JP2008230849A - 低温岩盤貯槽およびその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】岩盤内に掘削された空洞1の表面に、吹付コンクリート(一次吹付コンクリート2と二次吹付コンクリート3)、躯体コンクリート4、保冷材5、メンブレン材6からなる覆工を形成し、その内部空間を低温流体を貯蔵するための貯槽とするメンブレン式の低温岩盤貯槽において、吹付コンクリート中に周囲岩盤から地下水を集水して排水するための排水管路網7を埋設し、躯体コンクリート中に温水やブライン等の加温媒体を循環させることにより躯体コンクリートおよびその外側を凍結温度以上に維持するための加温管路網8を埋設する。加温管路網を躯体コンクリートの外周部に埋設して外周部のみを加温し、躯体コンクリートの内周部は凍結させる。
【選択図】図1
Description
但し、このような凍結式は貯蔵温度が極めて低いと岩盤に温度クラックが発生することが懸念されることから、貯蔵温度は−60℃〜−80°C程度が限界とされ、したがってDME(沸点−25℃)やLPG(沸点−42℃)のような比較的貯蔵温度が高い燃料の場合には好適に採用可能であるが、LNG(沸点−162℃)のような極低温流体には不適であるとされている。
そのため、凍結式の低温岩盤貯槽の施工に際しては、貯槽としての空洞を掘削するに先立ってその上方に大規模な注水トンネルや注水ボーリング孔を先行施工し、そこから空洞掘削領域の周囲岩盤に対して人工的な地下水涵養としての多量の注水を連続的に行うことによって周囲岩盤を常に飽和状態に維持しつつ空洞を掘削する必要があるとされ、そのために多大な手間とコストを要するものであった。
したがって、メンブレン式の低温岩盤貯槽の施工に際しては、通常の土中工事の場合と同様に周囲岩盤から地下水を排水して地下水位を低下させることにより、施工領域をドライとして空洞を掘削し覆工を施工する必要がある。そして、そのためには空洞を掘削するべき領域の下方に集水および排水のための大規模な排水トンネルや排水ボーリング孔を先行施工し、そこから地下水を多量に汲み上げて地下水位を低下させて空洞周囲をドライに維持する必要があり、そのような大規模な排水工法を実施するために多大な手間とコストを要するものである。しかも、そのような工法によっても岩盤状況によっては必ずしも充分にドライにできないことも想定され、その場合には覆工時に地下水圧が作用して施工性が良くないばかりか施工品質に悪影響が及ぶ懸念がある。
そのような凍結防止手法をメンブレン式の低温岩盤貯槽の周囲岩盤に対しても適用すれば凍結膨張による覆工に対する弊害を防止できると考えられるが、それを実現するための具体的かつ有効適切な手法は提案されていない。
上記の加温管路網は躯体コンクリート全体を凍結温度以上に維持してその全体が凍結しないように埋設すれば良く、その場合には加温管路網を躯体コンクリートの厚さ方向の中央部に埋設して躯体コンクリート全体を加温すれば良い。
あるいは、躯体コンクリートの厚さを充分に厚くしてその外周部に加温管路網を埋設することにより、躯体コンクリートの外周部とその外側のみを凍結温度以上に維持しつつ、躯体コンクリートの内周部に対しては加温せずに凍結温度以下に維持されるようにしてそこでは凍結が生じるようにしても良い。
本発明の低温岩盤貯槽においては、空洞は基端側から先端側に向かって上り勾配を有するトンネル状に形成され、該空洞の底部に、排水管路網により集水された地下水を基端側に向けて自然流下させて排出するための排水溝が設けられていることが好ましい。
また、躯体コンクリートと保冷材との間に止水膜を介装したり、吹付コンクリートと躯体コンクリートとの間に、それら吹付コンクリートと躯体コンクリートとの相対的な熱変形を吸収するための空隙を確保することも考えられる。
