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JP2009037799A - 発光素子およびその製造方法 - Google Patents

発光素子およびその製造方法 Download PDF

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Shinya Tanaka
慎也 田中
Shinichi Morishima
進一 森島
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】多層封止膜の層間密着性に優れ、高い封止性能を有し、高寿命な発光素子を提供する。
【解決手段】本発明にかかる発光素子は、基板上に発光層を有し、該発光層が多層封止膜で封止された発光素子であって、前記多層封止膜の積層中に少なくとも一つの密着性向上層を含むことを特徴とする。前記多層封止膜を少なくとも一つの第1の膜と少なくとも一つの第2の膜とを積層して形成することが、好ましく、前記密着性向上層は、前記少なくとも一つの第1の膜と少なくとも一つの第2の膜との間に形成してもよい。第1の膜と、第2の膜は、それぞれ有機膜であってもよいし、無機膜であってもうよい。両方とも有機膜である場合は、第3の膜として無機膜を設けることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)を代表とする発光素子およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、発光層を封止する多層封止膜の層間密着性を向上させることにより素子寿命の向上を図った発光素子およびその製造方法に関するものである。
有機EL素子、発光ダイオード表示素子などの発光素子においては、基板上に、陽極と陰極により挟持された発光層が積層され、この発光層を覆うように多層封止膜が積層されている。従来の発光素子では、基板にガラス基板が用いられていたが、素子の軽量化、耐衝撃性の向上、素子の大面積化、製造の効率化等の要請に対応するために、プラスチック基板が使用され始めている(例えば、特許文献1)。
プラスチック基板はフレキシブルであり、大面積なものを容易に入手でき、また、発光層を積層した後にユニットに分割するための切断作業も容易となる。しかし、プラスチック基板は、ガラス基板に比べて、ガスおよび液体の透過性が高い。基板および上部多層封止膜により被包される有機EL発光層などの表示物質は、酸化されやすく、水と接触することにより劣化されやすい。そのため、プラスチック基板を用いる場合には、基板上にガスおよび液体に対するバリア性の高い下部封止膜を積層し、その後、この下部多層封止膜の上に発光層を積層し、積層した発光層を覆うようにして上部多層封止膜を積層する。
上記下部封止膜は、通常、上記上部多層封止膜と同様の構成、同様の材料にて形成される。これら下部多層封止膜および上部多層封止膜は、通常、少なくとも一つの無機膜と少なくとも一つの有機膜を有するが、場合によっては、無機膜のみを積層して形成される場合もある。積層数は、必要に応じて決定され、有機膜と無機膜とから構成する場合では、基本的に、無機膜と有機膜は交互に積層される。
発光素子の光取り出しは、基板側から行う場合と、上部多層封止膜側から行う場合と、基板側と上部多層封止膜側の両方から行う場合がある。基板側から光を取り出す型式の発光素子はボトムエミッション型発光素子と呼称され、上部多層封止膜側から光と取り出す型式の発光素子はトップエミッション型発光素子と呼称され、両方から光を取り出す型式の発光素子は、デュアルエミッション型発光素子と呼称されている。これら型式の発光素子において、共通して言えることは、光取り出し側の多層封止膜は、透明もしくは半透明である必要があり、その物理的特性によって、光の取り出し効率が影響されるということである。そのため、従来の発光素子では、光取り出し側の多層封止膜は、できるだけ透明で、平坦な層から構成されている。
特表2003−531745号公報
周知のように発光素子における発光層は、酸素や水分との接触が生じると、比較的短期間にその発光特性が劣化する。そのため、前記従来技術に開示されているように、有機膜と無機膜を多層に積層した多層封止膜により発光層を封止している。
前述のように多層封止膜を封止性の高い無機膜のみからではなく、有機膜との交互積層により構成しているのは、膜の封止性に加えて柔軟性も確保するためである。このような有機膜および無機膜からなる多層封止膜では、異種材料界面(主に有機膜と無機膜との界面)での密着性が不十分となる傾向にあり、この界面の密着性が製造工程によって、あるいは経時的にさらに不十分となると、外部から空気(酸素および水分)が発光層に浸入しやすくなり、素子寿命を短くするおそれがある。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、その課題は、多層封止膜の層間密着性に優れ、高い封止性能を有し、高寿命な発光素子を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる発光素子は、基板上に発光層を有し、該発光層が多層封止膜で封止された発光素子であって、前記多層封止膜の積層中に少なくとも一つの密着性向上層を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る発光素子は、基板上に発光層を有し、該発光層が多層封止膜で封止された発光素子の製造方法であって、前記多層封止膜の積層中に少なくとも一つの密着性向上層を形成することを特徴とする。
