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JP2008246681A - 磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロール - Google Patents

磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロール Download PDF

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JP2008246681A
JP2008246681A JP2007087174A JP2007087174A JP2008246681A JP 2008246681 A JP2008246681 A JP 2008246681A JP 2007087174 A JP2007087174 A JP 2007087174A JP 2007087174 A JP2007087174 A JP 2007087174A JP 2008246681 A JP2008246681 A JP 2008246681A
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film
polyester film
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JP2007087174A
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Jun Takahashi
潤 高橋
Hisashi Owatari
寿士 大渡
Shinji Takauchi
伸治 高内
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】 特に蒸着磁気記録媒体用ベースとして用いた際の磁気テープ特性や蒸着磁気記録媒体への加工適性が良好な積層ポリエステルフィルムロールを提供すること。
【解決手段】 少なくとも2層の層構成を有する積層ポリエステルフィルムを円筒状コアに巻き付けてなり、該積層ポリエステルフィルムの一方の面を構成する層(A層)の中心線平均表面粗さRaと、他方の面を構成する層(B層)の中心線平均表面粗さRaとの比Ra/Raが0.05〜0.7であり、かつフィルムロール表層部の表層シワが以下(1)〜(4)を満足する磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロールとする。
(1)表層シワの総幅がフィルム幅の0.5〜15%
(2)表層シワの発生長さがフィルムロールの表面から30〜500m
(3)1本あたりの表層シワの高さが0.05〜3mm
(4)幅方向での表層シワの本数が1〜10本/1,000mm
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロール、特にデジタルビデオカセットテープ用、データストレージテープ用等のデジタルデータを記録する蒸着型磁気記録媒体を高品質に生産性良く製造するために好適な磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロールに関する。
ポリエステルフィルムは、強度、耐熱性、透明性、耐薬品性などの優れた特性を有するため、多方面の用途に使用されているが、さらに機能性を付与することによって、磁気記録媒体用のベースフィルムとして広く使用されている。
磁気記録媒体は、ベース上に金属薄膜を蒸着加工して磁性層を設けた蒸着型と塗布加工して磁性層を設けた塗布型に大別される。いずれも、磁性層のさらなる薄膜化による記録密度の向上が検討されている。
以上のうち、ポリエステルフィルムの利用が最も進んでいる蒸着型磁気記録媒体について、以下に詳述する。
1995年に実用化された民生用デジタルビデオテープは、厚さ6〜7μmのポリエステルベースフィルム上に磁性層としてコバルト(Co)の強磁性金属薄膜を真空蒸着により設け、その表面にダイヤモンド状カーボン膜をコーティングして成るものである。デジタルビデオ(DV)ミニカセットを使用したカメラ一体型ビデオの場合には基本仕様(SD仕様)で1時間の録画時間をもつ。
このデジタルビデオカセット(DVC)は、家庭用では世界初であり、以下に示したような数多くの長所を有しているため、市場の評価が高い。
a.小型ボディながら、膨大な情報が記録できる
b.信号が劣化しないから、何年たっても画質・音質が劣化しない
c.雑音の妨害を受けないから高画質・高音質が楽しめる
d.ダビングを繰り返しても映像が劣化しない
また1998年にはSD仕様で1時間20分の録画時間をもつDVミニカセットテープが実用化され、そのベースフィルムには厚さ4〜5μmのポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムが用いられており、このテープも長時間の録画時間を持ち、市場の評価は高い。
例えば、民生用DVCテープでは、ベースフィルム片面側に強磁性金属薄膜を蒸着形成させるが、膜厚が100〜300nmと薄く、ベースフィルムの表面特性が磁気テープ特性(電磁変換特性、ドロップアウト等)に大きく影響する。特に近年では、記録密度向上のため蒸着膜厚の薄膜化が進められており、従来にも増してベースフィルム表面平滑性が強く望まれている。その一方、ベースフィルムの製膜および蒸着加工時の搬送性、あるいはフィルムロール製品への巻き取り性という観点からは表面が粗い方が好ましい。
このような二律背反する特性を同時に満たすベースフィルムとして、下記(1)〜(5)に示されるポリエステルベースフィルムあるいはポリエステルフィルムロール等が使用されている。
(1)ポリエステルB層の片面に、滑剤を含有するポリエステルA層を積層してなる積層二軸配向ポリエステルフィルムであって、(イ)フィルム全体の厚みが2〜10μmであって、(ロ)フィルムの縦方向および横方向のヤング率がそれぞれ450〜2,000kg/mmで、両者の比(横/縦)が1.0〜3.0であり、(ハ)フィルムを60℃×55%RHで72時間、無加重下に保持したときの縦方向の熱収縮率が0.5%以下であり、(ニ)ポリエステルA層の表面での総突起数が1.4×10個/mm以上で、突起数が30個/mm以上の領域で求めた突起数(Y:個/mm)と突起高さ(H:nm)との関係を表す突起分布曲線が下記式(A)の直線と交差し、下記式(B)の直線と交差せず、そして(ホ)ポリエステルB層の表面での総突起数が1.4×10個/mm以上で、突起数が30個/mm以上の領域で求めた突起数(Y:個/mm)と突起高さ(H:nm)との関係を表す突起分布曲線が下記式(C)の直線と交差しないことを特徴とする高密度磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。
log10=−0.15×H+5 ・・・ (A)
log10=−0.05×H+5 ・・・ (B)
log10=−0.15×H+5 ・・・ (C)
(2)スリット速度10〜600m/分、オシレーション速度10〜600mm/分、オシレーション幅±10〜±200mmでポリエステルフィルムをコアに巻き取るに際し、巻始めから巻終わりまで、スリット速度Vとオシレーション速度Vとの比V/Vを3.3×10−4〜10×10−4の範囲内とするとともに、その変動率を10%以下に制御しながら巻き取る磁気記録媒体用ポリエステルフィルムロールの製造方法。
(3)2層のポリエステル層である層A及び層Bを含んでなる積層ポリエステルフィルムであって、層A側の表面の、算術平均粗さRa値が1.5〜5nm、十点平均粗さRz値が10〜60nmであり、層B中の粒径が0.1μm以上、0.22μm未満である不活性粒子βの含有量が層Bに対して0.2〜1.6重量%、粒径が0.22μm以上、0.4μm未満である不活性粒子α2の含有量が層Bに対して0.01〜0.7重量%、粒径が0.4μm以上、1.0μm未満である不活性粒子α1の含有量が層Bに対して0.0005〜0.01重量%、不活性粒子α1、α2及びβの合計の含有量が層Bに対して0.4〜2.0重量%であり、かつ、層Bの表面に、易滑被覆層を1〜10nmの厚みで設けてなることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
(4)熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bを含む少なくとも2層の積層フィルムであって、一方の面を構成する熱可塑性樹脂層Aの中心線平均表面粗さRaと、反対面側の熱可塑性樹脂層Bの中心線平均表面粗さRaとの比率Ra/Raが0.2〜0.7であり、熱可塑性樹脂層Bが不活性粒子α、βを含有し、不活性粒子α、βの平均粒子径dα、dβの差(dβ−dα)が80〜300nmであり、熱可塑性樹脂層Bの表面の不活性粒子βに由来する突起個数Nβが4〜150個/mmであり、かつ、熱可塑性樹脂層Bの外層表面には、1〜10nmの厚みで易滑被覆層Cが設けられている積層フィルム。
しかしながら近年ではDVCテープ市場の拡大、成熟化と共に市場からのテープ価格低下の要求が急速に強まり、これに伴いテープメーカーは各種コストダウンに努めている。特に強磁性金属薄膜を真空蒸着する蒸着加工工程の高速化は重要で、より早く真空脱気を行い、より早く蒸着することで、蒸着加工工程の効率化を図ろうとしている。従ってテープメーカーがベースフィルムに強く求めるのは、フィルムロールの長尺化とともに高速での蒸着加工工程で安定した状態で真空蒸着できることである。仮に蒸着前の真空脱気時、あるいは蒸着開始後にフィルムのズレやマヨイ(横両方向へのズレ)が発生すると、蒸着停止、大気開放、フィルムロール処置(ズレ部分のカットあるいは入れ替え)、再度の真空脱気が必要であるが、時間、材料に関するロスは多大なものとなる。
しかし、上記(1)〜(5)に記載の方法では、15,000mさらには25,000mを超えるような長尺フィルムロール製品とし、蒸着加工工程を高速化した場合に、蒸着前の真空脱気時、あるいは蒸着開始時にフィルムのズレやマヨイが発生しやすいため、磁気テープ生産性の効率化達成は困難である。
特開平9−277475号公報 特開2005−85321号公報 特開2005−205825号公報 特開2005−254808号公報
本発明の目的は上記のような問題点を解決し、特に蒸着磁気記録媒体用ベースフィルムとして用いた際の蒸着磁気記録媒体への加工適性が良好な熱可塑性樹脂フィルムロールを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明は、以下の構成からなる。
1.少なくとも2層の層構成を有する積層ポリエステルフィルムを円筒状コアに巻き付けてなり、該積層ポリエステルフィルムの一方の面を構成する層(A層)の中心線平均表面粗さRaと、他方の面を構成する層(B層)の中心線平均表面粗さRaとの比Ra/Raが0.05〜0.7であり、かつフィルムロール表層部の表層シワが以下(1)〜(4)を満足する磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロール。
(1)表層シワの総幅がフィルム幅の0.5〜15%
(2)表層シワの発生長さがフィルムロールの表面から30〜500m
(3)1本あたりの表層シワの高さが0.05〜3mm
(4)幅方向での表層シワの本数が1〜10本/1,000mm
2.積層ポリエステルフィルムの幅が500〜1,000mm、巻き長さが15,000〜50,000mの範囲である、上記1に記載の磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロール。
3.積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートである、上記1または2に記載の積層フィルム。
4.B層の外側表面に易滑被覆層Dが設けられ、A層の外側表面に粒子を含有する易滑被覆層Cが設けられている、上記1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロール。
