JP2006202447A - 光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 支持基板上に、少なくとも透明中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、いずれの情報層にも、所望のように、データを記録し、記録したデータを再生することができる光記録媒体を提供する。
【解決手段】 支持基板上に、透明中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、前記複数の情報層のうち、レーザビームの光入射面から最も遠い情報層以外の情報層の少なくとも一つの情報層が、共晶系の相変化材料で形成された記録膜34と、前記記録膜34に対して、前記支持基板11側に形成された反射膜32と、前記記録膜34に対して、前記光入射面13a側に形成され、Al2O3またはSiO2を主成分とする材料で形成された第一の放熱膜38と、前記記録膜34と前記第一の放熱膜38に間に形成され、AlNを主成分とする材料で形成された第二の放熱膜37とを含んでいることを特徴とする光記録媒体。
【選択図】 図4
【解決手段】 支持基板上に、透明中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、前記複数の情報層のうち、レーザビームの光入射面から最も遠い情報層以外の情報層の少なくとも一つの情報層が、共晶系の相変化材料で形成された記録膜34と、前記記録膜34に対して、前記支持基板11側に形成された反射膜32と、前記記録膜34に対して、前記光入射面13a側に形成され、Al2O3またはSiO2を主成分とする材料で形成された第一の放熱膜38と、前記記録膜34と前記第一の放熱膜38に間に形成され、AlNを主成分とする材料で形成された第二の放熱膜37とを含んでいることを特徴とする光記録媒体。
【選択図】 図4
Description
本発明は、光記録媒体に関するものであり、さらに詳細には、支持基板上に、少なくとも透明中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、いずれの情報層にも、所望のように、データを記録し、再生することができる光記録媒体に関するものである。
従来より、デジタルデータを記録するための記録媒体として、CDやDVDに代表される光記録媒体が広く利用されており、記録されたデータの書き換えが可能なものとして、CD−RWやDVD−RWなどの書き換え型の光記録媒体が知られている。
このような書き換え型光記録媒体においては、一般に、相変化材料によって形成された記録膜を含む情報層に照射されるレーザビームのパワーを、記録パワーPw、基底パワーPbおよび消去パワーPeに対応する複数のレベルに変調することによって、情報層にデータを記録し、情報層に記録されたデータを再生し、あるいは、消去することができる。
たとえば、情報層にデータを記録する場合には、そのパワーが記録パワーPwに設定されたレーザビームが、情報層に含まれた記録膜に照射され、レーザビームが照射された記録膜の領域が、相変化材料の融点以上の温度に加熱されて、その領域に含まれた相変化材料が溶融される。次いで、そのパワーが基底パワーPbに設定されたレーザビームが、記録膜に照射され、溶融された相変化材料が急冷される。その結果、その領域内の溶融された相変化材料が、結晶状態からアモルファス状態に変化し、記録膜に記録マークが形成されて、情報層にデータが記録される。
近年においては、光記録媒体の記録容量を高めるとともに、非常に高いデータ転送レートを実現するために、情報層に高密度でデータを記録することが可能な次世代型の光記録媒体の開発が盛んに行われており、次世代型の書き換え型光記録媒体も提案されている。
また、その一方で、光記録媒体の記録容量を高めるために、情報層の数を増やして、記録領域の面積を増大させる技術も開発されており、二層以上の情報層が積層された構造を有する書き換え型の光記録媒体も提案されている。
このような二層以上の情報層を備えた光記録媒体は、いずれかの情報層にレーザビームを照射することによって、その情報層にデータを記録し、記録されたデータを再生し、あるいは、消去できるように、構成されるため、光入射面から遠い情報層にデータを記録し、光入射面から遠い情報層に記録されたデータを再生し、あるいは、消去する際には、光入射面に近い情報層を介して、光入射面から遠い情報層にレーザビームを照射することになる。
したがって、所望のように、光入射面から遠い情報層にデータを記録し、光入射面から遠い情報層に記録されたデータを再生し、あるいは、消去するためには、光入射面に近い情報層が、レーザビームに対して、高い光透過率を有していることが必要である。
ここに、情報層の光透過率を高くするためには、情報層を薄く形成することが有効であり、とくに、情報層に含まれた各種の膜のうちでも、金属材料を主成分として含み、光透過率が低い反射膜を薄く形成することが有効である。
しかしながら、光入射面に近い情報層に含まれる反射膜を薄く形成すると、反射膜自体の放熱性が低下し、情報層全体としての放熱性も低下してしまい、記録膜に生じた熱を効果的に放熱させることが困難になり、その情報層にデータを記録し、記録したデータを再生したときに、再生信号のジッタが悪化してしまうことがあった。したがって、光入射面に近い情報層に含まれた反射膜を薄く形成する場合には、所望のように、光入射面から遠い情報層にデータを記録し、記録されたデータを再生し、あるいは、消去することが可能になるが、光入射面に近い情報層に、所望のように、データを記録することは困難であるという問題があった。
したがって、本発明の目的は、支持基板上に、少なくとも透明中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、いずれの情報層にも、所望のように、データを記録し、記録したデータを再生することができる光記録媒体を提供することにある。
本発明者は、レーザビームの光入射面に近い情報層の放熱性について、鋭意研究を重ねた結果、支持基板側から、第四の誘電体膜、反射膜、第三の誘電体膜、共晶系の相変化材料によって形成された記録膜、第二の誘電体膜、第一の誘電体膜および放熱膜が積層されて、レーザビームの光入射面に近い情報層が形成された光記録媒体において、放熱膜を熱伝導率の高いAlNなどの材料によって形成した場合には、この情報層の放熱性を十分に高めることができる一方で、この情報層に含まれる反射膜を薄く形成すると、やはり、反射膜自体の放熱性が低下して、情報層全体としての放熱性も低下してしまい、記録膜に生じた熱を効果的に放熱させることが困難になってしまうことを見出した。
かかる放熱性の低下は、光入射面に近い情報層に含まれる放熱膜を厚く形成して、その情報層全体としての放熱性を高めることによって解決することができると考えられる。
しかしながら、光入射面に近い情報層には、その情報層に記録されたデータを再生するにあたって、所望のように、レーザビームを反射させる性質を有することが要求されるため、情報層の反射率を所望の反射率に調整する必要があり、所望の反射率を有するように情報層を形成するためには、情報層の反射率は放熱膜の膜厚にも依存するから、放熱膜の膜厚がある範囲に限定され、放熱膜の膜厚を厚くすることは困難であることが判明した。
したがって、複数の情報層を備えた光記録媒体においては、光入射面に近い情報層の反射率や光透過率などの光学特性を維持しつつ、放熱性を高めることによって、いずれの情報層にも、所望のように、データを記録し、記録したデータを再生することは、通常、困難であると考えられた。
しかしながら、本発明者は、本発明の前記目的を達成するため、さらに鋭意研究を重ねた結果、記録膜と、記録膜に対して、支持基板側に形成された反射膜と、記録膜に対して、光入射面側に形成され、AlNを主成分とする材料によって形成された放熱膜とを備え、光入射面に近い位置に形成された情報層に、さらに、放熱膜に対して、光入射面側に形成され、Al2O3またはSiO2を主成分とする材料によって形成された膜を設けた場合には、反射膜を薄く形成しても、その情報層の光学特性を低下させることなく、情報層全体としての放熱性を高めることが可能になることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づくものであり、本発明によれば、本発明の前記目的は、支持基板上に、少なくとも透明中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、前記複数の情報層のうち、レーザビームの光入射面から最も遠い情報層以外の情報層の少なくとも一つの情報層が、共晶系の相変化材料によって形成された記録膜と、前記記録膜に対して、前記支持基板側に形成された反射膜と、前記記録膜に対して、前記光入射面側に形成され、Al2O3またはSiO2を主成分とする材料によって形成された第一の放熱膜と、前記記録膜と前記第一の放熱膜に間に形成され、AlNを主成分とする材料によって形成された第二の放熱膜とを含んでいることを特徴とする光記録媒体によって達成される。
