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JP2009050784A - 砒素含有溶液の処理方法 - Google Patents

砒素含有溶液の処理方法 Download PDF

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JP2009050784A
JP2009050784A JP2007219338A JP2007219338A JP2009050784A JP 2009050784 A JP2009050784 A JP 2009050784A JP 2007219338 A JP2007219338 A JP 2007219338A JP 2007219338 A JP2007219338 A JP 2007219338A JP 2009050784 A JP2009050784 A JP 2009050784A
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JP2007219338A
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Tetsuo Fujita
哲雄 藤田
Ryoichi Taguchi
良一 田口
Shoji Kubo
尚司 久保
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Dowa Metals and Mining Co Ltd
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  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
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  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

【課題】砒素、フッ素といった環境負荷物質を含む溶液から砒素、フッ素、鉛、セレンを回収する回収剤を提供する。
【解決手段】10μm以上、100μm以下の粒径を有し、BET3点法によって測定される比表面積が50m/g以上ある多孔質鉄化合物を当該環境負荷物質を含む溶液に投入したり、当該多孔質鉄化合物を充填したカラムに当該環境負荷物質を含む溶液を通過させて、当該環境負荷物質を含む溶液中の環境負荷物質をする。
【選択図】なし

Description

本発明は、重金属であり環境負荷物質でもある砒素を含有する砒素含有溶液から、当該砒素を回収し、安定化合物として保管、管理する為の処理方法に関する。
非鉄製錬を始めとする各種の工業過程において、多様な中間物や廃棄物の溶液が発生する。当該中間物や廃棄物の溶液には、例えば、砒素、フッ素、等といった環境負荷の高い物質が含まれている場合がある。
そこで、これら中間物や廃棄物の溶液中に含まれる環境負荷の高い物質を無害化する研究が行われてきた。本発明者らも、新規な砒素固定方法として特許文献1を提案している。
特許文献2には、フッ素のみの吸着剤としてオキシ鉄水酸化物を用いることが提案されている。
特許文献3には、微粒子の酸化鉄、オキシ水酸化鉄を用い、重金属を含む水から重金属を吸着し、除去することが提案されている。
特願2006−126896号 特願2005−154608号 特表2004−509753号
砒素含有溶液から、例えば特許文献3に示すように砒素を除去することで、当該砒素含有溶液からは砒素が除去される。しかし、当該除去処理の後には、前記砒素含有溶液中の砒素を吸着した顆粒が残存することとなる。当該砒素を吸着した顆粒は、さらに、無害化のための処理を経て処分されることとなる。このように、砒素は、例え無害化されたにしろ何らかの形で残存する。
ここで、上述した特許文献3に示すような方法を用いて砒素の吸着処理を行った場合、当該砒素は吸着剤等と同伴した形で回収されるため、保管、処理の場面においては、処理されるべき純砒素量に比較して過大な容積を必要とすることとなり、産業上の負荷となってしまう。
従って、砒素含有溶液から回収される砒素は、省容積(コンパクト)且つ安定な形で残存させることが求められる。例えば、本発明者らによる特許文献1によれば、砒素を省容積、且つ、安定な形で残存させることができる。
