図1(a)を参照すると、車両10は、通常は運転者と呼ばれる操作者12の制御の下で、正常に機能し、すなわち、その車両が必要とする正常な機能を実行する装置を備えている。この車両は、移動可能であり、典型的に、運転者を含む複数の乗客12i用のシートを有する乗客室14を備えている。正常な機能を果たすには、車両は、運転者の直接的な制御の下にあるが、その車両の機能化は、乗客室を占める車両のいかなるユーザ、すなわち、運転者又は運転者に準じる他の乗客によって、認証されてもよい。
車両は、本発明を説明するのに必要とされるよりもさらに詳細には説明しないが、典型的には、16で示されるエンジンを備えている。このエンジン16は、随意的に、電子エンジン管理ユニット(EMU)20と関連して、その運転を開始し、性能の機能を変化させるように、運転者によって制御されている。
エンジン16は、貯蔵タンク22から、電子操作される供給ポンプ23と燃料分配/入力手段24とを含む燃料送達システムを経由して、エンジンに送達される液体燃料によって、作動されるようになっている。燃料分配/入力手段24は、燃料用の小形貯蔵室を備える(241で仮想的に示される)キャブレター、又は最近のガソリンエンジン及び圧縮点火(ディーゼル)エンジンにおいてより一般的な複数の噴射ポンプ及び弁242を備えているとよい。車両の運転に関する他の特徴は、図1(b)において、円領域の拡大によって示されている。
操作者−運転者の直接的な制御下における装置としての車両を概説すると、このような操作者は、車両のシャシと車両を移動させるエンジンの両方の機能化を開始することによって、運転を行なうことになる。運転の開始は、通常、キー装置261を協働作用可能なロック262内に挿入し、これによって、操舵ロック(図示せず)を解除し、EMU20を認証し、エンジンを始動させ、供給ポンプ23から燃料をエンジンに送達させることによって、行なわれる。キー装置261は、車両に嵌合されたロック281と対を成す物理的キー271の形態を取り、随意的に、そのキー内に、車両内の送受信機282と対を成す無線周波数変換手段272を有していてもよい。とりわけ、英国特許出願公開第2342742A号明細書に記載されている方法では、送受信手段が、使用時に、キーをプログラム化し、そのキーに次の使用時に送信されるコードを付し、これによって、コードが一致した場合にのみ、そのキーは、エンジンの運転を開始するように機能している。従って、実際上、真性のキー、すなわち、認証されたキーの許可がなければ、エンジンを始動することは、実質的に不可能である。
291で仮想的に示される代替的キーは、柔軟なプラスチック材料のキーカードを用いて、プロセッサ及びメモリを含む磁気帯又は半導体集積回路の形態にある認証手段を表面に有し、スマートカードと呼ばれることが多い。このカードキーは、車両に嵌合されたリーダ292と協働作用することができる。このようなカードキーは、エンジンの運転の開始に不可欠な多数のパラメータを記憶することができ、また、使用ごとに再プログラム化され得るが、それにも関わらず、始動時にユーザが所持し、その後、車両内に配置されることによって、車両エンジンの運転の開始を行なうキー装置としての役割を果たしている。
前述したように、このような主エンジン開始装置(キー、キーカード)のその場におけるプログラム化は、認証されていないユーザがエンジンを始動させて車両を盗むために、車両、特にEMUに対して不正を行なうのを困難にさせることを意図し、又は認証されていない車両の乗客室又はエンジン室への侵入又は車両自体の侵害の試みに応答し、警報を発する付加的な盗難防止装置として機能させることを意図している。
運転者が適切なキー装置を所有している場合にのみ、車両がエンジンを介して正常に機能することを確実にする既知の装置は、前述したように、キー装置の所有者を認証ユーザとして扱う効果を有し、これによって、以下の状況をもたらす。すなわち、犯罪者は、車両用の適切なキー装置を盗む誘惑に駆られ、さらに、キー装置の所有者が車両の近くにいるときに、その所有者からキー装置を取り上げることによって、キー装置が正確に認証されていることを確実にし、又は運転過程において、機能を完全に掌握する、すなわち、ハイジャックを行なう気にさせられる。
本発明によれば、30によって総称的に示される認証システムが導入されている。この認証システム30は、これまで疑似的に認証を行なわれることがあった正常なキー装置が存在するだけでなく、認証ユーザが実際に存在する場合にのみ、運転者の制御下で、車両の正常な機能化を許容することを、意図している。この実施形態において、認証ユーザは、車両の乗客室のいかなる乗客121でもよいが、便宜上、必ずしもその必要はないが、運転者12であるとよい。ここで、「存在する」という用語は、車両の乗客室内に存在すること、又はそこに極めて隣接して存在すること、を意味している。
一般的に、認証システムは、運転中、それぞれ、装置(車両)と装置の前記認証ユーザ(ここでは、運転者12として示される)に保持されるように構成された相補的部分34及び36を有する無線通信手段32とを備えている。これらの部分は、光学的システム又は超音波システムのようなどのような適切な無接触システムによって通信してもよいが、好ましくは、無線周波数で、さらに好ましくは、GHz又はマイクロ波域の無線周波数で、作動するようになっているとよい。
