JP2007030424A - 包装体用積層シートおよびこのシートにより形成された包装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 透明性、剛性、耐衝撃性においてバランスに優れ、印刷を施した際の意匠性、折り曲げ罫線加工性に優れた包装体用積層シート、およびこの包装体用積層シートにより形成された包装体を提供する。
【解決手段】 中間層およびその両面に積層した外層を有する積層シートにおいて、中間層を、A成分である、示差走査熱量計(DSC)により、加熱速度10℃/minで得られたサーモグラムから求めた結晶融解熱量(ΔHm)が70〜120J/gであるポリプロピレン系樹脂、を主成分とするポリプロピレン系フィルムとして、外層を、二軸延伸ポリプロピレン系フィルムとして、少なくとも一方の外層における中間層と積層する側に印刷層を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】 中間層およびその両面に積層した外層を有する積層シートにおいて、中間層を、A成分である、示差走査熱量計(DSC)により、加熱速度10℃/minで得られたサーモグラムから求めた結晶融解熱量(ΔHm)が70〜120J/gであるポリプロピレン系樹脂、を主成分とするポリプロピレン系フィルムとして、外層を、二軸延伸ポリプロピレン系フィルムとして、少なくとも一方の外層における中間層と積層する側に印刷層を設ける。
【選択図】 図1
Description
本発明は、印刷が施された包装体用積層シートおよびこのシートにより形成された包装体に関し、特に、印刷の意匠性が良好な包装体用積層シートおよびこのシートから形成された包装体に関する。
従来、化粧品、文房具、医療品、オーディオアクセサリーや部品等の電気関連用品、スポーツ用品、玩具、トイレタリー販売品、台所用品、芳香剤、アクセサリー、繊維製品、趣味用品、旅行用品、趣味用品等を収納する透明包装体(透明ケース)は、透明シートの片面に絵柄や広告文字等を印刷し、最終形状を形成するのに適した平面形状に打ち抜き、この際、同時にまたは別工程で折り曲げ罫線を形成し、この折り曲げ罫線で折り曲げて目的の形状とすることにより成形されている。
透明包装体を形成するためのシートとしては、二次加工性、透明性、経済性、生産性等が優れていることから、硬質ポリ塩化ビニル(以下、「PVC」と省略することがある。)製のシートが用いられてきた。しかし、PVC製シートは、燃焼時に有害物質である塩化水素ガスを発生させ、これにより焼却炉を傷めたり、環境汚染等の問題が生じたりする。そこで、非PVC系の素材が求められており、その中で、低コスト、耐熱性、機械的強度に優れていることから、ポリプロピレン系樹脂を用いたシートが用いられた。
しかし、従来のポリプロピレン系樹脂を用いたシートでは、透明性が良好なシートを得ることは困難であり、ケースに印刷を施した場合にクリア感を得ることが困難であった。また、印刷面に傷が付いたり、印刷の剥がれ等が生じたりすることによって、意匠性を損なう場合があった。また、ケースとして用いるためには、透明性だけでなく、剛性、耐衝撃性も必要であり、これらの性質においてバランスに優れていることが必要であり、従来のポリプロピレン系樹脂組成物を用いたシートでは、これらの性質をバランスに優れたものとすることが困難であった。
これらの問題に対し、ポリプロピレンシートに、あらかじめ印刷された無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、「CPP」フィルムと省略することがある。)を積層することが考えられる。これによってシートの光沢性が向上し、印刷面をシートとCPPフィルムの内面にもってくることにより、印刷面への傷入り、印刷の剥がれ等を抑えることができると考えられるが、剛性の向上は望めない。
特許文献1には、ポリプロピレン系樹脂に石油樹脂類を配合した包装用ポリプロピレンシートが記載されている。
特許文献2には、ポリプロピレン系樹脂、石油樹脂およびエチレン−α−オレフィン共重合体からなる樹脂組成物をシート状に押し出すポリプロピレン系樹脂シート類の製造方法が記載されている。
特許文献3には、結晶状態がスメクチック構造のポリプロピレンシートに、二軸延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートすることより成るポリプロピレン積層シートが記載されている。
特許文献4には、ポリプロピレンシートの少なくとも片面に、結晶性プロピレン系重合体よりなる延伸フィルムを積層したシートが記載されている。
また、特許文献5には、透明性を確保しつつ、耐衝撃性、剛性を備えた透明ポリプロピレンシートを提供することを課題として、透明ポリプロピレンシートおよびその製造方法が記載されている。
特開昭59−143613号公報
特公平6−89191号公報
特開平3−288641号公報
特開平10−291284号公報
特開2003−170485号公報
しかし、特許文献1に記載のシートにおいては、透明性や剛性の向上は望めるが、一方でシートが脆くなり、打ち抜きや、折り曲げ罫線加工等の二次加工を行った際にシートに割れ等が生じる場合があった。
また、特許文献2に記載の方法では、耐衝撃性は向上するものの、シートの剛性が低下し、包装用途のケースとして用いる際に剛性(腰)が足りず、またシートの耐傷付性も低下し、包装用途のケースとして用いる際に、ケースの表面に傷が付いて外観を損なうといった実用上問題が生じる場合があった。さらに、シートの透明性を向上させるために、水冷式冷却装置を用いており、設備上の制約があった。
また、特許文献3に記載の積層シートは、主に熱成形時のドローダウン性を改良したものであり、積層シートの透明性、剛性の面で未だ改良の余地があった。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを片面だけ貼り合わせた二層の積層シートであるので、石油樹脂を含んだシートを折り曲げ罫線加工等の二次加工を行った際には、シートに割れ等が生じる場合があった。
また、特許文献4に記載の積層シートも、主に熱成形時のドローダウン性を改良したものであり、熱成形性を向上させるために延伸フィルムの面積延伸倍率を規定してあり、積層シートの剛性には限界がありまだ改良の余地があった。