ところが、例えば特許文献1の発明を前記砒素含有液に適用しようとしても、当該砒素含有液の砒素濃度が低い為、適用出来ない場合が多い。さらに、特許文献3にあるような砒素を吸着した顆粒の形状では、特許文献1の発明を適用するのはさらに困難である。
本発明は上述の状況の下で成されたものであり、例えば、特許文献1の発明を適用することが困難な、砒素濃度の低い砒素含有液中の砒素を、省容積、且つ、安定な形で残存させる砒素含有溶液の処理方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明者らが鋭意研究した結果、当該砒素含有溶液へ鉄化合物を投入し、当該鉄化合物に砒素を吸着させた後、当該砒素を吸着した鉄化合物からアルカリ中へ砒素を脱離させることで、例えば特許文献1の発明が適用な濃度の砒素溶液を
得ることが出来ること、当該鉄化合物は循環使用可能なこと、に想到し、本発明を完成した。
即ち、課題を解決するための第1の手段は、
砒素含有溶液へ鉄化合物を投入し、当該鉄化合物に砒素を吸着させる工程と、
前記砒素を吸着した鉄化合物とアルカリとを合わせて、アルカリ中へ砒素を脱離する工程と、
前記アルカリ中へ脱離した砒素を、結晶物化する工程と、
前記砒素を脱離した鉄化合物を、再び、砒素含有溶液へ投入し、当該鉄化合物に砒素を吸着させる工程と、
を有することを特徴とする砒素含有溶液の処理方法である。
第2の手段は、
前記鉄化合物が、多孔質鉄化合物であることを特徴とする第1の手段に記載の砒素含有溶液の処理方法である。
第3の手段は、
前記鉄化合物が、ゲーサイトであることを特徴とする第1または第2の手段に記載の砒素含有溶液の処理方法である。
第4の手段は、
前記鉄化合物が、ヘマタイトであることを特徴とする第1または第2の手段に記載の砒素含有溶液の処理方法である。
第5の手段は、
前記鉄化合物が、砒素を浸出したスコロダイトを原料とした鉄化合物であることを特徴とする第1または第2の手段に記載の砒素含有溶液の処理方法である。
本発明に係る鉄化合物を用いた砒素含有溶液の処理方法によれば、砒素濃度の低い砒素含有液中の砒素であっても、省容積、且つ、安定な形で残存させることが出来る。
1.本発明に係る鉄化合物
本発明に係る鉄化合物について説明する。本発明に係る鉄化合物は10〜100μmの粒径を有し、多孔質で高い比表面積を有している。因みに、BET1点法による比表面積評価では10〜15m/g程度、BET3点法による評価では50〜200m/g程度である。
本発明に係る鉄化合物の具体例として、ゲーサイト、ヘマタイト、砒素を浸出した後のスコロダイト、を挙げることが出来る。
本発明に係る鉄化合物は、砒素を始めとして各種の環境負荷物質の吸着剤として有効である。吸着可能な環境負荷物質としては、砒素の他に、フッ素やセレン、鉛なども吸着可能である。尚、本発明に係る鉄化合物にフッ素を吸着させる場合は、併せて、フッ素処理フロー循環システムを構築しておくことが好ましい。
本発明に係る鉄化合物により、砒素、フッ素、セレン等の環境負荷物質が除去された被処理水は、通常の排水処理(COD処理、等)を実施することが可能である。勿論、他の項目の排水基準を満たせば、そのまま放流することも可能である。
2.本発明に係る鉄化合物の製造方法
本発明に係る鉄化合物としてゲーサイト、ヘマタイトを用いる場合は、例えば、以下のようにしてこれらを製造する。詳細は実施例1、2に記載する。
硫酸第一鉄を含む溶液に苛性ソーダを添加し、初期pHを12前後に調整する。当該溶液の液温を50℃に設定し、撹拌しながら空気を溶液中に吹き込んで反応させる。当該反応後に生成する反応スラリーをろ過して固形分を得た後、水洗し乾燥したものを解砕してゲーサイトを得た。
当該ゲーサイトを250℃、大気圧、大気雰囲気にて20時間焼成してヘマタイトを得た。
次に、本発明に係る鉄化合物として、砒素を浸出した後のスコロダイトを用いる場合の、当該砒素を浸出した後のスコロダイトの製造方法について説明する。詳細は実施例3に記載する。
砒素含有溶液に2価の鉄イオンを加えて、当該溶液中における鉄/砒素のモル比(Fe/As)を1以上とし、さらに酸化剤を加えて攪拌しながら50℃以上に昇温して反応させた後、固液分離して得られる固形分を乾燥することでスコロダイトを製造することができる。
