本発明を具体的に説明する前に概要について述べる。本発明の実施の形態は、第二世代コードレス電話システムのように、TDMA−TDD方式により複数の端末装置を接続する基地局装置である。第二世代コードレス電話システムでは図1に示すように、上り通信(端末装置から基地局装置)について4つのタイムスロット、下り通信(基地局装置から端末装置)について4つのタイムスロットによってTDMAフレーム(以下、フレーム)が構成され、さらにフレームが連続して配置されている。本実施の形態においては上り通信と下り通信は対称であるため、以下においては、説明の便宜上、送信側を基地局装置とし、受信側を端末装置とする下り通信のみ説明を行う。
基地局装置は、さらに図2に示すように、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)も適用し、一つのタイムスロットに複数の端末装置を割り当てる。図2は横軸の方向に時間軸上のタイムスロットの配置を示し、縦軸の方向に周波数軸上のサブチャンネルの配置を示す。すなわち、横軸の多重化がTDMAに相当し、縦軸の多重化がOFDMAに相当する。図2には1フレームにおける第1タイムスロット(図中、T1と表示)から第4タイムスロット(図中、T4と表示)が含まれている。また、図2には各タイムスロットにおける第1サブチャンネル(図中、SC1と表示)から第8サブチャンネル(図中、SC8と表示)が含まれている。図2では第1タイムスロットの第1サブチャンネルに端末装置Aが、第2タイムスロットの第1サブチャンネルから第4サブチャンネルに端末装置Bが、第3タイムスロットの第8サブチャンネルに端末装置Cが、そして第4タイムスロットの第5サブチャンネルから第8サブチャンネルに端末装置Dがそれぞれ割り当てられている。なお、以下においては、説明の便宜上、一つのタイムスロットに一つの端末装置を割り当てる例に基づき説明を行う。
図3は、図2においてタイムスロットとサブチャンネルで特定される無線チャンネル(以下、サブチャンネルブロック)の構成を示す概念図である。図3の横方向は、時間軸であり、縦方向は、周波数軸を示している。「1」から「29」の番号は、サブキャリアの番号を示す。このようにサブチャンネルは、OFDMのマルチキャリア信号によって構成されている。図中、「TS」は、トレーニングシンボルに相当し、同期検出用のシンボル「STS」、伝送路特性の推定用シンボル「LTS」等の既知信号を含む。「GS」は、ガードシンボルに相当し、ここに実効的な信号は配置されない。「PS」はパイロットシンボルに相当し、既知信号によって構成される。「SS」はシグナルシンボルに相当し、制御用の信号が配置される。「DS」はデータシンボルに相当し、送信すべきデータである。「GT」はガードタイムに相当し、実効的な信号は配置されない。
図4は、図3におけるシグナルシンボルの構成を示す概念図である。シグナルシンボルは、変調パラメータ通知MI、変調パラメータ要求MR、HARQ制御HC、HARQ応答HAを含む。HARQ制御HCは、再送制御有効フラグHF、パンクチャ種別PT、HARQシーケンス番号HARQ SNから構成される。また、HARQ応答HAは、HARQ ACKシーケンス番号有効フラグHAF、HARQ ACK種別HAT、HARQ ACKシーケンス番号から構成される。
図5は、本発明の実施の形態におけるネットワーク階層の構成を示す概念図である。図5では、MAC層(レイヤ2)およびそれ以上の上位層を示している。図3に示す一つのサブチャンネルブロックのデータシンボルから、チャンネル種別CIおよびMAC層の基本単位PDU(Protocol Data Unit、以下、ユニット)が構成される。
図6は、ユニットの構成を示す概念図である。ユニットは、パッキングフラグPF、フラグメントフラグFF、シーケンス番号有効フラグAF、ACKシーケンス番号有効フラグAAF、ARQ受信不可能フラグNR、レイヤ2データ長LEN、シーケンス番号SN、ACKシーケンス番号ACK SNTからなるレイヤ2ヘッダー、データが配置されるレイヤ2データ、誤り検出符号CRC(Cyclic Redundancy Check)から構成される。