前記構成において、前記多層封止膜を少なくとも一つの第1の膜と少なくとも一つの第2の膜とを積層して形成し、これら前記少なくとも一つの第1の膜と少なくとも一つの第2の膜との間に、前記密着性向上層を形成することが、好ましい。
前記構成において、前記第1の膜および前記第2の膜がともに無機膜であってもよいし、前記第1の膜が有機膜であり、前記第2の膜が無機膜であってもよい。さらに、前記第1の膜および第2の膜がともに有機膜であってもよく、この場合、さらに無機膜からなる少なくとも一つの第3の膜を形成することが、好ましい。
前記構成において、前記密着性向上層は、架橋高分子化合物を用いて形成してもよいし、シランカップリング剤を用いて形成してもよい。
前記構成において、前記架橋高分子化合物は、重合性化合物にエネルギーを印加して得てもよいし、2種類以上の重合性化合物にエネルギーを印加して得てもよいし、少なくとも1種類以上の有機化合物および少なくとも1種類の重合性化合物を含む混合物にエネルギーを印加して得てもよい。
前記構成において、前記重合性化合物として8個以上の架橋基を有する重合性化合物を用いてもよく、その場合、前記架橋基がアクリレートであることが、好ましい。
前記混合物に対する重合性化合物の配合量としては、10〜40質量%の範囲内で適宜設定することが、好ましい。
本発明においては、多層封止膜の層間密着性が向上されるので、基板としてフレキシブル基板を用いる場合に特に有効である。また、封止膜の封止特性が向上されるので、酸素、水分の接触によって発光特性が劣化されやすい有機EL素子に適用する場合に特に有効である。
また、本発明において多層封止膜の積層中に設けられる密着性向上層は、特に封止膜の透明性を劣化させるものではないので、本発明は、ボトムエミッション構造の発光素子に対しても、トップエミッション構造の発光素子に対しても、デュアルエミッション構造の発光素子に対しても、同様に適用することができる。
本発明にかかる発光素子およびその製造方法は、発光素子の発光層を封止している多層封止層の層間密着性を向上することができ、それによって、高寿命な発光素子を提供することができるという効果を奏する。
以下に、本発明にかかる発光素子およびその製造方法をさらに詳しく説明する。まず、多層封止層を構成する材料について、説明し、次に密着性向上層を構成する材料について説明する。
(下部および上部多層封止膜の構成材料)
上記下部および上部多層封止膜を構成する無機層としては、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)、酸化アルミニウム(Al)などの材料が好適に用いられる。この無機膜の形成方法としては、スパッタ法、プラズマCVD法などの公知の薄膜形成方法を用いることができる。なお、本発明に用いられる多層封止膜においては、無機膜からなる層を無機層という。
一方、下部および上部多層封止膜を構成する有機層としては、主に、上記無機層材料との密着性の良好な(メタ)アクリル基を有する有機モノマー、すなわち(メタ)アクリル系化合物を重合してなるアクリル重合体が好適に用いられる。なお、これらアクリル系化合物は、有機化合物のうちでは、上記無機材料との密着性は良好であるが、十分なものとすることは難しい。そのために、本発明では、後述のように、密着性向上層に物理的密着性の高いシランカップリング剤を含有させるか、1種類のアクリル系化合物のみから密着性向上層を形成する場合は、同様のアクリル系化合物でも架橋基を8個以上有し、隣接の膜間で相互作用が密となることで密着性の向上効果が得られる高架橋性のアクリル系化合物を用いる。また、本発明に用いられる多層封止膜においては、有機膜からなる層を有機層という。
前記(メタ)アクリル系化合物は、溶液塗布法、スプレー塗布法などの公知の塗膜形成方法により塗膜とし、この塗膜に、光エネルギー(電子線、プラズマ線、紫外線などの化学線)を照射するか、熱エネルギーを印加することにより、重合させて、アクリル重合体とする。
前記(メタ)アクリル系化合物としては、特に限定されるものではなく、分子内に(メタ)アクリル基を1個以上含む化合物であればよい。(メタ)アクリル基が1個の時は、無機膜とより高い密着性を得ることができる。2,3個の時は架橋密度が高くなり、有機層の膜強度がより高いものとなる。
前記(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する化合物、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイソオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基を有する化合物、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の環状骨格を有する(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアクリル単官能化合物や、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレンジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルジ(メタ)アクリレート、ジメチロルトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等のアクリル2官能化合物、2官能エポキシ(メタ)アクリレート等、2官能ウレタン(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリル化合物等が挙げられる。また、3個以上の(メタ)アクリル酸を有する化合物としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンテトラアクリレート等のアクリル多官能モノマーや、(メタ)アクリル多官能エポキシアクリレート、(メタ)アクリル多官能ウレタンアクリレート等などを用いることができる。
