JP2006227388A - エレクトロクロミック表示装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い表示速度、優れた機械的強度および画像欠陥の抑制された高表示品質を実現できるエレクトロクロミック型表示装置を提供する。
【解決手段】 透明表示電極と対向電極との間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を配し、透明表示電極と対向電極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させて表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、表示用組成物が、発色性物質の他に、ビニル系ポリマーと、表示用組成物中の他の成分に不溶な着色剤粒子と、必要に応じて溶媒とを含有し、着色剤粒子表面とビニル系ポリマーとが結合している。
【選択図】 図1
【解決手段】 透明表示電極と対向電極との間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を配し、透明表示電極と対向電極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させて表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、表示用組成物が、発色性物質の他に、ビニル系ポリマーと、表示用組成物中の他の成分に不溶な着色剤粒子と、必要に応じて溶媒とを含有し、着色剤粒子表面とビニル系ポリマーとが結合している。
【選択図】 図1
Description
本発明は、たとえば銀のように、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を使用するエレクトロデポジション型ディスプレイ等のエレクトロクロミック表示装置に関する。
従来、電子ペーパ、ペーパーライクディスプレイ、デジタルペーパなどと呼ばれ、電界により光学的吸収や光学的反射を変化させて像表示を行う表示装置が提案されている。
電界により光学的吸収や光学的反射が変化する素子としては、色と電気的特性の双方が異なる半球を合わせた回転粒子を絶縁性液体とともに内包したマイクロカプセル、電気泳動粒子を分散させた溶媒を着色し、この溶媒を内包したマイクロカプセル(たとえば特許文献1参照。)、2色性色素とスメクチック液晶とを含む液晶/高分子複合膜などがある。これらの技術を使用した表示装置は、メモリ性を有し、電源が無くても像情報を保持でき、反射型表示装置であるため、紙の代替として期待されている。電極のある基板として、たとえばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等を使用できるので、薄くて、軽く、曲げることが可能な表示装置である。
また、近年、電圧の変化による物質の色変化を利用したエレクトロクロミック表示装置の中でも、紙なみのコントラスト、白色度を実現できるエレクトロデポジション型表示装置も提案されている。透明電極上で金属が析出、溶解するエレクトロデポジション型表示装置では高い反射率が得られる。このエレクトロデポジション型表示装置は、ハロゲンを含む支持電解質とともにハロゲン化銀が表示用組成物中に溶解しており、この銀が所定の電位によって透明電極に析出することで発色するものである(特許文献2,3参照。)。また、逆の電位によって透明電極上の金属が再溶解することで消色する。
これらのエレクトロクロミック型表示装置の多くは、酸化と還元とにより発色と消色を行うことができる発色性物質を含む表示用組成物を、ある間隔を確保して貼り合わせた2枚の電極板の間に封入した装置構成となる。表示装置の損傷時に内部の電解液が漏洩しないようにするためには、表示用組成物中にポリマーを含有させて、表示用組成物をゲル状または固体状の電解質(以下、「ゲル状または固体状の電解質」を単に「固体電解質」と呼称する場合がある。また、「ゲル状または固体状」を単に「固体状」とも呼称する。)とする方法がよく用いられている。(たとえば特許文献4,5参照。)。
さらに、表示用組成物とともに、白色の多孔質の背景板を用いたり、白色の無機顔料を分散した固体電解質を用いる方法で、背景部の反射率、白色度を高め、高コントラスト、高白色度を実現する方法も提案されている。その際に均質な画面を得るために、白色顔料である酸化チタンを表面処理して均一分散させる方法も提案されている。(たとえば、特許文献6を参照。)
いずれにおいても、固体電解質中のポリマー含有量が多いほど、固体電解質層の機械的強度が増し、押しつぶされたり、破断することが少なくなり、安定して高品質な表示装置を作製することができる。しかしながら、その一方で、ポリマーは固体電解質中で酸化、還元反応に関与するイオンの移動を妨げるため、発色性物質の反応速度が低下して発色または消色する速度が低下したり、十分な光学濃度まで発色、消色させることができない等の問題が生じてくる。
特開平01−086116号公報(特許請求の範囲)
米国特許4,240,716号明細書(クレーム)
米国特許4,240,717号明細書(クレーム)
特開2002−258327号公報(特許請求の範囲)
特開2003−121883号公報(特許請求の範囲)
特開2003−302658号公報(特許請求の範囲)
いずれにおいても、固体電解質中のポリマー含有量が多いほど、固体電解質層の機械的強度が増し、押しつぶされたり、破断することが少なくなり、安定して高品質な表示装置を作製することができる。しかしながら、その一方で、ポリマーは固体電解質中で酸化、還元反応に関与するイオンの移動を妨げるため、発色性物質の反応速度が低下して発色または消色する速度が低下したり、十分な光学濃度まで発色、消色させることができない等の問題が生じてくる。
本発明は、上記問題を解決し、高い表示速度、優れた機械的強度および画像欠陥の抑制の少なくともいずれか一つを実現できるエレクトロクロミック型表示装置を提供することを目的としている。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
