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JP2009256823A - サイジング剤および炭素繊維束ならびに炭素繊維束の製造方法 - Google Patents

サイジング剤および炭素繊維束ならびに炭素繊維束の製造方法 Download PDF

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JP2009256823A
JP2009256823A JP2008105754A JP2008105754A JP2009256823A JP 2009256823 A JP2009256823 A JP 2009256823A JP 2008105754 A JP2008105754 A JP 2008105754A JP 2008105754 A JP2008105754 A JP 2008105754A JP 2009256823 A JP2009256823 A JP 2009256823A
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Kenichi Watanabe
渡辺  賢一
Yasuhiro Fukuhara
康裕 福原
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

【課題】強度に優れた炭素繊維強化複合材料が得られるサイジング剤および炭素繊維束、ならびに該炭素繊維束の製造方法を目的とする。
【解決手段】下記式(I)で表されるエポキシ化合物に由来するエポキシ樹脂を含むことを特徴とするサイジング剤。
[化1]
Figure 2009256823

(式中、Rは炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜4のアルキル基である。)
また、前記サイジング剤を付着させてなる炭素繊維束および該炭素繊維束の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、サイジング剤および炭素繊維束ならびに炭素繊維束の製造方法に関する。
繊維強化複合材料の一つに、炭素繊維からなる強化材とマトリクス樹脂とにより形成される炭素繊維強化複合材料がある。
マトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの種々の樹脂が使用されており、なかでもエポキシ樹脂が広く使われている。一方、炭素繊維は、再生セルロース、ポリアクリロニトリル、ピッチ等を出発原料として製造され、その化学組成の約90%以上が炭素からなる繊維となっている。
このような炭素繊維は、例えば高強度炭素繊維や高弾性炭素繊維等に区分され、軽量でかつ比強度および比弾性率に優れ、さらに耐熱性や耐薬品性にも優れている。そのため、スポーツ・レジャー用品の構成部品や宇宙・航空機用器材等の広範囲にわたる用途の繊維強化複合材料として使用されており、またさらなる用途開発が進められている。
炭素繊維とマトリクス樹脂からなる炭素繊維強化複合材料の製造方法としては、マトリクス樹脂を薄く塗布した離型紙上に、炭素繊維を一方向に並べて配置したり、製織した炭素繊維を配置したりすることにより樹脂を含浸させるプリプレグ法や、樹脂浴中に炭素繊維を浸して通過させるディッピング法等が挙げられる。炭素繊維強化複合材料の多くは、プリプレグ法により得られている。
このような炭素繊維強化複合材料の製造の際、炭素繊維は、伸度が小さくかつ脆いという性質を有しているために機械的摩擦等によって毛羽が発生しやすい。そのため、毛羽の発生抑制等を目的として、炭素繊維強化複合材料の製造工程においては炭素繊維にサイジング処理が施される。サイジング処理を施すことによって炭素繊維に集束性を付与することで、毛羽の発生を抑えることが可能となる。
また、炭素繊維強化複合材料は様々な構造材料として適用されることから、炭素繊維強化複合材料の繊維長手方向の引張強度および衝撃付与時の炭素繊維強化複合材料中の耐損傷性や衝撃付与後の圧縮強度(Compression After Impact:CAI)に優れていることが要求されている。そのため、炭素繊維強化複合材料の強化材である炭素繊維は、特に航空機、車両等に適用する場合においてさらなる高性能化の要求が高まっており、高強度化、高弾性率化を目指した開発が行われている。
例えば、サイジング剤により炭素繊維に集束性以外の機能を付与して強度を向上させる技術として、以下のような技術が示されている。
ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂を含むサイジング剤を用いてサイジング処理を施すことにより、集束性を損なわずに、得られる炭素繊維強化複合材料の繊維長手方向の引張強度、衝撃付与時の炭素繊維強化複合材料中の耐損傷性、および衝撃付与後のCAIを向上させる方法(特許文献1)。
ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物とビスフェノールA型エポキシ化合物との共重合体を含むサイジング剤を用いてサイジング処理を施すことにより、得られる炭素繊維強化複合材料の繊維長手方向の引張強度を向上させる方法(特許文献2)。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂やポリウレタン骨格を有するエポキシ樹脂を含むサイジング剤を用いてサイジング処理を施すことにより、得られる炭素繊維強化複合材料の繊維長手方向の引張強度を向上させる方法(特許文献3)。
特開2007−100250号公報 特開2005−290614号公報 特開2004−149980号公報
しかし、特許文献1の方法は、炭素繊維強化複合材料の繊維長手方向の引張強度、衝撃付与時の炭素繊維強化複合材料中の耐損傷性、衝撃付与後のCAIの強度値が共に充分なものではなく、さらなる強度向上が必要であった。
また、特許文献2および3の方法についても、衝撃付与時の炭素繊維強化複合材料中の耐損傷性、衝撃付与後のCAIの強度値が充分ではなく、さらなる改善が必要であった。
以上のような理由から、サイジング処理によって、充分に強度に優れた炭素繊維強化複合材料を得ることができる方法が望まれている。
そこで本発明では、炭素繊維強化複合材料の繊維長手方向の引張強度、および衝撃付与後の圧縮強度に優れた炭素繊維強化複合材料が得られるサイジング剤および炭素繊維束、ならびに該炭素繊維束を製造することができる製造方法を目的とする。
本発明のサイジング剤は、下記式(I)で表されるエポキシ化合物に由来するエポキシ樹脂を含むサイジング剤である。
Figure 2009256823
(式中、Rは互いに独立に炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、Rは互いに独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜4のアルキル基である。)
また、本発明のサイジング剤は、前記エポキシ樹脂の含有量が20〜80質量%であることが好ましい。
本発明の炭素繊維束は、前記いずれかのサイジング剤が付着されてなる炭素繊維束である。
また、本発明の炭素繊維束は、前記サイジング剤の付着率が0.01〜1.0質量%であることが好ましい。
また、本発明の炭素繊維束の製造方法は、束状にした複数本の炭素繊維に、前記いずれかのサイジング剤を付着させるサイジング処理工程を有する方法である。
本発明のサイジング剤および炭素繊維束によれば、炭素繊維強化複合材料の繊維長手方向の引張強度、および衝撃付与後の圧縮強度に優れた炭素繊維強化複合材料が得られる。
また、本発明の製造方法によれば、繊維長手方向の引張強度、および衝撃付与後の圧縮強度に優れた炭素繊維強化複合材料を与える炭素繊維束を製造することができる。
[サイジング剤]
本発明のサイジング剤は、下記式(I)で表されるエポキシ化合物に由来するエポキシ樹脂(以下、エポキシ樹脂(I)という。)を含むサイジング剤である。
Figure 2009256823
(式中、Rは互いに独立に炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、Rは互いに独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜4のアルキル基である。)
エポキシ樹脂(I)におけるRは、互いに独立に炭素原子数が1〜4のアルキル基である。このような官能基を芳香環側鎖として導入することにより、適度な嵩高さを付与することができるため、サイジング処理後の炭素繊維束の耐熱性、弾性率を向上させることができる。Rが炭素原子数5以上のアルキル基であると、分子内における側鎖の自由度が大きくなりすぎて耐熱性が低下するおそれがある。
は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基であることが好ましく、なかでもtert−ブチル基であることが特に好ましい。
エポキシ樹脂(I)中の芳香環に導入されている2つのRは、同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましく、共にtert−ブチル基であることが特に好ましい。
エポキシ樹脂(I)におけるRは、互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、または炭素原子数が1〜4のアルキル基のいずれかである。Rが炭素原子数5以上のアルキル基であると、Rと同様の理由から耐熱性が低下するおそれがある。Rは水素原子であることが特に好ましい。
エポキシ樹脂(I)中の芳香環に導入されている2つのRは、同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましく、共に水素原子であることが特に好ましい。
エポキシ樹脂(I)の具体例としては、例えば、ジ−tert−ブチルヒドロキノン型エポキシ樹脂(東都化成製、商品名:YDC−1312)等が挙げられる。
本発明のサイジング剤は、エポキシ樹脂(I)以外に、その他のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。
他のエポキシ樹脂は、サイジング処理に用いることができるものであればよく、液状のエポキシ樹脂であることが好ましい。