便宜的に、「装置部分」又は「装置に保持される部分」34と「ユーザ部分」又は「ユーザに保持される部分」36と呼ぶ通信手段の部分は、認証ユーザと装置(車両)との間の許容される作用関係を定める乗客室の空間的包絡域内において、認証ユーザ及び装置を対にする識別情報の連続的な転送によって定められる通信リンクをもたらすように、構成されている。識別情報は、装置部分とユーザ部分の許容される離間を定める空間的包絡域を補足する時間的包絡域に関する連続的な転送の本質的な因子として、以下、さらに詳細に説明する。
通信手段32は、認証ユーザの「存在」を画定し、前記リンクの存在に応答して、車両の認証を行ない、車両が適切なキー装置を所有する運転者−操作者の制御下で正常に機能することを許容するが、認証ユーザが存在していないときには、認証を拒絶し、認証されていないユーザである運転者が、キー装置を用いて、車両のエンジンの機能化し、又はそれを維持するのを防いでいる。
車両の運転の開始は、このような通信リンクとは別に行なわれてもよいし、又はそれに付随して行なわれてもよい。しかし、最も重要なことは、通信手段が、すでに認証された前記機能車両に対して現存している通信リンクの中断に応答して、認証ユーザとそこから遠くに移動した車両に関する特性である遅れ間隔を経た後、車両の正常な機能を阻止することにある。この実施形態では、遅れ間隔は、0.5分を超える持続時間の時間遅れであり、典型的には、5分であるとよい。しかし、他の時間が、予期される関連条件又は実際の関連条件によって、設定されてもよい。
この実施形態は、特に、前述のハイジャックの状況に関し、それに対処するようにされている。ハイジャックの状況では、認証ユーザと運転者とを含む機能車両の全体が、ハイジャッカーによって停止され、乗客は立ち去ることを強制され、場合によっては、さらに事態が悪化されることもある。すなわち、ハイジャッカーによって、その機能車両において、走り去る前に当局に通報し得る携帯電話又は同等の通信装置が、元の所有者である乗客から、奪われることもある。
このため、通信手段32のユーザ部分36は、認証ユーザの体の周りに人目につかないように、すなわち、秘密裏に着帯され、このような条件にもかかわらず、このユーザ部分は、装置部分との無線通信リンクをもたらすように構成されている。これは、無線リンクが装置部分に対して確立されなければならない空間的包絡域を比較的小さくすることによって、可能になる。
装置部分34は、車両に対して、そのエンジンの運転を制御するように、永久的に固定されてもよいし、又は運転中、車両に保持され、それが存在しなければ、車両が機能しないキー271又はキーカード291のような運転キー装置に固定されてもよいし、又はその一部を構成してもよい。
車両の正常な使用、すなわち、ハイジャックの状況が存在しない場合、通信手段のユーザ部分を保持する認証ユーザは、実質的に車両の乗客室によって画成される空間的包絡域に入ったとき、通信手段がユーザ部分と装置部分との間の通信リンクを形成し得る状況をもたらすことになる。このリンクは、認証ユーザと車両を介する装置部分を対にする識別情報の連続的な転送によって、維持されると考えられる。通信手段は、関連するユーザ部分と装置部分が永久的に又は事前にエネルギー付与されることによって、機能成立するようにされていてもよいし、又は運転者が適切なキー装置を用いてエンジンの機能化を開始することによって、エネルギー付与され、機能成立するようにされていてもよい。以下に述べる種々の選択肢にもかかわらず、無線通信リンクを認証する機能と車両エンジンを運転可能にするキー装置の組合せによって、車両は、認証ユーザが存在すること以外に、そのユーザのいかなる表立った動作をも必要とすることなく、正常に機能するように設定されている。装置部分とユーザ部分との間の通信リンクと、車両の操作上の機能化の開始が密接に関連している限り、それらは、組み合されてもよいし、全体として、分けられていてもよい。装置部分及び/又はユーザ部分は、認証ユーザが乗客室に入るのを許容する盗難防止装置の解除時に、通信を始めるとよい。それに続くエンジン運転の開始は、通信リンクの確立に付随している。代替的に、装置部分は、エンジンの始動前に車両の点火の作動が正常なキー装置によって開始されたときに、機能するようにされていてもよい。しかし、エンジン機能の作動の終了は、その手順中の通信リンクの確立に付随している。さらに代替的な方法として、正常なキー装置によって、エンジンが機能することが許容されるが、もし通信リンクが、運転者が機能化の中断前に車両を危険な場所に移動させるには不十分な比較的短い時間遅れ内に、確立されない場合、装置部分は、阻止を開始するように構成されている。
代替的構成として、ユーザ部分は、車両及び/又は装置部分に物理的に接続可能であってもよい。これは、識別コードの記憶された値を取り替えて通信リンクを確立するためであり、及び/又はユーザ部分が取り外され、認証ユーザの体に戻され、その周囲に保持された後も維持されるエンジン機能の開始を許容するためである。