当該砒素含有溶液中の砒素濃度は、不純物として含まれるナトリウム等が1g/l以下であれば、広い範囲でスコロダイトが生成可能である。しかし、砒素濃度が高いとスコロダイト析出から成長の過程で粒子の粗大化が起き易くなるので、当該砒素濃度は高い方が好ましい。具体的には、当該砒素濃度は10g/l以上あるのが好ましく、30g/l以上あれば、さらに好ましい。また、当該砒素含有溶液のpHは、反応開始時において2以下であるのが好ましい。また、砒素は5価の形態であることが好ましい。
スコロダイトの結晶粒子が粗大化されていると、後工程において吸着剤の粒子径を決定付する際の選択幅を広げることが出来、好ましいからである。
2価の鉄イオン源としては、可溶性のFeSO・7HOが好ましい。当該溶液中における鉄/砒素のモル比(Fe/As)は、1以上であるのが好ましく、1.0〜1.5であればさらに好ましい。
酸化剤は、2価の鉄イオンを酸化出来る酸化剤であれば良く、例えば、酸素ガスが挙げられる。
砒素含有溶液と2価の鉄イオンとの反応温度が50℃以上であれば、スコロダイトを析出させることが出来る。ここで、砒素の溶出濃度を低下させるためには、反応温度が70℃以上であることが好ましく、80〜95℃であればさらに好ましい。反応時間は1〜3時間で良い。
以上説明したスコロダイトの製造方法は大気圧下で反応を行っている。勿論、オートクレーブを用いた水熱合成反応を行ってスコロダイトを製造しても良い。当該水熱合成反応によるスコロダイトの製造方法は、得られるスコロダイトの結晶性が優れ、砒素の溶出が極めて低く、安定な物質となるメリットがある。従って、当該水熱合成反応を行って製造されたスコロダイトを原料とすることで、優れた鉄化合物が得られる。
さらに、スコロダイトの製造方法として、上述した2価の鉄イオンを3価の鉄イオンとし、pH調整、水熱合成によって、水分の少ない粗大粒子のスコロダイトを生成することも可能である。但し、3価の鉄イオンを用いた場合は、2価の鉄イオンを用いた場合と比べて、生成するスコロダイトの結晶性は低。この為、砒素に対しての容積は、上述の2価の鉄イオンを用いたスコロダイトと比較すると大きく、砒素が溶出することも考えられる。尤も、当該スコロダイトおよび当該スコロダイトから製造される鉄化合物を、砒素が溶
出しないよう管理された状態におけるのであれば、使用可能である。
生成したスコロダイトを反応后液から固液分離した後、乾燥してアルカリ溶液に投入する。次に、当該アルカリ溶液を撹拌して、砒素を、スコロダイトからアルカリ溶液中へ浸出する。
砒素をアルカリ浸出した後のスコロダイトのスラリーを固液分離する。当該固液分離は、フィルタープレス法、遠心分離法、デカンター法、等、多様な方法が適用可能である。
当該固液分離によって発生した后液は、アルカリ性を示し、浸出された砒素や若干の硫黄分が存在する。当該后液は、再び高純度の砒素液として再処理することが好ましい。
再処理により得られる砒素液は、優位な砒素原料またはスコロダイト合成用原料となる。
当該固液分離によって発生した固形分(砒素を浸出した後のスコロダイト)は、殆どが多孔質の鉄酸化物であるが、后液が若干付着している。その為、当該后液を除去する為、洗浄を行うのが好ましい。
具体的には、フィルタープレス、ベルトフィルター、遠心分離機等を用い、当該多孔質の鉄酸化物ケーキ内に追加水を貫通させて洗浄すると、少量の水で后液を除去できる。また、リパルプ洗浄を適用する場合は、カウンターカレント式で洗浄を行うと、使用する水量を削減することが出来る。
尤も、多孔質の鉄酸化物自体が塩基として存在し、アルカリ性の傾向を示す。そこで、当該多孔質の鉄酸化物自体の中和操作をすることが好ましい。当該中和操作により、当該多孔質の鉄酸化物を用いる処理の際、排水のpHコントロールが容易になるからである。ここで、中和剤としては、硫酸、塩酸、硝酸等いずれも使用可能であるが、酢酸等の弱酸も使用可能である。そして、当該中和操作後のpHを中性領域とするのが一般的であるが、被処理液の液性に応じて設定するのも好ましい構成である。当該多孔質の鉄酸化物の吸着能力が充分発揮されるpH領域は、3〜7の範囲である。ここで、当該多孔質の鉄酸化物が均一にpH調整する観点からは、リパルプ洗浄を行うことが効果的である。
