[go: up one dir, main page]

JP2007254681A - 熱可塑性複合材料及び光学素子 - Google Patents

熱可塑性複合材料及び光学素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2007254681A
JP2007254681A JP2006083983A JP2006083983A JP2007254681A JP 2007254681 A JP2007254681 A JP 2007254681A JP 2006083983 A JP2006083983 A JP 2006083983A JP 2006083983 A JP2006083983 A JP 2006083983A JP 2007254681 A JP2007254681 A JP 2007254681A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine particles
inorganic fine
composite material
thermoplastic composite
refractive index
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006083983A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuo Taima
恭雄 當間
Hiroto Ito
博人 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Opto Inc
Original Assignee
Konica Minolta Opto Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Opto Inc filed Critical Konica Minolta Opto Inc
Priority to JP2006083983A priority Critical patent/JP2007254681A/ja
Publication of JP2007254681A publication Critical patent/JP2007254681A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Optical Head (AREA)

Abstract

【課題】光学素子として好適な屈折率、透明性を有し、かつ温度に対する屈折率変化の極めて小さい熱可塑性複合材料と、それを用いた光学素子を提供すること。
【解決手段】熱可塑性複合材料は、有機重合体からなる透明な熱可塑性樹脂と、この熱可塑性樹脂中に分散され、かつ、非晶質シリカ中に金属酸化物結晶を含有する無機微粒子とから構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性複合材料及び光学素子に関し、特にレンズ、フィルター、グレーティング、光ファイバー、平板光導波路などとして好適に用いられる熱可塑性複合材料及び光学素子に関する。
MO、CD、DVDといった光情報記録媒体(以下、単に媒体ともいう)に対して、情報の読み取りや記録を行うプレーヤー、レコーダー、ドライブといった情報機器には、光ピックアップ装置が備えられている。光ピックアップ装置は、光源から発した所定波長の光を媒体に照射し、反射した光を受光素子で受光する光学素子ユニットを備えており、光学素子ユニットはこれらの光を媒体の反射層や受光素子で集光させるためのレンズ等の光学素子を有している。
光ピックアップ装置の光学素子は、射出成形等の手段により安価に作製できる等の点で、プラスチックを材料として適用することが好ましい。光学素子に適用可能なプラスチックとしては、環状オレフィンと熱可塑性樹脂−オレフィンの共重合体(例えば、特許文献1参照。)等が知られている。
ところで、例えば、CD/DVDプレーヤーのような、複数種の媒体に対して情報の読み書きが可能な情報機器の場合、光ピックアップ装置は、両者の媒体の形状や適用する光の波長の違いに対応した構成とする必要がある。この場合、光学素子ユニットはいずれの媒体に対しても共通とすることがコストやピックアップ特性の観点から好ましい。
一方、プラスチックを材料として適用した光学素子ユニットにおいては、ガラスレンズのような光学的安定性を有する物質であることが求められている。例えば、環状オレフィンのような光学的プラスチック物質は、湿度に関して大幅に改善された屈折率の安定性を有すのに対し、温度に対する屈折率の安定性の改良は未だ十分でないのが現状である。
上記のようなプラスチックレンズの光学的屈折率を修正する方法の1つとして、微細粒子充填材を使用する方法が、種々提案されている。例えば、感温性を有するポリマー状熱可塑性樹脂と、分散された微細粒子物質から構成され、感温性が減少された微細合成物光学製品が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。しかしながら、このような既存の酸化物微粒子を樹脂と混合した樹脂材料では、光線透過率の低下が大きく、光学素子としての実用化には適さない樹脂材料を提供することしかできていなかった。
また、高屈折率化を目的として、無機微粒子を樹脂中に分散混合する材料についても多くの提案がなされている(例えば、特許文献4、5参照)。該特許文献には、高屈折率・高アッベ数の無機微粒子を透明基材ポリマーに分散した高屈折率・高アッベ数の有機ポリマーが記載されている。さらに、特許文献6には、屈折率分布を持つ微粒子と透明な熱可塑性樹脂とを含有してなる高屈折率樹脂組成物が提案されている。
特開2002−105131号公報 特開2002−207101号公報 特開2002−240901号公報 特開2001−183501号公報 特開2003−73563号公報 特開2005−213410号公報
しかしながら特許文献4、5の方法では微粒子の凝集が起こりやすく、光散乱を起こしやすいため、透明性が十分ではなかった。
また、特許文献6の方法においても微粒子の凝集を防止できず、また、無機微粒子と樹脂の屈折率差、および粒子内部での屈折率差により生じる光散乱も大きいため、光学材料として十分な透明性を得ることはできていない。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、光学素子として好適な屈折率、透明性を有し、かつ温度に対する屈折率変化の極めて小さい熱可塑性複合材料と、それを用いた光学素子を提供することである。
請求項1に記載の発明は、
有機重合体からなる熱可塑性樹脂中に、微粒子が分散された透明な熱可塑性複合材料であって、前記微粒子は非晶質シリカ中に金属酸化物結晶を含有する無機微粒子であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の熱可塑性複合材料において、
前記無機微粒子の平均粒子径が、1nm以上、50nm以下であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の熱可塑性複合材料において、
前記無機微粒子が実質的に均一な組成であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性複合材料において、
前記無機微粒子における前記金属酸化物結晶の含有率が、20質量%以上80質量%以下であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性複合材料において、
前記金属酸化物結晶の屈折率が1.6以上2.1以下であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性複合材料において、
前記無機微粒子の表面が有機シラン化合物により改質されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性複合材料において、
前記無機微粒子の屈折率をnpとした時に、下記式(A)を満たすことを特徴とする。
1.50 ≦ np < 1.75 式(A)
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性複合材料において、
