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JP2010064411A - 液滴噴射装置 - Google Patents

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JP2010064411A
JP2010064411A JP2008234331A JP2008234331A JP2010064411A JP 2010064411 A JP2010064411 A JP 2010064411A JP 2008234331 A JP2008234331 A JP 2008234331A JP 2008234331 A JP2008234331 A JP 2008234331A JP 2010064411 A JP2010064411 A JP 2010064411A
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Tatsuya Shindo
達也 新藤
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Brother Industries Ltd
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Abstract

【課題】 ノズルに固着した再分散性の低い液体に、再分散性のよい液体を確実に付着させて除去することが可能な、液滴噴射装置を提供すること。
【解決手段】 まず、キャップ13がインクジェットヘッド3に装着された状態で、吸引ポンプ14による吸引を行って、再分散性のよいインクを噴射するノズル54m,54c,54yからキャップ13内にインクを排出し、インクをキャップ13内に溜める。次に、キャップ13内に溜まった再分散性のよいインクを、再分散性の低いインクを噴射するノズル54kに付着させ、このノズル54kの外側からノズル54k内の増粘インクを溶解させる。その後、吸引ポンプ14による吸引を行って、再分散性の低いノズル54kからインクを排出させる。
【選択図】 図9

Description

本発明は、液滴を噴射する液滴噴射装置に関し、特に、含有粒子の再分散性が異なる複数種類の液体をそれぞれ噴射可能な装置に関する。
従来から、ノズルから液滴を噴射する液滴噴射装置として、複数色のインクを噴射可能なインクジェットヘッドを備えた、インクジェット記録装置が知られている。ところで、このようなインクジェット記録装置においては、液滴を噴射しない待機状態においてノズル内のインクの乾燥が進行して、ノズル内に粘度の高いインク(増粘インク)が滞留すると、ノズルからの液滴噴射が妨げられて噴射不良が生じるという問題がある。そこで、一般的なインクジェット記録装置は、ノズルの噴射口側から増粘インクを吸引する、あるいは、ノズルよりも上流側のインクに圧力を加えて増粘インクを押し出すなどして、ノズルから増粘インクを強制的に排出しノズルの噴射性能を回復する装置が設けられている。
ところで、インクは、水などの溶媒中に色材が分散されたものであり、長期間にわたってノズルから液滴が噴射されない状態が続くと、ノズル内のインク溶媒の大部分が乾燥によって失われ、極端な場合には色材がノズル内に固着した状態となり、ノズルからの液滴噴射が不可能な状態となる。ここで、例えば、染料インクのように、色材の溶媒に対する分散性がよいインクである場合には、色材がノズル内で一度固着したとしても、このノズル内に上流側から新しいインクが供給されたときに、固着していた色材が新しいインクの溶媒に容易に再分散するため、通常の回復動作でもノズルの噴射不良を解消することは可能である。しかし、顔料インクのように、色材の溶媒に対する分散性が悪いインクの場合には、上流側からノズルに対して新しくインクが供給されても、ノズル内に固着した色材がその新しいインクに再分散しにくいため、通常の回復動作ではノズル内のインクをなかなか排出することができず、ノズルの噴射不良を解消することが困難となる。
特許文献1には、上述した問題を解決することが可能なインクジェット記録装置が開示されている。この特許文献1のインクジェット記録装置は、染料インクヘッド及び顔料インクヘッドと、両ヘッドの噴射性能を回復させるヘッド回復装置とを備えている。また、ヘッド回復装置は、染料インクヘッドと顔料インクヘッドのヘッド面(液滴噴射面)にそれぞれ装着される2つのキャップと、これら2つのキャップにそれぞれ接続された2つの吸引ポンプと、顔料インクヘッドと染料インクヘッドの噴射面をそれぞれ拭き取る2つのクリーニング部材を有する。
そして、ヘッド回復装置は、以下のようにして、顔料インクヘッドのヘッド面に固着した顔料インクを除去する。まず、染料インクヘッドにキャップを装着した状態で吸引ポンプを作動させ、染料インクをキャップに吸引排出させる。このとき、染料インクヘッドのヘッド面には染料インクが付着する。その後、キャップを染料インクヘッドのヘッド面から離間させてから、染料インクヘッドのヘッド面に付着した染料インクを顔料ヘッド用クリーニング部材で拭き取ることにより、このクリーニング部材に染料インクを付着させる。さらに、染料インクが付着したクリーニング部材により、今度は顔料インクヘッドのヘッド面を拭き取ることにより、顔料インクヘッドのヘッド面に固着した顔料インクを染料インクによって溶解して除去する。
特開2002−103646号公報
前述したように、前記特許文献1のヘッド回復装置は、染料インクを付着させたクリーニング部材で顔料インクヘッドのヘッド面を拭き取ることにより、ヘッド面に固着した顔料インクを溶解させている。しかし、染料インクのヘッド面を拭き取ったときに、クリーニング部材に染料インクが均一に付着するとは限らず、染料インクがクリーニング部材の一部にのみ付着している場合には、顔料インクヘッドのヘッド面において固化した顔料インクに、染料インクが付着しないことも考えられる。つまり、固化した顔料インクを必ず溶解できるとは言い難い。
本発明の目的は、ノズルに固着した再分散性の低い液体に、再分散性のよい液体を確実に付着させて除去することが可能な、液滴噴射装置を提供することである。
第1の発明の液滴噴射装置は、第1の液体を噴射する第1ノズルと、前記第1の液体よりも含有粒子の再分散性の低い第2の液体を噴射する第2ノズルを含む、複数のノズルを有する液滴噴射ヘッドと、前記ノズルを覆うように前記液滴噴射ヘッドに密着した装着位置と前記液滴噴射ヘッドから離れた退避位置とにわたって移動可能なキャップを備えた、キャッピング手段と、前記ノズル内の液体を液滴噴射口からノズル外へ排出させるパージ手段と、前記キャッピング手段及び前記パージ手段を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記装着位置にある前記キャップにより前記第1ノズルが覆われた状態で、前記パージ手段により前記第1ノズルから前記キャップ内に前記第1の液体を排出させ、次に、前記キャップ内に溜まった前記第1の液体を前記第2ノズルに付着させ、その後、前記パージ手段により前記第2ノズルから前記第2の液体を排出させるように、前記キャッピング手段と前記パージ手段を制御することを特徴とするものである。
本発明においては、まず、パージ手段により、第1ノズルから、再分散性のよい第1の液体をキャップ内に排出させ、第1の液体をキャップ内に溜める。次に、キャップ内に溜まった第1の液体を第2ノズルに外側から付着させ、第1の液体により、第2ノズル内の増粘した第2の液体を溶解させる。その後、パージ手段により、第2ノズルから第2の液体を排出させる。
本発明によれば、第2ノズルに対してその外側から再分散性のよい第1の液体を付着させるため、第2ノズル内において増粘した、再分散性の悪い第2の液体を確実に溶解させることができ、その後の第2ノズルのパージによって増粘した液体をノズル外へ容易に排出することができる。さらに、第1の液体を一旦キャップに溜めてから第2ノズルに付着させることから、第2ノズルの噴射口に第1の液体を確実に付着させることができる。尚、本発明における、液体の「再分散性」とは、水分蒸発によって高粘度化あるいは固化した液体に対して、水等の液体を加えたときに、高粘度化あるいは固化したインクが再び均一に分散する(例えば、顕微鏡で観察したときに、凝集物等の大きな固形物がない状態になる)程度を示す指標である。また、この「再分散性」で評価される液体は、溶媒に不溶な固体が溶媒中で分散している液体だけではなく、固体が溶媒中に溶解している液体も含まれる(この場合には、一般には「再溶解性」とも表現できる)。別の言い方をすれば、「再分散性」とは、固体粒子の可溶性・不溶性に関係なく、流動性が低下した(あるいは、流動性を失った)液体に溶媒を加えたときの、流動性の回復のしやすさを示しているとも言える。
第2の発明の液滴噴射装置は、前記第1の発明において、前記制御手段は、前記キャップ内に溜まった前記第1の液体が前記第2ノズルに付着している状態で、前記キャッピング手段による前記キャップの移動を所定時間停止させることを特徴とするものである。
