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JP2010014220A - スナップリングの脱落防止構造 - Google Patents

スナップリングの脱落防止構造 Download PDF

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JP2010014220A
JP2010014220A JP2008175766A JP2008175766A JP2010014220A JP 2010014220 A JP2010014220 A JP 2010014220A JP 2008175766 A JP2008175766 A JP 2008175766A JP 2008175766 A JP2008175766 A JP 2008175766A JP 2010014220 A JP2010014220 A JP 2010014220A
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JP2008175766A
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Yosuke Nakamura
陽介 中村
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】簡単な構造で簡単な組付けにより、スナップリングが装着溝から外れて脱落するのを防止することができるスナップリングの脱落防止構造を提供すること。
【解決手段】クラッチドラム51と、セパレータプレート54と、クラッチハブ53と、クラッチハブ53の軸線方向に移動し、かつクラッチハブ53と一緒に回転するようクラッチハブ53の外周面部53gと係合する摩擦プレート61とを備え、環状の本体の一部を切り欠いた合い口部67aを有し、合い口部67aを収縮させることにより内周環状溝51mに装着され、セパレータプレート54が前記筒状部材から抜け出るのを阻止するスナップリング67とを備え、スナップリング67の合い口部67aの変形を抑制して、スナップリング67が内周環状溝51mから外れるのを防止する大きい静止摩擦係数μ1を有する摩擦係合部54mを備えたことを特徴としている。
【選択図】図3

Description

本発明は、スナップリングの脱落防止構造に関し、特に筒状の部材の内周側に形成された環状溝に装着されるスナップリングの脱落防止構造に関する。
一般に、スナップリングは、環状の本体の一部を切り欠いた合い口部を有し、この合い口部を収縮させることにより、部材に形成された環状溝に装着され、部品の位置決めなどに用いられている。
従来、この種のスナップリングとして、多板クラッチのクラッチプレートがクラッチドラムから抜け出ないよう、クラッチドラムに形成された環状溝に装着されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この多板クラッチは、一方端部が開放され円筒状に形成された筒状部材としてのクラッチドラムと、このクラッチドラムの軸線方向に移動し、かつクラッチドラムと一緒に回転するよう、クラッチドラムの内周面部と係合する内周係合部材としての複数のクラッチプレートと、クラッチドラムの径方向の内側に配置された環状部材としてのクラッチハブと、このクラッチハブの軸線方向に移動し、かつクラッチハブと一緒に回転するよう、クラッチハブの外周面部と係合する外周係合部材としての複数の摩擦プレートとを備えており、クラッチドラム側の複数のクラッチプレートおよびクラッチハブ側の複数の摩擦プレートが軸方向に交互に配設されている。
また、この多板クラッチは、クラッチプレートおよび摩擦プレートが互いに軸線方向に移動し摩擦係合するようになっている。また、クラッチドラムの内周面部には内周環状溝が形成され、この内周環状溝にはスナップリングが装着されており、最も開放端側に位置する開放端側クラッチプレートが、このスナップリングにより係止され、クラッチドラムおよびクラッチハブから各クラッチプレートが抜け出ないようになっている。
このような、多板クラッチのスナップリングの場合、図10(a)に示すように、各クラッチプレートおよび各摩擦プレートが摩擦係合する際に、軸線方向に大きな負荷が加わり、クラッチドラム101の内周環状溝102に装着されているスナップリング103が開放端側クラッチプレート104により矢印で示す軸線方向に押圧される。この押圧と同時に、図11(a)に示すように、クラッチドラム101が矢印a方向に回転し、クラッチドラム101とスプライン嵌合している開放端側クラッチプレート104と、クラッチドラム101の内周環状溝に装着されているスナップリング103との間で相対回転が生ずる。
この相対回転は、例えば、以下のような状態のときに生ずる。まず、クラッチドラム101の回転が開始すると、クラッチドラム101にスプライン嵌合している開放端側クラッチプレート104およびクラッチドラム101に装着されているスナップリング103がクラッチドラム101と一緒に回転する。この状態で、開放端側クラッチプレート104と隣接された図示しない摩擦プレートが摩擦係合すると、摩擦プレートが静止しているので開放端側クラッチプレート104は摩擦プレートによりブレーキがかかる。他方、クラッチドラム101は回転し続ける方向に慣性力が作用している。このクラッチドラム101は、図11(a)に示すように、開放端側クラッチプレート104と隙間Sを保ってスプライン嵌合しており、開放端側クラッチプレート104がクラッチドラム101の軸線方向にスムーズに摺動できるようにしている。
このクラッチドラム101と開放端側クラッチプレート104との間に隙間Sが画成されているので、クラッチドラム101が矢印a方向に回転したとき、開放端側クラッチプレート104は、摩擦プレートのブレーキ作用により矢印b方向にトルクが作用することになり、クラッチドラム101と開放端側クラッチプレート104との間に相対回転が生ずる。このとき、スナップリング103は、クラッチドラム101に、その弾性力により付勢され隙間がなく接触して装着されているので、クラッチドラム101と一体となって回転している。したがって、クラッチドラム101と一体となっているスナップリング103と開放端側クラッチプレート104との間に相対回転が生ずることになる。
この相対回転によりスナップリング103に図11(b)に示すように、点線の矢印Tsで示すトルク(N・m)が生ずることになる。
図10(b)に示すように、矢印で示す押圧力Fが、開放端側クラッチプレート104に作用すると、開放端側クラッチプレート104は、スナップリング103側に摺動し、スナップリング103が押圧される。このとき、スナップリング103が僅かに開放端側クラッチプレート104の摺動方向に傾斜し、スナップリング103と開放端側クラッチプレート104との接触部分に生ずる摩擦力により、スナップリング103を収縮させる方向の矢印で示す分力Eが生ずる。この分力Eにより、スナップリング103は、分力Eの方向に収縮変形する。
