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JP2006241620A - ヌバック調皮革様シート状物ならびにその製造方法 - Google Patents

ヌバック調皮革様シート状物ならびにその製造方法 Download PDF

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JP2006241620A JP2005057056A JP2005057056A JP2006241620A JP 2006241620 A JP2006241620 A JP 2006241620A JP 2005057056 A JP2005057056 A JP 2005057056A JP 2005057056 A JP2005057056 A JP 2005057056A JP 2006241620 A JP2006241620 A JP 2006241620A
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Satoru Shimoyama
悟 下山
Kentaro Kajiwara
健太郎 梶原
Kenji Sekine
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Abstract

【課題】表面平滑性に優れ、緻密で微細な立毛表面を有するヌバック調の皮革様シート状物、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックス、見掛け密度が0.300〜0.700g/cmの短繊維不織布からなり、立毛長が5〜500μmであり、かつ弾性重合体からなる膜状物が存在しないことを特徴とするヌバック調皮革様シート状物とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、靴、家具、衣料等に用いることができる充実感に優れたヌバック調皮革様シート状物およびその製造方法に関する。より詳細には、主として繊維素材からなり、十分な風合い、物性を有し、かつ使い古し感があるヌバック調皮革様シート状物およびその製造方法に関する。
極細繊維不織布と弾性重合体からなる皮革様シート状物は、天然皮革にない優れた特徴を有しており、種々の用途に広く使用されている。特に、スエード調よりも立毛長が短く、銀面調に近い外観でありながらライティングエフェクトのある、ヌバック調皮革用シート状物は、より高級感のある外観を有するものとして、車両、家具類、カバン、事務用品などの表面材、あるいは衣類や袋物などとして広く用いられている。かかるヌバック調皮革様シート状物を製造するにあたっては、繊維シート状物にポリウレタン等の弾性重合体溶液を含浸せしめた後、その繊維シート状物を水または有機溶剤水溶液中に浸漬して弾性重合体を湿式凝固せしめ、次いでこれら表面を研削することによって立毛を形成させる方法が一般的に採用されている。
しかしながら、従来の皮革様シート状物の製造方法、すなわち、ポリウレタン等の樹脂が含浸されてなる極細繊維不織布を起毛処理する方法では(例えば、特許文献1)、緻密な立毛面を形成させようとすると必然的に立毛長が長くなり、スエード調の外観となる。一方、ヌバック調を得るために立毛長を短くすると、繊維密度が低くなり、地のポリウレタン等が露出して品位が低下する問題があった。すなわち、従来の製造方法では、単に立毛長を短くしても、ヌバック調皮革様シート状物を得ることは困難であった。
また、例えば、極細繊維からなる立毛を有する起毛布帛に樹脂を含浸または塗布して立毛を固定し、次いで立毛面をカレンダーロールによりプレス処理した後、起毛面をバフィングする方法が開示されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、これらの方法では平滑性が向上する分、表面に短い立毛長を形成させることはできても、やはり表層部分には多量の樹脂が含まれているため、立毛長が短いと樹脂が露出し、均一で緻密な立毛を得るには不十分である。
さらに、使用によって表面の立毛が集合したり、立毛が抜けたりすると、樹脂が露出し、表面品位が大きく低下する問題もある。
また、極細繊維不織布と弾性重合体発泡層からなる繊維基材を立毛処理した後、立毛面にさらに樹脂を塗布してから起毛処理する方法がある(例えば、特許文献3)。
この方法であれば表面平滑性が向上するものの、表面が繊維と樹脂が混在する層であるため、依然として緻密な立毛というには不十分である。
特公昭48−44849号公報 特公昭62−42076号公報 特開平7−133592号公報
本発明は、表面平滑性に優れ、緻密で微細な立毛表面を有するヌバック調の皮革様シート状物、およびその製造方法を提供することにある。またさらには、ゴム状風合いのない、リサイクル性、耐黄変性等に優れる皮革様シート状物およびその製造方法を提供するものである。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を有する。すなわち本発明のヌバック調皮革様シート状物は、単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックス、見掛け密度が0.300〜0.700g/cmの短繊維不織布からなり、立毛長が1〜500μmであり、かつ弾性重合体からなる膜状物が存在しないことを特徴とするものである。
また本発明の皮革様シート状物の製造方法は、0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な1〜10デシテックスの複合短繊維を用いてニードルパンチ法により複合短繊維不織布を製造し、次いで少なくとも10MPaの圧力で高速流体処理を行った後、起毛処理してからプレス処理することを特徴とするものである。
本発明によれば、表面平滑性に優れ、緻密で微細な立毛表面を有し、さらには、ポリウレタンの使用量を大きく低減できるヌバック調の皮革様シート状物を提供することができる。
さらに、本発明によれば、鞄、靴、家具、衣料、内装材等に用いることができる充実感に優れた皮革様シート状物を得ることが出来る。
本発明でいうヌバック調皮革様シート状物とは、スエード、ベロア、ヌバック調といわれる立毛調の皮革様シート状物のうち、特に繊維を起こした際の基材から繊維先端までの距離(以下、立毛長と記す)が短いものをいう。