上記下層および上部多層封止膜を構成する有機層および無機層の厚みは、50Å〜10μmの範囲とすることが好ましい。50Å未満となると、膜の機械的特性を良好に維持することが難しくなり、10μmを超えると、全体の膜厚が厚くなり、有機EL素子などでは、発光層からの光の取り出し効率に影響する場合もでてくる。
(密着性向上層の構成する密着性を向上させるための材料)
密着性を向上させるための材料としては、先に述べたように、架橋高分子化合物、シランカップリング剤を挙げることができる。
まず、前記架橋高分子化合物としては、熱エネルギーあるいは光エネルギーの印加、および熱重合開始剤または光重合開始剤の作用により重合可能な置換基を有するモノマー化合物(重合性化合物)を架橋高分子化したものが挙げられる。重合可能な置換基(架橋基と記す場合もある)とは、重合反応を起こすことにより2分子以上の分子間で結合を形成し、化合物を生成することができる置換基を表す。かかる架橋基としては、例えば、ビニル基、アセチレン基、ブテニル基、アクリル基、アクリレート基、アクリルアミド基、メタクリル基、メタクリレート基、メタクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基、シラノール基、小員環(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基等)を有する基、ラクトン基、ラクタム基、またはシロキサン誘導体を含有する基等がある。
また、上記の基の他に、エステル結合やアミド結合を形成可能な基の組み合わせなども利用できる。例えば、エステル基とアミノ基、エステル基とヒドロキシル基などの組み合わせである。
また、シランカップリング剤のような界面に物理的吸着性を示す材料も挙げられる。
上記材料の中でも、とりわけ、(メタ)アクリレート基を有するモノマーが好ましい。(メタ)アクリレート基を有する単官能モノマーの具体例としては、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどが挙げられる。また、(メタ)アクリレート基を有する2官能モノマーの具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。その他の(メタ)アクリレート基を有する多官能モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリスペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。中でも、2官能以上、好ましくは、5官能以上、さらに好ましくは8官能以上の多官能モノマーが硬化性、密着性に優れ、好ましく用いられる。なお、ここでいう「官能の数」は上述の「架橋基の数」を意味する。すなわち、多官能モノマーの官能基とは、そのモノマーが有する架橋基のことを意味する。
なお、上記重合に用いられる架橋剤については、例えば、フォトポリマーハンドブック(工業調査会刊、1989年)の第17〜56頁に記載されている。
また、上述の材料がフッ素原子を有している場合には、撥水効果も作用して封止膜のバリア性を向上させることができる。
本発明の特徴は、先に述べたように、発光素子の多層封止膜の層中に密着性向上層を設ける点にある。かかる技術思想によって、多層封止膜の層間密着性が向上することに加えて、新たな多層封止膜の構成が可能になる点も注目されるべきである。その新たな多層封止膜の構成とは、互いに架橋度の異なる有機膜を密着性向上層を挟んで2層以上連続して積層できるようになることである。この構成の特徴は、架橋度が高く封止特性に優れるが、柔軟性に劣る有機膜と、架橋度が低く柔軟性に優れるが、封止性に劣る有機膜とを一体に組み合わせて、封止性に優れ、かつ柔軟性に優れる有機膜を多層封止膜中に形成することができるようになる点にある。相互に架橋度が異なるために互いの界面間の密着性が不十分となる2つの有機膜を密着性向上層によって密着性を高めて、封止性および柔軟性に優れる有機膜を得ることができる。
また、本発明において、密着性向上層を架橋高分子化合物から構成する場合の材料モノマーは、従来の多層封止膜に用いられている有機膜と同類のアクリル系の重合性化合物が用いられるが、上述にように、従来の有機膜に用いられているアクリル系の重合性化合物よりも架橋基の数が多いものを選択的に使用する。
前述のように、本発明の発光素子においては、多層封止膜の積層中に密着性向上層を設ける構成によって、新たに有機膜を連続して形成される構成が可能になるが、その他にも多層封止膜の積層構造として様々な組み合わせが可能となる。先に述べたように、密着性向上層を架橋高分子化合物から構成する場合は、その組成としては、大きく分けると、1種類の重合性化合物を硬化させてなる場合と、有機化合物と重合性化合物との混合物もしくは2種類以上の重合性化合物からなる混合物を硬化させてなる場合とがある。前者を密着性向上層Aとし、後者を密着性向上層Bとすると、多層封止膜の積層構造として以下の6通りが考えられる(なお、本発明では、密着性向上層を物理的密着性向上材料であるシランカップリング剤を用いて構成する密着性向上層Cも存在する)。
(1)無機膜/密着性向上層A/無機膜
(2)有機膜/密着性向上層A/無機膜
(3)有機膜/密着性向上層A/有機膜
(4)無機膜/密着性向上層B/無機膜
(5)有機膜/密着性向上層B/無機膜
(6)有機膜/密着性向上層B/有機膜
