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JP5332436B2 - 磁気記録媒体用支持体および磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体用支持体および磁気記録媒体 Download PDF

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JP5332436B2 JP2008239190A JP2008239190A JP5332436B2 JP 5332436 B2 JP5332436 B2 JP 5332436B2 JP 2008239190 A JP2008239190 A JP 2008239190A JP 2008239190 A JP2008239190 A JP 2008239190A JP 5332436 B2 JP5332436 B2 JP 5332436B2
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Description

本発明は、磁気テープなどの磁気記録媒体に用いられる支持体と、該支持体上に磁性層を設けた磁気記録媒体に関する。
二軸延伸ポリエステルフィルムはその優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および表面形態の制御のし易さから各種用途に使用されており、特に磁気記録媒体などの支持体としての有用性がよく知られている。近年、磁気テープなどの磁気記録媒体は、基材の軽量化、小型化、大容量化のためさらなる高密度化が要求されている。高密度記録化のためには、記録波長を短くし、記録トラックを小さくすることや、磁気テープの薄膜化などが有用である。しかしながら、記録トラックの狭小化や、磁気テープの薄膜化に伴って、テープ走行時における熱やテープ保管時の温湿度変化による変形により、記録トラックのずれが起こりやすくなるという問題がある。したがって、テープの使用環境および保管環境での寸法安定性といった特性の改善に対する要求がますます強まっている。
この観点から、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどを用いたポリエステルフィルムにおいて、延伸技術を用いて高強度化した磁気記録媒体用支持体が開発されている。さらには、延伸技術以外にも、以下の文献に開示されるような、温度や湿度に対する寸法安定性の改善を目的に、ポリエステルフィルムの片面または両面に金属などの補強層を設ける方法(特許文献1、特許文献2、特許文献4)が開示されている。
しかしながら、補強層が金属の場合、金属結合のため導電性が高く光を反射する性質を持つため、磁性層を塗布する際の膜厚管理において、金属の補強膜の影響で光が透過しないという問題があり、膜厚管理が困難となり易い。その結果、磁性層の膜厚にバラツキが生じ、エラーレートの多い磁気テープとなり易い。また、導電性が高いため静電気や漏れ電流によって磁気テープに電流が流れてしまい、その電流のために磁気ヘッドがショートしたり、故障することがある。さらに、金属は酸化物と比較して、強度が弱く、ポリエステルフィルムの膨張・収縮を抑制する効果が小さい。
一方、補強層が酸化物やその他の化合物の場合、イオン結合のため、硬いがもろく延性がない性質を持つ。そのため、張力によって割れ(クラック)を生じたりする。また、酸化物は吸湿性をもつため、湿度に対する寸法安定性向上効果が小さく、補強層自体の吸湿膨張により寸法安定性を悪化させる場合もある。
また、ポリエステルフィルムの片面または両面に金属などの補強層を設けると、補強層とポリエステルフィルムの温湿度に対する膨張量等の物理的特性の相違や、補強層の形成工程で、ポリエステルフィルムが受ける熱や巻張力等の応力によって、フィルムの内部歪みが大きくなるため、磁気テープに加工した場合に幅方向に湾曲(カッピング)が生じ、ヘッド当たりが悪化するといった問題もある。
カッピングを改善する方法としては、例えば、磁気テープに熱処理を施す方法(特許文献3)やポリエステルフィルムの両面に、非磁性金属または金属酸化物層などの補強層の表裏の厚みを制御する方法(特許文献4)が開示されている。
しかし、上記特許文献3に開示されている方法では、テープの使用環境および保管環境での寸法安定性を改善することはできない。また、上記特許文献4では、磁性層を設ける面から先に金属膜を形成するため、表面に傷が発生し易いという問題がある。
特開平7−272247号公報 特開2003−30818号公報 特開2001−184635号公報 特開2006−277920号公報
本発明の目的は、上記の問題を解決し、蒸着工程での熱負けによる表面欠点や破れがなく安定製膜が可能であり、特に、磁気記録媒体とした際に環境変化による寸法変化が少なく、テープを磁性層側に凸状に湾曲させることで、ヘッドとの密着性が向上し、電磁変換特性が優れた高密度磁気記録媒体用支持体を提供することにある。
上記課題を達成するための本発明は、ポリエステルフィルムの両面に金属系酸化物を含む層(M層)が設けられ、以下に規定する磁気テープとした際の湾曲が1mm未満である磁気記録媒体用支持体であって、M層の酸素濃度がいずれも45〜70at.%であり、ポリエステルフィルムの厚みをTとし、一方の面(面A)に設けられたM層(Ma層)の厚みと他方の面(面B)に設けられたM層(Mb層)の厚みの和をTMとしたとき、T/TMの値が71〜250であり、Ma層の表面抵抗率が1.0×103〜1.0×108Ωであり、Mb層の表面抵抗率が1.0×109〜1.0×1014Ωであり、かつ、Ma層の表面抵抗率がMb層よりも小さい磁気記録媒体用支持体を特徴とする。
磁気テープとした際の湾曲:
磁気テープを長さ20mm切出し、上が磁性層となるように平坦なガラス板上に静置した際に磁性層側に凸に湾曲したものを測定対象とし、その際の磁気テープの幅方向の中央部とガラス板との間隔
本発明の磁気記録媒体用支持体は、蒸着工程での熱負けによる表面欠点や破れがなく安定製膜が可能であり、特に、磁気記録媒体とした際に環境変化による寸法変化が少なく、テープを磁性層側に凸状に湾曲させることで、ヘッドとの密着性が向上し、電磁変換特性が優れた高密度磁気記録媒体用支持体を得ることができる。
本発明の支持体は、ポリエステルフィルムの両面に金属系酸化物を含む層(以下、M層という)が設けられ、このM層の酸素濃度がいずれも45〜70at.%である。金属系酸化物とは、例えば、Cu、Zn、Al、Si、Fe、Ag、Ti、Mg、Sn、Zr、In、Cr、Mn、V、Ni、Mo、Ce、Ga、Hf、Nb、Ta、Y、Wなどの金属成分を酸化させたものであって、組成分析を行った場合の平均組成における酸素濃度(酸素原子含有量)が10at.%以上となっているものをいう。なお、at.%とは、atomic%の略である。
上記の金属系酸化物は、両表面で異なる金属成分を含んでいてもよく、また、複数種の金属成分を混合して含んでいても構わないが、より好ましくは、表面抵抗率の制御のしやすさから、両表面で同一種の金属成分を含む方が良い。中でも、寸法安定性、生産性、環境性の観点から、アルミニウム、銅、亜鉛、銀、珪素元素の少なくとも一種を含んでいることが好ましく、より好ましくはアルミニウム元素が主成分となっていることが好ましい。但し、金属系酸化物を構成する金属成分には、磁気記録媒体とした際に読み取りや書き込みに影響を与えるため磁性金属を含まないことが好ましい。ここでいう磁性金属はFe、Co、Niを表す。
本発明のM層の酸素濃度はいずれも45〜70at.%である。酸素濃度が本発明の範囲内であると環境変化による寸法安定性が極めて良好な支持体を得ることができるため好ましい。M層の酸素濃度が本発明の範囲より大きくなると、硬いが脆く延性のない性質を持つM層が形成されてしまい、蒸着工程や磁気記録媒体の製造工程において支持体にかかる張力あるいは応力によって、M層にクラックが発生してしまい寸法安定性が著しく低下してしまうことがある。また、M層の酸素濃度が本発明の範囲より小さくなると、各M層の表面抵抗率を本発明の範囲内とすることが困難となったり、全光線透過率が低下してしまうため、磁性層を塗布する際の膜厚管理が困難となる場合がある。
本発明のM層は、環境変化に対する寸法安定性や湾曲の観点から両面に形成される。片面のみに形成されている場合は、磁気記録媒体としたときの寸法安定性を満足せしめることができない場合があり、さらに、幅方向の湾曲が大きくなりすぎて電磁変換特性が悪化する場合がある。
M層の形成方法としては物理蒸着法や化学蒸着法を用いることができる。ポリエステルフィルムへの物理蒸着法には真空蒸着法、スパッタリング法があり、特に表面抵抗率の制御のしやすさから真空蒸着法が好ましく、中でも、膜質の剛直性(緻密性)から電子ビーム蒸着法が特に好ましい。また、蒸着順は、M層表面の傷あるいは、蒸着時の熱負け対策の観点から、後述するMb層から先に蒸着を施すことが重要である。
本発明のポリエステルフィルムの厚み(T)は、用途に応じて適宜決定できるが、通常磁気記録媒体用途では3〜7μmが好ましい。中でも、高密度磁気記録媒体用途の場合、3〜6μmが好ましく、より好ましくは4〜6μmである。厚みが3μmより小さい場合は、テープに腰がなくなるため、磁気ヘッドとの接触性が悪化し、電磁変換特性が低下する場合がある。厚みが7μmより大きい場合は、テープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化、高容量化が困難になる。
