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JP2007195607A - 薬物投与方法および薬物投与装置 - Google Patents

薬物投与方法および薬物投与装置 Download PDF

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JP2007195607A JP2006014965A JP2006014965A JP2007195607A JP 2007195607 A JP2007195607 A JP 2007195607A JP 2006014965 A JP2006014965 A JP 2006014965A JP 2006014965 A JP2006014965 A JP 2006014965A JP 2007195607 A JP2007195607 A JP 2007195607A
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Hatoo Nakayama
鳩夫 中山
Takehiko Matsumura
健彦 松村
Hideo Akiyama
英郎 秋山
Akira Yamamoto
昌 山本
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Abstract

【課題】イオントフォレーシスあるいはエレクトロポレーションの一方を適用する場合と比べて、薬物イオンをより効率的に経皮投与することができる。
【解決手段】電源60における、第1導電型の端子62に電気的に接続される第1電極部材210、薬物イオンを含む薬液を保持し、第1電極部材210により作られる電場内に配される薬液保持部240、および、薬液保持部240に対して第1電極部材210と反対側に配され、第1導電型のイオンを選択的に透過する第1導電型のイオン交換膜250を有する作用側電極構造体200と、電源60における、第1導電型と反対の第2導電型の端子64に電気的に接続される非作用側電極構造体300とを備える薬物投与装置10により、薬物イオンをイオントフォレーシスにより生体の皮膚に投与する手順と、エレクトロポレーションにより皮膚に可逆的に孔を形成して、薬物を孔から投与する手順とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、イオントフォレーシスおよびエレクトロポレーションの少なくとも2つの異なる手段を用いた薬物投与方法、および薬物投与装置に関する。
人間または動物の身体の所望部位における皮膚または粘膜などの生体表面(以下、これらをまとめて「皮膚」と称す)への薬物の投与を促進する方法として、エレクトロポレーションが知られている。エレクトロポレーションは、高電圧パルスを短時間にかけることで脂質二重層膜に小孔を生じさせて薬物の透過経路を形成する方法であり、皮膚に対して高い電圧を負荷するが、適用時間が数マイクロ秒から数ミリ秒と極めて短い。したがって、エレクトロポレーションにより皮膚に生じた孔は可逆的で、薬物の投与終了後まで残ることはない。また、イオン解離した薬物イオンが薬効を担う薬物である場合、イオントフォレーシスにより経皮的投与を促進する方法も知られている。イオントフォレーシスは、皮膚に対して負荷する電圧は小さく、皮膚に孔などを生じることがないので、投与時の皮膚に対する負担が小さい。さらに、これらエレクトロポレーションおよびイオントフォレーシスを組み合わせることで、薬物イオンを経皮的に投与する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。なお、イオントフォレーシス(iontophoresis)は、イオントフォレーゼ、イオン導入法、イオン浸透療法などと呼ばれることもある。また、エレクトロポレーションは、電気穿孔法と呼ばれることもある。
特開2003−299743号公報
上記特許文献1には、エレクトロポレーションおよびイオントフォレーシスを組み合わせることで、薬物を皮膚へ投与する投与装置が開示されている。しかしながら、イオントフォレーシスは、イオンの輸送効率が経時的に低下するという課題が指摘されてきた。これは、薬物投与時に電極にかけられる電圧によって、薬物イオンが薬液保持部から皮膚の側へ移動するとともに、皮膚の側から汗または体液に含まれるイオンが薬液保持部へ流入して、薬液保持部のイオンバランスが崩れてpHが変化することに起因する。また、作用側電極構造体と当接する皮膚に熱傷または炎症が生じるという課題も指摘されている。これは、薬液保持部に接触している電極表面での酸化あるいは還元反応により、電極表面で薬物の分解が起きるとともに、ガスまたは有害な組成物が生じることに起因する。
