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JP2009255490A - 親水性部材および親水性組成物 - Google Patents

親水性部材および親水性組成物 Download PDF

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JP2009255490A JP2008127599A JP2008127599A JP2009255490A JP 2009255490 A JP2009255490 A JP 2009255490A JP 2008127599 A JP2008127599 A JP 2008127599A JP 2008127599 A JP2008127599 A JP 2008127599A JP 2009255490 A JP2009255490 A JP 2009255490A
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聡 星
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誠 福田
Yoshiaki Kondo
義顕 近藤
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Abstract

【課題】各種基材表面に、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性に優れる親水性表面を付与した親水性部材および該親水性部材を形成するための親水性組成物を提供すること。
【解決手段】基材上に、加水分解性シリル基含有親水性ポリマーを含有する親水性層を有する親水性部材であって、該親水性層表面の中心線平均粗さ Raが0.005μm≦Ra≦2μmの範囲であることを特徴とする親水性部材。加水分解性シリル基含有親水性ポリマーおよびフィラーを含有する親水性組成物であって、該フィラーの平均粒径が0.03μm〜10μmの範囲であり、該フィラーの含有量が1〜90質量%の範囲であることを特徴とする親水性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、各種基材表面に、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性に優れる親水性表面を付与した親水性部材、フィン材、アルミニウム製フィン材、熱交換器、エアコンおよび該親水性部材を形成するための親水性組成物に関する。
樹脂フィルム表面を有する製品・部材は、幅広い分野で用いられ、目的に応じ加工され機能を付与した上で使用されている。但しそれらの表面は、樹脂本来の特性から、疎水性・親油性を示すものが一般的である。従って、これらの表面に汚れ物質として、油分等が付着した場合、容易に除去することができず、また蓄積することにより、該表面を有する製品・部材の機能・特性を著しく低下させることがあった。また高湿度の条件や降雨下に曝される製品・部材では、水滴が付着することにより、透明な機能を有する製品・部材において、光の乱反射により光の透過性が阻害される問題があった。ガラスや金属等の無機表面を有する製品・部材においても、油分等の汚れ物質の付着に対する防汚性は十分とは言えず、水滴の付着による防曇性についても十分ではなかった。特に自動車用ガラス、建材用ガラスでは、都市媒塵、自動車等の排気ガスに含有されるカーボンブラック等の燃焼生成物、油脂、シーラント溶出成分等の疎水性汚染物質が付着する場合や、水滴の付着によりガラスを透して(鏡の場合は反射して)視界を確保することが妨げられる場合が多く、防汚性や防曇性の機能付与が強く求められていた。
防汚性の観点から、汚れ物質を油分等の有機系物質と想定すると、汚れ防止の為には材料表面との相互作用を低減する、即ち親水化するか、撥油化する必要がある。また防曇性に対しても、付着水滴を表面に一様に拡げる拡張濡れ性(即ち親水性)を付与するか、付着水滴を除去し易くさせる撥水性を付与することが必要となる。従って、現在検討されている防汚・防曇材料は、親水化や撥水・撥油化に依拠しているものが多い。
従来提案されている親水化するための表面処理方法、例えば、エッチング処理、プラズマ処理等によれば、高度に親水化されるものの、その効果は一時的であり、親水化状態を長期間維持することができない。また、親水性樹脂の一つとして親水性グラフトポリマーを使用した表面親水性塗膜も提案されている(非特許文献1)。この報告によればこの塗膜はある程度の親水性を有するものの、基材との親和性が充分とはいえず、より高い耐久性が求められている。
その他の表面親水性機能を有する部材として、従来から光触媒として酸化チタンの利用が知られている。これは、光照射による有機物の酸化分解機能と親水化機能に基づくもので、例えば、特許文献1において、基材表面に光触媒含有層を形成すると、光触媒の光励起に応じて表面が高度に親水化されることが開示されており、この技術をガラス、レンズ、鏡、外装材、水回り部材等の種々の複合材に適用すれば、これら複合材に優れた防曇、防汚等の機能を付与できることが報告されている。酸化チタンをガラス表面にコーティングした部材は、セルフクリーニング材料として、建材用窓ガラスや自動車用フロントガラスに使用されているが、防汚性や防曇性の機能発現には、長時間太陽光の下に曝すことが必要であり、長期経時での汚れの蓄積により、その性質が劣化することは避けられなかった。また膜強度が十分とは言えず、耐久性の向上が必要であった。またプラスチック基板上に酸化チタン層を設けたセルフクリーニングフィルムも自動車用サイドミラー等に使用されているが、同じく十分な膜強度を有さず、より良好な耐摩耗性を有する親水性材料が求められていた。
一方、撥水・撥油性に基づく防汚・防曇性材料としては、主にシリコーン化合物やフッ素化合物が使用されている。例えば、基板表面を末端シラノール有機ポリシロキサンで被覆した防汚材料が特許文献2に、ポリフルオロアルキル基を有するシラン化合物を有する材料が特許文献3に、二酸化珪素を主成分とする光学薄膜とパーフルオロアクリレートとアルコキシシラン基を有するモノマーとの共重合体との組合せが特許文献4に開示されている。しかしながらこれらのシリコーン化合物やフッ素化合物を用いた防汚材料は、防汚性が不十分であり、指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れを除去し難く、フッ素やシリコーン等の表面エネルギーの低い化合物による表面処理は、経時による機能の低下が懸念され、耐久性の優れた防汚・防曇性部材の開発が望まれていた。
国際公開第96/29375号パンフレット 特開平4−338901号公報 特公平6−29332号公報 特開平7−16940号公報 化学工業日報、1995年1月30日
本発明の目的は、各種基材表面に、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性に優れる親水性表面を付与した親水性部材および該親水性部材を形成するための親水性組成物を提供することにある。
本発明は以下のとおりである。
〔1〕基材上に、加水分解性シリル基含有親水性ポリマーを含有する親水性層を有する親水性部材であって、該親水性層表面の中心線平均粗さRaが0.005μm≦Ra≦2μmの範囲であることを特徴とする親水性部材。
〔2〕前記親水性層表面凹凸の平均間隔(Sm)が0.1〜100μm、十点平均粗さ(Rz)と中心線平均粗さ(Ra)の比(Rz/Ra)が20以下、表面凹凸の最大高さ(Ry)が10μm以下であることを特徴とする前記〔1〕に記載の親水性部材。
〔3〕前記親水性層が、平均粒径0.03μm〜10μmのフィラーを1〜90質量%含有することを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載の親水性部材。
〔4〕基材上に、下塗り層と加水分解性シリル基含有親水性ポリマーを含有する親水性層とをこの順で有する親水性部材であって、該下塗り層が均粒径0.03μm〜10μmのフィラーを1〜90質量%含有することを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の親水性部材。
〔5〕前記加水分解性シリル基含有親水性ポリマーが、親水性基を含む構造単位と、ポリマーの主鎖末端または側鎖に下記一般式(a)で表される加水分解性シリル基を少なくとも1個有し、該親水性基を含む構造単位が、加水分解性シリル基含有親水性ポリマー全体の30mol%以上含まれることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の親水性部材。
一般式(a):
−Si(R102a−(OR1013-a
(一般式(a)中、R101は水素原子またはアルキル基を表し、R102は水素原子またはアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれる1価の炭化水素基を表す。aは0〜2の整数を表す。R101またはR102が複数存在する場合は、各々同一でも異なっていてもよい。)
〔6〕前記加水分解性シリル基含有親水性ポリマーが、下記一般式(I)、(II)、及び(IV)で表される構造の少なくとも1種を有するポリマーであることを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の親水性部材。
Figure 2009255490
(一般式(I)および(II)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表し、Xは前記一般式(a)で表される加水分解性シリル基を表し、AおよびL1、L2,L3は、それぞれ独立に単結合または連結基を表し、Yは−NHCOR7、−CONH2、−CON(R72、−COR7、−OH、−CO2M、−SO3M、−PO3M、−OPO3M、又は−N(R731を表す。ここで、R7はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はオニウムを表し、Z1はハロゲンイオンを表す。Bは下記一般式(III)で表される構造を有する基を表す。)
Figure 2009255490
(一般式(III)中、R1、R2、L1及びYの定義は、一般式(I)および(II)中のものと同じである。)
Figure 2009255490
(一般式(IV)において、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立に、一般式(I)のR1、R2と同様の置換基を表す。L、Lは、一般式(I)のL1と同義である。YおよびXは、式(I)および(II)中のYおよびXと同義である。m2とn2は各構造の組成比を表す。ただし、m2≧30、m2+n2=100である。)
〔7〕前記の一般式(IV)におけるLが、単結合、または、−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−および−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する連結基を表すことを特徴とする前記〔6〕に記載の親水性部材。
〔8〕前記親水性層が、架橋剤および/または硬化触媒をさらに含有することを特徴とする前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の親水性部材。
〔9〕前記架橋剤が、金属アルコキシド化合物であることを特徴とする前記〔8〕に記載の親水性部材。
〔10〕前記硬化触媒が、金属錯体であることを特徴とする前記〔8〕に記載の親水性部材。
〔11〕加水分解性シリル基含有親水性ポリマーおよびフィラーを含有する親水性組成物であって、該フィラーの平均粒径が0.03μm〜10μmの範囲であり、該フィラーの含有量が1〜90質量%の範囲であることを特徴とする親水性組成物。
〔12〕架橋剤および/または硬化触媒をさらに含有することを特徴とする前記〔11〕に記載の親水性組成物。
〔13〕前記親水性層が、前記一般式(I)で表される構造を有する親水性ポリマー(A)及び前記一般式(IV)で表される構造を有する親水性ポリマー(B)を含有し、
前記親水性ポリマー(A)と前記親水性ポリマー(B)の質量比(親水性ポリマー(A)/親水性ポリマー(B))が、5/95〜50/50の範囲であることを特徴とする前記〔6〕〜〔10〕のいずれかに記載の親水性部材。
〔14〕前記〔1〕〜〔10〕、〔13〕のいずれかに記載の親水性部材を用いたことを特徴とするフィン材。
〔15〕パルミチン酸に一時間曝気、30分水洗、30分乾燥を5サイクル繰返した後の水接触角が40°以下であることを特徴とする前記〔14〕に記載のフィン材。
〔16〕前記〔15〕に記載のフィン材がアルミニウム製であることを特徴とするアルミニウム製フィン材。
〔17〕前記〔16〕に記載のアルミニウム製フィン材を用いたことを特徴とする熱交換器。
〔18〕前記〔17〕に記載の熱交換器を用いたことを特徴とするエアコン。
本発明によれば、各種基材表面に、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性に優れる親水性表面を付与した親水性部材および該親水性部材を形成するための親水性組成物が提供される。