HARQはサブチャンネルブロック単位で行う。本発明の実施の形態では、一つのサブチャンネルブロックが一つのMAC層のユニットに相当するため、HARQはMAC層のユニット単位で行うことになる。すなわち、送信側はレイヤ2データとCRCに対して畳み込み符号化処理を行ったのち、符号化率R1のパンクチャパターンでパンクチャ符号化を行い、シーケンス番号をシグナルシンボルのHARQ SNに格納して送信する。受信側は、規定されたパンクチャパターンに該当するデータの補間をして、パンクチャ復号処理を行い、パンクチャ復号されたデータにビタビ復号処理を行ったのち、ユニットの誤り検出符号を用いて正しく受信できたか否かを判定する。受信側が正しく受信できたユニットのシーケンス番号をシグナルシンボルのHARQ ACK SNに、またHATに「0:ACK」を格納して送信側に通知することで、送信側はHARQ ACK SNのシーケンス番号に対応するユニットが正しく受信されたと判定する。一方、受信側が正しく受信できなかったユニットのシーケンス番号をシグナルシンボルのHARQ ACK SNに、またHATに「1:NACK」を格納して送信側に通知することで、送信側はHARQ ACK SNのシーケンス番号に対応するユニットが正しく受信されなかったと判定する。
受信側でユニットが正しく受信できなかった場合、符号化率が高いパンクチャパターンでパンクチャ符号化を行いユニットの再送をすれば、符号化利得が大きくなり、伝送特性の向上が期待できる。
その一方、符号化率が高いパンクチャパターンでは、間引くデータの数が少なくなるので、初回の送信時と重複するデータが再送される可能性が高くなる。受信側で初回に送信されたユニットと再送されたユニットとを合成する際、重複しているデータは伝送誤りが発生していなければ利用しなくてもよいので、必要以上に冗長性をもたせて再送するのは伝送効率の観点からは好ましくない。
したがって、本発明の実施の形態における基地局装置においては、パンクチャ符号化して送信したデータに誤りが発生すると、パンクチャ符号化処理で間引いたデータのサイズに応じた変調方式を選択し、間引いたデータにその変調方式を適用して再送することとした。これにより、初回の送信されたパンクチャ符号化データと再送されたパンクチャ符号化処理で間引いたデータを合成すれば、パンクチャ符号化する前のデータを復元することができ、パンクチャ符号化処理により低下した誤り訂正能力を高めることができる。さらに、送信されたデータと再送されたデータには重複箇所がないため、再送時の伝送効率を改善させるとともに、効率的な合成が可能となる。
また、一般にパンクチャ符号化で間引いたデータのサイズは初回に送信したデータのサイズより小さいため、送信時よりも多値数が少ない変調方式を選択することができる。多値数が少ない変調方式を用いれば、伝送時の信頼性を向上させることができるため、再送されるパンクチャ符号化処理で間引いたデータの信頼性も向上する。このため、その間引いたデータにより合成されるデータの信頼性も向上する。
図7は、本発明の実施の形態における移動体通信システム10の構成を示す概念図である。移動体通信システムは基地局装置1と端末装置2を含む。図7では端末装置2で総称される第1端末装置2a、第2端末装置2bおよび第3端末装置2cの3台を図示しているが、2台以下、もしくは4台以上の端末装置が存在してもよい。
図8は、図7の基地局装置1の構成を示す概念図である。図8において、アンテナ100は、無線周波数の信号を送受信する。
無線部101は、受信時にアンテナ100で受信した無線周波数の信号を周波数変換し、ベースバンド信号を導出し、受信部104に出力する。また、送信時に送信部102からのベースバンド信号を周波数変換し、無線周波数の信号を導出する。
送信部102は、変調部103から送られてきた周波数領域信号を時間領域信号に変換し、無線部101に出力する。なお、周波数領域信号から時間領域信号への変換にはIFFT(Inversed Fast Fourier Transform)を利用する。
変調部103は、IF部106からの入力に対して変調を行い、送信部102に出力する。変調方式としては、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、32QAM、64QAM、256QAMなどを用いる。
