JP2006281372A - 転削用工具、チップホルダおよびスローアウェイチップ - Google Patents
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Abstract
【課題】 製造コストを高くすることなく、適用範囲を大きくすることができる転削用工具、チップホルダおよびスローアウェイチップを提供する。
【解決手段】 チップ23は、チップホルダ22に装着される。チップホルダ22とチップ23との間には、嵌込部材100,101が設けられる。チップホルダ22は、ホルダ側嵌込凹部112,113を有する。チップ23は、チップ側嵌込凹部102,103を有する。嵌込部材100,101は、ホルダ嵌込部分121,122とチップ嵌込部分123,124とを有する。ホルダ嵌込部分121,122は、ホルダ側嵌込凹部112,113に嵌め込まれる。チップ嵌込部分123,124は、ホルダ嵌込部分121,122に連なり、ホルダ嵌込部分121,122がホルダ側嵌込凹部112,113に嵌め込まれた状態でチップホルダ22から突出し、チップ側嵌込凹部102,103に嵌め込まれる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、被削材を切削加工するための転削用工具、ならびに転削用工具を構成するチップホルダおよびスローアウェイチップに関する。
図13は、従来の技術のエンドミル1を示す側面図である。転削用工具であるエンドミル1は、略円筒状に形成されるチップホルダ2と、チップホルダ2に着脱可能に装着されるスローアウェイチップ3とを含む。スローアウェイチップ3(以下、単にチップ3と称する)は、切刃11,12を有する。チップ3は、切刃11,12がチップホルダ2の外周面および端面から突出した状態で、チップホルダ2の先端部に装着される。外周面から突出する切刃11は、主切刃となり、端面から突出する切刃12は、副切刃となる。チップ3は、たとえばねじ部材によってチップホルダ2に締結されて、装着される。
このようなエンドミル1は、チップホルダ2の軸線L1まわりに回転しながら被削材に接触し、切刃11,12によって被削材を断続切削することができる。これによって被削材を予め定める形状に切削加工することができる。チップ3の切刃11,12が摩耗または折損した場合には、切刃11,12が摩耗または折損したチップ3に代えて、新しいチップ3をチップホルダ2に装着することによって、エンドミル1の切削能力を回復させることができる。
このような従来の技術では、チップ3がチップホルダ2に装着されるにあたって、チップ3がチップホルダ2にねじ部材によって締結されるだけであるので、エンドミル1を高速回転させる場合、あるいは切削抵抗が大きい場合は、チップ3がチップホルダ2に対してずれてしまうという問題がある。この問題を解決するための技術は、特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1に開示される技術では、チップホルダである工具本体には、凹溝が形成され、前記凹溝には係合面が形成される。スローアウェイチップであるカートリッジには、凸部が形成され、前記凸部には係合面が形成される。カートリッジの凸部における係合面は、工具本体の凹溝における係合面と係合する。これによって工具本体に対するカートリッジの位置ずれが防がれる。
特許文献2に開示される技術では、チップホルダであるロケータには、チップ係合部が形成される。スローアウェイチップであるチップには、凸部が形成される。チップは、凸部がチップ係合部に係合した状態でロケータに取り付けられる。これによってロケータに対するチップの位置ずれが防がれる。
特許文献3に開示される技術では、スローアウェイチップであるチップのチップ底面には、直線状凹部が形成される。チップホルダである工具本体のチップ座底面には、チップ底面の直線状凹部に適合するチップ座底面凸部が形成される。これによって工具本体に対するチップの位置ずれが防がれる。
図13に示す従来の技術では、前述のように、エンドミル1を高速回転させる場合、あるいは切削抵抗が大きい場合は、チップ3がチップホルダ2に対してずれてしまう。したがってエンドミル1を高速回転させる場合、あるいは切削抵抗が大きい場合は、エンドミル1を適用することができないので、エンドミル1の適用範囲が小さいという問題がある。
特許文献1に開示される技術では、カートリッジに凸部が形成される必要がある。カートリッジに凸部を形成することは、カートリッジに凹部を形成することに比べて、困難である。すなわち、凹部を形成する場合には平面に穴等の凹部を穿孔するだけでよいが、凸部を形成する場合には凸部に対応する形状を有した金型を用いて成形するか、凸部のみが残るようにその周囲を削るような加工が必要になる。したがってカートリッジの製造が困難となり、カートリッジの製造コストが高くなるという問題がある。
特許文献2に開示される技術では、チップに凸部が形成される必要がある。したがって前記特許文献1に開示される技術と同様の問題がある。
特許文献3に開示される技術では、工具本体のチップ座底面にチップ座底面凸部が形成される必要がある。チップ座底面に凸部を形成することは、チップ座底面に凹部を形成することに比べて、困難である。したがって工具本体の製造が困難となり、工具本体の製造コストが高くなるという問題がある。
本発明の目的は、製造コストを高くすることなく、適用範囲を大きくすることができる転削用工具、チップホルダおよびスローアウェイチップを提供することである。
本発明は、回転軸線まわりに回転されるチップホルダと、
切刃が形成され、前記チップホルダから該チップホルダの回転半径方向外方へ前記切刃が突出した状態で、チップホルダに装着されるスローアウェイチップと、
