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JP2010145506A - 電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置 Download PDF

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JP2010145506A
JP2010145506A JP2008319776A JP2008319776A JP2010145506A JP 2010145506 A JP2010145506 A JP 2010145506A JP 2008319776 A JP2008319776 A JP 2008319776A JP 2008319776 A JP2008319776 A JP 2008319776A JP 2010145506 A JP2010145506 A JP 2010145506A
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JP2008319776A
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Kotaro Fukushima
功太郎 福島
Koichi Toriyama
幸一 鳥山
Akiko Kihara
彰子 木原
Mami Adachi
真未 安達
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Sharp Corp
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Sharp Corp
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Abstract

【課題】高精細でありかつ繰り返し使用に対して安定性に優れた高耐久な電子写真感光体と、該感光体を有する画像形成装置を提供する。
【解決手段】導電性支持体上に、電子輸送物質を含有する電子輸送層と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、正孔輸送物質を含有する正孔輸送層とをこの順で積層してなる電子写真感光体が、以下の式(1),(2)および式(3):0.1≦μe/μh≦2(1)0.5≦Ce/Ch≦3(2)5[μm]≦de≦50[μm]、かつ5[μm]≦dh≦50[μm](3)のすべてを満足することを特徴とする電子写真感光体。[式中、μeおよびμhは電子輸送層および正孔輸送層の移動度[cm2/V/s]を、CeおよびChは静電容量[pF/cm2]を、deおよびdhは膜厚[μm]を、それぞれ意味する]
【選択図】図1

Description

本発明は、電子輸送層、電荷発生層、正孔輸送層をこの順に積層した電子写真感光体および画像形成装置に関する。
さらに詳しくは、本発明は、特定の移動度、静電容量を有する電子写真感光体用の電子輸送層、電荷発生層、および正孔輸送層を用い、その膜厚を所望の値に設定することにより、高精細、高感度かつ帯電安定性に優れた電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置を提供する。
近年、レーザープリンター、レーザー複合機といわれる電子写真技術を用いたデジタル画像形成装置は、パーソナルユース、オフィスユース、それから最近ではプリントオンディマンドと言われる軽印刷領域にいたるまで、その適用範囲を広げており、益々その需要は高まっていくと予測される。
このようなデジタル複合機、デジタルプリンタにおいては、原稿における画像面積率が通常10%以下程度であるため、画像部に書き込み行い、感光体の電位減衰した部分にトナー像を現像する反転現像(ネガ・ポジ現像)方式が主流である。
この反転現像方式は、繰り返し使用における光疲労を勘案すると、感光体への光照射量が少なくて済み感光体にとって有利な現像方式であるが、感光体上の微少な欠陥等に起因する、電位のリークのような現象が起こると、原稿にはない地肌部(白地)での点欠陥(地肌汚れ、黒ポチなど)が発生するという欠点がある。
このような欠陥は主に感光体の局部的な電位リークに基づく現象であることがほとんどであり、感光体の耐圧性の向上、帯電均一性の向上、電位保持均一性の向上が主たる課題になっている。
この点に鑑み、導電性支持体と感光層の間に中間層(以下、下引き層ともいう)を設ける試みがなされてきた。
例えば、中間層用樹脂にアルコール可溶性ポリアミド樹脂を用たり、さらに電荷発生層にポリビニルブチラール樹脂を用い中間層のポリアミド樹脂と組み合わせることが知られている。これらの結果、感光体の耐圧性が向上し、前記地肌汚れ等の画像欠陥は減少する方向に進んだ。
また、これらの樹脂の下引き層は電気抵抗が大きいため、樹脂中に導電性粉体を分散させて電気抵抗を下げ、比較的厚膜の導電性の下引き層(導電層)とする方法も提案されている。
例えば、感光層と支持体との間に導電性粒子層を設けることが提案されており(特許文献1)、またその導電性粒子として酸化チタン粉体および酸化スズ粉体を分散した樹脂層が提案され(特許文献2)、現状これら導電性粉体を用いた下引き層が多く採用されている。
しかしながら、これら導電性粉体を用いた中間層では、その粒子の分散性の制御に課題があり、高精細な感光体潜像をえるためには、根本的な課題を抱えているといえる。
一般的な感光体の層構成は、導電性基体の上に上記中間層を配し、其の上に電荷発生層、さらにその上に正孔輸送層を形成する機能分離型の負帯電感光体が主流である。
この感光体構成において、性能面では、機能分離効果によって、キャリアのトラップ捕獲の確率は減少し、長期にわたって安定な感光体性能を維持できる。また、コストの面でも、アモルファスシリコン(a−Si)に代表される無機感光体と比べると明らかに有利である。
しかしながら、この積層型の短所としては、高精細化に対する課題がある。
すなわち、光励起によって電荷発生層で生成したキャリアが、電荷発生層と正孔輸送層で形成される電界の助けをかりて正孔輸送層を横切るが、この際、電界と垂直な方向へのキャリアの拡散が起こる。この拡散の効果により、高精細な電荷発生が起こったとしても、正孔輸送層を横切る間に高精細性が劣化することとなる。
この欠点を補うためには、正孔輸送層の膜厚を低減して、キャリアの移動距離を小さくすることが考えられるが、この場合、帯電性の確保が難しくなり、結果として画像形成のためのコントラスト電位の確保ができないこととなる。
一方では、機能分離型電子写真感光体において、電子移動層と正孔移動層との間に電荷発生層を挟着したバイポーラ型電子写真感光体の提案がなされている(特許文献3)。
この感光体においては、電荷発生層で発生したキャリア(電子および正孔)が、電子は電子移動層へ、正孔は正孔移動層へ、それぞれ注入され移動する構成であり、その電荷発生層として金属フタロシアニン化合物が例示されている。
本構成を用いることによって、例えば、電子輸送層を含めた3層で、帯電性の確保、すなわちキャパシターとしての機能を持たせることができるのであれば、正孔輸送層の膜厚を大きく低減することが可能となり、原理的に高精細化の課題を克服することが可能となる。
上記のバイポーラ型のキャリアの移動機能を有する感光体は、特許文献4または特許文献5等に開示されている。
しかしながら、実際には初期およびくり返し使用時の安定性まで含めると十分な性能が確保されているとはいえない状況にある。
特開昭55−25030号公報 特開昭59−84257号公報 特開昭60−49342号公報 特開平9−43875号公報 特開平9−80770号公報
本発明は、電荷発生層を挟む電子輸送層および正孔輸送層をそれぞれ電子/正孔が移動するバイポーラ型の構成により、高精細でありかつ繰り返し使用に対して安定性に優れた高耐久な電子写真感光体と、該感光体を有する画像形成装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意努力研究を重ねた結果、バイポーラ型の感光体における電子輸送層および電化輸送層の膜厚、移動度および静電容量が特定の範囲にある場合に、高精細を可能にする正孔輸送層の薄膜化と、帯電性の確保との両立および感光体の感度の確保が可能となることを見出し、本発明を完成させた。
しかるに、本発明によれば、導電性支持体上に、電子輸送物質を含有する電子輸送層と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、正孔輸送物質を含有する正孔輸送層とをこの順で積層してなる電子写真感光体が、以下の式(1)、式(2)および式(3):
0.1≦μe/μh≦2 (但し電界強度:E=5×105[V/cm]の条件下) (1)
[式中、μeおよびμhは電子輸送層および正孔輸送層の移動度[cm2/V/s]をそれぞれ意味する]
0.5≦Ce/Ch≦3 (2)
[式中、CeおよびChは電子輸送層および正孔輸送層の静電容量[pF/cm2]をそれぞれ意味する]
5[μm]≦de≦50[μm]、かつ5[μm]≦dh≦50[μm] (3)
[式中、deおよびdhは電子輸送層および正孔輸送層の膜厚[μm]を、それぞれ意味する]
の条件のすべてを満足することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記の電子写真感光体と、少なくとも前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体に対して露光を施す露光手段と、露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段と、現像されたトナー像を転写する転写手段とを備えることを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明の電子写真感光体は、高精細を可能にする正孔輸送層の薄膜化と、帯電性の確保との両立および感光体の感度の確保が可能となり、かつ当該電子写真感光体を備える画像形成装置においては、該装置内で発生するオゾンなどの酸性ガスに対して高い耐久性を有する。
本発明による電子写真感光体は、さらに、以下の式(4):
0.5≦μe/μh≦2 (但し、電界強度:E =5×105[V/cm]の条件下) (4)
[式中、μeおよびμhは前記式(1)で定義したとおりである]
の条件を満足することを特徴とする。
また、本発明による電子写真感光体は、さらに、以下の式(5):
20[mJ/m2]≦γ≦35[mJ/m2] (5)
[式中、γは感光体の最表面層の表面自由エネルギーを意味する]
の条件を満足することを特徴とする。
また、本発明による電子写真感光体は、さらに、以下の式(6):
28[mJ/m2]≦γ≦35[mJ/m2] (6)
[式中、γは式(5)において定義したとおりである]
の条件を満足することを特徴とする。
本発明の電子写真感光体が、前記の式(1)〜(3)に加え、式(4)を満足することにより、本発明による電子写真感光体は、より感度および安定性に優れたものとなる。
また、本発明の電子写真感光体が前記の式(1)〜(3)に加え、式(5)を満足することにより、本発明による電子写真感光体は、高耐久性のものとなる。
さらに、本発明の電子写真感光体が前記の式(1)〜(3)に加え、式(6)を満足することにより、本発明による電子写真感光体は、より高耐久性のものとなる。