受信部104は、無線部101から送られてきた時間領域信号を周波数領域信号に変換し、復調部105に出力する。なお、時間領域信号から周波数領域信号への変換にはFFT(Fast Fourier Transform)を利用する。
復調部105は、受信部104からの入力に対して復調を行い、IF部に出力する。また、図4に示すシグナルシンボルを解析し、その結果を制御部107へ出力する。
IF部7は、図示していないネットワークに接続され、受信時に復調部105において復調した信号を図示していないネットワークに出力する。また、IF部7は、送信時にネットワークからデータを入力し、これを変調部103に出力する。
制御部107は、復調部105から送られてきたユニットのシグナルシンボル解析結果を入力とし、基地局装置1にユニットを正しく受信できない旨のNACKを応答してきた端末装置2に対して、そのユニットのデータの再送を行う。また、基地局装置1全体のタイミングの制御等を行う。
制御部107は、図示していない理想変調信号と受信変調信号とのひずみ特性であるEVM(Error Vector Magnitude)を測定する通信品質測定部から送られた情報、および復調部105から送られてきたユニットのシグナルシンボル解析結果を入力とし、変調方式を選択し、変調部103および復調部105を制御する変調方式選択部1070を含む。
変調方式選択部1070は、送信時の変調方式と再送時の変調方式との関係を示したテーブルを記録している。シグナルシンボル解析結果より、端末装置2からユニットを正しく受信できない旨のNACKが応答されたと判断すると、そのテーブルを参照し、ユニットを送信したときの変調方式から、このユニットのデータを再送するための変調方式を決定する。
また、制御部107は、復調部105から送られてきたユニットのシグナルシンボル解析結果にもとづき、再送用のユニットを生成するためユニット生成部1030、送信バッファ部1034等を制御する再送制御部1071を含む。
再送制御部1071は、シグナルシンボル解析結果より、端末装置2からユニットを正しく受信できない旨のNACK応答がされたと判断すると、符号部1031のパンクチャ符号処理の過程で間引いたデータを送信バッファ部1034から読み出す。そして、読み出した間引きデータをユニット生成部1030に送り、再送するための新たなユニットの生成をユニット生成部1030に指示する。また、再送用のシグナルシンボルの生成をシンボル生成部1032に指示する。
図9は、変調部103の詳細な構成を示す概念図である。図8において、ユニット生成部1030は、IF部106からの入力に対して畳み込み符号化を行い、図6に示すレイヤ2データ領域に格納するとともに、レイヤ2ヘッダーおよび誤り検出符号CRCを付加しユニットを生成し符号部1031に出力する。
符号部1031は、特定の符号化率が指定された場合、ユニット生成部1030からの入力に対して畳み込み符号化を行い、あらかじめ規定されたパンクチャパターンを参照しながらその出力を間引くパンクチャ符号化を行ってシンボル生成部1032に出力するとともに、その間引きデータを送信バッファ部1034に出力する。
シンボル生成部1032は、符号部1031からの入力を図3に示すデータシンボルに格納するとともに、図4に示すシグナルシンボル等の制御シンボルを生成して所定の位置に格納する。さらに再送時には、シグナルシンボルのHFを有効にし、PTに「1:パンクチャ間引きデータ」を格納するとともに、再送対象となったユニットのシーケンス番号を制御部107から受け取り、HARQ ACK SNに格納する。
変調実行部1033はユニット生成部1031からの出力に対してBPSKなどの変調を行う。送信バッファ1034は、ユニットのデータが受信側で正しく受信されるまで、符号部1031からの間引きデータを記録する。また、再生制御部1071の指示により、記録した間引きデータをユニット生成部1030に出力する。なお、ユニットが受信側で正しく受信されたか否かの判定は、ペアーとなるユニットのシグナルシンボルのHATに「0:ACK」を格納して所定の時間内に受信側が通知してきたか否かで行う。
