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JP5158622B2 - 低温岩盤貯槽 - Google Patents

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Description

本発明は、岩盤内に掘削した空洞を低温流体を貯蔵するための貯槽(タンク)として利用する低温岩盤貯槽に関するものである。
この種の低温岩盤貯槽は、安定した岩盤内に大規模な空洞を掘削し、その空洞をタンクとして機能せしめてLPGやLNG、DME(ジメチルエーテル)等の低温液化ガス、あるいはその他の低温液体や低温気体を貯蔵するものであって、空洞の内面に設ける覆工の構造によって特許文献1に示されているような所謂「凍結式」のものと、特許文献2に示されているような所謂「メンブレン式」のものに大別される。
凍結式の低温岩盤貯槽は、貯蔵物が氷点以下の低温であることから貯槽周囲に存する地下水が自ずと凍結してしまって貯槽周囲に安定な凍結領域が形成され、したがって岩盤に多少の亀裂や間隙があっても貯槽の気密性や液密性が自ずと安定に確保されることが期待できるものである。そのため、空洞の内面に吹付コンクリートとロックボルト程度の簡易な支保を設けるだけに留めて格別のライニング材や大がかりな覆工を省略可能であり、構造が比較的簡略であって建設コストを抑えることができる点で有利である。
但し、このような凍結式は貯蔵温度が極めて低いと岩盤に温度クラックが発生することが懸念されることから、貯蔵温度は−60℃〜−80°C程度が限界とされ、したがってDME(沸点−25℃)やLPG(沸点−42℃)のような比較的貯蔵温度が高い燃料の場合には好適に採用可能であるが、LNG(沸点−162℃)のような極低温流体には不適であるとされている。
それに対し、メンブレン式の低温岩盤貯槽はLNGのような極低温流体の貯蔵に適用するものとして提案されたもので、貯槽として要求される気密性と液密性をメンブレン材により確保するというものである。この場合、具体的には空洞の内側に吹付コンクリートおよび躯体コンクリートによる覆工を設け、さらにその内側に保冷材を設けた上でその表面にメンブレン材を取り付けるという多層構造の覆工を設けることになり、したがって凍結式のものに比べて構造が複雑にはなるものの岩盤の影響を受け難いものとなるし、凍結式の場合と同様にいずれは貯槽の外側に凍結領域が形成されてそれが二次的なバリアになるとも考えられることから、信頼性や安定性の点ではより有利であるとされている。
特開2005−195110号公報 特開平7−54366号公報
ところで、凍結式の低温岩盤貯槽は運用後には貯槽周囲に良好な凍結領域が確実に形成されなければならないことから、貯槽としての空洞を掘削する際にもその周囲岩盤に常に地下水が飽和状態で存在していることが必要である。すなわち、空洞を掘削するに際して周囲岩盤の地下水位が低下して一時的にでも不飽和状態になってしまうと、その後に地下水位を回復させたとしても完全な飽和状態に回復させることは困難であり、そのために運用後においても貯槽周囲に良好な凍結領域が形成されないことが想定され、この種の施設に要求される信頼性や安全性の点で問題を残す懸念があるためである。
そのため、凍結式の低温岩盤貯槽の施工に際しては、貯槽としての空洞を掘削するに先立ってその上方に大規模な注水トンネルや注水ボーリング孔を先行施工し、そこから空洞掘削領域の周囲岩盤に対して人工的な地下水涵養としての多量の注水を連続的に行うことによって周囲岩盤を常に飽和状態に維持しつつ空洞を掘削する必要があるとされ、そのために多大な手間とコストを要するものであった。