また、本発明によれば、前記電子写真感光体が、正孔輸送物質として、以下の一般式(7):
Figure 2010145506
(式中、Ar1およびAr2は、互いに独立して置換基を有してもよいアリール基または複素環基を示し;Ar3は、置換基を有してもよいアリール基、複素環基、アラルキル基またはアルキル基を示し;Ar4およびAr5は、互いに独立して水素原子、置換基を有してもよいアリール基、複素環基、アラルキル基またはアルキル基を示すが、ただし、Ar4およびAr5が共に水素原子になることはなく、Ar4およびAr5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって原子または原子団を含む環構造を形成してもよく;
aは、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基もしくはアリール基を示し;mは1〜6の整数を示し、mが2以上のとき、複数のaは、互いに同一でも異なってもよく、それらが結合する炭素原子と一緒になって環構造を形成してもよく;R1は、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示し;R2、R3およびR4は、互いに独立して水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、複素環基またはアラルキル基を示し;nは0〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のR2は互いに同一でも異なってもよく、複数のR3は互いに同一でも異なってもよいが、ただし、nが0のとき、Ar3は置換基を有してもよい複素環基を示す)
で示される化合物を含有する電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記一般式(7)で示される化合物が、下記一般式(8):
Figure 2010145506
(式中、Ar4、Ar5、R2、R3、R4、aおよびmは、前記一般式(7)において定義したものと同義であり;b、cおよびdは、互いに独立して水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基もしくはアリール基を示し;i、jおよびkは、互いに独立してそれぞれ1〜5の整数を示すが、iが2以上のとき、複数のbは、互いに同一でも異なってもよく、隣接する2つのbが互いに結合して環構造を形成してもよく;またkが2以上のとき、複数のcは、互いに同一でも異なってもよく、隣接する2つのcが互いに結合して環構造を形成してもよく;またjが2以上のとき、複数のdは、互いに同一でも異なってもよく、隣接する2つのdが互いに結合して環構造を形成してもよい)
で示される化合物である電子写真感光体が提供される。
より詳細には、本発明によれば、前記一般式(8)において、次の部分構造:
Figure 2010145506
が、以下の置換基:
Figure 2010145506
を意味し、次の部分構造:
Figure 2010145506
が、互いに独立して、以下の構造:
Figure 2010145506
を意味し、次の部分構造:
Figure 2010145506
が、以下の置換基:
Figure 2010145506
を意味し、R1が、水素原子またはメチル、2,2,2−トリフルオロエチルもしくはイソプロピル基を意味し、次の部分構造:
Figure 2010145506
が、結合手または、
Figure 2010145506
を意味し、R4が、水素原子またはメチルもしくはフェニル基を意味し、
前記Ar4が、以下の置換基:
Figure 2010145506
を意味し、前記Ar5が、以下の置換基:
Figure 2010145506
を意味するか、あるいは前記Ar4およびAr5が一緒になって、以下の置換基
Figure 2010145506
を意味する前記の電子写真感光体が提供される。
本発明による電子写真感光体は、前記の式(7)の化合物、さらには、式(8)の化合物を正孔輸送物質として含有することにより、耐久性の向上を図ることが可能となる。
詳細なメカニズムについては不明であるが、後述する他の典型的な正孔輸送材料と比較して、バインダー樹脂を含む正孔輸送層として、トナーあるいはクリーニングブレードによる摺擦に対して耐久性が増すことが知られている。
また、本発明による電子写真感光体は、前記正孔輸送層が、さらに、下記一般式(9):
Figure 2010145506
(式中、Ar6、Ar7、Ar8およびAr9は、互いに独立して、置換基を有してもよいアリール基、シクロアルキル基、ヘテロ原子含有シクロアルキル基または1価の複素環残基を示し、Zがアリレン基を示しY1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6は、互いに独立して、結合手か、または置換基を有してもよい鎖状のアルキレン基を示す)
で示されるジアミン化合物含有する電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記一般式(9)において、Ar6、Ar7、Ar8およびAr9が、互いに独立して、置換基を有していてもよいアリール基であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6が、互いに独立して、結合手か、またはC1〜C3のアルキレン基である電子写真感光体が提供される。
さらに、本発明によれば、前記一般式(9)において、Ar6、Ar7、Ar8およびAr9が、互いに独立して、フェニル基、p−メチルフェニル基、ベンジル基またはp−メチルベンジル基であり、Zが、4,4'−ビフェニリレン基または3,5'−ジメチル−4,4'−ビフェニリレン基であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6が、互いに独立して、結合手か、またはメチレン基である電子写真感光体が提供される。
本発明による電子写真感光体は、前記正孔輸送層が、上記の式(9)で示されるジアミン化合物の所定の量、すなわちバインダ樹脂に対して0.1〜5重量%を正孔輸送層に添加することにより、レーザープリンター・複合機の機内で発生するオゾン等の酸性ガスに対する耐性の高い感光体を提供することが可能となる。
さらに、本発明によれば、前記の電荷発生層が、オキソチタニルフタロシアニンを含有する電子写真感光体が提供される。
より詳細には、本ア発明によれば、前記の電荷発生層が、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.4°又は9.7°に最大回折ピークを示し、かつ少なくとも7.3°、9.4°、9.7°及び27.3°に回折ピークを示す結晶性オキソチタニルフタロシアニンを含有する電子写真感光体が提供される。
本発明による電子写真感光体における電化発生層が、上記の特性を有する結晶性オキソチタニルフタロシアニンを含有することにより、電荷発生効率の高い高感度の電子写真感光体が提供される。
本発明の電子写真感光体(単に、感光体とも称する)及び画像形成装置を説明する。
図1に示すとおり、本発明による感光体は機能分離型の積層感光体である。
本発明の実施の形態の電子写真感光体は、導電性材料から成る円筒状の導電性基体1と、導電性基体1の外周面上に積層される層であって電子輸送物質を含有する電子輸送層2と、電荷発生物質を含有する電荷発生層3と、電荷発生層3の上にさらに積層される層であって正孔輸送物質を含有する正孔輸送層4からなる。電子輸送層2、電荷発生層3および正孔輸送層4とは、感光層5を構成する。
導電性基体
導電性基体1は、感光体の電極としての役割を果たすとともに、該基体上に積層される各層2、3および4の支持部材としても機能する。
なお導電性基体1の形状は、本実施形態では円筒状であるけれども、これに限定されることなく円柱状、シート状または無端ベルト状などであってもよい。
(導電性材料)
導電性基体1を構成する導電性材料としては、たとえばアルミニウム、銅、亜鉛、チタンなどの金属単体、アルミニウム合金、ステンレス鋼などの合金を用いることができる。
またこれらの金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンもしくはポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙またはガラスなどの表面に、金属箔をラミネートしたもの、金属材料を蒸着したもの、または導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどを用いることもできる。
これらの導電性材料は所定の形状に加工されて使用される。
導電性基体1の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品もしくは熱水などによる表面処理、着色処理、または表面を粗面化するなどの乱反射処理を施してもよい。
レーザーを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザー光の波長が揃っているので、感光体表面で反射されたレーザー光と感光体内部で反射されたレーザー光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥となることがある。導電性基体1の表面に前述のような処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザー光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
電子輸送層
電子輸送層2は、電荷発生層3で光吸収によって発生した電荷のうち、電子を選択的に輸送する機能を有する。すなわち、感光体の帯電性を確保するため、導電性基体1からの正孔の注入阻止する機能を有する。
これは、後述する正孔輸送層とあわせて感光層に整流作用を持たせることにより、原理的に導電性基体からの誘起電荷(正孔)の注入を抑えることができる。これにより、従来の中間層(下引き層)のように電気抵抗の制御が不要となり、かつ電子輸送層を厚膜化することができる。これにより、従来になかった下記性能、すなわち:
(1)電子輸送層の厚膜塗布により、中間層(下引き層)なしに、均一な層を形成できる;
(2)導電性支持体の表面欠陥等の影響を排除できるため、導電性支持体自身の加工精度/材料選択が比較的ラフにできるため、感光体としてのトータルコストを下げることが可能となる;
(3)感光体としての帯電性の確保を電子輸送層の厚膜化にて主に保持し、正孔輸送層を薄膜化することが可能になり、高精彩な感光体の潜像形成を阻害する正孔輸送層内での面内方向へのキャリア拡散を低減することが可能となる;
などの特徴が付与される。
(電子輸送材料)
電子輸送層を形成する電子輸送材料としては、ペリレン系色素類、ピリリウム系色素、チオインジゴ類、ジフェノキノンやナフトキノンの誘導体あるいはナフタレンカルボン酸の誘導体等のキノン類、テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリル等のシアノ化合物、4-ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類、アントラキノン、アリザリン等のアントラキノン類が挙げられる。