前記熱可塑性樹脂の屈折率をnh、該無機微粒子の屈折率をnpとした時に、下記式(B)を満たすことを特徴とする。
0 ≦ |np―nh| ≦ 0.15 式(B)
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性複合材料において、
25℃でナトリウムD線を光源として測定した屈折率nd25が1.5以上1.7以下であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、光学素子であって、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱可塑性複合材料を用いて成型することを特徴とする。
本発明によれば、非晶質シリカ中に金属酸化物結晶を含有する無機微粒子を透明な熱可塑性樹脂中に分散させることにより、温度変化に対する屈折率変化が極めて小さく、かつ光線透過率の高い熱可塑性複合材料を得ることができる。これに伴い、この熱可塑性複合材料を成型して適用された光学素子では、屈折率の温度依存性が小さく、かつ光線透過率が高く、さらに高温高湿環境下で長期間保存しても透明性および屈折率の劣化が生じないものとすることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、本発明に係る熱可塑性複合材料について説明する。
本実施形態における熱可塑性複合材料は、熱可塑性樹脂と無機微粒子とを含有しており、光学用樹脂レンズを始めとする光学素子等の成型物に成型されるようになっている。以下、(1)無機微粒子、(2)熱可塑性樹脂、(3)熱可塑性複合材料の製造方法、及び(4)成型物について説明する。
(1)無機微粒子
本発明に用いられる無機微粒子は、酸化物である非晶質シリカ(SiO2)中に金属酸化物結晶を含有する無機微粒子であることを特徴とする。即ち、本発明の微粒子について赤外分光分析を行うと1070〜1120cm−1付近に吸収が認められ、シリカの存在が明らかになる。また、ここで言う非晶質とは、X線回折、または電子線回折等の構造解析手段により明確な結晶構造が確認できない状態を示す。すなわち、本発明の無機微粒子は、組成分析ではシリカと金属酸化物の混合組成であり、かつ構造解析では金属酸化物の結晶構造だけが検出される無機微粒子であることを特徴とする。
無機微粒子の組成分析法としては、従来から知られている種々の方法を用いることができ、例えば蛍光X線解析、電子線マイクロアナライザ等により測定することができる。
また、無機微粒子中に含有される金属酸化物は、非晶質シリカ中で金属酸化物結晶として検出可能なものであれば特に限定はされず、金属酸化物を構成する金属は、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Bi等から選択することができる。本発明において非晶質シリカ中に存在する金属酸化物は、その全てが金属酸化物結晶として存在していても良いし、その一部が非晶質金属酸化物として存在していてもよい。
さらに、その組成は、結晶構造が確認されれば一種の金属原子からなる金属酸化物結晶でも、数種の金属原子を含有する複合金属酸化物結晶でもよく、珪酸ナトリウム結晶や珪酸マグネシウム結晶のような珪素と他の金属原子からなる結晶でもよい。
また、無機微粒子は、実質的に均一組成であることが好ましい。ここで言う実質的に均一組成とは、非晶質シリカ中の金属酸化物結晶が粒子内部でほぼ均一に分散していることを示し、例えば粒子断面の10点以上の測定点でTEM−EDXで組成分析を行い、各測定点での組成の変動幅が10%以内、好ましくは5%以内である。このように実質的に均一組成である無機微粒子は、粒子内部の組成分布による光散乱が生じないため、透明性が高く、屈折率が均一になるため好ましい。さらに、金属酸化物結晶は微細な結晶粒子として非晶質シリカ中に分散されていることが好ましく、5nm以下の微粒子、あるいは数個から数十個の原子により構成された結晶格子として検出可能なクラスターとして存在していることが好ましい。
また、無機微粒子において、非晶質シリカ中に含有される金属酸化物の含有率は、金属酸化物の種類や作製する無機微粒子の屈折率値により任意に決めることができるが、上記の如く非晶質シリカ中に金属酸化物を実質的に均一に分散させるためには、無機微粒子における金属酸化物の含有率が、20質量%以上80質量%以下であることが好ましく、20質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましい。
また、無機微粒子は、熱可塑性樹脂との屈折率の差が小さいことが望ましい。本発明者らの検討の結果、熱可塑性樹脂と当該樹脂に分散される無機微粒子との屈折率の差が小さいと、光を透過させた際に散乱を起こりにくくすることができる熱可塑性複合材料が得られることがわかった。また、熱可塑性樹脂へ分散する微粒子が大きい程、光を透過させた際に光が散乱しやすくなるが、熱可塑性樹脂と分散される微粒子との屈折率の差が小さいと、比較的大きな微粒子を用いても光の散乱を発生する頻度が少なくなり、また微粒子の含有量を増加しても透明性を維持することができるという知見が得られた。
また、無機微粒子は、比較的屈折率の低い微粒子であることが望ましい。本発明者らの検討の結果、比較的屈折率の低い微粒子を分散させることで、熱可塑性樹脂組成物の屈折率nの温度Tに対する変化率であるdn/dTを効果的に小さくすることができることがわかった。なお、屈折率が低い微粒子を分散した熱可塑性樹脂組成物の|dn/dT|が小さくなる理由について、詳細はわかっていないものの、樹脂組成物における無機微粒子の体積分率の温度変化が、微粒子の屈折率が低いほど、樹脂組成物の|dn/dT|を小さくする方向に働くのではないかと考えられる。
熱可塑性複合材料のdn/dTの低減効果、光透過性、所望の屈折率等を全て同時に向上させることは困難であり、無機微粒子は、熱可塑性複合材料に求める特性に応じて、微粒子自体のdn/dTの大きさ、微粒子のdn/dTと母材となる熱可塑性樹脂のdn/dTとの差、及び微粒子の屈折率等を考慮して適宜選択すればよい。加えて、母材となる熱可塑性樹脂との相性、即ち、熱可塑性樹脂に対する分散性、散乱を引き起こし難い微粒子を適宜選択して用いることは、光透過性を維持する上で好ましい。
以上により、無機微粒子と熱可塑性樹脂との屈折率差が0.15以下であることが好ましく、さらに好ましくは屈折率差が0.1以下、より好ましくは屈折率差が0.05以下である。そして、このような屈折率差を満たす無機微粒子の屈折率は、熱可塑性樹脂の樹脂組成により異なるものの、熱可塑性樹脂の屈折率が通常1.5〜1.6の範囲にあるため、1.5〜1.75であることが好ましく、1.54〜1.70であることがさらに好ましい。
さらに、非晶質シリカ中に金属酸化物結晶を含有する無機微粒子で上記の好ましい屈折率を達成するためには、屈折率1.6以上2.1以下である金属酸化物を非晶質シリカ中に均一に分散することが好ましい。具体的には、例えば、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化イットリウム、酸化バリウム、酸化インジウム、等の金属酸化物が好ましく挙げられる。この中から、光学素子として使用する波長領域において吸収、発光、蛍光等が生じないものを適宜選択して使用することが好ましい。
特に、本発明においては、この無機微粒子が分散された熱可塑性複合材料が、光学素子として使用可能な光線透過率を有し、かつ25℃でナトリウムD線を光源として測定した屈折率nd25が1.5以上1.7以下となるように無機微粒子の屈折率を調整することが好ましい。
なお、上記屈折率は、例えばASTMD542規格に則りアッベ式屈折計等により測定されるものが該当し、種々の文献に記載されている値を用いることができる。また、無機微粒子を、屈折率を調整した種々の溶媒に分散させて分散液の吸光度を測定し、その値が最小になる溶媒の屈折率を測定することにより、該無機微粒子の屈折率を確認できる。
この他、無機微粒子を選択するに当たって考慮することが好ましい点について、以下に述べる。
