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JP2008030086A - 高強度クラッド鋼板の製造方法 - Google Patents

高強度クラッド鋼板の製造方法 Download PDF

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JP2008030086A JP2006205614A JP2006205614A JP2008030086A JP 2008030086 A JP2008030086 A JP 2008030086A JP 2006205614 A JP2006205614 A JP 2006205614A JP 2006205614 A JP2006205614 A JP 2006205614A JP 2008030086 A JP2008030086 A JP 2008030086A
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慎也 佐藤
Yukio Nitta
幸夫 新田
Rinzo Kayano
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Abstract

【課題】母材の強度と靱性に優れ、かつ溶接性に優れて実用性の高い高強度クラッド鋼板を提供する。
【解決手段】C−Mn鋼母材と合せ材とをクラッドしたクラッド鋼板の製造方法において、炭素当量を0.4質量%以下とした前記C−Mn鋼母材と合せ材とを組み合わせて1150℃〜1250℃の範囲に加熱して熱間圧延を行い、その仕上げ圧延を750℃〜950℃の温度範囲で終了し、直接水焼入れを行った後に焼戻しを行う。従来法により製造したクラッド鋼板の成分を変更することなく、より高い強度を有するAPIX70gradeの性能を満たすクラッド鋼板を製造することができる。また、焼入れのために再加熱する工程が省略され、工期、製造コスト、エネルギー消費の低減に繋がる効果がある。
【選択図】図2

Description

この発明は、焼入れ焼戻し処理(以下調質という)によって製造されるクラッド鋼板について、APIX70grade相当の高い強度が要求される用途に使用される高強度クラッド鋼板の製造方法に関するものである。
天然ガスは石油エネルギーに比べ大気汚染問題が少ない為、クリーンエネルギーとしてその需要は今後更に増加傾向にあり、天然ガスパイプラインの建設計画は国際的な経済政策として大きく加速されつつある。天然ガスの採掘においては、目的とするガスの他に、硫化水素、炭酸ガス、塩素イオン等の腐食性の高いガスが含まれる場合も多く、腐食性の強い環境下での使用に耐えうる金属材料として優れた耐食性を有し、かつ高強度であるクラッド鋼板およびクラッドパイプが使用されている。
焼入れ焼戻し処理(以下調質と言う)によって製造されるクラッド鋼板製造に関しては、C−Mn鋼を基本として微量合金元素の添加および熱処理条件の適正化することにより、APIX65gradeの高強度で優れた低温靭性を持ち、さらに溶接後の溶接部も十分な性能を有するクラッド鋼板が製造可能である(例えば、特許文献1参照)。一方で近年はラインパイプの安全性の向上や薄肉化によるコスト低減を図るために、材料に対するより高強度化への要求が高まりつつあり、この要求に対応するためにも従来より高強度のクラッド鋼板を製造する必要がある。
クラッド鋼板の製造において、高強度強靭性を得るための方法として圧延後の直接焼入れ法が知られている。クラッド鋼板の製造においてこの直接焼入れ法を適用した例は、例えば特許文献2において提案されている、該特許文献2では、クラッド鋼板母材と合せ材を組み合わせた予備クラッド材を1000℃以上に加熱して熱間加工を行いクラッド化した後、熱間加工後そのままの状態で800℃以上の温度から急冷処理してから、母材のAC1点以下の温度で焼戻し処理を行う方法が開示されている。該特許文献2における上記特許の実施例によると、引張強度が約100kgf/mm、破面遷移温度が−50〜−100℃の性能を有するクラッド鋼板が得られるとされている。
特開2004−149821号公報 特開昭61−144284号公報
