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JP2007077235A - 熱可塑性樹脂組成物及び光学素子 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及び光学素子 Download PDF

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JP2007077235A JP2005265147A JP2005265147A JP2007077235A JP 2007077235 A JP2007077235 A JP 2007077235A JP 2005265147 A JP2005265147 A JP 2005265147A JP 2005265147 A JP2005265147 A JP 2005265147A JP 2007077235 A JP2007077235 A JP 2007077235A
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Abstract

【課題】高い透明性を維持しつつ、屈折率の温度依存性の低減を図る。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなるホスト材料中に、有機化合物によって表面改質された無機微粒子が分散された透明な樹脂材料であって、当該ホスト材料及び無機微粒子の屈折率が下記式(1)を満たし、かつ、当該無機微粒子の体積分率が20%以上、60%以下である。
0≦|np−nh|≦0.15 …(1)
ここで、npは無機微粒子の屈折率を、nhはホスト材料の屈折率をそれぞれ示す。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物及び光学素子に係り、特に、レンズ、フィルター、グレーティング、光ファイバー及び平板光導波路等として好適に用いられる熱可塑性樹脂組成物及び光学素子に関する。
MO、CD、DVDといった光情報記録媒体(以下、単に媒体ともいう。)に対して、情報の読み取りや記録を行なうプレーヤー、レコーダー、ドライブといった情報機器には、光ピックアップ装置が備えられている。光ピックアップ装置は、光源から発した所定波長の光を媒体に照射し、反射した光を受光素子で受光する光学素子ユニットを備えており、この光学素子ユニットは、これらの光を媒体の反射層や受光素子で集光させるためのレンズ等の光学素子を有している。
上述した光ピックアップ装置の光学素子は、射出成形等の手段により安価に作製できる等の点で、プラスチックを材料として適用することが好ましく、光学素子に適用可能なプラスチックとしては、環状オレフィンとα−オレフィンの共重合体等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、例えば、CD/DVDプレーヤーのような、複数種の媒体に対して情報の読み書きが可能な情報機器の場合、光ピックアップ装置は、両者の媒体の形状や適用する光の波長の違いに対応した構成とする必要がある。この場合、光学素子ユニットは、製造コストやピックアップ特性の観点から、いずれの媒体に対しても共通とすることが好ましい。
一方、プラスチックを材料として適用した光学素子ユニットにおいては、ガラスレンズのような光学的安定性を有する物質であることが求められている。例えば、環状オレフィンのような光学的プラスチック物質は、湿度に関して大幅に改善された屈折率の安定性を有するが、温度に対する屈折率の安定性の改良は未だ十分でないのが現状である。
上述したようなプラスチックレンズの光学的屈折率を修正する方法の1つとして、微細粒子充填材を使用する方法が、種々提案されている。微細粒子充填材は、光学的プラスチックの屈折率を修正するために使用され、粒子サイズが十分に小さい充填材を用いることによって、充填材による光散乱を起こさず、充填されたプラスチックは、レンズとしての十分な透明性を維持することができる(例えば、非特許文献1〜2参照)。
また、感温性を有するポリマー状ホスト材料と、分散された微細粒子物質から構成され、感温性が減少された微細合成物光学製品が提案されており(例えば、特許文献2〜8参照。)、例えば、ホスト材料中に、酸化アルミニウムや酸化マグネシウムの微粒子を40質量%以上混合することにより、感温性の低減することができるが、このように樹脂との屈折率差が大きい無機微粒子を多量に混合した樹脂材料では、光線透過率の低下が大きいため、光学素子としての実用化には適していなかった。
さらに、シリカ等の酸化物微粒子を分散した樹脂材料については多くの提案がなされている。例えば、ゾル−ゲル法により、有機ポリマー及びシリカゲルが分子分散した有機−無機ポリマーハイブリッドの合成方法が開示される(例えば、非特許文献3参照。)。この合成方法は、フェニル基間のスタッキング、すなわち、π−π電子相互作用を利用するものであり、例えば、有機ポリマーとしてポリスチレンを使用し、ゾル−ゲル反応の出発原料としてフェニルトリメトキシシランを使用すると、ポリスチレンと無機マトリックスとしてのフェニル置換シリカゲル(フェニルトリメトキシシラン)との間でπ−π電子相互作用が起こり、その結果として、均一かつ透明なポリマーハイブリッドが得られる。
さらに、樹脂製ウィンドウの強度または剛性及び透明性を確保することを目的として、可視光線波長(380nm)以下の直径を有するシリカ微粒子を透明な非結晶の有機高分子に分散・混合した透明樹脂組成物からなる樹脂製ウィンドウや(例えば、特許文献9参照)、剛性と寸法安定性の向上を目的として、熱可塑性樹脂と疎水性基および極性基を表面に有する酸化化合物を含有した樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献10参照)。
特開2002−105131号公報 特開2002−207101号公報 特開2002−240901号公報 特開2002−241560号公報 特開2002−241569号公報 特開2002−241592号公報 特開2002−241612号公報 特開2002−303701号公報 特許第3559894号公報 特開2004−269773号公報 C.Becker、外2名、「シリカ微細粒子で修飾された表面を有する熱可塑性微細合成物質における光学的及び熱力学調査」、SPIE Proceedings、第3469巻、1998年7月、p.88−98 B.Braune、外2名、「光学的応用のための酸化タンタルナノマー(Tantalum Oxide Nanomers)」、SPIE Proceedings、第3469巻、1998年7月、p.124−132 中條善樹著、「無機有機ナノ複合物質」、季刊化学総説、日本化学会、1999年、No.42、p.75−82
