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JP2009099252A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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JP2009099252A
JP2009099252A JP2008248348A JP2008248348A JP2009099252A JP 2009099252 A JP2009099252 A JP 2009099252A JP 2008248348 A JP2008248348 A JP 2008248348A JP 2008248348 A JP2008248348 A JP 2008248348A JP 2009099252 A JP2009099252 A JP 2009099252A
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magnetic
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Tomohiro Ichikawa
智洋 市川
Mikio Ono
幹夫 大野
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Fujifilm Corp
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Abstract

【課題】優れた走行耐久性と保存性を兼ね備えた磁気記録媒体に関する磁気記録媒体を提供すること。
【解決手段】非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体。前記磁性層は、原子間力顕微鏡で測定した表面平均粗さRaが2.0〜3.5nmの範囲であり、押し込み硬度は、0.49GPa〜0.78GPaの範囲であり、かつ、下記一般式(1)で表される分子量360〜460の炭酸エステルを更に含有する。
Figure 2009099252

[一般式(1)中、R1は分岐構造を有する飽和炭化水素基を表し、R2は炭素数14〜20の直鎖構造を有する飽和炭化水素基を表す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気記録媒体に関するものであり、詳しくは、優れた走行耐久性と保存性を兼ね備えた磁気記録媒体に関する。
近年、高密度記録へのニーズが高まり、高い電磁変換特性を有する磁気記録媒体が求められている。しかし、高密度記録化のために磁性層表面の平滑性を高めた場合、摩擦係数の増大により走行性や耐久性が低下するという問題がある。そこで、磁性層に潤滑剤を添加することにより、摩擦係数の低減を図ることが広く行われている(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−138586号公報
近年、テラバイト級の情報を伝達するための手段が著しく発達し、莫大な情報を持つ画像およびデータ転送が可能となった。このデータ転送技術の向上とともに、情報を記録するための記録媒体には、更なる高記録容量化が求められている。例えば、磁気テープには、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピューターテープなど種々の用途があり、特にデータバックアップ用テープの分野では、バックアップの対象となるハードディスクの大容量化に伴い、1巻当たり数10〜800GBの記録容量のものが商品化されている。また、1TBを超える大容量バックアップテープが提案されており、その高記録容量化は不可欠である。容量1TBを超える記録媒体には、極めて高度な表面平滑性が求められる。しかし、本発明者らの検討の結果、高度な表面平滑性を有する磁気記録媒体では、例えば特許文献1に記載の潤滑剤の添加により走行耐久性を確保できたとしても、走行後にテープをヘッドと接触させたまま長時間(例えば24時間以上)放置すると、テープがヘッドに張り付き、再走行時に走行が困難となることが明らかになった。
そこで本発明の目的は、優れた走行耐久性と保存性を兼ね備えた磁気記録媒体に関する磁気記録媒体を提供することにある。
上記目的は、下記手段によって達成された。
[1]非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
前記磁性層は、
原子間力顕微鏡で測定した表面平均粗さRaが2.0〜3.5nmの範囲であり、
押し込み硬度は、0.49GPa〜0.78GPaの範囲であり、かつ、
下記一般式(1)で表される分子量360〜460の炭酸エステルを更に含有する磁気記録媒体。
Figure 2009099252
[一般式(1)中、R1は分岐構造を有する飽和炭化水素基を表し、R2は炭素数14〜20の直鎖構造を有する飽和炭化水素基を表す。]
[2]一般式(1)中、R1はβ位にて分岐構造を有する飽和炭化水素基である[1]に記載の磁気記録媒体。
[3]一般式(1)中、R1は、2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基または2−エチルヘキシル基である[2]に記載の磁気記録媒体。
[4]前記非磁性支持体と前記磁性層との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、該非磁性層に前記炭酸エステルを含有する[1]〜[3]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
本発明によれば、優れた表面平滑性を有する磁気記録媒体であって、良好な走行耐久性を有するとともに、走行後に媒体をヘッドと接触させた状態で長時間放置した後でも張り付きによる走行不良を起こすことなく再走行可能な磁気記録媒体を得ることができる。
本発明は、非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体に関する。本発明の磁気記録媒体において、磁性層は、原子間力顕微鏡で測定した表面平均粗さRaが2.0〜3.5nmの範囲であり、押し込み硬度は、0.49GPa〜0.78GPaの範囲であり、かつ、下記一般式(1)で表される分子量360〜460の炭酸エステルを更に含有する。
Figure 2009099252
[一般式(1)中、R1は分岐構造を有する飽和炭化水素基を表し、R2は炭素数14〜20の直鎖構造を有する飽和炭化水素基を表す。]
本発明の磁気記録媒体は、高い表面平滑性を有することにより、優れた電磁変換特性を発揮することができる。しかし、前述のように、表面平滑性を高めると、保存後の再走行性の劣化(張り付き発生)という問題が発生する。
これに対し、本発明では、磁性層成分として上記一般式(1)で表される分子量360〜460の炭酸エステルを使用するとともに、磁性層の押し込み硬さを上記範囲内とすることにより、走行耐久性と張り付き防止を達成することができる。この理由を、本発明者らは以下のように推定している。
(1)一般式(1)で表される構造を有する炭酸エステルの使用により走行耐久性を高めることができる理由は、該炭酸エステルの耐加水分解性が高いことにあると考えられる。走行耐久性低下の大きな原因としては、走行中に媒体成分由来の金属塩(例えば潤滑剤由来の脂肪酸金属塩)がヘッドに付着することが挙げられる。これに対し、前記構造を有する炭酸エステルは走行中に加水分解しにくいため、ヘッド付着物を低減することができ、これにより良好な走行耐久性が得られると考えられる。
(2)保存後の張り付き防止には、保存中に適切な量の潤滑剤成分が磁性層表面に染み出すことが有効と考えられる。本発明では、前記炭酸エステルの分子量と磁性層の硬度(押し込み硬度)により、保存中に磁性層表面に染み出す前記炭酸エステル量を適量に制御できるものと推察される。
以下、本発明の磁気記録媒体について、更に詳細に説明する。
[炭酸エステル]
本発明の磁気記録媒体は、磁性層に下記一般式(1)で表される分子量360〜460の炭酸エステルを含む。前記炭酸エステルは、潤滑剤成分として作用し走行安定性を高めるとともに、保存性を良好に維持する作用があると考えられる。
Figure 2009099252
一般式(1)中、R1は分岐構造を有する飽和炭化水素基を表す。R1、R2とも直鎖構造の炭酸エステル、R1、R2とも分岐構造を有する炭酸エステルでは、良好な走行耐久性を得ることが困難となる。
1中の分岐構造は、α位、β位のいずれに位置してもよいが、良好な走行耐久性を得る観点から、R1はβ位にて分岐構造を有することが好ましい。R1で表される飽和炭化水素の炭素数は、例えば4〜10、好ましくは6〜8である。また、R1で表される飽和炭化水素基は、側鎖に置換基を有することもできる。置換基としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子等)等を挙げることができる。
1として好ましい飽和炭化水素基としては、2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基、2−エチルヘキシル基を挙げることができる。
一般式(1)中、R2は、炭素数14〜20の直鎖構造を有する飽和炭化水素基を表す。炭素数が14未満では、テープ保存期間中やドライブ走行中に、潤滑剤が磁性層表面にしみだし易いために、ドライブ走行時に張り付きの問題が発生する。一方、炭素数が20を超えると、潤滑剤が磁性層中に解け難いために磁性層表面に析出し易く、ドライブ走行時に目詰まりが発生する。前記炭素数は、好ましくは14〜18、より好ましくは16〜18である。R2も、R1と同様、側鎖に置換基を有することができる。R2として好ましい飽和炭化水素基としては、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、および、オクタデシル基等が挙げられ、テトラデシル基、ヘキサデシル基またはオクタデシル基がより好ましい。
前記炭酸エステルの分子量は、360〜460の範囲である。分子量が360未満では、走行後に媒体とヘッドを長時間放置した際、前記炭酸エステルが媒体表面に染み出し易いために、表面張力により媒体がヘッドに張り付いてしまう。一方、分子量が460を超えると、保存中に媒体表面上で析出物が発生しやすくなってしまう。