本発明において、前記(1)(2)(3)の積層構造では、使用する重合性化合物は、架橋基数が8個以上の重合性化合物を用いて、隣接膜と相互作用をする置換基の数を多くして、隣接膜との密着性をより高めることが好ましい。
上記構成の本発明に係る発光素子および発光素子の製造方法は、発光素子が有機EL素子である場合に特に有用である。かかる有機EL素子においても、上記に詳述した多層封止膜の構成は同様である。したがって、本発明を好適に適用できる有機EL素子における基板、発光層などの他の主要構成を以下に詳述する。
(基板)
有機EL素子に用いる基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板、これらを積層したものなどが用いられる。
(電極および発光層)
有機EL素子の基本的構造としては、少なくとも陰極が光透過性を有する透明又は半透明である一対の陽極(第1電極)及び陰極(第2電極)からなる電極間に、少なくとも1つの発光層を有する。前記発光層には低分子及び/又は高分子の有機発光材料が用いられる。
有機EL素子において、発光層周辺の構成要素としては、陰極、陽極、発光層以外の層として、陰極と発光層との間に設けるもの、陽極と発光層との間に設けるものが挙げられる。陰極と発光層の間に設けるものとしては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層等が挙げられる。
上記電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する層であり、上記電子輸送層は、電子注入層又は陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。また、電子注入層若しくは電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層を正孔ブロック層と称することがある。正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、ホール電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
陽極と発光層との間に設けるものとしては、正孔注入層・正孔輸送層、電子ブロック層等が挙げられる。
正孔注入層は、陰極からの正孔注入効率を改善する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔注入層又は陽極により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する層である。また、正孔注入層、又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層を電子ブロック層と称することがある。電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、電子電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
上記のような発光層周辺の種々組み合わせ構成としては、陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた構成、陰極と発光層との間に電子輸送層を設けた構成、陰極と発光層との間に電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた構成等が挙げられる。例えば、具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
ここで、先述したように、発光層とは発光する機能を有する層であり、正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する層である。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
さらに、電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
また、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた有機EL素子としては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた有機EL素子、陽極に隣接して電荷注入層を設けた有機EL素子が挙げられる。例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電荷輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
(陽極)
上記陽極には、たとえば透明電極または半透明電極として、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物や金属の薄膜を用いることができ、透過率が高いものが好適に利用でき、用いる有機層により適宜、選択して用いる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作製された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
(正孔注入層)
正孔注入層は、上述のように、陽極と正孔輸送層との間、または陽極と発光層との間に設けることができる。正孔注入層を形成する材料としては、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
(正孔輸送層)
正孔輸送層を構成する材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などが例示される。