上記特許文献2に示された製造方法によれば、比較的強度の高いクラッド鋼が得られる。しかし、該特許文献2における好適な実施例では、溶接部の割れ感受性を評価する溶接割れ感受性指数が高く、鋼材成分から溶接部の最高硬さを評価する際に使用される炭素当量も、近年客先から要求されるCeq≦0.4mass%およびPCM≦0.2mass%の範囲から逸脱しており、実用上難点がある。すなわち特許文献2で示される具体例では、炭素当量が高いことによって高強度の特性が得られているものの、溶接性に劣っているといえる。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、通常の調質法によるクラッド鋼板よりも高強度のAPIX70grade以上の性能を満足するクラッド鋼板を得ることができ、十分な強度および靭性を有するとともに、良好な溶接性を有することで実用性に優れたクラッド鋼板を製造する方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の高強度クラッド鋼板の製造方法のうち請求項1記載の発明は、C−Mn鋼母材と合せ材とをクラッドしたクラッド鋼板の製造方法において、炭素当量を0.4質量%以下とした前記C−Mn鋼母材と合せ材とを組み合わせて1150℃〜1250℃の範囲に加熱して熱間圧延を行い、その仕上げ圧延を750℃〜950℃の温度範囲で終了し、直接水焼入れを行った後に焼戻しを行うことを特徴とする。
請求項2記載の高強度クラッド鋼板の製造方法の発明は、請求項1記載の発明において、圧延後のクラッド鋼板全厚は50mm以下であることを特徴とする。
請求項3記載の高強度クラッド鋼板の製造方法の発明は、請求項1または2に記載の発明において、圧延後の直接水焼入れは、上記温度範囲において圧延を終了させた後、水温を30℃以下に管理した水槽を用いて行い、そのときのクラッド鋼板の肉厚中心部の800℃から500℃における冷却速度は100℃/min以上とすることを特徴とする。
請求項4記載の高強度クラッド鋼板の製造方法の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、焼入れ後は、加熱炉を用いてAc1点以下の500℃〜650℃で焼戻しを行うことを特徴とする。
請求項5記載の高強度クラッド鋼板の製造方法の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、焼入れ、焼戻し後のクラッド鋼板母材が、引張強度≧564MPa、0.2%耐力≧483MPa、vE−40℃≧35Jの性能を有し、かつ、下記式(1)の炭素当量(Ceq)および式(2)の溶接割れ感受性指数(PCM)が、Ceq≦0.4mass%およびPCM≦0.2mass%を満たすことを特徴とする。
式(1):Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5(mass%)
式(2):PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B(mass%)
請求項6記載の高強度クラッド鋼板の製造方法の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記C−Mn鋼母材の組成が、質量%でC:0.03〜0.10%、Si:0.10〜0.30%、Mn:1.20〜1.60%、P:0.015%以下、S:0.002%以下、Ni:0.10〜0.50%、Cr:0.05〜0.30%、Mo:0.05〜0.30%、Cu:0.05〜0.30%、V:0.010〜0.040%、Ti:0.005%〜0.020%、Nb:0.030〜0.10%、N:0.0030〜0.0090%、Al:0.01〜0.10%の範囲で合金元素を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる低合金鋼であることを特徴とする。
すなわち、本発明によれば、熱間圧延において直接焼き入れを行うことによって、母材の強度および靱性が向上し、さらに合せ材の耐食性も良好になる。これにより、50mm以下の肉厚においても十分な強度と靱性とが得られる。以下に、本発明において規定する各条件について説明する。
