JP2008197522A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラビングした配向膜上に形成する複屈折層の微小な配向不良や傷、および放電跡等の欠点が少なく品質に優れた光学フィルムの製造方法を提供する。
液晶の配向不良を低減する配向膜材料を提供する。
【解決手段】基材上に配向膜を形成する工程と、形成した配向膜をラビング処理する工程、次いでラビング処理された配向膜上に複屈折層を形成する工程とからなる光学フィルムの製造方法において、前記配向膜のイオン性不純物量が、2000質量ppm以下であることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【選択図】なし
液晶の配向不良を低減する配向膜材料を提供する。
【解決手段】基材上に配向膜を形成する工程と、形成した配向膜をラビング処理する工程、次いでラビング処理された配向膜上に複屈折層を形成する工程とからなる光学フィルムの製造方法において、前記配向膜のイオン性不純物量が、2000質量ppm以下であることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、液晶ディスプレイ分野、光学分野、オプトエレクトロニクス分野等で有用な光学フィルムおよびその製造方法に関する。
液晶物質をフィルム材料とする液晶性フィルムは、液晶ディスプレイ用等の光学フィルムとして有用であるが、ディスプレイの高精細化に伴い、液晶性フィルムに要求される品質基準は近年ますます厳しくなっている。
液晶性フィルムの製造法としては、配向基板上に液晶物質の薄膜を形成し、液晶の配向および配向固定化を行う方法がある。この配向基板としてラビング処理した基板を用いることが一般的である。ラビング処理は、布(ラビング布)を巻きつけたロールを回転させて、走行する基板上を擦ることによって行う。例えば、配向膜を形成した基板にラビング処理を施して用いる方法が、例えば、特許文献1および2に、またプラスチックフィルムを直接ラビングして配向基板フィルムとして用いる方法が、例えば、特許文献3に示されている。配向膜を用いる方法では、品質的には有利な反面、配向膜の形成にコストがかかる、工程が増えるという課題がある。この点、配向膜を用いない方法は、コスト、生産性の点で有利である。
液晶性フィルムの製造法としては、配向基板上に液晶物質の薄膜を形成し、液晶の配向および配向固定化を行う方法がある。この配向基板としてラビング処理した基板を用いることが一般的である。ラビング処理は、布(ラビング布)を巻きつけたロールを回転させて、走行する基板上を擦ることによって行う。例えば、配向膜を形成した基板にラビング処理を施して用いる方法が、例えば、特許文献1および2に、またプラスチックフィルムを直接ラビングして配向基板フィルムとして用いる方法が、例えば、特許文献3に示されている。配向膜を用いる方法では、品質的には有利な反面、配向膜の形成にコストがかかる、工程が増えるという課題がある。この点、配向膜を用いない方法は、コスト、生産性の点で有利である。
液晶の配向は、用いる配向基板となるプラスチックフィルムやシートおよび配向膜表面の状態に大きく影響される。その原因としては、表面の微小な突起や基板表面の微量な不純物により配向規制力が変化し、配向に異常を起こし、配向不良となる。配向規制力を強くする方法として強いラビング方法が提案されているが、ラビングに伴う塵埃の増加や被ラビング面に傷が発生したりして発生する欠点が増加する。塵埃発生や傷を抑えるために配向膜材料の硬さを高めることが望まれている。一方、不純物は、製造工程からの混入もあり得るが、配向膜材料の製造過程から伴われる不純物量を低減し配向異常を減少させることも求められている。
基板上に塗布される配向膜として用いられる有機材料は、例えばポリビニルアルコール(PVA)やポリイミド等が知られており、多くの改良が報告されている。
例えばPVAでは、鹸化度や化学変性により液晶の配向性を制御する方法が知られている(例えば、特許文献4、5および6参照。)。
しかしながら、液晶に含有されるイオン性不純物の量やその除去については種々の検討がなされているものの、液晶の配向に影響を及ぼすと予測される配向膜に含まれるイオン性不純物についてはあまり関心が払われていないのが現状である。
特開平08−152515号公報
特開平08−160429号公報
特開平06−242316号公報
特開昭62−183431号公報
特開平08−338913号公報
特開2002−062427号公報
例えばPVAでは、鹸化度や化学変性により液晶の配向性を制御する方法が知られている(例えば、特許文献4、5および6参照。)。
しかしながら、液晶に含有されるイオン性不純物の量やその除去については種々の検討がなされているものの、液晶の配向に影響を及ぼすと予測される配向膜に含まれるイオン性不純物についてはあまり関心が払われていないのが現状である。
本発明は、不純物量が低減された配向膜材料を用いることによりラビングした配向膜上に形成する複屈折層の微小な配向不良や傷、および放電跡等の欠点が少なく品質に優れた光学フィルムおよびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明の第1は、基材上に配向膜を形成する工程と、形成した配向膜をラビング処理する工程、次いでラビング処理された配向膜上に複屈折層を形成する工程とからなる光学フィルムの製造方法において、前記配向膜のイオン性不純物量が、2000質量ppm以下であることを特徴とする光学フィルムの製造方法、である。
本発明の第2は、前記のイオン性不純物がナトリウムイオンであることを特徴とする本発明の第1に記載の光学フィルムの製造方法、である。
本発明の第3は、前記のナトリウムイオンが酢酸ナトリウム由来であることを特徴とする本発明の第2に記載の光学フィルムの製造方法、である。
本発明の第4は、前記の配向膜がポリビニルアルコールであることを特徴とする本発明の第1に記載の光学フィルムの製造方法、である。
本発明の第5は、前記のポリビニルアルコールの鹸化度が98%以上であることを本発明の第4に記載の光学フィルムの製造方法、である。
本発明の第6は、前記の基材が、プラスチックフィルムであることを特徴とする本発明の第1に記載の光学フィルムの製造方法、である。
本発明の第7は、前記複屈折層が、液晶性化合物を含む材料から形成されることを特徴とする本発明の第1に記載の光学フィルムの製造方法、である。
本発明の第8は、本発明の第1〜7のいずれかに記載の製造方法により製造された光学フィルム、である。
本発明の第9は、本発明の第8に記載の光学フィルムを使用した液晶表示素子、である。
本発明によれば、ラビングした配向膜上に形成される複屈折層における配向不良や傷等の原因である配向膜に起因する欠点を抑制できるので、得られた光学フィルムは配向不良、傷、膜厚異常等の欠点が少なく、光学的に優れた品質を有する製品が得られる。
以下、本発明に使用される配向膜について説明する。
配向膜は、ラビング処理を受けることによって液晶分子を基板表面に対して一定の角度を持たせ一方向に並べる機能(配向能)を付与される。液晶の配向には、液晶分子を配向膜表面に対し並べる角度が一定で基板表面に対しほぼ垂直なときは垂直(ホメオトロピック)配向、ほぼ平行なときは平行(ホモジニアス)配向などがある。また傾斜配向やハイブリッド配向なども条件の選定により作製することができる。
配向膜は、ラビング処理を受けることによって液晶分子を基板表面に対して一定の角度を持たせ一方向に並べる機能(配向能)を付与される。液晶の配向には、液晶分子を配向膜表面に対し並べる角度が一定で基板表面に対しほぼ垂直なときは垂直(ホメオトロピック)配向、ほぼ平行なときは平行(ホモジニアス)配向などがある。また傾斜配向やハイブリッド配向なども条件の選定により作製することができる。
配向膜基板となる基材としては、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、トリアセチルセルロース、ポリ(シクロオレフィン)等のフィルムが例示できる。
配向膜を構成する材料には、無機化合物および有機化合物がある。無機化合物には酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)などの酸化物が、有機化合物には、各種の有機シラン化合物、カルボン酸クロム錯体化合物、ポリイミド化合物、カルコン化合物、ポリエーテルイミド化合物、ポリアミド化合物、ポリビニルアルコールとその誘導体、フッ素化炭化水素化合物などが挙げられる。
これらのなかでも、180℃以下の低い処理温度で配向能力の高い配向膜となるポリビニルアルコール(PVA)とその誘導体が好ましく使用される。PVAは多くの市販品(グレード)があるが、重合度や鹸化度、不純物量等について詳細に検討したところ、液晶の配向に及ぼす効果が異なり、なかでも鹸化度とイオン性不純物量が配向に大きく影響することが分かった。
配向膜材料中に存在する不純物はその製造過程により様々であるが、中でもPVAの場合は、ナトリウムイオンの残存量が特に液晶の配向に大きく影響することがわかった。
これらのなかでも、180℃以下の低い処理温度で配向能力の高い配向膜となるポリビニルアルコール(PVA)とその誘導体が好ましく使用される。PVAは多くの市販品(グレード)があるが、重合度や鹸化度、不純物量等について詳細に検討したところ、液晶の配向に及ぼす効果が異なり、なかでも鹸化度とイオン性不純物量が配向に大きく影響することが分かった。
配向膜材料中に存在する不純物はその製造過程により様々であるが、中でもPVAの場合は、ナトリウムイオンの残存量が特に液晶の配向に大きく影響することがわかった。
本発明の配向膜材料中のイオン性不純物量は2000質量ppm以下、好ましくは1000質量ppm以下、より好ましくは500質量ppm以下であることが望ましい。イオン性不純物が2000質量ppmを超えると、目視では確認しがたく顕微鏡下で観察されるような欠点や工程中での帯電による放電現象の増加などの配向不良が発生し好ましくない。