また、特許文献5に記載の製造方法においては、ポリプロピレンを用いたシートの成形の際、金属製エンドレスベルト等、特殊な装置、工程が必要となり、設備上の制約があった。
このように、従来のポリプロピレン系樹脂を用いたシートでは、透明性、剛性、耐衝撃性においてバランスに優れたシートを得ることは困難であり、また、設備上の制約が生じていた。また、従来のシートを包装体とした場合、内面に印刷を施した場合においては、クリア感を得ることが困難であり、収納物とのこすれ、衝撃等により、内面(印刷面)に傷が付いたり、印刷の剥がれが生じたり等によって、意匠性を損なう場合があるという問題があった。
そこで、本発明は、透明性、剛性、耐衝撃性においてバランスに優れ、印刷を施した際の意匠性、折り曲げ罫線加工性に優れた、包装体用積層シートを提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ポリプロピレン系樹脂組成物からなる中間層の両面に、二軸延伸ポリプロピレン系フィルムからなる外層を積層した積層シートにおいて、この少なくとも一方の二軸延伸ポリプロピレン系フィルムにおける中間層と積層する側に印刷層を設けた構成とすることで、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
第一の本発明は、中間層(10)およびその両面に積層した外層(20)を有する積層シートであって、中間層(10)が、下記A成分を主成分とするポリプロピレン系フィルムであり、外層(20)が、二軸延伸ポリプロピレン系フィルムであり、少なくとも一方の外層(20)における中間層(10)と積層する側に印刷層(30)を有する包装体用積層シート(100)である。
A成分:示差走査熱量計(DSC)により、加熱速度10℃/minで得られたサーモグラムから求めた結晶融解熱量(ΔHm)が70〜120J/gであるポリプロピレン系樹脂。
A成分:示差走査熱量計(DSC)により、加熱速度10℃/minで得られたサーモグラムから求めた結晶融解熱量(ΔHm)が70〜120J/gであるポリプロピレン系樹脂。
上記の包装体用積層シート(100)において、中間層(10)は、さらに下記B成分を有し、A成分とB成分との質量比は、「95:5」〜「60:40」(A成分:B成分)であることが好ましい。
B成分:石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、およびこれらの水素添加誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂。
B成分:石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、およびこれらの水素添加誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂。
上記の包装体用積層シート(100)において、中間層(10)は、さらにC成分として、結晶核剤を有し、その配合量がA成分100質量部に対して、0.05〜1.00質量部であることが好ましい。
上記の包装体用積層シート(100)において、包装体用積層シート(100)全体の厚みに対する、中間層(10)の厚みの比率は、0.30〜0.98であることが好ましい。
第二の本発明は、上記の包装体用積層シート(100)により形成された包装体である。
本発明によれば、特定のポリプロピレン系樹脂組成物からなる中間層の両面に、印刷が施された二軸延伸ポリプロピレン系フィルムからなる外層を積層することで、透明性、剛性、耐衝撃性においてバランスに優れ、印刷を施した際の意匠性、折り曲げ罫線加工性に優れた、包装体用積層シートを提供することができ、また、この包装体用積層シートにより形成された、同様の優れた性能を有する包装体を提供することができる。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の包装体用積層シート100は、中間層10の両面に、外層20を有し、少なくとも一方の外層20における中間層10と積層する側に印刷層30を有している。なお、図1においては、本発明の包装体用積層シート100の層構成の一実施形態として、外層20Aおよび外層20Bを有し、さらに外層20Aにおける中間層10と積層する側に印刷層30を設けた構成を示した。
このような層構成とすることによって、印刷の意匠性、耐衝撃性を優れたものとし、また、折り曲げ罫線加工性を付与することができる。また、剛性、表面平滑性、表面光沢、耐傷付性等の向上を望むことができる。
<外層20>
本発明の包装体用積層シート100における、外層20は、二軸延伸ポリプロピレン系フィルムであり、中間層10の両面に、直接あるいは印刷層30を介して積層されている。
本発明の包装体用積層シート100における、外層20は、二軸延伸ポリプロピレン系フィルムであり、中間層10の両面に、直接あるいは印刷層30を介して積層されている。
外層20は、例えば、特公昭41−21790号公報、特公昭45−37879号公報、特公昭49−18628号公報等に記されている公知の方法を用いて製造することができる。
汎用の縦−横逐次二軸延伸法で製造される二軸延伸ポリプロピレン系フィルムは、一般的には、縦方向に4〜7倍程度、横方向に8〜12倍程度延伸することにより得られ、面積延伸倍率は30〜80倍程度である。本発明に用いられる二軸延伸ポリプロピレン系フィルムは、包装体用積層シート100としたときの剛性を向上させるために、できるだけ高延伸倍率、高剛性の二軸延伸ポリプロピレン系フィルムを用いることが好ましく、面積延伸倍率は、30倍以上であることが好ましく、更には40倍以上であることが好ましい。
また、外層20は、中間層10との接着強度を高めるためにも、フィルムの少なくとも中間層10と積層する側にヒートシール性が付与されたものであっても良い。ヒートシール性を付与する方法としては、例えば、二軸延伸ポリプロピレン系フィルムからなる外層20の片面または両面に、低融点のプロピレン・エチレン共重合体を積層したり(特公昭49−14343号公報)、特定のプロピレン系ランダム共重合体層をヒートシール層としたり(特公平8−5174号公報)、特定のプロピレン・1−ブテンランダム共重合体と結晶性プロピレン・αーオレフィンランダム共重合体との組成物を積層した複合フィルム等(特公昭61−42626号公報)、ポリプロピレンに比べ低融点の樹脂を積層させる方法等、多数提案されているこれらの公知の方法を適宜使用することができる。