本発明の一態様によれば、透明表示電極と対向電極との間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を配し、透明表示電極と対向電極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させて表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、表示用組成物が、発色性物質の他に、ビニル系ポリマーと、表示用組成物中の他の成分に不溶な着色剤と、溶媒とを含有し、着色剤表面とビニル系ポリマーとが結合している、エレクトロクロミック表示装置が提供される。
本発明態様により、表示用組成物に含まれるポリマー量を低減でき、高い表示速度、優れた機械的強度および画像欠陥の抑制の少なくともいずれか一つを実現できるエレクトロクロミック型表示装置を実現できる。
本発明の他の一態様によれば、透明表示電極と対向電極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させて表示を行うエレクトロクロミック表示装置の製造方法において、加熱または活性エネルギー線照射または加熱と活性エネルギー線照射とにより、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、ビニル重合性化合物と、ビニル基と反応し得る化合物で表面処理した着色剤と、必要に応じて溶媒とを含有する表示用原料組成物を処理して表示用組成物となし、透明表示電極を設けた透明表示電極側基板と対向電極を設けた対向電極側基板とを、透明表示電極と対向電極とが相対するようにして対向させ、その間に表示用組成物を配する、エレクトロクロミック表示装置の製造方法が提供される。
本発明態様により、高い表示速度、優れた機械的強度および画像欠陥の抑制の少なくともいずれか一つを実現できるエレクトロクロミック型表示装置を容易に製造することができる。
いずれの態様についても、着色剤表面とビニル系ポリマーとが、ビニル基と反応し得る化合物を介して結合していること、ビニル基と反応し得る化合物がビニル基を含有するシランカップリング剤であること、着色剤が二酸化チタン粒子であること、着色剤の平均粒子径(直径)が0.05〜0.5μmの間にあること、着色剤が表示用組成物中に1〜50体積%含まれることおよび、透明表示電極と対向電極とが、共に、可撓性を有する基板上に設けられていることが好ましい。
本発明により、高い表示速度、優れた機械的強度および画像欠陥の抑制の少なくともいずれか一つが可能なエレクトロクロミック型表示装置を実現できる。
以下に、本発明の実施の形態を図、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
本発明に係るエレクトロクロミック表示装置は、透明表示電極を設けた透明表示電極側基板と対向電極を設けた対向電極側基板とを、透明表示電極と対向電極とが相対するようにして対向させ、その間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質とを含む表示用組成物を配し、透明表示電極と対向電極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させて表示を行うエレクトロクロミック表示装置である。
図1は、本発明に係るエレクトロクロミック表示装置の表示パネルの模式的横断面図である。図1において、表示パネル1は、対向する透明表示電極側基板3と対向電極側基板5のそれぞれに設けられた透明表示電極2と対向電極4との間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物6が配されている。矢印は、表示パネル1の表示を人が見る方向を表す。透明表示電極2と対向電極4とは、それぞれストライプ状で、矢印の方向から見た場合にはストライプ形状が互いに直交した配置になっている。基板3,5の内側周辺部には、表示用組成物6を囲んでシールするシール壁7が設けられている。
本発明によれば、透明表示電極と対向電極との間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を配し、透明表示電極と対向電極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させて表示を行うエレクトロクロミック表示装置において使用される表示用組成物に、発色性物質の他に、ビニル系ポリマーと、表示用組成物中の他の成分に不溶な着色剤粒子と、溶媒とを含有させてあり、着色剤粒子表面とビニル系ポリマーとが結合している。必要に応じて、透明表示電極と対向電極との間隔を一定に保ち、安定した表示を行うために、表示用組成物中に、スペーサを配してもよい。
着色剤表面とビニル系ポリマーとが結合していることにより、着色剤とビニル系ポリマーとが一体化され、固体状の表示用組成物の強度が向上し、表示用組成物を透明表示電極と対向電極との間に配したエレクトロクロミック表示装置の表示パネルを曲げた際や、表示パネルに外部から力や振動が加わった際に優れた機械的強度(特に優れた屈曲性)をエレクトロクロミック表示装置に付与することができ、これにより、表示用組成物が破断して表示面の外観が不均質化したり表示ヌケが生ずる現象を抑制することができる。従って、画像欠陥の抑制された高品質な表示面を得ることができる。
さらには、着色剤表面とビニル系ポリマーとが結合していることにより、着色剤粒子の表示用組成物層中での移動や凝集を抑制でき、均質な表示画面を長期にわたって安定して得られることが期待できる。
さらに優れた機械的強度が得られることから、ポリマーの含有量を低減でき、これにより、高い表示速度を実現することも可能となる。
着色剤粒子表面とビニル系ポリマーとの間の結合の種類はどのようなものでもよいが、一般的には物理的結合よりも化学的結合の方が強固であるため、好ましい。着色剤粒子表面とビニル系ポリマーとの間に化学結合を生じさせるには、着色剤粒子表面の官能基とビニル系ポリマーの末端等における官能基とを直接にあるいは他の物質を介して化学反応させることが実用的である。
この場合、「他の物質」としてはビニル基と反応し得る化合物が好ましい。ビニル基と反応し得る化合物としては、公知のどのような化合物から選択してもよいが、後述するようなビニル基を含有するシランカップリング剤を、好ましい例として挙げることができる。