また、一方の面(面A)に設けられたM層(Ma層)の厚みと他方の面(面B)に設けられたM層(Mb層)の厚みの和をTとしたとき、支持体の厚み比(T/T)は、46〜250であることが好ましく、より好ましくは46〜200である。厚み比が本願の範囲内より小さいと湾曲が大きくなり過ぎ、磁気ヘッドとの接触性が不良となり電磁変換特性が悪化する傾向にある。逆に、本発明の範囲よりも大きいと寸法安定性が改善できない場合がある他、高温クラック耐久性が低下する傾向にある。
本発明のMb層の表面抵抗率は、1.0×10〜1.0×1014Ωであり、かつ、Ma層の表面抵抗率がMb層よりも小さい必要がある。最初に形成するMb層の表面抵抗率を本発明の範囲内とすることによって、Mb層と冷却キャンの密着性が低下することがないため、冷却効率も低下せず、次に形成するMa層の蒸着工程時の熱負けによる表面欠点(しわ)やフィルム切れが発生しないため好ましい。
ここでいう熱負けとは、蒸着時に発生するベースフィルムのシワであり、フィルムと冷却キャンの密着性不良から、蒸着粒子の潜熱や蒸着源からの輻射熱などを効率的に冷却キャン側に逃すことができなくなった場合に部分的にフィルム自体の温度上昇を抑制できなくなり、その部位が軟化して伸びしわを引き起こすものであり、ひどい場合は、フィルムが破れてしまう。
磁気テープの製造工程で発生する湾曲に対する抑止効果の観点から、好ましくはMb層の表面抵抗率は、1.0×1010〜1.0×1013Ωである。Mb層の表面抵抗率が本願の範囲内であると、Mb層と冷却キャンの密着性が向上し、Ma層形成時のベースフィルムの熱履歴や熱収縮を抑制することが可能となるので好ましい。
一般に、表面抵抗率は、M層表面の金属結合を有する金属元素の存在率に影響を受ける。表面抵抗率の制御は、蒸着時の酸素ガス導入量や酸素ガス供給ノズルの位置、金属成分の蒸発量、フィルム搬送速度を調整することで制御することができる。特に金属の蒸発量の影響が大きいが、基本的には、金属蒸発量と酸素ガス導入量の制御で対応することが可能である。金属蒸発量が一定であれば、酸素ガス導入量を減らせば、金属結合を有する金属原子の存在割合が高くなり、表面比抵抗は小さくなる。また逆に、酸素ガス導入量を増やせば、金属結合を有する金属原子の存在割合が低くなり、表面抵抗率は大きくなる。また、酸素ガス導入量が一定であれば、金属蒸発量を減らせば表面抵抗率が高くなり、金属蒸発量を増やせば表面抵抗率が低くなる。この時、M層の厚み均一の観点から、酸素ガスは、金属蒸気の流れる方向と同じ方向に供給することが好ましい。また、酸素ガスの供給ノズルを、フィルムの搬送方向について上流側(巻出し側)と下流側(巻取り側)の両方に設けて、それぞれの酸素ガス導入量を制御することも好ましい。
巻出側の酸素導入量を巻取側の酸素導入量よりも大きくすると、フィルムとM層の界面近傍の酸素濃度が、M層の表面側よりも比較的濃くなり、効率よく酸化が促進され、所望の酸素濃度と表面抵抗率を得ることができる。
酸素ガス導入量について、好ましくは、酸素ガス供給ノズルの巻出し側と巻取り側との酸素ガス導入量を4:6〜8:2の割合、さらには、5:5〜7:3の割合に調節することは、M層の酸素濃度と表面抵抗率を調節する上で有効であり、Mb層形成時の酸素ガス供給ノズルの高さを高くして冷却キャン付近で酸素ガスを供給する方法は、表面抵抗率を本願の範囲内に制御する上でも有効である。M層の酸素濃度が、所望の範囲を満たしていても、酸素ガスの導入方向や角度、供給ノズルの高さ、両ノズルのガス導入割合によって酸化反応を制御することで、表面近傍の金属−金属結合が制御でき、表面抵抗値を適宜コントロールすることが可能となる。
酸素濃度と表面抵抗率の制御は、いずれも酸素の供給に依存している。しかし、本願では、極表層での金属−金属結合に表面抵抗率は影響を受けると考えるので、酸素濃度、つまりM層全体の酸化状態を意味する酸素濃度とは異なる部位に着目することで問題解決するに至ったものである。
本発明のMa層の表面抵抗率は、磁気テープの製造工程で発生する湾曲を磁性層側、つまりMa層側に凸状に湾曲するよう制御する観点から、Mb層よりも小さいことが必要であり、好ましくは1.0×10〜1.0×10Ω、さらに好ましくは1.0×10〜1.0×10Ωである。
Ma層の表面抵抗率と該層の酸素濃度を本発明の範囲内とするには、酸素ガス導入量を巻出側と巻取り側で適宜調節することで達成できる。特に、Ma層の表面抵抗率をMb層の表面抵抗率よりも小さく、かつ、特定の範囲内とするためには、巻出し側と巻取り側の酸素ガス導入量の比を5:5〜9:1の割合、特に6:4〜8:2とすることが有効である。さらに、Ma層形成時の酸素ガス供給ノズルの高さを低くしてルツボ付近で酸素ガスを供給する方法は、表面抵抗率を本願の範囲内に制御する上でも有効である。
Ma層およびMb層の表面抵抗率を本発明の範囲内とすることによって、各M層中の金属結合を有する金属元素の存在率に比例して温度膨張係数も特定化される。その結果、表面抵抗率の小さいMa層は、金属元素の割合がMb層よりも多いため、Ma層の温度膨張係数は、Mb層の膨張係数よりも大きくなる
特に、本発明の支持体は、Ma層の熱膨張係数がMb層よりも大きいため、磁性層を塗布するMa層側を凸状に湾曲するよう制御することが可能となる。その結果、磁気テープと磁気ヘッドとの密着性が増すため電磁変換特性の良好な磁気記録媒体を得ることができると考えられる。
本発明の両M層のヤング率は、Ma層側が凸に湾曲するのを促進する観点から、Ma層のヤング率がMb層のヤング率よりも小さいことが好ましい。M層のヤング率は、M層を構成する金属材料の種類やM層の厚みによって決定されるため限定できないが、例えば、M層を構成する金属材料がアルミニウムである場合、Ma層のヤング率は50〜120GPa、Mb層は80〜200GPaが好ましい。なお、Ma層のヤング率は、Nielsenにより提示された複合ヤング率の以下の予測式から求める。また、同様にMb層のヤング率についても以下の予測式から求める。
Figure 0005332436
ここで、E:支持体のヤング率[GPa]、E:ポリエステルフィルムのヤング率[GPa]、Ea:Ma層のヤング率[GPa]、T:ポリエステルフィルムの厚み[μm]、Ta:Ma層の厚み[μm]である。
本発明の両M層の熱膨張係数は、Ma層側が凸に湾曲するのを促進する観点から、Ma層の熱膨張係数がMb層よりも大きいことが好ましい。M層の熱膨張係数は、M層を構成する金属材料の種類やM層の厚みによって決定されるため限定できないが、例えば、M層を構成する金属材料がアルミニウムである場合、Ma層の熱膨張係数は1〜20ppm/℃であり、Mb層は−10〜0ppm/℃であることが好ましい。Ma層の熱膨張係数は、Nielsenにより提示された以下の複合フィルムの熱膨張係数予測式から求める。また、同様にMb層の熱膨張係数についても以下の予測式から求める。
Figure 0005332436
ここで、α:支持体の温度膨張係数[ppm/℃]、α:ポリエステルフィルムの膨張係数[ppm/℃]E:ポリエステルフィルムのヤング率[GPa]、φ:全支持体厚みに対するポリエステルフィルムの厚み比率、αMa:Ma層の膨張係数[ppm/℃]、Ea:Ma層のヤング率[GPa]、φMa:全支持体に対するMa層の厚み比率である。
本発明の支持体のMa層とMb層の厚みの和(T)は、20〜100nmであることが好ましい。より好ましくは、30〜100nmであり、さらに好ましくは、40〜90nmである。Tが本発明の範囲よりも薄いと磁気テープとしたときの幅方向の寸法安定性が悪化しやすい。また、Tが本発明の範囲よりも厚くなると、磁気テープの製造工程で発生する湾曲制御力が低下し、磁気ヘッドとの接触性が悪化する場合があり、良好な電磁変換特性を得られなくなることがある。
本発明のMb層の厚みは、Ma層側が凸状に湾曲するのを促進し、磁気ヘッドとの接触性を向上させる観点から、50nm以下に設定することが好ましい。Mb層の厚みが本願の範囲を超えると、Ma層側が凸状に湾曲しなかったり、逆に、Mb層側が凸状に湾曲する場合がある。
本発明のMa層の厚みは、特に限定されないが50nm以上に設定すると、表面抵抗が低い、つまり酸化度が小さいMa層による延性効果とMa層の厚みによる補強効果との相乗効果により高温クラック耐久性が良好となりより好ましい。
本発明の支持体に用いるポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーであることが好ましい。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
本発明の支持体に用いるポリエステルとしては、強度、耐熱性、生産性の観点からポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。また、これらの共重合体、および変性体でもよく、他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイでもよい。特に、ポリエステル樹脂とポリイミド系樹脂のポリマーアロイは混合割合によって耐熱性(ガラス転移温度)を制御できるため、使用条件に合わせたポリマー設計ができるため好ましい。