この構成によれば、第2ノズル内の増粘した第2の液体に第1の液体が付着した状態が、キャップの移動が停止している所定時間継続することになるため、第2ノズル内の増粘液体を確実に溶解させることができる。
第3の発明の液滴噴射装置は、前記第1又は第2の発明において、前記キャップは、前記第1ノズルと前記第2ノズルを共通に覆うことが可能な、共通キャップ部を備えており、
前記制御手段は、前記共通キャップ部により前記第1ノズルと前記第2ノズルが共通に覆われた状態で、前記パージ手段により前記第1ノズルから前記共通キャップ部内に前記第1の液体を排出させるとともに、前記第1ノズルから排出されて前記共通キャップ部内に溜まった前記第1の液体を前記第2ノズルに付着させることを特徴とするものである。
このように、キャップが、第1ノズルと第2ノズルを共通に覆う共通キャップ部を有する場合には、第1ノズルから共通キャップ部へ第1の液体を排出した後、キャップを液滴噴射ヘッドに対して移動させることなく、その状態を維持するだけで、共通キャップ部内に溜まった第1の液体を第2ノズルに付着させることができる。
第4の発明の液滴噴射装置は、前記第1又は第2の発明において、前記キャップは、隔壁によって仕切られるとともに前記第1ノズルと前記第2ノズルをそれぞれ同時に覆うことが可能な、第1キャップ部と第2キャップ部を備えており、
前記制御手段は、前記第1キャップ部により前記第1ノズルが覆われた状態で、前記パージ手段により前記第1ノズルから前記第1キャップ部に前記第1の液体を排出させた後、前記キャップと前記液滴噴射ヘッドを相対移動させて、前記第1の液体が溜まった前記第1キャップ部を、前記第2ノズルを覆うように前記液滴噴射ヘッドに密着させることにより、前記第1キャップ部内の前記第1の液体を前記第2ノズルに付着させることを特徴とするものである。
このように、キャップが、隔壁により互いに仕切られて、第1ノズルと第2ノズルとをそれぞれ同時に覆うことが可能な第1キャップ部と第2キャップ部を有する場合には、まず、第1ノズルから第1キャップ部に向けて第1の液体を排出させて第1キャップ部に第1の液体を溜めた後、キャップを液滴噴射ヘッドに対して相対移動させて、第1キャップ部に溜まった第1の液体を第2ノズルに付着させる。
第5の発明の液滴噴射装置は、前記第4の発明において、前記液滴噴射ヘッドは、複数種類の前記第1の液体をそれぞれ噴射する複数種類の前記第1ノズルを有し、
前記キャップは、隔壁によって仕切られるとともに前記複数種類の第1ノズルをそれぞれ同時に覆うことが可能な、複数の前記第1キャップ部を備えていることを特徴とするものである。
液滴噴射ヘッドが、第2の液体と比べて再分散性のよい複数種類の第1の液体をそれぞれ噴射する、複数種類の第1ノズルを有し、キャップが、前記複数種類の第1ノズルに対応した複数の第1キャップ部を有する場合には、何れか1つの第1キャップ部にのみ第1の液体を溜めて、第2ノズルに付着させればよいことから、第2の液体を溶解させるためにキャップに溜める第1の液体の量を少なくすることができる。
第6の発明の液滴噴射装置は、前記第1又は第2の発明において、前記キャップは、前記第1ノズルと前記第2ノズルの何れか一方を選択的に覆うことが可能に構成されており、
前記制御手段は、前記キャップにより前記第1ノズルが覆われた状態で、前記パージ手段により前記第1ノズルから前記キャップに前記第1の液体を排出させた後、前記キャップと前記液滴噴射ヘッドを相対移動させて、前記第1の液体が溜まった前記キャップを、前記第2ノズルを覆うように前記液滴噴射ヘッドに密着させることにより、前記キャップ内の前記第1の液体を前記第2ノズルに付着させることを特徴とするものである。
このように、キャップが、第1ノズルと第2ノズルの何れか一方を選択的に覆うことが可能に構成されている場合には、まず、第1ノズルからキャップに向けて第1の液体を排出させてキャップに第1の液体を溜めた後、このキャップを液滴噴射ヘッドに対して相対移動させて、キャップに溜まった第1の液体を第2ノズルに付着させる。
第7の発明の液滴噴射装置は、前記第1〜第6の何れかの発明において、前記パージ手段は、前記キャップに接続されて前記キャップ内を吸引する吸引手段であり、
前記制御手段は、前記キャップ内に溜まった前記第1の液体を前記第2ノズルに付着させた後、前記キャップ内の前記第1の液体を排出し、その後、前記キャップにより前記第2ノズルが覆われた状態で前記吸引手段にキャップ内の吸引を行わせることで、前記第2ノズルから前記第2の液体を排出させることを特徴とするものである。
本発明の液滴噴射装置は、キャップに接続された吸引手段を有し、吸引によってノズルから液体を排出させる、いわゆる、吸引パージを行うように構成されている。このような場合には、まず、キャップが第1ノズルを覆った状態で吸引手段によるキャップ内の吸引を行って、キャップ内に第1の液体を排出させる。次に、キャップ内に溜まった第1の液体を第2ノズルに付着させて、第2ノズル内の増粘した第2の液体を溶解させる。その後、キャップ内の第1の液体を排出してから、キャップが第2ノズルを覆った状態で吸引手段によるキャップ内の吸引を行って、溶解した第2の液体を第2ノズルから排出させる。
第8の発明の液滴噴射装置は、前記第1〜第7の何れかの発明において、前記制御手段は、前記第2ノズルについて、前記第1の液体を前記キャップ内に溜めて前記第2ノズルに付着させた後に、前記パージ手段により液体を排出させる、第1パージモードと、前記第1の液体を前記キャップ内に溜めて前記第2ノズルに付着させることなく、前記パージ手段により前記第2ノズルから液体を排出させる、第2パージモードの、何れか一方のモードを選択的に実行可能であることを特徴とするものである。
この構成によれば、第2ノズルに第1の液体を付着させて増粘した第2の液体を溶解させてから、第2ノズルから液体を排出させる、第1パージモードだけでなく、単に第2ノズルから液体を排出させるだけの通常のパージモード(第2パージモード)も実行可能である。従って、第2ノズルの増粘度合がひどい場合には第1パージモードを選択し、そうでない場合には第2パージモードを選択するというように、増粘度合に応じて2つのパージモードを使い分けることができる。
第9の発明の液滴噴射装置は、前記第8の発明において、装置電源が一定時間以上投入されていなかった後の電源投入時には、前記制御手段は、前記第1パージモードを実行することを特徴とするものである。
装置電源がOFFとなっている時間が長いほど、ノズル内の液体の増粘はひどくなる。そこで、電源が投入されたときに、それまで電源が一定時間以上投入されていなかった場合には、増粘した第2の液体を確実に溶解させることができる、第1パージモードを選択する。
第10の発明の液滴噴射装置は、前記第8の発明において、前記制御手段は、所定期間内における外部からのパージ指令の入力回数が、所定回数未満である場合には、前記第2パージモードを実行し、前記所定期間内における前記パージ指令の入力回数が前記所定回数以上となった場合には、前記第1パージモードを実行することを特徴とするものである。
外部からのパージの指令の入力がそれほど繰り返し行われていないときには、制御手段は、液体増粘がそれほどひどくないと判断して、通常のパージモード(第2パージモード)を選択する。一方、指令が繰り返し入力される場合には、制御手段は、第2パージモードでは何度パージを行っても噴射不良が解消されないと判断し、より確実に噴射不良を解消できる第1パージモードを選択する。
第11の発明の液滴噴射装置は、前記第1〜第10の何れかの発明において、前記制御手段は、前記キャップ内に溜まった前記第1の液体を前記第2ノズルに付着させる際に、前記キャップを振動させることを特徴とするものである。
第1の液体を第2ノズルに付着させる際にキャップを振動させることで、キャップ内に第1の液体の流動が生じるため、第2ノズル内の増粘した第2の液体の溶解を促進することができる。
第12の発明の液滴噴射装置は、前記第1〜第11の何れかの発明において、前記液滴噴射ヘッドは、前記ノズル内の液体に前記ノズルから液滴を噴射させるための噴射エネルギーを付与するエネルギー付与手段を有し、
前記制御手段は、前記キャップ内に溜まった前記第1の液体を前記第2ノズルに付着させる際に、前記エネルギー付与手段に、前記第2ノズル内の前記第2の液体に対して、その第2ノズル内で液体を振動させるためのエネルギーを付与させることを特徴とするものである。
第1の液体を第2ノズルに付着させる際に、エネルギー付与手段により、第2ノズル内の液体に所定量のエネルギーを付与することで、第2ノズル内において第2の液体の振動が生じるため、第2ノズル内の増粘した液体の溶解を促進することができる。
本発明によれば、第2ノズルに対してその外側から第1の液体を付着させることにより、この第2ノズル内において増粘した、再分散性の悪い第2の液体を確実に溶解させることができ、その後の第2ノズルのパージによって増粘した液体を容易に排出することができる。さらに、第1の液体を一旦キャップに溜めてから第2ノズルに付着させることから、第2ノズルの液滴噴射口に第1の液体を確実に付着させることができる。
