以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1における半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。また図2は、図1に示す横型p−chMOSトランジスタのソース層とドレイン層との平面レイアウトを示す図である。また図3は、図2にソース引出電極とドレイン引出電極とを加えた図である。なお、図1は図2のA−A線に沿う断面に対応する。
図1〜図3を参照して、シリコン基板1の表面上には、シリコン酸化膜(SiO2)よりなる絶縁層3を介在して高抵抗n型ベース層5が形成されている。この高抵抗n型ベース層5は、溝63よりなるトレンチ分離によって、p−chMOSトランジスタ、nMOSトランジスタおよびpMOSトランジスタの各領域に電気的に分離されている。なお溝63の側壁には酸化膜65が形成されており、その内部は多結晶シリコン67によって充填されている。またフィールド酸化膜69は、この溝63上に位置している。
p−chMOSトランジスタ30は、p+ソース層9と、p+ドレイン層11と、p型バッファ層13と、p-ドレイン層15と、ゲート酸化膜19と、ゲート電極層21とを有している。
p+ソース層9は、高抵抗n型ベース層5の表面に形成されたn型ベース層7内に高濃度n型層17と隣接するように形成されている。またp+ドレイン層11は、高抵抗n型ベース層5の表面に形成されたp型バッファ層13内に形成されている。p-ドレイン層15は、このp型バッファ層13に接するようにフィールド酸化膜69の直下に形成されている。ゲート電極層21は、p+ソース層9とp-ドレイン層15とに挟まれる表面上にゲート酸化膜19を介在して形成されている。このゲート電極層21は、たとえばドープトポリシリコン層21aとタングステンシリサイド層21bとの二層構造よりなっている。
特に図2を参照して、p+ソース層9は、p+ドレイン層11の周囲を取囲むように、たとえば楕円の平面形状を有している。またp-ドレイン層15も楕円の平面形状を有している。またゲート電極層21も、p+ソース層9の内周側に、p+ソース層9に沿って楕円の平面形状に沿って形成されている。これによって、このp−chMOSトランジスタ30のチャネル領域は、p+ソース層9の内周側に楕円の環形状に生ずることになる。
なお、特に図1を参照して、p型バッファ層13上にも、酸化膜25を介在して導電層27が形成されている。この導電層27は、たとえばドープトポリシリコン層27aとタングステンシリサイド層27bとの二層構造を有している。またゲート電極層21と導電層27との側壁には側壁酸化膜23と29とが形成されている。
nMOSトランジスタ40は、1対のn型のソース/ドレイン層33、33と、ゲート酸化膜35と、ゲート電極層37とを有している。1対のソース/ドレイン層33、33は高抵抗n型ベース層5上のp型ウェル層31内に互いに所定の距離を隔てて形成されている。この1対のソース/ドレイン層33、33の各々は、比較的低濃度のn-不純物領域と比較的高濃度のn+不純物領域との二層構造よりなるLDD(Lightly Doped Drain)構造を有している。ゲート電極層37は、この1対のソース/ドレイン領域33、33に挟まれる領域上にゲート酸化膜35を介在して形成されている。このゲート電極層37は、たとえばドープトポリシリコン層37aとタングステンシリサイド層37bとの積層構造よりなっている。なお、ゲート電極層37の側壁を覆うように側壁酸化膜39が形成されている。
pMOSトランジスタ50は、1対のp+ソース/ドレイン層43、43と、ゲート酸化膜45と、ゲート電極層47とを有している。1対のp+ソース/ドレイン層43、43は、高抵抗n型ベース層5上のn型ウェル層41の表面に互いに所定の距離を隔てて形成されている。ゲート電極層47は、1対のp+ソース/ドレイン層43、43に挟まれる表面上にゲート酸化膜45を介在して形成されている。このゲート電極層47は、たとえばドープトポリシリコン層47a、タングステンシリサイド層47bとの二層構造を有している。なお、ゲート電極層47の側壁を覆うように側壁酸化膜49が形成されている。
これらの各領域上を覆うように第1の層間絶縁層51が形成されている。この第1の層間絶縁層51には、スルーホール51a、51b、51c、51d、51e、51gが形成されている。スルーホール51a、51gを通じて、p+ドレイン層11および導電層27とに電気的に接続するように、ドレイン引出配線用の第1配線層53aが形成されている。またスルーホール51bを通じてp+ソース層9と高濃度n型層17とに電気的に接続されるように、ソース引出配線用の第1配線層53bが形成されている。またスルーホール51cを通じてゲート電極層21と電気的に接続するように第1の配線層53cが形成されている。
またスルーホール51dを通じてn型ソース/ドレイン層33に電気的に接続するように第1配線層53dが形成されている。またスルーホール51eを通じてp+ソース/ドレイン層43に電気的に接続するように第1配線層53eが形成されている。
これら第1配線層51a、51b、51c、51d、51eを覆うように第2の層間絶縁層55が形成されている。この第2の層間絶縁層55には、スルーホール55aが形成されている。このスルーホール55aを通じて第1配線層53aと電気的に接続するように第2配線層57が形成されている。
