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JP2007208062A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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JP2007208062A
JP2007208062A JP2006026039A JP2006026039A JP2007208062A JP 2007208062 A JP2007208062 A JP 2007208062A JP 2006026039 A JP2006026039 A JP 2006026039A JP 2006026039 A JP2006026039 A JP 2006026039A JP 2007208062 A JP2007208062 A JP 2007208062A
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JP2006026039A
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Takashi Kato
隆志 加藤
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

【課題】 発振スペクトル幅の狭いファブリーペロー型の半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】 ファブリーペロー型の半導体レーザ素子10は、活性層17と、活性層よりも低い屈折率を有するクラッド層13を有している。活性層とクラッド層の間には、光吸収層14が配置されており、光吸収層と活性層の間には、分離層15が配置されている。光吸収層は、活性層の発光ピーク波長よりも短い基礎吸収端波長と、クラッド層よりも小さいバンドギャップエネルギーを有している。分離層は、光吸収層及び活性層よりも大きいバンドギャップエネルギーを有する。
【選択図】 図2

Description

この発明は、光通信に適した半導体レーザ素子に関する。
波長分散が大きな影響を及ぼす光通信のアプリケーション(例えば、1.25μmから1.65μm帯の光通信)では、通常、ファブリーペロー(FP)型の半導体レーザ素子ではなく、分布帰還(DFB)型の半導体レーザ素子が用いられる。DFBレーザ素子は、単一縦モードで発振し、狭いスペクトル幅を有するため、波長分散による信号光波形の崩れを抑えることができる。
しかし、DFBレーザ素子は、回折格子をレーザ素子の内部に設け、その回折波長によって単一縦モード発振を実現するため、FPレーザ素子に比べて製造プロセスが複雑であり、歩留まりも悪く、製造コストが高い。
一方、FPレーザ素子はDFBレーザ素子より安価に製造できるが、多縦モード発振するため、発振スペクトル幅が広くなってしまう。そのため、FPレーザ素子を信号光の光源として使用すると、光ファイバ伝送時の波長分散のために信号光の波形が崩れてしまい、信号光をうまく伝送することは難しい。
そこで、本発明は、発振スペクトル幅の狭いファブリーペロー型の半導体レーザ素子を提供することを課題とする。
本発明に係るファブリーペロー型の半導体レーザ素子は、活性層と、活性層より低い屈折率を有するクラッド層と、活性層とクラッド層の間に配置された光吸収層と、光吸収層と活性層の間に配置された分離層と、これらの活性層、クラッド層、光吸収層及び分離層を搭載する基板とを備えている。光吸収層は、活性層での発光ピーク波長よりも短い基礎吸収端波長と、クラッド層よりも小さいバンドギャップエネルギーとを有する半導体からなる。分離層は、光吸収層及び活性層の各々よりも大きいバンドギャップエネルギーを有する。
一般に、半導体は、その基礎吸収端波長以下の波長の光を効率良く吸収する。上述のように、光吸収層を構成する半導体の基礎吸収端波長は、活性層での発光ピーク波長よりも短い。このため、光吸収層は、半導体レーザ素子の発振スペクトルにおいて、ピーク光強度を低減することなく、ピーク波長よりも短い波長域の光強度を低減する。従来のファブリーペローレーザは、短波長域での発光強度が比較的強いため、その発振スペクトル幅が広い。これに対し、本発明によれば、光吸収層が発光ピーク波長よりも短い波長域で光強度を低減するため、ピーク光強度を低減することなく発振スペクトル幅を狭めることができる。
光吸収層は、クラッド層よりも小さいバンドギャップエネルギーを有しているので、活性層へのキャリアの注入を妨げない。これにより、半導体レーザ素子の良好な発光動作を確保することができる。