なお、本発明においては、着色剤表面とビニル系ポリマーとの結合の存在を実際に確認する必要はなく、着色剤について何らかの表面処理を行った結果、表示用組成物中におけるビニル系ポリマー量と着色剤量とを同一に保ったまま、上記のように機械的強度を改善できれば、着色剤表面とビニル系ポリマーとの間に結合が生じたと判断してよい。
このようなエレクトロクロミック表示装置を製造する方法としては、加熱または活性エネルギー線照射または加熱と活性エネルギー線照射とにより、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、ビニル重合性化合物と、ビニル基と反応し得る化合物で表面処理した着色剤粒子と、必要に応じて溶媒とを含有する表示用原料組成物を処理して表示用組成物となし、透明表示電極を設けた透明表示電極側基板と対向電極を設けた対向電極側基板とを、透明表示電極と対向電極とが相対するようにして対向させ、その間に表示用組成物を配する、エレクトロクロミック表示装置の製造方法を挙げることができる。
この方法により、表示用組成物に含まれるポリマー量を低減でき、高い表示速度、優れた機械的強度および画像欠陥の抑制の少なくともいずれか一つを実現できるエレクトロクロミック型表示装置を容易に製造することができる。
透明表示電極と対向電極との間に表示用組成物を配する方法としては、塗工、真空注入、転写など、どのようなものでもよい。透明表示電極側基板と対向電極側基板とを、周囲をシール剤でシールして貼り合わせ、このシール壁によりシールされた空間に表示用原料組成物を注入する方法や、表示用原料組成物をシート状にして、透明表示電極側基板または対向電極側基板上で、加熱または活性エネルギー線照射または加熱と活性エネルギー線照射とにより処理した後、減圧下でもう一方の基板と貼り合せた後、周囲を封止する方法を例示することができる。
ここで、表示用原料組成物としては、発色性物質と、ビニル重合性化合物と、後述するようなビニル基と反応し得る化合物により表面処理した着色剤粒子と、溶媒とを、ボールミル、ホモジナイザ、ミキサ、サンドミル等の公知の手法により撹拌して混合することにより得られる。あるいは、発色性物質と、ビニル重合性化合物と、着色剤粒子と、後述するようなビニル基と反応し得る化合物と、溶媒とを、撹拌して混合してもよい。
すなわち、透明表示電極側基板と対向電極側基板とを、透明表示電極と対向電極とが相対するようにして対向させ、その間に、上記の方法により得られる表示用原料組成物を配し、加熱または活性エネルギー線照射または加熱と活性エネルギー線照射とにより、表示用原料組成物を処理して表示用組成物となしてもよく、また、加熱または活性エネルギー線照射または加熱と活性エネルギー線照射とにより、上記の方法により得られる表示用原料組成物を処理して表示用組成物となした後に、透明表示電極側基板と対向電極側基板との間にこの表示用組成物を配してもよい。
ここで、表示用原料組成物とは、加熱または活性エネルギー線照射または加熱と活性エネルギー線照射とにより、ビニル重合性化合物を重合させ、着色剤粒子表面とビニル系ポリマーとの間に結合を生じさせる前の組成物を意味し、加熱または活性エネルギー線照射または加熱と活性エネルギー線照射とにより、表示用組成物となる。
すなわち、着色剤粒子表面とビニル系ポリマーとの結合は、通常、両者を混合させただけでは生じにくいため、着色剤粒子の表面をビニル基と反応し得る化合物で表面処理し、着色剤粒子の表面にビニル重合性化合物がこのビニル基と反応し得る化合物を介して化学結合する結果、着色剤粒子表面とビニル系ポリマーとの結合を生ぜしめることができるようにすることで実現が可能となる。
このようなビニル基と反応し得る化合物としては、公知のどのようなものを使用してもよく、カップリング剤と呼ばれるものの中から選択することができる。具体的にはビニル基を含有するシランカップリング剤が挙げられる。これは一つの分子内にビニル基とアルコキシとを有する化合物であり、表示用原料組成物中に、たとえばビニル系ポリマーの原料となるモノマーやオリゴマー等のビニル重合性化合物を存在させ、これを加熱または活性エネルギー線照射または加熱と活性エネルギー線照射とにより処理する。具体的には、ビニル重合性化合物を重合させると共に、ビニル基を含有するシランカップリング剤とも化学結合させるのである。アルコキシ基等が着色剤粒子表面の水酸基などと反応結合する。これにより、着色剤粒子の表面とビニル重合性化合物との間の結合が完成する。ただし、前述のごとく、このような反応が実際に存在することの確認は本発明の要件ではない。
ビニル基を含有するシランカップリング剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルアセトキシシランなどが挙げられる。
ビニル基を含有するシランカップリング剤による着色剤粒子の表面処理方法としては公知の方法を用いることができる。たとえば、シランカップリング剤を水または有機溶媒に溶かした溶液とし、これに着色剤粒子を浸漬した後乾燥させる方法や、この溶液を着色剤粒子にスプレーした後に乾燥させる方法を用いることにより、着色剤粒子の表面に付着、反応結合させることができる。さらに、反応を促進するために、数十℃から150℃程度で加熱してもよい。
本発明に用いることができる着色剤粒子としては、使用される表示用組成物や表示用原料組成物中の他の成分に不溶のものであれば、公知のどのようなものを使用してもよい。白色顔料としては、二酸化チタン、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄等の無機顔料や、銅フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料などの有機顔料が挙げられるが、隠蔽率の観点から二酸化チタンを用いるのが好ましい。
着色剤粒子の平均粒子径(直径)としては、0.05〜0.5μmの間にあることが好ましい。着色剤粒子の固体電解質中における濃度としては特に制限はないが、表示用組成物中、体積1〜50体積%を添加することが好ましい。添加量が少な過ぎる場合は、固体電解質の強度を向上させる効果が小さくなるだけでなく、隠蔽性が低く、十分な着色を行うことができない。一方、添加量が多すぎる場合は、固体電解質中に均一に分散することが困難となり、凝集して着色性を低下させたり、色ムラを生じる要因となる。さらには、ビニル系ポリマーとの反応による架橋密度が高くなるために、固体電解質が剛直となり、表示装置の可撓性が損なわれる。
