JP2009081309A - 有機半導体組成物、及びそれを用いた有機電子デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】溶液プロセスにより均一な膜質の薄膜を成膜することが可能で、良好な半導体特性を示す有機半導体材料を比較的簡便な方法により提供する。
【解決手段】π共役系化合物Aとπ共役系化合物Aの水素原子または置換基の一部を可溶化基Rまたは水素原子(少なくとも1つはR)で置き換えた化合物Bの少なくとも一種類とを有機半導体成分として含む組成物1からなり、化合物Bの可溶化基RのHammet定数の総和と、化合物Aの置き換えられる置換基のHammet定数の総和の差が1.0以内であって、少なくとも一種類の沸点40℃以上120℃以下の溶媒を、有機半導体成分に対して質量比で1/20倍以上、1000倍未満含有する有機半導体組成物。
(式中、Rは置換基を表し、nは自然数を表す。Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。+は両者の均一混合物であることを示す。)
【選択図】なし
【解決手段】π共役系化合物Aとπ共役系化合物Aの水素原子または置換基の一部を可溶化基Rまたは水素原子(少なくとも1つはR)で置き換えた化合物Bの少なくとも一種類とを有機半導体成分として含む組成物1からなり、化合物Bの可溶化基RのHammet定数の総和と、化合物Aの置き換えられる置換基のHammet定数の総和の差が1.0以内であって、少なくとも一種類の沸点40℃以上120℃以下の溶媒を、有機半導体成分に対して質量比で1/20倍以上、1000倍未満含有する有機半導体組成物。
(式中、Rは置換基を表し、nは自然数を表す。Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。+は両者の均一混合物であることを示す。)
【選択図】なし
Description
本発明はπ共役系化合物と、π共役系化合物に可溶化基が結合した化合物の組成物からなる有機半導体材料、およびその製造方法、該有機半導体材料からなる膜、および有機電子デバイス(特に有機トランジスタ、有機光電変換素子)に関する。
ユビキタスな情報社会を迎え、いつでもどこでも使用できる情報端末が求められている。そのため、フレキシブルかつ軽量で安価な電子デバイスが望まれているが、従来のシリコンのような無機材料を用いる電子デバイスでは、これらの要望に十分に対応できていない。そこで、近年、これらの要望に対応可能な有機材料を半導体などとして用いた有機電子デバイスの研究が活発になされている。特に、溶液として基板上に塗布・乾燥する工程、いわゆる溶液プロセスにより成膜可能な有機半導体材料は、高温工程を必要とせず、低コストで大面積のデバイスを作製することを可能性にするもので、大いに期待されている(非特許文献1、2)。
しかしながら、これまでに見出された有機半導体材料のうち比較的高い性能を示すものは、ペンタセンやフラーレンC60に代表されるように、大きなπ共役系を有するため溶媒への溶解性が非常に低く、溶液プロセス適性が低いものがほとんどだった。このため、成膜には真空蒸着法などのコストの高いいわゆる真空プロセスを用いなければならなかった。一方で、溶解性を付与し、溶液プロセス適性を持たせる目的で有機半導体骨格に置換基を導入することは、しばしば膜中での分子のパッキング性を阻害し、キャリア輸送性の低下につながる。このため、溶液プロセスにより成膜が可能で、比較的良好な特性を示す有機半導体材料の開発が強く求められている。
また、これまでに知られている有機半導体材料の多くは、正孔を電荷輸送キャリアとするp型材料である。p型材料としては塗布成膜可能なP3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))が知られており、この材料は比較的良好な特性を示すため、塗布成膜可能なp型材料として広く使用されている。
これに対し、電荷輸送キャリアが電子であるn型材料においては、溶液プロセス成膜が可能な材料はごく一部に限られている。最もよく用いられる材料としてフラーレン誘導体PCBM([6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル)が挙げられる。しかしこれを電子デバイスとして動作させるには大気中での劣化を防止するために封止が必要になるなど、大気中での安定性の点で十分満足できるものではなかった。また、大気中での劣化が少ないn型材料としてヘキサデカフルオロ銅フタロシアニン(F16CuPc)が知られているが、溶媒への溶解度が低く溶液プロセスによる成膜には適していないという問題があった(非特許文献1、2)。
従って、塗布法などの溶液プロセスにおいて成膜適性があり、良好な特性を示す有機半導体材料、特に、n型材料で大気下でも特性の劣化が少ない材料の開発が求められている。
Chemical Reviews,2007,107,1296−1323.
「Organic Field−Effect Transistors」(2007年刊、CRC Press)159−228頁。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶液プロセスにより均一な膜質の薄膜を成膜することが可能で、良好な半導体特性を示す有機半導体材料を比較的簡便な方法により提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の(1)から(11)に記載する、特定の構造を有するπ共役系化合物の組成物からなる有機半導体材料、該有機半導体材料からなる膜、各種有機電子デバイス(特に有機トランジスタ、有機光電変換素子)によって解決された。
(1)π共役系化合物Aとπ共役系化合物Aの水素原子または置換基の一部を可溶化基Rまたは水素原子(少なくとも1つはR)で置き換えた化合物Bの少なくとも一種類とを有機半導体成分として含む組成物1からなり、化合物Bの可溶化基RのHammet定数の総和と、化合物Aの置き換えられる置換基のHammet定数の総和の差が1.0以内であって、少なくとも一種類の沸点40℃以上120℃以下の溶媒を、有機半導体成分に対して質量比で1/20倍以上、1000倍未満含有することを特徴とする有機半導体組成物。
(1)π共役系化合物Aとπ共役系化合物Aの水素原子または置換基の一部を可溶化基Rまたは水素原子(少なくとも1つはR)で置き換えた化合物Bの少なくとも一種類とを有機半導体成分として含む組成物1からなり、化合物Bの可溶化基RのHammet定数の総和と、化合物Aの置き換えられる置換基のHammet定数の総和の差が1.0以内であって、少なくとも一種類の沸点40℃以上120℃以下の溶媒を、有機半導体成分に対して質量比で1/20倍以上、1000倍未満含有することを特徴とする有機半導体組成物。
(式中、Rは置換基を表し、nは自然数を表す。Rが複数の場合、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。+は両者の均一混合物であることを示す(以下同様)。)
(2)有機半導体成分に占める化合物Aおよび少なくとも一種類の化合物Bの含有率がそれぞれ10質量%以上である(1)に記載の有機半導体組成物。
(3)前記組成物が、下記π共役系化合物A1と化合物B1とを含有してなりフタロシアニン又はその類縁体よりなる下記一般式2で表される(1)又は(2)に記載の有機半導体組成物。
(2)有機半導体成分に占める化合物Aおよび少なくとも一種類の化合物Bの含有率がそれぞれ10質量%以上である(1)に記載の有機半導体組成物。
(3)前記組成物が、下記π共役系化合物A1と化合物B1とを含有してなりフタロシアニン又はその類縁体よりなる下記一般式2で表される(1)又は(2)に記載の有機半導体組成物。
(式中、Mは金属原子または水素原子(Mが水素原子の場合、2つの水素原子がN1およびN2の窒素原子にそれぞれ結合する。)を表す。Qは芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。複数のQは同一でも異なっていてもよい。Rは置換基を表し、nは自然数を表す。Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。)
(4)前記有機半導体成分のうち少なくとも一つがn型有機半導体である(1)〜(3)のいずれかに記載の有機半導体組成物。
(5)前記組成物が下記π共役系化合物A2と化合物B2とを含有してなり、下記(一般式3)で表される(1)〜(4)のいずれかに記載の有機半導体組成物。
(4)前記有機半導体成分のうち少なくとも一つがn型有機半導体である(1)〜(3)のいずれかに記載の有機半導体組成物。
(5)前記組成物が下記π共役系化合物A2と化合物B2とを含有してなり、下記(一般式3)で表される(1)〜(4)のいずれかに記載の有機半導体組成物。
(式中、Mは金属原子または水素原子(水素原子の場合はイソインドール環の窒素原子およびイソインドリン環の窒素原子に結合する)を表す。mは自然数を表す。Rは置換基を表し、nは自然数を表す。Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。)
(6)前記可溶化基Rが−SO2R’または−SO2NR’2(R’は置換基を表す)である(1)〜(5)のいずれかに記載の有機半導体組成物。
(7)2種類以上のフタロニトリル、またはその誘導体を混合して反応させることによって有機半導体成分を得ることを用いる(1)〜(6)のいずれかに記載の有機半導体組成物の作製方法。
(8)(1)〜(6)のいずれかに記載の有機半導体組成物を用いて形成された膜。
(9)前記膜の成膜方法が溶液プロセスによるものである(8)に記載の膜。
(10)(1)〜(6)のいずれかに記載の有機半導体組成物を用いた有機電子デバイス。
(11)(1)〜(6)のいずれかに記載の有機半導体組成物を用いた有機トランジスタ。
(12)(1)〜(6)のいずれかに記載の有機半導体組成物を用いた有機光電変換素子。
(6)前記可溶化基Rが−SO2R’または−SO2NR’2(R’は置換基を表す)である(1)〜(5)のいずれかに記載の有機半導体組成物。
(7)2種類以上のフタロニトリル、またはその誘導体を混合して反応させることによって有機半導体成分を得ることを用いる(1)〜(6)のいずれかに記載の有機半導体組成物の作製方法。
(8)(1)〜(6)のいずれかに記載の有機半導体組成物を用いて形成された膜。
(9)前記膜の成膜方法が溶液プロセスによるものである(8)に記載の膜。
(10)(1)〜(6)のいずれかに記載の有機半導体組成物を用いた有機電子デバイス。
(11)(1)〜(6)のいずれかに記載の有機半導体組成物を用いた有機トランジスタ。
(12)(1)〜(6)のいずれかに記載の有機半導体組成物を用いた有機光電変換素子。