配向膜としてPVAを用いる場合の鹸化度は98%以上、好ましくは99.5%以上、さらに99.9%以上が望ましい。PVAの鹸化度が98%未満の場合は、ラビング処理工程で耐摩耗性が悪くPVA膜の削れカスが発生しやすく光学フィルムの製造工程を汚染する。
配向膜としてPVAを用いる場合の鹸化度は98%以上、好ましくは99.5%以上、さらに99.9%以上が望ましい。PVAの鹸化度が98%未満の場合は、ラビング処理工程で耐摩耗性が悪くPVA膜の削れカスが発生しやすく光学フィルムの製造工程を汚染する。
配向膜の形成工程について説明する。
配向膜の形成は、配向膜を形成する材料を溶液状態にして塗布する方法が、配向膜厚や表面性の制御から好ましい。当該溶液は、当該材料を溶解できる溶媒を用いて適宜行うことができる。例えばPVAの溶液を調製する溶媒は、当該PVAを溶解できる溶媒であれば特に制限はなく、通常は水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールやこれらの混合物が使用される。
なお、溶解に当たっては塗布や液晶の配向に悪影響を及ぼさない各種の添加剤を添加してもよい。また、溶解を促進するために加温してもよい。
配向膜の形成は、配向膜を形成する材料を溶液状態にして塗布する方法が、配向膜厚や表面性の制御から好ましい。当該溶液は、当該材料を溶解できる溶媒を用いて適宜行うことができる。例えばPVAの溶液を調製する溶媒は、当該PVAを溶解できる溶媒であれば特に制限はなく、通常は水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールやこれらの混合物が使用される。
なお、溶解に当たっては塗布や液晶の配向に悪影響を及ぼさない各種の添加剤を添加してもよい。また、溶解を促進するために加温してもよい。
基材上に配向膜を形成するために使用される塗布方式は特に制限はなく、特に大面積の配向膜の塗布方法は、やわらかい樹脂版を用いるフレキソ印刷方式、ディスペンサー方式、グラビアコート方式、マイクログラビア方式、スクリーン印刷方式、リップコート方式、ダイコート方式など挙げることができる。これらの中でグラビアコート方式、リップコート方式やダイコート方式が好ましい。
塗布された配向膜は、必要により乾燥を行う。乾燥温度は、通常、PVAの耐熱性から限定されるが、目的によってはそれ以上であってもよい。一般には、90℃〜180℃、好ましくは100℃〜160℃である。また乾燥時間も特に制限はないが、通常は、10秒〜60分、好ましくは1分〜30分がよい。被乾燥膜と乾燥装置との相対的な移動速度は相対風速で60m/分〜1200m/分が好ましい。
塗布された配向膜は、必要により乾燥を行う。乾燥温度は、通常、PVAの耐熱性から限定されるが、目的によってはそれ以上であってもよい。一般には、90℃〜180℃、好ましくは100℃〜160℃である。また乾燥時間も特に制限はないが、通常は、10秒〜60分、好ましくは1分〜30分がよい。被乾燥膜と乾燥装置との相対的な移動速度は相対風速で60m/分〜1200m/分が好ましい。
ついで、配向膜にラビング処理を施す。以下、ラビング処理について説明する。
ラビング処理は、長尺フィルムの長尺方向(以下、MDという。)に対して所定の任意の角度、好ましくは0度〜45度の角度でラビングするものである。なお、この角度(ラビング角度)はラビング面を上からみたときにMDから時計回り方向の角度とする。
ラビング処理は、任意の方法で行うことができる。例えばその一つの方法として図1により説明すると、配向基板としての長尺フィルム(12)をMDに搬送するステージ(11)上に、長尺フィルム(12)およびそのMDに対して任意の角度でラビングロール(10)を配置し、該長尺フィルム(12)を搬送しながら該ラビングロール(10)を回転させ、該フィルム(12)表面をラビング処理する。ラビングロール(10)とステージ(11)の移動方向とが成す角度は自在に調整し得る機構である。
ラビングロール表面には、綿、ポリエステル、レーヨン等からなる繊維を用いて製造されたラビング布が貼付してある。
ラビング処理は、長尺フィルムの長尺方向(以下、MDという。)に対して所定の任意の角度、好ましくは0度〜45度の角度でラビングするものである。なお、この角度(ラビング角度)はラビング面を上からみたときにMDから時計回り方向の角度とする。
ラビング処理は、任意の方法で行うことができる。例えばその一つの方法として図1により説明すると、配向基板としての長尺フィルム(12)をMDに搬送するステージ(11)上に、長尺フィルム(12)およびそのMDに対して任意の角度でラビングロール(10)を配置し、該長尺フィルム(12)を搬送しながら該ラビングロール(10)を回転させ、該フィルム(12)表面をラビング処理する。ラビングロール(10)とステージ(11)の移動方向とが成す角度は自在に調整し得る機構である。
ラビングロール表面には、綿、ポリエステル、レーヨン等からなる繊維を用いて製造されたラビング布が貼付してある。
ラビング処理では、配向基板表面の硬度を勘案して、配向基板表面を一定方向に擦ることが大切である。かかる観点から、ラビング圧力、ラビングロールの回転数などを適宜に設定する。通常は、配向基板を0.5〜100m/分、好ましくは1〜30m/分の速度で移送させ、ラビングロール回転数は周速比として1〜1000、好ましくは5〜200の範囲から選択される。ラビング圧力は、わずかにラビング布表面が接する程度でよく、ラビング布の毛先の押し込み程度が100μm〜5000μm、好ましくは100μm〜2000μm程度とすることができる。必要により、ラビングされた表面に加圧気体の吹き付けや粘着ロールとの接触等により清浄化処理を行ってもよい。
次に複屈折層について説明する。
本発明において複屈折層を形成する材料は、液晶性化合物を含む材料(液晶性組成物)が好ましく、当該組成物が液晶性を示せばよく、液晶性組成物を構成する個々の成分が総て液晶性を示す必要はない。
液晶性組成物を構成する成分としては、反応性基の有無を問わず低分子液晶性化合物や高分子液晶性化合物が使用されるが、好ましくは高分子液晶性化合物であり、より好ましくは、反応性基を有する高分子液晶性化合物である。
液晶分子の形態としては、棒状でも円盤状であってもよいが、棒状の液晶分子が好ましい。
また、他に前記低分子液晶性化合物や高分子液晶性化合物と混和しうる非液晶性の高分子化合物、各種活性化剤や各種の添加剤、例えば界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、染料、顔料等を本発明の主旨を逸脱しない範囲で添加することができる。
本発明において複屈折層を形成する材料は、液晶性化合物を含む材料(液晶性組成物)が好ましく、当該組成物が液晶性を示せばよく、液晶性組成物を構成する個々の成分が総て液晶性を示す必要はない。
液晶性組成物を構成する成分としては、反応性基の有無を問わず低分子液晶性化合物や高分子液晶性化合物が使用されるが、好ましくは高分子液晶性化合物であり、より好ましくは、反応性基を有する高分子液晶性化合物である。
液晶分子の形態としては、棒状でも円盤状であってもよいが、棒状の液晶分子が好ましい。
また、他に前記低分子液晶性化合物や高分子液晶性化合物と混和しうる非液晶性の高分子化合物、各種活性化剤や各種の添加剤、例えば界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、染料、顔料等を本発明の主旨を逸脱しない範囲で添加することができる。
前記の低分子液晶性化合物としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、オキシラニル基、オキセタニル基等の重合性基を有する低分子液晶性化合物を挙げることができる。
前記の高分子液晶性化合物は、主鎖型と側鎖型とに大別される。
主鎖型高分子液晶性化合物としては、いずれも液晶性を示すポリエステル、ポリエステリアミド、ポリアミド、ポリカーボネート等が例示されるが、なかでも合成の容易さ、配向性、ガラス転移点などの面から液晶性ポリエステルが好ましく、カチオン重合性基を結合した主鎖型液晶性ポリエステルが特に好ましい。
前記の高分子液晶性化合物は、主鎖型と側鎖型とに大別される。
主鎖型高分子液晶性化合物としては、いずれも液晶性を示すポリエステル、ポリエステリアミド、ポリアミド、ポリカーボネート等が例示されるが、なかでも合成の容易さ、配向性、ガラス転移点などの面から液晶性ポリエステルが好ましく、カチオン重合性基を結合した主鎖型液晶性ポリエステルが特に好ましい。
主鎖型液晶性ポリエステルは、芳香族ジオール単位(以下、構造単位(A)という。)、芳香族ジカルボン酸単位(以下、構造単位(B)という。)および芳香族ヒドロキシカルボン酸単位(以下、構造単位(C)という。)のうち少なくとも2種を必須単位として含む主鎖型液晶性ポリエステルであって、主鎖末端の少なくとも一方にカチオン重合性基を有する構造単位を含むことを特徴とする主鎖型液晶性ポリエステルである。
以下に、構造単位(A)、(B)および(C)に付いて順次説明する。
以下に、構造単位(A)、(B)および(C)に付いて順次説明する。
構造単位(A)を導入するための化合物としては下記一般式(a)で表される化合物が好ましく、具体的には、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン等若しくはそれらの置換体、4,4’―ビフェノール、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、2,6−ナフタレンジオールなどが挙げられ、特に、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン等若しくはそれらの置換体が好ましい。
ただし、式中の−Xは、−H、−CH3、−C2H5、−CH2CH2CH3、−CH(CH3)2、−CH2CH2CH2CH3、−CH2CH(CH3)CH3、−CH(CH3)CH2CH3、−C(CH3)3、−OCH3、−OC2H5、−OC6H5、−OCH2C6H5、−F、−Cl、−Br、−NO2、または−CNのいずれかの基であり、特に下記式(a’)で表される化合物が好ましい。