本発明の低温岩盤貯槽の施工方法においては、吹付コンクリートの表面にコンクリートを打設して躯体コンクリートを形成する際にはそれらの間に空隙を形成し、躯体コンクリートの表面に保冷材を取り付ける際にはそれらの間に止水膜を介装することが考えられる。
また、周囲岩盤には凍結領域が生じないことから、周囲岩盤中の地下水を吹付コンクリート中に埋設した排水管路網によって常に空洞内に流入させて排水することができ、したがって貯槽完成後に覆工に対して過大な地下水圧が外圧として作用することがなく、この点においても覆工の信頼性を向上させることができる。
また、低温流体の貯蔵開始、あるいはそれに先立つクールダウンに先立って、加温管路網に加温媒体を強制循環させて少なくとも躯体コンクリートの外周部からその外側を凍結温度以上に維持する制御を行うことにより、吹付コンクリートおよび周囲岩盤に凍結領域が不用意に形成されてしまうことを確実に防止することができる。
本実施形態の低温岩盤貯槽は、基本的には従来一般のこの種の貯槽と同様に、岩盤に形成された円形断面のトンネル状の空洞1の内面に、一次吹付コンクリート2、二次吹付コンクリート3、躯体コンクリート4、保冷材5、メンブレン材6を順次積層状態で形成してメンブレン式の覆工を形成することにより、LNGやLPG、DME等の低温流体の貯槽(タンク)として機能するものであるが、本実施形態の低温岩盤貯槽が従来一般のものと異なる点は、二次吹付コンクリート3中に周囲岩盤からの地下水を常に集水して排水するための排水管路網7が埋設されているとともに、躯体コンクリート4中には加温媒体を循環させることにより躯体コンクリート4およびその外側の温度を常に凍結温度以上に維持するための加温管路網8が埋設されている点にある。
但し、その場合には周囲岩盤中の地下水圧がそのまま覆工に対して外圧として常に作用してしまうことから、その対策として本実施形態では二次吹付コンクリート3中に排水管路網7を埋設しておき、周囲岩盤中の地下水をその排水管路網7を通して積極的に空洞1内に流入させて常に排水することとしている。それにより、貯槽完成後には覆工に対して過大な地下水圧が作用することを有効に防止できるとともに、施工段階においてもその排水管路網7を有効に利用して周囲岩盤からの排水を行うことが可能であるから、従来のように大がかりな排水トンネルや排水ボーリング孔を設けて周囲岩盤全体をドライにするような必要なく、覆工を効率的にかつ精度良く安全に施工し得るものとなっている。
まず、地表より立坑および作業坑を施工し、図2に示すように作業坑10の先端からトンネル状の空洞1を若干の先上がり勾配で掘進する。その際、周囲岩盤から空洞1内に地下水が流入してくるので、空洞1の底部に排水溝11を設けて流入地下水を坑口側に自然流下させ、集水ピット12に集水して排水する。なお、作業坑10と空洞1との境界部は最終的には頑強なプラグ13により気密裡かつ液密離に封止するが、施工段階では開放しておく。
排水管路網7としては、たとえば土木工事の分野において法面排水用の資材として使用されている樹脂製の立体成形品や、多孔質材料あるいは有孔管等が好適に採用可能であり、それを二次吹付コンクリート3の全周かつ全長にわたって格子状に縦横に配設したり、あるいはマット状に全面的に配設して、その下流端を空洞1底部に設けた上記の排水溝11に接続するか、あるいは空洞1底部に開放する。これにより、周囲岩盤からの地下水をこの排水管路網7を通して積極的に集水し排水することができ、したがってこのような排水管路網7を施工した以降は、後段の躯体コンクリート4や保冷材5、メンブレン材6の施工に際しても、また貯槽完成後にも、それらに大きな地下水圧が作用することはない。