また、図11(b)に示すように、トルクTsがスナップリング103に作用した際、トルクTsがスナップリング103と開放端側クラッチプレート104の接触部分に生ずる摩擦力よりも大きくなると、トルクTsによりスナップリング103の合い口103aの近傍の斜線で示す部分が、合い口103aの方向に引っ張られ、開放端側クラッチプレート104の接触部分を滑るようにして変形し、スナップリング103の内径が小さくなる方向に収縮する。
このように、従来の多板クラッチに装着されたスナップリングは、加えられる押圧力やトルクの作用により、収縮変形して内周環状溝から外れ、脱落するおそれがある。
このようなスナップリングの脱落を防止する脱落防止構造として、環状の本体の一部を切り欠いた合い口部を有するスナップリングと、支持部材に形成された円環状の装着溝とを備え、スナップリングを装着溝に装着し、支持部材の内方からの押圧力が作用する押圧部材をスナップリングで抜止めするよう構成したもので、スナップリングの本体に係合部を形成するとともに、この係合部と係合する被係合部を装着溝に形成し、スナップリングの本体の端部が、装着溝の側壁がある部分に位置するように、係合部を被係合部に係合させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
この従来のスナップリングの脱落防止構造においては、装着溝の一部に形成された被係合部とスナップリングの係合部とを係合させることにより、スナップリングの装着溝内での回転を防止するようにし、スナップリング本体の端部が、装着溝の側壁がある部分に位置するように保持される。この係合部により、押圧部材に作用する回転力によりスナップリングが装着溝内で徐々に回転移動して、合い口部を有する端部と装着溝の側壁が面接触する安定係合状態にある装着位置からスナップリングが円周方向に大幅にずれてしまうことを未然に防止し、スナップリングの脱落を防止するようにしている。
特開平10−331868号公報 特開2000−84751号公報
しかしながら、特許文献2に記載のスナップリングの脱落防止構造においては、スナップリングの本体に係合部を一体に形成するとともに、支持部材の装着溝にスナップリングの係合部と係合する被係合部を形成するという複雑な構造を有している。そのためスナップリングおよび支持部材の装着溝の製作に手間がかかっていた。また、支持部材の装着溝に被係合部を形成するスペースを確保しなければならず、さらにスナップリングの係合部が装着溝の被係合部に一致するよう組み込む必要があり、組付けが複雑になってしまうという問題があった。
本発明は、前述の従来の問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、本発明は、従来のものより簡単な構造で、簡単な組付けにより、スナップリングが装着されている溝から外れて脱落するのを防止することができるスナップリングの脱落防止構造を提供することを目的とする。
本発明に係るスナップリングの脱落防止構造は、上記目的達成のため、(1)筒状に形成され、開口端部と前記開口端部近傍の内周面部に形成された内周環状溝とを有する筒状部材と、前記筒状部材の軸線方向に移動し、かつ前記筒状部材と一緒に回転するよう前記筒状部材の内周面部と係合する内周係合部材と、前記筒状部材の径方向の内側に配置され、前記筒状部材の前記内周面部に対向する外周面部を有し環状に形成された環状部材と、前記環状部材の軸線方向に移動し、かつ前記環状部材と一緒に回転するよう前記環状部材の前記外周面部と係合するとともに、前記筒状部材の前記開口端部に対して軸線方向に離隔する側に位置し、前記内周係合部材の側面部と係合する外周係合部材と、環状の本体の一部を切り欠いた合い口部を有し、前記合い口部を収縮させることにより前記内周環状溝に装着され、前記内周係合部材が前記筒状部材から抜け出るのを阻止するスナップリングとを備え、前記スナップリングが前記内周環状溝から外れて脱落するのを防止するスナップリングの脱落防止構造において、前記スナップリングの前記合い口部の変形を抑制して、前記スナップリングが前記内周環状溝から外れるのを防止する変形抑制部を備えたことを特徴とする。
この構成により、内周係合部材が軸線方向に移動し、スナップリングに当接して内周係合部材の押圧力およびトルクがスナップリングに作用しても、内周係合部材が有する変形抑制部によって、スナップリングの収縮方向の変形が抑制される。したがって、内周係合部材に変形抑制部を形成するだけの簡単な構造で、かつ簡単な組付けにより、スナップリングが収縮する方向に変形するのを抑制することができ、スナップリングが内周環状溝から外れて脱落するのが防止される。
上記(1)に記載のスナップリングの脱落防止構造は、(2)前記変形抑制部が、互いに摩擦係合する前記内周係合部材の部材側面部および前記スナップリングのリング側面部により構成され、前記部材側面部および前記リング側面部に生ずる摩擦力によって、前記スナップリングの変形が抑制されるよう構成してもよい。
この構成により、内周係合部材の部材側面部およびスナップリングのリング側面部に生ずる摩擦力により、スナップリングの収縮方向の変形が抑制されるので、従来の構成と比較して組付工数および部品点数を増加させることなく、簡単な構造で、スナップリングの脱落が防止される。
上記(2)に記載のスナップリングの脱落防止構造においては、(3)互いに摩擦係合する前記スナップリングの前記リング側面部および前記筒状部材の前記内周環状溝を囲む内壁面部に生ずる摩擦力が、前記部材側面部および前記リング側面部に生ずる摩擦力よりも小さくなるよう、前記部材側面部が有する静止摩擦係数よりも、前記内壁面部が有する静止摩擦係数が小さいことを特徴としてもよい。
この構成により、内周係合部材とスナップリングが摩擦力により密着し、内周係合部材の移動とともにスナップリングが移動する際に、リング側面部および筒状部材の内周環状溝を囲む内壁面部に生ずる摩擦力が小さくなっている。そのため、リング側面部および筒状部材の内周環状溝を囲む内壁面部に生ずる摩擦力によって、内周係合部材とスナップリングとの密着性が弱まることがなく、スナップリングの収縮方向の変形がより確実に抑制される。
上記(1)ないし(3)に記載のスナップリングの脱落防止構造においては、(4)前記変形抑制部が、前記内周係合部材の前記部材側面部に形成された凸部により構成され、前記凸部が、前記内周環状溝に装着された前記スナップリングの内周面に沿って位置するよう構成してもよい。
この構成により、凸部がスナップリングの内周面に接触することにより、スナップリングの収縮方向の変形が抑制される。また、従来の構成と比較して、余分なスペースや組付工数および部品点数を増加させることなく、簡易な構造でスナップリングの収縮方向の変形が抑制される。