しかしながら、上述した熱可塑性樹脂組成物の場合、その製造時に微粒子とホスト樹脂材料の架橋反応により生じる立体構造により、熱可塑性樹脂組成物の強度及び剛性が上昇するため、流動性が低く、成形性に問題が生じている。特に、微粒子の体積分率の増大に伴って、流動性が大幅に低下するとともに、透明性の低下が生ずるため、これらの方法で得られた熱可塑性樹脂組成物では、光学素子として使用するための十分な光線透過率を得ることが困難であるといった問題が生じている。
また、ホスト樹脂材料との屈折率差が小さい微粒子を高濃度で分散することにより、高い光線透過率が維持しつつ、屈折率の温度依存性が低減された熱可塑性樹脂組成物については、現状において、何ら開示されていない。
本発明は、前記した点に鑑みてなされたものであり、高い透明性を維持しつつ、屈折率の温度依存性の低減を図ることが可能な熱可塑性樹脂組成物及び光学素子を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、
熱可塑性樹脂からなるホスト材料中に、有機化合物によって表面改質された無機微粒子が分散された透明な樹脂材料であって、当該ホスト材料及び無機微粒子の屈折率が下記式(1)を満たし、かつ、当該無機微粒子の体積分率が20%以上、60%以下であることを特徴とする。
0≦|np−nh|≦0.15 …(1)
ここで、npは無機微粒子の屈折率を、nhはホスト材料の屈折率をそれぞれ示す。
請求項2に記載の発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、前記無機微粒子の平均粒子径が、1nm以上、30nm以下であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、前記ホスト材料が、環状オレフィン樹脂であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、前記無機微粒子が、酸化ケイ素、リン酸塩、炭酸塩のいずれかであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、前記無機微粒子が、有機シラン化合物によって表面改質されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明に係る光学素子は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、熱可塑性樹脂と分散される無機微粒子との屈折率の差を小さくすることで、比較的大きな無機微粒子を用いた場合であっても、光の透過時における光散乱を抑制することが可能となる。また、無機微粒子の含有量を増加させた場合であっても、高い光線透過率を維持することが可能となる。
そのため、熱可塑性樹脂組成物において、高い透明性を維持することができる。
請求項2に記載の発明によれば、熱可塑性樹脂中における無機微粒子の分散性の向上を図ることで、無機微粒子に起因した光散乱の発生を抑制することが可能となる。
そのため、熱可塑性樹脂組成物において、高い透明性を効率よく維持することができる。
請求項3に記載の発明によれば、低吸湿性を有する環状オレフィン樹脂を用いることで、高い寸法安定性を維持することができる。
請求項4に記載の発明によれば、酸化ケイ素、リン酸塩、炭酸塩のいずれかの無機微粒子を用いることで、光透過性を維持しながら、屈折率の温度依存性の低減を図ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、無機微粒子の表面が均一に表面処理されることで、カップリング剤の局在化を防止し、熱可塑性樹脂中における無機微粒子の分散性の向上を図ることができる。
そのため、無機微粒子に起因した光散乱の発生が抑制され、熱可塑性樹脂組成物において、高い透明性を維持することができる。
請求項6に記載の発明によれば、成形された光学素子における透明性及び屈折率の温度依存性の向上を図ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
本実施形態における熱可塑性樹脂組成物は、ホスト材である熱可塑性樹脂に、有機化合物によって表面改質された無機微粒子が含有されており、以下、熱可塑性樹脂及び無機微粒子の詳細について、それぞれ説明する。
まず始めに、熱可塑性樹脂について説明する。
本実施形態における熱可塑性樹脂としては、光学材料として一般的に用いられる透明の熱可塑性樹脂であれば、特に限定されるものではないが、光学素子としての加工性の観点から、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリイミド樹脂であることが好ましく、環状オレフィン樹脂であることが特に好ましい。具体例として、特開2003−73559号公報等に記載の化合物を挙げることができ、好ましい化合物を下記表1に示す。
Figure 2007077235
なお、上述した熱可塑性樹脂は、炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと、環状オレフィンとの共重合体を水素添加処理して得られる環状構造を有するオレフィン系重合体である、脂環式構造を有する繰り返し単位からなる脂環式炭化水素系共重合体であることが好ましい。
また、環状オレフィン樹脂としては、ZEONEX(日本ゼオン)、APEL(三井化学)、アートン(JSR)、TOPAS(チコナ)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に、無機微粒子について説明する。
本実施形態における無機微粒子は、特に限定されるものではなく、得られる熱可塑性樹脂組成物の温度による屈折率の変化率(以下、|dn/dT|と示す。)が小さいという本発明の目的の達成を可能とする無機微粒子の中から任意に選択することができる。
具体的には、酸化物微粒子、金属塩微粒子、半導体微粒子などが好ましく用いられ、この中から、光学素子として使用する波長領域において吸収、発光、蛍光等が生じないものを適宜選択して使用することが好ましい。
酸化物微粒子としては、金属酸化物を構成する金属が、Li、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Bi及び希土類金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属である金属酸化物を用いることができ、具体的には、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉛、これら酸化物より構成される複酸化物であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物(MgAl)等が挙げられる。