本発明の支持体に用いるポリエステルフィルムは、2層以上の積層構成であることが好ましい。特に、磁気記録媒体用途に用いるため、表裏の表面には、優れた電磁変換特性を得るための平滑な表面と、製膜・加工工程での搬送や、磁気テープの走行性や走行耐久性を付与するために比較的粗い表面粗さの表面形態が求められる。この意味でも、フィルムは2層以上の積層構成であることが好ましい。
本発明の支持体に用いるポリエステルフィルムは、フィルム表面に易滑性や耐摩耗性、耐スクラッチ性などを付与するために特に限定されないが、無機粒子、有機粒子、いずれも用いることができる。もちろん、1種類の粒子でも、2種類以上の粒子を併用してもかまわない。具体的な種類としては、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ珪酸塩、カオリン、タルク、モンモリロナイト、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、シリコーン、イミド等を構成成分とする有機粒子などが添加されてもよい。
含有される上記不活性粒子の平均粒径としては、所望の両M層の表面粗さRaを得、かつ、磁気記録媒体として優れた電磁変換特性を得るために、0.01〜0.8μm、特に、0.02〜0.3μmの粒径を有することが好ましい。なお、粒径の異なる2種類以上の不活性粒子を含有する場合は、それぞれの平均粒径(測定方法は後述)が全て上記範囲内であることが好ましい。
不活性粒子の含有量は、フィルム全体として5質量%以下、好ましくは0.05〜3質量%の範囲内であることが好ましい。
本発明の支持体は、本発明を阻害しない範囲内で各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、などが添加されてもよい。
本発明の支持体は必要に応じて、熱処理、マイクロ波加熱、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工、エッチング、紫外線照射などの任意の加工を行ってもよい。
本発明の支持体の全光線透過率は、20〜78%であることが好ましい。78%より高い場合、酸化が進みすぎているため、M層が硬く脆くなり、張力や湾曲によってクラックを生じやすくなる傾向にある。全光線透過率が20%未満では、磁性層形成時に厚み管理が不可能となりやすい。全光線透過率の下限は、より好ましくは25%である。一方、上限は70%がより好ましく、さらに好ましくは60%である。
本発明の支持体は、Ma層の表面粗さRaが0.3nm〜10nmであることが好ましい。好ましくはRaが0.5nm〜8nmである。Raが0.3nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こす場合がある。また、磁気テープとして用いる場合に、磁気ヘッドとの摩擦が大きくなり、磁気テープ特性が低下しやすくなる。表面粗さRaが10nmより大きくなると、高密度記録の磁気テープとして用いる場合に、磁性面側が粗くなり、電磁変換特性が低下する傾向にある。
本発明の支持体のMb層の表面粗さRaは、5〜20nmであることが好ましい。Raが5nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルが起こりやすくなる。また、磁気テープとして用いる場合に、ガイドロールとの摩擦が大きくなり、テープ走行性や走行耐久性が低下しやすい。また、表面粗さRaが20nmより大きい場合は、フィルムロールやパンケーキとして保存する際に、表面突起が反対側の表面に転写し、電磁変換特性が低下する傾向がある。さらに、蒸着工程において、2面目のMa層の蒸着時にMb層と冷却キャンの密着性が著しく低下することによって熱負けを起こす場合がある。その結果、フィルム破れが発生しやすい。工程安定性および電磁変換特性の観点から、Mb層の表面粗さRaは、5〜15nmであることが好ましい。
本発明の支持体は、幅方向のヤング率が7〜12GPaであることが好ましい。さらに好ましくは7〜12GPaである。7GPaより小さい場合、テープドライブ内での長手方向への張力によって長手方向に伸び、この伸び変形により幅方向に収縮し、記録トラックずれという問題が発生しやすい。12GPaより大きい場合、テープ破断が起こり易くなる場合がある。また、長手方向のヤング率が不足しがちになる。
本発明の支持体は、長手方向のヤング率が7〜12GPaであることが好ましい。さらに好ましくは7.5〜10GPaである。7GPaより小さい場合、テープドライブ内での長手方向への張力によって、テープが長手方向に伸びると同時に、テープが幅方向に収縮し、幅方向の寸法安定性が悪化するために記録トラックずれという問題が発生しやすい。12GPaより大きい場合、テープ破断が起こり易く、また、幅方向のヤング率が不足する傾向にある。
なお、本発明において、支持体の長手方向とはポリエステルフィルムの長手方向と同じ方向を指し(MD方向とも呼ばれる)、一般にフィルムの製膜方向のことをいう。また、支持体の幅方向とはポリエステルフィルムの幅方向と同じ方向を指し(TD方向とも呼ばれる)、上記長手方向と直角の方向をいう。
本発明の支持体に用いるポリエステルフィルムの製造方法は、ポリエステルのペレットを押出機を用いた溶融押出により口金から吐出し、吐出されたポリマーを冷却固化させてシート状に成形することが好ましい。その際、繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過することが、ポリマー中の未溶融物を除去し、粗大突起のないフィルムを得ることができ好ましい。
本発明の支持体に用いるポリエステルフィルムの延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行うなどの逐次二軸延伸法や、同時二軸テンター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが包含される。
以下、本発明の支持体の製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)をポリエステルとして用いた例を代表例として説明する。もちろん、本願はPETに限定されるものではなく、他のポリマー、例えばガラス転移温度や融点の高いポリマーなどを用いる場合は、以下に示す温度よりも高温で押出や延伸を行うなど、適宜調整を行い支持体を製造することが可能である。
まず、ポリエチレンテレフタレートを例にしてポリエステルの製造方法を説明する。
本発明で使用するポリエチレンテレフタレートは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。ここで、エステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。
また、フィルムを構成するポリエステルに不活性粒子を含有させる場合には、エチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。不活性粒子を添加する際には、例えば、不活性粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル状態の粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、不活性粒子の水スラリーを直接PETペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、PETに練り込む方法も有効である。不活性粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の不活性粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に不活性粒子を実質的に含有しないPETで希釈して不活性粒子の含有量を調節する方法が有効である。
得られたPETのペレットを、180℃で3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、280〜320℃に加熱された押出機に供給し、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。フィルムを積層する場合には、2台以上の押出機およびマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層する。
次に、この未延伸フィルムをたとえば同時二軸延伸テンターに導いて、長手および幅方向に同時に二軸延伸を行う。延伸速度は長手、幅方向ともに100〜20,000%/分の範囲で行うのが好ましい。より好ましくは、500〜10,000%/分、さらに好ましくは2,000〜7,000%/分である。延伸速度が100%/分よりも小さい場合には、フィルムが熱にさらされる時間が長くなるため、特にエッジ部分が結晶化して延伸破れの原因となり製膜性が低下したり、十分に分子配向が進まず、製造したフィルムのヤング率が低下することがある。また、20,000%/分よりも大きい場合には、延伸時点で分子間の絡み合いが生成しやすくなり、延伸性が低下して、高倍率の延伸が困難となることがある。
延伸温度は、用いるポリマーの種類によって異なるが、未延伸フィルムのガラス転移温度Tgを目安として決めることができる。長手方向および幅方向それぞれの1段目の延伸工程における温度は、Tg〜Tg+30℃の範囲であることが好ましく、より好ましくはTg+5℃〜Tg+20℃である。上記範囲より延伸温度が低い場合には、フィルム破れが多発して生産性が低下したり、再延伸性が低下して、高倍率に安定して延伸することが困難となることがある。また、上記範囲よりも延伸温度が高い場合には、特にエッジ部分が結晶化して延伸破れの原因となり製膜性が低下したり、十分に分子配向が進まず、製造したフィルムのヤング率が低下することがある。