本発明によれば、簡単な構造で、簡単な組付けにより、スナップリングが装着されている溝から外れて脱落するのを防止することができるスナップリングの脱落防止構造を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造10により構成される、車両1のトランスアクスル4の断面図であり、図2は、図1の部分拡大断面図である。
本実施の形態においては、スナップリングの脱落防止構造10を、車両1に搭載されたトランスアクスル4におけるフォワードクラッチ20に適用した例について説明する。
フォワードクラッチ20は、前後進切替機構7を構成し、前後進切替機構7は、トランスアクスル4を構成している。
本実施の形態に係る車両1は、例えば、前輪駆動車(FF:Front engine Front drive)であり、横置きに設置されたガソリンを燃料とするエンジン2を備えている。
まず、構成について説明する。
車両1は、エンジン2の側方に配置され、エンジン2のクランクシャフト3に連結されたトランスアクスル4と、エンジン2およびトランスアクスル4を制御する図示しない電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)とを含んで構成されている。
トランスアクスル4は、クランクシャフト3に連結されたトルクコンバータ5と、トルクコンバータ5に入力軸6を介して連結された前後進切替機構7と、前後進切替機構7に連結されたベルト式無段変速装置(CVT:Continuously Variable Transmission)8と、ベルト式無段変速装置8に連結されたカウンタドライブギヤ9と、カウンタドライブギヤ9と噛み合うカウンタドリブンギヤ11と、カウンタドリブンギヤ11を支持するインターメディエートシャフト12と、インターメディエートシャフト12に支持されたファイナルドライブギヤ13と、ファイナルドライブギヤ13と噛み合うリングギヤ14と、リングギヤ14に連結されたディファレンシャル15と、これらの各構成要素を収納するトランスアクスルハウジング16、トランスアクスルケース17およびトランスアクスルリヤカバー18とを含んで構成されている。
トルクコンバータ5は、ドライブプレート32と、ドライブプレート32を介してエンジン2のクランクシャフト3に固定されたフロントカバー33と、フロントカバー33に取り付けられたポンプインペラ34と、クランクシャフト3と略同軸に延びる入力軸6に固定され、ポンプインペラ34と対向する状態で回転可能なタービンランナ35と、ワンウェイクラッチ36によって一方向にのみ回転可能に設定されたステータ37と、ダンパ機構38と、ダンパ機構38に取り付けられたロックアップクラッチ39とを含んで構成されている。また、ステータ37には、ワンウェイクラッチ36を介して中空軸31が固定されており、入力軸6は、この中空軸31の内部に挿通されている。
タービンランナ35は、エンジン2が作動し、フロントカバー33およびポンプインペラ34が回転すると、トルクコンバータ5に充填されているオイルの流れにより引きずられるようにして回転し始めるようになっている。また、ステータ37は、ポンプインペラ34とタービンランナ35との回転速度差が大きい時に、オイルの流れをポンプインペラ34の回転を助ける方向に変換するようになっている。
このトルクコンバータ5は、ポンプインペラ34の回転速度とタービンランナ35の回転速度との差が大きい時には、トルク増幅機として機能し、両者の回転速度差が小さくなると、流体継手として機能するよう構成されている。そして、車両1が発進した後、車速が所定速度に到達すると、ロックアップクラッチ39が作動し、エンジン2からフロントカバー33に伝達された動力が入力軸6に直接伝達されるようになっている。また、フロントカバー33から入力軸6に伝達されるトルクの変動は、ダンパ機構38によって吸収されるようになっている。
前後進切替機構7は、ダブルピニオン形式の遊星歯車機構41を備えており、遊星歯車機構41は、図2に示すように、入力軸6のベルト式無段変速装置8側の端部に取り付けられたサンギヤ42と、サンギヤ42の外周側に同心状に配置されたリングギヤ43と、サンギヤ42と噛み合う複数のピニオンギヤ44と、リングギヤ43およびピニオンギヤ44の双方と噛み合う複数のピニオンギヤ45と、各ピニオンギヤ44、45を自転可能に保持し、かつ、ピニオンギヤ44、45をサンギヤ42の周囲で一体的に公転可能な状態に保持するキャリヤ46とを含んで構成されている。
前後進切替機構7は、さらに、スナップリングの脱落防止構造10を含むフォワードクラッチ20と、リバースブレーキ22とを含んで構成されている。前後進切替機構7のキャリヤ46は、ベルト式無段変速装置8に固定されており、このキャリヤ46と入力軸6との間の動力伝達経路は、フォワードクラッチ20により接続または遮断されるようになっている。また、リバースブレーキ22は、前後進切替機構7におけるリングギヤ43の回転および固定を制御するようになっている。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造10により構成されるフォワードクラッチ20の分解斜視図である。
図2および図3に示すように、フォワードクラッチ20は、クラッチドラム51と、ピストン52と、クラッチハブ53と、セパレータプレート54、55、56、57と、摩擦プレート61、62、63と、クッションプレート64と、スプリング65と、スプリング65を支持する支持プレート66と、スナップリング67とを含んで構成されている。
本実施の形態におけるクラッチドラム51は、本発明に係るスナップリングの脱落防止構造における筒状部材を構成し、クラッチハブ53は、環状部材を構成し、セパレータプレート54、55、56、57は、それぞれ内周係合部材を構成し、摩擦プレート61、62、63は、それぞれ外周係合部材を構成している。
クラッチドラム51は、図3に示すように、筒状に形成され、遊星歯車機構41側に開口する開口端部51kと、開口端部51kの近傍の内周面部51nに形成された内周環状溝51mおよびスプライン内歯51uと、入力軸6に固定された閉止端部51hとを有している。また、クラッチドラム51の外周部には、スプライン内歯51uと同様の外歯が形成されており、クラッチドラム51の回転を検出する回転検出センサなどの他の用途に用いられるようになっている。
閉止端部51h側の内側には、図2に示すように、円筒状に形成されたピストン52が収容されており、ピストン52の側面52sと、閉止端部51hの内壁面51sとによりピストン室52pが画成されている。このピストン室52pには、図示しない油圧装置から作動油が供給されるようになっており、供給された作動油の油圧によりピストン52が、閉止端部51hの内壁面51sから離隔する方向に摺動してクッションプレート64を押圧するようになっている。
