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JP2006263987A - 熱転写記録材料 - Google Patents

熱転写記録材料 Download PDF

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JP2006263987A
JP2006263987A JP2005082514A JP2005082514A JP2006263987A JP 2006263987 A JP2006263987 A JP 2006263987A JP 2005082514 A JP2005082514 A JP 2005082514A JP 2005082514 A JP2005082514 A JP 2005082514A JP 2006263987 A JP2006263987 A JP 2006263987A
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layer
sheet
resin
dye
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JP2005082514A
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English (en)
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Satoshi Shioda
聡 塩田
Kazuya Yoshida
和哉 吉田
Toru Takahashi
徹 高橋
Masahiro Yuki
正弘 結城
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

【課題】 熱転写の印字速度の高速化に対応して、十分な印字濃度が得られ、熱転写シートの染料層と熱転写受像シートの受容層とが融着することがなく、また熱転写シートの保存性が良好で、その熱転写シートと熱転写受像シートを用いて、染料層から染料を受容層に転写して得られる印画物の耐光性等の耐久性が良好である熱転写シートと熱転写受像シートの組み合わせである熱転写記録材料を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 基材シートの少なくとも一方の面に染料層を備えた熱転写シートと、基材の少なくとも一方の面に受容層を備えた熱転写受像シートとからなり、前記染料層と前記受容層とを重ね合わせ、加熱手段により前記染料層中の染料を前記受容層に転写可能な熱転写記録材料であり、熱転写受像シートの受容層がアセタール系樹脂を含有し、かつ熱転写シートの染料層がビスフェノール骨格を有するポリエステル系樹脂を含有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基材シート上に染料層を設けた熱転写シートと、基材上に受容層を設けた熱転写受像シートの組み合わせである熱転写記録材料に関し、特に熱転写の印字速度の高速化に対応し、十分な印字濃度が得られ、熱転写シートの染料層と熱転写受像シートの受容層とが融着することがなく、また熱転写シートの保存性が良好で、染料層から染料を受容層に転写して得られる印画物の耐光性等の耐久性が良好である熱転写記録材料に関するものである。
従来、種々の熱転写方法が公知であるが、それらの中で昇華性染料を記録材とし、これを紙やプラスチックフィルム等の基材シートに担持させて熱転写シートとし、昇華性染料で染着可能な熱転写受像シート、例えば紙やプラスチックフィルムの表面に染料受容層を設けた熱転写受像シート上に各種のフルカラー画像を形成する方法が提案されている。この方法は昇華性染料を色材としている為、濃度階調を自由に調節ができ、原稿のフルカラー画像が表現できる。また、染料により形成された画像は非常に鮮明で、かつ透明性に優れているため、中間色の再現性や階調再現性に優れ、銀塩写真に匹敵する高品質の画像を形成することが可能である。
近年、熱転写プリンターの印字速度の高速化が進むにしたがって、従来の熱転写記録材料では、十分な印字濃度が得られないという問題が生じてきた。それに対し、例えば、熱転写シートの染料層における染料/樹脂(Dye/Binder)の比率を大きくすることを行ったが、巻き取り保管中に熱転写シートの裏面側の耐熱滑性層へ染料が移行し、その移行した染料が巻き返した時に、他の色の染料層や転写性保護層等へ再転移し(キックバック)、この汚染された層を受像シートへ熱転写すると、指定された色と異なる色相になったり、いわゆる地汚れが生じたりする。また、画像形成時の熱転写の際、高エネルギーをかけることを行ったが、染料層と受容層とが融着し、いわゆる異常転写が起こる。その異常転写を防止するため、受容層に多量の離型剤を添加すると、印字感度が低下し印字濃度が下がってくる。
特許文献1には、アラルキル基あるいはアリール基含有ビニル基を有するポリビニルアセタール系樹脂を、熱転写受像シートの受容層の主成分とすることにより、印字における高濃度の記録ができ、耐光性、定着性など保存安定性が良好な記録物が得られることが示されている。また、特許文献2には、活性水素を有する樹脂、シリコーン樹脂、イソシアネート基と反応する官能基を有する変性シリコーンオイル、及び、多官能イソシアネート化合物を含有する組成物を熱硬化させた受像層を有する熱転写受像シートが記載され、その活性水素を有する樹脂としてポリビニルアセタール系樹脂が用いられ、高濃度の記録ができ、染料層と受像層の融着が起こらないことが示されている。
ところが、熱転写プリンターにおける印字速度の高速化がより以上に進む中で、サーマルヘッドにかかる熱、ついては受像シートの受容層にかかる熱が高温化しており、染料層と受容層とが融着しやすい条件になっていて、従来の熱転写受像シートでは何ら問題なく使用できるものが得られていないのが、現状である。
特開平03−162989号公報 特開平03−227690号公報