また、外層20の厚みは、通常、5〜100μmであることが好ましく、10〜70μmであることがより好ましく、20〜60μmであることがさらに好ましい。ここで、外層20の厚みが薄すぎると、本発明で所望する耐衝撃性、折り曲げ罫線加工性の付与が望めない場合がある。一方、外層20の厚みが厚すぎると、良好な厚み精度のフィルムを得ることが困難であったり、透明性が良好なフィルムを得ることが困難な場合がある。
<印刷層30>
印刷層30は、外層20の少なくとも一方における、中間層10と積層する側に設けられている。図1においては、外層20Aにおける中間層10と積層する側において印刷層30が設けられているが、外層20Bにおける中間層10と積層する側に印刷層30を設けてもよいし、外層20Aおよび外層20Bにおける中間層10と積層する側の両方において印刷層30を設け、二層の印刷層30を有する構成とすることもできる。このように、二層の印刷層30を有する構成とし、二層の印刷層30において異なる文字または色を印刷することによって、従来の片面印刷では付与することが困難であった、複雑なデザインをも付与することもできる。
印刷層30は、外層20の少なくとも一方における、中間層10と積層する側に設けられている。図1においては、外層20Aにおける中間層10と積層する側において印刷層30が設けられているが、外層20Bにおける中間層10と積層する側に印刷層30を設けてもよいし、外層20Aおよび外層20Bにおける中間層10と積層する側の両方において印刷層30を設け、二層の印刷層30を有する構成とすることもできる。このように、二層の印刷層30を有する構成とし、二層の印刷層30において異なる文字または色を印刷することによって、従来の片面印刷では付与することが困難であった、複雑なデザインをも付与することもできる。
印刷層30は、外層20である二軸延伸ポリプロピレン系フィルムに印刷することにより形成することができる。印刷方法としては、例えば、グラビア印刷、凸版印刷、平板印刷、凹版印刷、孔版印刷、フレキソ印刷等の公知の方法が用いられる。また、印刷前処理として、外層20の印刷層30を形成する面にコロナ放電処理を行うことが好ましい。
<中間層10>
本発明の包装体用積層シート100における中間層10は、A成分を主成分とするポリプロピレン系フィルムであって、さらにB成分および/またはC成分を有していてもよい。以下、A成分、B成分およびC成分をそれぞれ説明する。
本発明の包装体用積層シート100における中間層10は、A成分を主成分とするポリプロピレン系フィルムであって、さらにB成分および/またはC成分を有していてもよい。以下、A成分、B成分およびC成分をそれぞれ説明する。
(A成分)
A成分は、示差走査熱量計(DSC)により、加熱速度10℃/minで得られたサーモグラムから求めた結晶融解熱量(ΔHm)が70〜120J/gであるポリプロピレン系樹脂であることが好ましく、ΔHmが80〜120J/gであるポリプロピレン系樹脂であることがより好ましく、ΔHmが90〜120J/gであるポリプロピレン系樹脂であることがさらに好ましい。結晶融解熱量(ΔHm)が小さすぎると、ポリプロピレン系樹脂の結晶性が低くなり、積層シート100全体の剛性が低下して、包装体として用いる際に、剛性(腰)が足りない等、実用上問題が生じる場合がある。一方、一般的に入手可能なポリプロピレン系樹脂の結晶融解熱量(ΔHm)は、上記範囲内であり、結晶性融解熱量(ΔHm)が大きすぎるものは工業的に入手困難である場合がある。
A成分は、示差走査熱量計(DSC)により、加熱速度10℃/minで得られたサーモグラムから求めた結晶融解熱量(ΔHm)が70〜120J/gであるポリプロピレン系樹脂であることが好ましく、ΔHmが80〜120J/gであるポリプロピレン系樹脂であることがより好ましく、ΔHmが90〜120J/gであるポリプロピレン系樹脂であることがさらに好ましい。結晶融解熱量(ΔHm)が小さすぎると、ポリプロピレン系樹脂の結晶性が低くなり、積層シート100全体の剛性が低下して、包装体として用いる際に、剛性(腰)が足りない等、実用上問題が生じる場合がある。一方、一般的に入手可能なポリプロピレン系樹脂の結晶融解熱量(ΔHm)は、上記範囲内であり、結晶性融解熱量(ΔHm)が大きすぎるものは工業的に入手困難である場合がある。
ここで、ポリプロピレン系樹脂とは、ポリプロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン、ブテン、ヘキセン等のα―オレフィンとの共重合体またはこれらの混合物である。
中間層10は、A成分を主成分とするものであり、中間層全体の質量を基準(100質量%)として、A成分を60質量%以上含有していることが好ましく、70質量%以上含有していることがより好ましく、80質量%以上含有していることがさらに好ましい。
A成分であるポリプロピレン系樹脂の結晶融解ピーク温度(Tm)は、120〜175℃が好ましく、130〜175℃がより好ましく、140〜175℃がさらに好ましい。結晶融解ピーク温度が小さすぎると、包装体として用いる際に、剛性の面で満足できない場合がある。一方、一般的に入手可能なポリプロピレン系樹脂の結晶融解熱量(ΔHm)は、上記範囲内であり、大きすぎるものは工業的に入手困難である場合がある。
A成分であるポリプロピレン系樹脂における、JIS K 7210(測定温度230℃、荷重21.18N)によるメルトフローレート(MFR)は、0.50〜20g/10minであることが好ましく、1.0〜10g/10minであることがより好ましい。メルトフローレートが小さすぎると、溶融成形時に押出機からの吐出量が低下し、生産性が低くなる場合がある。一方、大きすぎると、粘度が低すぎてシート成形が困難になる場合がある。
A成分であるポリプロピレン系樹脂を得るための重合方法は、特に制限されず、例えば、溶媒重合法、バルク重合法、気相重合法等の公知の方法を採用することができる。また、重合触媒は、特に制限されず、例えば、三塩化チタン型触媒、塩化マグネシウム担持型触媒、メタロセン系触媒等の公知の触媒を採用することができる。
(B成分)