本発明におけるヌバック調皮革様シート状物の立毛長は、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、30μm以上がさらに好ましい。1μm未満であると、ライティングエフェクトが明瞭に現れず、優美な外観が得られにくい。また上限は、500μm以下であることが好ましく、300μm以下がより好ましく、200μm以下がさらに好ましい。500μmを超えると、ヌバック調の外観を得ることが困難である。
従来から皮革様シート状物は、一般的には、ポリウレタン等の弾性重合体を不織布構造体に適宜の量を含浸させて製造していたが、本発明においては、特に緻密な立毛表面を形成させるために、不織布構造体にポリウレタン等の弾性重合体が実質的に含まれず、実質的に繊維素材からなるものであることが好ましい。ここで、「実質的に繊維素材からなる」とは、一般的な皮革様シート状物の構成要素である繊維素材と弾性重合体のうちの繊維素材のみからなることを意味するが、後加工で用いられるその他の加工剤、例えば、染料、柔軟剤、耐摩耗性向上剤、各種堅牢度向上剤、耐電防止剤あるいは微粒子等が本発明の皮革様シート状物に含まれていてもよい。
本発明においては、ポリウレタン等の弾性重合体を不織布構造体に含浸させる場合であっても、その量は10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましく、3重量%以下であることがさらに好ましい。弾性重合体が多量に含まれた場合、ヌバック調を得るために立毛長を短く仕上げると、表面に弾性重合体が多く露出し、品位が大きく低下する。また、繊維表面の立毛が固定され、外観が劣る傾向が見られるため好ましくない。実質的に繊維素材からなることにより、使用によっても弾性重合体が露出することがなく、外観変化を抑制することができる。
ここで、本発明のヌバック調皮革様シート状物においては、弾性重合体からなる膜状物が存在しないことが必要である。弾性重合体の膜状物が存在しないことにより、表面の立毛密度が増加するとともに、立毛がばらけ易くなり、表面の立毛緻密性が向上する。弾性重合体の膜状物の存在は、立毛を寝かした状態で電子走査顕微鏡による断面写真を撮影し、これを観察することにより確認することができる。
ここでいう膜状物とは、電子走査顕微鏡にて断面を観察した際に、繊維間隙に弾性重合体が少なくとも10μm以上連続して観察されるものであり、例えばポリウレタンを湿式凝固して得られる微多孔形状のごとく、従来の人工皮革に見られるものである。従って、例えば繊維表面に皮膜化、又は粒子状に付着して存在しても良い。この膜状物が表層に存在することによって、立毛長が短いヌバック調皮革様シート状物においては、弾性重合体が表面に露出しやすくなり、立毛の緻密性が得られにくくなる。膜状構造を抑制する手段としては、弾性重合体の付与量を抑制する方法の他、水分散型弾性重合体を使用する方法が好ましく採用できる。
また、本発明の皮革様シート状物は、目付が100〜600g/mであることが好ましく、120〜450g/mであることがより好ましく、140〜350g/mであることがさらに好ましい。100g/m未満であると、不織布構造体のみでは物性が低下し、織物および/または編物を積層している場合は、表面に織物および/または編物の外観が見えやすくなり、品位が低下するため好ましくない。また600g/mを越える場合は、耐摩耗性が低下する傾向があるため好ましくない。また、見掛け密度が0.300〜0.700g/cmである。見掛け密度は、0.320〜0.600g/cmであることが好ましく、0.350〜0.500g/cmであることがさらに好ましい。0.300g/cm未満であると、ヌバック調として十分な表面平滑性や緻密な立毛表面を得ることが困難になる。また、0.700g/cmを越えると、ペーパーライクな風合いとなり、好ましくない。
なお、見掛け密度は、JIS L1096 8.4.2(1999)によって目付を測定し、次いでその厚みを測定して、それから得られる見掛け密度の平均値をもってその値とした。なお、厚みの測定には、ダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製、商品名“ピーコックH”)を用い、サンプルを10点測定して、その平均値を用いた。
また、本発明のヌバック調皮革様シート状物は、JIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に準じて測定される耐摩耗試験において、20000回の回数を摩耗した後の試験布の摩耗減量が20mg以下、好ましくは15mg以下、より好ましくは10mg以下であり、かつ毛玉が好ましくは5個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは1個以下であることが良い。摩耗減量が20mgを越える場合、実使用において毛羽が服等に付着する傾向があるため好ましくない。一方下限は特に限定されず、本発明の皮革様シートであればほとんど摩耗減量がないものも得ることが出来る。また発生する毛玉については、5個を越えると、使用した時の外観変化によって品位が低下するため好ましくない。
このような耐摩耗性を得るためには、特に見掛け密度が重要であり、高密度化する程良好になる。また、微粒子を付与すると大きく向上させることができ、逆に柔軟剤等を多量に使用すると低下する傾向が見られる。従って風合いとのバランスをとりながら、これらの条件を設定する必要がある。
本発明のヌバック調皮革様シート状物の不織布を構成する繊維の単繊維繊度は0.0001〜0.5デシテックスであるものを含んでなるものである。単繊維繊度は、好ましくは0.001〜0.3デシテックス、より好ましくは0.005〜0.15デシテックスである。0.0001デシテックス未満であると、強度が低下するため好ましくない。また0.5デシテックスを越えると、風合いが硬くなり、また、絡合が不十分になって表面品位が低下する等の問題も発生するため好ましくない。ただし、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の範囲を越える繊度の繊維が含まれていても良い。