特に、親水性層表面に凹凸を付与することによって、表面積増加による親水性向上効果が発揮され、また、加水分解性シリル基含有親水性ポリマーと特定粒径を有するフィラーとの化学結合や強い相互作用によって膜強度が向上し、かつ、低いRa領域でも磨耗相手との接触面積低減による耐摩耗性が向上し、それに加え、透明性も両立可能となった。
これまで親水性層に凹凸を付与しようとすると膜強度が低下し、親水性と耐傷性、耐摩耗性の両立が難しかった。本発明の親水ポリマーを用いることで膜強度を保持したまま凹凸を付与することができ、親水性と耐傷性、耐摩耗性の両立が可能となった。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明者らは、親水性部材の表面形状と、親水性、耐摩耗性等の主要性能の関係について鋭意検討を進めた結果、後述するように、特定の親水性ポリマーを使用し、かつ表面粗さを所定範囲とすることによって、親水性層の膜強度を保持したまま優れた親水性を付与できることを見出し、親水性と耐傷性、耐摩耗性を両立できることが分かった。
表面粗さが大きくなると水に対する濡れ性が向上して親水性、防曇性、防汚性が向上し、また、耐摩耗性や耐傷性については、布などの磨耗相手と接触するのは、親水性層の突起頂点のみであって、突起頂点部、すなわち3次元的な粗さ曲面の中心粗さ平面から突出している突起の表面形態が耐摩耗性に大きく寄与していることを示すと考えられる。
本発明においては、親水性層の中心線平均粗さRaが、0.005μm≦Ra≦2μmの範囲であることで、良好な親水性と耐磨耗性とを両立させることができる。Raが0.005μmよりも小さいと親水性が低下し、一方Raが2μmよりも大きくなると、膜質が低下し、かつ、磨耗時の応力も強く受けることになり、耐摩耗性は低下する。
本発明では、上記中心線平均粗さRaは好ましくは0.007μm〜1.5μmであり、より好ましくは0.010μm〜1μmである。
(中心線平均粗さの測定)
上記中心線平均粗さRaは、原子間力顕微鏡(AFM)で測定することが好ましい。例えば、Digital Instruments社製NanoscopeV+D3100を使用し、探針がSi単結晶、タッピングモード、5μm角の測定範囲で、粗さ解析をすることにより、中心線平均粗さRaを求めることができる。但し、AFMで測定をして、Ra値が1μmを超えた場合は、測定精度が低下するため、触針式粗さ計で測定することが好ましい。触針式粗さ計(例えば、sufcom575、東京精密社製)で2次元粗さ測定を行い、JIS B 0601−1994に規定されている平均山間隔Smを5回測定し、その平均値を平均波長とし、測定することができる。
また、中心線平均粗さRaを5回測定し、その平均値を表面の平均粗さとする。中心線粗さが0.5μm以上の場合、この方法が好ましい。
2次元粗さ測定の条件を以下に示す。
<測定条件>
カットオフ値0.8mm、傾斜補正FLAT−ML、測定長3mm、縦倍率10000倍、走査速度0.3mm/sec、触針先端径2μm また、中心線平均粗さRaが1μm以下、好ましくは0.1μm以下を測定する場合は、原子間力顕微鏡(AFM)で測定できる。例えば、Digital Instruments社製NanoscopeV+D3100を使用し、探針がSi単結晶、タッピングモード、5μm角の測定範囲で、粗さ解析をすることにより、中心線平均粗さRaを求めることができる。
上記の親水性層表面の凹凸構造は、下記で説明する親水性層あるいは下塗り層を構成する材料として0.03μm〜10μmからなる水分散性フィラーを配合することや、親水性層の塗布乾燥時の相分離により形成することができる。
親水性層の表面は、中心線平均粗さRaが0.005〜2μmの凹凸構造を有し、この凹凸により親水性や親水性層の耐磨耗性が向上する。このような凹凸構造は、親水性層に適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な凹凸構造を得ることができ、例えば、スルホン酸カリウム等のイオン性官能基を有する親水性ポリマーを含有させることが好ましい。
本発明の親水性層表面は、中心線平均粗さが0.005〜2μmの凹凸構造を有するだけではなく、100μm以上の粗大突起がないことが好ましい。親水性層表面凹凸の平均間隔(Sm)が 0.1〜100μmであり、かつ十点平均粗さ(Rz)と中心線平均粗さ(Ra)の比(Rz/Ra)が20以下、更には、表面凹凸の最大高さ(Ry)が10μm以下にあることが好ましい。
好ましくは、表面凹凸の平均間隔(Sm)が0.2〜70μmであり、(Rz)と(Ra)の比(Rz/Ra)が15以下、並びに最大高さ(Ry)が0.02〜8μmから成る。特に好ましくは、表面凹凸の平均間隔(Sm)が0.5〜50μmであり、(Rz)と(Ra)の比(Rz/Ra)が10以下、並びに最大高さ(Ry)が0.05〜5μmである。ここで、RaとRzの関係は表面の凹凸の均一性を示すものである。
親水性表面形状が上記範囲にあると、親水性と耐傷性を両立することが可能となる。一般的に表面凹凸の付与には耐傷性の低下を伴うが、本発明の親水ポリマーを用いた場合、耐傷性を保持したまま表面凹凸の付与が可能となる。
凹凸構造の形態(ピッチ及び表面粗さなど)は、加水分解性シリル基含有親水性ポリマー(以下、単に親水性ポリマーということがある)の種類及び添加量、架橋剤の種類及び添加量、その他添加剤の種類及び添加量、塗布液の固形分濃度、ウエット膜厚、乾燥条件等で適宜コントロールすることが可能である。
(フィラー)
本発明において、フィラーとしては、シリカに代表される無機系微粒子や、または有機系微粒子を使用してもよい。
本発明で使用できる無機系微粒子としては、例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或いはアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベーマイト等)、表面処理カチオン性コロイダルシリカ、アルギン酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、ジルコン系微粒子、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、合成非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム、合成雲母等が挙げられる。
上記シリカの微粒子、その他の無機系微粒子の製造方法としては、どのような方法も採用できるが、例えば、塊状の原料を細分化していく、ブレークダウン法、分子乃至は微粒を集合していくビルドアップ法が挙げられる。
有機系微粒子としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系ポリマーの微粒子、スチレン系ポリマーの微粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系ポリマーの微粒子、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマーの微粒子、その他のラジカル重合系ポリマーの微粒子、ポリエステル、ポリカーボネートなど縮合ポリマーの微粒子、マイクロカプセル、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メミン樹脂などの微粒子などが挙げられる。
上記のような有機系微粒子の製造方法としては、どのような方法も採用できるが、例えば、(A)乳化重合、ソープフリー重合、分散重合のように重合中に粒子を成長させる方法や(B)懸濁重合、ノズル振動法、膨潤シード重合、二段膨潤重合のように液滴がそのまま重合する方法を採用することができる。
これらの中で特に好ましい物理的及び/又は化学的に濡れ性を向上させるものとしては、アルミナ、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、酸化マグネシウム及びアルギン酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種から実質的になる微粒子であり(ここで、「実質的になる」とは本発明の効果を阻害しない範囲でその他の物質を含有してもよいことを意味する)、より好ましくは、シリカ、アルミナ、アクリル樹脂の微粒子である。
フィラーとして、アクリル樹脂粒子を下塗り層に用いることも好ましい。該アクリル樹脂としては従来公知の物を特に制限なく使用できる。該アクリル樹脂は以下に記載するモノマーを上記のような方法で共重合させて得ることができる。
(1)芳香族水酸基を有するモノマー、例えば、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート等。
(2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等。
(3)アミノスルホニル基を有するモノマー、例えば、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p−アミノフェニルアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アアミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
(4)スルホンアミド基を有するモノマー、例えば、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド等。
(5)α,β−不飽和カルボン酸類、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等。
(6)置換又は無置換のアルキルアクリレート、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等。
(7)置換又は無置換のアルキルメタクリレート、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリルデシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等。
(8)アクリルアミド若しくはメタクリルアミド類、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等。
(9)フッ化アルキル基を含有するモノマー、例えば、トリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート等。
(10)シアノ基を有するモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテンニトリル、2−シアノエチルアクリレート等。
(11)アミノ基を有するモノマー、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等。
上記フィラーは平均粒径が0.03〜10μmの範囲であることが好ましい。ここで、該平均粒径はJIS K−1150による測定値である。フィラーの平均粒径は、より好ましくは0.05〜5μmである。このような平均粒径のフィラーを親水性層へ添加することにより、表面の高い親水性と耐摩耗性を得ることができる。また、下塗り層等の別層に含有させることも可能であり、下塗り層へ添加した場合は、親水性層との密着強度が向上し、さらに高い耐摩耗性を得ることができる。
フィラーは同種のフィラーを使用してもよく、また異種のフィラーを2種以上混合して使用してもよい。表面形状制御の観点から、同種のフィラーで粒径の異なる物を組み合わせて使用する態様は好ましい態様である。
本発明において、親水性層または下塗り層に含有させるフィラーの含有量は1〜90質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜80質量%の範囲であり、さらに好ましくは5〜50質量%の範囲である。1質量%よりも少ないと必要な中心線平均粗さが得られず、90質量%よりも多くなると、膜質が低下し、耐摩耗性が低下する。
[加水分解性シリル基含有親水性ポリマー]
次に親水性ポリマーについて説明する。
本発明における加水分解性シリル基含有親水性ポリマーは、加水分解性シリル基を有する。好ましい態様としては、親水性官能基を有する重合単位からなる重合体の末端に加水分解性シリル基を有する重合体や、加水分解性シリル基を有する重合単位と、親水性官能基を有する重合単位とからなる共重合体等である。
ここで加水分解性シリル基は、加水分解性基がケイ素原子に結合した基を意味する。加水分解性基としては、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシド基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、などが挙げられる。
加水分解性シリル基は、親水性ポリマーの主鎖末端および/または側鎖に有することが好ましい。
前記親水性ポリマーは、親水性基を含む構造単位と、ポリマーの主鎖末端または側鎖に加水分解性シリル基を少なくとも1個有し、該親水性基を含む構造単位が、該親水性ポリマー全体の30mol%以上含まれることが好ましい。
加水分解性シリル基は、下記一般式(a)で表される加水分解性シリル基が好ましい。好ましくは、親水性官能基を有する重合単位は、ポリマー全体の40〜95mol%がよい。