本発明に係るビニル系ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等の公知の材料を用いることができる。これらはビニルモノマーやビニルオリゴマー等のビニル重合性化合物を重合して得ることができる。この場合は、着色剤粒子表面のシランカップリング剤と共重合させることが容易である。なお、使用されるビニル系ポリマーのすべてが着色剤との結合に関与しているとは限らない。本発明に係る表示用組成物には、着色剤と結合していない、自由なビニル系ポリマーを共存させてもよい。さらに、本発明に趣旨に反しない限り、表示用組成物中には、ビニル系ポリマー以外のポリマーを共存させることもできる。
本発明で用いることができるビニル重合性化合物としては、ビニル基を有しているものであればよく、たとえば、ビニルアルコール、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ1−アクリロキシ3−メタクリロキシプロパン、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの公知の材料が挙げられる。
ビニル系ポリマーまたはビニル重合性化合物と表面にビニル基を含むシランカップリング剤を被覆した着色剤との間に反応結合を生じさせるためには、加熱または活性エネルギー線照射または加熱と活性エネルギー線照射により行うことができる。活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、電子線等を挙げることができる。
この際、ラジカルを発生させるための重合開始剤を添加することができ、好ましい。このような重合開始剤として、アゾ系重合開始剤、過酸化物などの公知の材料が挙げられる。重合開始剤は、ビニル重合性化合物の100重量部に対し、0.5〜10重量部添加するのが好ましい。
本発明に係る表示組成物中における各成分の割合については特に制限はなく、実情に応じて任意に定めることができるが、固体電解質とするためには、ビニル系ポリマーを表示用組成物中5重量%以上含有させることが好ましい。
酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質としては、公知の材料を用いることができる。たとえば、タングステン酸化物やモリブデン酸化物、ビオロゲンおよびその誘導体、あるいは、ビスマス、銅、銀、リチウム、鉄、クロム、ニッケル、カドミウム等の電析可能なイオンを含有する化合物を挙げることができる。特に、高コントラストな表示を得るためのエレクトロデポジション型の表示装置においては、発色性物質としてハロゲン化銀を用いることが好ましく、このようなハロゲン化銀としては、フッ化銀(AgF)、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)またはヨウ化銀(AgI)を用いることができる。なお、溶解性の観点からヨウ化銀を用いるのが好ましい。また、ハロゲン化銀の濃度は0.05〜8.0 moL/Lが好ましい。
表示用組成物には、これらの発色性物質のほかに、発色性物質の溶解性や反応性を調整するために、他の支持電解質が含まれていてもよい。ハロゲン化銀を溶解するための、ハロゲンを含む支持電解質としては、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムなどの公知の材料を用いることができる。なお、エレクトロクロミック表示装置の表示速度やハロゲン化銀の溶解性の観点からは、アンモニウム塩を用いるのが好ましい。また、この支持電解質はハロゲン化銀の濃度に対して、0.1〜2モル倍の範囲にあることが好ましい。
また、他の支持電解質としては、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、チオシアン酸イソシアネート、チオシアン酸アンモニウム、硫化ナトリウムなどの、過塩素酸塩、チオシアン酸塩、硫酸塩、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、乳酸、サリチル酸等、公知の材料が挙げられる。
これら発色性物質、支持電解質、ビニル重合性化合物を溶解し、ビニル系ポリマーを溶解または膨潤するために溶媒を使用することができる。溶媒の使用量は、実情に応じて任意に決めることができる。
この溶媒としては、酸化還元反応によるガスの発生を抑制する意味で非プロトン極性溶媒が好ましい。具体的には、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAA)、N−メチルプロピオン酸アミド(MPA)、N−メチルピロリドン(NMP)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、スルホラン、アセトニトリル(AN)、2−エトキシエタノール(EEOH)、2−メトキシエタノール(MEOH)、ジオキソラン(DOL)、エチルアセテート(EA)、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、γ−ブチロラクトン(GBL)、ピリジン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水等を用いることができ、これらを混合使用してもよい。
また、本発明の表示装置においては、必要に応じて、透明表示電極と対向電極との間隔を一定に保ち、安定した表示を行うために、固体電解質中にスペーサを配してもよい。スペーサは、表示の邪魔にならず、使用される表示用組成物や表示用原料組成物中の他の成分に不溶のものであればどのようなものでもよく、球状を含む粒子状、柱状のものを好適に用いることができる。スペーサを構成する材質としては、たとえば、ガラス、シリカ、アルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウム等の各種セラミック、ポリエチレンおよびその誘導体、ポリプロピレンおよびその誘導体、スチレン−ジビニルベンゼンなどの樹脂、鉄、ステンレス等の金属を好適に用いることができる。