従って、このようなハイジャック状況において、ユーザ部分と装置部分との間の通信リンクの空間的包絡域がいかに正確に確定されているかに依存して、認証ユーザが車両の乗客室及び車両の近傍から去るとき(認証ユーザがそこから離れ、車両が走り去るとき)、機能車両に対する認証通信リンクの中断が生じることになる。
通信手段の装置部分34は、車両に機能的に接続され、ハイジャッカーが認証ユーザから離れ得る持続時間の遅れを経た後、車両の機能を停止させるものである。この実施形態に用いられる時間遅れは、ハイジャッカーがハイジャック現場から車両を認証ユーザと争うために戻るには長すぎる距離だけ移動し得る時間遅れであると共に、認証ユーザがハイジャック現場から立ち去る機会をもたらし得る時間遅れである。車両は、その車両(エンジン又はシャシ)を突然停止するように車両の1つ以上の要素の運転に影響を与えるか、又は少なくとも遅れ間隔の一部にわたって、機能性が車両からより段階的に失われるように、1つ以上の要素の運転を調整することによって、適切な時刻にその機能を停止させるものである。また、エンジンは、車両の多数の機能態様を一時的に、すなわち、間欠的に阻止し、これによって、ハイジャッカーが担っている特定の機能態様から、車両を機能停止させる意図を偽装し、その機能態様の制御が回避されるのを防ぐことによって、車両を停止させるとよい。
個々の国又は州において、乗用車のような特定の装置に対して、法規制機関、すなわち、その機関によって認可又は認証を得なければならない認定規格を定めている工業的な機関が現存している。英国において、車両の作動ロックに対する一般的な認定規格は、各々が車両の運転を停止させることができる少なくとも3つの別個の機能要素が、同時に運転を阻止し、車両の作動ロックを行なうことを必要としている。従って、燃料ポンプ、EMU、及び一般的なバッテリ電源のような種々の電気的動力要素は、遅れ間隔中又はその後に、阻止され、これによって、車両の認定された作動ロックが達成されるとよい。
認証ユーザが最終的にハイジャッカーによって乗り捨てられた機能が停止している車両と再会した場合、通信手段は、ユーザ部分が再び存在することに応答し、通信リンクを再確立し、これによって、車両の機能の全体を復帰させるように構成されているとよい。しかし、好ましくは、装置部分は、少なくとも阻止を解除するための何らかの積極的な動作がなされるまで、車両の機能性の阻止を解除しないように構成されている。車両の場合、その機能性は、一時的に停止され、その場で又は遠隔的に制御される再設定スイッチによって、解除されるが、装置部分の構造的形態に大きく依存する他の装置の場合、その機能性は、一時的に停止されることもあるが、永久的に停止されることもある。
例えば、装置部分が離脱可能なキーカード式の場合、車両の機能性の停止によって、そのカードの情報又は機能が永久的に損壊されることがある。通信リンクの中断時に機能性が停止するプログラム化可能なキー装置の場合、その機能性の一時的な損失を回復するように、再プログラム化されていてもよい。
また、通信手段の装置部分は、車両が信頼できる非認証ユーザに委ねられるときには、認証システムを無効にする認証無効化手段も備えているとよい。この手段は、便宜的に再設定手段と関連するか、又は「マスターキー」装置の代替品として機能しているとよい。
通信リンクを確立し、その中断を決定する多数の方法があることは、前述の説明から明らかだろう。
図2を参照すると、321で表される通信手段の第1実施形態が、概略的ブロック図で示されている。この通信手段321は、装置部分341とユーザ部分361をそれぞれ備え、かつエンジン機能要素20及び/又は23に連結される制御手段381を備えている。
ユーザ部分361は、適切な帯域において無線周波数を低出力で放射するように操作可能なユーザ送信手段401と、内臓式の一次電池又は二次電池から成る電源ユニット(PSU)441と、送信手段が使用されていないときに電池の漏れを防ぐために必要に応じて設けられる手動操作電源スイッチ451と、タイミング及び貯蔵手段471を含むユーザ処理手段461とを備えている。ユーザ処理手段461は、ユーザ部分と装置部分の対に固有の送信用の識別参照値を生成し、この識別参照値に従って変調された無線周波数を送信するために設けられている。ここで用いられる「変調」という用語は、無線周波数を変化させるどのような一般的な形態をも含み、本質的には、デジタルコードに従う振幅、周波数、又は放射波の変調を含むように、意図されている。
ここに記載される実施形態では、ユーザ処理手段461が周期的な送信を行なうように構成され、各送信は、その送信間隔に対して短い持続時間を有している。
装置部分341は、ユーザ送信手段からの放射波を受信し、復調又はデコードするように操作可能である装置受信手段501と、車両電源との接続によって充電されるが、車両とは独立して操作可能であるように構成された二次電池である電源ユニット541と、装置受信手段をユーザ送信手段からの放射波に同期させ、適切に変調された形態にある無線周波数から識別参照値を認識するための(タイミング及び貯蔵手段571を有する)装置処理手段541とを備えている。