そして、ポリエステルフィルムの製造工程が多段延伸、すなわち再延伸工程を含む場合、1段目の延伸温度は上述のとおりであるが、2段目の延伸温度はTg+40℃〜Tg+120℃が好ましく、さらに好ましくはTg+60℃〜Tg+100℃である。延伸温度が上記範囲を外れる場合には、熱量不足や結晶化の進みすぎによって、フィルム破れが多発して生産性が低下したり、十分に配向を高めることができず、強度が低下する場合がある。
一方、延伸倍率は、用いるポリマーの種類や延伸温度によって異なり、また多段延伸の場合も異なるが、総面積延伸倍率(総縦延伸倍率×総横延伸倍率)が、20〜40倍の範囲になるようにすることが好ましい。より好ましくは25〜35倍である。長手方向、幅方向の一方向の総延伸倍率としては、2.5〜8倍が好ましく、より好ましくは、3〜7倍である。延伸倍率が上記範囲より小さい場合には、延伸ムラなどが発生しフィルムの加工適性が低下することがある。また、延伸倍率が上記範囲より大きい場合には、延伸破れが多発して、生産性が低下する場合がある。
各方向に関して延伸を多段で行う場合、1段目の長手、幅方向それぞれにおける延伸倍率は、2.5〜5倍が好ましく、より好ましくは3〜4倍である。また、1段目における好ましい面積延伸倍率は8〜16倍であり、より好ましくは、9〜14倍である。これらの延伸倍率の値は、特に同時二軸延伸法を採用する場合に好適な値であるが、逐次二軸延伸法でも適用できる。
また、再延伸を行う場合の一方向における延伸倍率は、1.05〜2.5倍が好ましく、より好ましくは1.2〜1.8倍である。再延伸の面積延伸倍率としては、1.4〜4倍が好ましく、より好ましくは1.9〜3倍である。
続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱処理する。熱処理条件は、熱処理温度は、150℃〜230℃が好ましく、熱処理時間は0.5〜10秒の範囲で行うのが好ましい。熱処理工程を2段階以上の多段階で行うことが好ましく、特に、1段目の熱処理温度を好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは190〜220℃に設定して、2段目の熱処理温度を1段目より低温にして、好ましくは150〜200℃、さらに好ましくは150〜180℃に設定する。さらに、2段目の熱処理工程のみを幅方向に1〜5%の弛緩率で弛緩処理するとさらに好ましい。上述の多段階の熱処理工程によると、ヤング率や温度・湿度変化に対する寸法安定性を高めつつ、分子鎖緩和が効果的に進行するので、本発明の効果である荷重が負荷された状態で保存したときの寸法変化を表す保存安定性を高めやすくなる。
その後、フィルムエッジを除去し、ロールに巻き取る。そして、フィルムをコアに巻いた状態(ロール状フィルム)で、熱風オーブンなどで加熱処理することは好ましい。このロール状フィルムの加熱処理は2段階以上の多段階で行う。加熱処理の雰囲気温度は、二軸延伸フィルムのガラス転移温度(Tg)を目安にして決定することができ、(Tg−80)〜(Tg−30)℃の範囲、より好ましくは(Tg−75)〜(Tg−35)℃の範囲、さらに好ましくは(Tg−70)〜(Tg−40)℃の範囲である。好ましい処理時間は、10〜360時間の範囲、より好ましくは24〜240時間の範囲、さらに好ましくは72〜168時間である。多段階で行うロール状フィルムの加熱処理の合計時間が上記範囲内となるようにすることが好ましい。
次に、上記のようにして得られたPETフィルムの両面に金属系酸化物を含む層(M層)を設ける方法を説明する。
PETフィルム表面にM層を形成するには、たとえば図2に示すような真空蒸着装置を用いる。この真空蒸着装置11においては、真空チャンバ12の内部をポリエステルフィルム14が巻出しロール部13からガイドロール15を介し冷却ドラム16を経て巻取りロール部18へと走行する。そのときに、蒸着チャンバ17内に設置されたるつぼ23内の金属材料19を、電子銃20から照射した電子ビーム21で加熱蒸発させるとともに、酸素ガスボンベ22から酸素供給ノズル24a(巻出側酸素供給ノズル)および24b(巻取側酸素供給ノズル)を通じて酸素ガスを導入し、蒸発した金属を酸化反応させながら冷却ドラム16上のポリエステルフィルムに蒸着する。蒸着部はマスク26により適宜制御される。本発明は両面にM層が必要なため、片方の表面(1面目)に金属系酸化物を蒸着した後巻取りロール部18から片面蒸着ポリエステルフィルムを取り外し、それを巻出しロール部13にセットし同じように反対側の表面(2面目)に金属系酸化物を蒸着する。なお、この真空蒸着装置11は、表面抵抗率を容易に制御できるように、酸素供給ノズルを蒸着源であるるつぼ23の前後、すなわち巻出側酸素供給ノズル24aと巻取側酸素供給ノズル24bとをそれぞれ巻出側と巻取側に配置し、さらに、酸素供給ノズルは、ガス流量制御装置25により流量が制御されると共に、高さを適宜調節できる仕組みとなっている。また、酸素供給ノズルは、金属蒸気と酸素ガスとが同じ方向に流れるように吹き出し口が設定されている。この時、吹き出し口から噴射される酸素ガスの直進方向27と冷却キャンの下部頂点Aを接点とする接線28とがなす角度θが45°〜80°となるようにノズルの角度を調節すると、酸素ガスによる金属蒸気の飛散に乱れを生じることなく、緻密で均質なM層を形成できる(図3参照)。酸素ガス供給ノズルの高さは、フィルムとの距離が近くなるほど、急激な酸化反応熱の影響でフィルムが熱負けする場合があるため、酸素吹き出し口と冷却キャンの下部頂点とを結ぶ直線距離29は、冷却キャンとその直下に配置しているルツボとの距離30の1/5以下とならない位置にノズルの高さを調節する。
ここで、真空チャンバ12の内部は1.0×10−8〜1.0×10Paに減圧することが好ましい。さらに緻密で劣化部分の少ないM層を形成させるためには、1.0×10−6〜1.0×10−1Paに減圧することが好ましい。
冷却ドラム16は、その表面温度を−40〜−15℃の範囲内にすることが好ましい。より好ましくは−30〜−20℃である。また、2面目のMa層の蒸着時においては、冷却ドラムの表面温度はー40〜−30℃とすることが湾曲制御の点から好ましい。
電子ビーム21は、その出力が2.0〜8.0kWの範囲内のもので行うのが好ましい。より好ましくは3.0〜7.0kW、さらに好ましくは4.0〜6.0kWの範囲内である。なお、直接ルツボを加熱することで金属材料19を加熱蒸発させてもよい。
酸素ガスは、ガス流量制御装置25を用いて0.5〜10L/minの流量で真空チャンバ12内部に導入する。Ma層形成時では0.5〜4.5L/min、Mb層形成時では4.5〜10L/minである。また、巻出側の酸素導入量を巻取側の酸素導入量よりも大きくすると、フィルムとM層の界面近傍の酸素濃度が、M層の表面側よりも比較的濃くなり、効率よく酸化が促進され、所望の酸素濃度と表面抵抗率を得ることができる。
真空チャンバ12の内部におけるポリエステルフィルムの搬送速度は20〜200m/minが好ましい。より好ましくは30〜100m/min、さらに好ましくは40〜80m/minである。搬送速度が20m/minより遅い場合、上記のようなM層厚みに制御するためには金属の蒸発量をかなり小さくする必要がある。そのため、酸素ガス導入量も減らす必要がでてくるために、酸化度の制御が非常に難しくなる。搬送速度が200m/minより速くなると、冷却ドラムとの接触時間が短くなるため熱による破れやシワが発生し、生産性が低下する傾向がある。また、金属蒸気と酸素ガスとが不充分な反応状態で成膜されやすく、酸化度の制御が難しくなる場合がある。
真空チャンバ12の内部におけるポリエステルフィルムの搬送張力は50〜150N/mが好ましい。より好ましくは70〜120N/m、さらに好ましくは80〜100N/mである。ただし、2面目の蒸着時には搬送張力を1面目より弱めることが好ましい。2面目の搬送張力は1面目の搬送張力より5〜30N/m低いことが好ましく、より好ましくは7〜25N/m低く、さらに好ましくは10〜20N/m低いことが好ましい。これは、1面目の蒸着時にポリエステルフィルムが熱負荷を受け収縮しようとする力を失うため、2面目の蒸着時に1面目と同様の搬送張力で走行させると、熱による破れやシワが発生し、生産性が損なわれる傾向があるからである。さらに、ポリエステルフィルムの表面粗さが面によって異なる場合は、先に粗い方の面を蒸着することが好ましい。これは2面目蒸着時に冷却ドラムへの密着性を高めるためである。蒸着は片面ずつ行っても良いし、両面を1工程で行っても良い。
蒸着後、M層を安定化させ、緻密性を高めるためには、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを巻き返すことが好ましい。特に、加湿巻き返しを行うことが水蒸気とM層が接触する機会が長くなるため好ましい。20〜50℃の温度で1〜3日間エージングすることが好ましく、さらに好ましくは湿度60%以上の結露しない程度の環境下でエージングすることが好ましい。