分離層は、活性層よりも大きいバンドギャップエネルギーを有するので、活性層から光吸収層へのキャリアの注入を妨げる。これにより、光吸収層での発光を抑制し、吸収効率を高めることができる。
活性層は、量子井戸層と、この量子井戸層よりも大きいバンドギャップエネルギーを有するバリア層とが交互に配置された量子井戸構造を有していてもよい。活性層から光吸収層へのキャリアの注入を阻止するため、分離層は、バリア層よりも大きいバンドギャップエネルギーを有していることが好ましい。
クラッド層は、n型の半導体からなっていてもよい。この場合、光吸収層は、活性層に向けて電子が注入される領域に配置されることになる。このため、光吸収層の価電子帯の頂上付近では、正孔がほとんどなくなり、電子が存在しやすくなる。光吸収は、価電子帯の電子が伝導体の空き準位に遷移することで発生する。したがって、価電子帯の頂上付近に電子が存在しやすくなることで、光吸収層による吸収効率が高まる。これにより、半導体レーザ素子の発振スペクトル幅をいっそう狭めることができる。
分離層の厚さは20nm以下であることが好ましい。分離層の厚さを抑えることで、活性層にキャリアが効率良く注入される。これにより、半導体レーザ素子のいっそう良好な発光動作を確保することができる。
光吸収層は、量子井戸層であってもよい。この場合、半導体レーザ素子は、光吸収層に接しながら光吸収層を挟み、各々が光吸収層よりも大きいバンドギャップエネルギーを有する二つのバリア層を更に備えている。これらのバリア層の一方は、上記のクラッド層であってもよく、他方は、上記の分離層であってもよい。
光吸収層が量子井戸層なので、量子効果によって、光吸収層の吸収スペクトルの立ち上がりが急峻になる。この結果、半導体レーザ素子のピーク光強度を低減することなく、発振スペクトル幅を更に狭めることができる。
光吸収層は、基板よりも小さい格子定数を有していてもよい。この場合、光吸収層に引張歪みを発生させることができる。この引張歪みは、基礎吸収端波長の付近におけるTMモード光の吸収効率を高める。TMモード光の寄与によって発振スペクトルの短波長域が増強されている半導体レーザ素子に関しては、引張歪みを有する光吸収層を用いることで、発振スペクトル幅を効率良く狭めることができる。
本発明によれば、発振スペクトル幅の狭いファブリーペロー型の半導体レーザ素子を提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第1実施形態
図1は、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子を示す概略断面図である。この半導体レーザ素子10は、ファブリーペロー(以下、「FP」)型であり、基板12の上面に順次に積層された下部クラッド層13、光吸収層14、分離層15、下部ガイド層16、活性層17、上部ガイド層18及び上部クラッド層19を有する。これらの各層は、化合物半導体からなる。基板12と下部クラッド層13は一体であってもよい。この場合、基板12と下部クラッド層13は、単一の半導体からなる一つの基材を構成し、その基材の表層が下部クラッド層13として機能する。
上部クラッド層19の上には、ストライプ状のアノード20が設けられている。また、基板12の下面全体は、カソード22によって覆われている。レーザ素子10の両端面は鏡面となっており、レーザ共振器を構成している。アノード20及びカソード22を介して活性層17に電流を注入することにより、レーザ素子10はレーザ発振を起こし、その一方の端面からレーザ光を出力する。
活性層17は、下部ガイド層16及び上部ガイド層18の各々よりも高い屈折率を有している。また、ガイド層16及び18は、双方とも、下部クラッド層13及び上部クラッド層19の各々よりも高い屈折率を有している。これらの層は、活性層17で発生する光を導波する光導波路を形成している。
図2は、レーザ素子10のエネルギーバンド図である。図2において、符号26は伝導帯、符合27は価電子帯、黒丸は電子、白丸は正孔を示す。35及び36は、それぞれレーザ素子10に注入される電子及び正孔の向きを示す。37は、光吸収層14の光吸収による電子の遷移を示し、38は、活性層17での誘導放出による電子の遷移を示している。
光吸収層14は、活性層17よりも大きなバンドギャップエネルギーを有している。この結果、光吸収層14の基礎吸収端波長は、活性層17での発光ピーク波長よりも短くなる。光吸収層14は、この基礎吸収端波長以下の波長の光を効率良く吸収する。