また、金属塩微粒子としては、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩等が挙げられ、具体的には、炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム等が挙げられる。
なお、本実施形態における酸化物微粒子としては、希土類酸化物を用いることが可能であり、具体的には、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム等が挙げられる。
また、上述した熱可塑性樹脂中に無機微粒子を分散させる際には、母材となる熱可塑性樹脂と、無機微粒子との屈折率の差が小さいことが好ましい。これは、熱可塑性樹脂に無機微粒子を分散させる際、無機微粒子が大きい程、光を透過させた時の散乱を起こしやすくなるが、熱可塑性樹脂と分散される無機微粒子との屈折率の差が小さいと、比較的大きな無機微粒子を用いても光の散乱が発生する度合いが小さく、また無機微粒子の含有量を増加しても透明性を維持することが可能であるためである。
従って、熱可塑性樹脂と分散される無機微粒子との屈折率の差を小さくすることで、光を透過させた場合における散乱を抑制することができる。
本実施形態における無機微粒子の屈折率は、下記式(2)を満たす、すなわち、上述した熱可塑性樹脂の屈折率との差が0以上、0.15以下である。
0≦|np−nh|≦0.15 …(2)
ここで、npは無機微粒子の屈折率を、nhは熱可塑性樹脂の屈折率をそれぞれ示す。
なお、上述した屈折率とは、25℃においてd線を光源として測定される屈折率nd25として得られる値の平均値であり、例えば、炭酸カルシウムの様な屈折率の異方性がある化合物については、その常光と異常光の屈折率値の平均値である。また、屈折率nd25は、例えば、ASTMD 542規格に則り、アッベ式屈折計等により測定されるものが該当し、種々の文献に記載されている値を用いることができる。さらに、無機微粒子を、屈折率を調整した種々の溶媒に分散させて分散液の吸光度を測定し、その値が最小になる溶媒の屈折率を測定することにより、無機微粒子の屈折率を確認できる。
なお、無機微粒子の屈折率は、熱可塑性樹脂の屈折率に近いものが好ましく、上記式(2)で表される様に、熱可塑性樹脂との屈折率差が0.15以下である無機微粒子が好ましく用いられ、屈折率差が0.1以下であることがより好ましく、屈折率差が0.05以下であることが特に好ましい。
また、無機微粒子の屈折率は、熱可塑性樹脂の樹脂組成によって異なるが、通常1.4〜2.0であることが好ましく、1.45〜1.7であることがより好ましい。具体的には、二酸化珪素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、リン酸アルミニウム等が好ましく用いられる。
また、光学材料として好ましく用いられる熱可塑性樹脂の屈折率は、1.4〜1.6程度である場合が多く、特に、屈折率が1.49〜1.55の熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。これら熱可塑性樹脂に分散させる材料としては、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物等が好ましく用いられる。
また、比較的屈折率の小さい無機微粒子を分散させることで、熱可塑性樹脂組成物の|dn/dT|を効果的に小さくすることができる。屈折率が小さい無機微粒子を分散させた熱可塑性樹脂組成物の|dn/dT|が小さくなる理由について、詳細な原理は判明していないが、熱可塑性樹脂組成物における無機微粒子の体積分率の温度変化が、無機微粒子の屈折率が小さいほど、熱可塑性樹脂組成物の|dn/dT|を小さくする方向に働くためと考えられる。屈折率が比較的低い無機微粒子としては、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、リン酸アルミニウムが好ましく用いられる。
熱可塑性樹脂組成物の|dn/dT|の低減効果、光透過性、所望の屈折率等を全て同時に向上させることは困難であり、熱可塑性樹脂に分散させる無機微粒子は、熱可塑性樹脂組成物に求める特性に応じて、無機微粒子自体の|dn/dT|の大きさ、無機微粒子の|dn/dT|と母材となる熱可塑性樹脂の|dn/dT|との差、並びに無機微粒子の屈折率等を考慮して適宜選択することができる。また、熱可塑性樹脂との相性、すなわち、熱可塑性樹脂に対する分散性、散乱を引き起こし難い無機微粒子を適宜選択して用いることは、光透過性を維持する上で好ましい。
なお、光学素子に好ましく用いられる環状オレフィンポリマーを母材として用いる場合、光透過性を維持しながら|dn/dT|を小さくする無機微粒子としては、シリカ、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウムが好ましく用いられる。
上述した無機微粒子は、1種類の無機微粒子を用いてもよく、あるいは複数種類の無機微粒子を併用してもよい。また、異なる性質を有する複数種類の微粒子を用いることで、必要とされる特性をより効率よく向上させることができる。
無機微粒子の平均粒子径は、1nm以上、30nm以下であることが好ましく、1nm以上、20nm以下であることがより好ましく、1nm以上、10nm以下であることが特に好ましい。これは、平均粒子径が1nm未満の場合、無機微粒子の分散が困難になり所望の性能が得られないおそれがあるため、平均粒子径は1nm以上であることが好ましく、また平均粒子径が30nmを超えると、得られる熱可塑性材料組成物が濁るなどして透明性が低下し、光線透過率が70%未満となるおそれがあるため、平均粒子径は30nm以下であることが好ましい。
ここで、平均粒子径とは、各粒子を同体積の球に換算した時の直径(球換算粒径)の体積平均値をいう。
無機微粒子の形状は、特に限定されるものではないが、球状の無機微粒子が好適に用いられる。具体的には、無機微粒子の最小径(無機微粒子の外周に接する2本の接線を引く場合における当該接線間の距離の最小値)/最大径(無機微粒子の外周に接する2本の接線を引く場合における当該接線間の距離の最大値)が0.5〜1.0であることが好ましく、0.7〜1.0であることがより好ましい。
また、平均粒子径の分布は、特に限定されるものではないが、本発明の効果をより効率よく発現させるためには、広範な分布を有するものよりも、比較的狭い分布を持つものが好ましく用いられる。