図10は、変調方式と符号化率との組み合わせごとに、1シンボルあたりの送信ビット数と削除ビット数との関係を示した概念図である。図10において符号化率1/2は畳み込み符号化のみ行い、パンクチャ符号化を行わないことを表す。パンクチャ符号化を行わないので、1シンボルあたりの削除ビット数は「0」である。一方、パンクチャ符号化を行う場合は、符号化率と1シンボルあたりの送信ビット数から、1シンボルあたりの削除ビット数が一意に決まる。
例えば、「32QAM 4/5」の場合、4ビットのデータに畳み込み符号化を行い、8ビットの畳み込み符号化データを生成する。そして、畳み込み符号化データから3ビット間引いて削除するパンクチャ符号化を行い、5ビットのパンクチャ符号化データを生成し、「32QAM」変調を行う。
「32QAM」の1シンボルあたりの送信ビット数は「5」であるため、5ビットのパンクチャ符号化データは「32QAM」の1シンボルで送信することができる。パンクチャ符号化処理の過程で間引いて削除したビット数は「3」であり、パンクチャ符号化データは「32QAM」の1シンボルで送信することができるため、「32QAM 4/5」の1シンボルあたりの削除ビット数は「3」となることが分かる。
このとき、1シンボルあたりの送信ビット数がパンクチャ符号化処理の過程で間引いて削除したビット数に等しい変調方式を選択すれば、最も効率よく間引きデータを再送できる。
図11は、変調方式選択部1070が記録している送信時の変調方式と再送時の変調方式との関係を示したテーブルのデータ構造である。図11において再送時の変調方式の列に符号化率の項目を設けていないのは、間引きデータの再送時には、畳み込み符号化を行わず、変調のみ行うことを意味する。これは、受信装置側で間引きデータの合成を行う際の、ビタビ復号処理における負担軽減を考慮したものである。
テーブルでは、送信時の変調方式における1シンボルあたりの削除ビット数と、再送時の変調方式における1シンボルあたりの送信ビット数が等しくなるように対応付けられている。なお、再送時の変調方式が空欄の場合は、送信時と同じ変調方式が再送時の変調方式として対応付けられる。このテーブルにより、例えば、送信時の変調方式「64QAM 3/4」と再送時の変調方式「8PSK」が対応付けられる。
以上、説明した構成にもとづく、再送制御について説明する。図12は、再送制御のフローチャートである。
図12のパンクチャ符号化処理では畳み込み符号化データ301(X0、Y0、X1、Y1、X2、Y2)から(Y1、X2)を間引く符号化率3/4のパンクチャパターンを用いる。よって、パンクチャ符号化データ302は(X0、Y0、X1、Y2)であり、パンクチャ間引きデータ303は(Y1、X2)である。図12ではパンクチャ符号化データ302とパンクチャ間引きデータ303のデータが存在しない箇所を斜線で表示してある。
符号部1031は、入力データ300に畳み込み符号化を実施し、畳み込み符号化データ301を生成する(S100)。畳み込み符号化データ301にパンクチャ符号化処理を実施し、パンクチャ符号化データ302を生成する(S101)。パンクチャ符号化処理の過程で間引いたパンクチャ間引きデータ303は、送信バッファ1034に出力する。送信バッファ部1034は、パンクチャ間引きデータ303を記録する。符号部1031の出力をシンボル生成部1032、変調実行部1033、送信部102、無線部101を介してアンテナ100から送信する(S102)。
再送制御部1071は、復調部105から送られてきたユニットのシグナルシンボル解析結果にもとづき、再送要求の有無を判定する。再送要求があった場合(S103)、再送制御部1071は、送信バッファ1034からパンクチャ間引きデータ303を読み出し、ユニット生成部1030に送る。そして、ユニット生成部1030に指示を送り、ユニット生成部1030は、再生用のユニットを生成したのち、パンクチャ間引きデータ303を格納し、符号部1031に出力する。再生制御部1071は、符号部1031に指示を送り、符号部1031は、ユニット生成部1030からの入力をそのまま出力する。符号部1031の出力をシンボル生成部1032、変調実行部1033、送信部102、無線部101を介してアンテナ100から送信する(S104)。