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
(発光層)
発光層は、本発明においては有機発光層であり、通常、主として蛍光またはりん光を発光する有機物(低分子化合物および高分子化合物)を有する。なお、さらにドーパント材料を含んでもよい。本発明において用いることができる発光層を形成する材料としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(発光層形成材料1:色素系材料)
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーなどが挙げられる。
(発光層形成材料2:金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、例えば、イリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体など、中心金属に、Al、Zn、BeなどまたはTb、Eu、Dyなどの希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを有する金属錯体などを挙げることができる。
(発光層形成材料3:高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素体や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどが挙げられる。
上記発光層形成材料のうち青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、上記発光層形成材料のうち緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、上記発光層形成材料のうち赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
(発光層形成材料4:ドーパント材料)
発光層中に発光効率の向上や発光波長を変化させるなどの目的で、ドーパントを添加することができる。このようなドーパントとしては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。
(電子輸送層)
電子輸送層を形成する材料としては、公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体等が例示される。
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
(電子注入層)
電子注入層は、先に述べたように、電子輸送層と陰極との間、または発光層と陰極との間に設けられる。電子注入層としては、発光層の種類に応じて、Ca層の単層構造からなる電子注入層、または、Caを除いた周期律表IA族とIIA族の金属であり且つ仕事関数が1.5〜3.0eVの金属およびその金属の酸化物、ハロゲン化物および炭酸化物の何れか1種または2種以上で形成された層とCa層との積層構造からなる電子注入層を設けることができる。仕事関数が1.5〜3.0eVの、周期律表IA族の金属またはその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、酸化リチウム、炭酸リチウム等が挙げられる。また、仕事関数が1.5〜3.0eVの、Caを除いた周期律表IIA族の金属またはその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
(陰極)
陰極には、透明電極、または、半透明電極として、金属、グラファイトまたはグラファイト層間化合物、ZnO(亜鉛オキサイド)等の無機半導体、ITO(インジウム・スズ・オキサイド)やIZO(インジウム・亜鉛・オキサイド)などの導電性透明電極、酸化ストロンチウム、酸化バリウム等の金属酸化物などが挙げられる。金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン等の遷移金属;錫、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム;およびそれらのうち2つ以上の合金等があげられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。また、陰極を2層以上の積層構造としてもよい。この例としては、上記の金属、金属酸化物、フッ化物、これらの合金と、アルミニウム、銀、クロム等の金属との積層構造などが挙げられる。
以下に本発明の実施例を説明する。以下に示す実施例は、本発明を説明するための好適な例示であり、なんら本発明を限定するものではない。以下の実施例は、発光素子として有機EL素子を前提としている。本発明は、有機EL素子の場合に特に有効であるが、他の発光素子にも同様に有効である。
なお、以下の実施例の有機EL素子において、先に説明したように、電極要素として、最も簡易には、陽極、陰極のみから構成され、これらが発光層の両面に積層されて発光部が形成される場合もあれば、陽極、陰極に加えて、その他の電極要素である正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層を様々に組み合わせて、それらを発光層上に積層して発光部が形成される場合がある。以下の実施例では、発光層の両側に形成される電極要素については、簡易に記載しているが、どのような構成の電極要素が発光層に積層された場合でも同様に適用できることは明らかである。すなわち、発光層に様々な組み合わせの電極要素が積層された後、その上に多層封止膜が積層される。本発明において、発光層が多層封止膜によって封止されるとは、前述の構成を意味している。
