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JP2007285122A - ガスタービンエンジン - Google Patents

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JP2007285122A
JP2007285122A JP2006109697A JP2006109697A JP2007285122A JP 2007285122 A JP2007285122 A JP 2007285122A JP 2006109697 A JP2006109697 A JP 2006109697A JP 2006109697 A JP2006109697 A JP 2006109697A JP 2007285122 A JP2007285122 A JP 2007285122A
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JP2006109697A
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Yasushi Ozawa
靖 小沢
Nozomi Hashimoto
望 橋本
Toshio Abe
俊夫 阿部
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Central Research Institute of Electric Power Industry
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Abstract

【課題】化石燃料由来の起動用燃料を用いずに、バイオマス燃料の一系統の燃料だけで運転可能とする。ガスタービンエンジンからの二酸化炭素、窒素酸化物およびスモークの排出を少なくする。
【解決手段】 植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料を燃焼器6に供給し、燃料を燃焼器6に供給する噴霧ノズル3の先端部のノズル内燃料温度を液体燃料の流動点を超える温度に加熱する手段を有し、燃焼器6に供給される圧縮空気によって噴霧ノズル3から微粒として噴射される液体燃料を燃焼し、生成した燃焼ガスをタービン9に供給して動力を発生させるようにしたものであり、燃料に植物油メチルエステルを利用することによって、二酸化炭素、窒素酸化物およびスモークの排出量を抑制するとともに、噴霧ノズル先端の燃料温度を上昇させることによって、化石燃料由来の液体燃料と同等の燃焼安定性を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液体燃料用ガスタービンエンジンに関する。さらに詳述すると、本発明は、燃料に植物油メチルエステルを利用した液体燃料用ガスタービンエンジンに関するものである。
近年、環境に悪影響を与える窒素酸化物(NOx)や浮遊粒子状物質(SPM)の発生を抑制することが求められており、かつ石油に代わる燃料として、バイオマス燃料の利用が求められている。
軽油やA重油などの化石燃料由来の液体燃料を用いるガスタービンエンジンは、LNGなどのガス燃料を用いるガスタービンエンジンと比べて高濃度のNOxを排出するとともに、SPMの原因となるスモークを排出する可能性もある。このため、燃料の噴射方法の改善やバーナーの構造の工夫などによって、その低減が図られているが、特にNOxについては十分な低減効果が得られておらず、高価な排煙脱硝装置の設置が行われている。
一方、我が国は京都議定書の締結によって二酸化炭素(CO)などの温室効果ガスの排出量の削減義務が課されているが、バイオマスの燃焼によって排出されるCOは、生物の成長過程で大気中から吸収したCO であることから、バイオマスの燃焼はCO2を増加させない。このため、石油系燃料をバイオマス燃料で代替することにより、COの排出削減に大きく貢献する。さらに、我が国では「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS法)が施行され、電気事業者に対し、バイオマスを含む新エネルギーにより発電された電気を一定の割合で利用することを義務付けている。
そこで、木屑などの固形バイオマス燃料を石炭に混入して発電用ボイラーで燃焼する方法、発電用ガスタービンエンジンで燃焼する方法およびガス化して発電用ガスタービンエンジンで燃焼する方法などが検討されている。しかし、木屑などの固形バイオマス燃料を利用するこれらの方法は、固形バイオマスの質量あたりの発熱量が低く、収集効率および輸送効率も悪く、かつ生成する灰またはスラグの処理も必要となり、経済性に劣るなどの問題がある。
例えば、固形バイオマス燃料をガスタービンエンジンで燃焼する方法が特許文献1に示されている。この方法では、化石燃料、バイオマス燃料を適宜選択して燃焼ガスを生成すること、生成された燃焼ガスに含まれる不純物をサイクロンセパレータで除去した後にガスタービンに供給すること、サイクロンセパレータ出口温度が800℃を下回らないようにすることなどが必要とされている。その理由は、固形バイオマス燃料の発熱量が低く、バイオマス燃料のみでは起動運転および部分負荷運転ができないこと、固形バイオマス燃料の燃焼によって生成する灰を除去しないとタービン翼に灰が付着すること、固形バイオマス燃料中にダイオキシンの原因物質が含まれるため、800℃以上にしないとダイオキシンを発生することに起因している。