無機微粒子は、光線透過率を劣化させない範囲であれば、1種類の無機微粒子を用いても良く、また複数種類の無機微粒子を併用してもよい。異なる性質を有する複数種類の微粒子を用いることで、必要とされる特性を更に効率よく向上させることもできる。
また、無機微粒子は、平均粒子径が1nm以上、50nm以下が好ましく、1nm以上、20nm以下がより好ましく、さらに好ましくは1nm以上、10nm以下である。平均粒子径が1nm未満の場合、無機微粒子の分散が困難になり所望の性能が得られない恐れがあることから、平均粒子径は1nm以上であることが好ましく、また平均粒子径が50nmを超えると、得られる熱可塑性材料組成物が濁るなどして透明性が低下し、光線透過率が80%未満となる恐れがあることから、平均粒子径は50nm以下であることが好ましい。ここでいう平均粒子径は各粒子を同体積の球に換算した時の直径(球換算粒径)の体積平均値を言う。
さらに、無機微粒子の形状は、特に限定されるものではないが、球状の微粒子が好適に用いられる。具体的には、粒子の最小径(微粒子の外周に接する2本の接線を引く場合における当該接線間の距離の最小値)/最大径(微粒子の外周に接する2本の接線を引く場合における当該接線間の距離の最大値)が0.5〜1.0であることが好ましく、0.7〜1.0であることが更に好ましい。
また、粒子径の分布に関しても特に制限されるものではないが、本発明の効果をより効率よく発現させるためには、広範な分布を有するものよりも、比較的狭い分布を持つものが好適に用いられる。特に、粒子径100nm以上の粒子が少数でも存在すると著しく光線透過率を劣化させることから、変動係数(測定値のばらつきの指標として標準偏差を平均で割った値、無次元数)は±30となることが好ましく、特に±10となることが好ましい。
(1.1)無機微粒子の製造方法及び表面修飾
本発明に係る無機微粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、本発明の非晶質シリカ中に金属酸化物結晶が存在する無機微粒子を形成することが可能な方法であれば、公知のいずれの方法も用いることができる。一般的に複合酸化物粒子を作製する方法としては、熱分解法(原料を加熱分解して微粒子を得る方法。噴霧乾燥法、火炎噴霧法、プラズマ法、気相反応法、凍結乾燥法、加熱ケロシン法、加熱石油法)、沈殿法(共沈法)、加水分解法(塩水溶液法、アルコキシド法、ゾルゲル法)、水熱法(沈殿法、結晶化法、水熱分解法、水熱酸化法)などが挙げられる。これらの方法のうち、加水分解法の様な液中で複合酸化物を作成する方法では、小粒径で均一組成の微粒子形成が可能であるが、本発明の如く非晶質シリカ中に他の金属酸化物結晶を形成させるのは困難であるため、あらかじめ作製した微細な金属酸化物結晶の存在下で粒子形成を行う必要がある。また、水熱法では、複合酸化物粒子の組成制御や小粒径化といった点で課題がある。
従って、本発明の無機微粒子の製造方法としては、気相中での熱分解法が好ましいが、通常の熱分解法では、複合酸化物の組成制御、粒径制御が困難であるため、本発明においては、特に特開2005−218937号、特開2005−305202号公報等に記載の、微粒子の原料を含む原料気体流と当該原料気体流を覆う反応気体流とを高温雰囲気の反応空間に流入させ、前記原料気体流の外周部で熱処理によって粒子を生成するとともに、生成した粒子を前記反応気体流で冷却して微粒子を製造する微粒子製造方法が好ましく用いられる。この方法においては、前記原料気体流と前記反応気体流との化学反応によって粒子が生成され、この生成した粒子を前記反応気体流で冷却して微粒子が製造されるため、反応気体流を構成する反応気体の種類を変更することにより、製造される微粒子の組成を変化させることができる。
さらに、本発明においては、無機微粒子が小粒径で、しかも粒子径の分布が狭いことが求められるため、前記原料気体流を、生産性を落とさない程度でなるべく希薄にして製造することが好ましい。また、製造条件によりやむを得ず大粒子が混入してしまう場合には、粒子の製造時や回収後に概知の分級装置を用いて大粒子を除去することもできる。分級方法としては、エアロゾル状態の粒子から比重差、あるいは電気的に大粒子を除去する方法や、溶媒中に分散した粒子をろ過して大粒子を取り除く方法等があるが、特にエアロゾルを微分型電気移動度分級器( DMA:Differential Mobility Analyzer )で処理する方法が好ましく用いられる。
なお、無機微粒子の表面は、有機化合物により改質されていることが一つの特徴である。
表面改質する方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、水が存在する条件下で加水分解により微粒子の表面に修飾する方法が挙げられる。この方法では、酸またはアルカリなどの触媒が好適に用いられ、微粒子表面の水酸基と、表面修飾剤が加水分解して生じる水酸基とが、脱水して結合を形成することが一般に考えられている。
この他、無機微粒子の表面改質の方法としては、カップリング剤等の表面修飾剤による表面処理、ポリマーグラフト、メカノケミカルによる表面処理などが挙げられる。
無機微粒子の表面改質に用いられる表面修飾剤としては、シラン系カップリング剤を始め、シリコーンオイル、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系カップリング剤等が挙げられる。これらは特に限定されず、無機微粒子および無機微粒子を分散する熱可塑性樹脂の種類により適宜選択することが可能である。また、各種表面処理を二つ以上同時又は異なる時に行っても良い。
具体的には、例えば、シラン系の表面処理剤として、ビニルシラザン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられ、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が好ましく用いられる。
シリコーンオイル系処理剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルといったストレートシリコーンオイルやアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、片末端反応性変性シリコーンオイル、異種官能基変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、親水性特殊変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイル、高級脂肪酸含有変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどの変性シリコーンオイルを用いることができる。
またこれらの処理剤はヘキサン、トルエン、メタノール、エタノール、アセトン水等で適宜希釈して用いても良い。
表面修飾剤による表面処理の方法としては、湿式加熱法、湿式濾過法、乾式攪拌法、インテグルブレンド法、造粒法等が挙げられる。50nm以下の微粒子を表面改質する場合、乾式攪拌法が粒子凝集抑制の観点から好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
これらの表面修飾剤は1種類のみを用いても、複数種類を併用してもよく、さらに、用いる表面修飾剤によって得られる表面修飾微粒子の性状は異なることがあり、樹脂組成物を得るにあたって用いる熱可塑性樹脂との親和性を、表面修飾剤を選ぶことによって図ることも可能である。表面修飾の割合は特に限定されるものではないが、表面修飾後の微粒子に対して、表面修飾剤の割合が10〜99質量%であることが好ましく、30〜98質量%であることがより好ましい。
(2)熱可塑性樹脂
次いで、熱可塑性複合材料を構成する有機重合体からなる熱可塑性樹脂について説明する。
熱可塑性樹脂としては、光学材料として一般的に用いられる透明の熱可塑性樹脂材料であれば特に制限はないが、光学素子としての加工性を考慮すると、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、またはポリイミド樹脂であることが好ましく、例えば、特開2003−73559号公報に記載の化合物を挙げることができ、その好ましい化合物を表1に示す。
Figure 2007254681