一方、メンブレン式の低温岩盤貯槽では、逆に施工途中においては空洞周囲の地下水位を低下させて周囲をドライとして掘削を行うことが有利である。すなわち、メンブレン式の場合には地中に掘削した空洞内に覆工としての躯体を施工するのであるが、そのような施工を地下水位以深の岩盤内で行うことは、多量の地下水流入が生じてしまうばかりでなく、施工途中の覆工材、特に躯体コンクリートやメンブレン材に対して大きな地下水圧が外圧として作用してしまうことから、施工性の点でも施工精度を確保する上でも著しく困難である。
したがって、メンブレン式の低温岩盤貯槽の施工に際しては、通常の土中工事の場合と同様に周囲岩盤から地下水を排水して地下水位を低下させることにより、施工領域をドライとして空洞を掘削し覆工を施工する必要がある。そして、そのためには空洞を掘削するべき領域の下方に集水および排水のための大規模な排水トンネルや排水ボーリング孔を先行施工し、そこから地下水を多量に汲み上げて地下水位を低下させて空洞周囲をドライに維持する必要があり、そのような大規模な排水工法を実施するために多大な手間とコストを要するものである。しかも、そのような工法によっても岩盤状況によっては必ずしも充分にドライにできないことも想定され、その場合には覆工時に地下水圧が作用して施工性が良くないばかりか施工品質に悪影響が及ぶ懸念がある。
また、メンブレン式の場合においても、貯槽完成後の低温貯蔵開始後に周囲岩盤からの排水を中止することによりいずれは地下水位が回復し、したがって運用後には貯槽周囲に凍結領域が形成されてそれが二次バリアとして機能するとも考えられるが、上述したように施工中には周囲岩盤が不飽和化されることから良好な凍結領域が形成される保証はなく、そのような凍結領域には二次バリアとして充分な機能を期待できないことも想定されるから、それを見越して覆工の設計を行う必要がある。
さらに、貯槽を完成させた後には短時間にクールダウンを行って低温貯蔵を開始するが、貯槽周辺が完全に不飽和でない場合は、局所的に大きな地下水圧が作用したり、凍結膨張により周囲岩盤に異常なクラックが生じるような懸念も完全には否定できず、構造的な安定性や信頼性を確保するためには地下水圧の作用や凍結膨張による悪影響を可及的に排除する必要があると考えられている。
なお、特許文献1には貯槽の周囲に形成される凍結領域が地表部付近にまで達してしまうことを防止する目的で、貯槽の上方の岩盤中に設けた水封ボーリング内において水を循環させることにより周囲地盤を凍結温度以上に維持することが開示されている。また、特許文献2には、LNG用の一般的な地下タンクにおける周知技術として周囲岩盤の凍結をヒーティングパイプによって防止することが開示されている。
そのような凍結防止手法をメンブレン式の低温岩盤貯槽の周囲岩盤に対しても適用すれば凍結膨張による覆工に対する弊害を防止できると考えられるが、それを実現するための具体的かつ有効適切な手法は提案されていない。
さらに、この種の低温岩盤貯槽においては、貯蔵している低温流体が貯槽から漏洩する事態も想定して、万一漏洩が生じた場合には速やかにそれを検知し得るものであることも必要とされるが、低温岩盤貯槽に適用し得る有効適切な漏洩検知手法は未だ確立されていない。
すなわち、特許文献2に従来の技術として示されているようなLNG貯蔵用の地下タンクにおいては、貯槽周辺に設けた漏洩観測用のボーリング孔から地中ガスを吸引して採取することによって地中ガス中への貯蔵ガス成分の混入の有無から漏洩を検知することが行われているが、そのような漏洩検知手法を大深度に設けられる大規模な岩盤貯槽にそのまま適用することは膨大な数の大深度ボーリング孔を必要とすることから現実的ではない。
また、たとえば特開平9−323784号公報には、LNGタンカーにおけるタンクを対象とする漏洩検知手法として光ファイバを使用するオプトエレクトロニクス手法による漏洩検知手法が開示されているが、そのような複雑かつ高度の漏洩検知手法を岩盤貯槽に適用することも信頼性やコスト、保守の点では現実的ではなく、以上のことからこの種の低温岩盤貯槽に適用し得る有効適切な漏洩検知手法の開発が必要とされている。
