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JP2010261047A - 脂肪族ポリエステル組成物 - Google Patents

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JP2010261047A
JP2010261047A JP2010158778A JP2010158778A JP2010261047A JP 2010261047 A JP2010261047 A JP 2010261047A JP 2010158778 A JP2010158778 A JP 2010158778A JP 2010158778 A JP2010158778 A JP 2010158778A JP 2010261047 A JP2010261047 A JP 2010261047A
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aliphatic polyester
aliphatic
acid
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polyether copolymer
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JP2010158778A
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Yuko Mogi
優子 茂木
Kazunori Yano
一憲 矢野
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

【課題】 生分解性を有し、曲げ弾性率、引っ張り強度及び衝撃強度に優れ、射出成形品等各種用途に好適に用いられる脂肪族ポリエステル組成物を提供する。
【解決手段】 ポリ乳酸(A)と脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)とを含有してなる組成物であって、脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)の含有量が、ポリ乳酸(A)と脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)との合計100重量部中、1重量部以上60重量部以下である脂肪族ポリエステル組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、脂肪族ポリエステル組成物に関する。詳しくは、ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体とを含有することで、優れた耐熱性、剛性、曲げ及び引っ張り強度並びに衝撃強度を発現することのできる生分解性樹脂組成物に関するものである。
生分解性又は自然環境下で分解するポリマーが環境保護の見地から注目されている。生分解性高分子としてはポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリカプロラクトン及びポリヒドロキブチレート等の種々の樹脂が提案されている。これら樹脂は、生分解性という点では同じであるが、融点及び機械物性等については、それぞれ異なる性質を有しており、目的の用途に応じてそれぞれの樹脂が使用されている。
ポリ乳酸は融点165℃であり他の生分解性ポリマーに比べて、耐熱性が高く、強度が高い等の優れた特徴が知られている。しかし、ポリ乳酸は結晶性が高い為、伸びに欠け、硬くて脆い性質であるため、成形品が破損しやすくという欠点があり、衝撃強度や強靱性について改良が求められている。
そこでポリ乳酸の耐衝撃性を向上させるため、グリシジル基、エポキシ基含有の変性オレフィン共重合体をブレンドする方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしこれはオレフィン系共重合体をベースにしており、生分解性が不十分である。
また別の手法として、ポリ乳酸に、ガラス転移温度が−20℃〜40℃の範囲にあるポリ乳酸と他の脂肪族ポリエステルとの共重合体をブレンドする方法が開示されている(特許文献2参照)。しかしこの組成物の耐衝撃性は低く、満足できるものではない。
さらに、ポリ乳酸とポリ乳酸以外の脂肪族ポリエステル及び/又は脂肪族ポリエステル
カーボネートからなる組成物が開示されている(特許文献3参照)。この方法では、脂肪族ポリエステル及び脂肪族ポリエステルカーボネートの衝撃強度が小さく、十分な衝撃強度を得るためには多量に添加する必要がある。その結果、ポリ乳酸の本来有する耐熱性、引っ張り及び曲げ強度及び剛性が低下するという欠点がある。
特開平9−316310号公報 特開平11−124495号公報 特開2000−109663号公報
本発明の目的は、ポリ乳酸が本来有する剛性及び引っ張り及び曲げ強度を損なうことなく、衝撃強度を改良した組成物を提供することにある。
本発明者らは、ポリ乳酸に配合する他の樹脂成分につき検討した結果、ポリ乳酸に対して、脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体を配合することにより、ポリ乳酸の剛性及び引っ張り及び曲げ強度を維持しつつ衝撃強度を向上させることがきることに知見し、本発明に到達するに至った。
即ち本発明の要旨は、ポリ乳酸(A)と脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)とを含有してなる組成物であって、脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)の