当該洗浄、pH調整後の多孔質の鉄酸化物は、粒子がほぼ原料形態の形状を保持しており、10から100μmの粒径を有し、かつ高い比表面積を有していた。
2.本発明に係る鉄化合物を用いた砒素の吸着除去方法
本発明に係る鉄化合物を用いて、被処理水から環境負荷物質を吸着除去する際の吸着操作としては、カラム式を用いるのが一般的で、便宜である。勿論、当該鉄化合物と被処理水とを、撹拌接触させた後、固液分離するというサイクルを繰り返す方式も可能である。
カラム式を用いながら当該サイクルを繰り返す場合、当該多孔質の鉄化合物の吸着効率が変動する場合、カラムの破過の管理基準を変更する等により、処置、使用できる。
ここで、カラムの破過の管理基準について説明する。
カラムの破過の管理基準とは、本発明に係る鉄化合物を充填した数段のカラムを組み込み、カラム式吸着操作で環境負荷物質を吸着する操作を行った場合、当該操作後の液が、原液と同じ濃度になった時に1段目のカラムが破過したとして、吸着能力が飽和したと判断する基準をいう。
例えば、カラムを用いて砒素を吸着した場合、当該吸着能力が飽和したと判断とき、充填された鉄化合物は5%程度の砒素を吸着している。当該砒素を吸着した鉄化合物は、上述した水酸化ナトリウム等を用いたアルカリ浸出により再生される。尚、当該再生の際におけるアルカリ当量の最適値は、砒素吸着量によって決定されるので適宜調整することが好ましい。
(実施例1)
鉄化合物としてゲーサイト(α−FeOOH)を用いた場合を例として説明する。
<ゲーサイト(α−FeOOH)の製造>
硫酸第一鉄を含む溶液(Fe濃度で1g/L以上、50g/L以下)を製造し4リットルに調整した。
当該硫酸鉄溶液に苛性ソーダを添加し、初期pHを12前後にして、液温を50℃に設定した。温度が設定より高くなったところで撹拌しながら空気を溶液中に吹き込んだ。吹き込み量は1リットル/分とした。反応を行いつつ、1時間経過したところで温度調整を行わず成り行きとした。反応時間は20時間とした。温度調整を成り行きとしたので反応終了時には液温は30℃であった。pHは2であった。反応スラリーをろ過して固形分を得た後、水洗し、60℃3日間乾燥したものを解砕した。このようにして得られたものをXRDによる解析をおこなったところゲーサイトと同定された。なお、この解砕したゲーサイトを250℃、大気圧、大気雰囲気にて20時間焼成した。これをXRD解析したところヘマタイトと同定された。
得られたゲーサイトの平均粒子径は、9.01ミクロン(堀場製作所製の粒度分布測定計LA−500を用いて測定した。)を示し、比表面積は46.57m/g(ユアサアイオニクス製モノソーブを用い、Nガス吸着法によるBET1点法で測定した。)を示した。
また、当該ゲーサイトは、XRD(X線回折)測定によってゲーサイトの単相であることを同定した。(他の結晶ピークは観察されなかった。)尚、XRD測定には、リガク製RINT−2500を用い、対陰極はCuのKα、波長λ=1.5418Å、管電圧=40kV、管電流=300mA、走査速度0.01°/sec、走査角度2θ=5°から85°で測定した。また受光器はシンチレーションカウンターを使用した。発散スリットは1geg、散乱スリットも1degとし、受光スリットは0.15mmのものを使用した。当該結果を表1に示す。
Figure 2009050784
<ゲーサイト(α−FeOOH)による砒素の吸着>
砒素溶液試料として、濃度1050mg/Lの5価の砒素イオンを含む溶液を準備した。
次に、実施例1に係るゲーサイトと、当該砒素溶液試料とを、重量比率1対10としてポリ容器に導入し、震とう器による混合操作を1時間実施した。この震とう器による混合操作後、メンブランフィルターを用いて、実施例1に係るゲーサイトと、当該砒素溶液試料との固液分離を行い、混合操作前後の砒素溶液試料を分析した。
当該分析は、砒素溶液試料のpHを測定すると同時に、液の組成分析を行った。尚、pHはpH計によって測定し、組成分析はICPによって砒素、鉄、硫黄、ナトリウムの含有量を測定した。
そして当該液の組成分析値から、実施例1に係るゲーサイトの砒素の吸着効率、および固形分の砒素品位を算定した。当該結果を表2に示す。
Figure 2009050784
当該結果から、実施例1に係るゲーサイトが、砒素溶液試料から90%以上の高い割合で、砒素を除去していることが判明した。当該実施例1に係るゲーサイトの砒素の高い吸着能から、例え、砒素溶液試料中の砒素濃度が200〜0.1mg/Lといった希薄溶液であっても、当該希薄溶液から砒素を除去することも容易であることがわかる。