(電子輸送層形成方法)
電子輸送層として、均一な塗膜を形成するためには、公知の乾式法および湿式法により形成することができる。
乾式法としては、例えば、電子輸送性物質を導電性支持体の表面に真空蒸着する方法が挙げられる。
湿式法としては、例えば、電子輸送性物質、必要に応じて添加剤およびバインダー樹脂(以下、結着樹脂ともいう)を適当な有機溶剤に溶解または分散して電子輸送層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基上に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去する方法が挙げられる。
電子輸送層形成用塗布液の塗布方法は、シートの場合にはベーカーアプリケーター法、バーコーター法、キャスティング法、スピンコート法、ロール法、ブレード法など、ドラムの場合にはスプレー法、垂直リング法、浸漬塗工法などが挙げられる。
浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に導電性支持体1を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって導電性支持体1上に層を形成する方法である。この方法は比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
塗膜の乾燥工程における温度は、使用した有機溶剤を除去し得る温度であれば特に限定されないが、50〜140℃が適当であり、80〜130℃が特に好ましい。
乾燥温度が50℃未満では、乾燥時間が長くなることがある。また、乾燥温度が140℃を超えると、感光体の繰返し使用時の電気的特性が悪化して、得られる画像が劣化するおそれがある。
(電子輸送層用バインダー樹脂)
バインダー樹脂は、電子輸送層の機械的強度や耐久性、層間の結着性などを向上させることができ、当該分野で用いられる結着性を有する樹脂を使用できる。
具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアミド、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリフェニレンオキサイドなどの熱可塑性樹脂;フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマールなどの熱硬化性樹脂、これらの樹脂の部分架橋物、これらの樹脂に含まれる構成単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂)などが挙げられる。これらのバインダー樹脂は1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
電子輸送物質とバインダー樹脂との配合比は、電子輸送性、帯電性等の性能を確保するために好適な領域に設定される。すなわち、電子輸送剤(M)とバインダー樹脂(B)の比率は、M/B=1/10〜20/10の範囲に設定される。より好ましくは、5/10〜15/10の範囲である。
M/Bが、1/10より小さい場合は、十分な電子輸送剤の移動度が確保できす、感光体感度が悪化する。逆にM/Bが、20/10より大きい場合は、自己キャリア或いは電荷発生材料の熱キャリアによる電子輸送により、帯電性の確保が難しくなるか、あるいは、樹脂に対する電子輸送剤の溶解性の問題で層中での結晶化が進行し、均一な塗膜の形成が阻害される。
(電子輸送層形成用有機溶剤)
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロプロパンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジベンジルエーテル、ジメトキシメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロンなどのケトン類;安息香酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジフェニルスルフィドなどの含イオウ溶剤;ヘキサフロオロイソプロパノールなどのフッ素系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられ、これらは単独または混合溶剤として使用できる。また、このような溶剤に、アルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンを加えた混合溶剤を使用することもできる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶媒が好適に用いられる。
(電子輸送層用添加剤)
電子輸送層は、本発明の好ましい特性が損なわれない範囲内で、化学増感剤、光学増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、分散安定剤、増感剤、レベリング剤、可塑剤、無機化合物もしくは有機化合物の微粒子などから選ばれる1種または2種以上の公知の添加剤を適量含有していてもよい。これらの添加剤は、後述する電荷発生層、正孔輸送層に含有されてもよく、3層全部あるいは内特定の2層に含有されてもよい。
化学増感剤および光学増感剤は、感光体の感度を向上させ、繰返し使用による残留電位の上昇および疲労などを抑え、電気的耐久性を向上させる。
(電子輸送層用化学増感剤)
化学増感剤としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物などの酸無水物;テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリルなどのシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類;アントラキノン、1−ニトロアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの多環もしくは複素環ニトロ化合物;ジフェノキノン化合物などの電子吸引性材料およびこれらの電子吸引性材料を高分子化したものなどが挙げられる。
(電子輸送層用光学増感剤)
光学増感剤としては、例えばキサンテン系色素、キノリン系顔料、銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合物、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルーおよびビクトリアブルーなどに代表されるトリフェニルメタン系染料;エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジおよびフラペオシンなどに代表されるアクリジン染料;メチレンブルーおよびメチレングリーンなどに代表されるチアジン染料;カプリブルーおよびメルドラブルーなどに代表されるオキサジン染料;シアニン染料;スチリル染料;ピリリウム塩染料およびチオピリリウム塩染料などが挙げられる。
(電子輸送層用酸化防止剤)
酸化防止剤は、長期にわたって感度安定性を維持させることができる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のようなヒンダードフェノールなどのフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミンなどのアミン系酸化防止剤、ビタミンE、ハイドロキノン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄系化合物、有機燐系化合物などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的には、酸化防止剤の添加量は、電子輸送物質100重量部に対して0.1〜40重量部が好ましく、0.5〜15重量部が特に好ましい。
酸化防止剤の添加量が0.1重量部未満であると、塗布液の安定性の向上および感光体の耐久性の向上に充分な効果が得られないおそれがある。また、酸化防止剤の添加量が40重量部を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
(電子輸送層用レベリング剤、可塑剤)
レベリング剤および可塑剤は、成膜性、可撓性および表面平滑性を向上させることができる。
レベリング剤としては、例えばシリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
可塑剤としては、例えばフタル酸エステルなどの二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィンおよびエポキシ型可塑剤などが挙げられる。
無機化合物または有機化合物の微粒子は、機械的強度を増強し、電気特性を向上させることができる。
また、電子輸送層の膜厚としては、5μm以上50μm以下が好ましく、さらに10μm以上30μm以下の膜厚が好ましい。
すなわち、5μmより小さい電子輸送層の膜厚では、層としての帯電性の確保がむずかしくなり、電子輸送層としての特徴性能が得られない。逆に膜厚が50μmより厚い場合については、実効的に正孔輸送層と同等レベルの電子輸送層内でのトランジットタイムの確保が難しくなり、感光体の感度低下が発生することとなる。
電荷発生層
電荷発生層3は、照射された光を吸収することにより電荷を発生する電荷発生能を有する電荷発生物質を主成分とし、任意に公知の添加剤およびバインダー樹脂を含有する。
(電荷発生物質)
電荷発生物質としては、当該分野で用いられる化合物を使用できる。具体的には、アゾ系顔料(カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有する、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料など)、ペリレン系顔料(ペリレンイミド、ペリレン酸無水物など)、多環キノン系顔料(キナクリドン、アントラキノン、ピレンキノンなど)、フタロシアニン系顔料(金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなど)、インジゴ系顔料(インジゴ、チオインジゴなど)、スクアリリウム色素、アズレニウム色素、チオピリリウム色素、ピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機顔料または染料、さらにセレン、非晶質シリコンなどの無機材料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は1種を単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
これらの電荷発生物質の中でも、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、ペリレン系顔料は高感度を有することから特に好ましい。
上記化合物の中でチタニルフタロシアニンは、近赤外領域:例えば780nmの露光に対して、高い電荷発生効率を有する。そのチタニルフタロシアニン化合物の中でも、特許第3347681号に記載されているように、結晶のX線回折スペクトルが、図3に示すようなブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.7°、および27.3°に主要な回折ピークを有し、そのうち9.4°と9.7°の重なったピーク束に最大回折ピークを示す結晶型のオキソチタニルフタロシアニンである場合に極めて高感度の電子写真感光体が実現される。