前記チップホルダと前記スローアウェイチップとの間に設けられる嵌込部材とを備え、
前記チップホルダは、前記嵌込部材が嵌め込まれるホルダ側嵌込凹部を有し、
前記スローアウェイチップは、前記嵌込部材が嵌め込まれるチップ側嵌込凹部を有し、
前記嵌込部材は、前記ホルダ側嵌込凹部に嵌め込まれるホルダ嵌込部分と、該ホルダ嵌込部分に連なり、ホルダ嵌込部分が前記ホルダ側嵌込凹部に嵌め込まれた状態で前記チップホルダから突出し、チップ側嵌込凹部に嵌め込まれるチップ嵌込部分とを有することを特徴とする転削用工具である。
切刃が形成され、前記チップホルダから該チップホルダの回転半径方向外方へ前記切刃が突出した状態で、チップホルダに装着されるスローアウェイチップと、
前記チップホルダと前記スローアウェイチップとの間に設けられる嵌込部材とを備え、
前記チップホルダは、前記嵌込部材が嵌め込まれるホルダ側嵌込凹部を有し、
前記スローアウェイチップは、前記嵌込部材が嵌め込まれるチップ側嵌込凹部を有し、
前記嵌込部材は、前記ホルダ側嵌込凹部に嵌め込まれるホルダ嵌込部分と、該ホルダ嵌込部分に連なり、ホルダ嵌込部分が前記ホルダ側嵌込凹部に嵌め込まれた状態で前記チップホルダから突出し、チップ側嵌込凹部に嵌め込まれるチップ嵌込部分とを有することを特徴とする転削用工具である。
また本発明は、前記嵌込部材は、棒状であり、軸方向の一方側が前記ホルダ嵌込部分であり、軸方向の他方側が前記チップ嵌込部分であることを特徴とする。
また本発明は、前記嵌込部材は略円柱状であり、前記ホルダ側嵌込凹部の内面およびチップ側嵌込凹部の内面は、前記嵌込部材の外周面と対応する内周面を有していることを特徴とする。
また本発明は、前記嵌込部材は、略円柱状であり、前記嵌込部材の軸方向が前記回転半径方向と略垂直になるように配置されていることを特徴とする。
また本発明は、前記ホルダ側嵌込凹部およびチップ側嵌込凹部のいずれか一方には、雌ねじが形成され、
前記ホルダ嵌込部分およびチップ嵌込部分のいずれか一方には、前記雌ねじに螺合する雄ねじが形成されることを特徴とする。
前記ホルダ嵌込部分およびチップ嵌込部分のいずれか一方には、前記雌ねじに螺合する雄ねじが形成されることを特徴とする。
また本発明は、前記転削用工具に用いられることを特徴とするチップホルダである。
また本発明は、前記転削用工具に用いられることを特徴とするスローアウェイチップである。
また本発明は、前記転削用工具に用いられることを特徴とするスローアウェイチップである。
請求項1記載の本発明によれば、チップホルダにチップが装着されて、転削用工具が構成される。チップホルダは、回転軸線まわりに回転される。チップは、切刃が形成される。このチップは、チップホルダからチップホルダの回転半径方向外方へ前記切刃が突出した状態で、チップホルダに装着される。
このような転削用工具は、回転軸線まわりに回転しながら被削材に接触し、切刃によって被削材を断続切削することができる。これによって被削材を予め定める形状に切削加工することができる。切刃が摩耗または折損した場合には、切刃が摩耗または折損したチップに代えて、新しいチップをチップホルダに装着することによって、転削用工具の切削能力を回復させることができる。
チップホルダとチップとの間には、嵌込部材が設けられる。嵌込部材は、ホルダ嵌込部分とチップ嵌込部分とを有する。ホルダ嵌込部分は、チップホルダのホルダ側嵌込凹部に嵌め込まれる。チップ嵌込部分は、ホルダ嵌込部分に連なり、ホルダ嵌込部分がホルダ側嵌込凹部に嵌め込まれた状態でチップホルダから突出し、チップのチップ側嵌込凹部に嵌め込まれる。
このような嵌込部材が設けられることによって、転削用工具を高速回転させる場合、あるいは切削抵抗が大きい場合であっても、チップホルダに対するチップの位置ずれを防ぐことができる。したがって転削用工具を高速回転させる場合、あるいは切削抵抗が大きい場合であっても、転削用工具を適用することができ、転削用工具の適用範囲を大きくすることができる。
嵌込部材は、チップホルダおよびチップとは別に形成される。チップホルダには、ホルダ側嵌込凹部が形成されるだけでよく、位置ずれ防止用の凸部が形成される必要がない。チップには、チップ側嵌込凹部が形成されるだけでよく、位置ずれ防止用の凸部が形成される必要がない。凹部を形成することは、凸部を形成することに比べて、容易である。したがって前記特許文献1〜3に開示される技術に比べて、チップホルダおよびチップの製造を容易化して、製造コストを低くすることができる。
このような本発明では、製造コストを高くすることなく、転削用工具の適用範囲を大きくすることができる。
チップホルダとチップとの間に、嵌込部材を設けるか否かによって、用途に応じた使い分けを実現することができる。切削条件が厳しい場合は、チップホルダとチップとの間に嵌込部材を設けることによって、チップホルダに対するチップの位置ずれを確実に防ぐことができる。切削条件が厳しくない場合、チップホルダとチップとの間に、嵌込部材を設けなくてもよい。これによって装着作業のときに、嵌込部材の取り付けに要する手間を削減し、チップホルダへのチップの装着を容易化することができるとともに、このような場合には凹部を有していないチップを使用することもできるので、汎用性が向上する。一方、特許文献1〜3に開示されている技術では、凹部または凸部に係合するような専用のチップが必要となるので、汎用性に欠ける。
請求項2記載の本発明によれば、嵌込部材が棒状であり、軸方向の一方側が前記ホルダ嵌込部分で、軸方向の他方側が前記チップ嵌込部分であるので、切削抵抗が大きい場合であっても、チップホルダに対するチップの位置ずれをより確実に防ぐことができる。