本発明において、ある化合物を主成分とする材料とは、ある材料に含まれる化合物のうち、その化合物の含有率が最も大きいことを意味し、また、Al2O3またはSiO2を主成分とするとは、Al2O3を主成分とする場合およびSiO2を主成分とする場合に加えて、Al2O3およびSiO2を主成分とする場合をも包含する。
本発明によれば、レーザビームの光入射面から最も遠い情報層以外の情報層の少なくとも一つの情報層の高い反射率や光透過率などの光学特性を低下させることなく、情報層全体としての放熱性を高めることができるから、この情報層にデータを記録する際に、レーザビームが記録膜に照射されて溶融された領域を確実に急冷することができ、溶融された領域に含まれた相変化材料の一部が再び結晶化して、本来、形成されるはずの記録マークよりも小さな記録マークが形成されることを効果的に防止して、記録マークを所望の大きさに形成することが可能になる。さらに、本発明によれば、レーザビームの光入射面から最も遠い情報層以外の情報層に記録されたデータを再生する際に、照射されたレーザビームを、所望のように反射させることが可能になるから、この情報層に記録されたデータを再生したときに、再生信号のジッタが悪化することを防止することが可能になるとともに、この情報層の優れた光学特性が低下することを防止することが可能になる。したがって、レーザビームの光入射面から最も遠い情報層以外の情報層に、所望のように、データを記録し、所望のように、記録されたデータを再生することが可能になる。
また、本発明によれば、レーザビームの光入射面から最も遠い情報層以外の情報層の少なくとも一つの情報層の放熱性を向上させつつ、この情報層に含まれた反射膜を薄く形成することができるから、情報層の放熱性を向上させるとともに、光透過率をも高めることが可能になる。したがって、レーザビームがこの情報層を透過する際に、レーザビームの光量が減少することを最小限に抑制することができるから、この情報層を介して、光入射面から最も遠い情報層にレーザビームを照射することによって、光入射面から最も遠い情報層にも、所望のように、データを記録し、所望のように、記録されたデータを再生し、あるいは、消去することが可能になる。
本発明において、第一の放熱膜が第二の放熱膜に隣接して、形成されていることが好ましい。第一の放熱膜が第二の放熱膜に隣接して、形成されている場合には、情報層の優れた光学特性を低下させることなく、情報層全体としての放熱性をさらに高めることが可能になる。
本発明者のさらなる研究によれば、第一の放熱膜を10nm未満の膜厚を有するように、形成した場合には、充分な放熱効果を得られないおそれがあり、その一方で、第一の放熱膜を75nm以上の膜厚を有するように、形成した場合には、第一の放熱膜側の放熱性が向上しすぎて、第一の放熱膜から放熱される熱量が著しく増大するため、反射膜側から放熱される熱量が減少して、反射膜側の放熱性が低下してしまい、その結果、情報層全体としての放熱性がかえって低下しやすくなることが見出されている。したがって、本発明において、第一の放熱膜は、10nm以上、75nm未満の膜厚を有するように形成されていることが好ましく、とくに、25nm以上、50nm以下の膜厚を有するように形成されていることが好ましい。
本発明において、反射膜は、Agを主成分として含み、5nmないし25nmの膜厚を有するように形成されていることが好ましい。反射膜が、Agを主成分として含み、5nmないし25nmの膜厚を有するように形成されている場合には、反射膜からの放熱性を高めることができ、情報層全体としての放熱性をさらに高めることが可能になる。
本発明において、反射膜は、50W/mK以上の熱伝導率を有していることがさらに好ましい。反射膜が、50W/mK以上の熱伝導率を有している場合には、反射膜からの放熱性をさらに高めることができ、情報層全体としての放熱性を、より一層、高めることが可能になる。
本発明によれば、支持基板上に、少なくとも透明中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、いずれの情報層にも、所望のように、データを記録し、再生することができる光記録媒体を提供することが可能になる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体を示す一部切り欠き略斜視図であり、図2は、図1のAで示された部分の略拡大断面図である。
図1に示されるように、本実施態様にかかる光記録媒体10は、円盤状に形成され、約120mmの外径と、約1.2mmの厚さを有している。
本実施態様にかかる光記録媒体10は、書き換え型の光記録媒体として構成され、図2に示されるように、支持基板11と、透明中間層12と、光透過層13と、支持基板11と透明中間層12との間に設けられたL0情報層20と、透明中間層12と光透過層13との間に設けられたL1情報層30を備え、光透過層13の一方の表面によって、レーザビームLが入射する光入射面13aが構成されている。
本実施態様において、L0情報層20は、光入射面13aから遠い情報層を構成し、L1情報層30は、光入射面13aに近い情報層を構成している。
本実施態様にかかる光記録媒体10は、図2において、矢印Lで示される方向から、380nmないし450nmの波長λを有するレーザビームLが、約0.85の開口数NAを有する対物レンズ(図示せず)を介して、光透過層13に照射されるように構成されている。
支持基板11は、光記録媒体10に求められる機械的強度を確保するための支持体として、機能する。
支持基板11を形成するための材料は、光記録媒体10の支持体として機能することができれば、とくに限定されるものではないが、樹脂が好ましく使用される。このような樹脂としては、加工性、光学特性などの点から、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂がとくに好ましく、本実施態様においては、支持基板11は、ポリカーボネート樹脂によって形成されている。
本実施形態においては、支持基板11は、約1.1mmの厚さを有している。
本実施形態においては、レーザビームLは、支持基板11とは反対側に位置する光透過層13を介して、照射されるから、支持基板11が、光透過性を有していることは必ずしも必要ではない。
支持基板11は、図2に示されるように、その表面には、グルーブ11aが形成されている。グルーブ11aは、L0情報層20にデータを記録し、L0情報層20からデータを再生する場合に、レーザビームLのガイドトラックとしての役割を果たす。
表面に、グルーブ11aを有する支持基体11は、たとえば、スタンパ(図示せず)を用いた射出成形法などによって作製される。
透明中間層12は、L0情報層20とL1情報層30とを、物理的に、かつ、光学的に十分な距離をもって離間させる機能を有している。
図2に示されるように、透明中間層12の表面には、グルーブ12aが形成されている。透明中間層12の表面に形成されたグルーブ12aは、L1情報層30にデータを記録し、L1情報層30からデータを再生する場合において、レーザビームLのガイドトラックとして、機能する。
透明中間層12は、L0情報層20にデータを記録し、L0情報層20からデータを再生する場合に、レーザビームLが通過するため、十分に高い光透過性を有している必要がある。
したがって、透明中間層12を形成するための材料は、近赤外から紫外の波長領域での光学吸収や反射が少なく、複屈折率が小さいことが要求される。透明中間層12を形成するための材料は、これらの条件を満足する材料であれば、とくに限定されるものではないが、紫外線硬化型アクリル樹脂などの紫外線硬化型樹脂を含む紫外線硬化型樹脂組成物によって、透明中間層12が形成されることが好ましい。
透明中間層12は、L0情報層20上に、紫外線硬化型樹脂組成物の溶液をスピンコーティング法によって、塗布して、塗膜を形成し、塗膜の表面に、支持基板11を作製するのに用いたスタンパと同様の凹凸パターンが形成されたスタンパ(図示せず)を被せた状態で、スタンパを介して、紫外線を照射することによって、形成されることが好ましい。
光透過層13は、レーザビームLが透過する層であり、その一方の表面によって、光入射面13aが構成されている。
光透過層13を形成するための材料は、近赤外から紫外の波長領域で吸収が小さく、かつ、複屈折率が小さいことが要求される。光透過層13を形成するための材料は、これらの条件を満足する材料であれば、とくに限定されるものではないが、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂などを含有する樹脂組成物が、光透過層13を形成するために、好ましく使用され、紫外線硬化型アクリル樹脂を含有する樹脂組成物が、より好ましく使用される。
光透過層13は、30μmないし200μmの厚さを有するように形成されることが好ましい。
光透過層13は、樹脂組成物の溶液を、スピンコーティング法によって、L1情報層30の表面上に塗布して、形成されることが好ましいが、光透過性樹脂によって形成されたシートを、接着剤を用いて、L1情報層30の表面に接着して、光透過層13を形成することもできる。
図3は、L0情報層20の略拡大断面図である。
図3に示されるように、本実施態様においては、L0情報層20は、支持基板11側から、反射膜21、第二の誘電体膜22、L0記録膜23、第一の誘電体膜24および放熱膜25が積層されて、構成されている。