前記炭酸エステルは、公知の方法で合成することができる。合成方法としては、クロロギ酸エステルと前記炭化水素基を有するアルコールとを反応させる方法を挙げることができる。かかる合成反応の出発原料であるクロロギ酸エステルの具体例としては、2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基、2−エチルヘキシル基等が好適である。また、前記炭酸エステルとしては、市販品として入手可能なものもある。
前記炭酸エステルの磁性層中の含有量は、例えば0.1〜10質量%であり、好ましくは0.3〜6質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。なお、前記炭酸エステルは一種のみ用いてもよく、二種以上を混合して用いることもできる。
前記炭酸エステルは、非磁性層に含有させることもできる。前記炭酸エステルを非磁性層に含有させることで、走行中および保存中に非磁性層中の前記炭酸エステルが磁性層側へ徐々に移行し表面へのにじみ出し量を制御することができる。この点は、良好な走行耐久性および保存性を維持する上で有利である。この場合、例えば、非磁性層、磁性層で、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、前記炭酸エステルの添加量を非磁性層で多くする、等により走行中および保存中の磁性層表面に存在する前記炭酸エステル量を制御することができる。非磁性層中の前記炭酸エステルの含有量は、例えば0.1〜10質量%であり、好ましくは0.3〜6質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。
磁性層押し込み硬度
本発明の磁気記録媒体において、磁性層の押し込み硬度は、0.49〜0.78GPa(≒50〜80kg/mm2)の範囲である。本発明における磁性層の押し込み硬度は、25℃の環境下にて、エリオニクス社製微小押し込み試験機ENT−1100aを用い、ダイヤモンド圧子を6mgfの荷重で磁性層表面に押し込み測定された値とする。磁性層の押し込み硬度が0.49GPa未満では、ヘッドとの接触により層中から表面に潤滑剤がしみ出し、再走行時に張り付きが発生してしまう。この理由について本発明者らは、磁性層および非磁性層が圧縮を受け、層中の潤滑剤が表面にしみ出すことが原因ではないかと推察している。一方、磁性層の押し込み硬度が0.78GPaを超えると、ヘッドあたりが悪化し良好な走行耐久性を得ることが困難となる。磁性層の押し込み硬度は、好ましくは0.49〜0.69GPa(≒50〜70kg/mm2)、より好ましくは0.59〜0.69GPa(≒60〜70kg/mm2)の範囲である。
磁性層の押し込み硬度を上記範囲内に調整するためには、種々の方法をとり得る。例えば、磁性層の結合剤樹脂の3成分比(塩ビ−ウレタン−硬化剤)を変動させる、P/B比(磁性体等の無機粉体と結合剤樹脂の比率)を変動させる、結合剤として極性官能基を導入した樹脂を用いて強磁性粉末の分散性を高める、結合剤樹脂の弾性率やガラス転移点(Tg)を高める、等の方法を用いることができる。また、潤滑剤を多くすることでバインダーを可塑化させ、カレンダー成形性を向上させて押し込み硬度をコントロールすることも可能である。また磁性層塗布液を調製するときの混練溶剤の種類および/または量を変えて混練の度合いを変化させて押し込み硬度を調整することもできる。さらに、カレンダー条件(温度、圧力、カレンダーロールの硬度等)を変化させる方法、金属製カレンダーロールを導入する方法等によって、カレンダーを比較的強力に行うことにより、磁性層の押し込み硬度を調整することができる。
磁性層表面粗さ
本発明の磁気記録媒体において、磁性層の表面粗さは、原子間力顕微鏡で測定した表面平均粗さRaとして、2.0〜3.5nmの範囲である。前記表面粗さRaが2.0nm未満では、安定走行が困難となり、3.5nmを超えると良好なエラーレートを得ることが困難となる。前記表面粗さRaは、好ましくは2.0〜3.0nm、より好ましくは2.5〜3.0nmの範囲である。前記表面粗さRaは、例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製SPI3800Nにて、磁性層表面の40μm角のRaを測定した値として求めることができる。
磁性層の表面平均粗さを上記範囲内とするためには、種々の手段を取り得る。例えば、突起となり得る磁性体の凝集物の数を、結合樹脂の極性官能基量や結合樹脂の量、および/または分散機の分散時間により調整することにより、磁性層表面の平滑性を高めることができる。また、突起となり得る磁性層中のカーボンブラックや研磨剤の使用量や分散方法を調整することでも、磁性層表面粗さを制御することができる。更には、磁性層の押し込み硬度を調整する場合と同様、カレンダー処理条件(温度、圧力、カレンダーロールの硬度)を変化させることでも調整することが可能である。
磁性層
次に、本発明の磁気記録媒体における磁性層について説明する。
磁性層中の強磁性粉末としては、強磁性金属粉末および六方晶フェライト粉末を使用することができる。以下に、それらの詳細を説明する。但し、本発明において使用される強磁性粉末は、強磁性金属粉末および六方晶フェライト粉末に限定されるものではなく、例えば窒化鉄粉末等も使用可能である。
(i)強磁性金属粉末
磁性層に使用する強磁性金属粉末は、特に制限されるべきものではないが、α−Feを主成分とする強磁性金属粉末を用いることが好ましい。これらの強磁性金属粉末には、所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ca、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。特に、Al、Si、Ca、Y、Ba、La、Nd、Co、Ni、Bの少なくとも1つをα−Fe以外に含むことが好ましく、Co、Y、Alの少なくとも一つを含むことがさらに好ましい。Coの含有量はFeに対して0原子%以上40原子%以下であることが好ましく、さらに好ましくは15原子%以上35原子%以下、より好ましくは20原子%以上35原子%以下である。Yの含有量は1.5原子%以上12原子%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3原子%以上10原子%以下、特に好ましくは4原子%以上9原子%以下である。Alは1.5原子%以上12原子%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3原子%以上10原子%以下、より好ましくは4原子%以上9原子%以下である。
これらの強磁性金属粉末には、あとで述べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。具体的には、特公昭44−14090号公報、特公昭45−18372号公報、特公昭47−22062号公報、特公昭47−22513号公報、特公昭46−28466号公報、特公昭46−38755号公報、特公昭47−4286号公報、特公昭47−12422号公報、特公昭47−17284号公報、特公昭47−18509号公報、特公昭47−18573号公報、特公昭39−10307号公報、特公昭46−39639号公報、米国特許第3026215号、同3031341号、同3100194号、同3242005号、同3389014号などに記載されている。
強磁性金属粉末には少量の水酸化物、または酸化物が含まれてもよい。強磁性金属粉末は公知の製造方法により得られたものを用いることができ、下記の方法を挙げることができる。複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeまたはFe−Co粒子などを得る方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得る方法などである。このようにして得られた強磁性金属粉末には、公知の徐酸化処理、すなわち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶剤に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化膜を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸素ガスと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を形成する方法のいずれを施すこともできる。
磁性層に使用される強磁性金属粉末のBET法による比表面積は、45〜100m2/gであることが好ましく、より好ましくは50〜80m2/gである。45m2/g以上であれば低ノイズであり、100m2/g以下であれば良好な表面性を得ることができる。強磁性金属粉末の結晶子サイズは80〜180Åであることが好ましく、より好ましくは100〜180Å、更に好ましくは110〜175Åである。強磁性金属粉末の長軸長は0.01μm以上0.15μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.02μm以上0.15μm以下であり、さらに好ましくは0.03μm以上0.12μm以下である。強磁性金属粉末の針状比は3以上15以下であることが好ましく、さらには5以上12以下であることが好ましい。強磁性金属粉末のσsは100〜180A・m2/kgであることが好ましく、より好ましくは110〜170A・m2/kg、更に好ましくは125〜160A・m2/kgである。強磁性金属粉末の抗磁力は2000〜3500Oe(160〜280kA/m)であることが好ましく、更に好ましくは2200〜3000Oe(176〜240kA/m)である。