この第2配線層57を覆うように第3の層間絶縁層59が形成されている。この第3の層間絶縁層59には、スルーホール59aが形成されている。このスルーホール59aを通じて第2配線層57と電気的に接続するようにドレイン引出配線層として第3配線層61が形成されている。
特に図3を参照して、第1配線層53bは、たとえば楕円形状に形成されるp+ソース層9の全周にわたって、p+ソース層9の表面に接するように形成されている。第3配線層61は、第1配線層53b上で第2および第3の層間絶縁層55、59を介在して、第1配線層53bと平面的に交差するように配置されている。
次に、本実施の形態における半導体装置の製造方法について説明する。
図4〜図18は、本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。まず図4を参照して、シリコン基板1と、シリコン酸化膜よりなる絶縁層3と、高抵抗n型ベース層5とが、例えば貼り合わせSOI法やSIMOX法などによって形成される。この高抵抗n型ベース層5上の全面に酸化膜71が形成される。この後、酸化膜71上に所望の形状を有するレジストパターン73aが、通常の写真製版技術により形成される。このレジストパターン73aをマスクとしてp型不純物イオンが注入される。レジストパターン73aが除去された後、1215℃で約3時間の熱処理が施される。
図5を参照して、この熱処理により、高抵抗n型ベース層5内にp型拡散層13aが形成される。p型拡散層13aおよびその他の領域上にホールパターンを有するレジストパターン73bが酸化膜71上に、通常の写真製版技術により形成される。このレジストパターン73bをマスクとしてp型不純物イオンが注入される。レジストパターン73bを除去した後、1050℃の温度で熱処理が施される。
図6を参照して、この熱処理により、p型ウェル層31と、このp型ウェル層31より高濃度部分を有するp型バッファ層13とが形成される。所望の形状を有するレジストパターン73cが、通常の写真製版技術により、酸化膜71上に形成される。このレジストパターン73cをマスクとして、n型不純物イオンが注入される。レジストパターン73cが除去された後、所定の熱処理が施される。
図7を参照して、この熱処理により、高抵抗n型ベース層5の表面にn型ベース層7とn型ウェル層41とが形成される。この後、表面全面に酸化膜75が堆積される。通常の写真製版技術およびエッチング技術により、この酸化膜75のトレンチ溝形成予定部分上がエッチング除去される。この酸化膜75をマスクとして、絶縁層3に達するまで高抵抗n型ベース層5がエッチングされる。この後、酸化膜75はエッチング除去される。
図8を参照して、上記の高抵抗n型ベース層5のエッチングにより、高抵抗n型ベース層5を貫通して絶縁層3に達する溝63が形成される。この溝63の側壁に酸化膜65が形成され、充填剤となる多結晶シリコン層67が全面に堆積される。この後、多結晶シリコン層67に全面エッチバックが施され、溝63内にのみ多結晶シリコン層67が残存される。
図9を参照して、図示していないが、全面に酸化膜、窒化膜が堆積され、まず最初にp−chMOSトランジスタのフィールド酸化膜形成予定領域の窒化膜がレジストパターンをマスクとしてエッチング除去され、さらにp型不純物イオンが、このレジストパターンをマスクとして注入される。そしてレジストパターンが除去された後、再度他のフィールド酸化膜形成予定領域の窒化膜がレジストパターンをマスクとしてエッチング除去される。このレジストパターンを除去した後、通常のLOCOS法を用いて、フィールド酸化膜69が所望の位置に形成される。またフィールド酸化膜69の形成と同時に、フィールド酸化膜69の直下にp-ドレイン層15が形成される。
図10を参照して、ゲート酸化膜19aが形成された後、ドープトポリシリコン層21cが堆積され、さらにタングステンシリサイド層21dがスパッタされる。この後、通常の写真製版技術により、タングステンシリサイド層21dの所望の位置にレジストパターン73dが形成される。このレジストパターン73dをマスクとしてタングステンシリサイド層21d、ドープトポリシリコン層21cおよびゲート酸化膜19aに順次エッチングが施される。この後、レジストパターン73dが除去される。
図11を参照して、上記のエッチングにより、各ゲート酸化膜19、25、35、45と、ドープトポリシリコン層21a、27a、37a、47aおよびタングステンシリサイド層21b、27b、37b、47bの積層構造よりなるゲート電極層21、37、47とフィールドプレート層27とが形成される。この後、所望の領域を覆うようにレジストパターン73eが通常の写真製版技術により形成される。このレジストパターン73eをマスクとして、リン(P)のイオン注入が行なわれる。この後、レジストパターン73eが除去される。
図12を参照して、上記のイオン注入により、所定領域にn型低濃度領域(図示せず)が形成される。この後、レジストパターン73fおよびゲート電極層などをマスクとしてBF2がイオン注入される。この後、レジストパターン73fが除去される。