また、固形バイオマス燃料などをガス化して発電用ガスタービンエンジンで燃焼する方法が特許文献2に示されている。この方法では、ガス化した気体燃料の圧縮機に水噴霧手段を設け、気体燃料の圧縮過程で水を噴霧して圧縮機内で蒸発させ、このときの吸熱作用を利用して圧縮に伴うガス温度の上昇を抑えること、および気体燃料のガス温度を300℃以上にすることが必要とされている。その理由は、温度の高い気体燃料を圧縮すると、さらに温度が高くなって圧縮エネルギーがガスタービンで発生するエネルギーに比べ同じ程度の大きさになり、出力されるエネルギーが減ってしまうこと、およびバイオマスなどをガス化した可燃性ガスは低温になると液化するタール分と呼ばれる成分を含み、ガス温度が低くなった時に粘性の高い液体となって配管や機器などに付着し、閉塞などの問題を起こすことに起因している。また、特許文献2では、タール分による問題を回避する従来の方法として、ガス化温度を高くしてタール分を熱分解する方法、ガスを水洗してタールを除去する方法が記載されているが、エネルギー損失の発生および設備の複雑化などの欠点があること、さらに、気体燃料の圧縮を不要とする従来の方法として、ガス化を加圧で行う方法があるが、耐圧容器が必要となり、安全上の問題を生じるとともに、運転費が増加する欠点を示している。
これらの固形またはガス化バイオマス燃料に対し、植物油を燃料としてガスタービンエンジンで燃焼する方法も提案されている(特許文献3及び4)。植物油メチルエステルを成分とする液体燃料の場合、単純に燃料ノズルから噴霧すると、粘度が高いために噴霧粒径が大きくなり、着火が難しくなる。液体燃料の場合、燃料が液体のままでは空気と反応して燃焼することはできず、液体が蒸発して気体になった状態で始めて空気と反応し燃焼することから、噴射された液体燃料が蒸発しやすい状況を作り出しておく必要がある。このため、起動をより着火しやすい石油系燃料で行う必要が生じる。そこで、これらの方法は、始動時に灯油、軽油などの液体燃料または都市ガスなどの気体燃料を燃焼して燃焼室温度を上昇させ、その後に改質された天ぷら油などの植物廃油を燃焼してガスタービンを駆動するものである。
特開2004−218532 特開2002−221047 特開2003−184576 特開2004−11628
しかしながら、特許文献1記載の方法では、化石燃料とバイオマス燃料の二系統の供給装置が必要となり、設備費が増加するとともに、制御が複雑になる。また、サイクロンセパレータが必要となり設備の大型化および設備費の増加を招くとともに、高温の灰によるサイクロンの摩耗を生じる恐れがある。さらに、サイクロン出口の温度管理が必要となり、そのための制御が複雑になる。
また、特許文献2の方法では、純水が必要になるとともに、水の供給装置および制御装置も必要となり、設備費、運転費が増加する。また、燃料のガス化に伴うエネルギー損失を防ぐことはできない。さらに、固形バイオマス燃料の収集効率および輸送効率が悪いこと、および生成する灰またはスラグの処理費用が必要になることは共通の課題として残っている。さらに、固形バイオマス燃料中に含まれるナトリウム、カリウムなどの微量成分がタービンなどの材料を劣化させるが、その対策がとられていない。
また、特許文献3及び4記載の方法では、化石燃料由来の液体燃料または気体燃料を用いる起動用燃料とバイオマス燃料の二系統の供給装置が必要となり、設備費が増加すると共に制御が複雑になる問題がある。
本発明は、バイオマス燃料を効率的に利用して、二酸化炭素、窒素酸化物およびスモークの排出が少ない液体燃料用ガスタービンエンジンを提供することを目的とする。さらに本発明は、化石燃料由来の起動用燃料を用いずに、バイオマス燃料の一系統の燃料だけで運転可能なガスタービンエンジンを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明にかかるガスタービンエンジンは、植物油をメタノールと反応させてエステル化した植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料を燃焼器に供給し、燃料を燃焼器に供給する噴霧ノズルの先端部のノズル内燃料温度を液体燃料の流動点を超える温度に加熱する手段を有し、燃焼器に供給される圧縮空気によって噴霧ノズルから微粒として噴射される液体燃料を燃焼し、生成した燃焼ガスをタービンに供給して動力を発生させるようにしている。
このガスタービンエンジンによると、メチルエステル化によって粘度並びに着火点が低下させられている植物油が、さらに燃焼器内に噴射される直前の少なくとも噴霧ノズルの先端部においてノズル内燃料温度が液体燃料の流動点を超える温度に加熱されることにより、粘度を下げて着火の容易な微粒の状態で噴霧される。つまり、ノズルから噴霧される粒子の径が小さくなり、蒸発しやすくなって噴射される。しかも、燃料の温度上昇そのもので燃料が蒸発しやすくなると共に燃料温度の上昇そのもので燃料が着火しやすくなる。したがって、ノズルから噴霧された液体燃料粒子と圧縮空気による燃焼反応が進みやすくなり、植物油メチルエステル単独での着火・起動が可能になる。
また、請求項2記載の発明は、液体燃料のノズル内燃料温度を液体燃料の流動点よりも10℃以上高い温度にするようにしている。