磁気記録媒体の製法としては、例えば、次に説明する方法を用いることができる。まず、0.1〜3m幅にスリットした磁気記録媒体用支持体を、張力10〜30kg/mで搬送させ、支持体の磁性層面側に磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布(上層は磁性塗料で、塗布厚0.1μm、非磁性下層の厚みは適宜変化させる)し、磁気配向させ、乾燥温度100℃で乾燥させる。次いで非磁性層面側にバックコートを塗布し、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度70〜100℃、線圧100〜300kg/cmでカレンダー処理した後、巻き取る。上記テープ原反を1/2インチ幅にスリットし、パンケーキを作製し、次いで、このパンケーキから特定の長さ分をカセットに組み込んで、カセットテープ型磁気記録媒体とする。ここで、磁性塗料などの組成は例えば以下のような組成が挙げられるが、これに限定されるものではない。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 : 100質量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 10質量部
・変成ポリウレタン : 10質量部
・ポリイソシアネート : 5質量部
・ステアリン酸 : 1.5質量部
・オレイン酸 : 1質量部
・カーボンブラック : 1質量部
・αアルミナ : 10質量部
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
(非磁性塗料の組成)
・変成ポリウレタン : 10質量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 10質重量部
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量
・トルエン : 75質量部
・ポリイソシアネート : 5質量部
・ステアリン酸 : 1.5質量部
・オレイン酸 : 1質量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95質量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm): 10質量部
・αアルミナ : 0.1質量部
・変成ポリウレタン : 20質量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 30質量部
・シクロヘキサノン : 200質量部
・メチルエチルケトン : 300質量部
・トルエン : 100質量部
また、磁気記録媒体の具体的な用途としては、例えば、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバックアップ用途や映像などのデジタル画像の記録用途などに好適に用いることができる。
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
(1)M層の組成分析(酸素濃度)
下記条件にて、深さ方向の組成分析を行う。炭素濃度が50at.%を超える深さをM層とポリエステルフィルムとの界面とし、表層から界面までを等分に5分割し、それぞれの区間の中央点を測定点として組成分析を行う。得られた各測定点の組成から平均値を算出し、本発明における平均組成とする。
測定装置:X線光電子分光機 Quantera−SXM 米国PHI社製
励起X線:monochromatic AlKα1,2線(1486.6eV)
X線径 :100[μm]
光電子脱出角度:45°
ラスター領域:2×2[mm]
Arイオンエッチング: 2.0[kV] 1.5×10−7[Torr]
スパッタ速度:3.68nm/min(SiO換算値)
データ処理:9−point smoothing
ピークの結合エネルギー値から元素情報が得られ、各ピークの面積比を用いて組成を定量化(at.%)する。
(2)フィルムおよびM層の厚み
下記条件にて断面観察を場所を変えて10視野行い、得られた厚み[nm]の平均値を算出し、フィルム厚みおよびM層の厚み[nm]とする。
測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H−7100FA型
測定条件:加速電圧 100kV
測定倍率:20万倍
試料調整:超薄膜切片法
観察面 :TD−ZD断面(TD:幅方向、ZD:厚み方向)
測定回数:1視野につき3点、10視野を測定する。
(3)表面抵抗率
表面抵抗率の範囲によって、測定可能な装置が異なるため、まずi)の方法で支持体の測定を行い、表面抵抗率が低すぎて測定不可能なサンプルをii)の方法で測定する。5回の測定結果の平均値を本発明における表面抵抗率とする。
i)高抵抗率測定 JIS−C2151(1990年)に準拠し、下記測定装置を用いて測定する。
・測定装置:デジタル超高抵抗/微小電流計R8340 アドバンテスト(株)製
・印加電圧:100V
・印加時間:10秒間
・測定単位:Ω
・測定環境:温度23℃湿度65%RH
・測定回数:5回測定する。
ii)低抵抗率測定
JIS−K7194(1994年)に準拠し、下記測定装置を用いて測定する。
・測定装置:ロレスターEP MCP−T360 三菱化学製
・測定環境:温度23℃湿度65%RH
・測定回数:5回測定する。
(4)全光線透過率
JIS−K7105(1981年)に準拠し、下記測定装置を用いて測定する。支持体中央部について長手方向に5箇所透過率を測定し測定結果の平均値を本発明における全光線透過率とする。
測定装置:日本電色工業(株)社製 濁度計 NDH5000
光源 :ハロゲンランプ12V、50W
受光特性:395〜745nm
測定環境:温度23℃湿度65%RH
測定回数:5回測定する。
(5)表面粗さRa
原子間力顕微鏡を用いて、場所を変えて20視野測定を行った。得られた画像について、三次元面粗さをOff-Line機能のRoughness Analysisにて算出し、中心線平均粗さRaを測定した。条件は下記のとおりである。
測定装置 :NanoScope III AFM(Digital Instruments社製)
カンチレバー:シリコン単結晶
走査モード :タッピングモード
走査範囲 :30μm□
走査速度 :0.5Hz
Flatten Auto :オーダー3
(6)ヤング率
ASTM−D882(1997年)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件とした。
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置
“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm、
引張り速度:200mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
(7)Ma層のヤング率
下記式より各M層のヤング率をそれぞれ求めた。
Figure 0005332436
ここで、E:支持体のヤング率[GPa]、E:ポリエステルフィルムのヤング率[GPa]、Ea:Ma層のヤング率[GPa]、T:ポリエステルフィルムの厚み[μm]、Ta:Ma層の厚み[μm]である。
なお、両面にM層が形成されている支持体は、1Nの塩酸に30分浸積させて両面のM層を剥離しポリエステルフィルムのヤング率Eを求めた。また、別に、Mb層のみを剥離した支持体を得るために、綿棒にフッ化水素酸を染込ませ、支持体に力が加わらないよう注意しながらMb層のみを剥離し上記(6)の記載に従ってヤング率を計測し、これを支持体のヤング率Eとして上記の式に代入しMa層のヤング率を計測する。同様の方法で、反対のMb層のヤング率も計測することができる。
この時、サンプルサイズの方向は長手方向、幅方向いずれでも構わないが、支持体とポリエステルフィルムで異ならないように統一し、さらに、長手方向と幅方向でMa層のヤング率が異なる場合は、いずれか大きい値をMa層のヤング率とする。
(8)温度膨張係数
下記条件にて前処理を行ない、再度23℃から50℃まで、上記昇温レートにて昇温し、その時の30℃から40℃でのフィルムの変化量ΔL[μm]を測定し、下記式から支持体の温度膨張係数[ppm/℃]を算出した。
測定装置:真空理工(株)製TMA TM−3000、加熱制御部TA−1500
試料サイズ:幅4mm×試長間15mm
荷重:0.5g
試料前処理温度:23℃→50℃→23℃
昇温速度 :1℃/分
測定温度 :23℃→50℃
温度膨張係数[ppm/℃]=10×{(ΔL/(15×10))/(40−30)}
(9)Ma層の温度膨張係数
下記式より各M層の温度膨張係数をそれぞれ求めた。
Figure 0005332436
ここで、α:支持体の温度膨張係数[ppm/℃]、α:ポリエステルフィルムの膨張係数[ppm/℃]E:ポリエステルフィルムのヤング率[GPa]、φ:全支持体厚みに対するポリエステルフィルムの厚み比率、αMa:Ma層の膨張係数[ppm/℃]、Ea:Ma層のヤング率[GPa]、φMa:全支持体に対するMa層の厚み比率である。
なお、両面にM層が形成されている支持体は、1Nの塩酸に30分浸積させて両面のM層を剥離した後、上記(8)に記載の通り温度膨張係数を計測し、これをポリエステルフィルムの温度膨張係数αとした。引き続いて、塩酸を染込ませた綿棒等で、支持体に力が掛からないように注意しながらMb層のみを剥離した支持体を、上記(8)の方法で支持体の温度膨張係数αを求めた。上記の式にそれぞれ代入しMa層の温度膨張係数を計測する。同様の方法で、反対のMb層の温度膨張係数も計測することができる。
