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JP2010188800A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車両の制御装置 Download PDF

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JP2010188800A
JP2010188800A JP2009033750A JP2009033750A JP2010188800A JP 2010188800 A JP2010188800 A JP 2010188800A JP 2009033750 A JP2009033750 A JP 2009033750A JP 2009033750 A JP2009033750 A JP 2009033750A JP 2010188800 A JP2010188800 A JP 2010188800A
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Futoshi Yoshimura
太志 吉村
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】バッテリを適切に保護しつつEV走行状態を実行できる状況を多くすることのできるハイブリッド車両の制御装置を提供すること。
【解決手段】遊星ギア機構TMの回転要素にエンジンEngと発電用モータ(第1モータジェネレータMG1)と駆動用モータ(第2モータジェネレータMG2)とが連結され、駆動用モータ(MG2)が駆動輪に連結されており、発電用モータ(MG1)および駆動用モータ(MG2)にバッテリ4が電気的に接続され、発電用モータ(MG1)でクランキングトルクを発生することによりエンジンEngを始動させるエンジン始動制御手段(図5のフローチャート)を備えるハイブリッド車両の制御装置において、エンジン始動制御手段は、車両の車速が速い場合には、車速が遅い場合に比べ発電用モータ(MG1)で発生させるクランキングトルクを小さくする。
【選択図】図5

Description

本発明は、遊星ギア機構の回転要素にエンジンと発電用モータと駆動用モータとが連結されたハイブリッド車両の制御装置に関する。
従来、エンジンの動力を利用して発電できる発電用モータと車軸に動力を伝達できる駆動用モータとが遊星ギア機構を介して連結されているハイブリッド車両において、駆動用モータのみの駆動で走行するEV走行状態から、エンジンも駆動して走行するHEV走行状態へと移行する場合、発電用モータでクランキングトルクを発生することによりエンジンを始動させるエンジン始動制御手段を備えるハイブリッド車両の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−308012公報
ところで、上記したハイブリッド車両では、発電用モータを利用してクランキングを行う際、車速によっては発電用モータでクランキングトルクを発生することにより発電用モータで発電することとなり、その発電量が車速の大きさに応じて大きくなる。この発電用モータで発電された電力は、バッテリに入力されて充電される。そのバッテリでは保護の観点から充電許容量が設定されていることから、従来のハイブリッド車両の制御装置にあっては、発電用モータから電力が入力されることによりバッテリの充電許容量を超えないように、EV走行状態に車速の上限値を設け、その上限値となるとエンジンを始動させる。このため、EV走行状態を実行できる状況が少なくなり、効率の低い状態でエンジンを駆動する状況が多くなり、燃費向上の効果が小さくなる、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、バッテリを適切に保護しつつEV走行状態を実行できる状況を多くすることのできるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド車両の制御装置では、遊星ギア機構の回転要素にエンジンと発電用モータと駆動用モータとが連結され、駆動用モータが駆動輪に連結され、発電用モータおよび駆動用モータはバッテリに電気的に接続され、発電用モータでクランキングトルクを発生することによりエンジンを始動させるエンジン始動制御手段を備えている。そのエンジン始動制御手段は、車速が速い場合には、車速が遅い場合に比べ、発電用モータで発生させるクランキングトルクを小さくする。
よって、本発明のハイブリッド車両の制御装置にあっては、車速が速い場合には、クランキングトルクの低減に伴って発電用モータでの発電量(電力量)を低減できることから、速い車速であっても、エンジンをクランキングする際に、バッテリへ供給される電力を小さくして、バッテリの充電時の負荷を低減することができる。このため、クランキングを開始する車速を高くすることができるので、EV走行状態を実行できる状況を多くすることができる。
実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を示す全体システム図である。 実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両の特性を説明するための説明図であり、(a)が駆動力性能特性図であり、(b)が駆動力概念図である。 実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両における回生協調による制動力性能をあらわす対比特性図であり、(a)が一般的な制動力特性図であり、(b)が実施例1の制動力特性図である。 実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両における各車両モードを示す共線図であり、(a)が停車モードを示し、(b)が発進モードを示し、(c)がエンジン始動モードを示し、(d)が定常走行モードを示し、(e)が加速モードを示す。 「EVモード」における走行制御であって、統合コントローラ6にて実行されるエンジン始動制御処理内容を示すフローチャートである。 統合コントローラ6におけるエンジン始動制御処理を示す制御ブロック図である。 「技術の課題」の説明のための共線図であり、(a)は「EVモード」での走行状態を示し、(b)は(a)からエンジン始動制御(クランキング動作)を行った状態を示している。 実施例1の車両の制御装置における作用の説明のために車速に対する、発電量および第1モータジェネレータMG1(ジェネレータ)によるクランキングトルクの関係を示すグラフであり、(a)は従来の関係を示し、(b)は実施例1の関係を示す。