一般式(a): −Si(R102a−(OR1013-a
(一般式(a)中、R101は水素原子またはアルキル基(好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基)、R102は水素原子またはアルキル基(好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基)、アリール基(好ましくは、炭素数6〜25のアリール基)およびアラルキル基(好ましくは、炭素数7〜12のアラルキル基)から選ばれた1価の炭化水素基、aは0〜2の整数を表す。R101またはR102は複数存在する場合は、各々同一でも異なっていてもよい。)
親水性官能基としては、好ましくはカルボキシル基、カルボキシル基のアルカリ金属塩、スルホン酸基、スルホン酸基のアルカリ金属塩、ヒドロキシ基、アミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルファモイル基等の官能基が挙げられる。これらの基は、ポリマー中のどの位置に存在しても良い。ポリマー主鎖より直接、または連結基を介し結合しているか、ポリマー側鎖やグラフト側鎖中に結合しており、複数個が存在するポリマー構造が好ましい。
親水性基を含む構造単位は、1種類の構造単位に限らず、複数の種類の構造単位を含んでいてもよい。複数の種類の構造単位を含む場合は、その合計で30mol%以上となることが好ましい。
また、本発明に使用される親水性ポリマーは、好ましくは下記で説明する架橋剤と、触媒の作用等により結合を生じる基を有するポリマーであるのがよい。架橋剤、好ましくは金属アルコキシド化合物と、触媒の作用により結合を生じる基としては、前記の一般式(a)で表される加水分解性シリル基のほか、カルボキシル基、カルボキシ基のアルカリ金属塩、無水カルボン酸基、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、メチロール基、メルカプト基、イソシアナート基、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和基、エステル基、テトラゾール基などの反応性基が挙げられる。また親水性基、および金属アルコキシド化合物と触媒の作用等により結合を生じる基を有するポリマー構造としては、エチレン性不飽和基(例えばアクリレート基、メタクリレート基、イタコン酸基、クロトン酸基、桂皮酸基、スチレン基、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基など)がビニル重合したポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミック酸などのような縮重合したポリマー、ポリウレタンなどのような付加重合したポリマーの他、セルロース、アミロース、キトサンなどの天然物環状ポリマー構造を好ましく挙げることができる。
本発明における親水性ポリマーは、好ましくは、一般式(I)または(II)で表される構造を有するのがよい。
Figure 2009255490
一般式(I)および(II)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8の炭化水素基)を表し、Xは上記の一般式(a)で表される加水分解性シリル基(以下、反応性基ということがある)を表し、AおよびL1、L2,L3は、それぞれ独立に単結合または連結基を表し、Yは−NHCOR7、−CONH2、−CON(R72、−COR7、−OH、−CO2M、−SO3M、−PO3M、−OPO3M又は−N(R731を表す。ここで、R7はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Z1はハロゲンイオンを表し、Bは下記一般式(III)で表される構造を有する基を表す。
Figure 2009255490
式(III)中、R1、R2、L1及びYの定義は、式(I)および(II)中のものと同じである。
本発明で用いられる親水性ポリマーは、上記のように反応性基と親水性基を有する。反応性基は、主鎖の末端に一つまたは複数有する場合や、側鎖に一つまたは複数有する場合などがある。
「反応性基」は、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物に反応して化学結合を形成できる。また、反応性基同士が化学結合を形成してもよい。親水性ポリマーは、水溶性であることが好ましく、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物と反応することにより水不溶性になることが好ましい。
化学結合は、通常の意味と同様に、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合を含む。化学結合は、共有結合であることが好ましい。
親水性ポリマーは、片末端に2以上の反応性基を有していてもよい。2以上の反応性基は、互いに異なっていてもよい。
親水性ポリマーの繰り返し単位と反応性基との間や、親水性ポリマーの繰り返し単位と主鎖に連結基が介在していることが好ましい。連結基AおよびL1、L2,L3は、それぞれ独立に単結合、下記で説明する連結基のほか、−N<、脂肪族基、芳香族基、複素環基、およびそれらの組合せから選ばれることが好ましい。連結基は、−O−、−S−、−CO−、−NH−、あるいは、−O−または−S−または−CO−または−NH−を含む組合せであることが好ましい。
(一般式(I)で表される構造を含むポリマー)
一般式(I)で表される構造を含むポリマー(親水性ポリマー(I)とも呼ぶ)は、例えば、連鎖移動剤(ラジカル重合ハンドブック(エヌ・ティー・エス、蒲池幹治、遠藤剛)に記載)やIniferter (Macromolecules 1986,19,p287−(Otsu)に記載)の存在下に、親水性モノマー(例、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸3−スルホプロピルのカリウム塩)をラジカル重合させることにより合成できる。連鎖移動剤の例は、3−メルカプトプロピオン酸、2−アミノエタンチオール塩酸塩、3−メルカプトプロパノール、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む。また、連鎖移動剤を使用せず、反応性基を有するラジカル重合開始剤を用いて、親水性モノマー(例、アクリルアミド)をラジカル重合させてもよい。
一般式(I)で表される構造を含むポリマーの質量平均分子量は、100万以下が好ましく、1000乃至100万がさらに好ましく、2000乃至10万が最も好ましい。
この一般式(I)で表される構造を含むポリマーは、末端に反応性基を有する親水性ポリマーである。上記一般式(I)において、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表す。炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素数8以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。R1、R2は、効果及び入手容易性の観点から、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から8までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチルと、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキシエチル基、2−オキシプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、
クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノへキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
AおよびL1は単結合又は有機連結基を表す。ここで、AおよびL1が有機連結基を表す場合、AおよびL1は非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には、0個から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、0個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位またはこれらが組合わされて構成されるものを挙げることができる。
Figure 2009255490
また、Yは−NHCOR7、−CONH2、−CON(R72、−COR7、−OH、−CO2M、−SO3M、−PO3M、−OPO3M又は−N(R731を表す。ここで、R7は、アルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、好ましくは、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R7がアルキル基の場合は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよい。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Z1はハロゲンイオンを表す。また、−CON(R72のように複数のR7を有する場合、R7同士が結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。R7はさらに置換基を有していてもよく、ここで導入可能な置換基としては、前記R1、R2がアルキル基の場合に導入可能な置換基として挙げたものを同様に挙げることができる。
7としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。また、Mとしては、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、又は、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが挙げられる。Yとしては、具体的には、−NHCOCH3、−CONH2、−COOH、−SO3 -NMe4 +、モルホリル基等が好ましい。
本発明に好適に用い得る一般式(I)で表される親水性ポリマーの具体例(例示化合物1〜例示化合物13)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009255490
Figure 2009255490
上記に例示した親水性ポリマーは、下記一般式(i)で表されるラジカル重合可能なモノマーと、下記一般式(ii)で表されるラジカル重合において連鎖移動能を有するシランカップリング剤を用いてラジカル重合することにより合成することができる。これらのモノマー類がそれぞれ一重合単位を形成する。シランカップリング剤(ii)が連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端にシランカップリング基が導入されたポリマーを合成することができる。
Figure 2009255490
上記式(i)及び(ii)において、A、R1〜R2、L1、X、Yは、上記式(I)と同義である。また、これらの化合物は、市販されており、また容易に合成することもできる。
(一般式(II)で表される構造を含むポリマー)
上記一般式(II)で表される構造を含むポリマー(親水性ポリマー(II)とも呼ぶ)、すなわち反応性基を複数個有する親水性ポリマーは、反応性基を有する幹ポリマーに親水性基を有する側鎖を導入してなる親水性グラフトポリマーを用いることができる。
上記一般式(II)において、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、上記一般式(I)のR1、R2と同様の置換基を表す。L2、L3は、上記一般式(I)のL1と同義である。Bは、上記一般式(III)で表される構造を有する基を表し、一般式(III)中の、R1、R2、L1及びYの定義は、一般式(I)および(II)中のものと同じである。Xは上記一般式(I)と同義である。
この親水性グラフトポリマーは、一般的にグラフト重合体の合成法として公知の方法を用いて作製することができる。具体的には、一般的なグラフト重合体の合成方法は、“グラフト重合とその応用”井手文雄著、昭和52年発行、高分子刊行会、および“新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1995、に記載されており、これらを適用することができる。
グラフト重合体の合成方法としては、基本的に1.幹高分子から枝モノマーを重合させる、2.幹高分子に枝高分子を結合させる、3.幹高分子に枝高分子を共重合させる(マクロマー法)という3つの方法に分けられる。これらの3つの方法のうち、いずれを使用しても本発明に用いる親水性グラフトポリマーを作製することができるが、特に製造適性、膜構造の制御という観点からは「3.マクロマー法」が優れている。