なお、上記のように空洞1の表面に対するコンクリートの吹き付けを一次吹付コンクリート2と二次吹付コンクリート3との2段階に分けて行うことが一般的ではあるが、それに限るものではなく、全体の吹き付けを1度で行うことでも良く、その場合にも同様にそこに排水管路網7を埋設すれば良い。あるいは、上記のように一次吹付コンクリート2と二次吹付コンクリート3とを順次施工する場合において、必要であれば排水管路網7を二次吹付コンクリート3に埋設することに代えて一次コンクリート2中に埋設することも考えられる。
なお、加温媒体を加温しつつ強制循環させるための装置が当然に必要であるので、地表部に熱源装置や循環ポンプ等の主装置類を適宜設けるとともに立坑および作業坑10内には循環供給用の主管路14を設けて加温管路網8と接続すれば良い。また、加温媒体を加温するための熱源としては自然エネルギーや各種の排熱を有効利用することが好ましく、立地条件によっては、また周囲環境に対して悪影響を及ぼす懸念がない場合には、たとえば海水や湖沼水、河川水等の天然水と加温媒体との熱交換、あるいはそれら天然水を加温媒体として直接利用することが考えられるし、地熱や太陽熱の利用も考えられる。勿論、この貯槽に貯蔵する低温流体を使用する施設から人為的に発生する様々な排熱、たとえばタービン排熱や、ボイルオフガスを再液化するための冷凍サイクルからの排熱等の有効利用も考えられる。
具体的には、たとえば加温媒体として温水を使用してその供給温度を15℃、還り温度を5℃に設定して、躯体コンクリート4各部の平均温度が10℃程度となるように維持するように制御する。このような制御を行うことにより低温流体を貯蔵した後にも凍結線(0℃等温線)は加温管路網8の内側に留まり、その外側に凍結領域が生じることはない。
その解析により、温水による加温制御を行わない場合には、躯体コンクリートの温度は運用開始後から急速に低下して50年後(18250日後)には−50℃にもなるのに対し、上記のような加温制御を行うことにより+5℃程度で安定してそれ以下となることはなく、したがって凍結領域が躯体コンクリートの外側にまで達することがないことが確認できた。
なお、図4(b)には上記の解析モデルにおけるボイルオフガスの経時変化を示すものである。これによれば、加温制御を行わない場合にはボイルオフガスは次第に低下して約20年後(7300日後)には0.1%以下となるのに対し、加温制御を行った場合にはクールダウン後には約0.13%程度とやや高い状態に維持されるが、その程度のボイルオフガスの増大は許容範囲であって実質的に問題にならない。
特に、従来一般のメンブレン式の低温岩盤貯槽においては二次バリアとしての凍結領域が確実に生じることをモニタリングする必要があり、しかもそのようなモニタリングを信頼性高く行うことは必ずしも容易ではないのであるが、本実施形態では二次バリアとしての凍結領域を期待するものではないのでそのような高度のモニタリングを不要とすることができる。但し、本実施形態では躯体コンクリート4やその周囲岩盤の温度に関するモニタリングは必要であるが、それは躯体コンクリート4内での簡易なモニタリングや、排水量の観察などで簡単かつ確実に実施することができ、この点においても従来一般のメンブレン式の貯槽に比べて施設全体の維持や管理を行う上で有利である。
しかも、排水管路網7を通しての周囲岩盤からの排水を施工段階においても行うことにより、従来一般のメンブレン式の貯槽を施工する場合のように大がかりな排水トンネルや排水ボーリング孔を設けて周囲岩盤全体をドライにするような必要がなく、したがって施工性を十分に改善することができて工期短縮、工費削減に大きく寄与できるものである。
そこで本実施形態では、躯体コンクリート4と保冷材5との間に止水膜20を全面的に介装し、躯体コンクリート4に万一ひび割れが生じて地下水が躯体コンクリート4を越えてその内側に浸入してくる事態となった場合であっても、その地下水を止水膜20により完全に遮水して保冷材5にまで達することを確実に防止し、それによって覆工全体として万全の止水性能とその信頼性を確保し得るものとなっている。