上記事情に鑑み、本発明は、周囲岩盤から地下水圧を受けることによる悪影響や、周囲岩盤が凍結膨張することによる悪影響を有効に排除し得て、構造的な安定性や信頼性を充分に向上させることができ、しかも貯蔵している低温流体の万一の漏洩をも検知し得る有効適切な漏洩検知手段を備えた低温岩盤貯槽を提供することを目的としている。
本発明は岩盤内に掘削した空洞の表面に、吹付コンクリート、躯体コンクリート、保冷材、メンブレン材からなる覆工を形成し、その内部空間を低温流体を貯蔵するための貯槽とするメンブレン式の低温岩盤貯槽であって、前記吹付コンクリート中に、周囲の岩盤から地下水を集水して排水するための排水路網を埋設し、前記躯体コンクリート中に、温水やブライン等の加温媒体を循環させることにより躯体コンクリート、吹付コンクリートおよびその周囲の岩盤を凍結温度以上に維持するための加温管路網を埋設し、前記加温管路網を循環させる加温媒体の返り温度を検出し、正常時の設定温度からの温度低下量によって低温流体の漏洩を検知する漏洩検知手段を具備してなることを特徴とする。
本発明の低温岩盤貯槽においては、加温管路網を複数の系統に区分して各系統ごとに漏洩検知手段を備えることが好ましい。
本発明によれば、躯体コンクリートに埋設した加温管路網に加温媒体を強制循環させて躯体コンクリートおよびその周囲岩盤の温度を制御することによって、凍結領域が躯体コンクリートおよびその外側にまで生じることを防止でき、それにより従来においては懸念されていた凍結膨張に起因する悪影響を排除できて覆工の構造力学的な信頼性と安全性を十分に確保することができる。
また、周囲岩盤には凍結領域が生じないことから周囲岩盤中の地下水は常に排水路網により集水され、その排水路網は加温管路網により加温されて凍結してしまうことはないから集水された地下水は常に排水路網を通して速やかにかつ安定に排水されてしまい、したがって貯槽完成後に覆工に対して過大な地下水圧が外圧として作用することもなく、この点においても覆工の構造力学的な信頼性を向上させることができる。
さらに、施工段階においても排水路網を通して周囲岩盤からの排水を行うことが可能であり、それにより従来一般のメンブレン式の貯槽を施工する場合のように大がかりな排水トンネルや排水ボーリング孔を設けて周囲岩盤全体をドライにするような必要がなく、したがって施工性を十分に改善することができて工期短縮、工費削減に大きく寄与できるものである。
加えて、本発明においては、貯槽内に貯蔵している低温流体が何らかの原因によって漏洩した際には、躯体コンクリート中に埋設されている加温管路網を循環する加温媒体が漏洩した低温流体によって冷却されてその温度が異常に低下するから、加温媒体の返り温度を常に監視することのみでその異常温度低下の有無や状況から漏洩の発生やその程度を検知することができる。つまり、温度センサ等の温度検出手段によって加温媒体の返り温度を測定することのみでそれを漏洩検知手段として機能させることができ、他に複雑な手法や機構を必要とすることなく漏洩を確実に検知することができる。
しかも、加温管路網を複数の系統に分けてそれぞれの系統に独立に漏洩検知手段を設けておくことにより、異常温度低下の生じた系統において漏洩が生じたと判断できるから、漏洩箇所を系統単位で特定することができる。
図1〜図3は本発明の実施形態である低温岩盤貯槽の概略構成を示すものである。
本実施形態の低温岩盤貯槽は、岩盤1に形成された略馬蹄形断面のトンネル状の空洞2の内面に、吹付コンクリート3、躯体コンクリート4、保冷材5、メンブレン材6を順次積層状態で形成してメンブレン式の覆工を形成することにより、LNGやLPG、DME等の低温流体の貯槽(タンク)として機能するものであるが、本実施形態の低温岩盤貯槽が従来一般のものと異なる点は、吹付コンクリート3中に周囲の岩盤1からの地下水を常に集水して排水するための排水路網7が埋設されているとともに、躯体コンクリート4中には加温媒体を循環させることにより躯体コンクリート4およびその外側の岩盤1の温度を常に凍結温度以上に維持するための加温管路網8が埋設されている点にある。