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を示す全体システム図である。図2は、実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両の特性を説明するための説明図であり、(a)が駆動力性能特性図であり、(b)が駆動力概念図である。図3は、実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両における回生協調による制動力性能をあらわす対比特性図であり、(a)が一般的な制動力特性図であり、(b)が実施例1の制動力特性図である。図4は、実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両における各車両モードを示す共線図であり、(a)が停車モードを示し、(b)が発進モードを示し、(c)がエンジン始動モードを示し、(d)が定常走行モードを示し、(e)が加速モードを示す。以下、図1ないし図4に基づいて、ハイブリッド車両の駆動系の構成を説明する。
実施例1におけるハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、エンジンEngと、第1モータジェネレータMG1(発電用モータ(以下、ジェネレータともいう))と、第2モータジェネレータMG2(駆動用モータ(以下、単にモータともいう))と、出力スプロケットOS、動力分割機構TM(遊星ギア機構)と、を有する。
前記エンジンEngは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、後述するエンジンコントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度等が制御される。
前記第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2とは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいて、パワーコントロールユニット3により作り出された三相交流を印加することによりそれぞれ独立に制御される。
前記両モータジェネレータMG1、MG2は、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この状態を「力行」または「放電」と呼ぶ)、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(以下、この状態を「回生」または「発電」と呼ぶ)。
前記動力分割機構TMは、サンギアSと、ピニオンPと、リングギアRと、ピニオンキャリアPCと、を有する単純遊星歯車により構成されている。この単純遊星歯車の3つの回転要素(サンギアS、リングギアR、ピニオンキャリアPC)に対する入出力部材の連結関係について説明する。前記サンギアSには、第1モータジェネレータMG1が連結されている。前記リングギアRには、第2モータジェネレータMG2と出力スプロケットOSとが連結されている。前記ピニオンキャリアPCには、エンジンダンパEDを介してエンジンEngが連結されている。なお、前記出力スプロケットOSは、チェーンベルトCBや図外のディファレンシャルやドライブシャフトを介して左右前輪に連結されている。
上記連結関係により、図4に示す共線図上において、第1モータジェネレータMG1(サンギアS)、エンジンEng(ピニオンキャリアPC)、第2モータジェネレータMG2及び出力スプロケットOS(リングギアR)の順に配列され、単純遊星歯車の動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデル(3つの回転数が必ず直線で結ばれる関係)を導入することができる。
ここで、「共線図」とは、差動歯車のギア比を考える場合、式により求める方法に代え、より簡単で分かりやすい作図により求める方法で用いられる速度線図であり、縦軸に各回転要素の回転数(回転速度)をとり、横軸に各回転要素をとり、各回転要素の間隔をサンギアSとリングギアRの歯数比λに基づき、(S〜PC):(PC〜R)の長さの比を1:λになるように配置したものである。
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。
実施例1におけるハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、パワーコントロールユニット3(強電ユニット)と、バッテリ4(二次電池)と、ブレーキコントローラ5と、統合コントローラ6と、を有して構成されている。
前記統合コントローラ6には、アクセル開度センサ7と、車速センサ8と、エンジン回転数センサ9と、第1モータジェネレータ回転数センサ10と、第2モータジェネレータ回転数センサ11と、シフト位置センサ27と、バッテリ温度センサ28と、から入力情報がもたらされる。なお、車速センサ8と第2モータジェネレータ回転数センサ11は、同じ動力分割機構TMの出力回転数を検出するものであるため、車速センサ8を省略し、第2モータジェネレータ回転数センサ11からのセンサ信号を車速信号として用いても良い。
前記ブレーキコントローラ5には、前左車輪速センサ12と、前右車輪速センサ13と、後左車輪速センサ14と、後右車輪速センサ15と、操舵角センサ16と、マスタシリンダ圧センサ17と、ブレーキストロークセンサ18と、から入力情報がもたらされる。
前記エンジンコントローラ1は、アクセル開度センサ7からのアクセル開度Accとエンジン回転数センサ9からのエンジン回転数Neを入力する統合コントローラ6からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(Ne、Te)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。