粒子状スペーサを透明表示電極側基板と対向電極側基板との間に配する方法としては、表示用原料組成物中に分散させた後、表示用組成物を透明表示電極側基板と対向電極側基板との間にこの表示用組成物を配してもよく、あるいは、先に、粒子状スペーサを乾式、湿式等公知の手法により透明表示電極側基板と対向電極側基板のいずれかに散布した後に、両基板をその周囲をシール剤でシールして貼り合わせ、このシール壁によりシールされた空間に表示用原料組成物を注入することによって両基板間に配してもよい。
粒子状スペーサのサイズは、目的に応じて適宜選択することができるが、一般的には、平均粒径で20〜1000μmの範囲が好ましい。粒径のばらつきは小さい方が好ましい。また、球状、粒子状スペーサの形状は、母粒子の表面に他の微粒子が付着していたり、粒子の表面に凹凸があってもよい。
柱状スペーサは、透明表示電極側基板と対向電極側基板のいずれかまたは双方の対向する表面に、スクリーン印刷やインクジェット方式による印刷等により形成することができる。
透明表示電極は、表示を行うため可視光に対する透過率を高くする必要があり、透明表示電極側基板表面に、たとえばITO(インジウム錫酸化物)、FTO(フッ素ドープ酸化錫)、SnO2といった導電性材料を蒸着、または塗布することで作製される。また、これらの導電性材料層と透明表示電極側基板との間に、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの無機材料層、ポリアミドなどの有機材料膜を形成してもよい。これにより、導電性材料層の密着性向上、ガスや溶媒に対するバリヤ性向上といった効果が得られる。像の表示は、上記電極間の通電により、透明表示電極の近傍の発色性物質が電気化学的な酸化または還元反応により発色することで行われる。
対向電極に使用する材料としては、導電性のある物質であれば特に制限はなく、たとえば、銀、金、白金、アルミニウム、銅等の導電性の高い金属、カーボン、ポリアニリン、ポリピロール等の導電性ポリマー、ITO、FTO、SnO2といった金属酸化物の薄膜、または、蒸着膜、スパッタ膜あるいは、可能な場合には、これらの粉体のペーストを使用した塗布膜やその焼結体から選択することができる。
透明表示電極と対向電極とは、通常基板の上に直接または、基板との間の密着性を向上させる等の目的で設けられる層を介して配される。透明表示電極側基板の材質としては透明であることが必要であり、石英ガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス等の透明ガラスを用いることが可能であるが、これに限定されず、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂類、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース等のセルロースエステル類、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素ポリマー類、ポリオキシメチレン等のポリエーテル類、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン類、ゼオノア、ゼオネックス(以上日本ゼオン製)、アートン(JSR製)といった製品銘柄に代表されるシクロオレフィン系樹脂類及びポリイミドアミドやポリエーテルイミド等のポリイミド類等を例として挙げることができる。
なかでも、光透過性と極性溶媒に対する耐性を考えた場合、ガラス基板、熱可塑性ポリエステル樹脂またはシクロオレフィン系樹脂製の基板を用いることが好ましい。
対向電極側基板の材質は必ずしも透明である必要はなく、石英ガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス等の透明ガラス、金属、セラミックの他、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂類、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース等のセルロースエステル類、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素ポリマー類、ポリオキシメチレン等のポリエーテル類、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン類、ゼオノア、ゼオネックス(以上、日本ゼオン製)、アートン(JSR製)といった製品銘柄に代表されるシクロオレフィン系樹脂類及びポリイミド−アミドやポリエーテルイミド等のポリイミド類を挙げることができる。
なかでも、極性溶媒に対する耐性を考えた場合、ガラス基板、熱可塑性ポリエステル樹脂またはシクロオレフィン系樹脂製の基板を用いることが好ましい。
上記の基板は、いずれの場合も、容易に曲がらないような高剛性の基板にすることも、本発明による優れた機械的強度を活かすために、可撓性を持ったフィルム状の構造体とすることも可能である。
次に本発明の実施例および比較例を詳述する。なお、表示速度は表示部の光学濃度が1.2まで達するために必要な電圧印加時間で評価した。
[実施例1]
(1)着色剤の表面処理
白色顔料である二酸化チタンCR−58(石原産業製;平均粒子径0.28μm)をγ―メタクリロキシプロピルシランSZ6030(東レダウコーニングシリコーン社製)の2重量%トルエン溶液中で100℃に加温しながら1時間撹拌を行った後、メタノールで洗浄、乾燥させた。
(1)着色剤の表面処理
白色顔料である二酸化チタンCR−58(石原産業製;平均粒子径0.28μm)をγ―メタクリロキシプロピルシランSZ6030(東レダウコーニングシリコーン社製)の2重量%トルエン溶液中で100℃に加温しながら1時間撹拌を行った後、メタノールで洗浄、乾燥させた。
(2)表示用原料組成物の作製
