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JP2008025622A - 自動車エンジン用チェーン - Google Patents

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Abstract

【課題】極端に劣化した酸化度の高い潤滑油と共に使用された場合にあっても異常摩耗伸びが発生することなく、長期に亘って円滑に屈曲摺動する自動車エンジン用チェーンを提供することにある。
【解決手段】多数のプレートをピンによって連結した自動車エンジン用チェーンであって、ピンの表面に、拡散浸透処理によって、炭化バナジウム層が形成されており、ピンの母材となる鋼側における炭化バナジウム層が、V87 層によって形成されており、ピンの炭化バナジウム層の最外層側が、V2 層によって形成されていることを特徴とする自動車エンジン用チェーン。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車エンジン用の動力伝達用チェーンやカムシャフト駆動用チェーンに関するものであって、特に好ましくは、自動車エンジン用タイミングチェーンに関する。
近年、自動車用エンジンのカムシャフト駆動機構等に用いられる動力伝達媒体には、高荷重、高速化、レイアウトの自由度の向上及びメンテナンスフリー化の要請から、従来、多用されていた歯付ベルトやVベルトに代わり、耐久性に優れた金属製ローラチェーンや金属製ブシュチェーンの採用が増加している。
さらに昨今、静粛性の向上、高荷重、高速化などのより厳しい条件が要求される自動車エンジン用タイミングチェーンなどの分野において、サイレントチェーンの採用が増加している。
一般に、自動車エンジン用サイレントチェーンは、ガイドリンクプレートと、噛み合い歯を有するインナーリンクプレートと、ガイドリンクプレートに穿孔されたピン孔に圧入されるとともに、インナーリンクプレートに穿孔したピン孔に挿通されているピンによってチェーン長手方向に編成されている。そして、インナーリンクプレートがスプロケットの歯先に接触して噛み合い始めるときから、離れるときまで、歯形に沿って滑り込むため、スプロケットとチェーンとの衝突による衝撃が緩和され、騒音レベルが低下するという特徴を有している。
本願発明の発明者らは、従来の自動車エンジン用タイミングチェーンが抱えていた、エンジンルーム内の極端に劣化した酸化度の高い潤滑油と共に使用された場合にピンが、酸化や腐食の影響を受けやすく、寿命が短いという課題を解決するために、ピンの表面に炭化バナジウム(VC)層を形成した自動車用チェーンを既に開発し、市場で高い評価を得ている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、サイレントチェーンのピンに対して炭化バナジウム(VC)処理を行った後、ピン母材の最表層にバレル研磨処理を施すことによって、V87以外のバナジウム炭化物、例えば、V2Cを多く含む最表面の不純物層を完全に除去することによって耐摩耗性を向上させることも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第3659963号公報 特開2005−290435号公報
ところが、特許文献1に開示された自動車エンジン用チェーンにおいては、ブシュを有するローラチェーン又はブシュチェーンを対象にしており、ここで採用された、ピンの表面に炭化バナジウム層を形成するという技術をサイレントチェーンにそのまま採用しても、エンジンルーム内の極端に劣化した酸化度の高い潤滑油と共に使用された場合にピンが酸化や腐食の影響を受け難く、長寿命化が図られるというローラチェーンやブシュチェーンで得られたような効果が得られなかった。
さらに、上述した特許文献2に開示されたサイレントチェーン用のピンによると、耐摩耗性に優れているV87 層上の表層に形成されるV2Cを多く含む不純物層を完全に除去した結果、一見、ピンの耐摩耗性が向上しているが、リンクプレートに対するなじみ性が悪くなり、“耐衝撃性(Shock resistance)”が低下するという課題が生じていた。
