JP4534806B2 - 脂肪族ポリエステル組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
即ち本発明の第1の要旨は、脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位、並びに脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とする脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)とを含有してなる脂肪族ポリエステル組成物であって、脂肪族ポリエステル繊維(B)が、下記条件式(I)を満たすものであることを特徴とする脂肪族ポリエステル組成物、に存する。
(数1)
〔脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度(℃)〕−〔脂肪族ポリエステル樹脂(A)の融点(℃)〕≧30℃ (I)
本発明の第2の要旨は、脂肪族ポリエステル繊維(B)が、直径100ミクロン以下であり、且つアスペクト比10以上である上記記載の脂肪族ポリエステル組成物、に存する。
本発明の第4の要旨は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)とを、脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度以下の温度で混練することを特徴とする、脂肪族ポリエステル組成物の製造方法、に存する。
<脂肪族ポリエステル樹脂(A)>
脂肪族ポリエステル樹脂(A)は、脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位、並びに脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とする。好ましくは、脂肪族ポリエステル樹脂(A)は、下記式(1)で表される脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位、並びに下記式(2)で表される脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。
を、R2は直接結合、2価の脂肪族炭化水素基、又は2価の脂環式炭化水素基を表す。)
式(1)のジオール単位を与えるジオール成分(a−1)は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、中でもエチレングリコール、1,4−ブタンジオールが好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
なお、上記ジオール成分(a−1)、ジカルボン酸成分(a−2)は、それぞれ2種類以上を用いることもできる。
脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸成分の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。又は、これらの低級アルキルエステル、分子内エステルであってもよい。また、これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体、又はラセミ体のいずれでもよく、形態としては固体、液体、又は水溶液のいずれであってもよい。これらの中で好ましいものは、乳酸又はグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸成分は単独でも、2種以上の混合物としても使用することができる。
また本発明の脂肪族ポリエステル樹脂(A)は、3官能以上の、脂肪族及び/又は脂環式多価アルコール、脂肪族及び/又は脂環式多価カルボン酸或いはその無水物、又は脂肪族多価オキシカルボン酸を共重合成分として含有すると、得られる脂肪族ポリエステルの溶融粘度を高めることができ好ましい。この場合、3官能の脂肪族又は脂環式多価アルコールの具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリン又はその無水物が挙げられ、4官能の脂肪族又は脂環式多価アルコールの具体例としては、ペンタエリスリトールが挙げられる。3官能の脂肪族又は脂環式多価カルボン酸或いはその無水物の具体例としては、プロパントリカルボン酸又はその無水物が挙げられ、4官能の脂肪族又は脂環式多価カルボン酸或いはその無水物の具体例としては、シクロペンタンテトラカルボン酸又はその無水物が挙げられる。また、3官能の脂肪族オキシカルボン酸成分は、(i)2個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に有するタイプと、(ii)1個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に有するタイプとに分かれ、いずれのタイプも使用可能である。具体的には(i)のタイプのリンゴ酸が挙げられる。また、4官能の脂肪族オキシカルボン酸成分は、(i)3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に有するタイプ、(ii)2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に有するタイプ、(iii)3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシ
ル基を同一分子中に共有するタイプとに分かれ、いずれのタイプも使用可能である。具体的には、クエン酸や酒石酸が挙げられる。これらの3官能以上の成分は1種単独で使用することも2種以上混合して使用することもできる。
また、脂肪族ポリエステル樹脂(A)の融点の下限は、通常、80℃以上あり、好ましくは、90℃以上である。また上限は140℃以下であり、好ましくは130℃以下である。高すぎると、脂肪族ポリエステル系繊維(B)とのブレンド条件及びブレンド材料の成形条件が狭くなる傾向があり、低すぎると耐熱性が低下する傾向にある。
本発明で使用する脂肪族ポリエステル樹脂(A)は、公知の方法で製造することができる。例えば、溶媒の存在下または不存在下で、上記のジカルボン酸成分(a−2)とジオール成分(a−1)、更に脂肪族オキシカルボン酸単位や3官能以上の成分を導入する場合には、それらの成分も含めたジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行う方法によって製造することができるが、経済性ならびに製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う方法が好ましい。
重合触媒としては、一般には、周期表で、水素、炭素を除く1族〜14族金属元素を含む化合物が挙げられる。具体的には、チタン、ジルコニウム、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群から選ばれた、少なくとも1種以上の金属を含むカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩又はβ−ジケトナート塩等の有機基を含む化合物、更には前記した金属の酸化物、ハロゲン化物等の無機化合物及びそれらの混合物が挙げられる。
反応時間は、下限が通常1時間以上であり、上限が通常10時間以下、好ましくは、4時間以下である。
03Pa以上であり、上限が通常1.4×103Pa以下、好ましくは0.4×103Pa
以下の真空度下として行う。この時の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上であり、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下の範囲である。反応時間は、下限が通常2時間以上であり、上限が通常15時間以下、好ましくは10時間以下である。
脂肪族ポリエステル繊維(B)は、脂肪族ポリエステル樹脂(B')を融解紡糸した後
、延伸して得られる。
(1)脂肪族ポリエステル樹脂(B')
脂肪族ポリエステル繊維(B)に用いられる脂肪族ポリエステル樹脂(B’)は、公知の脂肪族ポリエステル樹脂を用いることができ、好ましくは、脂肪族オキシカルボン酸単位を主成分とするもの、脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位と脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位とを主成分とするものである。より好ましくは下記式(3)で表される脂肪族オキシカルボン酸単位を主成分とするもの、下記式(4)で表される脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位と下記式(5)で表される脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位とを主成分とするものである。ここでいう主成分とは、下記式(3)に該当する成分、(4)と(5)との合計に該当する成分が、脂肪族ポリエステル樹脂(B’)の全重量に対して、通常50重量%以上、好ましくは、55重量%以上、より好ましくは、60重量%以上含まれているものである。
基又は2価の脂環式炭化水素基を表す。)
例えば、上記式(3)のオキシカルボン酸単位を与えるオキシカルボン酸成分は、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸が挙げられ、これらの中でも乳酸が好ましい。
上記式(5)のカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。
、好ましくは8万以上であり、上限が通常100万以下、好ましくは50万以下である。数平均分子量が小さすぎる場合には繊維の強度物性が低下する傾向があり、大きすぎる場合には溶融粘度が高くなりすぎ、溶融紡糸が困難になる場合がある。
さらに、上述の脂肪族ポリエステルに脂肪族ポリエステル繊維(B)の成形性を妨げない範囲で、他の成分を共重合(ブロック共重合、グラフト共重合、または/及びランダム共重合等)又は/及び混合させてもよい。例えば、芳香族ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。
ら溶融紡糸前までの任意の時点でよい。これらの添加量は脂肪族ポリエステル(B')に
対して通常、上限が10重量%以下、下限が0.05重量%以上であり、好ましくは上限が5重量%以下、下限が0.1重量%以上である。
本発明で用いられる脂肪族ポリエステル樹脂(B')の合成方法は、オキシカルボン酸