熱可塑性複合材料においては、有機重合体からなる熱可塑性樹脂が、炭素原子数が2〜20の熱可塑性樹脂−オレフィンと、環状オレフィンとの共重合体を水素添加処理して得られる環状構造を有するオレフィン系重合体である、特開平7−145213号公報の段落番号〔0032〕〜同〔0054〕に示されて居る化合物や、脂環式構造を有する繰り返し単位からなる脂環式炭化水素系共重合体であることが好ましい。本発明に好ましく用いられる環状オレフィン樹脂としては、ZEONEX(日本ゼオン)、APEL(三井化学)、アートン(JSR)、TOPAS(チコナ)などが挙げられるが、これらに限るものではない。
熱可塑性複合材料の調製時や熱可塑性複合材料の成型工程においては、必要に応じて各種添加剤(配合剤ともいう)を添加することができる。添加剤については、格別限定はないが、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤などの安定剤;滑剤、可塑剤などの樹脂改質剤;軟質重合体、アルコール性化合物等の白濁防止剤;染料や顔料などの着色剤;帯電防止剤、難燃剤、フィラーなどが挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合せて用いることができ、その配合量は本発明に記載の効果を損なわない範囲で適宜選択される。本発明においては、特に、重合体が少なくとも可塑剤または酸化防止剤を含有することが好ましい。
〔可塑剤〕
可塑剤としては、特に限定はないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等を挙げることができる。
リン酸エステル系可塑剤では、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジフェニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤では、例えば、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤では、例えば、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコレート系可塑剤では、例えば、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤では、例えば、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を挙げることができる。
〔酸化防止剤〕
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、成型時の酸化劣化等によるレンズの着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明に係る重合体100質量部に対して好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
フェノール系酸化防止剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニルプロピオネート))メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))]、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが特に好ましい。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
〔耐光安定剤〕
耐光安定剤としては、ベンゾフェノン系耐光安定剤、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤、ヒンダードアミン系耐光安定剤などが挙げられるが、本発明においては、レンズの透明性、耐着色性等の観点から、ヒンダードアミン系耐光安定剤を用いるのが好ましい。ヒンダードアミン系耐光安定剤(以下、HALSともいう)の中でも、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いたGPCにより測定したポリスチレン換算のMnが1,000〜10,000であるものが好ましく、2,000〜5,000であるものがより好ましく、2,800〜3,800であるものが特に好ましい。Mnが小さすぎると、該HALSをブロック共重合体に加熱溶融混練して配合する際に、揮発のため所定量を配合できなかったり、射出成型等の加熱溶融成型時に発泡やシルバーストリークが生じるなど加工安定性が低下する。また、ランプを点灯させた状態でレンズを長時間使用する場合に、レンズから揮発性成分がガスとなって発生する。逆にMnが大き過ぎると、ブロック共重合体への分散性が低下して、レンズの透明性が低下し、耐光性改良の効果が低減する。したがって、本発明においては、HALSのMnを上記範囲とすることにより加工安定性、低ガス発生性、透明性に優れたレンズが得られる。
このようなHALSの具体例としては、N,N′,N″,N′″−テトラキス−〔4,6−ビス−{ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ}−トリアジン−2−イル〕−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ〔(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕などの、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物などの、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した高分子量HALS等が挙げられる。
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物などのMnが2,000〜5,000のものが好ましい。
熱可塑性複合材料に対する上記耐光安定剤の配合量は、重合体100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.02〜15質量部、特に好ましくは0.05〜10質量部である。添加量が少なすぎると耐光性の改良効果が十分に得られず、屋外で長時間使用する場合等に着色が生じる。一方、HALSの配合量が多すぎると、その一部がガスとなって発生したり、樹脂への分散性が低下して、レンズの透明性が低下する。
また、熱可塑性複合材料に、更に最も低いガラス転移温度が30℃以下である化合物を配合することにより、透明性、耐熱性、機械的強度などの諸特性を低下させることなく、長時間の高温高湿度環境下での白濁を防止できる。
(3)熱可塑性複合材料の製造方法
熱可塑性複合材料は、ホスト材料である熱可塑性樹脂に無機微粒子を分散させて得られるものであるが、その製造方法は特に限定されるものではない。すなわち、熱可塑性樹脂と無機微粒子をそれぞれ独立して作製し、その後に両者を混合させる方法、予め作製した無機微粒子が存在する条件で熱可塑性樹脂を作製する方法、予め作製した熱可塑性樹脂が存在する条件で無機微粒子を作製する方法、熱可塑性樹脂と無機微粒子の両者を同時に作製させる方法など、いずれの方法をも採用できる。具体的には、例えば、熱可塑性樹脂が溶解した溶液と、無機微粒子が均一に分散した分散液の二液を均一に混合し、熱可塑性樹脂に対して溶解性が乏しい溶液中に打ち合わせることにより、目的とする材料組成物を得る方法を好適に挙げることができるが、これに限定されるものではない。
熱可塑性複合材料において、熱可塑性樹脂と無機微粒子の混合の程度は特に限定されるものではないが、本発明の効果をより効率よく発現させるためには、均一に混合していることが望ましい。混合の程度が不十分の場合には、特に屈折率やアッベ数、光線透過率などの光学特性に影響を及ぼすことが懸念され、また熱可塑性や溶融成形性などの樹脂加工性にも悪影響する恐れがある。混合の程度は、その作製方法に影響されることが考えられ、用いる熱可塑性樹脂及び無機微粒子の特性を十分に勘案して、方法を選択することが重要である。熱可塑性樹脂と無機微粒子の両者がより均一に混合するために、熱可塑性樹脂と無機微粒子を直接結合させる方法等も、本発明において好適に用いることができる。