クラッチハブ53は、遊星歯車機構41と連結され円盤状に形成された連結部53rと、連結部53rの外周縁部からクラッチドラム51に向かって突出して形成された円筒部53eとを備えている。このクラッチハブ53は、クラッチドラム51の径方向内側に配置され、円筒部53eの外周面部53gが、クラッチドラム51の内周面部51nに対向している。この外周面部53gには、スプライン外歯53sが形成されており、摩擦プレート61に形成されたスプライン内歯61uとスプライン嵌合するようになっている。
セパレータプレート54は、環状に形成され、中央部には貫通孔54hが形成されており、クラッチハブ53が挿通されるようになっている。また、セパレータプレート54の外周部にはスプライン外歯54sが形成されており、スプライン外歯54sとクラッチドラム51のスプライン内歯51uとがスプライン嵌合し、セパレータプレート54がクラッチドラム51内を軸線方向に摺動するとともに、クラッチドラム51と一緒に回転するようになっている。
セパレータプレート54のスナップリング67側の部材側面部54bにおけるスプライン外歯54sの近傍の周縁部には、図3の斜線部分で示すように、変形抑制部としての摩擦係合部54mが形成されている。この摩擦係合部54mは、斜線部分以外のスナップリング67側の側面における静止摩擦係数μ0よりも大きい静止摩擦係数μ1を有しており、セパレータプレート54が押圧されてスナップリング67と密着して摩擦係合した際、大きい摩擦力が生ずるようになっている。セパレータプレート54が回転したとき、スナップリング67もセパレータプレート54と一体となって回転するようになっている。
この摩擦係合部54mは、セパレータプレート54の表面を、例えば、サンドブラスト加工などにより粗く形成して静止摩擦係数が大きくなるようにしてもよく、セパレータプレート54と異なった静止摩擦係数の大きい材料を接合や嵌め込みなどにより埋め込んで一体化するようにして静止摩擦係数が大きくなるようにしてもよい。
このセパレータプレート54の外周部にはスプライン外歯54sが形成されているので、クラッチドラム51内で滑らかに摺動させるよう、スプライン外歯54s部分は静止摩擦係数が小さい方が好ましい。そのため、摩擦係合部54mは、セパレータプレート54の側面にのみ形成することが好ましい。また、セパレータプレート54自体を静止摩擦係数の大きい材料で形成し、スプライン外歯54s部分のみ静止摩擦係数が小さくなるよう加工するようにしてもよい。この摩擦係合部54mによりスナップリングの脱落防止構造10の一部が構成されている。セパレータプレート55、56、57も、前述の摩擦係合部54mを除いて、セパレータプレート54と同様に構成されており、クラッチドラム51内を軸線方向に摺動するとともに、クラッチドラム51と一緒に回転するようになっている。
摩擦プレート61は、環状に形成され、スプライン内歯61uが形成されており、スプライン内歯61uと、クラッチハブ53のスプライン外歯53sとがスプライン嵌合し、摩擦プレート61が、クラッチハブ53の軸線方向に摺動するとともに、クラッチハブ53と一緒に回転するようになっている。
摩擦プレート62、63も、摩擦プレート61と同様に構成されており、クラッチハブ53の軸線方向に摺動するとともに、クラッチハブ53と一緒に回転するようになっている。また、摩擦プレート61は、セパレータプレート54とセパレータプレート55の間に配置され、摩擦プレート62は、セパレータプレート55とセパレータプレート56の間に配置され、摩擦プレート63は、セパレータプレート56とセパレータプレート57との間に配置されており、互いに摩擦係合し、また離隔するようになっており、各プレートにより、いわゆる多板クラッチが構成されている。
クッションプレート64は、環状に形成され、スプライン外歯64sが形成されており、スプライン外歯64sとクラッチドラム51のスプライン内歯51uとがスプライン嵌合し、クッションプレート64がクラッチドラム51内を軸線方向に摺動するとともに、クラッチドラム51と一緒に回転するようになっている。また、クッションプレート64は、ピストン52とセパレータプレート54との間に介装され、ピストン52により押圧されるとセパレータプレート54を押圧するようになっている。
スプリング65は、支持プレート66とピストン52との間であって、支持プレート66の周方向に均等に複数個配設されており、ピストン52をクッションプレート64から離隔する方向に付勢するよう構成されている。ピストン室52pに油圧が供給されていないとき、スプリング65により、ピストン52がクッションプレート64から離隔するようになっている。
支持プレート66は、クラッチドラム51内に収容され、クラッチドラム51に固定されており、スプリング65を介してピストン52を支持している。
スナップリング67は、環状の本体の一部を切り欠いた合い口部67aを有し、合い口部67aを収縮させることにより、クラッチドラム51の開口端部51kから挿入され、クラッチドラム51に形成された内周環状溝51mに装着されており、セパレータプレート54が、クラッチドラム51から抜け出るのを阻止するよう位置決めしている。このセパレータプレート54が、スナップリング67により位置決めされているので、セパレータプレート54と摩擦係合する摩擦プレート61、摩擦プレート61と摩擦係合するセパレータプレート55、セパレータプレート55と摩擦係合する摩擦プレート62、摩擦プレート62と摩擦係合するセパレータプレート56、セパレータプレート56と摩擦係合する摩擦プレート63、摩擦プレート63と摩擦係合するセパレータプレート57も、スナップリング67によりクラッチドラム51から抜け出るのを阻止するよう位置決めされている。
図4(a)は、図5のC−C断面を示す部分断面図であり、図4(b)は、セパレータプレート54が、押圧された状態を示す部分断面図である。
図4(a)に示すように、クラッチドラム51の内周環状溝51mを囲むクラッチドラム51の内壁面部51wは、スナップリング67のリング側面部67sと係合する部分であり、静止摩擦係数μ2で形成されている。この内壁面部51wの静止摩擦係数μ2は、セパレータプレート54の摩擦係合部54mの静止摩擦係数μ1よりも小さい静止摩擦係数になっており、セパレータプレート54が矢印方向に押圧され、さらにセパレータプレート54にトルクが作用したとき、セパレータプレート54とスナップリング67とが一体となって動くのを妨げないようにしている。
内壁面部51wの静止摩擦係数μ2が摩擦係合部54mの静止摩擦係数μ1よりも小さい静止摩擦係数となっているので、図4(a)に示すように、矢印方向に押圧力が作用したとき、スナップリング67のリング側面部67sとクラッチドラム51の内壁面部51wとの間に生ずる摩擦力は、セパレータプレート54の部材側面部54bとスナップリング67とリング側面部67sとの間に生ずる摩擦力よりも小さくなるようになっている。