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、薬物を生体に投与する薬物投与方法であって、電源における、薬物をイオン解離させた薬物イオンと同じ導電型である第1導電型の端子に電気的に接続される第1電極部材、薬物イオンを含む薬液を保持し、第1電極部材により作られる電場内に配される薬液保持部、および、薬液保持部に対して第1電極部材と反対側に配され、第1導電型のイオンを選択的に透過する第1導電型のイオン交換膜を有する作用側電極構造体と、電源における、第1導電型と反対の導電型である第2導電型の端子に電気的に接続される非作用側電極構造体とを備える薬物投与装置により、薬物イオンをイオントフォレーシスにより生体の皮膚に投与する手順と、エレクトロポレーションにより皮膚に可逆的に孔を形成して、薬物を孔から投与する手順とを備える。これにより、イオントフォレーシスあるいはエレクトロポレーションの一方を適用する場合と比べて、イオン化した薬物をより効率的に経皮投与することができる。また、イオントフォレーシスによる薬物の投与を安定した通電状態のもとで行うことができ、さらには、作用側電極構造体と当接する皮膚の熱傷または炎症などを防ぐことができるので、安全かつ効率よく薬物を経皮投与することができる。
さらに、イオントフォレーシスによる投与手順の後に、エレクトロポレーションによる投与手順を実行してもよい。あるいは、イオントフォレーシスによる投与手順の前に、エレクトロポレーションによる投与手順を実行してもよい。あるいは、イオントフォレーシスによる投与手順と、エレクトロポレーションによる投与手順とを少なくとも一部分において同時に実行してもよい。これらにより、イオントフォレーシスとエレクトロポレーションとを用いる場合に、適切な投与手順の順序を適用することができる。
また、上記エレクトロポレーションにおいて、薬物投与装置を用いて皮膚に可逆的に孔を形成してもよい。これにより、別段の構成を備えることなく、イオントフォレーシスおよびエレクトロポレーションの一方あるいは両方の手段を選択的に用いて、薬物を経皮投与することができる。
本発明の第2の形態においては、薬物イオンを皮膚に投与する薬物投与装置であって、電源における、薬物イオンと同じ導電型である第1導電型の端子に電気的に接続される第1電極部材、薬物イオンを含む薬液を保持し、第1電極部材により作られる電場内に配される薬液保持部、および、薬液保持部に対して第1電極部材と反対側に配され、第1導電型のイオンを選択的に透過する第1導電型のイオン交換膜を有する作用側電極構造体と、電源における、第1導電型と反対の導電型である第2導電型の端子に電気的に接続される非作用側電極構造体と、イオントフォレーシスにより薬物イオンを皮膚に投与すべく作用側電極構造体と非作用側電極構造体との間に電力を与える制御、および、エレクトロポレーションにより薬物を皮膚に投与すべく少なくとも作用側電極構造体に電力を与える制御を行う制御部とを備える。これにより、第1の形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、作用側電極構造体は、第1導電型のイオン交換膜における第1電極部材と反対側に露出して配され、エレクトロポレーションにより薬物を皮膚に投与するときに制御部から電力を与えられる互いに対を成すエレクトロポレーション電極を有してもよい。これにより、作用側電極構造体と非作用側電極構造体とに電力を与えてエレクトロポレーションを適用する場合に比べて、電極間の距離を小さくすることができるので、同じ強さの電場を得るためにかけるべき電圧を小さくすることができる。
さらに、作用側電極構造体は、第1電極部材に電気的に接続され、電解液を保持する第1電解液保持部、および、第1電極部材との間で第1電解液保持部を挟み、第2導電型のイオンを選択的に透過する第2導電型のイオン交換膜を有し、第1電解液保持部および第2導電型のイオン交換膜は、第1電極部材と薬液保持部との間に配してもよい。これにより、安定した通電状態のもとで薬物を投与することができるだけでなく、作用側電極構造体と当接する皮膚の熱傷または炎症などを防ぐことができるので、安全かつ効率よく薬物を経皮投与することができる。