本発明に係る無機微粒子の含有量は、本発明の効果を発揮できる範囲であれば特に限定されず、熱可塑性樹脂と無機微粒子の種類により任意に決めることができる。本発明に係る無機微粒子の含有量は、作製される有機無機複合材料の全体積に対する無機微粒子の体積分率が20%以上60%以下であることが好ましく、20%以上、50%以下であることがより好ましく、30%以上、50%以下であることがさらに好ましい。ここでいう無機微粒子の体積分率は、無機微粒子の比重をa、含有量をxグラム、作製された有機無機複合材料の全体積樹脂をYミリリットルとした時に式(x/a)/Y×100で求められる。無機微粒子の含有量の定量は、透過型電子顕微鏡(TEM)による無機微粒子像の観察(EDX等の局所元素分析により無機微粒子組成に関する情報も得ることが可能)、あるいは与えられた樹脂組成物が含有する灰分の元素分析により求まる所定組成の含有重量と該組成の結晶の比重とから算出可能である。
(3.1)熱可塑性複合材料の特性
以上のようにして作製された本発明の熱可塑性複合材料は、屈折率の温度変化率(dn/dT)が小さいことを特徴とする。
ここでいう屈折率nの温度Tに対する変化率の指標であるdn/dTとは、材料の屈折率(n)が温度(T)の変化に対しdn/dTの割合で変化することを示している。dn/dTの値は、各温度で樹脂材料の屈折率を測定し、屈折率の温度変化率を読み取ることで求めることができる。
屈折率の測定方法としては、例えば、エリプソメトリ、分光反射率法、光導波路法、Abbe法、最小偏角法等から熱可塑性樹脂材料の形態に応じて好ましい方法を選択することができる。
熱可塑性複合材料においては、このdn/dTの絶対値である|dn/dT|が0以上、9.0×10−5以下であることが好ましく、さらに|dn/dT|が0以上、5.0×10−5以下であることが好ましい。このdn/dTが全ての波長領域で上記の範囲であることが好ましいが、光学素子として使用する際に用いられる波長領域で上記の範囲であれば、従来よりも温度安定性に優れた光学素子を提供することができるため好ましい。
熱可塑性複合材料は、可視領域波長における透明性を有すことが好ましい。有機無機複合材料の透明性は、可視領域波長での光線透過率が光路長3mmにおいて70%以上であることが好ましく、更に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上であるのが望ましい。かかる測定は、例えばASTM D−1003(3mm厚)規格での試験により行われる。ここでいう可視領域とは、400〜650nmの波長領域を意味する。
熱可塑性複合材料の屈折率は、熱可塑性樹脂と無機微粒子の組み合わせにより決まるが、通常は熱可塑性樹脂より屈折率の高い無機微粒子を選択することにより熱可塑性樹脂より高くすることが好ましい。具体的には、1.45〜2.0程度の範囲が好ましく、更に好ましくは1.49〜1.7である。
したがって、熱可塑性複合材料は、屈折率の温度依存性が小さく、かつ透明度が高く、光学的に優れた材料組成物であり、さらには熱可塑性及び/または射出成形性を有するために、成形加工性に非常に優れた熱可塑性材料である。この優れた光学特性と成形加工性を併せ持った材料は、これまでに開示されている材料では達成することができなかった特性であり、前述したような特定の熱可塑性樹脂と特定の無機微粒子から成ることが、この特性に寄与するものと考えられる。
(4)成型物
次いで、本発明の熱可塑性複合材料を用いて成型される成型物の一例として光学素子について説明する。
本発明に係る光学素子としては、光学レンズや光学プリズムに応用可能な光学用樹脂レンズが挙げられるが、光学用樹脂レンズの光学部品への具体的な適用例としては以下のようである。
例えば、光学用樹脂レンズとしては、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡、望遠鏡レンズなどのレンズ;眼鏡レンズなどの全光線透過型レンズ;CD、CD-ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などの光ディスクのピックアップレンズ;レーザビームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズなどのレーザ走査系レンズ;カメラのファインダー系のプリズムレンズなどが挙げられる。
光ディスク用途としては、CD、CD-ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などが挙げられる。その他の光学用途としては、液晶ディスプレイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルムなどの光学フィルム;光拡散板;光カード;液晶表示素子基板などが挙げられる。
これらの中でも、低複屈折性が要求されるピックアップレンズやレーザ走査系レンズとして好適であり、ピックアップレンズに最も好適に用いられる。
次いで、本発明の熱可塑性複合材料を用いて成型された光学素子の一例として光学用樹脂レンズの作製方法について説明する。
光学用樹脂レンズは、まず、熱可塑性複合材料(樹脂と無機微粒子との混合物の場合もあれば、樹脂と無機微粒子と添加剤との混合物の場合もある)を調製した後、得られた熱可塑性複合材料を成型する工程を経て作製される。
成型方法としては、格別制限されるものはないが、低複屈折性、機械強度、寸法精度等の特性に優れた成型物を得る為には溶融成型が好ましい。溶融成型法としては、例えば、市販のプレス成型、市販の押し出し成型、市販の射出成型等が挙げられるが、射出成型が成型性、生産性の観点から好ましい。
成型条件は使用目的、または成型方法により適宜選択されるが、例えば、射出成型における樹脂組成物(樹脂単独の場合または樹脂と添加物との混合物の両方がある)の温度は、成型時に適度な流動性を樹脂に付与して成型品のヒケやひずみを防止し、樹脂の熱分解によるシルバーストリークの発生を防止し、更に、成型物の黄変を効果的に防止する観点から150℃〜400℃の範囲が好ましく、更に好ましくは200℃〜350℃の範囲であり、特に好ましくは200℃〜330℃の範囲である。
また、成型物である光学素子は、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状など種々の形態で使用することができ、また、低複屈折性、透明性、機械強度、耐熱性、低吸水性に優れるため、本発明の光学素子の一つである光学用樹脂レンズとして用いられるが、その他の光学部品としても好適である。
以下、図1を参照しながら、光学用樹脂レンズが対物レンズとして用いられた光ピックアップ装置1について説明する。ここで、図1は、光ピックアップ装置1の内部構造を示す模式図である。
なお、本実施形態では、使用波長が405nmのいわゆる青紫色レーザ光源を用いた「高密度な光ディスク」をターゲットとしており、この光ディスクの有する保護基板厚は、0.1mmであり、記憶容量は約30GBである。
本実施形態における光ピックアップ装置1には、図1に示すように、光源である半導体レーザ発振器2が具備されている。この半導体レーザ発振器2から出射される青色光の光軸上には、半導体レーザ発振器2から離間する方向に向かって、コリメータ3、ビームスプリッタ4、1/4波長板5、絞り6、対物レンズ7が順次配設されている。
また、ビームスプリッタ4と近接した位置であって、上述した青色光の光軸と直交する方向には、2組のレンズからなるセンサーレンズ群8、センサー9が順次配設されている。
ここで、対物レンズ7は、単玉の光学用樹脂レンズであり、光ディスクDに対向した位置に配置され、半導体レーザ発振器2から出射された青色光を、光ディスクDの一面上に集光するようになっている。この対物レンズ7には、2次元アクチュエータ10が具備されており、この2次元アクチュエータ10の動作により、対物レンズ7は、光軸上を移動自在となっている。なお、絞り6では、入射光束は3mm径に絞られるようになっている。
次に、光ピックアップ装置1の作用について説明する。