強磁性金属粉末の含水率は0.01〜2%とすることが好ましい。結合剤の種類によって強磁性金属粉末の含水率は最適化することが好ましい。強磁性金属粉末のpHは、用いる結合剤との組合せにより最適化することが好ましい。その範囲は4〜12とすることができ、好ましくは6〜10である。強磁性金属粉末は必要に応じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は強磁性金属粉末に対し0.1〜10%とすることができ、表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着量が100mg/m2以下になり好ましい。強磁性金属粉末は可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場合がある。これらは、本質的に無い方が好ましいが、200ppm以下であれば特性に影響を与えることは少ない。また、本発明に用いられる強磁性金属粉末は空孔が少ないほうが好ましく、その値は20容量%以下、さらに好ましくは5容量%以下である。また形状については先に示した粒子サイズについての特性を満足すれば針状、米粒状、紡錘状のいずれでもかまわない。強磁性金属粉末自体のSFDは小さい方が好ましく、0.8以下であることが好ましい。強磁性金属粉末のHcの分布を小さくすることが好ましい。尚、SFDが0.8以下であると、電磁変換特性が良好で、出力が高く、また、磁化反転がシャープでピークシフトも少なくなり、高密度デジタル磁気記録に好適である。Hcの分布を小さくするためには、強磁性金属粉末においてはゲ−タイトの粒度分布を良くする、焼結を防止するなどの方法がある。
(ii)六方晶フェライト粉末
六方晶フェライト粉末には、例えば、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライト、それらのCo等の置換体等がある。より具体的には、マグネトプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、さらに一部にスピネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト等が挙げられる。その他、所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般には、Co−Zn、Co−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn−Co、Sb−Zn−Co、Nb−Zn等の元素を添加したものを使用できる。また原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもある。
信号を記録する領域の長さが、磁性層に含まれる磁性体の大きさと近い大きさになると明瞭な磁化遷移状態を作り出すことができないため、実質的に記録することが不可能となる。このため記録波長が短波長化するほど磁性体サイズは小さくすべきである。本発明では、短波長領域において良好な記録を行うため、六方晶フェライト粉末として、平均板径10〜40nmのものを使用することが好ましい。より好ましくは15〜30nm、更に好ましくは20〜25nmの範囲である。
六方晶フェライトの平均板状比[(板径/板厚)の算術平均]は1〜15であることが好ましく、1〜7であることが更に好ましい。平均板状比が1〜15であれば、磁性層で高充填性を保持しながら充分な配向性が得られ、かつ、粒子間のスタッキングによるノイズ増大を抑えることができる。また、上記粒子サイズの範囲内におけるBET法による比表面積(SBET)は、40m2/g以上が好ましく、40〜200m2/gであることがさらに好ましく、60〜100m2/gであることが最も好ましい。
六方晶フェライト粉末の粒子板径・板厚の分布は、通常狭いほど好ましい。粒子板径・板厚は、粒子TEM写真より、例えば500粒子を無作為に測定することで測定できる。粒子板径・板厚の分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表すと、σ/平均サイズ=0.1〜1.0である。粒子サイズ分布をシャープにするには、一般に、粒子生成反応系をできるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも行われている。例えば、酸溶液中で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られている。
一般に、抗磁力(Hc)は、143.3〜318.5kA/m(1800〜4000Oe)程度の六方晶フェライト粉末は作製可能である。六方晶フェライト粉末の抗磁力(Hc)は、好ましくは159.2〜238.9kA/m(2000〜3000Oe)、更に好ましくは191.0〜214.9kA/m(2200〜2800Oe)である。
抗磁力(Hc)は、粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御できる。
六方晶フェライト粉末の飽和磁化(σs)は30〜80A・m2/kg(emu/g)であることが好ましい。飽和磁化(σs)は高い方が好ましいが、微粒子になるほど小さくなる傾向がある。飽和磁化(σs)の改良のため、マグネトプランバイトフェライトにスピネルフェライトを複合することや、含有元素の種類と添加量の選択等がよく知られている。またW型六方晶フェライトを用いることも可能である。磁性体を分散する際に磁性体粒子表面を分散媒、ポリマーに合った物質で処理してもよい。表面処理剤としては、無機化合物および有機化合物を使用することができる。主な化合物としてはSi、Al、P等の酸化物または水酸化物、各種シランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が代表例である。添加量は磁性体の質量に対して、例えば0.1〜10質量%である。磁性体のpHも分散に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性から6〜11程度を選択することができる。磁性体に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが通常0.01〜2.0%が選ばれる。
六方晶フェライト粉末の製法としては、(1)酸化バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得るガラス結晶化法、(2)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後100℃以上で液相加熱した後洗浄・乾燥・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法、(3)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法等があるが、本発明は製法を選ばない。六方晶フェライト粉末は、必要に応じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は強磁性粉末に対し、例えば0.1〜10質量%であり表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m2以下になり好ましい。強磁性粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場合がある。これらは、本質的に無い方が好ましいが、200ppm以下であれば特に特性に影響を与えることは少ない。
磁性層、非磁性層、およびバックコート層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他の公知技術は、それらを互いに適宜適用することができる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関する公知技術が適用できる。
結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を使用することができる。熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000、重合度が約50〜1000程度のものを使用することができる。
このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル、等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等があげられる。これらの樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化型樹脂を各層に使用することも可能である。これらの例とその製造方法については特開昭62−256219号公報に詳細に記載されている。以上の樹脂は単独または組合せて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組合せ、またはこれらにポリイソシアネートを組み合わせたものが挙げられる。中でも、塩ビ系バインダー、ポリウレタン系バインダーが好ましい。
ポリウレタンとしては、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリカーボネートウレタン、ポリエーテルエステルウレタン、アクリル系ポリウレタン等を用いることができる。これらバインダーは、前記炭酸エステルとの親和性が高く表面潤滑剤量を最適な範囲に制御することができる。結合剤に導入され得る極性基としては、スルホン酸塩、スルファミン酸塩、スルホベタイン、リン酸塩、ホスホン酸塩等が好ましい。その量は1×105eq/g〜2×10-4が好ましい。これらバインダーは、公知の方法で合成することができ、また市販品に適量の極性基を導入することによって得ることもできる。
ポリウレタンは、塩化ビニル系樹脂とともに結合剤として使用することもできる。但し、例えば、微量の脱塩素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレタンのみまたはポリウレタンとイソシアネートのみを使用することも可能である。ポリウレタンを用いる場合はガラス転移温度が−50〜150℃、好ましくは0℃〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.05〜10kg/mm2(0.49〜98MPa)、降伏点は0.05〜10kg/mm2(0.49〜98MPa)のものを用いることが好ましい。