液状のその他のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAから得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFから得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールSから得られるビスフェノールS型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、アルカンジオールジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル類等が挙げられる。なかでも、粘度調整が容易になる点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂であることがより好ましい。
また、サイジング剤は、サイジング処理後の炭素繊維束の取り扱い性、耐擦過性および耐毛羽性の向上、マトリクス樹脂の含浸性の向上の点から、必要に応じて、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等のエポキシ樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。
また、本発明のサイジング剤を塗布する際に水分散液として用いる場合、サイジング剤には乳化剤が含まれていることが好ましい。乳化剤により、サイジング剤が炭素繊維束に浸透しやすくなり、単繊維毎に充分にサイジング剤を付着させることができる。乳化剤は、特に限定されないが、サイジング剤の貯蔵安定性に優れる点から、ノニオン系乳化剤であることが好ましい。
ノニオン系乳化剤は、炭素繊維束へのサイジング剤の付着性を向上させることができるものであれば特に限定されず、特にエポキシ樹脂のみ(エポキシ樹脂(I)および/またはその他のエポキシ樹脂)からなるサイジング剤を乳化させる場合には、高級アルコールエーテル型ポリオキシエチレン付加物、高級脂肪酸型ポリオキシエチレン付加物、アルキルフェニルエーテル型ポリオキシエチレン付加物等を用いることが好ましい。また、本発明のサイジング剤では、エポキシ樹脂に対する乳化性能が特に高いことから、アルキルフェニルエーテル型ポリオキシエチレン付加物を用いることがより好ましい。
また、本発明のサイジング剤は、乳化剤の他、必要に応じて分散剤等の任意の補助成分が添加されていてもよい。
サイジング剤におけるエポキシ樹脂(I)の含有量は、サイジング剤の全質量を100質量%としたとき、20〜80質量%であることが好ましい。エポキシ樹脂(I)の含有量が20質量%以上であれば、サイジング処理による炭素繊維束への靭性付与機能が充分に得られやすい。また、エポキシ樹脂(I)の含有量が80質量%以下であれば、粘度調整等が容易になり、サイジング処理後の炭素繊維束に充分な集束性が得られやすい。
また、サイジング剤におけるエポキシ樹脂(I)の含有量は、炭素繊維強化複合材料における炭素繊維とマトリクス樹脂との界面における樹脂層(以下、界面樹脂層という。)の物性維持、および炭素繊維の集束性に優れる点から、30〜50質量%であることがより好ましい。
[炭素繊維束]
本発明の炭素繊維束は、前述のサイジング剤が付着されてなる炭素繊維束である。
本発明に用いる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系やピッチ系、レーヨン・セルロース系等の種々の炭素繊維を用いることができるが、高弾性・高強度の所望の炭素繊維を得ることが容易である点から、ポリアクリロニトリル系炭素繊維であることが好ましい。
また、炭素繊維は、引張り弾性率が250GPa以上の中弾性タイプの炭素繊維であってもよく、300GPa以上の高弾性タイプの炭素繊維であってもよいが、引張り弾性率が250〜300GPaの炭素繊維であることが好ましい。
また、炭素繊維束は、サイジング剤が付着される前に、必要に応じて電解表面処理等の表面酸化処理が施されていてもよい。
本発明の炭素繊維束におけるサイジング剤の付着率Aは、下記式により求めることができる。
付着率A(%)=100×(W2−W1)/W1
W1:サイジング剤の付着前の炭素繊維の質量
W2:サイジング剤の付着後の炭素繊維の質量
サイジング剤の付着率Aは、0.01〜1.0質量%であることが好ましく、0.20〜0.50質量%であることがより好ましい。
サイジング剤の付着率Aが0.01質量%以上であれば、炭素繊維束の表面をサイジング剤で充分に覆いつくすことができ、炭素繊維強化複合材料の界面樹脂層における靭性等の機能発現性が充分に得られやすい。また、サイジング剤の付着率Aが1.0質量%以下であれば、炭素繊維束の表面にサイジング剤が堆積しすぎるのを抑制することが容易になるため、界面樹脂層を介してマトリクス樹脂から炭素繊維に伝わる応力の伝達に不具合が生じて機械的特性が低下することを防止しやすい。
[炭素繊維束の製造方法]
本発明の炭素繊維束の製造方法は、束状にした複数本の炭素繊維に、前記いずれかのサイジング剤を付着させるサイジング処理工程を有する方法である。