すなわち、従来一般のこの種の低温岩盤貯槽では、上述したように低温流体の貯蔵によって周囲の岩盤1に自ずと生じる凍結領域を二次バリアとしても活用することを基本としているのであるが、それは反面において凍結膨張による種々の悪影響が問題となることもあることから、本実施形態の低温岩盤貯槽ではそのような凍結領域を敢えて生じさせないものとしており、そのために躯体コンクリート4中に埋設した加温管路網8にたとえば20℃程度の温水やブライン(不凍液)を加温媒体として常時強制循環させることによって、躯体コンクリート4より外側の温度を少なくとも氷点以上の温度に維持するものとしている。
但し、その場合には岩盤1中の地下水圧がそのまま覆工に対して外圧として常に作用してしまうことから、その対策として本実施形態では吹付コンクリート3中に排水路網7を埋設しておき、岩盤1中の地下水をその排水路網7を通して積極的に空洞2内に流入させて常に排水することとしている。それにより、貯槽完成後には覆工に対して過大な地下水圧が作用することを有効に防止できるとともに、施工段階においても排水路網7を有効に利用して岩盤1からの排水を行うことが可能であるから、従来のように大がかりな排水トンネルや排水ボーリング孔を設けて周囲岩盤全体をドライにするような必要なく、覆工を効率的にかつ精度良く安全に施工し得るものとなっている。
本実施形態の低温岩盤貯槽の構造について、その施工手順とともに詳細に説明する。
空洞2を掘進しつつ必要に応じてロックボルトの打設を行い、空洞2の内面にコンクリートを吹き付けて吹付コンクリート3を形成していくが、その際には吹付コンクリート3中に排水路網7を埋設していく。
排水路網7としては、たとえば土木工事の分野において法面排水用の資材として使用されている樹脂製の成形品や多孔質材料あるいは有孔管等も採用可能であるが、図示例では横断面形状が扁平な矩形断面とされている長尺帯板状の板状排水材を使用し、それを空洞2の軸方向と周方向の双方に沿うように格子状に配置してその下流側には主排水路(図示略)を接続する。これにより、岩盤1から空洞2に流入する地下水はこの排水路網7によって集水されて排水されてしまい、したがってこのような排水路網7を施工した以降は、後段の躯体コンクリート4や保冷材5、メンブレン材6の施工に際しても、また貯槽完成後にも、それらに大きな地下水圧が作用することはない。
上記の排水路網7を埋設しつつ吹付コンクリート3を施工した後、その内側に躯体コンクリート4を打設するが、その際には躯体コンクリート4中に加温管路網8を埋設していく。
加温管路網8は躯体コンクリート4の全面に対して温水やブライン等の加温媒体を強制循環させることによって躯体コンクリート4を加温し、それにより排水路網7はもとより空洞2の周囲の岩盤1の凍結を防止するためのものである。
加温管路網8としては、躯体コンクリート4全体が可及的に均等な温度となって温度むらが生じないように、かつ循環抵抗が過大にならないように、その位置やピッチを適宜設定して設ければ良いが、本実施形態では図2に模式的に示すように多数の管路を空洞1の軸方向に蛇行状態で往復するように敷設するとともに、空洞の軸方向に1往復する2本の管路を1系統とする複数系統の加温管路網8(8a〜8e)を構成しており、かつ各系統の加温管路網8の入り口での供給温度と出口での返り温度をそれぞれ温度センサT(T1〜T7)で測定するものとしている。
図2は加温管路網8を模式的に示すものであって、この模式図では空洞2の周方向に等間隔で設けた全10本の管路による加温管路網8の全体を5系統の加温管路網8a〜8eにより構成した状態を示しているが、それら5系統の加温管路網8a〜8eをさらに3系統の加温管網8a〜8cを1組とする群と2系統の加温管網8d〜8eを1組とする群とに分け、それら各群ごとに熱源装置や循環ポンプ、制御装置を備えた主装置9により強制循環させるようにしている。