構造単位(B)を導入するための化合物としては下記一般式(b)で表される化合物が好ましく、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等若しくはそれらの置換体、4,4'−スチルベンジカルボン酸若しくはその置換体、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸などが挙げられ、特に、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等若しくはそれらの置換体が好ましい。
ただし、式中の−Xは、−H、−CH3、−C2H5、−CH2CH2CH3、−CH(CH3)2、−CH2CH2CH2CH3、−CH2CH(CH3)CH3、−CH(CH3)CH2CH3、−C(CH3)3、−OCH3、−OC2H5、−OC6H5、−OCH2C6H5、−F、−Cl、−Br、−NO2、または−CNのいずれかの基を表す。
構造単位(C)を導入するための化合物としては下記一般式(c)で表される化合物が好ましく、具体的には、ヒドロキシ安息香酸若しくはその置換体、4'−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸若しくはその置換体、4'−ヒドロキシ−4−スチルベンカルボン酸若しくはその置換体、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ桂皮酸などが挙げられ、特に、ヒドロキシ安息香酸およびその置換体、4'−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸若しくはその置換体、4'−ヒドロキシ−4−スチルベンカルボン酸若しくはその置換体が好ましい。
ただし、式中の−X、−X1、−X2は、それぞれ個別に、−H、−CH3、−C2H5、−CH2CH2CH3、−CH(CH3)2、−CH2CH2CH2CH3、−CH2CH(CH3)CH3、−CH(CH3)CH2CH3、−C(CH3)3、−OCH3、−OC2H5、−OC6H5、−OCH2C6H5、−F、−Cl、−Br、−NO2、または−CNのいずれかの基を表す。
主鎖型液晶性ポリエステルは、構造単位として、(A)芳香族ジオール単位、(B)芳香族ジカルボン酸単位、および(C)芳香族ヒドロキシカルボン酸単位のうちから少なくとも2種と、好ましくはさらに主鎖末端の少なくとも一方にカチオン重合性基を有する構造単位(以下、構造単位(D)という。)を含み、サーモトロピック液晶性を示すものであればよく、他の構造単位はこれら条件を満足する限り特に限定されるものではない。
主鎖型液晶性ポリエステルを構成する構造単位(A)、(B)および(C)の全構造単位に占める割合は、構造単位(A)、(B)および(C)がジオールあるいはジカルボン酸あるいはヒドロキシカルボン酸として全モノマーの仕込み量に対して占める重量和の比率で表した場合、通常20〜99%、好ましくは30〜95%、特に好ましくは40〜90%の範囲である。20%より少ない場合には、液晶性を発現する温度領域が極端に狭くなるおそれがあり、また99%を越える場合には、カチオン重合性基を有する単位が相対的に少なくなり、配向保持能、機械的強度の向上が得られない恐れがある。
次にカチオン重合性基を有する構造単位(D)について説明する。カチオン重合性基としては、エポキシ基、オキセタニル基、およびビニルオキシ基からなる群から選ばれる官能基が好ましく、特にオキセタニル基が好ましい。構造単位(D)を導入するための化合物としては、下記の一般式(d)に示すごとく、フェノール性水酸基あるいはカルボキシル基を有する芳香族化合物に、エポキシ基、オキセタニル基、およびビニルオキシ基から選ばれるカチオン重合性を有する官能基が結合した化合物である。また、芳香環と上記カチオン重合性基との間には、適当なスペーサー部分を有していても良い。
ただし、式中の−X、−X1、−X2、−Y、−Zは、各構造単位毎にそれぞれ独立に以下に示すいずれかの基を表す。
(1)−X、−X1、−X2:−H、−CH3、−C2H5、−CH2CH2CH3、−CH(CH3)2、−CH2CH2CH2CH3、−CH2CH(CH3)CH3、−CH(CH3)CH2CH3、−C(CH3)3、−OCH3、−OC2H5、−OC6H5、−OCH2C6H5、−F、−Cl、−Br、−NO2、または−CN
(2)−Y:単結合、−(CH2)n−、−O−、−O−(CH2)n−、−(CH2)n−O−、−O−(CH2)n−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−(CH2)n−、−CO−O−(CH2)n−、−(CH2)n−O−CO−、−(CH2)n−CO−O−、−O−(CH2)n−O−CO−、−O−(CH2)n−CO−O−、−O−CO−(CH2)n−O−、−CO−O−(CH2)n−O−、−O−CO−(CH2)n−O−CO−、−O−CO−(CH2)n−CO−O−、−CO−O−(CH2)n−O−CO−、または−CO−O−(CH2)n−CO−O−(ただし、nは1〜12の整数を示す。)
(3)Z:
(1)−X、−X1、−X2:−H、−CH3、−C2H5、−CH2CH2CH3、−CH(CH3)2、−CH2CH2CH2CH3、−CH2CH(CH3)CH3、−CH(CH3)CH2CH3、−C(CH3)3、−OCH3、−OC2H5、−OC6H5、−OCH2C6H5、−F、−Cl、−Br、−NO2、または−CN
(2)−Y:単結合、−(CH2)n−、−O−、−O−(CH2)n−、−(CH2)n−O−、−O−(CH2)n−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−(CH2)n−、−CO−O−(CH2)n−、−(CH2)n−O−CO−、−(CH2)n−CO−O−、−O−(CH2)n−O−CO−、−O−(CH2)n−CO−O−、−O−CO−(CH2)n−O−、−CO−O−(CH2)n−O−、−O−CO−(CH2)n−O−CO−、−O−CO−(CH2)n−CO−O−、−CO−O−(CH2)n−O−CO−、または−CO−O−(CH2)n−CO−O−(ただし、nは1〜12の整数を示す。)
(3)Z:
構造単位(D)の中では、カチオン重合性基もしくはカチオン重合性基を含む置換基とフェノール性水酸基あるいはカルボン酸基の結合位置は、これらの基が結合する骨格がベンゼン環の場合は1,4−の位置関係を、ナフタレン環の場合は2,6−の位置関係を、ビフェニル骨格、スチルベン骨格の場合は4,4'−の位置関係にあるものが液晶性の点から好ましい。より具体的には、4−ビニルオキシ安息香酸、4−ビニルオキシフェノール、4−ビニルオキシエトキシ安息香酸、4−ビニルオキシエトキシフェノール、4−グリシジルオキシ安息香酸、4−グリシジルオキシフェノール、4−(オキセタニルメトキシ)安息香酸、4−(オキセタニルメトキシ)フェノール、4'−ビニルオキシ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−ビニルオキシ−4−ヒドロキシビフェニル、4'−ビニルオキシエトキシ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−ビニルオキシエトキシ−4−ヒドロキシビフェニル、4'−グリシジルオキシ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−グリシジルオキシ−4−ヒドロキシビフェニル、4'−オキセタニルメトキシ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−オキセタニルメトキシ−4−ヒドロキシビフェニル、6−ビニルオキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−ビニルオキシ−2−ヒドロキシナフタレン、6−ビニルオキシエトキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−ビニルオキシエトキシ−2−ヒドロキシナフタレン、6−グリシジルオキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシナフタレン、6−オキセタニルメトキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−オキセタニルメトキシ−2−ヒドロキシナフタレン、4−ビニルオキシ桂皮酸、4−ビニルオキシエトキシ桂皮酸、4−グリシジルオキシ桂皮酸、4−オキセタニルメトキシ桂皮酸、4'−ビニルオキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−ビニルオキシ−3'−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−ビニルオキシ−4−ヒドロキシスチルベン、4'−ビニルオキシエトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−ビニルオキシエトキシ−3'−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−ビニルオキシエトキシ−4−ヒドロキシスチルベン、4'−グリシジルオキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−グリシジルオキシ−3'−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−グリシジルオキシ−4−ヒドロキシスチルベン、4'−オキセタニルメトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−オキセタニルメトキシ−3'−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−オキセタニルメトキシ−4−ヒドロキシスチルベンなどが好ましい。
カチオン重合性基を有する構造単位(D)の主鎖型液晶性ポリエステルを構成する全構造単位に占める割合は、同様に構造単位(D)をカルボン酸あるいはフェノールとして仕込み組成中の重量割合で表した場合、通常1〜60%、好ましくは5〜50%の範囲である。1%よりも少ない場合には、配向保持能、機械的強度の向上が得られない恐れがあり、また60%を越える場合には、結晶性が上がることにより液晶温度範囲が狭まり、どちらの場合も好ましくない。