図13を参照して、上記のイオン注入により、所定領域にp型低濃度領域(図示せず)が形成される。この後、全面に酸化膜(図示せず)が250nmの膜厚で堆積される。この酸化膜に異方性エッチングが施され、各ゲート電極とフィールドプレート電極との側壁を覆う側壁酸化膜23、29、39、49が残存される。この後、レジストパターン73gが形成される。このレジストパターン73g、各ゲート電極層、側壁酸化膜などをマスクとして砒素がイオン注入される。この後、レジストパターン73gが除去される。
図14を参照して、上記のイオン注入により、n型高濃度領域(図示せず)が形成される。この後、レジストパターン73h、各ゲート電極層および各側壁酸化膜などをマスクとしてBF2がイオン注入される。このイオン注入により、p型高濃度領域(図示せず)が形成される。レジストパターン73hが除去された後、熱処理が施される。
図15を参照して、上記の熱処理により、各領域に注入した不純物が活性化して、p+ソース層9、p+ドレイン層11、高濃度n型層17、1対のn型ソース/ドレイン層33、33および1対のp型ソース/ドレイン層43、43が形成される。これにより、p−chMOSトランジスタ30とnMOSトランジスタ40とpMOSトランジスタ50とが構成される。
図16を参照して、表面全面に第1の層間絶縁層51が堆積され、通常の写真製版技術およびエッチング技術によりスルーホール51a、51b、51c、51d、51e、51gが形成される。
図17を参照して、各スルーホールを通じて、下層に電気的に接続するように、所望の形状にパターニングされた第1配線層53a、53b、53c、53d、53eが形成される。
図18を参照して、第1の配線層を覆うように第2の層間絶縁層55が形成される。この第2の層間絶縁層55には、通常の写真製版技術およびエッチング技術によりスルーホール55aが形成される。このスルーホール55aを通じて第1の配線層53aと電気的に接続するように第2配線層57が形成される。この後同様に、第3の層間絶縁層59とスルーホール59aと第3配線層61とが形成されて図1に示す半導体装置が完成する。
以上の製造工程により、p−chMOSトランジスタとCMOSトランジスタとが同一基板上に形成できる。
本実施の形態の半導体装置では、特に図2に示すように、p+ソース層9がドレイン層11、13、15の周囲を取囲む平面レイアウト構成を有している。このため、ゲート電極直下のp+反転層抵抗が低くなり電流駆動能力を従来例よりも向上させることができる。なお、この図2に示す構成は、ソース引出配線層51bがドレイン層の外周に位置するため、Source Electrode Srround Drain(ソース・エレクトロード・サラウンド・ドレイン)構造と呼ぶこともできる。
また、本実施の形態においては、p−chMOSトランジスタを他の素子(たとえばCMOSトランジスタ)と電気的に分離するために、pn接合分離ではなくて、溝63を用いたトレンチ分離を用いている。このようにトレンチ分離を用いているため、p+ソース層9がトレンチ分離の溝63の近くに配置されても、この素子の動作時にp+ソース層9からシリコン基板1側へ電流が流れることは防止される。よって、分離能力を高めるべくトレンチ分離用の溝63をp+ソース層9から外周側へ離した位置に配置する必要はない。
以上より、本実施の形態における半導体装置では、電流駆動能力が高く、かつ高集積化に適した半導体装置を得ることができる。
また図1に示すように本実施の形態においては、多層配線構造を用いることにより、ソース引出配線層53bとドレイン引出配線層61とが異なる絶縁層上に形成されている。このため、特に図3に示すようにソース引出配線層53bが楕円の平面形状を有している場合でも、ドレイン引出配線層61は、ソース引出配線層53bと電気的絶縁を保ったまま他の素子領域に延在させることができる。
また図3に示すように、ソース引出配線層53bを、p+ソース層9の全周にわたってp+ソース層9の表面と接するように配置することができる。このため、p+ソース層9とソース引出配線層53bとのコンタクト面積を大きく確保でき、ソースコンタクト抵抗を小さくすることができる。
また、このソース引出配線層53bには、たとえばアルミニウムなどの抵抗の小さい材料を用いることができる。よって、低抵抗のソース引出配線層53bを通じてp+ソース層9の全周に電流を供給することができる。したがって、抵抗の比較的高いp+ソース層9を通じてp+ソース層9の全周に電流を供給する場合に比較して、少ない抵抗でp+ソース層9の全周に電流を与えることができる。
上記の構成は、たとえばn−chMOSトランジスタやn−chIGBTやp−chIGBTなどの高耐圧の電力用デバイスに適用することができる。この構成をn−chIGBTに適用した例を本実施の形態2として以下に説明する。
実施の形態2
図19は、本発明の実施の形態2における半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。また図20は、図19R>9に示す横型n−chIGBTのソース層とドレイン層との平面レイアウトを示す図である。また図21は、図2020にソース引出配線層とドレイン引出配線層を加えた図である。なお、図19は図20のB−B線に沿う断面に対応する。
図19〜図21を参照して、シリコン基板1の表面上にたとえばシリコン酸化膜よりなる絶縁層3を介在して高抵抗n型ベース層5が形成されている。この高抵抗n型ベース層5は、溝63よりなるトレンチ分離によって、n−chIGBT、nMOSトランジスタおよびpMOSトランジスタの各形成領域に電気的に分離されている。