なお、加温媒体を加温するための熱源としては自然エネルギーや各種の排熱を有効利用することが好ましく、立地条件によっては、また周囲環境に対して悪影響を及ぼす懸念がない場合には、たとえば海水や湖沼水、河川水等の天然水と加温媒体との熱交換、あるいはそれら天然水を加温媒体として直接利用することが考えられるし、地熱や太陽熱の利用も考えられる。勿論、この貯槽に貯蔵する低温流体を使用する施設から人為的に発生する様々な排熱、たとえばタービン排熱や、ボイルオフガスを再液化するための冷凍サイクルからの排熱等の有効利用も考えられる。
上記のように加温管路網8を埋設した躯体コンクリート4を施工した後、その表面にたとえば硬質ポリウレタンフォーム等の適宜の保冷材5(すなわち断熱材)を全面的に取り付け、さらにその表面にステンレス薄鋼板等からなるメンブレン材6を全面的に取り付けて覆工を完成させる。
その際には、上述したように周囲の岩盤1から流入する地下水は排水路網7により集水されて排水されてしまうので、覆工の施工段階では大きな地下水圧が作用することはなくその作業を効率的に実施することができる。
以上により覆工が完成した後には、低温流体の貯蔵に先立って覆工および周囲岩盤をクールダウンするのであるが、それに先立ち、加温管路網8に加温媒体を強制循環させて躯体コンクリート4に対する加温を開始し、低温流体の貯蔵後においても周囲岩盤温度が氷点温度以下に低下しないように加温媒体の循環温度や循環量を制御する。
具体的には、たとえば加温媒体として温水を使用してその供給温度を15℃、還り温度を5℃に設定して、躯体コンクリート4各部の平均温度が10℃程度となるように維持するように制御する。このような制御を行うことにより、低温流体を貯蔵した後にも凍結線(0℃等温線)は加温管路網8の内側に留まり、その外側に凍結領域が生じることはない。
以上で説明した本実施形態の低温岩盤貯槽によれば、躯体コンクリート4に埋設した加温管路網8に加温媒体を強制循環させて躯体コンクリート4およびその周囲岩盤の温度を制御することによって、凍結領域が躯体コンクリート4およびその外側にまで生じることを防止でき、それにより従来においては懸念されていた凍結膨張に起因する悪影響を排除できて覆工の構造力学的な信頼性と安全性を十分に確保することができる。
また、周囲の岩盤1には凍結領域が生じないことから周囲岩盤中の地下水は常に排水路網7により集水されて排水されてしまい、したがって貯槽完成後に覆工に対して過大な地下水圧が外圧として作用することもなく、この点においても覆工の構造力学的な信頼性を向上させることができる。
しかも、施工段階においても排水路網7を通しての周囲岩盤からの排水を行うことが可能であり、それにより従来一般のメンブレン式の貯槽を施工する場合のように大がかりな排水トンネルや排水ボーリング孔を設けて周囲岩盤全体をドライにするような必要がなく、したがって施工性を十分に改善することができて工期短縮、工費削減に大きく寄与できるものである。
勿論、排水路網7の内側には加温管路網8を設けているので、排水路網7が加温管路網8によって効果的に加温されて凍結してしまうことはなく、常に安定な集水と排水を確実に行うことができる。
しかも、上記の加温管路網8は貯蔵している低温流体が万一漏洩した際にはそれを確実かつ速やかに検知し得る漏洩検知手段としても利用し得るものである。そのことについて図3を参照して説明する。
上述したように加温媒体を所定の設定温度(たとえば上述のように15℃)に維持しつつ強制循環させることにより、加温媒体は循環に伴いその温度が徐々に低下していき、正常時においては各系統からの返り温度も常にほぼ一定の設定温度(たとえば5℃)に維持され、図3(a)に示すように各系統に設置した温度センサT(T1〜T7)により計測される温度勾配も常に安定していて大きな変動が生じることがない。
しかし、その状態から何らかの原因により低温流体の漏洩が生じたとすると、図3(b)に示すように漏洩した液化ガスは保冷材5内を浸透して躯体コンクリート4に達し、躯体コンクリート4のクラック内に急速に拡散していき、その過程で躯体コンクリート4から気化熱を奪って急速に気化し、それにより漏洩箇所近傍における躯体コンクリート4の温度は局部的に大きく低下することになる。