含有量が、ポリ乳酸(A)と脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)との合計100重量部中、1重量部以上60重量部以下である脂肪族ポリエステル組成物、に存する。
本発明の脂肪族ポリエステル組成物は、生分解性を有し、剛性(曲げ弾性率)、引っ張り及び曲げ強度並びに衝撃強度に優れ、射出成形品等各種用途に好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ポリ乳酸(A)及びその製造方法>
本発明に使用されるポリ乳酸(A)は、特に限定されないが、十分な強度を有するために必要な数平均分子量は3万以上、好ましくは10万以上である。得られるポリ乳酸の物性から、ポリ乳酸を構成するL体とD体のモル比はL/Dは100/0〜0/100の全ての組成で使用できるが、弾性率の高いものが好ましくは、L体が95%以上であることが好ましい。ポリ乳酸の製造法は特に限定されるものではなく、ラクチドを経由する開環重合法あるいは、乳酸の直接重縮合法が挙げられる。
また、乳酸以外の単量体単位を全単量体単位中、通常30モル%以下、好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下の割合で含有していても良い。ここで乳酸以外の単量体単位とは、後述する脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)における脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位及び脂肪族オキシカルボン酸単位のうち任意のものを使用することができる。
<脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)>
本発明において用いられる脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)とは、脂肪族ポリエステル部分とポリエーテル部分とを有するものである。脂肪族ポリエステル部分は、主として脂肪族ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位からなり、必要に応じて脂肪族オキシカルボン酸単位を有していても良い。
(脂肪族ジオール単位)
本発明の脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体を構成する脂肪族ジオール単位をなす脂肪族ジオール成分としては、脂肪族及び/又は脂環式の化合物であって、水酸基を2個持つ化合物であるが、その好ましい具体例は下記の式(2)で表されるものである。
Figure 2010261047
式(2)中、Rは2価の脂肪族炭化水素基であり、その炭素数は下限が通常2以上、上限が通常11以下、好ましくは6以下である。Rはシクロアルキレン基を包含するものであり、また分岐鎖を有するものであってもよい。好ましいRは−(CH2)n−、
であり、nは下限が通常2以上、上限が通常11以下、好ましくは6以下の整数を示す。
本発明に用いることができる脂肪族ジオールは特に限定されないが、その具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
これらの中で、得られる共重合体の物性の面から、1,4−ブタンジオール及びエチレングリコールが好ましく、特に1,4−ブタンジオールが好ましい。これらは単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。
共重合体中の脂肪族ポリエステル部分を構成する全構成成分中、脂肪族ジオール単位の量は、下限が通常35モル%以上、好ましくは、45モル%以上であり、上限が、通常50モル%以下、好ましくは49.95モル%以下である。
(脂肪族ジカルボン酸単位)
脂肪族ジカルボン酸単位を成す脂肪族ジカルボン成分は、脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体であり、下記の式(3)で表されるジカルボン酸、及び、それらの炭素数1〜4の低級アルキルエステルまたはそれらの無水物などを言う。
Figure 2010261047
式(3)中、Rは直接結合、または2価の脂肪族炭化水素基であり、その炭素数は下限が通常2以上であり、上限が通常11以下、好ましくは6以下である。Rはシクロアルキレン基を包含するものであり、また分岐鎖を有するものであってもよい。好ましいRは、−(CH2m−、である。ただし、mは下限が1以上、上限が通常11以下、好ましくは6以下の整数を示す。
脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体の好ましい具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸及びドデカン二酸等、が挙げられる。
これらの中で、得られる共重合体の物性の面から、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカン二酸が好ましく、更にコハク酸、アジピン酸が好ましく、特にはコハク酸が好ましい。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
共重合体中の脂肪族ポリエステル部分を構成する全構成成分中、脂肪族ジカルボン酸単位の量は、下限が通常35モル%以上、好ましくは、45モル%以上であり、上限が、通常50モル%以下、好ましくは49.95モル%以下である。
(脂肪族オキシカルボン酸単位)