包装体用積層シート100の透明性、剛性を向上させるために、中間層10は、A成分とともに、さらにB成分として、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、およびこれらの水素添加誘導体(以下、これらをまとめて、「石油樹脂類」という場合がある。)からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の樹脂を含有していることが好ましい。
包装体用積層シート100の透明性、剛性を向上させるために、中間層10は、A成分とともに、さらにB成分として、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、およびこれらの水素添加誘導体(以下、これらをまとめて、「石油樹脂類」という場合がある。)からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の樹脂を含有していることが好ましい。
上記石油樹脂としては、シクロペンタジエンもしくはその二量体を重合してなる脂環式石油樹脂、C9成分を重合してなる芳香族石油樹脂等が挙げられる。テルペン樹脂としては、β−ピネンを重合してなるテルペン−フェノール樹脂が挙げられる。ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリン、ペンタエリスリトールなどで変性したエステル化ロジン樹脂等が挙げられる。
B成分である石油樹脂類の軟化点は、70〜150℃であることが好ましく、90〜150℃であることがより好ましい。石油樹脂類の軟化点が低すぎると、包装体とした場合の本発明で所望する剛性の向上が望めない場合があり、また、ブロッキングが生じる場合がある。一方、石油樹脂類の軟化点が高すぎると、A成分との相溶性が悪くなり、中間層10の透明性が低下するといった不具合が生じる場合がある。
中間層10において、上記好ましい軟化点を有するB成分である石油樹脂類は、上記A成分であるポリプロピレン系樹脂に混合した場合に、比較的良好な相溶性を示す。その中でも、色調、熱安定性、相溶性等が特に良好であることから、B成分である石油樹脂類としては、石油樹脂またはテルペン樹脂を用いることが好ましい。
本発明における中間層10においては、B成分である石油樹脂類を混合することにより、A成分であるポリプロピレン系樹脂のガラス転移温度を高めることができ、最終的に得られる本発明の包装体用積層シート100の常温域での剛性(腰)を高めることができる。また石油樹脂類を混合することにより、A成分であるポリプロピレン系樹脂の結晶化速度を遅くすることができ、本発明の包装体シート100の透明性を向上させることができる。
上記中間層10における、A成分とB成分との質量比は、「95:5」〜「60:40」(「A成分:B成分」)であることが好ましく、「90:10」〜「65:35」(「A成分:B成分」)であることがより好ましく、「85:15」〜「70:30」(「A成分:B成分」)であることがさらに好ましい。B成分である石油樹脂類の配合量が多すぎると、剛性および透明性の向上は図れるが、耐衝撃性が悪化するため、折り曲げ罫線加工を施し、折り曲げる際にシートが割れる等の問題が生じる場合があり、また、溶融粘度が低くなるため、押出成形を良好に行えない場合がある。一方、B成分である石油樹脂類の配合量が少なすぎると、製造した包装体用積層シート100の常温域での剛性向上が望めない場合がある。
(C成分)
また、包装体用積層シート100の透明性、剛性を、さらに向上させるために、中間層10は、C成分として結晶核剤を含有していてもよい。結晶核剤としては、特に制限されるものではなく、公知の結晶核剤を使用することができる。例えば、1・3、2・4−(ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3、2・4−ジベンジリデンソルビトール等のソルビトール類、ジ−(パラ−t−ブチル安息香酸アルミニウム)、リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム等の金属塩類、シリカ、タルク等の無機系結晶核剤等が挙げられる。中でも、ソルビトール類および金属塩類の結晶核剤が好ましい。
また、包装体用積層シート100の透明性、剛性を、さらに向上させるために、中間層10は、C成分として結晶核剤を含有していてもよい。結晶核剤としては、特に制限されるものではなく、公知の結晶核剤を使用することができる。例えば、1・3、2・4−(ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3、2・4−ジベンジリデンソルビトール等のソルビトール類、ジ−(パラ−t−ブチル安息香酸アルミニウム)、リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム等の金属塩類、シリカ、タルク等の無機系結晶核剤等が挙げられる。中でも、ソルビトール類および金属塩類の結晶核剤が好ましい。
結晶核剤の配合量は、A成分100質量部に対して、0.05〜1.00質量部であることが好ましく、0.05〜0.50質量部であることがより好ましい。結晶核剤の配合量が少なすぎると、中間層10の透明性の改良効果が十分ではない場合がある。一方、結晶核剤の配合量が多すぎると、経済的に不利であるばかりでなく、逆に中間層10の透明性が悪化する場合がある。
<包装体用積層シート100の製造方法>
次に、本発明の包装体用積層シート100の製造方法について説明する。本発明の包装体用積層シート100は、中間層10となるA成分、あるいは、A成分と、B成分および/またはC成分との混合物を、溶融状態で押し出し、二軸延伸ポリプロピレン系フィルムからなる外層20(外層20は、少なくとも一方の外層20における中間層10と積層する側に印刷層30を有する。以下同様。)を、上記で押し出した中間層10の両面に、キャスティングと同時にラミネートする押出ラミネート法により製造することができる。なお、外層20に印刷層30が形成されている場合は、この印刷層30側が中間層10側となるようにして、外層20と中間層10が積層される。また、中間層10を公知の方法でシート化した後に、二軸延伸ポリプロピレン系フィルムからなる外層20を中間層10のシートの両面に熱ラミネートする熱ラミネート法、ドライラミネートするドライラミネート法等、公知の方法により製造することができる。