サイジング処理工程前の炭素繊維束を製造する方法は、特に限定はないが、例えば、ポリアクリロニトリル系やピッチ系、レーヨン・セルロース系等からなる重合体を含有する紡糸原液を紡糸して炭素繊維前駆体繊維束を得た後、該炭素繊維前駆体繊維束を焼成して炭化する方法が挙げられる。サイジング処理工程前の炭素繊維束には、必要に応じて電解表面処理等の表面酸化処理を施してもよい。
サイジング処理工程では、前記サイジング処理前の炭素繊維束に、サイジング剤を付着させる。サイジング剤を付着させる方法は、所望量のサイジング剤を炭素繊維束に均一に付着させることができる方法であれば特に限定はないが、サイジング剤を水または有機溶剤に分散させたサイジング分散液を調製し、それを塗布、乾燥する方法が好ましい。有機溶剤としては、例えば、アセトン、エタノール、ジメチルフォルムアミド等が挙げられる。
サイジング分散液は、人体、環境、サイジング処理工程への悪影響が少ない点から、サイジング剤を水に分散させた水分散液であることが好ましい。
サイジング分散液を塗布する方法としては、例えば、ローラーサイジング法、スプレー法、サイジング分散液中に炭素繊維束を浸漬させて塗布するローラー浸漬法等が挙げられる。なかでも、一束あたりの単繊維数が多い炭素繊維束であってもサイジング剤を均一に塗布することが容易である点から、ローラー浸漬法が好ましい。
サイジング剤の塗布時の温度は、120〜250℃であることが好ましい。
塗布時の温度を120℃以上とすれば、水が容易に蒸発することに加え、粘度調整が容易になって炭素繊維束にサイジング剤を均一に塗布することが容易になる。また、塗布時の温度を250℃以下とすれば、得られる炭素繊維束の品質が劣化することを防ぎやすい。
ついで、乾燥により分散媒を除去する。乾燥は、120〜250℃の温度で10秒〜10分間行うことが好ましく、150〜200℃の温度で30秒〜4分間行うことがより好ましい。乾燥温度を120℃以上とすれば、分散媒が充分に除去されやすくなる。また、乾燥温度を250℃以下とすれば、得られる炭素繊維束の品質が劣化することを防ぎやすくなる。
以上説明した本発明のサイジング剤および該サイジング剤を用いてサイジング処理を施した炭素繊維束によれば、炭素繊維強化複合材料の繊維長手方向の引張強度、および衝撃付与後の圧縮強度に優れた炭素繊維強化複合材料を得ることができる。
この理由としては、本発明のサイジング剤がエポキシ樹脂(I)を含むことが挙げられる。エポキシ樹脂(I)を用いたことによる技術的作用についての詳細は明確ではないが、エポキシ樹脂(I)が結晶性を有していることから、それによりサイジング剤の炭素繊維束への靭性付与機能が向上するためであると考えられる。
すなわち、エポキシ樹脂(I)が有する結晶性のため、エポキシ樹脂(I)を含有する硬化樹脂中(炭素繊維強化複合材料のサイジング剤およびマトリクス樹脂からなる部分)においてエポキシ樹脂(I)同士が相互作用して、結晶相が形成されるものと考えられる。この結晶相の存在によりクラックが拡がっていくこと(クラック進展)を抑制することができ、優れた靭性が発揮されると考えられる。このように、本発明の炭素繊維束を用いた炭素繊維強化複合材料では、炭素繊維とマトリクス樹脂の界面近傍においてサイジング剤とマトリクス樹脂とが混合した樹脂層部分が適度な靭性を有することから、引張荷重時のクラック進展の抑制および衝撃付与時の衝撃吸収が界面樹脂層にて行われることにより、炭素繊維強化複合材料としての強度発現性に優れると考えられる。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
本実施例では、以下に示すように、炭素繊維束に各種サイジング剤によるサイジング処理を施した後にマトリクス樹脂を含浸してプリプレグを作製し、樹脂を硬化させた後に0°引張強度および圧縮強度(CAI)を測定することにより評価を行った。
[プリプレグの作製]
(マトリクス樹脂)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製、商品名:JER828)を50質量部と、テトラグリシジル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製、商品名:JER604)を50質量部と、フェノキシ樹脂(東都化成製、商品名:フェノトートYP−70)を10質量部と、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化製)を32質量部とを混合したものをマトリクス樹脂とした。
(プリプレグの作製)
離型紙上に前記マトリクス樹脂を薄く塗布してホットメルトシートを作成し、該マトリクス樹脂上にサイジング処理後の炭素繊維束を並列に引き揃えて配置して、マトリクス樹脂を含浸させることにより、樹脂含有率約35質量%、繊維目付200g/mのプリプレグを作製した。
[評価方法]
(0°引張強度測定)