この時、サンプルサイズの方向は長手方向、幅方向いずれでも構わないが、支持体とポリエステルフィルムで異ならないように統一し、さらに、長手方向と幅方向でMa層の温度膨張係数が異なる場合は、いずれか大きい値をMa層の温度膨張係数率とする。
(10)粒子の平均粒径(分散径)
フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1万倍で観察する。この時、写真上で1cm以下の粒子が確認できた場合はTEM観察倍率をさらに高倍率、5〜10万倍の倍率で観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて100視野以上測定する。測定した等価円相当径の平均を不活性粒子の平均粒径とした。
フィルム中に粒径の異なる2種類以上の粒子が存在する場合、上記の等価円相当径の個数分布が2個以上のピークを有する分布となる。この場合は、それぞれのピーク値をそれぞれの粒子の平均粒径とする。
(11)粒子の含有量
ポリマー1gを1N−KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し、ポリマーを溶解した。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、ついで該液体を遠心分離器にかけて粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、その質量を量ることで粒子の含有量を算出した。

装置 :ブルカー社製BRUKER DRX-500
溶媒 :HFIP/重クロロホルム
観測周波数 :499.8MHz
基準 :TMS(テトラメチルシラン)(0ppm)
測定温度 :30℃
観測幅 :10KHz
データ点 :64K
acquisition time :4.952秒
pulse delay time:3.048秒
積算回数 :256回
(12)ガラス転移温度(Tg)およびポリエステルの融解温度(Tm)
下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121(1987年)に従って決定した。
装置 :TA Instrument社製温度変調DSC
測定条件:
加熱温度 :270〜570K(RCS冷却法)
温度校正 :高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5K
試料重量 :5mg
試料容器 :アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器 :アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度は下記式により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
(13)幅方向の寸法測定
1m幅にスリットした支持体を、張力20kg/mで搬送させ、支持体のMa層上に下記組成の磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布し(上層が磁性塗料で、塗布厚0.2μm、下層が非磁性塗料で塗布厚0.9μm)、磁気配向させ、乾燥温度100℃で乾燥させる。次いで反対側のMb層上に下記組成のバックコートを塗布した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧200kg/cmでカレンダー処理した後、巻き取る。上記テープ原反を1/2インチ(1.27cm)幅にスリットし、パンケーキを作成する。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで、カセットテープとする。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 : 100質量部
〔Fe:Co:Ni:Al:Y:Ca=70:24:1:2:2:1(質量比)〕
〔長軸長:0.09μm、軸比:6、保磁力:153kA/m(1,922Oe)、飽和磁化:146Am /kg(146emu/g)、BET比表面積:53m /g、X線粒径:15nm〕
・変成塩化ビニル共重合体(結合剤) : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・変成ポリウレタン(結合剤) : 10質量部
(数平均分子量:25,000,スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・ポリイソシアネート(硬化剤) : 5質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(商品名))
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部
・カーボンブラック(帯電防止剤) : 1質量部
(平均一次粒子径:0.018μm)
・アルミナ(研磨剤) : 10質量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
(非磁性塗料の組成)
・変成ポリウレタン : 10質量部
(数平均分子量:25,000,スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
・ポリイソシアネート : 5質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(商品名))
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック : 95質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.018μm)
・カーボンブラック : 10質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.3μm)
・アルミナ : 0.1質量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・変成ポリウレタン : 20質量部
(数平均分子量:25,000,スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 30質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・シクロヘキサノン : 200質量部
・メチルエチルケトン : 300質量部
・トルエン : 100質量部
カセットテープのカートリッジからテープを取り出し、下記恒温恒湿槽内へ図1のように作製したシート幅測定装置を入れ、幅寸法測定を行う。なお、図1に示すシート幅測定装置は、レーザーを使って幅方向の寸法を測定する装置で、磁気テープ9をフリーロール5〜8上にセットしつつ荷重検出器3に固定し、端部に荷重となる分銅4を吊す。この磁気テープ9にレーザー光10を発振すると、レーザー発振器1から幅方向に線状に発振されたレーザー光10が磁気テープ9の部分だけ遮られ、受光部2に入り、その遮られたレーザーの幅が磁気テープの幅として測定される。3回の測定結果の平均値を本発明における幅とする。
測定装置:(株)アヤハエンジニアリング社製シート幅測定装置
レーザー発振器1、受光部2:レーザー寸法測定機 キーエンス社製LS−5040
荷重検出器3:ロードセル NMB社製CBE1−10K
恒温恒湿槽:(株)カトー社製SE−25VL−A
荷重4:分銅(長手方向)
試料サイズ:幅1/2inch×長さ250mm
保持時間:5時間
測定回数:3回測定する。
(幅寸法変化率)
2つの条件でそれぞれ幅寸法(l、l)を測定し、次式にて寸法変化率を算出する。次の基準で寸法安定性を評価する。×を不合格とする。
A条件:10℃10%RH 張力1.0N
B条件:29℃80%RH 張力0.6N
幅寸法変化率[ppm]=10×((l−l)/l
優 :幅寸法変化率が0[ppm]以上500[ppm]未満
良 :幅寸法変化率が500[ppm]以上700[ppm]未満
不良:幅寸法変化率が700[ppm]以上
(14)熱負け
支持体の裏面(Mb層側)から可視光を当てて、Ma層側を目視にて観察し、下記の判断で評価した。
優 :蒸着時の熱負けによる表面欠点がない。
良 :長さが10mm以下の表面欠点がある(長さが10mmを超える表面欠点は存在しない)。
不良:長さが10mmを超える表面欠点がある。
(15)湾曲(カッピング)
i)支持体の湾曲
長手方向150mm×幅方向50mmにカットした支持体の一方の端部を、Mb層側が上になるようにセロハンテープで紙に貼り付け、支持体の湾曲の様子を下記の通り判断した。
優 :Ma層側に凸に湾曲(カール)する。
良 :湾曲(カール)しない。
不良:Mb層側に凸に湾曲(カール)する。
ii)磁気テープの湾曲
上記(13)で作成した磁気テープを、長さ20mm切出し、上が磁性層となるように平坦なガラス板上に静置して、磁気テープの幅方向の中央部とガラス表面との間隙を10回測定し、その平均値を下記の判定に従って評価した。
優 :磁性層側に凸に湾曲し、磁気テープとガラス板との間隙が1mm未満である。
良 :間隙が認められない(凸に凹にも湾曲していない)。
不良:磁性層側に凸に湾曲し、磁気テープとガラス板との間隙が1mm以上である。