n−chIGBT130は、高抵抗n型ベース層5と、p+ドレイン層101と、n+バッファ層103と、p型ベース層107と、n+ソース層109と、ゲート酸化膜19と、ゲート電極層21とを有している。n+ソース層109は、高抵抗n型ベース層の表面に形成されたp型ベース層107の領域内に高濃度p型層117と隣接するように形成されている。またp+ドレイン層101は、高抵抗n型ベース層5の表面に形成されたn+バッファ層103の領域内に形成されている。ゲート電極層21は、p型ベース層107と高抵抗n型ベース層5との表面上にゲート酸化膜19を介在して形成されている。
なお、導電層27は、n+バッファ層103上に絶縁膜25を介在して形成されている。
なお、n−chIGBTにおいてp+ ドレイン層101は、アノード(コレクタ)に対応し、かつn+ソース層109はカソード(エミッタ)に対応する。以下の説明もこれに準ずる。
特に図20を参照して、n+ソース層109はp+ドレイン層101の周囲を取囲むように、たとえば楕円の平面形状を有している。
特に図21を参照して、ソース引出配線層53bは、たとえば楕円形状に形成されるn+ソース層109の全周にわたって、n+ソース層109の表面に接するように形成されている。第3の配線層61は、このソース引出配線層53b上を第2および第3の層間絶縁層55、59を介在して、ソース引出配線層53bと平面的に交差するように配置されている。なお、このソース引出配線層53bは、高濃度p型層117にも電気的に接続されている。
なお、これ以外の構成については、上述した実施の形態1とほぼ同様であるため、同一の部材については同一の符号を付し、その説明は省略する。
次に、本実施の形態における半導体装置の製造方法について説明する。
図22〜図36は、本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。まず図22を参照して、シリコン基板1と、たとえばシリコン酸化膜よりなる絶縁層3と、高抵抗n型ベース層5とが、例えば貼り合わせSOI法やSIMOX法などによって形成される。高抵抗n型ベース層5の全面に酸化膜71が形成される。この酸化膜71上に、所望の形状を有するレジストパターン173aが通常の写真製版技術により形成される。このレジストパターン173aをマスクとしてn型不純物イオンが注入される。レジストパターン173aが除去された後、1215℃で約3時間の熱処理が施される。
図23を参照して、上記の熱処理により、n型拡散層103aが形成される。酸化膜71上に通常の写真製版技術により所望の形状を有するレジストパターン173bが形成される。このレジストパターン173bをマスクとして、p型不純物がイオン注入される。レジストパターン173bが除去された後、1050℃の熱処理が施される。
図24を参照して、上記の熱処理により、p型ウェル層107aが、たとえば楕円の環状の平面形状を有するように形成される。この後、所望の形状を有するレジストパターン173cが酸化膜71上に形成される。このレジストパターン173cをマスクとしてn型不純物がイオン注入される。レジストパターン173cが除去された後、1050℃の温度で熱処理が施される。
図25を参照して、上記の熱処理により、p型ウェル層107aと隣接するようにn型ウェル層41と、このn型ウェル層41より高濃度部分を有するn+バッファ層103とが形成される。そして酸化膜175が全面に堆積される。この酸化膜175のトレンチ溝形成予定部分上がエッチング除去される。この酸化膜175をマスクとして絶縁層3に達するまで高抵抗n型ベース層5などがエッチングされる。この後、酸化膜175はエッチング除去される。
図26を参照して、上記の高抵抗n型ベース層5のエッチングにより、高抵抗n型ベース層5を貫通して絶縁層3に達する溝63が複数個形成される。この溝63の側壁に酸化膜65が形成され、充填剤となる多結晶シリコン層67が全面に堆積される。この多結晶シリコン層67の全面にエッチバックが施される。これにより、溝63内にのみ多結晶シリコン層67が残存される。
図27を参照して、通常のLOCOS法を用いて、選択的にフィールド酸化膜69が形成される。
図28を参照して、ゲート酸化膜19aが形成された後、ドープトポリシリコン層21cが堆積され、タングステンシリサイド層21dがスパッタされる。この後、タングステンシリサイド層21d上に所望の形状を有するレジストパターン173dが形成される。このレジストパターン173dをマスクとして、タングステンシリサイド層21d、ドープトポリシリコン層21cおよびゲート酸化膜19aが順次エッチングされる。この後、レジストパターン173dが除去される。
図29を参照して、上記のエッチングにより各ゲート酸化膜19、25、35、45とゲート電極層21、37、47とフィールドプレート層27とが形成される。この後、所望の領域上にレジストパターン173eが形成され、このレジストパターン173eをマスクとしてリンのイオン注入が行なわれる。これにより、n型低濃度領域(図示せず)が形成される。この後、レジストパターン173eが除去される。
図30を参照して、所望の領域上にレジストパターン173fが形成される。このレジストパターン173fをマスクとしてBF2のイオン注入が行なわれる。これにより、p型低濃度領域(図示せず)が形成される。この後、レジストパターン173fが除去される。