(A)〜(D)の各構造単位は、それぞれ1つまたは2つのカルボキシル基あるいはフェノール性水酸基を有しているが、(A)〜(D)の有するカルボキシル基、フェノール性水酸基は、仕込みの段階においてそれぞれの官能基の当量数の総和を概ね揃えることが望ましい。すなわち、構造単位(D)が遊離のカルボキシル基を有する単位である場合には、
(A)のモル数×2=(B)のモル数×2+(D)のモル数
構造単位(D)が遊離のフェノール性水酸基を有する単位である場合には、
(A)のモル数×2+(D)のモル数=(B)のモル数×2
なる関係を概ね満たすことが望ましい。この関係式から大きく外れる仕込み組成の場合には、カチオン重合に関わる単位以外のカルボン酸あるいはフェノール、もしくはそれらの誘導体が分子末端となることになり、十分なカチオン重合性が得られないばかりか、これら酸性の残基が存在することにより、プロセス上の望む段階以外で重合反応や分解反応が起きてしまうおそれがあり好ましくない。
(A)のモル数×2=(B)のモル数×2+(D)のモル数
構造単位(D)が遊離のフェノール性水酸基を有する単位である場合には、
(A)のモル数×2+(D)のモル数=(B)のモル数×2
なる関係を概ね満たすことが望ましい。この関係式から大きく外れる仕込み組成の場合には、カチオン重合に関わる単位以外のカルボン酸あるいはフェノール、もしくはそれらの誘導体が分子末端となることになり、十分なカチオン重合性が得られないばかりか、これら酸性の残基が存在することにより、プロセス上の望む段階以外で重合反応や分解反応が起きてしまうおそれがあり好ましくない。
主鎖型液晶性ポリエステルは、(A)、(B)、(C)および(D)以外の構造単位を含有することができる。含有することができる他の構造単位としては、特に限定はなく当該分野で公知の化合物(モノマー)を使用することができる。例えば、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸およびこれら化合物にハロゲン基やアルキル基を導入した化合物や、ビフェノール、ナフタレンジオール、脂肪族ジオールおよびこれら化合物にハロゲン基やアルキル基を導入した化合物等を挙げることができる。
また、主鎖型液晶性ポリエステルを構成する単位の原料として光学活性な化合物を用いた場合、該主鎖型液晶性ポリエステルにカイラルな相を付与せしめることが可能となる。かかる光学活性な化合物としては特に制限はないが、例えば、光学活性な脂肪族アルコール(CnH2n+1OH、ただしnは4から14の整数を表す。)、光学活性な脂肪族基を結合したアルコキシ安息香酸(CnH2n+1O−Ph−COOH、ただしnは4から14の整数、Phはフェニレン基を表す。)、メントール、カンファー酸、ナプロキセン誘導体、ビナフトール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチルブタンジオール、2−クロロブタンジオール、酒石酸、メチルコハク酸、3−メチルアジピン酸などを挙げることができる。
主鎖型液晶性ポリエステルの分子量は、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(質量比60/40)中、30℃で測定した対数粘度ηが0.03〜0.50dl/gであることが好ましくより好ましくは0.05〜0.15dl/gである。ηが0.03dl/gより小さい場合には、主鎖型液晶性ポリエステルの溶液粘度が低く、フィルム化する際に均一な塗膜が得られない恐れがある。また、0.50dl/gより大きい場合には、液晶配向時に要する配向処理温度が高くなり、配向と架橋が同時に起こり配向性を低下させる危険性がある。
本発明において、主鎖型液晶性ポリエステルの分子量制御は専ら仕込み組成により決定される。具体的には分子両末端を封印する形で反応する1官能性モノマー、すなわち前記した構造単位(D)を導入するための化合物の、全仕込み組成における相対的な含有量により、得られる主鎖型液晶性ポリエステルの平均的な重合度(構造単位(A)〜(D)の平均結合数)が決定される。したがって、所望の対数粘度を有する主鎖型液晶性ポリエステルを得るためには、仕込みモノマーの種類に応じて仕込み組成を調整する必要がある。
主鎖型液晶性ポリエステルの合成方法としては、通常のポリエステルを合成する際に用いられる方法を採ることができ、特に限定されるものではない。例えば、カルボン酸単位を酸クロリドやスルホン酸無水物などに活性化し、それを塩基の存在下でフェノール単位と反応させる方法(酸クロリド法)、カルボン酸単位とフェノール単位をDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)などの縮合剤を用いて直接縮合させる方法、フェノール単位をアセチル化して、これとカルボン酸単位とを溶融条件下で脱酢酸重合する方法などを用いることが出来る。ただし、溶融条件下での脱酢酸重合を用いる場合には、カチオン重合性基を有するモノマー単位が反応条件下で重合や分解反応を起こすおそれがあるため、反応条件を厳密に制御する必要がある場合が多く、場合によっては適当な保護基を用いたり、あるいは一度別な官能基を有する化合物を反応させておいてから、後でカチオン重合性基を導入するなどの方法を採ることが望ましい場合もある。また、重合反応により得られた粗主鎖型液晶性ポリエステルを、再結晶、再沈などの方法により精製してもよい。
このようにして得られた主鎖型液晶性ポリエステルは、NMR(核磁気共鳴法)などの分析手段により、それぞれのモノマーがどのような比率で主鎖型液晶性ポリエステル中に存在するかを同定することができる。特に、カチオン重合性基の量比から、主鎖型液晶性ポリエステルの平均結合数を算出する事ができる。
前記カチオン重合性基を含む主鎖型液晶性ポリエステルに他の化合物を配合することも、本発明の範囲を超えない限り可能である。例えば、本発明に用いる主鎖型液晶性ポリエステルと混和しうる他の高分子化合物や各種低分子化合物等を添加しても良い。かかる低分子化合物は、液晶性を有していても有していなくとも良く、架橋性の主鎖型液晶性ポリエステルと反応できる重合性基を有していてもいなくとも良い。重合性基を有する液晶性化合物を用いることが好ましく、例えば以下のものを例示できる。
ここで、nは2〜12の整数を、また−V−および−Wはそれぞれ以下のいずれかの基を表す。
−V−: 単結合、−O−、−O−CmH2m−O−(ただし、mは2〜12の整数)
−W:
−V−: 単結合、−O−、−O−CmH2m−O−(ただし、mは2〜12の整数)
−W:
なお、添加する高分子化合物や低分子化合物が光学活性である場合、組成物としてカイラルな液晶相を誘起させることができる。かかる組成物は、ねじれネマチック配向構造やコレステリック配向構造を有するフィルムの製造に利用することができる。
前記の側鎖型高分子液晶性化合物としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリマロネート、ポリシロキサン等が挙げられ、中でも下記一般式(1)で表される反応性基を結合したポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
式(1)において、R3は、それぞれ独立に、水素またはメチル基を表し、R4は、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シアノ基、ブロモ基、クロロ基、フルオロ基またはカルボキシル基を表し、R5は、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、R6は、炭素数1から24までの炭化水素基を表し、L2は、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−CH=CH−または−C≡C−を表し、pは、1から10までの整数を表し、qは、0から10までの整数を表し、a、b、c、d、eおよびfは、ポリマー中の各ユニットのモル比(a+b+c+d+e+f=1.0、ただし、c+d+e=0ではない)を表す。
式(1)で表される側鎖型高分子液晶性化合物を構成する各成分のモル比は、a+b+c+d+e+f=1.0、c+d+e=0ではなく、かつ、液晶性を示すことが必要である。この要件を満たせば各成分のモル比は任意でよいが、以下のとおりであることが好ましい。
a:好ましくは0〜0.80、より好ましくは0.05〜0.50
b:好ましくは0〜0.90、より好ましくは0.10〜0.70
c:好ましくは0〜0.50、より好ましくは0.10〜0.30
d:好ましくは0〜0.50、より好ましくは0.10〜0.30
e:好ましくは0〜0.50、より好ましくは0.10〜0.30
f:好ましくは0〜0.30、より好ましくは0.01〜0.10
a:好ましくは0〜0.80、より好ましくは0.05〜0.50
b:好ましくは0〜0.90、より好ましくは0.10〜0.70
c:好ましくは0〜0.50、より好ましくは0.10〜0.30
d:好ましくは0〜0.50、より好ましくは0.10〜0.30
e:好ましくは0〜0.50、より好ましくは0.10〜0.30
f:好ましくは0〜0.30、より好ましくは0.01〜0.10
これらのポリ(メタ)アクリレート中の各成分は、上記の条件を満たせば、6種類の成分すべてが存在する必要もない。
また、R4は、好ましくは、水素、メチル基、ブチル基、メトキシ基、シアノ基、ブロモ基、フルオロ基であり、特に好ましくは、水素、メトキシ基またはシアノ基であり、L2は、好ましくは、単結合、−O−、−O−CO−または−CO−O−であり、R6は、好ましくは、炭素数2、3、4、6、8および18の炭化水素基を表す。
さらに、一般式(1)で表される側鎖型高分子液晶性化合物は、各成分a〜fのモル比や配向形態により複屈折率が変化するが、ネマチック配向をとった場合の複屈折率は0.001〜0.300であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.25である。