ここに記載される実施形態では、変調形態がユーザ処理手段によって生成され、装置処理手段によって読み出されるデジタルコードである。装置処理手段は、対応するコード又はこのようなコードを生成するための手段を記憶し、これによって、比較を行ない、前記識別参照値を含む識別情報が転送されたことを確認することができ、このような転送によって、それらの間に通信リンクが存在することを確認することが可能となっている。
このような通信リンクの存在は、制御手段381に知らされ、次いで、この制御手段381が、EMU及び/又は燃料供給ポンプ23の既定の禁止を排除することによって、車両の機能を認証し、これによって、正常な運転者のキー装置を介する車両機能を保護することになる。
ユーザ送信手段の送信出力又は方向性及び/又は装置受信手段の受信感度又は方向性が組み合さって、良好な通信リンクが基づく空間的包絡域を画成している。
前述したように、車両の機能を認証するのは確立された通信リンクの連続性であることが重要である。遅れ時間内において、この確立されたリンクが中断すると、認証が排除される。このため、リンクの連続的な存在は、空間的包絡域におけるユーザ送信手段と装置受信手段の配置によるだけでなく、時間的包絡域における送信と受信によっても定義されている。これによって、間欠的及び断続的であっても、送信は連続的になされて連続的に受信されたとみなされ、認証を維持する通信リンクの存在の基準を満足することになる。
図3(a)を参照すると、このような時間的包絡域は、ここでは通信間隔TI1、TI2・・・TINと呼ばれる複数の一連の時間間隔の各々における、所定の持続時間の時間窓TW1、TW2・・・TWNから構成されている。ユーザ処理手段461と装置処理手段561の両方が、通信間隔を確定し、ユーザ処理手段が、各通信間隔内において、時間窓に対する又は時間窓内の送信を行なっている。そして、装置処理手段は、各通信間隔内において、適切に変調された送信が受信されたかどうかを決定している。必要に応じて、装置処理手段は、送信が所定の時間窓内又はその時間窓の一部内に生じている場合にのみ、送信の受信を認識するように、さらに限定されてもよい。
仮定として、ユーザ処理手段と装置処理手段内に、互いに整合する通信間隔と時間窓を予め定めることもできるが、実際には、ユーザ処理手段と装置処理手段が完全に独立して作動される場合に、それらを同期させて維持するのは困難である。従って、受信され、(及び確認された)各送信を用いて、装置処理手段をユーザ処理手段に対して同期させ、及び/又は送信された識別参照値が、次の送信に対する相対的な時間と持続時間を定めるデータを含むようにするとよい。
通信間隔は、図3(b)に示されるように隣接しているとよい。また、必要に応じて、各通信間隔内の時間窓は、時間窓TWNで示されるように、通信間隔の全体に広がっていてもよく、この場合は、連続的な送信−受信の状況を生成することになる。ただし、このような状況は、ユーザ部分の出力の蓄えを浪費すると考えられ得る。
装置部分341とユーザ部分361とを有する前記通信手段321は、単一の送信機と受信機とを有するだけの簡素なものであるが、いくつかの限定、例えば、ユーザ送信手段が何を送信すべきなのかを予め決定し、及び装置受信手段がいつ受信し、又はどのようにその受信された送信に適合して対を成すべきなのかを予め設定するような限定がなされていてもよいことが、理解されるだろう。また、ユーザ部分361が認証ユーザによって目立たないように保持されることが意図される限りにおいて、内蔵式の電源441の容量は必然的に制限され、ユーザは、ユーザ部分を手動によって切換えることによって、間欠的な送信のみを行なうようにする必要があるだろう。
このような制約は、装置部分とユーザ部分との間で双方向通信にて通信リンクを生成することによって、完全に又は部分的に、克服され得ることになる。
図4を参照すると、認証システムの第2実施形態における通信手段322が示されている。この通信手段322は、装置部分342とユーザ部分362とを備えている。図から明らかなように、部分342及び362は、多くの点において、部分341及び361と同一であり、共通に用いられている要素は、(添字以外は)対応する参照番号を付し、何らかの点において異なっていない限り、重複する説明を省略する。装置部分342は、装置処理手段562と関連して、装置送信手段602を備え、ユーザ部分362は、ユーザ処理手段462と関連して、ユーザ受信手段702を備えている。
装置部分からユーザ部分への部分間通信は、それらを対にする識別情報と時間的包絡域とに関し、さらに、重要なことであるが、追加的な要素を設けたにも関わらず、ユーザ部分における電力の使用と必要条件を可能な限り小さくするという点に関し、いくつかの改良を可能にしている。
装置部分からユーザ部分への送信は、前述の識別参照値を含み得るものである。従って、ユーザ処理手段は、その識別参照値に対応するのみでよいが、好ましくは、ユーザ処理手段462によってデコードされるさらに他の識別参照値を含み、ユーザ送信手段が、それらの両方に従って変調された次の信号を送信するとよい。従って、ユーザ処理手段と装置処理手段の両方は、2つの識別参照値を入手可能である。このように、通信リンクを維持するために、頻繁な通信を行なう必要はあるが、識別参照値が、ローリングコードとして、常に変化される可能性がある。