特に、図6に示すように保冷材5としてパネルを使用する場合には、そのパネルとともに止水膜20をアンカー22により躯体コンクリート4に対して固定することによって、パネルと躯体コンクリート4との間に止水膜20を挟み込んだ状態で取り付ければ良い。その場合においては、止水膜20となるシート材を予めパネルの背面側に取り付けておいてその縁部をラップ代としてパネルの外側に延出させておき、パネルの取り付けの際に自ずとシート材の縁部どうしが重ね合わせられて接着されるようにすると効率的な施工が可能である。なお、図示例ではシート材どうしのラップ代をパネルの2辺に対して設けているが、躯体コンクリートへのパネルの取り付け構造や取り付け手順によってはそのようなラップ代を1辺にのみ、あるいは3辺〜4辺に設けることでも良い。符号23はパネル間に充填するグラスウール等の充填材である。
なお、止水膜20の取り付け構造やその手法によっては、たとえば図示しているように止水膜20と躯体コンクリート4との間に若干の空隙24が生じてしまうこともあり得るが、そのような空隙24が生じたとしても止水膜20が健全である限りは保冷材5側への漏水は防止されるので特に支障はないし、寧ろ、その空隙24によって止水膜20と躯体コンクリート4とが絶縁(縁切り)されることにより、躯体コンクリート4の熱変形の影響が止水膜20に及んでしまうことが回避されるので好ましいともいえる。
すなわち、岩盤の表面に吹き付けられて形成される吹付コンクリート(本実施形態では一次吹付コンクリート2および二次吹付コンクリート3)は自ずと岩盤と確実に一体化し、したがってそれらは熱的にも岩盤と一体に挙動する(同様に熱変形する)ものとなるが、吹付コンクリートの表面上に後打ちされて形成される躯体コンクリート4は必ずしも吹付コンクリートとは一体に挙動せず、それらの間には熱的な相対変形が生じることが想定される。そのため、吹付コンクリートの表面上に単に躯体コンクリート4を一体に形成しておくと、岩盤に強固に一体化している吹付コンクリートによって躯体コンクリート4の熱変形が拘束されてしまい、それに起因して躯体コンクリート4には無視し得ない熱応力が生じ、それに起因するひび割れの発生も想定される。
具体的には、躯体コンクリート4の温度は吹付コンクリートよりも自ずと低温となるのでその熱収縮量は吹付コンクリートよりも大きくなるが、その熱収縮が拘束されることによって躯体コンクリート4には引っ張り応力が生じ、それがひび割れの原因となる。
なお、躯体コンクリート4にひび割れが生じることを想定した場合には、躯体コンクリート4と二次吹付コンクリート3との間に敢えて確保する上記の空隙21や、上述したように止水膜20と躯体コンクリート4との間に形成されてしまうことのある空隙24に地下水が浸入してくることも想定される。その場合も、いずれは空隙21,24から排水管路網7を通して排出されてしまうので特に支障はないと考えられるが、必要であればそれらの空隙21,24から積極的に排水するための適宜の排水経路を適宜位置に設けておけば良い。
すなわち、上記第1、第2実施形態ではいずれも躯体コンクリート4全体を可及的に均等に加温してその全体を凍結温度以上に維持するように、躯体コンクリート4の厚さ方向の中央部に加熱管路網8を埋設していたのであるが、本第3実施形態では躯体コンクリート4を厚くしたうえで加温管路網8を躯体コンクリート4の中央部よりも外周側にずらした位置に埋設して、躯体コンクリート4の外周部に対しては適切な加温を行って凍結温度以上に維持するが、内周部に対しては敢えて加温せずにそこでは凍結温度以下となって凍結が生じるようにしている。