電荷発生層は、本発明の効果を阻害しない範囲内で必要に応じて、電子輸送層に含まれるものと同様の添加剤を適量含有していてもよい。
バインダー樹脂は、電子輸送層と同様な結着性を有する樹脂を基本的には使用できる。
電荷発生物質とバインダー樹脂との配合比は特に限定されないが、通常、電荷発生物質が10〜99重量%程度である。
電荷発生物質が10重量%未満であると、感光体の感度が低下するおそれがある。
一方、電荷発生物質が99重量%を超えると、電荷発生層の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大することがある。そのため、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなるおそれがある。
電荷発生層の膜厚は特に限定されないが、0.05〜5μmが好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。電荷発生層の膜厚が0.05μm未満では、光吸収の効率が低下し、感度が低下するおそれがあり、逆に電荷発生層の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷輸送が感光体表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感度が低下するおそれがある。
その他の工程およびその条件は、電子輸送層の形成に準ずる。
正孔輸送層
正孔輸送層4は、電荷発生物質で発生した正孔を受け入れ、それを輸送する能力を有する正孔輸送物質と、バインダー樹脂(結合剤)とを主成分として含有する。
(正孔輸送物質)
上記の正孔輸送物質としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質が挙げられる。
これらの正孔輸送物質は1種を単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
特に好適な、電荷輸送物質として、下記一般式(7)で示されるエナミン化合物を含有する。
Figure 2010145506
前記一般式(7)において、Ar1およびAr2は、互いに独立して置換基を有してもよいアリール基または複素環基を示す。
Ar1およびAr2の具体例としては、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチルおよびビフェニリルなどのアリール基、ならびにフリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリルおよびN−メチルインドリルなどの複素環基が挙げられる。
また、前記一般式(7)において、Ar3は、置換基を有してもよいアリール基、複素環基、アラルキル基またはアルキル基を示す。
Ar3の具体例としては、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチル、ピレニル、ビフェニリル、フェノキシフェニルおよびp−(フェニルチオ)フェニルなどのアリール基、フリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、N−メチルインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルおよびN−エチルカルバゾリルなどの複素環基、ベンジル、p−メトキシベンジルおよび1−ナフチルメチルなどのアラルキル基、ならびにイソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシルおよびシクロペンチルなどのアルキル基が挙げられる。
また、前記一般式(7)において、Ar4およびAr5は、互いに独立して水素原子または置換基を有してもよいアリール基、複素環基、アラルキル基またはアルキル基を示す。ただし、Ar4およびAr5が共に水素原子になることはない。
Ar4およびAr5の具体例としては、水素原子以外では、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチル、ピレニル、ビフェニリル、フェノキシフェニル、p−(フェニルチオ)フェニルおよびp−スチリルフェニルなどのアリール基、フリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、N−メチルインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルおよびN−エチルカルバゾリルなどの複素環基、ベンジル、p−メトキシベンジルおよび1−ナフチルメチルなどのアラルキル基、ならびにメチル、エチル、トリフルオロメチル、フルオロメチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよび2−チエニルメチルなどのアルキル基が挙げられる。
また、Ar4およびAr5は、それらが結合する炭素原子と一緒になって環構造を形成してもよい。
Ar4とAr5とが形成する環構造は、さらに酸素原子または硫黄原子などを含むことができる。また、環構造を形成するAr4とAr5とは、アルキル基を有する窒素原子などの2価の原子団、ならびにメチレン、エチレン、メチルメチレンなどのアルキレン基、ビニレン、プロペニレンなどの不飽和アルキレン基、オキシメチレン(化学式:−O−CH2−)などのヘテロ原子を含むアルキレン基およびチオビニレン(化学式:−S−CH=CH−)などのヘテロ原子を含む不飽和アルキレン基などの2価基などを介して環構造を形成できる。
また、前記一般式(7)において、aは、水素原子もしくはハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基もしくはアリール基を示し、mは1〜6の整数を示す。mが2以上のとき、複数のaは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。
上記のaの具体例としては、水素原子以外では、フッ素原子および塩素原子などのハロゲン原子;メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、フルオロメチルおよび1−メトキシエチルなどのアルキル基;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシおよびイソプロポキシなどのアルコキシ基;ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびジイソプロピルアミノなどのジアルキルアミノ基;フェニル、トリル、メトキシフェニルおよびナフチルなどのアリール基が挙げられる。
また、前記一般式(7)において、R1は、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示す。
上記のR1の具体例としては、水素原子以外では、フッ素原子および塩素原子などのハロゲン原子;メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびトリフルオロメチルなどのアルキル基が挙げられる。
また、前記一般式(7)において、R2、R3およびR4は、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、複素環基またはアラルキル基を示す。
2、R3およびR4の具体例としては、水素原子以外では、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチルおよび2−チエニルメチルなどのアルキル基;フェニル、トリル、メトキシフェニルおよびナフチルなどのアリール基;フリル、チエニルおよびチアゾリルなどの複素環基;ならびにベンジルおよびp−メトキシベンジルなどのアラルキル基が挙げられる。
また前記一般式(7)において、nは0〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のR2は同一でも異なってもよく、複数のRは同一でも異なってもよい。
ただし、前記一般式(7)において、nが0のとき、Arは置換基を有してもよい複素環基を示す。
前記一般式(7)で示されるエナミン化合物は、高い電荷移動度を有する。このように高い電荷移動度を有するエナミン化合物を電荷輸送物質として感光層に含有させることによって、低温低湿環境下においても高い応答性を示す電子写真感光体を得ることができる。したがって、電子写真感光体を小型化し、高速の電子写真プロセスに用いた場合であっても、低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することが可能である。
このような電子写真感光体を用いることによって、小型で画像形成速度が速く、かつ低温低湿環境下などの各種の環境下において高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い画像形成装置を実現することができる。
前記一般式(7)で示されるエナミン化合物のうち、好ましい化合物としては、下記一般式(8):
Figure 2010145506
で示されるエナミン化合物を挙げることができる。
前記一般式(8)において、b、cおよびdは、互いに独立して水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基もしくはアリール基を示し;i、jおよびkは、互いに独立してそれぞれ1〜5の整数を示すが、iが2以上のとき、複数のbは、互いに同一でも異なってもよく、隣接する2つのbが互いに結合して環構造を形成してもよく;またkが2以上のとき、複数のcは、互いに同一でも異なってもよく、隣接する2つのcが互いに結合して環構造を形成してもよく;またjが2以上のとき、複数のdは、互いに同一でも異なってもよく、隣接する2つのdが互いに結合して環構造を形成してもよい。
b、cおよびdの具体例としては、水素原子;フッ素原子および塩素原子などのハロゲン原子;メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、フルオロメチルおよび1−メトキシエチルなどのアルキル基;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシおよびイソプロポキシなどのアルコキシ基;ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびジイソプロピルアミノなどのジアルキルアミノ基;フェニル、トリル、メトキシフェニルおよびナフチルなどのアリール基が挙げられる。
また前記一般式(8)にけるAr4、Ar5、aおよびmは、前記一般式(7)において定義したものと同義である。
前記一般式(8)で示されるエナミン化合物は、特に高い電荷移動度を有する。したがって、前記一般式(1)で示されるエナミン化合物が、前記一般式(8)で示されるエナミン化合物であることによって、低温低湿環境下においてさらに高い応答性を示す電子写真感光体を得ることができる。したがって、画像形成装置の画像形成速度をさらに高速化することが可能である。また、前記一般式(8)で示されるエナミン化合物は容易に製造することができるので、電子写真感光体の生産性を向上させることができる。