また、R4は、好ましくは、水素、メチル基、ブチル基、メトキシ基、シアノ基、ブロモ基、フルオロ基であり、特に好ましくは、水素、メトキシ基またはシアノ基であり、L2は、好ましくは、単結合、−O−、−O−CO−または−CO−O−であり、R6は、好ましくは、炭素数2、3、4、6、8および18の炭化水素基を表す。
さらに、一般式(1)で表される側鎖型高分子液晶性化合物は、各成分a〜fのモル比や配向形態により複屈折率が変化するが、ネマチック配向をとった場合の複屈折率は0.001〜0.300であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.25である。
上記の側鎖型高分子液晶性化合物の各成分に該当するそれぞれの(メタ)アクリル化合物は、通常の有機化学の合成方法により得ることができる。オキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物は、後述する式(7)、(8)および(9)に該当する化合物の合成に類似した方法により容易に得ることができる。
上記の側鎖型高分子液晶性化合物は、各成分に該当する上記方法で得られたそれぞれの(メタ)アクリル化合物の(メタ)アクリル基をラジカル重合またはアニオン重合により共重合することにより容易に合成することができる。重合条件は特に限定されるものではなく、通常の条件を採用することができる。
ラジカル重合の例としては、各成分に該当する(メタ)アクリル化合物をジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの溶媒に溶かし、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や過酸化ベンゾイル(BPO)などを開始剤として、60〜120℃で数時間反応させる方法が挙げられる。また、液晶相を安定に出現させるために、臭化銅(I)/2,2’−ビピリジル系や2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシ・フリーラジカル(TEMPO)系などを開始剤としたリビングラジカル重合を行い、分子量分布を制御する方法も有効である。これらのラジカル重合は脱酸素条件下に行う必要がある。
アニオン重合の例としては、各成分に該当する(メタ)アクリル化合物をテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒に溶かし、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、グリニャール試薬などの強塩基を開始剤として反応させる方法が挙げられる。また、開始剤や反応温度を最適化することでリビングアニオン重合とし、分子量分布を制御することもできる。これらのアニオン重合は、脱水かつ脱酸素条件で行う必要がある。
側鎖型高分子液晶性化合物は、重量平均分子量が1,000〜200,000であるものが好ましく、3,000〜50,000のものが特に好ましい。この範囲外では強度が不足したり、配向性が悪化したりして好ましくない。
また、前述の円盤状の液晶分子、すなわちディスコチック液晶性分子は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))等に記載されている。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284号公報等に記載がある。
本発明において、液晶性組成物は下記一般式(2)で表されるジオキセタン化合物を含有することが好ましい。
式(2)において、R7は、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、L3は、それぞれ独立に、単結合または−(CH2)n−(nは1〜12の整数)を表し、X1は、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表し、M1は、式(3)または式(4)で表されるいずれかであり、式(3)および式(4)中のP1は、それぞれ独立に式(5)から選ばれる基を表し、P2は式(6)から選ばれる基を表し、L4は、それぞれ独立に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。
−P1−L4−P2−L4−P1− (3)
−P1−L4−P1− (4)
−P1−L4−P2−L4−P1− (3)
−P1−L4−P1− (4)
式(5)および式(6)において、Etはエチル基を、iPrはイソプロピル基を、nBuはノルマルブチル基を、tBuはターシャリーブチル基をそれぞれ表す。
より具体的には、M1基から見て左右のオキセタニル基を結合している連結基は異なっても(非対称型)同一でも(対称型)よく、特に2つのL3が異なる場合や他の連結基の構造によっては液晶性を示さないこともあるが、使用には制約とならない。
一般式(2)で表される化合物は、M1、L3およびX1の組み合わせから多くの化合物を例示することができるが、好ましくは、下記の化合物を挙げることができる。
より具体的には、M1基から見て左右のオキセタニル基を結合している連結基は異なっても(非対称型)同一でも(対称型)よく、特に2つのL3が異なる場合や他の連結基の構造によっては液晶性を示さないこともあるが、使用には制約とならない。
一般式(2)で表される化合物は、M1、L3およびX1の組み合わせから多くの化合物を例示することができるが、好ましくは、下記の化合物を挙げることができる。
これらの化合物は有機化学における通常の合成方法に従って合成することができ、合成方法は特に限定されるものではない。
合成にあたっては、オキセタニル基がカチオン重合性を有するため、強い酸性条件下では、重合や開環などの副反応を起こすことを考慮して、反応条件を選ぶ必要がある。なお、オキセタニル基は類似のカチオン重合性官能基であるオキシラニル基などと比べて、副反応を起こす可能性が低い。さらに、類似したアルコール、フェノール、カルボン酸などの各種化合物をつぎつぎに反応させることもあり、適宜保護基の活用を考慮してもよい。
合成にあたっては、オキセタニル基がカチオン重合性を有するため、強い酸性条件下では、重合や開環などの副反応を起こすことを考慮して、反応条件を選ぶ必要がある。なお、オキセタニル基は類似のカチオン重合性官能基であるオキシラニル基などと比べて、副反応を起こす可能性が低い。さらに、類似したアルコール、フェノール、カルボン酸などの各種化合物をつぎつぎに反応させることもあり、適宜保護基の活用を考慮してもよい。
より具体的な合成方法としては、例えば、ヒドロキシ安息香酸を出発化合物として、ウィリアムソンのエーテル合成法等によりオキセタニル基を結合させ、次いで得られた化合物と本発明に適したジオールとを、酸クロリド法やカルボジイミドによる縮合法等を用いて結合させる方法や、逆に予めヒドロキシ安息香酸の水酸基を適当な保護基で保護し、本発明に適したジオールと縮合後、保護基を脱離させ、適当なオキセタニル基を有する化合物(オキセタン化合物)、例えばハロアルキルオキセタン等と水酸基とを反応させる方法などが挙げられる。
オキセタン化合物と水酸基との反応は、用いられる化合物の形態や反応性により適した反応条件を選定すればよいが、通常、反応温度は−20℃〜180℃、好ましくは10℃〜150℃が選ばれ、反応時間は10分〜48時間、好ましくは30分〜24時間である。これらの範囲外では反応が充分に進行しなかったり、副反応が生じたりして好ましくない。また、両者の混合割合は、水酸基1当量につき、オキセタン化合物0.8〜1.2当量が好ましい。
反応は、無溶媒でも可能であるが、通常は適当な溶媒下で行われる。使用される溶媒は目的とする反応を妨害しなければ特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、安息香酸エチル等のエステル類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類やこれらの混合物が挙げられる。
本発明において用いられる液晶性組成物は、前記の低分子液晶性化合物または高分子液晶性化合物を少なくとも10質量%以上、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上含み、液晶性を示す組成物である。低分子液晶性化合物または高分子液晶性化合物の含有量が10質量%未満では組成物中に占める前記の液晶性を示す化合物の濃度が低くなり、組成物が液晶性を示さなくなる場合があり好ましくない。
本発明における液晶性組成物では、前述のように低分子液晶性化合物または高分子液晶性化合物の他に、液晶性を損なわずに混和し得る種々の化合物を含有することができる。含有することができる化合物としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性基やオキセタニル基、エポキシ基、ビニルエーテル基などのカチオン重合性基を有する各種の重合性化合物、カルボキシル基、アミノ基、イソシアナート基などの反応性基を有する化合物、フィルム形成能を有する各種の高分子化合物などを配合することもできる。また、前述のように界面活性剤、消泡剤、レベリング剤などを、さらに反応性の官能基を有する化合物や低分子または高分子液晶を用いた場合は、それぞれの官能基に適した反応開始剤や活性化剤、増感剤等を本発明の目的を逸脱しない範囲内で添加してもよい。
反応性基を有する液晶性組成物は、所望の配向を実現させた後、当該反応性基を反応させるに適した条件下で反応を行わしめ、架橋や分子量増大等により、目的とする最終製品の機械強度等の向上に寄与させることもできる。
反応性基を有する液晶性組成物は、所望の配向を実現させた後、当該反応性基を反応させるに適した条件下で反応を行わしめ、架橋や分子量増大等により、目的とする最終製品の機械強度等の向上に寄与させることもできる。
前記の重合性化合物としては、得られる液晶フィルムの、場合により次なる加工工程での加工性や接着性を向上しうる化合物が好ましく、特にオキセタニル基を有する(メタ)アクリレート類が好ましくい。これらの(メタ)アクリレートとしては、一般式(7)、(8)および(9)で表される化合物が挙げられる。