本発明により、溶液プロセスにより均一な膜質の薄膜を成膜がすることが可能で、良好な半導体特性を示す有機半導体材料が比較的簡便な方法で提供され、さらに、これらを含む膜、および各種の高性能な有機電子デバイス(有機トランジスタ,有機光電変換素子など)が得られる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のπ共役系化合物Aとしては芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を有するものであればいかなる構造でもよく、例えば「Organic Field−Effect Transistors」(2007年刊、CRC Press)159−228頁に記載のものや、その他公知の有機半導体分子が挙げられる。好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、フラン環、チオフェン環などの芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環を有する構造であり、より好ましくは、これらの芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環が2つ以上縮環された、および/または共有結合で連結されており、それらの芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環がそれぞれ有するπ電子が広く非局在化した構造であることが好ましい。縮環されたおよび/または共有結合で連結された芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環の数は、1〜20個が好ましく、2〜12個がより好ましい。
本発明におけるπ共役系化合物Aの具体例としては、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、トリフェニレン、ヘキサベンゾコロネン、フラーレンなどの縮合多環化合物、クォーターチオフェンやセキシチオフェンなどの芳香族ヘテロ環オリゴマー、フタロシアニン類、ポルフィリン類などが挙げられる。
本発明のπ共役系化合物Aは、単独では溶媒に対する溶解性が低いことが好ましく、具体的には溶媒として各種汎用溶媒のうち、最も高い溶解度を示す溶媒を用いたときに沸点まで加熱還流した後に室温(25℃)まで冷却した状態で3質量%以下の溶解度のものが好ましく、1質量%以下のものがより好ましく、0.5質量%以下のものがさらに好ましい。ここで、汎用溶媒とはいかなるものでもよく、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1−メチルナフタレン、1,2−ジクロロベンゼンなどの炭化水素系溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶媒、例えば、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールなどのアルコール系溶媒、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどのエーテル系溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1−メチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキサイドなどの極性溶媒)、水などが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
本発明では、溶液プロセス適性を付与するため、π共役系化合物Aと、化合物Aの構造の一部に対して可溶化基Rを有する化合物Bを少なくとも一種類以上含む組成物からなる有機半導体材料(以下、「本発明の有機半導体組成物」という)を用いる。
本発明において前記化合物Bは可溶化基Rを導入したことによって溶媒に対する溶解性が高まる。該化合物Bの溶解性は特に制限するものではないが、最も高い溶解度を示す溶媒中好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上とする。
本発明において前記化合物Bは可溶化基Rを導入したことによって溶媒に対する溶解性が高まる。該化合物Bの溶解性は特に制限するものではないが、最も高い溶解度を示す溶媒中好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上とする。
化合物Bは一種類でなくとも何種類でもよく、また使用目的などに応じて混合比率を適宜変更することができる。前記の有機半導体組成物中の化合物Bの種類が多いほど溶液プロセス適性は向上する傾向にあるが、半導体特性は低下する傾向にあり、目的に応じて適当な種類数を選ぶことができる。化合物Bは好ましくは一種類から二十種類、より好ましくは一種類から十種類である。
本発明において有機半導体組成物とは、固体であっても液体であっても構わないが、好ましくは有機半導体成分の溶液または分散液である。また、有機半導体成分に対して沸点40℃以上120℃以下の溶媒をごく少量含有させることにより、有機半導体組成物の塗布・乾燥時の有機半導体成分の分子集積を促進することができる。ここでいう沸点40℃以上120℃以下の溶媒とは、沸点がこの範囲に入る溶媒であればいかなるものでもよく、例としては、ヘキサン(沸点69℃)、オクタン(126℃)、ベンゼン(80℃)、トルエン(111℃)、アセトン(56℃)、メチルエチルケトン(80℃)、メチルイソブチルケトン(116℃)、ジクロロメタン(40℃)、クロロホルム(62℃)、テトラクロロメタン(77℃)、ジクロロエタン(84℃)、トリクロロエタン(87℃)、酢酸エチル(77℃)、メタノール(65℃)、エタノール(78℃)、n−プロパノール(97℃)、イソプロパノール(82℃)、nーブタノール(117℃)、ジイソプロピルエーテル(69℃)、テトラヒドロフラン(66℃)、1,4−ジオキサン(101℃)、水(100℃)、ピリジン(115℃)などが挙げられる。好ましくは沸点60℃以上120℃以下のものであり、より好ましくは沸点80℃以上120℃以下のものであり、特に好ましくはトルエン、ピリジン、ベンゼン、水のいずれかである。該溶媒の量が多過ぎると塗布・乾燥前に有機半導体成分が析出してしまい、良質な薄膜が得られなくなるため、有機半導体成分に対して質量比で1/1000倍以上、100000倍未満含有していることが好ましく、1/100倍以上、10000倍未満含有していることがより好ましく、1/20倍以上、1000倍未満含有していることがさらに好ましい。
前記組成物中に占める化合物Aおよび化合物Bの割合は特に制限しないが、好ましくは化合物Aおよび少なくとも一種類の化合物Bがいずれも質量比で0.001質量%以上含まれることが好ましく、0.01質量%以上含まれることがより好ましく、0.02質量%以上含まれることがさらに好ましい。その上限は上記のように前記化合物A又はBが析出しない範囲で定めることができるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
また前記有機半導体組成物の化合物Aと化合物Bの使用量の比は特に制限はするものではないが、有機半導体材料として用いることなどを考慮して、化合物Aに対する化合物Bを質量比で好ましくは1/100〜100/1、より好ましくは1/10〜10/1とする。
また前記有機半導体組成物の化合物Aと化合物Bの使用量の比は特に制限はするものではないが、有機半導体材料として用いることなどを考慮して、化合物Aに対する化合物Bを質量比で好ましくは1/100〜100/1、より好ましくは1/10〜10/1とする。
π共役系化合物Aと溶解性向上のために含有される化合物Bとのエネルギーレベル(酸化還元電位、最高占有分子軌道(HOMO)および最低非占有分子軌道(LUMO)、イオン化ポテンシャル(Ip)および電子親和力(Ea)などと言い換えてもよい)の差が大きいとキャリア輸送の際にトラップとなるため半導体特性が低下する。このため、化合物Aと化合物Bのエネルギーレベルの差は小さいほど好ましい。化合物の酸化還元電位は、適当な溶媒中、CV(サイクリック・ボルタンメトリー)測定を行うことにより求められる。また、固体膜に対して大気中光電子分光測定を行うことでIp(eV)を測定することが可能であり、さらに固体膜の吸収長波長端から計算されるエネルギーギャップEg(eV)とEa(ev)=Ip−Egの関係からEaを求めることができる。
化合物Aと化合物Bのエネルギーレベルの差は小さいほどよく、それぞれのIp同士、Ea同士の差がそれぞれ1.5eV以内であることが好ましく、1.0eV以内であることがより好ましく、0.5eV以内であることがさらに好ましい。
π共役系化合物に結合する置換基のHammet定数σとエネルギーレベルの間には良好な相関関係があることが知られている(Inorg.Chim.Acta,1993,203,171;J.Electroanal.Chem.,1999,476,148.など)。そこで、化合物Aと化合物Bのエネルギーレベルの差を小さくするためには、化合物Bの可溶化基RのHammet定数の総和ΣσBと、化合物Aの置き換えられる置換基のHammet定数の総和ΣσAの差(|ΣσB−ΣσA|)を小さくすればよい。このHammet定数の総和の差は小さいほどよく、1.5以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましく、0.5以下であることが特に好ましい。
本発明においてHammet定数σは文献Chem.Rev.,1991,91,165.に記載のσoとσpの平均値とする(σ=(σo+σp)/2)。前記論文中に記載されていない置換基については、最も類似する構造の置換基のHammet定数を用いるものとする。
可溶化基Rはいかなる置換基でもよく、後述のWから選ぶことができる。一分子中に含まれる可溶化基Rの数nに特に制限はなく、1個でも複数でもよい。Rは多いほど溶液プロセス適性は向上する傾向にあるが、半導体特性は低下する傾向にあり、用途に応じて適当な数を選択することができる。好ましくは1個〜10個であり、より好ましくは1個〜5個であり、さらに好ましくは1個〜3個である。Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
本発明において、Rで示される特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分の基Rはそれ自体が置換されていなくてもよく、また、一種以上の(可能な最多数までの)別のさらに置換基で置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。つまり、本発明における化合物における置換基はさらに置換されていても良い。
このようなRで示される置換基をWとすると、Wで示される置換基としてはいかなるものでも良く、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(直鎖もしくは分岐アルキル基のほか、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(直鎖もしくは分岐アルケニル基のほか、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基といっても良い)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールおよびヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH)2)、ホスファト基(−OPO(OH)2)、スルファト基(−OSO3H)、その他の公知の化合物Bに溶媒可溶性を付与する置換基が例として挙げられる。
さらに詳しくは、Wは、下記の(1)〜(48)などを表す。
(1)ハロゲン原子
例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子
(1)ハロゲン原子
例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子
(2)アルキル基
直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、(2−a)〜(2−e)なども包含するものである。
直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、(2−a)〜(2−e)なども包含するものである。