次に、本発明の包装体用積層シート100の製造方法について説明する。本発明の包装体用積層シート100は、中間層10となるA成分、あるいは、A成分と、B成分および/またはC成分との混合物を、溶融状態で押し出し、二軸延伸ポリプロピレン系フィルムからなる外層20(外層20は、少なくとも一方の外層20における中間層10と積層する側に印刷層30を有する。以下同様。)を、上記で押し出した中間層10の両面に、キャスティングと同時にラミネートする押出ラミネート法により製造することができる。なお、外層20に印刷層30が形成されている場合は、この印刷層30側が中間層10側となるようにして、外層20と中間層10が積層される。また、中間層10を公知の方法でシート化した後に、二軸延伸ポリプロピレン系フィルムからなる外層20を中間層10のシートの両面に熱ラミネートする熱ラミネート法、ドライラミネートするドライラミネート法等、公知の方法により製造することができる。
中間層10となる、上記樹脂混合物は、あらかじめ、同方向二軸押出機、ニーダー、ヘンシェルミキサー等を用いて、プレコンパウンドしてもよいし、各原料をドライブレンドし、直接溶融混練押出機に投入してもよい。樹脂混合物の粘度は、A成分のポリプロピレン系樹脂とB成分の石油樹脂類との混合割合によって調整する。
また、中間層10を形成するシート成形法の具体例としては、Tダイ法が挙げられる。シート成形時の結晶化をできるだけ抑えることで透明性を向上できるため、透明性を考慮して、キャスティング温度およびシート成形スピードを適宜選択することが好ましく、キャスティング温度は0〜40℃の温度範囲であることが好ましい。キャスティング温度が高すぎると、シート成形時の冷却効率が落ち、透明性が損なわれることがある。キャスティングしシート化した後に、中間層10を形成するシートに対して、剛性を向上させるため、熱処理を行うことが好ましい。
本発明における包装体用積層シート100は、剛性を向上させるために熱処理を施すことが好ましい。この所望により施される熱処理は、60℃以上、A成分の結晶融解ピーク温度(Tm)以下の温度範囲でなされることが好ましい。熱処理は、加熱ロール、加熱空気、不活性液体等を用いて行うことができ、この中でも、加熱ロールによる連続処理が行われることが好ましい。
熱処理は、熱処理後の包装体シート100に行った、示差走査熱量計(DSC)による、加熱速度10℃/minで−40℃から200℃まで加熱した際に得られたサーモグラムから、結晶化熱量(ΔHc)が検出されなくなるまでの間、行うことが好ましい。
<包装体用積層シート100>
本発明の包装体用積層シート100のJIS K 6732に準拠して求めた引張弾性率は、1200〜4000MPaであることが好ましく、1500〜4000MPaであることがより好ましく、1800〜4000MPaであることがさらに好ましい。この引張弾性率が小さすぎると、包装体として用いた場合、剛性(腰)が足りない等、実用上問題が生じる場合がある。一方、この引張弾性率が大きすぎると、工業的に製造が困難である場合がある。
本発明の包装体用積層シート100のJIS K 6732に準拠して求めた引張弾性率は、1200〜4000MPaであることが好ましく、1500〜4000MPaであることがより好ましく、1800〜4000MPaであることがさらに好ましい。この引張弾性率が小さすぎると、包装体として用いた場合、剛性(腰)が足りない等、実用上問題が生じる場合がある。一方、この引張弾性率が大きすぎると、工業的に製造が困難である場合がある。
本発明の包装体用積層シート100のJIS K 7105に準拠して求めた全ヘーズ値は、5.0%未満であることが好ましい。全ヘーズ値が小さいことは、透明性が高いことを示している。全ヘーズ値が大きすぎると本発明の包装体用積層シート100により形成した包装体は透明感および美観に欠け、収納した商品が外部から明瞭に視認できない場合があり好ましくない。
全ヘーズ値を小さくするためには、中間層10を構成する樹脂の結晶の成長を、中間層10を急冷することによって妨げたり、C成分である結晶核剤を用いて中間層10を構成する樹脂の結晶を微細化したり、中間層10にB成分として石油樹脂を配合する等の手法を取ることができる。透明感を向上し、より好適な包装体とするためには、上記の全ヘーズ値は、好ましくは4.0%未満であり、さらに好ましくは3.0%未満である。
本発明の包装体用積層シート100のJIS K 5600に準拠して求めた鉛筆硬度は、HB以上であることが好ましく、F以上であることがより好ましい。鉛筆硬度は、包装体用積層シート100の表面硬度を示しており、鉛筆硬度が高いほど、包装体として用いた際に表面が傷付にくく、包装体の美観を損なわず、収納した商品が外部から容易に視認できるため好ましい。
本発明の包装体用積層シート100の厚みは、特に制限はされないが、100〜1000μmであることが好ましく、200〜500μmであることがより好ましい。この厚みが小さすぎると、包装体として用いた場合、剛性(腰)が足りない等実用上問題がある場合がある。一方、この厚みが大きすぎると、罫線加工を施し、ケース状に形成する際に不具合が生じたり、透明性が低下し、収納物が容易に視認できなくなったりする場合がある。
本発明の包装体用積層シート100において、包装体用積層シート100全体の厚みに対する、中間層10の厚みの比率は、0.30〜0.98であることが好ましい。ここで、この比率が小さすぎると、相対的に外層10の厚みが大きいものを用いる必要があり、そのような厚みを有する外層を工業的に入手することが困難な場合がある。一方、この比率が大きすぎると、本発明で所望する耐衝撃性、折り曲げ罫線加工性の付与が望めない場合がある。
本発明の包装体用積層シート100における中間層10、および/または、外層20には、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、耐候安定剤、スリップ剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料等の通常ポリオレフィンに用いる各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
<包装体>