また前記一般式(7)で示されるエナミン化合物のうち、特性、原価および生産性などの観点から特に優れた化合物としては、Ar1およびAr2がフェニル基であるものを挙げることができる。その中でも、Ar1およびAr2がフェニル基であり、Ar3がフェニル基、トリル基、p−メトキシフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基またはチエニル基であり、Ar4およびAr5のうちの少なくともいずれか一方がフェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、ナフチル基、チエニル基またはチアゾリル基であり、R1、R2、R3およびR4が共に水素原子であり、nが1であるものが特に好ましい。
前記一般式(7)で示されるエナミン化合物の具体例としては、たとえば以下の表1に示す基を有する例示化合物を挙げることができるが、前記一般式(7)で示されるエナミン化合物は、これに限定されるものではない。なお、表1に示す各基は、前記一般式(7)の各基に対応する。たとえば、表1に示す例示化合物No.1は、下記構造式(1−1)で示されるエナミン化合物である。
Figure 2010145506
ただし、Ar4およびAr5が、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成する場合には、Ar4およびAr5の欄に、Ar4およびAr5が結合する炭素−炭素二重結合と、その炭素−炭素二重結合の炭素原子と共にAr4およびAr5が形成する環構造とを合わせて示す。
Figure 2010145506
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通常、正孔輸送物質の重量Eとバインダー樹脂の重量Bとの比率E/Bは、10/12〜10/25、好ましくは10/16〜10/20である。
比率E/Bが10/25未満であると、正孔輸送物質に対するバインダー樹脂の相対量比が高くなり、十分な感度が得られないおそれがある。
一方、比率E/Bが10/12を超えると、正孔輸送層の耐刷性や感光体の耐久性が低下するおそれがある。
バインダー樹脂は、電子輸送層、および電荷発生層に含まれるものと同様のバインダー樹脂の1種または2種以上を使用できる。
これらの樹脂の中でも、ポリカーボネートを主成分とする樹脂、ポリアリレート樹脂およびポリスチレン樹脂は、光化学的に安定で、正孔輸送物質との相溶性に優れ、さらに体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、かつ成膜性、電位特性などにも優れるので好ましい。
正孔輸送層は、本発明の効果を阻害しない範囲内で必要に応じて、電荷発生層に含まれるものと同様の添加剤を適量含有していてもよい。
正孔輸送層は、電荷輸送物質、バインダー樹脂および必要に応じて他の添加剤を適当な有機溶剤に溶解または分散して正孔輸送層形成用塗布液を調製し、この塗布液を電荷発生層の表面に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去することによって形成できる。より具体的には、例えば、バインダー樹脂を有機溶剤に溶解してなる樹脂溶液に正孔輸送物質および必要に応じて他の添加剤を溶解または分散させることにより、正孔輸送層形成用塗布液を調製する。
また、本発明による電子写真感光体は、前記正孔輸送層が、さらに、下記一般式(9):
Figure 2010145506
(式中、Ar6、Ar7、Ar8およびAr9は、互いに独立して、置換基を有してもよいアリール基、シクロアルキル基、ヘテロ原子含有シクロアルキル基または1価の複素環残基を示し、Zは、アリレン基を示し、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6は、互いに独立して、結合手か、または置換基を有してもよい鎖状のアルキレン基を示す)
で示されるジアミン化合物を含有することにより、画像形成装置中で発生するオゾンやNOx等のガスに対する感光体の耐性を著しく向上でき、かつ、安定した感度を有す電子写真感光体を提供することが可能となる。
また、本発明によれば、前記ジアミン化合物が、前記一般式(9)においてY1、Y2、Y3およびY4が結合手か、または置換基を有さない直鎖のC1〜C3アルキレン基であり、次の一般式(10):
Figure 2010145506
(式中、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Y5およびY6およびZは、一般式(9)において定義したものと同義であり、o、p、qおよびrは0〜3の整数を示す)
で示されるジアミン化合物(以後、ジアミン(10)と称す)である。
また、本発明によれば、前記ジアミン化合物が、前記一般式(9)においてY1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6がメチレン基であり、次の一般式(11):
Figure 2010145506
(式中、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9およびZは、一般式(9)において定義したものと同義である)で示されるジアミン化合物(以後、ジアミン(11)と称す)が提供される。
具体的には、本発明によれば、導電性材料から成る導電性支持体と、前記導電性支持体上に設けられ電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する感光層とを有する電子写真感光体において、前記電荷発生物質を含有する電荷発生層と、前記電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とが積層されて構成される、その電荷輸送層に上記ジアミン化合物(9)、ジアミン化合物(10)、またはジアミン化合物(11)が含まれる電子写真感光体が提供される。
より具体的には、前記電荷輸送層における電荷輸送材料の重量Aと一般式(9)、一般式(10)または一般式(11)で示されるジアミン化合物の重量Bとの比率A/Bは、100/0.1以上100/20以下であることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
その他の工程およびその条件は、電子輸送層および電荷発生層の形成に準ずる。
正孔輸送層の膜厚は特に限定されないが、5〜50μmが好ましく、10〜30μmが特に好ましい。
正孔輸送層の膜厚が5μm未満であると、帯電保持能は主に電子輸送層の膜厚設定にて保持されるが、電荷発生層で発生する熱キャリアよる帯電性の劣化が無視できなくなる。また、膜削れが発生する通常のプリンター/複合機による実写では、実使用は不可能である。
逆に正孔輸送層の膜厚が30μmを超えると、感光体潜像の鮮鋭性の低下や残留電位の上昇が発生し、著しく画像劣化が生じるおそれがある。
正孔輸送層の耐刷性は上記膜削れの因子と表面のクリーニング性によって規定される。すなわち
電子写真感光体のクリーニングとは、電子写真感光体表面と、付着している残留トナーや紙粉などとの間の付着力を超える力を、残留トナーや紙粉などに作用させて電子写真感光体の表面から付着物を除去することである。したがって、電子写真感光体表面の濡れ性が低いほどクリーニングし易いということができる。
電子写真感光体表面の濡れ性すなわち付着力は、表面自由エネルギー(表面張力と同義)を指標として表すことができる。この表面自由エネルギーを小さくすることによって、付着対象物の付着力が小さくなり、また、逆に表面自由エネルギーが大きくなると付着力が大きくなり、クリーニング性が悪化する。
但し、この表面自由エネルギー値が小さくなりすぎても、クリーニング性が悪化する。
すなわち、表面自由エネルギーが20mJ/m2未満では、トナー等の感光体への付着力の減少による弊害が顕著になる。一つは、トナー等の感光体への付着力の減少に伴い、転写率が向上して、クリーニングブレードへ向かう残留トナーが減少する。この結果、ブレードの反転や、ブレードスキップマークが感光体に発生して、画質の低下を招く。また、付着力の減少に伴いトナー飛散が加速され、記録紙表面あるいは裏面に飛散トナーによる影響が見られるようになる。
また表面自由エネルギーが35mJ/m2を超えると、トナーや紙粉などの感光体表面に対する付着力が増大するので感光体表面が傷付き易くなり、この表面傷に起因してクリーニング性が悪化する。
したがって、表面自由エネルギーが20〜35mJ/m2の範囲にあることが、重要であることが判明した。
感光体1表面の表面自由エネルギーの前述範囲への制御設定は、以下のようにして行われる。比較的低い表面自由エネルギー値を有する、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を代表とするフッ素系材料、ポリシロキサン系材料などを、正孔輸送層4に導入し、その含有量を調整することによって実現できる。また正孔輸送層4に含まれる正孔輸送物質および結着樹脂の種類、これらの組成比を変化させることによっても実現できる。また正孔層を形成する際の乾燥温度を調整することによっても実現できる。
本発明の感光体においては、通常の積層感光体と同様に、電荷発生層にて励起子が形成され、電場と熱の助けをかりて、自由キャリア:すなわち正孔と電子が形成される。
正孔については、通常の感光体と同様、正孔輸送層を選択的に経由して、表面電荷を打ち消す。
また、電子については、電子輸送層を選択的に経由し導電性基体に注入される。後者が通常の感光体と大きな違いであり、電子輸送層が電子を導電性基体に選択的に運ぶ機能により、所望の帯電性の確保が実現される。
また、本発明の電子写真感光体特性の確保については以下のようにして実現することができる。すなわち、前記式(1)あるいは式(4)で示される電子輸送層あるいは正孔輸送層の移動度の比率については、電子輸送物質、および正孔輸送物質それぞれの種類、あるいは、層中での樹脂に対する濃度を変更することで達成される。
詳細な理由までは不明であるが、上記条件を満足する感光体は、それぞれの層中を動くキャリアの移動が、それぞれ過不足なくバランスを保って行われることになり、感光体全体としての感度特性が確保されるからと考えている。
また前記式(2)および式(3)で示される規定は、感光体の帯電性を確保するために重要である。
すなわち式(3)で示される電子輸送層および、正孔輸送層の膜厚は5μm以上なければ、層としての帯電性すなわちキャパシターとしての機能を実質上発揮することが不可能となり、また、式(2)での比率が確保されてはじめて、感光体トータルの帯電性確保に対して、バランスよく電子輸送層、および正孔輸送層が寄与するための必要条件となっている。本条件に対しては、感光体としての帯電性のほか膜強度や電位コントラストなど種々特性を維持するために、各層の絶対膜厚がそれぞれ5μm以上必要である。
したがって、上記式の条件を満足することにより、トータルとしての感光体の電子写真特性を確保することができることが判った。