マクロモノマーを使用したグラフトポリマーの合成は前記の“新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1995に記載されている。また山下雄他著“マクロモノマーの化学と工業”アイピーシー、1989にも詳しく記載されている。本発明に使用されるグラフトポリマーは、まず、前記の方法により合成した親水性のマクロモノマー(親水性ポリマー側鎖の前駆体に相当する)と反応性基を有するモノマーとを共重合することにより、合成することができる。
(親水性マクロモノマー)
本発明で使用される親水性マクロモノマーのうち特に有用なものは、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン酸、およびその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド系マクロモノマー、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどのN−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基もしくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖もしくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロモノマーとして有用に使用することができる。これらのマクロモノマーのうち有用な高分子の質量平均分子量(以下、単に分子量と称する)は400〜10万の範囲であり、好ましい範囲は1000〜5万、特に好ましい範囲は1500〜2万である。分子量が400以上であれば有効な親水性が得られ、また10万以下であれば主鎖を形成する共重合モノマーとの重合性が高くなる傾向があり、いずれも好ましい。
これらのグラフトポリマーとしては、質量平均分子量が100万以下のものが好ましく用いられ、分子量1000〜100万、さらに好ましくは2万〜10万の範囲のものである。分子量が100万以下であれば親水性被膜形成用塗布液を調製する際に溶媒への溶解性が悪化することなく、塗布液粘度が低くなり、均一な被膜を形成し易いなどハンドリング性に問題がなく、好ましい。
上記、親水性ポリマーは、式中Yで表される親水性を発現する親水性官能基を有しており、この官能基の密度が高いほど表面親水性が高くなり好ましい。親水性官能基密度は、親水性ポリマー1g当たりの官能基モル数で表すことができ、1〜30meq/gが好まく、2〜20meq/gがより好ましく、3〜15meq/gが最も好ましい。
親水性ポリマー(II)の共重合比率は、親水性官能基Yの量が上記範囲内になるように任意に設定することができる。好ましくは、Bを含有するモノマーのモル比(m)とXを含有するモノマーのモル比(n)が、m/n=30/70〜99/1の範囲が好ましく、m/n=40/60〜98/2がより好ましく、m/n=50/50〜97/3が最も好ましい。mがm/n=30/70におけるmの値以上の比率であれば親水性が不足することなく、一方、nがm/n=99/1におけるnの値以上の比率であれば、反応性基量が十分量となり、十分な硬化が得られ、膜強度も十分なものとなる。
以下に、一般式(II)で表される構造を含むポリマーの具体例〔例示化合物(1)〜(50)〕をその質量平均分子量(M.W.)とともに以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す具体例のポリマーは、記載される各構造単位が記載のモル比で含まれるランダム共重合体またはブロック共重合体であることを意味する。
Figure 2009255490
Figure 2009255490
Figure 2009255490
Figure 2009255490
Figure 2009255490
一般式(II)で表される構造を含むポリマーは、他のモノマーとの共重合体であってもよい。用いられる他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーも挙げられる。このようなモノマー類を共重合させることで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等の諸物性を改善することができる。
(一般式(IV)で表されるポリマー)
また本発明では、下記一般式(IV)で表される親水性ポリマーも好ましい。
Figure 2009255490
上記式(IV)において、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立に、上記一般式(I)のR、Rと同様の置換基を表す。L、Lは、上記一般式(I)のLと同義である。YおよびXは一般式(I)および(II)中のYおよびXと同義である。m2とn2は各構造の組成比を表す。ただし、m2≧30、m2+n2=100である。なお本発明では、Lが、単結合、または、−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−および−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する連結基であることが好ましい。
一分子当たりの加水分解性シリル基を数多く導入することができ、常温乾燥によって非常に良好な硬化性を得ることができることから、一般式(IV)で表される側鎖型シランポリマーが最も好ましい。
以下に、一般式(IV)で表されるポリマー具体例〔例示化合物(1)〜(50)〕をその質量平均分子量(M.W.)とともに以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す具体例のポリマーは、記載される各構造単位が記載のモル比で含まれるランダム共重合体またはブロック共重合体であることを意味する。Si基を有さない方のモノマー構造単位が本発明の親水性基を有する構造単位を表す。
Figure 2009255490
Figure 2009255490
Figure 2009255490
Figure 2009255490
Figure 2009255490
一般式(IV)で表されるポリマーを合成する前記各化合物は、市販されており、また容易に合成することもできる。
一般式(IV)で表されるポリマーを合成するためのラジカル重合法としては、従来公知の方法の何れをも使用することができる。具体的には、一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3、高分子の合成と反応1(高分子学会編、共立出版)、新実験化学講座19、高分子化学(I)(日本化学会編、丸善)、物質工学講座、高分子合成化学(東京電気大学出版局)等に記載されており、これらを適用することができる。
また、一般式(IV)で表されるポリマーは、他のモノマーとの共重合体であってもよい。用いられる他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーも挙げられる。このようなモノマー類を共重合させることで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等の諸物性を改善することができる。
一般式(IV)で表されるポリマーの質量平均分子量としては、1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000がさらに好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
上記、親水性ポリマーは、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物と混合した状態で架橋皮膜を形成する。有機成分である親水性ポリマーは、皮膜強度や皮膜柔軟性に対して関与しており、特に、親水性ポリマーの粘度が0.1〜100mPa・s(5%水溶液、25℃測定)、好ましくは0.5〜70mPa・s、さらに好ましくは1〜50mPa・sの範囲にあると、良好な膜物性を与える。
親水性層は、前記一般式(I)で表される構造を有する親水性ポリマー(A)及び前記一般式(IV)で表される構造を有する親水性ポリマー(B)の両方を含有することが好ましい。
親水性ポリマー(A)と親水性ポリマー(B)を混合して用いる場合は、親水性ポリマー(A)と親水性ポリマー(B)の質量比(親水性ポリマー(A)/親水性ポリマー(B))は、5/95〜50/50の範囲であることが好ましい。質量比は、8/92〜45/55がより好ましく、10/90〜40/60がさらに好ましく、20/80〜40/60が特に好ましい。親水性ポリマー(A)と親水性ポリマー(B)の質量比率を上記範囲とすることで、良好な親水性を維持しつつ、密着性及び耐汚染性が優れたものとなる。
(一般式(V)で表されるポリマー)
本発明で用いられる親水性ポリマーは下記一般式(V)で表されるポリマーも好ましい。
Figure 2009255490
一般式(V)において、Xは上記一般式(I)と同義であり、L11〜L12はそれぞれ独立に炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子より選択される原子を3種類以上有する2価の連結基を表す。
Dはそれぞれ独立に構造単位が繰り返し構造を形成しているポリマー又はオリゴマーを表す。
11〜L12はそれぞれ独立に炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子より選択される原子を3種類以上有する2価の連結基を表し、具体的には、0個から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、0個から100個までの水素原子、および0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。即ち、この連結基には、炭素原子と水素原子のみからなる無置換のアルキレン基の如き2価の連結基は包含されない。なお、より具体的な連結基としては下記の構造単位のうち、2種類の原子のみからなる構造単位を除くものにより単独で構成されるもの、または、以下に示す構造単位の複数が組合わされて構成されるものを挙げることができる。
Figure 2009255490
Dは、構造単位が繰り返し構造を形成しているポリマー又はオリゴマーを表す。即ち、Dはそれぞれ構造単位が繰り返し構造を形成してなるポリマーであってもよく、構造単位が繰り返し構造を形成してなるオリゴマーであってもよい。ポリマー及びオリゴマーより選択される1種以上の構造としては、具体的には不飽和二重結合系モノマーからなるポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニル、ポリスチレンなどを含むことが好ましく、その他の好ましい例として、ポリ(オキシアルキレン)、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミノ酸、ポリシロキサン等が挙げられ、好ましくは、ポリ(オキシアルキレン)、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミドが挙げられ、より好ましくは、ポリ(オキシアルキレン)、ポリウレタン、ポリウレアである。
これらポリマー又はオリゴマーを構成する構造単位は1種類でもよく、2種類以上であってもよい。
一般式(V)で表されるポリマーの分子量としては、100〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000がさらに好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。この好ましい分子量に適合するように、末端のアルコキシシリル基の構造、Dで示されるポリマー、オリゴマーの構造及び重合モル比、重合数を選択すればよい。
以下に、本発明に好適に用い得る一般式(V)で表されるポリマーの好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお下記各構造において、Dがアルキレンオキシドを主鎖構造に持つポリマーの場合、構成する構造単位に記載された数値は各構造単位の重合モル比を表し、側鎖構造において繰り返し単位に記載された数値は実際の繰り返し単位の連結数を示すものである。Dがポリウレタン及びポリウレアの場合は、末端構造とモノマー構造を表で示した。つまり具体的なポリマーは末端構造とモノマー構造が化学結合し、ウレタン及びウレア結合を形成することでポリマーとなる。また、表中でモノマー構造に記載した数値は、ポリマーを形成した際のモノマーの組成比を示すものである。
以下に一般式(V)で表されるポリマーの具体例〔例示化合物(I−1)〜(I−34)〕をその質量平均分子量(M.W.)とともに示す。なお、一部の化合物については、例示化合物を、該化合物を構成するモノマー組成比はモル比を表すと、そのモノマーを重合されることにより得られる共重合体の末端に導入される化合物により表示するものであり、例示化合物がこれらにより構成されることを表す。末端に導入される化合物が1種のみ記載されているものは、該化合物が両末端に導入されることを示している。