脂肪族オキシカルボン酸単位をなす脂肪族オキシカルボン酸成分としては、分子中に1個の水酸基と1個のカルボン酸基を有する化合物であれば、特に限定されるものではないが、下記の式(4)の脂肪族オキシカルボン酸、又はそれらの炭素数1〜4の低級アルキルエステル、またはそれらの分子内エステルが好適である。
Figure 2010261047
式(4)中、Rは2価の脂肪族炭化水素基である。その炭素数は1以上であり上限が通常11以下、好ましくは6以下である。Rはシクロアルキレン基を包含してもよいが、好ましくは鎖状炭化水素である。ここで「鎖状」は分岐鎖を有するものも包含するもの
とする。
さらに好ましくは、1つの炭素原子に水酸基とカルボキシル基を持つα−ヒドロキシカルボン酸、特には式(5)で表されるものが重合活性の点で最も好ましい。
Figure 2010261047
式(5)中、aは0または1以上の整数、好ましくは0または1〜10、さらに好ましくは0または1〜5、である。
脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸及びカプロラクトン等のラクトン類を開環させたもの、更にはこれらの混合物などが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体、またはラセミ体のいずれでもよく、形状としては固体、液体、あるいは水溶液であってもよい。
これらの中で特に好ましいものは、使用時の重合速度の増大が顕著で、かつ入手の容易な乳酸及び/又はグリコール酸であり、最も好ましくは乳酸である。これらの形態は、30〜95%の水溶液のものが容易に入手することができるので好ましい。
共重合体中の脂肪族ポリエステル部分を構成する全構成成分中、脂肪族オキシカルボン酸単位の量は、下限が0モル%以上、好ましくは、0.1モル%以上であり、上限が、通常30モル%以下、好ましくは10モル%以下である。
本発明の脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体は、高分子量化を達成することができるという点で、脂肪族オキシカルボン酸を含有することが好ましい。更に、得られる脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体の結晶性が低下し、可撓性が増すという効果、またポリ乳酸とブレンドした場合の相溶性の点からみても脂肪族オキシカルボン酸を含有することが好ましい。
(ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を少なくとも3個以上有する単量体単位)
本発明のポリエステルポリエーテル共重合体は、さらに、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を少なくとも3個以上有する単量体単位を含有するものであると、反応の面では高分子量化を達成しやすい、重合反応時間を短縮できる点で好ましい。また物性の面では溶融張力が増加しブロー成型等の成型を行う際に成型しやすいという点で好ましい。この成分としては、具体的には、リンゴ酸、クエン酸、1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン、酒石酸、1,2,4−ブタントリオール等が挙げられる。中でも、リンゴ酸、クエン酸が高分子量化し易い点で好ましい。
これらの含有量は、共重合体を構成する全構成成分中、下限が0モル%以上、好ましくは、0.001モル%以上であり、上限が、通常5モル%以下、好ましくは1モル%以下である。
(ポリエーテル部分)
本発明のポリエーテル部分は下記記式(1)で表される。
Figure 2010261047
式(1)中、Rは水素またはアルキル基、mは1〜10の整数、nは4〜1000の整数を示す。
式(1)中、Rの具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基及びイソブチル基等の炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。この内、水素及びメチル基が好まく、最も好ましくは水素である。式(1)中mは整数を表し、下限が1以上であり、上限が10以下、好ましくは6以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは、3以下であり、2が最も好ましい。また、式(1)中のnは整数を表し、下限が4以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上であり、上限が1000以下、好ましくは500以下、より好ましくは200以下、最も好ましくは50以下の整数である。
ポリエーテル部分を構成するポリエーテル成分としては、下記式(7)のポリエーテルが挙げられる。
Figure 2010261047
式(7)中、Rは水素又はアルキル基、R はそれぞれ独立に水素又は有機基を示し、R及びRの少なくとも一つは水素原子である。また、mは1〜10の整数、そしてnは4〜1000の整数を示す。
式(7)中、Rの具体例及び好ましい例は、式(1)のRと同じである。またR及びRは、それぞれ独立に水素又は有機基を示し、少なくとも一つは水素原子である。有機基の例としては、アルキル基、グリシジル基、エポキシ基及びアシル基が挙げられる。好ましいR及びRとしては、水素、メチル基、エチル基及びグリシジル基が、反応性及び入手のし易さから水素及びメチル基が最も好ましい。これらは、単独でも、2種以上を混合して使用することができる。式(7)中のm及びnの好ましい範囲は式(1)におけると同様である。