本発明の包装体用積層シート100は、折り曲げ罫線加工性、耐傷付性に優れ、化粧品、衣料品、食料品、文具等を収納するのに適した、透明な包装体(透明ケース)として使用することができる。
本発明の包装体用積層シート100は、折り曲げ罫線加工性、耐傷付性に優れ、化粧品、衣料品、食料品、文具等を収納するのに適した、透明な包装体(透明ケース)として使用することができる。
本発明の包装体用積層シート100は、所定の形状に打抜くと同時に折り曲げ罫線加工をし、ケース状に形成し、本発明の包装体とすることができる。折り曲げ罫線は、例えば、特開2003−292023号公報等に記されているように、シートを折り曲げる際に、内側に位置する面に罫線刃を押し当てて形成することができる。折り曲げ罫線は、折り曲げる際に折り曲げ易く、かつ、折り曲げた際に破損し難い構造のものが好ましい。本発明の包装体用積層シート100に、好適な構造の罫線を設けることにより、この包装体用積層シート100を折り曲げて形成された、所望形状の包装体を得ることができる。
以下に実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
(実施例1)
A成分であるポリプロピレン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製、FY6H、Tm:165℃、ΔHm:96.1J/g、MFR:1.9g/10min)(以下、「PP−1」と省略する。)を用いて、B成分である石油樹脂類として、水添石油樹脂(荒川化学社製、アルコンP125、軟化点:125℃)を用いて、A成分とB成分との質量比が、「A成分:B成分」=「75:25」である樹脂組成物をドライブレンドした。
A成分であるポリプロピレン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製、FY6H、Tm:165℃、ΔHm:96.1J/g、MFR:1.9g/10min)(以下、「PP−1」と省略する。)を用いて、B成分である石油樹脂類として、水添石油樹脂(荒川化学社製、アルコンP125、軟化点:125℃)を用いて、A成分とB成分との質量比が、「A成分:B成分」=「75:25」である樹脂組成物をドライブレンドした。
このドライブレンドした樹脂組成物を、Tダイを備えた40mm同方向二軸押出機(L/D=36)を用いて、設定温度240℃で溶融混練し、キャスト温度20℃で押し出して中間層を形成した。そして、あらかじめ印刷層が形成してある二軸延伸ポリプロピレン系フィルム(東レ社製、2500S、40μm)(以下、「OPP−1」と省略する。)を外層Aとし、また、印刷層が形成していないOPP−1を外層Bとして、外層Aにおける印刷層を形成した側を中間層に貼り合わせるようにして、キャストロール側とニップロール側から、外層Aおよび外層Bを中間層に貼りあわせすることにより、300μmの包装体用積層シート(構成:外層A(OPP−1)/中間層/外層B(OPP−1)=40μm/220μm/40μm)を得た。
(実施例2)
実施例1において、外層Aだけでなく外層Bにも、あらかじめ印刷層を形成した二軸延伸ポリプロピレン系フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、300μmの包装体用積層シート(構成:外層A(OPP−1)/中間層/外層B(OPP−1)=30μm/240μm/30μm)を得た。
実施例1において、外層Aだけでなく外層Bにも、あらかじめ印刷層を形成した二軸延伸ポリプロピレン系フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、300μmの包装体用積層シート(構成:外層A(OPP−1)/中間層/外層B(OPP−1)=30μm/240μm/30μm)を得た。
(実施例3)
実施例1において、あらかじめ印刷層が形成してある二軸延伸ポリプロピレン系フィルム(東セロ社製、HC−OP S、30μm)(以下、「OPP−2」と省略する。)を外層Aとし、印刷層が形成していないOPP−2を外層Bとした以外は、実施例1と同様にして、300μmの包装体用積層シート(構成:外層A(OPP−2)/中間層/外層B(OPP−2)=30μm/240μm/30μm)を得た。
実施例1において、あらかじめ印刷層が形成してある二軸延伸ポリプロピレン系フィルム(東セロ社製、HC−OP S、30μm)(以下、「OPP−2」と省略する。)を外層Aとし、印刷層が形成していないOPP−2を外層Bとした以外は、実施例1と同様にして、300μmの包装体用積層シート(構成:外層A(OPP−2)/中間層/外層B(OPP−2)=30μm/240μm/30μm)を得た。
(実施例4)
実施例1において、A成分であるポリプロピレン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製、EG7F、Tm:145℃、ΔHm:76.0J/g、MFR:1.3g/10min)(以下、「PP−2」と省略する。)を用い、PP−2の100質量部に対し、C成分である結晶核剤(新日本理化社製、ゲルオールMD−LM30)を0.2質量部添加したものを樹脂組成物とした以外は、実施例1と同様にして、300μmの包装体用積層シート(構成:外層A(OPP−1)/中間層/外層B(OPP−1)=40μm/220μm/40μm)を得た。
実施例1において、A成分であるポリプロピレン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製、EG7F、Tm:145℃、ΔHm:76.0J/g、MFR:1.3g/10min)(以下、「PP−2」と省略する。)を用い、PP−2の100質量部に対し、C成分である結晶核剤(新日本理化社製、ゲルオールMD−LM30)を0.2質量部添加したものを樹脂組成物とした以外は、実施例1と同様にして、300μmの包装体用積層シート(構成:外層A(OPP−1)/中間層/外層B(OPP−1)=40μm/220μm/40μm)を得た。
(実施例5)
実施例1において、B成分である石油樹脂類として、水添石油樹脂(荒川化学社製、アルコンP140、軟化点:140℃)を用いて、A成分とB成分との質量比が、「A成分:B成分」=「80:20」である樹脂組成物100質量部に対し、C成分である結晶核剤(新日本理化社製、ゲルオールMD−LM30)を0.2質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、300μmの包装体用積層シート(構成:外層A(OPP−1)/中間層/外層B(OPP−1)=40μm/220μm/40μm)を得た。