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上記、親水性ポリマーは、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物と混合した状態で架橋皮膜を形成する。有機成分である親水性ポリマーは、皮膜強度や皮膜柔軟性に対して関与しており、特に、親水性ポリマーの粘度が0.1〜100mPa・s(5%水溶液、25℃測定)、好ましくは0.5〜70mPa・s、さらに好ましくは1〜50mPa・sの範囲にあると、良好な膜物性を与える。
[架橋剤]
本発明における親水性層、親水性組成物は、架橋剤を含有するのが好ましい。架橋剤としては、Si、Ti、Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド(金属アルコキシド化合物とも呼ぶ)がとくに好ましい。本発明で用いられる金属アルコキシドは、その構造中に加水分解して重縮合可能な官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす加水分解重合性化合物であり、金属アルコキシド同士が重縮合することにより架橋構造を有する強固な架橋皮膜を形成し、さらに、前記親水性ポリマーとも化学結合する。金属アルコキシドは一般式(VI-1)および一般式(VI-2)で表すことができ、式中、R8は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R9はアルキル基又はアリール基を表し、ZはSi、Ti又はZrを表し、mは0〜2の整数を表す。R8及びR9がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1から4である。アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。なお、この化合物は低分子化合物であり、分子量2000以下であることが好ましい。
(R8m−Z−(OR94-m (VI-1)
Al−(OR93 (VI-2)
以下に、一般式(VI-1)および一般式(VI-2)で表される加水分解性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。ZがSiの場合、即ち、加水分解性化合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、等を挙げることができる。
ZがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。ZがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
また、中心金属がAlである場合、即ち、加水分解性化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、トリイソプロポキシアルミネート等を挙げることができる。
Si、Ti、Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド化合物は、親水性層中、1〜80質量%使用されるのが好ましく、5〜70質量%がさらに好ましい。
[硬化触媒]
本発明の組成物においては、加水分解性シリル基含有親水性ポリマー、さらに金属アルコキシド化合物などの架橋剤を溶媒に溶解し、よく攪拌することで、これらの成分が加水分解、重縮合し、有機−無機複合体ゾル液が形成され、このゾル溶液によって、高い親水性と高い膜強度を有する親水性膜が形成される。有機無機複合体ゾル液の調製において、加水分解及び重縮合反応を促進するために硬化触媒を用いるが好ましい。
本発明に用いられる硬化触媒としては酸性触媒、塩基性触媒または金属錯体触媒を使用することが好ましい。
本発明で用いられる硬化触媒としては、前記金属アルコキシド化合物などの架橋剤を加水分解、重縮合し、加水分解性シリル基含有親水性ポリマーと結合を生起させる反応を促進する触媒が選択され、酸、あるいは塩基性化合物をそのまま用いるか、又は、酸、あるいは塩基性化合物を水またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの(これらを包括してそれぞれ酸性触媒、塩基性触媒とも称する)を用いる。酸、あるいは塩基性化合物を溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。ここで、触媒を構成する酸或いは塩基性化合物の濃度が高い場合は、加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高い塩基性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場合があるため、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが望ましい。
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には乾燥後に塗膜中にほとんど残留しないような元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
本発明の親水性層の形成において使用できる硬化触媒は、金属錯体がとくに好ましい。金属錯体触媒は、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物の加水分解、重縮合を促進し、親水性ポリマーとの結合を生起することができる。特に好ましい金属錯体触媒としては、周期律表の2A,3B,4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg,Ca,Sr,Baなどの2A族元素、Al,Gaなどの3B族元素,Ti,Zrなどの4A族元素及びV,Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
上記金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物は、本発明においては、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸,酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
好ましい配位子は、アセチルアセトン又はアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、本発明においては、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
上記した金属錯体の対塩の記載を本明細書においては省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J. Sol-Gel. Sci. and Tec. 16. 209 (1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以下のスキームを推定している。すなわち、塗布液中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより塗布液経時安定性及び皮膜面質の改善と、高親水性、高耐久性の、いずれも満足させるに至った。
また、上記の金属錯体触媒の他に、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物の加水分解、重縮合を促進し、親水性ポリマーとの結合を生起することができるものを併用してもよい。このような触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などの酸性を示す化合物、あるいは、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などの塩基性化合物が挙げられる。
上記の金属錯体触媒は、市販品として容易に入手でき、また公知の合成方法、例えば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
硬化触媒は、親水性層中、0.1〜20質量%使用されるのが好ましく、1〜10質量%使用されるのがさらに好ましい。
[その他の成分]
以下に、必要に応じて親水性層形成用塗布液に用いることのできる種々の添加剤について述べる。
1)界面活性剤
本発明の親水性部材の親水性層形成用塗布液には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
2)紫外線吸収剤
本発明においては、親水性部材の耐候性向上、耐久性向上の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5〜15質量%であることが好ましい。
3)酸化防止剤
本発明の親水性部材の安定性向上のため、親水性層形成用塗布液に酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8質量%であることが好ましい。
4)溶剤
本発明の親水性部材の親水性層形成時に、基板に対する均一な塗膜の形成性を確保するために、親水性層形成用塗布液に適度に有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、VOC(揮発性有機溶剤)の関連から問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量は親水性部材形成時の塗布液全体に対し0〜50質量%が好ましく、より好ましくは0〜30質量%の範囲である。
5)高分子化合物
本発明の親水性部材の親水性層形成用塗布液には、親水性層の膜物性を調整するため、親水性を阻害しない範囲で各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、基板への密着性を改善するために、親水性を阻害しない範囲でタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
6)抗菌剤
本発明の親水性部材に抗菌性、防カビ性、防藻性を付与するために、親水性層を形成するための組成物(親水性層形成用塗布液)に抗菌剤を含有させることができる。親水性層の形成において、親水性、水溶性抗菌剤を含有させることが好ましい。親水性、水溶性抗菌剤を含有させることにより、表面親水性を損なうことなく抗菌性、防カビ性、防藻性に優れた表面親水性部材が得られる。
抗菌剤としては、親水性部材の親水性を低下させない化合物を添加することが好ましく、そのような抗菌剤としては、無機系抗菌剤または、水溶性の有機系抗菌剤が挙げられる。抗菌剤としては、黄色ブドウ球菌や大腸菌に代表される細菌類や、かび,酵母などの真菌類など、身の回りに存在する菌類に対して殺菌効果を発揮するものが用いられる。
〔基材〕
本発明に用いられる基材は、特に限定されないが、ガラス、プラスチック、金属、セラミックス、木、石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、紙、皮革、それらの組合せ、それらの積層体が、いずれも好適に利用できる。特に好ましい基材は、ガラス基板、プラスチック基板、金属基板(より好ましくはアルミニウム基板)である。
ガラス基板としては、ソーダガラス、鉛ガラス、硼珪酸ガラスなどの何れのガラスを使用しても良い。また目的に応じ、フロート板ガラス、型板ガラス、スリ板ガラス、網入ガラス、線入ガラス、強化ガラス、合わせガラス、複層ガラス、真空ガラス、防犯ガラス、高断熱Low−E複層ガラスを使用することができる。また素板ガラスのまま、前記親水性層を塗設できるが、必要に応じ、親水性層の密着性を向上させる目的で、片面又は両面に、酸化法や粗面化法等により表面親水化処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。粗面化法としては、サンドブラスト、ブラシ研磨等により機械的に粗面化することもできる。
本発明に用いられるプラスチック基板としては、特に制限はないが、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、アクリル、ナイロン、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン等のフィルムもしくはシートを挙げることができる。その中でも特にポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等のポリエステフィルムが好ましい。なお、光学的には、透明性に優れている方が好ましい場合が多いが、用途によっては半透明、あるいは、印刷されたものも用いられる。プラスチック基板の厚みは、積層する相手によってさまざまである。例えば曲面の多い部分では、薄いものが好まれ、6〜50μm程度のものが用いられる。また平面に用いられ、あるいは、強度を要求されるところでは50〜400μmが用いられる。
基材と親水性層の密着性を向上させる目的で、所望により基材の片面又は両面に、酸化法や粗面化法等により表面親水化処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。粗面化法としては、サンドブラスト、ブラシ研磨等により機械的に粗面化することもできる。
更に、一層以上の下塗り層を設けることができる。下塗り層の素材としては、親水性樹脂や水分散性ラテックスを用いることができる。