本実施形態における無機微粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、ハロゲン化金属やアルコキシ金属を原料に用い、水を含有する反応系において加水分解することにより、所望の酸化物微粒子を得ることができる。この際、微粒子の安定化のために有機酸や有機アミンなどを併用する方法も用いられる。より具体的には、例えば、二酸化チタン微粒子の場合、公知の方法を用いることができる。例えば、これらの方法に従えば、平均粒子径が5nmである酸化チタンは、チタニウムテトライソプロポキサイドや四塩化チタンを原料として、適当な溶媒中で加水分解させる際に適当な表面修飾剤を添加することによって容易に製造することができる。また、平均粒子径が40nmである硫化亜鉛はジメチル亜鉛や塩化亜鉛を原料とし、硫化水素あるいは硫化ナトリウムなどで硫化する際に、表面修飾剤を添加することによって製造することができる。
また、通常、酸化物微粒子の作成によく用いられる酸素を含む雰囲気内において、バーナによって化学炎を形成し、この化学炎中に金属粉末を粉塵雲が形成され得る量投入して燃焼させて、平均粒子径が5〜100nmである酸化物微粒子を合成する方法が開示されている。
また、上述したようなクラスターからのボトムアッププロセスによる無機ナノ粒子の作成以外にも無機微粒子を粉砕することで無機ナノ粒子を作成するトップダウンプロセスも提案されている。
本実施形態において使用される粉砕機としては、ウルトラアペックスミル(コトブキ技研社製);カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)等があげられる。
無機微粒子の表面修飾方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、水が存在する条件下で加水分解により無機微粒子の表面に修飾する方法が挙げられる。この方法では、酸又はアルカリ等の触媒が好適に用いられ、無機微粒子の表面における水酸基と、表面修飾剤が加水分解して生ずる水酸基とが、脱水して結合を形成することが一般に考えられている。
無機微粒子の表面処理の方法としては、カップリング剤等の表面修飾剤による表面処理、ポリマーグラフト、メカノケミカルによる表面処理などが挙げられる。
また、無機微粒子の表面処理に用いられる表面修飾剤としては、シラン系カップリング剤を始め、シリコーンオイル、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系カップリング剤等が挙げられる。これら表面修飾剤は、特に限定されるものではなく、無機微粒子及び無機微粒子を分散する熱可塑性樹脂の種類によって適宜選択することが可能である。また、各種表面処理を二つ以上同時に又は異なる時に行ってもよい。
シラン系の表面処理剤としては、ビニルシラザン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられ、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が好ましく用いられる。
また、シリコーンオイル系処理剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルといったストレートシリコーンオイルや、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、片末端反応性変性シリコーンオイル、異種官能基変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、親水性特殊変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイル、高級脂肪酸含有変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイルを用いることができる。
なお、上述した表面処理剤は、ヘキサン、トルエン、メタノール、エタノール、アセトン水等で適宜希釈して用いてもよい。
上述した表面修飾剤による表面処理方法としては、湿式加熱法、湿式濾過法、乾式攪拌法、インテグルブレンド法、造粒法等が挙げられる。50nm以下の無機微粒子を表面改質する場合、乾式攪拌法が粒子凝集抑制の観点から好ましく用いられるが、特に限定されるものではない。
上述した表面修飾剤は、1種類のみを用いても、複数種類を併用してもよく、さらに、用いる表面修飾剤によって得られる表面修飾微粒子の性状は異なることがあり、熱可塑性樹脂組成物を得るにあたって用いる熱可塑性樹脂との親和性を、表面修飾剤を選ぶことによって図ることも可能である。表面修飾の割合は、特に限定されるものではないが、表面修飾後の無機微粒子に対して、表面修飾剤の割合が10〜99質量%であることが好ましく、30〜98質量%であることがより好ましい。
上述した方法によって表面処理が施された無機微粒子は、熱可塑性樹脂中に混合されることにより、目的とする熱可塑性樹脂組成物が得られる。
得られた熱可塑性樹脂組成物は、屈折率の温度変化率(dn/dT)が小さく、この(dn/dT)の絶対値である|dn/dT|が0以上、9.0×10−5以下であることが好ましく、|dn/dT|が0以上、5.0×10−5以下であることがより好ましい。(dn/dT)は、全ての波長領域で上述した範囲内であることが好ましいが、光学素子として使用する際に用いられる波長領域で上述した範囲内であれば、従来よりも温度安定性に優れた光学素子を提供することができるため好ましい。
ここで、屈折率nの温度Tに対する変化率の指標である(dn/dT)とは、材料の屈折率(n)が温度(T)の変化に対し、(dn/dT)の割合で変化することを示している。(dn/dT)の値は、各温度で樹脂材料の屈折率を測定し、屈折率の温度変化率を読み取ることで算出することができる。
屈折率の測定方法としては、例えば、エリプソメトリ、分光反射率法、光導波路法、Abbe法、最小偏角法等から熱可塑性樹脂組成物の形態に応じて好ましい方法を選択することができる。
また、熱可塑性樹脂組成物は、可視領域波長における透明性を有することが好ましい。熱可塑性樹脂組成物の透明性は、可視領域波長での光線透過率が光路長3mmにおいて通常は60%以上であり、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。かかる測定は、例えば、ASTM D−1003(3mm厚)規格での試験により行われる。
ここで、可視領域とは、400〜650nmの波長領域をいう。
さらに、熱可塑性樹脂組成物の屈折率は、熱可塑性樹脂と無機微粒子との組み合わせによって決定されるが、通常は熱可塑性樹脂より屈折率の高い無機微粒子を選択することで、熱可塑性樹脂組成物の屈折率を熱可塑性樹脂の屈折率よりも高くすることが好ましい。具体的には、1.45〜2.0程度の範囲内であることが好ましく、1.49〜1.7であることがより好ましい。
