータベースから選択し、
    d)前記選択されたプロセスの有形の記憶を作成することを含み、
    これによって糖タンパク質産物を製造するためのプロセスを設計し、少なくとも1つの選択された製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせが、前記データベースにおいて非線形相関または制約つき相関で表される、方法。
  5. a)所定の製造プロセスで製造された、糖タンパク質から観察されたグリカンの特徴を提供し、
    b)観察されたグリカンの特徴と参照値との比較を提供し、
    c)観察された値が閾値レベルを超えて参照値と異なる場合、本明細書に記載の方法によって製造パラメータの値を選択し、
    d)任意に、前記所定の製造プロセスで、前記データベースにおいて非線形相関または制約つき相関で表される製造パラメータXの値を変更して、変更後の製造プロセスを提供することを含み、
    これによって糖タンパク質の産生を監視および/または制御する、糖タンパク質の産生を監視および/または制御する方法。
  6. 有形媒体に格納されるデータベースであって、
    少なくとも10の記録であって、
    製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせの識別子と、
    グリカン特性の識別子と、
    一方が他方に相関する、製造パラメータ(または組み合わせ)とグリカン特性との相関関数とを含む記録を含み、
    データベースが、少なくとも1つのチューニング可能な非線形相関関数を含む、データベース。
  7. クエリを入力するためのユーザインタフェースと、
    クエリ結果を生成するためのプロセッサと、
    入力された糖タンパク質特性に基づいて製造パラメータを選択するためのセレクタと、
    請求項6に記載のデータベースと、を含むシステムであって、
    システムが、クエリの入力、データベースからの製造パラメータの選択、選択されたパラメータのクエリ結果としての出力を許容する、システム。
  8. i)複数のグリカン特性の各々を、1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせの相関関数として相関させるデータベースを提供し、
    ii)標的グリカン特性を提供し、
    iii)標的グリカン特性と相関した1つ以上の製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせをデータベースから選択し;および
    iv)選択された製造パラメータまたは製造パラメータ同士の組み合わせを、糖タンパク質産物を製造するためのプロセスに適用し、
    v)ステップi〜ivで製造した糖タンパク質またはその細胞培養物を、エンドトキシン含有量、滅菌性、マイコプラズマ含有量、浸出液、宿主(CHOなど)細胞DNAまたはタンパク質汚染物質のいずれかについて評価し、
    vi)糖タンパク質またはその細胞培養物のプロセス汚染物質を記録し、
    これによって糖タンパク質産物を製造する、糖タンパク質産物の製造方法。
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