5.易滑被覆層Cに含有される粒子が無機粒子である、上記4に記載の磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロール。
6.無機粒子が二酸化珪素から構成されている、上記5に記載の磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロール。
7.積層ポリエステルフィルムがデジタル記録方式の磁気テープ用ベースフィルムとして用いられる、上記1〜6のいずれかに記載の磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロール。
本発明によれば、以下に説明するとおり、15,000m、さらには25,000mを超えるような長尺フィルムロール製品であっても蒸着工程における真空脱気時、あるいは蒸着開始時の横ズレが少なく、磁気テープを優れた加工適性で生産性良く製造することが可能な磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロールを得ることができる。
本発明で用いられる積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルから構成される。本発明において、ポリエステルとは、ジオールとジカルボン酸とから縮合重合によって得られるポリマーである。さらに、ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等で代表されるものであり、またジオールは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等で代表されるものである。このようなポリエステルの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレート)等を使用することができる。
もちろん、これらのポリエステルは、ホモポリエステルであっても、コポリエステルであってもよく、コポリエステルの共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分を用いることもできる。
本発明に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートが強度、耐熱性、耐水性および耐薬品性等に優れているため、特に好ましく用いられる。
また、上記ポリエステルの固有粘度は特に限定されないが、25℃のオルトクロロフェノール中で測定したときに0.4〜1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜1.0dl/g、さらには0.5〜0.8dl/gの範囲内であるものが、好適に使用できる。
また、得られるポリエステルの色調や耐熱性を向上させる目的で、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、スズ化合物等を含有していてもよい。
さらに、本発明の目的を阻害しない範囲内で、着色防止剤、安定剤、抗酸化剤、耐光剤、耐候剤、充填剤、核剤、分散剤、カップリング剤等の添加剤を含有しても差支えない。
本発明で用いられる積層ポリエステルフィルムは、少なくとも2層の層構成を有し、一方の面を構成する層(A層)の中心線平均表面粗さRaと、他方の面を構成する層(B層)の中心線平均表面粗さRaとの比Ra/Raが0.05〜0.7であることが重要である。
すなわち、一方の面(A層側)を相対的に平滑な磁性層加工面とし、他方の面(B層側)を相対的に粗い走行面とすることは、製膜・加工時のフィルム搬送性、加工後の磁気テープ特性とテープ搬送性を両立せしめるため、好ましい構成である。比Ra/Raが上記範囲外の場合にはフィルムや磁気テープの搬送性、および磁気テープ特性が低下しやすい。また、比Ra/Raのより好ましい範囲は0.1〜0.6であり、さらには0.2〜0.55であることが好ましい。
本発明におけるRa、Raの好ましい範囲は各々0.7〜7nm、2〜20nmであって、より好ましくは各々1〜5nm、3〜15nmである。なお、中心線平均表面粗さについて、後述の易滑層がフィルム表面に積層されている場合は、易滑層表面を測定した値を意味する。
なお、本発明において2層以上の積層体とする方法としては、溶融製膜中の共押出により複合化する方法、あるいはそれぞれ別々に製膜した後、ラミネートする方法のいずれでもよいが、コストなどの点で前者の方法がより好ましい。
本発明は上記積層ポリエステルフィルムを円筒状のコアに巻き付けたフィルムロールに関するが、該ポリエステルフィルムロールは表層シワが下記式(1)〜(4)を満足している。
(1)表層シワの総幅がフィルム幅の0.5〜15%
(2)表層シワの発生長さがフィルムロールの表面から30〜500m
(3)1本あたりの表層シワの高さが0.05〜3mm
(4)幅方向での表層シワの本数が1〜10本/1,000mm
表層シワが上記(1)〜(4)を満足することによって、15,000mを超えるような長尺フィルムロール製品とし、蒸着加工工程を高速化した場合にも、蒸着前の真空脱気時、あるいは蒸着開始時、さらには蒸着終わりまでフィルムのズレやマヨイのない安定状態を保つことができ、磁気テープを優れた加工適性で製造することができる。
上記各要件が各々上限を超えた場合、すなわち表層シワの総幅がフィルム幅の15%より大きい場合、表層シワの発生長さがフィルムロールの表面から500mより長い場合、1本当たりの表層シワの高さが3mmより大きい場合、幅方向での表層シワの本数が10本/1,000mmより多い場合、特に蒸着開始部分の磁気テープの出力特性が低下しやすい。一方、上記各要件が各々下限より小さい場合、すなわち表層シワの総幅がフィルム幅の0.5%より小さい場合、表層シワの発生長さがフィルムロールの表面から30mより短い場合、1本当たりの表層シワの高さが0.05mmより小さい場合、幅方向での表層シワの本数が1本/1,000mmより少ない場合、蒸着加工工程を高速化した場合に、蒸着前の真空脱気時、あるいは蒸着開始時にフィルムのズレやマヨイが発生しやすく、安定状態を保つことが困難となる。
上記各要件の好ましい範囲は、表層シワの総幅がフィルム幅の1〜12%、さらには1.5〜10%である。また、表層シワの発生長さがフィルムロールの表面から40〜400m、さらには50〜350mである。また、1本当たりの表層シワの高さが0.1〜2mm、さらには0.2〜1.5mmである。また、幅方向での表層シワの本数が1〜8本/1,000mm、さらには2〜6本/1,000mmである。
本発明のフィルムロールを形成する積層ポリエステルフィルムの幅は500〜1,000mmが好ましく、より好ましくは600〜850mmである。また、また、積層ポリエステルフィルムの巻き長さは15,000〜50,000mの範囲内であることが好ましく、より好ましくは18,000〜40,000mである。製品幅が500mm未満、あるいは巻き長さが15,000m未満の場合、蒸着磁気記録媒体用に加工する際の磁気テープ採取効率を上げることが困難となりやすい。一方、製品幅が1,000mmより広い場合、フィルムロールに内在するエアを排除しにくくなり、結果として真空脱気に長時間かかり蒸着加工工程の効率が低下するか、あるいは磁気テープ特性の出力特性が低下しやすい。また、巻き長さが50,000mより長い場合、蒸着加工工程を高速化した場合に、蒸着前の真空脱気時、あるいは蒸着開始時にフィルムのズレやマヨイが発生しやすく、安定状態を保つことが困難となる。
A層とB層の厚み比率は、B層を基準として2/1〜30/1が好ましく、より好ましくは3/1〜25/1である。厚み比率がこの範囲から外れた場合には、フィルムや磁気テープの搬送性、磁気テープ特性あるいはコスト低減効果が低下しやすい。
積層フィルムの全厚みは、特に限定されないが、通常3〜12μm、より好ましくは4〜10μm、さらには4〜8μmの範囲にあることが、製膜性、寸法安定性、実用面での取扱性などの点で好ましい。B層の厚みの好ましい範囲は130〜1,400nm、さらには150〜1,200nmがより好ましい。130nm未満の場合、特に後述する不活性粒子βが脱落しやすくなり、脱落粒子がA層側に転写して磁気テープ特性が低下しやすい。一方、1,400nmを超える場合には、B層の表面が粗くなりすぎて、磁性層を蒸着加工後にロール状で放置した際にB層の外側表面形状が磁性層面側に転写、表面うねり状となって磁気テープ特性が低下しやすい。
また、本発明で用いる積層ポリエステルフィルムは、B層が不活性粒子α、βを含有しており、不活性粒子α、βの平均粒子径dα、dβの差(dβ−dα)が300〜1,000nm、B層表面の不活性粒子βに由来する突起個数Nβが3×10〜4×10個/mmであることが好ましい。なお、dβ>dαである。走行面側をこのような構成とすることにより、フィルムロールに内在するエアを均一に排除することができ、蒸着加工時の巻出状態の安定性を確保しやすい。また、詳細は後述するが、フィルムロールを巻き取るスリット条件を特定の範囲内としたとき、上記(1)〜(4)を満足させやすく、かつ表層シワ以外の巻姿を良好に保つことが容易である。(dβ−dα)が300nm未満、Nβが3×10個/mm未満では、蒸着加工時の巻出状態が不安定になってテープ生産性および磁気テープ特性が低下しやすい。一方、(dβ−dα)が1,000nmより大きく、Nβが4×10個/mmより多い場合には、磁性層を蒸着加工後にロール状で放置した際にB層の外側表面形状が磁性層面側に転写、表面うねり状となって磁気テープ特性が低下しやすい。
上記特性の好ましい範囲を順に述べると、dβ−dαは320〜900nm、さらには350〜800nmが好ましく、Nβは4×10〜3.5×10個/mm、さらには5×10〜3×10個/mmが好ましい。
本発明においては、不活性粒子βの平均粒子径dβとB層の積層厚みTとの比率dβ/Tが0.5〜3.2であることが好ましく、より好ましくは0.55〜2.5、最も好ましくは0.6〜2.0である。dβ/Tが0.5未満の場合には、蒸着加工時の巻出状態が不安定になってテープ生産性および磁気テープ特性が低下しやすい。一方、dβ/Tが3.2より大きい場合には、不活性粒子βが脱落しやすくなり、脱落粒子がA層側に転写して磁気テープ特性が低下しやすい。
また、本発明においては、不活性粒子αの平均粒子径dαとB層の積層厚みTとの比率dα/Tが0.2〜2であることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.7、最も好ましくは0.35〜1.3である。dα/Tが0.2未満の場合、フィルムロール製品の巻き形状の安定性、磁気テープ特性が低下しやすい。一方、dα/Tが2より大きい場合には、不活性粒子αが脱落しやすくなり、脱落粒子がA層側に転写して磁気テープ特性が低下しやすい。
本発明においては、上記の表面粗さおよび突起個数を実現するため、B層に不活性粒子α、βを含有せしめる場合、その平均粒子径およびB層中の含有量の好ましい範囲については次の通りである。
不活性粒子α:平均粒子径は150nm以上400nm未満が好ましく、より好ましくは180〜380nm、さらに好ましくは200〜350nmである。B層中の含有量は0.4〜2.0重量%が好ましく、より好ましくは0.42〜1.5重量%、さらに好ましく0.42〜1.0重量%である。
不活性粒子β:平均粒子径は400nm以上1,200nm未満が好ましく、より好ましくは420〜1,000nm、さらに好ましくは420〜900nmである。B層中の含有量は0.01〜0.3重量%が好ましく、さら好ましくは0.02〜0.2重量%、さらに好ましく0.03〜0.0.1重量%である。
平均粒子径および含有量がいずれも上記範囲の下限未満の場合、B層の外側表面が平滑すぎてロール内エア排除が阻害され、蒸着加工時の巻出状態が不安定になってテープ生産性および磁気テープ特性が低下しやすい。またフィルムやテープ搬送性が低下し、ハンドリング性が低下しやすい。一方、平均粒子径および含有量がいずれも上記範囲の上限を超える場合には、逆に粗くなりすぎて、磁性層を蒸着加工後にロール状で放置した際にB層の外側表面形状が磁性層面側に転写、表面うねり状となって磁気テープ特性が低下しやすい。