上述したように、本実施形態における熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と無機微粒子とからなるが、その製造方法については、特に限定されるものではなく、例えば、熱可塑性樹脂と、無機微粒子とをそれぞれ独立して作製し、その後に両者を混合させる方法、予め作製した無機微粒子が存在する条件で熱可塑性樹脂を作製する方法、予め作製した熱可塑性樹脂が存在する条件で無機微粒子を作製する方法、熱可塑性樹脂と無機微粒子の両者を同時に作製させる方法等、いずれの方法をも採用できる。
具体的には、例えば、熱可塑性樹脂が溶解した溶液と、無機微粒子が均一に分散した分散液の二液を均一に混合し、熱可塑性樹脂に対して溶解性が乏しい溶液中に打ち合わせることにより、目的とする熱可塑性樹脂組成物を得る方法を好適に挙げることができるが、特に限定されるものではない。
なお、熱可塑性樹脂組成物において、熱可塑性樹脂と無機微粒子との混合の程度は、特に限定されるものではないが、本発明の効果をより効率よく発現させるためには、均一に混合していることが望ましい。これは、混合の程度が不十分であると、特に、屈折率やアッベ数、光線透過率などの光学特性に影響を及ぼすことが懸念され、また熱可塑性や溶融成形性などの樹脂加工性にも悪影響するおそれがある。混合の程度は、その作製方法に影響されることが考えられ、用いる熱可塑性樹脂及び無機微粒子の特性を十分に勘案して、方法を選択することが重要である。熱可塑性樹脂と、無機微粒子の両者が、より均一に混合するために、熱可塑性樹脂と無機微粒子とを直接結合させる方法等も、本発明において好適に用いることができる。
なお、熱可塑性樹脂組成物における無機微粒子の含有量は、本発明の効果を発揮できる範囲であれば、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂と無機微粒子の種類により任意に決めることができるが、下記式(3)によって算出される熱可塑性樹脂組成物の全体積に対する無機微粒子の体積分率が20%以上、60%以下であることが好ましく、20%以上、50%以下であることがより好ましく、30%以上、50%以下であることが特に好ましい。
(x/a)/Y×100 …(3)
ここで、aは無機微粒子の比重を、xは含有量(g)を、Yは作製された熱可塑性樹脂組成物の全体積樹脂(ml)をそれぞれ示す。
なお、上述した無機微粒子の含有量の定量は、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による半導体結晶像の観察(EDX:Energy Dispersive X-ray等の局所元素分析により、半導体結晶組成に関する情報も得ることが可能)や、与えられた樹脂組成物が含有する灰分の元素分析によって算出される所定組成の含有重量と当該組成の結晶の比重とから算出することが可能である。
上述した熱可塑性樹脂組成物の作製工程においては、各種添加剤を、必要に応じて単独で又は組み合わせて添加してもよい。
この場合、添加剤としては、特に限定されるものではないが、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤等の安定剤や、滑剤又は可塑剤等の樹脂改質剤や、軟質重合体、アルコール性化合物等の白濁防止剤や、染料又は顔料等の着色剤や、帯電防止剤、難燃剤、フィラー等が挙げられ、少なくとも可塑剤又は酸化防止剤が添加されていることが好ましい。
また、これら添加剤の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択される。
本実施形態における可塑剤としては、特に限定されるものではないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジフェニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤としては、例えば、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤としては、例えば、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコレート系可塑剤としては、例えば、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等が挙げられる。
本実施形態における酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特に、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これら酸化防止剤は、配合により、透明性及び耐熱性等を低下させることなく、成型時の酸化劣化等によるレンズの着色や強度低下を防止することができる。
また、上述した酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合せて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、重合体100質量部に対して0.001〜5質量部であることが好ましく、0.01〜1質量部であることがより好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、従来公知のものが使用可能であり、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等のアクリレート系化合物や、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニルプロピオネート))メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))]、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)等のアルキル置換フェノール系化合物や、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物等が挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等が特に好ましい。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
