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JP2008201812A - 親水性皮膜転写シート、及びそれを用いて得た親水性構造体とその製造方法 - Google Patents

親水性皮膜転写シート、及びそれを用いて得た親水性構造体とその製造方法 Download PDF

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JP2008201812A
JP2008201812A JP2007035810A JP2007035810A JP2008201812A JP 2008201812 A JP2008201812 A JP 2008201812A JP 2007035810 A JP2007035810 A JP 2007035810A JP 2007035810 A JP2007035810 A JP 2007035810A JP 2008201812 A JP2008201812 A JP 2008201812A
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Makoto Fukuda
誠 福田
Satoshi Hoshi
聡 星
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Fujifilm Corp
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Abstract

【課題】本発明の目的は、平滑面および曲面部材表面に親水性皮膜を作成する製造方法、或いは耐久性・耐水性を有する親水性皮膜の製造方法を提供することにある。
【解決手段】仮支持体上に、a)親水性ポリマー、b) Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物、c)b)の金属アルコキシド化合物を加水分解、重縮合し、a)の親水性ポリマーとの結合を生起する触媒を含有する親水性被膜を、該表面を仮支持体側に向いた形で形成させることにより、平滑面、曲面部材問わず様々な部材に耐久性・耐水性に優れた親水性部材を提供することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、親水性皮膜転写シート、親水性構造体及びその製造方法に関し、詳細には、親水性、耐久性、耐水性及び保存安定性に優れた親水性皮膜転写シート、親水性構造体及びその製造方法に関する。
樹脂フィルム表面を有する製品・部材は、幅広い分野で用いられ、目的に応じ加工され機能を付与した上で使用されている。但しそれらの表面は、樹脂本来の特性から、疎水性・親油性を示すものが一般的である。従って、これらの表面に汚れ物質として、油分等が付着した場合、容易に除去することができず、また蓄積することにより、該表面を有する製品・部材の機能・特性を著しく低下させることがあった。また高湿度の条件や降雨下に曝される製品・部材では、水滴が付着することにより、透明な機能を有する製品・部材において、光の乱反射により光の透過性が阻害される問題があった。ガラスや金属等の無機表面を有する製品・部材においても、油分等の汚れ物質の付着に対する防汚性は十分とは言えず、水滴の付着による防曇性についても十分ではなかった。特に自動車用ガラス、建材用ガラスでは、都市媒塵、自動車等の排気ガスに含有されるカーボンブラック等の燃焼生成物、油脂、シーラント溶出成分等の疎水性汚染物質が付着する場合や、水滴の付着によりガラスを透して(鏡の場合は反射して)視界を確保することが妨げられる場合が多く、防汚性や防曇性の機能付与が強く求められていた。
防汚性の観点から、汚れ物質を油分等の有機系物質と想定すると、汚れ防止の為には材料表面との相互作用を低減する、即ち親水化するか、撥油化する必要がある。また防曇性に対しても、付着水滴を表面に一様に拡げる拡張濡れ性(即ち親水性)を付与するか、付着水滴を除去し易くさせる撥水性を付与することが必要となる。従って、現在検討されている防汚・防曇材料は、親水化や撥水・撥油化に依拠しているものが多い。
従来提案されている親水化するための表面処理方法、例えば、エッチング処理、プラズマ処理等によれば、高度に親水化されるものの、その効果は一時的であり、親水化状態を長期間維持することができない。また、親水性樹脂の一つとして親水性グラフトポリマーを使用した表面親水性塗膜も提案されている(非特許文献1)。この報告によればこの塗膜はある程度の親水性を有するものの、基材との親和性が充分とはいえず、より高い耐久性が求められている。
その他の表面親水性機能を有する部材として、従来から光触媒として酸化チタンの利用が知られている。これは、光照射による有機物の酸化分解機能と親水化機能に基づくもので、例えば、特許文献1において、基材表面に光触媒含有層を形成すると、光触媒の光励起に応じて表面が高度に親水化されることが開示されており、この技術をガラス、レンズ、鏡、外装材、水回り部材等の種々の複合材に適用すれば、これら複合材に優れた防曇、防汚等の機能を付与できることが報告されている。酸化チタンをガラス表面にコーティングした部材は、セルフクリーニング材料として、建材用窓ガラスや自動車用フロントガラスに使用されているが、防汚性や防曇性の機能発現には、長時間太陽光の下に曝すことが必要であり、長期経時での汚れの蓄積により、その性質が劣化することは避けられなかった。また膜強度が十分とは言えず、耐久性の向上が必要であった。またプラスチック基板上に酸化チタン層を設けたセルフクリーニングフィルムも自動車用サイドミラー等に使用されているが、同じく十分な膜強度を有さず、より良好な耐摩耗性を有する親水性材料が求められていた。
一方、撥水・撥油性に基づく防汚・防曇性材料としては、主にシリコーン化合物やフッ素化合物が使用されている。例えば、基板表面を末端シラノール有機ポリシロキサンで被覆した防汚材料が特許文献2に、ポリフルオロアルキル基を有するシラン化合物を有する材料が特許文献3に、二酸化珪素を主成分とする光学薄膜とパーフルオロアクリレートとアルコキシシラン基を有するモノマーとの共重合体との組み合わせが特許文献4に開示されている。しかしながらこれらのシリコーン化合物やフッ素化合物を用いた防汚材料は、防汚性が不十分であり、指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れを除去し難く、フッ素やシリコーン等の表面エネルギーの低い化合物による表面処理は、経時による機能の低下が懸念され、耐久性の優れた防汚・防曇性部材の開発が望まれていた。
国際公開第96/29375号パンフレット 特開平4−338901号公報 特公平6−29332号公報 特開平7−16940号公報 化学工業日報、1995年1月30日
本発明の目的は、各種基材表面に親水性に優れ、且つ、より良好な耐久性・耐水性を有する保存安定性に優れた親水性被膜を有する親水性被膜転写シート、親水性構造体及びその製造方法を提供することにある。
また、特に大きな面積の曲面基材においても、均一膜厚の親水性皮膜の形成が容易な親水性被膜転写シート、親水性構造体及びその製造方法を提供するものである。
上記課題を達成するために、親水性グラフトポリマーの特性に着眼し研究を進めた結果、本発明者らは、親水性ポリマーと金属アルコキシドを加水分解、縮重合することにより形成された架橋構造とを備えた表面層により上記目的を達成し得ること、さらには、このような架橋構造を有する表面層が反応性基を末端に有する親水性ポリマーあるいは、グラフト鎖を有する親水性ポリマーを架橋剤と組み合わせることにより硬化性の良い膜が得られることを見出し、この親水性皮膜の親水性表面側に仮支持体を設けた親水性皮膜転写シートとし、これを親水性を付与したい基材上に上記親水性表面とは反対側、すなわち仮支持体とは反対側を接して設けた後、該仮支持体を剥離することにより、優れた親水性と視認性及び美観に優れた親水性構造体を得ることができることを見出した。該親水性皮膜転写シートを用いることにより、曲面基材に対しても均一膜厚の親水性皮膜を容易に形成することが出来る。特に大きな面積の親水性皮膜を容易に形成できる点で本発明は有用である。