前記プリプレグを、炭素繊維束の向きを一方向に揃えて積層し、オートクレーブを用いて加熱・加圧硬化(圧力0.6MPa下で、室温から180℃まで2時間かけて昇温し、さらに180℃で2時間保持する。)させ、厚さ1mmの硬化板を作製した。ついで、得られた硬化板から長さ230mm、幅12.5mmの試験片を切り出し、該試験片に対してASTM−D3039に従って0°引張強度を測定した。引張り試験機のクロスヘッドスピードは1.27mm/分とし、測定回数をn=5として各測定値から平均値を算出した。
(圧縮強度(CAI)測定)
前記プリプレグを炭素繊維束の向きが順に45°/0°/−45°/90°となるように4枚積層して1組とした積層体を3組用意し、それら3組の積層体をその順に積層し、0°引張強度測定と同じ方法で硬化させて硬化板を作製した。ついで、得られた硬化板から縦152.4mm、横101.6mmの試験片を切り出し、SACMA SRM 2R−94に従って衝撃付与後の圧縮強度の測定を行った。試験片には、その中心に640J/mmの落錘衝撃を与えた。また、圧縮試験時のクロスヘッドスピードは1mm/分とした。
[実施例1]
エポキシ樹脂(I)であるジ−tert−ブチルヒドロキノン型エポキシ樹脂(東都化成製、商品名:YDC−1312)(40質量%)と、その他のエポキシ樹脂であるビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製、商品名:JER828)(50質量%)とを混合し、ノニオン系乳化剤(10質量%)を用いて固形分濃度1.0質量%を有するサイジング分散液(水分散液)を得た。
また、ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体を紡糸して炭素繊維前駆体繊維束とした後、焼成、電解酸化処理を施して、サイジング処理工程前の炭素繊維束を得た。
ついで、サイジング処理工程において、前記炭素繊維束にローラー浸漬法により前記サイジング分散液を塗布、乾燥して、サイジング剤を付着させた。塗布時の塗布温度は180℃、乾燥温度は180℃、乾燥時間は5分であった。得られた炭素繊維束は、総フィラメント数24,000本、ストランド強度530MPa、ストランド弾性率30GPaであり、サイジング剤の付着率は0.35質量%であった。
[実施例2〜6]
サイジング剤の組成および炭素繊維束への付着量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてサイジング処理後の炭素繊維束を得た。
[比較例1]
サイジング剤にエポキシ樹脂(I)を用いず、液状のJER828(50質量%)と、固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製、商品名:JER1001)(40質量%)とを混合し、ノニオン系乳化剤(10質量%)により固形分濃度1.0質量%のサイジング分散液とした以外は、実施例1と同様にしてサイジング処理後の炭素繊維束を得た。
実施例および比較例で得られた炭素繊維束を用いた硬化板における0°引張強度測定およびCAI測定の結果を表1に示す。
Figure 2009256823
表1に示すように、本発明のサイジング剤を用いた実施例1〜6では、得られた硬化板の0°引張強度およびCAIが高く、炭素繊維強化複合材料の繊維長手方向の引張強度および衝撃付与後の圧縮強度に優れた炭素繊維強化複合材料が得られた。
また、実施例1、3、5の比較から、サイジング剤におけるエポキシ樹脂(I)の含有量が高いほど前記効果に優れることがわかった。また、サイジング剤の付着率Aを1.52質量%とした実施例6に比べて、付着率Aを1.0質量%以下とした実施例1および2の方が前記効果に優れることがわかった。
一方、本発明のサイジング剤を用いていない比較例1では、エポキシ樹脂(I)を用いていないこと以外は条件が同じ実施例1に比べて炭素繊維強化複合材料の繊維長手方向の引張強度および衝撃付与後の圧縮強度が大きく劣っていた。
本発明のサイジング剤および炭素繊維束ならびに該炭素繊維束の製造方法によれば、サイジング処理を施すことにより、炭素繊維強化複合材料の繊維長手方向の引張強度および衝撃付与後の圧縮強度を向上させることができるため、炭素繊維強化複合材料の製造に好適に使用できる。

Claims (5)

  1. 下記式(I)で表されるエポキシ化合物に由来するエポキシ樹脂を含むことを特徴とするサイジング剤。
    Figure 2009256823
    (式中、Rは互いに独立に炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、Rは互いに独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜4のアルキル基である。)
  2. 前記エポキシ樹脂の含有量が20〜80質量%である、請求項1に記載のサイジング剤。
  3. 請求項1または2に記載のサイジング剤が付着されてなる炭素繊維束。
  4. 前記サイジング剤の付着率が0.01〜1.0質量%である、請求項3に記載の炭素繊維束。
  5. 束状にした複数本の炭素繊維に、請求項1または2に記載のサイジング剤を付着させるサイジング処理工程を有する炭素繊維束の製造方法。
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