好ましいポリエーテル部分としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ1,3−プロパンジオール及びポリテトラメチレングリコールから選択されるものであり、これらを複数併用してもよい。この中でも特にポリテトラメチレングリコール及びポリ1,3−プロパンジオールが好ましく、ポリ1,3−プロパンジオールが最も好ましい。
脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体中におけるポリエーテル部分の含有量は、共
重合体100重量部中、下限が0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、より好ましくは5重量部以上であり、上限が90重量部以下、好ましくは70重量部以下、より好ましくは50重量部以下、最も好ましくは30重量部以下である。ポリエーテル部分の脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体に対する重量割合が小さすぎると機械物性改良効果が小さく、また大きすぎると耐熱性が低下し、成形性が低下する傾向にある。
本発明のおいて用いられる脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体の還元粘度ηsp/Cは、下限が、通常1.4以上、好ましくは1.5以上であり、上限が、通常4.0以下、好ましくは3.5以下である。
(脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体の製造方法)
本発明の脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体の製造方法は、公知の溶融重縮合、溶液重縮合などが採用できる。が、本発明においては、溶媒を使用しない溶融重縮合を採用することが、重合後触媒除去工程を省略できる為、製造コストを低減できる点で好ましい。
重縮合における脂肪族ジオールの使用量は、脂肪族ジカルボン酸100モルに対し、実質的に等モルであるが、一般には、エステル化中の留出があることから、通常1〜20モル%過剰に用いられる。
脂肪族オキシカルボン酸を添加する場合は、脂肪族ジカルボン酸100重量部に対し下限が通常、0.1重量部以上、好ましくは1.0重量部以上、より好ましくは2.0重量部以上であり、上限が、通常、100重量部以下、好ましくは、50重量部以下、より好ましくは20重量部以下の割合で添加して重縮合反応を行う。この使用量が少なすぎると添加効果が現れず、多すぎると結晶性が失われ成形性が低下し、また耐熱性及び機械的特性などが不十分となる傾向がある。
脂肪族オキシカルボン酸を添加する場合、脂肪族オキシカルボン酸の添加時期及び方法は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、例えば、(1) あらかじめ触媒を脂肪族
オキシカルボン酸溶液に溶解させた状態で添加する方法、(2) 原料仕込み時触媒を添
加すると同時に添加する方法、などが挙げられる。
ポリエーテル成分の導入時期は、重合の初期の他のモノマーと同時に仕込むまたはエステル交換反応後、減圧を開始するの前でもどちらでもよいが、他のモノマーと同時に仕込む方が工程の簡略化の点で好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体を製造する際の重合温度は、下限が通常、150℃以上、好ましくは180℃以上であり、上限が通常260℃以下、好ましくは230℃以下の範囲で選ぶのがよい。重合時間は下限が通常、2時間以上、好ましくは4時間以上であり、上限が通常、15時間以下である。減圧度は通常、1.33×103Pa以下、より好ましくは0.27×103Pa以下である。
本発明の脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体の組成比は、脂肪族ジオールのヒドロキシル基とポリエーテル末端ヒドロキシル基との合計量と脂肪族ジカルボン酸のカルボキシル基量のモル比が、実質的に等しいことが必要である。
本発明の脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体は、重合触媒の存在下で製造される。触媒としては、チタン化合物、アンチモン化合物、スズ化合物、亜鉛化合物等が挙げられ、中でもゲルマニウム化合物が好適である。ゲルマニウム化合物としては、特に制限されるものではなく、酸化ゲルマニウム及びテトラアルコキシゲルマニウムなどの有機ゲルマニウム化合物、塩化ゲルマニウムなどの無機ゲルマニウム化合物が挙げられる。価格や入手の容易さなどから、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム及びテトラブトキシゲルマニウムなどが好ましく、特には、酸化ゲルマニウムが好適である。また、本発明の目的を損なわない限り、他の触媒の併用を妨げない。
触媒の使用量は、得られる共重合体の理論収量に対して下限が通常、10ppm以上、好ましくは20ppm以上、さらに好ましくは50ppm以上であり、上限が通常、30,000ppm以下、好ましくは1,000ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下である。
触媒の添加時期は、重縮合以前であれば特に限定されないが、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。原料仕込み時に乳酸及び/又はグリコール酸等の脂肪族オキシカルボン酸と同時に添加するか、または脂肪族オキシカルボン酸水溶液に触媒を溶解して添加する方法が好ましく、特には、重合速度が大きくなるという点で脂肪族オキシカルボン酸水溶液に触媒を溶解して添加する方法が好ましい。