本実施形態における耐光安定剤としては、ベンゾフェノン系耐光安定剤、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤、ヒンダードアミン系耐光安定剤等が挙げられるが、本発明においては、レンズの透明性、耐着色性等の観点から、ヒンダードアミン系耐光安定剤を用いるのが好ましい。ヒンダードアミン系耐光安定剤(以下、HALSともいう。)の中でも、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いたGPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(以下、Mn:Number-average Molecular weightと示す。)が1000〜10000であるものが好ましく、2000〜5000であるものがより好ましく、2800〜3800であるものが特に好ましい。
これは、Mnが小さ過ぎると、HALSをブロック共重合体に加熱溶融混練して配合する際に、揮発のため所定量を配合することができない、または射出成型等の加熱溶融成型時に発泡やシルバーストリークが生ずるなど加工安定性が低下するためである。また、ランプを点灯させた状態でレンズを長時間使用する場合に、レンズから揮発性成分がガスとなって発生するためである。一方、Mnが大き過ぎると、ブロック共重合体への分散性が低下し、レンズの透明性が低下することにより、耐光性改良の効果が低減するためである。
従って、HALSのMnを上述した範囲内とすることにより、加工安定性、低ガス発生性及び透明性に優れたレンズを得ることができる。
このようなHALSの具体例としては、N,N′,N″,N′″−テトラキス−〔4,6−ビス−{ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ}−トリアジン−2−イル〕−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ〔(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕などの、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物等の、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した高分子量HALS等が挙げられる。
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物等のMnが2,000〜5,000のものが好ましい。
熱可塑性樹脂に対するHALSの配合量は、重合体100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.02〜15質量部であることがより好ましく、0.05〜10質量部であることが特に好ましい。これは、HALSの配合量が少なすぎると、耐光性の改良効果が十分に得られず、屋外で長時間使用する場合等に着色が生じるためである。一方、HALSの配合量が多すぎると、その一部がガスとなって発生する、または樹脂への分散性が低下することで、レンズの透明性が低下するためである。
また、上述した熱可塑性樹脂に、最も低いガラス転移温度が30℃以下である化合物をさらに配合することにより、透明性、耐熱性、機械的強度等の諸特性を低下させることなく、長時間の高温高湿度環境下での白濁を防止することできる。
以上のような熱可塑性樹脂組成物を成形することにより、各種成形物を得ることができ、その成形方法としては、特に限定されるものはないが、低複屈折性、機械強度、寸法精度等の特性に優れた成形物を得るためには、溶融成形法が好ましい。溶融成形法としては、市販のプレス成形、市販の押し出し成形、市販の射出成形等が挙げられるが、成形性及び生産性の観点から、射出成形が好ましい。
また、成形工程における成形条件は、使用目的又は成形方法により適宜選択されるが、射出成形における樹脂組成物の温度は、成形時に適度な流動性を樹脂に付与して成形品のヒケや、ひずみの発生とともに、樹脂の熱分解によるシルバーストリークの発生を防止し、さらには、成形物の黄変を効果的に防止する観点から、150℃〜400℃の範囲内であることが好ましく、200℃〜350℃の範囲内であることがより好ましく、200℃〜330℃の範囲内であることが特に好ましい。
成形物としては、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状など種々の形態で使用することができ、また、低複屈折性、透明性、機械強度、耐熱性、低吸水性に優れるため、各種光学部品への適用が可能である。
具体的な適用例としては、光学レンズや、光学プリズムとしては、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡、望遠鏡レンズ等のレンズ;眼鏡レンズ等の全光線透過型レンズ;CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)等の光ディスクのピックアップレンズ;レーザビームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズ等のレーザ走査系レンズ;カメラのファインダー系のプリズムレンズ等が挙げられる。
また、その他の光学用途としては、液晶ディスプレイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム等の光学フィルム;光拡散板;光カード;液晶表示素子基板等が挙げられる。
上述した成形物の中でも、低複屈折性が要求されるピックアップレンズや、レーザ走査系レンズ等の光学素子として好適に用いられ、以下、図1を参照しながら、本実施形態における熱可塑性樹脂組成物によって成形された光学素子が用いられた光ピックアップ装置1について説明する。
ここで、図1は、光ピックアップ装置1の内部構造を示す模式図である。
なお、本実施形態では、使用波長が405nmのいわゆる青紫色レーザ光源を用いた「高密度な光ディスク」をターゲットとしており、この光ディスクの有する保護基板厚は、0.1mmであり、記憶容量は約30GBである。
本実施形態における光ピックアップ装置1には、図1に示すように、光源である半導体レーザ発振器2が具備されている。この半導体レーザ発振器2から出射される青色光の光軸上には、半導体レーザ発振器2から離間する方向に向かって、コリメータ3、ビームスプリッタ4、1/4波長板5、絞り6、対物レンズ7が順次配設されている。
また、ビームスプリッタ4と近接した位置であって、上述した青色光の光軸と直交する方向には、2組のレンズからなるセンサーレンズ群8、センサー9が順次配設されている。
光学素子である対物レンズ7は、光ディスクDに対向した位置に配置されるものであって、半導体レーザ発振器2から出射された青色光を、光ディスクDの一面上に集光するようになっている。このような対物レンズ7には、2次元アクチュエータ10が具備されており、この2次元アクチュエータ10の動作により、対物レンズ7は、光軸上を移動自在となっている。