(実施例1)
(有機EL素子の作製方法)
スパッタ法にて成膜された約150nmの膜厚のITO(透明電極)がパターニングされたガラス基板を、有機溶媒、アルカリ洗剤、超純水で洗浄し、乾かす。この基板に、UV−O装置(テクノビジョン株式会社製、商品名「モデル312 UV−O クリーニングシステム」)にてUV−O処理(親液化処理)を行う。
基板のITO面側にポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(HCスタルクビーテック社製、商品名「Bytron P TP AI 4083」)の懸濁液を0.5μm径のフィルターで濾過して、懸濁液をスピンコートにより、70nmの厚みで成膜して、大気中においてホットプレート上で200℃で10分間乾燥する。
次いで、キシレンとアニソールを1:1に混合した溶媒を用いて高分子有機発光材料(サイメイション社製、商品名「ルメーションGP1300」)の1.5重量%の溶液を作製する。この溶液を先に「Bytron P」を成膜した基板上にスピンコートを用い、80nmの膜厚に成膜する。
取り出し電極部分や封止エリア部分の発光層を除去し、真空チャンバーに導入し、加熱室に移す(以後、真空中あるいは窒素中でプロセスを行い、プロセス中の素子が大気にさらされることはない。)。次に、真空中(真空度は1×10−4Pa以下)、温度約100℃で、60分間加熱する。
その後、蒸着チャンバーに基板を移し、陰極マスクとアライメントし、発光部および取り出し電極部に陰極が成膜されるように蒸着する。陰極は、抵抗加熱法にてBa金属を加熱し、蒸着速度約2Å/sec、膜厚50Åにて、蒸着し、電子ビーム蒸着法を用いて、Alを蒸着速度約2Å/sec、膜厚1500Åにて蒸着して、形成する。
(有機/無機多層封止膜の形成)
素子作成後、蒸着室から大気には暴露せず、膜封止装置(米国VITEX社製、商品名「Guardian200」)に基板を移す。基板にマスクをアライメントし、セットする。次いで、無機成膜室に基板を移し、スパッタ法にて第1の無機層である酸化アルミニウムの成膜を行う。純度5NのAl金属ターゲットを用いて、アルゴンガスと酸素ガスを導入し、酸化アルミニウムの膜を基板に成膜する。約60nmの厚みで透明で平坦な酸化アルミニウム膜が得られる。
第1の無機層成膜後、無機層用マスクを取り外し、有機層用マスクに交換し、有機成膜室に移す。有機モノマー材料(VITEX社製、商品名「Vitex Barix Resin System monomer material(Vitex701)」)に、密着性を向上させる材料として8官能アクリレートであるTPEA(トリスペンタエリスリトールオクタアクリレート)(広栄化学社製)を30重量%添加したものを気化器に導入し、気化させ、スリットノズルから前記密着性向上剤入りのモノマー蒸気を噴き出させ、ノズル上を基板が一定の速度で通過することで均一な厚みになるように、モノマーを基板に付着させる。次に、モノマーが付着した基板にUV光を照射してモノマーを架橋し硬化させ、第1の有機層(密着性向上層)を形成する。得られた膜は透明で平坦な膜であり、膜厚は約1.3μmとなる。
第1の有機層(密着性向上層)を形成後、無機成膜室に基板を移し、アルゴンと酸素を導入し、スパッタ法にて第2の無機層である酸化アルミニウムの成膜を行う。約40nmの厚みの透明で平坦な酸化アルミニウム膜を成膜する。約40nmの厚みの透明で平坦な酸化アルミニウム膜が成膜される。第2の無機層成膜後、第1の有機層と同様にして第2の有機層(密着性向上層)を成膜し、第2の有機層成膜後、第2の無機層と同様にして第3の無機層を形成する。同様に第3の有機層(密着性向上層)、第4の無機層を形成し、多層封止膜を得る。
なお、上記実施例の多層封止膜の構成において、第1の無機層と第2の無機層とが、それぞれ本発明で定義の第1の膜と第2の膜に相当する。同様に、第2の無機層と第3の無機層との関係も、それぞれ本発明で定義の第1の膜と第2の膜に相当し、さらに、第3の無機層と第4の無機層との関係も、それぞれ本発明で定義の第1の膜と第2の膜に相当する。そして、それぞれの無機層の間に密着性向上層(第1の有機層、第2の有機層、そして第3の有機層)が形成され、各無機層間の密着性が向上される。
(比較例1)
上記実施例1において有機層を形成する有機モノマー材料に密着性向上剤(トリスペンタエリスリトールオクタアクリレート)を添加しなかったこと以外、上記実施例1と同様にして、有機EL素子を得る。
(多層封止膜の層間密着性の評価)
上記実施例、比較例で作製した有機EL素子の多層封止膜の層間密着性は、以下の方法で評価する。
(評価方法)
有機EL素子上に形成した多層封止膜上に2mm間隔で縦、横各11本の線により作製した100個のマス目に、ニチバン製セロテープを貼り付けて、垂直に一気に剥がす、という操作を3回繰り返し、剥離した目の数を測定することで評価する。
なお、上記実施例では、多層封止膜の各有機層に密着性を向上させる材料を含有させることにより形成したが、多層封止膜の各無機層の界面に直接密着性を向上させる材料を塗布し、その塗膜を硬化させることにより、密着性向上層を無機層と有機層との間に形成してもよい。
以上のように、本発明にかかる発光素子およびその製造方法は、発光素子の発光層を封止している多層封止層の層間密着性を向上することができ、それによって、高寿命な発光素子を提供することができるという効果を奏する。

Claims (30)

  1. 基板上に発光層を有し、該発光層が多層封止膜で封止された発光素子であって、
    前記多層封止膜の積層中に少なくとも一つの密着性向上層を含むことを特徴とする発光素子。