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL、武田薬品社製タケネートD−102,タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN,デスモジュールHL、等がありこれらを単独または硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで各層とも用いることができる。
磁性層の結合剤量は、硬化剤を含めて強磁性粉末100重量部に対し10〜25重量部とすることが好ましい。本発明の磁気記録媒体が磁性層と非磁性支持体との間に非磁性層を有する場合、非磁性層の結合剤量を磁性層の結合剤量より多くすることが好ましい。具体的には、非磁性層の結合剤量は、非磁性粉末100重量部に対し25〜40重量部とすることが好ましい。
特に非磁性層用結合剤は、SO3Naのような強い極性基と骨格に芳香環を多く含有する構造を有するものが好ましい。これにより前記炭酸エステルと非磁性層結合剤との親和性がより高まり、前記炭酸エステルが非磁性層に多く且つ安定的に存在することができる。前記炭酸エステルと結合剤の親和性が高すぎて結合剤と前記炭酸エステルが分子レベルで完全に相溶するようになると前記炭酸エステルが磁性層に移行することができなくなるため好ましくない。
磁性層および非磁性層には、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、研磨剤、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、溶剤、カーボンブラックなどを挙げることができる。潤滑剤については、磁性層、非磁性層の潤滑剤成分としては、前記炭酸エステルとともに、例えば以下に示す潤滑剤成分を使用することもできる。併用する潤滑剤としては、摩擦係数低減や焼きつき防止のためには、ステアリン酸、ステアリン酸アミドが好適である。併用する潤滑剤量は、強磁性粉末または非磁性粉末100質量部あたり0.5〜3質量部とすることが好ましく、0.5〜1.5質量部とすることが更に好ましい。なお、エステル結合を有する潤滑剤成分は、加水分解しやすいため併用することは好ましくない。
添加剤としては、例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基を持つシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、フェネチルホスホン酸、α−メチルベンジルホスホン酸、1−メチル−1−フェネチルホスホン酸、ジフェニルメチルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ベンジルフェニルホスホン酸、α−クミルホスホン酸、トルイルホスホン酸、キシリルホスホン酸、エチルフェニルホスホン酸、クメニルホスホン酸、プロピルフェニルホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ヘプチルフェニルホスホン酸、オクチルフェニルホスホン酸、ノニルフェニルホスホン酸等の芳香族環含有有機ホスホン酸およびそのアルカリ金属塩、オクチルホスホン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸、イソオクチルホスホン酸、イソノニルホスホン酸、イソデシルホスホン酸、イソウンデシルホスホン酸、イソドデシルホスホン酸、イソヘキサデシルホスホン酸、イソオクタデシルホスホン酸、イソエイコシルホスホン酸等のアルキルホスホン酸およびそのアルカリ金属塩、リン酸フェニル、リン酸ベンジル、リン酸フェネチル、リン酸α−メチルベンジル、リン酸1−メチル−1−フェネチル、リン酸ジフェニルメチル、リン酸ビフェニル、リン酸ベンジルフェニル、リン酸α−クミル、リン酸トルイル、リン酸キシリル、リン酸エチルフェニル、リン酸クメニル、リン酸プロピルフェニル、リン酸ブチルフェニル、リン酸ヘプチルフェニル、リン酸オクチルフェニル、リン酸ノニルフェニル等の芳香族リン酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、リン酸オクチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸イソオクチル、リン酸イソノニル、リン酸イソデシル、リン酸イソウンデシル、リン酸イソドデシル、リン酸イソヘキサデシル、リン酸イソオクタデシル、リン酸イソエイコシル等のリン酸アルキルエステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、エルカ酸等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していてもよい一塩基性脂肪酸およびこれらの金属塩、またはステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ラウリル酸ブチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していてもよい一塩基性脂肪酸と、炭素数2〜22の不飽和結合を含んでも分岐していてもよい1〜6価アルコール、炭素数12〜22の不飽和結合を含んでも分岐していてもよいアルコキシアルコールまたはアルキレンオキサイド重合物のモノアルキルエーテルのいずれか一つとからなるモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステルまたは多価脂肪酸エステル、炭素数2〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが使用できる。また、上記炭化水素基以外にもニトロ基およびF、Cl、Br、CF3、CCl3、CBr3等の含ハロゲン炭化水素等炭化水素基以外の基が置換したアルキル基、アリール基、アラルキル基を持つものでもよい。
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフエノールエチレンオキサイド付加体等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸またはリン酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。
上記潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも純粋ではなく主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれても構わない。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。
これらの添加物の具体例としては、例えば、日本油脂社製:NAA−102、ヒマシ油硬化脂肪酸、NAA−42、カチオンSA、ナイミーンL−201、ノニオンE−208、アノンBF、アノンLG、竹本油脂社製:FAL−205、FAL−123、新日本理化社製:エヌジエルブOL、信越化学社製:TA−3、ライオン社製:アーマイドP、ライオン社製:デュオミンTDO、日清オイリオ社製:BA−41G、三洋化成社製:プロフアン2012E、ニューポールPE61、イオネットMS−400等が挙げられる。
また、磁性層には、必要に応じてカーボンブラックを添加することができる。磁性層で使用可能なカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、粒子径は5〜300nm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。
カーボンブラックの具体的な例としては、キャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、905、800、700、VULCAN XC−72、旭カーボン社製#80、#60、#55、#50、#35、三菱化学社製#2400B、#2300、#900、#1000、#30、#40、#10B、コロンビアンカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN150、50、40、15、RAVEN−MT−P、ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用したりしてもかまわない。また、カーボンブラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは単独または組み合せで使用することができる。カーボンブラックを使用する場合、磁性体の質量に対して0.1〜30質量%で用いることが好ましい。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。したがって本発明で使用されるこれらのカーボンブラックは、磁性層および非磁性層でその種類、量、組み合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性を基に目的に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべきものである。本発明の磁性層で使用できるカーボンブラックは、例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。