請求項3記載の本発明によれば、嵌込部材は略円柱状であり、ホルダ側嵌込凹部の内面およびチップ側嵌込凹部の内面は、前記嵌込部材の外周面と対応する内周面(円筒面状の内周面)を有しているので、前記各内面がその他の形状、たとえば四角筒面状である場合に比べて、応力集中が抑えられる。したがってチップホルダおよびチップの破損を防ぐことができる。
また各内面を円筒形状に形成することは、各内面をその他の形状に形成することに比べて、容易である。したがってチップホルダおよびチップの製造をさらに容易化して、製造コストをさらに低くすることができる。
請求項4記載の本発明によれば、嵌込部材の軸方向がチップホルダの回転半径方向と略垂直になるように配置されているので、嵌込部材がチップホルダに対して回転半径方向外方へ変位することが阻止される。したがって回転による遠心力に起因してチップがチップホルダに対して回転半径方向外方へ変位してしまうという不具合を防ぐことができる。
請求項5記載の本発明によれば、ホルダ側嵌込凹部およびチップ側嵌込凹部のいずれか一方には、雌ねじが形成される。ホルダ嵌込部分およびチップ嵌込部分のいずれか一方には、前記雌ねじに螺合する雄ねじが形成される。これによってホルダ側嵌込凹部およびチップ側嵌込凹部のいずれか一方に、嵌込部材を螺着することができる。したがってチップホルダにチップを装着する装着作業のときに、ホルダ側嵌込凹部およびチップ側嵌込凹部のいずれか一方に、嵌込部材を予め螺着しておくことによって、嵌込部材の落下を防ぐことができ、チップホルダへのチップの装着を容易化することができる。
請求項6記載の本発明によれば、チップホルダとチップとの間に嵌込部材が設けられることによって、チップホルダに対するチップの位置ずれを防ぐことができ、転削用工具の適用範囲を大きくすることができる。チップホルダには、ホルダ側嵌込凹部が形成されるだけでよく、位置ずれ防止用の凸部が形成される必要がないので、チップホルダの製造を容易化して、製造コストを低くすることができる。このような本発明では、製造コストを高くすることなく、転削用工具の適用範囲を大きくすることができる。
請求項7記載の本発明によれば、チップホルダとチップとの間に嵌込部材が設けられることによって、チップホルダに対するチップの位置ずれを防ぐことができ、転削用工具の適用範囲を大きくすることができる。チップには、チップ側嵌込凹部が形成されるだけでよく、位置ずれ防止用の凸部が形成される必要がないので、チップの製造を容易化して、製造コストを低くすることができる。このような本発明では、製造コストを高くすることなく、転削用工具の適用範囲を大きくすることができる。
図1は、本発明の実施の一形態のエンドミル20の一部を拡大して示す側面図である。図2は、エンドミル20の一部を拡大して示す斜視図である。図3は、エンドミル20を示す側面図である。転削用工具であるエンドミル20は、切刃30,31が形成されるスローアウェイチップ23と、スローアウェイチップ23が着脱可能に装着されるチップホルダ22と、スローアウェイチップ23とチップホルダ22との間に設けられ、棒状、具体的には略円柱状の一対の嵌込部材100,101とを含む。
本実施の形態では、チップホルダ22は、多数、具体的には3つのスローアウェイチップ23(以下、単にチップ23と称する)が装着可能に構成される。エンドミル20は、チップホルダ22に各チップ23が装着されて、構成される。
チップホルダ22は、略円柱状に形成される。チップホルダ22の基端部には、フライス盤に保持される被保持部28が形成される。チップホルダ22の先端部には、チップ23が装着される装着部24が形成される。チップホルダ22は、このチップホルダ22の軸線L1(以下、単に軸線L1と称する)と共通な一直線を成す回転軸線まわりに回転される。
以下、チップホルダ22の軸線方向Xのうち、チップホルダ22の基端部から先端部に向かう方向を軸線方向一方X1と称し、チップホルダ22の先端部から基端部に向かう方向を軸線方向他方X2と称する。チップホルダ22の回転半径方向である半径方向Yのうち、軸線L1に近づく方向を半径方向内方Y1と称し、軸線L1から遠ざかる方向を半径方向外方Y2と称する。
チップ23は、チップホルダ22の外周面32および端面33から切刃30,31が突出した状態で、チップホルダ22の装着部24に装着される。言い換えると、チップ23は、チップホルダ22から半径方向外方Y2および軸線方向一方X1へ切刃30,31が突出した状態で、チップホルダ22の装着部24に装着される。
フライス盤は、クランプした被削材と保持したエンドミル20とを相対的に移動駆動する移動駆動手段と、保持したエンドミル20を軸線L1まわりに回転駆動する回転駆動手段とを含む。エンドミル20は、軸線L1まわりに回転しながら被削材に接触し、切刃30,31によって被削材を断続切削することができる。これによって被削材を予め定める形状に切削加工することができる。たとえばエンドミル20を用いて、被削材に溝加工および段つき加工などを施すことができる。チップ23の切刃30,31が摩耗または折損した場合には、切刃30,31が摩耗または折損したチップ23に代えて、新しいチップ23をチップホルダ22に装着することによって、エンドミル20の切削能力を回復させることができる。
図4は、チップ23の上面部87を示す斜視図である。図5は、チップ23の底面部39を示す斜視図である。図6は、チップ23を示す底面図である。チップ23は、大略的に板状に形成される。チップ23をこのチップ23の厚み方向Aに垂直な投影面に投影したとき、その投影面において、チップ23は、略平行四辺形状であり、2組の対辺のうち、一方の対辺が他方の対辺よりも長い。以下、前記投影面内でチップ23の一方の対辺が延びる方向を長手方向Bと称する。また前記投影面内で長手方向Bに垂直な方向を幅方向Cと称する。