さらに、非作用側電極構造体は、電源の端子に電気的に接続される第2電極部材、第2電極部材に電気的に接続され、イオン化した媒体を保持する第2電解液保持部、第2電極部材との間で第2電解液保持部を挟み、第1導電型のイオンを選択的に透過する第1導電型のイオン交換膜、第1導電型のイオン交換膜において第2電解液保持部と反対側に配され、電解液を保持する第3電解液保持部、および、第1導電型のイオン交換膜との間で第3電解液保持部を挟み、第2導電型のイオンを選択的に透過する第2導電型のイオン交換膜を有してもよい。これにより、さらに安定した通電状態のもとで薬物を投与することができるだけでなく、非作用側電極構造体と当接する皮膚の熱傷または炎症などを防ぐことができるので、さらに安全かつ効率よく薬物を経皮投与することができる。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の実施形態に係る薬物投与装置10の斜視図である。図1に示す薬物投与装置10は、装置本体50、作用側電極構造体200、および非作用側電極構造体300を備える。図1において斜線を施した面は、薬物投与装置10が皮膚に装着される場合の、作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300における皮膚との当接面である。これら当接面の構成ついては、別途図に示して説明する。図2は、薬物投与装置10の概略側面図である。図3は、薬物投与装置10の作用側電極構造体200を図2の矢印aの方向から見た平面図である。以下の説明において、正(+)または負(−)の一方の電気的な極性を第1導電型といい、他方を第2導電型という。
図2に示すように、作用側電極構造体200は、装置本体50側から(図2の上側)、皮膚に装着される場合の皮膚側(図2の下側)に向かって、第1電極部材210、薬液保持部240、および、第1導電型のイオン交換膜250をこの順に有し、上面および側面は、容器260で覆われている。第1電極部材210は、導線205によって、装置本体50に内蔵された電源60の第1導電型である端子62に電気的に接続されている。薬液保持部240は、薬物イオンを含む薬液を保持する。ここで、薬物イオンとは、薬物がイオン解離したアニオンおよびカチオンの一方であって、薬効を担う第1導電型のイオンをいう。第1導電型のイオン交換膜250は、第1電極部材210との間で薬液保持部240を挟み、第1導電型のイオンを選択的に透過する。作用側電極構造体200は、薬物投与時に、容器260の一の面である作用側粘着面262で皮膚へ粘着して当接保持される。
また、非作用側電極構造体300は、装置本体50側から、皮膚に装着される場合の皮膚側に向かって、第2電極部材310、第3電解液保持部340、および、第2導電型のイオン交換膜350をこの順に有し、上面および側面は、容器360で覆われている。第2電極部材310は、導線305によって、装置本体50に内蔵された電源60の第2導電型である端子64に電気的に接続されている。第3電解液保持部340は、電解液を保持する。この電解液には、水の電気分解反応(水の酸化および還元反応)と比較して水の酸化還元電位より低い酸化還元電位を有する酸化および還元しやすい化合物が溶解した溶液を用いる。第2導電型のイオン交換膜350は、第2電極部材310との間で第3電解液保持部340を挟み、第2導電型のイオンを選択的に透過する。非作用側電極構造体300は、薬物投与時に、容器360の一の面である非作用側粘着面362で皮膚へ粘着して当接保持される。
このように、薬物投与装置10の作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300が皮膚に当接保持された状態で、電源60から第1電極部材210および第2電極部材310に対して、イオントフォレーシスを適用するための電圧(以下、「イオントフォレーシス適用電圧」と称する)がかけられると、第1電極部材210および第2電極部材310の間に皮膚を介して電流が流れ、通電状態となる。以下において、イオントフォレーシスを適用するための通電状態を「イオントフォレーシス適用状態」と称する。