研磨剤としてはα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモ−ス硬度6以上の公知の材料を単独または組合せて使用することができる。また、これらの研磨剤同士の複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含まれる場合もあるが主成分が90%以上であれば効果にかわりはない。これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2μが好ましく、特に電磁変換特性を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるには必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも可能である。タップ密度は0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m2/gが好ましい。研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、板状のいずれでもよいが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高く好ましい。具体的には住友化学社製AKP−12、AKP−15、AKP−20、AKP−30、AKP−50、HIT−20、HIT−30、HIT−55、HIT−60、HIT−70、HIT−80、HIT−100、レイノルズ社製ERC−DBM、HP−DBM、HPS−DBM、不二見研磨剤社製WA10000、上村工業社製UB20、日本化学工業社製G−5、クロメックスU2、クロメックスU1、戸田工業社製TF100、TF140、イビデン社製ベータランダムウルトラファイン、昭和鉱業社製B−3などが挙げられる。これらの研磨剤は必要に応じ非磁性層に添加することもできる。非磁性層に添加することで表面形状を制御したり、研磨剤の突出状態を制御したりすることができる。これら磁性層、非磁性層の添加する研磨剤の粒径、量はむろん最適値に設定すべきものである。
有機溶剤としては、公知のものが使用できる。有機溶媒としては、具体的には、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を使用することができる。
これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。本発明で用いる有機溶媒は磁性層と非磁性層でその種類は同じであることが好ましい。その添加量は変えてもかまわない。非磁性層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性を上げる、具体的には上層溶剤組成の算術平均値が非磁性層溶剤組成の算術平均値を下回らないことが肝要である。分散性を向上させるためにはある程度極性が強い方が好ましく、溶剤組成の内、誘電率が15以上の溶剤が50質量%以上含まれることが好ましい。また、溶解パラメータは8〜11であることが好ましい。
本発明で使用されるこれらの分散剤、潤滑剤、界面活性剤は、磁性層、さらに後述する非磁性層でその種類、量を必要に応じて使い分けることができる。例えば、無論ここに示した例のみに限られるものではないが、分散剤は極性基で吸着または結合する性質を有しており、磁性層では主に強磁性金属粉末の表面に、また非磁性層では主に非磁性粉末の表面に前記の極性基で吸着または結合し、例えば、一度吸着した有機リン化合物は、金属または金属化合物等の表面から脱着し難いと推察される。したがって、強磁性金属粉末表面または非磁性粉末表面は、アルキル基、芳香族基等で被覆されたような状態になるので、該強磁性金属粉末または非磁性粉末の結合剤成分に対する親和性が向上し、さらに強磁性金属粉末あるいは非磁性粉末の分散安定性を改善することができる。また、潤滑剤としては遊離の状態で存在するため非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い、表面へのにじみ出しを制御する、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を非磁性層で多くして潤滑効果を向上させるなどが考えられる。また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層または非磁性層用の塗布液の製造時のいずれの工程で添加してもよい。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
非磁性層
次に非磁性層に関する詳細な内容について説明する。本発明の磁気記録媒体は、磁性層と非磁性支持体との間に、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を有することができる。非磁性層に使用できる非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。
具体的には二酸化チタン等のチタン酸化物、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO2、SiO2、Cr23、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、2硫化モリブデン、酸化銅、MgCO3、CaCO3、BaCO3、SrCO3、BaSO4、炭化珪素、炭化チタンなどを単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。好ましいものは、α−酸化鉄、酸化チタンである。
非磁性粉末の形状は、針状、球状、多面体状、板状のいずれでもあってもよい。非磁性粉末の結晶子サイズは、4nm〜500nmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。結晶子サイズが4nm〜500nmの範囲であれば、分散が困難になることもなく、また好適な表面粗さを有するため好ましい。これら非磁性粉末の平均粒径は、5nm〜500nmが好ましいが、必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くしたりして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましい非磁性粉末の平均粒径は、10〜200nmである。5nm〜500nmの範囲であれば、分散も良好で、かつ好適な表面粗さを有するため好ましい。
非磁性粉末の比表面積は、例えば1〜150m2/gであり、好ましくは20〜120m2/gであり、さらに好ましくは50〜100m2/gである。比表面積が1〜150m2/gの範囲内にあれば、好適な表面粗さを有し、かつ、所望の結合剤量で分散できるため好ましい。ジブチルフタレート(DBP)を用いた吸油量は、例えば5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、さらに好ましくは20〜60ml/100gである。比重は、例えば1〜12、好ましくは3〜6である。タップ密度は、例えば0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/mlである。タップ密度が0.05〜2g/mlの範囲であれば、飛散する粒子が少なく操作が容易であり、また装置にも固着しにくくなる傾向がある。非磁性粉末のpHは2〜11であることが好ましく、6〜9の間が特に好ましい。pHが2〜11の範囲にあれば、高温、高湿下または脂肪酸の遊離により摩擦係数が大きくなることを防ぐことができる。非磁性粉末の含水率は、例えば0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%、さらに好ましくは0.3〜1.5質量%である。含水量が0.1〜5質量%の範囲であれば、分散も良好で、分散後の塗料粘度も安定するため好ましい。強熱減量は、20質量%以下であることが好ましく、強熱減量が小さいものが好ましい。
また、非磁性粉末が無機粉体である場合には、モース硬度は4〜10のものが好ましい。モース硬度が4〜10の範囲であれば耐久性を確保することができる。非磁性粉末のステアリン酸吸着量は、例えば1〜20μmol/m2であり、さらに好ましくは2〜15μmol/m2である。非磁性粉末の25℃での水への湿潤熱は、200〜600erg/cm2(200〜600mJ/m2)の範囲にあることが好ましい。また、この湿潤熱の範囲にある溶媒を使用することができる。100〜400℃での表面の水分子の量は1〜10個/100Åが適当である。水中での等電点のpHは、3〜9の間にあることが好ましい。これらの非磁性粉末の表面には表面処理が施されることによりAl23、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23、ZnOが存在することが好ましい。特に分散性に好ましいものはAl23、SiO2、TiO2、ZrO2であり、さらに好ましいものはAl23、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用してもよいし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよいし、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
非磁性層に用いられる非磁性粉末の具体的な例としては、例えば、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、ZA−G1、戸田工業社製DPN−250、DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DPB−550BX、DPN−550RX、石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、MJ−7、α−酸化鉄E270、E271、E300、チタン工業製STT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、テイカ製MT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、T−600B、T−100F、T−500HD、堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M、同和鉱業製DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2P25、宇部興産製100A、500A、チタン工業製Y−LOPおよびそれを焼成したものが挙げられる。特に好ましい非磁性粉末は二酸化チタンとα−酸化鉄である。
非磁性層には非磁性粉末と共に、カーボンブラックを混合し表面電気抵抗を下げ、光透過率を小さくすると共に、所望のマイクロビッカース硬度を得ることができる。非磁性層のマイクロビッカース硬度は、通常25〜60kg/mm2(245〜588MPa)、好ましくはヘッド当りを調整するために、30〜50kg/mm2(294〜490MPa)であり、薄膜硬度計(日本電気製HMA−400)を用いて、稜角80度、先端半径0.1μmのダイヤモンド製三角錐針を圧子先端に用いて測定することができる。詳細は「薄膜の力学的特性評価技術」リアライズ社を参考にできる。光透過率は一般に波長900nm程度の赤外線の吸収が3%以下、たとえばVHS用磁気テープでは0.8%以下であることが規格化されている。このためにはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