(2−a)アルキル基
好ましくは炭素数1から30のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)
好ましくは炭素数1から30のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)
(2−b)シクロアルキル基
好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)
好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)
(2−c)ビシクロアルキル基
好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基(例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)
好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基(例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)
(2−d)トリシクロアルキル基
好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のトリシクロアルキル基(例えば、1−アダマンチル)
好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のトリシクロアルキル基(例えば、1−アダマンチル)
(2−e)さらに環構造が多い多環シクロアルキル基
なお、以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を表すが、さらにアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。
なお、以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を表すが、さらにアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。
(3)アルケニル基
直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、(3−a)〜(3−c)を包含するものである。
直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、(3−a)〜(3−c)を包含するものである。
(3−a)アルケニル基
好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基(例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)
好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基(例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)
(3−b)シクロアルケニル基
好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)
好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)
(3−c)ビシクロアルケニル基
置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基(例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)
置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基(例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)
(4)アルキニル基
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)
(5)アリール基
好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基(例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル、フェロセニル)
好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基(例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル、フェロセニル)
(6)複素環基
好ましくは、5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3から50の5もしくは6員の芳香族の複素環基である。
(例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル。なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性の複素環基でも良い)
好ましくは、5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3から50の5もしくは6員の芳香族の複素環基である。
(例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル。なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性の複素環基でも良い)
(7)シアノ基
(8)ヒドロキシ基
(9)ニトロ基
(10)カルボキシ基
(11)アルコキシ基
好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)
(12)アリールオキシ基
好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)
好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)
(13)シリルオキシ基
好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)
好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)
(14)ヘテロ環オキシ基
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)
(15)アシルオキシ基
好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)
好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)
(16)カルバモイルオキシ基
好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)
好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)
(17)アルコキシカルボニルオキシ基
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)
(18)アリールオキシカルボニルオキシ基
好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)
好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)
(19)アミノ基
好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)
好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)
(20)アンモニオ基
好ましくは、アンモニオ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキル、アリール、複素環が置換したアンモニオ基(例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)
好ましくは、アンモニオ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキル、アリール、複素環が置換したアンモニオ基(例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)
(21)アシルアミノ基
好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基(例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)
好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基(例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)
(22)アミノカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ(例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)
好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ(例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)
(23)アルコキシカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)
(24)アリールオキシカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ、m-n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)
好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ、m-n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)
(25)スルファモイルアミノ基
好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)
好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)
(26)アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基
好ましくは,炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ(例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)
好ましくは,炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ(例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)
(27)メルカプト基
(28)アルキルチオ基
好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)
好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)
(29)アリールチオ基