これまで説明した再送制御は、基地局装置1での機能に相当する。一方、再送を実行するためには、基地局装置1だけではなく、端末装置2も所定の動作を実行する必要がある。すなわち端末装置2は、基地局装置1から送信されたユニットのデータについて誤り検出を行い、基地局装置1に再送要求を行うとともに、送信されたパンクチャ符号化データと再送されてきたパンクチャ間引きデータを合成する。ここでは端末装置2の動作として説明するが、この機能は基地局装置1にも含まれてもよい。
図13は、図7の端末装置2の無線通信に関する機能ブロックの構成を示す概念図である。図13において、アンテナ200、送信部202および受信部204は、図8におけるアンテナ100、送信部102、受信部104に相当するため説明を省略する。
変調部203は、IF部206からの入力に対して変調を行い、送信部202に出力する。また、シンボル解析部2051で正しく受信できたと判定されたユニットのシーケンス番号を制御部207から受け取り、ペアーになるユニットのシグナルシンボルHARQ ACK SNに格納するとともに、HAFを有効にし、HATに「0:ACK」を格納する。なお、再送用のユニットの場合は、HATに「1:NACK」を格納する。
復調部205は、受信部204からの入力に対して復調を行い、IF部206に出力する。また、図4に示すユニットのシグナルシンボルを解析し、その結果を制御部207へ出力する。
IF部206は、図示していない音声復号部等に接続され、受信時に復調部205において復調した信号を図示していない音声復号部に出力する。また、IF部206は、送信時に音声符号部からデータを入力し、これを変調部203に出力する。
制御部207は、復調部205から送られてきたユニットのシグナルシンボル解析結果を入力とし、正しく受信できないユニットを送信してきた基地局装置1に、そのユニットのデータの再送要求を行う。また、基地局装置1全体のタイミングの制御等を行う。
制御部207は、図3に示すシグナルシンボルに含まれる変調パラメータ通知MIを参照して、変調方式を決定し、変調部203および復調部205を制御する変調方式選択部2070を含む。
また、制御部207は、復調部205から送られてきたユニットのシグナルシンボル解析結果にもとづき、再送用のユニットのデータを合成するため受信バッファ部2054、合成部2055等を制御する合成制御部2071を含む。
合成制御部2071は、シグナルシンボルの解析結果に基づき、誤りが発生したユニットのパンクチャ符号化データとペアーになるパンクチャ間引きデータを受信できたか否かを判定する。受信できたと判定すると、受信バッファ部2054からパンクチャ符号化データを読み出し、合成部2055に送る。合成制御部2071は、パンクチャ符号化データにおける間引きポイントにパンクチャ間引きデータを補填するよう合成部2055を制御する。
図14は、復調部205の詳細な構成を示す概念図である。図14において、復調実行部2050は受信部204からの出力に対してBPSKなどの復調を行う。シンボル解析部2051は、データシンボルからユニットを抽出して復号部2052に送るとともに、復調実行部2050からの入力からシグナルシンボルを抽出して解析を行い、その結果を制御部207に送る。また、特定の符号化率が指定された場合は、データシンボルから抽出したユニットを受信バッファ部2054と合成部2055に送る。さらに、シンボル解析部2051は、解析対象であるユニットが再送用であるか否かを、図4に示すシグナルシンボルのPTが「1:パンクチャ間引きデータ」であるか否かで判定する。再送用のユニットであれば、その旨を制御部207に通知する。
合成部2055は、特定の符号化率が指定された場合、送信用のユニットのデータに対しては、あらかじめ規定されたパンクチャパターンを参照しながらヌルデータを挿入し、再送用のユニットのデータに対しては、受信バッファ2054からの出力と合成して、パンクチャ復号を行う。パンクチャ復号を行うか否かの判定は、図4に示すシグナルシンボルに含まれる変調パラメータ通知MIを参照し、特定の符号化率が送信側で指定されたか否かで行う。