非磁性層に用いられるカーボンブラックの比表面積は、例えば100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は、例えば20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gである。カーボンブラックの粒子径は、例えば5〜80nm、好ましくは10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmである。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。
非磁性層に用いることができるカーボンブラックの具体的な例としては、キャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、880、700、VULCAN XC−72、三菱化学社製#3050B、#3150B、#3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B、#970B、#850B、MA−600、コロンビアカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN8800、8000、7000、5750、5250、3500、2100、2000、1800、1500、1255、1250、ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。
また、カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを塗布液に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは上記無機粉末に対して50質量%を越えない範囲、非磁性層総質量の40%を越えない範囲で使用できる。これらのカーボンブラックは単独、または組み合せで使用することができる。本発明の非磁性層で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。
また非磁性層には目的に応じて有機質粉末を添加することもできる。このような有機質粉末としては、例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その製法は、特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記されているようなものが使用できる。
非磁性層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
また、本発明の磁気記録媒体は、下塗り層を設けてもよい。下塗り層を設けることによって支持体と磁性層または非磁性層との接着力を向上させることができる。密着性向上のための下塗り層としては、溶剤への可溶性のポリエステル樹脂を使用することができる。また後述するように、下塗り層として平滑化層を設けることもできる
層構成
本発明の磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体の厚みが、好ましくは3〜80μm、より好ましくは3〜50μm、特に好ましくは3〜10μmである。また、非磁性支持体と非磁性層または磁性層の間に下塗り層を設ける場合、下塗り層の厚みは、例えば0.01〜0.8μm、好ましくは0.02〜0.6μmである。
また支持体と非磁性層または磁性層との間、支持体とバックコート層との間に平滑化を目的とした中間層を設けることができ、例えば非磁性支持体の表面に、ポリマーを含有した塗布液を塗布、乾燥して形成するか、分子中に放射線硬化官能基を有する化合物(放射線硬化型化合物)を含有した塗布液を塗布し、その後、放射線を照射し、塗布液を硬化させて形成することができる。
放射線硬化型化合物の数平均分子量は、200〜2000の範囲であることが好ましい。分子量がこの範囲であると、比較的低分子量であるので、カレンダー工程において塗膜が流動し易く成形性が高く、平滑な塗膜を形成することができる。
放射線硬化型化合物として好ましいものは、分子量200〜2000の2官能のアクリレート化合物であり、更に好ましいものはビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFやこれらのアルキレンオキサイド付加物にアクリル酸、メタクリル酸を付加させたものである。
上記放射線硬化型化合物は、ポリマー型の結合剤と併用されてもよい。併用される結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を挙げることができる。放射線として紫外線を用いる場合は、重合開始剤を併用することが好ましい。重合開始剤としては、公知の光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤および光アミン発生剤等を用いることができる。
また、放射線硬化型化合物は、非磁性層に用いることもできる。
磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、一般には10〜150nmであり、好ましくは20〜120nmであり、さらに好ましくは30〜100nmであり、特に好ましくは30〜80nmである。また、磁性層の厚み変動率(σ/δ)は±50%以内が好ましく、さらに好ましくは±30%以内である。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、例えば0.1〜3.0μmであり、0.3〜2.0μmであることが好ましく、0.5〜1.5μmであることが更に好ましい。なお、本発明の磁気記録媒体の非磁性層は、実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、例えば不純物として、あるいは意図的に少量の磁性体を含んでいても、本発明の効果を示すものであり、本発明の磁気記録媒体と実質的に同一の構成とみなすことができる。なお、実質的に同一とは、非磁性層の残留磁束密度が10mT以下または抗磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力を持たないことを意味する。
バックコート層
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を有することもできる。バックコート層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方を適用することができる。特に前記非磁性層の処方を適用することが好適である。バックコート層の厚みは、0.9μm以下が好ましく、0.1〜0.7μmが更に好ましい。
製造方法
磁性層、非磁性層またはバックコート層を形成するための塗布液を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨材、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層用塗料、非磁性層用塗料またはバック層用塗料を分散させるには、ガラスビーズを用いることができる。このようなガラスビーズは、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。塗布液の製造工程では、分散条件(分散に使用するビーズ種、ビーズ量、周速、分散時間)によって分散を強化することが好ましい。
重層構成の磁気記録媒体を塗布する場合には、非磁性層塗布液が湿潤状態にあるうちに、その上に磁性層形成用塗布液を塗布、乾燥させる方法(Wet on wet)を用いてもよく、非磁性層形成用塗布液を塗布、乾燥させた後、その上に磁性層形成用塗布液を塗布、乾燥させる方法(Wet on dry)を用いてもよい。
非磁性層塗布液が湿潤状態にあるうちに、その上に磁性層形成用塗布液を塗布、乾燥させる方法(Wet on wet)を用いる場合には、以下のような方式を用いることが好ましい。第一に磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布装置等により、まず非磁性層を塗布し、非磁性層がウェット状態のうちに特公平1−46186号公報や特開昭60−238179号公報、特開平2−265672号公報に開示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により磁性層を塗布する方法;第二に特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報、特開平2−265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つの塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する方法;第三に特開平2−174965号公報に開示されているバックアップロール付きエクストルージョン塗布装置により上下層をほぼ同時に塗布する方法である。なお、磁性粒子の凝集による磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62−95174号公報や特開平1−236968号公報に開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗布液にせん断を付与することが望ましい。さらに、塗布液の粘度については、特開平3−8471号公報に開示されている数値範囲を満足することが好ましい。
各層用塗布液の塗布には、磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布装置等を用いることができる。