親水性樹脂としては、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、等〕等が挙げられる。また、カルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
さらに、ポリシロキサン等に代表される金属アルコキシドの加水分解縮合物等も好ましく、前記架橋剤として記載した化合物を使用することができる。
上記の中でも、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類、金属アルコキシドの加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、ゼラチン類、金属アルコキシドの加水分解縮合物が好ましい。
水分散性ラテックスとしては、アクリル系ラテックス、ポリエステル系ラテックス、NBR樹脂、ポリウレタン系ラテックス、ポリ酢酸ビニル系ラテックス、SBR樹脂、ポリアミド系ラテックス等が挙げられる。中でも、アクリル系ラテックスが好ましい。
上記の親水性樹脂及び水分散性ラテックスは、各々一種単独で用いるほか二種以上を併用してもよく、親水性樹脂と水分散性ラテックスとを併用してもよい。
また、上記親水性樹脂や水分散性ラテックスを架橋する架橋剤を用いても良い。
本発明に適応可能な架橋剤としては、公知の熱により架橋を形成する架橋剤を用いることができる。一般的な熱架橋剤としては、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊(1981)に記載されているものがある。本発明に用いられる架橋剤の官能基数は2個以上で、且つ、親水性樹脂や水分散性ラテックスと有効に架橋可能ならば特に制限はない。具体的な熱架橋剤としては、ポリアクリル酸等のポリカルボン酸、ポリエチレンイミン等のアミン化合物、エチレンまたはプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレンまたはポリプロピレングリコールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物、グリオキザル、テレフタルアルデヒドなどのポリアルデヒド化合物、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシアネート付加反応物などのポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、テトラアルコキンシランなどのシランカップリング剤、アルミニウム、銅、鉄(III)のアセチルアセトナートなどの金属架橋剤、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトールなどのポリメチロール化合物、などが挙げられる。これらの熱架橋剤のなかでも、塗布溶液の調液のしやすさ、作製した親水性層の親水性低下を防止するという観点から水溶性の架橋剤であることが好ましい。
前記親水性樹脂及び/又は水分散性ラテックスの、下塗り層中における総量としては、0.01〜20g/m2 が好ましく、0.1〜10g/m2 がより好ましい。
〔親水性部材使用時の層構成〕
本発明の親水性部材を、防汚性及び/または防曇性効果の発現を期待して使用する場合、その目的、形態、使用場所に応じ、適宜別の層を付加して使用することができる。以下に必要に応じ付加される層構成について述べる。
1)接着層
本発明の親水性部材を、別の基材上に貼り付けて使用する場合、基材の裏面に、接着層として、感圧接着剤である粘着剤が好ましく用いられる。粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系、スチレン系粘着剤などの一般的に粘着シートに用いられるものが使用できる。
光学的に透明なものが必要な場合は光学用途向けの粘着剤が選ばれる。着色、半透明、マット調などの模様が必要な場合は、基材における模様付けのほかに粘着剤に、染料、有機や無機の微粒子を添加して効果を出すことも行うことができる。
粘着付与剤が必要な場合、樹脂、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、スチレン系樹脂およびこれらの水素添加物などの接着付与樹脂を1種類または混合して用いることができる。
本発明で用いられる粘着剤の粘着力は一般に言われる強粘着であり、200g/25mm以上、好ましくは300g/25mm以上、さらに好ましくは400g/25mm以上である。なお、ここでいう粘着力はJIS Z 0237 に準拠し、180度剥離試験によって測定した値である。
2)離型層
本発明の親水性部材が前記の接着層を有する場合には、さらに離型層を付加することができる。離型層には、離型性をもたせるために、離型剤を含有させることが好ましい。離型剤しては、一般的に、ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン系離型剤、フッ素系化合物、ポリビニルアルコールの長鎖アルキル変性物、ポリエチレンイミンの長鎖アルキル変性物等が用いることができる。また、ホットメルト型離型剤、ラジカル重合、カチオン重合、重縮合反応等により離型性モノマーを硬化させるモノマー型離型剤などの各種の離型剤や、この他、アクリル−シリコーン系共重合樹脂、アクリル−フッ素系共重合樹脂、及びウレタン−シリコーン−フッ素系共重合樹脂などの共重合系樹脂、並びに、シリコーン系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンド、フッ素系樹脂とアクリル系樹脂との樹脂ブレンドが用いられる。また、フッ素原子及び/又はケイ素原子のいずれかの原子と、活性エネルギー線重合性基含有化合物を含む硬化性組成物を、硬化して得られるハードコート離型層としてもよい。
3)その他の層
親水性層の上に、保護層を設けてもよい。保護層は、ハンドリング時や輸送時、保管時などの親水性表面の傷つきや、汚れ物質の付着による親水性の低下を防止する機能を有する。保護層としては、上記離型層や、下塗り層に用いた親水性ポリマー層を使用することができる。保護層は、親水性部材を適切な基材へ貼り付けた後には剥がされる。
〔構造体の形態〕
本発明の親水性層を有する構造体は、シート状、ロール状あるいはリボン状の形態で供給されてもよく、適切な基材に貼り付けるために、あらかじめカットされたもとして供給することもできる。
〔表面自由エネルギー〕
親水性とは、汎用的に、水滴接触角で測定される。しかし、本発明のような非常に親水性の高い表面においては、水滴接触角が10°以下、さらには5°以下になることがあり、親水性度の相互比較を行うには、限界がある。一方、固体表面の親水性度をより詳細に評価する方法として、表面自由エネルギーの測定がある。種々の方法が提案されているが、本発明では、一例として、Zismanプロット法を用いて表面自由エネルギーを測定した。具体的には、塩化マグネシウムなどの無機電解質の水溶液が濃度とともに表面張力が大きくなる性質を利用し、その水溶液を用いて空中、室温条件で接触角を測定した後、横軸にその水溶液の表面張力、縦軸に接触角をcosθに換算した値をとり、種々の濃度の水溶液の点をプロットして直線関係を得、cosθ=1すなわち、接触角=0°になるときの表面張力を、固体の表面自由エネルギーと定義する測定方法である。水の表面張力は72mN/mであり、表面自由エネルギーの値が大きいほど親水性が高いといえる。
このような方法で測定した表面自由エネルギーが、70mN/m〜95mN/m、好ましくは72mN/m〜93mN/m、さらに好ましくは75mN/m〜90mN/mの範囲にある親水性層が、親水性に優れ、良好な性能を示す。
本発明の親水性層を塗設した親水性部材は、窓ガラス等に適用(使用、貼り付け)する場合、視界確保の観点から透明性が重要である。本発明の親水性層は、透明性に優れ、膜厚が厚くても透明度が損なわれず、耐久性との両立が可能である。本発明の親水性層の厚さは、0.01μm〜100μmが好ましく、0.05μm〜50μmがさらに好ましく、0.1μm〜20μmが最も好ましい。膜厚が0.01μm以上の場合は、十分な親水性、耐久性が得ら好ましく、膜厚が100μm以下の場合は、クラックが入るなど製膜性に問題を来たすことがなく、好ましい。
透明性は、分光光度計で可視光領域(400nm〜800nm)の光透過率を測定し評価する。光透過率が100%〜70%が好ましく、95%〜75%がより好ましく、95%〜80%の範囲にあることが最も好ましい。この範囲にあることによって、視界をさえぎることなく、親水性層を塗設した親水性部材を各種用途に適用することができる。
本発明の親水性部材は、親水性層形成用塗布液を、適切な基材上に塗布し、加熱、乾燥して表面親水性層を形成することで得ることができる。親水性層形成のための加熱温度と加熱時間は、ゾル液中の溶媒が除去され、強固な皮膜が形成できる温度と時間であれば特に制限はないが、製造適性などの点から加熱温度は150℃以下であることが好ましく、加熱時間は1時間以内が好ましい。
本発明の親水性部材は、公知の塗布方法で作製することが可能であり、特に限定がなく、例えばスプレーコーティング法、ディップコーティング法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、フィルムアプリケーター法、スクリーン印刷法、バーコーター法、刷毛塗り、スポンジ塗り等の方法が適用できる。
本発明の親水性部材が適用可能なものとしては、例えば、防曇効果を期待する場合には透明なものであり、透明なガラス基板または透明なプラスチック基板、レンズ、プリズム、鏡等である。
ガラスとしては、ソーダガラス、鉛ガラス、硼珪酸ガラスなどの何れのガラスを使用しても良い。また目的に応じ、フロート板ガラス、型板ガラス、スリ板ガラス、網入ガラス、線入ガラス、強化ガラス、合わせガラス、複層ガラス、真空ガラス、防犯ガラス、高断熱Low−E複層ガラスを使用することができる。
防曇効果を有する部材が適用可能な用途としては、車両用バックミラー、浴室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レンズ、光学レンズ、写真機レンズ、内視鏡レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズのようなレンズ;プリズム;建物や監視塔の窓ガラス;その他建材用ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、種々の乗物の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノーモービル、オートバイ、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、種々の乗物の風防ガラス;防護用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、防護用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシールド、ヘルメットのシールド、冷凍食品陳列ケースのガラス;計測機器のカバーガラス、及び上記物品表面に貼付させるためのフィルムを含む。最も好ましい用途は、自動車用及び建材用のガラスである。
また、本発明の表面親水性部材に防汚効果を期待する場合には、その基材は、例えば、ガラス、プラスチック以外にも、金属、セラミックス、木、石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、紙、それらの組合せ、それらの積層体が、いずれも好適に利用できる。
防汚効果を有する部材が適用可能な用途としては、建材、外壁や屋根のような建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、自動車、鉄道車両、航空機、船舶、自転車、オートバイのような乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用防音壁、鉄道用防音壁、橋梁、ガードレールの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、及び上記物品表面に貼付させるためのフィルムを含む。
看板、交通標識、防音壁、ビニールハウス、碍子、乗物用カバー、テント材、反射板、雨戸、網戸、太陽電池用カバー、太陽熱温水器等の集熱器用カバー、街灯、舗道、屋外照明、人工滝・人工噴水用石材・タイル、橋、温室、外壁材、壁間や硝子間のシーラー、ガードレール、ベランダ、自動販売機、エアコン室内機、エアコン室外機、屋外ベンチ、各種表示装置、シャッター、料金所、料金ボックス、屋根樋、車両用ランプ保護カバー、防塵カバー及び塗装、機械装置や物品の塗装、広告塔の外装及び塗装、構造部材、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、台所用品、食器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、窓レール、窓枠、トンネル内壁、トンネル内照明、窓サッシ、熱交換器用放熱フィン、舗道、浴室用洗面所用鏡、ビニールハウス天井、洗面化粧台、自動車ボディ、及びそれら物品に貼着可能なフィルム、ワッペン等を含む。
雪国用屋根材、アンテナ、送電線等への適用も可能であり、その際は、着雪防止性にも優れた特性が得られる。