図1に示すように、ベルト式無段変速装置8は、入力軸6と略同軸に延在するプライマリシャフト76と、プライマリシャフト76と平行に延在するセカンダリシャフト77とを備えている。プライマリシャフト76およびセカンダリシャフト77は、トランスアクスルケース17およびトランスアクスルリヤカバー18に回転自在に支持されている。
そして、プライマリシャフト76にはプライマリプーリ78が設けられており、セカンダリシャフト77にはセカンダリプーリ79が設けられている。
プライマリプーリ78は、プライマリシャフト76の外周部に設けられた固定シーブ81と可動シーブ82とによって構成されており、固定シーブ81と可動シーブ82とは互いに対向し、固定シーブ81と可動シーブ82との間には略V字形状のプーリ溝が形成されている。
また、ベルト式無段変速装置8は、可動シーブ82を可動させるシリンダ部83を備え、シリンダ部83により可動シーブ82がプライマリシャフト76の軸方向に移動されることにより、固定シーブ81に対して可動シーブ82を接近および離間させるようになっている。また、セカンダリプーリ79は、セカンダリシャフト77の外周部に設けられた固定シーブ85と可動シーブ86とによって構成されており、固定シーブ85と可動シーブ86とは互いに対向し、固定シーブ85と可動シーブ86との間には略V字形状のプーリ溝が形成されている。
また、ベルト式無段変速装置8は、可動シーブ86を可動させるシリンダ部87を備え、シリンダ部87により可動シーブ86がセカンダリシャフト77の軸方向に移動されることにより、固定シーブ85に対して可動シーブ86を接近および離間させるようになっている。また、プライマリプーリ78のプーリ溝およびセカンダリプーリ79のプーリ溝には、伝動ベルト89が巻き掛けられており、シリンダ部83、87の油圧が別個に制御されることにより、各プーリ溝の溝幅が変更され、伝動ベルト89の巻き掛け半径が変化するようになっている。この結果、ベルト式無段変速装置8による変速比が所望の値に設定され、プライマリプーリ78からセカンダリプーリ79に動力が伝達されるようになっている。また、ベルト式無段変速装置8のセカンダリシャフト77の外周部にはスプライン嵌合によってカウンタドライブギヤ9が固定されており、このカウンタドライブギヤ9を通じて、ベルト式無段変速装置8からディファレンシャル15に動力が伝達されるようになっている。
図1に示すように、ディファレンシャル15は、中空のディファレンシャルケース15aを備えており、ディファレンシャルケース15aは、トランスアクスルケース17に設けられた軸受27、28によって回転自在に支持されており、ディファレンシャルケース15aの外周部には、リングギヤ14が固定されている。
ディファレンシャルケース15aには、ピニオンシャフト15pが支持されており、ピニオンシャフト15pには、一対のピニオンギヤ15gが回転自在に支持されている。この一対のピニオンギヤ15gと、一対のサイドギヤ15sとが噛み合っており、各サイドギヤ15sには図示しない左右のフロントドライブシャフトがそれぞれ接続され、各フロントドライブシャフトには、それぞれ図示しない左右の前輪が接続されている。
次に、本実施の形態に係るトランスアクスル4の動作について簡単に説明する。
図1に示すように、エンジン2が駆動されると、クランクシャフト3を介してトルクコンバータ5のドライブプレート32、フロントカバー33、ポンプインペラ34が回転する。このとき、トルクコンバータ5の内部に発生するオイルの循環流速により、タービンランナ35が引きずられるようにして回転すると同時に入力軸6が回転する。
入力軸6が回転すると、図2に示すように、前後進切替機構7の遊星歯車機構41のサンギヤ42が回転し、各ピニオンギヤ44、45がそれぞれ回転し、キャリヤ46が回転する。このとき、運転者の操作または運転状態に応じて、電子制御ユニットにより、フォワードクラッチ20が接続または遮断され、リバースブレーキ22が回転または固定されるよう適宜制御され、前進または後進に適宜切り替えられる。
そして、キャリヤ46の回転がプライマリシャフト76を介してプライマリプーリ78に伝達され、プライマリプーリ78が回転すると、伝動ベルト89を介してセカンダリプーリ79が回転し、セカンダリシャフト77が回転する。同時に、カウンタドライブギヤ9が回転し、カウンタドリブンギヤ11およびファイナルドライブギヤ13が回転し、リングギヤ14が回転する。そして、ディファレンシャル15が動作し、ディファレンシャル15に連結されている左右のフロントドライブシャフトが回転し、最終的に左右の前輪に回転が伝達される。
次に、スナップリングの脱落防止構造10の作用について説明する。
図5(a)は、フォワードクラッチ20をベルト式無段変速装置8側から見たフォワードクラッチ20の側面図であり、図5(b)は、図5(a)の部分拡大図である。
スナップリングの脱落防止構造10は、フォワードクラッチ20に適用されており、フォワードクラッチ20においては、まず、図1に示す入力軸6が回転すると、入力軸6とともにクラッチドラム51が回転する。このとき、クラッチドラム51とともに、セパレータプレート54、55、56、57およびスナップリング67が回転する。
この状態で、ピストン室52pに作動油が供給されると油圧により、ピストン52がスプリング65の付勢力に抗して支持プレート66側に移動する。そして、ピストン52により、クッションプレート64が押圧され、セパレータプレート57、摩擦プレート63、セパレータプレート56、摩擦プレート62、セパレータプレート55、摩擦プレート61、セパレータプレート54の順に順次軸線方向に押圧され、各プレートが摺動してそれぞれ摩擦係合する。この摩擦係合により、クラッチドラム51の回転がクラッチハブ53を介して、遊星歯車機構41のキャリヤ46に伝達され、キャリヤ46と連結されているベルト式無段変速装置8のプライマリシャフト76が回転する。
セパレータプレート54が摩擦プレート61と摩擦係合したとき、セパレータプレート54によりスナップリング67が、図4(a)に示すように矢印で示す軸線方向に押圧される。そして、この押圧力が高まると、図4(b)に示すように、セパレータプレート54が摺動方向に僅かに傾斜し、スナップリング67を押圧して傾斜させる。このとき、スナップリング67が傾斜しているので、スナップリング67に押圧力と直交する方向の分力Aと押圧力の方向の分力Bが生じている。他方、セパレータプレート54の摩擦係合部54mとスナップリング67のリング側面部67sとの間に摩擦力Cが生ずる。この摩擦力Cは、摩擦係合部54mが大きい静止摩擦係数μ1を有しているので、分力Bよりも大きくなり、スナップリング67の収縮方向への変形が抑制され、スナップリング67が内周環状溝51mから外れて脱落することはない。
他方、スナップリング67がセパレータプレート54により軸線方向に押圧されると同時に、図5(a)に示すように、クラッチドラム51が矢印T方向に回転し、クラッチドラム51とスプライン嵌合しているセパレータプレート54と、クラッチドラム51の内周環状溝51mに装着されているスナップリング67との間で相対回転が生ずる。