磁性層塗布液の塗布層は、磁気テープの場合、磁性層塗布液の塗布層中に含まれる強磁性粉末にコバルト磁石やソレノイドを用いて磁場配向処理してもかまわない。ディスクの場合、配向装置を用いず無配向でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コバルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用いることが好ましい。等方的な配向とは強磁性金属粉末の場合、一般的には面内2次元ランダムが好ましいが、垂直成分をもたせて3次元ランダムとすることもできる。また異極対向磁石など公知の方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方的な磁気特性を付与することもできる。特に高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。また、スピンコートを用いて円周配向することもできる。
乾燥風の温度、風量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御できる様にすることが好ましく、塗布速度は20m/分〜1000m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好ましい、また磁石ゾーンに入る前に適度の予備乾燥を行うこともできる。
このようにして得られた塗布原反は、一旦巻き取りロールにより巻き取られ、しかる後、この巻き取りロールから巻き出され、カレンダー処理を施すことができる。
カレンダー処理には、例えばスーパーカレンダーロールなどが利用される。カレンダー処理によって、表面平滑性が向上するとともに、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。カレンダー処理する工程は、塗布原反の表面の平滑性に応じて、カレンダー処理条件を変化させながら行うことが好ましい。
塗布原反は、概ね、巻き取りロールの芯側から外側に向かって光沢値が低下し、長手方向において品質にばらつきがあることがある。なお光沢値は、表面粗さRaと相関(比例関係)があることが知られている。したがって、カレンダー処理工程で、カレンダー処理条件、例えばカレンダーロール圧力を変化させず一定に保持すると、塗布原反の巻き取りによって生じた長手方向における平滑性の相違について何ら対策が講じられていないことになり、最終製品も長手方向に品質のばらつきが生じる。
したがって、カレンダー処理工程で、カレンダー処理条件、例えばカレンダーロール圧力を変化させ、塗布原反の巻き取りによって生じた長手方向における平滑性の相違を相殺することが好ましい。具体的には、巻き取りロールから巻き出された塗布原反の芯側から外側に向かってカレンダーロールの圧力を低下させていくことが好ましい。本発明者らの検討によれば、カレンダーロールの圧力を下げると光沢値は低下する(平滑性が低下する)ことが見出されている。これにより、塗布原反の巻き取りによって生じた長手方向における平滑性の相違が相殺され、長手方向において品質にばらつきのない最終製品を得ることができる。
なお、前記ではカレンダーロールの圧力を変化させる例について説明したが、これ以外にも、カレンダーロール温度、カレンダーロール速度、カレンダーロールテンションを制御することによって行うことができる。塗布型媒体の特性を考慮すると、カレンダーロール圧力、カレンダーロール温度を制御することが好ましい。カレンダーロール圧力を低くする、あるいはカレンダーロール温度を低くすることにより、最終製品の表面平滑性は低下する。逆に、カレンダーロール圧力を高くする、あるいはカレンダーロール温度を高くすることにより、最終製品の表面平滑性は高まる。
カレンダーロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用することができる。また金属ロールで処理することもできる。
カレンダー処理条件としては、カレンダーロールの温度は、例えば60〜100℃の範囲、好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲であり、圧力は、例えば100〜500kg/cm(98〜490kN/m)の範囲であり、好ましくは200〜450kg/cm(196〜441kN/m)の範囲であり、特に好ましくは300〜400kg/cm(294〜392kN/m)の範囲である。
得られた磁気記録媒体は、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。裁断機としては、特に制限はないが、回転する上刃(雄刃)と下刃(雌刃)の組が複数設けられたものが好ましく、適宜、スリット速度、噛み合い深さ、上刃(雄刃)と下刃(雌刃)の周速比(上刃周速/下刃周速)、スリット刃の連続使用時間等が選定される。
物理特性
本発明の磁気記録媒体の磁性層の飽和磁束密度は100〜400mTが好ましい。また磁性層の抗磁力(Hc)は、143.2〜318.3kA/m(1800〜4000Oe)が好ましく、159.2〜278.5kA/m(2000〜3500Oe)が更に好ましい。抗磁力の分布は狭い方が好ましく、SFDおよびSFDrは、好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.3以下である。
本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩擦係数は、温度−10〜40℃、湿度0〜95%の範囲において、例えば0.50以下であり、好ましくは0.3以下である。また、表面固有抵抗は、好ましくは磁性面104〜108Ω/sq、帯電位は−500V〜+500V以内が好ましい。磁性層の0.5%伸びでの弾性率は、面内各方向で好ましくは0.98〜19.6GPa(100〜2000kg/mm2)、破断強度は、好ましくは98〜686MPa(10〜70kg/mm2)、磁気記録媒体の弾性率は、面内各方向で好ましくは0.98〜14.7GPa(100〜1500kg/mm2)、残留のびは、好ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は、好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
磁性層のガラス転移温度(動的粘弾性測定装置(例えばエー・アンド・デイ株式会社製レオバイブロン等)により、110Hzで測定した動的粘弾性測定の損失弾性率の極大点)は50〜180℃が好ましく、非磁性層のそれは0〜180℃が好ましい。損失弾性率は1×107〜8×108Pa(1×108〜8×109dyne/cm2)の範囲にあることが好ましく、損失正接は0.2以下であることが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が発生しやすい。これらの熱特性や機械特性は媒体の面内各方向において10%以内でほぼ等しいことが好ましい。
磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは100mg/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2以下である。塗布層が有する空隙率は非磁性層、磁性層とも好ましくは40容量%以下、さらに好ましくは30容量%以下である。空隙率は高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目的によってはある値を確保した方が良い場合がある。例えば、繰り返し用途が重視されるディスク媒体では空隙率が大きい方が走行耐久性は好ましいことが多い。
本発明の磁気記録媒体は、目的に応じ非磁性層と磁性層でこれらの物理特性を変えることができる。例えば、磁性層の弾性率を高くし走行耐久性を向上させると同時に非磁性層の弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当たりを良くすることができる。
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、ここに示す成分、割合、操作、順序等は本発明の精神から逸脱しない範囲で変更し得るものであり、下記の実施例に制限されるべきものではない。また、実施例中の「部」特に示さない限り質量部を示す。
[実施例1]
1.磁性層塗布液の調製
強磁性金属粉末(Co/Fe=40原子%、Hc:2200エルステッド(175kA/m)、SBET:75m2/g、表面処理層:Al23、Y23、平均長軸長:35nm、平均針状比:4、σs:110A・m2/kg(110emu/g))100部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで
カーボンブラック(平均粒径80nm) 2部
塩化ビニル樹脂(日本ゼオン(株)製MR−110) 10部
ポリエステルポリウレタン(東洋紡績(株)製:UR8300)10部(固形分)
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1 60部
を加えて60分間混練した。この混練物にオープンニーダーを運転しながら、
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1 200部
を6時間かけて添加した。次いで、
α−Al23分散液 20部
を加えてサンドグラインダーで120分間分散した。さらに
ポリイソシアネート 5部(固形分)
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネート3041)
ステアリン酸 1部
表1記載の炭酸エステル 1部
ステアリン酸アミド 0.2部
トルエン 50部
を加えて20分間攪拌混合した。その後、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層塗布液を調製した。
2.非磁性層塗布液の調製
α−酸化鉄(平均粒径0.15μm、タップ密度0.8g/ml、針状比7、pH8、DBP吸油量33g/100g、表面処理層;Al23、SiO2、SBET 52m2/g)85部、および
カーボンブラック ケッチェンブラックEC(日本EC製) 20部
をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで
塩化ビニル系共重合体MR110(日本ゼオン製)を 10部
スルホン酸含有ポリウレタン樹脂東洋紡製UR8200 10部(固形分)
シクロヘキサノン 60部
を添加して60分間混練、次いで
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。これに、
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製 コロネート3041) 5部(固形分)
ステアリン酸 1部
以下に示す炭酸エステル(表1参照) 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層塗布液を調製した。
Figure 2009099252
3.磁気テープの作製
得られた非磁性層塗布液を乾燥後の厚さが1.0μmになるように、さらにその直後に磁性層塗布液を乾燥後の厚さが0.1μmになるように、厚さ5μmのポリエチレンナフタレ−ト支持体の表面に同時重層塗布(Wet−on−Wet)した。磁性層塗布液が未乾燥の状態で0.5T(5000ガウス)のCo磁石と0.4T(4000ガウス)のソレノイド磁石で磁場配向を行い、溶剤を乾燥したものを、
金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール
の組み合せによるカレンダー処理を、速度50m/min、線圧300kg/cm、温度95℃で2回行った後1/2インチ幅にスリットし、IBM3592拡張容量テープフォーマットでカートリッジを作製した。
[実施例2]
磁性層および非磁性層に含まれる炭酸エステルを、以下に示す炭酸エステル(一般式(1)中のR2=直鎖C1633)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でカートリッジを作製した。
Figure 2009099252
[実施例3]
磁性層および非磁性層に含まれる炭酸エステルを、以下に示す炭酸エステル(一般式(1)中のR2=直鎖C1429)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でカートリッジを作製した。
Figure 2009099252
[実施例4]
磁性層および非磁性層に含まれる炭酸エステルとして、実施例1で使用した炭酸エステルと一般式(1)中のR2は同様であるがR1を2−エチルヘキシルから2−メチルブチルに変更した炭酸エステルを使用した以外は、実施例1と同様の方法でカートリッジを作製した。
[実施例5]
磁性層および非磁性層に含まれる炭酸エステルとして、実施例1で使用した炭酸エステルと一般式(1)中のR2は同様であるがR1を2−エチルヘキシルから2−メチルプロピルに変更した炭酸エステルを使用した以外は、実施例1と同様の方法でカートリッジを作製した。
[実施例6]
磁性層塗布液調製時の分散時間を240分に変更し、かつカレンダー処理回数を1回に変更した以外は、実施例1と同様の方法でカートリッジを作製した。
[比較例1]
磁性層および非磁性層に含まれる炭酸エステルに代え、sec−ブチルステアレート(脂肪酸エステル)を使用した以外は、実施例1と同様の方法でカートリッジを作製した。
[比較例2]
磁性層および非磁性層に含まれる炭酸エステルに代え、2−エチルヘキシルステアレート(脂肪酸エステル)を使用した以外は、実施例1と同様の方法でカートリッジを作製した。
[比較例3]
磁性層および非磁性層に含まれる炭酸エステルを、以下に示す炭酸エステル(一般式(1)中のR2=直鎖C1225)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でカートリッジを作製した。
Figure 2009099252
[比較例4]
磁性層および非磁性層に含まれる炭酸エステルとして、実施例1で使用した炭酸エステルと一般式(1)中のR1は同様であるがR2を直鎖C2245に変更した炭酸エステルを使用した以外は、実施例1と同様の方法でカートリッジを作製した。
[比較例5]
磁性層塗布液調製時のサンドグラインダーの分散時間を60分に短縮した以外は、実施例1と同様の方法でカートリッジを作製した。
[比較例6]
磁性層塗布液調製時のサンドグラインダーの分散時間を180分に延長した以外は、実施例1と同様の方法でカートリッジを作製した。
[比較例7]
カレンダー処理を、処理温度を70℃に変更し処理回数を1回に変更した以外は、実施例1と同様の方法でカートリッジを作製した。
[比較例8]
カレンダー処理を、処理温度を95℃に変更し処理回数を3回に変更した以外は、実施例1と同様の方法でカートリッジを作製した。
[比較例9]
磁性層および非磁性層に含まれる炭酸エステルとして、実施例3で使用した炭酸エステルと一般式(1)中のR2は同様であるがR1を2−エチルヘキシルから2−メチルブチルに変更した炭酸エステルを使用した以外は、実施例1と同様の方法でカートリッジを作製した。
[比較例10]
磁性層および非磁性層に含まれる炭酸エステルとして、実施例1で使用した炭酸エステルと一般式(1)中のR1を2−エチルヘキシルからブチルに変更し、R2を直鎖C1429に変更した炭酸エステルを使用した以外は、実施例1と同様の方法でカートリッジを作製した。
磁気テープの評価
(1)磁性層表面平均粗さRaの測定
カートリッジ挿入前の磁気テープについて、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製SPI3800Nにて、テープ表面の40μm角のRaを測定した。
(2)磁性層押し込み硬度
エリオクス社製超微小押し込み硬さ試験機(ENT−1100a)を用い、25℃の環境下でダイヤモンド圧子を6mgfの荷重で磁性層表面に押し込んだ際の硬さを測定した。
以上の結果を表1に示す。
走行耐久性、再走行性の評価
評価にはIBM社製 Enterprise Tape Drive 3592を使用した。走行耐久性については40℃湿度80%環境で長尺耐久走行を実施し、300ffp時のC1エラーレートを測定した。また、再走行性については、300ffp走行後にテープとヘッドを接触させたまま24時間放置し、その後の再走行時のテープの張り付き具合を目視で観察した。
以上の結果を表2に示す。
Figure 2009099252
Figure 2009099252
評価結果
実施例1〜6では、いずれも走行耐久性と再走行性は良好であった。
これに対し、比較例1では、走行耐久性、再走行性とも劣化した。走行耐久性が劣化した原因は、脂肪酸エステルを使用したため加水分解したことにあり、再走行性劣化の原因は、脂肪酸エステルが低分子であったためヘッドとテープが接触した状態時(24h)に磁性層表面に多量にしみ出したことにあると考えられる。
比較例2において走行耐久性が劣化した原因は、比較例1と同様に脂肪酸エステルを使用したため加水分解したことにあると考えられる。また、比較例3、9における再走行性劣化の原因は、炭酸エステルが低分子であったため保存中に磁性層表面に多量にしみ出したことにあると考えられる。
比較例4では、炭酸エステルとして分子量が高いものを使用したため、炭酸エステルの析出により目詰まりが発生し走行耐久性が低下した。目詰まりが激しく、再走行評価
は実施しなかった。
比較例5では、磁性層の表面平滑性に劣っていたため良好なエラーレートを得ることができなかった。再走行評価は良好であった。
比較例6では、磁性層の表面平滑性が過度に高かったため、摩擦係数が増大しヘッド当たりが不良となった。これにより走行耐久性が低下した。摩擦係数がもともと高いので再走行評価は実施しなかった。
比較例7では、磁性層の押し込み硬度が低かったことに起因し再走行性が低下した。これに対し、比較例8では、磁性層の押し込み硬度が過度に高かったため、ヘッド当たりが不良となり良好なエラーレートが得られなかった。
比較例9では、使用した炭酸エステルの分子量が360未満であったため、ヘッドとテープが接触している間に、潤滑剤が層中からテープ表面にしみ出し易く、その結果、再走行時に張り付きが発生した。
比較例10では、走行耐久性が低下した。これは、一般式(1)中のR1相当部が直鎖アルキル基である炭酸エステルの融点が高いことにより、摩擦係数が増大したからではないかと推察される。したがって、再走行評価は実施しなかった。
本発明の磁気記録媒体は、バックアップテープ等の走行耐久性および長期保存性が求められる高密度記録用磁気記録媒体として好適である。

Claims (4)

  1. 非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
    前記磁性層は、
    原子間力顕微鏡で測定した表面平均粗さRaが2.0〜3.5nmの範囲であり、
    押し込み硬度は、0.49GPa〜0.78GPaの範囲であり、かつ、
    下記一般式(1)で表される分子量360〜460の炭酸エステルを更に含有する磁気記録媒体。
    Figure 2009099252
    [一般式(1)中、R1は分岐構造を有する飽和炭化水素基を表し、R2は炭素数14〜20の直鎖構造を有する飽和炭化水素基を表す。]
  2. 一般式(1)中、R1はβ位にて分岐構造を有する飽和炭化水素基である請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 一般式(1)中、R1は、2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基または2−エチルヘキシル基である請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記非磁性支持体と前記磁性層との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、該非磁性層に前記炭酸エステルを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
JP2008248348A 2007-09-28 2008-09-26 磁気記録媒体 Pending JP2009099252A (ja)

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