一方、凍結線Fの内側の躯体コンクリート4の内周側は従来一般の凍結式の貯槽の場合と同様に安定な凍結領域が形成され、それが二次バリアとして機能して躯体コンクリート4に要求される止水性や気密性、液密性を有効に補償し得るものとなっている。
つまり、本実施形態は躯体コンクリート4の厚さの範囲内に凍結線Fが生じるように制御することにより、上記第1、第2実施形態と同様に躯体コンクリート4の外側を非凍結状態に維持することによる得られる効果と、従来一般の凍結式の貯槽の場合に得られる凍結による効果の双方を併せて得られるものとなっており、極めて合理的であり有効である。
本解析は、第1実施形態の場合と同様の半径10mの円形断面の空洞の内面に、一次吹付コンクリートおよび二次吹付コンクリートの厚さをそれぞれ10cm、躯体コンクリートの厚さを150cm(第1実施形態の場合は50cm)、保冷材の厚さを30cmとした覆工を形成し(したがって貯槽としての有効半径が8m)、躯体コンクリート中の外周部に32本の配管を空洞の軸方向に沿わせて周方向に等間隔(中心角11.25度)で配設することとして、その埋設位置を空洞中心から9.55mの位置(躯体コンクリート4の内面から125cm、外面から25cmの位置)とした場合の例である。覆工材および岩盤の熱物性値は図8に示すとおりである。
(a)に示すようにブラインを循環せずに躯体コンクリートを加温しない場合には、当初は18℃であった躯体コンクリートや周囲岩盤の温度が次第に低下していき、貯蔵開始180日後には躯体コンクリートの内周部が0℃以下になって凍結し、545日以前に周囲岩盤まで凍結が進行してしまい、50年(18250日)後には躯体コンクリートやその直近の岩盤温度は−50℃〜−40℃にもなることが分かる。
それに対し、第1実施形態および第2実施形態のように加温管路網に平均温度+10℃のブラインを循環させた場合には、(b)に示すように貯蔵開始後50年(18250日)を経過しても躯体コンクリートの全体が0℃以上に維持され、その外側の岩盤も非凍結状態に維持されることが分かる。
そして、本第3実施形態においては(c)に示すように加温管路網に平均温度+5℃のブラインを循環させることにより、貯蔵開始後45日程度で躯体コンクリートの内周部が0℃以下となって凍結するものの、その後は長期間が経過しても躯体コンクリートの外周部では0℃以上が維持されて凍結することはなく、その状態は貯蔵開始後50年を経過しても安定に維持されることが分かる。したがって躯体コンクリートに対してそのような適切な加温制御を行うことのみで、躯体コンクリートの内周部にのみ安定な凍結リングを永続的に形成でき、かつ躯体コンクリートの外周部およびその外側の吹付コンクリート、周囲岩盤の凍結は有効に防止できることが確認できた。
また、上記のように躯体コンクリートは内周部が0℃以下に維持されかつ外周部においては0℃以上に維持されることから、躯体コンクリートにはそのような温度勾配による熱応力が生じるが、従来一般の凍結式の貯槽のように加温しない場合に比較すれば躯体コンクリート全体の温度低下ははるかに小さいので、そのような熱応力に対しては躯体コンクリート中に適宜の補強筋を配筋することで支障なく対処し得るし、躯体コンクリートの肉厚は自ずと大きくされているのでその配筋作業も容易に行うことができる。
また、第2実施形態と同様に、躯体コンクリート4と二次吹付コンクリート3との間にそれらを絶縁するための空隙21を確保しても良い。
勿論、本第3実施形態の貯槽の施工は、躯体コンクリート4の厚さと加温管路網網8の埋設位置を変更すること以外は、第1、第2実施形態と全く同様の工程により実施することができることはいうまでもない。
2 一次吹付コンクリート
3 二次吹付コンクリート
4 躯体コンクリート
5 保冷材
6 メンブレン材
7 排水管路網
8 加温管路網
10 作業坑
11 排水溝
12 集水ピット
13 プラグ
14 主管路