次に、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、インクジェットヘッドから記録用紙に対してインクの液滴を噴射することにより、記録用紙に所望の文字や画像等を記録(印刷)するプリンタに、本発明を適用したものである。
図1は、本実施形態に係るプリンタの概略構成を示す平面図である。図1に示すように、プリンタ1(液滴噴射装置)は、一方向に沿って往復移動可能に構成されたキャリッジ2と、このキャリッジ2に搭載されたインクジェットヘッド3(液滴噴射ヘッド)、及び、サブタンク4a〜4dと、インクを貯留するインクカートリッジ6a〜6dと、インクジェットヘッド3の液滴噴射性能を回復させるメンテナンスユニット7と、プリンタ1の各部をそれぞれ制御する制御装置8(図6参照)等を備えている。
プリンタ1には、水平な一方向(図1の左右方向:走査方向)に平行に延びるとともに、走査方向と直交する紙送り方向に間隔を空けて配置された2本のガイドフレーム17a,17bが設けられており、これら2本のガイドフレーム17a,17bにキャリッジ2が取り付けられている。そして、キャリッジ2は、2本のガイドフレーム17a,17bによって案内されつつ、キャリッジ駆動機構12によって走査方向に往復駆動される。尚、本実施形態においては、キャリッジ駆動機構12は、キャリッジ2に連結された無端ベルト18と、無端ベルト18を走行させるキャリッジ駆動モータ19を含んでおり、キャリッジ駆動モータ19によって無端ベルト18を走行駆動することにより、キャリッジ2を左右方向に移動させる。
このキャリッジ2には、インクジェットヘッド3と4つのサブタンク4a〜4dが搭載されている。インクジェットヘッド3は、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動しつつ、その下面(図1の紙面向こう側の面)に設けられたノズル54(図2、図3参照)から、図示しない用紙搬送機構により紙送り方向(図1の下方)に搬送される記録用紙Pに向けてインクの液滴を噴射する。これにより、記録用紙Pに所望の文字や画像等が記録される。
4つのサブタンク4a〜4dは走査方向に沿って並べて配置されている。これら4つのサブタンク4a〜4dにはチューブジョイント11が一体的に設けられている。そして、これらのチューブジョイント11に連結された可撓性のチューブ5a〜5dを介して、4つのサブタンク4a〜4dと4つのインクカートリッジ6a〜6dとがそれぞれ接続されている。
4つのインクカートリッジ6a〜6dには、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの、4色のインクがそれぞれ貯留されており、これらのインクカートリッジ6a〜6dは、ホルダ10に着脱自在に装着されている。そして、4つのインクカートリッジ6a〜6dに貯留された4色のインクは、サブタンク4a〜4dに一時的に貯留された後、インクジェットヘッド3に供給される
メンテナンスユニット7は、インクジェットヘッド3のノズル54から強制的にインクを排出させてその噴射性能を回復させるものであり、走査方向に関するキャリッジ2の移動範囲のうちの、記録用紙Pと対向する印刷領域よりも外側(図1における右側)の領域(メンテナンス位置)に配置されている。このメンテナンスユニット7の詳細については後ほど説明する。
(インクジェットヘッドの構成)
次に、インクジェットヘッド3について詳細に説明する。図2はインクジェットヘッドの分解斜視図、図3は図2のインクジェットヘッド3の一部分の断面図である。尚、以下のインクジェットヘッド3の説明においては、図2における上下方向(プレートの積層方向)を上下方向と定義する。
図2、図3に示すように、インクジェットヘッド3は、多数のノズル54や圧力室53を含むインク流路が形成された流路ユニット31と、この流路ユニット31の上面に配置され、圧力室53内のインクにノズル54から噴射させるためのエネルギーを付与する圧電アクチュエータ32とを備えている。
流路ユニット31は、キャビティプレート41、ベースプレート42、アパーチャプレート43、2枚のマニホールドプレート44,45、ダンパープレート46、カバープレート47、及び、ノズルプレート48の、計8枚のプレート41〜48の積層体からなる。8枚のプレート41〜48のうち、最下層のノズルプレート48は、ポリイミド等の合成樹脂材料で形成され、残り7枚のプレート41〜47は、それぞれ、ステンレス板やニッケル合金鋼板などの金属プレートとなっている。
流路ユニット31には、前述した4つのサブタンク4a〜4d(図1参照)にそれぞれ接続される4つのインク供給孔50a,50b,50cと、これら4つのインク供給孔50a〜50cに連通したマニホールド流路51(マニホールド形成孔51a,51b)とが設けられ、さらに、マニホールド流路51から分岐して、アパーチャ52、及び、圧力室53を介してノズル54に至る個別インク流路が多数設けられている。
最上層に位置するキャビティプレート41には、複数の圧力室53が貫通形成されている。各圧力室53は、走査方向を長手方向とする略矩形の平面形状を有し、その上側に圧電アクチュエータ32と下側のベースプレート42とが積層されたときに、圧力室53が形成される。そして、複数の圧力室53は紙送り方向に配列されて、5列の圧力室列をなしている。尚、5列の圧力室列のうち、2列は使用頻度の最も高いブラックインクが供給される圧力室53の列であり、残りの3列は、シアン、イエロー、マゼンタの3色カラーインクがそれぞれ供給される圧力室53の列である。さらに、キャビティプレート41の紙送り方向の一端部(図2における左側の端部)には、サブタンク4a〜4dから供給された4色のインクをマニホールド流路51に供給する4つのインク供給孔50aが走査方向に並んで形成されている。
ベースプレート42には、圧力室53の長手方向の両端部にそれぞれ連通する貫通孔56,57と、インク供給孔50aに連通するインク供給孔50bが形成されている。
アパーチャプレート43には、ベースプレート42の貫通孔56に連通するとともに圧力室53の長手方向に沿って延びる、絞り流路としてのアパーチャ52と、貫通孔57に連通する貫通孔58と、インク供給孔50bに連通するインク供給孔50cがそれぞれ形成されている。
マニホールドプレート44,45には、紙送り方向に延在し、それぞれマニホールド流路51の一部をなすマニホールド形成孔51a,51bが、圧力室53の列に対応して5つずつ形成されている。そして、これら2種類のマニホールド形成孔51a,51bが上下に重なった状態で、アパーチャプレート43とダンパープレート46によって上下両側から塞がれることにより、マニホールド流路51が形成される。尚、流路ユニット31に設けられた5つのマニホールド流路51のうち、2つはブラックインク用の2列の圧力室列に対応し、残り3つのマニホールド流路51は、カラーインク用の3列の圧力室列に対応している。また、図2に示すように、マニホールド流路51を形成する2種類のマニホールド形成孔51a,51bは、アパーチャプレート43のインク供給孔50cと重なる位置まで延設されて、インク供給孔50cに連通している。さらに、2枚のマニホールドプレート44,45には、アパーチャプレート43の貫通孔58に連なる貫通孔59,60がそれぞれ形成されている。
ダンパープレート46の下面の、平面視で5つのマニホールド流路51とそれぞれ重なる位置には、ハーフエッチングにより凹部61が形成されている。つまり、ダンパープレート46は、凹部61が形成された部分において厚みが局所的に薄くなっており、この薄肉部分が、マニホールド流路51内の圧力変動を減衰させるダンパー部として働く。また、ダンパープレート46には、マニホールドプレート45の貫通孔60に連なる貫通孔62も形成されている。カバープレート47には、ダンパープレート46の貫通孔62に連通する貫通孔63が形成されている。
最下層のノズルプレート48には、カバープレート47の貫通孔63に連通するノズル54が、紙送り方向に配列して穿設されているとともに、走査方向に5列並べて配置されている。そして、このノズルプレート48の下面は、複数のノズル54の噴射口54aが配置されて、複数の噴射口54aから対向する記録用紙Pに対してそれぞれ液滴を噴射する液滴噴射面3aとなっている。尚、5列のノズル列のうち、2列は使用頻度の最も高いブラックインクを噴射するノズル列であり、残りの3列のノズル列は、3色のカラーインク(マゼンタ、シアン、イエロー)をそれぞれ噴射するノズル列である。
以上説明した8枚のプレート41〜48が積層した状態で接合されることにより、流路ユニット31内に、インク供給孔50aからマニホールド流路51に至るインク流路と、マニホールド流路51から分岐してアパーチャ52及び圧力室53を経由してノズル54に至る、多数の個別インク流路が形成されている。