また、請求項3記載の発明は、液体燃料中の植物油メチルエステルの体積濃度を2%以上とした液体燃料を用いるようにしている。
また、請求項4記載の発明は、液体燃料を全て植物油メチルエステルにした液体燃料を用いるようにしている。
また、請求項5記載の発明は、植物油メチルエステルとしてパームメチルエステルを用いるようにしている。
また、請求項6記載の発明は、燃焼器の噴霧ノズルに液体燃料を供給する燃料供給系統に、液体燃料を液体燃料の流動点を超える温度に加熱する手段を備えるようにしている。この場合、パームメチルエステルのような、流動点が0℃以上の植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料を使用する場合にも、燃料供給系で詰まったりすることがない。
また、請求項7記載の発明は、液体燃料を加熱する温度は20℃以上200℃以下であるにしている。
さらに、請求項8記載の発明にかかるガスタービンエンジンは、植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料を燃焼器に供給し、燃料を燃焼器に供給する噴霧ノズルの先端部のノズル内燃料温度を液体燃料の流動点を超える温度に加熱する手段を有し、燃焼器に供給される圧縮空気によって液体燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成するガスタービンエンジンと、ガスタービンエンジンから供給される燃焼ガスで駆動されるタービンと、ガスタービンエンジンに圧縮空気を供給する圧縮機と、圧縮機と同軸に配置されている起動用モータまたは起動用モータを兼ねた発電機と、起動用電源とを備え、起動時には起動用電源を利用して圧縮機を駆動し、圧縮空気をガスタービンエンジンに供給して噴霧ノズルの先端部を圧縮空気の熱で加熱するようにしている。
この場合、起動時には、起動用電源を使ってモータまたはモータを兼ねた発電機を回転させることにより、同軸に連結されている圧縮機を回転駆動させて圧縮空気を生成して噴霧ノズルの周囲に供給することができるので、噴霧ノズルの先端部が圧縮空気の熱で加熱される。そこで、噴霧ノズルの先端部におけるノズル内燃料温度が液体燃料の流動点を超える温度に加熱できる状態となってから液体燃料を噴射すれば、着火し易い微粒で噴霧できる。
請求項1記載の発明によると、植物油燃料がメチルエステル化により粘度並びに着火温度が下げられている上に、燃焼器への噴射直前の噴霧ノズル先端部のノズル内燃料温度が液体燃料の流動点以上に加熱されているので、ノズルから噴霧される粒子の径が小さくなり、蒸発しやすくなると共に、燃料の温度上昇そのもので燃料が蒸発しやすく且つ着火しやすくなる。
このことにより、植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料単独で着火・起動が可能であり、他の起動用燃料を必要としない。また、植物油メチルエステルを含む液体燃料は、木屑などの固体バイオマス燃料と比べて、質量あたりの発熱量が高いので、燃焼に必要なエネルギーの供給が十分であり、植物油メチルエステルを含む液体燃料単独で燃焼でき、補助燃料を必要としない。したがって、起動用燃料のための別系統の燃料供給装置さらには補助燃料のための燃料供給装置を必要としない上にその制御も不要となるので、設備費が増加することもなければ装置の故障の要因も増加することがない。しかも、軽油と同等の噴霧特性を実現できることから、軽油用の噴霧ノズルをそのまま使用できる。さらに、起動用燃料として化石燃料を使う必要がなくなることから、その分のCO排出量の低減効果が高まる。
さらに、植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料の噴霧粒径が小さくなって、蒸発して空気と混合しやすくなるため、火炎はより希薄予混合火炎に近くなり、NOxの発生が抑制される。
さらに、植物油メチルエステルを含む液体燃料は、固体バイオマス燃料と比べて収集効率および輸送効率が高いので、バイオマス燃料を使う際の重大な障害であった燃料の安定供給の実現を可能とすると共に運転コストを低廉なものとできる。しかも、植物油メチルエステルは、灰やスラグの原因となる無機成分、ダイオキシンの原因となる塩素、タービンなどの材料の腐食の原因となるナトリウムやカリウム、およびスモークや輝炎の原因となる芳香族炭化水素や環状炭化水素などを含まないので、それらに起因する問題を一切なくすことができる。つまり、灰、スラグ、ダイオキシンを排出せず、タービンなどの材料の寿命延伸を図れ、NOxおよびスモークの排出を抑制できる。さらに、液体燃料としてそのまま使用されるため、高温で燃料をガス化する必要もなければ、タールの発生もタールの除去のための純水も必要としない。しかも、バイオマス燃料なので燃焼時に排出されるCOは元々大気中のCOに起因するものであり、新たなCOの発生に繋がらず、COの排出削減に大きく寄与できる。
また、請求項2記載の発明によると、ノズル内燃料温度を流動点よりも10℃以上高い温度としているので、気温が低くても液体燃料を蒸発しやすい微粒とする安定な噴霧を実現できる。
また、請求項3記載の発明によると、将来自動車用燃料として流通する可能性のある、植物油メチルエステルを一部軽油に混入した燃料を、そのまま利用できる。