チップ23は、厚み方向Aに貫通する貫通孔50が形成される貫通孔形成部を有する。貫通孔形成部の、貫通孔50に臨む内面は、円筒面状である。貫通孔50の軸線は、厚み方向Aに延びる。貫通孔50は、長手方向Bおよび幅方向Cにおける中央位置に配置される。貫通孔50は、チップ23をチップホルダ22に固定するための孔となる。
本実施の形態では、チップ23は、貫通孔50の軸線を基準軸線L2として、その基準軸線L2に関して180度回転対称形状、言い換えると2回回転対称形状である。したがって任意の方向からチップ23を見たときに、基準軸線L2まわりに180度回転させた状態と、回転させる前の状態とで、チップ23は同一の形状となる。
チップ23の厚み方向一方A1側の上面部87には、切刃30,31が形成される。具体的には、上面部87のうち互いに対向する一対の長辺部分60,61の縁辺には、第1切刃30がそれぞれ形成される。上面部87のうち互いに対向する一対の短辺部分62,63の縁辺には、第2切刃31がそれぞれ形成される。各切刃30,31は、チップ23の上面と側面とが交差する交差稜となる。チップ23がチップホルダ22に装着された装着状態で、2つの第1切刃30のいずれか一方は、チップホルダ22の外周面32から突出する主切刃となり、2つの第2切刃31のいずれか一方は、チップホルダ22の端面33から突出する副切刃となる。
以下、長手方向Bのうち、第2短辺部分63から第1短辺部分62に向かう方向を長手向一方B1とし、第1短辺部分62から第2短辺部分63に向かう方向を長手方向他方B2とする。幅方向Cのうち、第2長辺部分61から第1長辺部分60に向かう方向を幅方向一方C1とし、第1長辺部分60から第2長辺部分61に向かう方向を幅方向他方C2とする。
チップ23の厚み方向他方A2側の底面部39は、底面86が平坦状に形成される。底面部39は、一対のチップ側嵌込凹部102,103を有する。チップ側嵌込凹部102,103には、嵌込部材100,101が嵌め込まれるチップ側嵌込凹所104,105が形成される。チップ側嵌込凹部102,103の、チップ側嵌込凹所104,105に臨む内面は、円筒面状であり、嵌込部材100,101の外周面に対応する内周面を有している。
各チップ側嵌込凹所104,105は、長手方向Bに並ぶように配置される。一方のチップ側嵌込凹所104は、幅方向Cにおける中央位置で、貫通孔50に関して長手方向一方B1側に配置される。他方のチップ側嵌込凹所105は、幅方向Cにおける中央位置で、貫通孔50に関して長手方向他方B2側に配置される。各チップ側嵌込凹所104,105の軸線L3,L4は、基準軸線L2に平行であり、基準軸線L2からの距離が同一である。
図7は、チップホルダ22を拡大して示す斜視図である。以下、軸線L1まわりの周方向Rのうち、エンドミル20の回転方向を周方向一方R1と称し、エンドミル20の回転方向の反対方向を周方向他方R2と称する。
チップホルダ22の先端部には、チップホルダ22の外周面32および端面33から没入する溝27が形成される。この溝27は、スローアウェイチップ収容空間26と、スローアウェイチップ収容空間26に隣接する切り屑収容空間25とを含む空間である。スローアウェイチップ収容空間26は、チップ23のほぼ全体が収容される空間となる。切り屑収容空間25は、チップ23によって削り取られた切り屑を一時的に収容する空間となる。
溝27のうち、周方向一方R1側の領域が切り屑収容空間25となり、周方向他方R2側の領域がスローアウェイチップ収容空間26となる。本実施の形態では、切り屑収容空間25は、スローアウェイチップ収容空間26よりも軸線方向他方X2に延びて、外方に開放される。チップ23の切刃30,31によって被削材から分離された切り屑は、切り屑収容空間25に収容されたあと、切り屑収容空間25に収容された状態で、軸線L1まわりに角変位し、切り屑収容空間25の開口から脱出する。
チップホルダ22は、スローアウェイチップ収容空間26を規定するスローアウェイチップ収容空間形成部と、切り屑収容空間25を規定する切り屑収容空間形成部とを有する。
スローアウェイチップ収容空間形成部である装着部24は、溝27に対して周方向他方R2の表面となる着座面40と、着座面40に隣接して着座面40に対して周方向一方R1に立設する2つの側面41,42とを有する。
着座面40は、チップホルダ22の端面33から屈曲して軸線方向他方X2に延びるとともに、チップホルダ22の外周面32から屈曲して半径方向内方Y1に延びる。着座面40は、チップホルダ22の軸線方向他方X2に進むにつれて、周方向他方R2に傾斜する。これによってポジティブ方向のアキシャルレーキ、言い換えると正の軸線方向のすくい角を主切刃に付与することができる。
2つの側面41,42のうち一方となる第1側面41は、着座面40の半径方向内方Y1側の縁辺に隣接し、着座面40に対して周方向一方R1に立設する。2つの側面41,42のうち他方となる第2側面42は、着座面40の軸線方向他方X2側の縁辺に隣接し、着座面40に対して周方向一方R1に立設する。各側面41,42は、チップホルダ22にチップ23が装着された装着状態で、2つの第1切刃30のうち主切刃とならない第1切刃30および2つの第2切刃31のうち副切刃とならない第2切刃31が、各側面41,42に接触しないように、部分的に退避する。
装着部24の着座面40が形成される着座面部111は、着座面40から周方向他方R2に没入するねじ孔29が形成されるねじ孔形成部を有する。ねじ孔形成部の、ねじ孔29に臨む内面は、円筒面状である。ねじ孔29の軸線L7は、半径方向Yと略垂直である。ねじ孔形成部には、雌ねじが形成される。ねじ孔29は、チップ23をチップホルダ22に固定するための凹所となる。