即ち、本発明は以下のとおりである。
(1)仮支持体上に、
a) 親水性ポリマー、
b) Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物、
c) b)の金属アルコキシド化合物を加水分解、重縮合し、a)の親水性ポリマーとの結合を生起する触媒、
を含有する親水性被膜を、該表面を仮支持体側に向いた形で有する親水性皮膜転写シート。
(2)前記親水性皮膜が、さらにd)コロイダルシリカを含有する前記(1)に記載の親水性皮膜転写シート。
(3)前記a)の親水性ポリマーが、下記一般式(I)〜(III)のいずれか少なくとも1種で表される(1)または(2)に記載の親水性皮膜転写シート。
Figure 2008201812
一般式(I)〜(III)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、Xは反応性基(カルボキシル基、その塩、無水カルボン酸基、アミノ、ヒドロキシル、エポキシ基、メチロール、メルカプト、イソシアナート、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合、テトラゾール基)を表し、AおよびL、L,L、L4及びL5は、それぞれ独立に単結合または連結基を示し、Yは−NHCOR11、−CONH2、−CON(R112、−COR11、−OH、−CO2M、−SO3M、−POM、−OPOM又は−N(R11を表し、ここで、R11は炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Zはハロゲンイオンを表し、Bは下記一般式(IV)を表す。
Figure 2008201812
一般式(IV)中、R1、R2、L及びYは上記一般式(I)中のものと同じものを表す。
(4)前記a)親水性ポリマーの親水性基の密度が1〜30meq/gである、(1)〜(3)のいずれかに記載の親水性皮膜転写シート。
(5)前記a)親水性ポリマーの粘度が0.1〜100cPs(5%水溶液)である、(1)〜(4)のいずれかに記載の親水性皮膜転写シート。
(6)親水性皮膜の前記仮支持体と反対側の面上に、更に接着層を有する、(1)〜(5)のいずれかに記載の親水性皮膜転写シート。
(7)前記接着層が、ゴム系、アクリル系及びシリコーン系のいずれかを含む透明接着剤からなる、(6)に記載の親水性皮膜転写シート。
(8)(1)〜(7)に記載の親水性皮膜転写シートにおける前記親水性皮膜を他の基材上に設けた後、前記支持体を剥離することによる、親水皮膜を基材上に有する親水性構造体の製造方法。
(9)(6)又は(7)に記載の親水性皮膜転写シートにおける前記親水性皮膜を、前記接着層を介して、他の基材に設けた後、前記仮支持体を剥離することによる、親水性皮膜を基材上に有する親水性構造体の製造方法。
(10)(1)〜(7)に記載の親水性皮膜転写シートにおける前記親水性皮膜を他の基材上に設けた後、前記仮支持体を剥離することにより製造される、親水性皮膜を基材上に有する親水性構造体。
(11)(6)又は(7)に記載の親水性皮膜転写シートにおける前記親水性皮膜を、前記接着層を介して他の基材上に設けた後、前記仮支持体を剥離することにより製造される、親水性皮膜を基材上に有する親水性構造体。
(12)
仮支持体上に、
a)親水性ポリマー、
b)Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物、
及びc)前記b)の金属アルコキシド化合物を加水分解、重縮合し、前記a)の親水性ポリマーとの縮合を生起する触媒
を含有する親水性皮膜用組成物を用いて架橋構造親水性皮膜を形成することを特徴とする親水性皮膜転写シートの製造方法。
本発明の親水性皮膜転写シートを、仮支持体と反対側の親水性皮膜(親水性層とも称する)の面を接着層等を介してガラスなどのほかの基材上に接する形で設けた後、該仮支持体を剥離することにより、容易に親水性皮膜を付与することができ、更に、曲面基材に対しても、大きな面積の基材に対しても、均一な親水性層を容易に得ることができる。
また、特定の触媒の作用により、親水性ポリマーが、金属アルコキシドを加水分解、縮重合することにより形成された架橋構造を有しており、該親水性ポリマーは、末端で化学結合しているか、または、架橋構造物に化学結合した主鎖に親水性ポリマーが結合しているグラフトポリマー構造を有しているため、親水層ポリマー鎖の運動性が非常に高く、親水性に優れた親水性皮膜を提供できる。
また、金属アルコキシドを加水分解、縮重合した架橋構造は、架橋密度の高い硬化膜であり、強度に優れた耐久性の良い皮膜を形成する。そのため、基材上に設けた親水性層が、製造時などのハンドリング時における曲げに対して、ひび割れなどの故障を起こすことなく、常に、正常な親水性皮膜を提供できる。
また、前記親水性皮膜は、表面親水性が非常に高いにもかかわらず、金属アルコキシドの加水分解、重縮合により、架橋密度の高い硬化膜が得られるため、その親水性層は水を含みにくい性質があり、そのため、環境湿度(特に高湿条件下)によるベタツキが抑制され、構造物を重ねて保管したときの、裏面接着防止に効果がある。すなわち、構造物の保存時における、親水性層表面と上に重なった構造物の裏面接着による剥がれなどの故障を抑えることが可能である。
以下に、本発明について詳細に説明する。
〔転写シート〕
本発明の親水性皮膜転写シート10は、図1に拡大した概略概念図で示すように、親水性皮膜1と該親水性表面2と接する側に仮支持体5を少なくとも有し、必要に応じて、親水性皮膜1の上記仮支持体5とは反対側に、接着層3を有するものである。更に必要に応じて、親水性皮膜1と仮支持体5との間に下塗り層4を有していても良い。
親水性を付与したいほかの基材20上に、必要に応じて接着層3を介して、上記親水性皮膜転写シート10を接着することにより、容易に基材20上に親水性皮膜1を設けることができる。その後、仮支持体5は剥離することにより、図2に示すように、基材20上に、親水性表面を備えた親水性皮膜1を有する、親水性構造体30が得られる。
表面に親水性皮膜1を形成した基材20は、基材表面と付着水滴間に働く相互作用の制御を行うことができ、高い親水性能が達成される。また、親水性皮膜1を転写シートとしてラミネーションで貼り付けることができるため、基材の形状などによらず良好に接着することができ、視認性及び美観に優れた表面処理基材を得ることができる。
[仮支持体]
本発明では仮支持体上に上記の通りの親水性皮膜を設ける。
仮支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエチレンサルファイド、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルムなどを挙げることができる。
仮支持体の厚さは特に限定的ではなく、10μm〜200μmが好ましい。
仮支持体上に、親水性皮膜を設ける方法は特に限定的ではなく、例えば、塗布、蒸着、貼り付け、圧着などがあげられる。好ましくは親水性ポリマーを含有する水溶液を調製し、仮支持体上に塗布、乾燥する方法である。
塗布方法としては、浸漬引き上げ、スプレー、スピンコート、カーテンコート等既知の塗布手段を用いることができる。塗布溶液は、塗布方法などの必要に応じて有機溶媒、水などで希釈して用いることができる。