また、装置部分からユーザ部分への信号の送信によって、ユーザ部分は、装置送信手段からの適切な信号を受信したときにのみ、送信するように構成されている。このため、装置処理手段は、いくつかの予めプログラム化され及び/又はランダム化された手法に従って、前述の時間間隔と時間窓を確定し、これによって、ユーザ送信手段からの信号の送信は、常に、受信窓に同期されることになる。
さらに、装置部分からの送信の無線周波数エネルギーがユーザ部分362によって用いられ、その電源442の作動電力をもたらすか又は補充するとよい。すなわち、ユーザ受信手段は、信号の一部に対する整流手段722を備え、二次電池電源、又は場合によって、そのような一次又は二次電池電源の代わりのコンデンサ(図示せず)を充電し得るようになっている。電源442の貯蔵能力に依存して、装置送信手段からの信号の受信又はその受信の不在によって、応答送信を行なうユーザ部分の能力を直接制御する可能性がある。代替的に、ユーザ処理手段462は、装置部分からの適切に検証された送信の受信によって作動されるまで、ユーザ部分を低消費の「活動中止」モードに設定してもよい。このため、双方向装置は、ユーザ部分が独立して適切な認証信号を装置部分に送信する前述の所望の一方向通信リンクと機能的に等価であるが、装置部分からの不確定な形態の信号によって、作動電力を得るように構成されているとよい。しかし、一般的に、外部の電源によってユーザ部分へのエネルギー付与を防ぐ装置又は対に固有の情報が付随する装置部分からユーザ部分への送信を活用すると、好ましい。
装置送信手段とユーザ送信手段の各々からの送信に対して適用される識別参照値に基づく変調は、便宜上、以下のデジタルコードを含んでいる。すなわち、このデジタルコードは、装置部分又はユーザ部分のいずれか又は両方に生成される1つ以上のランダム数又は疑似ランダム数に基づき、及び/又は、例えば、前述の英国特許出願公開第2342742A号明細書に記載されるのと同様の方法で(ただし、ここでは、時間的包絡域によって定められる部分間における連続的に反復される無線周波数送信に適用される)、前記部分内に記憶されるアルゴリズムに従って、暗号化され、及び解読されるようになっている。従って、各時間窓内において、識別参照値が、装置部分によって生成されたランダム数又は疑似ランダム数に基づき、ユーザ処理手段に送信され、デコードされ、その識別参照値から、元の数が抽出されて、確認される限りにおいて、装置部分は、対に固有の識別参照値、好ましくは、送信ごとに対に固有の識別参照値を含む信号を受信することが予期されることになる。
対の識別情報をもたらす精緻に暗号化されたコードの代わりに、又はそれに加えて、送信部分と受信部分は、各通信中に、ブルートゥース規格又は同等の無線周波数ピアツーピアネットワーク規格に従って、搬送波ホッピングを行い、通信リンクの不正な対成立又は逸損の機会をさらに低減させるように、構成されていてもよい。このような装置において、装置送信手段と装置受信手段を備える361は、車両エンジンの運転の開始によって最初にエネルギー付与されたとき、その利用可能な搬送波を送信し、ユーザ受信手段とユーザ送信手段とを有するユーザ部分が、範囲内において応答し、装置部分と整合し、基本的な通信リンクを確立している。装置部分が適切な相補的ユーザ部分に対して通信リンクを確立するには、そのユーザ部分との搬送波の整合で十分である。しかし、装置部分とユーザ部分を対にするこのような規格は、未知の装置間との間に通信をもたらすことが意図されているので、好ましくは、このようなリンクは、固有の対に対する付加的な識別情報の転送時にのみに、確立されるとよい。
前述したように、装置部分は、各時間窓内において、適切な大きさの識別情報を受信し、各時間窓内のこのような受信は、次の窓まで、装置を認証する。もし正しくない変調情報又は不十分な信号強度によって、対を成すユーザ部分が空間的包絡域によって定義される範囲に存在せず、そのために、上記の識別情報が現われない場合、装置部分は、制御手段381を介して、所定数の継続的な時間窓における識別情報の受信の不在に対するチェックを開始し、それが一時的な不在であるか又は永久的な不在であるかを決定する。もしこのようなチェックが、前記の所定数の継続的時間窓に対する識別信号の不在を確認した場合、通信リンクの中断が確定され、車両機能の遅延的な停止が開始されることになる。
前述の実施形態は、一方向又は好ましい双方向作動に関して述べたが、いずれの場合も、ユーザ部分は、それが制御と変調回路を含む処理手段と送信手段を含んでいるので、著しく複雑である。
図5を参照すると、通信手段の第3実施形態323が示されている。この通信手段323は、双方向通信に基づいて、装置部分343とユーザ部分363との間に通信リンクをもたらしている。このユーザ部分は、原理的にはユーザ部分342と同じであるが、装置送信手段によって送信される無線周波数エネルギー又は他の適切な電磁エネルギーによってエネルギー付与され、人目につかず容易に保持される形態を達成させる目的を適えるために、アナログ又はデジタル識別参照値「タグ」を備えている。このタグは、(ここに定義されるように)連続的に通信し、必要に応じて、受信に応答するか又は受信の不在に応答する装置通信手段/装置受信手段の形態にあるリーダによって認識されるようになっている。このようなタグは、装置送信手段の送信の特定の周波数に調整され、装置送信手段の送信の反射又は周波数重複を行なうインダクタンス・キャパシタンス(L−C)回路のような単純なアナログ形態を取ってもよいし、又は装置送信手段からの無線周波数エネルギーの受信によるエネルギー付与時に、記憶されたコードが送信されるデジタル形態を取ってもよい。このようなデジタルタグは、例えば、マイクロチップテクノロジー社からRFIDモデルMCRF202として市販され、又はテミック半導体からモデルU9280M−Hとして市販されている。