<脂肪族ポリエステル組成物>
本発明の脂肪族ポリエステル組成物を成すそれぞれの成分の混合割合は、ポリ乳酸(A)と脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)との合計100重量部中、脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)の含有量が、1重量部以上60重量部以下である。
脂肪族ポリエステル組成物の衝撃強度を向上させる場合、合計100重量部中における脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)の量は、下限が好ましくは5重量部以上
、好ましくは10重量部以上であり、上限が好ましくは50重量部以下、さらに好ましくは40重量部以下である。
脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)の重量部が多すぎるとポリ乳酸の耐熱
性が劣り、引っ張り及び曲げ強度も低下する傾向がある。
また、本発明の組成物においては、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールから得られる脂肪族ポリエステルのような、ポリ乳酸以外の脂肪族ポリエステルを含有しても良いが、その量は、ポリ乳酸100重量部に対し、通常5重量%以下、好ましくは1重量%以下である。
<脂肪族ポリエステル組成物の製造方法>
本発明の脂肪族ポリエステル組成物は、通常、上記(A),(B)成分を、高速撹拌機、低速撹拌機などを用いて均一に混合した後、一軸或いは多軸の押し出し機で溶融混練する方法により製造される。
これらの配合成分の押し出し機への供給方法は、(A),(B)成分を、高速撹拌機、低速撹拌機などを用いて均一に混合した後ホッパーより供給する一括法でも良いし、別々に押し出し機へ直接供給する別添加法でも良い。別添加法を行う際には、(A)、(B)成分については押し出し機のサイドフィーダーを用いて供給することができる。この溶融混練を行う際には窒素存在下で行うことが好ましい。
溶融混練時の温度は、下限が、通常100℃以上、好ましくは110℃以上であり、上限が、通常250℃以下、好ましくは200℃以下である。
溶融混練時間は、下限が、通常5秒以上、好ましくは10秒以上であり、上限が、通常5分以下、好ましくは2分以下である。
また、本発明の脂肪族ポリエステル組成物には、本発明の効果を損なわない限り、実用に供するに際して、必要に応じて滑材、ワックス類、着色剤、フィラー、酸化防止剤、紫外線吸収剤、カルボジイミド等の加水分解抑制剤などを併用することができる。
<本発明の脂肪族ポリエステル組成物の成形方法>
本発明の脂肪族ポリエステル組成物は、通常のプラスチックの成形に用いられる射出成形機などを用いて射出或いは熱成形が可能である。この場合、成形温度は120〜230
℃が好ましい。
<本発明の脂肪族ポリエステル組成物の特性>
本発明の脂肪族ポリエステル組成物は、曲げ強度が通常、30MPa以上、好ましくは40MPa以上であり、上限が通常、110MPa以下、好ましくは100MPa以下である。この値が小さすぎると柔軟となりポリ乳酸の高強度の性質が損なわれる傾向がある。
また、衝撃強度は、通常4kJ/m以上、好ましくは7kJ/m以上である。この値が小さすぎると、脆く割れやすくなる傾向がある。
本発明において、曲げ強度及び衝撃強度は以下の方法により測定した値をいう。
曲げ強度: 200℃で成形した厚み4mmの射出成形試験片について、JIS K 7203に準拠して測定した曲げ強度をいう。
衝撃強度:200℃で成形した厚み4mmの射出成形試験片について、JIS K 711
0に準拠して、23℃、容量5.5Jにて測定した衝撃強度をいう。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、滑剤、ワックス類、着色剤、フィラー、酸化防止剤、紫外線吸収剤、カルボジイミド等の加水分解抑制剤などの各種添加剤を含有させてもよい。
本発明の脂肪族ポリエステル組成物は、十分な衝撃強度及び剛性を有するため、射出成形法、中空成形法などに好適であり、特に、自動車内装部材、家電部品、各種筐体、などの様々な成形品に好適に利用できる。
以下に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
実施例における物性値は以下の方法により測定したものである。
(1)還元粘度(ηsp/c):調整例で得られた共重合体をフェノール/テトラクロロエタン(1:1重量比)中、30℃で溶液濃度0.5g/dl測定した溶液粘度からもとめた。
(2)ポリマー組成:H−NMRにより得られたスペクトルの面積比から組成を計算した。
(3)曲げ試験及び衝撃強度:実施例及び比較例の組成物から、射出成型機(東芝機械(株)製、製品名:IS−55)により成形温度200℃、金型温度20℃にて厚さ4mmの射出成形試験片を成形した。該成形体よりJIS K 7203に準拠して曲げ弾性率及び曲げ強度を、JIS K 7110に準拠して、23℃、容量5.5Jにて衝撃強度を測定した。
(4)引っ張り試験:実施例及び比較例の組成物から、射出成型機(東芝機械(株)製、製品名:IS−55)により成形温度200℃、金型温度20℃にて厚さ4mmの射出成形試験片を成形した。該成形体よりJIS K 7113に準拠して引っ張り降伏強度、破断点強度、破断点伸びを測定した。
(5)メルトフローレイシオ(MFR))
荷重2.16kgで190℃にてJIS K7210に準拠して測定した。