炭酸プロピレンに、ヨウ化銀(1.0moL/L)、ヨウ化アンモニウム(1.0moL/L)、チオシアン酸アンモニウム(1.0moL/L)を溶解して電解液とし、この電解液9.0gに対し、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン(701:新中村化学製)0.5g、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート(EA−5521:新中村化学製)0.4g、シアノレジン(CR−S:信越化学工業製)0.1gおよび重合開始剤V−65(和光純薬製)0.02gを溶解した。この混合物の100体積部に対し(1)で処理した二酸化チタン着色剤を15体積部加えてビーズミルにて分散、混合し、白色液体状の表示用原料組成物を作製した。
炭酸プロピレンに、ヨウ化銀(1.0moL/L)、ヨウ化アンモニウム(1.0moL/L)、チオシアン酸アンモニウム(1.0moL/L)を溶解して電解液とし、この電解液9.0gに対し、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン(701:新中村化学製)0.5g、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート(EA−5521:新中村化学製)0.4g、シアノレジン(CR−S:信越化学工業製)0.1gおよび重合開始剤V−65(和光純薬製)0.02gを溶解した。この混合物の100体積部に対し(1)で処理した二酸化チタン着色剤を15体積部加えてビーズミルにて分散、混合し、白色液体状の表示用原料組成物を作製した。
(3)テストシートの作製
ポリエチレンナフタレート基板(帝人デュポンフィルム社製Q65、厚さ200μm)上にITO(表面抵抗10Ω/□)をストライプ状(ライン幅0.29mm、ライン間隔0.03mm)に形成して透明表示電極とした。
ポリエチレンナフタレート基板(帝人デュポンフィルム社製Q65、厚さ200μm)上にITO(表面抵抗10Ω/□)をストライプ状(ライン幅0.29mm、ライン間隔0.03mm)に形成して透明表示電極とした。
また、ポリエチレンナフタレート基板(帝人デュポンフィルム社製Q65、厚さ125μm)上に銀をストライプ状(ライン幅0.29mm、ライン間隔0.03mm)に形成して対向電極とした。
次に、対向電極側基板表面に粒子状スペーサ(積水化学工業製;ミクロパールSP−250)を散布した後、透明表示電極側基板を、透明表示電極を対向電極に対向させて、接着剤(シール剤)で周囲を接着して貼り合せた。
次いで、(2)で作製した表示用原料組成物を、シール空間中に、減圧下で注入した後、80℃で1時間加熱して、表示用原料組成物中のビニル重合性化合物の重合による表示用原料組成物の固体電解質化(すなわち、表示用組成物の形成)およびビニル重合性化合物と着色剤粒子との結合を行った。その後、減圧下で注入口を封止してテストシートを作製した。
作製したテストシートは表示面が均質な白色であり、その反射率は65%と高かった。電圧印加時間は0.20秒と短く、また、テストシートを手で撓ませたり、ボールペン状の突起物(先端部の半径が0.5mmの半球状)を表示面に押し当てて5Nの加重をかけてもクラックを生じなかった。すなわち、高い表示速度、優れた機械的強度および画像欠陥の抑制を実現することができた。
[実施例2]
白色顔料である二酸化チタンCR−58の表面処理をビニルトリメトキシシランSZ6300(東レダウコーニングシリコーン製)を用いて行った以外は、実施例1と同様にしてテストシートを作製した。
白色顔料である二酸化チタンCR−58の表面処理をビニルトリメトキシシランSZ6300(東レダウコーニングシリコーン製)を用いて行った以外は、実施例1と同様にしてテストシートを作製した。
作製したテストシートは表示面が均質な白色であり、その反射率は65%と高かった。電圧印加時間は0.20秒と短く、また、実施例1と同様にして、テストシートを撓ませたり、ボールペン状の突起物を表示面に押し当てて5Nの加重をかけてもクラックを生じなかった。すなわち、実施例1と同様、高い表示速度、優れた機械的強度および画像欠陥の抑制を実現することができた。
[比較例1]
白色顔料である二酸化チタンCR−58をメタノールで洗浄した後、乾燥したものを用いた以外は実施例1と同様にしてテストシートを作製した。
白色顔料である二酸化チタンCR−58をメタノールで洗浄した後、乾燥したものを用いた以外は実施例1と同様にしてテストシートを作製した。
作製したテストシートは表示面が均質な白色であり、その反射率が65%と高かった。電圧印加時間は0.20秒と短かかったが、実施例1と同様にしてボールペン状の突起物を表示面に押し当てて5Nの加重をかけたところ、内部の白色の表示用組成物層に放射状のクラックを生じたことが目視で確認され、機械的強度が低下していることがわかった。すなわち、高い表示速度は維持できたが、機械的強度が劣り、このため画像欠陥が生じやすくなっていることが判明した。
[比較例2]
炭酸プロピレンに、ヨウ化銀(1.0moL/L)、ヨウ化アンモニウム(1.0moL/L)、チオシアン酸アンモニウム(1.0moL/L)を溶解させ電解液とし、この電解液8.0gに対し、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン(701:新中村化学製)1.0g、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート(EA−5521:新中村化学製)0.8g、シアノレジン(CR−S:信越化学工業製)0.2gおよび重合開始剤V−65(和光純薬製)0.06gを溶解した。この混合物の100体積部に対し、メタノールで洗浄後、乾燥させた二酸化チタン着色剤を15体積部加えてビーズミルにて分散、混合し、白色液体状の表示用原料組成物を作製した。この表示用原料組成物を用いて、実施例1と同様にしてテストシートを作製した。
炭酸プロピレンに、ヨウ化銀(1.0moL/L)、ヨウ化アンモニウム(1.0moL/L)、チオシアン酸アンモニウム(1.0moL/L)を溶解させ電解液とし、この電解液8.0gに対し、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン(701:新中村化学製)1.0g、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート(EA−5521:新中村化学製)0.8g、シアノレジン(CR−S:信越化学工業製)0.2gおよび重合開始剤V−65(和光純薬製)0.06gを溶解した。この混合物の100体積部に対し、メタノールで洗浄後、乾燥させた二酸化チタン着色剤を15体積部加えてビーズミルにて分散、混合し、白色液体状の表示用原料組成物を作製した。この表示用原料組成物を用いて、実施例1と同様にしてテストシートを作製した。