光吸収層14に隣接する下部クラッド層13は、光吸収層14よりも高いバンドギャップエネルギーを有している。また、光吸収層14に隣接する分離層15は、光吸収層14及び活性層17の各々よりも高いバンドギャップエネルギーを有している。
以下では、従来のFP半導体レーザ素子と比較しながら本実施形態の利点を説明する。図3は、従来のFPレーザ素子のエネルギーバンド図である。このレーザ素子は、上述したレーザ素子10から光吸収層14及び分離層15を取り除いた構造を有している。
図4は、従来及び本実施形態のFPレーザ素子の双方について利得スペクトル及び発振スペクトルを示している。ここで、(a)及び(b)は、従来のFPレーザ素子の利得スペクトル41及び発振スペクトル45をそれぞれ示し、(c)及び(d)は、本実施形態のFPレーザ素子10の利得スペクトル41及び発振スペクトル46をそれぞれ示している。(c)には、光吸収層14の吸収スペクトル42も示されている。
図4(a)に示されるように、FPレーザ素子の利得スペクトル41は、最も高い利得を示す発光ピーク波長である1.3μmに対して非対称である。これは、活性層17におけるキャリアの状態密度形状及び分布形状が、1.3μmに対応するエネルギー準位に対して非対称なためである。このような利得スペクトルを反映して、図4(b)に示されるように、従来の発振スペクトル45の包絡線は、発光ピーク波長(発振スペクトルにおいて最も高い光強度を示す波長)に対して非対称な形状を有する。この包絡線は、発光ピーク波長より短い波長において比較的高い光強度を示す。このため、従来のFPレーザ素子は、発振スペクトル幅δλが広い。なお、本実施形態において、発振スペクトル幅δλは、発振スペクトルの最大強度から20dB低下した強度での発振スペクトルの包絡線の幅を意味する。
これに対し、本実施形態のFPレーザ10では、光吸収層14が発光ピーク波長よりも短い波長の光を吸収する。図4(c)に示されるように、光吸収層14は、発光ピーク波長である1.3μmから低波長側に向けて吸収量が大きく増加する吸収スペクトル42を有している。これにより、発光ピーク波長よりも短い波長における誘導放出が抑えられる。光吸収層14の基礎吸収端波長は発光ピーク波長よりも短いので、光吸収層14は、発光ピーク波長での誘導放出はほとんど抑制しない。この結果、図4(d)に示されるように、ピーク光強度を低減することなく発振スペクトル幅δλを狭めることができる。
光吸収層14は、下部クラッド層13よりも短いバンドギャップエネルギーを有しているので、光吸収層14は、下部クラッド層13から活性層17への電子の注入を妨げない。これにより、半導体レーザ素子10の良好な発光動作を確保することができる。
分離層15は、光吸収層14よりも大きいバンドギャップエネルギーを有しているので、分離層15は注入電子に対して障壁になる。しかし、分離層15の厚さを抑えれば、レーザ発振を起こすのに十分な量の注入電子が分離層15を通過して活性層17に到達する。分離層15の厚さは20nm以下であることが好ましい。この場合、活性層17に電子を効率良く注入して、半導体レーザ素子10の良好な発光動作を確保することができる。
分離層15は、活性層17よりも大きいバンドギャップエネルギーを有するので、活性層17から光吸収層14への正孔の注入を妨げる。光吸収層14に正孔が注入されると、その正孔へ伝導帯の電子が遷移することによる発光が生じやすくなる。これは、光吸収層14の吸収効率を低下させる。これに対し、本実施形態では、分離層15が光吸収層14への正孔の注入を妨げるので、光吸収層14での発光を抑制し、吸収効率を高め、結果として発振スペクトル幅をいっそう狭めることができる。
第2実施形態
図5は、第2の実施形態に係る半導体レーザ素子のエネルギーバンド図である。この第2実施形態は、第1実施形態のレーザ素子10において下部ガイド層16,活性層17及び上部ガイド層18を、多重量子井戸構造の活性層30で置き換えた構造を有している。この活性層30では、複数の量子井戸層31と複数のバリア層32とが交互に積層されている。バリア層32は、量子井戸層31よりも大きいバンドギャップエネルギーを有している。
第1実施形態で説明した利点は、活性層がバルク半導体である場合だけでなく、活性層が量子井戸構造を有する場合にも得られる。光吸収層14の基礎吸収端波長は、活性層30での発光ピーク波長よりも短い。したがって、発光ピーク波長よりも短い波長域での光強度が光吸収層14によって低減されるため、第1実施形態と同様に、ピーク光強度を低減することなく発振スペクトル幅を狭くすることができる。分離層15は、バリア層32よりも大きいバンドギャップエネルギーを有しているので、活性層30から光吸収層14へのキャリアの注入を阻止し、それによって光吸収層14の発光を抑えることができる。