反射膜21は、光透過層13およびL1情報層30を介して、L0記録膜23に照射されるレーザビームLを反射し、再び、光透過層13から出射させる役割を果たすとともに、レーザビームLが照射されることによって、L0記録膜23に生じた熱を効果的に放熱させる役割を果たす。
反射膜21を形成するための材料は、とくに限定されるものではなく、Mg、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ag、Pt、Au、Ndなどが用いられるが、これらのうちでも、高い反射率を有しているAl、Au、Ag、Cu、または、AgとCuとの合金など、これらの金属の少なくとも1つを含む合金などの金属材料が、反射膜21を形成するために、好ましく用いられる。とくに、反射膜21が、Agを含んでいる場合には、表面平滑性に優れた反射膜21を形成することができ、再生信号のノイズレベルを低減することが可能になり、好ましい。
反射膜21は、単一の膜によって構成されても、二以上の膜が積層されて構成されてもよいが、本実施態様においては、反射膜21は、Agを含む金属材料によって形成された第一の膜212と第二の膜211とが積層されて、構成されている。
反射膜21の厚さは、とくに限定されるものではないが、10nmないし300nmであることが好ましく、40nmないし200nmであることが、とくに好ましい。
反射膜21は、たとえば、スパッタリング法などによって形成される。
第二の誘電体膜22および第一の誘電体膜24は、L0記録膜23を物理的および化学的に保護するとともに、L0記録膜23に生成された熱を放熱させ、さらに、レーザビームLを照射する前後の光学特性の変化を増大する機能を有している。
第二の誘電体膜22および第一の誘電体膜24を形成するための材料は、レーザビームLの波長領域である380nmないし450nmの波長において、透明な誘電体材料であれば、とくに限定されるものではないが、第二の誘電体膜22および第一の誘電体膜24は、Si、Zn、Al、Ta、Ti、Co、Zr、Pb、Ag、Sn、Ca、Ce、V、Cu、Fe、Mgよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属を含む酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、フッ化物、あるいは、これらの複合物から形成されることが好ましい。
第二の誘電体膜22および第一の誘電体膜24は、それぞれ、単一の膜によって構成されても、二以上の膜が積層されて構成されてもよいが、本実施態様においては、第二の誘電体膜22は、ZnSとSiO2の混合物によって形成された第一の膜222と、CeとAlの酸化物によって形成された第二の膜221とが積層されて、構成され、第一の誘電体膜24は、単一の膜によって、構成されている。
第二の誘電体膜22および第一の誘電体膜24の厚さは、とくに限定されるものではないが、第二の誘電体膜22の厚さは5nmないし35nmであることが好ましく、第一の誘電体膜24の厚さは10nmないし80nmであることが好ましい。
第二の誘電体膜22および第一の誘電体膜24は、たとえば、スパッタリング法などによって形成される。
L0記録膜23は、記録マークを形成して、データを記録するための膜であり、相変化材料によって形成され、単一の膜によって構成されている。相変化材料は、結晶状態である場合の反射率と、アモルファス状態である場合の反射率とが異なるため、これを利用して、データが記録され、記録されたデータが再生される。
L0記録膜23を形成するための相変化材料は、とくに限定されるものではないが、L0記録膜23は、Sb、Te、Ge、Ag、TbおよびMnからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む相変化材料を含んで形成されるのが好ましい。
L0記録膜23の厚さは、とくに限定されるものではないが、8nmないし25nmであることが好ましい。
L0記録膜23は、たとえば、スパッタリング法などによって形成される。
放熱膜25は、第一の誘電体膜24を介して、L0記録膜23から伝達された熱を放熱する役割を果たす。
放熱膜25を形成するための材料は、レーザビームLに対して高い光透過性を有し、かつ、L0記録膜23に生じた熱を放熱することができれば、とくに限定されるものではないが、第一の誘電体膜24の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料が好ましく、具体的には、AlN、Al2O3、SiN、ZnS、ZnO、SiO2などが、放熱膜25を形成するために、好ましく使用される。
放熱膜25は、10nmないし120nmの厚さを有するように形成されることが好ましい。
放熱膜25は、たとえば、スパッタリング法などによって形成される。
図4は、L1情報層30の略拡大断面図である。
図4に示されるように、本実施態様においては、L1情報層30は、支持基板11側から、第四の誘電体膜31、反射膜32、第三の誘電体膜33、L1記録膜34、第二の誘電体膜35、第一の誘電体膜36、第二の放熱膜37および第一の放熱膜38が積層されて、構成されている。
第四の誘電体膜31は、後述する反射膜32とともに、レーザビームLの照射によって、L1記録膜34に生じた熱を効果的に放熱させる役割を果たす。
第四の誘電体膜31を形成するための材料は、とくに限定されるものではなく、Ti、Zr、Hf、Ta、Si、Al、Mg、Y、Ce、ZnおよびCrよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属を含む酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、フッ化物、あるいは、これらの複合物などが、第四の誘電体膜31を形成するために用いられる。
第四の誘電体膜31は、単一の膜によって構成されても、二以上の膜が積層されて構成されてもよいが、本実施態様においては、第四の誘電体膜31は、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物によって形成された第一の膜312と、モル比が80:20のZnSとSiO2の混合物によって形成された第二の膜311とが積層されて、構成されている。第一の膜312が、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物によって形成されている場合には、レーザビームLの照射によって、L1記録膜34に生成された熱を速やかに放熱させることが可能になるとともに、第二の膜311に含まれるイオウによって、反射膜32の表面が腐食されることを防止することができ、高い保存信頼性を確保することが可能になる。一方、第二の膜311が、モル比が80:20のZnSとSiO2との混合物によって形成されている場合には、L1情報層30のレーザビームLに対する光透過率を高めることが可能になる。
第四の誘電体膜31は、3nmないし30nmの厚さを有するように形成されることが好ましい。第四の誘電体膜31の厚さが、3nm未満の場合には、放熱効果が低下し、30nmを越えている場合には、生産性が低下してしまう。
第四の誘電体膜31は、たとえば、スパッタリング法などによって形成される。
反射膜32は、光透過層13を介して、L1記録膜34に照射されるレーザビームLを反射し、再び、光透過層13から出射させる役割を果たすとともに、レーザビームLが照射されることによって、L1記録膜34に生じた熱を効果的に放熱させる役割を果たす。
反射膜32を形成するための材料としては、Mg、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ag、Pt、Au、Ndなどが用いられ、これらのうちでも、高い反射率を有しているAl、Au、Ag、Cu、または、AgとCuとの合金など、これらの金属の少なくとも1つを含む合金などの金属材料が、反射膜32を形成するために、好ましく用いられる。とくに、反射膜32が、Agを主成分として含んでいる場合には、L1情報層30の放熱性が向上するとともに、表面平滑性に優れた反射膜32を形成することができ、再生信号のノイズレベルを低減することが可能になり、好ましい。
本実施態様においては、反射膜32は、50W/mK以上の熱伝導率を有していることが好ましい。反射膜32が、50W/mK以上の熱伝導率を有している場合には、反射膜32からの放熱性をさらに高めることができ、L1情報層30全体としての放熱性を、より一層、高めることが可能になる。
反射膜32は、レーザビームLに対して、高い光透過率を有し、かつ、所望の反射率を有している必要があり、これらを考慮すると、反射膜32は、5nmないし25nmの厚さを有していることが好ましく、7nmないし18nmの厚さを有していることがより好ましい。とくに、反射膜32がAgを主成分として含んでいる場合には、反射膜32が、10nmないし15nmを有するように形成されることが好ましい。反射膜32がAgを主成分として含み、10nmないし15nmの膜厚を有している場合には、反射膜32からの放熱性を高めることができ、L1情報層30全体としての放熱性をさらに高めることが可能になる。