次に、光ピックアップ装置1の作用について説明する。
本実施形態における光ピックアップ装置1は、光ディスクDへの情報の記録動作時や、光ディスクDに記録された情報の再生動作時に、半導体レーザ発振器2から青色光を出射する。出射された青色光は、図1に示すように、光線Lとなって、コリメータ3を透過して無限平行光にコリメートされた後、ビームスプリッタ4を透過して、1/4波長板5を透過する。さらに、絞り6及び対物レンズ7を順次透過した後、光ディスクDの保護基板Dを介して情報記録面Dに集光スポットを形成する。
集光スポットを形成した光は、光ディスクDの情報記録面Dで情報ピットによって変調され、情報記録面Dによって反射される。そして、この反射光は、光線Lとなって、対物レンズ7及び絞り6を順次透過した後、1/4波長板5によって偏光方向が変更され、ビームスプリッタ4で反射する。その後、センサーレンズ群8を透過して非点収差が与えられ、センサー9で受光されて、最終的には、センサー9によって光電変換されることによって電気的な信号となる。
以後、このような動作が繰り返し行われ、光ディスクDに対する情報の記録動作や、光ディスクDに記録された情報の再生動作が完了する。
なお、光ディスクDにおける保護基板Dの厚さ寸法及び情報ピットの大きさにより、対物レンズ7に要求される開口数NAも異なる。本実施形態においては、高密度な光ディスクDであり、その開口数は0.85に設定されている。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず始めに、無機微粒子1の作製方法について説明する。
空冷式のリービッヒ還流管と反応温度調節のための熱電対を装着した無色透明のパイレックス(登録商標)ガラス製3口フラスコに、トリオクチルホスフィンオキシド(以下、TOPOとする)4gを入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら乾燥アルゴンガス雰囲気で360℃に加熱した。別途、乾燥窒素雰囲気のグローブボックス内で、ジエチル亜鉛の1モル/L濃度のn−ヘキサン溶液(1.34ml;1.34ミリモル)と、ビス(トリメチルシリル)スルフィド(0.239g;1.34ミリモル)とを、トリオクチルホスフィン9mlに溶解させた原料溶液Bを、半導体微粒子1の調製で使用のセプタムで封をし、アルミニウム箔によって間隙が形成されないように包んで遮光したガラス瓶中に充填した。この原料溶液Bの一部(2.0ml)を、TOPOの入ったフラスコに注射器で一気に注入し、この時点を反応の開始時刻とした。反応開始20分後に熱源を除去し、約50℃に冷却された時点で精製トルエン2mlを注射器で加えて希釈し、メタノール10mlを注入して不溶物を生じさせた。この不溶物を回転速度3000rpmで遠心分離し、デカンテーションによって上澄み液を除去して分離した後、室温にて約14時間真空乾燥して、TOPOが表面に配位した無機微粒子の固形粉体を得た。
このようにして得られた無機微粒子を、「無機微粒子1」とした。
この無機微粒子1は、XRDスペクトルにより、ZnS結晶であることが確認された。また、このZnS結晶の平均粒径を、TEMを用いた観察によって測定した結果、約5nmであった。
次に、無機微粒子2の作製方法について説明する。
0.027モルのリン酸三アンモニウムを含有する水溶液3リットルに、3.53モルの硫酸アルミニウム水溶液と、10.59モルのリン酸三アンモニウム水溶液のそれぞれ2リットルを、ダブルジェット法で10分間かけて添加した。微粒子形成中のpHは硫酸を用いて6.5に、温度は25℃に制御した。添加終了後、限外濾過法により可溶性塩類を脱塩除去し、10質量%のリン酸アルミニウム分散液を得た。この分散液100gに、メタノール300gと1モル%の硝酸水溶液を添加した。この液を50℃で撹拌しながら、メタノール100gとトリメチルメトキシシラン6gの混合液を60分かけて添加し、その後2時間撹拌した。さらに、得られた透明な分散液を酢酸エチルに懸濁させ、遠心分離を行い白色の微粒粉末を得た。
このようにして得られた無機微粒子を、「無機微粒子2」とした。
また、この無機微粒子2の平均粒径は、TEMを用いた観察によって測定した結果、約20nmであった。
次に、無機微粒子3の作製方法について説明する。
アルミナ(Aluminium Oxide C:日本アエロジル社製、平均粒径約13nm)5gにメタノール300gと1モル%の硝酸水溶液を添加し、得られた溶液を50℃の温度で撹拌しながら、メタノール100gとシクロペンチルトリメトキシシラン6gの混合液を60分かけて添加した後、2時間撹拌した。さらに、得られた透明な分散液を酢酸エチルに懸濁させ、遠心分離を行い白色の微粒粉末を得た。
このようにして得られた無機微粒子を、「無機微粒子3」とした。
また、この無機微粒子3の平均粒径は、TEMを用いた観察によって測定した結果、約15nmであった。
次に、無機微粒子4の作製方法について説明する。
酸化アルミニウム(Kemco International Associates社製、平均粒径約37nm)を用いた以外は、上述した無機微粒子3の調製と同様にして白色の微粒粉末を得た。
このようにして得られた無機微粒子を、「無機微粒子4」とした。
また、この無機微粒子4の平均粒径は、TEMを用いた観察によって測定した結果、約40nmであった。
次に、無機微粒子5〜7の作製方法について説明する。
疎水化処理シリカであるNAX50(日本アエロジル社製、平均粒径約7nm)及びRX300(日本アエロジル社製、平均粒径約35nm)を、それぞれ「無機微粒子5」、「無機微粒子6」とした。また、有機化合物による表面処理を施していないシリカであるA300(日本アエロジル社製、平均粒径約7nm)を、「無機微粒子7」とした。
さらに、上述した無機微粒子1〜7の粒径(nm)、比重及び屈折率(np)を測定し、下記表2に示した。
Figure 2007077235
また、ホスト材料として使用した樹脂の|dn/dT|(10−6/K)及び屈折率(nh)を測定し、下記表3に示した。
Figure 2007077235
次に、樹脂組成物1〜32の作製方法について説明する。
まず始めに、表3に示した各樹脂に無機微粒子を混練して樹脂組成物を得るための前処理として、各樹脂を80℃の温度で8時間乾燥させるとともに、無機微粒子1〜7を200℃の温度で、4時間乾燥させた。
次に、樹脂組成物1の作製方法について説明する。
52gの無機微粒子1をあらかじめ混合した粉体を、溶融した環状オレフィン樹脂(ZEONEX340R:日本ゼオン製)36gに添加し、溶融混練により無機微粒子を分散した樹脂組成物1を作製した。この際、混練条件は、製混練装置(HAAKE社)を用いて、加熱温度を200℃に、回転速度を30rpmに設定し、粉体の添加終了後に5分間混練させた。