第3実施形態
図6は、第3の実施形態に係る半導体レーザ素子のエネルギーバンド図である。この第3実施形態は、光吸収層14及び分離層15が2層ずつ設けられている点で第2実施形態と異なる。他の構成は第2実施形態と同様である。光吸収層14を複数設けることで、光吸収効率を高め、発振スペクトル幅を更に狭めることができる。
第4実施形態
図7は、第4の実施形態に係る半導体レーザ素子のエネルギーバンド図である。この第4実施形態は、多重量子井戸構造の活性層30の上下に下部SCH(Separated Confinement Heterostructure:分離閉じ込めヘテロ構造)層28及び上部SCH層29が設けられている点、及び上部SCH層29の上に第2の分離層15及び第2の光吸収層14が積層されている点で第2実施形態と異なる。他の構成は第2実施形態と同様である。二つの光吸収層14が活性層30の上下に配置されているので、光吸収効率を高め、発振スペクトル幅を更に狭めることができる。
第2の光吸収層14は、上部クラッド層19よりも小さいバンドギャップエネルギーを有しているので、第2の光吸収層14は、下部クラッド層19から活性層17への正孔の注入を妨げない。これにより、半導体レーザ素子10の良好な発光動作を確保することができる。
第2の分離層15は、第2の光吸収層14よりも大きいバンドギャップエネルギーを有しているので、第2の分離層15は注入正孔に対して障壁になる。しかし、第2の分離層15の厚さを抑えれば、レーザ発振を起こすのに十分な量の注入正孔が第2の分離層15を通過して活性層17に到達する。第2の分離層15の厚さは20nm以下であることが好ましい。この場合、活性層17に正孔を効率良く注入して、半導体レーザ素子10の良好な発光動作を確保することができる。
第2の分離層15は、活性層17よりも大きいバンドギャップエネルギーを有するので、活性層17から第2の光吸収層14への電子の注入を妨げる。第2の光吸収層14に電子が注入されると、その電子が伝導帯から価電子帯へ遷移することによる発光が生じやすくなる。これは、第2の光吸収層14の吸収効率を低下させる。しかし、本実施形態では、第2の分離層15が第2の光吸収層14への電子の注入を妨げるので、第2の光吸収層14での発光を抑制し、吸収効率を高め、結果として発振スペクトル幅をいっそう狭めることができる。
第5実施形態
図8は、第5の実施形態に係る半導体レーザ素子のエネルギーバンド図である。この第5実施形態は、活性層30の電子注入側にのみ光吸収層14及び分離層15が設けられている点で第4実施形態と異なる。他の構成は第4実施形態と同様である。
光吸収層14は、活性層30に向けて電子が注入される領域に配置されている。このため、光吸収層14の価電子帯の頂上付近では、正孔がほとんどなくなり、電子が存在しやすくなる。光吸収は、価電子帯の電子が伝導体の空き準位に遷移することで発生する。したがって、価電子帯の頂上付近に電子が存在しやすくなることで、光吸収層14による吸収効率が高まる。このため、単一の光吸収層14しか設けられていなくても、十分に発振スペクトル幅が狭まる。
第6実施形態
図9は、第6の実施形態に係る半導体レーザ素子のエネルギーバンド図である。この第6実施形態は、上部SCH層29と上部クラッド層19との間にキャリアストップ層48が挿入されている点で第5実施形態と異なる。他の構成は第6実施形態と同様である。キャリアストップ層48は、上部SCH層29及び上部クラッド層19の各々よりも大きいバンドギャップエネルギーを有している。このキャリアストップ層48により、キャリアオーバーフローを抑制することができる。
第7実施形態
以下では、第7の実施形態に係る半導体レーザ素子を説明する。この第7実施形態は、第1実施形態における光吸収層14をバルク半導体ではなく量子井戸層とした構成を有している。他の構成は第1実施形態と同様である。
光吸収層14を量子井戸層にするために、光吸収層14の厚さは20nm以下とすることが好ましい。下部クラッド層13及び分離層15は、光吸収層14に接しながら光吸収層14を挟み、各々が光吸収層14よりも大きいバンドギャップエネルギーを有している。したがって、下部クラッド層13及び分離層15は、量子井戸層である光吸収層14のためのバリア層として機能する。光吸収層14は、複数の量子井戸層から成っていてもよい。