復号部2052は、特定の符号化率が指定された場合は、合成部2055からの入力に対して、そうでなければ、シンボル解析部2051からの入力に対してビタビ復号を行い、ユニット解析部2053に出力する。
ユニット解析部2051は、復号部2052からの入力に誤り検出符号CRCを用いて、復号部2052で正しく復号されたか否かを判定し、その結果を制御部207に送る。また、正しく復号されたデータは、IF部206に出力する
以上、説明した構成にもとづく、再送制御について説明する。図15は、合成制御のフローチャートである。
図15では図12と同様、パンクチャ符号化データ400とパンクチャ間引きデータ403のデータが存在しない箇所を斜線で表示してある。つまり、受信したパンクチャ符号化データ400は(X0、Y0、X1、Z2)であり、再受信したパンクチャ間引きデータ403は(Y1、X2)である。なお、図15では、受信したパンクチャ符号化データ400に伝送エラー4001が発生しており、パンクチャ符号化データのうち「Y2」を受信すべき箇所で、「Z2」を受信したとしている。
アンテナ200、受信部204、復調実行部2050、シンボル解析部2051を介してパンクチャ符号化データ400を受信した復調部は(S200)、「0」を挿入してパンクチャ復号を行い、パンクチャ復号データ401を復号する(S201)。パンクチャ復号データ401にビタビ復号を行い、ビタビ復号データ402を復号し、ユニット解析部2053に出力する(S202)。ユニット解析部2053は、ビタビ復号データ402の誤り検出を行う(S203)。受信したパンクチャ符号化データ400に伝送エラー4001が発生しているため、ビタビ復号エラー4020が発生する。ユニット解析部2053は誤り検出を制御部207に送り、制御部207は再送請求を行う(S204)。
合成制御部2071は、復調部205から送られてきたユニットのシグナルシンボル解析結果にもとづき、誤りが発生したユニットのパンクチャ符号化データとペアーになるパンクチャ間引きデータ403を受信できたか否かを判定する。受信できたと判定すると(S205)、受信バッファ部2054からパンクチャ符号データ401を読み出し、合成部2055に送る。合成制御部2071は、合成部2053に指示を送り、合成部2055は、パンクチャ符号化データ401とパンクチャ間引きデータ403を合成し、合成データ404を復号部2052に出力する(S206)。復号部2052は、合成データ404にビタビ復号を行い、ビタビ復号データ405をユニット解析部2053に出力する(S207)。ユニット解析部2053は、ビタビ復号データ405の誤り検出を行う(S208)。
以上の構成による移動体通信システム10の動作を説明する。図16は移動体通信システム10の再送手順を示すフローチャートである。
基地局装置1は、測定されたEVMにもとづき、変調方式として256QAM 3/4の選択を決定する(S300)。送信データに畳み込み符号を行い、符号化率3/4のパンクチャパターンに従いパンクチャ符号化処理を行う。シグナルシンボルのHARQ SNにシーケンス番号「1」を格納し、生成したパンクチャ符号化データをレイヤ2データ領域に格納してユニット#1を生成し、端末装置2に送信する(S301)。端末装置2は、受信したユニット#1の誤り検出を行い、このユニットが正しく受信できなかったと判定する(S302)。
基地局装置1は所定の時間内にペアーとなるユニットのシグナルシンボルのHATに「0:ACK」が、そしてHARQ ACK SNにシーケンス番号「1」が格納されて通知されなかったことから(S303)、端末装置2はユニット#1のNACKを応答してきたと判定する。そこで、基地局装置1は、図11のテーブルを参照して再送用の変調方式として16QAMの選択を決定するとともに、ユニット#1で送信したパンクチャ符号化データの符号化処理の過程で間引いたパンクチャ間引きデータをレイヤ2データ領域に格納してユニット#1-1を生成する。(S304)ここで、ユニット#1-1のシグナルシンボルのPTには「1:パンクチャ間引きデータ」を、HARQ SNにはシーケンス番号「1」を格納する。