熱間圧延前加熱条件:1150〜1250℃
熱間圧延に際し、組み合わせたC−Mn鋼母材と合せ材とを適温に加熱することで熱間圧延を良好に行えるとともに、母材の焼き入れ効果、合せ材の溶体化処理効果が得られる。なお、熱間圧延に際し、組み合わせたC−Mn鋼母材の加熱温度が1150℃未満であると、変形抵抗の増大に伴い圧延作業が困難になる可能性が考えられる。また、合せ材については、従来の調質法と異なり直接焼入れによるクラッド鋼板の製造においては、圧延前の加熱が合せ材の溶体化熱処理を兼ねることから、加熱温度が1150℃未満であると合せ材スラブ製造時の炭化物あるいは析出物が十分に溶体化されず、耐食性の劣化を招く危険性がある。一方、1250℃を超えると、母材結晶粒の粗大化が生じ、靭性に悪影響をもたらす可能性があるため、上記温度を1150〜1250℃に定める。
仕上圧延終了温度:750〜950℃
熱間圧延後、直接焼き入れに供するクラッド鋼板の温度を、仕上圧延終了温度として規制することで、合せ材の溶体化処理効果と、母材の焼き入れ効果とが十分に得られ、オーステナイト再結晶領域での加工による組織の微細化、およびオーステナイト未再結晶領域での加工による組織の微細化が行える温度範囲となる。そして、圧延仕上がり温度が750℃未満であると、例えば合せ材がSUS316のようなオーステナイト系ステンレス鋼であった場合、圧延中に鋭敏化温度近傍に晒される時間が長くなり、耐食性の劣化を招く可能性が大きい。一方、仕上がり温度が950℃以上の場合、、母材は主に再結晶温度域以上で繰り返し圧延される為、十分に微細化された組織を得る事が難しく靭性に悪影響をもたらす可能性があるため、圧延仕上がり温度を750〜950℃に定める。
冷却速度:水冷
上記圧延仕上がり温度から水冷によって直接焼き入れを行うことで、母材において高い強度が得られる。該水冷においては、クラッド鋼板の肉厚中心部の800℃から500℃における冷却速度が100℃/min以上であるのが望ましい。該冷却速度の調整は、水温を30℃以下に管理した水槽を用いて行うことができる。また、クラッド鋼板の肉厚が上記冷却速度に影響するので、該肉厚を規制することで上記冷却速度の条件を満たすことができる。図3に示すように、クラッド鋼板の肉厚を50mm以下とすれば、上記水槽を用いることでクラッド鋼の肉厚中心の冷却速度を確実に上記条件内にすることができる。なお、図中のTは肉厚、W.Q.は水焼き入れ、F.C.は衝風冷却、A.C.は空冷を表している。なお、天然ガスパイプラインなどにおいて、所望の強度を得るためには、ある程度の肉厚が必要であり、5mm以上の肉厚が望ましい。
焼戻し温度:Ac1点以下の500℃〜650℃
焼入れ後は、焼戻しを行うことで母材の靱性を向上させることができる。この際には、加熱炉を用いてAc1点以下の500℃〜650℃で焼戻しを行うのが望ましい。
炭素当量(Ceq):0.4質量%以下
下記式(1)で表される炭素当量は、良好な溶接性を確保するため、母材において0.4質量%以下にする必要がある。0.4%を超えると溶接性が低下して、実用性に劣ることになる。
式(1):
eq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5(mass%)
溶接割れ感受性(PCM):0.2質量%以下
下記式(2)で表される溶接割れ感受性を0.2質量%以下とすることで、溶接時の割れ発生を回避することができる。割れ感受性が0.2%を超えると、実用性に劣ることになる。
式(2):PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B(mass%)
母材材質
本発明では、母材組成を特別に規制することなく、熱間圧延後の直接水焼き入れによって高強度、高靱性のクラッド鋼を得ることができる。さらには、母材の組成を適正化することで、引張強度≧564MPa、0.2%耐力≧483MPa、vE−40℃≧35Jの性能を得ることができる。適正化された母材組成の例を以下に示す。