そこで、本発明者らが、炭化バナジウム処理が施されたピンの断面を電子顕微鏡を使って詳細に調べ、試行錯誤を重ねた結果、耐摩耗性に優れているV87 層の表層に形成されるV2Cを多く含む最外層に対して、適度な粗さ、すなわち最外層を除去することなく、最外層表面の粗さを小さくすることによって、ピンとインナーリンクプレートのピン孔との間に油膜が形成され、ピンの耐摩耗性・耐衝撃性が格段に向上するとともに、極端に劣化した酸化度の高い潤滑油と共に使用した場合であっても異常摩耗伸びが発生しないという新規な知見を得た。
そこで、本発明の第1の目的は、前述したような従来の自動車エンジン用チェーンが抱えていた問題点を解消し、極端に劣化した酸化度の高い潤滑油と共に使用された場合にあっても異常摩耗伸びが発生することなく、長期に亘って円滑に屈曲摺動する自動車エンジン用チェーンを提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、良好な潤滑性を長期に亘って持続させる自動車エンジン用チェーンを提供することである。
さらに、本発明の第3の目的は、ピンの相手材であるインナーリンクプレートに穿孔したピン孔に対する“攻撃性”を減少させ、“耐衝撃性”を向上させた自動車エンジン用チェーンを提供することである。
そこで、請求項1に係る自動車エンジン用チェーンは、多数のプレートをピンによって連結した自動車エンジン用チェーンであって、ピンの表面に、拡散浸透処理によって、炭化バナジウム層が形成されており、ピンの母材となる鋼側における炭化バナジウム層が、V87 層によって形成されており、ピンの炭化バナジウム層の最外層側が、V2 層によって形成されていることによって、上記の課題を解決するものである。
請求項2に係る自動車エンジン用チェーンは、請求項1に係る自動車エンジン用チェーンの構成に加えて、前記V2 層を含んだ炭化バナジウム層の最外層を残存させつつ、最外層に表面粗さを小さくする処理を施したことによって、上記の課題を一層解決するものである。
なお、表面粗さをより小さくするということは、表面をよりきめ細かくすることを意味しており、例えば、表面粗さの測定方法を定めた、JIS0601−1976における十点平均粗さ(Rz)の値が小さくなることを意味している。
請求項3に係る自動車エンジン用チェーンは、請求項2に係る自動車エンジン用チェーンの構成に加えて、前記表面粗さを小さくする処理が、バレル研磨処理であることによって、上記の課題をさらに解決するものである。
請求項4に係る自動車エンジン用チェーンは、請求項1乃至請求項3に係る自動車エンジン用チェーンの構成に加えて、ピンの母材側に形成されたV87 層を含んだ内側炭化バナジウム層が、ピンの最外側に形成されたV2 層を含んだ外側炭化バナジウム層より厚いことによって、上記の課題をさらに解決するものである。
請求項1に係る自動車エンジン用チェーンは、多数のプレートをピンによって連結した自動車エンジン用チェーンであって、ピンの表面が、拡散浸透処理によって、炭化バナジウム層が形成されており、ピンの母材となる鋼側における炭化バナジウム層が、V87 層によって形成されており、ピンの炭化バナジウム層の最外層側が、V2 層によって形成されていることによって、ピンの母材上に主としてV87からなり、ビッカース硬度で2500〜3000HV以上を有している高硬度の第1層とその上に、耐摩耗性に優れ多孔質であって耐熱性及び潤滑性にも優れた主としてV2Cからなる第2層からなる性質の異なる2層が形成されていることによって、第1層及び第2層による両者の相乗効果によって、極端に劣化した酸化度の高い潤滑油の中で使用された場合にも、劣化したオイルによる第1層に対する攻撃が、第2層によって抑制されるため“異常摩耗伸び”が抑制されると共に、“耐摩耗性”、“耐熱性”、“潤滑性”に優れた自動車エンジン用チェーンが得られる。
請求項2に係る自動車エンジン用チェーンは、前記V2 が含まれるピンの最外層に、最外層を残存させつつ、表面粗さをより小さくする処理を施したことによって、相手部材、例えば、サイレントチェーンの場合、インナーリンクプレートに穿孔したピン孔内面との“親和性”が向上する。また、ピン自身の“初期なじみ”による摩耗が減少し、“初期摩耗”および“定常摩耗”がともに低減される。