ここで、薬物イオンがアニオンである場合を例に、薬物投与装置10のイオントフォレーシス適用状態における具体的な作用効果について説明する。この場合、第1導電型は負(−)であり、第2導電型は正(+)である。したがって、作用側電極構造体200の第1電極部材210はカソードとなり、非作用側電極構造体300の第2電極部材310はアノードとなる。また、第1導電型のイオン交換膜250にはアニオンを選択的に透過するアニオン交換膜を用い、第2導電型のイオン交換膜350にはカチオンを選択的に透過するカチオン交換膜を用いる。
薬物投与装置10は、イオントフォレーシス適用状態において、以下の作用効果を奏する。すなわち、作用側電極構造体200では、薬液保持部240が保持する薬液に含まれる薬物イオンは、電気泳動によりカソードである第1電極部材210と反対側(皮膚側)へ移動し、薬液保持部240の皮膚側に配設されて皮膚と当接する第1導電型のイオン交換膜250を透過して速やかに皮膚へ浸透する。これに対し、生体内のカチオンは第1導電型のイオン交換膜250を透過して薬液保持部240側へ移動することがない。したがって、安定した通電状態のもとでイオントフォレーシスにより薬物イオンを生体へ導入することができる。
一方、非作用側電極構造体300では、第3電解液保持部340が保持する電解液に溶解している化合物が水の酸化還元電位より低い酸化還元電位を有する化合物であるので、アノードである第2電極部材310において、水の電気分解反応は起こらない。したがって、水の電気分解反応で発生する気泡(酸素ガス)によって、第2電極部材310と第3電解液保持部340の保持する電解液との接触が妨げられることで通電抵抗が大きくなるのを防ぐことができる。
なお、薬物イオンがカチオンである場合は、第1導電型は正(+)であり、第2導電型は負(−)である。したがって、図1および図2に示す薬物投与装置10における、第1電極部材210および第2電極部材310の電気的な極性は逆になり、また、第2導電型のイオン交換膜230、第1導電型のイオン交換膜250、第1導電型のイオン交換膜330、および第2導電型のイオン交換膜350の種類(イオン選択特性)はそれぞれ反対のものになる。
また、図2および図3に示すように、薬物投与装置10は、第1導電型のイオン交換膜250の皮膚と当接する面の側に露出してかつ近接して配設され、互いに対を成すエレクトロポレーション電極410およびエレクトロポレーション電極420を備える。エレクトロポレーション電極410は、導線405によって電源60の第1導電型である端子62に電気的に接続され、エレクトロポレーション電極420は、導線415によって電源60の第2導電型である端子64に電気的に接続される。
このように配されたエレクトロポレーション電極410およびエレクトロポレーション電極420に対して、電源60からエレクトロポレーションを適用するための電圧(以下、「エレクトロポレーション電圧」と称する)がかけられると、皮膚に対してエレクトロポレーションが適用される。以下において、上記手段以外によってエレクトロポレーションを適用する場合も含めて、皮膚に対してエレクトロポレーションが適用されている状態を「エレクトロポレーション適用状態」と称する。
エレクトロポレーション適用状態において、薬物イオンの投与部位の皮膚に小孔が形成されるので、イオントフォレーシスにより皮膚に投与された薬物イオンの吸収がより促進される。皮膚に形成された小孔は、エレクトロポレーションが終わると可逆的に消える。また、エレクトロポレーション電極410およびエレクトロポレーション電極420は、互いが近接し、かつ皮膚とも近接して配設されているので、エレクトロポレーションにおいて、皮膚に対して負荷すべき電場を得るためのエレクトロポレーション電圧を小さくすることができる。
図4は、他の実施形態である薬物投与装置10の概略断面図である。図5は、図4に示す薬物投与装置10の作用側電極構造体200を図4の矢印bの方向から見た平面図である。図4および図5に示す薬物投与装置10は、イオントフォレーシスの適用においては、図2および図3に示す薬剤投与装置10と作用効果が同じであり説明を省略する。
また、図4および図5に示す薬物投与装置10は、エレクトロポレーションの適用においては、作用側電極構造体200の第1電極部材210、および非作用側電極構造体300の第2電極部材310に対して、エレクトロポレーション電圧がかけられる。したがって、エレクトロポレーションを適用するための別段の構成を備えることなく、イオントフォレーシスおよびエレクトロポレーションの一方あるいは両方の手段を選択的に用いて、薬物イオンを経皮投与することができる。