本発明の画像形成装置は、本発明の感光体と、前記感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体に対して露光を施す露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像された前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、前記感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段とを少なくとも備えることを特徴とする。
図面を用いて本発明の画像形成装置について説明するが、以下の記載内容に限定されるものではない。
図2は、本発明の画像形成装置の構成を示す模式側面図である。
図2の画像形成装置20は、本発明の感光体21と、帯電手段(帯電器)24と、露光手段28と、現像手段(現像器)25と、転写器26と、クリーナ27と、定着器31とを含んで構成される。図番30は転写紙を示す。
感光体21は、図示しない画像形成装置20本体に回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって回転軸線22回りに矢符23方向に回転駆動される。駆動手段は、例えば電動機と減速歯車とを含んで構成され、その駆動力を感光体21の芯体を構成する導電性支持体に伝えることによって、感光体21を所定の周速度で回転駆動させる。帯電器24、露光手段28、現像器25、転写器26およびクリーナ27は、この順序で、感光体21の外周面に沿って、矢符23で示される感光体21の回転方向上流側から下流側に向って設けられる。
帯電器24は、感光体21の外周面を所定の電位に帯電させる帯電手段である。具体的には、例えば帯電器24は、接触式の帯電ローラ24aや帯電ブラシあるいはコロトロンやスコロトロンなどのチャージャーワイヤによって実現される。
露光手段28は、例えば半導体レーザーなどを光源として備え、光源から出力されるレーザービームなどの光28aを、感光体21の帯電器24と現像器25との間に照射することによって、帯電された感光体21の外周面に対して画像情報に応じた露光を施す。光28aは、主走査方向である感光体21の回転軸線22の延びる方向に繰返し走査され、これに伴って感光体21の表面に静電潜像が順次形成される。
現像器25は、露光によって感光体21の表面に形成される静電潜像を、現像剤によって現像する現像手段であり、感光体21を臨んで設けられ、感光体21の外周面にトナーを供給する現像ローラ25aと、現像ローラ25aを感光体21の回転軸線22と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持すると共にその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング25bとを備える。
転写器26は、現像によって感光体21の外周面に形成される可視像であるトナー像を、図示しない搬送手段によって矢符29方向から感光体21と転写器26との間に供給される記録媒体である転写紙30上に転写させる転写手段である。転写器26は、例えば、帯電手段を備え、転写紙30にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー像を転写紙30上に転写させる非接触式の転写手段である。
クリーナ27は、転写器26による転写動作後に感光体21の外周面に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、感光体21の外周面に残留するトナーを剥離させるクリーニングブレード27aと、クリーニングブレード27aによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング27bとを備える。また、このクリーナ27は、図示しない除電ランプと共に設けられる。
また、画像形成装置20には、感光体21と転写器26との間を通過した転写紙30が搬送される下流側に、転写された画像を定着させる定着手段である定着器31が設けられる。定着器31は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ31aと、加熱ローラ31aに対向して設けられ、加熱ローラ31aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ31bとを備える。
この画像形成装置20による画像形成動作は、次のようにして行われる。まず、感光体21が駆動手段によって矢符23方向に回転駆動されると、露光手段28による光28aの結像点よりも感光体21の回転方向上流側に設けられる帯電器24によって、感光体21の表面が正または負の所定電位に均一に帯電される。
次いで、露光手段28から、感光体21の表面に対して画像情報に応じた光28aが照射される。感光体21は、この露光によって、光28aが照射された部分の表面電荷が除去され、光28aが照射された部分の表面電位と光28aが照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、静電潜像が形成される。
露光手段28による光28aの結像点よりも感光体21の回転方向下流側に設けられる現像器25から、静電潜像の形成された感光体21の表面にトナーが供給されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
感光体21に対する露光と同期して、感光体21と転写器26との間に、転写紙30が供給される。転写器26によって、供給された転写紙30にトナーと逆極性の電荷が与えられ、感光体21の表面に形成されたトナー像が、転写紙30上に転写される。
トナー像の転写された転写紙30は、搬送手段によって定着器31に搬送され、定着器31の加熱ローラ31aと加圧ローラ31bとの当接部を通過する際に加熱および加圧され、トナー像が転写紙30に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙30は、搬送手段によって画像形成装置20の外部へ排紙される。
一方、転写器26によるトナー像の転写後も感光体21の表面上に残留するトナーは、クリーナ27によって感光体21の表面から剥離されて回収される。このようにしてトナーが除去された感光体21の表面の電荷は、除電ランプからの光によって除去され、感光体21の表面上の静電潜像が消失する。その後、感光体21はさらに回転駆動され、再度帯電から始まる一連の動作が繰り返されて連続的に画像が形成される。
以下に実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
実施例1
電子輸送物質としてテトラカルボン酸イミド化合物(式12)を10重量部、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社製:ユーピロンZ400)12重量部とを、テトラヒドロフラン(THF)80重量部に溶解させ、電子輸送層用塗布液5kgを調製した。この調製した塗布液を、アルミニウム製で厚み0.8mm(t)×直径30mm(φ)×長さ340mmの円筒型導電性支持体に浸漬塗布装置を用いて塗布した後、130℃、30分乾燥させ、膜厚15μmの電子輸送層を形成した。
Figure 2010145506
次に、電荷発生層は、下記製造方法によって得られた電荷発生材料を用いて形成した。
o−フタロジニトリル40g、四塩化チタン18g、α−クロロナフタレン500mlを窒素雰囲気下200〜250℃で3時間加熱撹拌して反応させ、100〜130℃まで放冷後、熱時濾過し、100℃に加熱したα−クロロナフタレン200mlで洗浄してジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物を得た。
この粗生成物を、室温にてα−クロロナフタレン200ml、次いでメタノール200mlで洗浄後、さらにメタノール500ml中で1時間熱時懸濁洗浄を行う。濾過後、得られた粗生成物を、水500ml中で、pHが6〜7になるまで、熱時懸濁洗浄を繰り返した。その後、乾燥してオキソチタニルフタロシアニン中間結晶20gを得た。
さらに、この結晶を、メチルエチルケトンに混合し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により直径2mmのガラスビーズと共にミリング処理し、メタノールで洗浄した後、乾燥して本発明の結晶を得た。
得られた結晶のX線回折スペクトルを図3に示す。ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.7°、および27.3°に主要な回折ピークをし、そのうち9.4°と9.7°の重なったピーク束に最大回折ピークを示す結晶型のオキソチタニルフタロシアニンであることが分かる。(以下、このパターンを有する結晶型をA型とする。)
ここで得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶1.8重量部と、ブチラール樹脂(積水化学社製:エスレックBX−1)1.2重量部と、ポリジメチルシロキサン−シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96)0.06重量部と、ジメトキシエタン87.3重量部と、シクロヘキサノン9.7重量部とを混合し(混合比率=90/10)、ペイントシェーカーにて分散して電荷発生層用塗布液5kgを調製した。この塗布液を、前述の電子輸送層上に塗布し、 自然乾燥して層厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
次いで、正孔輸送物質として下記構造式(13):
Figure 2010145506
で示される化合物10重量部と、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社製:ユーピロンZ400)9重量部と(出光興産社製:GH503)9重量部、テトラヒドロフラン(THF)110重量部に溶解させ、正孔輸送層用塗布液5kgを調製した。この正孔輸送層用塗布液を、先に形成した電子輸送層と同様の浸漬塗布法にて、先に形成した電荷発生層上に塗布した後、温度130℃で1時間乾燥して膜厚15μmの電荷輸送層を形成した。
以上のようにして、実施例1の電子写真感光体を作製した。
実施例2
電子輸送物質として、実施例1と同様にテトラカルボン酸イミド化合物(式8)を10重量部、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社製:ユーピロンZ400)16重量部とを、テトラヒドロフラン(THF)90重量部に溶解させ、電子輸送層用塗布液5kgを調製し、導電性支持体に浸漬塗布装置を用いて塗布した後、130℃、30分乾燥させ、膜厚15μmの電子輸送層を形成した。
次に電荷発生層、正孔輸送層を実施例1と同様にして実施例2の感光体を作製した。
実施例3
電子輸送層の膜厚を10μmに変更したほかは、実施例1と同様にして実施例3の感光体を作製した。
実施例4
電子輸送層の膜厚を30μmに変更したほかは、実施例1と同様にして実施例4の感光体を作製した。
実施例5
電子輸送層、電荷発生層を実施例1と同様にして作製した。その後、正孔輸送物質として構造式(9)の化合物10重量部と、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(出光興産社製:GH503)18重量部、テトラヒドロフラン(THF)110重量部に溶解させ、正孔輸送層用塗布液5kgを調製した。この正孔輸送層用塗布液を、先に形成した電子輸送層と同様の浸漬塗布法にて、先に形成した電荷発生層上に塗布した後、温度130℃で1時間乾燥して膜厚15μmの正孔輸送層を形成した。