着座面部111は、一対のホルダ側嵌込凹部112,113を有する。ホルダ側嵌込凹部112,113には、嵌込部材100,101が嵌め込まれるホルダ側嵌込凹所114,115が形成される。ホルダ側嵌込凹所114,115の、ホルダ側嵌込凹所114,115に臨む内面は、円筒面状であり、嵌込部材100,101の外周面に対応する内周面を有している。
各ホルダ側嵌込凹所114,115は、軸線方向Xに並ぶように配置される。一方のホルダ側嵌込凹所114は、半径方向Xに関する位置がねじ孔29と同一であり、ねじ孔29に関して軸線方向一方X1側に配置される。他方のホルダ側嵌込凹所115は、半径方向Xに関する位置がねじ孔29と同一であり、ねじ孔29に関して軸線方向他方X2側に配置される。各ホルダ側嵌込凹所114,115の軸線L5、L6は、ねじ孔29の軸線L7に平行であり、ねじ孔29の軸線L7からの距離が同一である。各ホルダ側嵌込凹所114,115の軸線L5、L6の、ねじ孔29の軸線L7からの距離は、各チップ側嵌込凹所104,105の軸線L3,L4の、基準軸線L2からの距離と同一である。
切り屑収容空間形成部は、前記第1側面41に隣接して周方向一方R1に延びてチップホルダ22の外周面32に連なる第1壁面43と、前記第2側面42に隣接して第2側面42から軸線方向他方X2に延びる第2壁面44と、第2壁面44に隣接して第2壁面44から周方向一方R1に延びてチップホルダ22の外周面32に連なる第3壁面45とを有する。
溝27は、着座面40、各側面41,42および各壁面43,44,45で囲まれた領域である。溝27は、軸線L1に垂直な断面が大略的に扇形である。チップホルダ22の先端部には、上述のような溝27が周方向Rに間隔をあけて複数、形成される。周方向Rに隣接する2つの溝27間の部分である凸部46は、周方向Rに間隔をあけて複数、形成される。各凸部46は、半径方向内方部分47から半径方向外方Y2へ突出する。各凸部46は、前記装着部24を有する。
図8は、図2の切断面線S8−S8から見た断面図である。図1〜図3をも参照して説明する。エンドミル20は、チップホルダ22の各装着部24に各チップ23がそれぞれ装着されて、構成される。
チップ23が装着部24に装着された装着状態では、チップ23の底面86が装着部24の着座面40に当接する。貫通孔50の軸線となる基準軸線L2と、ねじ孔29の軸線L7とは一致する。各チップ側嵌込凹所104,105の軸線L3,L4と、各ホルダ側嵌込凹所114,115の軸線L5,L6とはそれぞれ一致する。
チップ23の大部分は、溝27に収容される。チップ23の厚み方向Aは、大略的にチップホルダ22の周方向Rに平行である。チップ23の長手方向Bは、大略的にチップホルダ22の軸線方向Xに平行である。チップ23の幅方向Cは、大略的にチップホルダ22の半径方向Yに平行である。
チップ23の一方または他方の第1切刃30は、チップホルダ22の外周面32から半径方向外方Y2に、予め定める突出量で突出する。前記一方または他方の第1切刃30は主切刃となる。チップ23の一方または他方の第2切刃31は、チップホルダ22の端面33から軸線方向一方X1に、予め定める突出量で突出する。前記一方または他方の第2切刃31は副切刃となる。
チップ23は、ねじ部材129によって、装着部24の着座面部111に締結される。ねじ部材129は、ねじ部130と頭部131とを有する。ねじ部130には、着座面部111のねじ孔形成部に形成される雌ねじに螺合する雄ねじが形成される。頭部131は、ねじ部130よりも大径であり、ねじ部130の一端部に連なる。ねじ部材129は、ねじ部130がチップ23の貫通孔50を挿通して、頭部131と着座面部111とによってチップ23が挟まれた状態で、ねじ孔形成部に螺着される。
チップ23と装着部24との間には、一対の嵌込部材100,101が設けられる。嵌込部材100,101は、円柱状の部材である。嵌込部材100,101の外径D1は、ねじ部材129の外径D2よりも小さい。嵌込部材100,101は、嵌込部材100,101の軸方向が半径方向Yと略垂直になるように配置されている。
嵌込部材100,101は、軸方向の一方側の部分であるホルダ嵌込部分121,122と、軸方向の他方側の部分であるチップ嵌込部分123,124とを有する。ホルダ嵌込部分121,122は、ホルダ側嵌込凹所114,115に嵌め込まれる。チップ嵌込部分123,124は、ホルダ嵌込部分121,122に連なり、ホルダ嵌込部分121,122がホルダ側嵌込凹所114,115に嵌め込まれた状態でチップホルダ22の着座面40から周方向一方R1へ突出し、チップ側嵌込凹所104,105に嵌め込まれる。ホルダ嵌込部分121,122の長手寸法W1は、チップ嵌込部分123,124の長手寸法W2よりも大きい。
ホルダ側嵌込凹部112,113は、半径方向外方Y2から、ホルダ嵌込部分121,122に当接するホルダ側当接面を有する。チップ側嵌込凹部102,103は、半径方向内方Y1から、チップ嵌込部分123,124に当接するチップ側当接面を有する。
図9は、チップ23を示す正面図である。図10は、チップ23を示す右側面図である。図11は、チップ23を示す平面図である。図4〜図6をも参照して説明する。第1切刃30は、長辺部分60,61の長手方向Bのほぼ全域にわたって形成される。第2切刃31は、短辺部分62,63の一部分に形成される。
本実施の形態では、チップ23をこのチップ23の厚み方向Aに垂直な投影面に投影したとき、前記投影面において各第1切刃30が延びる第1方向は、長手方向Bと一致し、前記投影面において各第2切刃31が延びる第2方向は、幅方向Cと一致する。
第1短辺部分62に形成される一方の第2切刃31Aは、第1長辺部分60に形成される一方の第1切刃30Aの長手方向一方B1側の端部に連なり、幅方向他方C2に延びる。第2短辺部分63に形成される他方の第2切刃31Bは、第2長辺部分61に形成される他方の第1切刃30Bの長手方向他方B2側の端部に連なり、幅方向一方C1に延びる。第1切刃30と第2切刃31とは、コーナ部68を介して連なる。コーナ部68には、予め定める曲率半径の円弧に沿って延びるコーナ切刃が形成される。このコーナ切刃は、第1切刃30と第2切刃31とを連結する。