もしくは、磁性層側が凹状に湾曲する。
(16)電磁変換特性(電特)
上記(13)で作製したカセットテープを、市販のIBM社製LTOドライブ3580−L11を用いて23℃50%RHの環境で記録・再生(記録波長0.55μm)することで評価した。なお、比較例1のC/N値を基準として、下記に従って判定し、○以上のものがヘッドとの密着性が良好と判断した。
◎ :1.0dB以上のもの
○ :0dB以上〜1.0dB未満のもの
△ :−1.0dB以上〜0dB未満のもの
× :−1.0dB未満のもの
(17)高温クラック耐久性
引張試験機を使用し、ある特定の伸び量で引張った後、微分干渉顕微鏡にて表面状態を観察する。条件は下記のとおりとする。なお、△または○を実質的に使用可能なフィルムと判断する。
引張試験機
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“UCT−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm、
引張り速度:10%/分
引張り張力:1N,2Nの2点で実施(所定の張力になった時点で引っ張り試験機を停止させる)
測定環境:温度100℃
微分干渉顕微鏡
測定装置:ライカDMLB HC ライカマイクロシステムズ(株)製
観察倍率:1,000倍
○:張力2Nでクラックが発生しなかった場合
△:張力1Nでクラックが発生しなかったが、張力2Nでクラックが発生した場合
×:張力1Nでクラックが発生した場合
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。なお、ここでポリエチレンテレフタレートをPET、ポリエーテルイミドをPEIと表記する。
(実施例1)
テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部に、酢酸マグネシウム4水塩0.1質量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチル0.05質量部のエチレングリコール溶液、および三酸化アンチモン0.05質量部を加えて5分間撹拌した後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。3時間重合反応させ所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.68の無粒子のPETペレット1を得た。
同様にして、エチレングリコールに不活性粒子として球状シリカ(平均粒径:60nm)を含有したエチレングリコールスラリーを用いて、粒子含有量2質量%の固有粘度0.68のPETペレット2(A面:磁性面側)、球状架橋ポリスチレン(平均粒径:0.3μm)を2質量%含有した、固有粘度0.68のPETペレット3(B面:走行面側)、また、球状架橋ポリスチレン(平均粒径:0.8μm)を1質量%含有した、固有粘度0.68のPETペレット4(B面:走行面側)をそれぞれ得た。
さらに、300℃に加熱されたニーディングパドル混練部を3箇所設けた同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機(日本製鋼所製、L/D(スクリュー長さL/スクリュ−直径D)=45.5)に、上記により得られたPETペレット1を50質量%とGE Plastics社製のポリエーテルイミド“Ultem1010”(固有粘度0.68)のペレット50質量%を供給し、スクリュー回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出、温度25℃の水にて冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップ(I)を作製した。
押出機A、B2台を用い、280℃に加熱された押出機Aには、上記で得られたブレンドチップ(I)、PETペレット1とPETペレット2をPEI含有量が5質量%、球形シリカ粒子濃度が0.2質量%の配合量となるように混合したペレット(A面側)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく280℃に加熱された押出機Bには、上記により得られたブレンドチップ(I),PETペレット1,3および4を、PEI含有量が5質量%、平均粒径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子が0.15質量%、さらに平均粒径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子が0.01質量%となるよう混合したペレット(B面側)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比A/B=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この未延伸フィルムを、リニアーモーター式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度100℃、延伸速度6,000%にて3.3×3.4倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて温度170℃にて長手方向および幅方向に同時に1.3×1.5倍再延伸した。長手方向および幅方向共に1MPaの定張力下にて、温度200℃で5秒間熱処理した後、長手方向に定長下にて、幅方向に5%の弛緩処理を行いながら150℃で1秒、続いて100℃で2秒間徐冷し、厚み約5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製し、ロール状に巻き取った。
次に、真空蒸着装置内に設置されたフィルム走行装置に、得られたポリエステルフィルムをセットし、1.50×10−3Paの減圧度にした後に、−20℃の冷却金属ドラムを介してポリエステルフィルムを搬送速度60m/min、搬送張力100N/mで走行させた。このとき、図2のような配置でルツボの前後に配置したそれぞれの酸素供給ノズルの角度θ(酸素供給ノズル吹き出し口から導入された酸素ガスの直進方向と冷却キャンの下部頂点Aを接点とする接線との交点の角度(図3参照))が60°、ノズルの吹き出し口と冷却キャンの下部頂点Aとを結ぶ直線距離がルツボ−冷却キャン距離の4/5(図3参照)となるよう角度と高さをそれぞれ調節し、巻出側の酸素導入量3L/分、巻取り側の酸素導入量1.6L/分に調節し、純度99.99%のAlを電子ビーム(出力4.5kV)で加熱蒸発させ、酸化アルミの蒸着薄膜層(厚み30nm)をフィルムのB面に形成して巻取った。次にA面を蒸着する。冷却金属ドラムの表面温度を−35℃、搬送速度を45m/min、搬送張力を70N/m、巻出側の酸素導入量2.8L/分、巻取り側の酸素導入量1.8L/分に変更して酸化アルミの蒸着薄膜を厚み40nmとなるようにしたこと以外は同様に蒸着し巻取った。
蒸着後、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを30℃80%RHの雰囲気中で巻き返し、その後30℃80%RHの雰囲気中で12日間エージングして、記録媒体用支持体を得た。この記録媒体用支持体の特性については、表1、2で示した通りであり、磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
参考例2)
実施例1と同様の方法で延伸条件を変更して、厚み6μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムを真空蒸着機装置内にセットし、Mb層の蒸着時の巻出側の酸素導入量3.4L/分、巻取り側の酸素導入量2.3L/分に調節し、フィルム搬送速度を30m/min、搬送張力90N/mに変更した。さらに、Ma層の蒸着時のフィルム搬送速度を30m/min、搬送張力70N/mに変更した以外は実施例1と同様にして表1に示す記録媒体用支持体を得た。
参考例3)
実施例1と同様の方法で延伸条件を変更して、厚み4.5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムを真空蒸着機装置内にセットし、Mb層の蒸着時の巻出側の酸素導入量3.2L/分、巻取り側の酸素導入量2L/分に調節し、フィルム搬送速度を90m/minに変更した。さらに、Ma層の蒸着時の巻出側の酸素導入量2.8L/分、巻取り側の酸素導入量1.3L/分に変更した以外は実施例1と同様にして表1に示す記録媒体用支持体を得た。
参考例4)
実施例1と同様の方法で延伸倍条件を変更して、厚み5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムを真空蒸着機装置内にセットし、Mb層の蒸着時の巻出側の酸素導入量3.5L/分、巻取り側の酸素導入量2.3L/分に調節し、フィルム搬送速度を90m/minに変更した。さらに、Ma層の蒸着時の巻出側の酸素導入量3L/分、巻取り側の酸素導入量1.3L/分、フィルム搬送速度を60m/minに変更した以外は実施例1と同様にして表1に示す記録媒体用支持体を得た。
参考例5)
実施例1と同様の方法で延伸条件を変更して、厚み5.3μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムを真空蒸着機装置内にセットし、Mb層の蒸着時の巻出側の酸素導入量4L/分、巻取り側の酸素導入量2.7L/分に調節し、フィルム搬送速度を30m/minに変更した。さらに、Ma層の蒸着時の巻出側の酸素導入量2.3L/分、巻取り側の酸素導入量1L/分、フィルム搬送速度を45m/minに変更した以外は実施例1と同様にして表1に示す記録媒体用支持体を得た。