図31を参照して、全面に酸化膜が250nmの膜厚で堆積された後、この酸化膜に全面異方性エッチングが施される。これにより、各ゲート電極層21、37、47とフィールドプレート層27との側壁に側壁酸化膜23、29、39、49が残存される。この後、所望の領域上にレジストパターン173gが形成される。このレジストパターン173g、各ゲート電極層、側壁酸化膜などをマスクとして、砒素がイオン注入される。これにより、n型高濃度領域(図示せず)が形成される。この後、レジストパターン173gが除去される。
図32を参照して、所望の領域上にレジストパターン173hが形成される。このレジストパターン173h、各ゲート電極層、側壁絶縁層などをマスクとしてBF2のイオン注入が行なわれる。これにより、p型高濃度領域(図示せず)が形成される。このレジストパターン173hを除去した後、熱処理が施される。
図33を参照して、上記の熱処理により、ソース/ドレイン層に注入した不純物が活性化される。これにより、p+ドレイン層101と、n+ソース層109と、高濃度p型層117と、1対のn型ソース/ドレイン層33、33と、1対のp+ソース/ドレイン層43、43とが形成される。
図34を参照して、表面全面に層間絶縁層51が堆積され、スルーホール51a、51b、51c、51d、51e、51gが形成される。
図35を参照して、各スルーホールを通じて各下層と電気的に接続するように、第1配線層53a、53b、53c、53d、53eが形成される。
図36を参照して、第1配線層を覆うように第2の層間絶縁層55が堆積される。この第2の層間絶縁層55にスルーホール55aが形成される。このスルーホール55aを通じて第1配線層と電気的に接続するように第2配線層57が形成される。
この後、第3の層間絶縁層59が形成され、層間絶縁層59にコンタクトホール59aが形成され、そのコンタクトホール59aを通じて第2配線層と電気的に接続するように第3配線層61が形成されて、図19に示す半導体装置が完成する。
以上により、n−chIGBTとCMOSトランジスタとが同一基板上に形成される。
本実施の形態においては、特に図20に示すようにn+ソース層109が、p+ドレイン層101の周囲を取囲む構成(ソース・エレクトロード・サラウンド・ドレイン構造)を有している。また高耐圧用のn−chIGBTでは、耐圧を持たせるため、また導電率変調を生じさせるため、高抵抗n型ベース層5をp+ドレイン層101とn+ソース層109との間に設ける必要がある。このようにソース・エレクトロード・サラウンド・ドレイン構造において高抵抗n型ベース層5が必要であるため、ドレイン層がソース層の周囲を取囲む構成に比較して、ソース・エレクトロード・サラウンド・ドレイン構造では、p+ドレイン層101と対向するn+ソース層109の周長が長くなる。したがって、電子の注入量が多くなり、駆動電流が増える。
また、このn−chIGBTは、他の素子とトレンチ分離により電気的に分離されている。このため、n+ソース層109が、p+ドレイン層101の外周に位置し、トレンチ分離の溝63と近くに配置されている場合でも、n+ソース層109から基板1側へ電流が流れることは防止される。よって、トレンチ分離用の溝63をn+ソース層109から外周側へ離して配置する必要はない。
以上より、電流駆動能力が高く、かつ高集積化に適した半導体装置を得ることができる。
また、多層配線構造を利用して、ソース引出配線層53bとドレイン引出配線層61とが異なる絶縁層上に形成されている。このため、ソース引出配線層53bがn+ソース層109の全周にわたって設けられている場合でも、ソース引出配線層53bとドレイン引出配線層61とが電気的にショートすることは防止される。
また、ソース引出配線層53bがn+ソース層109の全周にわたってn+ソース層109の表面と接している。このため、n+ソース層109とソース引出配線層53bとのコンタクト面積が大きく確保でき、ソースコンタクト抵抗を小さくすることができる。
また、このソース引出配線層53bには、たとえばアルミニウムなどの抵抗の小さい材料を用いることができる。よって、低抵抗のソース引出配線層53bを通じてn+ソース層109の全周に電流を供給することができる。したがって、抵抗の比較的高いn+ソース層109を通じてn+ソース層109の全周に電流を供給する場合に比較して、抵抗を小さくすることができる。
また、横型n−chIGBTにおいて、ソース−ドレイン(S−D)間の距離におけるドレイン電流ID−ドレイン電圧VD特性についてシミュレーションを行なった。以下、そのシミュレーションについて説明する。
図37は、シミュレーションを行なった横型n−chIGBTの断面構造を示す図である。図37を参照して、断面構造で、奥行き1μm(レクトアングル)とし、S−D間距離を40、80、180μmと変えた場合のID−VD特性を図38に示す。ここで、ゲート電圧は5Vである。
図38を参照して、通常のレクトアングル構造の場合には、S−D間距離を大きくすると、単調にオン電流IDが減少することがわかる。
次に、図37の断面構造でA−A′を起点に回転させたデバイス構造(シリンドリカル、本発明のソース・エレクトロード・サラウンド・ドレイン構造に相当する)のID−VD特性を図39に示す。
図39を参照して、ドレイン電圧VDが小さいときには、S−D間距離が大きい方がオン電流IDが小さいが、ドレイン電圧VDが大きくなると、S−D間距離の長い方がオン電流IDが高くなる。