したがって、本発明は、熱転写の印字速度の高速化に対応して、十分な印字濃度が得られ、熱転写シートの染料層と熱転写受像シートの受容層とが融着することがなく、また熱転写シートの保存性が良好で、その熱転写シートと熱転写受像シートを用いて、染料層から染料を受容層に転写して得られる印画物の耐光性等の耐久性が良好である熱転写シートと熱転写受像シートの組み合わせである熱転写記録材料を提供することを目的とするものである。
本発明は、請求項1として、基材シートの少なくとも一方の面に染料層を備えた熱転写シートと、基材の少なくとも一方の面に受容層を備えた熱転写受像シートとからなり、前記染料層と前記受容層とを重ね合わせ、加熱手段により前記染料層中の染料を前記受容層に転写可能な熱転写記録材料において、熱転写受像シートの受容層がアセタール系樹脂を含有し、かつ熱転写シートの染料層がビスフェノール骨格を有するポリエステル系樹脂を含有することを特徴とする。請求項2としては、請求項1に記載の受容層のアセタール系樹脂が、下記一般式にて表されるもので、該アセタール系樹脂の重合度が、1000以上であり、アセタール部分のmol%が樹脂全体に対して、50%以上であり、該アセタール部分の80mol%以上が、ポリビニルアセトアセタールまたはポリビニルブチルアセタールであることを特徴とする。
Figure 2006263987
上記の式中Rは、置換基を有してもよいアリール基、アラルキル基、あるいはアリール基含有ビニル基を表し、l、m、nは各構造単位のモル%を表し、50<l<85、10<m<50、0<n<30の範囲である。
請求項3として、請求項1に記載の染料層には、ビスフェノール骨格を有するポリオールをアルコール成分として用いたポリエステル樹脂を含有することを特徴とする。請求項4として、請求項1または2に記載の受容層は、さらに離型剤を含むことを特徴とする。また、請求項5として、請求項1または3に記載の染料層は、さらに離型剤を含むことを特徴とする。
本発明の熱転写記録材料は、基材シートの少なくとも一方の面に染料層を備えた熱転写シートと、基材の少なくとも一方の面に受容層を備えた熱転写受像シートとからなるもので、前記染料層と前記受容層とを重ね合わせ、加熱手段により前記染料層中の染料を前記受容層に転写可能な熱転写記録材料であり、熱転写受像シートの受容層がアセタール系樹脂を含有し、かつ熱転写シートの染料層がビスフェノール骨格を有するポリエステル系樹脂を含有することを特徴とする。このように熱転写受像シートの受容層を構成する樹脂の条件と、熱転写シートの染料層を構成する樹脂の条件を規定して、すなわち受容層と染料層との組み合わせの条件を特定することにより、熱転写の印字速度の高速化に対応し、十分な印字濃度が得られ、熱転写シートの染料層と熱転写受像シートの受容層とが熱転写時に融着せず、また熱転写シートの保存性が良好で、得られる印画物の耐光性等の耐久性が良好である。
本発明の熱転写記録材料の一つの実施形態を図1に示す。図示した熱転写記録材料1は、熱転写シート2と熱転写受像シート11の組み合わせからなるもので、熱転写シート2は基材シート3の一方の面に染料層4を設け、基材シート3の他方の面に耐熱滑性層5を備えている。また、熱転写受像シート11は、基材12の一方の面に受容層13を設け、基材12の他方の面に裏面層14を設けた構成である。図示したものに限らず、本発明の熱転写シートは、基材シートと染料層との間に、必要に応じて易接着層等を設けたり、耐熱滑性層の上に帯電防止層等の層を形成してもよい。また本発明の熱転写受像シートは、基材と受容層との間に、必要に応じて帯電防止層、クッション層、白色顔料および蛍光増白剤を添加した中間層や易接着層等の層を形成してもよい。また、裏面層の上に、帯電防止層等の層を形成してもよい。
以下に、本発明の熱転写記録材料の熱転写シートと、熱転写受像シートを構成する各層の説明を行なう。
(基材シート)
本発明で用いる熱転写シートの基材シート3としては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであればいずれのものでも良く、例えば、0.5〜50μm、好ましくは1〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。
上記基材シートにおいて、染料層を形成する面に、接着処理を施すことがよく行なわれている。上記基材シートのプラスチックフィルムは、その上に染料層を塗布して形成する場合、塗布液の濡れ性、接着性等が不足しやすいので、接着処理を施すものである。その接着処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。また、それらの処理を二種以上を併用することもできる。上記のプライマー処理は、例えばプラスチックフィルムの溶融押出しの成膜時に、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行なうことができる。
さらに、上記の基材シートの接着処理として、基材と染料層との間に易接着層を塗工して形成することも可能である。その易接着層は、以下に示すような樹脂から形成することができる。ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
(染料層)
本発明で使用する熱転写シートは、上記の基材シートの少なくとも一方の面に染料層4を設けたものである。該染料層は1色の単一層で構成したり、あるいは色相の異なる染料を含む複数の染料層を、同一基材シートの同一面に面順次に、繰り返し形成することも可能である。染料層は、熱移行性染料をバインダーにより担持してなる層である。使用する染料としては、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料であって、従来公知の昇華転写型熱転写シートに使用されている染料は、いずれも本発明に使用可能であるが、色相、印字感度、耐光性、保存性、バインダーへの溶解性等を考慮して選択する。