次に、圧電アクチュエータ32について説明する。図2、図3に示すように、圧電アクチュエータ32は、複数の圧力室53を覆うように流路ユニット31の上面に接合された振動板70と、この振動板70の上面に配置された圧電層71と、圧電層71の上面に配置された複数の個別電極72と、圧電層71の下面に配置された共通電極73とを備えている。
振動板70と圧電層71は、共に、圧電材料(例えば、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料)により、略矩形の平面形状を有するシート状に形成されている。そして、振動板70と圧電層71は、互いに積層された状態で、流路ユニット31上面に複数の圧力室53を覆うように連続的に配置されている。また、上層に位置する圧電層71は、予めその厚み方向に分極されている。一方、振動板70は、圧電層71とは違って分極処理は施されていない。
複数の個別電極72は、それぞれ、圧力室53よりも一回り小さい略矩形の平面形状を有し、圧電層71の上面の、複数の圧力室53の略中央部と対向する領域に配置されている。また、共通電極73は、振動板70と圧電層71の間において、それらの表面のほぼ全域にわたって形成されている。
図2に示すように、圧電アクチュエータ32の圧電層71の上面には、本体側の基板から送信された印字データに従って、圧電アクチュエータ32を駆動するドライバIC80が実装されている。このドライバIC80は、前述した複数の個別電極72と、圧電層71の上面に形成された配線を介して接続されている。そして、このドライバIC80から、複数の個別電極72のそれぞれに対して、所定の駆動電位とグランド電位の一方が選択的に付与されるようになっている。一方、共通電極73は、ドライバIC80内のグランド線に接続されることにより、常にグランド電位に保持されている。尚、ドライバIC80は、フレキシブル配線基板(FPC)等に実装され、そのフレキシブル配線基板が圧電アクチュエータ32と電気的かつ機械的に接合されて、本体側と接続されていてもよい。
このように、振動板70と圧電層71は、共に、全ての圧力室53を共通に覆うように配置された、圧電材料からなる層であるが、上層に位置する圧電層71は、圧力室53と対向する領域において個別電極72と共通電極73に上下両側から挟まれた構成となっている。即ち、この圧電層71は、個別電極72に所定の駆動電位が付与されたときに、厚み方向の電界が印加されて圧電歪みが生じる、活性層として働く。一方、下層に位置する振動板70は、個別電極72と共通電極73に挟まれた構成となっておらず、この振動板70は、圧電材料で構成されているものの、実際には圧電歪みが生じない非活性層である。
以上の圧電アクチュエータ32の、インク噴射時における動作について説明する。
ドライバIC80から、ある個別電極72に対して駆動電位が付与されると、この駆動電位が付与された個別電極72と、グランド電位に保持されている共通電極73との間に電位差が生じ、これらの電極72,73間に挟まれた圧電層71の部分に厚み方向に電界が印加される。この電界の方向は圧電層71の分極方向と平行であるので、この圧電層71は、電界が印加された部分において厚み方向に伸びて面方向に収縮する。一方、非活性層である振動板70は、圧力室53の周囲領域においてキャビティプレート41に固定されていることから、上層の圧電層71が面方向に収縮することによって、下層の振動板70は、圧力室53と対向する領域において、圧力室53側に凸となるように変形する(ユニモルフ変形)。このとき、圧力室53の容積が減少することから、その内部のインクの圧力が上昇し、圧力室53に連通するノズル54からインクの液滴が噴射される。
尚、先の説明でも少し触れたが、流路ユニット31は、それぞれブラックインクを噴射する2列のノズル列と、3色のカラーインクをそれぞれ噴射する3列のノズル列とを有する。このように、ブラックインクのみノズル列を2列とすることで、ブラックインクのみを使用するモノクロ印字の印字速度を高めることが可能となっている。さらに、モノクロ印字の印字速度を高めるために、本実施形態では、ブラックインクとして、3色のカラーインクと比べて、記録用紙Pへの浸透度が高く、且つ、色材濃度(単位体積の溶媒中に分散している色材の量)も高いものを使用する。これにより、モノクロ印字において噴射するブラックインクの液滴サイズを大きくすることで、一度の液滴噴射で、記録用紙P上に、面積が大きく、且つ、十分な濃度を有するドットを形成できることから、モノクロ印字の印字速度をさらに高めることができる。
(メンテナンスユニットの構成)
次に、インクジェットヘッド3の液滴噴射性能を回復させるためのメンテナンスユニット7について説明する。図1に示すように、メンテナンスユニット7は、インクジェットヘッド3の液滴噴射面3aに密着可能なキャップ13と、このキャップ13を液滴噴射面3aに対して離接するように昇降駆動するキャップ駆動機構20を有するキャッピング装置21(キャッピング手段)と、キャップ13に接続された吸引ポンプ14(パージ手段)と、キャップ13と走査方向に関して隣接して設けられ、インクジェットヘッド3の下面(液滴噴射面3a)に付着したインクを拭き取るワイパー15を備えている。
図4は、キャップ13が液滴噴射面3aから離れた退避位置にあるときのキャッピング装置21の断面図、図5は、キャップ13が液滴噴射面3aに装着された装着位置にあるときのキャッピング装置21の断面図である。キャップ13は、ゴムや合成樹脂等の可撓性を有する材料で形成されており、このキャップ13の底部は、チューブ76を介して吸引ポンプ14(図1参照)に接続されている。また、キャップ13は、インクジェットヘッド3の液滴噴射面3aから離間した退避位置(図4の位置)と、液滴噴射面3aに密着してノズル54の噴射口54aを覆う装着位置(図5の位置)とにわたって昇降移動可能である。さらに、キャップ13は、液滴噴射面3aに密着したときに、4色のインク(マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック)をそれぞれ噴射する4種類のノズル54を一度に(共通に)塞ぐことが可能である。即ち、本実施形態のキャップ13そのものが本発明の共通キャップ部に相当する。
キャップ13を退避位置と装着位置とにわたって駆動するキャップ駆動機構20は、キャップ13を保持するキャップホルダ77と、このキャップホルダ77の下側に、上下方向に移動可能に配置されたリフトホルダ78と、リフトホルダ78の内部に配設され、キャップホルダ77を上方へ付勢するバネ74と、リフトホルダ78を上方へ駆動するキャップ駆動モータ75等を備えている。
キャップホルダ77は下方へ突出した2つの脚部77aを有し、さらに、これら2つの脚部77aの下端部には、リフトホルダ78と係合可能な係合部78bがそれぞれ設けられている。従って、図4に示すように、キャップ駆動モータ75によりリフトホルダ78が上方へ駆動されていないときには、キャップホルダ77はバネ74によって上方へ付勢されているが、このキャップホルダ77の左右2つの係合部78bがリフトホルダ78の上部とそれぞれ係合することによって、キャップホルダ77はそれ以上の上方への移動が規制される。そして、このキャップホルダ77に保持されているキャップ13は、インクジェットヘッド3の液滴噴射面3aよりも下側の位置(退避位置)で待機した状態となる。
インクジェットヘッド3の液滴噴射面3aがキャップ13と対向している状態で、図5に示すように、キャップ駆動モータ75によりリフトホルダ78が上方へ駆動されると、リフトホルダ78にバネ74を介して支持されているキャップホルダ77も上方へ移動する。このとき、キャップホルダ77に保持されているキャップ13が、インクジェットヘッド3の液滴噴射面3aに密着し(装着位置)、複数のノズル54の噴射口54aを一度に覆う。
また、図1に示すように、キャップ13は吸引ポンプ14と接続されている。そして、キャップ13がインクジェットヘッド3の液滴噴射面3aに装着されて、複数のノズル54の噴射口54aを覆っている状態で、吸引ポンプ14がキャップ13内の空間(キャップ13と液滴噴射面3aによって形成される密閉空間)の吸引を行うことにより、ノズル54からインクがキャップ13内へ排出される(吸引パージ)。これにより、乾燥によって増粘したノズル54内のインクやインク流路内に混入した気泡を、ノズル54から排出することが可能となっている。
また、上述した吸引パージの終了後、キャップ駆動機構20によりキャップ13を下降させてインクジェットヘッド3の液滴噴射面3aから離した状態では、液滴噴射面3aにノズル54から排出されたインクが付着した状態となっている。そこで、さらに、キャリッジ2とともにインクジェットヘッド3をワイパー15に対して走査方向に移動させることにより、液滴噴射面3aに付着しているインクをワイパー15により拭き取る(ワイピング)。