図6は、さらに他の実施形態である薬物投与装置10の概略断面図である。図6に示す薬物投与装置10は、図1から図3に示す薬物投与装置10の構成に加えて、作用側電極構造体200の第1電極部材210と薬液保持部240との間に、第1電極部材210側から薬液保持部240側に向かって、第1電解液保持部220、および第2導電型のイオン交換膜230をこの順に有する。第2導電型のイオン交換膜230は、第1電極部材210との間で第1電解液保持部220を挟み、第2導電型のイオンを選択的に透過する。
さらに、非作用側電極構造体300の第2電極部材310と第3電解液保持部340との間に、第2電極部材310側から第3電解液保持部340側に向かって、第2電解液保持部320、および第1導電型のイオン交換膜330をこの順に有する。第1導電型のイオン交換膜330は、第2電極部材310との間で第2電解液保持部320を挟み、第1導電型のイオンを選択的に透過する。
第1電解液保持部220および第2電解液保持部320は、図2および図4に示す第3電解液保持部340が保持する電解液と同様に、水の電気分解反応(水の酸化および還元反応)と比較して水の酸化還元電位より低い酸化還元電位を有する酸化および還元しやすい化合物が溶解した溶液を用いる。
ここで、薬物イオンがアニオンである場合を例に、薬物投与装置10のイオントフォレーシス適用状態における具体的な作用効果について説明する。この場合、第1導電型は負(−)であり、第2導電型は正(+)である。したがって、第2導電型のイオン交換膜230にはカチオン交換膜を用い、第1導電型のイオン交換膜330にはアニオン交換膜を用いる。図6に示す薬物投与装置10の他の構成ついては、図1から図5に示す薬物投与装置10と同じ参照番号を付したものは具体的な構成が同じであるので説明を省略する。
図6に示す薬物投与装置10は、イオントフォレーシス適用状態において、図1から図5に示す薬物投与装置10の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。すなわち、作用側電極構造体200の薬液保持部240に含まれる、アニオンである薬物イオンと対を成すカチオンは、第1電極部材210側へ移動し、カチオン交換膜である第2導電型のイオン交換膜230を透過して第1電解液保持部220側へ移動する。したがって、通電状態において、薬液保持部240のイオンバランスが崩れないので、pHの変化は生じにくい。故に、通電抵抗が大きくなりにくいので、薬物イオンの輸送効率の低下を抑えることができる。
なお、薬物イオンがカチオンである場合は、第1導電型は正(+)であり、第2導電型は負(−)である。したがって、図6に示す薬物投与装置10における、第1電極部材210および第2電極部材310の電気的な極性は逆になり、また、第2導電型のイオン交換膜230、第1導電型のイオン交換膜250、第1導電型のイオン交換膜330、および第2導電型のイオン交換膜350の種類(イオン選択特性)はそれぞれ反対のものになる。図6に示す薬物投与装置10は、エレクトロポレーション適用においては、図1から図3に示す薬剤投与装置10と作用効果が同じであり説明を省略する。
図1から図6に示す薬物投与装置10の装置本体50には、制御部70が内蔵されている。制御部70は、イオントフォレーシス適用電圧およびエレクトロポレーション適用電圧を所望に調整する。この場合に、制御部70は予め記憶されたプログラムに従った制御をしてもよい。また、イオントフォレーシスおよびエレクトロポレーションの適用順序は、所望に変更することができる。例えば、イオントフォレーシスを適用した後、エレクトロポレーションを適用したり、あるいは、これらの適用順序を入れ換えたり、あるいは、イオントフォレーシスおよびエレクトロポレーションの少なくとも一部において同時に適用してもよい。
また、作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300を皮膚に当接保持する手段は、作用側粘着面262および非作用側粘着面362で皮膚へ粘着して当接保持する手段に限定されない。例えば、装置本体50を手で持って皮膚の投与部位に押し当てて当接させる、あるいは、治具などで患者の体の一部と固定する、など所望の手段を用いてもよい。
また、イオントフォレーシス適用電圧は、0〜10V程度の直流電圧が好ましい。また、低周波治療器のようにパルス電圧をかけたり、あるいは、徐々に電圧を上げたり、あるいは、下げてもよい。体内を流れる電流は0.01〜5mAの範囲が好ましいが、第1電極部材210および第2電極部材310の面積や投与部位、さらには患者の個体差などによって増減させて、痛みや熱感を与えない程度に制御部70が電流を制御する。