上記の中でも、本発明に係る親水性部材は、フィン材に適用することが好ましく、アルミニウム製フィン材に適用することが好ましい。
室内エアコンや自動車エアコン等の熱交換器等に用いられるアルミニウム製フィン材は、冷房時に発生する凝集水が水滴となりフィン間にとどまることで水のブリッジが発生し、冷房能力が低下する。またフィン間に埃などが付着することでも、同様に冷房能力が低下する。これらの問題に対し、本発明の親水性部材をフィン材に適用することで、親水性、防汚性、及びそれらの持続性に優れたフィン材が得られる。 本発明に係るフィン材は、パルミチン酸に1時間曝気、30分水洗、30分乾燥を5サイクル繰返した後の水接触角が40°以下であることが好ましい。
フィン材に用いられるアルミニウムとしては、表面が脱脂されたもの、必要に応じて化成処理されたアルミニウム板を挙げることができる。アルミニウム製のフィン材は、表面が化成処理されていることが親水化処理皮膜の付着性、耐食性などの点から好適である。上記化成処理としては、例えば、クロメート処理を挙げることができ、その代表例として、アルカリ塩−クロム酸塩法(B.V.法、M.B.V.法、E.W.法、アルロック法、ピルミン法)、クロム酸法、クロメート法、リン酸クロム酸法などの処理法、及びクロム酸クロムを主体とした組成物による無水洗塗布型処理法などが挙げられる。
例えば、熱交換器用フィン材に用いられるアルミニウム等薄板としては、JIS規格で、1100、1050、1200、1N30等の純アルミニウム板、2017、2014等のAl−Cu系合金板、3003、3004等のAl−Mn系合金板、5052、5083等のAl−Mg系合金板、さらには6061等のAl−Mg−Si系合金板等のいずれを用いても良く、またその形状はシートおよびコイルのいずれでも良い。
また、本発明に係るフィン材は、熱交換器に用いることが好ましい。本発明に係るフィン材を用いた熱交換器は、優れた親水性、防汚性及びそれらの持続性を有しているので、フィン間に水滴や埃などが付着するのを防止することができる。熱交換器としては、例えば、室内用クーラーやエアコン、建設機械用オイルクーラー、自動車のラジエーター、キャパシタ等に使用される熱交換器が挙げられる。
また、本発明に係るフィン材を用いた熱交換器をエアコンに使用することが好ましい。本発明に係るフィン材は、優れた親水性、防汚性及びそれらの持続性を有しているので、前述のような冷房能力の低下等の問題が改善されたエアコンを提供することができる。エアコンとしては、ルームエアコン、パッケージエアコン、カーエアコン等、いずれのものでもよい。
その他、本発明の熱交換器、エアコンには公知の技術(例えば特開2002−106882号公報、特開2002−156135号公報など)を用いることができ、特に制限されない。
以下本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
最も一般的な透明の板ガラスであるフロート板ガラス(厚み2mm)を準備し、表面を脱脂洗浄およびUVオゾン洗浄した後、下記組成の親水性層塗布液(1)をスピンコート(100rpm2分の後、50rpmで5分、200rpmで2分)し、100℃、10分間オーブン乾燥して、乾燥塗布量1.0g/m2の親水性層を形成して親水性部材を作製した。塗布面状は良好であった。この親水性部材の水滴接触角は5°以下であり、表面自由エネルギーは、88mN/mで、非常に親水性の高い表面であった。AFM測定(Digital Instruments社製NanoscopeV+D3100、探針Si単結晶、タッピングモード、5μm角の測定範囲)から、表面の中心線平均粗さRaは、0.005μmであった。表面形状の結果を表1に示す。
<親水性層塗布液(1)>
・コロイダルシリカ分散物20質量%水溶液 100g
(日産化学工業(株)製 スノーテックスC、平均粒径10〜20nm)
・コロイダルシリカ分散物40質量%水溶液 30g
(日産化学工業(株)製 スノーテックスZL、平均粒径70〜100nm)
・下記ゾルゲル調製液 500g
・下記アニオン系界面活性剤の5質量%水溶液 30g
・精製水 450g
Figure 2009255490
<ゾルゲル調製液>
エチルアルコール200g、アセチルアセトン10g、オルトチタン酸テトラエチル10g、精製水100g中に、テトラメトキシシラン(東京化成工業(株)製)8gと下記構造のシリル基含有親水性ポリマー5gを混合し、室温で2時間撹拌して、調製した。
Figure 2009255490
(評価)
上記親水性部材について、以下の評価を行った。
・親水性:協和界面科学株式会社製DropMaster500を用いて空中水滴接触角を測定した。使用した水滴は、通常の水よりも表面張力の大きい塩化マグネシウム水溶液(固形分濃度10質量%)を用い、表面親水性の検出感度を高めた条件で測定した。
・透明性(可視光透過率):分光光度計(日立分光光度計U3000)を用い、波長380nm〜780nmの可視光透過率を測定した。透過率の算出は、JIS規格R3106の方法に従った。
・耐水性:120cm2サイズの親水性部材を水中で加重1kgをかけてスポンジ往復10回こすり処理を行い、その前後の質量変化から残膜率を測定した。
・耐磨耗性:不織布(BEMCOT、旭化学繊維社製)で500gの加重をかけて100回こすり、空中水滴接触角を測定した。こすり後も水滴接触角(°)が低い値を示す場合、耐磨耗性が良好である。
・耐傷性:0.1mm径サファイア針に5gから始めて5gきざみに加重をかけて親水性層表面を走査し、傷つきが発生した加重を評価(新東科学株式会社製引っかき強度試験機Type18Sで測定)することにより引っかき試験を行った。加重が大きくても傷つきのないほうが耐傷性良好である。
・防曇性1:80℃のお湯を入れたポリカップに塗布サンプルをかぶせ、曇り具合を下記基準により目視判定した。
○:曇が観察されない。
△:部分的に曇が観察される。
×:表面全体が曇っている。
・防汚性1:カーボンブラック(FW-200、デクサ社製)5gを水95gに懸濁させたスラリーを調製し、親水性部材の表面に、全体が均一になるようにスプレーコートしたあと、60℃1時間乾燥させた。該、サンプルを流水で流しながら、ガーゼで洗浄し、乾燥させた後のカーボンブラックの付着状況を透過率(%)で測定した(日立分光光度計U3000使用)。
・防汚性2:50mlガラス容器にパルミチン酸を0.2gとり、親水性層を塗布したガラス基板で、親水性層側がパルチミン酸に曝されるように蓋をして105℃/1時間曝気後、30分流水洗浄、80℃/30分乾燥を1サイクルとし、5サイクル後の接触角を測定した。
◎:30°以下
○:31〜40°
△:41〜70°
×:71°以上
・耐候性:サンシャインカーボンアーク灯式促進耐候性試験機内に親水性部材を500時間曝露し、親水性、耐水性、耐磨耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、可視光透過率について前述の方法に従い評価した。下記基準により判定した。
○:全ての項目において暴露前と同等の性能
△:1つの項目が暴露前に劣る
×:2つ以上の項目が暴露前に劣る
その結果、水滴接触角は、5°以下で非常に親水性が高く、透明性も良好であり、耐水性も残膜率100%で極めて良好な性能を示し問題なかった。磨耗試験による親水性低下はなく、また引っかき試験では、50gまで傷付きがなく、耐傷性に優れていた。
防曇性は、全く曇りの発生が認められず、防汚性はカーボンブラックの付着が全く認められず、耐候性はいずれの評価においても耐候処理前後で変化はなく、良好な結果を与えた。結果を表3に記載した。
〔実施例2〕
実施例1記載のコロイダルシリカ分散物(スノーテックスZL、平均粒径70〜100nm)の添加量を50gにした以外は、実施例1と同様に親水性層を形成した。AFM測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、0.010μmであった。表面形状の結果を表1に示す。得られた親水性部材は、実施例1のものと同等の親水性、透明性、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性を有していた。結果を表3に記載した。
〔実施例3〜5〕
実施例1記載のコロイダルシリカ分散物(スノーテックスZL、平均粒径70〜100nm)の代わりに、シリカ粉末(サイリシア320、富士シリシア(株)製、平均粒径3.2μm)を全固形分量の20質量%添加、50質量%添加またはアクリル樹脂粒子(極性基ユニット5%導入、MX−150A、綜研化学(株)製、平均粒径1.5μm)全固形分量の50質量%添加した以外は、実施例1と同様に親水性層を形成した。触針式粗さ計(sufcom575、東京精密社製)で測定長3mmの間を2次元粗さ測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、それぞれ0.6μm、2.0μm、1.5μmであった。表面形状の結果を表1に示す。得られた親水性部材は、実施例1のものと同等の親水性、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性を有していた。結果を表3に記載した。
〔実施例6〕
実施例1記載のガラス基板上に下記組成の下塗り層塗布液(1)をスピンコート(100rpm2分の後、50rpmで5分、200rpmで2分)し、100℃、10分間オーブン乾燥して、乾燥塗布量5.0g/m2の下塗り層を形成した後、その上に実施例1記載の親水性層を塗布して親水性部材を作製した。塗布面状は良好であった。この親水性部材の水滴接触角は5°以下であり、表面自由エネルギーは、86mN/mで、非常に親水性の高い表面であった。AFM測定(Digital Instruments社製NanoscopeV+D3100、探針Si単結晶、タッピングモード、5μm角の測定範囲)から、表面の中心線平均粗さRaは、0.010μmであった。表面形状の結果を表1に示す。得られた親水性部材は、実施例1のものと同等の親水性、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性を有していた。結果を表3に記載した。
<下塗り層塗布液(1)>
・上記アクリル樹脂粒子 20g
・下記ゾルゲル調製液 500g
・実施例1記載のアニオン系界面活性剤の5質量%水溶液 30g
・精製水 450g
<ゾルゲル調製液>
エチルアルコール200g、アセチルアセトン10g、オルトチタン酸テトラエチル10g、精製水100g中に、テトラメトキシシラン(東京化成工業(株)製)8gを混合し、室温で2時間撹拌して、調製した。
〔実施例7〕(相分離による表面凹凸付与)
実施例1記載の親水性層塗布液(1)を下記親水性層塗布液(2)へ変更した以外は、実施例1と同様に親水性層を形成した。AFM測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、0.15μmであった。表面形状の結果を表1に示す。得られた親水性部材は、実施例1のものと同等の親水性、透明性、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性を有していた。結果を表3に記載した。
<親水性層塗布液(2)>
・コロイダルシリカ分散物20質量%水溶液
(スノーテックスC、平均粒径10〜20nm) 100g
・下記ゾルゲル調製液 500g
・実施例2記載のアニオン系界面活性剤の5質量%水溶液 30g
・精製水 450g
<ゾルゲル調製液>
エチルアルコール200g、アセチルアセトン10g、オルトチタン酸テトラエチル10g、精製水100g中に、テトラメトキシシラン(東京化成工業(株)製)8gと下記構造のシリル基含有親水性ポリマー5gを混合し、室温で2時間撹拌して、調製した。
Figure 2009255490
〔実施例8〕
実施例1記載のゾルゲル調製液に含まれるテトラメトキシシランを除き、親水性ポリマーを、下記左のものを4gと下記右のものを1g混合したものに変更した以外は、実施例1と同様に親水性層を形成した。AFM測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、0.08μmであった。表面形状の結果を表1に示す。得られた親水性部材は、実施例1のものと同等の親水性、透明性、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性を有していた。結果を表3に記載した。
Figure 2009255490
〔実施例9〕
実施例1記載のフロートガラスをアルミニウム板に変更し、洗浄方法をアルカリ性洗浄液(横浜油脂、セミクリーンA 5%水溶液)に10分浸漬し、水洗を3回繰り返す方法に変更した以外は実施例1と同様に親水性層を形成した。AFM測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、0.41μmであった。表面形状の結果を表1に示す。得られた親水性部材は、実施例1のものと同等の親水性、透明性、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性を有していた。結果を表3に記載した。
〔実施例10〕