この相対回転は、例えば、以下のような各プレートが摩擦係合する際に生ずる。まず、クラッチドラム51の回転が開始すると、クラッチドラム51にスプライン嵌合しているセパレータプレート54およびクラッチドラム51に装着されているスナップリング67がクラッチドラム51と一緒に回転する。この状態で、セパレータプレート54と摩擦プレート61が摩擦係合した際、摩擦プレート61が静止していると、セパレータプレート54は摩擦プレート61によりブレーキがかかる状態になる。
他方、クラッチドラム51には、回転し続ける方向に慣性力が作用している。このクラッチドラム51は、図5(b)に示すように、セパレータプレート54と隙間Sを保ってスプライン嵌合しており、セパレータプレート54がクラッチドラム51の軸線方向にスムーズに摺動できるようにしている。
このクラッチドラム51とセパレータプレート54との間に隙間Sが画成されているので、クラッチドラム51が矢印T方向に回転したとき、セパレータプレート54は、摩擦プレート61のブレーキ作用により矢印D方向にトルクが作用することになり、クラッチドラム51とセパレータプレート54との間に相対回転が生ずる。
このとき、スナップリング67は、クラッチドラム51に、その弾性力により付勢され隙間が生ずることなく接触して装着されているので、クラッチドラム51と一体となって回転している。したがって、クラッチドラム51と一体となっているスナップリング67とセパレータプレート54との間に相対回転が生ずることになる。
この相対回転によりスナップリング67に図5(b)に示すように、点線の矢印Eで示すトルク(N・m)が生ずることになる。このような、トルクが生じても、本実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造10においては、セパレータプレート54の摩擦係合部54mとスナップリング67とが密着して摩擦係合し、大きい静止摩擦係数μ1を有する摩擦係合部54mに大きな摩擦力が生じ、この摩擦力が矢印Eで示すトルクよりも大きく、このトルクを打ち消す逆方向に生ずるので、スナップリング67の合い口部67aが滑ることがなく徐々に収縮して変形をするようなことはない。
また、クラッチドラム51の内周環状溝51mを囲むクラッチドラム51の内壁面部51wが静止摩擦係数μ2で形成され、この静止摩擦係数μ2は、セパレータプレート54の摩擦係合部54mの静止摩擦係数μ1よりも小さい静止摩擦係数になっているので、セパレータプレート54が押圧され、さらにセパレータプレート54にトルクが作用したとき、セパレータプレート54とスナップリング67とが一体となって動くのを妨げることはない。
このように、本実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造10が構成されているので、次の効果が得られる。
すなわち、スナップリングの脱落防止構造10は、筒状に形成され、開口端部51kと開口端部51k近傍の内周面部51nに形成された内周環状溝51mとを有するクラッチドラム51と、クラッチドラム51の軸線方向に移動し、かつクラッチドラム51と一緒に回転するようクラッチドラム51の内周面部51nと係合するセパレータプレート54、55、56、57とを備えている。
また、クラッチドラム51の径方向の内側に配置され、クラッチドラム51の内周面部51nに対向する外周面部53gを有し環状に形成されたクラッチハブ53と、クラッチハブ53の軸線方向に移動し、かつクラッチハブ53と一緒に回転するようクラッチハブ53の外周面部53gと係合するとともに、クラッチハブ53の軸線方向であって、クラッチドラム51の開口端部51kに対して離隔する側に位置し、セパレータプレート54の部材側面部54bと係合する摩擦プレート61、62、63とを備えている。
また、環状の本体の一部を切り欠いた合い口部67aを有し、合い口部67aを収縮させることにより内周環状溝51mに装着され、セパレータプレート54がクラッチドラム51から抜け出るのを阻止するスナップリング67とを備え、スナップリング67の合い口部67aの変形を抑制することにより、スナップリング67が内周環状溝51mから外れるのを防止する大きい静止摩擦係数μ1を有する摩擦係合部54mを備えたことを特徴としている。
さらに、互いに摩擦係合するスナップリング67のリング側面部67sおよびクラッチドラム51の内周環状溝51mを囲む内壁面部51wに生ずる摩擦力が、部材側面部54bおよびリング側面部67sに生ずる摩擦力よりも小さくなるよう、部材側面部54bが有する静止摩擦係数μ1よりも、内壁面部51wが有する静止摩擦係数μ2が小さく形成されたことを特徴としている。
その結果、セパレータプレート54が摩擦プレート61と摩擦係合したとき、セパレータプレート54の摩擦係合部54mとスナップリング67のリング側面部67sとの間に大きい摩擦力が生ずる。この摩擦力は、摩擦係合部54mが大きい静止摩擦係数μ1を有しているので、スナップリング67の合い口部67aが滑ることはなく、スナップリング67の収縮方向への変形が抑制され、スナップリング67が内周環状溝51mから外れて脱落することはない。
他方、セパレータプレート54とスナップリング67との間の相対回転によりスナップリングにトルクが発生したときでも、セパレータプレート54の摩擦係合部54mとスナップリング67とが密着して摩擦係合し、大きい静止摩擦係数μ1を有する摩擦係合部54mに大きな摩擦力が生じ、この摩擦力が生じたトルクよりも大きく、このトルクを打ち消す逆方向に生ずるので、スナップリング67の合い口部67aが収縮変形をすることはなく、スナップリング67が内周環状溝51mから外れて脱落することはない。
また、クラッチドラム51の内周環状溝51mを囲むクラッチドラム51の内壁面部51wが静止摩擦係数μ2で形成され、この静止摩擦係数μ2は、セパレータプレート54の摩擦係合部54mの静止摩擦係数μ1よりも小さい静止摩擦係数になっているので、セパレータプレート54が押圧され、さらにセパレータプレート54にトルクが作用したとき、セパレータプレート54とスナップリング67とが一体となって動くのを妨げることはない。
このように、本実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造においては、構成部品に大きな変更がなく、部品点数も増加しないので組付工数にも影響が生じないという効果があり、セパレータプレート54の部材側面部54bに摩擦係合部54mを形成するだけの簡単な構造で、確実にスナップリングの脱落を防止することができる。
なお、本実施の形態では、セパレータプレート54の側面に摩擦係合部54mを円周上に所定の幅を有するよう形成した場合について説明したが、本発明に係るスナップリングの脱落防止構造においては、内周係合部材の側面の全面に摩擦係合部を形成してもよいし、複数の円弧状の摩擦係合部を形成してもよい。