次に、プリンタ1の全体制御を司る制御装置8について説明する。図6は、プリンタ1の電気的な構成を示すブロック図である。図6に示される制御装置8は、例えば、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、プリンタ1の全体動作を制御する為の各種プログラムやデータ等が格納されたROM(Read Only Memory)と、CPUで処理されるデータ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等を備え、ROMに格納されたプログラムがCPUで実行されることにより、以下に説明するような種々の制御を行うものであってもよい。あるいは、演算回路を含む各種回路が組み合わされたハードウェア的なものであってもよい。
この制御装置8(制御手段)は、ヘッド制御部81とメンテナンス制御部82とを備えている。ヘッド制御部81は、PC等の入力装置84から入力されたデータに基づいて、キャリッジ2を往復駆動するキャリッジ駆動モータ19、インクジェットヘッド3のドライバIC80、記録用紙Pを搬送する用紙搬送機構(図示省略)に含まれる搬送モータ83等を制御して、インクジェットヘッド3による記録用紙Pへの画像等の記録を行わせるものである。また、メンテナンス制御部82は、キャッピング装置21のキャップ駆動モータ75や吸引ポンプ14等のメンテナンスユニット7の各部を制御して、前述した吸引パージを含む一連のメンテナンス動作(液滴噴射性能回復動作)を行わせるものである。
さらに、メンテナンス制御部82により制御されるメンテナンスユニット7のメンテナンス動作についてより詳細に説明する。
上述したように、モノクロ印字の印字速度を高めるために、本実施形態では、ブラックインクとして、3色のカラーインクよりも色材濃度の高いインクが使用される。しかし、色材濃度の高いインクは、一旦乾燥によって溶媒が失われて増粘した場合に、新しいインクが上流側から供給されても、増粘したインクの色材が新しいインクの溶媒中に十分に分散しにくい。つまり、色材(含有粒子)の再分散性が悪いという欠点がある。従って、長期間プリンタ1を使用しない等の理由により、4色のインクをそれぞれ噴射する4種類のノズル54(マゼンタ用ノズル54m,イエロー用ノズル54y,シアン用ノズル54c,ブラック用54k)において、インクの増粘に起因する噴射不良を解消するために通常の吸引パージを行った場合、インクの増粘の程度にもよるが、再分散性のよいカラーインクはノズル54m,54y,54cからそれぞれ排出されても、カラーインクよりも再分散性の低い(再分散性の悪い)ブラックインクはノズル54kから排出されにくい。つまり、ブラックインク用のノズル54kのみ、噴射不良を解消できない場合がある。
そこで、本実施形態においては、メンテナンス制御部82は、ノズル54の増粘度合に応じて、メンテナンスユニット7に対して、4色のインクを噴射する4種類のノズル54(ノズル54m,54y,54c,54k)から吸引ポンプ14によりそれぞれインクを吸引するだけの通常パージモード(第2パージモード)と、この通常パージモードよりもノズル54k内の増粘したブラックインクを確実に排出可能な特殊パージモード(第1パージモード)の何れか一方を選択的に実行させる。
以下では、プリンタ1の電源がOFFの間のインク乾燥によって生じた増粘インクを排出するための、電源投入直後の吸引パージを例に挙げて説明する。図7は、電源投入直後のメンテナンス動作に関するフローチャートである。尚、図7において、Si(i=10,11,12・・・)は各ステップを示している。
尚、特に図示はしないが、本実施形態のプリンタ1は、インクジェットヘッド3等の主要構成に電力を供給する主電源(装置電源)と、主電源のOFF時に、タイマーを含むプリンタ1の一部の構成に電力を供給する補助電源(バッテリ等)を備えている。そのため、補助電源で作動するタイマーによって主電源OFFの時間を計測することができるようになっている。
図7に示すように、主電源がOFFの状態からONになったときに(S10)、タイマーによって計測された主電源のOFF時間が所定時間T0(例えば、1ヶ月程度)よりも短かった場合には(S11:No)、メンテナンス制御部82は、通常パージモードを選択してメンテナンスユニット7に実行させる(S12)。
図8は、通常パージモード選択時のメンテナンスユニット7の動作を示す図である。尚、図8においては、図面の簡単のため、本来は2列に配列されているブラックインクのノズル54kを1列で示している。通常パージモードが選択されたときには、まず、インクジェットヘッド3の液滴噴射面3aがキャップ13と対向している状態で、図8(a)に示すように、キャップ駆動機構20(図4、図5参照)によりキャップ13を上方へ駆動する。そして、キャップ13をインクジェットヘッド3の液滴噴射面3aに密着させ、4色のインクをそれぞれ噴射する4種類のノズル54(54m,54y,54c,54k)の噴射口54aを共通に(一度に)塞ぐ。この状態で、吸引ポンプ14を作動させてキャップ13内を吸引し、4種類のノズル54(54m,54y,54c,54k)からそれぞれインクを排出させる。
次に、図8(b)に示すように、キャップ駆動機構20によりキャップ13を下方へ駆動することにより、キャップ13を液滴噴射面3aから離間させる。この状態では、液滴噴射面3aにインクが付着していることから、さらに、図8(c)に示すように、キャリッジ駆動機構12(図1参照)によりキャリッジ2とともにインクジェットヘッド3を走査方向(左方)に移動させ、インクジェットヘッド3とワイパー15とを走査方向に相対移動させる。これにより、液滴噴射面3aに付着したインクをワイパー15で拭き取る。以上で、通常パージモードが完了する。
図7に戻り、タイマーによって計測された主電源のOFF時間が所定時間T0以上である、つまり、主電源が所定時間T0以上投入されていなかった後の電源投入であった場合には(S11:Yes)、メンテナンス制御部82は、増粘したブラックインクを確実に溶解させることができる特殊パージモードを選択し、メンテナンスユニット7に実行させる(S13)。
図9、図10は、特殊パージモード選択時のメンテナンスユニット7の動作を示す図である。特殊パージモードが選択されたときには、まず、上述した通常パージモードと同じように、インクジェットヘッド3がキャップ13と対向している状態で、図9(a)に示すように、キャップ駆動機構20(図4、図5参照)によりキャップ13を上方へ駆動する。そして、キャップ13をインクジェットヘッド3の液滴噴射面3aに密着させ、4色のインクをそれぞれ噴射する4種類のノズル54(54m,54y,54c,54k)の噴射口54aを共通に塞ぐ。この状態で、吸引ポンプ14を作動させてキャップ13内を吸引する。
このとき、再分散性のよいカラーインク(マゼンタ、シアン、イエロー:第1の液体)を噴射する3種類のノズル54m,54c,54y(第1ノズル)においては、ノズル54内に増粘したインクが固着した状態であっても、吸引中に上流から供給されてくるインクに増粘インク中の色材がすぐに再分散するため、ノズル54m,54c,54yからそれぞれインクが排出される。しかし、再分散性の低いブラックインク(第2の液体)を噴射するノズル54k(第2ノズル)においては、長期間の電源OFFによって内部のインクがほとんど固着する程度に増粘する上、この増粘インク中の色材は上流から新しいインクが供給されても容易に再分散しない。従って、このノズル54kからは、ブラックインクがほとんど排出されないか、排出されたとしてもその排出量はほんのわずかとなる。
そこで、吸引ポンプ14に所定時間吸引動作を行わせてキャップ13内を負圧状態にした後に、吸引ポンプ14を停止させてキャップ13からのインク排出流路を閉止し、キャップ13が液滴噴射面3aに密着した状態(即ち、キャップ13内が負圧の状態)を維持する。このとき、インクジェットヘッド3のインク流路と負圧状態のキャップ13内との間に圧力差が生じ、その圧力差が解消されるまで、主に3種類のノズル54m,54c,54yからインクがキャップ13へ排出され続け、最終的に、キャップ13内がほぼインクで満たされた状態となる。このとき、キャップ13内に溜まった再分散性のよいカラーインクが、再分散性の低いブラックインクを噴射するノズル54kの噴射口54aに付着するため、ノズル54k内の増粘したブラックインクが、カラーインクにより外側から溶解される。
さらに、ノズル54k内のブラックインクの溶解を確実なものとするという観点から、内部にカラーインクが溜まったキャップ13が、液滴噴射面3aに密着した装着位置にある状態のまま、キャップ駆動機構20によるキャップ13の移動を所定時間停止させ、キャップ13内のカラーインクがノズル54に付着している状態をしばらく維持することが好ましい。
次に、図9(b)に示すように、キャップ駆動機構20によりキャップ13を下方へ駆動することにより、キャップ13を液滴噴射面3aから離間させる。さらに、図9(c)に示すように、キャリッジ駆動機構12(図1参照)によりインクジェットヘッド3を走査方向(左方)に移動させ、液滴噴射面3aに付着したインクをワイパー15で一旦拭き取る。