短辺部分62,63のうち、第2切刃31が形成されていない非切刃形成縁辺69は、第2切刃31から第2切刃31と反対側の長辺部分60,61の縁辺に連なる。この非切刃形成縁辺69は、第2切刃31から長辺部分60,61の縁辺に進むにつれて、第2切刃31に対して長手方向Bに退避するように傾斜する。すなわち第1短辺部分62に形成される一方の非切刃形成縁辺69Aは、一方の第2切刃31Aから幅方向他方C2に進むにつれて、長手方向他方B2に進み、他方の第1切刃30Bに連なる。第2短辺部分63に形成される他方の非切刃形成縁辺69Bは、他方の第2切刃31Bから幅方向一方C1に進むにつれて、長手方向一方B1に進み、一方の第1切刃30Aに連なる。これらの非切刃形成縁辺69A,69Bは、互いに平行に延びる。
第2切刃31は、厚み方向Aに垂直な平面に沿って幅方向Cに延びる。非切刃形成縁辺69は、第2切刃31から第1切刃30に向かって進むにつれて、厚み方向他方A2に向かって傾斜する。すなわち一方の非切刃形成縁辺69Aは、幅方向他方C2に進むにつれて、厚み方向他方A2に進む。他方の非切刃形成縁辺69Bは、幅方向一方C1に進むにつれて、厚み方向他方A2に進む。長手方向Bに垂直な投影面にチップ23を投影した場合に、各第2切刃31は最も厚み方向一方A1にそれぞれ配置され、各第1切刃30は最も幅方向C外側にそれぞれ配置される。
一方の第1切刃30Aは、長手方向一方B1側のほうが長手方向他方B2側よりも、厚み方向一方A1にずれて形成される。他方の第1切刃30Bは、長手方向他方B2側のほうが長手方向一方B1側よりも厚み方向一方A1にずれて形成される。本実施の形態では、各第1切刃30は、コーナ部68から非切刃形成縁辺69に向かって進むにつれて、厚み方向他方A2に向かって滑らかに傾斜する。すなわち一方の第1切刃30Aは、長手方向他方B2に進むにつれて、厚み方向他方A2に傾斜する。他方の第1切刃30Bは、長手方向一方B1に進むにつれて、厚み方向他方A2に傾斜する。
チップ23の上面部87を一周する縁辺のうちで、第1切刃30と第2切刃31とを連結するコーナ部68が最も厚み方向一方A1に位置し、第1切刃30と非切刃形成縁辺69とが連結される連結部分67が最も厚み方向他方A2に位置する。本実施の形態では、チップ23の上面は、大略的に、基準軸線L2を挟んで対角位置に位置する2つの前記連結部分67を結ぶ直線状の部分から各コーナ部68に進むにつれて、厚み方向一方A1に向かって傾斜する。言い換えると、各コーナ部68と基準軸線L2とを通過する切断面でチップ23を切断した場合には、上面は、基準軸線L2近傍から各コーナ部68に向かって、厚み方向一方A1にV字状に立ち上がる。
各長辺部分60,61の上面部87には、第1切刃30から幅方向Cに離反するにつれて、厚み方向他方A2に傾斜する第1すくい面がそれぞれ形成される。各長辺部分60,61の幅方向側面には、第1切刃30から厚み方向他方A2に離反するにつれて、幅方向Cに没入する第1逃げ面がそれぞれ形成される。
各短辺部分62,63は、第2切刃31から長手方向Bに離反するにつれて、厚み方向他方A2に傾斜する第2すくい面がそれぞれ形成される。各短辺部分62,63の長手方向側面には、第2切刃31から厚み方向他方A2に離反するにつれて、長手方向Bに没入する第2逃げ面がそれぞれ形成される。
各長辺部分60,61の各幅方向表面は、長手方向両側の部分が平坦に形成され、長手方向中央部分が長手方向両側の部分に比べて幅方向Cへ突出する。長手方向両側の部分は、チップ23がチップホルダ22に当接するための第1当接面51となる。各短辺部分62,63の長手方向表面は、前記非切刃形成縁辺69から厚み方向他方A2に延びる部分は、チップ23がチップホルダ22に当接するための第2当接面52となる。
このようにチップ23は、厚み方向一方A1から厚み方向他方A2に向かってチップ23を見た平面視において、略平行四辺形をなす本体の側面と上面とで構成される交差稜の角部のうち対角線上に相対する2つの角部にコーナ切刃を形成し、そのコーナ切刃を挟んで両隣に主切刃を形成するための第1切刃30と、副切刃いわゆるさらえ刃を形成するための第2切刃31とを備える。また前記上面の前記第1切刃30に沿う部分には、一定のすくい角が付されたすくい面を備える。第1切刃30は、コーナ切刃から長手方向Bに離れるにつれて、コーナ切刃を含み基準軸線L2に垂直な平面から漸次遠ざかるように傾斜し、いわゆる捩れ角θを有する捩れ形状に形成される。
以上のような本実施の形態によれば、チップホルダ22とチップ23との間に嵌込部材100,101が設けられることによって、エンドミル20を高速回転させる場合、あるいは切削抵抗が大きい場合であっても、チップホルダ22に対するチップ23の位置ずれを防ぐことができる。したがってエンドミル20を高速回転させる場合、あるいは切削抵抗が大きい場合であっても、エンドミル20を適用することができ、エンドミル20の適用範囲を大きくすることができる。
嵌込部材100,101は、チップホルダ22およびチップ23とは別に形成される。チップホルダ22には、ホルダ側嵌込凹所114,115が形成されるだけでよく、位置ずれ防止用の凸部が形成される必要がない。チップ23には、チップ側嵌込凹所104,105が形成されるだけでよく、位置ずれ防止用の凸部が形成される必要がない。凹所を形成することは、凸部を形成することに比べて、容易である。したがって前記特許文献1〜3に開示される技術に比べて、チップホルダ22およびチップ23の製造を容易化して、製造コストを低くすることができる。