実施例1において、B成分である石油樹脂類として、水添石油樹脂(荒川化学社製、アルコンP140、軟化点:140℃)を用いて、A成分とB成分との質量比が、「A成分:B成分」=「80:20」である樹脂組成物100質量部に対し、C成分である結晶核剤(新日本理化社製、ゲルオールMD−LM30)を0.2質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、300μmの包装体用積層シート(構成:外層A(OPP−1)/中間層/外層B(OPP−1)=40μm/220μm/40μm)を得た。
(比較例1)
実施例1において、A成分とB成分との質量比を「A成分:B成分」=「70:30」として実施例1と同様にして中間層を形成し、この中間層に外層である二軸延伸ポリプロピレン系フィルムを積層しない以外は、実施例1と同様にして、300μmの中間層のみからなる単層シート(構成:中間層=300μm)を得た。
実施例1において、A成分とB成分との質量比を「A成分:B成分」=「70:30」として実施例1と同様にして中間層を形成し、この中間層に外層である二軸延伸ポリプロピレン系フィルムを積層しない以外は、実施例1と同様にして、300μmの中間層のみからなる単層シート(構成:中間層=300μm)を得た。
(比較例2)
実施例1において、A成分とB成分との質量比を「A成分:B成分」=「50:50」とした以外は、実施例1と同様にして、300μmの包装体用積層シート(構成:外層A(OPP−1)/中間層/外層B(OPP−1)=40μm/220μm/40μm)を得た。
実施例1において、A成分とB成分との質量比を「A成分:B成分」=「50:50」とした以外は、実施例1と同様にして、300μmの包装体用積層シート(構成:外層A(OPP−1)/中間層/外層B(OPP−1)=40μm/220μm/40μm)を得た。
(比較例3)
実施例1において、B成分である石油樹脂を配合せず、中間層の両面を、外層である二軸延伸ポリプロピレン系フィルムで積層しない以外は、実施例1と同様にして、300μmの中間層のみからなる単層シート(構成:中間層=300μm)を得た。得られた単層シートの内面側(ケース状に形成した際の内面側)に印刷層を設けた。
実施例1において、B成分である石油樹脂を配合せず、中間層の両面を、外層である二軸延伸ポリプロピレン系フィルムで積層しない以外は、実施例1と同様にして、300μmの中間層のみからなる単層シート(構成:中間層=300μm)を得た。得られた単層シートの内面側(ケース状に形成した際の内面側)に印刷層を設けた。
(比較例4)
実施例4において、外層である二軸延伸ポリプロピレン系フィルムで積層しない以外は、実施例4と同様にして、300μmの中間層のみからなる単層シート(構成:中間層=300μm)を得た。得られた単層シートの内面側(ケース状に形成した際の内面側)に印刷層を設けた。
実施例4において、外層である二軸延伸ポリプロピレン系フィルムで積層しない以外は、実施例4と同様にして、300μmの中間層のみからなる単層シート(構成:中間層=300μm)を得た。得られた単層シートの内面側(ケース状に形成した際の内面側)に印刷層を設けた。
上記の実施例および比較例で得られたシートについて、以下の評価方法によって評価を行った。評価結果を表1に示した。
<評価方法>
(結晶融解ピーク温度(Tm)、結晶融解熱量(ΔHm))
結晶融解ピーク温度(Tm)および結晶融解熱量(ΔHm)は、パーキンエルマー社製示差走査熱量計「DSC−7」を用い、JIS K 7121、JIS K 7122に準じて、試料10mgを加熱速度10℃/minで、−40℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/minで、−40℃まで降温し、1分間保持した後、加熱速度10℃/minで再昇温した時のサーモグラムから求めた。
(結晶融解ピーク温度(Tm)、結晶融解熱量(ΔHm))
結晶融解ピーク温度(Tm)および結晶融解熱量(ΔHm)は、パーキンエルマー社製示差走査熱量計「DSC−7」を用い、JIS K 7121、JIS K 7122に準じて、試料10mgを加熱速度10℃/minで、−40℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/minで、−40℃まで降温し、1分間保持した後、加熱速度10℃/minで再昇温した時のサーモグラムから求めた。
(罫線加工性)
特開2003−292023号公報記載の罫線刃を用いて、10枚のシートに折り曲げ罫線加工を施し(積層シートにおいては、外層A側に折り曲げ罫線加工を施した。)、その罫線加工時の割れの有無について目視で確認し、割れが一枚も発生しなかったものを「○」、割れが一枚でも発生したものを「×」として、評価した。
なお、割れが一枚も発生しなかったものについて以下の評価を実施した。
特開2003−292023号公報記載の罫線刃を用いて、10枚のシートに折り曲げ罫線加工を施し(積層シートにおいては、外層A側に折り曲げ罫線加工を施した。)、その罫線加工時の割れの有無について目視で確認し、割れが一枚も発生しなかったものを「○」、割れが一枚でも発生したものを「×」として、評価した。
なお、割れが一枚も発生しなかったものについて以下の評価を実施した。
(引張弾性率)
JIS K 6732に準拠して、温度23℃、試験速度5mm/minの条件で引張弾性率を求めた。得られたシートにおける押出機からの流れ方向を縦方向、この縦方向に垂直な方向を横方向として測定した。また、下記の基準で評価した結果も併記した。
(◎):引張弾性率が1500MPa以上
(○):引張弾性率が1200MPa以上1500MPa未満
(×):引張弾性率が1200MPa未満
JIS K 6732に準拠して、温度23℃、試験速度5mm/minの条件で引張弾性率を求めた。得られたシートにおける押出機からの流れ方向を縦方向、この縦方向に垂直な方向を横方向として測定した。また、下記の基準で評価した結果も併記した。