上記式(7)、式(8)および式(9)において、R1は、それぞれ独立に、水素またはメチル基を表し、R2は、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、L1は、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表し、mは、それぞれ独立に、1から10までの整数であり、nは、それぞれ独立に、0から10までの整数を表す。
これらの式(7)、(8)および(9)に該当する具体的な化合物は種々挙げることができるが、必ずしも液晶性を有する必要はない。より具体的には、
などが特に好ましい。
これらのオキセタニル基を有する(メタ)アクリレートの合成法も特に制限されるものではなく、通常の有機化学の合成法で用いられる方法を適用することによって合成することができる。
例えば、ウィリアムソンのエーテル合成や、縮合剤を用いたエステル合成などの手段でオキセタニル基を持つ部位と(メタ)アクリロイル基を持つ部位を結合させることで、オキセタニル基と(メタ)アクリロイル基と全く異なる2つの反応性基を持つオキセタニル基を有する(メタ)アクリレートを合成することができる。ただし反応にあたっては、オキセタニル基がカチオン重合性を有するため、強い酸性条件下では、重合や開環などの副反応を起こすことを考慮して、反応条件を選ぶ必要があるが、これらの反応条件は上述の一般式(1)で表される化合物の合成で詳述した範囲から適宜選択すればよい。
例えば、ウィリアムソンのエーテル合成や、縮合剤を用いたエステル合成などの手段でオキセタニル基を持つ部位と(メタ)アクリロイル基を持つ部位を結合させることで、オキセタニル基と(メタ)アクリロイル基と全く異なる2つの反応性基を持つオキセタニル基を有する(メタ)アクリレートを合成することができる。ただし反応にあたっては、オキセタニル基がカチオン重合性を有するため、強い酸性条件下では、重合や開環などの副反応を起こすことを考慮して、反応条件を選ぶ必要があるが、これらの反応条件は上述の一般式(1)で表される化合物の合成で詳述した範囲から適宜選択すればよい。
前記の反応開始剤としては、一般のラジカル重合に使用される有機過酸化物類や各種の光重合開始剤などが例示される。
光重合開始剤には、適当な光により開裂してラジカルを発生する光ラジカル開始剤、適当な光により開裂してカチオンを発生する光カチオン発生剤を挙げることができる。また必要によっては適当な温度に加熱されることによりカチオンを発生できる熱カチオン発生剤なども使用することができる。
光ラジカル開始剤としては、一般の紫外線(UV)硬化型塗料、UV接着剤、ネガ型レジスト等に使用される市販のベンゾインエーテル類、アシルホスフィンオキシド類、トリアジン誘導体類、イミダゾール誘導体類が挙げられる。
光カチオン発生剤としては、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系などを例示することが出来る。これら化合物の対イオンとしては、アンチモネート、フォスフェート、ボレートなどが好ましく用いられる。具体的な化合物としては、Ar3S+SbF6 −、Ar3P+BF4 −、Ar2I+PF6 −(ただし、Arはフェニル基または置換フェニル基を示す。)などが挙げられる。また、スルホン酸エステル類、トリアジン類、ジアゾメタン類、β−ケトスルホン、イミノスルホナート、ベンゾインスルホナートなども用いることができる。
また、熱カチオン発生剤としては、例えば、ベンジルスルホニウム塩類、ベンジルアンモニウム塩類、ベンジルピリジニウム塩類、ベンジルホスホニウム塩類、ヒドラジニウム塩類、カルボン酸エステル類、スルホン酸エステル類、アミンイミド類、五塩化アンチモン−塩化アセチル錯体、ジアリールヨードニウム塩−ジベンジルオキシ銅、ハロゲン化ホウ素−三級アミン付加物などを挙げることができる。
光重合開始剤には、適当な光により開裂してラジカルを発生する光ラジカル開始剤、適当な光により開裂してカチオンを発生する光カチオン発生剤を挙げることができる。また必要によっては適当な温度に加熱されることによりカチオンを発生できる熱カチオン発生剤なども使用することができる。
光ラジカル開始剤としては、一般の紫外線(UV)硬化型塗料、UV接着剤、ネガ型レジスト等に使用される市販のベンゾインエーテル類、アシルホスフィンオキシド類、トリアジン誘導体類、イミダゾール誘導体類が挙げられる。
光カチオン発生剤としては、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系などを例示することが出来る。これら化合物の対イオンとしては、アンチモネート、フォスフェート、ボレートなどが好ましく用いられる。具体的な化合物としては、Ar3S+SbF6 −、Ar3P+BF4 −、Ar2I+PF6 −(ただし、Arはフェニル基または置換フェニル基を示す。)などが挙げられる。また、スルホン酸エステル類、トリアジン類、ジアゾメタン類、β−ケトスルホン、イミノスルホナート、ベンゾインスルホナートなども用いることができる。
また、熱カチオン発生剤としては、例えば、ベンジルスルホニウム塩類、ベンジルアンモニウム塩類、ベンジルピリジニウム塩類、ベンジルホスホニウム塩類、ヒドラジニウム塩類、カルボン酸エステル類、スルホン酸エステル類、アミンイミド類、五塩化アンチモン−塩化アセチル錯体、ジアリールヨードニウム塩−ジベンジルオキシ銅、ハロゲン化ホウ素−三級アミン付加物などを挙げることができる。
これらの反応開始剤の液晶性組成物中への添加量は、用いる液晶化合物を構成するメソゲン部分やスペーサ部分の構造、分子量、液晶の配向条件などにより異なるため一概には言えないが、液晶化合物に対し、通常100質量ppm〜20質量%、好ましくは1000質量ppm〜10質量%、より好ましくは0.5質量%〜7質量%の範囲である。100質量ppmよりも少ない場合には、反応開始剤から発生する活性種の量が十分でなく反応が進行しないおそれがあり、また20質量%よりも多い場合には、液晶性組成物中に残存する反応開始剤の分解残存物等が多くなり着色したり、耐光性などが悪化するおそれがあるため好ましくない。
以下に、液晶性組成物(複屈折)層の形成方法について説明するが、液晶性組成物層の形成方法としてはこれらに限定されるものではない。
まず、本発明の液晶性組成物を配向膜基板上に展開する。
液晶性組成物を配向膜基板上に展開して液晶性組成物層を形成する方法としては、液晶性組成物を溶融状態で直接配向基板上に塗布する方法や、液晶性組成物の溶液を配向基板上に塗布後、塗膜を乾燥して溶媒を留去させる方法が挙げられる。
溶液の調製に用いる溶媒に関しては、本発明の液晶性組成物に使用される各種化合物を溶解でき適当な条件で留去できる溶媒であれば特に制限はなく、一般的にアセトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ブトキシエチルアルコール、ヘキシルオキシエチルアルコール、メトキシ−2−プロパノール、ベンジルオキシエタノールなどのエーテルアルコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、フェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系などやこれらの混合系が好ましく用いられる。また、配向基板上に均一な塗膜を形成するために、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤などを溶液に添加してもよい。
まず、本発明の液晶性組成物を配向膜基板上に展開する。
液晶性組成物を配向膜基板上に展開して液晶性組成物層を形成する方法としては、液晶性組成物を溶融状態で直接配向基板上に塗布する方法や、液晶性組成物の溶液を配向基板上に塗布後、塗膜を乾燥して溶媒を留去させる方法が挙げられる。
溶液の調製に用いる溶媒に関しては、本発明の液晶性組成物に使用される各種化合物を溶解でき適当な条件で留去できる溶媒であれば特に制限はなく、一般的にアセトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ブトキシエチルアルコール、ヘキシルオキシエチルアルコール、メトキシ−2−プロパノール、ベンジルオキシエタノールなどのエーテルアルコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、フェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系などやこれらの混合系が好ましく用いられる。また、配向基板上に均一な塗膜を形成するために、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤などを溶液に添加してもよい。
液晶性組成物を直接塗布する方法でも、溶液を塗布する方法でも、塗布方法については、塗膜の均一性が確保される方法であれば、特に限定されることはなく公知の方法を採用することができる。例えば、フレキソ印刷方式、オフセット印刷方式、ディスペンサー方式、グラビアコート方式、マイクログラビア方式、スクリーン印刷方式、リップコート方式、ダイコート方式など挙げることができる。これらの中でグラビアコート方式、キスコート方式やリップコート方式とダイコート方式が好ましい。
液晶性組成物の溶液を塗布する方法では、塗布後に溶媒を除去するための乾燥工程を入れることが好ましい。この乾燥工程は、塗膜の均一性が維持される方法であれば、特に限定されることなく公知の方法を採用することができる。例えば、ヒーター(炉)、温風吹きつけなどの方法が挙げられる。
塗布膜厚は、用いる液晶性組成物や得られる複屈折層の用途等により調整されるため一概には決められないが、乾燥後の膜厚で0.1〜20μm、好ましくは0.3〜10μmである。または液晶性組成物は配向させることにより屈折率異方性を発現するため、塗布膜厚は単に膜厚のみで規定するだけでは必ずしも十分とは言えず、液晶の配向状態によってはリタデーション値(=屈折率異方性×膜厚:Δn×d)で規定するのが好ましいときもある。そのときのリタデーション値は10〜1000nm、好ましくは20〜800nmの範囲である。膜厚および/またはリタデーション値がこの範囲外では、目的とする効果が見られない、配向が不十分になる、などして好ましくない。