20 止水膜
21 空隙
22 アンカー
23 充填材
24 空隙
Claims (7)
- 岩盤内に掘削された空洞の表面に、吹付コンクリート、躯体コンクリート、保冷材、メンブレン材からなる覆工が形成され、その内部空間が低温流体を貯蔵するための貯槽とされるメンブレン式の低温岩盤貯槽であって、
前記吹付コンクリート中に、周囲岩盤から地下水を集水して排水するための排水管路網が埋設され、
前記躯体コンクリート中に、温水やブライン等の加温媒体を循環させることにより、躯体コンクリート、吹付コンクリートおよび周囲岩盤を凍結温度以上に維持するための加温管路網が埋設されてなることを特徴とする低温岩盤貯槽。 - 岩盤内に掘削された空洞の表面に、吹付コンクリート、躯体コンクリート、保冷材、メンブレン材からなる覆工が形成され、その内部空間が低温流体を貯蔵するための貯槽とされるメンブレン式の低温岩盤貯槽であって、
前記吹付コンクリート中に、周囲岩盤から地下水を集水して排水するための排水管路網が埋設され、
前記躯体コンクリート中の外周部に、温水やブライン等の加温媒体を循環させることにより躯体コンクリートの外周部とその外側の吹付コンクリートおよび周囲岩盤を凍結温度以上に維持しつつ、躯体コンクリートの内周部を凍結温度以下に維持するための加温管路網が埋設されてなることを特徴とする低温岩盤貯槽。 - 請求項1または2記載の低温岩盤貯槽であって、
空洞は基端側から先端側に向かって上り勾配を有するトンネル状に形成され、該空洞の底部に、排水管路網により集水された地下水を基端側に向けて自然流下させて排出するための排水溝が設けられてなることを特徴とする低温岩盤貯槽。 - 請求項1,2または3記載の低温岩盤貯槽であって、
躯体コンクリートと保冷材との間に止水膜を介装してなることを特徴とする低温岩盤貯槽。 - 請求項1,2,3または4記載の低温岩盤貯槽であって、
吹付コンクリートと躯体コンクリートとの間に、それら吹付コンクリートと躯体コンクリートとの相対的な熱変形を吸収するための空隙を確保してなることを特徴とする低温岩盤貯槽。 - 岩盤内に掘削した空洞の表面に、吹付コンクリート、躯体コンクリート、保冷材、メンブレン材からなる覆工を形成し、その内部空間を低温流体を貯蔵するための貯槽とするメンブレン式の低温岩盤貯槽を施工するための方法であって、
トンネル状の空洞を基端側から先端側に向かって上り勾配で掘進するとともに、掘進に伴って周囲岩盤から空洞内に流入してくる地下水をその底部に設けた排水溝により坑口側に自然流下させて排水し、
空洞内面にコンクリートを吹き付けて吹付コンクリートを形成するとともに、該吹付コンクリート中に、周囲岩盤から地下水を集水して排水するための排水管路網を埋設し、
前記排水管路網により周囲岩盤からの地下水を集水し前記排水溝を通して排水しながら、吹付コンクリートの表面にコンクリートを打設して躯体コンクリートを形成するとともに、該躯体コンクリート中に、温水やブライン等の加温媒体を循環させるための加温管路網を埋設し、
躯体コンクリートの表面に保冷材を取り付けるとともに、該保冷材の表面にメンブレン材を取り付けて覆工を完成させた後、
低温流体の貯蔵を開始するに先立ち、前記加温管路網に加温媒体を循環させて、少なくとも躯体コンクリートの外周部とその外側の吹付コンクリートおよび周囲岩盤の温度を凍結温度以上に維持することを特徴とする低温岩盤貯槽の施工方法。 - 請求項6記載の低温岩盤貯槽の施工方法であって、
吹付コンクリートの表面にコンクリートを打設して躯体コンクリートを形成する際にはそれらの間に空隙を形成し、
躯体コンクリートの表面に保冷材を取り付ける際にはそれらの間に止水膜を介装することを特徴とする低温岩盤貯槽の施工方法。
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