また、エレクトロポレーション適用電圧は、皮膚に対して負荷すべき電場の強さによるが、上記で述べたように、電場が負荷される電極間の距離とも関係する。すなわち、電場の強さは1V/cm〜10kV/cmの範囲であればよく、電極間の距離は、負荷すべき電場の強さ、電源60の容量、および患者への負担などを考慮して決定する。以上により、エレクトロポレーション適用電圧としては100V〜500Vの範囲であることが好ましい。また、皮膚に対してエレクトロポレーション適用電圧をかける時間は1〜200msであることが好ましい。
また、薬効を担う薬物イオンを含み、薬物投与装置10による生体への投与に供される薬物は、例えば、タンパク性医薬品(インスリン、カルシトニン)、抗がん剤、β−ブロッカー等が挙げられる。この他には、薬物イオンが正に帯電する薬物としては、麻酔剤(塩酸プロカイン、塩酸リドカインなど)、胃腸疾患治療剤(塩化カルニチンなど)、骨格筋弛緩剤(臭化バンクロニウムなど)、抗生物質(テトラサイクリン系製剤、カナマイシン系製剤、ゲンタマイシン系製剤)等が挙げられる。薬物イオンが負に帯電する薬物としては、ビタミン(以下、「V」と略記する)剤(VB、VB12、VC、VE、葉酸など)、副腎皮質ホルモン(ヒドロコルチゾン系水溶性製剤、デキサメサゾン系水溶性製剤、プレドニソロン系水溶性製剤など)、抗生物質(ペニシリン系水溶性製剤、クロラムフェニコール系水溶性製剤)等が挙げられる。
また、薬物投与装置10における電源60の配設態様は、装置本体50に内蔵する形態に限定されず、例えば、電池、定電圧装置、定電流装置、定電圧・定電流装置(ガルバノ装置)などを所望の形態に配設してもよい。
また、第1電極部材210、および第2電極部材310の電極材は、例えば、炭素、白金などの導電性材料など、イオン性薬物の特性に応じて所望のものを用いてもよい。
また、作用側電極構造体200の第1電解液保持部220、非作用側電極構造体300の第2電解液保持部320および第3電解液保持部340は、通電性を確保するためのものであり、具体的には、上記実施形態において例示した生理食塩水などを、所望の媒体(ガーゼ、吸水性高分子材料など)に含浸させたタイプのもの、または、溶液タイプのものであってもよい。
また、アニオン交換膜は、例えば、高分子の側鎖に四級化されたアンモニウム基を有するもの、カチオン交換膜としては、例えば、高分子の側鎖にスルホン酸基を有するものなど所望のものでよく、これらは薬物イオンの種類などによって適宜組み合わせてもよい。
また、容器260および容器360は、非イオン伝導性および電気絶縁性を有し、さらに、可塑性、柔軟性、可撓性、および形状保持性の少なくとも一つを有する材料にて作製されるのが望ましい。例えば、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、およびこれらの素材の共重合体などが適当である。
以上、本実施形態によれば、イオントフォレーシスあるいはエレクトロポレーションの一方を適用する場合と比べて、イオン化した薬物をより効率的に経皮投与することができる。また、薬物投与装置10による薬物の投与を安定した通電状態のもとで行うことができ、さらには、作用側電極構造体200と当接する皮膚の熱傷または炎症などを防ぐことができるので、安全かつ効率よく薬物を経皮投与することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
本発明の実施形態に係る薬物投与装置10の斜視図である。 薬物投与装置10の概略断面図である。 図2に示す薬物投与装置10の作用側電極構造体200を図2の矢印aの方向から見た平面図である。 他の実施形態である薬物投与装置10の概略断面図である。 図4に示す薬物投与装置10の作用側電極構造体200を図5の矢印bの方向から見た平面図である。 さらに他の実施形態である薬物投与装置10の概略断面図である。
符号の説明
10 薬物投与装置、50 装置本体、60 電源、62 端子、64 端子、70 制御部、200 作用側電極構造体、205 導線、210 第1電極部材、220 第1電解液保持部、230 第2導電型のイオン交換膜、240 薬液保持部、250 第1導電型のイオン交換膜、260 容器、262 作用側粘着面、300 非作用側電極構造体、305 導線、310 第2電極部材、320 第2電解液保持部、330 第1導電型のイオン交換膜、340 第3電解液保持部、350 第2導電型のイオン交換膜、360 容器、362 非作用側粘着面、405 導線、410 エレクトロポレーション電極、415 導線、420 エレクトロポレーション電極