続いて、配向膜基板上に形成された液晶性組成物(複屈折)層を、熱処理などの方法で液晶を配向させた後、必要により光照射および/または加熱処理で反応性基を反応させ当該配向を固定化する。最初の熱処理では、使用した液晶性組成物の液晶相発現温度範囲内で所望の温度に加熱することで、該液晶性組成物が本来有する自己配向能により液晶を配向させる。熱処理の条件としては、用いる液晶性組成物の液晶相挙動温度(転移温度)により最適条件や限界値が異なるため一概には言えないが、通常10〜300℃、好ましくは20℃〜250℃の範囲であり、該液晶性組成物のガラス転移点(Tg)以上の温度、さらに好ましくはTgより10℃以上高い温度で熱処理するのが好ましい。あまり低温では、液晶配向が充分に進行しないおそれがあり、また高温では液晶性組成物や配向基板に悪影響を与えるおそれがある。また、熱処理時間については、通常3秒〜30分、好ましくは10秒〜10分の範囲である。3秒より短い熱処理時間では、液晶配向が充分に完成しないおそれがあり、また30分を超える熱処理時間では、生産性が悪くなるため、どちらの場合も好ましくない。
該液晶性組成物層を上記の方法により配向を形成したのち、反応性基を含有する液晶性組成物を用いた場合は、当該液晶配向状態を保ったまま液晶性組成物を組成物中に含まれる反応開始剤の機能を発現させ反応性基を反応させて配向を固定化したり機械強度を向上させたりする。
反応開始剤が光の照射により開始剤の機能を発現する場合、光照射の方法としては、用いる反応開始剤の吸収波長領域にスペクトルを有するようなメタルハライドランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプ、レーザーなどの光源からの光を照射し、反応開始剤を活性化させる。1平方センチメートルあたりの照射量としては、積算照射量として通常1〜2000mJ、好ましくは10〜1000mJの範囲である。ただし、当該反応開始剤の吸収領域と光源のスペクトルが著しく異なる場合や、液晶性組成物自身に光源波長光の吸収能がある場合などはこの限りではない。これらの場合には、適当な光増感剤や、吸収波長の異なる2種以上の反応開始剤を混合して用いるなどの方法を採ることもできる。
光照射時の温度は、該液晶性組成物が液晶配向をとる温度範囲が好ましく、反応の効果を充分にあげるためには、該液晶材料のTg以上の液晶相温度で光照射を行うのが好ましい。
光照射時の温度は、該液晶性組成物が液晶配向をとる温度範囲が好ましく、反応の効果を充分にあげるためには、該液晶材料のTg以上の液晶相温度で光照射を行うのが好ましい。
液晶配向が固定化された液晶性組成物層は、配向膜基板上に形成されたままの形態(配向基板/(配向膜)/液晶性組成物層)、配向膜基板上とは異なる透明基板フィルム等に液晶性組成物層を光学で使用することができる各種の粘・接着剤を介して転写した形態(透明基板フィルム/(粘・接着剤層)/液晶性組成物層)、または液晶性組成物層単層形態(複屈折層)で光学フィルムとして用いることができる。
配向膜基板として、光学的に等方でない、あるいは得られる複屈折層が最終的に目的とする使用波長領域において不透明である、もしくは配向膜基板の膜厚が厚すぎて実際の使用に支障を生じるなどの問題がある場合、配向膜基板上で形成された形態から、配向膜基板と異なる基板、例えば、光学的に等方な、あるいは得られる複屈折層が最終的に目的とする使用波長領域において透明なフィルム、もしくはフィルム層を液晶セルなどに貼合するまでの間、仮に支持しておくためのフィルムに転写した形態も使用しうる。転写方法としては公知の方法を採用することができる。例えば、特開平4−57017号公報や特開平5−333313号公報に記載されているように複屈折層を粘着剤もしくは接着剤を介して、配向膜基板とは異なる基板を積層した後に、必要により当該粘着剤もしくは接着剤に硬化処理を施し、該積層体から配向膜基板を剥離することで複屈折層のみを転写する方法等を挙げることができる。
前記の配向膜基板と異なる基板としては、例えば、フジタック(富士写真フイルム社製品)、コニカタック(コニカミノルタオプト社製品)などのトリアセチルセルロースフィルム、TPXフィルム(三井化学社製品)、アートンフィルム(JSR社製品)、ゼオネックスフィルム(日本ゼオン社製品)、アクリプレンフィルム(三菱レーヨン社製品)などの透明フィルムや、シリコン処理を施したり、表面に易剥離層を設けたりしたポリエチレンテレフタレートフィルムなどが挙げられる。また必要によっては、延伸等により位相差機能を付与したフィルム、偏光素子、偏光板、各種ガラス等に直接転写することも可能である。
転写に使用される粘着剤もしくは接着剤は光学グレードのものであれば特に制限はなく、例えば、アクリル系、エポキシ樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ゴム系、ウレタン系およびこれらの混合物系や、熱硬化型および/または光硬化型、電子線硬化型等の各種反応性のものを挙げることができる。前記反応性のものの反応(硬化)条件は、粘・接着剤を構成する成分、粘度等や反応温度等の条件により変化するため、それぞれに適した条件を選択して行えばよい。例えば、光硬化型の場合は後述の光カチオン発生剤の場合と同様な光源を使用し同様な照射量でよく、電子線硬化型の場合の加速電圧は、通常10kV〜200kV、好ましくは50kV〜100kVである。
かくして得られた本発明の光学フィルムは、その配向構造によって様々な用途があり、特に、液晶表示素子用の視野角改良フィルムとして好ましく用いられる。
液晶表示素子としては、特に制限はないが、透過型、反射型、半透過型の各種液晶表示素子を挙げることができる。液晶セルにおける液晶配向によるモードとして例を挙げると、TN型、STN型、VA(vertical alignment)型、MVA(multi-domain vertical alignment)型、OCB(optically compensated bend)型、ECB(electrically controlled biriefringence)型、HAN(hybrid-aligned nematic)型、IPS(in-plane switching)型などを挙げることができる。液晶配向については、セルの面内で単一の方向性を持つものでも良いし、配向が分割された液晶表示素子等にも用いることができる。さらに液晶セルに電圧を印加する方法で言えば、例えば、ITO電極などを用いるパッシブ方式、TFT(薄膜トランジスター)電極やTFD(薄膜ダイオード)電極などを用いるアクティブ方式等で駆動する液晶表示素子を挙げることができる。
液晶表示素子としては、特に制限はないが、透過型、反射型、半透過型の各種液晶表示素子を挙げることができる。液晶セルにおける液晶配向によるモードとして例を挙げると、TN型、STN型、VA(vertical alignment)型、MVA(multi-domain vertical alignment)型、OCB(optically compensated bend)型、ECB(electrically controlled biriefringence)型、HAN(hybrid-aligned nematic)型、IPS(in-plane switching)型などを挙げることができる。液晶配向については、セルの面内で単一の方向性を持つものでも良いし、配向が分割された液晶表示素子等にも用いることができる。さらに液晶セルに電圧を印加する方法で言えば、例えば、ITO電極などを用いるパッシブ方式、TFT(薄膜トランジスター)電極やTFD(薄膜ダイオード)電極などを用いるアクティブ方式等で駆動する液晶表示素子を挙げることができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例は、クリーン度1000以下、温度23±1℃,相対湿度45±5%に維持されたクリーンルームにて行った。
また、実施例および比較例等で使用した分析方法等を以下に記す。
なお、以下の実施例および比較例は、クリーン度1000以下、温度23±1℃,相対湿度45±5%に維持されたクリーンルームにて行った。
また、実施例および比較例等で使用した分析方法等を以下に記す。
(1)配向膜材料(PVA)中のNa+量の定量
PVA中の不純物であるNa量(質量ppm)の測定は、原子吸光分光分析法にて、PVA粉末を脱イオン水に溶解後、速やかに測定した。
PVA中の不純物であるNa量(質量ppm)の測定は、原子吸光分光分析法にて、PVA粉末を脱イオン水に溶解後、速やかに測定した。
(2)分子量の測定
化合物をテトラヒドロフランに溶解し、東ソー社製8020GPCシステムで、TS
K−GEL SuperH1000、SuperH2000、SuperH3000、S
uperH4000を直列につなぎ、溶出液としてテトラヒドロフランを用いて測定し
た。分子量の較正にはポリスチレンスタンダードを用いた。
化合物をテトラヒドロフランに溶解し、東ソー社製8020GPCシステムで、TS
K−GEL SuperH1000、SuperH2000、SuperH3000、S
uperH4000を直列につなぎ、溶出液としてテトラヒドロフランを用いて測定し
た。分子量の較正にはポリスチレンスタンダードを用いた。
(3)PVA溶液濃度の測定
PVA溶液濃度は、ETAC社製オーブン HT310Sを使用し、アルミトレーにPVA溶液を計量し、空気中107℃、3時間乾燥前後の質量減少から測定し、質量%で求めた。
PVA溶液濃度は、ETAC社製オーブン HT310Sを使用し、アルミトレーにPVA溶液を計量し、空気中107℃、3時間乾燥前後の質量減少から測定し、質量%で求めた。
(4)顕微鏡観察
オリンパス光学社製BH2偏光顕微鏡で複屈折層の配向状態を観察した。また、別途一部、目視にても観察した。
オリンパス光学社製BH2偏光顕微鏡で複屈折層の配向状態を観察した。また、別途一部、目視にても観察した。
(5)光学フィルムのパラメータ測定
王子計測機器(株)製のKOBRA−21ADHを用いた。