染料としては、例えばジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン、ピラゾロンメチン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等のものが挙げられる。
本発明では、熱転写シートの染料層が、ビスフェノール骨格を有するポリエステル系樹脂をバインダーとして使用することが特徴である。この変性ポリエステル樹脂は、アルコール成分として、下記のような変性ポリオール成分を用いて合成される。変性ポリオール成分として、ビスフェノール骨格を有するもので、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールAF、ビスフェノールSが挙げられる。ポリオール成分としては、ビスフェノール骨格を有しないエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどと、ビスフェノール骨格を有するものとを併用してもよい。尚、変性ポリエステル樹脂の合成の際、各成分は単一でなくても良く、適宜に複数組み合わせても良い。
上記の変性ポリエステル樹脂の製造方法自体は、公知の方法でよく、脱水縮合、エステル交換縮合などの公知の方法でよい。これらの変性ポリエステル樹脂の分子量は、数平均分子量で2000〜60000の範囲が好ましく、更に好ましくは溶解性の観点から、10000〜55000が好ましい。またTgにおいては、60〜100℃であることが好ましい。染料層は上記の変性ポリエステル樹脂の単一種類だけでなく、複数種類の変性ポリエステル樹脂を混合して使用してもよい。また、染料層のバインダー樹脂として、変性ポリエステル樹脂を主体に構成し、補助的にセルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ブチラール系樹脂、フェノキシ樹脂等を追加して用いることも可能である。
染料層には、上記の染料とバインダー樹脂の他に、離型剤を加えることができる。この離型剤を添加することにより、熱転写時の受容層との融着をより防止することができる。その離型剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。シリコーン系界面活性剤とは、疎水性部分がシリコーン樹脂からなり、これの末端及び/又は側鎖に親水性基が導入された化合物である。シリコーン樹脂には、その代表としてポリ(ジメチル)シロキサンが挙げられ、メチルフェニルジメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン・ポリメチルフェニルシロキサンコポリマー、ポリメチルシロキサン、テトラメチルポリメチルシロキサン、ポリメチルシロキサン・ポリジメチルシロキサンコポリマーなど、側鎖のメチル基の一部或いは、全てがフェニル基や水素原子等に置換されたものなどが挙げられる。また、このシリコーン樹脂に導入される親水性基としてはポリエーテル基、ポリグリセリン基、ピロリドン基、ベタイン基、硫酸塩基、水酸基、カルボキシル基、リン酸塩基、4級アンモニウム塩基、等が挙げられる。
これらのシリコーン樹脂、親水性基は、適宜組合せて使用することができる。また、界面活性剤の構造に関しても、上記のシリコーン樹脂の末端及び/又は側鎖に親水性基を単に導入するだけでなく、親水性基を導入したポリマーと導入しないポリマーをランダム共重合、ブロック共重合するなどしてコポリマー化する等してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂としてポリジメチルシロキサンを、親水性基として、ポリエーテル基、ポリグリセリン基、又はピロリドン基を導入したシリコーン系界面活性剤が好ましく用いられる。
染料層は、上記染料、バインダー樹脂と、離型剤、その他必要に応じて従来公知と同様な各種の添加剤を加えてもよい。その添加剤として、例えば、受像シートとの離型性やインキの塗工適性を向上させるために、ポリエチレンワックス等の有機微粒子や無機微粒子が挙げられる。このような染料層は、通常、適当な溶剤中に上記染料、バインダー樹脂と、必要に応じて添加剤を加えて、各成分を溶解または分散させて塗工液を調製し、その後、この塗工液を基材の上に塗布、乾燥させて形成することができる。この塗布方法は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用いることができる。このように形成された染料層は、0.2〜6.0g/m2、好ましくは0.3〜3.0g/m2程度の乾燥時の塗工量である。
(耐熱滑性層)
本発明の熱転写シートは基材シートの一方の面に、サーマルヘッドの熱によるステッキングや印字しわ等の悪影響を防止するため、耐熱滑性層5を設けることができる。上記の耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂からなる耐熱滑性層に添加あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、リン酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及びリン酸エステル系化合物からなる層であり、さらに充填剤を添加することがより好ましい。
耐熱滑性層は、基材シートの上に、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱滑性層塗工液を調整し、これを、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。耐熱滑性層の塗工量は、固形分で、0.1g/m2〜3.0g/m2が好ましい。
以下に、本発明で使用する熱転写受像シートにおける構成要素の各層について、説明する。
(基材)
熱転写受像シートの基材12は、受容層を保持するという役割を有するとともに、画像形成時に加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが、望ましい。このような基材の材料は特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートが使用でき、特に限定されない。