請求項3に係る自動車エンジン用チェーンは、請求項1又は請求項2に係る自動車エンジン用チェーンが奏する効果に加えて、表面粗さをより小さくする処理がバレル研磨処理であることによって、例えば、
(1)“超仕上げ”(円筒の内外面や平面、球面などワークを鏡面に仕上げることが目的の加工方法で、回転するワークに広い面で接触する砥石をばねで押し付け、且つ、回転軸方向に微小な低周波振動を与える加工方法)、
(2)“化学研磨”(加工したいワークを加工液中に浸して化学反応により平滑にし、光沢を与えることを目的とした加工方法)、及び、
(3)“電解研磨”(加工したいワークを電解液中に浸して、ワークを陽極(+)、加工電極を陰極(−)に繋ぐことによって、陽極のワークの表面を電解液中に溶出される加工方法)などに比べて、被加工物であるピンと研磨材とが、バレル槽内で相対摩擦が起こるので、ピンのような小物部品の研磨を効率よく行うことができる。
請求項4に係る自動車エンジン用チェーンは、請求項1乃至請求項3の構成に加えて、ピンの母材側に形成されたV87 を含んだ内側炭化バナジウム層が、ピンの最外側に形成されたV2 を含んだ外側炭化バナジウム層より厚いことによって、V87 を含んだ内側炭化バナジウム層により“耐摩耗性”が得られるのと同時に、ピンの最外側に薄く形成されたV2 を含んだ外側炭化バナジウム層によって、相手材であるインナーリンクプレートのピン孔との“親和性”が高まるので、チェーンの“耐衝撃性”が向上し、インナーリンクプレートのピン孔の“摩耗量”を抑制することができる。
これらの効果により、“耐久性”、“耐摩耗性”及び“耐衝撃性”に優れ、長期に亘って円滑に屈曲摺動する自動車エンジン用チェーンが提供される。しかも、自動車エンジン用チェーンと共に使用する潤滑油の耐用期間の長期化も図られ、“環境負荷低減”にも寄与する。
本発明の実施の形態を実施例1に基づき、図1を参照して説明する。なお、上述の説明で明らかなように、本発明は、ピンの外表面とプレートなどに穿孔したピン孔内壁との摺接に起因するピンの特性劣化を改善することを目的とした発明であるので、サイレントチェーンでなくても、ローラチェーンやブシュチェーンであっても効果は、基本的に同じ傾向を示す。したがって、以下の実施例の説明においては、サイレントチェーンについてのみ説明する。
図1は、本発明のサイレントチェーンの一例を示す斜視図であるが、チェーン内部の構造が分かるように、手前中央の2枚のガイドリンクプレートGLPを切り欠いて図示している。このサイレントチェーン10は、内側に二股状に形成された2個の歯12a、12aを有する複数枚のインナーリンクプレートILPをピンQにより連結して無端状に構成されている。各列のインナーリンクプレートILPは、偶数枚及び奇数枚からなり、図1に示したサイレントチェーン10においては、2枚のインナーリンクILPからなるガイド列Bと、3枚のインナーリンクプレートILPからなる関節列Aとからなり、少ない枚数からなるガイド列Bの両外側には、上記歯12aを有しないガイドリンクプレートGLPがピンQにより圧入されて連結されている。したがって、最外列にガイドリンクプレートGLPを有するガイド列BとインナーリンクプレートILPのみによって構成される関節列AとがピンQによってチェーンの長手方向に交互に連結されている。
本発明のサイレントチェーン10は、リンクプレートが、炭素鋼により構成されていると共に、ピンQの母材となる鋼または低炭素鋼の表面Qaに高炭素表面層が形成される。この高炭素表面層の形成方法は、特に限定されるものではないが、浸炭剤中で900〜950℃くらいに加熱し、炭素を拡散させてピン15の表層の炭素量を増加させる、いわゆる“浸炭処理”によって行われる。言うまでもないが、ピンQの母材として高炭素鋼を使用する場合には、この“浸炭処理”を施す必要はない。
次に、このピンQの周辺にバナジウム粉末又はバナジウム合金粉末を充填して、900〜1200℃の高温下で5〜25時間加熱処理する拡散浸透処理の一種である“粉末パック法”により、ピンQの表面に炭化バナジウム層を形成する。この“粉末パック法”を行うに際して、適宜、アルミナ等の焼結防止剤や塩化アンモニウム等の反応促進剤を添加する。