本実施形態における光ピックアップ装置1は、光ディスクDへの情報の記録動作時や、光ディスクDに記録された情報の再生動作時に、半導体レーザ発振器2から青色光を出射する。出射された青色光は、図1に示すように、光線Lとなって、コリメータ3を透過して無限平行光にコリメートされた後、ビームスプリッタ4を透過して、1/4波長板5を透過する。さらに、絞り6及び対物レンズ7を順次透過した後、光ディスクDの保護基板Dを介して情報記録面Dに集光スポットを形成する。
集光スポットを形成した光は、光ディスクDの情報記録面Dで情報ピットによって変調され、情報記録面Dによって反射される。そして、この反射光は、光線Lとなって、対物レンズ7及び絞り6を順次透過した後、1/4波長板5によって偏光方向が変更され、ビームスプリッタ4で反射する。その後、センサーレンズ群8を透過して非点収差が与えられ、センサー9で受光されて、最終的には、センサー9によって光電変換されることによって電気的な信号となる。
以後、このような動作が繰り返し行われ、光ディスクDに対する情報の記録動作や、光ディスクDに記録された情報の再生動作が完了する。
なお、光ディスクDにおける保護基板Dの厚さ寸法及び情報ピットの大きさにより、対物レンズ7に要求される開口数も異なる。本実施形態においては、高密度な光ディスクDであり、その開口数は0.85に設定されている。
また、光源の使用波長は、390nm〜420nmである範囲のものを適宜採用してもよい。
したがって、上記方法で作製された熱可塑性複合材料を、光ピックアップ装置に適用し、少なくとも1つの光学面に、該光学面を通過する特定の波長光に対して、予め定められた光路差を付与する光路差付与構造を有する光学素子(対物レンズ)に適用することにより、Blu-Ray Discなどのいわゆる次世代光ディスクにおける情報の記録、再生に波長400nm近傍の短波長の光を用いた場合であっても、光学素子自身が白濁したり、屈折率が変動を受けることがなく、極めて製品寿命が長く、かつ良好な光学的屈折率と高い精度の光学特性を具備させることができる。加えて、当該素子を用いた光ピックアップ装置では、光情報記録媒体に対して情報の再生または記録を行う際に、良好なピックアップ特性を有することができる。
なお、本発明でいう光学素子とは、光ピックアップ装置の光学系を構成する、例えば、対物レンズ、対物レンズユニット、カップリングレンズ(コリメータ)、ビームエキスパンダ、ビームシェイパ、補正板等の部材として使用することができるものを指す。
また、対物レンズとは、狭義には光ピックアップ装置に光情報記録媒体を装填した状態において、最も光情報記録媒体側の位置で、これと対向すべく配置される集光作用を有するレンズを指し、広義にはそのレンズとともに、アクチュエータによって少なくともその光軸方向に作動可能なレンズを指すものとする。
また、光情報記録媒体とは、CD、DVD、CD-R、MD、MO、高密度DVDなどの所定の波長の光束を用いて情報の再生及び/又は記録を行う一般的な光ディスクを指す。
また、情報の再生とは光情報記録媒体の情報記録面上に記録された情報を再生することをいい、情報の記録とは光情報記録媒体の情報記録面上に情報を記録することをいう。なお、ここでいう再生とは、単に情報を読み取ることを含むものである。
また、本発明の光学素子及び光ピックアップ装置は、情報の記録だけあるいは再生だけを行うために用いるものであってもよいし、記録と再生の両方を行うために用いるものであってもよい。
また、少なくとも1つの光学面とは、レンズの表裏面のうちの光の入射面又は出射面のことを言い、これら入射面と出射面のどちらか一方の面に光路差付与構造を有していても良いし、両方の面に有していても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)無機微粒子の作製
以下の手順に従い、無機微粒子1〜無機微粒子12の作製を行った。
〔無機微粒子1の作製〕
純水463.1g、26%アンモニア水104.8g、メタノール4255.0gの混合液に、テトラメトキシシラン(TMOS)1368g、メタノール229.4gの混合液および純水643.2g、26%アンモニア水104.8gの混合液を、液温を25℃に保ちつつ150分かけ滴下し、その後、チタンテトライソプロポキシド5969g、イソプロパノール150gの混合液を100分かけて添加し、シリカ/チタン混合ゾルを得た。
このゾルを常圧下、加熱蒸留しつつ、純水を容量一定に保ちつつ滴下し、塔頂温が100℃に達し且つpHが8以下になったのを確認した時点で純水の滴下を終了し、微粒子分散液を得た。
さらに、メチルトリメトキシシランを15.4g添加し、室温にて1時間攪拌後、2時間還流を行った。その後、常圧下、加熱蒸留しつつ、メチルエチルケトンを、容量を一定に保ちつつ滴下し、塔頂温が79℃に達し且つ水分が1.0%以下になったのを確認した時点で終了し、室温まで冷却後、3μメンブランフィルターを用いて精密濾過を行い、メチルエチルケトン分散シリカゾルを得た。TEM観察の結果、体積換算平均粒子径(粒径)は、13nmであった。また、IR測定により1098cm−1にシリカ由来の吸収ピークが存在し、粒子断面のTEM/EDXによる組成分析結果により、SiとTiが均一に分散した組成であり、XRD測定により明確な結晶構造を表すピークが存在しない非晶質複合酸化物粒子であることが確認された。
〔無機微粒子2の作製〕
ホソカワミクロン(株)製のナノクリエータを用い、ポリジメチルシロキサンとテトラ(2−エチルヘキシル)チタネートをSiOとTiOの重量比が3:1になるように調製した原料気体流と、酸素ガスとを高温雰囲気の反応空間に流入して反応させることにより、白色微粉末状の無機微粒子2を形成した。得られた粒子のTEM観察による粒径測定結果、およびIR測定によるシリカ由来の吸収ピークの有無、粒子断面のTEM/EDXによる組成分析結果、XRD測定による結晶構造解析結果を表2に示す。この結果、無機微粒子2は、非晶質シリカ中に酸化チタン結晶が均一に分散した粒子であった。
〔無機微粒子3〜7の作製〕
〔無機微粒子2の作製〕において、原料気体流としてポリジメチルシロキサンと、エチルアセトアセテートアルミニウムジノルマルブチレートと、アルミニウムモノ−n−ブトキシジエチルアセト酢酸エステルの混合物をAlOが表2記載の重量比になるように調製した溶液を用いる以外は、同様の方法で白色微粉末状の無機微粒子3〜無機微粒子7を形成した。得られた粒子を評価した結果を表2に示す。この結果、無機微粒子3は、中心部にアルミナ結晶コアを有し、周囲に非晶質シリカからなるコアシェル構造の粒子であった。無機微粒子4〜6は、非晶質シリカ中にアルミナ結晶が均一に分散した粒子であった。無機微粒子7は、非晶質シリカの存在が確認できず、アルミナ結晶と珪酸アルミニウム結晶が不均一に混合した粒子であった。
〔無機微粒子8の作製〕
〔無機微粒子2の作製〕において、原料気体流としてポリジメチルシロキサンと亜鉛化合物をZnOが表2記載の重量比になるように調製した溶液を用いる以外は、同様の方法で、白色微粉末状の無機微粒子8を形成した。得られた粒子を評価した結果を表2に示す。この結果、無機微粒子8は、非晶質シリカ中に珪酸亜鉛結晶が均一に分散した粒子であった。
〔無機微粒子9,10の作製〕
〔無機微粒子2の作製〕において、原料気体流としてポリジメチルシロキサンとマグネシウム化合物をMgOが表2記載の重量比になるように調製した溶液を用いる以外は、同様の方法で、白色微粉末状の無機微粒9,10を形成した。得られた粒子を評価した結果を表2に示す。この結果、無機微粒子9は、非晶質シリカ中に珪酸マグネシウム結晶が均一に分散した粒子であった。無機微粒子10は、非晶質シリカの存在が確認できず、酸化マグネシウム結晶と珪酸マグネシウム結晶が均一に混合した粒子であった。
〔無機微粒子11の作製〕
〔無機微粒子1の作製〕において、原料気体流としてオクタメチルシクロテトラシロキサンと2−エチルヘキサン酸ジルコニウムをSiOとZrOの重量比が2:1になるように調製した溶液を用いる以外は、同様の方法で、白色微粉末状の無機微粒子11を形成した。得られた粒子を評価した結果を表2に示す。この結果、無機微粒子11は、中心部にジルコニア結晶コアを有し、周囲に非晶質シリカからなるコアシェル構造の粒子であった。
〔無機微粒子12の作製〕
日本アエロジル社製Aluminium Oxide Cを無機微粒子12とし、同様に評価した結果を表2に示す。