このような本実施の形態では、製造コストを高くすることなく、エンドミル20の適用範囲を大きくすることができる。
嵌込部材100,101が棒状であり、軸方向の一方側の部分が前記ホルダ嵌込部分121,122であり、軸方向の他方側の部分が前記チップ嵌込部分123,124であるので、切削抵抗が大きい場合であっても、チップホルダ22に対するチップ23の位置ずれをより確実に防ぐことができる。
ホルダ側嵌込凹部112,113のホルダ側当接面が、半径方向外方Y2から、嵌込部材100,101のホルダ嵌込部分121,122に当接するので、嵌込部材100,101がチップホルダ22に対して半径方向外方Y2へ変位することが阻止される。またチップ側嵌込凹部102,103のチップ側当接面が、半径方向内方Y1から、嵌込部材100,101のチップ嵌込部分123,124に当接するので、チップ23が嵌込部材100,101に対して半径方向外方Y2へ変位することが阻止される。したがって回転による遠心力に起因してチップ23がチップホルダ22に対して半径方向外方Y2へ変位してしまうという不具合を防ぐことができる。
嵌込部材100,101は略円柱状であり、ホルダ側嵌込凹部112,113の内面およびチップ側嵌込凹部102,103の内面は、嵌込部材100,101の外周面と対応する内周面(円筒面状の内周面)を有しているので、前記各内面がその他の形状、たとえば四角筒面状である場合に比べて、応力集中が抑えられる。したがってチップホルダ22およびチップ23の破損を防ぐことができる。
また各内面を円筒形状に形成することは、各内面をその他の形状に形成することに比べて、容易である。したがってチップホルダ22およびチップ23の製造をさらに容易化して、製造コストをさらに低くすることができる。
嵌込部材100,101は、嵌込部材100,101の軸方向がチップホルダ22の半径方向Yと略垂直になるように配置されているので、嵌込部材100,101がチップホルダ22に対して半径方向外方Y2へ変位することが阻止される。したがって回転による遠心力に起因してチップ23がチップホルダ22に対して半径方向外方Y2へ変位してしまうという不具合を防ぐことができる。
チップホルダ22とチップ23との間に嵌込部材100,101が設けられることによって、切削時にねじ部材129に与えられる力を減らすことができる。これによって、チップ23の貫通孔形成部分を小さくすることができ、チップ23を薄形化することができる。
嵌込部材100,101の外径D1は、ねじ部材129の外径D2よりも小さいので、嵌込部材100,101が設けられることに起因してチップホルダ22およびチップ23の強度が低下してしまうという不具合を可及的に抑えることができる。
チップホルダ22は、チップ23を取り替えて、繰り返して使用されることが望まれる。したがってチップホルダ22の寿命は、チップ23に比べて、できるだけ長くすることが望まれる。本実施の形態では、ホルダ嵌込部分121,122の長手寸法W1は、チップ嵌込部分123,124の長手寸法W2よりも大きい。これによって切削時に、ホルダ嵌込部分121,122からホルダ側嵌込凹部112,113に作用する荷重によってホルダ側嵌込凹部112,113に発生する応力は、チップ嵌込部分123,124からチップ側嵌込凹部112,113に作用する荷重によってチップ側嵌込凹部102,103に発生する応力よりも小さくなる。したがってホルダ側嵌込凹部112,113の破損を防ぐことができ、チップホルダ22の寿命を長くすることができる。
チップホルダ22とチップ23との間に、嵌込部材100,101を設けるか否かによって、用途に応じた使い分けを実現することができる。
切削条件が厳しい場合、たとえばエンドミル20を高速回転させる場合、あるいは切削抵抗が大きい場合は、チップホルダ22とチップ23との間に嵌込部材100,101を設けることによって、チップホルダ22に対するチップ23の位置ずれを確実に防ぐことができる。切削条件が厳しい場合の一例としては、アルミニウムから成る被削材を高速切削する場合が挙げられる。
切削条件が厳しくない場合、たとえばエンドミル20を低速回転させ、かつ切削抵抗が小さい場合は、チップホルダ22とチップ23との間に、嵌込部材100,101を設けなくてもよい。これによって装着作業のときに、嵌込部材100,101の取り付けに要する手間を削減し、チップホルダ22へのチップ23の装着を容易化することができるとともに、このような場合には凹部を有していないチップを使用することもできるので、汎用性が向上する。一方、特許文献1〜3に開示されている技術では、凹部または凸部に係合するような専用のチップが必要となるので、汎用性に欠ける。
チップホルダ22には、位置ずれ防止用の凸部が形成されないので、チップ側嵌込凹所104,105が形成されていないチップ23であっても、嵌込部材100,101を設けなければ、チップホルダ22に前記チップ23を装着可能である。チップ23には、位置ずれ防止用の凸部が形成されないので、ホルダ側嵌込凹所114,115が形成されていないチップホルダ22であっても、嵌込部材100,101を設けなければ、前記チップホルダ22にチップ23を装着可能である。このようにチップホルダ22およびチップ23の汎用性を向上させることができる。
チップ23は、2つの第1切刃30A,30Bを有するので、一方の第1切刃30Aを主切刃として用いている場合、チップ23を基準軸線L2まわりに180度、角変位させることによって、他方の第1切刃30Bを主切刃86とすることができる。したがって一方の第1切刃30Aが摩耗または折損した場合には、チップ23を基準軸線L2まわりに180度、角変位させることによって、他方の第1切刃30Bを主切刃86とすることができ、1つのチップ23の寿命を長くすることができる。