不活性粒子α、βとして使用される粒子の好ましい例としては、無機系ではシリカ、コロイダルシリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ−アルミナ複合体など、有機系では、架橋ポリスチレン、ポリアクリル、架橋ジビニルベンゼン、架橋シリコーンの単独重合体もしくは共重合体などを用いることができる。上記のうちでは、磁性層を蒸着加工後にロール状で放置した際の磁性層面側への影響の点で有機系粒子が好ましく、架橋ポリスチレン、架橋ジビニルベンゼン、架橋シリコーンの単独重合体もしくは共重合体が特に好ましいものである。無機系粒子としてはシリカ、アルミナが粒子添加時の調整のし易さの点で好ましく使用できる。なお、シリカは球状が好ましい。アルミナには結晶形によりα形、β形、γ形、θ形の各種が存在するが、いずれを用いてもよい。また、B層中には本発明の目的を阻害しない範囲内で前記不活性粒子より更に細かい別種の粒子を含有せしめてもよい。なお、不活性粒子α、βは同種、異種のいずれであってもよいが、両者とも有機系である場合が特に好ましい。
本発明においてはA層/B層の積層フィルムとした場合、B層の外側表面に易滑被覆層Dが1〜10nm、好ましくは2〜8nmの厚みで設けられていることが好ましい。易滑被覆層Dの厚みが1nm未満であると、強磁性金属薄膜の磁性層蒸着加工時に、ベースフィルム材料の熱分解物が析出しやすくなり、この熱分解物が冷却キャンや工程中の搬送ロールに付着し、これが冷却効率の低下を引き起こしたり、蒸着磁性層に転写することによって磁気テープ特性が低下しやすくなる。一方、厚みが10nmを超える場合、製膜・蒸着加工時に冷却キャン、搬送ロールによって易滑被覆層の削れ、剥がれが起こりやすくなり、これが磁性面側に転写して磁気テープ特性が低下しやすくなる。
易滑被覆層Dは、冷却キャン、搬送ロールとの間で易滑性であって削られにくく、かつ、フィルムからの分解物を通さない機能を有するものが好ましく、水溶性高分子及び/又は水分散性高分子を含んでいることが好ましい。特に、水溶性高分子及び/又は水分散性高分子にシリコーン及びシランカップリング剤が加えられて成ることが好ましい。易滑被覆層Dに用いられる水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、トラガントゴム、アラビアゴム、カゼイン、あるいはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリエステルエーテル共重合体、水溶性ポリエステル共重合体等が使用できる。また、水分散性高分子のエマルジョンとしては、ポリメタクリル酸メチルエマルジョン、ポリアクリル酸エステルエマルジョン等が使用できる。なかでも、セルロース誘導体と水溶性ポリエステル共重合体の高分子ブレンド体が特に好ましい。水溶性ポリエステル共重合体としては、ジカルボン酸成分とグリコール成分が重縮合したポリエステルであって、例えばスルホン酸基を有するジカルボン酸成分のような機能性酸成分を全カルボン酸成分の5モル%以上共重合せしめること、及び/又は、グリコール成分としてポリアルキレンエーテルグリコール成分を2〜70モル%共重合せしめることによって水溶性を付与したものが好ましいが、これらに限定されるものではない。スルホン酸基を有するジカルボン酸としては、好ましくは5−スルホイソフタル酸、2−スルホテレフタル酸などや、それらの金属塩、ホスホニウム塩などが使用でき、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が特に好ましい。5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合せしめる際の他のジカルボン酸成分としてはイソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、トリメリット酸などが好ましく、グリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオールなどが好ましい。セルロース誘導体はポリエステル分解物が析出することを防ぐために寄与し、水溶性ポリエステル共重合体はセルロース誘導体とポリエステルフィルム表面との接着性を増大させるために寄与する。なお、水溶性ポリエステル共重合体のガラス転移点は40℃以上、さらには50℃以上であることが好ましい。フィルム製膜工程、あるいは磁性層加工工程ともにフィルムは熱を受けるため、ガラス転移点が40℃未満の樹脂を用いた場合には易滑被覆層Dによってフィルムが工程内の搬送ロールに貼り付きやすく、かえってシワ発生などの原因になることがある。
シリコーンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリプロピルジメチル[γ−(β−アミノエチルアミノ)]シロキサン、ポリプロピルメチルジメチル{3−[2−(アミノエチル)アミノ]}シロキサン、ポリプロピルメチルジメチルヒドロキシ{3−[2−(アミノエチル)アミノ]}シロキサン、ポリプロピルエチルメチル[N−(アミノプロピル)イミノエチル]シロキサン等のシロキサン結合を分子骨格にもつ有機ケイ素化合物が共有結合で多数つながった重合体が使用できる。シリコーンにより易滑被覆層D表面の易滑性が向上し、冷却キャン、搬送ロールによる耐削れ性が確保され、同時にフィルム搬送性も向上する。またフィルムをロール状に巻き取ったときフィルム間でのブロッキングが防止される。なお、フッ素系化合物を易滑剤として用いてもよい。
シランカップリング剤としては、その分子中に2個以上の異なった反応基をもつ有機ケイ素単量体が用いられ、その反応基の一つはメトキシ基、エトキシ基、シラノール基などであり、もう一つの反応基はビニル基、エポキシ基、メタアクリル基、アミノ基、メルカプト基などである。反応基としては水溶性高分子の側鎖、末端基およびポリエステルと結合するものが選ばれるが、シランカップリング剤としてビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4エピキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が適用できる。シランカップリング剤はシリコーンが易滑被覆層Dより遊離することを防ぐために寄与し、さらに、易滑被覆層Dとフィルムとの接着性を向上させるためにも寄与する。
易滑被覆層Dの削れ抑止のためには、易滑被覆層D中には微細粒子が実質的に存在しないことが好ましい。ただし、本発明を阻害せず、易滑被覆層Dを強化する目的で易滑被覆層Dの厚み以下の粒子径を有する微細粒子を補強材として用いることは許容される。
本発明においては積層フィルムとした場合、不活性粒子の添加は走行面側のB層に対しては好ましいが、磁性層加工面側のA層中には実質的に不活性粒子を含有していないことが好ましく、同時にA層の外側表面に粒子を含有した易滑被覆層Cを設けることが、フィルム間でのブロッキング防止効果と磁気テープ特性とを両立でき、さらにはA層側の表面粗さを本発明の範囲内とするため好ましい態様である。該粒子としては、平均粒子径3〜200nmさらには5〜70nm、さらには7〜40nmのものを用いることが好ましく、易滑被覆層中の含有量は0.005〜0.4重量%、さらには0.007〜0.2重量%であることが好ましい。また、フィルム表面における存在密度としては5×10〜5×10個/mmさらには1×10〜1×10個/mmであることが好ましい。平均粒径が3nmより小さい場合あるいは含有量が0.005重量%より少ない場合にはブロッキング防止効果が低下したり、あるいは粒子同士の凝集が生じやすくなって、粒子の脱落や必要以上の粗大突起の形成を引き起こすことがあり、200nmより大きい場合あるいは0.4重量%より多い場合には磁気テープ特性が低下しやすい。また、存在密度については5×10個/mm未満では、粒子同士の間隔が広くなりすぎて実質的なブロッキング防止効果が薄れやすく、一方、5×10個/mmより多い場合には、凝集によって粒子の脱落や必要以上の大きさの突起形成を引き起こしやすい。また、易滑被覆層Cの厚みは2〜20nm、さらには4〜15nmであることが好ましい。厚みが2nm未満であると、粒子が脱落しやすくなり、冷却キャンや工程中の搬送ロールに付着し、これが冷却効率の低下を引き起こしたり、蒸着磁性層に転写することによって磁気テープ特性が低下しやすくなる。また、フィルムや磁気テープ搬送性も低下しやすい。一方、厚みが20nmを超える場合、磁性層加工面側であるA層の表面粗さが大きくなり、磁気テープ特性が低下しやすくなる。
易滑被覆層C中に使用される粒子としては、ポリアクリル酸、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、シリコーン、ポリエポキシ、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン/プロピレン、架橋ジビニルベンゼン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル酸アミド、アクリル−スチレン、スチレン−ブタジエンなどの単独または共重合体、あるいはこれらの各種変成体などの有機系粒子、炭酸カルシウム、二酸化珪素、アルミナ等の無機系粒子、あるいは上記無機系粒子を核として、有機高分子で被覆した複合粒子が使用できる。有機系粒子としては末端基がエポキシ、アミン、カルボン酸、水酸基等で変成された自己架橋性のものも好ましい。上記のうち、耐久性、耐熱性の点で、有機系粒子としてはポリスチレン、架橋ジビニルベンゼン、シリコーンが好ましく、無機系粒子(無機粒子)としては二酸化珪素が好ましい。コスト的観点も合わせると二酸化珪素が好ましく、球形シリカ、コロイダルシリカ等が特に好ましい。また、粒子の球形比は1.0〜1.3であることが好ましい。
易滑被膜層C中にバインダーとして樹脂を使用する場合、易滑被覆層Cに用いる水溶性高分子及び/又は水分散性高分子を用いることが好ましく、その一例としては、ポリビニルアルコール、トラガントゴム、カゼイン、ゼラチン、セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、アクリル−ポリエステル樹脂、イソフタル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂等が使用でき、好ましくはこれらいずれかを併用することが好ましい。
本発明における、易滑被覆層C、Dの形成方法は、易滑被覆層形成塗液をフィルムに塗布、乾燥して設ける方法が好ましい。易滑被覆層形成塗液の塗布方法としては、例えば、リバース(ロール)コート、グラビアコート、ナイフコート、エアーナイフコート、ロールコート、ブレードコート、ビードコート、回転スクリーンコート、スロットオリフィスコート、ロッドコート、バーコート、ダイコート、スプレーコート、カーテンコート、ダイスロットコート、チャンプレックスコート、ブラシコート、ツーコート、メータリングブレード式のサイズプレスコート、ビルブレードコート、ショートドウェルコート、ゲートロールコート、グラビアリバースコート、エクストルージョンコート、押出コートなどの方法を用いることができる。
また、易滑被覆層形成塗液の塗布工程としては、フィルムの製膜工程内で塗布する方法(インラインコート)、製膜後のフィルム上に塗布、乾燥する方法(オフラインコート)のいずれの方法であってもよいが、均一塗布、薄膜塗布および経済性等の点で、インラインコートがより優れた方法である。さらに、インラインコートでは、ポリエステルフィルムを例に挙げれば、ポリエステルフィルムの配向、結晶化が完了する以前に塗布を行うことが好ましく、例えば逐次二軸延伸製膜工程では、縦延伸後のフィルムに塗布し、横延伸、熱固定を経る間に、易滑層とフィルム本体との密着向上を得る方法が一般的である。また、コート前のフィルムには塗布性改良を目的として、予めその表面にコロナ放電処理、プラズマ処理などの前処理を施しておくことも可能である。