単繊維繊度が上述の範囲にある、いわゆる極細繊維の製造方法は特に限定されず、例えば直接極細繊維を紡糸する方法、通常繊度の繊維であって極細繊維を発生することができる繊維(極細繊維発生型繊維)を紡糸し、次いで極細繊維を発生させる方法がある。そして極細繊維発生型繊維を用いる方法としては、例えば海島型複合繊維を紡糸してから海成分を除去する方法、分割型複合繊維を紡糸してから分割して極細化する方法等の手段で製造することができる。これらの中で、本発明においては極細繊維を容易に安定して得ることが出来る点で、海島型複合繊維または分割型複合繊維によって製造することが好ましく、さらには、同種の染料で染色できる同種ポリマーからなる極細繊維を容易に得ることが出来る点で、海島型複合繊維によって製造することがより好ましい。
本発明でいう海島型複合繊維とは、2成分以上の成分を任意の段階で複合、混合して海島状態とした繊維をいい、この繊維を得る方法としては、特に限定されず、例えば(1)2成分以上のポリマーをチップ状態でブレンドして紡糸する方法、(2)予め2成分以上のポリマーを混練してチップ化した後、紡糸する方法、(3)溶融状態の2成分以上のポリマーを紡糸機のパック内静止混練器等で混合する方法、(4)特公昭44−18369号公報、特開昭54−116417号公報等の口金を用いて製造する方法、等が挙げられる。本発明においてはいずれの方法でも良好に製造することが出来るが、ポリマーの選択が容易である点で上記(4)の方法が好ましく採用される。
かかる(4)の方法において、海島型複合繊維および海成分を除去して得られる島繊維の断面形状は特に限定されず、例えば丸、多角、Y、H、X、W、C、π型等が挙げられる。また用いるポリマー種の数も特に限定されるものではないが、紡糸安定性や染色性を考慮すると2〜3成分であることが好ましく、特に海1成分、島1成分の2成分で構成されることが好ましい。またこのときの成分比は、島繊維の海島型複合繊維に対する重量比で0.30〜0.99であることが好ましく、0.40〜0.97がより好ましく、0.50〜0.80がさらに好ましい。0.30未満であると、海成分の除去率が多くなるためコスト的に好ましくない。また0.99を越えると、島成分同士の合流が生じやすくなり、紡糸安定性の点で好ましくない。
また用いるポリマーは特に限定されるものではないが、島成分を構成するポリマーとしては、いわゆるスパンデックスなどの弾性ポリマーからなる繊維を含まず、非弾性ポリマーからなる繊維であることが、充実感のある風合いを得ることができるため好ましい。非弾性ポリマーの繊維とは、ポリエーテルエステル系繊維やいわゆるスパンデックス等のポリウレタン系繊維などのゴム状弾性に優れる繊維を除くポリマーを意味する。具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなる繊維が挙げられる。実質的に非弾性ポリマーの繊維素材からなることにより、ゴム感がなく充実感のある風合いを達成することができる。これらのなかでも、コストや製造容易性の観点から、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、またはこれらの混用繊維が好ましい。また、さらには、易リサイクル性、高発色性、高耐光性、耐黄変性等種々の効果が達成できる。特にケミカルリサイクルを容易に行うためには、繊維素材がポリエチレンテレフタレートまたはナイロン6からなるものが好ましい。
本発明に用いることのできるポリエステルとしては、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであって、複合繊維として用いることが可能なものであれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリ乳酸等が挙げられる。本発明は、中でも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体が好適に使用される。
本発明に用いることのできるポリアミドとしては、複合繊維として用いることが可能なものであれば特に限定されるものではないが、例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12等のアミド結合を有するポリマーを挙げることができる。
一方、海島型複合繊維の海成分として用いるポリマーは、島成分を構成するポリマーよりも溶解性、分解性の高い化学的性質を有するものであれば特に限定されるものではない。島成分を構成するポリマーの選択にもよるが、例えばポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィンや、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ポリエチレングリコール、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ビスフェノールA化合物、イソフタル酸、アジピン酸、ドデカジオン酸、シクロヘキシルカルボン酸等を共重合したポリエステル等を用いることができる。紡糸安定性の点ではポリスチレンが好ましいが、有機溶剤を使用せずに容易に除去できる点でスルホン基を有する共重合ポリエステルが好ましい。かかる共重合比率としては、処理速度、安定性の点から5モル%以上、重合や紡糸、延伸のしやすさから20モル%以下であることが好ましい。本発明において好ましい組み合わせとしては、島成分にポリエステルまたはポリアミド、あるいはその両者を用い、海成分にポリスチレン又はスルホン基を有する共重合ポリエステルである。
これらのポリマーには、隠蔽性を向上させるためにポリマー中に酸化チタン粒子等の無機粒子を添加してもよいし、その他、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱材、抗菌剤等、種々目的に応じて添加することもできる。
また海島型複合繊維を得る方法については、特に限定されず、例えば上記(4)の方法に示した口金を用いて未延伸糸を引き取った後、湿熱または乾熱、あるいはその両者によって1〜3段延伸することによって得ることが出来る。
なお、分割型複合繊維を用いる場合は、主に口金内で2成分以上を複合し、上述の海島型複合繊維の製造方法に準じて行うことができる。