(組成・粒径・金属酸化物の含有率の測定)
上記の無機微粒子1〜無機微粒子12に対し、TEM観察を行い、体積換算平均粒子径(粒径)を求めた。また、粒子断面のTEM/EDXによる組成分析に基づき、金属酸化物の含有率を測定した。また、XRD測定を行い、結晶構造を表すピークの有無を基に、シリカと金属酸化物の分散状態を確認した。結果を表2に示す。
(屈折率の測定)
上記の無機微粒子1〜無機微粒子12を、1,3-ジクロロプロパン、サリチル酸メチル、1−ブロモナフタレン、ジヨードメタンを用いて作製した屈折率の異なる溶媒中に分散し、液が透明になる溶媒の屈折率を測定することにより、各粒子の屈折率npを測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2007254681
(2)熱可塑性複合材料の作製
次に、上記の無機微粒子1〜無機微粒子12に対し、以下に示す表面改質を施した。
(無機微粒子の表面改質)
まず、上記無機微粒子1〜無機微粒子12それぞれ5gにメタノール300gと1モル%の硝酸水溶液を添加した。この液を50℃で撹拌しながら、メタノール100gとシクロペンチルトリメトキシシラン6gの混合液を60分かけて添加し、その後さらに24時間撹拌した。得られた透明な分散液を酢酸エチルに懸濁させ、遠心分離を行い白色の微粒粉末を得た。
次いで、上記表面改質済の無機微粒子1〜12に対し、樹脂中に無機微粒子を混練する前の準備として、使用する熱可塑性樹脂(ZEONEX340R)を80℃で8時間の乾燥、無機微粒子を200℃で4時間の乾燥を行った。得られた乾燥処理済みの無機微粒子1〜12及び熱可塑性樹脂を以下に示す熱可塑性複合材料1〜12の作製に使用する。
〔熱可塑性複合材料1の作製〕
乾燥処理済みの無機微粒子2粉体を、その含有率が20体積%となるように、溶融した日本ゼオン製の環状オレフィン樹脂(ZEONEX340R)に添加し、溶融混練により無機微粒子を分散した熱可塑性複合材料1を作製した。混練条件は、HAAKE社製混練装置を用いて設定温度200℃、30rpmで粉体の添加終了後、5分間混練した。
〔熱可塑性複合材料2の作製〕
〔熱可塑性複合材料1の作製〕において、乾燥済みの無機微粒子2の代わりに乾燥済みの無機微粒子3を用いて、樹脂に分散させる以外は同様に熱可塑性複合材料を作製し、熱可塑性複合材料9を得た。
〔熱可塑性複合材料3の作製〕
〔熱可塑性複合材料1の作製〕において、乾燥済みの無機微粒子2の代わりに乾燥済みの無機微粒子4を用いて、樹脂に分散させる以外は同様に熱可塑性複合材料を作製し、熱可塑性複合材料2を得た。
〔熱可塑性複合材料4の作製〕
〔熱可塑性複合材料1の作製〕において、乾燥済みの無機微粒子2の代わりに乾燥済みの無機微粒子5を用いて、樹脂に分散させる以外は同様に熱可塑性複合材料を作製し、熱可塑性複合材料3を得た。
〔熱可塑性複合材料5の作製〕
〔熱可塑性複合材料1の作製〕において、乾燥済みの無機微粒子2の代わりに乾燥済みの無機微粒子6を用いて、樹脂に分散させる以外は同様に熱可塑性複合材料を作製し、熱可塑性複合材料4を得た。
〔熱可塑性複合材料6の作製〕
〔熱可塑性複合材料1の作製〕において、乾燥済みの無機微粒子2の代わりに乾燥済みの無機微粒子8を用いて、樹脂に分散させる以外は同様に熱可塑性複合材料を作製し、熱可塑性複合材料5を得た。
〔熱可塑性複合材料7の作製〕
〔熱可塑性複合材料1の作製〕において、乾燥済みの無機微粒子2の代わりに乾燥済みの無機微粒子9を用いて、樹脂に分散させる以外は同様に熱可塑性複合材料を作製し、熱可塑性複合材料6を得た。
〔熱可塑性複合材料8の作製〕
〔熱可塑性複合材料1の作製〕において、乾燥済みの無機微粒子2の代わりに乾燥済みの無機微粒子11を用いて、樹脂に分散させる以外は同様に熱可塑性複合材料を作製し、熱可塑性複合材料11を得た。
〔熱可塑性複合材料9の作製〕
〔熱可塑性複合材料1の作製〕において、乾燥済みの無機微粒子2の代わりに乾燥済みの無機微粒子1を用いて、樹脂に分散させる以外は同様に熱可塑性複合材料を作製し、熱可塑性複合材料8を得た。
〔熱可塑性複合材料10の作製〕
〔熱可塑性複合材料1の作製〕において、乾燥済みの無機微粒子2の代わりに乾燥済みの無機微粒子7を用いて、樹脂に分散させる以外は同様に熱可塑性複合材料を作製し、熱可塑性複合材料10を得た。
〔熱可塑性複合材料11の作製〕
〔熱可塑性複合材料1の作製〕において、乾燥済みの無機微粒子2の代わりに乾燥済みの無機微粒子10を用いて、樹脂に分散させる以外は同様に熱可塑性複合材料を作製し、熱可塑性複合材料7を得た。
〔熱可塑性複合材料12の作製〕
〔熱可塑性複合材料1の作製〕において、乾燥済みの無機微粒子2の代わりに乾燥済みの無機微粒子12を用いて、樹脂に分散させる以外は同様に熱可塑性複合材料を作製し、熱可塑性複合材料12を得た。
(熱可塑性複合材料の評価)
得られた熱可塑性複合材料1〜12の物性評価を行った。
〔屈折率の評価〕
熱可塑性複合材料1〜12を溶融し、加熱成型することにより厚さ3mmの試験用プレートをそれぞれ作製し、カルニュー光学工業(株)製の自動屈折計KPR−200を用いて、波長588nmの屈折率を、試料温度を10℃から60℃まで変化させて測定した。25℃での屈折率をnd25、10℃から60℃での屈折率の温度変化率をdn/dTとし、得られた結果を下記表3に示す。
〔透過率の測定〕
上記調製した熱可塑性複合材料1〜12を溶融し、加熱成型することにより厚さ3.0mmの各試験用プレートを作製し、それぞれについて、直ちにASTM D1003に準拠した方法で、東京電色(株)製のTURBIDITY METER T−2600DAを用いて光線透過率を測定し、この測定した光線透過率を透過率A(%)とした。次いで、上記各試験用プレートを、65℃の環境下で48時間放置した後、上記と同様の方法で、強制劣化処理後の光線透過率を測定し、これを透過率B(%)とした。なお、測定した光線透過率が80%以下では、透明度に乏しく、光学素子に適さないと判定した。得られた結果を、下記表3に示す。
Figure 2007254681
表3に記載の結果より明らかなように、本発明の熱可塑性複合材料1〜8は、比較例の熱可塑性複合材料9〜12に対し、屈折率の温度依存性が小さく、かつ透明性が高いことが分かる。更に、強制劣化処理を行った後でも、透明性の低下幅が極めて小さく、光学素子に使用する樹脂材料として極めて有用であることがわかる。
さらに、上記熱可塑性複合材料1〜8を用いてプラスチック製光学素子を作製して評価した結果、本発明の光学素子は、良好な光学特性を持ち、かつCDやDVDの記録、再生に用いられるBlue−Rayを長時間照射しても、白濁化等の材料変質耐性に優れていることを確認することができた。
本発明の光学用樹脂レンズが対物レンズとして用いられている光ディスク用のピックアップ装置の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 光ピックアップ装置
2 半導体レーザ素子
3 コリメータ
4 ビームスプリッタ
5 1/4波長板
6 絞り
7 対物レンズ
8 センサーレンズ群
9 センサー
10 2次元アクチュエータ
D 光ディスク
保護基板
情報記録面

Claims (10)

  1. 有機重合体からなる熱可塑性樹脂中に、微粒子が分散された透明な熱可塑性複合材料であって、前記微粒子は非晶質シリカ中に金属酸化物結晶を含有する無機微粒子であることを特徴とする熱可塑性複合材料。
  2. 前記無機微粒子の平均粒子径が、1nm以上、50nm以下であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性複合材料。
  3. 前記無機微粒子が実質的に均一な組成であることを特徴とする請求項1または2記載の熱可塑性複合材料。
  4. 前記無機微粒子における前記金属酸化物結晶の含有率が、20質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性複合材料。
  5. 前記金属酸化物結晶の屈折率が1.6以上2.1以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性複合材料。