前記モータコントローラ2は、レゾルバによる第1モータジェネレータ回転数センサ10からの第1モータジェネレータMG1(ジェネレータ)の回転数Ngおよびレゾルバによる第2モータジェネレータ回転数センサ11からの第2モータジェネレータMG2(モータ)の回転数Nmを入力する統合コントローラ6からの目標モータジェネレータトルク指令等に応じ、第1モータジェネレータMG1のモータ動作点(Ng、T1)と、第2モータジェネレータMG2のモータ動作点(Nm、T2)と、をそれぞれ独立に制御する指令をパワーコントロールユニット3へ出力する。なお、このモータコントローラ2は、バッテリ4の充電状態をあらわすバッテリSOCの情報を用いる。
前記パワーコントロールユニット3は、より少ない電流で両モータジェネレータMG1、MG2への電力供給が可能な電源系高電圧による強電ユニットを構成するもので、ジョイントボックスと、昇圧コンバータと、駆動モータ用インバータと、発電ジェネレータ用インバータと、コンデンサと、を有する。前記第2モータジェネレータMG2のステータコイルには、駆動モータ用インバータが接続される。前記第1モータジェネレータMG1のステータコイルには、発電ジェネレータ用インバータが接続される。また、前記ジョイントボックスには、力行時に放電し回生時に充電するバッテリ4が接続される。このパワーコントロールユニット3は、バッテリ4の充電容量をあらわすバッテリSOCを監視しており、この情報を統合コントローラ6へ供給する。また、パワーコントロールユニット3は、モータコントローラ2からの指令に応じたトルクまたは回転数で、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2を独立に駆動する。
前記ブレーキコントローラ5は、低μ路制動時や急制動時等において、4輪のブレーキ液圧を独立に制御するブレーキ液圧ユニット19への制御指令によりABS制御を行い、また、エンジンブレーキやフットブレーキによる制動時、統合コントローラ6への制御指令とブレーキ液圧ユニット19への制御指令を出すことで回生ブレーキ協調制御を行う。このブレーキコントローラ5には、各車輪速センサ12、13、14、15からの車輪速情報や、操舵角センサ16からの操舵角情報や、マスタシリンダ圧センサ17やブレーキストロークセンサ18からの制動操作量情報が入力される。そして、これらの入力情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、その処理結果による制御指令を統合コントローラ6とブレーキ液圧ユニット19とへ出力する。なお、前記ブレーキ液圧ユニット19には、前左車輪ホイールシリンダ20と、前右車輪ホイールシリンダ21と、後左車輪ホイールシリンダ22と、後右車輪ホイールシリンダ23と、が接続されている。
前記統合コントローラ6は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、加速走行時等において、エンジンコントローラ1への制御指令によりエンジン動作点制御を行い、また、停止時や走行時や制動時等において、モータコントローラ2への制御指令によりモータジェネレータ動作点制御を行う。この統合コントローラ6には、各センサ7、8、9、10、11からのアクセル開度Accと車速Vとエンジン回転数Neと第1モータジェネレータ回転数Ngと第2モータジェネレータ回転数Nmとが入力される。そして、これらの入力情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、その処理結果による制御指令をエンジンコントローラ1とモータコントローラ2へ出力する。なお、統合コントローラ6とエンジンコントローラ1、統合コントローラ6とモータコントローラ2、統合コントローラ6とブレーキコントローラ5は、情報交換のためにそれぞれ双方向通信線24、25、26により接続されている。
次に、駆動力性能について説明する。
実施例1のハイブリッド車両の駆動力は、図2(b)に示すように、エンジン直接駆動力(エンジン総駆動力から第1モータジェネレータMG1の駆動のための駆動力を差し引いた駆動力)とモータ駆動力(両モータジェネレータMG1、MG2の総和による駆動力)との合計で示される。その最大駆動力の構成は、図2(a)に示すように、低い車速ほどモータ駆動力が多くを占める。このように、変速機を持たず、エンジンEngの直接駆動力と電気変換したモータ駆動力を加えて走行させることから、低速から高速まで、定常運転のパワーの少ない状態からアクセルペダル全開のフルパワーまで、ドライバの要求駆動力に対しシームレスに応答良く駆動力をコントロールすることができる(トルク・オン・デマンド)。
そして、実施例1のハイブリッド車両では、動力分割機構TMを介し、エンジンEngと両モータジェネレータMG1、MG2と左右前輪(駆動輪)とがクラッチ無しで繋がっている。また、上記のように、エンジンパワーの大部分を発電機で電気エネルギに変換し、高出力かつ高応答のモータで車両を走らせている。このため、例えば、アイスバーン等の滑りやすい路面での走行時において、駆動輪のスリップやブレーキ時の駆動輪のロック等で車両の駆動力が急変する場合、過剰電流からのパワーコントロールユニット3の部品保護、あるいは、動力分割機構TMのピニオン過回転からの部品保護を行う必要がある。これに対し、高出力・高応答のモータ特性を活かし、部品保護の機能から発展させて、駆動輪の駆動スリップを瞬時に検出し、そのグリップを回復させ、車両を安全に走らせるためのトラクション制御を採用している。
次に、制動力性能について説明する。
実施例1のハイブリッド車両では、エンジンブレーキやフットブレーキによる制動時には、モータとして作動している第2モータジェネレータMG2を、ジェネレータ(発電機)として作動させることにより、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換してバッテリ4に回収し、再利用する回生ブレーキシステムを採用している。