[下塗り層]
本発明においては、仮支持体と親水性皮膜との間に必要に応じて下塗り層を設けることができる。
この下塗り層は、仮支持体上に親水性被膜形成用塗布液を塗布する際の塗布性、形成された被膜の被膜安定性、仮支持体を剥離する際の剥離容易性等を良好にするものである。
また、この下塗り層は仮支持体を剥離した直後は親水性皮膜上には残っていない状態となるものである。
下塗り層の素材としては、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチル化セルロースなどといった親水性樹脂を例に挙げることができる。
[接着層]
本発明では、更に上記仮支持体と反対側の親水性皮膜上に、必要に応じて接着層を設けても良い。これにより、他の基材上への親水性皮膜が設定し易くなる。
接着層の素材としては、親水性樹脂や水分散性ラテックスを用いることができる。
親水性樹脂としては、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、等〕等が挙げられる。また、カルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
上記の中でも、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、ゼラチン類が好ましい。
水分散性ラテックスとしては、アクリル系ラテックス、ポリエステル系ラテックス、NBR樹脂、ポリウレタン系ラテックス、ポリ酢酸ビニル系ラテックス、SBR樹脂、ポリアミド系ラテックス等が挙げられる。中でも、アクリル系ラテックスが好ましい。
上記の親水性樹脂及び水分散性ラテックスは、各々一種単独で用いるほか二種以上を併用してもよく、親水性樹脂と水分散性ラテックスとを併用してもよい。
また、上記親水性樹脂や水分散性ラテックスを架橋する架橋剤を用いても良い。
本発明に適応可能な架橋剤としては、公知の熱により架橋を形成する架橋剤を用いることができる。一般的な熱架橋剤としては、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊(1981)に記載されているものがある。本発明に用いられる架橋剤の官能基数は2個以上で、且つ、親水性樹脂や水分散性ラテックスと有効に架橋可能ならば特に制限はない。具体的な熱架橋剤としては、ポリアクリル酸等のポリカルボン酸、ポリエチレンイミン等のアミン化合物、エチレンまたはプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレンチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレンまたはポリプロピレングリコールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物、グリオキザル、テレフタルアルデヒドなどのポリアルデヒド化合物、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、イソプロピルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシアネート付加反応物などのポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、テトラアルコキンシランなどのシランカップリング剤、アルミニウム、銅、鉄(III)のアセチルアセトナートなどの金属架橋剤、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトールなどのポリメチロール化合物、などが挙げられる。これらの熱架橋剤のなかでも、塗布溶液の調液のしやすさ、作製した親水性層の親水性低下を防止するという観点から水溶性の架橋剤であることが好ましい。
本発明では、上記の親水性皮膜転写シートを、親水性を付与したい基材上に、必要に応じて基材上に設けた接着層や上記親水性皮膜転写シートに設けた接着層を介して、接着させることにより、親水性構造体を容易に得ることができる。
本発明では、基材と親水性皮膜の間に下地層を設けても良い。基材表面の影響を受けにくくするあるいは、基材表面での官能基の増加が期待できる下地層が、親水性皮膜の耐久性を向上させる面からより好ましい。
基材上に親水性皮膜を設ける方法としては、特に限定されず、公知のラミネート法を用いることができる。例えば、基材20が平板の場合には、図3に示すような形式のロールラミネーターが使用できる。また、基材20が自動車フロントガラスのような曲面表面を有している場合には、図4に示すように、本発明の転写シート10をロボットアーム90で引っ張りながらラミネーションすることにより、容易にムラなく親水性皮膜を基材上に設けることができる。
〔親水性皮膜〕
前記したような金属アルコキシドを触媒の作用により、加水分解、縮重合により形成された架橋構造を、本発明では以下、適宜、ゾルゲル架橋構造とも称する。このようなポリマー鎖の片末端が固定されずポリマー鎖の運動性が大きい親水性層は、a)親水性ポリマー、b)Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物、c)前記b)の金属アルコキシド化合物を加水分解、重縮合し、前記a)の親水性ポリマーとの結合を生起する触媒、を含有する親水性塗布液組成物を調製し、それを塗布、乾燥して表面親水性層を形成することにより容易に形成し得る。以下に、この好ましい態様である親水性層を形成するための親水性塗布液組成物に含まれる各成分について説明する。
〔親水性ポリマー〕
本発明に使用される親水性ポリマーは、親水性基を有し、且つSi、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物と、触媒の作用により結合を生じる基を有するポリマーである。親水性基としては、好ましくはカルボキシ基、カルボキシ基のアルカリ金属塩、スルホン酸基、スルホン酸基のアルカリ金属塩、ヒドロキシ基、アミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルファモイル基等の官能基が挙げられる。これらの基は、ポリマー中のどの位置に存在しても良い。ポリマー主鎖より直接、または連結基を介し結合しているか、ポリマー側鎖やグラフト側鎖中に結合しており、複数個が存在するポリマー構造が好ましい。金属アルコキシド化合物と、触媒の作用により結合を生じる基としては、カルボキシル基、カルボキシ基のアルカリ金属塩、無水カルボン酸基、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、メチロール基、メルカプト基、イソシアナート基、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和基、エステル基、テトラゾール基などの反応性基が挙げられる。また親水性基、および金属アルコキシド化合物と触媒の作用により結合を生じる基を有するポリマー構造としては、エチレン性不飽和基(例えばアクリレート基、メタクリレート基、イタコン酸基、クロトン酸基、桂皮酸基、スチレン基、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基など)がビニル重合したポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミック酸などのような縮重合したポリマー、ポリウレタンなどのような付加重合したポリマーの他、セルロース、アミロース、キトサンなどの天然物環状ポリマー構造を好ましく挙げることができる。本発明の親水性ポリマーは好ましくは、下記一般式(I)、(II)、または(III)のいずれかで表される化合物である。これらは1種でも、2種以上含有していてもよい。