したがって漏洩箇所の近傍に設けられている加温管路網8内を循環している加温媒体も急速に冷却されてしまい、その返り温度は正常時の設定温度よりも大きく低下するから、温度センサTの監視によりそのような異常な温度低下を検出した場合にはそのことから貯蔵流体の漏洩が生じたことを検知できるし、異常温度低下が急速かつ顕著に生じるほど激しい漏洩が生じていると判断できることから漏洩状況もある程度は推測することができ、しかも異常温度低下の生じた系統から漏洩箇所もある程度は特定することができる。
たとえば図2に示すように加温管路網8bの系統が通過している領域において漏洩が生じた場合、その加温管路網8bからの返り温度が低下して図3(a)に破線で示すように温度センサT3以降の測定値が低下するから、そのことから加温管路網8bの敷設箇所の範囲内で漏洩が生じていると判断することができる。
このように、本実施形態では加温管路網8を循環させる加温媒体の返り温度を常に監視することのみで異常温度低下の有無や状況から貯蔵流体の漏洩の発生やその程度を検知できるとともに、系統単位ではあるが漏洩発生箇所も特定することができ、それに応じて速やかに対策を講じることができる。
しかも、そのためには加温管路網8の各系統に設置した温度センサTにより各系統からの加温媒体の返り温度を常に監視するだけで良く、したがって従来のように大規模なボーリング孔によって地中ガスをサンプリングしたり、オプトエレクトロニクスによる複雑な温度測定手法に頼るまでもなく、極めて単純にして簡単な手法により確実な漏洩検知が可能であり、この種の低温岩盤貯槽における漏洩検知手法として極めて有効である。
なお、上記実施形態のように加温管路網8を複数の系統に分けて各系統ごとに異常温度低下を検出することにより、系統単位で漏洩箇所の特定が可能であるし、その場合には系統を細分化すればするほど漏洩箇所を正確に特定できるので、漏洩箇所の特定を主目的とする場合にはそのように構成することが好ましいが、それは加温管路網全体の構成を複雑化することにもなるので、漏洩箇所を特定する必要がないような場合や、施設全体での漏洩の有無のみを検知することで充分であるような場合には、必ずしもそうすることはなく加温管路網全体を単一の系統で構成することでも良い。
本発明の一実施形態である低温岩盤貯槽の概略構成を示す横断面図である。 同、加温管路網の概略構成を模式的に示す図である。 同、加温管路網による漏洩検知原理を示す図である。
符号の説明
1 岩盤
2 空洞
3 吹付コンクリート
4 躯体コンクリート
5 保冷材
6 メンブレン材
7 排水路網
8(8a〜8e) 加温管路網
9 主装置
T(T1〜T7) 温度センサ(漏洩検知手段)

Claims (2)

  1. 岩盤内に掘削した空洞の表面に、吹付コンクリート、躯体コンクリート、保冷材、メンブレン材からなる覆工を形成し、その内部空間を低温流体を貯蔵するための貯槽とするメンブレン式の低温岩盤貯槽であって、
    前記吹付コンクリート中に、周囲の岩盤から地下水を集水して排水するための排水路網を埋設し、
    前記躯体コンクリート中に、温水やブライン等の加温媒体を循環させることにより躯体コンクリート、吹付コンクリートおよびその周囲の岩盤を凍結温度以上に維持するための加温管路網を埋設し、
    前記加温管路網を循環する加温媒体の返り温度を検出し、正常時の設定温度からの温度低下量によって低温流体の漏洩を検知する漏洩検知手段を具備してなることを特徴とする低温岩盤貯槽。
  2. 請求項1記載の低温岩盤貯槽であって、
    加温管路網を複数の系統に区分して各系統ごとに漏洩検知手段を具備してなることを特徴とする低温岩盤貯槽。
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