参考例6)
実施例1と同様の方法で延伸条件を変更して、厚み4.5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムを真空蒸着機装置内にセットし、Mb層の蒸着時の巻出側の酸素導入量3.2L/分、巻取り側の酸素導入量2.1L/分に調節し、フィルム搬送速度を90m/minに変更した。さらに、Ma層の蒸着時の巻出側の酸素導入量1.1L/分、巻取り側の酸素導入量0.4L/分、フィルム搬送速度を180m/minに変更した以外は実施例1と同様にして表1に示す記録媒体用支持体を得た。
(実施例7)
実施例1と同様の方法で延伸条件を変更して、厚み4.5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムを真空蒸着機装置内にセットし、Mb層の蒸着時の巻出側の酸素導入量3.2L/分、巻取り側の酸素導入量2.1L/分に調節し、フィルム搬送速度を180m/minに変更した。さらに、Ma層の蒸着時のフィルム搬送速度を180m/minに変更した以外は実施例1と同様にして表1に示す記録媒体用支持体を得た。
参考例8)
実施例1と同様の方法で延伸条件を変更して、厚み5.5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムを真空蒸着機装置内にセットし、実施例2と同様の条件でMb,Ma層を設け表1に示す磁気記録媒体用支持体を得た。
参考例9)
実施例1と同様の方法で延伸条件を変更して、厚み4.8μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムを真空蒸着機装置内にセットし、フィルムの搬送速度を38m/minに変更した以外は実施例1と同様の条件でMb,Ma層を設け表1に示す磁気記録媒体用支持体を得た。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で延伸条件を変更して、厚み4.5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムを真空蒸着機装置内にセットし、Mb層の蒸着時の巻出側の酸素導入量4L/分、巻取り側の酸素導入量1.7L/分に調節し、フィルム搬送速度を60m/minに変更した。さらに、Ma層の蒸着時の巻出側の酸素導入量5L/分、巻取り側の酸素導入量3L/分、フィルム搬送速度を45m/minに変更した以外は実施例1と同様にして表1に示す記録媒体用支持体を得た。
(比較例2)
実施例1と同様の方法で延伸条件を変更して、厚み4.5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムを真空蒸着機装置内にセットし、Mb層の蒸着時のフィルム搬送速度を45m/minに、さらに、Ma層の蒸着時のフィルム搬送速度を30m/minに変更した以外は実施例1と同様にして表1に示す記録媒体用支持体を得た。
(比較例3)
実施例1と同様の方法で延伸条件を変更して、厚み4.5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムを真空蒸着機装置内にセットし、Mb層の蒸着時の巻出側の酸素導入量1L/分、巻取り側の酸素導入量0.2L/分に調節し、フィルム搬送速度を45m/minに変更した以外は実施例1と同様にして表1に示す記録媒体用支持体を得た。
(比較例4)
実施例1と同様の方法で延伸条件を変更して、厚み5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムを真空蒸着機装置内にセットし、Mb層の蒸着時の酸素供給ノズルの吹き出し口と冷却キャンの下部頂点との角度を80°、ノズルと冷却キャン下部頂点との距離をルツボ−冷却キャン距離の2/5とし、巻出側の酸素導入量6.3L/分、巻取り側の酸素導入量4.3L/分に調節し、フィルム搬送速度を38m/minに変更した。さらに、Ma層の蒸着時の巻出側の酸素導入量4L/分、巻取り側の酸素導入量1.7L/分、フィルム搬送速度を38m/minに変更した以外は実施例1と同様にして表1に示す記録媒体用支持体を得た。
(比較例5)
実施例1と同様の方法で延伸条件を変更して、厚み4.5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムを真空蒸着機装置内にセットし、Mb層の蒸着時の巻出側の酸素導入量4L/分、巻取り側の酸素導入量1.7L/分に調節し、フィルム搬送速度を38m/minに変更した。また、Ma層は形成しないこと以外は実施例1と同様にして表1に示す記録媒体用支持体を得た。
(比較例6)
実施例1と同様の方法で延伸条件を変更して、厚み5.3μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムを真空蒸着機装置内にセットし、Mb層の蒸着時の巻出側の酸素導入量3.3L/分、巻取り側の酸素導入量2L/分に調節し、フィルム搬送速度を180m/minに変更した。さらに、Ma層の蒸着時の巻出側の酸素導入量2.8L/分、巻取り側の酸素導入量1.3L/分、フィルム搬送速度を180m/minに変更した以外は実施例1と同様にして表1に示す記録媒体用支持体を得た。
(比較例7)
実施例1と同様の方法で延伸条件を変更して、厚み5.3μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムを真空蒸着機装置内にセットし、Ma層の蒸着時の酸素供給ノズルの吹き出し口と冷却キャンの下部頂点との角度を40°、ノズルの高さが吹き出し口と冷却キャンの下部頂点とを結ぶ直線距離の1/6の高さとし巻出側の酸素導入量0.5L/分、巻取り側の酸素導入量0.3L/分、フィルム搬送速度を60m/minに変更した以外は実施例1と同様にして表1に示す記録媒体用支持体を得た。
Figure 0005332436
Figure 0005332436
本発明の支持体を製造する際に用いられるシート幅測定装置の模式図である。 本発明の支持体を製造する際に用いられる真空蒸着装置の模式図である。 図2の冷却キャンと酸素ガス導入管の角度決定のための模式図である。
符号の説明
1:レーザー発振器
2:受光部
3:荷重検出器
4:分銅(荷重)
5:フリーロール
6:フリーロール
7:フリーロール
8:フリーロール
9:磁気テープ
10:レーザー光
11:真空蒸着装置
12:真空チャンバ
13:巻出しロール部
14:ポリエステルフィルム
15:ガイドロール
16:冷却ドラム
17:蒸着チャンバ
18:巻取りロール部
19:金属材料
20:電子銃
21:電子ビーム
22:酸素ガスボンベ
23:るつぼ
24a:巻出側酸素ガス供給ノズル
24b:巻取り側酸素ガス供給ノズル
25:ガス流量制御装置
26:マスク
27:酸素供給ノズル吹き出し口から導入された酸素ガスの直進方向
28:冷却キャンの下部頂点を接点とする接線
29:ノズルの吹き出し口と冷却キャンの下部頂点Aとを結ぶ直線距離
30:ルツボ−冷却キャン距離
θ:酸素ガスの直進方向と冷却キャンとの角度
A:冷却キャンの下部頂点

Claims (7)

  1. ポリエステルフィルムの両面に金属系酸化物を含む層(M層)が設けられ、以下に規定する磁気テープとした際の湾曲が1mm未満である磁気記録媒体用支持体であって、M層の酸素濃度がいずれも45〜70at.%であり、ポリエステルフィルムの厚みをTとし、一方の面(面A)に設けられたM層(Ma層)の厚みと他方の面(面B)に設けられたM層(Mb層)の厚みの和をTMとしたとき、T/TMの値が71〜250であり、Ma層の表面抵抗率が1.0×103〜1.0×108Ωであり、Mb層の表面抵抗率が1.0×109〜1.0×1014Ωであり、かつ、Ma層の表面抵抗率がMb層よりも小さい磁気記録媒体用支持体。
    磁気テープとした際の湾曲:
    磁気テープを長さ20mm切出し、上が磁性層となるように平坦なガラス板上に静置した際に磁性層側に凸に湾曲したものを測定対象とし、その際の磁気テープの幅方向の中央部とガラス板との間隔
  2. TMが20〜100nmであり、かつMb層の厚みが50nm以下である、請求項1に記載の磁気記録媒体用支持体。
  3. M層がいずれも磁性金属を含まない、請求項1または2に記載の磁気記録媒体用支持体。
  4. 全光線透過率が20〜78%である、請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体用支持体。
  5. Ma層の表面粗さRaが0.3〜10nmである、請求項1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体用支持体。
  6. Mb層の表面粗さRaが5〜20nmである、請求項1〜5のいずれかに記載の磁気記録媒体用支持体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の磁気記録媒体用支持体の、Ma層が設けられた側の面に磁性層が塗布されてなる磁気記録媒体。
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