反射膜32は、たとえば、スパッタリング法などによって形成される。
第三の誘電体膜33は、第二の誘電体膜35とともに、L1記録膜34を物理的および化学的に保護する役割を果たすとともに、レーザビームLの照射によって、L1記録膜34に生じた熱を、反射膜32側に放熱させる機能を有している。
第三の誘電体膜33を形成するための材料は、とくに限定されるものではなく、第四の誘電体膜31を形成するための材料と同様の材料が用いられる。本実施態様において、第三の誘電体膜33は、第四の誘電体膜31の第一の膜312と同様に、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物によって形成されている。この場合には、レーザビームLの照射によってL1記録膜34に生成された熱を速やかに放熱させることが可能になる。
第三の誘電体膜33は、3nmないし15nmの厚さを有するように形成されることが好ましい。第三の誘電体膜33の厚さが、3nm未満の場合には、第三の誘電体膜33を連続膜として形成することが困難となり、15nmを越えている場合には、記録膜の熱を効果的に反射膜に逃がすことが困難になる。
第三の誘電体膜33は、たとえば、スパッタリング法などによって、形成される。
L1記録膜34は、記録マークを形成して、データを記録するための膜であり、Sb共晶組成を有する相変化材料(Sb共晶系の相変化材料)によって形成され、単一の膜によって構成されている。相変化材料は、結晶状態である場合の反射率とアモルファス状態である場合の反射率とが異なるため、これを利用して、データが記録され、記録されたデータが再生される。
L1記録膜34を形成するためのSb共晶系の相変化材料は、とくに限定されるものではないが、Sbと、Sbと共晶を持つ元素の少なくとも一種とを主成分として含む共晶系の相変化材料が好ましく用いられ、とくに、79原子%ないし95原子%のSbと、5原子%ないし21原子%のGeとを含む相変化材料、および、70原子%ないし95原子%のSbと、0原子%を超え、30原子%以下のGeと、0原子%を超え、25原子%以下のMgを含む相変化材料が好ましい。本実施態様において、L1記録膜34は、79原子%ないし95原子%のSbと、5原子%ないし21原子%のGeとを含む相変化材料によって、形成されている。L1記録膜34がかかる相変化材料によって形成されている場合には、L1記録膜34の膜厚にかかわらず、L1情報層30の保存特性が向上する。
ここに、Sbと共晶を持つ元素は、Sbと共晶を持ち得る元素であれば、とくに限定されるものではないが、たとえば、Ge、Mg、Ga、As、Pb、Bi、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Pd、Ag、Inなどの元素が好ましく用いられる。
L1記録膜34の膜厚が2nmないし15nmであるとき、とくに、L1記録膜34の膜厚が4nmないし9nmであるときには、L1情報層30の保存特性が、より一層、向上する。したがって、L1記録膜34は、2nm以上、15nm以下、好ましくは、4nmないし9nmの膜厚を有するように形成されていることが好ましい。
L1記録膜34は、たとえば、L1記録膜34の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、第三の誘電体膜33の表面上に形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられるが、スパッタリング法によって、L1記録膜34を形成することが好ましい。
第二の誘電体膜35は、第三の誘電体膜33とともに、L1記録膜34を物理的および化学的に保護する役割を果たすとともに、レーザビームLの照射によって、L1記録膜34に生じた熱を、後述する放熱膜37側に放熱させる機能を有している。また、第二の誘電体膜35は、第一誘電体膜36を構成する元素がL1記録膜34に拡散することを防ぐバリア膜としての役割をも果たす。
第二の誘電体膜35を形成するための材料は、とくに限定されるものではなく、第四の誘電体膜31および第三の誘電体膜33を形成するための材料と同様の材料を用いて、第二の誘電体膜35を形成することができる。本実施態様において、第二の誘電体膜35は、第四の誘電体膜31の第一の膜312および第三の誘電体膜33と同様に、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物によって形成されている。この場合には、レーザビームLの照射によってL1記録膜34に生成された熱を速やかに放熱させることが可能になる。
第二の誘電体膜35は、3nmないし15nmの厚さを有するように形成されることが好ましい。第二の誘電体膜35の厚さが、3nm未満である場合には、バリア膜としての役割を充分に果たすことが困難になるとともに、放熱効果が低下し、その一方で、15nmを越えている場合には、第二の誘電体膜35を成膜するときに生じる内部応力が大きくなり、第二の誘電体膜35にクラックが生じやすくなる。
第二の誘電体膜35は、たとえば、スパッタリング法などによって形成される。
第一の誘電体膜36は、第二の誘電体膜35と放熱膜37との密着性を高める機能を有している。
第一の誘電体膜36を形成するための材料は、レーザビームLに対して高い光透過性を有し、かつ、第二の誘電体膜35および放熱膜37との密着性が高い材料であれば、とくに限定されるものではないが、ZnSとSiO2との混合物によって、第一の誘電体膜36を形成することが好ましい。第一の誘電体膜36を、ZnSとSiO2との混合物によって形成する場合には、ZnSとSiO2のモル比は、60:40ないし95:5であることが好ましい。ZnSのモル比が、60%未満の場合には、第一の誘電体膜36の屈折率が低下して、記録マークが形成されたL1記録膜34の領域と、記録マークが形成されていないL1記録膜34の領域との反射率の差が低下するおそれがある。一方、ZnSのモル比が、95%を越えている場合には、第一の誘電体膜36を完全な透明膜として形成することが困難であり、信号出力が低下するなどの悪影響がでてくる。
第一の誘電体膜36は、5nmないし50nmの厚さを有するように形成されることが好ましい。第一の誘電体膜36の厚さが、5nm未満の場合には、放熱膜37にクラックが生じやすくなり、50nmを越える場合には、放熱効果が低下するおそれがある。
第一の誘電体膜36は、たとえば、スパッタリング法などによって形成される。
第二の放熱膜37は、第一の放熱膜38とともに、第二の誘電体膜35および第一の誘電体膜36を介して、L1記録膜34から伝達された熱を放熱する役割を果たす。
第二の放熱膜37を形成するための材料としては、レーザビームLに対して高い光透過性を有し、第一の誘電体膜36の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有するAlNを主成分とする材料が好ましく用いられる。第二の放熱膜37が、AlNを主成分とする材料によって形成されている場合には、L1情報層30の光透過率が高くなるとともに、放熱性が向上する。
第二の放熱膜37は、20nmないし70nmの厚さを有するように形成されることが好ましい。第二の放熱膜37の厚さが、20nm未満の場合には、充分な放熱効果を得られないおそれがあり、一方、第二の放熱膜37の厚さが、70nmを越える場合には、第二の放熱膜37の成膜に長い時間を要するため、光記録媒体10の生産性が低下するおそれがある。
第二の放熱膜37は、たとえば、スパッタリング法などによって形成される。
第一の放熱膜38は、第二の放熱膜37とともに、第二の誘電体膜35および第一の誘電体膜36を介して、L1記録膜34から伝達された熱を放熱する役割を果たす。
本実施態様において、第一の放熱膜38は、第二の放熱膜37に隣接して、形成されている。このように、第一の放熱膜38と第二の放熱膜37とが隣接して、形成されている場合には、L1情報層30の優れた光学特性を低下させることなく、L1情報層30全体としての放熱性をさらに高めることが可能になる。
第一の放熱膜38を形成するための材料としては、レーザビームLに対して高い光透過性と、第二の放熱膜37の屈折率よりも低い屈折率と、高い熱伝導率とを有するAl2O3またはSiO2を主成分とする材料が好ましく用いられる。第一の放熱膜38が、Al2O3またはSiO2を主成分とする材料によって形成されている場合には、L1情報層30の光透過率と放熱性をともに高めることができ、情報層の高い反射率や透過率などの光学特性を低下させることなく、L1情報層30全体としての放熱性を高めることができる。
第一の放熱膜38の膜厚は、とくに限定されるものではないが、10nm以上、75nm未満であることが好ましく、25nm以上、50nm以下であることがとくに好ましい。第一の放熱膜38の膜厚が、10nm未満の場合には、充分な放熱効果を得られないおそれがあり、一方、第一の放熱膜38の膜厚が、75nm以上の場合には、放熱膜37の成膜に長い時間を要するため、光記録媒体10の生産性が低下するおそれがある。
第一の放熱膜38は、たとえば、スパッタリング法などによって形成される。