どのような装置部分も複数の異なるユーザ部分と対を成すように構成され得るし、同様に、どのようなユーザ部分も複数の異なる装置部分と対を成すように構成され得ることが理解されるだろう。装置部分は、開始時に、単一のユーザ部分と対を成して、対を成す可能性のある多数のユーザ部分を通る循環によって、通信リンクを確定することが予期され得るが、ここでは、間欠的な通信と受信による時間窓に基づいて通信リンクが設定されるので、1つの装置部分に対して、いくつかの認証ユーザ部分を同時に含ませることが、可能である。
通信リンクの生成とその中断の決定は、通信手段のユーザ部分と装置部分によって、正確になされ、それとは別に、システムは、装置の正常な機能の遅延阻止を行なうが、この場合、システムは、時間遅れ以外の因子を用いて、遅延阻止を行なってもよい。前述したように、車両又は他の装置は、距離を測定することができ、通信リンクの中断に続いて測定された距離が、記憶された所定値又は得られる速度や遅延時間から計算された値と比較されてもよい。
携帯電話、娯楽装置、又はコンピュータ装置のように、通常、認証ユーザによって保持され、そのユーザから持ち去られる可能性がある装置の場合、通常、移動する距離を測定する手段を有していない。このような手段は、連続的又は周期的な加速力に応答し、その加速力から移動した距離を計算する加速度応答手段を有する装置又は通信手段によって、与えられるとよい。この距離は、通信リンクの中断に応じて、遅れ間隔の終端を示す所定の距離又は計算された距離と比較されるとよい。車両の場合、この加速度応答手段は、リニア加速度計から構成されているとよい。通常はユーザによって保持される装置の場合、この加速度応答手段は、個人によって保持される形式の万歩計(登録商標)センサから構成されているとよい。この万歩計(登録商標)センサは、ユーザの歩幅の長さに対応する移動、すなわち、歩行及び/又は走行の加速度パターンに応答し、個々の歩行及び/又は走行によって、どれくらい地面を進んだかを決定するようになっている。
このような万歩計(登録商標)センサの使用は、認証ユーザが装置内のこの追加的な特徴を認識することなく、行なわれている。しかし、さらに有用とするには、万歩計(登録商標)の機能は、通常はユーザによって保持され、かつ着帯され、その正常な機能、すなわち、ユーザに移動の挙動を知らせる万歩計(登録商標)の機能に加えて、認証ユーザの歩幅/パターンに従ってその移動を較正し、要求される情報をもたらす手段をも含む警報装置の特徴として、ユーザの注意を向けさせるようにされているとよい。
装置がユーザ制御される万歩計(登録商標)として機能するのか又はユーザ認識される万歩計(登録商標)として機能するのかにかかわらず、この万歩計(登録商標)は、装置と認証ユーザとの間の通信リンクの中断に応答し、「標準的な」歩幅パターンを採用し、及び監視し、これによって、離間距離を得るように構成されているとよい。
代替的に、速度と距離のこのような決定は、機能性を阻止する前に、遅れ時間間隔を計算するのに、用いられてもよい。
さらに、時間と距離の両方が、パラメータとして用いられてもよい。例えば、阻止は、少なくとも0.5分の時間遅れで少なくとも0.8Km(0.5マイル)の移動距離の後でしか行なわれないようにするとよい。これらの実際の値は、選択の問題であり、関連する装置に依存している。
また、前述したように、通信手段のユーザ部分は、認証されていない操作者による装置の有効な使用を不可能にする程度まで装置が機能を失う範囲で、装置の正常な機能を阻止するが、多くの場合、個々の装置は、異なる程度の機能性、すなわち、装置の正常な機能に不可欠ではない異なる程度の機能特徴を有し、それらの機能特徴に対して、通信手段を用いることによる制御を行なうことが望ましい、ことが理解されるだろう。
例えば、装置は、異なる範疇の認証ユーザごとに車両の速度制限が設けられ、認証されていないユーザに対して最小の速度制限が与えられ得る車両であってもよい。又は、装置は、プログラムが異なる範疇の認証ユーザに利用されるコンピュータであってもよい。
車両の場合、機能性の完全な排除、すなわち、車両を作動ロックさせることは、不適切であると判断される。この場合、認証システムは、電気的点火又は燃料供給を介してエンジンを制御し、車両が超えることのできない最大速度を設定するとよい。このような速度は、他の道路ユーザが正常に走行する速度よりも低く、これによって、車両を危険な場所において立ち往生させることなく、逃走速度を制限し、同時に、車両が他の道路ユーザ及び当局に目立つようにする。