成分、ジオール成分及び/又はジカルボン酸成分を適宜選択し、公知の合成方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、脂肪族ポリエステル樹脂(B')の合成は、通
常エステル化反応とそれに続く重合反応によって行われる。エステル化反応は、温度120℃〜290℃、好ましくは150℃〜290℃、反応時間1時間以上、好ましくは1〜10時間、不活性乾燥ガス雰囲気下で、常圧で行えばよい。それに続く重合反応は、温度150℃〜300℃、好ましくは180℃〜300℃、反応時間1時間以上、好ましくは2〜15時間、圧力は常圧より徐々に減圧にし、最終的に10mmHg以下、好ましくは1mmHg以下で行えばよい。上述の工程はそれぞれバッチ方式で行ってもよく、また連続的に行ってもよく、反応装置は公知の縦型あるいは横型撹拌槽型反応器を用いることができる。また必要に応じて溶融重合の後に固相重合を行ってもよい。
以下に、一例としてポリ乳酸の合成方法について記載する。
ポリ乳酸の合成方法は、特に限定されるものではなく、通常、L−乳酸および/またはD−乳酸を原料として一旦環状2量体であるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行う2段階のラクチド法や、L−乳酸および/またはD−乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が用いられる。
また、本発明におけるポリ乳酸は、L−乳酸、D−乳酸の他にエステル形成能を有するその他の成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重合可能な成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。
(2)脂肪族ポリエステル繊維(B)の製造方法
脂肪族ポリエステル繊維(B)は、脂肪族ポリエステル樹脂(B')を溶融紡糸し、延
伸することによって得られる。溶融紡糸の方法は公知の方法を用いればよく、特に限定されない。通常、溶融紡糸の後、熱延伸または冷延伸し繊維とする方法が用いられるため、その方法について記述する。
ばよいが、脂肪族ポリエステル樹脂(B')の分解による分子量低下を防ぐためには、な
るべく低い温度であることがよく、具体的には、通常は下限が120℃以上、上限が300℃以下であり、好ましくは、下限が130℃以上、上限が260℃以下である。溶融紡糸の工程では、通常、ノズルから脂肪族ポリエステルを押し出して紡糸するが、ノズルの形状、糸の断面の形状、サイズ等は特に限定されない。また、中空繊維用のノズルを用いて中空繊維としてもよい。
このようにして溶融紡糸の工程で得られた脂肪族ポリエステル繊維(B)の結晶性を上げるために、通常冷延伸あるいは熱延伸を行う。延伸倍率は下限が4倍以上、上限が10倍以下であることが好ましい。延伸倍率が小さすぎる場合には繊維の配向及び結晶化度が充分でなく十分な強度、高融点が得られない傾向がある。また、延伸倍率が大きすぎると、繊維の切れ等が発生し製造効率上好ましくない。
延伸温度は、脂肪族ポリエステル繊維(B)のTg(ガラス転移点)以上、脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度以下であることが好ましい。また、さらに繊維の結晶化度を上げるため、延伸後に延伸温度より高い温度で熱処理を行ってもよい。熱処理は定長で行ってもよく、また繊維の長さを90%以上に保ち緩和させた状態で行ってもよい。
脂肪族ポリエステル繊維(B)を切断する長さは、通常下限が0.5mm以上、上限が30mm以下であり、好ましくは、下限が1mm以上、上限が20mm以下である。短すぎると、剛性、耐熱性等が低下する傾向があり、長すぎると、外観が悪化する傾向がある。
なお、繊維の断面形状については丸断面の他、扁平、中空、三角、5葉あるいは8葉などの多葉断面などの異形断面のいずれでも差し支えない。
脂肪族ポリエステル繊維(B)の直径は、通常、上限が100ミクロン以下、下限が0.03ミクロン以上であり、好ましくは、上限が50ミクロン以下、下限が0.05ミクロン以上であり、最も好ましくは、上限が30ミクロン以下、下限が0.1ミクロン以上である。直径が小さすぎると、繊維の取り扱いが難しくなる傾向があり、大きすぎると、剛性、耐熱性などの期待される物性が発現しない傾向がある。
。
(数1)
〔脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度(℃)〕−〔脂肪族ポリエステル樹脂(A)の融点(℃)〕≧30℃ (I)
好ましくは、〔脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度(℃)〕−〔脂肪族ポリエステル樹脂(A)の融点(℃)〕の値が、通常上限が150℃以下、より好ましくは、上限が120℃以下、下限が40℃以上である。ここでいう融解開始温度とは示差走査熱量計による融解開始温度測定方法によって得られた溶融開始の温度を示す。
<脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)のブレンド方法>
上述で合成された脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)とをブレンド(混練)することにより、脂肪族ポリエステル組成物が得られる。