また、該易滑被覆層形成塗液の液媒体は水系、溶剤系あるいは両者混合系のいずれの液媒体でもよいが、インラインコート法による場合には、取扱性や防爆などの安全性の点で水系または水を主体とした両者混合系の液媒体が好ましく用いられる。また、塗液には、フィルムへの濡れ性を向上させるために界面活性剤(アニオン型、ノニオン型)を添加してもよい。
次に、本発明の熱可塑性樹脂フィルムロールの製造方法を積層フィルムとした場合の一例によって説明する。なお、積層フィルムを構成する熱可塑性樹脂としてポリエステルを使用した場合の一例により説明する。
本発明で用いられるポリエステル原料は、通常用いられる種々のエステル化反応、エステル交換反応およびそれに引き続く重縮合反応により製造することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートは、通常テレフタル酸またはジメチルテレフタレートとエチレングリコールとを、エステル化またはエステル交換せしめ、しかる後減圧下に重縮合せしめる方法で製造できる。ここで、触媒として、例えば、マンガン、マグネシウム、カルシウム、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、コバルトなどの元素を含む化合物やリン化合物などを使用することができる。また、安定剤、顔料、染料、核剤、充填剤などを使用してもよい。
かくして得られたポリエステルを、シートカット法、ストランドカット法などにより粒子状(チップ形状)に成形する。チップの形状は任意でよいが、あまりに小さすぎて微粉末状となったものは熱処理工程やその後の成形工程(特に押出工程)でのトラブルの原因となる。また形状が大きい場合には、環状化合物を減少させる意味では特に問題にはならないが、操作性の点からは問題が生じやすい。これらの観点から、ポリエステルチップの大きさは、等価球直径で1mm〜50mmが好ましく、より好ましくは2mm〜20mmである。なお、ここで等価球直径とは粒子と同じ体積を有する球の直径である。
磁性層加工面側のA層形成のため、乾燥したポリエステルのチップを押出機Aに供給し、走行面側のB層形成のためポリエステルのチップと平均粒子径150nm以上400nm未満の不活性粒子α、平均粒子径400nm以上1,200nm未満の不活性粒子βのマスターチップとを、不活性粒子αが0.4〜2.0重量%、不活性粒子βが0.01〜0.3重量%となるように混合したものを押出機Bに供給し、溶融してTダイ複合口金内に導入して口金内でA層/B層の2層に積層されるよう合流せしめた後、シート状に共押出して溶融積層シートとする。A層/B層の厚み比率は2/1〜30/1が好ましい。
この溶融積層シートを、表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製する。該未延伸フィルムを70〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に2〜5倍延伸し、20〜30℃のロール群で冷却する。
続いて長手方向に延伸した積層フィルム表面にそのまま、あるいは必要に応じてコロナ放電処理を施した後、易滑被覆層形成塗液を塗布する。このときA層側に易滑被覆層C、B層側に易滑被覆層Dが設けられるように塗布する。このとき易滑被覆層C中には平均粒径3〜200nmの無機粒子を0.005〜0.4重量%含有せしめる。この易滑被覆層形成塗液を塗布された積層フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き90〜150℃に加熱した雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に2〜5倍に延伸する。
延伸倍率は、縦、横それぞれ2〜5倍とすることが好ましいが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は6〜20倍であることが好ましい。面積倍率が6倍未満であると得られるフィルム強度が不十分となり、逆に面積倍率が20倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
このようにして得られた二軸延伸積層フィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて150〜230℃で1〜30秒間の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取ることにより、本発明の積層フィルムを得ることができる。なお、上記熱処理工程中では、必要に応じて横方向あるいは縦方向に1〜12%の弛緩処理(リラックス)を施してもよい。また、二軸延伸は上述の逐次延伸の他に同時二軸延伸でもよく、同時二軸延伸の場合のインラインコートは、溶融シートをドラム上に密着冷却固化した未延伸フィルム表面に必要に応じてコロナ放電処理を施した後、易滑層形成塗液を塗布し、延伸すればよい。また二軸延伸後に縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。
このようにして得た二軸延伸積層ポリエステルフィルムを中間製品として、スリッターを用いて製品幅にスリットし、円筒状コアに巻き付けることで本発明の磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロールが得られる。フィルムロールのフィルム幅は500〜1,000mmが好ましく、巻き長さは15,000〜50,000mが好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムロールを得るためには、スリット条件を例えば下記の範囲内とすることが特に好ましい。
(I)スリット巻き取りのパターンは基本として、巻き始めから巻き終わりの順に、増速部(a1)、定速部(b1)、減速部(c1)、定速部(b2)、減速部(c2)のように構成することが好ましい(パターン1:図1)。このうち定速部(b1)(定常巻き取り部)の巻き取り速度は80〜450m/minが好ましく、さらには100〜400m/minがより好ましく、定速部(b2)(低速巻き取り部)の巻き取り速度は1〜80m/minが好ましく、さらには1.5〜60m/minがより好ましい。また、両者の速度の比率(定速部(b2)/定速部(b1))は0.005〜0.2であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1である。各定速部の速度の比率が上記範囲外の場合、表層シワを式(1)〜(4)の範囲内とすることが困難となる。また、減速部(c1)あるいは定速部(b2)の途中で再度増速部を設けることが、表層シワを式(1)〜(4)の範囲内としやすくする点からより好ましい。すなわち、巻き始めから巻き終わりの順に、増速部(a1)、定速部(b1)、減速部(c1)、増速部(a2)、減速部(c2)、定速部(b2)、減速部(c3)(パターン2:図2)とするか、増速部(a1)、定速部(b1)、減速部(c1)、定速部(b2)、増速部(a2)、減速部(c2)(パターン3:図3)とすることが好ましい。再度増速部を設けることについては、2区間以上で複数設けてもよく、減速部(c1)の区間にのみ、あるいは定速部(b2)の区間にのみ設けても、あるいは減速部(c1)、定速部(b2)の両区間に設けてもよい。両区間に設ける例として、増速部(a1)、定速部(b1)、減速部(c1)、増速部(a2)、減速部(c2)、定速部(b2)、増速部(a3)、減速部(c3)(パターン4:図4)とすることが好ましい。増速部(a1、a2、a3)についての増速度、減速部(c1、c2、c3)についての減速度は2〜10m/min/s(sはsecを表す)とすることが好ましく、より好ましくは3〜8m/min/sである。各増速部の増速度、各減速部の減速度は同一であっても異なっていてもよい。
(II)張力は10N/m〜45N/mが好ましく、さらに好ましくは15N/m〜35N/mである。また、面圧は100N/m〜400N/mが好ましく、さらに好ましくは150N/m〜350N/mである。張力が10N/mより小さいか、面圧が100N/mより小さい場合、フィルムロールが多量のエアを内在しやすく、巻き取り直後の時点でフィルムロール巻姿がズレやマヨイを起こしやすく、結果として蒸着前の真空脱気時、あるいは蒸着開始から蒸着終わりまでの間にフィルムのズレやマヨイが発生しやすい。一方、張力が45N/mより大きいか、面圧が400N/mより大きい場合、スリット巻き取り始めからシワが入りやすく、あるいはフィルムロール巻き芯部(蒸着加工工程の終わり部)相当での磁気テープ特性が低下しやすい。
上記のような製造条件によって積層ポリエステルフィルムロールの表層シワを式(1)〜(4)を満足せしめることが可能となり、現在要求されている巻き長さ15,000m以上、さらには25,000m以上、さらには究極の目標である30,000〜50,000mクラスのフィルムロールを高速での蒸着工程における真空脱気時、あるいは蒸着開始時の横ズレが少なく、安定した加工特性を実現できる。
式(1)〜(4)を満足させるためには、上記の各製造条件を採用することが重要であるが、より詳細には次のような傾向にある。すなわち、スリット巻き取りパターンをパターン2、3、4とすること、特にパターン2あるいはパターン4とすることで、式(1)〜(4)の各範囲の上限寄りの値に制御しやすくなる。逆にパターン1では各範囲の下限寄りの値に制御が可能である。式(1)〜(4)の各要件については、個別には、(1)の表層シワの総幅については、増速部2の増速度が大きく、減速部2の減速度が小さいほど総幅が大きくなりやすい。(2)の表層シワの発生長さについては、定速部の速度の比率(定速部(b2)/定速部(b1))が大きいほど発生長さが長くなりやすい。(3)の表層シワの高さについては、張力、面圧が大きいほど高くなりやすい。(4)の表層シワの本数については、張力、面圧が大きいほど多くなりやすい。
本発明の磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロールは、特に蒸着磁気記録媒体としての特性、並びに蒸着磁気記録媒体への加工性が良好であり、該用途のベース基材として好適に使用することができるが、蒸着型だけでなく、塗布型磁気記録媒体用のベース基材としても好適に利用可能である。
具体的に好ましい用途としては、民生用、業務用を問わず、デジタルビデオカセット、データストレージ、DLT、LTO、デジタルAIT、AITターボ等のデジタルデータ記録方式の磁気テープ用ベースフィルムに好適に用いられ、特に、記録層としてコバルト等の強磁性金属薄膜を蒸着形成せしめた、デジタルビデオカセットテープ用のベース基材として最も好ましく用いられる。
本発明の実施例で用いた評価方法、評価基準は以下のとおりである。
(1)ポリマーの固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(2)粒子(不活性粒子)の平均粒子径
顕微鏡試験台上に使用する粒子(不活性粒子)を、この粒子ができるだけ重ならないように散在せしめ、透過型電子顕微鏡(TEM)により粒子径に応じて以下の倍率で観察し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値をもって平均粒子径とした。
(不活性粒子の粒子径)
1,000nm以上:5万倍
500nm以上1,000nm未満:10万倍
300nm以上500nm未満:20万倍
300nm未満:30万倍
(3)B層表面の不活性粒子βに由来する突起個数Nβ
積層フィルムを10×10cmに切り出し、その層A側を黒マジックで塗りつぶし、層B側を上面にして、(株)キーエンス製表面形状測定顕微鏡(測定部VF−7510、コントローラVF−7500)を用いて1,000倍で観察し、任意に選択した100視野での平均値から単位面積当たり(1mm)の突起個数を求めた。
(4)A層、B層、易滑被覆層C、Dの厚み
積層フィルムの小片を樹脂または氷で固定し、ミクロトームを用いてフィルム長手方向に平行に切断した超薄切片を作製した。この超薄切片を、TEMにより厚みに応じて以下の倍率で観察し、A層、B層、易滑被覆層C、Dの厚みの厚みを求めた。なお、両厚みの測定は任意に場所を変えて計10箇所の平均値から求めた。