Figure 2008201812
上記一般式(I)〜(III)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、Xは反応性基(カルボキシル基、その塩、無水カルボン酸基、アミノ、ヒドロキシル、エポキシ基、メチロール、メルカプト、イソシアナート、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合、テトラゾール基)を表し、AおよびL、L,L、L4及びL5は、それぞれ独立に単結合または連結基を示し、Yは−NHCOR11、−CONH2、−CON(R112、−COR11、−OH、−CO2M、−SO3M、−POM、−OPOM又は−N(R11を表し、ここで、R11は炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Zはハロゲンイオンを表し、Bは下記一般式(IV)を表す。
Figure 2008201812
一般式(IV)中、R1、R2、L及びYは上記一般式(I)におけるR1、R2、L及びYと同義である。
本発明で用いられる親水性ポリマーは、反応性基と親水性基を有する。反応性基は、主鎖の一つの末端のみに有する場合や、主鎖に複数個有する場合などがある。
「反応性基」は、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物に反応して化学結合を形成できる官能基を意味する。また、反応性基同士が化学結合を形成してもよい。親水性ポリマーは、水溶性であることが好ましく、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物と反応することにより水不溶性になることが好ましい。
化学結合は、通常の意味と同様に、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合を含む。化学結合は、共有結合であることが好ましい。
反応性基は、一般には、ポリマーの架橋剤に含まれる反応性基と同様であり、熱または光により架橋を形成できる化合物である。架橋剤について、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊(1981)に記載がある。
反応性基の例は、カルボキシル(HOOC−)、その塩(MOOC−、Mはカチオン)、無水カルボン酸基(例えば、無水コハク酸、無水フタル酸または無水マレイン酸から誘導される一価の基)、アミノ(HN−)、ヒドロキシル(HO−)、エポキシ基(例、グリシジル基)、メチロール(HO−CH−)、メルカプト(HS−)、イソシアナート(OCN−)、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合、テトラゾール基を含む。反応性基としては、アルコキシシリル基が最も好ましい。片末端には、2以上の反応性基を有していてもよい。2以上の反応性基は、互いに異なっていてもよい。
親水性ポリマーの繰り返し単位と反応性基との間や、親水性ポリマーの繰り返し単位と主鎖に連結基が介在していることが好ましい。連結基A、L、L、Lは、それぞれ独立に単結合または、−O−、−S−、−CO−、−NH−、−N<、脂肪族基、芳香族基、複素環基、およびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。連結基は、−O−、−S−、−CO−、−NH−、あるいは、−O−または−S−または−CO−または−NH−を含む組み合わせであることが好ましい。
(末端に反応性基を有する親水性ポリマー(I))
片末端に反応性基を有する親水性ポリマーは、例えば、連鎖移動剤(ラジカル重合ハンドブック(エヌ・ティー・エス、蒲池幹治、遠藤剛)に記載)やIniferter (Macromolecules1986,19,p287−(Otsu)に記載)の存在下に、親水性モノマー(例、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸3−スルホプロピルのカリウム塩)をラジカル重合させることにより合成できる。連鎖移動剤の例は、3−メルカプトプロピオン酸、2−アミノエタンチオール塩酸塩、3−メルカプトプロパノール、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む。また、連鎖移動剤を使用せず、反応性基(例、カルボキシル)を有するラジカル重合開始剤を用いて、親水性モノマー(例、アクリルアミド)をラジカル重合させてもよい。
片末端に反応性基を有する親水性ポリマーの質量平均分子量は、100万以下が好ましく、1000乃至100万がさらに好ましく、2000乃至10万が最も好ましい。
上記一般式(I)で表される高分子化合物は、末端に反応性基を有する親水性ポリマーである。上記一般式(I)において、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数8以下の炭化水素基を表す。炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素数8以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。R1、R2は、効果及び入手容易性の観点から、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12まての分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチルと、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチルル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキシエチル基、2−オキシプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、
クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルアバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノへキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
AおよびLは単結合又は有機連結基を表す。ここで、AおよびLが有機連結基を表す場合、AおよびLは非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には、0個から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、0個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位またはこれらが組合わされて構成されるものを挙げることができる。
Figure 2008201812
また、Yは−NHCOR11、−CONH2、−CON(R112、−COR11、−OH、−CO2M、−SO3M、−POM、−OPOM又は−N(R11を表し、ここで、R11は、炭素数1〜18の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Zはハロゲンイオンを表す。また、−CON(R112のように複数のR11を有する場合、R11同士が結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。R11はさらに置換基を有していてもよく、ここで導入可能な置換基としては、前記R1、R2がアルキル基の場合に導入可能な置換基として挙げたものを同様に挙げることができる。
11としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。また、Mとしては、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、又は、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが挙げられる。Yとしては、具体的には、−NHCOCH3、−CONH2、−COOH、−SO3 NMe4 +、モルホリル基等が好ましい。
本発明に好適に用い得るa)親水性ポリマーの具体例(例示化合物1〜例示化合物38)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008201812
Figure 2008201812
Figure 2008201812
Figure 2008201812
上記に例示した親水性ポリマーは、下記一般式(i)で表されるラジカル重合可能なモノマーと、下記一般式(ii)で表されるラジカル重合において連鎖移動能を有するシランカップリング剤を用いてラジカル重合することにより合成することができる。シランカップリング剤(ii)が連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端にシランカップリング基が導入されたポリマーを合成することができる。
Figure 2008201812
上記式(i)及び(ii)において、A、R1〜R2、L、Yは、上記一般式(I)におけるものと同義である。また、これらの化合物は、市販されおり、また容易に合成することもできる。
(複数個反応性基を有する親水性ポリマー(II))
上記一般式(II)で表される反応性基を複数個有する親水性ポリマーは、金属アルコキシドと反応し得る官能基を有する幹ポリマーに親水性ポリマー側鎖を導入してなる親水性グラフトポリマーを用いることができる。
上記一般式(II)において、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、上記一般式(I)のR1、R2と同義である。L2、L3は、上記一般式(I)のL1と同義である。Bは、上記一般式(IV)で表され、一般式(IV)中の、R1、R2、L及びYは各々一般式(I)におけるものと同じである。Xは上記一般式(I)におけるものと同義である。
この親水性グラフトポリマーは、一般的にグラフト重合体の合成法として公知の方法を用いて作成することができる。具体的には、一般的なグラフト重合体の合成方法は、“グラフト重合とその応用”井手文雄著、昭和52年発行、高分子刊行会、および“新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1995、に記載されており、これらを適用することができる。
グラフト重合体の合成方法としては、基本的に1.幹高分子から枝モノマーを重合させる、2.幹高分子に枝高分子を結合させる、3.幹高分子に枝高分子を共重合させる(マクロマー法)という3つの方法に分けられる。これらの3つの方法のうち、いずれを使用しても本発明に用いる親水性グラフトポリマーを作成することができるが、特に製造適性、膜構造の制御という観点からは「3.マクロマー法」が優れている。
マクロモノマーを使用したグラフトポリマーの合成は前記の“新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1995に記載されている。また山下雄他著“マクロモノマーの化学と工業”アイピーシー、1989にも詳しく記載されている。本発明に使用されるグラフトポリマーは、まず、前記の方法により合成した親水性のマクロモノマー(親水性ポリマー側鎖の前駆体に相当する)と架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマーとを共重合することにより、合成することができる。
(親水性マクロモノマー)
本発明で使用される親水性マクロモノマーのうち特に有用なものは、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン酸、およびその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド系マクロモノマー、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどのN−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基もしくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖もしくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロモノマーとして有用に使用することができる。これらのマクロモノマーのうち有用な高分子の重量平均分子量(以下、単に分子量と称する)は400〜10万の範囲であり、好ましい範囲は1000〜5万、特に好ましい範囲は1500〜2万である。分子量が400以下では有効な親水性を得がたく、また10万以上では主鎖を形成する共重合モノマーとの重合性が低くなる傾向があり、いずれも好ましくない。
親水性マクロモノマーと共重合可能でかつ架橋剤と反応し得る官能基(以下、適宜、反応性官能基と称する)を有するモノマーの反応性官能基としては、カルボキシル基あるいはその塩、アミノ基、水酸基、フェノール性水酸基、グリシジルなどのエポキシ基、メチロール基、(ブロック)イソシアネート基、シランカップリング剤等が挙げられる。一般的なモノマーとしては、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊〔1981〕、「紫外線硬化システム」加藤清視著、総合技術センター刊〔1989〕、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」加藤清視著、高分子刊行会〔1985〕、「新・感光性樹脂の実際技術」赤松清著、シーエムシー刊行(102−145頁)〔1987〕等に記載されているモノマーが挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ、アミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ、アミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、下記式(1)で表される如きフェノール性水酸基含有モノマー、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、N−メチロールメタクリルアミド、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、また、下記式(2)で例示されるようなブロックイソシアネートモノマー等のブロックイソシアネートモノマー、ビニルアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランなどが挙げられる。
Figure 2008201812
これらのグラフトポリマーとしては、重量平均分子量が100万以下のものが好ましく用いられ、分子量1000〜100万、さらに好ましくは2万〜10万の範囲のものである。親水性被膜形成用塗布液を調製する際の溶媒への溶解性、塗布液粘度、均一な被膜を形成しやすいというハンドリング性の観点から分子量が100万以下であることが好ましい。