好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ(例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)
好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ(例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)
(30)ヘテロ環チオ基
好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)
好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)
(31)スルファモイル基
好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)
好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)
(32)スルホ基
(33)アルキルもしくはアリールスルフィニル基
好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)
好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)
(34)アルキルもしくはアリールスルホニル基
好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)
好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)
(35)アシル基
好ましくは、ホルミル基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基(例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)
好ましくは、ホルミル基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基(例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)
(36)アリールオキシカルボニル基
好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)
好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)
(37)アルコキシカルボニル基
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)
(38)カルバモイル基
好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル(例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)
好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル(例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)
(39)アリールおよびヘテロ環アゾ基
好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)
好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)
(40)イミド基
好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド
好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド
(41)ホスフィノ基
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)
(42)ホスフィニル基
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基(例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基(例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)
(43)ホスフィニルオキシ基
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)
(44)ホスフィニルアミノ基
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)
好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)
(45)ホスフォ基
(46)シリル基
好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)
好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)
(47)ヒドラジノ基
好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のヒドラジノ基(例えば、トリメチルヒドラジノ)
好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のヒドラジノ基(例えば、トリメチルヒドラジノ)
(48)ウレイド基
好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のウレイド基(例えばN,N−ジメチルウレイド)
これらの置換基Wの例中、好ましくは(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)、(22)、(23)、(24)、(25)、(26)、(28)、(29)、(30)、(31)、(33)、(34)、(35)、(36)、(37)、(38)、(39)、(41)、(42)、(43)、(44)、(46)、(47)、(48)である。
上記の可溶化基による可溶化は、有機半導体組成物中の塗布に用いられる溶媒とも関係する。この溶媒としては前記汎用溶媒が挙げられる。
可溶化基は、所定の溶解度を考慮し、有機半導体組成物に用いる溶媒の種類などによって適宜定める。
好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のウレイド基(例えばN,N−ジメチルウレイド)
これらの置換基Wの例中、好ましくは(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)、(22)、(23)、(24)、(25)、(26)、(28)、(29)、(30)、(31)、(33)、(34)、(35)、(36)、(37)、(38)、(39)、(41)、(42)、(43)、(44)、(46)、(47)、(48)である。
上記の可溶化基による可溶化は、有機半導体組成物中の塗布に用いられる溶媒とも関係する。この溶媒としては前記汎用溶媒が挙げられる。
可溶化基は、所定の溶解度を考慮し、有機半導体組成物に用いる溶媒の種類などによって適宜定める。
また、2つのWが共同して環を形成することもできる。このような環としては芳香族、または非芳香族の炭化水素環、またはヘテロ環や、これらがさらに組み合わされて形成された多環縮合環が挙げられる。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、およびフェナジン環が挙げられる。これらの中で好ましい環化合物はベンゼン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環である。ただし、芳香族環は、本発明のフタロシアニン系化合物の溶媒に対する溶解性を改善することは少なく、好ましくない。
上記の置換基Wの中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)が挙げられる。より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
本発明で用いられるπ共役系化合物Aおよび化合物Bとしては、半導体特性や化合物の安定性の観点から以下の化学式(化2)で示されるフタロシアニンおよびその類縁体(化合物A1又はB1)であることが特に好ましい。
(式中、Mは金属原子または水素原子(Mが水素原子の場合、2つの水素原子がN1およびN2の窒素原子にそれぞれ結合する。)を表す。Qは芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。複数のQは同一でも異なっていてもよい。Rは置換基を表し、nは自然数を表す。Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。前記のように+は両者の混合物であることを示す。)
一般式2において、RはMまたはQからなる環のいずれかに結合しているが、好ましくはQからなる環に結合してる場合である。
一般式2において、Mは金属原子、またはN1およびN2で表される窒素原子に結合する2つの水素原子を表す。Mが金属原子を表す場合は、安定な錯体を形成するものであれば金属はいかなるものでも良く、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Ba、Al、Si、Hg、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Pd、Cd、Sn、Pt、Pb、Sr、V、Mn、Ti、In、またはGaなどを使用することができる。金属原子には置換基が結合していてもよく、置換基としては前述のWを用いることができる。Mとして好ましくはMg、Ca、AlCl、SiCl2、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、Sn、SnCl2、Pt、Pb、V=O、Mn、Ti=Oが用いられ、より好ましくはFe、Co、Ni、Cu、Znが用いられ、特に好ましくはCu、Znが用いられる。なお、Mが水素原子である場合も好ましく、Mが水素原子である場合の一般式2は下記一般式2’であらわされる。
(式中、Qは芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。複数のQは同一でも異なっていてもよい。Rは置換基を表し、nは自然数を表す。Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。)
一般式2おいて、Qからなる芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環とは、いかなるものでもよく、具体的にはWとして挙げたものの中で、芳香族炭化水素環および芳香族へテロ環の項で述べたものが挙げられる。5〜7員環がより好ましく、5又は6員環がさらに好ましく、6員環が特に好ましい。Qにより形成される芳香族ヘテロ環に含まれるヘテロ原子は特に限定されないが、窒素、酸素、硫黄、セレン、ケイ素、ゲルマニウム又はリンが好ましく、窒素、酸素又は硫黄がさらに好ましく、窒素が特に好ましい。Qにより形成される芳香族ヘテロ環ひとつに含有されるヘテロ原子数は特に限定されないが、1〜3が好ましい。