また、液体燃料を全て植物油メチルエステルにした請求項4記載の発明によると、軽油と比較して一割から二割程度の発熱量の低下を伴うものの、それは別途補助燃料を必要とする程のものではない上に、化石燃料由来の液体燃料に比べてCO、NOxおよびスモークの排出量を著しく抑制できるという格別なる効果を奏する。
また、請求項5記載の発明によると、パームメチルエステルを利用しているので、バイオマス燃料の安定供給に関する問題が解消できる。パームメチルエステルは我が国への供給安定性が最も高く、安価なバイオマス燃料である。
また、請求項6記載の発明によると、気温が低いと固化して使用しにくい植物油メチルエステルを含むバイオマス燃料でも利用できる。つまり、燃料タンク内あるいは配管の途中もしくは流量調節弁などにおいて液体燃料あるいは液体燃料中の植物油メチルエステルが固化して詰まりなどを起こすことがないので、液体燃料を安定供給できる。特に、流動点が0℃以上の植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料例えばパームメチルエステルのような、流動点が室温に近い植物油メチルエステルの使用を可能とする。
また、請求項7記載の発明によると、燃料供給系統における液体燃料を加熱する温度が20℃以上200℃以下であるので、あらゆる植物油メチルエステルの安定供給を可能として安定な噴霧燃焼を実現しながらも熱損失を大きくせずに運転費の増加を抑制することができる。
さらに、請求項8記載の発明によると、起動用燃料を用いて燃焼室温度を上昇させなくとも、起動用電源を使って起動用モータまたは起動用モータを兼ねた発電機を回転させて圧縮機を駆動することにより、圧縮空気を生成して噴霧ノズルの周囲に供給することができるので、噴霧ノズルの先端部が圧縮空気の熱で加熱される。このため、植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料そのものを噴霧ノズルから燃焼器内へ噴射することで、液体燃料が微粒で蒸発し易い状態で噴霧され、容易に着火できる。
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明をガスタービン発電システム並びにそれに用いる液体燃料用ガスタービンエンジンに適用した第1の実施形態を示す。この実施形態のガスタービン発電システムは、植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成するガスタービンエンジン21と、該ガスタービンエンジン21から供給される燃焼ガスで駆動されるタービン9と、ガスタービンエンジンに圧縮空気を供給する圧縮機8と、圧縮機8並びにタービン9と同軸に配置されている発電機7と、起動時に発電機7をモータとして駆動するための切替器10と起動用電源18とを備え、生成した燃焼ガスをタービン9に供給して発電機7を回し、電力を発生させるようにしている。なお、図示していないが、圧縮機8とタービン9との間の連結シャフトにはクラッチが備えられ、必要に応じて断続できる構造となっている。
ここで、ガスタービンエンジン21は、噴霧ノズル3の先端部のノズル内燃料温度を液体燃料の流動点を超える温度に加熱する手段が備えられ、植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料がその流動点を超える温度に保温された状態で燃焼器6内に噴射される構造とされている。そして、燃料供給系統22の燃料タンク1から配管17並びに調節弁2を通して供給される液体燃料が、空気圧縮機8からスワーラ4を通して燃焼器6に供給される圧縮空気によって燃焼させられる。なお、このガスタービン発電システムは、起動時には起動用電源18を利用して発電機7をモータとして駆動することにより、同軸に連結されている圧縮機8を駆動し、圧縮空気をガスタービンエンジンに供給して噴霧ノズル3の先端部を圧縮空気の熱で加熱するようにしている。
燃料としては、大豆油、菜種油、パーム油、ひまわり油、落花生油、綿実油、ココナッツ油、オリーブ油、パーム核油、コーン油、廃食油などの植物油をメタノールと反応させてエステル化し精製した植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料を使用する。化学式は下記で示される。
(化1)
R−COO−CH
R:直鎖炭化水素
植物油メチルエステルが混合される化石燃料由来の液体燃料としては、一般的には軽油が主流となるが、その他の燃料を用いることも可能である。ここで、植物油メチルエステルと軽油を混ぜた燃料の流動点は軽油の流動点と植物油メチルエステルの流動点の間になる。流動点の低い綿実油やサフラワーのメチルエステルの場合は、軽油と混ぜると、流動点が上昇し、流動点の高いパームやココナッツのメチルエステルの場合には軽油と混ぜると流動点が低下する。流動点が0℃以上の主な植物油メチルエステルはココナッツメチルエステルとパームメチルエステルの二つが挙げられる。なお、他の植物油でも精製して高分子の成分を集めたり、水添処理をしてメチルエステル化すれば流動点が高くなるので、必要に応じてそのような処理を施すこともある。