  2. 前記多層封止膜が少なくとも一つの第1の膜と少なくとも一つの第2の膜とを有し、該少なくとも一つの第1の膜と少なくとも一つの第2の膜との間に、前記密着性向上層を有することを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記第1の膜および前記第2の膜がともに無機膜であることを特徴とする請求項2に記載の発光素子。
  4. 前記第1の膜が有機膜であり、前記第2の膜が無機膜であることを特徴とする請求項2に記載の発光素子。
  5. 前記第1の膜および第2の膜がともに有機膜であり、さらに無機膜からなる少なくとも一つの第3の膜を有することを特徴とする請求項2に記載の発光素子。
  6. 前記密着性向上層が架橋高分子化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光素子。
  7. 前記架橋高分子化合物が重合性化合物にエネルギーを印加して得られたものであることを特徴とする請求項6に記載の発光素子。
  8. 前記架橋高分子化合物が2種類以上の重合性化合物にエネルギーを印加していられたものであることを特徴とする請求項6に記載の発光素子。
  9. 前記架橋高分子化合物が少なくとも1種類以上の有機化合物および少なくとも1種類の重合性化合物を含む混合物にエネルギーを印加して得られたものであることを特徴とする請求項6に記載の発光素子。
  10. 前記重合性化合物が8個以上の架橋基を有することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の発光素子。
  11. 前記架橋基がアクリレートであることを特徴とする請求項10に記載の発光素子。
  12. 前記混合物の重量を100とした場合、重合性化合物の重量が10〜40であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の発光素子。
  13. 前記密着性向上層がシランカップリング剤を含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の発光素子。
  14. 前記基板がフレキシブル基板であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の発光素子。
  15. 有機EL素子であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の発光素子。
  16. 基板上に発光層を有し、該発光層が多層封止膜で封止された発光素子の製造方法であって、
    前記多層封止膜の積層中に少なくとも一つの密着性向上層を形成することを特徴とする発光素子の製造方法。
  17. 前記多層封止膜を少なくとも一つの第1の膜と少なくとも一つの第2の膜とを積層して形成し、これら前記少なくとも一つの第1の膜と少なくとも一つの第2の膜との間に、前記密着性向上層を形成することを特徴とする請求項16に記載の発光素子の製造方法。
  18. 前記第1の膜および前記第2の膜がともに無機膜であることを特徴とする請求項17に記載の発光素子の製造方法。
  19. 前記第1の膜が有機膜であり、前記第2の膜が無機膜であることを特徴とする請求項17に記載の発光素子の製造方法。
  20. 前記第1の膜および第2の膜が有機膜であり、さらに無機膜からなる少なくとも一つの第3の膜を形成することを特徴とする請求項17に記載の発光素子の製造方法。
  21. 前記密着性向上層を架橋高分子化合物を用いて形成することを特徴とする請求項16〜20のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
  22. 前記架橋高分子化合物を重合性化合物にエネルギーを印加して得ることを特徴とする請求項21に記載の発光素子の製造方法。
  23. 前記架橋高分子化合物を2種類以上の重合性化合物にエネルギーを印加して得ることを特徴とする請求項21に記載の発光素子の製造方法。
  24. 前記架橋高分子化合物を少なくとも1種類以上の有機化合物および少なくとも1種類の重合性化合物を含む混合物にエネルギーを印加して得ることを特徴とする請求項21に記載の発光素子の製造方法。
  25. 前記重合性化合物として8個以上の架橋基を有する重合性化合物を用いることを特徴とする請求項22〜24のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
  26. 前記架橋基がアクリレートであることを特徴とする請求項25に記載の発光素子の製造方法。
  27. 前記混合物に対する重合性化合物の配合量を10〜40質量%とすることを特徴とする請求項24〜26のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
  28. 前記密着性向上層をシランカップリング剤を用いて形成することを特徴とする請求項16〜27のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
  29. 前記基板としてフレキシブル基板を用いることを特徴とする請求項16〜28のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
  30. 発光素子が有機EL素子であることを特徴とする請求項16〜29のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
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