ゾルゲル調製液において、触媒であるエチルアルコール200g、アセチルアセトン10g、オルトチタン酸テトラエチル10gをチタン(ジ-i-プロポキシド)ビス(アセチルアセトナート)(和光純薬工業(株)社製)に変更した以外は実施例1と同様に親水性層を形成した。AFM測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、0.005μmであった。表面形状の結果を表1に示す。得られた親水性部材は、実施例1のものと同等の親水性、透明性、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性を有していた。結果を表3に記載した。
〔実施例11〕
ゾルゲル調製液において、触媒であるエチルアルコール200g、アセチルアセトン10g、オルトチタン酸テトラエチル10gの混合物をアルミニウムアセチルアセトナート(和光純薬工業(株)社製)に変更した以外は実施例1と同様に親水性層を形成した。AFM測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、0.005μmであった。表面形状の結果を表1に示す。得られた親水性部材は、実施例1のものと同等の親水性、透明性、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性を有していた。結果を表3に記載した。
〔実施例12〕
ゾルゲル調製液において、触媒であるエチルアルコール200g、アセチルアセトン10g、オルトチタン酸テトラエチル10gの混合物をジルコゾールZA−30(ZrO(C水溶液、第一稀元素化学(株)製)に変更した以外は実施例1と同様に親水性層を形成した。AFM測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、0.005μmであった。表面形状の結果を表1に示す。得られた親水性部材は、実施例1のものと同等の親水性、透明性、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性を有していた。結果を表3に記載した。
〔実施例13〕
ゾルゲル調製液において、触媒であるエチルアルコール200g、アセチルアセトン10g、オルトチタン酸テトラエチル10gの混合物とテトラメトキシシランを除いた以外は実施例1と同様に親水性層を形成した。AFM測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、0.005μmであった。表面形状の結果を表1に示す。得られた親水性部材は、実施例1のものと同等の親水性、透明性、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性を有していた。結果を表3に記載した。
〔実施例14〕
ゾルゲル調製液において、テトラメトキシシランをテトラエトキシシランに変更した以外は、実施例1と同様に親水性層を形成した。AFM測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、0.006μmであった。表面形状の結果を表1に示す。得られた親水性部材は、実施例1のものと同等の親水性、透明性、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性を有していた。結果を表3に記載した。
〔実施例15〕
ゾルゲル調製液において、親水ポリマーを下記のものに変更した以外は実施例1と同様に親水性層を形成した。AFM測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、0.005μmであった。表面形状の結果を表1に示す。得られた親水性部材は、実施例1のものと同等の親水性、透明性、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防曇性、防汚性、耐候性を有していた。結果を表3に記載した。
Figure 2009255490
〔比較例1〕
ゾルゲル調製液において、テトラメトキシシランを除き、親水ポリマーをPVA(分子量22000 和光純薬工業(株)社製)に変更した以外は、実施例4と同様に親水性層を形成した。AFM測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、0.004μmであった。表面形状の結果を表2に示す。得られた親水性部材の評価結果を表4に記載した。
〔比較例2〕
ゾルゲル調製液において、テトラメトキシシランを除き、親水ポリマーをポリアクリルアミド(分子量10000 和光純薬工業(株)社製)に変更した以外は、実施例4と同様に親水性層を形成した。AFM測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、0.004μmであった。表面形状の結果を表2に示す。得られた親水性部材の評価結果を表4に記載した。
〔比較例3〕
ゾルゲル調製液を、エチルアルコール200g、アセチルアセトン10g、オルトチタン酸テトラエチル10g、精製水100g中に、下記構造の親水性ポリマー5gとエチレングリコールジグリシジルエーテル(和光純薬工業(株)社製)0.5gを混合し、室温で2時間撹拌して、調製した以外は実施例4と同様に親水性層を形成した。AFM測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、0.003μmであった。表面形状の結果を表2に示す。得得られた親水性部材の評価結果を表4に記載した。
Figure 2009255490
〔比較例4〕
実施例1記載のコロイダルシリカ分散物(スノーテックスZL、平均粒径70〜100nm)の代わりに、シリカ粉末(サイリシア470、富士シリシア(株)製、平均粒径12μm)を全固形分量の20質量%添加した以外は、実施例1と同様に親水性層を形成した。AFM測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、2.1μmであった。表面形状の結果を表2に示す。得られた親水性部材の評価結果を表4に記載した。
〔比較例5〕
実施例1記載のコロイダルシリカ分散物(スノーテックスZL、平均粒径70〜100nm)の代わりに、シリカ粉末(サイリシア470、富士シリシア(株)製、平均粒径12μm)を全固形分量の40質量%添加した以外は、実施例1と同様に親水性層を形成した。AFM測定した結果、得られた親水性部材表面の中心線平均粗さRaは、4.1μmであった。表面形状の結果を表2に示す。得られた親水性部材の評価結果を表4に記載した。
Figure 2009255490
Figure 2009255490
Figure 2009255490
Figure 2009255490
実施例1〜15のいずれにおいても良好な親水性、透明性、耐水性、耐摩耗性、耐傷性、防汚性、耐候性を有していた。それに比べて比較例1〜5はそれぞれの性能を両立していなかった。
比較例1〜3は本発明の親水ポリマーと異なる親水ポリマーを用いたため親水性、耐摩耗性、耐傷性が低かった。
また、比較例4,5は、本発明の親水ポリマーを用いたにもかかわらず耐磨耗性、耐傷性が低かった。これは表面凹凸が大き過ぎる事が要因である。

Claims (18)

  1. 基材上に、加水分解性シリル基含有親水性ポリマーを含有する親水性層を有する親水性部材であって、該親水性層表面の中心線平均粗さRaが0.005μm≦Ra≦2μmの範囲であることを特徴とする親水性部材。
  2. 前記親水性層表面凹凸の平均間隔(Sm)が0.1〜100μm、十点平均粗さ(Rz)と中心線平均粗さ(Ra)の比(Rz/Ra)が20以下、表面凹凸の最大高さ(Ry)が10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の親水性部材。
  3. 前記親水性層が、平均粒径0.03μm〜10μmのフィラーを1〜90質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の親水性部材。
  4. 基材上に、下塗り層と加水分解性シリル基含有親水性ポリマーを含有する親水性層とをこの順で有する親水性部材であって、該下塗り層が均粒径0.03μm〜10μmのフィラーを1〜90質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の親水性部材。
  5. 前記加水分解性シリル基含有親水性ポリマーが、親水性基を含む構造単位と、ポリマーの主鎖末端または側鎖に下記一般式(a)で表される加水分解性シリル基を少なくとも1個有し、該親水性基を含む構造単位が、加水分解性シリル基含有親水性ポリマー全体の30mol%以上含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の親水性部材。
    一般式(a):
    −Si(R102a−(OR1013-a
    (一般式(a)中、R101は水素原子またはアルキル基を表し、R102は水素原子またはアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれる1価の炭化水素基を表す。aは0〜2の整数を表す。R101またはR102が複数存在する場合は、各々同一でも異なっていてもよい。)
  6. 前記加水分解性シリル基含有親水性ポリマーが、下記一般式(I)、(II)、及び(IV)で表される構造の少なくとも1種を有するポリマーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の親水性部材。
    Figure 2009255490
    (一般式(I)および(II)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表し、Xは前記一般式(a)で表される加水分解性シリル基を表し、AおよびL1、L2,L3は、それぞれ独立に単結合または連結基を表し、Yは−NHCOR7、−CONH2、−CON(R72、−COR7、−OH、−CO2M、−SO3M、−PO3M、−OPO3M、又は−N(R731を表す。ここで、R7はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はオニウムを表し、Z1はハロゲンイオンを表す。Bは下記一般式(III)で表される構造を有する基を表す。)
    Figure 2009255490
    (一般式(III)中、R1、R2、L1及びYの定義は、一般式(I)および(II)中のものと同じである。)
    Figure 2009255490
    (一般式(IV)において、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立に、一般式(I)のR1、R2と同様の置換基を表す。L、Lは、一般式(I)のL1と同義である。YおよびXは、式(I)および(II)中のYおよびXと同義である。m2とn2は各構造の組成比を表す。ただし、m2≧30、m2+n2=100である。)
  7. 前記の一般式(IV)におけるLが、単結合、または、−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−および−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する連結基を表すことを特徴とする請求項6に記載の親水性部材。
  8. 前記親水性層が、架橋剤および/または硬化触媒をさらに含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の親水性部材。
  9. 前記架橋剤が、金属アルコキシド化合物であることを特徴とする請求項8に記載の親水性部材。
  10. 前記硬化触媒が、金属錯体であることを特徴とする請求項8に記載の親水性部材。
  11. 加水分解性シリル基含有親水性ポリマーおよびフィラーを含有する親水性組成物であって、該フィラーの平均粒径が0.03μm〜10μmの範囲であり、該フィラーの含有量が1〜90質量%の範囲であることを特徴とする親水性組成物。
  12. 架橋剤および/または硬化触媒をさらに含有することを特徴とする請求項11に記載の親水性組成物。
  13. 前記親水性層が、前記一般式(I)で表される構造を有する親水性ポリマー(A)及び前記一般式(IV)で表される構造を有する親水性ポリマー(B)を含有し、
    前記親水性ポリマー(A)と前記親水性ポリマー(B)の質量比(親水性ポリマー(A)/親水性ポリマー(B))が、5/95〜50/50の範囲であることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の親水性部材。
  14. 請求項1〜10、13のいずれかに記載の親水性部材を用いたことを特徴とするフィン材。
  15. パルミチン酸に一時間曝気、30分水洗、30分乾燥を5サイクル繰返した後の水接触角が40°以下であることを特徴とする請求項14に記載のフィン材。
  16. 請求項15に記載のフィン材がアルミニウム製であることを特徴とするアルミニウム製フィン材。
  17. 請求項16に記載のアルミニウム製フィン材を用いたことを特徴とする熱交換器。
  18. 請求項17に記載の熱交換器を用いたことを特徴とするエアコン。
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