植物油メチルエステルの流動点は原料の植物油の種類によって約−50℃から12.5℃まで変化し、流動点が−30℃より低いものについては、寒冷地(北海道)で冬に使う特3号軽油(JIS K 2204(2004年)、流動点=−30℃以下)と同様であるため、加熱の必要はない。また、植物油メチルエステルの中には、菜種油メチルエステル(流動点=−7.5℃)や大豆油メチルエステル(流動点=−7.5℃)のように、0℃よりも僅かに流動点の低いものがあり、起動時を含め燃料を必ずしも20℃以上に加熱しなくても流動点を超える温度に保証されることもあるが、それでもノズル内燃料温度がより高い方が安定な微粒化された噴霧を得られる上で好ましい。一方、冬期や寒冷地では気温が0℃を下回る場合があり、その様なところでは流動点が0℃以上の植物油メチルエステルを成分として含む燃料は固化してしまい、使えなくなる。また、0℃よりも僅かに流動点の低い燃料の場合にも、微粒化された噴霧が安定に得られなくなることもある。さらに、流動点からある程度高い温度にしないと、粘度が十分下がらず、ノズルから燃料の安定な噴霧ができず、噴霧粒子も微粒化せず、NOxを下げることができない。他方、バイオマス燃料としての植物油メチルエステルは、我が国への供給安定性が最も高く、安価なパームメチルエステルの使用が好ましい。しかし、このパームメチルエステルは流動点が12.5℃と高く、気温が低いと燃料を燃焼器に安定に供給し、噴霧することができない。そこで、パームメチルエステルを基準にし、安全率を加味して少なくとも20℃以上の温度に加熱するようにすれば、あらゆる種類の植物油メチルエステルを成分に含む液体燃料を詰まらせることなく、微粒化して噴霧させることが可能となる。
植物油メチルエステルを成分として含む燃料は液体であることに加え、植物油をメチルエステル化することによって、粘性および引火点が下がる効果があり、燃料としての取扱いおよび着火が容易になる。しかも、固形バイオマス燃料に比べて燃料の収集・輸送効率が高い上に、質量あたりの発熱量が軽油と比較して一割から二割低い程度であって固形バイオマス燃料よりも質量あたりの発熱量が高いため、燃料を蒸発しやすい微粒の状態で噴霧することによって単独で燃焼でき、別途起動用の化石燃料由来の液体または気体燃料を用意する必要がない。植物油メチルエステルは燃料中に灰やスラグの原因となる無機成分がほとんど含まれない。また、植物油メチルエステルは軽油などの化石燃料由来の液体燃料と異なり、スモークの原因となる芳香族炭化水素、環状炭化水素を含まず、かつ分子中に側鎖、二重・三重結合もほとんど含まない。さらに、スモークの発生を抑制する酸素原子を含む。また、燃焼火炎がより希薄予混合燃焼火炎に近くなり、NOxの発生が抑制される。一方、軽油においては、原料の原油中に硫黄が含まれるため、軽油を精製する際に高温・高圧で高価な水素を用いた高度脱硫処理が必要となるが、植物油は原料中に硫黄をほとんど含まず、脱硫処理が不要である。ダイオキシンの原因となる塩素や、タービンなどの材料の腐食の原因となるナトリウム、カリウムなどもほとんど含まない。
なお、植物油メチルエステルは軽油などの化石燃料由来の液体燃料と任意の割合で混合できるため、化石燃料由来の液体燃料と混合して使用しても良い。現在我が国では植物油メチルエステルを一部軽油に混入した燃料を、自動車用燃料として使用する検討を進めており、その燃料が流通するようになれば、そのまま本ガスタービンエンジンに使用でき、燃料の入手が容易になる。なお、海外で流通が図られている、植物油メチルエステルを混合した軽油について、植物油メチルエステルの混合割合は2%以上が多く、我が国での混合割合も2%以上が見込まれる。一方、前述したように、この植物油メチルエステルの使用量即ち混合量を増やす程、化石燃料由来の液体燃料を用いるときの問題を伴うことなく、CO排出量の低減効果が得られる。依って、液体燃料中の植物油メチルエステルの体積濃度は、多いほど好ましく、少なくとも2vol%以上、好ましくは100vol%とすることである。
噴霧ノズル3はケーシング5内の圧縮空気と接する構造にされることで、空気の圧縮熱によって噴霧ノズル3を加熱し、噴霧ノズルの先端部のノズル内燃料温度を液体燃料の流動点を超える温度例えば10℃以上、より好ましくは20℃以上にするように設けられている。また、噴霧ノズル3の先端の周りには、スワーラ4が配置され、圧縮空気を燃焼器6内へ噴射する際にノズル3の先端部を圧縮空気の熱で加熱するように設けられている。即ち、本実施形態では、ケーシング5内において噴霧ノズル3を圧縮空気に接触させるようにすることで、さらには噴霧ノズル3の先端にスワーラを直接接触させて配置することにより、圧縮空気の熱で噴霧ノズルを加熱することでその内部の液体燃料をその流動点を超える温度以上に加熱する手段を構成するようにしている。なお、噴霧ノズル先端部のノズル内燃料温度は、厳密な意味で10℃以上高い温度であることを必要とするものではなく、少なくとも10℃以上加熱すればノズルから噴霧される粒子の径が小さくなり、蒸発しやすくなる。燃料の温度上昇そのもので燃料が蒸発しやすくなる効果もある。また、燃料温度の上昇そのもので燃料が着火しやすくなる効果もある。それらの結果、空気による燃焼反応が進みやすくなり、植物油メチルエステル単独で着火・起動が可能になる。植物油メチルエステルを成分とする液体燃料の場合、単純に燃料ノズルから噴霧すると、粘度が高いために噴霧粒径が大きくなり、着火が難しくなる。液体燃料の場合、燃料が液体のままでは空気と反応して燃焼することはできず、液体が蒸発して気体になった状態で空気と反応し、燃焼することができる。そこで、燃料ノズルの部分で液体燃料の温度を流動点よりも上昇させることにより、噴霧粒子の径を小さくして蒸発しやすくしようとするものである。