(A層の厚み)
12μm以上:5,000倍
8μm以上12μm未満:1万倍
5μm以上8μm未満:2万倍
3μm以上5μm未満:3万倍
3μm未満:5万倍
(B層の厚み)
1,000nm以上:5万倍
500nm以上1,000nm未満:10万倍
300nm以上500nm未満:20万倍
300nm未満:30万倍
(易滑被覆層C、Dの厚み)
10nm以上:100万倍
5nm以上10nm未満:200万倍
5nm未満:500万倍
(5)易滑被覆層C中の粒子の平均粒子径、存在密度
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてフィルムの易滑被覆層C積層面を任意の箇所について易滑被覆層C中の粒子の平均粒子径に応じて以下の倍率で撮影したSEM写真から、任意に選んだ計100個の微細粒子について粒子ごとに最大径と最小径を測定し、個々の粒子の粒径を最大径と最小径の平均として求めた。さらに、それら測定対象とした粒子の粒径の平均値を算出して平均粒径とした。また、存在密度については易滑被覆層C中の粒子の平均粒子径に応じて以下の倍率で任意の箇所を5枚撮影したSEM写真から、1枚当たりの粒子の個数を数え、写真5枚での平均値から単位面積当たりの粒子数を算出して存在密度とした。
(平均粒子径)
25nm以上50nm未満:30万倍
15nm以上25nm未満:50万倍
15nm未満:100万倍
(存在密度)
25nm以上50nm未満:1万倍
15nm以上25nm未満:3万倍
8nm以上15nm未満:5万倍
8nm未満:10万倍
(6)フィルム表面粗さ(中心線平均表面粗さRa)
セイコーインスツルメンツ(株)製卓上プローブ顕微鏡“ナノピクス”(測定ヘッドNPX100[NPX1MAP001]およびコントローラNanopics1000[NPX1EBP001])を用いて測定した。なお、測定面積は、A層(磁性層加工面)側は40μm角、B層(走行面)側は100μm角とした。その他の測定条件は次のとおりである。
スキャン速度:380sec/FRAME
スキャン回数:512本
振幅度合い:磁性層加工面側はLLモード、走行面側はHHモード
(7)フィルムの総厚み
ダイヤルゲージを用いて、10枚重ねたフィルムの厚みΣH(μm)を求め、ΣHに0.1を乗じた値をフィルムの全厚みH(μm)とした。
(8)表層シワ
フィルムロールのスリット巻き上がり後、5時間経過時の表層シワを以下の通り評価した。なお、同一の原料処方、製膜条件、スリット条件でフィルムロールを10本採取し、各々について総幅、高さ、本数を評価した後、任意の5本を選んで発生長さを評価した。さらに残り5本について蒸着加工適正と磁気テープ特性を評価した。
(8−1)総幅のフィルム幅に対する割合
メジャーを用いてフィルムロール幅方向での表層シワ発生部の幅D(mm)を測定した。表層シワが複数発生している場合はその合計を総幅ΣD(mm)を求め、フィルムロール幅をM(mm)としたとき、表層シワのフィルム幅に対する割合をΣD/M×100(%)として求めた。
(8−2)発生長さ
フィルムロール表層部を表層シワが消えるまでカットするか、手めくりして除去する。除去部分のフィルム重量W(kg)を測定し、フィルム全厚みH(μm)、フィルム幅M(mm)と下記式より表層シワの発生長さL(m)を求めた。
L=(1,000×W)/(1.4×H×M)
(8−3)高さ
ロール径の幅方向(フィルム横方向)の変位プロファイルを、原反形状測定器(キタノ企画社製)を用いて測定した。該測定器に付属の検出器であるリニアゲージ(LGB−100)を製品ロールの表面に接触させ、専用のレール上を速度12.5mm/secで走行させ、製品ロールの両端部より幅方向に通過させた(ここでいう(両)端部とはロール端部より5mm内側に入った箇所を示す)。検出部が検知したロール径の変化は、D/A変換ユニット(LG−DA1)およびリニアゲージカンター(LG−S1)を介して出力させ、チャートレコーダーにチャート速度200mm/minで記録した。得られたチャートから表層シワのない部分をベースラインとし、表層シワに該当する部分の変化量を読み取って表層シワ高さを求めた。なお、表層シワが凸形状の場合はベースラインからの最大高さまでの垂直方向距離(図5参照)、凹み形状の場合はベースラインからの最大深さまでの垂直方向距離(図6参照)を読み取って表層シワ高さとする。ただし、表層シワの中央が凸で両端が凹み、あるいは中央が凹みで両端が凸の複合形状の場合、前者は両端の凹みを結んだベースラインから中央凸の最大高さまでの垂直方向距離(図7参照)、後者は両端の凸を結んだベースラインからを中央凹みの最大深さまでの垂直方向距離(図8参照)を読み取って表層シワ高さとする。
(8−4)本数
フィルムロール円周方向(フィルム長手方向)で完全に連続あるいは非連続でも隣り合う距離が円周方向に100mm以下、幅方向に50mm以下かつ表層シワの総長さがフィルムロール円周長さの60%以上の場合は連続した表層シワと見なし、これを表層シワ1本として、フィルムロール表面上での幅方向の表層シワの総本数nを数え上げ、フィルム幅M(mm)から幅1,000mm当たりの本数Nとして下記式より算出した。
N=n/M×1,000
(9)蒸着加工適性
蒸着工程における真空脱気時、及び蒸着開始時のズレ、マヨイを以下の通り評価した。
(9−1)真空脱気時
蒸着機にフィルムロールを設置し、低速排気(排気開始より45分間で減圧度2×10−2Paに到達)および高速排気(排気開始より15分間で2×10−2Paに到達)で真空脱気を行った際のズレ、マヨイの状態を観察し、以下4段階の判定基準で判定した。◎または○を合格とした。フィルムロール5本使用したうち、最も判定の悪かったものを代表結果とした。
ズレ、マヨイとも無し :◎
ズレまたはマヨイの幅が10mm未満 :○
ズレまたはマヨイの幅が10mm以上100mm未満 :△
ズレまたはマヨイの幅が100mm以上:×
ここで、ズレとはフィルムロールの幅方向いずれか一方向にフィルムの表層の一部が移動していること、マヨイとはフィルムロールの幅方向両方にフィルムの表層の一部が移動していることを表す。フィルムロール5本使用したうち、最も判定の悪かったものを代表結果とした。
(9−2)蒸着開始時
蒸着加工工程での真空脱気後、蒸着開始における低加速(1m/min/sec)および高加速(8m/min/sec)でのフィルムロール搬送開始状態を観察し、以下4段階の判定基準で判定した。◎または○を合格とした。
ズレ、マヨイとも無し :◎
ズレまたはマヨイの幅が10mm未満 :○
ズレまたはマヨイの幅が10mm以上100mm未満 :△
ズレまたはマヨイの幅が100mm以上:×
(10)磁気テープ特性
後述の方法でフィルムロールより磁気テープ(DVCテープ)を作成した。このとき蒸着加工工程は高速排気、高加速の条件とした。市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダーのLPモードを用いて静かな室内で録画、再生し、ドロップアウト個数を求めることにより行った。ドロップアウト個数の測定は、実施例1に記載の方法で作製したDVCテープを市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダーで録画し、10分間の再生をして画面に現れたブロック状のモザイク個数を数えることによって行った。テープ製造後の初期特性を、フィルムロール表層相当部、フィルムロール巻芯相当部のドロップアウト(DO)個数を測定した。DO個数の少ない程、テープ特性が良い。なお、DO個数の測定は温度25℃、相対湿度65%の条件下にて行った。
(実施例1)
(1)ポリエステル原料の製造
原料としてテレフタル酸ジメチルを100重量部、エチレングリコールを64重量部計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。原料を仕込んだ後、装置内温度を150℃に加熱して内容物を溶解し撹拌した。次いで、撹拌しながら触媒として酢酸マグネシウム四水塩を0.06重量部、三酸化アンチモンを0.03重量部計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。
触媒を仕込んだ後、反応内容物の温度を150℃から235℃まで3時間かけて昇温してエステル交換反応を進め、生成するメタノールを反応装置から留出させた。
エステル交換反応が終了し、メタノールが留出しなくなった時点でトリメチルリン酸0.023重量部を添加した。
粒子スラリー添加10分後にエステル交換反応装置内の反応生成物を重合反応装置へ移行した。
重合装置内容物を撹拌しながら、その温度を120分かけて235℃から290℃まで昇温し、同時に120分かけて反応装置内の圧力を常圧から150Pa以下まで減圧した。
重合装置の撹拌トルクが所定の値に達した後、重合装置の撹拌を停止し、重合装置内に窒素ガスを送りこんで常圧に戻した。
重合装置底部のバルブを開け、装置内を窒素ガスで加圧しながらポリエステル樹脂をストランド状に押し出した。ストランドは水槽で冷却固化させ、カッターに導き、径約5mm長さ約7mmの円柱状のポリエチレンテレフタレート(以降、PETという)のチップを得た。このPETチップの等価球直径は6.4mm、固有粘度は0.63であった。
(2)ポリエステルフィルムの製造
A層を形成するため、上記(1)の方法で製造したPETチップを180℃で3時間乾燥した後、押出機Aに供給し、常法により285℃で溶融してTダイ複合口金に導入した。
一方、B層を形成するため、PETをベースに、さらに不活性粒子αとして平均粒子径340nmの架橋スチレン−ジビニルベンゼン粒子を0.43重量%、不活性粒子βとして平均粒子径830nmの架橋スチレン−ジビニルベンゼン粒子を0.035重量%含有させたチップ原料を180℃で3時間減圧乾燥した後に、押出機B側に供給し、常法により285℃で溶融して同様にTダイ複合口金に導入した。なお、架橋スチレン−ジビニルベンゼン粒子の製造および添加方法は以下の通りである。
(架橋スチレン−ジビニルベンゼンの製造および添加方法)
「高分子論文集」Vol.31,No.9(1974年9月発行)の第576〜586頁に記載の技術を参考にして製造した。
具体的には、スチレン30mlと、乳化剤として“エマルゲン”920(花王アトラス(株)製)1.36gおよび“プロノン”208(日本油脂(株)製)1.36gとを170mlの水に溶解し、重合開始剤として過硫酸カリウム136mgとチオ硫酸ナトリウム136mg、さらに過酸化ベンゾイル204mgを加え、35℃で48時間、窒素雰囲気下で反応させ、スチレンのシード粒子の水分散液を作製した。次いで、この水分散液100mlに、水45ml、ジビニルベンゼン20ml、スチレン10mlを加え“エマルゲン”920と“プロノン”208とをそれぞれ0.9gずつ加えて、70℃で20時間、窒素雰囲気中で反応させ、シード粒子中でスチレンとジビニルベンゼンとが架橋した、平均粒子径340nmの架橋スチレン−ジビニルベンゼンを含む水スラリーを得た。
一方、40℃で72時間反応させたスチレンのシード粒子の水分散液100mLに、水45ml、ジビニルベンゼン20ml、スチレン10mlを加え“エマルゲン”920と“プロノン”208とをそれぞれ0.9gずつ加えて、70℃で30時間、窒素雰囲気中で反応させ、シード粒子中でスチレンとジビニルベンゼンとが架橋した平均粒子径830nmの架橋スチレン−ジビニルベンゼンを含む水スラリーを得た。
ベント付き二軸混練機に、PETチップおよび各々の平均粒子径の架橋スチレン−ジビニルベンゼンの水スラリーが所定の粒子組成となるよう添加せしめて得た架橋スチレン−ジビニルベンゼン含有PETチップ原料を用いた。