上記のプラスチックフィルムまたはシートやこれらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色フィルム、あるいは基材内部にミクロボイドを有するシート、他にコンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、セルロース繊維紙等を用いることができる。また、上記の基材の任意の組合わせによる積層体も使用できる。代表的な例として、セルロース繊維紙と合成紙、セルロース繊維紙とプラスチックフィルムとの積層体があげられる。
また、上記の基材の表面及び又は裏面に易接着処理した基材も使用できる。これらの基材の厚みは、通常3〜300μm程度であり、機械的適性等を考慮し、100〜250μmの基材を用いるのが好ましい。また、基材とその上に設ける層との密着性が乏しい場合には、その表面に易接着処理やコロナ放電処理を施すのが好ましい。
(受容層)
本発明における熱転写受像シートの1受容層3は、基材の少なくとも一方の面に一種類以上の熱可塑性樹脂を含有して設けられ、熱転写シートから移行してくる昇華性染料を受容し、形成された熱転写画像を維持するためのものである。本発明では、熱転写受像シートの受容層が、アセタール系樹脂をバインダーとして使用することが特徴である。このアセタール系樹脂は、ポリビニルアルコールをアセタール化することにより得られるが、下記の一般式で表されるものが好ましく用いられる。
Figure 2006263987
上記の式中Rは、置換基を有してもよいアリール基、アラルキル基、あるいはアリール基含有ビニル基を表し、l、m、nは各構造単位のモル%を表し、50<l<85、10<m<50、0<n<30の範囲である。
アセタール系樹脂のアセタール化度は、50%以上であり、アセタール部分のmol%が樹脂全体に対して、50%以上85%以下が好ましい。また、該アセタール部分の80mol%以上が、ポリビニルアセトアセタールまたはポリビニルブチルアセタールであることが望ましい。ポリビニルアルコール(PVA)をアセタール化する場合、PVAを完全にアセタール化することは困難であり、部分的にアセチル基や水酸基が不可逆的に残存する。ポリビニルアセトアセタール樹脂の場合、アセタール部分のmol%が、ポリマー全量に対して、50%未満であるか、又は該アセタール部分の20mol%を越える量が、ポリビニルアセトアセタール以外のものである場合は、トルエン、メチルエチルケトンなど染料をよく溶解する溶媒に対する溶解性が劣り、加工適性(塗工適性)に優れない場合がある。
この場合、バインダー樹脂の溶剤溶解性の改良や、基材との親和性向上(密着性向上)を目的として、これ以外のアルデヒドを用いてもよい。上記樹脂を得る際に、アセタール化反応に用いるアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、o−トルアルデヒド、p−トルアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、3−フェニルクロロピオンアルデヒドなどが挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
受容層で用いるアセタール系樹脂の重合度は、1000以上であれば良く、好ましくは1000〜2500である。重合度が高すぎると、溶液としての粘度が高く、工業的に扱いが困難になるからである。又重合度が1000未満であると、染料層との熱融着(印画時、離型性が悪化)しやすくなり、好ましくない。アセタール系樹脂の分子量は、諸特性の向上を目的として、適宜使用することが出来るが、例えば粘度調整、印刷適性の改善などを目的として、重合度の異なるポリビニルアルコールを使用して、アセタール化反応を別々に行って得た樹脂を混合して、また原料の段階で異なる重合度のポリビニルアルコールを混合したものを用いてもよい。
上記のように、本発明では熱転写受像シートの受容層バインダー樹脂として、アセタール系樹脂を主体に使用するものであり、熱転写時の熱転写シートの染料層と融着しない、つまり異常転写がなく、また得られる印画物の耐光性等の耐久性が良好となる。また、使用するアセタール系樹脂の重合度が、1000以上として、アセタール系樹脂の高分子量化したものとすることにより、受容層の耐熱性を向上させることができ、熱転写プリンターにおける印字速度の高速化に対応して、印字の際の受容層にかかる熱が高温化された状態でも、染料層と受容層とが融着することを防止できる。この理由としては、熱転写受像シートの受容層におけるアセタール系の樹脂と、本発明で用いる熱転写シートの染料層におけるビスフェノール骨格を有するポリエステル系樹脂は、基本的に相溶性が悪いため、熱融着しづらくなるためと考えられる。さらに、アセタール系樹脂の分子量を高くすることで、樹脂の熱応答性が悪くなるために、更に熱融着しづらくなると考えられる。
また、受容層のバインダー樹脂として、アセタール系樹脂を主体に構成し、補助的にポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン化ポリマー,ポリ酢酸ビニル,エチレン酢酸ビニル共重合体,塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体,ポリアクリルエステル,ポリスチレン,ポリスチレンアクリルなどのビニル系樹脂、ポリビニルホルマール,ポリビニルブチラール,ポリビニルアセタールなどのアセタール系樹脂、飽和,不飽和の各種ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等を追加して用いることも可能である。