また、内周係合部材のスナップリング側の側面に摩擦係合部を形成するのではなく、スナップリングの内周係合部材側の側面に摩擦係合部を形成してもよいし、内周係合部材のスナップリング側の側面およびスナップリングの内周係合部材側の側面の双方に摩擦係合部を形成してもよい。
また、本実施の形態では、クラッチドラム51の内周環状溝51mを囲むクラッチドラム51の内壁面部51wを静止摩擦係数μ2で形成し、この静止摩擦係数μ2を、セパレータプレート54の摩擦係合部54mの静止摩擦係数μ1よりも小さい静止摩擦係数にした場合について説明したが、本発明に係るスナップリングの脱落防止構造においては、筒状部材の内周環状溝を囲む筒状部材の内壁面部の静止摩擦係数を、内周係合部材の摩擦係合部の静止摩擦係数と同等かまたは、内周係合部材の摩擦係合部の静止摩擦係数が相当に大きい場合など、場合によってはそれより大きい静止摩擦係数で形成してもよい。
また、本実施の形態では、フォワードクラッチ20を内周係合部材としてのセパレータプレート54、55、56、57および外周係合部材としての摩擦プレート61、62、63で構成した、いわゆる多板クラッチの場合について説明したが、本発明に係るスナップリングの脱落防止構造においては、内周係合部材および外周係合部材をそれぞれ単一で構成する、いわゆる単板クラッチで構成してもよい。
また、本実施の形態では、セパレータプレート54の部材側面部54bに変形抑制部としての摩擦係合部54mを形成した場合について説明したが、本発明に係るスナップリングの脱落防止構造においては、スナップリングのリング側面部に、変形抑制部としての摩擦係合部を形成し、この摩擦係合部が、スナップリングにおける他の部分よりも大きい静止摩擦係数を有するようにしてもよい。
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造100を構成するスナップリングおよび最もスナップリング側に位置するセパレータプレートの斜視図である。なお、第2の実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造100においては、第1の実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造10とはスナップリングの変形抑制部の構造が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1から図5(a)、(b)に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
本実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造100は、第1の実施の形態におけるフォワードクラッチ20と同様に構成されたフォワードクラッチ200を構成している。フォワードクラッチ200は、フォワードクラッチ20における、セパレータプレート54の代わりにセパレータプレート154で構成されている点が異なっている。
図6に示すように、フォワードクラッチ200における、最もスナップリング67側に位置するセパレータプレート154には、スナップリング67側の部材側面部154sから突出する変形抑制部としての環状凸部154tが形成されている。
環状凸部154tは、セパレータプレート154の内周縁部に沿って円周状に形成されており、この環状凸部154tがスナップリング67の内周面67nに当接するようになっている。そして、セパレータプレート154によりスナップリング67が軸線方向に押圧され、スナップリング67の収縮方向に、第1の実施の形態において説明した分力やトルクが発生した場合であっても、環状凸部154tによりスナップリング67が収縮する方向、すなわちスナップリング67が内周環状溝51mから外れる方向の変形が抑制され、スナップリング67が内周環状溝51mから外れて脱落するのが防止される。
なお、本実施の形態では、セパレータプレート154の内周縁部に沿って環状凸部154tを円周上に環状に形成した場合について説明したが、本発明に係るスナップリングの脱落防止構造においては、内周係合部材の部材側面部に複数の円弧状の凸部を、内周係合部材の部材側面部の内周縁部に沿って形成するようにしてもよい。
図7は、本発明の第2の実施の形態の変形例に係るスナップリングの脱落防止構造を構成するスナップリングおよび最もスナップリング側に位置するセパレータプレートの斜視図である。
図7に示すように、セパレータプレート154のスナップリング67側の部材側面部154sに、内周縁部から径方向外側に向けて厚みが薄くなるように傾斜させた環状凸部154kを形成するようにしてもよい。この構成により、最もスナップリング67側に位置するセパレータプレート154がスナップリング67を押圧しても、スナップリング67に対して、スナップリング67が収縮しない方向に反力が発生するため、スナップリング67の収縮変形が抑制され、スナップリング67が内周環状溝51mから外れて脱落するのが防止される。
図8は、本発明の第2の実施の形態の他の変形例に係るスナップリングの脱落防止構造を構成するスナップリングおよび最もスナップリング側に位置するセパレータプレートの斜視図である。
図8に示すように、セパレータプレート154のスナップリング67側の部材側面部154sに、スナップリング67の合い口部67aに収容されるように突起部154eを形成するようにしてもよい。この構成により、スナップリング67の収縮変形によって合い口部67aが狭まるのが突起部154eにより阻止されるため、スナップリング67の収縮変形が抑制され、スナップリング67が内周環状溝51mから外れて脱落するのが防止される。
(第3の実施の形態)
図9は、本発明の第3の実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造300を含む、他の車両のトランスミッション400の一部を示す断面図である。なお、第3の実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造300においては、第1の実施の形態におけるスナップリングの脱落防止構造10とは、複合遊星歯車機構の連結用にスナップリングを取り付ける点において異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1から図5(a)、(b)に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
図9に示す複合遊星歯車機構91は、スナップリングの脱落防止構造300を含んで構成されており、第1の遊星歯車機構92と第2の遊星歯車機構93とを備え、連結部95により第1の遊星歯車機構92と第2の遊星歯車機構93とが軸方向に移動可能に連結されている。