以上のようにして、実施例5の電子写真感光体を作製した。
実施例6
電子輸送層、電荷発生層を実施例1と同様にして作製した。その後、正孔輸送物質として構造式(9)の化合物10重量部と、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社製:Z400)18重量部、ポリテトラフルオロエチレン微粒子(ダイキン工業社製:ルブロンL2)2重量部、テトラヒドロフラン(THF)110重量部に溶解・分散させ、正孔輸送層用塗布液5kgを調製した。この正孔輸送層用塗布液を、先に形成した電子輸送層と同様の浸漬塗布法にて、先に形成した電荷発生層上に塗布した後、温度130℃で1時間乾燥して膜厚15μmの正孔輸送層を形成した。
以上のようにして、実施例6の電子写真感光体を作製した。
実施例7
電子輸送層、電荷発生層を実施例1と同様にして作製した。その後、正孔輸送物質として構造式(9)の化合物10重量部と、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社製:Z400)18重量部、ポリテトラフルオロエチレン微粒子(ダイキン工業社製:ルブロンL2)5重量部、テトラヒドロフラン(THF)110重量部に溶解・分散させ、正孔輸送層用塗布液5kgを調製した。この正孔輸送層用塗布液を、先に形成した電子輸送層と同様の浸漬塗布法にて、先に形成した電荷発生層上に塗布した後、温度130℃で1時間乾燥して膜厚15μmの正孔輸送層を形成した。
以上のようにして、実施例7の電子写真感光体を作製した。
実施例8
電子輸送層、電荷発生層を実施例1と同様にして作製した。その後、正孔輸送物質として構造式(9)の化合物10重量部と、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社製:ユーピロンZ400)16重量部と(出光興産社製:GH503)2重量部、テトラヒドロフラン(THF)110重量部に溶解させ、正孔輸送層用塗布液5kgを調製した。この正孔輸送層用塗布液を、先に形成した電子輸送層と同様の浸漬塗布法にて、先に形成した電荷発生層上に塗布した後、温度130℃で1時間乾燥して膜厚15μmの正孔輸送層を形成した。
以上のようにして、実施例8の電子写真感光体を作製した。
実施例9
電子輸送層、電荷発生層を実施例1と同様にして作製した。その後、正孔輸送物質として構造式(9)の替わりに下記構造式(14):
Figure 2010145506
で示される化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例9の電子写真感光体を作製した。
実施例10
電子輸送層、電荷発生層を実施例1と同様にして作製した。その後、正孔輸送物質として構造式(13)の替わりに構造式(14)を用い、下記構造式(15):
Figure 2010145506
を0.5重量部添加した以外は、実施例1と同様にして実施例9の電子写真感光体を作製した。
実施例11
電子輸送層を実施例1と同様にして作製した。その後の電荷発生層に使用する電荷発生材料については、特開2000-105479号公報に開示されている製造例にしたがって作製した。得られた結晶のX線回折スペクトルは、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンであった(以下、このパターンを有する結晶型をB型とする)。
ここで得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶1.8重量部と、ブチラール樹脂(積水化学社製:エスレックBX−1)1.2重量部と、ポリジメチルシロキサン−シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96)0.06重量部と、ジメトキシエタン87.3重量部と、シクロヘキサノン9.7重量部とを混合し(混合比率=90/10)、ペイントシェーカーにて分散して電荷発生層用塗布液5kgを調製した。この塗布液を、前述の電子輸送層上に塗布し、 自然乾燥して層厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
次に電荷輸送層については、実施例1と同様にして調液、塗布、乾燥し、実施例11の感光体を作製した。
実施例12
実施例1の電子輸送材料の式(12)の化合物の代わりに、下記化合物式(16):
Figure 2010145506
を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例12の感光体を作成した。
実施例13
実施例1の正孔輸送材料の式(13)の化合物の代わりに、下記化合物式(17):
Figure 2010145506
を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例13の感光体を作成した。
実施例14
電子輸送層、電荷発生層を実施例1と同様にして作製した。その後、正孔輸送物質として構造式(13)の代わりに構造式(14)を用い、下記構造式(18):
Figure 2010145506
で示される化合物を0.5重量部添加した以外は、実施例1と同様にして実施例14の電子写真感光体を作製した。
実施例15
実施例1の電荷発生層に含有する電荷発生材料をX型無金属フタロシアニン(Fastogen Blue 8120、大日本インキ社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例15の感光体を作成した。
比較例1
電子輸送物質としてテトラカルボン酸イミド化合物(式10):
Figure 2010145506
で示される化合物を10重量部、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社製:ユーピロンZ400)15重量部とを、テトラヒドロフラン(THF)90重量部に溶解させ、電子輸送層用塗布液5kgを調製した。この中間層用塗布液をアルミニウム製で厚み0.8mm(t)×直径30mm(φ)×長さ.340mmの円筒型導電性支持体に浸漬塗布装置を用いて塗布した後、130℃、30分乾燥させ、膜厚15μmの電子輸送層を形成した。
次いで、電荷発生層、正孔輸送層を実施例1と同様にして作製し、比較例1の感光体を作製した。
比較例2
電子輸送層の膜厚を4μmに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、比較例2の感光体を得た。
比較例3
電子輸送層の膜厚を40μmに変更し、かつ正孔輸送層の膜厚を10μmに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、比較例3の感光体を得た。
[評価]
1. 電子輸送層および正孔輸送層の移動度評価
実施例1〜11および比較例1〜3の電子写真感光体に用いた電子輸送層および正孔輸送層の移動度の測定は、アルミニウム導電膜を付与したPETフィルム上にそれぞれの実施例1に用いた電荷発生層を塗布し、その後、電子輸送層あるいは正孔輸送層(膜厚:30μ)を塗布し、2層タイプの感光体に対して実施した(乾燥条件は各実施例、比較例と同じ)。
価は、ジェンテック社製ドラムシミュレータ:CYNTHIA56用いて,電界強度:E=5.0×105[V/cm]となる条件にて行った。
2. 電子輸送層および正孔輸送層の静電容量の評価
評価1に用いた支持体上に実施例1に用いた電荷発生層を塗布し、その後電子輸送層、あるいは正孔輸送層をそれぞれ規定の厚みに塗布し2層タイプの感光体を作成した。
得られた評価サンプルを川口電気社製ペーパーアナライザー:EPA8200を用いて、ダイナミック帯電測定を実施し、得られたQV特性より感光体の静電容量:C[pF/cm2]を求めた。
3. 正孔輸送層の表面自由エネルギー(γ)の評価
実施例1〜11および比較例1〜3の電子写真感光体を以下の方法にて表面自由エネルギー(γ)の測定をおこなった。制御設定された感光体の表面自由エネルギーは、表面自由エネルギーの双極子成分、分散成分および水素結合成分が既知である試薬を使用し、その試薬との付着性を測定することによって求められる。具体的には、試薬に純水、ヨウ化メチレン、α−ブロモナフタレンを使用し、接触角計CA−X(商品名;協和界面株式会社製)を用いて、感光体表面に対する接触角を測定し、測定結果に基づき表面自由エネルギー解析ソフトEG−11(商品名;協和界面株式会社製)を用いて各成分の表面自由エネルギーを算出した。
なお試薬は、前述の純水、ヨウ化メチレン、α−ブロモナフタレンに限定されるものではなく、双極子成分、分散成分、水素結合成分が適宜な組合せの試薬を用いてもよい。また測定方法も、前述の方法に限定されるものではなく、たとえばウィルヘルミ法(つり板法)やドゥ・ヌイ法などが用いられてもよい。
4. 初期および耐刷試験後の電気特性評価
実施例1〜11および比較例1〜3の電子写真感光体を図2と同様な構造を有するMX−3100FNを改造したレーザー複合機(書き込み解像度1200dpi×1200dpi)に搭載し、それぞれの電子写真感光体の初期電気特性評価をおこなった。常温常湿(25℃、50%RH)環境下、グリッド印加電圧−650Vのスコロトロン帯電器で各電子写真感光体を帯電させたときの各電子写真感光体の表面の電位V0[V]を測定した。次に、780nmの半導体レーザーを全面照射(黒べた画像形成)したときの各電子写真感光体の表面電位:VL[V]を測定した。
また、上記複合機にて、テストチャート(印字率:5%)のA4原稿を用いて、繰り返し5万回の実写をおこなったあと、上記V0、およびVLをそれぞれの電子写真感光体についておこなった。
5. 初期および耐刷試験後の画質評価
上記常温常湿(25℃、50%RH)環境下での実写前後の画質評価を下記基準にて同時におこなった。尚、評価にあたっては書込み 1dotパターン、1dot抜けパターン、1ラインの周期パターン(主走査および副走査方向)の計4つのパターンを作成し、その総合評価を下記4段階でおこなった。
◎:いずれの再現性も良く高画質画像が得られている。
○:2つ乃至3つのパターンが明瞭に判別でき、実使用上問題ないレベルである。
△:いずれか1つのパターンが判別できるだけであり、実使用上画質悪化と判定される。
×:いずれのパターンも判別できず、実使用不可能なレベル。
実施例1〜15および比較例1〜3で作成した各感光体における電子輸送層が含む電子輸送物質、電子輸送物質とバインダー樹脂との比(M/B)、移動度、膜厚および静電容量、電荷発生層に用いたオキソチタニルフタロシアニンの型、正孔輸送層が含む正孔輸送物質、移動度、膜厚、静電容量、感光体の表面自由エネルギー、感光体の初期および5万枚実写後における画質評価、感光体を帯電させたときの表面電位(V0)、半導体レーザーを前面照射したときの感光体表面電位(VL)を以下の表にまとめて示す。
Figure 2010145506
[評価結果]
実施例1から15に示す通り、電子輸送層、および正孔輸送層の移動度および静電容量の設定が適正な感光体に関しては、初期および50k枚実写後いずれも電気特性を示し、また、画質も実使用上問題ないレベルで推移した。