この回生ブレーキシステムでの一般的な回生ブレーキ協調制御は、図3(a)に示すように、ブレーキペダル踏み込み量に対し要求制動力を算出し、要求制動力に大きさにかかわらず、算出された要求制動力を回生分と油圧分とで分担することで行われる。
これに対し、実施例1のハイブリッド車両で採用している回生ブレーキ協調制御は、図3(b)に示すように、ブレーキペダル踏み込み量に対し要求制動力を算出し、算出された要求制動力に対し回生ブレーキを優先し、回生分で賄える限りは油圧分を用いることなく、最大限まで回生分の領域を拡大している。これにより、特に加減速を繰り返す走行パターンにおいて、エネルギ回収効率が高く、より低い車速まで回生制動によるエネルギの回収を実現している。
次に、車両モードについて説明する。
実施例1のハイブリッド車両での車両モードとしては、図4の共線図に示すように、「停車モード」、「発進モード」、「エンジン始動モード」、「定常走行モード」、「加速モード」を有する。
「停車モード」では、図4(a)に示すように、エンジンEngと第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2は止まっている。「発進モード」では、図4(b)に示すように、第2モータジェネレータMG2のみの駆動で発進する。以下では、このように第2モータジェネレータMG2のみの駆動で走行することを「EVモード」での走行という。「エンジン始動モード」では、図4(c)に示すように、エンジンスタータとしての機能を持つ第1モータジェネレータ(発電機)MG1によって、サンギアSが回ってエンジンEngを始動する。「定常走行モード」では、図4(d)に示すように、主にエンジンEngにて走行し、効率を高めるために発電を最小にする。「加速モード」では、図4(e)に示すように、エンジンEngの回転数を上げると共に、第1モータジェネレータMG1による発電を開始し、その電力とバッテリ4の電力を使って第2モータジェネレータMG2の駆動力を加え、加速する。なお、後退走行は、図4(d)に示す「定常走行モード」において、エンジンEngの回転数上昇を抑えたままで、第1モータジェネレータMG1の回転数を上げると、第2モータジェネレータMG2の回転数が負側に移行し、後退走行を達成することができる。
始動時は、イグニッションキーを回すとエンジンEngが始動し、エンジンEngを暖機した後、直ぐにエンジンEngは停止する。発進時や軽負荷時は、発進時やごく低速で走行する緩やかな坂を下るときなどは、エンジン効率の悪い領域は燃料をカットし、エンジンEngは停止して第2モータジェネレータMG2により走行する。通常走行時は、エンジンEngの駆動力は、動力分割機構TMにより一方は車輪を直接駆動し、他方は第1モータジェネレータ(発電機)MG1を駆動し、第2モータジェネレータMG2をアシストする。全開加速時は、バッテリ4からパワーが供給され、さらに、駆動力を追加する。減速時や制動時には、車輪が第2モータジェネレータMG2を駆動し、発電機として作用することで回生発電を行う。回収した電気エネルギはバッテリ4に蓄えられる。バッテリ4の充電量が少なくなると、第1モータジェネレータ(発電機)MG1をエンジンEngにより駆動し、充電を開始する。車両停止時には、エアコン使用時やバッテリ充電時等を除き、エンジンEngを自動的に停止する。
図5は、「EVモード」における走行制御であって、統合コントローラ6にて実行されるエンジン始動制御処理内容を示すフローチャートである。すなわち、図5のフローチャートがエンジン始動制御手段となる。図6は、統合コントローラ6におけるエンジン始動制御処理を示す制御ブロック図である。以下、図5のフローチャートの各ステップについて図6を用いて説明する。
ステップS1では、バッテリ4の充電状態(SOC[%])とバッテリ4の温度(Tbatt[℃])とを読み込んで、ステップS2へ進む。
ステップS2では、ステップS1での充電状態SOCとバッテリ温度Tbattとの読み込みに続き、充電許容量である判断時点でのバッテリ最大入力許容値Win[W]を演算して、ステップS3へ進む。この、ステップS2では、充電許容量演算部31において、バッテリ最大入力マップ(Fwin)を用いて充電状態SOCとバッテリ温度Tbattとからバッテリ最大入力許容値Win[W]を演算する。このバッテリ最大入力マップ(Fwin)は、バッテリ4において、充電状態SOCに応じたバッテリ温度Tbattに対するバッテリ最大入力許容値Winの関係を示したものである。
ステップS3では、ステップS2でのバッテリ最大入力許容値Win[W]の演算に続き、EV制限車速Vevmx[km/h]を演算して、ステップS4へ進む。このステップS3では、EV制限車速演算部32において、EV制限車速マップ(Fvevmx)を用いてステップS2で演算したバッテリ最大入力許容値WinからEV制限車速Vevmxを演算する。EV制限車速マップ(Fvevmx)は、バッテリ最大入力許容値Winに対するEV制限車速Vevmxの関係を示したものである。このEV制限車速Vevmxの特性線は、「EVモード」においてバッテリ4に入力される電力量が最も多くなるコースト回生時にクランキング動作を行う状況において、バッテリ4に入力され得る最大電力量、すなわち第2モータジェネレータMG2でのコースト回生による発電量(電力量)と、第1モータジェネレータMG1でのクランキングによる発電量(電力量)と、の和に対する、車速の関係を示すものである。
ステップS4では、ステップS3でのEV制限車速Vevmx[km/h]を演算に続き、判断時点でのエンジンEngの回転数Ne[rad/sec]を読み込んで、ステップS5へ進む。
ステップS5では、ステップS4でのエンジンEngの回転数Ne[rad/sec]の読み込みに続き、従来クランキングトルクTgbs[Nm]を演算して、ステップS6へ進む。このステップS5では、従来クランキングトルク演算部33において、クランキングトルクテーブル(Ftgbs)を用いて、ステップS4で読み込んだエンジンEngの回転数Neから従来クランキングトルクTgbs[Nm]を演算する。このクランキングトルクテーブル(Ftgbs)は、エンジン起動ショックや加速レスポンス等の要件に基づいて予め設定した、エンジンEngの回転数Neに対するクランキングトルクの関係を示すものである。