次に、図10(a)に示すように、キャップ13内に溜まったカラーインクを排出した後、図10(b)に示すように、再びインクジェットヘッド3をキャップ13と対向する位置まで移動させた後に、キャップ駆動機構20によりキャップ13を上方へ駆動して、キャップ13をインクジェットヘッド3の液滴噴射面3aに密着させ、吸引ポンプ14を作動させてキャップ13内を吸引する。このときには、ノズル54k内の増粘したブラックインクは、先にカラーインクが付着されることによって既に溶解していることから、この2回目の吸引においては、4種類のノズル54m,54c,54y,54kの全てからインクが排出されることになる。その後、図10(c)に示すように、キャップ13を液滴噴射面3aから離間させた後、インクジェットヘッド3をワイパー15に対して走査方向に相対移動させ、液滴噴射面3aに付着したインクをワイパー15で一旦拭き取る。以上で、特殊パージモードが完了する。
尚、先にも説明したように、特殊パージモードにおいては、1回目の吸引パージ(図9(a))の後で、ワイパー15によるワイピングを行って液滴噴射面3aに付着したインクを一旦除去している(図9(c))が、その後の2回目の吸引パージ(図10(b))の際に、再び液滴噴射面3aにはインクが付着してしまうことから、このパージ途中のワイピングは省略可能である。しかし、1回目の吸引パージ後に、キャップ13を液滴噴射面3aから離間させたときに、インク背圧(ノズル54よりも上流側のインク流路の圧力)が変動し、液滴噴射面3aに付着したインクがノズル54へ逆流してしまうことも考えられる。そこで、本来噴射するインクとは異なる種類のインクがノズル54内に混ざるのを防止するという観点からは、1回目の吸引パージ後に、一度ワイピングを行っておくことが好ましい。
以上説明した本実施形態のプリンタによれば、特殊パージモードの選択時に、再分散性の低いブラックインク(第2の液体)を噴射するノズル54k(第2ノズル)に対して、その外側から再分散性のよいカラーインク(第1の液体)を付着させる。そのため、ノズル54k内において増粘した、再分散性の低いインクを確実に溶解させることができ、その後の吸引パージによって増粘したインクをノズル54kから容易に排出することができる。さらに、ノズル54m,54c,54yから排出されたカラーインクを一旦キャップ13に溜めてから、このカラーインクをノズル54kに直接付着させることから、従来のようにワイパー等によって付着させる場合と比べて、ノズル54kの噴射口54aにカラーインクを確実に付着させることができる。
また、ノズル54kにカラーインクを付着させてからブラックインクの吸引排出を行う特殊パージモードと、このようなカラーインクの付着を行わせることなく、単に4種類のノズル54m,54c,54y,54kからそれぞれインクを排出させるだけの通常パージモード(第2パージモード)とを選択的に実行することができる。そのため、ノズル54の増粘度合がひどい場合には特殊パージモードを選択し、そうでない場合には通常パージモードを選択するというように、増粘度合に応じて2つのパージモードを使い分けることができる。別の言い方をすれば、増粘度合がそれほどひどい状況でないときには、パージ時間が長く、且つ、ノズル54kにカラーインクを付着させる必要がある分、消費するインクも多くなる、特殊パージモードを行う必要がない。
また、本実施形態のように、キャップ13が、再分散性のよいインクを噴射するノズル54m,54c,54yと、再分散性の悪いインクを噴射するノズル54kとを、共通に覆うことが可能である場合には、ノズル54m,54c,54yからキャップ13へカラーインクを排出した後、インクジェットヘッド3とキャップ13の位置をずらすことなく、そのキャッピング状態を維持するだけで、キャップ13内に溜まったカラーインクをノズル54kに付着させることができる。
尚、前記実施形態のプリンタ1は、上述したように、電源OFFの時間によって2つのパージモードを切り替えるために、電源OFFの時間を計測するタイマーを備えているが、このことは必須ではない。例えば、電源投入時にユーザーに対しておおよその電源OFF期間を尋ね、得られた情報に基づいて、2つのパージモードを切り替えるように構成されてもよい。
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
(変更形態1)
前記実施形態では、ノズル54内の増粘度合に応じて、通常パージモードと特殊パージモードの切り換えを行う例として、電源OFF時間による切り換えを挙げているが、切り換えの手法はこれに限られない。
例えば、噴射不良に起因する印字品質が低下していることを確認したユーザーによってパージ指令が入力される場合など、外部(プリンタ1に接続されたPC等の外部入力装置、あるいは、プリンタ1の操作パネル等)から制御装置8に対してパージ指令が入力されたときに、その入力が連続して繰り返し行われたか否かで、パージモードの切り換えを行うように構成されてもよい。即ち、外部からパージ指令が連続して入力されたときに、その連続入力回数nが、所定回数n1(n1は2以上の整数)未満である場合には通常パージモードを実行し、パージ指令の連続入力回数nが所定回数n1以上となった場合には、特殊パージモードを実行する。
図11は、変更形態1に係るメンテナンス動作に関するフローチャートである。まず、プリンタの主電源がONとなった後の初期設定において、パージ指令の連続入力回数nをゼロクリアしておく(S20)。
外部からパージ指令が入力されたときに(S21:Yes)、そのパージ指令が電源投入後最初のパージ指令である場合(S22:Yes)、あるいは、前回のパージから所定時間(例えば、10分程度)が経過した後のパージ指令であった場合には(S23:Yes)、パージ指令が短時間に連続して入力されたわけではないと判断し、パージ指令の連続入力回数nを1とし(S24)、通常パージモードを選択する(S25)。そして、このパージが終了した後、次にパージ指令が入力されるまでの時間計測を開始し(S26)、S21に戻る。
また、前回のパージから所定時間経過する前に、次のパージ指令が入力された場合には(S23:No)、パージ指令の連続入力回数nをインクリメントする(S27)。そして、S28において、パージ指令の連続入力回数nを所定の繰り返し回数n1(n1は2以上の整数)と比較する。ここで、nがn1未満である場合には(S28:No)、まだ頻繁にパージを要求されている状況ではないと判断して、再度、通常パージモードを選択する(S25)。そして、パージの終了後には、次にパージ指令が入力されるまでの時間計測を開始し(S26)、S21に戻る。
一方、nがn1以上である場合には(S28:Yes)、何回も続けて通常パージモードを繰り返し行っても、増粘がひどいためにまだノズル54の噴射不良を解消できていない状態であると判断し、特殊パージモードを選択する(S29)。そして、パージの終了後には、次にパージ指令が入力されるまでの時間計測を開始し(S26)、S21に戻る。
(変更形態2)
前記実施形態では、メンテナンスユニット7のキャップ13は、4色のインクをそれぞれ噴射する4種類のノズル54m,54c,54y,54kを共通に覆うものであった。しかし、図12に示すように、キャップ13Aが、隔壁13cによって仕切られた第1キャップ部13aと第2キャップ部13bとを備えており、第1キャップ部13aによりカラーインクを噴射する3種類のノズル54m,54c,54yを覆うと同時に、第2キャップ部13bによりブラックインクを噴射するノズル54kを覆うことが可能に構成されてもよい。
図12に示すように、カラー用の3種類のノズル54m,54c,54yと、ブラック用のノズル54kとで、別々に吸引パージを行うことができるように、第1キャップ部13aと第2キャップ部13bにはそれぞれチューブ91,92が接続されており、さらに、2本のチューブは切り換えユニット90を介して吸引ポンプ14に接続されている。そして、切り換えユニット90により、吸引ポンプ14の連通先を第1キャップ部13aと第2キャップ部13bの間で切り換えることが可能となっている。
従って、通常パージモードの選択時には、第1キャップ部13aが3種類のカラー用ノズル54m,54c,54yを共通に覆うとともに、第2キャップ部13bがブラック用ノズル54kを覆っている状態で、切り換えユニット90により吸引ポンプ14が第1キャップ部13aに接続されると、図12(a)に示すように、第1キャップ部13aに覆われた3種類のノズル54m,54c,54yの吸引パージが可能となる。一方、切り換えユニット90により吸引ポンプ14が第2キャップ部13bに接続されると、図12(b)に示すように、第2キャップ部13bに覆われたノズル54kのみの吸引パージが可能となる。
このように、カラーインク用の第1キャップ部13aとブラックインク用の第2キャップ部13bが隔壁13cで区切られており、カラーインクのノズル54m,54c,54yとブラックインクのノズル54kを個別にパージすることができることから、パージ時にカラーインクとブラックインクとが混じることがなく、カラーインクのノズル54m,54c,54y内にブラックインクが混じってしまうことを防止できる。