次いで、該口金内でA層/B層=7/1の厚み比に積層されるよう合流せしめた後、シート状に共押出して溶融積層シートとした。そして、該溶融シートを、表面温度25℃に保たれた冷却ドラム上にB層が該ドラム側に来るよう静電荷法で密着冷却固化させて未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを常法に従い105℃に加熱されたロール群を用いて縦方向(以降、MDという)に3.0倍延伸し、25℃のロール群で冷却して一軸延伸フィルムとした。さらに続いて該一軸延伸フィルムのB層、A層側表面に下記組成の易滑被覆層C、D形成塗液(水溶液)を各々ウェット塗布厚み5.0μm、2.7μmとなるようメタリングバーを用いたバーコート方式にて塗布した。
[易滑被覆層D形成塗液]
水溶性ポリエステル 0.23重量%
メチルセルロース 0.17重量%
シランカップリング剤 0.02重量%
[易滑被覆層C形成塗液]
水溶性ポリエステル 0.31重量%
メチルセルロース 0.10重量%
平均粒子径18nmのコロイダルシリカ 0.04重量%
各組成物の製造方法は以下の通りである。
(水溶性ポリエステル)
酸性分:テレフタル酸/イソフタル酸/5−ナトリウムスルホイソフタル酸=34/8/8(モル%)
グリコール成分:エチレングリコール/ネオペンチルグリコール/ジエチレングリコール=40/7/3(モル%)
上記酸性分とグリコール成分を用い、エステル交換反応によって得た、側鎖にカルボン酸基を有さないポリエステルである。
(メチルセルロース)
セルロース(パルプ)を水酸化ナトリウムで処理した後、酸化エチレンと反応させて水溶性セルロースエーテル化したものである(セルロースのグルコース環単位当たり、メトキシル基で置換された水酸基の平均個数1.5)。
(シランカップリング剤)
(1)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製KBE903)
(2)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製KBM403)
上記(1)/(2)を重量比75/25で混合せしめた混合体である。
(平均粒子径18nmのコロイダルシリカ)
「新実験化学講座」18界面とコロイド(1977年10月20日丸善株式会社発行)の第330〜331頁に記載の技術を参考に製造した。
具体的には、ケイ酸ナトリウムの2.5重量%水溶液(SiO換算)をH型イオン交換樹脂で脱塩し、これに1.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9に調整し、攪拌しながら85℃で10分間加熱して反応を行い、平均粒子径18nmのコロイダルシリカを含む水分散液を得た。
この易滑被覆層C、D形成塗液を塗布された一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の予熱ゾーンに導き105℃で予熱・乾燥後、引き続き連続的に110℃の加熱ゾーンで横方向(以降、TDという)に3.8倍延伸した。さらに引き続いてテンター内の熱処理ゾーンで210℃の熱処理を施して結晶配向を完了させ、均一に徐冷後に巻き取り、積層ポリエステルフィルムの全厚み6.3μm、このうちB層の厚み800nm、易滑被覆層Cの厚み5.9nm、易滑被覆層Dの厚み3nmの構成とした積層ポリエステルフィルムの中間製品を得た。
得られた積層ポリエステルフィルム中間製品を、さらにスリッターで幅620mm、巻き長さ23,000mにスリットして、積層ポリエステルフィルムロールを得た。このとき、スリット巻き取り条件を、張力=30N/m、面圧=220N/mとした。また、スリットパターンはパターン2とし、定速部(b1)の速度を150m/min、定速部(b2)の速度を8m/min、増速部(a1、a2)の増速度を3.2m/min/s、減速部(c1、c2)の減速度を6.2m/min/sとした。パターン1に対して減速部(c1)の1/2の時点(すなわち速度が(定速部(b1)の速度−定速部(b2)の速度)/2に到達した時点)で増速部(a2)となるようにした。
次に、該積層ポリエステルフィルムロールのフィルムA層側に真空蒸着法によりコバルトを蒸着させ、膜厚110nmの強磁性金属薄膜層を形成させた。このとき、蒸着加工工程は高速排気、高加速の条件とした。次にスパッタリング法によりダイヤモンド状カーボン膜を10nmの厚みで形成させ、さらにフッ素系潤滑剤層を6nmの厚みで設けた。続いて、B層上にカーボンブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート層を400nmの厚さで設け、スリッターにより6.35mmの幅にスリットし、蒸着磁気記録媒体用の磁気テープ(DVCテープ)を作製した。
積層ポリエステルフィルムの特性は表1、スリット巻き取り条件は表2、フィルムロールの特性、蒸着加工適性、磁気テープ特性は表3に示すとおりである。表層シワは(1)〜(4)全ての要件を満たしており、高速排気による真空脱気、高加速による蒸着開始においてもズレ、マヨイが全く無いか、あっても僅かであって、優れた加工適性を示し、得られた磁気テープの特性はフィルムロール表層部、巻芯部のいずれにおいても良好であった。
(実施例2)
表2、3に示すとおり、実施例1において、巻き長さを47,000mに変更し、スリット巻き取り条件の張力を35N/m、面圧を280N/mとし、増速部(a2)の増速度を7.5m/min/sと変更したこと以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムロールを得た。
このフィルムロールは表3に示すとおり、蒸着加工適性、磁気テープ特性とも良好であった。
(実施例3)
表2、3に示すとおり、実施例1において、幅を930mm、巻き長さを17,000mに変更し、スリット巻き取り条件の張力を18N/m、面圧を330N/mとし、定速部(b1)の速度を340m/min、定速部(b2)の速度を60m/minと変更したこと以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムロールを得た。
このフィルムロールは表3に示すとおり、蒸着加工適性、磁気テープ特性とも良好であった。
(実施例4)
表2、3に示すとおり、実施例1において、巻き長さを30,000mに変更し、スリット巻き取り条件のスリットパターンをパターン3に変更し、定速部(b1)の速度を250m/min、定速部(b2)の速度を2m/minとし、増速部(a1、a2)の増速度を5.0m/min/s、減速部(c1、c2)の減速度を2.5m/min/sと変更したこと以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムロールを得た。なお、スリットパターン1に対して定速部(b2)の1/2の時点(すなわちパターン1での定速部(b2)で巻き取る時間の1/2の時間が経過した時点)で増速部(a2)となるようにした。
このフィルムロールは表3に示すとおり、蒸着加工適性、磁気テープ特性とも良好であった。
(実施例5)
表2、3に示すとおり、実施例1において、幅を810mm、巻き長さを25,000mに変更し、スリット巻き取り条件の張力を40N/m、面圧を170N/mとし、スリットパターンをパターン4に変更し、定速部(b1)の速度を200m/min、定速部(b2)の速度を20m/minと変更したこと以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムロールを得た。
このフィルムロールは表3に示すとおり、蒸着加工適性、磁気テープ特性とも良好であった。
(実施例6)
表1に示すとおり、実施例1において、B層に含有せしめる粒子組成を、不活性粒子αとして平均粒子径220nmの架橋シリコーン(製造および添加方法は以下の通り)を0.55重量%、不活性粒子βとして平均粒子径1,000nmの球状シリカを0.20重量%に変え(製造および添加方法は以下の通り)、さらにTダイ複合口金内での積層比をA層/B層=10/1としてB層の厚みを560nmとし、さらに易滑被覆層Dに含有せしめるコロイダルシリカを平均粒子径10nmのものを使用して塗液中の含有量を0.015重量%としたこと(製造方法は以下の通り)以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。
次いで、この積層ポリエステルフィルムを、幅を620mm、巻き長さを40,000m、張力を27N/m、面圧を260N/mとしたこと以外は実施例5と同様にしてスリット巻き取りを行い、積層ポリエステルフィルムロールを得た。
このフィルムロールは表3に示すとおり、蒸着加工適性、磁気テープ特性とも良好であった。
(平均粒子径220nmの架橋シリコーンの製造方法)
特公平3−30620号公報の実施例を参考に製造した。
具体的には、平均組成式
CH=CH(CHSiO[(CHSi0]m・Si(CHCH=CH
(式中m=30)で示されるビニル基を両末端に有するジメチルポリシロキサン100重量部に平均組成式
(CHSiO[(CH)HSiO]0Si(CH
で示されるメチルハイドロジエンポリシロキサン5重量部と、上記ポリシロキサン全量に対して白金として10重量ppmに相当する量の塩化白金酸のイソプロピルアルコール溶液と3−メチル−1−ブチン−3−オール0.1重量部を添加し混合したものをスプレードライヤ中に2流体ノズルを用いて噴霧させ、硬化させて架橋シリコーン粒子を得た。このとき、スプレードライヤの熱風の入り口温度は230℃とした。架橋シリコーンは、サイクロン、およびバックフィルターで捕集し、このうちバックフィルタ捕集物(平均粒子径220nm)を用いた。
(平均粒子径1,000nmの球状シリカの製造方法)
「新実験化学講座」18界面とコロイド(1977年10月20日丸善株式会社発行)の第330〜331頁に記載の技術を参考に製造した。
具体的には、ケイ酸ナトリウムの3.5重量%水溶液(SiO換算)をH型イオン交換樹脂で脱塩し、これに1.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9に調整した。この水溶液の一部を分取し、攪拌しながら100℃で10分間加熱後、90℃で保持した。次いで、この水溶液に脱塩してpH=9に調整したケイ酸ナトリウム水溶液を、攪拌しながら徐々に加えて反応を行い、220nmのシリカ粒子を含む水分散液を得た。この水溶液の一部を再度分取し、攪拌しながら100℃で10分間加熱後、90℃で保持した。次いで、この水溶液に脱塩してpH=9に調整したケイ酸ナトリウム水溶液を、攪拌しながら徐々に加えて反応を行い、平均粒子径1,000nmのシリカを含む水分散液を得た。
(架橋シリコーン、球状シリカの添加方法)
得られた架橋シリコーンをエチレングリコール中に分散せしめて10重量%のエチレングリコールスラリーとした。一方、得られた球状シリカの水溶液にエチレングリコールを添加し、100℃に加熱することで水を留出させ、球状シリカの10重量%エチレングリコールスラリーとした。
実施例1の(1)のポリエステル原料の製造において、エステル交換反応が終了し、トリメチルリン酸を添加した5分後に、架橋シリコーンを10重量%含有したエチレングリコールスラリーを5.5重量部、球状シリカを10重量%含有したエチレングリコールスラリーを2重量部添加した。
(平均粒子径10nmのコロイダルシリカの製造方法)
実施例1のコロイダルシリカ製造において、1.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9に調整した後、攪拌しながら85℃で5分間加熱して反応を行い、平均粒子径10nmのコロイダルシリカを含む水分散液を得た。
(実施例7)
表1に示すとおり、実施例1において、B層に含有せしめる粒子組成を、不活性粒子αとして平均粒子径220nmの架橋シリコーンを0.40重量%(添加方法は以下の通り)、不活性粒子βとして平均粒子径550nmの架橋シリコーンを0.012重量%に変え(製造および添加方法は以下の通り)、さらにTダイ複合口金内での積層比をA層/B層=14/1としてB層の厚みを410nmとし、さらに易滑被覆層Dに含有せしめるコロイダルシリカを平均粒子径24nmのものを使用して塗液中の含有量を0.065重量%としたこと(製造方法は以下の通り)たこと以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。