図12は、本発明の実施の他の形態のエンドミル220の一部を示す断面図である。本実施の形態のエンドミル220は、前述の実施の形態のエンドミル20に類似するので、対応する部分には、同一の符号を付し、共通する点は、説明を省略する。
ホルダ側嵌込凹部112,113には、雌ねじが形成され、ホルダ嵌込部分121,122には、前記雌ねじに螺合する雄ねじが形成される。これによってホルダ側嵌込凹部112,113に、嵌込部材100,101を螺着することができる。
このような本実施の形態によれば、前述の実施の形態と同様の効果を得ることができる上に、チップホルダ22にチップ23を装着する装着作業のときに、ホルダ側嵌込凹部112,113に、嵌込部材100,101を予め螺着しておくことによって、嵌込部材100,101の落下を防ぐことができ、チップホルダ22へのチップ23の装着を容易化することができる。
また本実施の形態によれば、ホルダ側嵌込凹部112,113には嵌込部材100,101が螺着されて固定されるので、切削時に振動が生じても、ホルダ側嵌込凹部112,113に嵌込部材100,101が衝突しない。したがって衝突に起因する衝撃力によって、ホルダ側嵌込凹部112,113が破損してしまうという不具合を防ぐことができ、チップホルダ22の寿命を長くすることができる。
前述の実施の各形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。前述の実施の各形態では、転削用工具として、エンドミルについて説明したが、副切刃を有しない他の転削用工具、たとえばフライス用の転削用工具であっても同様の効果を得ることができる。前述の実施の各形態では、第1切刃30は、長手方向Bに進むにつれて厚み方向Aに滑らかに傾斜するとしたが、階段状に形成されて、長手方向Bに進むにつれて厚み方向他方A2にずれてもよい。
本発明の実施のさらに他の形態では、チップ側嵌込凹部102,103に雌ねじが形成され、チップ嵌込部分123,124に前記雌ねじに螺合する雄ねじが形成されてもよい。これによってチップ側嵌込凹部102,103に、嵌込部材100,101を螺着することができる。したがって装着作業のときに、チップ側嵌込凹部102,103に、嵌込部材100,101を予め螺着しておくことによって、嵌込部材100,101の落下を防ぐことができ、チップホルダ22へのチップ23の装着を容易化することができる。
チップホルダ22とチップ23との間に設けられる嵌込部材は、2つに限らず、1つであってもよく、あるいは3つ以上であってもよい。この場合でも、前述の実施の各形態と同様の効果を得ることができる。前述の実施の各形態のチップ23は、スローアウェイチップの一例であり、チップホルダ22に装着されるスローアウェイチップは、前記チップ23に限定されない。
20,220 エンドミル
22 チップホルダ
23 スローアウェイチップ
30,31 切刃
100,101 嵌込部材
102,103 チップ側嵌込凹部
104,105 チップ側嵌込凹所
112,113 ホルダ側嵌込凹部
114,115 ホルダ側嵌込凹所
121,122 ホルダ嵌込部分
123,124 チップ嵌込部分
22 チップホルダ
23 スローアウェイチップ
30,31 切刃
100,101 嵌込部材
102,103 チップ側嵌込凹部
104,105 チップ側嵌込凹所
112,113 ホルダ側嵌込凹部
114,115 ホルダ側嵌込凹所
121,122 ホルダ嵌込部分
123,124 チップ嵌込部分
Claims (7)
- 回転軸線まわりに回転されるチップホルダと、
切刃が形成され、前記チップホルダから該チップホルダの回転半径方向外方へ前記切刃が突出した状態で、チップホルダに装着されるスローアウェイチップと、
前記チップホルダと前記スローアウェイチップとの間に設けられる嵌込部材とを備え、
前記チップホルダは、前記嵌込部材が嵌め込まれるホルダ側嵌込凹部を有し、
前記スローアウェイチップは、前記嵌込部材が嵌め込まれるチップ側嵌込凹部を有し、
前記嵌込部材は、前記ホルダ側嵌込凹部に嵌め込まれるホルダ嵌込部分と、該ホルダ嵌込部分に連なり、ホルダ嵌込部分が前記ホルダ側嵌込凹部に嵌め込まれた状態で前記チップホルダから突出し、チップ側嵌込凹部に嵌め込まれるチップ嵌込部分とを有することを特徴とする転削用工具。 - 前記嵌込部材は、棒状であり、軸方向の一方側が前記ホルダ嵌込部分であり、軸方向の他方側が前記チップ嵌込部分であることを特徴とする請求項1記載の転削用工具。
- 前記嵌込部材は略円柱状であり、前記ホルダ側嵌込凹部の内面およびチップ側嵌込凹部の内面は、前記嵌込部材の外周面と対応する内周面を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の転削用工具。
- 前記嵌込部材は、略円柱状であり、前記嵌込部材の軸方向が前記回転半径方向と略垂直になるように配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の転削用工具。
- 前記ホルダ側嵌込凹部およびチップ側嵌込凹部のいずれか一方には、雌ねじが形成され、
前記ホルダ嵌込部分およびチップ嵌込部分のいずれか一方には、前記雌ねじに螺合する雄ねじが形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の転削用工具。 - 請求項1〜5のいずれか1つに記載の転削用工具に用いられることを特徴とするチップホルダ。
- 請求項1〜5のいずれか1つに記載の転削用工具に用いられることを特徴とするスローアウェイチップ。
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