本発明における不織布の種類としては、品位や風合いが優れる点で短繊維不織布であることが必要である。そのため、上述の繊維は適当な長さにカットする必要があり、生産性や得られるものの風合いを考慮して10cm以下とすることが好ましく、7cm以下がより好ましい。10cmを越える繊維長のものも、本発明の効果を損なわない限り含まれていても良い。また下限は特に限定されずに不織布の製造方法によって適宜設定できるが、0.1cm未満であると脱落が多くなり、強度や耐摩耗性等の特性が低下する傾向があるため、0.1cm以上とすることが好ましい。そして、これらの短繊維は、優れた充実感や強度を得る観点から短繊維同士が絡合していることが好ましい。なお、強度等の物性、品位等を考慮すると、各短繊維の繊維長が均一でない方が好ましい。すなわち、短繊維の繊維長が0.1〜10cmの範囲内において、短い短繊維と長い短繊維が混在することが好ましい。例えば0.1〜1cm、好ましくは0.1〜0.5cmの短繊維と、1〜10cm、好ましくは2〜7cmの短繊維が混在する不織布を例示することができる。このような不織布においては、例えば短い繊維長の繊維が表面品位の向上や緻密化等のために寄与し、長い繊維長の繊維が高い物性を得ることに寄与する等の役割を担う。
なお、繊維長の異なる繊維を混合させる方法は特に限定されず、島繊維長が異なる海島型複合繊維を使用する方法、種々の繊維長を有する短繊維を混合する方法、不織布としてから繊維長に変化を与える方法、等が挙げられる。本発明においては、特に容易に繊維長が混合された不織布を得ることができる点、後述する2種の絡合手段に適した繊維長をそれぞれの段階で発生させることが出来るという点で、不織布としてから繊維長に変化を与える方法が好ましく採用される。例えば、不織布の厚み方向に対して垂直に2枚以上にスプリットする方法(スプリット処理)によって、スプリット処理前には単一繊維長であっても、スプリット処理後には種々の繊維長からなる不織布を容易に製造することができる。ここでいうスプリット処理とは、一般の天然皮革における分割工程に類似した処理であり、後述する高速流体処理を行う前に行うことが好ましい。具体的には、室田製作所(株)の漉割機等によって行うことができる。
本発明のヌバック調皮革様シート状物を製造する方法として好ましく採用されるのは、ニードルパンチ法と高速流体処理を組み合わる方法である。これにより、少量の弾性重合体の付与、又は実質的に弾性重合体が含まれないものであっても、十分な物性を得ることが容易に可能となる。ここで、ニードルパンチを行う時点では繊維長が1〜10cm、好ましくは3〜7cmの繊維長である不織布とし、次いで厚み方向に垂直に2枚以上にスプリット処理することで、短い繊維を発生させてから、高速流体処理を行うことで、物性に優れ、表層に緻密な繊維層を有するヌバック調皮革様シート状物を容易に得ることができる。
短繊維を不織布化する方法としては、ウェブをカードやクロスラッパー、ランダムウエバーを用いて得る乾式法や、抄紙法等による湿式法を採用することができるが、本発明では、ニードルパンチ法と高速流体処理の2種の絡合方法を容易に組み合わせることができる乾式法が好ましい。絡合処理の際に、適度な伸び又は伸び止まりを付与するため、または得られる不織布の強度等の物性を向上させるために他の織物、編物、不織布と一体化させることもできる。
ニードルパンチ処理では、好ましくは繊維見掛け密度が0.120〜0.300g/cm、より好ましくは0.150〜0.250g/cmとすることが好ましい。0.120g/cm未満であると、絡合が不十分であり、目的の物性が得られにくくなる。また上限は特に規定されないが、0.300g/cmを越えると、ニードル針の折れや、針穴が残留するなどの問題が生じるため、好ましくない。
また、ニードルパンチ処理を行う際には、複合繊維の単繊維繊度が1〜10デシテックスであることが好ましく、2〜8デシテックスがより好ましく、2〜6デシテックスがさらに好ましい。単繊維繊度が1デシテックス未満である場合や10デシテックスを越える場合は、ニードルパンチによる絡合が不十分となり、良好な物性や均一性を得ることが困難になる。
本発明におけるニードルパンチ処理は、単なる工程通過性を得るための仮止めとしての役割ではなく、繊維を十分に絡合させることが好ましい。従って好ましくは、100本/cm以上の打ち込み密度がよく、より好ましくは500本/cm以上、さらに好ましくは1000本/cm以上が良い。
このようにして得られた複合短繊維不織布は、乾熱または湿熱、あるいはその両者によって収縮させ、さらに高密度化することが好ましい。
次いで、この複合短繊維不織布に少なくとも10MPaの圧力で高速流体処理を行って、極細繊維同士の絡合を行う。ここで高速流体処理を行う前、または高速流体処理と同時、あるいは高速流体処理の前と同時の両方において、極細化処理を行うことが好ましい。なお、高速流体処理によって複合短繊維を極細化することも可能であるが、その場合においても複合短繊維が極細化した後に、極細繊維同士の絡合を十分なものとするための高速流体処理を行うことが好ましい。極細化した後の高速流体処理が不十分であると、本発明のヌバック調皮革様シート状物を得ることが困難になる。
極細化処理の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば機械的方法、化学的方法が挙げられる。機械的方法とは、物理的な刺激を付与することによって極細化する方法であり、例えば上記のニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法等の衝撃を与える方法の他に、ローラー間で加圧する方法、超音波処理を行う方法等が挙げられる。また化学的方法とは、例えば、複合繊維を構成する少なくとも1成分に対し、薬剤によって膨潤、分解、溶解等の変化を与える方法が挙げられる。本発明においては、化学的方法で極細化する方が、より十分に極細化が行える点で好ましく、特にアルカリ易分解性海成分を用いて成る極細繊維発生型繊維で複合短繊維不織布を作製し、次いで中性〜アルカリ性の水溶液で処理して化学的方法により極細化する方法は、溶剤を使用せず作業環境上好ましいことから、本発明の好ましい態様の一つである。ここでいう中性〜アルカリ性の水溶液とは、pH6〜14を示す水溶液であり、使用する薬剤等は特に限定されるものではない。例えば有機または無機塩類を含む水溶液で上記範囲のpHを示すものであれば良く、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、必要によりトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミンや減量促進剤、キャリアー等を併用することもできる。中でも水酸化ナトリウムが価格や取り扱いの容易さ等の点で好ましい。さらにシートに上述の中性〜アルカリ性の水溶液処理を施した後、必要に応じて中和、洗浄して残留する薬剤や分解物等を除去してから乾燥を施すことが好ましい。