作製したテストシートは表示面が均質な白色であり、その反射率が65%と高く、また、実施例1と同様にして、テストシートを撓ませたり、ボールペン状の突起物を表示面に押し当てて5Nの加重をかけてもクラックは生じなかったが、電圧印加時間は0.45秒であり、応答速度が低下する現象が見られた。すなわち、機械的強度は優れていたが、表示速度は低下した。この二つの現象は、ポリマー量が高いことに起因するものと考えられる。
以上のようにして、本発明により、優れた機械的強度および画像欠陥の抑制を実現することができる。また、高い表示速度を実現することも可能となる。
なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
(付記1)
透明表示電極と対向電極との間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を配し、当該透明表示電極と当該対向電極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させて表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、
当該表示用組成物が、当該発色性物質の他に、ビニル系ポリマーと、当該表示用組成物中の他の成分に不溶な着色剤と、溶媒とを含有し、
当該着色剤表面と当該ビニル系ポリマーとが結合している、
エレクトロクロミック表示装置。
透明表示電極と対向電極との間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を配し、当該透明表示電極と当該対向電極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させて表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、
当該表示用組成物が、当該発色性物質の他に、ビニル系ポリマーと、当該表示用組成物中の他の成分に不溶な着色剤と、溶媒とを含有し、
当該着色剤表面と当該ビニル系ポリマーとが結合している、
エレクトロクロミック表示装置。
(付記2)
前記着色剤表面と前記ビニル系ポリマーとが、ビニル基と反応し得る化合物を介して結合している、付記1に記載のエレクトロクロミック表示装置。
前記着色剤表面と前記ビニル系ポリマーとが、ビニル基と反応し得る化合物を介して結合している、付記1に記載のエレクトロクロミック表示装置。
(付記3)
前記ビニル基と反応し得る化合物がビニル基を含有するシランカップリング剤である、付記1または2に記載のエレクトロクロミック表示装置。
前記ビニル基と反応し得る化合物がビニル基を含有するシランカップリング剤である、付記1または2に記載のエレクトロクロミック表示装置。
(付記4)
前記着色剤が二酸化チタン粒子である、付記1〜3のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
前記着色剤が二酸化チタン粒子である、付記1〜3のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
(付記5)
前記着色剤の平均粒子径(直径)が0.05〜0.5μmの間にある、付記1〜4のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
前記着色剤の平均粒子径(直径)が0.05〜0.5μmの間にある、付記1〜4のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
(付記6)
前記着色剤が表示用組成物中に1〜50体積%含まれる、付記1〜5のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
前記着色剤が表示用組成物中に1〜50体積%含まれる、付記1〜5のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
(付記7)
前記透明表示電極と前記対向電極とが、共に、可撓性を有する基板上に設けられている、付記1〜7のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
前記透明表示電極と前記対向電極とが、共に、可撓性を有する基板上に設けられている、付記1〜7のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
(付記8)
透明表示電極と対向電極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させて表示を行うエレクトロクロミック表示装置の製造方法において、
加熱または活性エネルギー線照射または加熱と活性エネルギー線照射とにより、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、ビニル重合性化合物と、ビニル基と反応し得る化合物で表面処理した着色剤と、必要に応じて溶媒とを含有する表示用原料組成物を処理して表示用組成物となし、
当該透明表示電極を設けた透明表示電極側基板と当該対向電極を設けた対向電極側基板とを、当該透明表示電極と当該対向電極とが相対するようにして対向させ、その間に当該表示用組成物を配する、
エレクトロクロミック表示装置の製造方法。
透明表示電極と対向電極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させて表示を行うエレクトロクロミック表示装置の製造方法において、
加熱または活性エネルギー線照射または加熱と活性エネルギー線照射とにより、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、ビニル重合性化合物と、ビニル基と反応し得る化合物で表面処理した着色剤と、必要に応じて溶媒とを含有する表示用原料組成物を処理して表示用組成物となし、