なお、噴霧ノズル3の先端部のノズル内燃料温度を液体燃料の流動点を超える温度以上に加熱する構造・手段は、少なくとも噴霧ノズル3の先端部におけるノズル内燃料温度が液体燃料の流動点を超える温度例えば10℃以上にできるものであればその手段・構造には特に限定を受けない。例えば、燃焼器6内の空気の圧縮熱および燃焼火炎からの熱によって加熱する構造でも良いし、燃焼器材料例えば燃焼器6やケーシング5そのものからの熱伝導によって加熱する構造でも良く、燃焼器の上流、すなわち燃料供給系統で別途燃料の加熱手段を設けても良い。さらには、噴霧ノズル3の一部例えばケーシング5の外に露出している後端部にヒータを巻き付けたり、あるいは噴霧ノズル後端部を覆ってタービン9からの排気を噴霧ノズルの周りに導入する空間を形成することによって、噴霧ノズルの後端を加熱してその熱を噴霧ノズル先端側へ熱伝導により伝えるようにしても良い。
また、噴霧ノズル3の先端部においてノズル内燃料温度を流動点を超える温度に加熱することによって噴霧粒径を小さくできる。噴霧粒径が小さくなるほど液体燃料が蒸発しやすくなり、その結果、着火しやすくなる。このため、起動時に、起動用の液体燃料または気体燃料を別途供給する必要がなくなる。さらに、蒸発しやすくなる結果、空気と混合しやすくなり、燃焼火炎が希薄予混合火炎に近くなる。拡散火炎と比較して、希薄予混合火炎の方が火炎内の温度ピークが低く、空気中の酸素と窒素が高温で反応して生成するサーマルNOxを抑制できる。また、植物油メチルエステルの粘度は軽油と比較して若干高いが、ノズル内の燃料温度を上昇させることによって、軽油と同等の粘度にすることができ、軽油と同様の噴霧特性を実現できるため、軽油用の噴霧ノズルをそのまま使用でき、かつ安定な噴霧を実現できる。
ここで、噴霧ノズルの先端部のノズル内燃料温度を液体燃料の流動点を超える温度例えば10℃以上にする構造の例を図2から図4に示す。図2は噴霧ノズル3内の燃料を圧縮熱によって温度が上昇した圧縮機からの空気で加熱する構造である。この加熱手段は、ケーシング5と燃焼器壁11との間の空間で、噴霧ノズル3の周囲に圧縮機8から供給される圧縮空気を導入することによって噴霧ノズル3を圧縮空気の熱で直接加熱する構造とすること、並びにケーシング5と燃焼器壁11との間の空間から燃焼器6内へ圧縮空気を導入するスワーラ4を噴霧ノズル3の先端部周囲に直に接触させて配置することによりスワーラ4が受ける圧縮空気の熱を熱伝導で伝える構造とすることで構成されている。
図3に示す実施形態の加熱手段は、燃焼用の主流の空気とは別系統で温度の上昇した空気流または温度の上昇した水蒸気流を燃料ノズル12の周りに導入し、その空気流中または水蒸気流中に燃料ノズル12から燃料を噴射して燃料を加熱し、その後に気流微粒化噴霧ノズル13から燃料を気流とともに燃焼器内に噴射する噴霧ノズル構造によって構成されている。燃料ノズル12とその周りに温度の上昇した空気流または水蒸気流を導入するための微粒化噴霧ノズル13とは、二重管構造とされ、微粒化噴霧ノズル13の噴射口の手前に燃料ノズル12の噴射口を配置することによって、両噴射口間の空間を燃料と温度の上昇した空気または水蒸気との予混合領域として機能させるように設けられている。したがって、燃料は燃料ノズル12の周りを流れる空気または水蒸気による燃料ノズル12を介した加熱に加え、空気または水蒸気と直に接することによって微粒化噴霧ノズル内で効率的に加熱される。さらに、気流による効果も加わって微粒化され、十分に着火しやすい状態で燃焼器内に噴霧される。
図4に示す実施形態の加熱手段は、燃焼器壁11の燃焼器6の内側に燃料蒸発管14を備え、該燃料蒸発管14内に噴霧ノズル3から燃料を噴射するとともに、温度の上昇した空気も導入して燃料を加熱し、空気と燃料を混合して燃料を蒸発させ、混合気としてから燃焼器に噴射する噴霧ノズル構造によって構成されている。圧縮空気は一部が噴霧ノズル3に沿って燃料蒸発管14内に導入され、残部がスワーラ4を通って燃焼器6内へ直接噴射される。その結果、燃料が噴霧ノズル3の周りを流れる空気によって、噴霧ノズル3を介して加熱され、微粒化されて蒸発管14内に噴射される。そして、蒸発管14内では噴霧ノズル3の周りから導入された加熱空気によって燃料がさらに加熱されて蒸発するとともに空気と混合し、予混合気状態となる。さらに、蒸発管14の出口が燃焼器壁11に向けられているので、スワーラ4から噴射される圧縮空気と衝突してさらに混合される。蒸発管14は燃焼器6内からのふく射熱を受けて加熱されているので、その内部を流れる微粒化された燃料と圧縮空気との混合気をさらに固体ふく射熱で加熱する。したがって、植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料と圧縮空気との混合気は、十分に着火しやすい状態で燃焼器内に噴射される。