これらの極細化処理と高速流体処理を同時に行う方法としては、例えば水可溶性の海成分からなる複合繊維を用い、ウォータージェットパンチによって除去と絡合を行う方法、アルカリ分解速度の異なる2成分以上の複合繊維を用い、アルカリ処理液を通して易溶解成分を分解処理した後に、ウォータージェットパンチによって最終除去および絡合処理を行う方法、等が挙げられる。なお、分割型複合繊維を用い、ウォータージェットパンチにて分割し極細化する方法も挙げられるが、上述したように少なくともほぼ完全に極細化した後、ウォータージェットパンチによって極細繊維同士が相互に絡合した形態とすることが重要である。
高速流体処理としては、作業環境の点で水流を使用するウォータージェットパンチ処理を行うことが好ましい。この時、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。柱状流を得るには、通常、直径0.06〜1.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで噴出させることで得られる。かかる処理は、効率的な絡合性と良好な表面品位を得るために、ノズルの直径は0.06〜0.15mm、間隔は5mm以下であることが好ましく、直径0.06〜0.12mm、間隔は1mm以下がより好ましい。これらのノズルスペックは、複数回処理する場合、すべて同じ条件にする必要はなく、例えば大孔径と小孔径のノズルを併用することも可能であるが、少なくとも1回は上記構成のノズルを使用することが好ましい。特に直径が0.15mmを超えると極細繊維同士の絡合性が低下し、表面がモモケやすくなるとともに、表面平滑性も低下するため好ましくない。従ってノズル孔径は小さい方が好ましいが、0.06mm未満となるとノズル詰まりが発生しやすくなるため、水を高度に濾過する必要性からコストが高くなる問題があり好ましくない。また、厚さ方向に均一な交絡を達成する目的、および/または不織布表面の平滑性を向上させる目的で、好ましくは多数回繰り返して処理する。また、その水流圧力は処理する不織布の目付によって適宜選択し、高目付のもの程高圧力とすることが好ましい。さらに、極細繊維同士を高度に絡合させる目的で、少なくとも1回は10MPa以上の圧力で処理することが好ましく、15MPa以上がより好ましい。また上限は特に限定されないが、圧力が上昇する程コストが高くなり、また低目付であると不織布が不均一となったり、繊維の切断により毛羽が発生する場合もあるため、好ましくは40MPa以下であり、より好ましくは30MPa以下である。こうすることによって、例えば複合繊維から得た極細繊維の場合、繊維同士が集束した極細繊維束が主として絡合しているものが一般的であるが、本発明においては極細繊維束による絡合がほとんど観察されない程度にまで極細繊維同士が高度に絡合した極細短繊維不織布を得ることができ、またこれにより耐摩耗性等の表面特性を向上させることもできる。なお、ウォータージェットパンチ処理を行う前に、水浸積処理を行ってもよい。さらに表面の品位を向上させるために、ノズルヘッドと不織布を相対的に移動させたり、交絡後に不織布とノズルの間に金網等を挿入して散水処理する等の方法を行うこともできる。また、高速流体処理を行う前には、厚み方向に対して垂直に2枚以上にスプリット処理を行うことが好ましい。このようにして、好ましくはタテ方向の10%モジュラスが8N/cm以上となるまで、より好ましくは10N/cm以上となるまで極細繊維同士を絡合させるとよい。
また、本発明のヌバック調皮革様シート状物においては、適度な伸び又は伸び止まりを付与するため、または強度等の物性やストレッチ性やドレープ性等の機能を向上させるために他の織物、編物、不織布と一体化させることが好ましい。織物組織としては、特に限定されず、例えば平織、斜文織、朱子織、からみ織等を採用することができるが、コストの点で平織が好ましい。また編組織としても、特に限定されず、例えばたて編み、よこ編み等を採用することができる。この際に使用される繊維としては、不織布を構成する繊維と同一または類似する染色性を有するものが、染色工程の煩雑さを抑制できる点で好ましい。
なお、これら織物または編物を一体化する方法としては、風合いの硬化が抑制でき、織物又は編物の種別が広範囲に選択できる点で、接着剤による接着ではなく、高速流体処理によって交絡一体化させることが好ましい。一方、ニードルパンチ法で交絡一体化する場合は、ニードルによる織物又は編物を構成する繊維の損傷を防止するため、1000〜3000T/m程度の撚りをかけることが好ましい。
また、不織布と織物又は編物を積層する手段としては、例えば、織物又は編物に極細繊維の抄造用スラリーを抄造する方法、極細繊維発生型繊維と織物又は編物と交絡一体化させた後、極細繊維を発生させる方法、極細繊維不織布を製造し、ついで織物又は編物を交絡一体化させる方法等を採用でき、特に限定されるものではない。しかし、高品位な表面を得ることができる点で、いったん、極細繊維不織布を製造した後、次いで織物又は編物と交絡一体化させる方法が好ましい。この際に、織物又は編物を片面に配しても、不織布の間に配してもよく、特に限定されるものではない。
ついで、得られた不織布を染色することが好ましい。染色する方法は特に限定されるものではなく、用いる染色機としても、液流染色機の他、サーモゾル染色機、高圧ジッガー染色機等いずれでもよいが、得られる皮革様シート状物の風合いが優れる点で液流染色機を用いて染色することが好ましい。
なお、高速流体処理を行った後において、染色の前または後に、耐摩耗性の向上や、より均一な表面を得る目的等で弾性重合体を付与することもできる。弾性重合体の付与量は、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下とすることがさらに好ましい。さらには、本発明のヌバック調皮革様シート状物の製造方法により、実質的に弾性重合体を含まず、主として繊維素材からなるものとすることも可能であり、好ましい態様である。