(◎):引張弾性率が1500MPa以上
(○):引張弾性率が1200MPa以上1500MPa未満
(×):引張弾性率が1200MPa未満
(全ヘーズ値)
JIS K 7105に準拠して、得られたシートの全ヘーズ値(%)を求めた。全ヘーズ値は、その値が小さい方が、透明性が高いことを示している。また、下記の基準で評価した結果も併記した。
(◎):全ヘーズが3.0%未満
(○):全ヘーズが3.0%以上5.0%未満
(×):全ヘーズが5.0%以上
JIS K 7105に準拠して、得られたシートの全ヘーズ値(%)を求めた。全ヘーズ値は、その値が小さい方が、透明性が高いことを示している。また、下記の基準で評価した結果も併記した。
(◎):全ヘーズが3.0%未満
(○):全ヘーズが3.0%以上5.0%未満
(×):全ヘーズが5.0%以上
(鉛筆硬度)
JIS K 5600に準拠して、得られたシートの鉛筆硬度を測定した(なお、積層シートにおいては、外層A側の表面の鉛筆硬度を測定した。)。また、下記の基準で評価した結果も併記した。
(◎):鉛筆硬度がF以上
(○):鉛筆硬度がHB
(×):鉛筆硬度がB以下
JIS K 5600に準拠して、得られたシートの鉛筆硬度を測定した(なお、積層シートにおいては、外層A側の表面の鉛筆硬度を測定した。)。また、下記の基準で評価した結果も併記した。
(◎):鉛筆硬度がF以上
(○):鉛筆硬度がHB
(×):鉛筆硬度がB以下
(印刷の耐摩耗性)
得られたシートを、#2000のサンドペーパーで10回こすった後に、印刷面の傷付き度合いを見た。なお、積層シートにおいては、外層B側の表面をサンドペーパーでこすって評価し、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層しない単層シートについては、印刷面側をこすって評価した。
(○):傷が付かない
(×):傷が付く
得られたシートを、#2000のサンドペーパーで10回こすった後に、印刷面の傷付き度合いを見た。なお、積層シートにおいては、外層B側の表面をサンドペーパーでこすって評価し、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層しない単層シートについては、印刷面側をこすって評価した。
(○):傷が付かない
(×):傷が付く
(美観性)
得られたシートを、ケース状に形成し、美観性を目視にて確認した。なお、積層シートにおいては、外層A側を外側にして、ケース状に成形した。
(○):クリア感があり、美観性に優れる
(×):クリア感が劣り、美観性に劣る
得られたシートを、ケース状に形成し、美観性を目視にて確認した。なお、積層シートにおいては、外層A側を外側にして、ケース状に成形した。
(○):クリア感があり、美観性に優れる
(×):クリア感が劣り、美観性に劣る
(評価結果)
表1より次のことが分かった。実施例1、2、3、4、5では、両外層として二軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層することにより、罫線加工性を良好なものとし、剛性を向上させ、透明性を確保することができる。また、鉛筆硬度が高く耐傷付性に優れ、印刷の耐摩耗性に優れ、美観性に優れた包装体とすることができる包装体用積層シートを製造することができた。
表1より次のことが分かった。実施例1、2、3、4、5では、両外層として二軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層することにより、罫線加工性を良好なものとし、剛性を向上させ、透明性を確保することができる。また、鉛筆硬度が高く耐傷付性に優れ、印刷の耐摩耗性に優れ、美観性に優れた包装体とすることができる包装体用積層シートを製造することができた。
比較例1、2において得られた包装体用積層シートは、罫線加工性が劣っていた。比較例3において得られたシートは、鉛筆硬度が低く耐傷付性が劣っており、印刷の耐磨耗性が劣っていた。また、透明性が劣っているため、得られた包装体の美観性は劣ったものであった。また、比較例4において得られたシートは、剛性が劣っており、また、鉛筆硬度が低く耐傷付性が劣っており、印刷の耐磨耗性が劣っていた。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う包装体用積層シートおよびこの包装体用積層シートから形成された包装体もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
100 包装体用積層シート
10 中間層
20A、20B 外層
30 印刷層
10 中間層
20A、20B 外層
30 印刷層
Claims (5)
- 中間層およびその両面に積層した外層を有する積層シートであって、
前記中間層が、下記A成分を主成分とするポリプロピレン系フィルムであり、
前記外層が、二軸延伸ポリプロピレン系フィルムであり、
少なくとも一方の前記外層における中間層と積層する側に印刷層を有する包装体用積層シート。
A成分:示差走査熱量計(DSC)により、加熱速度10℃/minで得られたサーモグラムから求めた結晶融解熱量(ΔHm)が70〜120J/gであるポリプロピレン系樹脂。 - 前記中間層が、さらに下記B成分を有し、前記A成分と下記B成分との質量比が、「95:5」〜「60:40」(A成分:B成分)である、請求項1に記載の包装体用積層シート。
B成分:石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、およびこれらの水素添加誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂。 - 前記中間層が、さらにC成分として、結晶核剤を有し、その配合量が前記A成分100質量部に対して、0.05〜1.00質量部である、請求項1または2に記載の包装体用積層シート。
- 前記包装体用積層シート全体の厚みに対する、前記中間層の厚みの比率が、0.30〜0.98である、請求項1〜3のいずれかに記載の包装体用積層シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の包装体用積層シートにより形成された包装体。
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