受容層には、上記のバインダー樹脂に、離型剤を加えることができる。これは、熱転写時に、染料層との融着若しくは印画感度の低下等を防ぐ目的で、離型剤を混合させる。本発明における受容層で用いられる離型剤としては、従来公知の離型剤、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス、弗素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等が、何れも使用可能である。特に好ましい離型剤は変性シリコーンであり、具体的には、
1)変性シリコーンオイル側鎖型、
2)変性シリコーンオイル両末端型、
3)変性シリコーンオイル片末端型、
4)変性シリコーンオイル側鎖両末端型、
5)シリコーングラフトアクリル樹脂、及び
6)メチルフェニルシリコーンオイル等が挙げられる。
変性シリコーンオイルは、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルとに分けられる。反応性シリコーンオイルとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、片末端反応性、異種官能基変性等が挙げられる。非反応性シリコーンオイルとしては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸変性、フッ素変性等が挙げられる。上記シリコーンオイルの中でも、被膜形成成分と反応性である基を有する種類の反応性シリコーンオイルは、アセタール系樹脂中残基の水酸基と反応して結合してもよく、適宜硬化剤、触媒などを添加して使用することも可能である。
離型剤は1種若しくは2種以上のものが使用される。また、離型剤の添加量は、受容層形成用樹脂100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、昇華型熱転写シートと熱転写受像シートの受容層との融着若しくは印画感度の低下等の問題が生じる場合がある。受容層はバインダー樹脂と離型剤を含有し、また硬化剤や触媒を添加でき、その他にも、必要に応じて各種の添加剤を加えることができる。受容層の白色度を向上させ転写画像の鮮明度を更に高める目的で、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、微粉末シリカ等の顔料や充填剤を添加することができる。また、受容層には可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤など公知の添加剤を必要に応じて加えることができる。
上記にあげたバインダー樹脂と、上記であげた離型剤と必要に応じて添加剤等を任意に添加し、溶剤、希釈剤等で、十分に混練して、受容層塗工液を調整し、これを、上記にあげた基材の上に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により、塗布し、乾燥して、受容層を形成する。受容層の塗工量は、乾燥時で0.5g/m2〜4.0g/m2であることが好ましい。塗工量が乾燥時で0.5g/m2未満では、染料の定着においてムラが生じたりして、染料受容性が低下し、また塗工量が多すぎても、原材料のムダであり、また乾燥時間が多く必要となり、生産性等が低下する。
本発明の熱転写受像シートは、基材と受容層との間に、必要に応じて帯電防止層、クッション層、白色顔料および蛍光増白剤を添加した中間層や易接着層等の層を形成してもよい。また、基材の受容層形成側と反対側の面上に、帯電防止層、筆記層、裏面層等の層を形成してもよい。
(裏面層)
基材の受容層を設けた面と反対の面に、熱転写受像シートの搬送性の向上や、カール防止などのために、裏面層14を設けることができる。このような機能をもつ裏面層として、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ハロゲン化ポリマー等の樹脂中に、添加剤として、アクリル系フィラー、ポリアミド系フィラー、フッ素系フィラー、ポリエチレンワックス等の有機系フィラー、アミノ酸系粉体や、二酸化珪素や金属酸化物などの無機フィラーを加えたものが使用できる。また裏面層として、上述の樹脂をイソシアネート化合物等の硬化剤により硬化したものを使用することもできる。裏面層は、裏面層塗工液を調整し、上記にあげた受容層の形成手段と同様の方法が適用でき、裏面層の塗工量は、乾燥時で0.5g/m2〜5.0g/m2であることが好ましい。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳述する。尚、文中、部又は%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
まず、熱転写受像シートの受容層で使用する樹脂を、以下の製造例01〜04で示す方法で用意した。
(製造例01)
バインダー成分としてポリビニルアセトアセタール樹脂を、次に示す方法で製造した。まず、5Lのセパラブルフラスコに純水2790gを入れ、これにポリビニルアルコール(重合度1700、ケン化度98.8mol%)を220g加えて、完全に溶解させた。次に、この水溶液の液温を20℃に保持し、これに35%塩酸650gを加えた後、液温を10℃まで下げ、アセトアルデヒド137gを適宜加えて、無色粉末を析出させた。次いで、反応系を30℃に昇温し、3時間加熱恒温保持したのち、水洗中和して触媒及び未反応アルデヒドを除去し、ポリビニルアセトアセタール樹脂を得た。(アセタール化度74.1mol%)
(製造例02)
重合度2400、ケン化度99.2mol%のポリビニルアルコールを用いた以外は、製造例01と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂を得た。(アセタール化度70.5mol%)
(製造例03)
5Lのセパラブルフラスコに純水2000gを入れ、これにポリビニルアルコール(重合度1700、ケン化度98.8mol%)を220g加えて、完全に溶解させた。次に、この水溶液の液温を20℃に保持し、これに35%塩酸を130g加えた後、液温を10℃まで下げ、ブチルアルデヒド125gを適宜加えて、無色粉末を析出させた。後は、製造例01に準じる形式で、ブチラール樹脂を得た。ブチラール化度は76mol%であった。