当該透明表示電極を設けた透明表示電極側基板と当該対向電極を設けた対向電極側基板とを、当該透明表示電極と当該対向電極とが相対するようにして対向させ、その間に当該表示用組成物を配する、
エレクトロクロミック表示装置の製造方法。
(付記9)
前記着色剤表面と前記ビニル系ポリマーとを、ビニル基と反応し得る化合物を介して結合させる、付記8に記載のエレクトロクロミック表示装置の製造方法。
前記着色剤表面と前記ビニル系ポリマーとを、ビニル基と反応し得る化合物を介して結合させる、付記8に記載のエレクトロクロミック表示装置の製造方法。
(付記10)
前記ビニル基と反応し得る化合物がビニル基を含有するシランカップリング剤である、付記8または9に記載のエレクトロクロミック表示装置の製造方法。
前記ビニル基と反応し得る化合物がビニル基を含有するシランカップリング剤である、付記8または9に記載のエレクトロクロミック表示装置の製造方法。
(付記11)
前記着色剤が二酸化チタン粒子である、付記8〜10のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置の製造方法。
前記着色剤が二酸化チタン粒子である、付記8〜10のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置の製造方法。
(付記12)
前記着色剤の平均粒子径(直径)が0.05〜0.5μmの間にある、付記8〜11のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置の製造方法。
前記着色剤の平均粒子径(直径)が0.05〜0.5μmの間にある、付記8〜11のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置の製造方法。
(付記13)
前記着色剤が表示用組成物中に1〜50体積%含まれる、付記8〜12のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置の製造方法。
前記着色剤が表示用組成物中に1〜50体積%含まれる、付記8〜12のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置の製造方法。
(付記14)
前記透明表示電極と前記対向電極とが、共に、可撓性を有する基板上に設けられている、付記8〜13のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置の製造方法。
前記透明表示電極と前記対向電極とが、共に、可撓性を有する基板上に設けられている、付記8〜13のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置の製造方法。
1 表示パネル
2 透明表示電極
3 透明表示電極側基板
4 対向電極
5 対向電極側基板
6 表示用組成物
7 シール壁
2 透明表示電極
3 透明表示電極側基板
4 対向電極
5 対向電極側基板
6 表示用組成物
7 シール壁
Claims (5)
- 透明表示電極と対向電極との間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を配し、当該透明表示電極と当該対向電極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させて表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、
当該表示用組成物が、当該発色性物質の他に、ビニル系ポリマーと、当該表示用組成物中の他の成分に不溶な着色剤と、溶媒とを含有し、
当該着色剤表面と当該ビニル系ポリマーとが結合している
エレクトロクロミック表示装置。 - 前記着色剤表面と前記ビニル系ポリマーとが、ビニル基と反応し得る化合物を介して結合している、請求項1に記載のエレクトロクロミック表示装置。
- 前記着色剤が二酸化チタン粒子である、請求項1または2に記載のエレクトロクロミック表示装置。
- 前記透明表示電極と前記対向電極とが、共に、可撓性を有する基板上に設けられている、請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
- 透明表示電極と対向電極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させて表示を行うエレクトロクロミック表示装置の製造方法において、
加熱または活性エネルギー線照射または加熱と活性エネルギー線照射とにより、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、ビニル重合性化合物と、ビニル基と反応し得る化合物で表面処理した着色剤と、必要に応じて溶媒とを含有する表示用原料組成物を処理して表示用組成物となし、
当該透明表示電極を設けた透明表示電極側基板と当該対向電極を設けた対向電極側基板とを、当該透明表示電極と当該対向電極とが相対するようにして対向させ、その間に当該表示用組成物を配する、
エレクトロクロミック表示装置の製造方法。
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JP2005042342A JP2006227388A (ja) | 2005-02-18 | 2005-02-18 | エレクトロクロミック表示装置およびその製造方法 |
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JP2017187684A (ja) * | 2016-04-07 | 2017-10-12 | キヤノン株式会社 | エレクトロクロミック素子、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置及び窓材 |
CN113433751A (zh) * | 2021-06-30 | 2021-09-24 | 暨南大学 | 一种多色态电致变色器件及其制备方法 |
-
2005
- 2005-02-18 JP JP2005042342A patent/JP2006227388A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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