Qにより形成される芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環の具体例としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、シロール環、ゲルモール環、ホスホール環等が挙げられる。好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、シロール環であり、より好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、チオフェン環である。
Qにより形成される芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環は、置換基を有していてもよく、置換基としては、前述のWで挙げたものが適用できる。
Qにより形成される芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環は、置換基を有していてもよく、置換基としては、前述のWで挙げたものが適用できる。
Qにより形成される芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環はさらに他の環と縮合環を形成してもよく、縮合する環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、シロール環、ゲルモール環、ホスホール環等が挙げられる。上記の置換基および縮合環は、さらに置換基を有していてもよく、さらに他の環と縮合していてもよい。置換基としては、前述のWとして挙げたものが適用できる。
Qにより形成される芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環として好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、フラン環、チオフェン環であり、より好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、チオフェン環であり、さらに好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、チオフェン環であり、特に好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。複数のQは同一でも異なっていてもよいが、好ましくは同一の場合であり、最も好ましくはQからなる環が全てベンゼン環の場合である。
本発明で用いられるπ共役系化合物としては、n型材料として用いられることがより好ましい。本発明において、n型材料とは、正孔輸送能より電子輸送能の方が高い材料のことをいう。従って、π共役系化合物Aがフタロシアニンおよびその類縁体であるときは、一般式2で表されるフタロシアニンおよびその類縁体はQで形成される環に電子求引基が結合しているか、またはQで形成される環が電子不足な芳香族ヘテロ環であることが特に好ましい。電子求引基としては、特に制限はなく、例えば、Chem.Rev.,1991,91,165.に記載されている置換基のうちHammet値が正の値のものが挙げられ、具体例としてはハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、パーフルオロアルキル基、−CO−R1、−CO−CO−R1、−SO−R1、−SO2−R1、−C(=N−R2)−R1、−S(=NR2)−R1、−S(=NR2)2−R1、−P(=O)R1 2、−O−R3、−S−R3、−N(−R2)−CO−R1、−N(−R2)−SO−R1、−N(−R2)−SO2−R1、−N(−R2)−C(=N−R2)−R1、−N(−R2)−S(=NR2)2−R1、および−N(−R2)−P(=O)R1 2で表される基が挙げられる。ここでR1は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、ヒドロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、またはメルカプト基を表す。具体的には、Wのうち、これらの置換基の例として示したものが挙げられる。R2は水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、またはホスホリル基を表す。具体的には、Wのうち、これらの置換基の例として示したものが挙げられる。R3はパーフルオロアルキル基、シアノ基、アシル基、スルホニル基、またはスルフィニル基を表す。具体的には、Wのうち、これらの置換基の例として示したものが挙げられる。
R1、R2、R3で表される基は置換基(例えば、Wで示した置換基)でさらに置換されていてもよく、そのような置換基の具体例としてはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基などを含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基(置換する位置は問わない)、4級化された窒素原子を含む複素環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシル基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール、または複素環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,または複素環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、およびシリル基(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)などが挙げられる。
電子求引基として、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、パーフルオロアルキル基、スルホニル基、スルホ基、エステル基、カルボニル基、電子不足な芳香族ヘテロ環基(後述のもの)であり、より好ましくはフッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、パーフルオロアルキル基、スルホニル基であり、さらに好ましくはフッ素原子または塩素原子である。
電子不足な芳香族へテロ環とは、ベンゼン環と比べて電子密度が低いヘテロ環であり、ベンゼン環と比べてより酸化が起こりにくく還元が起こりやすい分子構造といってもよい。好ましくは窒素原子を1個以上含む炭素数2〜10のものであり、より好ましくはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、キノリン環、シロール環、ゲルモール環のいずれかであり、特に好ましくはピリジン環、ピラジン環である。
本発明で用いられるπ共役系化合物Aおよび化合物Bとしては、半導体特性および化合物の安定性から、下記一般3のフッ素化フタロシアニン(化合物A2、B2)であることが特に好ましい。
(式中、Mは金属原子または水素原子(水素原子の場合はイソインドール環の窒素原子およびイソインドリン環の窒素原子に結合する)を表す。mは自然数を表す。Rは置換基を表し、nは自然数を表す。Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。)
式中、MおよびRは一般式2と同様であり、好ましい範囲も同様である。mは好ましくは1〜16であり、より好ましくは4〜15である。またnの好ましい範囲は前記と同様である。
前述のように、化合物Aと化合物Bのエネルギーレベルが近くなることが好ましい。従って、π共役系化合物Aが一般式3中で表されるフッ素化フタロシアニンの場合、化合物Bの可溶化基Rは同時に電子求引基であることが好ましい。
電子求引基としては、前述のものを用いることができるが、好ましくは−L−R’で表される基が用いられる。ここで、Lは**−SO2−*、**−SO3−*、**−SO2N(−)2 *、**−SO−*、**−CO−*、**−CON(−)2 *、**−COO−*、**−COCO2−*、および**−COCON(−)2 *で表される基の中から選ばれる基を表す。**はこの位置でフタロシアニン骨格と結合し、*はこの位置でR’と結合することを示す。R’が複数結合する場合、それぞれのR’は同一であっても異なっても良い。
Lは好ましくは**−SO2−*、**−SO2N(−)2 *、**−CO−*、**−CON(−)2 *または**−COO−*で表される基が用いられ、より好ましくは**−SO2−*、**−SO2N(−)2 *または**−CON(−)2 *で表される基が用いられ、特に好ましくは**−SO2−*または**−SO2N(−)2 *で表される基が用いられる。
R’は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。具体的には、前述のWのうちアルキル基、アリール基または複素環基の例として示したものが挙げられる。R’として好ましくはアルキル基、アリール基または複素環基である。R’がアルキル基、アリール基または複素環基の場合は、これらはさらに他の置換基(例えば、Wで示した置換基)で置換されていても良い。
R’としてさらに好ましくはアルキル基またはアリール基が用いられ、特に好ましくはアルキル基が用いられる。R’は炭素数1〜30のものが用いられ、好ましくは1〜20ものが用いられ、より好ましくは1〜10ものが用いられる。R’としては溶媒への溶解性向上の観点からは分岐のアルキル基を含む場合が好ましいが、半導体特性向上の観点からは直鎖のアルキル基を用いた方が好ましく、用途や必要な特性によって適当なものを選択できる。
以下に本発明の有機半導体組成物の好ましい具体例を示す。ただし本発明は以下の例に限定されるものではない。なお以下の表記した式において+は両者の均一の混合物であることを示し、組成物として前記の範囲で存在する溶媒の表記は省く。
本発明の有機半導体組成物の各成分(化合物A、B)は、「Organic Field−Effect Transistors」(2007年刊、CRC Press)159−228頁、およびそこで引用されている論文を参考に合成することができる。
本発明の有機半導体組成物がフタロシアニン類である場合、その合成は、白井汪芳、小林長夫編・著「フタロシアニン−化学と機能−」(アイピーシー社、1997年刊)の第1〜62頁、廣橋亮、坂本恵一、奥村映子編「機能性色素としてのフタロシアニン」(アイピーシー社、2004年刊)の第29〜77頁の記載の方法に準じて行うことができる。
フタロシアニン類の代表的な合成法としては、これらの文献に記載のワイラー法、フタロニトリル法、リチウム法、サブフタロシアニン法、および塩素化フタロシアニン法などが挙げられる。本発明においては、フタロニトリル法を好ましく用いることができる。異なる構造のイソインドリン環が1:3、2:2、または3:1の比率のフタロシアニン類を合成する場合、例えば2種以上のフタロニトリル誘導体を所望の比率で混合して反応させることにより、意図したイソインドリン環の比率を有するフタロシアニン誘導体を主生成物として含むフタロシアニン混合物を得ることができる。この方法は、サブフタロシアニン法に比べて反応の選択性は劣るが、比較的工程の短い簡便な合成法である。なお、1:3、または3:1の比率のフタロシアニン誘導体を選択的に得るためには、例えば、ホウ素を中心として3つのイソインドリン環を持つサブフタロシアニン誘導体と異種の1,3−ジイミノイソインドリン誘導体などを反応させるサブフタロシアニン法を好ましく用いることができる。
フタロシアニン類の環形成反応においては、いかなる反応条件を用いても良い。環形成反応においては、フタロシアニン類の中心金属となる種々の金属を添加することが好ましいが、中心金属を持たないフタロシアニン類を合成後に、所望の金属を導入しても良い。反応溶媒としては、特に制限はないが、好ましくは高沸点の溶媒である。また、環形成反応促進のために、酸または塩基を用いることが好ましく、特に塩基を用いることが好ましい。最適な反応条件は、目的とするフタロシアニン誘導体の構造により異なるが、上記の文献に記載された具体的な反応条件を参考に設定することができる。