  6. 前記無機微粒子の表面が有機シラン化合物により改質されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性複合材料。
  7. 前記無機微粒子の屈折率をnpとした時に、下記式(A)を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性複合材料。
    1.50 ≦ np < 1.75 式(A)
  8. 前記熱可塑性樹脂の屈折率をnh、該無機微粒子の屈折率をnpとした時に、下記式(B)を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性複合材料。
    0 ≦ |np―nh| ≦ 0.15 式(B)
  9. 25℃でナトリウムD線を光源として測定した屈折率nd25が1.5以上1.7以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性複合材料。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱可塑性複合材料を用いて成型することを特徴とする光学素子。
JP2006083983A 2006-03-24 2006-03-24 熱可塑性複合材料及び光学素子 Pending JP2007254681A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006083983A JP2007254681A (ja) 2006-03-24 2006-03-24 熱可塑性複合材料及び光学素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006083983A JP2007254681A (ja) 2006-03-24 2006-03-24 熱可塑性複合材料及び光学素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007254681A true JP2007254681A (ja) 2007-10-04

Family

ID=38629229

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006083983A Pending JP2007254681A (ja) 2006-03-24 2006-03-24 熱可塑性複合材料及び光学素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007254681A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009054255A1 (ja) * 2007-10-24 2009-04-30 Konica Minolta Opto, Inc. 光学用樹脂材料及びそれを用いた光学素子
WO2009101973A1 (ja) * 2008-02-12 2009-08-20 Hosokawa Powder Technology Research Institute 樹脂材料用難燃剤及びその製造方法
JP2012149155A (ja) * 2011-01-18 2012-08-09 Hitachi Chemical Co Ltd 熱硬化性樹脂組成物及びこれを用いたプリプレグ、積層板並びにプリント配線板
JP2016094611A (ja) * 2015-11-25 2016-05-26 日立化成株式会社 熱硬化性樹脂組成物及びこれを用いたプリプレグ、積層板並びにプリント配線板
WO2020092473A1 (en) * 2018-10-31 2020-05-07 Board Of Regents, The University Of Texas System Composite films and methods of making and use thereof

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009054255A1 (ja) * 2007-10-24 2009-04-30 Konica Minolta Opto, Inc. 光学用樹脂材料及びそれを用いた光学素子
WO2009101973A1 (ja) * 2008-02-12 2009-08-20 Hosokawa Powder Technology Research Institute 樹脂材料用難燃剤及びその製造方法
JP2012149155A (ja) * 2011-01-18 2012-08-09 Hitachi Chemical Co Ltd 熱硬化性樹脂組成物及びこれを用いたプリプレグ、積層板並びにプリント配線板
JP2016094611A (ja) * 2015-11-25 2016-05-26 日立化成株式会社 熱硬化性樹脂組成物及びこれを用いたプリプレグ、積層板並びにプリント配線板
WO2020092473A1 (en) * 2018-10-31 2020-05-07 Board Of Regents, The University Of Texas System Composite films and methods of making and use thereof
CN112930603A (zh) * 2018-10-31 2021-06-08 德克萨斯大学系统董事会 复合膜及其制备和使用方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7649035B2 (en) Thermoplastic composite material and optical element
US20100190919A1 (en) Resin material for optical purposes, and optical element utilizing the same
JP2008001895A (ja) 光学用樹脂材料及び光学素子
JP2007154159A (ja) 有機無機複合材料及び光学素子
JP2007254681A (ja) 熱可塑性複合材料及び光学素子
JP2006160992A (ja) 熱可塑性樹脂組成物及び光学素子
JP5163640B2 (ja) 光学用有機無機複合材料及び光学素子
WO2007138924A1 (ja) 光ピックアップ装置
JP2007231237A (ja) 有機無機複合材料及び光学素子並びに有機無機複合材料の製造方法
WO2008044342A1 (fr) Matériau composite organique/inorganique et élément optique
JP2007161980A (ja) マスターバッチ、光学素子、マスターバッチの製造方法及び光学素子の製造方法
JP2007077235A (ja) 熱可塑性樹脂組成物及び光学素子
JP2007163655A (ja) 光学用樹脂材料及び光学素子
JP2007206197A (ja) 光学用樹脂材料及び光学素子
JP2008074635A (ja) コアシェル型酸化ケイ素粒子とその製造方法、それを用いた無機微粒子分散樹脂組成物及び光学素子
JP2006299183A (ja) 非水系微粒子分散液、熱可塑性複合材料及び光学素子
JP5277457B2 (ja) 複合金属酸化物微粒子含有樹脂材料の製造方法、及びそれを用いた光学素子
JP2009235325A (ja) 光学用樹脂材料の製造方法、光学用樹脂材料、及び光学素子
JP2008074923A (ja) 光学用無機材料及びその製造方法、光学用樹脂材料並びにそれを用いた光学素子
JP2007138041A (ja) 熱可塑性複合材料及び光学素子、熱可塑性複合材料の製造方法
JPWO2006051699A1 (ja) 樹脂組成物及びそれを用いた光学素子
JPWO2006049015A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた光学素子
JP2007314646A (ja) 無機微粒子分散樹脂組成物及びそれを用いた光学素子
JP2007197606A (ja) 光学用樹脂材料、光学素子及び光学用樹脂材料の製造方法
JP2007137984A (ja) 複合材料及び光学素子