上述の図2,3,4の全ての噴霧ノズル構造によれば希薄予混合火炎に近づく燃焼が成立する。液体燃料の燃焼の場合、燃料と空気が別々の経路で供給されても、液体燃料は、蒸発→空気との接触・混合→燃焼の経路を辿るので、空気と混合してから燃焼するまでの混合の進み具合によって、拡散火炎から希薄予混合火炎に近くなって行く。例えば、蒸発して直ぐに燃焼する場合は、空気との混合が進まず、拡散火炎になるが、蒸発しても直ぐに燃焼しなければ、その間に空気との混合が進み、希薄予混合火炎に近くなる。このため、図2のように全く別々に燃料と空気が供給される場合には、完全な希薄予混合火炎にすることは難しいが、それでも希薄予混合火炎に近づけることはできる。図3は液体燃料の噴霧粒子が空気と混ざった状態で噴霧されるので、蒸発しても直ぐに燃焼しなければ、その間に空気との混合が進み、希薄予混合火炎に近づけることができ、図4の実施形態の場合にさらに希薄予混合火炎に近づける。
以上のように構成されたガスタービンエンジン並びにガスタービン発電システムによると、まず、起動時には、起動用電源18を使って発電機7をモータとして回転させ、同軸に連結されている圧縮機8を回転駆動させて圧縮空気を生成して噴霧ノズル3の周囲に供給することができる。このとき、タービン9は起動用電源18の負荷となるため、切り離される。そして、圧縮空気だけをケーシング5から燃焼器6内へ流すことで、噴霧ノズル3を圧縮空気の熱で加熱し、噴霧ノズルの先端部におけるノズル内燃料温度を液体燃料の流動点を超える温度に加熱できる状態とする。その後、液体燃料を噴射すれば、着火し易い微粒で噴霧できる。メチルエステル化によって粘度並びに着火点が低下させられている植物油が、さらに燃焼器内に噴射される直前の少なくとも噴霧ノズル3の先端部においてノズル内燃料温度が液体燃料の流動点を超える温度に加熱されることにより、粘度を下げて着火の容易な微粒の状態で噴霧される。つまり、ノズル3から噴霧される粒子の径が小さくなり、蒸発しやすくなって噴射される。しかも、燃料の温度上昇そのもので燃料が蒸発しやすくなると共に燃料温度の上昇そのもので燃料が着火しやすくなる。植物油メチルエステルは、質量あたりの発熱量が比較的高いため燃焼に必要なエネルギーの供給が十分に為され単独で燃焼できる。したがって、ノズル3から噴霧された液体燃料粒子と圧縮空気による燃焼反応が進みやすくなり、植物油メチルエステル単独での着火・起動が可能になる。そこで、燃焼器6内で液体燃料と圧縮空気とを希薄予混合燃焼に近い状態で燃焼させ、その燃焼ガスをとりだしてタービン9を駆動させ、同軸上の圧縮機8と発電機7とを回転させて発電させることができる。
次に、本発明をガスタービン発電システム並びにそれに用いる液体燃料用ガスタービンエンジンに適用した第2の実施形態を図5に示す。尚、上述の第1の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
このガスタービンエンジンは、パームメチルエステルのような流動点が0℃以上の植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料を用いる場合に適したものである。パームメチルエステルは植物油の中で我が国への供給余力が最も高く、安定かつ安価に入手できる可能性が高い。しかし、流動点が12.5℃と高く、図1の実施形態にかかるガスタービンエンジンの場合には、気温が低いと燃料を燃焼器に安定に供給し、噴霧することができないことがある。そこで、このガスタービンエンジンは、燃料供給系統22に内部の液体燃料の温度を流動点よりも高い温度、好ましくは流動点よりも10℃以上高い温度、より好ましくは安全率を加味して20℃以上高い温度に保持する構造・手段を備えたものである。なお、燃料供給系統22に加熱手段を配置する他は、第1の実施形態と同じ構成であるのでその説明を省略する。
例えば、燃料タンク1内に加熱器15を備えて貯留中の液体燃料を加熱し、さらに配管17の周りを断熱材で保護しながら加熱器16を備えることにより配管を加熱・保温して、配管中を流れる液体燃料を加熱し、流量調節弁2および噴霧ノズル3を通して燃焼器6に供給するようにしている。加熱器15および16は電気加熱器でも良いし、ガスタービンエンジンの排出ガスの熱を利用しても良い。
ここで、加熱器15及び16による燃料供給系統22の加熱は、燃料温度が流動点ぎりぎりでは完全に液化せずに、流量調節弁やフィルターを詰まらせる場合もある。さらに、流動点ぎりぎりでは粘度が高く、燃料の供給に必要な動力を多く必要とする。そこで、流動点よりも少なくとも10℃以上、好ましくは20℃以上の温度に加熱していれば、十分にそれらの問題も解決できると共に無駄な熱量を浪費することもないと考えられる。植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料は、加熱温度が高くなるほど噴霧粒子の微粒化が実現できるが、200℃を越えると噴霧粒子の微粒化・蒸発に与える貢献の割に熱損失が大きくなり、運転費が増加する。そこで、燃料供給系統22において、液体燃料を流動点を超える温度に加熱する手段15,16によって加熱される範囲は、20℃以上200℃以下であることが好ましい。しかしながら、加熱手段15,16による加熱は200℃以下に限定されるものでない。また、加熱器15および16による加熱によって、噴霧ノズル3の先端部のノズル内燃料温度を20℃以上に保つ構造とすることも可能である。