第1の遊星歯車機構92のリングギヤ96に取り付けられたスナップリング97により、連結部95が第1の遊星歯車機構92のリングギヤ96から抜け出るのが阻止されるようになっている。この場合、連結部95のスナップリング97側の側面に摩擦係合部が形成され、スナップリング97が連結部95に押圧されて、スナップリング97が収縮する方向に分力が発生しても、第1の実施の形態におけるスナップリングの脱落防止構造10と同様に、スナップリング97が収縮する方向に変形するのが抑制され、内周環状溝から外れて脱落するのが防止されるようになっている。
このように、本実施の形態では、連結部95が軸方向に移動し、スナップリング97に当接して連結部95の押圧力がスナップリング97に作用した場合であっても、摩擦係合部によってスナップリング97の収縮方向の変形が抑制されることにより、スナップリング97が収縮する方向に変形せず、スナップリング97が内周環状溝から外れて脱落するのを防止することができる。この場合、スナップリング97が内周環状溝から外れるのが防止されるため、第1の遊星歯車機構92と第2の遊星歯車機構93とが分離することを防止することができる。
以上説明したように、本発明によれば、簡単な構造で、スナップリングが溝から外れて脱落するのを防止することができるスナップリングの脱落防止構造を提供することができ、車両などの自動変速機に使用される筒状の部材の内周に形成された環状の溝に組み込まれるのに好適なスナップリングの脱落防止構造に有用である。
本発明の第1の実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造により構成される、車両のトランスアクスルの断面図である。 図1の部分拡大断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造により構成されるフォワードクラッチの分解斜視図である。 (a)は、図5のC−C断面を示す部分断面図であり、(b)は、セパレータプレートが、押圧された状態を示す部分断面図である。 (a)は、本発明の第1の実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造におけるフォワードクラッチをベルト式無段変速装置側から見たフォワードクラッチの側面図であり、(b)は、(a)の部分拡大図である。 本発明の第2の実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造を構成するスナップリングおよび最もスナップリング側に位置するセパレータプレートの斜視図である。 本発明の第2の実施の形態の変形例に係るスナップリングの脱落防止構造を構成するスナップリングおよび最もスナップリング側に位置するセパレータプレートの斜視図である。 本発明の第2の実施の形態の他の変形例に係るスナップリングの脱落防止構造を構成するスナップリングおよび最もスナップリング側に位置するセパレータプレートの斜視図である。 本発明の第3の実施の形態に係るスナップリングの脱落防止構造を含む、他の車両のトランスミッションの一部を示す断面図である。 (a)は、従来のスナップリングの脱落防止構造の部分断面図であり、開放端側クラッチプレートが押圧された状態を示し、(b)は、放端側クラッチプレートが押圧され傾斜して状態を示す。 (a)は、従来のスナップリングの脱落防止構造の側面図であり、(b)は、従来のスナップリングの脱落防止構造におけるスナップリングが変形した状態を示す。
符号の説明
10、100、300 スナップリングの脱落防止構造
20、200 フォワードクラッチ
51 クラッチドラム(筒状部材)
51h 閉止端部
51k 開口端部
51m 内周環状溝
51n 内周面部
51w 内壁面部
52 ピストン
53 クラッチハブ(環状部材)
53e 円筒部
53g 外周面部
53r 連結部
54、55、56、57、154 セパレータプレート(内周係合部材)
54b、154s 部材側面部
54m 摩擦係合部(変形抑制部)
61、62、63 摩擦プレート(外周係合部材)
64 クッションプレート
65 スプリング
66 支持プレート
67 スナップリング
67a 合い口部
67s リング側面部
154e 突起部(変形抑制部)
154k 環状凸部(変形抑制部)
154t 環状凸部(変形抑制部)

Claims (4)

  1. 筒状に形成され、開口端部と前記開口端部近傍の内周面部に形成された内周環状溝とを有する筒状部材と、
    前記筒状部材の軸線方向に移動し、かつ前記筒状部材と一緒に回転するよう前記筒状部材の内周面部と係合する内周係合部材と、
    前記筒状部材の径方向の内側に配置され、前記筒状部材の前記内周面部に対向する外周面部を有し環状に形成された環状部材と、
    前記環状部材の軸線方向に移動し、かつ前記環状部材と一緒に回転するよう前記環状部材の前記外周面部と係合するとともに、前記筒状部材の前記開口端部に対して軸線方向に離隔する側に位置し、前記内周係合部材の側面部と係合する外周係合部材と、
    環状の本体の一部を切り欠いた合い口部を有し、前記合い口部を収縮させることにより前記内周環状溝に装着され、前記内周係合部材が前記筒状部材から抜け出るのを阻止するスナップリングとを備え、前記スナップリングが前記内周環状溝から外れて脱落するのを防止するスナップリングの脱落防止構造において、
    前記スナップリングの前記合い口部の変形を抑制して、前記スナップリングが前記内周環状溝から外れるのを防止する変形抑制部を備えたことを特徴とするスナップリングの脱落防止構造。
  2. 前記変形抑制部が、互いに摩擦係合する前記内周係合部材の部材側面部および前記スナップリングのリング側面部により構成され、前記部材側面部および前記リング側面部に生ずる摩擦力によって、前記スナップリングの変形が抑制されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のスナップリングの脱落防止構造。
  3. 互いに摩擦係合する前記スナップリングの前記リング側面部および前記筒状部材の前記内周環状溝を囲む内壁面部に生ずる摩擦力が、前記部材側面部および前記リング側面部に生ずる摩擦力よりも小さくなるよう、前記部材側面部が有する静止摩擦係数よりも、前記内壁面部が有する静止摩擦係数が小さいことを特徴とする請求項2に記載のスナップリングの脱落防止構造。
  4. 前記変形抑制部が、前記内周係合部材の前記部材側面部に形成された凸部により構成され、前記凸部が、前記内周環状溝に装着された前記スナップリングの内周面に沿って位置していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1の請求項に記載のスナップリングの脱落防止構造。
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