(製造例04)
重合度500 ケン化度 98.8mol%のポリビニルアルコールを用い反応温度を16℃とした以外は、製造例01と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂を得た。(アセタール化度72.1mol%)
また、熱転写シートの染料層で使用するポリエステル系樹脂を、以下の製造例1〜3で示す方法で用意した。下記の例で示す酸成分とポリオール成分と、触媒として微量の酢酸カルシウム及び三酸化アンチモンとを空気冷却器をつけたクライゼンフラスコ型反応機に入れ、N2雰囲気下で徐々に温度を上げ、約150℃に保ち、この温度で1時間撹拌して反応を行い、その後、反応生成物をパイレックス(登録商標)管に入れて、酸素を完全に遮断し、275℃ 0.1〜0.05mmHgの条件で、2時間縮合反応をさせ、変性ポリエステル樹脂を得た。
(製造例1)
酸成分;
テレフタル酸 70部
イソフタル酸 30部
ポリオール成分;
エチレングリコール 50部
ビスフェノールA 50部
(製造例2)
酸成分;
テレフタル酸 40部
イソフタル酸 30部
セバチン酸 30部
ポリオール成分;
エチレングリコール 40部
ネオペンチルグリコール 40部
ビスフェノールB 20部
(製造例3)(比較例用樹脂)
酸成分;
テレフタル酸 40部
イソフタル酸 30部
セバチン酸 30部
ポリオール成分;
エチレングリコール 50部
ネオペンチルグリコール 50部
前記の製造例01〜04で得た樹脂溶液を用いて、下記4種の受容層塗工液A〜Dを調製した。
(受容層塗工液A)
製造例01の樹脂溶液(固形分基準) 100部
シリコーン:ポリエーテル変性シリコーン 10部
(商品名 KF−615 信越化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1)で希釈して、塗工液の固形分を20%に調整した。
(受容層塗工液B)
製造例02の樹脂溶液(固形分基準) 100部
シリコーン:アクリル変性シリコーン 5部
(商品名 FS−730 日本油脂(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1)で希釈して、塗工液の固形分を20%に調整した。
(受容層塗工液C)
製造例03の樹脂溶液(固形分基準) 100部
シリコーン:メチルスチリル変性シリコーン 8部
(商品名 KF−410 信越化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1)で希釈して、塗工液の固形分を20%に調整した。
(受容層塗工液D)
製造例04の樹脂溶液(固形分基準) 100部
シリコーン:アルキル変性シリコーン 10部
(商品名 KF−412 信越化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1)で希釈して、塗工液の固形分を20%に調整した。
次に、前記の製造例1〜3で得た樹脂溶液を用いて、下記3種の染料層の条件の塗工液を調製した。
(染料層条件<1>)
・イエロー染料層塗工液;
製造例1の樹脂溶液(固形分基準) 4.5部
C.I. Disperse Yellow−231 7部
メチルエチルケトン 45部
トルエン 37部
シクロヘキサノン 5.5部
離型剤(KF615) 1部
・シアン染料層塗工液;
製造例1の樹脂溶液(固形分基準) 5部
C.I. Solvent Blue−63 7部
メチルエチルケトン 45部
トルエン 39部
シクロヘキサノン 3部
離型剤(KF615) 1部
(染料層条件<2>)
イエロー染料層塗工液及びシアン染料層塗工液ともに、上記の染料層条件<1>の組成中で、樹脂溶液が製造例2の樹脂を使用した以外は、同組成とする。
(染料層条件<3>)
イエロー染料層塗工液及びシアン染料層塗工液ともに、上記の染料層条件<1>の組成中で、樹脂溶液が製造例3の樹脂を使用した以外は、同組成とする。
(実験例1)
基材として、コート紙(王子製紙(株)製OKトップコート;127.9g/m2)の表裏に厚さ50μmの白色PET(東レ(株)製ルミラーE63S)をウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株)製タケラックA−969V/タケネートA−5=3/1、塗布量:4g/m2(乾燥後))で貼合した基材を用いた。該基材の一方の面に、上記に用意した受容層塗工液Aをバーコーターにより、塗布量2.0g/m2(乾燥後)となるように塗布、乾燥(120℃、3分)して熱転写受像シートを作製した。
また、基材シートとして、厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)上に、上記に用意した染料層条件<1>のイエロー染料層塗工液とシアン染料層塗工液を40℃に加温し、バーコーターにより、各塗布量1.0g/m2(乾燥後)となるように塗布、乾燥(80℃、5分)して熱転写シートを作製した。尚、上記基材シートの他方の面に、予め下記組成の耐熱滑性層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が1.0g/m2になるように塗布、乾燥して、耐熱滑性層を形成しておいた。
(耐熱滑性層塗工液)
ポリビニルブチラール樹脂 13.6部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
ポリイソシアネート硬化剤 0.6部
(タケネートD218 武田薬品工業(株)製)
リン酸エステル 0.8部
(プライサーフA208S 第一工業製薬(株)製)
メチルエチルケトン 42.5部
トルエン 42.5部
(実験例2)
上記の実験例1の熱転写受像シートの作製条件において、受容層塗工液を上記に用意した受容層塗工液Bに変更した以外は、実験例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。また、熱転写シートは実験例1と同じものを使用した。
(実験例3)