上記、親水性ポリマーは、式中Yで表される親水性を発現する親水性官能基を有しており、この官能基の密度が高いほど表面親水性が高くなり好ましい。親水性官能基密度は、親水性ポリマー1g当たりの官能基モル数で表すことができ、1〜30meq/gが好ましく、2〜20meq/gがより好ましく、3〜15meq/gが最も好ましい。
上記、親水性ポリマーは、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物と混合した状態で架橋皮膜を形成する。有機成分である親水性ポリマーは、皮膜強度や皮膜柔軟性に対して関与しており、特に、親水性ポリマーの粘度が0.1〜100cPs(5%水溶液、25℃測定)、好ましくは0.5〜70cPs、さらに好ましくは1〜50cPsの範囲にあると、良好な膜物性を与える。
〔Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物〕
本発明で用いられる金属アルコキシドは、その構造中に加水分解して重縮合可能な官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす加水分解重合性化合物であり、金属アルコキシド同士が重縮合することにより架橋構造を有する強固な架橋皮膜を形成し、さらに、前記親水性ポリマーとも化学結合する。金属アルコキシドは下記一般式(V)で表すことができ、式中、R12は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R13はアルキル基又はアリール基を表し、ZはSi、Al、Ti又はZrを表し、mは0〜2の整数を表す。R12及びR13がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1から4である。アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。なお、この化合物は低分子化合物であり、分子量2000以下であることが好ましい。
(R12m−Z−(OR134−m (V)
以下に、一般式(V)で表される加水分解性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。ZがSiの場合、即ち、加水分解性化合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−クロロプリピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、等を挙げることができる。
また、ZがAlである場合、即ち、加水分解性化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。ZがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。ZがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
〔触媒〕
本発明の親水性層の形成においては、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物の加水分解、重縮合を促進し、親水性ポリマーとの結合を生起する触媒を用いる。触媒としては、酸性を示す化合物が用いられるが、金属錯体からなるルイス酸触媒を好ましく使用できる。特に好ましい触媒は、金属錯体触媒であり、周期律表の2A、3B、4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ―ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg、Ca、St、Baなどの2A族元素、Al、Gaなどの3B族元素,Ti、Zrなどの4A族元素及びV、Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
上記金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物は、本発明においては、アセチルアセトン、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸,酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
好ましい配位子はアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、本発明においては、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、アセチルアセトン、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
上記した金属錯体の対塩の記載を本明細書においては省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。
金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol-Gel.Sci.and Tec. 16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以下のスキームを推定している。すなわち、塗布液中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより塗布液経時安定性及び皮膜面質の改善と、高親水性、高耐久性の、いずれも満足させるに至った。
親水性被膜における、a)親水性ポリマー:b)金属アルコキシド化合物:c)触媒の好ましい含有質量比は、20質量%:70質量%:10質量%である。
〔無機微粒子〕
本発明の親水層は、親水性の向上や、皮膜のひび割れ防止、膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。
無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、親水層中に安定に分散して、親水層の膜強度を十分に保持し、耐久性の高い親水性に優れる親水性部材を形成することができる。
上述したような無機微粒子の中で、特にコロイダルシリカ分散物が好ましく、市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、親水層の全固形分に対して、80質量%以下であるのが好ましく、50質量%以下であるのがより好ましい。
〔その他の成分〕
以下に、必要に応じて本発明の親水性部材の親水性層形成用塗布液に用いることのできる種々の添加剤について述べる。
1)界面活性剤
本発明の親水性部材の親水性層形成用塗布液には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
2)紫外線吸収剤
本発明においては、親水性部材の耐候性向上、耐久性向上の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5〜15質量%であることが好ましい。
3)酸化防止剤
本発明の親水性部材の安定性向上のため、親水性層形成用塗布液に酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8質量%であることが好ましい。
4)溶剤
本発明の親水性部材の親水性層形成時に、基板に対する均一な塗膜の形成性を確保するために、親水性層形成用塗布液に適度に有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、VOC(揮発性有機溶剤)の関連から問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量は親水性部材形成時の塗布液全体に対し0〜50質量%が好ましく、より好ましくは0〜30質量%の範囲である。