上記のフタロシアニン誘導体の合成に使用する原料としては、無水フタル酸、フタルイミド、フタル酸およびその塩、フタル酸ジアミド、フタロニトリル、1,3−ジイミノイソインドリンなどの誘導体を用いることができる。これらの原料は公知の方法で常法で合成できる。
本発明の有機半導体組成物は、各成分を混合して組成物を得ても、合成時に組成物として合成してもよいが、好ましくは合成時に有機半導体の混合物として得られたものを利用する場合である。その中でも特に好ましいのは、2種類以上の置換基の異なるフタロニトリル(または無水フタル酸、フタルイミド、フタル酸およびその塩、フタル酸ジアミド、1,3−ジイミノイソインドリンなど)を混合して反応させることによりフタロシアニン類の混合物を得て、これを用いて有機半導体組成物を作製する場合である。
以下で本発明の組成物の有機半導体としての応用について、さらに詳細に説明する。
本発明における有機半導体とは、半導体の特性を示す有機材料のことである。無機材料からなる半導体と同様に、正孔をキャリアとして伝導するp型有機半導体と、電子をキャリアとして伝導するn型有機半導体がある。有機半導体中のキャリアの流れやすさはキャリア移動度μで表される。用途によっても異なるが、一般に移動度は高い方がよく、10−7cm2/Vs以上であることが好ましく、10−5cm2/Vs以上であることがより好ましい。移動度は電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性や飛行時間計測(TOF)法により求めることができる。
本発明の有機半導体組成物を用いて有機半導体化合物を含む薄膜を形成する方法は、いかなる方法でも良いが、真空プロセスあるいは溶液プロセスにより成膜される。真空プロセス成膜の具体的な例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子ビームエピタキシー(MBE)法などの物理気相成長法あるいはプラズマ重合などの化学気相蒸着(CVD)法が挙げられる。溶液プロセス成膜は、有機化合物を溶解させることができる溶媒中に溶解させ、その溶液を用いて成膜する方法であり、具体的にはキャスト法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スピンコート法、Langmuir−Blodgett(LB)法などが挙げられ、キャスト法、スピンコート法およびインクジェット法を用いることが好ましい。
本発明においては、溶液プロセスにより成膜することが好ましい。本発明の有機半導体は、溶液プロセス成膜により厚さ数mmから数nm以下に成膜できる。膜厚は、電子デバイスの種類などにより特に制限はないが、好ましくは1nm〜50μm、より好ましくは10nm〜1μmである。
溶液プロセスを用いて有機半導体層を形成する場合、層を形成する材料、あるいはその材料とバインダー樹脂を適当な有機溶媒(例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1−メチルナフタレン、1,2−ジクロロベンゼンなどの炭化水素系溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶媒、例えば、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールなどのアルコール系溶媒、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどのエーテル系溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1−メチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキサイドなどの極性溶媒)および/または水に溶解、または分散させて塗布液とし、各種の塗布法により薄膜を形成することができる。その塗布液において本発明の、組成物中の有機半導体化合物AとBを合わせた濃度は、好ましくは、0.1〜80質量%、より好ましくは0.1〜10質量%とすることにより、任意の厚さの膜を形成できる。
本発明の組成物には樹脂バインダーを用いることも可能であり、その場合、樹脂バインダーとしては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの絶縁性ポリマー、およびこれらの共重合体、ポリビニルカルバゾール、ポリシランなどの光伝導性ポリマー、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレンなどの導電性ポリマーを挙げることができる。樹脂バインダーは、単独で使用してもよく、あるいは複数併用しても良い。膜の機械的強度を考慮するとガラス転移温度の高い樹脂バインダーが好ましく、電荷移動度を考慮すると極性基を含まない構造の樹脂バインダーや光伝導性ポリマー、導電性ポリマーが好ましい。樹脂バインダーは使わない方が有機半導体の特性上好ましいが、目的によっては使用することもある。使う場合の樹脂バインダーの使用量は、特に制限はないが、有機半導体膜中、好ましくは0.1〜90質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.1〜30質量%で用いられる。
基板表面は凹凸や平滑性、親水性・疎水性、分子間相互作用などを制御し、膜のモルフォロジーや分子配向状態を制御するために処理がなされていてもよく、例としては、二酸化ケイ素表面をヘキサメチルジシラザン(HMDS)やオクタデシルトリクロロシラン(OTS)の塗布により表面処理する方法などが挙げられる。
成膜の際、基板を加熱または冷却してもよく、基板の温度を変化させることで膜のモルフォロジーや分子配向状態を制御することが可能である。基板の温度としては特に制限はないが、0℃から200℃の間であることが好ましい。
本発明の有機半導体組成物は、特に溶液プロセスによる成膜に適している。一般に溶液プロセスで成膜するためには、上記で挙げた溶媒などに材料が溶解することが必要であるが、単に溶解するだけでは不十分なことがある。通常、真空プロセスで成膜する材料でも、溶媒にある程度溶解させることができる。しかし、溶液プロセスによる成膜法では、材料を溶媒に溶解させて塗布した後で、溶媒が蒸発して薄膜が形成する過程があり、溶液プロセス成膜に適さない材料は結晶性が高いものが多いため、この過程で結晶化してしまい良好な薄膜を形成させることが困難である。一方本発明の有機半導体組成物は、このような結晶化が起こりにくい点でも優れている。
本発明で用いる電子デバイスはいかなるものでも良いが、膜構造を有するエレクトロニクス要素を用いたデバイスとすることが好ましい。本発明のエレクトロニクス要素を用いた電子デバイスとしては、例えば、有機光電変換素子、有機トランジスタ、有機電界発光素子、ガスセンサ、有機整流素子,有機インバータ、情報記録素子が挙げられる。有機光電変換素子は光センサ用途(固体撮像素子)、エネルギー変換用途(有機太陽電池)のいずれにも用いることができる。好ましくは、有機光電変換素子、有機トランジスタ、有機電界発光素子であり、さらに好ましくは有機光電変換素子、有機トランジスタである。以下、これらのものの好ましい態様について、代表的なものを図面を用いて詳しく説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
図1は、本発明のエレクトロニクス要素を用いた有機電界効果トランジスタ(FET)素子の構造を概略的に示す断面図である。図1のトランジスタは積層構造を基本構造として有するものであり、最下層に基板11(例えば、ポリエチレンナフトエート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフイルム、ポリイミドフィルム、セラミック、シリコン、石英、ガラスなど)を配置し、その上面の一部に電極12を設け、さらに該電極を覆い、かつ電極以外の部分で基板と接するように絶縁体層13を設けている。さらに絶縁体層13の上面に有機半導体層14を設け、その上面の一部に2つの電極15aと15bとを隔離して配置している。電極12、電極15a、および電極15bの構成材料は、導電性を示すものであれば特に制限なく用いることができ、Cr、Al、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、In、NiあるいはNdなどの金属材料やこれらの合金材料、あるいはカーボン材料、導電性高分子など、既知の導電性材料であれば特に制限することなく使用できる。なお、図1の構成はトップコンタクト型素子と呼ばれるが、電極15aと15bが有機半導体層の下部にあるボトムコンタクト型素子も好ましく用いることができる。
ゲート幅(チャンネル幅)Wとゲート長(チャンネル長)Lに特に制限はないが、これらの比W/Lが10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。
各層の厚さに特に制限はないが、より薄いトランジスタとする必要がある場合には、例えばトランジスタ全体の厚さを0.1〜0.5μmとすることが好ましく、そのために各層の厚さを10〜400nmとすることが好ましく、電極の厚さを10〜50nmとすることが好ましい。
絶縁層を構成する材料は必要な絶縁効果が得られれば特に制限はないが、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリエステル絶縁材料、ポリカーボネート絶縁材料,アクリルポリマー系絶縁材料、エポキシ樹脂系絶縁材料、ポリイミド絶縁材料、ポリパラキシリレン樹脂系絶縁材料などが挙げられる。
素子を大気や水分から遮断し、素子の保存性を高めるために、素子全体を金属の封止缶やガラス、窒化ケイ素、アルミナなどの無機材料、パリレンなどの高分子材料などで封止しても良い。
図2は本発明のエレクトロニクス要素を用いた有機薄膜光電変換素子の構造を概略的に示す断面図である。図2の素子は積層構造を有するものであり、最下層に基板21(例えば、ポリエチレンナフトエート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフイルム、ポリイミドフィルム、セラミック、シリコン、石英、ガラスなど)を配置し、その上面に電極層22を設け、さらにその上層としてp型有機半導体および/またはn型有機半導体を含む層23を設け、さらにその上面に電極層24を設けている。電極層22や24とp型有機半導体および/またはn型有機半導体を含む層23との間には、表面の平滑性を高めるバッファ層、ホールまたは電子の電極からの注入を促進するキャリア注入層、ホールまたは電子を阻止するキャリアブロック層などが含まれていてもよい。
電極層22として用いる材料は、可視光または赤外光を透過し、導電性を示すものであれば特に制限はない。可視光または赤外光の透過率は、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが最も好ましい。そのような材料としては、ITO、IZO、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などの透明導電性酸化物が好ましく、プロセス適性や平滑性の観点からITOまたはIZOが特に好ましい。
電極層24として用いる材料は、前述のトランジスタのものと同様、導電性を示すものであれば特に制限はないが、光利用効率を高める観点からは、光反射性の高い材料が好ましく、特に好ましいのはAl、Pt、W、Au、Ag、Ta、Cu、Cr、Mo、Ti、Ni、Pd、Znである。