これは、ドレイン電圧VDが小さいときには、S−D間距離が大きくなると、S−D間の抵抗が高くなるためS−D間距離の大きいものほどオン電流IDが小さくなるものと考えられる。またドレイン電圧VDが大きい場合には、図20に示すようにS−D間距離L1の増加に伴い、ソース領域109の周長が長くなるため、電子注入の効率が高くなり電流駆動能力が向上する。その結果、ドレイン電圧の増加に伴い、S−D間距離を増やしたほうがオン電流IDを大きくできると考えられる。
ところでn−chIGBTのラッチアップは、図19に示すn+ソース層109の直下のp型ベース層の抵抗と、IGBTの動作時にn+ソース層109直下のp型ベース層107に流れるホール電流との積が0.7Vを越えると生じる。そこで、S−D間距離を増やせばソース周長が増えるため、上記のp型ベース層の抵抗が減少しラッチアップ耐量が増える。
以上のシミュレーション結果から、本実施の形態におけるソース・エレクトロード・サラウンド・ソース構造では、S−D間距離を増やすことで、オン電流(駆動電流)を低下させずにラッチアップ耐量を増やすことができる。
本実施の形態の半導体装置のp+ドレイン層101をn+ドレイン層に置換えれば、高耐圧n−chMOSトランジスタが実現できる。また、本実施の形態は、n−chIGBTとCMOSトランジスタとを同一基板上に形成する製造方法について述べたが、各部の極性を反転化した構造にすれば、p−chIGBTとCMOSトランジスタとを同一基板上に形成することもできる。
実施の形態3
図40は、本発明の実施の形態3における半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。また図41は、図40に示す横型n−chMOSトランジスタのソース層とドレイン層との平面レイアウトを示す図である。また図42は、図41にソース引出配線層とドレイン引出配線層を加えた図である。なお図40は、図41のC−C線に沿う断面に対応する。
図40〜図42を参照して、この半導体装置は、従来例で示した容量結合型多重フィールドプレートを本発明の高耐圧の横型n−chMOSトランジスタに適用した場合の構成を示している。シリコン基板1の表面上には、たとえばシリコン酸化膜よりなる絶縁層3を介在して、高抵抗n型ベース層5が形成されている。この高抵抗n型ベース層5は、溝63よりなるトレンチ分離によって周囲の素子と電気的に分離されている。この溝63は、n−chMOSトランジスタ形成領域をたとえば楕円の平面形状に取囲むように配置されている。
n−chMOSトランジスタ230は、n+ソース層209と、n+ドレイン層211と、n型バッファ層213と、ゲート酸化膜19と、ゲート電極層27とを有している。
n+ソース層209は、高抵抗n型ベース層5の表面に形成されたp型ベース層207の領域内で、高濃度n型層217と隣接するように形成されている。またn+ドレイン層211は、高抵抗n型ベース層5の表面に形成されたn型バッファ層213内に形成されている。ゲート電極層21は、p型ベース層207と高抵抗n型ベース層5との上に、ゲート酸化膜19を介在して形成されている。このゲート電極層21は、ドープトポリシリコン層21aとタングステンシリサイド層21bとの積層構造よりなっている。またゲート電極層21の側壁には側壁酸化膜23が形成されている。
特に図41を参照して、n+ソース209は、n+ドレイン層211の周囲を取囲むように、たとえば楕円の平面形状を有している。またゲート電極層21も、n+ソース層209の内周側に、n+ソース層209に沿って楕円の平面形状に形成されている。これによって、このn−chMOSトランジスタ230のチャネル領域は、n+ソース層209の内周側に楕円の環形状に生ずることになる。
n+ソース層209とn+ドレイン層211との間の高抵抗n型ベース層5の表面にはフィールド酸化膜69が、たとえば楕円の平面形状に形成されている。このフィールド酸化膜69上には、ゲート電極層21と同一の層よりなる複数の導電層201が形成されている。この導電層201は、容量結合型多重フィールドプレートの下層をなすものである。
なお、この導電層201の側壁には、側壁酸化膜203が形成されている。n−chMOSトランジスタ230を覆うように第1の層間絶縁層51が形成されている。この第1の層間絶縁層51には、スルーホール51a、51b、51c、51gが形成されている。スルーホール51aを通じてn+ ドレイン層211と、スルーホール51gを通じて導電層27と電気的に接続するように第1配線層53aが形成されている。またスルーホール51bを通じてn+ソース層209と高濃度p型層217と電気的に接続するように第1配線層53bが形成されている。またスルーホール51cを通じてゲート電極層21と電気的に接続するように第1配線層53cが形成されている。
また第1配線層53aと53cとの間には、これらの層と同一の層よりなる導電層205が、下層の導電層201と容量を構成するように配置されている。この導電層205が、容量結合型多重フィールドプレートの上層をなすものである。
特に図42を参照して、ソース引出配線層53bは、n+ソース層209の全周にわたって、n+ソース層209の表面に接するように、楕円の平面形状を有している。このソース引出配線層53b上に第2および第3の層間絶縁層55、59を介在してソース引出配線層53bと平面的に交差するようにドレイン引出配線層61が延在している。