次いで、この積層ポリエステルフィルムを、幅を560mm、巻き長さを40,000mとし、張力を25N/mとしたこと以外は実施例2と同様にしてスリット巻き取りを行い、積層ポリエステルフィルムロールを得た。
このフィルムロールは表3に示すとおり、蒸着加工適性、磁気テープ特性とも良好であった。
(架橋シリコーンの製造方法および添加方法)
実施例1の架橋シリコーンの製造方法において、ビニル基を両末端に有するジメチルポリシロキサンの化学式中のm=52で示されるものを用いたこと以外は、同様に製造して平均粒径550nmの架橋シリコーンを得た。次いで、得られた架橋シリコーンをエチレングリコール中に分散せしめて1重量%のエチレングリコールスラリーとした。
実施例1の(1)のポリエステル原料の製造において、エステル交換反応が終了し、トリメチルリン酸を添加した5分後に、実施例2で得た平均粒径220nmの架橋シリコーンを10重量%含有したエチレングリコールスラリーを4.0重量部、上記の平均粒子径550nmの架橋シリコーンを1重量%含有したエチレングリコールスラリーを1.2重量部添加した。
(平均粒子径24nmのコロイダルシリカの製造方法)
実施例1のコロイダルシリカ製造において、1.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9に調整した後、攪拌しながら85℃で15分間加熱して反応を行い、平均粒子径24nmのコロイダルシリカを含む水分散液を得た。
(比較例1)
表2、3に示すとおり、実施例6において、スリット巻き取り条件のスリット巻き取り条件のスリットパターンをパターン1に変更したこと以外は実施例6と同様にして積層ポリエステルフィルムロールを得た。
このフィルムロールは表3に示すとおり、磁気テープ特性は良好であったが、蒸着加工適性、特に高速排気での真空脱気時や高加速での蒸着開始時にズレ、マヨイが発生しやすく、歩留まりが低下してしまい、蒸着加工適性に劣るものであった。
(比較例2)
表1に示すとおり、B層に含有せしめる粒子組成を、不活性粒子αとして平均粒子径340nmの架橋スチレン−ジビニルベンゼンを0.43重量%、不活性粒子βとして平均粒径480nmの架橋スチレン−ジビニルベンゼン(製造方法および添加方法は以下の通り)を0.001重量%に変え、さらにTダイ複合口金内での積層比をA層/B層=12/1とし、B層の厚みを500nmとしたこと以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを製造した。
次いで、この積層ポリエステルフィルムを、実施例1と同様にしてスリット巻き取りを行い、積層ポリエステルフィルムロールを得た。
このフィルムロールは表3に示すとおり、蒸着加工適性は良好であったが、磁気テープ特性、特にフィルムロール表層部相当での出力特性に劣るものであった。
(平均粒子径480nmの架橋スチレン−ジビニルベンゼンの製造方法)
実施例1の架橋スチレン−ジビニルベンゼンの製造において、35℃で62時間反応させたスチレンのシード粒子の水分散液100mLに、水45ml、ジビニルベンゼン20ml、スチレン10mlを加え“エマルゲン”920と“プロノン”208とをそれぞれ0.9gずつ加えて、70℃で24時間、窒素雰囲気中で反応させ、シード粒子中でスチレンとジビニルベンゼンとが架橋した平均粒子径480nmの架橋スチレン−ジビニルベンゼンを含む水スラリーを得た。
ベント付き二軸混練機に、PETチップおよび平均粒子径480nmの架橋スチレン−ジビニルベンゼンの水スラリーが所定の粒子組成となるよう添加せしめて得た架橋スチレン−ジビニルベンゼン含有PETチップ原料を用いた。
(比較例3)
表1に示すとおり、B層に含有せしめる粒子組成を、不活性粒子αとして平均粒子径220nmの球状シリカ(製造方法、添加方法は以下の通り)を0.43重量%、不活性粒子βとして平均粒径720nmの架橋シリコーンを0.1重量%(製造方法、添加方法は以下の通り)に変え、またTダイ複合口金内での積層比をA層/B層=5/1としてB層の厚みを1,050nmとしたこと、さらには易滑被覆層Dに含有せしめるコロイダルシリカを平均粒子径6nmのものを使用して、塗液中の含有量を0.004重量%としたこと以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを製造した。
次いで、この積層ポリエステルフィルムを、巻き長さを30,000mとしたこと以外は実施例6と同様にしてスリット巻き取りを行い、積層ポリエステルフィルムロールを得た。
このフィルムロールは表3に示すとおり、蒸着加工適性は良好であったが、磁気テープ特性、特にフィルムロール巻芯部相当での出力特性に劣るものであった。
(平均粒子径220nmの球状シリカの製造方法)
ケイ酸ナトリウムの3.5重量%水溶液(SiO換算)をH型イオン交換樹脂で脱塩し、これに1.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9に調整する。この水溶液の一部を分取し、攪拌しながら100℃で10分間加熱後、90℃で保持する。次いで、この水溶液に脱塩してpH=9に調整したケイ酸ナトリウム水溶液を、攪拌しながら徐々に加えて反応を行い、220nmの球状シリカ粒子を含む水分散液を得た。
(平均粒径720nmの架橋シリコーンの製造方法および添加方法)
実施例1の架橋シリコーンの製造方法において、ビニル基を両末端に有するジメチルポリシロキサンの化学式中のm=60で示されるものを用いたこと以外は、同様に製造して平均粒径720nmの架橋シリコーンを得た。
(球状シリカおよび架橋シリコーンの添加方法)
得られた球状シリカの水溶液にエチレングリコールを添加し、100℃に加熱することで水を留出させ、球状シリカの10重量%エチレングリコールスラリーとした。一方、架橋シリコーンをエチレングリコール中に分散せしめて5重量%のエチレングリコールスラリーとした。
実施例1の(1)のポリエステル原料の製造において、エステル交換反応が終了し、トリメチルリン酸を添加した5分後に、架橋シリコーンを5重量%含有したエチレングリコールスラリーを2重量部、球状シリカを10重量%含有したエチレングリコールスラリーを4.3重量部添加した。
(比較例4)
表1に示すとおり、B層に含有せしめる粒子組成を、不活性粒子αとして平均粒子径340nmの架橋スチレン−ジビニルベンゼンを0.60重量%、不活性粒子βとして平均粒径480nmの架橋スチレン−ジビニルベンゼンを0.03重量%に変え、さらにTダイ複合口金内での積層比をA層/B層=30/1として、B層の厚みを200nmとしたこと以外は比較例2と同様にして積層ポリエステルフィルムを製造した。
次いで、この積層ポリエステルフィルムを、巻き長さを40,000mとしたこと以外は実施例1と同様にしてスリット巻き取りを行い、積層ポリエステルフィルムロールを得た。
このフィルムロールは表3に示すとおり、蒸着加工適性は良好であったが、磁気テープ特性、特にフィルムロール表層部相当での出力特性に劣るものであった。
(比較例5)
表1に示すとおり、B層に含有せしめる粒子組成を、不活性粒子αとして平均粒子径220nmの球状シリカを0.22重量%(添加方法は以下の通り)、不活性粒子βとして平均粒径1,500nmの球状シリカを0.001重量%(製造方法および添加方法は以下の通り)に変え、さらにTダイ複合口金内での積層比をA層/B層=30/1として、B層の厚みを200nmとしたこと以外は、実施例7と同様にして積層ポリエステルフィルムを製造した。
次いで、この積層ポリエステルフィルムを、比較例1と同様にしてスリット巻き取りを行い、積層ポリエステルフィルムロールを得た。
このフィルムロールは表3に示すとおり、磁気テープ特性は良好であったが、蒸着加工適性に劣るものであった。
(平均粒子径220nmの球状シリカの添加方法)
実施例1の(1)のポリエステル原料の製造において、エステル交換反応が終了し、トリメチルリン酸を添加した5分後に、球状シリカを10重量%含有したエチレングリコールスラリーを2.2重量部添加した。
(平均粒子径1,500nmの球状シリカの製造方法および添加方法)
実施例1で得た平均粒子径1,000nmのシリカを含む水分散液の一部をさらに分取し、攪拌しながら100℃で15分間加熱後、90℃で保持する。次いで、この水溶液に脱塩してpH=9に調整したケイ酸ナトリウム水溶液を、攪拌しながら徐々に加えて反応を行い、平均粒子径1,500nmの球状シリカを含む水分散液を得た。
得られた球状シリカの水溶液にエチレングリコールを添加し、100℃に加熱することで水を留出させ、シリカの0.1重量%エチレングリコールスラリーとした。
実施例1の(1)のポリエステル原料の製造において、エステル交換反応が終了し、トリメチルリン酸を添加した5分後に、球状シリカを0.1重量%含有したエチレングリコールスラリーを1重量部添加した。
(比較例6)
表1に示すとおり、実施例1において、A層に不活性粒子として平均粒子径120nmの球状シリカを0.01重量%(製造方法および添加方法は以下の通り)含有せしめ、B層に含有せしめる粒子組成を、不活性粒子αとして平均粒子径120nmの球状シリカを0.29重量%(製造方法および添加方法は以下の通り)、不活性粒子βとして平均粒径500nmの架橋シリコーンを0.015重量%(製造方法および添加方法は以下の通り)に変え、さらにTダイ複合口金内での積層比をA層/B層=12/1として、B層の厚みを500nmとし、フィルム総厚みを5.2μmに変更した。また、A層の外側表面に易滑被覆層Cを設けないこと以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを製造した。
次いで、この積層ポリエステルフィルムを、巻き長さを20,000mとしたこと以外は比較例1と同様にしてスリット巻き取りを行い、積層ポリエステルフィルムロールを得た。
このフィルムロールは表3に示すとおり、磁気テープ特性は良好であったが、蒸着加工適性に劣るものであった。
(平均粒子径120nmの球状シリカの製造方法)
ケイ酸ナトリウムの3.5重量%水溶液(SiO換算)をH型イオン交換樹脂で脱塩し、これに1.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9に調整する。この水溶液の一部を分取し、攪拌しながら100℃で5分間加熱後、90℃で保持する。次いで、この水溶液に脱塩してpH=9に調整したケイ酸ナトリウム水溶液を、攪拌しながら徐々に加えて反応を行い、120nmの球状シリカ粒子を含む水分散液を得た。
(平均粒径500nmの架橋シリコーンの製造方法)
実施例1の架橋シリコーンの製造方法において、ビニル基を両末端に有するジメチルポリシロキサンの化学式中のm=50で示されるものを用いたこと以外は、同様に製造して平均粒径500nmの架橋シリコーンを得た。次いで、得られた架橋シリコーンをエチレングリコール中に分散せしめて1重量%のエチレングリコールスラリーとした。
(球状シリカ、架橋シリコーンの添加方法)
上記で得られた球状シリカの水溶液にエチレングリコールを添加し、100℃に加熱することで水を留出させ、球状シリカの1重量%エチレングリコールスラリーと、10重量%エチレングリコールスラリーとを調整した。
実施例1の(1)のポリエステル原料の製造において、エステル交換反応が終了し、トリメチルリン酸を添加した5分後に、球状シリカを1重量%含有したエチレングリコールスラリーを1重量部添加し、得られたPETチップをA層用原料とした。
一方、1)のポリエステル原料の製造において、エステル交換反応が終了し、トリメチルリン酸を添加した5分後に、球状シリカを10重量%含有したエチレングリコールスラリーを2.9重量部、架橋シリコーンを1重量%含有したエチレングリコールスラリーを1.5重量部添加した。
(比較例7)
表1に示すとおり、B層に含有せしめる粒子組成を、不活性粒子αを含有せず、不活性粒子βとして平均粒径220nmの球状シリカを0.36重量%(添加方法は以下の通り)に変え、さらにTダイ複合口金内での積層比をA層/B層=6/1として、B層の厚みを900nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを製造した。