弾性重合体としては、適宜目的とする風合い、物性、品位が得られる物を種々選択して使用することが好ましく、例えばポリウレタン、アクリル、スチレン−ブタジエン等を用いることが好ましい。この中で柔軟性、強度、品位等の点でポリウレタンを用いることが好ましい。ポリウレタンの製造方法としては、特に限定されるものではなく、従来から知られている方法、すなわち、ポリマーポリオール、ジイソシアネート、鎖伸張剤を適宜反応させて製造することができる。不織布構造体において弾性重合体が含まれる場合、その弾性重合体が膜状構造となることを抑制するために、水分散型弾性重合体を用いることが好ましい。この水分散型弾性重合体は、自己乳化型であっても、強制乳化型であってもよい。水分散型弾性重合体を用いることにより、膜状物が形成されにくくなり、また凝固方法としても、通常行われる熱水やスチームを用いた湿式凝固よりも、乾熱凝固を採用する方が好ましい。水分散型弾性重合体の付与量は、0.1〜10重量%であることが好ましい。
さらに、皮革様シート状物を構成する繊維素材に微粒子が含まれていることは、耐摩耗性に優れる点で好ましい。特に繊維素材の極細繊維同士が絡合した構造となっている場合、微粒子の存在によって大きな耐摩耗性向上効果を得ることができる。また、これにより、きしみ感やドライ感のある風合いを得ることも可能である。
ここでいう微粒子の材質は水に不溶であれば特に限定されるものではなく、例えばシリカ、酸化チタン、アルミニウム、マイカ等の無機物質や、メラミン樹脂等の有機物質を例示することができる。また微粒子の平均粒子径は好ましくは0.001〜30μmであり、より好ましくは0.01〜20μm、さらに好ましくは0.05〜10μmである。0.001μm未満であると、期待する効果が得られにくくなり、また30μmを越えると繊維からの脱落によって洗濯耐久性が低下する。なお平均粒子径は材質やサイズに応じて適した測定方法、例えばBET法やレーザー法、コールター法を用いて測定できる。
これらの微粒子は、本発明の効果が発揮できる範囲で適宜使用量を調整することができるが、好ましくは0.01〜10重量%であり、より好ましくは0.02〜5重量%、さらに好ましくは0.05〜1重量%である。0.01重量%以上であれば、耐摩耗性の向上効果が顕著に発揮でき、量を増加させる程、その効果は大きくなる傾向がある。ただし、10重量%を越えると風合いが硬くなり、好ましくない。なお、微粒子の脱落を防ぎ、耐久性を向上させるためには、少量の樹脂を併用することが好ましい。
この微粒子を付与する手段としては特に限定されるものではなく、パッド法の他、液流染色機やジッガー染色機を用いる方法、スプレーで噴射する方法等、適宜選択することができる。
また、柔軟な風合いと滑らかな表面タッチを得るために、本発明の皮革様シート状物は柔軟剤を含むことが好ましい。柔軟剤としては特に限定されず、織物又は編物に一般的に使用されているものを繊維種に応じて適宜選択する。例えば染色ノート第23版(発行所 株式会社色染社、2002年8月31日発行)において、風合い加工剤、柔軟仕上げ剤の名称で記されているものを適宜選択することができる。その中でも柔軟性の効果が優れる点でシリコーン系エマルジョンが好ましく、アミノ変成やエポキシ変成されたシリコーン系エマルジョンがより好ましい。これらの柔軟剤が含まれると耐摩耗性は低下する傾向があるため、この柔軟剤の量と上記の微粒子の量は目標とする風合いと耐摩耗性のバランスを取りながら、適宜調整することが好ましい。従って、その量は特に限定されるものではないが、少なすぎると効果が発揮できず、多すぎるとべたつき感があるため、0.01〜10重量%の範囲が好ましい。
柔軟剤を付与する手段も特に限定されず、パッド法の他、液流染色機やジッガー染色機を用いる方法、スプレーで噴射する方法等を用いることができる。製造コストの点からは微粒子と同時に付与することが好ましい。
なお、微粒子や柔軟剤は、好ましくは染色後に付与する。染色前に付与すると、染色時の脱落により効果が減少する場合や、染色ムラが発生する場合があるため好ましくない。また、微粒子を含む不織布は起毛されにくい傾向があるため、起毛した後に微粒子を付与することが好ましい。
また、本発明のヌバック調皮革様シート状物は、少なくとも表層付近に緻密な繊維層が存在することが好ましい。これにより、さらに良好な表面外観を得ることが可能である。ここでいう緻密な繊維層とは、電子走査顕微鏡による断面観察において、繊維が均一に密に存在する部分が厚み方向に垂直に層状に存在し、さらに弾性重合体よりも繊維が占める割合が多いことを示す。シート全体が繊維の緻密構造であっても良い。
このような緻密な繊維層を形成させるとともに、良好な平滑性や緻密な立毛長、高い耐摩耗性等を得るためには、高速流体処理によって極細繊維同士を相互に絡合させると共に、カレンダー等によって、プレス処理を行うことが好ましい。不織布構造体に弾性重合体を含ませる場合においては、弾性重合体を不織布構造体に付与した後にプレス処理を行うことが、弾性重合体を含浸する際に、弾性重合体が均一に浸透できる点で好ましい。水分散型弾性重合体を用いる場合においても、水分散型弾性重合体を付与した後にプレス処理を行うことが好ましい。
プレス処理の温度はより平滑な平面を得る目的で、100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、130℃以上がさらに好ましい。また、発色性や堅牢度の低下を抑制するため、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、160℃以下がさらに好ましい。一方、圧縮率は、圧縮前の密度によって適宜調整されるが、風合いの硬化を抑制するために、0.1倍以上が好ましく、0.3倍以上がより好ましく、0.5倍以上がさらに好ましい。また平滑性や立毛の緻密性を向上させる目的で、0.8倍以下が好ましく、0.7倍以下がより好ましく、0.6倍以下がさらに好ましい。また、この時の線圧は特に限定されないが、例えば5〜6000N/cmの範囲で適宜調整することができる。また処理速度も、特に限定されず、例えば0.1〜50m/分の範囲で適宜調整することができる。