本実施の形態においては、導電層201、201と第1配線層53a、53cと導電層205とにより容量結合型多重フィールドプレートが構成されているため、ソース−ドレイン間の電位の安定化を図ることができる。以下、そのことについて詳細に説明する。
図40を参照して、n−chMOSトランジスタの動作時においては、ドレインにはVcc電位、ソースにはGND電位が与えられる。このように電位が与えられた場合、n+ドレイン層211とn+ソース層209との間であってフィールド酸化膜69の下部には一定の電位差が生じる。またドレインに接続される第3配線層61には、高耐圧の電力用素子の場合には600Vもの電圧が印加される。このような大きい電圧がソース−ドレイン間の上部に与えられると、n−chMOSトランジスタ230の動作時において、ソース−ドレイン間の電位が安定しなくなるおそれがある。
そこで、本実施の形態においては、容量結合型多重フィールドプレートが設けられている。図43は、図40のフィールドプレート部(領域R2)を拡大して示す部分断面図である。
図43を参照して、n−chMOSトランジスタの動作時にソースおよびドレインに所定の電位が印加されると、フィールドプレートを構成する各導電層201、205によりキャパシタが構成される。これにより、各導電層間に電荷が蓄積され、容量C1、C2、C3、C4が構成される。この状態は図44に示すように容量C1、C2、C3、C4がフィールド酸化膜69上において直列に接続された状態となる。
このようにフィールド酸化膜69の上部に容量が構成されることによって、n−chMOSトランジスタの動作時において、フィールド酸化膜69の下部と上部との電位がほぼ同一とされる。このように、フィールド酸化膜69の直上部がその下部とほぼ同一の電位となるため、仮に第3の配線層61に高電圧が印加された場合でも、フィールド酸化膜69の下部に与えられる影響は少なくなり、ソース−ドレイン間の電位が安定になる。
また本実施の形態においては、n+ソース層209が、n+ドレイン層211の周囲を取囲むように形成されている。このため、実施の形態1で説明したと同様の理由により、電流駆動能力を向上することができる。
また本実施の形態においては、n−chMOSトランジスタ230は、他の素子と溝63によるトレンチ分離により電気的に分離されている。このため、実施の形態1で説明したと同様の理由により、高集積化に適した半導体装置を得ることができる。
以上より、大きな電流駆動能力を有し、かつ高集積化に適した半導体装置を得ることができる。
また多層配線構造を用いることにより、ソース引出配線層となる第1配線層53bとドレイン引出配線層となる第3配線層61とが異なる絶縁層上に形成されている。このため、ソース引出配線層53bを、n+ソース層209の全周にわたって、n+ソース層209の表面に接するように構成した場合でも、ソース引出配線層53bとドレイン引出配線層61との電気的な絶縁は維持される。
また、ソース引出配線層53bを、n+ソース層209の全周にわたって、n+ソース層209の表面に接するように形成することができる。このため、実施の形態1で説明したと同様の理由により、ソースコンタクト抵抗を低減することができるとともに、ソース領域全周に電流を供給する際の抵抗を低くすることもできる。
実施の形態4
図45は、本発明の実施の形態4に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。また図46は、図45に示すp−chIGBTのソース層とドレイン層との平面レイアウトを示す図である。また図47は、図46にソース引出配線層およびドレイン引出配線層とを加えた図である。なお図45は、図46のD−D線に沿う断面に対応する。
図45〜図47を参照して、シリコン基板1上に、シリコン酸化膜などの絶縁層3を介在して高抵抗n型ベース層5が形成されている。この高抵抗n型ベース層5には、溝63よりなるトレンチ分離によってp−chIGBT、nMOSトランジスタおよびpMOSトランジスタの各領域に電気的に分離されている。
p−chIGBTは、p+ソース層309と、n型ベース層307と、n+ドレイン層311と、p型バッファ層313と、p-ドレイン層315と、ゲート酸化膜19と、ゲート電極層21とを有している。
p+ソース層309は、高抵抗n型ベース層5の表面に形成されたn型ベース層307の領域内に、高濃度n型層317と隣接するように形成されている。またn+ドレイン層311は、高抵抗n型ベース層5の表面に形成されたp型バッファ層313の領域内に形成されている。またp-ドレイン層315は、p型バッファ層313に電気的に接続するように、かつp+ソース層309と所定の距離を隔てるようにフィールド酸化膜69の直下に形成されている。
ゲート電極層21は、p+ソース層309とp-ドレイン層315に挟まれる高抵抗n型ベース層5およびn型ベース層307上にゲート酸化膜19を介在して形成されている。ゲート電極層21は、ドープトポリシリコン層21aとタングステンシリサイド層21bとの二層構造を有している。
特に図46を参照して、p+ソース層309は、n+ドレイン層311の周囲を取囲むように、たとえば楕円の平面形状を有している。