上記の実験例1の熱転写受像シートの作製条件において、受容層塗工液を上記に用意した受容層塗工液Cに変更した以外は、実験例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。また、熱転写シートは実験例1と同じものを使用した。
(実験例4)
上記の実験例1の熱転写受像シートの作製条件において、受容層塗工液を上記に用意した受容層塗工液Dに変更した以外は、実験例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。また、熱転写シートは実験例1と同じものを使用した。
(実験例5)
上記の実験例1の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とシアン染料層塗工液を、上記の染料層条件<2>のものに変更した以外は、実験例1と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例1と同じものを使用した。
(実験例6)
上記の実験例2の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とシアン染料層塗工液を、上記の染料層条件<2>のものに変更した以外は、実験例2と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例2と同じものを使用した。
(実験例7)
上記の実験例3の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とシアン染料層塗工液を、上記の染料層条件<2>のものに変更した以外は、実験例3と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例3と同じものを使用した。
(実験例8)
上記の実験例4の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とシアン染料層塗工液を、上記の染料層条件<2>のものに変更した以外は、実験例4と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例4と同じものを使用した。
(実験例9)
上記の実験例1の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とシアン染料層塗工液を、上記の染料層条件<3>のものに変更した以外は、実験例1と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例1と同じものを使用した。
(実験例10)
上記の実験例2の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とシアン染料層塗工液を、上記の染料層条件<3>のものに変更した以外は、実験例2と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例2と同じものを使用した。
(実験例11)
上記の実験例3の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とシアン染料層塗工液を、上記の染料層条件<3>のものに変更した以外は、実験例3と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例3と同じものを使用した。
(実験例12)
上記の実験例4の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とシアン染料層塗工液を、上記の染料層条件<3>のものに変更した以外は、実験例4と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例4と同じものを使用した。
(評価)
次に、下記のようにして、上記の各実験例で作製した熱転写シートと熱転写受像シートとを組み合わせの条件は、各実験例で示した通りとして、印字濃度と製品外観を以下の方法で調査した。
<印字濃度>
各熱転写シートを室内放置の条件のものと、温度40℃、湿度90%RHの環境下に96時間保存したものの2種類を用意し、各実験例に対応する熱転写受像シートと組み合わせて、染料層と受容層とを重ね合わせて、下記の条件にて印画を行い、マクベス反射濃度計RD−918にて、反射濃度である印字濃度を測定した。つまり、熱転写シートの高温高湿保存前と保存後の印字濃度を調べた。
(印画条件)
発熱体平均抵抗値;5179(Ω)
主走査方向印字密度;300dpi
副走査方向印字密度;300dpi
印加電圧;24(V)
1ライン周期;2(msec.)
印字開始温度;40(℃)
印加パルス(階調制御方法);1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を70%に固定し、ライン周期当たりのパルス数を0から255個を15分割した。これにより、15段階に異なるエネルギーを与えることができる。上記の印画条件は、電圧を落として、なるべく受容層が熱負けしない電圧で、印字可能な速度で行った。
上記の各実験例における印画物について、240階調目(シャドウ部)の反射濃度を測定した。
<製品外観>
各熱転写シートを室内放置の条件のものと、温度40℃、湿度90%RHの環境下に96時間保存したものの2種類を用意し、それぞれの熱転写シートの染料層の状態を肉眼で観察して、評価した。つまり、熱転写シートの高温保存前と保存後の製品外観を調べた。評価の判断基準は以下の通りである。
○:染料の析出がなく、問題なし。
×:染料の析出が見られ、不良である。
上記の実験例1〜4で用意した熱転写記録材料については、印画条件を下記の条件に変更して、印字濃度と離型性、及び耐光性、耐熱性、耐湿性、耐ブロッキング性の信頼性試験の評価を行った。
(印画条件)
発熱体平均抵抗値;5179(Ω)
主走査方向印字密度;300dpi
副走査方向印字密度;300dpi
印加電圧;32(V)
1ライン周期;1(msec.)