以上のように構成された本実施態様にかかる光記録媒体10のL0情報層20またはL1情報層30にデータを記録する場合には、記録パワーPw、消去パワーPeおよび基底パワーPbとの間で、そのパワーが変調されたレーザビームLが、また、L0情報層20またはL1情報層30に記録されたデータを再生する場合には、そのパワーが再生パワーPrに設定されたレーザビームLが、光透過層13を介して、L0情報層20に含まれたL0記録膜23またはL1情報層30に含まれたL1記録膜34にフォーカスされる。
本実施態様においては、405nmの波長を有するレーザビームLが、開口数が0.85の対物レンズ(図示せず)を用いて、光記録媒体10のL0情報層20に含まれたL0記録膜23またはL1情報層30に含まれたL1記録膜34にフォーカスされるように構成されている。
光記録媒体10のL1情報層30に含まれたL1記録膜34に、記録マークを形成して、L1情報層30にデータを記録するにあたっては、そのパワーが記録パワーPwに設定されたレーザビームLが、L1記録膜34に照射され、レーザビームLが照射されたL1記録膜34の領域が、相変化材料の融点以上の温度に加熱されて、その領域に含まれる相変化材料が溶融される。次いで、そのパワーが基底パワーPbに設定されたレーザビームLが、光透過層13を介して、L1記録膜34に照射され、そのパワーが記録パワーPwに設定されたレーザビームLにより、溶融した相変化材料が急冷されて、相変化材料が、結晶状態からアモルファス状態に変化し、L1記録膜34に記録マークが形成されて、L1情報層30にデータが記録される。
本実施態様においては、L1情報層30は、L1記録膜34と、L1記録膜34に対して、支持基板11側に形成された反射膜32と、L1記録膜34に対して、光入射面13a側に形成され、Al2O3またはSiO2を主成分とする材料によって形成された第一の放熱膜38と、L1記録膜34と第一の放熱膜38に間に、第一の放熱膜38に隣接して形成され、AlNを主成分とする材料によって形成された第二の放熱膜37とを備え、さらに、第二の誘電体膜35、第三の誘電体膜33および第四の誘電体膜31が、いすれも、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物によって形成されており、かかる場合には、L1情報層30の優れた光学特性を低下させることなく、L1情報層30全体としての放熱性を高めることができるから、L1情報層30にデータを記録する際に、L1記録膜34に記録マークを所望の大きさに形成することが可能になる。したがって、L1情報層30に記録されたデータを再生したときに、再生信号のジッタが悪化することを防止することが可能になり、その結果、L1情報層30に、所望のように、データを記録することが可能になる。
一方、光記録媒体10のL1情報層30に記録されたデータを再生する場合には、そのパワーが再生パワーPrに設定されたレーザビームLが、光透過層13を介して、L1情報層30に含まれたL1記録膜34にフォーカスされ、反射膜32などによって反射されたレーザビームLの光量が検出される。
本実施態様においては、上述のように、L1情報層30の優れた光学特性を低下させることなく、L1情報層30全体としての放熱性を高めることができるから、L1情報層30に記録されたデータを再生する際に、照射されたレーザビームLを所望のように反射させることが可能になる。したがって、L1情報層30に記録されたデータを再生したときに、再生信号のジッタが悪化することを防止することが可能になり、その結果、L1情報層30に記録されたデータを、所望のように、再生することが可能になる。
これに対して、光記録媒体10のL0情報層20に含まれたL0記録膜23に、記録マークを形成して、L0情報層20にデータを記録するにあたっては、そのパワーが記録パワーPwに設定されたレーザビームLが、光透過層13およびL1情報層30を介して、L0記録膜23に照射され、レーザビームLが照射されたL0記録膜23の領域が、相変化材料の融点以上の温度に加熱されて、その領域に含まれている相変化材料が溶融される。次いで、そのパワーが基底パワーPbに設定されたレーザビームLが、光透過層13およびL1情報層30を介して、L0記録膜23に照射され、そのパワーが基底パワーPbに設定されたレーザビームLにより、溶融した相変化材料が急冷されて、相変化材料が、結晶状態からアモルファス状態に変化し、L0記録膜23に記録マークが形成されて、L0情報層20にデータが記録される。
本実施態様においては、上述のように、L1情報層30の全体としての放熱性を高めつつ、L1情報層30に含まれた反射膜32を薄く形成することができるから、レーザビームLがL1情報層30を透過する際に、レーザビームLの光量が減少することを最小限に抑制することができ、したがって、L1情報層30を介して、L0情報層20にレーザビームLを照射することによって、L0情報層20に、所望のように、データを記録することが可能になる。
一方、光記録媒体10のL0情報層20に記録されたデータを再生する場合には、そのパワーが再生パワーPrに設定されたレーザビームLが、光透過層13およびL1情報層30を介して、L0情報層20に含まれたL0記録膜23にフォーカスされ、反射膜21などによって反射されたレーザビームLの光量が検出される。
本実施態様においては、上述のように、レーザビームLがL1情報層30を透過する際に、レーザビームLの光量が減少することを最小限に抑制することができるから、L1情報層30を介して、L0情報層20にレーザビームLを照射することによって、L0情報層20に記録されたデータを、所望のように、再生することが可能になる。
以下、本発明の効果をより明瞭なものとするため、実施例を掲げる。
実施例1
以下のようにして、光記録媒体サンプル#1を作製した。
以下のようにして、光記録媒体サンプル#1を作製した。
まず、射出成型法により、厚さが1.1mm、直径が120mmで、表面に、グルーブが、0.32μmのグルーブピッチで形成されたポリカーボネート基板を作製した。
次いで、ポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、グルーブが形成された表面上に、98.4原子%のAg、0.7原子%のNd、0.9原子%のCuおよびNからなる40nmの厚さを有する第二の膜と、98.4原子%のAg、0.7原子%のNdおよび0.9原子%のCuからなる60nm厚さを有する第一の膜とから構成された反射膜、モル比が80:20のCeO2とAl2O3の混合物からなる10nmの厚さを有する第二の膜と、モル比が50:50のZnSとSiO2の混合物を主成分として含み、10nmの厚さを有する第一の膜とから構成された第二の誘電体膜、77.1原子%のSbと18.7原子%のTeと4.2原子%のGeを含む相変化材料を主成分として含み、10nmの厚さを有するL0記録膜、モル比が80:20のZnSとSiO2の混合物を主成分として含み、40nmの厚さを有する第一の誘電体膜、ならびに、AlNを主成分として含み、30nmの厚さを有する放熱膜を、順次、スパッタリング法により形成し、L0情報層を形成した。
ここに、反射膜を構成する第一の膜、第二の誘電体膜を構成する第一の膜および第二の膜、L0記録膜ならびに第一の誘電体膜は、アルゴンガス雰囲気中で、それぞれの膜に対応する組成を有するターゲットを用いたスパッタリング法によって形成した。
一方、反射膜を構成する第二の膜および放熱膜は、それぞれ、AgNdCuまたはAlターゲットを用いて、アルゴンおよび窒素ガス雰囲気中で、反応性スパッタリング法によって形成した。
次いで、L0情報層が形成されたポリカーボネート基板をスピンコート装置にセットし、L0情報層上に、紫外線硬化型アクリル樹脂組成物の溶液を、塗布して、その上に、グルーブが形成された透明のスタンパを重ね、ポリカーボネート基板を回転させながら、紫外線硬化型アクリル樹脂組成物の溶液を展開させつつ、紫外線を照射して、紫外線硬化型アクリル樹脂組成物を硬化させ、25μmの厚さを有する透明中間層を形成した。透明中間層に形成されたグルーブは、0.32μmのグルーブピッチを有していた。
さらに、810nmの波長を有する半導体レーザを用いて、出力500mWで、L0記録膜に初期化処理を施し、L0記録膜を結晶化させた。
次いで、L0情報層および透明中間層が形成されたポリカーボネート基板を、スパッタリング装置にセットし、透明中間層の表面上に、モル比が80:20のZnSとSiO2との混合物を主成分として含み、15nmの厚さを有する第二の膜と、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物を主成分として含み、4nmの厚さを有する第一の膜とから構成された第四の誘電体膜、98原子%のAg、1原子%のPdおよび1原子%のCuからなる合金を含み、15nmの厚さを有する反射膜、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物を主成分として含み、6nmの厚さを有する第三の誘電体膜、87.0原子%のSbと、13.0原子%のGeとを含む相変化材料を主成分として含み、6nmの厚さを有するL1記録膜、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物を主成分として含み、6nmの厚さを有する第二の誘電体膜、モル比が80:20のZnSとSiO2の混合物を主成分として含み、12.5nmの厚さを有する第一の誘電体膜、AlNを主成分として含み、35nmの厚さを有する第二の放熱膜、ならびに、Al2O3を主成分として含み、50nmの厚さを有する第一の放熱膜を、順次、スパッタリング法により形成し、L1情報層を形成した。