かかるプレス処理は、高速流体処理の前に行うと、高速流体処理による絡合が進みにくくなるため好ましくない。従って、高圧流体処理を行った後であれば、製造工程のいずれの段階で行っても良いが、本発明においては、起毛処理の後に行うことが、立毛長の短いヌバック調外観を得ることが容易なため好ましい。また、最終製品での平滑性を維持させるため、染色の前または後、あるいは染色の前後両方で行うことが好ましい。
立毛を形成させるためには、サンドペーパーやブラシ等による起毛処理を行うことが好ましい。かかる起毛処理は高速流体処理の後であれば、いずれの工程で1回または複数回行ってもよいが、短い立毛長を均一に形成させるには、少なくともプレス処理の前に行うことが好ましい。この際、ベルトダンサーやローラーサンダーを用いたサンドペーパーによる起毛が好ましく適用できるが、サンドペーパーとしては、粒度が#400〜1000のものを用いた方が、より平滑な面と短毛かつ均一な立毛を形成することが出来るため好ましい。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)目付、見掛け密度
目付はJIS L 1096 8.4.2(1999)の方法で測定した。また、厚みをダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製、商品名“ピーコックH”)により測定し、目付の値から計算によって繊維見掛け密度を求めた。
(2)マーチンデール摩耗試験
JIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に準じて測定される耐摩耗試験において、20000回の回数を摩耗した後の試験布の重量減を評価すると共に外観から毛玉の数を数えた。
(3)立毛長
ランダムに5箇所サンプリングし、表面の立毛を手で起こした状態で電子走査型顕微鏡にて断面写真を撮影し、ピリングや抜けかけの繊維を除く立毛の上端と絡合表面との垂直距離(絡合表面からの高さ)を求め、その平均値を立毛長とした。
実施例1
海成分としてポリスチレン45部、島成分としてポリエチレンテレフタレート55部からなる単繊維繊度3デシテックス、36島、繊維長51mmの海島型複合短繊維を用い、カード、クロスラッパーを通してウェブを作製した。次いで1バーブ型のニードルパンチにて2000本/cmの打ち込み密度で処理し、繊維見掛け密度0.212g/cmの複合短繊維不織布を得た。次に約95℃に加温した重合度500、ケン化度88%のポリビニルアルコール(PVA)12%の水溶液に固形分換算で不織布重量に対し25%の付着量になるように浸積し、PVAの含浸と同時に2分間収縮処理を行い、100℃にて乾燥して水分を除去した。得られたシートを約30℃のトリクレンでポリスチレンを完全に除去するまで処理し、単繊維繊度約0.046デシテックスの極細繊維を得た。次いで、室田製作所(株)製の標準型漉割機を用いて、厚み方向に対して垂直に2枚にスプリット処理した後、極限粘度が0.40と0.75のポリエチレンテレフタレートを重量複合比50:50でサイドバイサイドに貼りあわせた1300T/m、110デシテックス24フィラメントの複合繊維からなる、織密度が250×120本/インチであるリラックス処理後の平織物を重ねて、0.1mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドからなるウォータージェットパンチにて、1m/分の処理速度で表裏ともに10MPaと20MPaで処理し、PVAの除去とともに絡合を行い、極細短繊維不織布(A)を得た。
ついで、♯600メッシュのサンドペーパーにて起毛処理を行った後、150℃に加熱したスチールカレンダーにて、圧縮率0.5倍に設定し、速度0.5m/分でプレス処理を行った。次に、液流染色機によってSumikaron Blue S−BBL200(住化ケムテックス(株)製)を用い20%owfの濃度で、120℃、45分で染色した。その後、柔軟剤(アミノ変性シリコーンエマルジョン“シリコーランAN−2200”一方社株式会社製)と微粒子(コロイダルシリカ“スノーテックス20L”日産化学工業株式会社製、平均粒径0.04〜0.05μm:BET法)を含む水溶液に浸積し、コロイダルシリカが0.1重量%となるように絞った後、100℃で乾燥させた。
このようにして得られたヌバック調の皮革様シート状物は、目付が259g/cm、見掛け密度が0.400g/cm、であった。また、シート全体が緻密な繊維構造を形成すると共に、ポリウレタンの膜状物は観察されず、表面には緻密な立毛(立毛長200μm)を形成しており、耐摩耗性試験の結果、毛玉1個、摩耗減量10mgと優れた結果が得られた。
実施例2
実施例1と同様にして極細繊維不織布(A)を得た後、♯600メッシュのサンドペーパーにて起毛処理を行い、ついでエマルジョンポリウレタン(日華化学(株)製“エバファノールAPC−55”)を固形分5%付与するように含浸した後、150℃、10分で熱処理した。次に、液流染色機によってSumikaron Blue S−BBL200(住化ケムテックス(株)製)を用い20%owfの濃度で、120℃、45分で染色し、150℃に加熱したスチールカレンダーにて、圧縮率0.5倍に設定し、速度0.5m/分でプレス処理を行った。ついで実施例1と同様に柔軟剤と微粒子を付与した。
このようにして得られたヌバック調の皮革様シート状物は、目付が275g/cm、見掛け密度が0.500g/cm、であった。また、シート全体が緻密な繊維構造を形成すると共に、ポリウレタンの膜状物は観察されず、表面に微量の立毛(立毛長50μm)を形成しており、耐摩耗性試験の結果、毛玉0個、摩耗減量2mgと優れた結果が得られた。
実施例3
エマルジョンポリウレタンを付与しない以外は実施例2と同様にして処理を行った。このようにして得られたヌバック調の皮革様シート状物は、目付が264g/cm、見掛け密度が0.447g/cm、であった。また、シート全体が緻密な繊維構造を形成すると共に、ポリウレタンの膜状物は観察されず、表面には微量の立毛(立毛長300μm)を形成しており、耐摩耗性試験の結果、毛玉2個、摩耗減量5mgと優れた結果が得られた。
比較例1