さらに、実施例1に係るゲーサイトを用いて、カラム式の吸着操作とすることで、上述した希薄溶液から砒素を完全に除去することも容易であることが判明した。
<ゲーサイト(α−FeOOH)からの砒素の脱離>
濃度200g/Lの水酸化ナトリウム溶液を準備した。
上述した「ゲーサイトによる砒素の吸着」にて製造した、砒素を吸着した実施例1に係るゲーサイトと、当該水酸化ナトリウム溶液とを、重量比率1対10としてポリ容器に導入し、震とう器による混合操作を15分間実施した。この震とう器による混合操作後、メンブランフィルターを用いて、実施例1に係るゲーサイトと、水酸化ナトリウム溶液との固液分離を行い、当該水酸化ナトリウム溶液の分析を行った。尚、pHはpH計によって測定し、組成分析はICPによって砒素、鉄、硫黄、ナトリウムの含有量を測定した。
そして当該液の組成分析値から、砒素を吸着した実施例1に係るゲーサイトからの砒素の脱離効率、および固形分の砒素品位を算定した。当該結果を表3に示す。
Figure 2009050784
当該測定結果より、砒素を吸着した実施例1に係るゲーサイトから約90%の高い割合で、砒素を水酸化ナトリウム溶液中に脱離出来ていることが判明した。さらに、当該水酸化ナトリウム溶液中の砒素は高濃度であることが判明した。従って、当該脱離の際における、砒素を吸着した実施例1に係るゲーサイトと、当該水酸化ナトリウム溶液との固液比率を適宜変更することによって、更に高濃度の砒素を得ることが出来ることが容易に推測される。
次に、当該砒素を脱離した後の実施例1に係るゲーサイトを、XRDにより分析したところ、他の結晶ピークは観察されずゲーサイトの単相であった。この結果から、当該砒素を脱離した後の実施例1に係るゲーサイトは、ゲーサイトの単相に復帰しており、当該単相に復帰したゲーサイトは、再び、砒素溶液試料中の砒素を吸着することが出来ると考えられた。
そこで、当該単相に復帰したゲーサイトを用いて、上述した新規なゲーサイトに対して行ったのと同様な、「ゲーサイトによる砒素の吸着」および「ゲーサイトからの砒素の脱
離」を実施した。当該結果を表4に示す。
Figure 2009050784
当該測定結果から、実施例1に係るゲーサイトの砒素の吸着効率は、1回目も2回目も変化せず吸着能力が劣化しないことが判明した。尤も、2回目の砒素の吸着効率が、1回目よりも若干優れているのは、実験のばらつきの範囲内と推測される。
(実施例2)
鉄化合物としてヘマタイトを用いた場合を例として説明する。
<ヘマタイトの製造>
上述した実施例1に係るゲーサイトを、大気中で250℃、24時間の熱処理を行って、実施例2に係るヘマタイトを得た。
得られたヘマタイトの平均粒子径は、13.5ミクロン(堀場製作所製の粒度分布測定計LA−500を用いて測定した。)を示し、比表面積は53.01m/g(ユアサアイオニクス製モノソーブを用い、Nガス吸着法によるBET1点法で測定した。)を示した。一方、Nガス吸着多点法による比表面積は、93.38m2/gであった(ユアサアイオニクス製オートソーブで測定した。)。
また、当該ヘマタイトは、XRD(X線回折)測定によってヘマタイトの単相であることを同定した。(他の結晶ピークは観察されなかった。)尚、XRD測定条件は、実施例1と同様である。当該結果を表5に示す。
Figure 2009050784
<ヘマタイトによる砒素の吸着>
実施例1に係るゲーサイトを、実施例2に係るヘマタイトへ代替した以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係るヘマタイトの砒素の吸着効率、および固形分の砒素品位を算定した。当該結果を表6に示す。
Figure 2009050784
当該結果から、実施例2に係るヘマタイトが、砒素溶液試料から99%以上の高い割合で、砒素を除去していることが判明した。当該実施例2に係るヘマタイトの砒素の吸着能から、例え、砒素溶液試料中の砒素濃度が希薄な溶液であっても、当該希薄溶液から砒素を除去することも容易であることがわかる。
さらに、実施例2に係るヘマタイトを用いて、カラム式の吸着操作とすることで、上述した希薄溶液から砒素を完全に除去することも容易であることが判明した。