ここに、第二の放熱膜は、アルゴンガスおよび窒素ガス雰囲気中で、Alターゲットを用いた反応性スパッタリング法によって形成し、第一の放熱膜は、アルゴンガスおよび酸素ガス雰囲気中で、Alターゲットを用いた反応性スパッタリング法によって形成した。
また、第四の誘電体膜を構成する第一の膜および第二の膜、反射膜、第三の誘電体膜、L1記録膜、第二の誘電体膜、ならびに、第一の誘電体膜は、アルゴンガス雰囲気中で、それぞれの膜に対応する組成を有するターゲットを用いたスパッタリング法によって形成した。
次いで、L1情報層の放熱膜の表面上に、紫外線硬化型アクリル樹脂組成物の溶液を、スピンコーティング法によって、塗布して、塗膜を形成し、塗膜に、紫外線を照射して、紫外線硬化型アクリル樹脂組成物を硬化させ、75μmの厚さを有する光透過層を形成した。
さらに、810nmの波長を有する半導体レーザを用いて、出力500mWで、L1記録膜に初期化処理を施し、L1記録膜を結晶化させた。
こうして、光記録媒体サンプル#1を作製した。
次いで、L1情報層に、第一の放熱膜を形成しなかった点を除いて、光記録媒体サンプル#1と同様にして、光記録媒体比較サンプル#1を作製した。
さらに、L1情報層の第一の誘電体膜の表面に、Al2O3を主成分とする第二の放熱膜を形成し、第二の放熱膜の表面に、AlNを主成分とする第一の放熱膜を形成した点を除いて、光記録媒体サンプル#1と同様にして、光記録媒体比較サンプル#2を作製した。
次いで、L1情報層の第一の放熱膜と、第二の放熱膜との間に、さらに、モル比80:20のZnSとSiO2の混合物を主成分として含み、5nmの厚さを有する膜を形成した点を除いて、光記録媒体サンプル#1と同様にして、光記録媒体比較サンプル#3を作製した。
このようにして作製した光記録媒体サンプル#1ならびに光記録媒体比較サンプル#1ないし#3を、それぞれ、パルステック工業株式会社製の光記録媒体評価装置「DDU1000」(商品名)にセットし、10.5m/secの線速度で回転させながら、チャンネルクロック周波数132MHz、チャンネルビット長0.12μm/bitで、405nmの波長を有し、そのパワーが、記録パワーPwと基底パワーPbとの間で、所定のパターンにしたがって、変調されたレーザビームを、開口数NAが0.85の対物レンズを用いて、光透過層を介して、各サンプルのL1記録膜に照射し、1,7RLL変調方式における2T信号ないし8T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、L1情報層に、ランダム信号を記録した。
ここに、各サンプルのL1情報層にランダム信号を記録する場合には、いずれも、レーザビームの記録パワーPw、消去パワーPe、再生パワーPr、および、基底パワーPbを、それぞれ、9.6mW、3.8mW、0.7mW、および、0.3mWに設定した。
次いで、このようにして記録したランダム信号を、上述したのと同様にして、それぞれ、再生し、再生信号のクロックジッタ(%)を測定した。
ここに、クロックジッタは、タイムインターバルアナライザによって、再生信号のゆらぎσを求め、σ/Tw(Tw:クロックの1周期)によって、算出した。
次いで、記録パワーPwを、0.2mWずつ、12.6mWまで、順次、変化させた点を除き、同様にして、光記録媒体サンプル#1および光記録媒体比較サンプル#1ないし#3の各L1記録膜に、1,7RLL変調方式における2T信号ないし8T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、L1情報層に、ランダム信号を記録し、記録されたランダム信号を再生して、再生信号のクロックジッタ(%)を測定した。
光記録媒体サンプル#1についてのジッタの測定結果は、図5の曲線Aによって、光記録媒体比較サンプル#1についてのジッタの測定結果は、図5の曲線Bによって、光記録媒体比較サンプル#2についてのジッタの測定結果は、図5の曲線Cによって、光記録媒体比較サンプル#3についてのジッタの測定結果は、図5の曲線Dによって、それぞれ、示されている。
次いで、レーザビームのパワーを最も小さなジッタが得られた記録パワーPwに設定して、上述したのと同様にして、光記録媒体サンプル#1ならびに光記録媒体比較サンプル#1ないし#3の各L1情報層に、ランダム信号を記録し、記録したランダム信号を再生して、反射率を測定するとともに、変調度を算出した。
ここに、反射率は、記録マークが形成されていない領域に、レーザビームを照射して測定し、変調度は、(La−Lb)/Laによって算出した。
ここに、Laは、記録マークが形成されていない領域に、レーザビームを照射して得られる再生信号のレベルであり、Lbは、2Tないし8Tの長さを有する記録マークがランダムに形成された領域に、レーザビームを照射して得られる再生信号のレベルである。
反射率の測定結果および変調度の算出結果は、それぞれ、表1に示されている。
次いで、レーザビームのパワーを、最も小さなジッタが得られた記録パワーPwに設定して、上述したのと同様にして、光記録媒体サンプル#1ならびに光記録媒体比較サンプル#1ないし#3の各L1記録膜に、1,7RLL変調方式における2T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、L1情報層に単一信号を記録するとともに、各L1記録膜に、8T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、L1情報層に単一信号を記録し、各L1記録膜に、2T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、L1情報層に記録した単一信号を再生して得た再生信号のC/N比および各L1記録膜に、8T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、L1情報層に記録した単一信号を再生して得た再生信号のC/N比を、それぞれ、測定した。
ここに、再生信号のC/N比は、アドバンテスト株式会社製のスペクトラムアナライザー「スペクトラムアナライザーXK180」(商品名)を用いて、測定した。
再生信号のC/N比の測定結果は、それぞれ、表1に示されている。
さらに、L1情報層にランダム信号を記録したのと同様にして、レーザビームを、光透過層およびL1情報層を介して、光記録媒体サンプル#1のL0記録膜に照射し、L0記録膜に、記録マークを形成して、L0情報層にランダム信号を記録し、L1情報層に記録されたランダム信号を再生したのと同様にして、ランダム信号を再生したところ、所望のように、L0情報層に、ランダム信号を記録し、L0情報層に記録されたランダム信号を再生することができた。
図5および表1から明らかなように、L1情報層に第一の放熱膜が設けられた光記録媒体サンプル#1にあっては、ジッタの悪化を防止することができ、11mW以上の高い記録パワーPwにおいては、とくに効果的に、ジッタの悪化を防止することが可能になるとともに、第一の放熱膜を設けても、反射率や変調度などの光学特性が低下することを防止することが可能であったが、光記録媒体比較サンプル#1ないし#3にあっては、ジッタの悪化を防止することが困難であることが分かった。したがって、光記録媒体比較サンプル#1ないし#3にあっては、L1情報層に、所望のように、データを記録し、記録されたデータを再生することが困難であるのに対して、光記録媒体サンプル#1にあっては、L0情報層およびL1情報層に、所望のように、データを記録し、記録されたデータを再生することが可能になることが判明した。
実施例2
実施例1と同様にして、作製したL0情報層および透明中間層が形成されたポリカーボネート基板を、スパッタリング装置にセットし、透明中間層の表面上に、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物を主成分として含み、5nmの厚さを有する第四の誘電体膜、98原子%のAg、1原子%のPdおよび1原子%のCuからなる合金を含み、10nmの厚さを有する反射膜、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物を主成分として含み、4nmの厚さを有する第三の誘電体膜、84.1原子%のSbと、14.0原子%のGeと、1.9原子%のMgとを含む相変化材料を主成分として含み、6nmの厚さを有するL1記録膜、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物を主成分として含み、5nmの厚さを有する第二の誘電体膜、モル比が80:20のZnSとSiO2の混合物を主成分として含み、10nmの厚さを有する第一の誘電体膜、AlNを主成分として含み、36nmの厚さを有する第二の放熱膜、ならびに、Al2O3を主成分として含み、50nmの厚さを有する第一の放熱膜を、順次、スパッタリング法により形成し、L1情報層を形成した点を除いて、光記録媒体サンプル#1と同様にして、光記録媒体サンプル#2を作製した。