この実施例1においては、拡散浸透処理の具体的な方法としては、“粉末パック法”により、ピンQの表面に炭化バナジウム層を形成しているが、この方法以外にも、溶融塩中で処理する“溶融塩法(通称、Toyota Diffusion)”や、バナジウム粉末と沈殿防止剤を添加した塗料などを塗布して乾燥させ、不活性ガスまたは真空中で加熱する“塗布法”等が知られている。しかしながら、実施例1に於いては、製造原価が安く、ピンQのような小物の処理に適している“粉末パック法”を採用している。
上記のように、高炭素表面層の上に拡散浸透処理によりバナジウム層を形成させ、処理温度を1000℃程度とすることによって、バナジウム(V)は、強力な炭化物形成元素であるので、ピンQの最外層に形成された高炭素表面層及び母材そのものに含まれる炭素が、ピンQの表面に形成されたバナジウム層に拡散浸透していき、バナジウム層に含まれるバナジウム(V)と結合し、図3に示した電子顕微鏡で撮影したピンQの断面組織写真から分かるようにピンQの母材側における炭化バナジウム層がV87を含む層となり、ピンの表面側における炭化バナジウム層がV2Cを含む層となる。
本実施例の場合、図3に示した断面組織写真から計測すると、母材側のV87を含む炭化バナジウム層の厚みが8〜12μmであり、表面側のV2 を含む炭化バナジウム層の厚みが1〜4μmである。このように、表面の炭化バナジウム層が何故に2層に分かれるかについては、今のところ詳細なメカニズムは定かではないが、処理粉末として外部から供給されるバナジウム(V)とピンQの母材および母材表面に形成された高炭素表面層から供給される炭素が結びついて、V−C(炭化バナジウム層)が形成され、その際に、より母材に近いところでは、より炭素の割合の高いV87 層が形成され、母材から遠い表面側には、炭素の割合が低いV2 層が形成される。そして、その形成過程における両者の固相と固相のバランスにより2層に分かれるものと推察される。
次に、実施例1による自動車エンジン用チェーンのピンの特性を図るため下記に示す試験条件で、摩耗伸び試験を行い、その結果を図2に示した。
<摩耗伸び試験条件>
・チェーン: ピッチ6.35mmのサイレントチェーン
・スプロケット歯数: 21枚×42枚
・回転速度: 6500回転/分
・潤滑油: 劣化したエンジンオイル
・油量: 1L/min
なお、図2に示した実施例1及び実施例2並びに比較のために示した従来例のチェーン伸び試験の結果は、上記の条件で通常のモータリング試験機を用いてチェーン伸び試験を行った結果にのみ基づいている。しかしながら、上記の試験方法は、当業界で通常用いられている試験方法であり、再現性の高い試験方法であるので、他の試験方法を行ったとしても、同じ傾向が示されると推認される。
ここで、比較のために示した従来例は、実施例1と同様の方法で製造したピンに対し、バレル研磨処理を徹底的に行い、ピンの表面に形成された2層の炭化バナジウム層から、最外層のV2 層を完全に除去したものを示している。そのため、従来例のピンの表面粗さは向上し、実施例2と同程度の表面粗さを有している。
図2に示したチェーン伸び試験の結果から、実施例1のサイレントチェーンと、従来例のサイレントチェーンとを試験時間が100時間経過したところで比較すると、チェーン伸びが略70%に減少している。なお、図2から明らかなように、試験開始後20時間後に、実施例1、実施例2及び従来例ともにチェーン伸びを示す線が屈曲している。これは、初期摩耗(Initial wear)と呼ばれるもので、従来例に比べて、実施例では、小さくなっているが、これは、実施例1では、ピン表面に2層の炭化バナジウム層が形成されたことによって、1層の炭化バナジウム層しか有しない従来例に比べて初期摩耗が減少したものである。また、実施例2では、実施例1のピンにピン表面粗さを小さくする処理を施したことによって、インナーリンクプレートのピン孔内表面への攻撃性およびピン自身の初期なじみによる摩耗が減少したものである。