その中で移動度の請求範囲としてより好ましい範囲に含まれるもの(実施例2以外)については、安定した電気特性となった。
また、より好ましい正孔輸送材料を用いた実施礼9および実施例13においては、実写前後を通じてより安定した感光体の電気的安定性を示した。
さらに実施例10あるいは実施例14の感光体においては、さらに、実写後の画質においても初期と同程度の性能を示し、耐ガス性の強化による効果が確認された。
また、特定の電荷発生材料を用いたことによる効果は、実施例15、実施例11、とそれ以外の実施例との比較により明らかとなった。
また、膜の表面自由エネルギーの効果によって、規定範囲から外れた実施例7あるいは8については、画質にやや悪化傾向が認められ、規定範囲のものについては、実写前後を通じて問題ない結果となった。
本請求範囲外の移動度、あるいは、静電容量、膜厚を有する比較例1〜3の感光体については、電気特性のみならず、画質についても、初期から顕著な悪化傾向が確認された。すなわち比較例1では、電子と正孔の移動度のアンバランスにより感光体としての感度悪化が著しい。比較例2および3については、それぞれ、請求項(3)および請求項(2)の規定範囲からはずれることにより、電気特性の劣化が著しい結果となった。
本発明によれば、電子輸送層、電荷発生層、および正孔輸送層を特定の移動度、静電容量を有する電子写真感光体用を用い、その膜厚を所望の値に設定することにより、高精細、高感度かつ帯電安定性に優れた電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置を提供できる。
本発明の感光体の要部の構成を示す模式断面図である。 本発明の画像形成装置の構成を示す模式側面図である。 オキソチタニルフタロシニンのX線回折スペクトル図である。
符号の説明
1 導電性支持体
2 電子輸送層
3 電荷発生層
4 正孔輸送層
5 感光層
20 画像形成装置
21 感光体
22 回転軸線
23、29 矢符
24 帯電手段(帯電器)
24a 帯電ローラ
25 現像手段(現像器)
25a 現像ローラ
25b ケーシング
26 転写器
27 クリーナ
27a クリーニングブレード
27b 回収用ケーシング
28 露光手段
28a 光
30 転写紙
31 定着器
31a 加熱ローラ
31b 加圧ローラ

Claims (13)

  1. 導電性支持体上に、電子輸送物質を含有する電子輸送層と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、正孔輸送物質を含有する正孔輸送層とをこの順で積層してなる電子写真感光体が、以下の式(1)、式(2)および式(3):
    0.1≦μe/μh≦2 (但し電界強度:E=5×105[V/cm]の条件下) (1)
    [式中、μeおよびμhは電子輸送層および正孔輸送層の移動度[cm2/V/s]をそれぞれ意味する]
    0.5≦Ce/Ch≦3 (2)
    [式中、CeおよびChは電子輸送層および正孔輸送層の静電容量[pF/cm2]をそれぞれ意味する]
    5[μm]≦de≦50[μm]、かつ5[μm]≦dh≦50[μm] (3)
    [式中、deおよびdhは電子輸送層および正孔輸送層の膜厚[μm]を、それぞれ意味する]
    の条件のすべてを満足することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記電子写真感光体が、さらに以下の式(4):
    0.5≦μe/μh≦2 (但し、電界強度:E =5×105[V/cm]の条件下) (4)
    [式中、μeおよびμhは前記式(1)で定義したとおりである]
    の条件を満足する請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記写真感光体が、さらに以下の式(5):
    20[mJ/m2]≦γ≦35[mJ/m2] (5)
    [式中、γは感光体の最表面層の表面自由エネルギーを意味する]
    の条件を満足する請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記写真感光体が、さらに以下の式(6):
    28[mJ/m2]≦γ≦35[mJ/m2] (6)
    [式中、γは式(5)において定義したとおりである]
    の条件を満足する請求項1〜3のいずれか一つに記載の電子写真感光体。
  5. 前記電子写真感光体が、正孔輸送物質として、以下の一般式(7):
    Figure 2010145506
    (式中、Ar1およびAr2は、互いに独立して置換基を有してもよいアリール基または複素環基を示し;Ar3は、置換基を有してもよいアリール基、複素環基、アラルキル基またはアルキル基を示し;Ar4およびAr5は、互いに独立して水素原子、置換基を有してもよいアリール基、複素環基、アラルキル基またはアルキル基を示すが、ただし、Ar4およびAr5が共に水素原子になることはなく、Ar4およびAr5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって原子または原子団を含む環構造を形成してもよく;aは、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基もしくはアリール基を示し;mは1〜6の整数を示し、mが2以上のとき、複数のaは、互いに同一でも異なってもよく、それらが結合する炭素原子と一緒になって環構造を形成してもよく;R1は、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示し;R2、R3およびR4は、互いに独立して水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、複素環基またはアラルキル基を示し;nは0〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のR2は互いに同一でも異なってもよく、複数のR3は互いに同一でも異なってもよいが、ただし、nが0のとき、Ar3は置換基を有してもよい複素環基を示す)
    で示される化合物を含有する請求項1〜4のいずれか一つに記載の電子写真感光体。
  6. 前記一般式(7)で示される化合物が、下記一般式(8):
    Figure 2010145506
    (式中、Ar4、Ar5、R2、R3、R4、aおよびmは、前記一般式(8)において定義したものと同義であり;b、cおよびdは、互いに独立して水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基もしくはアリール基を示し;i、jおよびkは、互いに独立してそれぞれ1〜5の整数を示すが、iが2以上のとき、複数のbは、互いに同一でも異なってもよく、隣接する2つのbが互いに結合して環構造を形成してもよく;またkが2以上のとき、複数のcは、互いに同一でも異なってもよく、隣接する2つのcが互いに結合して環構造を形成してもよく;またjが2以上のとき、複数のdは、互いに同一でも異なってもよく、隣接する2つのdが互いに結合して環構造を形成してもよい)
    で示される化合物である請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記一般式(8)において、次の部分構造:
    Figure 2010145506
    が、以下の置換基:
    Figure 2010145506
    を意味し、次の部分構造:
    Figure 2010145506
    が、互いに独立して、以下の構造:
    Figure 2010145506
    を意味し、次の部分構造:
    Figure 2010145506
    が、以下の置換基:
    Figure 2010145506
    を意味し、R1が、水素原子またはメチル、2,2,2−トリフルオロエチルもしくはイソプロピル基を意味し、次の部分構造:
    Figure 2010145506
    が、結合手または、
    Figure 2010145506
    を意味し、R4が、水素原子またはメチルもしくはフェニル基を意味し、
    前記Ar4が、以下の置換基:
    Figure 2010145506
    を意味し、前記Ar5が、以下の置換基:
    Figure 2010145506
    を意味するか、あるいは前記Ar4およびAr5が一緒になって、以下の置換基
    Figure 2010145506
    を意味する請求項6に記載の電子写真感光体。
  8. 前記正孔輸送層が、さらに、下記一般式(9):
    Figure 2010145506
    (式中、Ar6、Ar7、Ar8およびAr9は、互いに独立して、置換基を有してもよいアリール基、シクロアルキル基、ヘテロ原子含有シクロアルキル基または1価の複素環残基を示し、Zは、アリレン基を示し、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6は、互いに独立して、結合手か、または置換基を有してもよい鎖状のアルキレン基を示す)
    で示されるジアミン化合物含有する請求項1〜7のいずれか一つに記載の電子写真感光体。
  9. 前記一般式(9)において、Ar6、Ar7、Ar8およびAr9が、互いに独立して、置換基を有していてもよいアリール基であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6が、互いに独立して、結合手か、またはC1〜C3のアルキレン基である請求項8に記載の電子写真感光体。
  10. 前記一般式(9)において、Ar6、Ar7、Ar8およびAr9が、互いに独立して、フェニル基、p−メチルフェニル基、ベンジル基またはp−メチルベンジル基であり、Zが、4,4'−ビフェニリレン基または3,5'−ジメチル−4,4'−ビフェニリレン基であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6が、互いに独立して、結合手か、またはメチレン基である請求項8または9に記載の電子写真感光体。
  11. 前記電荷発生層が、オキソチタニルフタロシアニンを含有する請求項1〜10のいずれか一つに記載の電子写真感光体。
  12. 前記電荷発生層が、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.4°又は9.7°に最大回折ピークを示し、かつ少なくとも7.3°、9.4°、9.7°及び27.3°に回折ピークを示す結晶性オキソチタニルフタロシアニンを含有する請求項1〜11のいずれか一つに記載の電子写真感光体。
  13. 請求項1〜12のいずれか一つに記載の電子写真感光体と、少なくとも前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体に対して露光を施す露光手段と、露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段と、現像されたトナー像を転写する転写手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
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