各層の厚さに特に制限はなく、好ましい素子全体の厚さ、各層の厚さ、電極層の厚さなどは、前述のトランジスタのものと同様である。
素子の保存性を高めるためには、前述のトランジスタのものと同様に素子全体を封止してもよい。
光電変換素子をエネルギー変換用途の太陽電池として用いる場合、太陽光を効率良く吸収し、エネルギー変換効率を高めるために、600nm以上の長波長域まで、特に好ましくは700nm以上の近赤外領域まで光を吸収し、光電変換する材料を用いることが好ましい。
以下に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[合成例1](有機半導体組成物1および1’の作製)
窒素雰囲気下、テトラフルオロフタロニトリル3.0g(15mmol)、4−オクチルスルホニルフタロニトリル1.5g(5.0mmol)、および塩化銅(I)0.99g(10mmol)を1−メチル−2−ピロリドン50mLに溶解させ、180℃で3時間攪拌した。室温まで放冷した後、反応混合物を5%塩酸200mLに注ぐと青色結晶が析出した。この結晶を吸引ろ過によりろ取して、5%塩酸で洗浄した後、水で洗浄し、アセトニトリルで洗浄し、乾燥させた。さらにアセトニトリル50mLとともに1時間煮沸させ、室温まで放冷した後、析出物を吸引ろ過によりろ取し、乾燥させた。さらにヘキサン50mLとともに1時間煮沸させ、室温まで放冷した後、析出物を吸引ろ過によりろ取し、乾燥させることにより、有機半導体1(化6)を2.2g(収率45%)(融点>200℃)得た。有機半導体1(5mg)を1,2−ジクロロベンゼン(HPLCグレード、1mL)/N,N−ジメチルアセトアミド(HPLCグレード、1mL)混合溶媒に溶解させ、トルエン(HPLCグレード、5μL)を添加することで本発明の有機半導体組成物1を溶液として得た。また、有機半導体1(10mg)を1,2−ジクロロベンゼン(HPLCグレード、1mL)/N,N−ジメチルアセトアミド(HPLCグレード、1mL)混合溶媒に溶解させ、トルエン(HPLCグレード、10μL)を添加することで本発明の有機半導体組成物1’を溶液として得た。
窒素雰囲気下、テトラフルオロフタロニトリル3.0g(15mmol)、4−オクチルスルホニルフタロニトリル1.5g(5.0mmol)、および塩化銅(I)0.99g(10mmol)を1−メチル−2−ピロリドン50mLに溶解させ、180℃で3時間攪拌した。室温まで放冷した後、反応混合物を5%塩酸200mLに注ぐと青色結晶が析出した。この結晶を吸引ろ過によりろ取して、5%塩酸で洗浄した後、水で洗浄し、アセトニトリルで洗浄し、乾燥させた。さらにアセトニトリル50mLとともに1時間煮沸させ、室温まで放冷した後、析出物を吸引ろ過によりろ取し、乾燥させた。さらにヘキサン50mLとともに1時間煮沸させ、室温まで放冷した後、析出物を吸引ろ過によりろ取し、乾燥させることにより、有機半導体1(化6)を2.2g(収率45%)(融点>200℃)得た。有機半導体1(5mg)を1,2−ジクロロベンゼン(HPLCグレード、1mL)/N,N−ジメチルアセトアミド(HPLCグレード、1mL)混合溶媒に溶解させ、トルエン(HPLCグレード、5μL)を添加することで本発明の有機半導体組成物1を溶液として得た。また、有機半導体1(10mg)を1,2−ジクロロベンゼン(HPLCグレード、1mL)/N,N−ジメチルアセトアミド(HPLCグレード、1mL)混合溶媒に溶解させ、トルエン(HPLCグレード、10μL)を添加することで本発明の有機半導体組成物1’を溶液として得た。
有機半導体1における各成分のHammet定数の総和Σσは、F16CuPcに関してはF原子のσ値はσ=(σm+σp)/2=(0.34+0.06)/2=0.20だから、16個でΣσ=3.20。FPc−1に関しては、SO2C8H17基のσ値として最も構造の近いSO2Et基の値を用いてσ=(σm+σp)/2=(0.66+0.77)/2=0.72なので、F原子12個とSO2C8H17基でΣσ=3.12。同様にFPc−2はΣσ=3.03。FPc−3は、Σσ=2.95である。従って、可溶化基を有するFPc−1、FPc−2、FPc−3のF16CuPcとのHammet定数の総和Σσの差は、それぞれ0.08、0.17、0.25といずれも小さい。
液体クロマトグラフ質量分析(LCMS)により求めた有機半導体1の組成比は、(F16CuPc):(FPc−1):(FPc−2):(FPc−3)=15.5:54.0:26.4:4.1である(検出波長254nmでの(F16CuPc)、(FPc−1)、(FPc−2)、(FPc−3)のモル吸収強度はほぼ同じであるので、面積から求めた比率はモル比と等しくなる)。(測定条件:TSK gel ODS−80Ts(2mmφ×150mm)、溶離液:0分から15分まではA/B(容積比3:7)混合溶液、15分から20分まではA/B(同15:85)(溶離液A:水、溶離液B:テトラヒドロフラン/メタノール(同9:1)混合溶液)、流量0.2mL/分、検出波長254nm、大気圧化学イオン化法(APCI)−質量分析(MS)にて構造決定(MSにより、保持時間=8.185分のピークはF16CuPc、保持時間=11.676分のピークは(FPc−1)、保持時間=13.905分のピークは(FPc−2)、保持時間=14.350分のピークは(FPc−3)であることを確認した)、0分から4分まではブランク測定でピークが検出されたため4分からの測定とした)。
次に、図面に、本発明の有機半導体1の液体クロマトグラフィー図(図3)、マススペクトル図(図4)(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)−飛行時間型(TOF)−質量分析計(MS)で測定)、IRスペクトル図(図5)、1−メチル−2−ピロリドン溶液の吸収スペクトル図(図6)、N,N−ジメチルアセトアミド溶液のCV(サイクリック・ボルタンメトリー)測定結果(図7)を示す。
[合成例2](有機半導体組成物2の作製)
窒素雰囲気下、テトラフルオロフタロニトリル1.0g(5.0mmol)、4−オクチルスルホニルフタロニトリル0.5g(1.7mmol)、および臭化亜鉛0.38g(1.7mmol)を1−クロロナフタレン5mLに溶解させ、180℃で2時間攪拌した。室温まで放冷した後、反応混合物をヘキサン200mLに投入し、析出物を吸引ろ過によりろ取した後、ヘキサンでよく洗浄した。この固体をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/THF=9/1〜3/1)により精製することで有機半導体2(化7に示す化合物の混合体)を75mg(収率5%)(融点>200℃)得た。有機半導体2(5mg)を1,2−ジクロロベンゼン(HPLCグレード、1mL)/N,N−ジメチルアセトアミド(HPLCグレード、1mL)混合溶媒に溶解させ、トルエン(HPLCグレード、5μL)を添加することで本発明の有機半導体組成物2を得た。
窒素雰囲気下、テトラフルオロフタロニトリル1.0g(5.0mmol)、4−オクチルスルホニルフタロニトリル0.5g(1.7mmol)、および臭化亜鉛0.38g(1.7mmol)を1−クロロナフタレン5mLに溶解させ、180℃で2時間攪拌した。室温まで放冷した後、反応混合物をヘキサン200mLに投入し、析出物を吸引ろ過によりろ取した後、ヘキサンでよく洗浄した。この固体をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/THF=9/1〜3/1)により精製することで有機半導体2(化7に示す化合物の混合体)を75mg(収率5%)(融点>200℃)得た。有機半導体2(5mg)を1,2−ジクロロベンゼン(HPLCグレード、1mL)/N,N−ジメチルアセトアミド(HPLCグレード、1mL)混合溶媒に溶解させ、トルエン(HPLCグレード、5μL)を添加することで本発明の有機半導体組成物2を得た。
有機半導体1と同様の計算により、本発明の有機半導体2の各成分のHammet値の総和は、F16ZnPcはΣσ=3.20、FPc−4はΣσ=3.12、FPc−5はΣσ=3.03、FPc−6はΣσ=2.95である。従って、可溶化基を有するFPc−4、FPc−5、FPc−6のF16ZnPcとのHammet定数の総和Σσの差は、それぞれ0.08、0.17、0.25と小さい。
液体クロマトグラフ質量分析(LCMS)により求めた有機半導体2の組成比は、(F16ZnPc):(FPc−4):(FPc−5):(FPc−6)=13:54:16:17である。
[実施例1]
(実験条件)
本発明の有機半導体組成物1をホットプレートで100℃に加熱した石英基板上にキャストし、厚さ1μm以下で厚みが均一な固体膜を形成させることで吸収スペクトル測定用試料(固体膜)を得た。また、同様に100℃に加熱したFET特性測定用基板上にキャストし、厚さ1μm以下の厚みが均一な固体膜を形成させることでFET特性測定用試料を得た。FET特性測定用基板としては、図8に示したものを使用した。電極としてくし型に配置された金/クロム(ゲート幅W=100000μm、ゲート長L=100μm)、絶縁膜としてSiO2(膜厚200nm)を備えたボトムコンタクト構造の基板を用いた。吸収スペクトルは紫外可視分光光度計(島津製作所製、MPC−2200/UV−2400)を用いて測定した。FET特性はセミオートプローバー(ベクターセミコン製、AX−2000)を接続した半導体パラメーターアナライザー(Agilent製、4156C)を用いて常圧・窒素雰囲気下(グローブボックス中)で測定した。
(実験条件)
本発明の有機半導体組成物1をホットプレートで100℃に加熱した石英基板上にキャストし、厚さ1μm以下で厚みが均一な固体膜を形成させることで吸収スペクトル測定用試料(固体膜)を得た。また、同様に100℃に加熱したFET特性測定用基板上にキャストし、厚さ1μm以下の厚みが均一な固体膜を形成させることでFET特性測定用試料を得た。FET特性測定用基板としては、図8に示したものを使用した。電極としてくし型に配置された金/クロム(ゲート幅W=100000μm、ゲート長L=100μm)、絶縁膜としてSiO2(膜厚200nm)を備えたボトムコンタクト構造の基板を用いた。吸収スペクトルは紫外可視分光光度計(島津製作所製、MPC−2200/UV−2400)を用いて測定した。FET特性はセミオートプローバー(ベクターセミコン製、AX−2000)を接続した半導体パラメーターアナライザー(Agilent製、4156C)を用いて常圧・窒素雰囲気下(グローブボックス中)で測定した。
(FET特性)
図9に示すように、本発明の有機半導体1は良好なn型のFET特性を示した。ドレイン電流Idを表わす式Id=(w/2L)μCi(Vg−Vth)2(式中、Lはゲート長、Wはゲート幅、Ciは絶縁層の単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、Vthは閾値電圧を表す)によりキャリア移動度μを求めたところ、有機半導体組成物1の移動度はμ=4.5×10−4cm2/Vsだった。また、この素子を大気中に出して測定を行っても移動度が半分程度に低下するのみで、特性の劣化はほとんどなかった。FET素子を光学顕微鏡および電子顕微鏡で観察したところ、本発明の素子は、図10および図11に示すように膜質の均一な有機膜を形成していた。図10の写真中の縦縞は、ソース電極およびドレイン電極を示す(図13においても同様)。