ステップS6では、ステップS5での従来クランキングトルクTgbs[Nm]の演算に続き、判断時点での車速(実車速)V[km/h]を読み込んで、ステップS7へ進む。
ステップS7では、ステップS6での実車速V[km/h]の読み込みに続き、その他のエンジン起動要求フラグFlgを読み込んで、ステップS8へ進む。このその他のエンジン起動要求フラグFlgとは、バッテリ4の充電状態(SOC)等によりバッテリ4を充電する必要が生じたと判断した場合や、エンジンEngから出力されるエンジントルクが必要であると判断した場合等をいう。
ステップS8では、ステップS7でのその他のエンジン起動要求フラグFlgの読み込みに続き、アクセル開度Acc[%]とシフトレバー位置SFTとを読み込んで、ステップS9へ進む。
ステップS9では、ステップS8でのアクセル開度Acc[%]とシフトレバー位置SFTとの読み込みに続き、回生トルクTr[Nm]を演算して、ステップS10へ進む。このステップS9では、回生トルク演算部34において、駆動トルクマップ(Fdrv)を用いて、実車速とステップS8で読み込んだアクセル開度Accおよびシフトレバー位置SFTから回生トルクTr[Nm]を演算する。この駆動トルクマップ(Fdrv)は、シフトレバー位置SFT毎すなわち変速段毎に設定されており、アクセル開度Accに応じた車速に対する駆動トルクの関係を示すものである。
ステップS10では、ステップS9での回生トルクTr[Nm]の演算に続き、第2モータジェネレータMG2(モータ)の回転数Nm[rad/sec]を読み込んで、ステップS11へ進む。
ステップS11では、ステップS10での回転数Nm[rad/sec]の読み込みに続き、回生による発電量(回生発電量)Pr[W]を演算して、ステップS12へ進む。この回生発電量Pr[W]とは、判断時点での第2モータジェネレータMG2の状態に基づくコースト回生による発電量である。ステップS11では、回生発電量演算部35において、ステップS9で演算した回生トルクTr[Nm]に、ステップS10で読み込んだ第2モータジェネレータMG2の回転数Nm[rad/sec]を乗算することにより、回生発電量Pr[W]を演算する(回生発電量Pr[W]=(回生トルクTr[Nm])×(回転数Nm[rad/sec]))。
ステップS12では、ステップS11での回生発電量Pr[W]の演算に続き、クランキング利用可能電力Pgevmx[W]を演算して、ステップS13へ進む。このクランキング利用可能電力Pgevmx[W]とは、判断時点でのバッテリ4および第2モータジェネレータMG2の状態に基づくクランキングによる発電の許容量(電力量)、すなわちクランキングトルクを発生させるために第1モータジェネレータMG1(ジェネレータ)で利用可能な電力量である。ステップS12では、利用可能電力演算部36において、ステップS2で演算したバッテリ最大入力許容値WinからステップS11で演算した回生発電量Pr[W]を減算することにより、クランキング利用可能電力Pgevmx[W]を演算する(クランキング利用可能電力Pgevmx[W]=(バッテリ最大入力許容値Win[W])−(回生発電量Pr[W]))。
ステップS13では、ステップS12でのクランキング利用可能電力Pgevmx[W]の演算に続き、第1モータジェネレータMG1(ジェネレータ)の回転数Ng[rad/sec]を読み込んで、ステップS14へ進む。
ステップS14では、ステップS13での回転数Ng[rad/sec]の読み込みに続き、クランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]を演算して、ステップS15へ進む。このクランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]とは、判断時点でのバッテリ4、第2モータジェネレータMG2および第1モータジェネレータMG1の状態に基づくクランキング動作のために第1モータジェネレータMG1が発生可能なクランキングトルクの最大値、すなわち第1モータジェネレータMG1(ジェネレータ)で利用可能な電力量に基づくクランキングトルクの最大値である。ステップS14では、利用可能トルク演算部37において、ステップS12で演算したクランキング利用可能電力Pgevmx[W]をステップS13で読み込んだ判断時点での第1モータジェネレータMG1の回転数Ng[rad/sec]で除算することにより、クランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]を演算する(クランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]=(クランキング利用可能電力Pgevmx[W])/(回転数Ng[rad/sec]))。
ステップS15では、クランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]の演算に続き、エンジン始動条件(クランキング実施条件)が成立したか否かを判断し、Yesの場合はステップS16へ進み、Noの場合はステップS19へ進む。このステップS15では、始動条件判断部38において、実車速VがステップS3で演算したEV制限車速Vevmxよりも大きくかつステップS14で演算したクランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]が下限クランキングトルク範囲Tgmnとなった場合、もしくはステップS7で読み込んだその他エンジン起動要求フラグFlgがON状態(その他エンジン起動要求有り)である場合に、エンジン始動条件が成立したものと判断する。この下限クランキングトルク範囲Tgmnとは、クランキングトルクをクランキング動作の完了が可能な下限値にできる限り近い値とするためのものであり、クランキング動作の完了が可能な最低値を下限(下限値)としかつそこに所定の値が加算された値を上限とする。この下限クランキングトルク範囲Tgmnは、クランキング動作の完了が可能な下限値にできる限り近い値でクランキング動作を開始させることを可能としつつクランキング動作が実行できなくなることを確実に防止できる範囲で設定されている。