この実施形態の場合、燃料タンク1内あるいは配管17更には流量調節弁2など(これらを総称して燃料供給系統22と呼ぶ)において液体燃料あるいは液体燃料中の植物油メチルエステルが固化して詰まりなどを起こさない燃料温度まで加熱されているので、パームメチルエステルのような、気温が低いと固化して使用しにくい植物油メチルエステルを含むバイオマス燃料を使用する場合にも、燃料供給系で詰まったりすることがなく、液体燃料を安定供給できる。また、パームメチルエステル以外の流動点が0℃以上の植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料、例えばココナッツメチルエステル(流動点は10℃)、あるいは菜種油メチルエステル(流動点=−7.5℃)や大豆油メチルエステル(流動点=−7.5℃)のように0℃よりも僅かに流動点が低い植物油メチルエステルでも、外気温の低下に左右されずに液体燃料の安定供給が可能となる。勿論、流動点の温度が0℃未満下にあるような十分に流動点温度が低い植物メチルエステルを含む液体燃料を使用する場合には、本実施形態のように、燃料タンク並びに配管に加熱装置を設けなくとも、寒冷地などでなければ第1の実施形態で燃料供給系統22並びに噴霧ノズルの先端部の内部燃料温度が液体燃料の流動点よりも高い温度に保持されることは言うまでもない。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態では、ガスタービン発電システム及びそれに用いるガスタービンエンジンについて主に説明したが、本発明の適用がこれに特に限られないことは言うまでもなく、自動車用ガスタービンエンジンに適用することも可能である。この場合には、発電機7として自動車用ジェネレータが用いられ、起動用電源18としては自動車用バッテリーが用いられる。さらに、圧縮機8と同軸上には起動用動力源として自動車用スタータモータが用いられる。そして、起動時には、自動車用バッテリーによって自動車用スタータモータを駆動して圧縮機8を回転させる。また、起動時における噴霧ノズルの加熱は、場合によっては噴霧ノズルを電気ヒータなどで直接加熱し、ノズル内燃料温度を液体燃料の流動点を超える温度に加熱するようにしても良い。
本発明にかかるガスタービンエンジン並びにガスタービン発電システムの第1の実施形態を示す概略構成図である。 噴霧ノズルの先端部のノズル内燃料温度を加熱する手段を構成するノズル構造の一実施形態を示す概略図である。 同じく噴霧ノズルの先端部のノズル内燃料温度を加熱する手段を構成するノズル構造の他の実施形態を示す概略図である。 同じく噴霧ノズルの先端部のノズル内燃料温度を加熱する手段を構成するノズル構造のさらに他の実施形態を示す概略図である。 本発明にかかるガスタービンエンジン並びにガスタービン発電システムの第2の実施形態を示す概略構成図である。
符号の説明
1 燃料タンク
2 流量調節弁
3 噴霧ノズル
4 スワーラ
5 ケーシング
6 燃焼器
7 発電機
8 空気圧縮機
9 タービン
10 切替器
11 燃焼器壁
12 燃料ノズル
13 気流微粒化噴霧ノズル
14 燃料蒸発管
15 加熱器
16 加熱器
17 配管
18 起動用電源
21 ガスタービンエンジン
22 燃料供給系統

Claims (8)

  1. 植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料を燃焼器に供給し、燃料を燃焼器に供給する噴霧ノズルの先端部のノズル内燃料温度を前記液体燃料の流動点を超える温度に加熱する手段を有し、前記燃焼器に供給される圧縮空気によって前記噴霧ノズルから微粒として噴射される前記液体燃料を燃焼し、生成した燃焼ガスをタービンに供給して動力を発生させるガスタービンエンジン。
  2. 前記ノズル内燃料温度は前記流動点よりも10℃以上高い温度である請求項1記載のガスタービンエンジン。
  3. 前記液体燃料中の植物油メチルエステルの体積濃度が2%以上である請求項1および2記載のガスタービンエンジン。
  4. 前記液体燃料が全て植物油メチルエステルである請求項1および2記載のガスタービンエンジン。
  5. 前記植物油メチルエステルはパームメチルエステルである請求項1から4のいずれか1つに記載のガスタービンエンジン。
  6. 前記燃焼器の噴霧ノズルに前記液体燃料を供給する燃料供給系統に、前記液体燃料を前記液体燃料の流動点を超える温度に加熱する手段を備えたものである請求項1から5のいずれか1つに記載のガスタービンエンジン。
  7. 前記液体燃料を加熱する温度は20℃以上200℃以下である請求項6記載のガスタービンエンジン。
  8. 植物油メチルエステルを成分として含む液体燃料を燃焼器に供給し、燃料を燃焼器に供給する噴霧ノズルの先端部のノズル内燃料温度を前記液体燃料の流動点を超える温度に加熱する手段を有し、燃焼器に供給される圧縮空気によって前記液体燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成するガスタービンエンジンと、前記ガスタービンエンジンから供給される燃焼ガスで駆動されるタービンと、前記ガスタービンエンジンに圧縮空気を供給する圧縮機と、前記圧縮機と同軸に配置されている起動用モータまたは起動用モータを兼ねる発電機と、起動用電源とを備え、起動時には前記起動用電源を利用して前記圧縮機を駆動し、圧縮空気を前記ガスタービンエンジンに供給して前記噴霧ノズルの先端部を圧縮空気の熱で加熱するものであるガスタービンエンジン。
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