装置部分は、速度制限が、固定値、例えば、殆どの運転者が実際上超えている25km/h(15mph)を取る所定の既定設定であるように、構成されているとよい。なお、この既定設定は、認証ユーザとの通信リンクが成立している場合は無効とされ、前記正常な運転を阻止することがない。しかし、混雑した都会の交通区域では、流れはさらに低速度の場合がある。このため、車両は、泥棒が走行する道路状態における標準的な真の速度プロファイル又は速度機能を得るために、時間枠内における最大速度又は平均速度を監視し、通信リンクの中断の前及び/又は好ましくはその後の走行平均を計算するようになっている。
他の装置が、ある速度レベルで機能を継続させることによって、追尾可能である限り、同様の運転速度制限がなされ、捕獲者に経済的な価値を殆ど与えずに、装置を追尾可能とするとよい。
認証システムが、遅れ間隔の終端において、装置に対して種々の機能阻止を負わせ得る限り、その認証システムは、異なるレベルの認証の権限を有する認証ユーザに異なる程度の阻止を発効させるように、機能してもよい。従って、通信手段のユーザ部分は、特定の装置の異なるレベル又は異なる範疇の認証を許容するように、異なる形態にプログラム化可能であってもよいし、又はそのように構成されていてもよい。
しかし、図6と図7にそれぞれ示される本発明の第4及び第5実施形態によれば、ユーザ部分は、複数の個別のモジュールを備え、これらのモジュールの各々は、そのモジュールを使用する認証ユーザによって保持されている。
図6を参照すると、本発明による認証システムの第4実施形態304がブロック図で示されている。この認証システム304では、通信手段324は、前述した部分362と342に対応するユーザ部分364と装置部分344とを備えている。ユーザ部分364は、前述したような装置の正常な機能化の認証を行うマスターモジュール364Mを備えている。また、少なくとも1つの補足的モジュール364S1が設けられている。この補足的モジュール364S1は、それを所有するユーザに、マスターモジュールと共に、装置の補足的な機能特徴、すなわち、車両速度制限の排除を認証している。その各補足的モジュールは、装置の正常な機能に不可欠ではない装置の特定の特徴と関連し、ユーザ部分と装置部分との間の通信を得るために、前述の方法のいずれによっても、マスターモジュールとの通信リンクをもたらすように操作可能である。通信手段は、全体として、前記補足的モジュールとマスターモジュールとの間の通信の不在に応答し、機能装置内の関連する特徴の機能を阻止している。
代替的に、図7に示されるように、認証システムの第5実施形態325では、ユーザ部分365は、マスターモジュール365Mと少なくとも補足的モジュール365S1などを備え、正常な機能化に不可欠ではない機能装置の特定の補足的な機能特徴と関連している。これは、少なくとも1つの補足的モジュールが、マスターモジュールではなく、装置部分に対して補足的な通信リンクをもたらすように操作可能である点において、図6の装置とは異なっている。通信手段は、全体として、前記補足的なモジュールと装置部分との間の通信リンクの不在に応答し、関連する補足的な機能特徴を阻止している。
前述した実施形態では、全て、装置の正常な機能化をもたらすために、対のユーザ部分と装置部分との間に、直接、通信リンクが確立されている。
前述したように、装置部分が一般的にその装置部分を収納するのに十分大きい車両(又は他の装置)に関連するか又は大きい貯蔵能力の電源に接続される場合、ユーザ部分は、最小寸法を有し、従って、最小の内蔵電力貯蔵能力と低送信電力を有することが、好ましい。装置部分を低電力ユーザ部分からの信号の受信に対する最大の感度を有するように設計し、装置送信手段の電力を(必要に応じて)最大にし、ユーザ部分への電力負担を低減するのが好ましい。
ユーザ部分に対するこのような要望の達成をさらに容易にするために、本発明による認証システムの第6実施形態306を概略的ブロック図で示す図8について説明する。ここでは、通信手段326は、前述した部分362と342に対応するユーザ部分366と装置部分346に加えて、リレー部分806を備えている。リレー部分806は、それらの部分間において、通信リンクに関連して配置されるように構成されている。少なくともユーザ部分366と、好ましくは、装置部分346は、通信リンクを直接確立するのに優先して、リレー部分を介して、識別情報を転送するように構成されている。
図示されるように、リレー部分は、運転中、認証ユーザ12に保持されるように構成され、ユーザ部分366よりも人目に付いてもよい。このリレー部分は、より強力なバッテリ電源と送信手段を備え、必要に応じて、ユーザ部分への距離に比べて長い装置部分への距離にわたって通信するための受信手段を備え、これによって、ユーザ部分がさらに小さく、より人目につかずに保持されることを可能にしている。
リレー部分は、認証ユーザの物理的な制御下にあり、有利には、携帯電話装置のような付加的な機能装置を備えているとよい。この付加的な機能装置は、リレー部分に必要とされる要素の多くを本質的に含んでいる。ここで、ハイジャッカーによって車両から強制的に立ち退かされるときのみならず、その装置がユーザによって車両から遠くに運ばれるときも、ユーザは、その装置から離されるおそれがある。