ステップS16では、ステップS15でのエンジン始動条件が整ったとの判断に続き、ジェネレータトルク指令設定部39において、ステップS5で演算した従来クランキングトルクTgbs[Nm]がステップS14で演算したクランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]よりも大きいか否かを判断し、Yesの場合はステップS17へ進み、Noの場合はステップS18へ進む。
ステップS17では、ステップS16での従来クランキングトルクTgbs[Nm]がクランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]よりも大きいとの判断に続き、ジェネレータトルク指令設定部39においてクランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]をジェネレータ指令トルクTg(第1モータジェネレータMG1への指令)に採用する。このステップS17では、エンジンEngのクランキング動作のためのクランキングトルクとしてクランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]を第1モータジェネレータMG1に発生させるトルク指令値を、パワーコントロールユニット3へと出力する。この後、エンジン始動制御が実行され、他のモードによる走行制御に移行する(エンジン始動制御処理を終了する)。
ステップS18では、ステップS16での従来クランキングトルクTgbs[Nm]がクランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]よりも小さいとの判断に続き、ジェネレータトルク指令設定部39において従来クランキングトルクTgbs[Nm]をジェネレータ指令トルクTg(第1モータジェネレータMG1への指令)に採用する。このステップS18では、エンジンEngのクランキング動作のためのクランキングトルクとして従来クランキングトルクTgbs[Nm]を第1モータジェネレータMG1に発生させるトルク指令値を、パワーコントロールユニット3へと出力する。この後、エンジン始動制御が実行され、他のモードによる走行制御に移行する(エンジン始動制御処理を終了する)。すなわち、ステップS16、ステップS17およびステップS18では、ジェネレータトルク指令設定部39において、クランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]および従来クランキングトルクTgbs[Nm]のうちの小さいほうを、ジェネレータ(第1モータジェネレータMG1)指令トルクTgとして設定する。
ステップS19では、ステップS15でのエンジン始動条件が整っていないとの判断に続き、ジェネレータトルク指令設定部39においてジェネレータ(第1モータジェネレータMG1)指令トルクTgを0として、すなわちエンジン始動(クランキング動作)せずに、ステップS1へと戻る。
次に、作用を説明する。
図7は、「技術の課題」の説明のための共線図であり、(a)は「EVモード」での走行状態を示し、(b)は(a)からエンジン始動制御(クランキング動作)を行った状態を示している。図8は、実施例1の車両の制御装置における作用の説明のために車速に対する、発電量および第1モータジェネレータMG1(ジェネレータ)によるクランキングトルクの関係を示すグラフであり、(a)は従来の関係を示し、(b)は実施例1の関係を示す。なお、図8では、縦軸において、0位置から上方側を発電量とし、下方側をクランキングトルクとして示している。以下、まず、「技術の課題」の説明を行い、続いて、「実施例1の車両の制御装置における作用」を説明する。
「技術の課題」
実施例1のハイブリッド車両では、上述したように、「EVモード」(「発進モード」)での走行状態では、図7(a)に示すように、左右前輪(駆動輪)に連結された第2モータジェネレータMG2(モータ)のみが駆動/回生トルクを発生している。このとき、エンジンEngは、自身のフリクションで静止を維持している。また、第1モータジェネレータMG1(ジェネレータ)は、第2モータジェネレータMG2に連れまわされて負方向に回転(以下、負回転という)するが、トルクを発生しない空転状態とされている。
この状態において、エンジンEngを始動すべくクランキング動作させる場合、図7(b)に示すように、エンジンEngの回転数を引き上げるためのトルク(クランキングトルク)を第1モータジェネレータMG1(ジェネレータ)で発生させる。
ここで、第1モータジェネレータMG1(ジェネレータ)および第2モータジェネレータMG2(モータ)では、回転方向と発生トルクの作用方向とが一致する場合に放電(力行)となり、一致しない場合に発電(回生)となる。また、その発電量は、回転数とトルクとの積となる。さらに、第2モータジェネレータMG2(モータ)は、左右前輪(駆動輪)に連結されていることから、その回転数は車速に比例する。
このことから、「EVモード」で走行しているときに、エンジンEngを始動すべく第1モータジェネレータMG1(ジェネレータ)でクランキングトルクを発生させるには、負回転側から正回転側へと作用するトルクを発生させることとなるので、第1モータジェネレータMG1(ジェネレータ)では、クランキングトルクを発生させると発電する。エンジンEngが停止している場合、第1モータジェネレータMG1(ジェネレータ)の回転数(負回転)は、図7(a)に示すように、第2モータジェネレータMG2(モータ)の回転数が高くなるにつれて高くなることから、車速の増加に比例して高くなる。このため、第1モータジェネレータMG1(ジェネレータ)では、「EVモード」で走行しているときに、エンジンEngを始動すべく第1モータジェネレータMG1(ジェネレータ)でクランキングトルクを発生させると、車速が高くなるほど発電量が大きくなる。