また、本発明の脂肪族ポリエステル組成物には、公知慣用の酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、金属石鹸類、滑剤、界面活性剤、着色剤、発泡剤等を添加することもできる。本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されるものではないが、脂肪族ポリエステル組成物に対して、0.01〜10重量%が好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)の混練方法は特に制限されず、脂肪族ポリエステル樹脂(A)中に脂肪族ポリエステル繊維(B)を溶融させることなく分散せしめることが可能な方法であればよい。
混練する時間は、特に限定されず、脂肪族ポリエステル樹脂(A)中に脂肪族ポリエステル繊維(B)が均一に分散している状態になればよく、混練樹脂量と種類やその他の混練条件によって適宜決めればよい。
混練する際の回転数は、通常、上限が250rpm以下、下限が30rpm以上であるが、回転数が速すぎるとせん断発熱により樹脂の温度が著しく上昇し、脂肪族ポリエステル繊維(B)が溶融する恐れがあり、回転数が遅すぎると混合が進まない傾向があるため、好ましくは上限が200rpm以下、下限が35rpm以上、より好ましくは上限が150rpm以下、下限が40rpm以上である。
脂肪族ポリエステル組成物をプレス成形することにより得られたシートの曲げ弾性率は、通常、上限が2500Mpa以下、下限が800Mpa以上、好ましくは、上限が2200Mpa以下、下限が1000Mpa以上である。曲げ弾性率が高すぎると、衝撃強度が低下し脆くなる傾向があり、低すぎると、コシがなくなり成形品の形状保持が困難になる傾向がある。
混練して得られた脂肪族ポリエステル組成物の成形方法は、通常の熱可塑性樹脂組成物の成形方法と同様な方法をいずれも適用することができる。具体的には、射出成形、押出成形、中空成形、発泡成形等を採用することができる。
このようにして得られた脂肪族ポリエステル組成物は、フィルム、ラミネートフィルム、シート、板、延伸シート、多孔性フィルム、合成紙、ブローボトル、発泡体などの各種成形品に利用可能である。
<繊維の直径>
脂肪族ポリエステル繊維(B)数本をスライドガラス上に載せ、光学顕微鏡用オイルを上から一滴垂らした上にカバーガラスを載せ空気が抜けるよう軽く加圧し観察検体とした。偏光顕微鏡で400倍あるいは200倍の対物レンズを用い検体中の繊維に焦点を合わせ、ポラロイドカメラにより写真撮影した。同倍率、同条件で撮影したスケール(最小目盛り10ミクロン)の目盛り長さより、繊維の平均的直径を算出した。
繊維の直径と繊維の切断長から、以下の式により求めた。
アスペクト比=繊維の切断長(mm)/繊維の直径(mm)
<曲げ弾性率>
プレス成形により得られたシートから曲げ試験片(長さ60mm、幅8mm、厚さ2.0mm)を切り出し、24時間以上状態調節(23℃、50RH%)した後、JIS K7203に規定される曲げ弾性率の測定方法に準じて前記曲げ試験片の曲げ弾性率を測定した。
プレス成形により得られたシートからヒートサグ試験片(長さ125mm、幅10mm、厚み2.0mm)を切り出し、24時間以上状態調節(23℃、50RH%)したのち、JIS K7195規定されるヒートサグ測定方法に準じ、オーバーハング量100mm、100℃、1時間保持後の熱たわみ量を測定した。
パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7を用いて測定した。乾燥させた繊維10mgを切り出しアルミニウム製固体用標準パンに封入した。ブランクには空のパンを用いた。窒素雰囲気下、室温から昇温速度10℃/分で200℃まで昇温した。このとき示差走査熱量曲線の平坦領域の接線と、主吸熱ピークの立ち上がり温度と吸熱ピーク温度の中点温度における接線との交点温度を融解開始温度とした。
パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7を用いて、乾燥させた試料10mgを切り出しアルミニウム製固体用標準パンに封入した。ブランクには空のパンを用いた。窒素雰囲気下200℃に5分間保持し、10℃/分で0℃まで降温させた後1分間保持し、続いて10℃/分で200℃まで昇温させた。このときの示差走査熱量曲線の主吸熱ピーク温度を融点とした。
L−ラクチド2000gに開環重合触媒としてオクチル酸錫0.02gを加え、190〜200℃で約27時間、窒素ガス雰囲気下で溶融攪拌し、反応を進行させた後、1〜3torrまで減圧し、ポリマー中に残存するL−ラクチドを除去し、重量平均分子量189,000のポリL−乳酸を得た。
合成例1で得られたポリL−乳酸を190℃で紡糸ドラフト100にて溶融紡糸し、未延伸繊維を得た。次に、未延伸繊維を120℃で7倍に延伸し、次いで130℃で1時間
熱処理した後に2mm長さにカットし、脂肪族ポリエステル繊維(B)とした。脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度を測定したところ、160℃であった。また繊維直径は約5μmであり、アスペクト比は約400であった。また、脂肪族ポリエステル樹脂(A)としてポリブチレンサクシネート(三菱化学社製、AZ91T)を用いた。脂肪族ポリエステル樹脂(A)の融点を測定したところ、111℃であった。続いて脂肪族ポリエステル樹脂(A):脂肪族ポリエステル繊維(B)=70:30の重量比で、ラボプラストミル(東洋精機社製)により135℃、50rpmにおいて10分間混練した。その後平均5ミリ径の樹脂塊に粉砕し、脂肪族ポリエステル組成物とした。