5)高分子化合物
本発明の親水性部材の親水性層形成用塗布液には、親水性層の膜物性を調整するため、親水性を阻害しない範囲で各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、基板への密着性を改善するために、親水性を阻害しない範囲でタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
〔表面自由エネルギー〕
親水性層表面の親水性度は、汎用的に、水滴接触角で測定される。しかし、本発明のような非常に親水性の高い表面においては、水滴接触角が10°以下、さらには5°以下になることがあり、親水性度の相互比較を行うには、限界がある。一方、固体表面の親水性度をより詳細に評価する方法として、表面自由エネルギーの測定がある。種々の方法が提案されているが、本発明では、一例として、Zismanプロット法を用いて表面自由エネルギーを測定した。具体的には、塩化マグネシウムなどの無機電解質の水溶液が濃度とともに表面張力が大きくなる性質を利用し、その水溶液を用いて空中、室温条件で接触角を測定した後、横軸にその水溶液の表面張力、縦軸に接触角をcosθに換算した値をとり、種々の濃度の水溶液の点をプロットして直線関係を得、cosθ=1すなわち、接触角=0°になるときの表面張力を、固体の表面自由エネルギーと定義する測定方法である。水の表面張力は72mN/mであり、表面自由エネルギーの値が大きいほど親水性が高いといえる。
このような方法で測定した表面自由エネルギーが、70mN/m〜95mN/m、好ましくは72mN/m〜93mN/m、さらに好ましくは75mN/m〜90mN/mの範囲にある親水層が、親水性に優れ、良好な性能を示す。
本発明の親水性被膜を塗設した親水性部材は、窓ガラス等に使用する場合、視界確保の観点から透明性が重要である。本発明の親水性被膜は、透明性に優れ、膜厚が厚くても透明度が損なわれず、耐久性との両立が可能である。
透明性は、分光光度計で可視光領域(380nm〜780nm)の光透過率を測定し評価する。光透過率が100%〜70%が好ましく、95%〜75%がより好ましく、95%〜80%の範囲にあることが最も好ましい。この範囲にあることによって、視界をさえぎることなく、親水性被膜を塗設した親水性部材を各種用途に適用することができる。
本発明の親水性部材は、親水性層形成用塗布液組成物を、適切な基材上に塗布し、加熱、乾燥して表面親水性層を形成することで得ることができる。親水性層形成のための加熱温度と加熱時間は、ゾル液中の溶媒が除去され、強固な皮膜が形成できる温度と時間であれば特に制限はないが、加熱温度は100〜300℃であることが好ましく、加熱時間は10分〜10時間が好ましい。更に好ましくは、加熱温度が150℃〜200℃であることが好ましく、加熱時間は1〜10時間が好ましい。この際、上記温度で出来るだけ高い条件、上記加熱時間でできるだけ長い時間を選択した方が、より耐久性・耐水性に優れた部材を提供することができる。
本発明の親水性部材が防曇効果を期待する場合には、その適用できる基材は透明な基板である。防曇効果を有する部材が適用可能な用途としては、車両用バックミラー、浴室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レンズ、光学レンズ、写真機レンズ、内視鏡レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズのようなレンズ;プリズム;建物や監視塔の窓ガラス;その他建材用ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、種々の乗物の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノーモービル、オートバイ、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、種々の乗物の風防ガラス;防護用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、防護用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシールド、ヘルメットのシールド、冷凍食品陳列ケースのガラス;計測機器のカバーガラスが挙げられるが、最も好ましい用途は、自動車用及び建材用のガラスである。
また、本発明の表面親水性部材に防汚効果を期待する場合には、その適用できる基材は、透明でも不透明でも良い。
防汚効果を有する部材が適用可能な用途としては、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、種々の乗物の外装、機械装置や物品の外装、防塵カバー、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用防音壁、鉄道用防音壁、橋梁、ガードレールの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、温室、車両用照明灯のカバー、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇などが挙げられるが、最も好ましい用途は、自動車用及び建材用のガラスである。
以下本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
下塗り塗布液(1)をバーコートにより塗布して下塗り層(厚さ0.2μm)をあらかじめ設けておいた、仮支持体としての厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(10cm×10cm)上に、下記組成の親水性塗布液(1)をバーコートにより塗布した後、70℃で10分間乾燥することで、厚さ0.1μmの親水性皮膜を設けた親水性皮膜転写シートを作成した。
更に上記親水性皮膜転写シートの親水性皮膜上に、エポキシ系透明接着剤(ブレニー技研製、GM9002)をバーコートにより塗布して厚さ20μmの接着性層を形成した。
UVオゾンクリーナー(日本レーザー電子株式会社製、NL−UB253)に10分間暴露した厚さ10mmの白板ガラス(10cm×10cm)の表面に、上記親水性皮膜転写シートをその接着性層を介して貼り付けた後、仮支持体を剥離して、親水性構造体(1)を得た。
作成した親水性構造体(1)の空中水滴接触角を測定したところ、2.3°と高い親水性を有していた。
また、親水性構造体(1)は、それを通して物を見る点において格別の問題はなく、視認性に優れたものであった。
<下塗り塗布液(1)>
・メチルエチルケトン 40g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 80g
・エポキシ化合物(エピコート1009) 10g
・イソシアネート(タケネートD110N) 10g
<親水性層塗布液(1)>
・コロイダルシリカ分散物20質量%水溶液(スノーテックスC) 100g
・下記ゾルゲル調製液 500g
・下記アニオン系界面活性剤の5質量%水溶液 30g
・精製水 450g
Figure 2008201812
<ゾルゲル調製液>
エチルアルコール200g、アセチルアセトン10g、オルトチタン酸テトラエチル10g、精製水100g中に、テトラメトキシシラン(東京化成工業(株)製)8gと下記の末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマー(1)5gを混合し、室温で2時間撹拌して、調製した。
<親水性ポリマー(1)の合成>