また、「EVモード」での走行時にエンジンEngを始動する際、ドライバーがアクセルをオフとする(足を離す)と、第2モータジェネレータMG2(モータ)ではコースト回生することとなるので、バッテリ4に入力される電力量としては、第1モータジェネレータMG1でのクランキングによる発電量(電力量)と、第2モータジェネレータMG2でのコースト回生による発電量(電力量)と、の和となる。ここで、車速が高い状況では、第2モータジェネレータMG2でのコースト回生による発電量(電力量)と、第1モータジェネレータMG1でのクランキングによる発電量(電力量)とが大きくなり、バッテリ4に入力され得る最大電力量が大きくなる。
このため、「EVモード」での走行時にエンジンEngを始動しているときに、ドライバーがアクセルをオフとすると、コースト回生による電力とクランキングによる電力とがバッテリ4に入力されることにより、バッテリ4の保護の観点から設定された充電許容量を超えてしまう虞がある。このことから、従来のハイブリッド車両の制御装置では、「EVモード」での走行において、車速の上限値を設定し、実車速が当該上限値を超えた時点でエンジンEngを始動することにより、充電許容量を超える電力がバッテリ4に入力されることを防止している。
ところが、上記したように、設定した車速の上限値に対する実車速の大きさによるエンジン始動の判断では、実際のバッテリ4の充電許容量には余裕があるにも拘らず、エンジンEngを始動してしまう状況が生じてしまう虞があり、「EVモード」での走行を実行できる状況が少なくなってしまう。これは、上記した車速の上限値は、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2の状態における種々の可能性を考慮して、第2モータジェネレータMG2でのコースト回生による発電量(電力量)と、第1モータジェネレータMG1でのクランキングによる発電量(電力量)と、を算出し、これに基づいて設定されていることによる。これにより、熱効率の低い状態でエンジンEngを駆動する状況が増えてしまい、燃費向上の効果が小さくなってしまう。このため、何らかの対策により、バッテリ4の保護を確保しつつ、「EVモード」での走行を実行できる状況を増やす必要がある。
「実施例1の車両の制御装置における作用」
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置では、判断時点でのバッテリ4の状態、判断時点での第2モータジェネレータMG2の状態、および判断時点での第1モータジェネレータMG1の状態、に基づいて、実際に第1モータジェネレータMG1で発生させるクランキングトルクを設定することにより、実際のバッテリ4の充電許容量により適合させてエンジンEngを始動するものである。
すなわち、「EVモード」での走行では、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS6→ステップS7へと進むことにより、判断時点でのバッテリ4のバッテリ最大入力許容値Win[W](ステップS2)と、バッテリ最大入力許容値Winに対するEV制限車速Vevmx[km/h](ステップS3)と、判断時点でのエンジンEngの回転数Ne[rad/sec]に対する従来クランキングトルクTgbs[Nm](ステップS4)と、その他のエンジン起動要求フラグFlgの有無(ステップS7)と、を取得する。従来のエンジン始動の判断では、この時点で実車速V[km/h]がEV制限車速Vevmx[km/h]よりも大きいと判断する、もしくはその他のエンジン起動要求フラグFlgがONであることを判断することにより、従来クランキングトルクTgbs[Nm]によりエンジンEngを始動することとなる。このため、その他のエンジン起動要求フラグFlgがOFF(0)であるとすると、図8(a)に示すように、実車速V[km/h]がEV制限車速Vevmx[km/h]となった時点でエンジンEngを始動するので、実際の第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2の状態を考慮しつつ実際のバッテリ4の充電許容量から見ると余裕があるにも拘らず、エンジンEngを始動してしまう状況が生じてしまう虞がある。
これに対し、実施例1のハイブリッド車両の制御装置では、さらにステップS8→ステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14へと進むことにより、判断時点での第2モータジェネレータMG2の状態に基づくコースト回生で発生し得る回生発電量Pr[W](ステップS8、ステップS9、ステップS10およびステップS11)と、判断時点でのバッテリ4および第2モータジェネレータMG2の状態に基づくクランキングによる発電の許容量(電力量)であるクランキング利用可能電力Pgevmx[W](ステップS12)と、判断時点でのバッテリ4、第2モータジェネレータMG2および第1モータジェネレータMG1の状態に基づくクランキング動作のために第1モータジェネレータMG1が発生可能なクランキングトルクの最大値であるクランキング利用可能トルクTgevmx[Nm](ステップS14)と、を取得する。そして、ステップS15へと進んで、実車速V[km/h]がEV制限車速Vevmx[km/h]よりも大きいことに加えて、クランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]が下限クランキングトルク範囲Tgmnとなったと判断すると、エンジン始動条件(クランキング実施条件)が成立したものと判断し、ステップS16からステップS17またはステップS18へと進んで、クランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]および従来クランキングトルクTgbs[Nm]のうちの小さいほうをジェネレータ(第1モータジェネレータMG1)指令トルクTgとして設定する。