次に、樹脂組成物2〜15の作製方法について説明する。
上述した樹脂組成物1の作製方法と同様に、無機微粒子の添加量が下記表4に記載の量となるように調整して無機微粒子を分散した樹脂組成物2〜15を作製した。
次に、樹脂組成物16〜24の作製方法について説明する。
上述した樹脂組成物1の作製と同様に、樹脂を別の環状オレフィン樹脂(APL5014DP:三井化学製)に変更し、無機微粒子の添加量が下記表4に記載の量となるように調整し、無機微粒子が分散した樹脂組成物16〜24を作製した。
ここで、混練条件は、加熱温度を180℃に、回転速度を30rpmに設定した。
次に、樹脂組成物25〜27の作製方法について説明する。
上述した樹脂組成物1の作製方法と同様に、樹脂をポリカーボネート樹脂(パンライトAD5503:帝人化成製)に変更し、無機微粒子の添加量が下記表4に記載の量となるように調整して無機微粒子を分散した樹脂組成物25〜27を作製した。
ここで、混練条件は、加熱温度を200℃に、回転速度を30rpmに設定した。
次に、樹脂組成物28〜32の作製方法について説明する。
上述した樹脂組成物1の作製方法と同様に、樹脂をポリエステル樹脂(O−PET4:カネボウ製)に変更し、無機微粒子の添加量が下記表4に記載の量となるように調整して無機微粒子を分散した樹脂組成物28〜32を作製した。
ここで、混練条件は、加熱温度を180℃に、回転速度を30rpmに設定した。
最後に、熱可塑性樹脂組成物の評価方法について説明する。
評価項目として、屈折率の温度変化率と光線透過率の計2項目が挙げられ、以下、各項目の測定方法の詳細について、それぞれ説明する。
まず始めに、屈折率の測定方法について説明する。
上述した樹脂組成物1〜32を溶融し、加熱成型することにより、厚さ3mmの試験用プレートをそれぞれ作製した後、自動屈折計(KPR−200:カルニュー光学工業(株)製)を用いて波長588nmにおける屈折率を、試料温度を10℃から60℃まで変化させて測定した。
ここで、20℃における屈折率をn20、10℃から60℃での屈折率の温度変化率を|dn/dT|として、得られた結果を下記表4に示した。
次に、光線透過率の測定方法について説明する。
上述した樹脂組成物1〜32を溶融し、加熱成型することにより、厚さ3mmの試験用プレートをそれぞれ作製した後、各試料についてASTM D1003に準拠した方法により、分光光度計(TURBIDITY METER T−2600DA:東京電色(株)製)を用いて光線透過率を測定した。
ここで、試料作製直後に測定した値を「未処理」とし、試料を65℃環境に48時間放置した後に測定した値を「強制劣化処理後」として、得られた結果を下記表4に示した。
なお、光線透過率が80%未満では、透明度が低いため、光学用途に適さない。
Figure 2007077235
この結果、本発明の樹脂組成物3,4,5,13,14,17,21,22,23,25,26,27,29,30,31,32は、比較例の樹脂組成物1,2,6,7,8,9,10,11,12,15,16,18,19,20,24,28に対し、屈折率の温度依存性が小さく、かつ、透明性が高いことが確認された。
また、強制劣化処理を行った後でも、透明性の低下幅が極めて小さいことが確認され、光学素子に使用する樹脂材料として極めて有用であることが判明した。
さらに、上述した熱可塑性樹脂組成物を用いてプラスチック製の光学素子を作製し、評価した結果、本発明の光学素子は、良好な光学特性を有し、かつ、CD又はDVDの記録、再生に用いられるBlue−Rayを長時間照射した場合であっても、白濁化等の材料変質耐性に優れていることが確認された。
以上より、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂からなるホスト材料中に、有機化合物によって表面改質された無機微粒子が分散された透明な樹脂材料であって、ホスト材料及び無機微粒子の屈折率が上記式(2)を満たし、かつ、無機微粒子の体積分率が20%以上、60%以下であるので、熱可塑性樹脂と分散される無機微粒子との屈折率の差を小さくすることで、比較的大きな無機微粒子を用いた場合であっても、光の透過時における光散乱を抑制することが可能となる。また、無機微粒子の含有量を増加させた場合であっても、高い光線透過率を維持することが可能となる。
そのため、熱可塑性樹脂組成物において、高い透明性を維持することができる。
また、本発明に係る光学素子は、上述した熱可塑性樹脂組成物を成形することにより、光学素子における透明性を維持するとともに、屈折率の温度依存性の向上を図ることができる。
本発明の光学用樹脂レンズが対物レンズとして用いられている光ディスク用のピックアップ装置の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 光ピックアップ装置
2 レーザダイオー ド
3 ビームスプリッタ
4 対物光学素子(対物レンズ)
6 センサーレンズ
7 センサー
8 コリメータ
9 1/4波長板
10 絞り
11 アクチュエータ
D 光ディスク
保護基板
情報記録面

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂からなるホスト材料中に、有機化合物によって表面改質された無機微粒子が分散された透明な樹脂材料であって、当該ホスト材料及び無機微粒子の屈折率が下記式(1)を満たし、かつ、当該無機微粒子の体積分率が20%以上、60%以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
    0≦|np−nh|≦0.15 …(1)
    ここで、npは無機微粒子の屈折率を、nhはホスト材料の屈折率をそれぞれ示す。
  2. 前記無機微粒子の平均粒子径は、1nm以上、30nm以下であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ホスト材料は、環状オレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記無機微粒子は、酸化ケイ素、リン酸塩、炭酸塩のいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記無機微粒子は、有機シラン化合物によって表面改質されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形されていることを特徴とする光学素子。
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