図10は、本実施形態に係る半導体レーザ素子の利得スペクトル、吸収スペクトル及び発振スペクトルを示す図である。ここで、(a)は、利得スペクトル41及び吸収スペクトル43を示し、(b)は、発振スペクトル47を示している。(a)に示されるように、光吸収層14の量子効果によって吸収スペクトル43の立ち上がりが急峻になっている。これにより、発光ピーク波長よりも低い波長における誘導放出を効率良く抑制し、ピーク光強度を低減することなく発振スペクトル幅δλをいっそう狭めることができる。
第8実施形態
以下では、第8の実施形態に係る半導体レーザ素子を説明する。この第8実施形態は、第1実施形態における光吸収層14を引張歪み層とした構成を有している。他の構成は第1実施形態と同様である。
光吸収層14に引張歪みを付与するため、本実施形態では、基板12、下部クラッド層13及び分離層15の格子定数に比べて、光吸収層14の格子定数が小さい。すなわち、基板12、下部クラッド層13及び分離層15により、光吸収層14に引張歪みが生じている。
なお、基板12は下部クラッド層13及び分離層15に比べて厚いため、光吸収層14に引張歪みを与えるうえでの寄与度が高い。したがって、光吸収層14が基板12よりも十分に小さい格子定数を有していれば、下部クラッド層13及び分離層15の格子定数にかかわらず、光吸収層14に引張歪みを与えることが可能である。
光吸収層14に発生した引張歪みは、光吸収層14の基礎吸収端波長付近におけるTMモード光の吸収効率を高める。したがって、TMモード光の寄与によって発振スペクトルの短波長域が増強されている半導体レーザ素子に関しては、引張歪みを有する光吸収層14を用いることで、発振スペクトル幅を効率良く狭めることができる。
以下に、本発明に係る半導体レーザ素子の実施例を幾つか挙げる。
第1実施例
第1の実施例は、上述した第2実施形態(図5を参照)と同じ構造を有しており、1.25μm〜1.65μmの発振波長帯を有するGaInAsP/GaInAsP量子井戸型半導体レーザ素子である。活性層30において、量子井戸層31及びバリア層32は共にGaInAsP混晶からなる。この量子井戸層31のInPに対する格子歪みは、0〜1.5%の圧縮歪みである。基板12、下部クラッド層13及び上部クラッド層19は、InPからなる。光吸収層14及び分離層15は、GaInAsP混晶からなる。
量子井戸層31の電子−正孔遷移エネルギーEgwは、0.745eV〜0.99eVである。発光ピーク波長のエネルギーEglはEgwの近傍であり、Egl≧Egwを満たす。バリア層32のバンドギャップエネルギーEgbは0.8eV〜1.5eVであり、Egb>Eglを満たす。光吸収層14のバンドギャップエネルギーEgaは、Egb>Ega>Eglを満たす。分離層15のバンドギャップエネルギーEgsは、Egs>Egaを満たす。
量子井戸層31の数は5〜15である。量子井戸層31の厚さは4nm〜10nmであり、バリア層32の厚さは4nm〜50nmである。光吸収層14の厚さは、4nm〜100nmである。光吸収層14が十分に薄ければ、光吸収層14は量子井戸層となる。
第2実施例
第2の実施例は、上述した第2実施形態(図5を参照)と同じ構造を有しており、1.25μm〜1.65μmの発振波長帯を有するGaInAsP/AlGaInAs量子井戸型半導体レーザ素子である。活性層30において、量子井戸層31はGaInAsP混晶からなり、バリア層32はAlGaInAs混晶からなる。この量子井戸層31のInPに対する格子歪みは、0〜2%の圧縮歪みである。基板12、下部クラッド層13及び上部クラッド層19は、InPからなる。光吸収層14は、GaInAsP混晶からなり、分離層15は、AlGaInAs混晶からなる。
量子井戸層31の電子−正孔遷移エネルギーEgwは、0.745eV〜0.99eVである。レーザ発光ピーク波長のエネルギーEglはEgwの近傍にあり、Egl≧Egwを満たす。バリア層32のバンドギャップエネルギーEgbは、0.8eV〜1.5eVであり、Egb>Eglを満たす。光吸収層14のバンドギャップエネルギーEgaは、Egb>Ega>Eglを満たす。分離層15のバンドギャップエネルギーEgsは、Egs>Egaを満たす。
量子井戸層31の数は5〜15である。量子井戸層31の厚さは4nm〜10nmであり、バリア層32の厚さは4nm〜50nmである。光吸収層14の厚さは、4nm〜100nmである。光吸収層14が十分に薄ければ、光吸収層14は量子井戸層となる。
第3実施例
第3の実施例は、上述した第2実施形態(図5を参照)と同じ構造を有しており、1.25μm〜1.65μmの発振波長帯を有するAlGaInAs/AlGaInAs量子井戸型半導体レーザ素子である。活性層30において、量子井戸層31はAlGaInAs混晶からなり、バリア層32はAlGaInAs混晶からなる。この量子井戸層31のInPに対する格子歪みは、0〜2%の圧縮歪みである。基板12、下部クラッド層13及び上部クラッド層19は、InPからなる。光吸収層14及び分離層15は、AlGaInAs混晶からなる。