上記のように、実車速V[km/h]がEV制限車速Vevmx[km/h]よりも大きいことに加えて、クランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]が下限クランキングトルク範囲Tgmnとなったと判断することにより、エンジン始動条件(クランキング実施条件)が成立したものと判断し、クランキング利用可能トルクTgevmx[Nm]および従来クランキングトルクTgbs[Nm]のうちの小さいほうをジェネレータ(第1モータジェネレータMG1)指令トルクTgとして設定することから、判断時点でのバッテリ4の状態と第2モータジェネレータMG2の状態とに基づいた第1モータジェネレータMG1(ジェネレータ)で利用可能な電力量と、判断時点での第1モータジェネレータMG1の回転数と、から演算した、実際に第1モータジェネレータMG1で発生させることのできるクランキングトルクを用いて、エンジン始動条件が成立したか否かを判断しているので、エンジンEngの確実な始動を可能としつつクランキング動作の完了が可能な下限値に近いクランキングトルクでクランキング動作を開始させることができる。
このため、図8(b)に示すように、実車速V[km/h]がEV制限車速Vevmx[km/h]となった時点でエンジンEngを始動することに比較して、第1モータジェネレータMG1で発生させるクランキングトルクを低減させることができる。また、クランキングトルクの低減に伴って第2モータジェネレータMG2でのコースト回生による発電量(電力量)を低減できることから、その低減分を、車速の上昇や回生トルクの上昇に伴う第2モータジェネレータMG2でのコースト回生による発電量(電力量)の増加分、および車速の上昇に伴う第1モータジェネレータMG1でのクランキングによる発電量(電力量)として利用することができるので、バッテリ4の充電許容値を超えない範囲においてEV制限車速Vevmx[km/h]よりも高い車速であっても「EVモード」での走行を可能とすることができる。このため、バッテリ4の保護を確保しつつ「EVモード」での走行を実行できる状況を増やすことができるので、熱効率の低い状態でエンジンEngを駆動する状況の増加を防止することができ、燃費向上の効果をより大きなものとすることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1のハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1)遊星ギア機構TMの回転要素にエンジンEngと発電用モータ(第1モータジェネレータMG1)と駆動用モータ(第2モータジェネレータMG2)とが連結され、該駆動用モータが駆動輪に連結されており、前記発電用モータおよび前記駆動用モータにバッテリ4が電気的に接続され、前記発電用モータでクランキングトルクを発生することにより前記エンジンを始動させるエンジン始動制御手段(図5のフローチャート)を備えるハイブリッド車両の制御装置において、前記エンジン始動制御手段は、車両の車速が速い場合には、車速が遅い場合に比べ、発電用モータで発生させるクランキングトルクを小さくする。このため、バッテリ4を適切に保護しつつEV走行状態を実行できる状況を多くすることができる。
(2)駆動系が遊星ギア機構TMの回転要素にエンジンEngと発電用モータ(第1モータジェネレータMG1)と駆動用モータ(第2モータジェネレータMG2)とが連結されており、前記発電用モータおよび前記駆動用モータにバッテリ4が電気的に接続され、前記発電用モータでクランキングトルクを発生することにより前記エンジンを始動させるエンジン始動制御手段(図5のフローチャート)を備えるハイブリッド車両の制御装置において、前記エンジン始動制御手段は、前記バッテリの状態および前記発電用モータの状態に基づく前記駆動用モータで利用可能な電力量と、該駆動用モータの状態と、から演算したクランキングに利用可能なトルクが、クランキング動作の完了が可能な下限値となると、エンジンを始動させる。
このため、エンジンEngの確実な始動を可能としつつクランキング動作の完了が可能な下限値に近いクランキングトルクでクランキング動作を開始させることができ、バッテリ4を適切に保護しつつEV走行状態を実行できる状況を多くすることができる。
以上、本発明の車両の制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、1つのエンジンと2つのモータジェネレータと動力分割機構を備えた前輪駆動によるハイブリッド車両への適用例を示したが、要するに、遊星ギア機構の回転要素にエンジンと発電用モータと駆動用モータとが連結されたハイブリッド車両であれば適用することができる。
4 バッテリ
1 (エンジン始動制御手段としての)エンジンコントローラ
2 (エンジン始動制御手段としての)モータコントローラ
3 (エンジン始動制御手段としての)パワーコントロールユニット
4 バッテリ
6 統合コントローラ
Eng エンジン
TM (遊星ギア機構としての)動力分割機構
MG1 (発電用モータとしての)第1モータジェネレータ
MG2 (駆動用モータとしての)第2モータジェネレータ

Claims (2)

  1. 遊星ギア機構の回転要素にエンジンと発電用モータと駆動用モータとが連結され、該駆動用モータが駆動輪に連結されており、前記発電用モータおよび前記駆動用モータにバッテリが電気的に接続され、前記発電用モータでクランキングトルクを発生することにより前記エンジンを始動させるエンジン始動制御手段を備えるハイブリッド車両の制御装置において、
    前記エンジン始動制御手段は、前記車両の車速が速い場合には、車速が遅い場合に比べ前記発電用モータで発生させるクランキングトルクを小さくすることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 駆動系が遊星ギア機構の回転要素にエンジンと発電用モータと駆動用モータとが連結されており、前記発電用モータおよび前記駆動用モータにバッテリが電気的に接続され、前記発電用モータでクランキングトルクを発生することにより前記エンジンを始動させるエンジン始動制御手段を備えるハイブリッド車両の制御装置において、
    前記エンジン始動制御手段は、前記バッテリの状態および前記発電用モータの状態に基づく前記駆動用モータで利用可能な電力量と、該駆動用モータの状態と、から演算したクランキングに利用可能なトルクが、クランキング動作の完了が可能な下限値となると、エンジンを始動させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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