また、特殊パージモードの選択時には、メンテナンスユニット7は以下のように動作する。まず、図13(a)に示すように、インクジェットヘッド3がキャップ13Aと対向している状態で、キャップ駆動機構20(図4、図5参照)によりキャップ13Aを上方へ駆動する。そして、キャップ13Aをインクジェットヘッド3の液滴噴射面3aに密着させることで、キャップ13Aの第1キャップ部13aが3種類のノズル54m,54c,54yの噴射口54aを塞ぐ一方で、第2キャップ部13bがノズル54kの噴射口54aを塞ぐ状態となる。この状態で、切り換えユニット90により吸引ポンプ14の接続先を第1キャップ部13aに切り換えた後、吸引ポンプ14を作動させて第1キャップ部13a内を吸引する。そして、第1キャップ部13aを再分散性のよいカラーインクで満たす。
次に、図13(b)に示すように、キャップ13Aを下方へ駆動することにより、キャップ13Aを液滴噴射面3aから離間させる。そして、図13(c)に示すように、インクジェットヘッド3をキャップ13Aに対して走査方向(図中左方)に少し移動させて、カラーインクが溜まった第1キャップ部13aをノズル54kと対向させる。この状態で、キャップ13Aを上方へ駆動して第1キャップ部13aを液滴噴射面3aに密着させることにより、この第1キャップ部13aに溜まったカラーインクをノズル54kの噴射口54aに付着させる。これにより、ノズル54k内の増粘したブラックインクを外側から溶解させる。
この状態でキャップ13Aの移動を所定時間停止させ、カラーインクがノズル54kに付着した状態をしばらく維持する。その後、図14(a)に示すように、キャップ13Aを液滴噴射面3aから離間させた後、ワイパー15により液滴噴射面3aに付着したインクを拭き取る。さらに、図14(b)に示すように、第1キャップ部13aに溜まったカラーインクを排出する。
その後、図14(c)に示すように、第2キャップ部13bがノズル54kを覆うように、キャップ13Aを液滴噴射面3aに装着させてから、切り換えユニット90により吸引ポンプ14の接続先を第2キャップ部13bに切り換えた後、吸引ポンプ14を作動させて、第2キャップ部13b内を吸引する。ここで、先ほどのカラーインクの付着によって、ノズル54kの増粘したブラックインクは溶解していることから、この吸引によってノズル54kから第2キャップ部13bへ増粘したインクが排出されることになる。ノズル54kの吸引パージが終了した後には、図14(d)に示すように、再度、ワイパー15により液滴噴射面3aに付着したインクを拭き取る。
(変更形態3)
図15に示すように、再分散性のよい3種類のカラーインクをそれぞれ噴射する3種類のノズル54に対応して、キャップ13Bが、隔壁13cによって仕切られるとともに3種類のノズル54m,54c,54yをそれぞれ同時に覆うことが可能な、3つの第1キャップ部13aを備えていてもよい。
この場合には、図15(a)に示すように、3つの第1キャップ部13aのうち、1つの第1キャップ部13a(図ではイエローのノズル54yに対応した第1キャップ部13a)にのみインクを溜めてから、図15(b)に示すように、ブラックインク用のノズル54kに付着させればよいことから、再分散性の悪いブラックインクを溶解させるために、キャップ13Bに溜めるカラーインクの量を少なくすることができる。
(変更形態4)
図16に示すように、キャップ13Cが、4種類のノズル54m,54c,54y,54kの何れかを選択的に覆うように構成されていてもよい。この場合には、まず、図16(a)に示すように、カラーインクのノズル54(図ではマゼンタのノズル54m)を覆うように液滴噴射面3aにキャップ13Cを密着させてから、吸引ポンプ14を作動させて、キャップ13Cにカラーインクを排出させる。次に、図16(b)に示すように、インクジェットヘッド3をキャップ13Cに対して移動させてから、ブラックインクのノズル54kを覆うようにキャップ13Cを液滴噴射面3aに密着させることにより、キャップ13C内のカラーインクをノズル54kに付着させる。
(変更形態5)
キャップ13に溜めた再分散性のよいカラーインクを、再分散性の悪いブラックインク用のノズル54kに付着させる際に、メンテナンス制御部82は、キャップ駆動機構20(図4、図5参照)のキャップ駆動モータ75を制御して、キャップ13を微少量上下動させることによりキャップ13を振動させてもよい。このキャップ13の振動により、キャップ13内に再分散性のよいカラーインクの流動が生じるため、ノズル54k内の増粘したインクの溶解が促進される。
あるいは、インクジェットヘッド3をキャップ13に対して振動(走査方向に関する微小距離の往復移動)させることにより、キャップ13内にインクの流動を生じさせるようにしてもよい。
(変更形態6)
前記変更形態5と同じ目的で、キャップ13に溜めた再分散性のよいカラーインクを、再分散性の悪いブラックインク用のノズル54kに付着させる際に、メンテナンス制御部82は、本来はインクに噴射エネルギーを付与するために設けられている圧電アクチュエータ32(図2、図3参照:エネルギー付与手段)により、ノズル54k内の再分散性の悪いブラックインクに対して、ノズル54k内で振動させるためのエネルギーを付与するようにしてもよい。このように、カラーインクがノズル54kの噴射口54aに付着した状態で、このノズル54k内のブラックインクが振動することにより、ノズル54k内の増粘したインクの溶解が促進される。
尚、圧電アクチュエータにより付与する振動エネルギーの大きさは特に限定されるものではなく、通常の噴射エネルギー(記録用紙Pに対して液滴を噴射する際に付与するエネルギー)よりも小さくてもよい。しかし、そもそも特殊パージモードを実行する必要があるほど、インクの増粘の度合が大きい場合には、付与するエネルギーが小さいとインクが振動するには至らず、溶解促進効果が小さいこともある。そこで、噴射エネルギーと同じかそれ以上のエネルギーをノズル54k内のインクに付与するようにしてもよい。
(変更形態7)
ノズル54からインクを排出させる方法は、前記実施形態のような、吸引ポンプ14による吸引パージに限られるものではなく、インク供給上流側からインクを加圧することによりノズル54からインクを押し出す方法を採用してもよい。
例えば、図17に示すように、インクジェットヘッド3にポンプ95(パージ手段)が接続されており、このポンプ95によりインクジェットヘッド3内のインク流路のインクに強い圧力を付与して、インク流路末端のノズル54からインクを強制的に排出させる構成であってもよい。このような構成のプリンタにおいて、再分散性の悪いブラックインクのパージを行う場合には、まず、図17(a)に示すように、3種類のカラーインク用ノズル54m,54c,54yのうちの1つ(図では、マゼンタインク用のノズル54m)を覆うように、キャップ13Dを液滴噴射面3aに密着させる。そして、ポンプ95により、キャップ13Dで覆われたノズル54に対応するインク流路内に圧力を付与し、ノズル54からキャップ13D内へカラーインクを排出させる。
次に、図17(b)に示すように、カラーインクの溜まったキャップ13Dを、ブラックインク用のノズル54kを覆うように液滴噴射面3aに密着させ、キャップ13D内のカラーインクをノズル54kに付着させる。その後、図17(c)に示すように、キャップ13Dを液滴噴射面3aから離間させてから、ポンプ95により、ブラックインクのインク流路内に圧力を付与し、ノズル54kからブラックインクを排出させる。
尚、上の説明からも分かるように、この変更形態7におけるキャップ13Dは、あくまでも再分散性のよいインクを溜めて、再分散性の悪いインクを噴射するノズル54kに付着させることを目的とするものである。そのため、キャップ13Dは、4種類のノズル54m,54c,54y,54kの全てを同時に覆うように構成されている必要はなく、少なくとも1種類のノズル54を覆うことができれば十分である。
(変更形態8)
前記実施形態では、インクジェットヘッド3がキャリッジ2とともに、キャップ13やワイパー15を含むメンテナンスユニット7に対して走査方向に移動することで、キャップ13やワイパー15との相対移動を実現しているが、これとは逆に、キャップ13やワイパー15がインクジェットヘッド3に対して移動するように構成されてもよい。
(変更形態9)
前記実施形態では、マゼンタ、イエロー、シアンの3色のカラーインクを再分散性のよいインク、ブラックインクを再分散性の悪いインクとしているが、どの色のインクが再分散性のよい(悪い)インクであるかは特に限定されるものではない。例えば、4色のインクのうち、マゼンタ、イエロー、ブラックの3色のインクが再分散性のよいインクであり、残りのシアンインクが、上述した3色のインクと比べて再分散性の悪いインクであってもよい。
(変更形態10)
前記実施形態では、再分散性の異なるインクとして、溶媒に分散する色材(含有粒子)の濃度が異なるものを挙げているが、再分散性が異なる要因となるのは、色材濃度だけではなく、色材の種類や溶剤の種類も当然影響する。一例を挙げると、顔料インクと染料インクとでは再分散性が異なり、一般には、顔料インクの方が、染料インクに比べて、再分散性が悪い。従って、インクジェットヘッドが顔料インクと染料インクをそれぞれ噴射するノズルを有する場合には、まず、染料インク用ノズル(第1ノズル)からキャップへ染料インク(第1の液体)を排出させ、このキャップに溜まった染料インクを、顔料インク用ノズル(第2ノズル)に付着させて、顔料インク用ノズル内の増粘した顔料インク(第2の液体)を溶解させることになる。