基地局装置1は、16QAMでユニット#1-1の変調を行い、端末装置2に送信する(S305)。端末装置2は、受信したユニット#1-1のシグナルシンボル解析を行い、ユニット#1-1のパンクチャ間引きデータを合成部2055へ送る。また、受信バッファ2054からユニット#1のパンクチャ符号化データを読み出し、合成部2055で合成してから、ビタビ復号を行い、正しく受信できたと判定する。そして、ペアーとなるユニットのシグナルシンボルのHATに「0:ACK」を、そしてHARQ ACK SNにシーケンス番号「1」を格納して基地局装置1に送信し、ユニット#1-1のACKを応答する(S307)。
基地局装置1は、端末装置2からユニット#1-1のACKが応答されてきたため、再送の起点となったユニット#1のデータは端末装置2で正しく受信できたことを確認し、ユニット#1に関する再送を完了する。
このような本発明の実施の形態によれば、以下の通りの作用効果を享受することができる。
(1)端末装置2において受信したパンクチャ符号化データに誤りが発生すると、復調部105で端末装置2から応答されるNACKを検出し、変調方式選択部1070は、送信時より多値数が少ない変調方式を選択して、そのパンクチャ間引きデータを端末装置2に対して再送するため、初回に送信されたパンクチャ符号化データと再送されたパンクチャ間引きデータとを合成すれば、パンクチャ符号化する前のデータを復元することができることから、パンクチャ符号処理により低下した誤り訂正能力を高めることができる。さらに、パンクチャ符号データとパンクチャ間引きデータでは重複する箇所がないため、再送時の伝送効率を改善させるとともに、効率的な合成が可能となる。また、多値数が少ない変調方式を適用することによりパンクチャ間引きデータ再送時の信頼性が向上するため、これを用いて合成されるデータの信頼性も向上する。
(2)変調方式選択部1070は、パンクチャ符号化データのパンクチャ符号化処理の過程で間引いたデータにサイズに応じた変調方式を選択し、変調実行部1034は、選択した変調方式を用いて、そのパンクチャ間引きデータを端末装置2に対して再送するため、伝送量が小さい間引きデータを伝送することができ、かつ多値数が少ない変調方式でパンクチャ間引きデータの再送を行うことが可能となることから、パンクチャ間引きデータ再送時の伝送効率と信頼性が向上する。
(3)符号部1031は、畳み込み符号化を行ってから、パンクチャ符号化を行ってパンクチャ符号化データを生成し、ユニット生成部1030は、このパンクチャ符号化データに誤り検出符号CRCを付加するため、端末装置2は、一部が間引かれたパンクチャ符号化データのビタビ復号を行うことで、パンクチャ符号化する前のデータに復元することができるとともに、誤り検出符号を用いることで伝送誤りが生じたか否かを判定することができ、伝送効率と信頼性を向上させることができる。
(4)合成部2055は、あらかじめ規定されたパンクチャパターンを参照しながら、ヌルデータを挿入してパンクチャ復号を行い、復号部2052は、合成部2055の出力にビタビ復号を行い、ユニット解析部2051は、復号部2052からの入力に誤り検出符号CRCを用いて、復号部2052で正しく復号されたか否かを判定し、制御部207は正しく復号されなかった場合に再送要求を行い、合成部2055は、再送されたパンクチャ間引きデータと初回に送信されたパンクチャ符号化データを合成するため、パンクチャ符号データとパンクチャ間引きデータでは重複する箇所がないことから、再送時の伝送効率を改善させるとともに、効率的な合成が可能となる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明をしてきたが、本発明は、この実施の形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に規定された本発明の適用範囲にあり、上述した実施の形態の構成が備える機能を達成可能であれば、いろいろな変形が可能である。
例えば、本発明の実施の形態において通信システム10はTDMAとOFDMAが適用されるとして説明したが、これにかぎらず、例えば、TDMAとCDMA(Code Division Multiple Access)が適用されてもよく、またTDMAとSDMA(Space Division Multiple Access)が適用されてもよい。