印字開始温度;40(℃)
印加パルス(階調制御方法);1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を90%に固定し、ライン周期当たりのパルス数を0から255個を15分割した。これにより、15段階に異なるエネルギーを与えることができる。上記の印画条件は、高速印画の場合を想定したものである。
上記の印字濃度と離型性、及び耐光性、耐熱性、耐湿性、耐ブロッキング性の信頼性試験の評価は、以下の方法にて、調べた。
<印字濃度>
上記の各実験例における印画物について、240階調目(シャドウ部)の反射濃度を測定した。
<離型性>
上記の印加電圧32Vの場合の印画条件において、各実験例における熱転写シートの染料層と熱転写受像シートの受容層とを重ね合わせて、印画した時の熱転写受像シートと熱転写シートとが熱融着がないか、手で剥がす際に問題がないか、離型性を調べた。評価の基準は以下の通りである。
○:引き剥す際に、ほとんど抵抗を感じず、また、熱転写受像シートと熱転写シートの熱融着に起因する問題もない。
△:引き剥す際に、若干の抵抗があるが、熱融着に起因する問題はない。
×:熱融着しており、引き剥しが困難である。
<耐光性>
上記の印加電圧32Vの場合の印画条件で得られた印画物について、下記条件のキセノンフェードメーターにより耐光性の評価を行った。
(耐光性評価の条件)
・照射試験器:アトラス社製Ci35
・光源:キセノンランプ
・フィルター:内側=IRフィルター
外側=ソーダライムガラス
・ブラックパネル温度:45(℃)
・照射強度:1.2(W/m2)―420(nm)での測定値
・照射エネルギー:400(kJ/m2)−420(nm)での積算値
次に、上記の耐光性条件の照射前後のシアン画像のCy成分の光学反射濃度の変化を光学濃度計(マクベス社製 マクベスRD−918(レッドフィルター使用))により測定し、照射前の光学反射濃度が1.0近傍のステップについて、下記式により残存率を算出し、この残存率を基に下記評価基準で耐光性を評価した。
残存率(%)=(照射後の光学反射濃度/照射前の光学反射濃度)×100
(評価基準)
○:残存率が80%以上で耐光性が良好である。
△:残存率が60%〜70%であり、耐光性がやや劣る。
<耐熱性>
上記の印加電圧32Vの場合の印画条件で得られた印画物について、60℃の環境下に1週間放置後、印画物の状態を観察した。その評価の判断基準は以下の通りである。
○:印画部に滲み等の不良が見当たらなく、良好である。
△:印画部に滲みが少し見られ、耐熱性がやや劣る。
<耐湿性>
上記の印加電圧32Vの場合の印画条件で得られた印画物について、50℃、80%RHの環境下に100時間放置後、印画物の状態を観察した。その評価の判断基準は以下の通りである。
○:印画部に滲み等の不良が見当たらなく、良好である。
△:印画部に滲みが少し見られ、耐湿性がやや劣る。
×:印画部に滲みが見られ、耐湿性が劣る。
<耐ブロッキング性>
上記の印加電圧32Vの場合の印画条件で得られた印画物について、各実験例の印画物同士で、画像形成された受像面と、もう一方の印画物の裏面とを対向させて重ね合わせ、これを厚さ150μmの合成紙(王子油化(株)製 ユポFPG#150)にて挟持した状態で20kg/cm2の荷重をかけて60℃のオーブンに48時間放置後、重ね合わせていた受像面と裏面を剥して、下記の評価の基準で耐ブロッキング性を調べた。
○:ブロッキングしていない。
△:一部分で、ブロッキングしている。
上記の実験例1〜12における印字濃度と製品外観の評価結果は下記の表1の通りである。但し、表1で示した結果は、イエロー染料層で調べた結果であり、またシアン染料層で調べた結果については、同様の傾向が見られる。
Figure 2006263987
上記に示した表1において、実験例9〜12においては、染料層の条件が、ビスフェノール骨格を有するポリエステル系樹脂を含有しないものであり、熱転写シートを高温高湿に保存した後の印字濃度の低下が著しく生じている。
上記の実験例1〜4における印字濃度、離型性及び信頼性試験の評価結果は下記の表2の通りである。但し、表2で示した結果は、上記の染料層条件<1>のもので、イエロー染料層を用いて印画した場合であるが、シアン染料層を用いて印画した場合でも、また染料層条件<2>及び<3>のものでも、同様の傾向が見られる。
Figure 2006263987
上記に示した表2において、実験例4においては、受容層の条件において、アセタール系樹脂を含有しているが、アセタール系樹脂の重合度が、1000未満であり、熱転写時の染料層との離型性が悪く、熱融着する。また、その印画物の耐湿性の評価が不良となっている。
本発明の熱転写記録材料の一つの実施形態を示す概略図である。
符号の説明
1 熱転写記録材料
2 熱転写シート
3 基材シート
4 染料層
5 耐熱滑性層
11 熱転写受像シート
12 基材
13 受容層
14 裏面層

Claims (5)

  1. 基材シートの少なくとも一方の面に染料層を備えた熱転写シートと、基材の少なくとも一方の面に受容層を備えた熱転写受像シートとからなり、前記染料層と前記受容層とを重ね合わせ、加熱手段により前記染料層中の染料を前記受容層に転写可能な熱転写記録材料において、熱転写受像シートの受容層がアセタール系樹脂を含有し、かつ熱転写シートの染料層がビスフェノール骨格を有するポリエステル系樹脂を含有することを特徴とする熱転写記録材料。
  2. 前記の受容層のアセタール系樹脂が、下記一般式にて表されるもので、該アセタール系樹脂の重合度が、1000以上であり、アセタール部分のmol%が樹脂全体に対して、50%以上であり、該アセタール部分の80mol%以上が、ポリビニルアセトアセタールまたは、ポリビニルブチルアセタールであることを特徴とする請求項1に記載の熱転写記録材料。
    Figure 2006263987
    上記の式中Rは、置換基を有してもよいアリール基、アラルキル基、あるいはアリール基含有ビニル基を表し、l、m、nは各構造単位のモル%を表し、50<l<85、10<m<50、0<n<30の範囲である。
  3. 前記の染料層には、ビスフェノール骨格を有するポリオールをアルコール成分として用いたポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱転写記録材料。
  4. 前記の受容層は、さらに離型剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写記録材料。
  5. 前記の染料層は、さらに離型剤を含むことを特徴とする請求項1または3に記載の熱転写記録材料。
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