以上説明した実施形態及びその変更形態は、本発明を、記録用紙にインクを噴射して画像等を記録する、インクジェットプリンタに適用したものであるが、本発明の適用対象は、このような用途に使用されるものに限られない。即ち、インク以外の様々な種類の液体をその用途に応じて噴射する、種々の液滴噴射装置に本発明を適用することが可能である。
本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。 インクジェットヘッドの分解斜視図である。 図2のインクジェットヘッドの一部分の断面図である。 キャップが退避位置にあるときのキャッピング装置の断面図である。 キャップが装着位置にあるときのキャッピング装置の断面図である。 プリンタの電気的構成を示すブロック図である。 電源投入直後のメンテナンス動作に関するフローチャートである。 通常パージモード選択時のメンテナンスユニットの動作を示す図である。 特殊パージモード選択時のメンテナンスユニットの動作(前半部分)を示す図である。 特殊パージモード選択時のメンテナンスユニットの動作(後半部分)を示す図である。 変更形態1におけるメンテナンス動作に関するフローチャートである。 変更形態2における、通常パージモード選択時のメンテナンスユニットの動作を示す図である。 変更形態2における、特殊パージモード選択時のメンテナンスユニットの動作(前半部分)を示す図である。 変更形態2における、特殊パージモード選択時のメンテナンスユニットの動作(後半部分)を示す図である。 変更形態3における、特殊パージモード選択時のメンテナンスユニットの動作を示す図である。 変更形態4における、特殊パージモード選択時のメンテナンスユニットの動作を示す図である。 変更形態7における、特殊パージモード選択時のメンテナンスユニットの動作を示す図である。
符号の説明
1 プリンタ
3 インクジェットヘッド
3a 液滴噴射面
8 制御装置
13,13A,13B,13C,13D キャップ
13a 第1キャップ部
13b 第2キャップ部
13c 隔壁
14 吸引ポンプ
21 キャッピング装置
32 圧電アクチュエータ
54m,54c,54y ノズル
54k ノズル
95 ポンプ

Claims (12)

  1. 第1の液体を噴射する第1ノズルと、前記第1の液体よりも含有粒子の再分散性の低い第2の液体を噴射する第2ノズルを含む、複数のノズルを有する液滴噴射ヘッドと、
    前記ノズルを覆うように前記液滴噴射ヘッドに密着した装着位置と前記液滴噴射ヘッドから離れた退避位置とにわたって移動可能なキャップを備えた、キャッピング手段と、
    前記ノズル内の液体を液滴噴射口からノズル外へ排出させるパージ手段と、
    前記キャッピング手段及び前記パージ手段を制御する制御手段を備え、
    前記制御手段は、
    前記装着位置にある前記キャップにより前記第1ノズルが覆われた状態で、前記パージ手段により前記第1ノズルから前記キャップ内に前記第1の液体を排出させ、
    次に、前記キャップ内に溜まった前記第1の液体を前記第2ノズルに付着させ、
    その後、前記パージ手段により前記第2ノズルから前記第2の液体を排出させるように、前記キャッピング手段と前記パージ手段を制御することを特徴とする液滴噴射装置。
  2. 前記制御手段は、
    前記キャップ内に溜まった前記第1の液体が前記第2ノズルに付着している状態で、前記キャッピング手段による前記キャップの移動を所定時間停止させることを特徴とする請求項1に記載の液滴噴射装置。
  3. 前記キャップは、前記第1ノズルと前記第2ノズルを共通に覆うことが可能な、共通キャップ部を備えており、
    前記制御手段は、
    前記共通キャップ部により前記第1ノズルと前記第2ノズルが共通に覆われた状態で、前記パージ手段により前記第1ノズルから前記共通キャップ部内に前記第1の液体を排出させるとともに、前記第1ノズルから排出されて前記共通キャップ部内に溜まった前記第1の液体を前記第2ノズルに付着させることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴噴射装置。
  4. 前記キャップは、隔壁によって仕切られるとともに前記第1ノズルと前記第2ノズルをそれぞれ同時に覆うことが可能な、第1キャップ部と第2キャップ部を備えており、
    前記制御手段は、
    前記第1キャップ部により前記第1ノズルが覆われた状態で、前記パージ手段により前記第1ノズルから前記第1キャップ部に前記第1の液体を排出させた後、
    前記キャップと前記液滴噴射ヘッドを相対移動させて、前記第1の液体が溜まった前記第1キャップ部を、前記第2ノズルを覆うように前記液滴噴射ヘッドに密着させることにより、前記第1キャップ部内の前記第1の液体を前記第2ノズルに付着させることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴噴射装置。
  5. 前記液滴噴射ヘッドは、複数種類の前記第1の液体をそれぞれ噴射する複数種類の前記第1ノズルを有し、
    前記キャップは、隔壁によって仕切られるとともに前記複数種類の第1ノズルをそれぞれ同時に覆うことが可能な、複数の前記第1キャップ部を備えていることを特徴とする請求項4に記載の液滴噴射装置。
  6. 前記キャップは、前記第1ノズルと前記第2ノズルの何れか一方を選択的に覆うことが可能に構成されており、
    前記制御手段は、
    前記キャップにより前記第1ノズルが覆われた状態で、前記パージ手段により前記第1ノズルから前記キャップに前記第1の液体を排出させた後、
    前記キャップと前記液滴噴射ヘッドを相対移動させて、前記第1の液体が溜まった前記キャップを、前記第2ノズルを覆うように前記液滴噴射ヘッドに密着させることにより、前記キャップ内の前記第1の液体を前記第2ノズルに付着させることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴噴射装置。
  7. 前記パージ手段は、前記キャップに接続されて前記キャップ内を吸引する吸引手段であり、
    前記制御手段は、
    前記キャップ内に溜まった前記第1の液体を前記第2ノズルに付着させた後、前記キャップ内の前記第1の液体を排出し、
    その後、前記キャップにより前記第2ノズルが覆われた状態で前記吸引手段にキャップ内の吸引を行わせることで、前記第2ノズルから前記第2の液体を排出させることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の液滴噴射装置。
  8. 前記制御手段は、
    前記第2ノズルについて、前記第1の液体を前記キャップ内に溜めて前記第2ノズルに付着させた後に、前記パージ手段により液体を排出させる、第1パージモードと、
    前記第1の液体を前記キャップ内に溜めて前記第2ノズルに付着させることなく、前記パージ手段により前記第2ノズルから液体を排出させる、第2パージモードの、
    何れか一方のモードを選択的に実行可能であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の液滴噴射装置。
  9. 装置電源が一定時間以上投入されていなかった後の電源投入時には、前記制御手段は、前記第1パージモードを実行することを特徴とする請求項8に記載の液滴噴射装置。
  10. 前記制御手段は、
    所定期間内における外部からのパージ指令の入力回数が、所定回数未満である場合には、前記第2パージモードを実行し、
    前記所定期間内における前記パージ指令の入力回数が前記所定回数以上となった場合には、前記第1パージモードを実行することを特徴とする請求項8に記載の液滴噴射装置。
  11. 前記制御手段は、
    前記キャップ内に溜まった前記第1の液体を前記第2ノズルに付着させる際に、前記キャップを振動させることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の液滴噴射装置。
  12. 前記液滴噴射ヘッドは、前記ノズル内の液体に前記ノズルから液滴を噴射させるための噴射エネルギーを付与するエネルギー付与手段を有し、
    前記制御手段は、
    前記キャップ内に溜まった前記第1の液体を前記第2ノズルに付着させる際に、前記エネルギー付与手段に、前記第2ノズル内の前記第2の液体に対して、その第2ノズル内で液体を振動させるためのエネルギーを付与させることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の液滴噴射装置。
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