量子井戸層31の電子−正孔遷移エネルギーは、0.745eVから0.99eVである。レーザ発光ピーク波長のエネルギーEglはEgwの近傍にあり、Egl≧Egwを満たす。バリア層32のバンドギャップエネルギーEgbは、0.8eV〜1.5eVであり、Egb>Eglを満たす。光吸収層14のバンドギャップエネルギーEgaは、Egb>Ega>Eglを満たす。分離層15のバンドギャップエネルギーEgsは、Egs>Egaを満たす。
量子井戸層31の数は5〜15である。量子井戸層31の厚さは4nm〜10nmであり、バリア層32の厚さは4nm〜50nmである。光吸収層14の厚さは、4nm〜100nmである。光吸収層14が十分に薄ければ、光吸収層14は量子井戸層となる。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
第7及び第8実施形態では、活性層がバルク半導体から構成されているが、第2〜第6実施形態と同様に、活性層が量子井戸構造を有していてもよい。
半導体レーザ素子を示す概略断面図である。 第1実施形態に係る半導体レーザ素子のエネルギーバンド図である。 従来の半導体レーザ素子のエネルギーバンド図である。 従来及び第1実施形態の利得スペクトル及び発振スペクトルを示す図である。 第2実施形態に係る半導体レーザ素子のエネルギーバンド図である。 第3実施形態に係る半導体レーザ素子のエネルギーバンド図である。 第4実施形態に係る半導体レーザ素子のエネルギーバンド図である。 第5実施形態に係る半導体レーザ素子のエネルギーバンド図である。 第6実施形態に係る半導体レーザ素子のエネルギーバンド図である。 第7実施形態の利得スペクトル、吸収スペクトル及び発振スペクトルを示す図である。
符号の説明
10…半導体レーザ素子、12…基板、13…下部クラッド層、14…光吸収層、15…分離層、16…下部ガイド層、17…活性層、18…上部ガイド層、19…上部クラッド層、20…アノード、22…カソード、26…伝導帯、27…価電子帯、28…下部SCH層、29…上部SCH層、30…活性層、31…井戸層、32…バリア層、41…利得スペクトル、42及び43…吸収スペクトル、45〜47…発振スペクトル、48…キャリアストップ層。

Claims (6)

  1. ファブリーペロー型の半導体レーザ素子であって、
    活性層と、
    前記活性層より低い屈折率を有するクラッド層と、
    前記活性層と前記クラッド層の間に配置され、前記活性層での発光ピーク波長よりも短い基礎吸収端波長と、前記クラッド層よりも小さいバンドギャップエネルギーとを有する半導体からなる光吸収層と、
    前記光吸収層と前記活性層の間に配置され、前記光吸収層及び前記活性層の各々よりも大きいバンドギャップエネルギーを有する分離層と、
    前記活性層、クラッド層、光吸収層及び分離層を搭載する基板と、
    を備える半導体レーザ素子。
  2. 前記活性層は、量子井戸層と、この量子井戸層よりも大きいバンドギャップエネルギーを有するバリア層とが交互に配置された量子井戸構造を有しており、
    前記分離層は、前記バリア層よりも大きいバンドギャップエネルギーを有している、
    請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記クラッド層は、n型の半導体からなる、請求項1または2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記分離層の厚さが20nm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  5. 前記光吸収層は、量子井戸層であり、
    前記光吸収層に接しながら前記光吸収層を挟み、各々が前記光吸収層よりも大きいバンドギャップエネルギーを有する二つのバリア層を更に備える請求項1〜4のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  6. 前記光吸収層は、前記基板よりも小さい格子定数を有している、請求項1〜5のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
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