質量%でC:0.03〜0.10%、Si:0.10〜0.30%、Mn:1.20〜1.60%、P:0.015%以下、S:0.002%以下、Ni:0.10〜0.50%、Cr:0.05〜0.30%、Mo:0.05〜0.30%、Cu:0.05〜0.30%、V:0.010〜0.040%、Ti:0.005%〜0.020%、Nb:0.030〜0.10%、N:0.0030〜0.0090%、Al:0.01〜0.10%の範囲で合金元素を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる低合金鋼である。
上記母材組成のクラッド鋼板母材に本発明を適用することにより、高強度、高靭性のクラッド鋼板を得ることができる。さらに上記母材組成の範囲で組成を適正化することによって、板厚が50mm以下の範囲で、引張強度≧564Mpa、0.2%耐力≧483MPa、−40≧35Jの性能を得ることができる。なお、上記母材組成における成分限定理由は以下の通りである。なお、以下で示す含有量はいずれも質量%で示す。
C:0.03〜0.10%
Cは強度を確保する為に有効な成分であるが、溶接性の観点からはCの過剰な添加はHAZ靭性の低下や請求項5に示す炭素当量および溶接割れ感受性指数の増加に繋がることから、その添加量は低く制限する必要がある。しかし、従来の調質によるクラッド鋼板製造方法ではAPI X70grade相当の強度を確保する為に少なくとも0.05%以上の添加が必要であった。本発明の高強度クラッド鋼板製造方法では、直接焼入れを適用することにより従来よりも低いC添加量で高強度クラッド鋼板を製造する事が可能であり、その添加量の下限値を0.03%とする。また上限値は上記の理由により0.10%以下とする。
Si:0.10〜0.30%
Siは母材の強度確保に有効な成分であり0.10%以上の添加が必要である。しかし過剰な添加はHAZの硬化を引き起こす為、上限値を0.30%とした。
Mn:1.20〜1.60%
Mnは母材の強度および靭性の確保に有効な成分であり1.20%以上の添加が必要である。また、溶接部の靭性、割れを考慮して上限を1.60%とした。
P:0.015%以下
Pは含有量が少ないほど望ましいが、工業的に実現可能な0.015%を上限とした。
S:0.002%以下
Sは含有量が少ないほど望ましいが、工業的に実現可能な0.002%を上限とした。
Ni:0.10〜0.50%
Niは強度および靭性に有効な成分であるが、製造コストを考慮した場合その添加の上限を0.50%、下限を0.10%とした。
Cr:0.05〜0.30%
Crは強度および靭性に有効な成分であるが、過剰な添加はHAZ部における靭性を低下させる為、その上限を0.30%、下限を0.05%とした。
Mo:0.05〜0.30%
Moは固溶化熱処理後の母材の強度と靭性を向上させる成分であり、0.05%未満ではその効果が得られず、過剰な添加はHAZ部の靭性を損なう為、下限を0.05%、上限を0.30%とした。
Cu:0.05〜0.30%
Cuは強度の向上に効果があるが、過剰な添加は溶接時の割れ感受性を高める為、上限を0.30%、下限を0.05%とした。
V:0.010〜0.040
Vは強度を確保する為に有効な成分であるが、過剰な添加は靭性を損なうことから、上限値を0.040%、下限を0.010%とした。
Al:0.01〜0.10%
Alは結晶粒微細化に有効な元素であるが、添加しすぎると過剰に析出物が生成し母材性能に悪影響をもたらす恐れがあることから、その添加量の上限を0.10%、下限値を0.010%とする。
Ti:0.005%〜0.020%
Tiは固溶化熱処理後の組織を微細化する効果を持つが、その添加量は0.005%以下では効果はなく、また0.020%を超えると靭性が劣化するため上限値を0.020%、下限値を0.005%とした。
Nb:0.030〜0.10%
Nbはオーステナイト粒の粗大化を防止し組織の微細化に寄与する成分であると同時に、Nb炭化物などを母材に微細分散させることで強度を向上させることができる。その効果を得る為には0.030%以上の添加が必要であるが、0.10%を超えると鋼塊に表面キズが発生してしまう恐れがある為、上限値を0.10%、下限値を0.030%とした。
N:0.0030〜0.0090%
Nは固溶強化により母材の強度向上に有効であるが、過剰な添加は固溶Nが増加しHAZ靭性の低下を招く。よって上限値を0.0090%、下限値を0.0030%とした。