海成分としてポリスチレン45部、島成分としてポリエチレンテレフタレート55部からなる単繊維繊度3デシテックス、36島、繊維長51mmの海島型複合繊維を用い、カード、クロスラッパーを通してウェブを作製した。次いで1バーブ型のニードルパンチにて1500本/cmの打ち込み密度で処理し、繊維見掛け密度0.210g/cmの複合短繊維不織布を得た。次いで約95℃に加温したPVAの12%水溶液に固形分換算で不織布重量に対し25%の付着量になるように浸積し、PVAの含浸と同時に2分収縮処理を行い、100℃にて乾燥して水分を除去した。得られたシートを約30℃のトリクレンでポリスチレンを完全に除去するまで処理した。
また、ポリマージオールとして、分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールと、分子量2000のポリトリメチレングリコールの、50:50の混合物、ジイソシアネートとして4,4’−ジフェニルメタンジアミンイソシアネート、鎖伸長剤としてエチレングリコールを用い、常法によりポリウレタンを得て固形分が12重量%になるようにDMFで希釈してポリウレタン含浸液を調製した。
さらに、このポリウレタン含浸液を用いて、固形分40%となるように含浸した後、40℃に調整した水で湿式凝固を行うとともに、85℃の温水にてDMFおよびPVAを除去した。次いで、♯200メッシュのサンドペーパーにて起毛処理を行った後、液流染色機によってSumikaron Blue S−BBL200(住化ケムテックス(株)製)を用い20%owfの濃度で、120℃、45分で染色した。
このようにして得られた皮革様シート状物の目付は320g/cm、見掛け密度は0.249g/cm、であった。また、断面写真を観察すると、ポリウレタンの多孔体が繊維と共に存在し、かつポリウレタンの膜状物が存在するとともに、立毛長が長く(立毛長1.0mm)スエード調の外観を有しており、耐摩耗性試験の結果、毛玉0個、摩耗減量7mgであった。
比較例2
実施例1で得られた極細短繊維不織布(A)を用い、次いで液流染色機にて実施例1と同様に染色した後、150℃、5m/分の処理速度で加熱したカレンダープレスによって、厚みを0.6倍に圧縮した。次いで♯500メッシュのサンドペーパーにて起毛処理してから、実施例1と同様にして柔軟剤と微粒子を付与し、皮革様シート状物を得た。
このようにして得られた皮革様シート状物は、目付289g/cm、見掛け密度0.488g/cm、であった。また、シート全体が緻密な繊維構造を形成すると共に、ポリウレタンの膜状物は観察されなかったものの、立毛長が長く(立毛長800μm)スエード調の外観を有していた。また、耐摩耗性試験の結果、毛玉1個、摩耗減量2mgであった。

Claims (16)

  1. 単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックス、見掛け密度が0.300〜0.700g/cmの短繊維不織布からなり、立毛長が1〜500μmであり、かつ弾性重合体からなる膜状物が存在しないことを特徴とするヌバック調皮革様シート状物。
  2. 弾性重合体が10重量%以下存在することを特徴とする請求項1に記載のヌバック調皮革様シート状物。
  3. 実質的に繊維素材からなる請求項1に記載のヌバック調皮革様シート状物。
  4. 不織布を構成する短繊維の繊維長が1〜10cmであるものを含み、かつ該短繊維同士が絡合してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のヌバック調皮革様シート状物。
  5. 該短繊維がポリエステル系繊維および/またはポリアミド系繊維からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヌバック調皮革様シート状物。
  6. 織物又は編物が積層されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のヌバック調皮革様シート状物。
  7. マーチンデール法における摩耗試験において、20000回摩耗した時の摩耗減量が20mg以下であり、かつ毛玉の数が5個以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のヌバック調皮革様シート状物。
  8. 該繊維素材に微粒子が含まれていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のヌバック調皮革様シート状物。
  9. 該微粒子の粒径が0.001〜30μmであることを特徴とする請求項8に記載のヌバック調皮革様シート状物。
  10. 0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な1〜10デシテックスの複合短繊維を用いてニードルパンチ法により複合短繊維不織布を製造し、次いで少なくとも10MPaの圧力で高速流体処理を行った後、起毛処理してからプレス処理することを特徴とするヌバック調皮革様シート状物の製造方法。
  11. 該ニードルパンチを行った後、該高速流体処理を行う前および/または高速流体処理と同時に極細化処理を行うことを特徴とする請求項10に記載のヌバック調皮革様シート状物の製造方法。
  12. 該高速流体処理を行う前に、厚み方向に垂直に2枚以上にスプリット処理を行うことを特徴とする請求項10又は11に記載のヌバック調皮革様シート状物の製造方法。
  13. 厚みを0.1〜0.8倍にプレス処理することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のヌバック調皮革様シート状物の製造方法。
  14. 起毛処理した後、染色の前又は後、あるいは前及び後の両方でプレス処理を行うことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載のヌバック調皮革様シート状物の製造方法。
  15. 高速流体処理を行った後に、水分散型弾性重合体を0.1〜10重量%付与することを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載のヌバック調皮革様シート状物。
  16. 水分散型弾性重合体を付与してからプレス処理を行うことを特徴とする請求項15に記載のヌバック調皮革様シート状物の製造方法。
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