図9に示すように、本発明の有機半導体1は良好なn型のFET特性を示した。ドレイン電流Idを表わす式Id=(w/2L)μCi(Vg−Vth)2(式中、Lはゲート長、Wはゲート幅、Ciは絶縁層の単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、Vthは閾値電圧を表す)によりキャリア移動度μを求めたところ、有機半導体組成物1の移動度はμ=4.5×10−4cm2/Vsだった。また、この素子を大気中に出して測定を行っても移動度が半分程度に低下するのみで、特性の劣化はほとんどなかった。FET素子を光学顕微鏡および電子顕微鏡で観察したところ、本発明の素子は、図10および図11に示すように膜質の均一な有機膜を形成していた。図10の写真中の縦縞は、ソース電極およびドレイン電極を示す(図13においても同様)。
(固体膜吸収スペクトル)
図12の(a)に本発明の有機半導体1の固体膜の吸収スペクトル測定結果を示す。この吸収スペクトルは真空蒸着法により得られたF16CuPcの固体膜(図12の(b))と非常に類似しており、フタロシアニン構造のモノマー吸収に由来する680nm付近の吸収の他に、近赤外領域(700−800nm)まで及ぶ長波長吸収が観測された。この結果は本発明の有機半導体組成物1の高い分子会合性を示唆しており、この会合性が良好なFET特性などの高い電子機能の発現に寄与していると考えられる。
図12の(a)に本発明の有機半導体1の固体膜の吸収スペクトル測定結果を示す。この吸収スペクトルは真空蒸着法により得られたF16CuPcの固体膜(図12の(b))と非常に類似しており、フタロシアニン構造のモノマー吸収に由来する680nm付近の吸収の他に、近赤外領域(700−800nm)まで及ぶ長波長吸収が観測された。この結果は本発明の有機半導体組成物1の高い分子会合性を示唆しており、この会合性が良好なFET特性などの高い電子機能の発現に寄与していると考えられる。
[実施例2]
有機半導体組成物1の代わりに有機半導体組成物2を用いたこと以外は実施例1と同様の方法でFET素子を作製し、同様の条件でFET特性を調べたところ、有機半導体組成物2は実施例1と同様に良好なn型のFET特性を示した。移動度はμ=6.3×10−5cm2/Vsだった。
有機半導体組成物1の代わりに有機半導体組成物2を用いたこと以外は実施例1と同様の方法でFET素子を作製し、同様の条件でFET特性を調べたところ、有機半導体組成物2は実施例1と同様に良好なn型のFET特性を示した。移動度はμ=6.3×10−5cm2/Vsだった。
[比較例1]
有機半導体組成物1の代わりにF16CuPc(Aldrichより購入し、昇華精製したもの)を1,2−ジクロロベンゼン(HPLCグレード、1mL)/N,N−ジメチルアセトアミド(HPLCグレード、1mL)と混合したものを用いた以外は実施例1と同様の方法でFET素子を作製し、同様の測定条件でFET特性を調べたところ、窒素雰囲気下においても大気下においても全くFET特性を示さなかった。測定に用いた素子を光学顕微鏡で観察したところ、図13に示すようにF16CuPcの塗布物は溶解性の低さおよび結晶化のために薄膜を形成していないことが分かった。
有機半導体組成物1の代わりにF16CuPc(Aldrichより購入し、昇華精製したもの)を1,2−ジクロロベンゼン(HPLCグレード、1mL)/N,N−ジメチルアセトアミド(HPLCグレード、1mL)と混合したものを用いた以外は実施例1と同様の方法でFET素子を作製し、同様の測定条件でFET特性を調べたところ、窒素雰囲気下においても大気下においても全くFET特性を示さなかった。測定に用いた素子を光学顕微鏡で観察したところ、図13に示すようにF16CuPcの塗布物は溶解性の低さおよび結晶化のために薄膜を形成していないことが分かった。
[比較例2]
F16CuPcの代わりにF16ZnPc(Aldrichより購入し、昇華精製したもの)を用いた以外は比較例1と同様の方法でFET素子を作製し、同様の測定条件でFET特性を調べたところ、窒素雰囲気下においても大気下においても全くFET特性を示さなかった。測定に用いた素子を光学顕微鏡で観察したところ、F16ZnPcの塗布物は溶解性の低さおよび結晶化のために薄膜を形成していないことが分かった。
F16CuPcの代わりにF16ZnPc(Aldrichより購入し、昇華精製したもの)を用いた以外は比較例1と同様の方法でFET素子を作製し、同様の測定条件でFET特性を調べたところ、窒素雰囲気下においても大気下においても全くFET特性を示さなかった。測定に用いた素子を光学顕微鏡で観察したところ、F16ZnPcの塗布物は溶解性の低さおよび結晶化のために薄膜を形成していないことが分かった。
以上の結果および文献(特開平11−251601)に記載の、真空蒸着法で成膜した比較化合物(F16CuPc、F16ZnPc)の特性を表1にまとめる。表1に示すように、従来は溶媒への溶解性が低く、良好な特性を示すものの溶液プロセス成膜では用いることができなかった有機半導体材料が、本発明の有機半導体組成物とすることでその良好な半導体特性を保持したまま溶液プロセス成膜可能になることが分かった。
[実施例3]
(光電変換特性)
ITO電極がパターニングされたガラス基板を、イソプロピルアルコール中で超音波洗浄した後、乾燥した。さらに、ITO電極表面の有機汚染物質を除去するためにUVオゾン処理を行った。次に、ITO基板上にPEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))/PSS(ポリスチレンスルホン酸)水溶液(BaytronP(標準品))をスピンコート(4000rpm、30秒間)することにより、膜厚約50nmのバッファ層を形成させた。
(光電変換特性)
ITO電極がパターニングされたガラス基板を、イソプロピルアルコール中で超音波洗浄した後、乾燥した。さらに、ITO電極表面の有機汚染物質を除去するためにUVオゾン処理を行った。次に、ITO基板上にPEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))/PSS(ポリスチレンスルホン酸)水溶液(BaytronP(標準品))をスピンコート(4000rpm、30秒間)することにより、膜厚約50nmのバッファ層を形成させた。
120℃で1時間乾燥させた後、P3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、regioregular、Mw〜87000、Aldrich製)10mgおよび本発明の有機半導体組成物1’(約2mL)を混合し、この混合溶液をスピンコート(1000rpm、60秒間)することにより厚さ20〜30nmの光電変換層を形成させた。この光電変換層の上に、LiFを1nm、アルミニウムを80nmの厚さになるように順次真空蒸着することにより金属電極を形成させた。真空を保ったままグローブボックスへと移し、窒素雰囲気下で金属の封止缶とUV硬化樹脂を用いて封止することにより、有効面積0.04cm2の光電変換素子を得た。光電変換特性の測定は、キセノンランプ(浜松ホトニクス社製、L2195)を光源とした白色光(0.05mW/cm2)を、光電変換膜のITO電極側から直径1.5mmの照射範囲で照射しながら、ソースメータ(Keithley社製、6430)を備えた分光感度測定装置(住友重機械アドバンストマシナリー社製)を用いて行った。外部量子効率は、光電流値から暗電流値を差し引いた値より求めた。図14に示すように,有機半導体組成物1’とP3HTからなる光電変換素子は可視域から近赤外域まで幅広い波長域で光電変換特性を示すことが分かった。
[比較例3]
有機半導体組成物1’の代わりにF16CuPc10mgを1,2−ジクロロベンゼン(1mL)/N,N−ジメチルアセトアミド(1mL)混合溶媒と混合した溶液を用いる以外は実施例3と同様にして光電変換素子を作製し、同様の方法で光電変換特性を測定しようと試みたが、F16CuPcの溶媒への溶解性が低いため光電変換層の均一膜が得られず、凹凸の大きな膜となってしまったため、素子がショートしてしまい、特性が測定できなかった。
有機半導体組成物1’の代わりにF16CuPc10mgを1,2−ジクロロベンゼン(1mL)/N,N−ジメチルアセトアミド(1mL)混合溶媒と混合した溶液を用いる以外は実施例3と同様にして光電変換素子を作製し、同様の方法で光電変換特性を測定しようと試みたが、F16CuPcの溶媒への溶解性が低いため光電変換層の均一膜が得られず、凹凸の大きな膜となってしまったため、素子がショートしてしまい、特性が測定できなかった。
以上のように、良好な特性を示すものの溶解性が低いために溶液プロセス成膜に適さなかった有機半導体材料を、本発明の有機半導体組成物として用いることで、有機半導体としての良好な特性を保持しつつ溶液プロセス適性を付与することができることが示された。
11 基板
12 電極
13 絶縁体層
14 有機物層(半導体有機物層)
15a、15b 電極
21 基板
22 電極
23 光電変換層
24 電極
31 基板
32 電極
33 絶縁体層
34a、34b 電極
35 有機物層(半導体有機物層)
12 電極
13 絶縁体層
14 有機物層(半導体有機物層)
15a、15b 電極
21 基板
22 電極
23 光電変換層
24 電極
31 基板
32 電極
33 絶縁体層
34a、34b 電極
35 有機物層(半導体有機物層)
Claims (12)
- π共役系化合物Aとπ共役系化合物Aの水素原子または置換基の一部を可溶化基Rまたは水素原子(少なくとも1つはR)で置き換えた化合物Bの少なくとも一種類とを有機半導体成分として含む組成物1からなり、化合物Bの可溶化基RのHammet定数の総和と、化合物Aの置き換えられる置換基のHammet定数の総和の差が1.0以内であって、少なくとも一種類の沸点40℃以上120℃以下の溶媒を、有機半導体成分に対して質量比で1/20倍以上、1000倍未満含有することを特徴とする有機半導体組成物。
- 有機半導体成分に占める化合物Aおよび少なくとも一種類の化合物Bの含有率がそれぞれ10質量%以上である請求項1に記載の有機半導体組成物。
- 前記組成物が、下記π共役系化合物A1と化合物B1とを含有してなりフタロシアニン又はその類縁体よりなる下記一般式2で表される請求項1又は2に記載の有機半導体組成物。
- 前記有機半導体成分のうち少なくとも一つがn型有機半導体である請求項1〜3のいずれかに記載の有機半導体組成物。
- 前記組成物が下記π共役系化合物A2と化合物B2とを含有してなり、下記(一般式3)で表される請求項1〜4のいずれかに記載の有機半導体組成物。
- 前記可溶化基Rが−SO2R’または−SO2NR’2(R’は置換基を表す)である請求項1〜5のいずれかに記載の有機半導体組成物。
- 2種類以上のフタロニトリル、またはその誘導体を混合して反応させることによって有機半導体成分を得ることを用いる請求項1〜6のいずれかに記載の有機半導体組成物の作製方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の有機半導体組成物を用いて形成された膜。
- 前記膜の成膜方法が溶液プロセスによるものである請求項8に記載の膜。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の有機半導体組成物を用いた有機電子デバイス。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の有機半導体組成物を用いた有機トランジスタ。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の有機半導体組成物を用いた有機光電変換素子。
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