合せ材材質
本発明としては、クラッド鋼板の利用用途に応じて適宜材質の合せ材が選択され、耐食性が要求される用途では、耐食性に優れた合せ材が使用される。例えば、ステンレス鋼、またはNi基合金などの高合金鋼、Cu合金などの非鉄金属を用いることができる。本発明としては、合せ材の材質が特定の材料に限定されるものではなく、利用用途に応じした特性を有する材料を使用することができる。
以上説明したように、本発明の高強度クラッド鋼板の製造方法によれば、C−Mn鋼母材と合せ材とをクラッドしたクラッド鋼板の製造方法において、炭素当量を0.4質量%以下とした前記C−Mn鋼母材と合せ材とを組み合わせて1150℃〜1250℃の範囲に加熱して熱間圧延を行い、その仕上げ圧延を750℃〜950℃の温度範囲で終了し、直接水焼入れを行った後に焼戻しを行うので、母材性能として高強度、高靱性の特性が得られるとともに、良好な溶接性が得られ、実用性に優れたクラッド鋼を得ることができる。従来法により製造したクラッド鋼板の成分を変更することなく、より高い強度を有するAPIX70gradeの性能を満たすクラッド鋼板を製造することが可能である。また、焼入れのために再加熱する工程が省略される為、工期、製造コスト、エネルギー消費の低減に繋がる効果がある。
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
本発明のクラッド鋼用母材は、好適には、前記した成分範囲で炭素当量が0.4mass%以下(式(1)により算出)、溶接割れ感受性指数が0.2mass%以下(式(2)により算出)に調整され、常法等により溶製することができる。該母材は、用途などにより合せ材の材質が選定され、熱間圧延によりクラッド鋼板とする。なお、天然ガスのパイプラインに使用されれるような腐食性用途では、例えば合せ材としてAlloy825などの高合金を用いることができる。なお、クラッド後の鋼板の厚さは、好適には50mm厚以下となるように母材厚さ、合せ材厚さおよび圧下率を設定する。
熱間圧延では、組み合わせたC−Mn鋼母材と合せ材とを組み合わせて1150〜1250℃の範囲に加熱して行う。なお、2組のクラッド鋼を得るために、組み合わせ体をサンドイッチして熱間圧延することもできる。該熱間圧延では、1または複数パスで所望の圧下率で圧延がなされ、仕上げ圧延では、750〜950℃を仕上げ温度とする。なお、1パスの熱間圧延では、該パスが仕上げ圧延となる。
仕上げ圧延後は、好適には30℃以下に温度管理をした水槽を用いて直接水焼き入れを行う。この際には、クラッド鋼の肉厚中心で800から500℃にかけて100℃/min以上の冷却速度が得られるのが望ましい。
上記焼き入れ後には、加熱炉を用いて、Ac1点以下で好適には550〜650℃の温度に加熱する焼き戻し処理を行う。焼き戻し時加熱時間としては0.5〜1.0時間を例示することができる。
得られたクラッド鋼板は、適正な成分選定と、温度を制御した熱間圧延後の直接水焼き入れよって、優れた特性が得られ、母材特性において、引張強度≧564MPa、0.2%耐力≧483MPa、vE−40℃≧35Jの性能を得ることが可能になる。クラッド鋼板は、板状のままのほか、クラッド鋼管として使用されるものであってもよい。
以下に、クラッド鋼母材の性能を確認する為に行った本発明の実施例を示す。
表1に示す組成の供試鋼50kgを高周波真空溶解炉を用いて溶解した後、1200℃に加熱をして熱間圧延により25mmまで圧延を行った。その際、圧延の仕上げ温度を650℃〜940℃の間で6条件実施した。圧延後は直ちに水焼入れを行い、その後580℃×2hの焼戻しを行った。また、比較のために、従来法である850℃の仕上げ圧延後、室温まで空冷し、950℃×1hの焼入れおよび580℃×2hの焼戻しを行った鋼板を作製した。
Figure 2008030086
図1に、上記で用意された各鋼板の引張試験結果を示す。図1より、圧延仕上がり温度が750℃以上の場合において、従来の調質法による鋼板と比較すると、引張強度(T.S.)および0.2%耐力(0.2%Y.S.)はともに100MPa以上の増加が認められ、X70gradeの強度を十分満たしていることが確認された。