従って、通信リンクは、ユーザ部分からリレー部分、及びリレー部分から装置部分への通信によって、もたらされる。従って、もしリレーを保持する認証ユーザによって、このようなリンクを確立し、装置の機能を正しく開始した場合、ユーザ部分とリレー部分のいずれか又は両方が装置部分から離れるか又は互いに離れることによって生じるリンクの中断によって、車両の機能化の遅延阻止が生じることになる。
基本的に、リレー部分がユーザ部分から装置部分への送信に関連して存在することにのみ必要とされるが、リンクが双方向性を有し、送信に固有の識別情報を含んでいる限り、リレー部分は少なくともユーザ部分との完全な双方向通信を含んでいるのが好ましく、多くの携帯電話はすでに前述のブルートゥース技術を用いてローカル装置との通信が可能とされている。しかし、通信手段は、リレー部分の存在にもかかわらず、ユーザ部分及び装置部分間のいかなる通信リンクもこのようなリレー部分の存在に依存しないように、すなわち、もしリレー部分が存在して機能している場合、そのリレー部分は通信リンクの確立に用いられるが、もしリレー部分が存在せずに機能していない場合、装置部分とユーザ部分が直接通信するように構成されているとよい。必要に応じて、リレー部分は、ユーザ部分と装置部分からの通信経路の一部を構成し、電力の拘束の少ない装置部分が、ユーザ部分に直接送信することが、理解されるだろう。
車両から離れるとき、通常は認証ユーザの体に保持される機能携帯電話などは、認証ユーザが車両内にいるとき、認証ユーザの体よりもむしろその近くに配置されていてもよい。にもかかわらず、携帯電話は、その携帯電話と車両の両方の機能性に悪影響を与えることなく、リレー部分として用いられている。
リレー部分として用いられるのに適した付加的な機能装置は、いわゆるハンドヘルド又はラップトップコンピュータ、時計、又は娯楽機器を含んでいてもよい。これらは、いずれも認証ユーザによって保持され、持ち去られる可能性がある。このような機器は、前述したように、ブルートゥース又は類似のシステムを用いる無線ピアツーピアネットワークに用いられる場合、特に適している。このようなリレー部分は、勿論、リレー部分として操作される以外の機能を有していなくてもよい。
車両としての機能装置及びその装置との通信リンクを形成するリンク部分としての「付加的な」機能装置の上記の説明にもかかわらず、通常は認証ユーザによって保持されるこのような付加的な機能及び通信装置は、リレー部分と関連して又は単独で、認証システムに対する機能装置を構成し得るものである。すなわち、通常は認証ユーザによって使用可能な機能状態で保持されているこのような携帯電話、コンピュータ、時計などは、装置部分を構成し、直接又は他のこのような機能装置を介して、人目に付かずに保持されているユーザ部分との通信リンクを形成し得るようになっている。これによって、認証ユーザがこの付加的な機能装置又は任意の機能装置から離れ、その機能化の遅延阻止をもたらすことになる。前述した装置の性質に依存して、遅れの持続時間は、認証ユーザがそのような装置の強奪から遠ざかることを許容するように、選択される。さらに、遅延の開始は、電話通信可能な装置によって、所定のメッセージを伴う所定の番号(場合によっては、加入を取り消すために、当局又はネットワーク管理人)の呼出しをさせてもよい。また、機能の中断は、機能性の永久的な排除、例えば、携帯電話ネットワークSIMカードの破棄を含んでもよい。
移動可能な機能装置が、泥棒によって、認証ユーザから持ち去られる場合に加えて、そのような認証ユーザが、そのような機能装置を停止させ、不注意によって、許容される作用関係を超えて、その近傍から離れる場合もしばしばある。しかし、多くの場合、機能していない装置から離れる場合と、キー装置又は相当するコードやパスワードが適用されている限りにおいて、認証されていない者が、その機能を用いて、多くの場合、そこから情報を引き出し、場合によっては、持ち去ることを許容するような装置から離れる場合との間には、著しい差がある。
同様の状況が、操作者/認証ユーザによって機能され、その操作者/認証ユーザが、不注意によって、許容される作用距離を越え、悪用、例えば、物理的又は知的内容物の取り出しに対して、無防備に放置しているような可動性のない装置に対しても、適用されることが理解されるだろう。従って、本発明によれば、どのような機能装置であろうと、もし空間的及び/又は時間的包絡域を超えてそれらの間の通信リンクが中断する程度まで、認証ユーザが機能装置から離れた場合、少なくともその装置は、認証されていない者に利得を与えるような機能を中断することになる。認証ユーザが強奪によって装置から離されている可能性が少ない状況では、装置部分は、通信リンクの再確立に応じて、遅延阻止を中止するように適切に構成されている。これは、認証ユーザの意識的な操作を介さずになされる。代替的に、認証ユーザが、装置の機能化の中止の抑止力として、いくつかの部分的又は完全な再認証を行なう必要があるように、構成されていてもよい。
さらに、前述の自動車以外の装置は、マスターモジュールと補足的モジュールによって、作動するように構成されていてもよい。この場合、関連する1つ又は多数のモジュールを保持する適切な認証ユーザは、マスターモジュールによって与えられる基本的な機能性を超えて、もしそれらのモジュールがなければ使用不可能な機能に、アクセスすることが可能になっている。