実施例2による自動車エンジン用ローラチェーンは、実施例1のサイレントチェーンの構成に加えて、V2Cが含まれたピンQの最外層の表面粗さをバレル研磨処理を用いて、最外層が存在する範囲内で表面粗さを小さくすることによって、“良好な潤滑性”が長期に亘って持続され、自動車エンジン用サイレントチェーンの“耐久性”が向上する。このように表面粗さをより小さくするために、バレル研磨処理を用いることによって、被加工物であるピンと研磨材とが、バレル槽内で相対摩擦が起こるので、ピンのような小物部品の研磨を効率よく行うことができる。
図2に示したチェーン伸び試験の結果から、表面粗さをより小さくした実施例2のサイレントチェーンと、従来例のサイレントチェーンとを試験時間が100時間経過したところで比較すると、従来例のチェーン伸びを100とすると実施例2のチェーン伸びは、約40であり、チェーン伸びが、明らかに向上している。実施例2のピン表面処理後の最外層厚の目安としては、1〜4μmである。表面粗さを小さくするためにバレル研磨処理を徹底的に行ってしまうと、最外層が完全に無くなってしまい最外層の機能が失われるので、従来例と同一のものになってしまい、ピン摩耗およびインナーリンクプレートのピン孔内表面ともに大きくなる。
ちなみに、表面粗さをより小さくする処理を施していない実施例1の自動車エンジン用チェーンのピンの表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)の値が、0.4〜0.8μmであるのに対して、実施例2では、0.2〜0.3μmであり、ピンの表面粗さが、小さくなっている。
また、実施例2による自動車エンジン用サイレントチェーンでは、最外層(V2C)を確保した状態で、さらに表面粗さを小さくする処理を施すことによって、相手材のインナーリンクプレートのピン孔内周面への“攻撃性”が減少し、ピン孔内周面の“摩耗量”を抑制することができる。
本発明は、自動車エンジン用チェーンのピンに炭化バナジウム処理を行う際に、これまで不純物層として無用の長物と考えられていた表層に形成されるV2Cを多く含む層が、実際には、耐衝撃性、耐熱性、潤滑性などを向上させるものであることを突き止め、さらにその層に表面粗さを小さくする加工をすることによって、相手部材との親和性が高められることを解明したことによって、なし得た発明であって、特殊な製造設備や高価な材料を用いることなく、きわめて再現性が良く効果が得られることができる点で、産業上の利用可能性は、きわめて大きい。
本発明のサイレントチェーンの一部を示す斜視図。 本発明のサイレントチェーンの劣化潤滑油中におけるチェーン伸び試験結果。 本発明のサイレントチェーンのピンの断面組織写真。
符号の説明
10 ・・・ サイレントチェーン
12a ・・・ 歯
GLP ・・・ ガイドリンクプレート
ILP ・・・ インナーリンクプレート
Q ・・・ ピン
Qa ・・・ ピン表面

Claims (4)

  1. 多数のプレートをピンによって連結した自動車エンジン用チェーンであって、
    前記ピンの表面に、拡散浸透処理によって、炭化バナジウム層が形成されており、
    前記ピンの母材となる鋼側における前記炭化バナジウム層が、V87 層によって形成されており、
    前記ピンの前記炭化バナジウム層の最外層側が、V2 層によって形成されていることを特徴とする自動車エンジン用チェーン。
  2. 前記V2 層を含んだ前記炭化バナジウム層の最外層を残存させつつ、表面粗さを小さくする処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車エンジン用チェーン。
  3. 前記表面粗さをより小さくする処理が、バレル研磨処理であることを特徴とする請求項2に記載の自動車エンジン用チェーン。
  4. 前記ピンの母材側に形成されたV87 層を含んだ内側炭化バナジウム層が、
    前記ピンの最外側に形成されたV2 層を含んだ外側炭化バナジウム層より厚いこと
    を特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の自動車エンジン用チェーン。
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