王子計測機器(株)製のKOBRA−21ADHを用いた。
[参考例1] PVA溶液の調製
還流冷却器および攪拌機の付いたステンレススチール製500L槽にPVA(日本酢ビ・ポバール(株)製、商品名A−T、平均鹸化度99.94%、平均重合度1700(組成:PVA成分53%、水分47%からなる粉末)30.19kgを脱イオン水293.01kg(電気伝導度値;1μS/cm以下)を投入し、95℃3時間加熱し攪拌溶解後、70℃まで冷却し、イソプロピルアルコール76.8kg(関東化学社製、鹿一級、純度99%以上)を徐々に加え、65℃〜70℃で2時間攪拌した。
室温まで冷却し、前記槽からPVA溶液を濾過しながら抜き出した。濾過は、平均粒径1μmの粒子を捕集できるカートリッジフィルター(ADVANTEC社製、TCP−JX−S1FE(1μm))を使用し、濾過速度、20kg/2分(35〜30℃)で行い、PVA濃度約4質量%の溶液350kgを得た。
なお、使用したPVA中のNa+量は120質量ppmであった。
還流冷却器および攪拌機の付いたステンレススチール製500L槽にPVA(日本酢ビ・ポバール(株)製、商品名A−T、平均鹸化度99.94%、平均重合度1700(組成:PVA成分53%、水分47%からなる粉末)30.19kgを脱イオン水293.01kg(電気伝導度値;1μS/cm以下)を投入し、95℃3時間加熱し攪拌溶解後、70℃まで冷却し、イソプロピルアルコール76.8kg(関東化学社製、鹿一級、純度99%以上)を徐々に加え、65℃〜70℃で2時間攪拌した。
室温まで冷却し、前記槽からPVA溶液を濾過しながら抜き出した。濾過は、平均粒径1μmの粒子を捕集できるカートリッジフィルター(ADVANTEC社製、TCP−JX−S1FE(1μm))を使用し、濾過速度、20kg/2分(35〜30℃)で行い、PVA濃度約4質量%の溶液350kgを得た。
なお、使用したPVA中のNa+量は120質量ppmであった。
[参考例2]
参考例1と同様にして、PVA溶液を調製した。使用したPVAは、日本酢ビ・ポバール(株)製、商品名VC−20DH(平均鹸化度99.92%,平均重合度 2000 )である。
なお、使用したPVA中のNa+量は340質量ppmであった。
参考例1と同様にして、PVA溶液を調製した。使用したPVAは、日本酢ビ・ポバール(株)製、商品名VC−20DH(平均鹸化度99.92%,平均重合度 2000 )である。
なお、使用したPVA中のNa+量は340質量ppmであった。
[参考例3]
参考例1と同様にして、PVA117H(商品名、(株)クラレ製、平均鹸化度99.3%、平均重合度1700)を用いてPVA溶液を得た。
なお、使用したPVA中のNa+量は2300質量ppmであった。
参考例1と同様にして、PVA117H(商品名、(株)クラレ製、平均鹸化度99.3%、平均重合度1700)を用いてPVA溶液を得た。
なお、使用したPVA中のNa+量は2300質量ppmであった。
[参考例4]
参考例1と同様にして、PVA117(商品名、(株)クラレ製、平均鹸化度98.0%、平均重合度1700)を使用してPVA溶液を得た。
なお、使用したPVA中の酢酸Na+量は3000質量ppmであった。
参考例1と同様にして、PVA117(商品名、(株)クラレ製、平均鹸化度98.0%、平均重合度1700)を使用してPVA溶液を得た。
なお、使用したPVA中の酢酸Na+量は3000質量ppmであった。
[参考例5]
参考例1で得られたPVA溶液に、PVA中のNa+量が3800質量ppmとなるように、酢酸ナトリウムを添加してPVA溶液とした。
参考例1で得られたPVA溶液に、PVA中のNa+量が3800質量ppmとなるように、酢酸ナトリウムを添加してPVA溶液とした。
[参考例6]
光学フィルムの製造に使用する液晶性組成物溶液を以下のようにして調製した。
下記式(8)で示される液晶性ポリマーを通常のラジカル重合により合成した。分子量はポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)=8000、重量平均分子量(Mw)=15000であった。
この液晶性ポリマー200.0gを、1800mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)20gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して液晶性組成物溶液を調製した。
なお、下記式(8)はブロックコポリマーの形態で表示しているが、重合時のモノマー組成比(mol比)を表示するものである。
光学フィルムの製造に使用する液晶性組成物溶液を以下のようにして調製した。
下記式(8)で示される液晶性ポリマーを通常のラジカル重合により合成した。分子量はポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)=8000、重量平均分子量(Mw)=15000であった。
この液晶性ポリマー200.0gを、1800mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)20gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して液晶性組成物溶液を調製した。
なお、下記式(8)はブロックコポリマーの形態で表示しているが、重合時のモノマー組成比(mol比)を表示するものである。
[実施例1〜2および比較例1〜3]
(配向膜形成)
幅650mm、長さ1000mのポリエチレンナフタレートフィルム(PEN:帝人デュポンフィルム(株)製、商品名Q51またはQ02)に室温下、グラビアコーターにより乾燥膜厚が約1μmとなるように参考例1〜5で得られた各PVA溶液を連続的に塗布した。塗布膜の乾燥は、50℃、70℃、90℃および130℃に設定した熱風循環式乾燥機で相対乾燥風速600m/分で連続的に行い、配向膜付き長尺フィルムを得た。
(配向膜形成)
幅650mm、長さ1000mのポリエチレンナフタレートフィルム(PEN:帝人デュポンフィルム(株)製、商品名Q51またはQ02)に室温下、グラビアコーターにより乾燥膜厚が約1μmとなるように参考例1〜5で得られた各PVA溶液を連続的に塗布した。塗布膜の乾燥は、50℃、70℃、90℃および130℃に設定した熱風循環式乾燥機で相対乾燥風速600m/分で連続的に行い、配向膜付き長尺フィルムを得た。
(ラビング処理)
図1に示す装置により、上記で得られた配向膜付き長尺フィルムを20m/分の速度で搬送しながら、配向膜面をラビング布を巻き付けた直径150mmのラビングロールをフィルムのMDに対して45度に設定し、ラビング布の毛先の押し込みを500μmとして1500rpmで回転させる(周速比35)ことにより連続的にラビングをし、ロールに巻き取りを行った。
図1に示す装置により、上記で得られた配向膜付き長尺フィルムを20m/分の速度で搬送しながら、配向膜面をラビング布を巻き付けた直径150mmのラビングロールをフィルムのMDに対して45度に設定し、ラビング布の毛先の押し込みを500μmとして1500rpmで回転させる(周速比35)ことにより連続的にラビングをし、ロールに巻き取りを行った。
(光学フィルムの製造)
参考例6で得た液晶性組成物溶液を、上記ラビング処理をした長尺フィルム上に、ロールコーターを用いて配向・硬化後の複屈折層厚が1μmとなるように塗布した後、60℃で乾燥後、140℃で2分間加熱処理をして液晶性組成物層を配向させ、ついで雰囲気温度が70℃に維持された高圧水銀ランプを備えた紫外線照射装置にて300mJ/cm2の紫外光を照射して配向を固定化し室温に冷却し、光学フィルムを得た。
参考例6で得た液晶性組成物溶液を、上記ラビング処理をした長尺フィルム上に、ロールコーターを用いて配向・硬化後の複屈折層厚が1μmとなるように塗布した後、60℃で乾燥後、140℃で2分間加熱処理をして液晶性組成物層を配向させ、ついで雰囲気温度が70℃に維持された高圧水銀ランプを備えた紫外線照射装置にて300mJ/cm2の紫外光を照射して配向を固定化し室温に冷却し、光学フィルムを得た。
基材であるPENフィルムは光学的に異方性を示し複屈折層(液晶性組成物層)の配向状態の観察が困難なため、複屈折層をアクリル系接着剤によりトリアセチルセルロースフィルム上に転写した後、偏光顕微鏡や目視により配向状態を観察した(図2、図3)。結果を表1に示す。
10 ラビングロール
11 配向基板を搬送するステージ
12 配向基板としての長尺フィルム
11 配向基板を搬送するステージ
12 配向基板としての長尺フィルム
Claims (9)
- 基材上に配向膜を形成する工程と、形成した配向膜をラビング処理する工程、次いでラビング処理された配向膜上に複屈折層を形成する工程とからなる光学フィルムの製造方法において、前記配向膜のイオン性不純物量が、2000質量ppm以下であることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
- 前記のイオン性不純物がナトリウムイオンであることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記のナトリウムイオンが酢酸ナトリウム由来であることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記の配向膜がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記のポリビニルアルコールの鹸化度が98%以上であることを特徴とする請求項4に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記の基材が、プラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記複屈折層が、液晶性化合物を含む材料から形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により製造された光学フィルム。
- 請求項8に記載の光学フィルムを使用した液晶表示素子。
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