実施例1と同様にして、作製したL0情報層および透明中間層が形成されたポリカーボネート基板を、スパッタリング装置にセットし、透明中間層の表面上に、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物を主成分として含み、5nmの厚さを有する第四の誘電体膜、98原子%のAg、1原子%のPdおよび1原子%のCuからなる合金を含み、10nmの厚さを有する反射膜、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物を主成分として含み、4nmの厚さを有する第三の誘電体膜、84.1原子%のSbと、14.0原子%のGeと、1.9原子%のMgとを含む相変化材料を主成分として含み、6nmの厚さを有するL1記録膜、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物を主成分として含み、5nmの厚さを有する第二の誘電体膜、モル比が80:20のZnSとSiO2の混合物を主成分として含み、10nmの厚さを有する第一の誘電体膜、AlNを主成分として含み、36nmの厚さを有する第二の放熱膜、ならびに、Al2O3を主成分として含み、50nmの厚さを有する第一の放熱膜を、順次、スパッタリング法により形成し、L1情報層を形成した点を除いて、光記録媒体サンプル#1と同様にして、光記録媒体サンプル#2を作製した。
さらに、AlNを主成分として含む第二の放熱膜の膜厚を40nmに設定し、Al2O3を主成分として含む第一の放熱膜を形成しなかった点を除いて、光記録媒体サンプル#2と同様にして、光記録媒体比較サンプル#4を作製した。
次いで、光記録媒体サンプル#2および光記録媒体比較サンプル#4を、それぞれ、上述の光記録媒体評価装置にセットし、記録パワーPwを、8.5mWから、0.5mWずつ、12.0mWまで、順次、変化させた点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプル#2および光記録媒体比較サンプル#4の各L1記録膜に、1,7RLL変調方式における2T信号ないし8T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、各L1情報層にランダム信号を記録し、記録したランダム信号を再生して、再生信号のクロックジッタ(%)を測定した。
光記録媒体サンプル#2についてのジッタの測定結果は、図6の曲線Aによって、光記録媒体比較サンプル#4についてのジッタの測定結果は、図6の曲線Bによって、それぞれ、示されている。
次いで、実施例1と同様にして、レーザビームのパワーを、最も小さなジッタが得られた記録パワーPwに設定して、光記録媒体サンプル#2および光記録媒体比較サンプル#4の各L1情報層に、ランダム信号を記録し、記録したランダム信号を再生して、反射率を測定するとともに、変調度を算出した。
反射率の測定結果および変調度の算出結果は、それぞれ、表2に示されている。
さらに、実施例1と同様にして、レーザビームのパワーを、最も小さなジッタが得られた記録パワーPwに設定して、光記録媒体サンプル#2および光記録媒体比較サンプル#4の各L1記録膜に、1,7RLL変調方式における2T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、L1情報層に単一信号を記録するとともに、各L1記録膜に、8T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、L1情報層に単一信号を記録し、各L1記録膜に、2T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、L1情報層に記録した単一信号を再生して得た再生信号のC/N比および各L1記録膜に、8T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、L1情報層に記録した単一信号を再生して得た再生信号のC/N比を、それぞれ、測定した。
再生信号のC/N比の測定結果は、それぞれ、表2に示されている。
次いで、L1情報層にランダム信号を記録したのと同様にして、レーザビームを、光透過層およびL1情報層を介して、光記録媒体サンプル#2のL0記録膜に照射し、L0記録膜に、記録マークを形成して、L0情報層に、ランダム信号を記録し、記録されたランダム信号を再生したところ、所望のように、L0情報層に、ランダム信号を記録し、L0情報層に記録されたランダム信号を再生することができた。
図6および表2から明らかなように、L1情報層に第一の放熱膜が設けられた光記録媒体サンプル#2にあっては、L1情報層の反射膜および第四の誘電体膜を薄く形成した場合においても、ジッタの悪化を防止することが可能になるとともに、第一の放熱膜を設けても、反射率や変調度などの光学特性が低下することも防止することが可能であったが、光記録媒体比較サンプル#4にあっては、ジッタの悪化を防止することが困難であることが分かった。したがって、光記録媒体比較サンプル#4にあっては、L1情報層に、所望のように、データを記録し、記録されたデータを再生することが困難であるのに対して、光記録媒体サンプル#2にあっては、L0情報層およびL1情報層に、所望のように、データを記録し、記録されたデータを再生することが可能になることが判明した。
実施例3
モル比が80:20のZnSとSiO2との混合物を主成分として含み、15nmの厚さを有する第二の膜に代えて、TiO2を主成分として含み、12.5nmの厚さを有する第二の膜を形成し、さらに、Al2O3を主成分として含む第一の放熱膜の膜厚を25nmに設定した点を除いて、光記録媒体サンプル#1と同様にして、光記録媒体サンプル#3を作製した。
実施例3
モル比が80:20のZnSとSiO2との混合物を主成分として含み、15nmの厚さを有する第二の膜に代えて、TiO2を主成分として含み、12.5nmの厚さを有する第二の膜を形成し、さらに、Al2O3を主成分として含む第一の放熱膜の膜厚を25nmに設定した点を除いて、光記録媒体サンプル#1と同様にして、光記録媒体サンプル#3を作製した。
さらに、モル比が80:20のZnSとSiO2との混合物を主成分として含み、15nmの厚さを有する第二の膜に代えて、TiO2を主成分として含み、12.5nmの厚さを有する第二の膜を形成した点を除いて、光記録媒体サンプル#1と同様にして、光記録媒体サンプル#4を作製した。
次いで、モル比が80:20のZnSとSiO2との混合物を主成分として含み、15nmの厚さを有する第二の膜に代えて、TiO2を主成分として含み、12.5nmの厚さを有する第二の膜を形成し、さらに、Al2O3を主成分として含む第一の放熱膜の膜厚を75nmに設定した点を除いて、光記録媒体サンプル#1と同様にして、光記録媒体サンプル#5を作製した。
さらに、モル比が80:20のZnSとSiO2との混合物を主成分として含み、15nmの厚さを有する第二の膜に代えて、TiO2を主成分として含み、12.5nmの厚さを有する第二の膜を形成した点を除いて、光記録媒体比較サンプル#1と同様にして、光記録媒体比較サンプル#5を作製した。
次いで、光記録媒体サンプル#3ないし#5ならびに光記録媒体比較サンプル#5を、それぞれ、上述の光記録媒体評価装置にセットし、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプル#3ないし#5ならびに光記録媒体比較サンプル#5のL1記録膜に、1,7RLL変調方式における2T信号ないし8T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、各L1情報層にランダム信号を記録し、記録したランダム信号を再生して、再生信号のクロックジッタ(%)を測定した。
光記録媒体サンプル#3についてのジッタの測定結果は図7の曲線Aによって、光記録媒体サンプル#4についてのジッタの測定結果は図7の曲線Bによって、光記録媒体サンプル#5についてのジッタの測定結果は図7の曲線Cによって、光記録媒体比較サンプル#5についてのジッタの測定結果は図7の曲線Dによって、それぞれ、示されている。
図7から明らかなように、ジッタが悪化することを防止するためには、L1情報層に第一の放熱膜を形成する必要があるが、ジッタが悪化することを確実に防止するためには、L1情報層に形成された第一の放熱膜の膜厚を、10nm以上、75nm未満に設定することが効果的であることが判明した。
次いで、実施例1と同様にして、レーザビームのパワーを、最も小さなジッタが得られた記録パワーPwに設定して、光記録媒体サンプル#3ないし#5ならびに光記録媒体比較サンプル#5の各L1情報層に、ランダム信号を記録し、記録したランダム信号を再生して、反射率を測定するとともに、変調度を算出したところ、光記録媒体サンプル#3ないし#5の反射率および変調度と、光記録媒体比較サンプル#5の反射率および変調度は、ほぼ同じであった。