三口フラスコにアクリルアミド25g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.5g、ジメチルホルムアミド51.3gを入れて窒素気流下、65℃まで加熱し、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.25g添加し、反応を開始した。6時間攪拌した後、室温まで戻して酢酸エチル1.5L中に投入したところ固体が析出した。その後、濾過を行い、充分酢酸エチルで洗浄し、乾燥を行った(収量21g)。GPC(ポリスチレン標準)により、4000の質量平均分子量を有するポリマーであることを確認した。
[実施例2]
支持体をポリイミドに、乾燥条件を100℃で10分に変更した以外は実施例1と同様に親水性構造体を作成した。
作成した親水性構造体(2)の空中水滴接触角を測定したところ、2.3°と高い親水性を有していた。
また、親水性構造体(2)は、それを通して物を見る点において格別の問題はなく、視認性に優れたものであった。
[実施例3]
下塗り層を設けず、仮支持体を30秒間プラズマ処理した以外は実施例1と同様に親水性構造体(3)を作成した。
作成した親水性構造体(3)の空中水滴接触角を測定したところ、2.2°と高い親水性を有していた。
また、親水性構造体(3)は、それを通してものを見る点において格別の問題はなく、視認性に優れたものであった。
[実施例4]
親水性ポリマー(1)を親水性ポリマー(2)に変更した以外は実施例1と同様に親水性構造体(4)を作成した。
<親水性ポリマー(2)の合成>
500ml三口フラスコにアクリルアミド56.9g、アクリルアミド−3−(エトキシシリル)プロピル11.6g、及び1−メトキシ−2−プロパノール280gを入れ、80℃窒素気流下、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル2.3gを加えた。6時間攪拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。アセトン2リットル中に投入し、析出した固体をろ取した。得られた固体をアセトンにて洗浄後、親水性ポリマー(2)を得た。乾燥後の質量は65.6gであった。GPC(ポリエチレンオキシド標準)により質量平均分子量8,500のポリマーであった。
[比較例1]
ガラス表面に、本発明に係る親水性膜に代えて、光触媒フィルム〔東洋陶器(株)製、ハイドロテクト〕を貼付して親水性表面を形成し、比較例1の表面親水性部材を得た。
〔耐摩擦性の評価〕
得られた親水性部材表面を不織布(BEMCOT、旭化学繊維社製)で200gの負荷をかけ250往復擦り、その前後の見た目の変化を目視により観察する。
○:擦り前後の表面に傷なし
△:1本程度傷あり
×:傷が多数存在
〔引掻き強度〕
0.1mm径サファイア針に5gから始めて5gきざみに加重をかけて親水層表面を走査し、傷つきが発生した加重を評価した(新東科学株式会社製引っかき強度試験機Type18Sで測定)。加重が大きくても傷つきがないほうが耐久性良好である。
〔防曇性の評価〕
上記で得られた親水性部材に、昼間、室内の蛍光灯下で、1分間水蒸気を当て、水蒸気から離した後、25℃、RH10%の環境下に配置し、前記と同様の照射条件の蛍光灯下において曇り具合及びその変化を下記基準により三段階で官能評価した。
○:曇りが観察されない
△:曇っているが、10秒以内に回復し、曇りが見られなくなる
×:曇っており、曇りが10秒経過しても回復しない
〔耐湿性の評価〕
上記で得られた親水性部材を、60℃、RH90%の高温高湿層中に配置し、1000時間後に取り出し、水滴接触角を測定して評価した。
結果を下記表に示す。
Figure 2008201812
本発明の親水性皮膜転写シートの一例を示す断面の拡大概略概念図である。 本発明の親水性構造体の一例を示す断面の拡大概略概念図である。 本発明の親水性皮膜転写シートを平板状基材上に設ける一方法を示す概略図である。 本発明の親水性皮膜転写シートを局面状基材上に設ける一方法を示す概略図である。
符号の説明
1 親水性皮膜
2 親水性表面
3 接着性層
4 下塗り層
5 仮支持体
10 親水性皮膜転写シート
20 基材
30 親水性構造体
90 ロボットアーム

Claims (9)

  1. 仮支持体上に、
    a) 親水性ポリマー、
    b) Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物、
    c) 前記b)の金属アルコキシド化合物を加水分解、重縮合し、前記a)の親水性ポリマーとの結合を生起する触媒、
    を含有する親水性被膜を有する親水性皮膜転写シート。
  2. 前記a)の親水性ポリマーが、下記一般式(I)〜(III)のいずれか少なくとも1種で表される請求項1に記載の親水性皮膜転写シート。
    Figure 2008201812

    一般式(I)〜(III)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、Xは反応性基(カルボキシル基、その塩、無水カルボン酸基、アミノ、ヒドロキシル、エポキシ基、メチロール、メルカプト、イソシアナート、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合、テトラゾール基)を表し、A、L、L、L3、L4及びL5は、それぞれ独立に単結合または連結基を示し、Yは−NHCOR11、−CONH2、−CON(R112、−COR11、−OH、−CO2M、−SO3M、−POM、−OPOM又は−N(R11を表す。ここで、R11は炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Zはハロゲンイオンを表す。Bは下記一般式(IV)を表す。
    Figure 2008201812

    一般式(IV)中、R1、R2、L及びYは一般式(I)中のものと同じものを表す。
  3. 前記親水性皮膜の前記仮支持体と反対側の面上に、更に接着層を有する、請求項1または2に記載の親水性皮膜転写シート。
  4. 前記接着層が、ゴム系、エポキシ系、アクリル系またはシリコーン系のいずれかを含む透明接着剤からなる、請求項3に記載の親水性皮膜転写シート。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の親水性皮膜転写シートにおける前記親水性皮膜を他の基材上に設けた後、前記仮支持体を剥離することによる、親水皮膜を基材上に有する親水性構造体の製造方法。
  6. 請求項3又は4に記載の親水性皮膜転写シートにおける前記親水性皮膜を、前記接着性層を介して、他の基材に設けた後、前記仮支持体を剥離することによる、親水性皮膜を基材上に有する親水性構造体の製造方法。
  7. 請求項1〜4に記載の親水性皮膜転写シートにおける前記親水性皮膜を他の基材上に設けた後、前記仮支持体を剥離することにより製造される、親水性皮膜を基材上に有する親水性構造体。
  8. 請求項6又は7に記載の親水性皮膜転写シートにおける前記親水性皮膜を、前記接着層を介して他の基材上に設けた後、前記仮支持体を剥離することにより製造される、親水性皮膜を基材上に有する親水性構造体。
  9. 仮支持体上に、
    a)親水性ポリマー、
    b)Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物、
    及びc)前記b)の金属アルコキシド化合物を加水分解、重縮合し、前記a)の親水性ポリマーとの縮合を生起する触媒
    を含有する親水性皮膜用組成物を用いて架橋構造親水性皮膜を形成することを特徴とする親水性皮膜転写シートの製造方法。
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