Claims (9)

  1. 薬物を生体に投与する薬物投与方法であって、
    電源における、前記薬物をイオン解離させた薬物イオンと同じ導電型である第1導電型の端子に電気的に接続される第1電極部材、前記薬物イオンを含む薬液を保持し、前記第1電極部材により作られる電場内に配される薬液保持部、および、前記薬液保持部に対して前記第1電極部材と反対側に配され、前記第1導電型のイオンを選択的に透過する第1導電型のイオン交換膜を有する作用側電極構造体と、前記電源における、前記第1導電型と反対の導電型である第2導電型の端子に電気的に接続される非作用側電極構造体とを備える薬物投与装置により、前記薬物イオンをイオントフォレーシスにより前記生体の皮膚に投与する手順と、
    エレクトロポレーションにより前記皮膚に可逆的に孔を形成して、前記薬物を前記孔から投与する手順と
    を備える薬物投与方法。
  2. 前記イオントフォレーシスによる投与手順の後に、前記エレクトロポレーションによる投与手順を実行する請求項1に記載の薬物投与方法。
  3. 前記イオントフォレーシスによる投与手順の前に、前記エレクトロポレーションによる投与手順を実行する請求項1に記載の薬物投与方法。
  4. 前記イオントフォレーシスによる投与手順と、前記エレクトロポレーションによる投与手順とを少なくとも一部分において同時に実行する請求項1に記載の薬物投与方法。
  5. 前記エレクトロポレーションにおいて、前記薬物投与装置を用いて前記皮膚に可逆的に孔を形成する請求項1から4のいずれかに記載の薬物投与方法。
  6. 薬物イオンを前記皮膚に投与する薬物投与装置であって、
    電源における、前記薬物イオンと同じ導電型である第1導電型の端子に電気的に接続される第1電極部材、前記薬物イオンを含む薬液を保持し、前記第1電極部材により作られる電場内に配される薬液保持部、および、前記薬液保持部に対して前記第1電極部材と反対側に配され、前記第1導電型のイオンを選択的に透過する第1導電型のイオン交換膜を有する作用側電極構造体と、
    前記電源における、前記第1導電型と反対の導電型である第2導電型の端子に電気的に接続される非作用側電極構造体と、
    イオントフォレーシスにより前記薬物イオンを前記皮膚に投与すべく前記作用側電極構造体と前記非作用側電極構造体との間に電力を与える制御、および、エレクトロポレーションにより前記薬物を前記皮膚に投与すべく少なくとも前記作用側電極構造体に電力を与える制御を行う制御部と
    を備える薬物投与装置。
  7. 前記作用側電極構造体は、前記第1導電型のイオン交換膜における前記第1電極部材と反対側に露出して配され、エレクトロポレーションにより前記薬物を前記皮膚に投与するときに前記制御部から電力を与えられる互いに対を成すエレクトロポレーション電極をさらに有する請求項6に記載の薬物投与装置。
  8. 前記作用側電極構造体は、
    前記第1電極部材に電気的に接続され、電解液を保持する第1電解液保持部、
    および、前記第1電極部材との間で前記第1電解液保持部を挟み、前記第2導電型のイオンを選択的に透過する第2導電型のイオン交換膜
    を有し、
    前記第1電解液保持部および前記第2導電型のイオン交換膜は、前記第1電極部材と前記薬液保持部との間に配される請求項6に記載の薬物投与装置。
  9. 前記非作用側電極構造体は、
    前記電源の前記端子に電気的に接続される第2電極部材、
    前記第2電極部材に電気的に接続され、イオン化した媒体を保持する第2電解液保持部、
    前記第2電極部材との間で前記第2電解液保持部を挟み、前記第1導電型のイオンを選択的に透過する第1導電型のイオン交換膜、
    前記第1導電型のイオン交換膜において前記第2電解液保持部と反対側に配され、電解液を保持する第3電解液保持部、および、
    前記第1導電型のイオン交換膜との間で前記第3電解液保持部を挟み、前記第2導電型のイオンを選択的に透過する第2導電型のイオン交換膜
    を有する請求項6に記載の薬物投与装置。
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