さらに、実施例1と同様にして、レーザビームのパワーを、最も小さなジッタが得られた記録パワーPwに設定して、光記録媒体サンプル#3ないし#5ならびに光記録媒体比較サンプル#5の各L1記録膜に、1,7RLL変調方式における2T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、L1情報層に単一信号を記録するとともに、各L1記録膜に、8T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、L1情報層に単一信号を記録し、L1記録膜に、2T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、L1情報層に記録した単一信号を再生して得た再生信号のC/N比およびL1記録膜に、8T信号に対応する長さを有する記録マークを形成して、L1情報層に記録した単一信号を再生して得た再生信号のC/N比を、それぞれ、測定したところ、光記録媒体サンプル#3ないし#5における測定値と、光記録媒体比較サンプル#5における測定値は、ほぼ同じであった。
したがって、第一の放熱膜を設けても、光学特性の低下を防止することが可能であることが分かった。
さらに、L1情報層にランダム信号を記録したのと同様にして、レーザビームを、光透過層およびL1情報層を介して、光記録媒体サンプル#3ないし#5の各L0記録膜に照射し、L0記録膜に、記録マークを形成して、L0情報層に、ランダム信号を記録し、記録されたランダム信号を再生したところ、いずれも、所望のように、L0情報層に、ランダム信号を記録し、L0情報層に記録されたランダム信号を再生することができた。
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
たとえば、前記実施態様にかかる光記録媒体10においては、L1情報層30は、第四の誘電体膜31、反射膜32、第三の誘電体膜33、L1記録膜34、第二の誘電体膜35、第一の誘電体膜36、第二の放熱膜37および第一の放熱膜38が積層されて、構成されているが、光記録媒体のL1情報層は、記録膜と、記録膜に対して、支持基板側に形成された反射膜と、記録膜に対して、光入射面側に形成された第一の放熱膜と、記録膜と第一の放熱膜に間に形成された第二の放熱膜とを含んでいればよく、他の構成はとくに限定されるものではなく、たとえば、第二の誘電体膜または第一の誘電体膜のいずれか一方を省略することもできる。
また、前記実施態様にかかる光記録媒体10においては、第一の放熱膜38と第二の放熱膜37が隣接して形成されているが、第一の放熱膜と第二の放熱膜が隣接して形成されていることは必ずしも必要でなく、第一の放熱膜と第二の放熱膜との間に、第二の放熱膜37よりも屈折率が低い材料によって、形成された他の膜が介在していてもよい。
さらに、前記実施態様にかかる光記録媒体10においては、第二の誘電体膜35、第三の誘電体膜33および第四の誘電体膜31または第四の誘電体膜31の第一の膜312が、いずれも、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物によって形成されているが、第二の誘電体膜、第三の誘電体膜および第四の誘電体膜または第四の誘電体膜の第一の膜が、いずれも、モル比が97:3のZrO2とY2O3との混合物によって形成されていることは必ずしも必要でない。
また、前記実施態様にかかる光記録媒体10においては、第四の誘電体膜31は、第一の膜312と第二の膜311とが積層されて、構成されているが、第四の誘電体膜31が、第一の膜312と第二の膜311とが積層されて、構成されていることは必ずしも必要でなく、第四の誘電体膜が、単一の膜によって構成されていてもよい。
さらに、前記実施態様にかかる光記録媒体10においては、第三の誘電体膜33は、単一の膜によって構成されているが、第三の誘電体膜33が単一の膜によって構成されていることは必ずしも必要でなく、第三の誘電体膜が、二以上の膜が積層されて、構成されていてもよい。
また、前記実施態様にかかる光記録媒体10は、支持基板11と、L0情報層20と、透明中間層12と、L1情報層30と、光透過層13を備え、二層の情報層が設けられているが、光記録媒体が、二層の情報層を備えていることは必ずしも必要でなく、光記録媒体が、透明中間層を介して、積層された三層以上の情報層を備えていてもよい。光記録媒体が、三層以上の情報層を備えている場合には、レーザビームの光入射面から最も遠い情報層以外の情報層がすべて、記録膜と、記録膜に対して、支持基板側に形成された反射膜と、記録膜に対して、光入射面側に形成された第一の放熱膜と、記録膜と第一の放熱膜に間に形成された第二の放熱膜とを含んでいる必要はなく、少なくとも一つの情報層が、記録膜と、記録膜に対して、支持基板側に形成された反射膜と、記録膜に対して、光入射面側に形成された第一の放熱膜と、記録膜と第一の放熱膜に間に形成された第二の放熱膜とを含んでいればよい。
さらに、前記実施態様にかかる光記録媒体10において、レーザビームの光入射面から最も遠いL0情報層が、相変化材料によって形成されたL0記録膜23を含み、書き換え型の情報層として構成されているが、レーザビームの光入射面から最も遠いL0情報層が、書き換え型の情報層として構成されていることは必ずしも必要でなく、L0情報層が、再生専用の情報層や追記型の情報層として、構成されてもよい。たとえば、L0情報層が、再生専用の情報層として構成される場合には、L0情報層としての情報層はとくに設けられず、支持基板が、レーザビームの光入射面から最も遠い情報層として機能し、支持基板の表面上に、プリピットが形成され、かかるプリピットによってデータが記録される。
10:光記録媒体
11:支持基板
12:透明中間層
13:光透過層
20:L0情報層
21、32:反射膜
22:第二の誘電体膜
23:L0記録膜
24:第一の誘電体膜
25:放熱膜
30:L1情報層
31:第四の誘電体膜
33:第三の誘電体膜
34:L1記録膜
35:第二の誘電体膜
36:第一の誘電体膜
37:第二の放熱膜
38:第一の放熱膜
311:第二の膜
312:第一の膜
11:支持基板
12:透明中間層
13:光透過層
20:L0情報層
21、32:反射膜
22:第二の誘電体膜
23:L0記録膜
24:第一の誘電体膜
25:放熱膜
30:L1情報層
31:第四の誘電体膜
33:第三の誘電体膜
34:L1記録膜
35:第二の誘電体膜
36:第一の誘電体膜
37:第二の放熱膜
38:第一の放熱膜
311:第二の膜
312:第一の膜
Claims (4)
- 支持基板上に、少なくとも透明中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、前記複数の情報層のうち、レーザビームの光入射面から最も遠い情報層以外の情報層の少なくとも一つの情報層が、共晶系の相変化材料によって形成された記録膜と、前記記録膜に対して、前記支持基板側に形成された反射膜と、前記記録膜に対して、前記光入射面側に形成され、Al2O3またはSiO2を主成分とする材料によって形成された第一の放熱膜と、前記記録膜と前記第一の放熱膜に間に形成され、AlNを主成分とする材料によって形成された第二の放熱膜とを含んでいることを特徴とする光記録媒体。
- 第一の放熱膜が、第二の放熱膜に隣接して、形成されたことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
- 前記第一の放熱膜が、10nm以上、75nm未満の膜厚を有するように形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の光記録媒体。
- 前記反射膜が、Agを主成分として含み、5nmないし25nmの膜厚を有するように形成されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005015388A JP2006202447A (ja) | 2005-01-24 | 2005-01-24 | 光記録媒体 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008243305A (ja) * | 2007-03-28 | 2008-10-09 | Tdk Corp | 情報記録方法、情報記録装置 |
-
2005
- 2005-01-24 JP JP2005015388A patent/JP2006202447A/ja not_active Withdrawn
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JP2008243305A (ja) * | 2007-03-28 | 2008-10-09 | Tdk Corp | 情報記録方法、情報記録装置 |
WO2008129771A1 (ja) * | 2007-03-28 | 2008-10-30 | Tdk Corporation | 情報記録方法、情報記録装置 |
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