成形した。得られた脂肪族ポリエステルシートから曲げ試験用として長さ60mm、幅8mm、厚さ2.0mmおよびヒートサグ試験用として長さ125mm、幅10mm、厚さ2.0mmを切り出し、曲げ試験、100℃でのヒートサグ試験、目視によるサンプルの均一性及び色測定を行った。
実施例1で得られた脂肪族ポリエステル繊維(B)と、ポリブチレンサクシネート系脂肪族ポリエステル(三菱化学社製、AZ91T):脂肪族ポリエステル繊維(B)=90:10の重量比で、ラボプラストミルにより135℃、50rpm、10分間混練し、その後粉砕し、脂肪族ポリエステル組成物とした。実施例1と同様にプレス成形し脂肪族ポリエステルシートを得た。得られたシートについて、実施例1と同様に曲げ弾性率試験、100℃でのヒートサグ試験、目視によるサンプルの均一性及び色測定を行った。
バイオマックス(デュポン社製、R2024)を脂肪族ポリエステル樹脂(B‘)として使用した。
240℃で紡糸ドラフト100にて溶融紡糸し、未延伸繊維を得た。次に、未延伸繊維を140℃で7倍に延伸し、次いで150℃で1時間熱処理した後に1.5mm長さにカ
ットし、脂肪族ポリエステル繊維(B)とした。得られた脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度を測定したところ、182℃であった。偏光顕微鏡での観察結果より、繊維直径は約7μmであり、アスペクト比は約210であった。実施例1と同じく脂肪族ポリエステル樹脂(A)はポリブチレンサクシネート(三菱化学社製、AZ91T)を用いた。脂肪族ポリエステル樹脂(A):脂肪族ポリエステル繊維(B)=70:30の重量比で、ラボプラストミルにより150℃、50rpmにおいて10分間混練した。その後実施例1と同様に粉砕し、シート成形した。得られたシートについて、実施例1と同様に曲げ弾性率試験、100℃でのヒートサグ試験、目視によるサンプルの均一性及び色測定を行った。
ポリブチレンサクシネート系脂肪族ポリエステル(三菱化学社製、AZ91T):綿繊維(長谷川綿行社、繊維径12〜38μ、20mm長さにカットして使用、アスペクト比約500〜1600)=70:30の重量比で、ラボプラストミルにより135℃、50rpm、10分間混練した。その後粉砕し、比較用材料とした。実施例1と同様にプレス成形しシートを得た。得られたシートについて、実施例1と同様に曲げ弾性率試験、100℃でのヒートサグ試験、目視によるサンプルの均一性及び色測定を行った。
ポリブチレンサクシネート系脂肪族ポリエステル(三菱化学社製、AZ91T):ポリ乳酸(実施例1で繊維化する前のものをそのまま用いた)=70:30の重量比で、ラボプラストミルにより200℃、50rpm、10分間混練した。その後粉砕し、プレス温度を200℃に変更した以外は実施例1と同様にプレス成形しシートを得た。得られたシートについて、実施例1と同様に曲げ弾性率試験、100℃でのヒートサグ試験、目視によるサンプルの均一性及び色測定を行った。
ポリブチレンサクシネート系脂肪族ポリエステル(三菱化学社製、AZ91T)100%の材料をラボプラストミルにより135℃、50rpm、10分間溶融混練した。その後粉砕し、実施例1と同様にプレス成形しシートを得た。得られたシートについて、実施例1と同様に曲げ弾性率試験、100℃でのヒートサグ試験、目視によるサンプルの均一性及び色測定を行った。
Claims (4)
- 脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位、並びに脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とする脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)とを含有してなる脂肪族ポリエステル組成物であって、脂肪族ポリエステル繊維(B)が、下記条件式(I)を満たすものであることを特徴とする脂肪族ポリエステル組成物
。
(数1)
〔脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度(℃)〕−〔脂肪族ポリエステル樹脂(A)の融点(℃)〕≧30℃ (I) - 脂肪族ポリエステル繊維(B)が、直径100ミクロン以下であり、且つアスペクト比10以上である、請求項1に記載の脂肪族ポリエステル組成物。
- 脂肪族ポリエステル繊維(B)の主成分がポリ乳酸である、請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステル組成物。
- 脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)とを、脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度以下の温度で混練することを特徴とする、脂肪族ポリエステル組成物の製造方法。
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