次いで、この積層ポリエステルフィルムを、巻き長さを20,000mとしたこと以外は実施例4と同様にしてスリット巻き取りを行い、積層ポリエステルフィルムロールを得た。
このフィルムロールは表3に示すとおり、蒸着加工適性は良好であったが、磁気テープ特性、特にフィルムロール表層部相当の出力特性に劣るものであった。
(球状シリカの添加方法)
実施例1の(1)のポリエステル原料の製造において、エステル交換反応が終了し、トリメチルリン酸を添加した5分後に、平均粒径220nmの球状シリカを10重量%含有したエチレングリコールスラリーを3.6重量部添加した。
(比較例8)
表1に示すとおり、B層に含有せしめる粒子組成を、不活性粒子αとして2種類使用し、平均粒子径200nmのケイ酸アルミニウムを0.41重量%(製造方法、添加方法は以下の通り)、および平均粒子径300nmの架橋ポリスチレンを0.05重量%(製造方法、添加方法は以下の通り)、不活性粒子βとして平均粒径380nmの架橋ポリスチレンを0.001重量%(製造方法および添加方法は以下の通り)に変え、さらにTダイ複合口金内での積層比をA層/B層=11/1として、B層の厚みを530nmとし、さらに易滑被覆層Dに含有せしめるコロイダルシリカの塗液中の含有量を0.03重量%としたこと以外は、実施例6と同様にして積層ポリエステルフィルムを製造した。
次いで、この積層ポリエステルフィルムを、巻き長さを25,000mとしたこと以外は実施例1と同様にしてスリット巻き取りを行い、積層ポリエステルフィルムロールを得た。
このフィルムロールは表3に示すとおり、蒸着加工適性は良好であったが、磁気テープ特性、特にフィルムロール表層部相当の出力特性に劣るものであった。
(平均粒子径200nmのケイ酸アルミニウム)
ケイ酸塩のケイ素の一部をアルミニウム、ナトリウムで置換し、金属成分の重量含有率をケイ素(Si)27重量%、アルミニウム(Al)15重量%、ナトリウム(Na)5重量%となるよう合成した。得られたケイ酸アルミニウムを24時間乾燥後、粉砕して得た微粉末を、エチレングリコール中に10重量%に分散せしめたスラリーとして調整した。
(平均粒子径300nm、380nmの架橋ポリスチレンの製造方法)
スチレン30mlと、乳化剤として“エマルゲン”920(花王アトラス(株)製)1.36gおよび“プロノン”208(日本油脂(株)製)1.36gとを170mlの水に溶解し、重合開始剤として過硫酸カリウム136mgとチオ硫酸ナトリウム136mg、さらに過酸化ベンゾイル204mgを加え、35℃で48時間、窒素雰囲気下で反応させ、スチレンのシード粒子の水分散液を作製した。次いで、この水分散液100mlに、水45ml、スチレン10mlを加え“エマルゲン”920と“プロノン”208とをそれぞれ0.9gずつ加えて、70℃で18時間、窒素雰囲気中で反応させ、シード粒子中でスチレンを架橋させた、平均粒子径300nmの架橋ポリスチレンを含む水スラリーを得た。一方、最後の反応で70℃で22時間、窒素雰囲気中で反応させ、シード粒子中でスチレンを架橋させた、平均粒子径380nmの架橋ポリスチレンを含む水スラリーを得た。
(ケイ酸アルミニウム、架橋ポリスチレンの添加方法)
実施例1の(1)のポリエステル原料の製造において、エステル交換反応が終了し、トリメチルリン酸を添加した5分後に、平均粒径200nmのケイ酸アルミニウムを10重量%含有したエチレングリコールスラリーを4.1重量部添加して、ケイ酸アルミニウム含有PETチップを得た。次いで、ベント付き二軸混練機に、上記PETチップおよび各々の平均粒子径の架橋ポリスチレンの水スラリーが所定の粒子組成となるよう添加せしめた。
(比較例9)
表1に示すとおり、B層に含有せしめる粒子組成を、不活性粒子αとして平均粒子径220nmの架橋シリコーンを0.47重量%(製造方法は実施例6の通り。添加方法は以下の通り)、不活性粒子βとして平均粒径340nmの架橋シリコーンを0.003重量%(製造方法および添加方法は以下の通り)に変え、さらにTダイ複合口金内での積層比をA層/B層=12/1として、B層の厚みを500nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを製造した。
次いで、この積層ポリエステルフィルムを、巻き長さを30,000mとしたこと以外は実施例6と同様にしてスリット巻き取りを行い、積層ポリエステルフィルムロールを得た。
このフィルムロールは表3に示すとおり、蒸着加工適性は良好であったが、磁気テープ特性、特にフィルムロール表層部相当の出力特性に劣るものであった。
(平均粒径340nmの架橋シリコーンの製造方法)
実施例1の架橋シリコーンの製造方法において、ビニル基を両末端に有するジメチルポリシロキサンの化学式中のm=40で示されるものを用いたこと以外は、同様に製造して平均粒径340nmの架橋シリコーンを得た。次いで、得られた架橋シリコーンをエチレングリコール中に分散せしめて0.1重量%のエチレングリコールスラリーとした。
(架橋シリコーンの添加方法)
実施例1の(1)のポリエステル原料の製造において、エステル交換反応が終了し、トリメチルリン酸を添加した5分後に、実施例6で得た平均粒子径220nmの架橋シリコーンを10重量%含有したエチレングリコールスラリーを4.7重量部、上記で得た平均粒径340nmの架橋シリコーンを0.1重量%含有するエチレングリコールスラリーを3重量部添加した。
(比較例10)
表1に示すとおり、B層に含有せしめる粒子組成を、不活性粒子αとして平均粒子径220nmの球状シリカを0.42重量%(製造方法は比較例5の通り。添加方法は以下の通り)、不活性粒子βとして平均粒径450nmの架橋シリコーンを0.0003重量%(製造方法および添加方法は以下の通り)に変え、さらにTダイ複合口金内での積層比をA層/B層=12/1として、B層の厚みを500nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを製造した。
次いで、この積層ポリエステルフィルムを、巻き長さを30,000mとしたこと以外は実施例6と同様にしてスリット巻き取りを行い、積層ポリエステルフィルムロールを得た。
このフィルムロールは表3に示すとおり、蒸着加工適性は良好であったが、磁気テープ特性、特にフィルムロール表層部相当の出力特性に劣るものであった。
(平均粒径450nmの架橋シリコーンの製造方法)
実施例1の架橋シリコーンの製造方法において、ビニル基を両末端に有するジメチルポリシロキサンの化学式中のm=46で示されるものを用いたこと以外は、同様に製造して平均粒径450nmの架橋シリコーンを得た。次いで、得られた架橋シリコーンをエチレングリコール中に分散せしめて0.1重量%のエチレングリコールスラリーとした。
(球状シリカ、架橋シリコーンの添加方法)
実施例1の(1)のポリエステル原料の製造において、エステル交換反応が終了し、トリメチルリン酸を添加した5分後に、比較例2で得た平均粒子径220nmの球状シリカを10重量%含有したエチレングリコールスラリーを4.2重量部、上記で得た平均粒径450nmの架橋シリコーンを0.1重量%含有するエチレングリコールスラリーを0.3重量部添加した。
Figure 2008246681
Figure 2008246681
Figure 2008246681
表1〜3の結果から明らかなように、特定の表面粗さ比率を有する積層ポリエステルフィルムについて、スリット巻き取りの張力、面圧、速度パターンを特定の条件とすることにより、本発明のフィルムロールを製造することができた。またこのフィルムロールを用いた蒸着加工工程では、高速排気での真空脱気時、高加速での蒸着開始時にもフィルムのズレ、マヨイの無い安定な状態で加工でき、また、フィルムロール表層部、巻芯部の相当する箇所から得た磁気テープはいずれも良好な出力特性を得ることができた。
本発明の積層ポリエステルフィルムロールは、特に蒸着磁気記録媒体としての特性、並びに蒸着磁気記録媒体への加工性が良好であり、該用途のベース基材として好適に使用することができるが、蒸着型だけでなく、塗布型磁気記録媒体用のベース基材としても好適に利用可能である。
本発明の一実施態様に係るスリット巻き取りパターンの基本を示す概略図である。 本発明の他の実施態様に係るスリット巻き取りパターン(減速部(c1)の途中で増速部(a2)を設けたもの)の代表例を示す概略図である。 本発明の他の実施態様に係るスリット巻き取りパターン(定速部(b2)の途中で増速部(a2)を設けたもの)の代表例を示す概略図である。 本発明の他の実施態様に係るスリット巻き取りパターン(減速部(c1)の途中で増速部(a2)、定速部(b2)の途中で増速部(a3)を設けたもの)の代表例を示す概略図である。 表層シワが凸形状の場合の、代表的な変位プロファイルを示す概略図である。 表層シワが凹み形状の場合の、代表的な変位プロファイルを示す概略図である。 表層シワの中央が凸で両端が凹みの場合の、代表的な変位プロファイルを示す概略図である。 表層シワの中央が凹みで両端が凸の複合形状の場合の、代表的な変位プロファイルを示す概略図である。
符号の説明
a1:増速部1
b1:定速部1(定常巻き取り部)
c1:減速部1
a2:増速部2
b2:定速部2(低速巻き取り部)
c2:減速部2
a3:増速部3
c3:減速部3
d:ベースライン
e:表層シワ高さ

Claims (7)

  1. 少なくとも2層の層構成を有する積層ポリエステルフィルムを円筒状コアに巻き付けてなり、該積層ポリエステルフィルムの一方の面を構成する層(A層)の中心線平均表面粗さRaと、他方の面を構成する層(B層)の中心線平均表面粗さRaとの比Ra/Raが0.05〜0.7であり、かつフィルムロール表層部の表層シワが以下(1)〜(4)を満足する磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロール。
    (1)表層シワの総幅がフィルム幅の0.5〜15%
    (2)表層シワの発生長さがフィルムロールの表面から30〜500m
    (3)1本あたりの表層シワの高さが0.05〜3mm
    (4)幅方向での表層シワの本数が1〜10本/1,000mm
  2. 積層ポリエステルフィルムの幅が500〜1,000mm、巻き長さが15,000〜50,000mの範囲である、請求項1に記載の磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロール。
  3. 積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートである、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. B層の外側表面に易滑被覆層Dが設けられ、A層の外側表面に粒子を含有する易滑被覆層Cが設けられている、請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロール。
  5. 易滑被覆層Cに含有される粒子が無機粒子である、請求項4に記載の磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロール。
  6. 無機粒子が二酸化珪素から構成されている、請求項5に記載の磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロール。
  7. 積層ポリエステルフィルムがデジタル記録方式の磁気テープ用ベースフィルムとして用いられる、請求項1〜6のいずれかに記載の磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムロール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110023083A (zh) * 2016-11-22 2019-07-16 日东电工株式会社 带涂覆层的膜的制造方法

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