さらに、図2に各鋼板のシャルピー衝撃試験結果を示す。直接焼入れ材(DQT材)の衝撃値は従来の調質法による鋼板に比べると劣るものの、いかなる条件でも−40℃で100J以上と良好な結果となった。
発明法によるクラッド鋼板製造方法では、従来法に比べて高強度のクラッド鋼板を作製することができ、靭性については、−40℃で100J以上の衝撃値を有しており十分な性能を持っているといえる。
溶接性を評価する指標の一つに溶接部の硬さが挙げられるが、表2に本発明により製造したクラッド鋼板について、溶接試験を実施した際の溶接部硬さ測定結果を示す。なお、表2の値は複数点測定を行った結果の平均値である。また表中の1/2tは、肉厚の1/2深さを示している。HAZの硬さはHV210程度であり、熱影響による硬化も認められないことから、本発明により製造したクラッド鋼板の溶接性は良好なものであると判断される。
Figure 2008030086
実施例における本発明により製造したクラッド鋼板母材と従来の調質法により製造したクラッド鋼板母材の引張試験結果を示すグラフである。 実施例における本発明により製造したクラッド鋼板母材と従来の調質法により製造したクラッド鋼板母材のシャルピー衝撃試験結果を示すグラフである。 各冷却方法における板厚と800℃から500℃の間の冷却速度を示す図である。

Claims (6)

  1. C−Mn鋼母材と合せ材とをクラッドしたクラッド鋼板の製造方法において、炭素当量を0.4質量%以下とした前記C−Mn鋼母材と合せ材とを組み合わせて1150℃〜1250℃の範囲に加熱して熱間圧延を行い、その仕上げ圧延を750℃〜950℃の温度範囲で終了し、直接水焼入れを行った後に焼戻しを行うことを特徴とする高強度クラッド鋼板の製造方法。
  2. 圧延後のクラッド鋼板全厚は50mm以下であることを特徴とする請求項1記載の高強度クラッド鋼板の製造方法。
  3. 圧延後の直接水焼入れは、上記温度範囲において圧延を終了させた後、水温を30℃以下に管理した水槽を用いて行い、そのときのクラッド鋼板の肉厚中心部の800℃から500℃における冷却速度は100℃/min以上とすることを特徴とする請求項1または2に記載の高強度クラッド鋼板の製造方法。
  4. 焼入れ後は、加熱炉を用いてAc1点以下の500℃〜650℃で焼戻しを行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高強度クラッド鋼板の製造方法。
  5. 焼入れ、焼戻し後のクラッド鋼板母材は、引張強度≧564MPa、0.2%耐力≧483MPa、vE−40℃≧35Jの性能を有し、かつ、下記式(1)の炭素当量(Ceq)および式(2)の溶接割れ感受性指数(PCM)が、Ceq≦0.4mass%およびPCM≦0.2mass%を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高強度クラッド鋼板の製造方法。
    式(1):Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5(mass%)
    式(2):PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B(mass%)
  6. 前記C−Mn鋼母材の組成が、質量%でC:0.03〜0.10%、Si:0.10〜0.30%、Mn:1.20〜1.60%、P:0.015%以下、S:0.002%以下、Ni:0.10〜0.50%、Cr:0.05〜0.30%、Mo:0.05〜0.30%、Cu:0.05〜0.30%、V:0.010〜0.040%、Ti:0.005%〜0.020%、Nb:0.030〜0.10%、N:0.0030〜0.0090%、Al:0.01〜0.10%の範囲で合金元素を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる低合金鋼であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高強度クラッド鋼板の製造方法。
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