調整例1:脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸94.5g、1,4−ブタンジオールを76.1g、数平均分子量2,000のポリテトラメチレングリコール(PTMG)35.2g、及び酸化ゲルマニウムをあらか
じめ1重量%溶解させた90%乳酸水溶液4.85gを仕込んだ。容器内容物を攪拌下、窒素ガスを導入し、減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。次に、系内を撹拌しながら220℃に昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、30分かけて230℃まで昇温し、同時に1時間30分かけて0.07×103Paになるように減圧し、0.07
×103Paで4.5時間反応を行い重合を終了し、白色半透明の脂肪族ポリエステルポ
リエーテル共重合体(以下、「共重合体」という。)を得た。還元粘度(ηsp/C)は1.91であった。共重合体中のポリエステル部分における各成分のモル%は、コハク酸単位49.4モル%、1,4−ブタンジオール単位48.8モル%、乳酸単位1.8モル%であった。ポリエーテル部分の共重合体中における含有量は、20.0重量部であった。
実施例1〜3
ポリL-乳酸((株)島津製作所製、商品名:ラクティ#5400、Mn=88,00
0)(A)と調整例1で得られた脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)とを表
−1に示した量で配合にて、二軸押し出し機KZW15(テクノベル(株)製)で混練し組成物を得、射出成型機IS−55(東芝機械(株)製)で射出成形片を成型し、前記した評価方法により、衝撃強度及び曲げ剛性率、強度を測定し、その結果を表−1に示す。
比較例1
実施例1において、脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)を用いず、ポリL-乳酸((株)島津製作所製、商品名:ラクティ#5400、Mn=88,000)(A)100重量部のみを用いた以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表−2に示す。
比較例2
実施例1においてポリL-乳酸((株)島津製作所製、商品名:ラクティ#5400、
Mn=88,000)(A)及び調整例1で得られた脂肪族ポリエステルポリエーテル共
重合体(B)のかわりに、ポリブチレンサクシネート(三菱化学(株)製 商品名:GSPlaAZ91T)を表−2に示す配合量で用いた以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表−2に示す。
比較例3
実施例1においてポリL-乳酸((株)島津製作所製、商品名:ラクティ#5400、
Mn=88,000)(A)及び調整例1で得られた脂肪族ポリエステルポリエーテル共
重合体(B)のかわりに、ポリL-乳酸((株)島津製作所製、商品名:ラクティ#54
00、Mn=88,000)(A)及びポリブチレンサクシネート(三菱化学(株)製
商品名:GSPlaAZ91T )を表−2に示す配合量で用いた以外は、実施例1と同様に実施した。その結果を表−2に示す。
Figure 2010261047
Figure 2010261047

Claims (5)

  1. ポリ乳酸(A)と脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)とを含有してなる組成物であって、脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)の含有量が、ポリ乳酸(A)と脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)との合計100重量部中、1重量部以上60重量部以下であることを特徴とする脂肪族ポリエステル組成物。
  2. 脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)が、脂肪族ジオール単位35〜50モル%、脂肪族ジカルボン酸単位35〜50モル%及び脂肪族オキシカルボン酸単位0〜30モル%からなる脂肪族ポリエステル部分と下記式(1)で表されるポリエーテル部分とを有し、脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)100重量部中におけるポリエーテル部分の含有量が0.1重量部以上90重量部以下である、請求項1に記載の脂肪族ポリエステル組成物。
    Figure 2010261047
    (式(1)中、Rは水素またはアルキル基、mは1〜10の整数、nは4〜1000の整数を示す。)
  3. 脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体(B)が、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を少なくとも3個以上有する単量体単位を、脂肪族ジカルボン酸単位に対して0.001モル%以上5モル%以下の範囲で含有するものである、請求項1または2に記載の脂肪族ポリエステル組成物。
  4. 曲げ強度が30Mpa以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル組成物。
  5. アイゾット衝撃強度が4kJ/m2以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の脂肪族
    ポリエステル組成物。
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