<ヘマタイトからの砒素の脱離>
濃度200g/Lの水酸化ナトリウム溶液を準備した。
上述した「ヘマタイトによる砒素の吸着」にて製造した、砒素を吸着した実施例2に係るヘマタイトを用い、実施例1と同様にして、実施例2に係るヘマタイトの砒素の脱離効率、および固形分の砒素品位を算定した。当該結果を表7に示す。
Figure 2009050784
当該測定結果より、砒素を吸着した実施例2に係るヘマタイトから約90%という高い割合で、砒素を水酸化ナトリウム溶液中に脱離出来ていることが判明した。さらに、当該水酸化ナトリウム溶液中の砒素は高濃度であることが判明した。従って、当該脱離の際における、砒素を吸着した実施例2に係るヘマタイトと、当該水酸化ナトリウム溶液との固液比率を適宜変更することによって、更に高濃度の砒素を得ることが出来ることが容易に推測される。
次に、当該砒素を脱離した後の実施例2に係るヘマタイトを、XRDにより分析したところ、他の結晶ピークは観察されずヘマタイトの単相であった。この結果から、当該砒素を脱離した後の実施例2に係るヘマタイトは、ヘマタイトの単相に復帰しており、当該単相に復帰したヘマタイトは、再び、砒素溶液試料中の砒素を吸着することが出来ると考えられた。
そこで、当該単相に復帰したヘマタイトを用いて、上述した新規なヘマタイトに対して行ったのと同様な、「ヘマタイトによる砒素の吸着」および「ヘマタイトからの砒素の脱着」を実施した。当該結果を表8に示す。
Figure 2009050784
当該測定結果から、実施例2に係るヘマタイトの砒素の吸着効率は、1回目も2回目も変化せず吸着能力が劣化しないことが判明した。尤も、2回目の砒素の吸着効率が、1回目よりも若干優れているのは、実験のばらつきの範囲内と推測される。
尚、実施例1、2において生成した砒素脱離後の溶液には、低濃度の砒素が含まれる。
当該溶液に排水処理を施して、さらに砒素を除去しても良いが、当該溶液を、砒素を含む非鉄製錬の中間産物への浸出液に加へ、再び、砒素濃度を上げた後、pHを1程度に調整すれば、再度、実施例1、2に記載した砒素の吸着を適用することが出来る。
(実施例3)
<スコロダイトの製造>
試薬(和光純薬工業社製)の砒素溶液(5価As=約500g/L)と、試薬(和光純薬工業社製)の硫酸第1鉄・7水和物とを準備した。
当該砒素溶液と鉄塩とを、砒素濃度が50g/L、鉄濃度が55.91g/Lとなるように秤量し純水を加え、砒素−鉄塩溶液を4L調製した。
調製した砒素−鉄塩溶液4Lを、容量5Lのガラス製ビーカーに移し、2段タービン攪拌羽根・邪魔板4枚をセットした。引続いて、当該2段タービン攪拌羽根を用い回転数800rpmで強撹拌しながら液温が95℃になるよう昇温し、温度が所定に達したところで、純度99%の酸素ガスを液内に吹き込んだ。酸素ガスの流量は4L/分とした。そのまま7時間保った後、液を冷却して70℃とし、直ちに濾過して沈殿を生成させた。沈殿発生量は、ウエットで631.5gであった。
生成した沈殿に対し、蒸留水を用いて1時間のリパルプ洗浄を行い、それをろ過し、60℃にて18時間乾燥して、実施例3に係るスコロダイトを得た。

Claims (5)

  1. 砒素含有溶液へ鉄化合物を投入し、当該鉄化合物に砒素を吸着させる工程と、
    前記砒素を吸着した鉄化合物とアルカリとを合わせて、アルカリ中へ砒素を脱離する工程と、
    前記アルカリ中へ脱離した砒素を、結晶物化する工程と、
    前記砒素を脱離した鉄化合物を、再び、砒素含有溶液へ投入し、当該鉄化合物に砒素を吸着させる工程と、
    を有することを特徴とする砒素含有溶液の処理方法。
  2. 前記鉄化合物が、多孔質鉄化合物であることを特徴とする請求項1に記載の砒素含有溶液の処理方法。
  3. 前記鉄化合物が、ゲーサイトであることを特徴とする請求項1または2に記載の砒素含有溶液の処理方法。
  4. 前記鉄化合物が、ヘマタイトであることを特徴とする請求項1または2に記載の砒素含有溶液の処理方法。
  5. 前記鉄化合物が、砒素を浸出したスコロダイトを原料とした鉄化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の砒素含有溶液の処理方法。
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