なお、これ以外の構成については、図1に示す実施の形態1とほぼ同様であるため、同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態におけるp−chIGBTの製造方法において、p-ドレイン層315は、フィールド酸化膜69の形成前にこのp-ドレイン層315の形成領域にp型不純物イオンを選択的にイオン注入すれば、LOCOS法でフィールド酸化膜69が形成されるのと同時に形成できる。
本実施の形態では、p+ソース層309が、n+ドレイン層311の周囲を、取囲むように配置されている。このため、実施の形態2で説明したように、電流駆動能力を向上することができる。
またp−chIGBTは、溝63によるトレンチ分離により他の素子(CMOSトランジスタなど)と電気的に分離されている。このため、実施の形態1で説明したようにp+ ソース層309がシリコン基板1に対して高電圧となった場合でも、この溝63によるトレンチ分離で耐圧を保持することができるため、分離領域の面積を減らすことが可能となる。
以上より、大きな電流駆動能力を有し、かつ高集積化に適した半導体装置を得ることができる。
またソース引出配線層となる第1の配線層53bとドレイン引出配線層となる第3の配線層61とは、異なる絶縁層上に形成されている。このため、特に図47に示すようにソース引出配線層53bがp+ソース層309に沿って楕円の平面形状に形成された場合でも、ソース引出配線層53bとドレイン引出配線層61との電気的な分離を維持することができる。
また、ソース引出配線層53bがp+ソース層309の全周にわたってp+ソース層309の表面と接している。このため、p+ソース層309とソース引出配線層53bとのコンタクト面積が大きく確保でき、ソースコンタクト抵抗を小さくすることができる。
また、このソース引出配線層53bには、たとえばアルミニウムなどの抵抗の小さい材料を用いることができる。よって、低抵抗のソース引出配線層53bを通じてp+ソース層309の全周に電流を供給することができる。したがって、抵抗の比較的高いp+ソース層309を通じてp+ソース層309の全周に電流を供給する場合に比較して、抵抗を小さくすることができる。
実施の形態5
図19に示す実施の形態2におけるn−chIGBTなどの電力用デバイスを取囲む溝63の本数は必要な耐圧分だけ設ければよい。たとえば、図19に示す領域R1を、図48に示すように、2本の溝によってn−chIGBTの形成領域を取囲むような構成としてもよい。このように溝を複数本設けることによって、シリコン層に与える応力を小さくしたまま、耐圧の向上を図ることができる。以下、そのことについて詳細に説明する。
図19の領域R1を参照して、トレンチ分離の場合、溝63の側壁に形成される酸化膜65の膜厚により保持できる耐圧が決まる。このため、耐圧のことのみ考えれば、酸化膜65の膜厚は厚いほうが望ましい。しかし、シリコン酸化膜は、シリコンと熱膨張係数が大きく異なる。このため、この酸化膜65の各膜厚を厚くしすぎると、後工程の熱処理でシリコン基板内に応力が与えられることになる。
本実施の形態では、溝を複数本設けることで、素子が形成されるシリコン層に面するシリコン酸化膜65の膜厚T1とT4とを所定値に維持したまま、シリコン酸化膜65の膜厚の総和(T1+T2+T3+T4)を大きくすることができる。各素子が形成されるシリコン層に面するシリコン酸化膜65の膜厚T1とT4とが所定値に維持されるため、素子の形成されるシリコン層へ与えられる応力が増大することは抑制される。また各シリコン酸化膜65の膜厚の総和は、溝1本の場合より大きくできるため、保持できる耐圧が高くなる。このように複数本の溝63a、63bを設けることにより、シリコン層に与える応力を小さく維持したまま、耐圧の向上を図ることができる。
また、溝の平面構造は、図49に示すように環状に、すなわちコーナ部分を丸くし、かつ溝幅Wを一定にすることが望ましい。この溝63a、63bの幅Wを各部分において一定にすることによって溝内部へのポリシリコンの埋込特性を良好にすることができる。
図50は、幅の異なる2つの溝内にポリシリコン層を埋込む工程を示す断面図である。まず図50を参照して、幅の細い溝と幅の太い溝とが併存する場合に、幅の細い溝63c内をポリシリコン層67で完全に埋込むことはできても、幅の太い溝63d内を完全に埋込むことはできない場合がある。この状態で、ポリシリコン層67に全面エッチバックを施すと、図51に示すように、幅の太い溝63d内をポリシリコン層67dで充填することはできない。
このように、溝の幅Wが一定でない場合には、特に溝の幅Wが太い部分へのポリシリコン層の埋込が十分にできない場合が生ずる。このように溝内をポリシリコン層により完全に充填できない場合には、トレンチ分離耐圧を十分に確保することができなくなる。
一方、本実施の形態のごとく溝63a、63bの幅が一定の場合には、溝内へのポリシリコン層の埋込特性が良好になり、トレンチ分離耐圧を大きく確保することができる。
なお、溝63a、63bを埋込む材料としては、ポリシリコンに限らず、酸化シリコンであってもよい。この酸化シリコンを埋込む場合には、溝内を埋込むようにシリコン酸化膜を全面に堆積した後、このシリコン酸化膜を全面エッチバックすればよい。
また、溝内にのみ充填層を残す方法として、エッチバックの代わりにCMP(Chemical Mechanical Polishing )法を用いてもよい。
実施の形態6
たとえば、p−chMOSトランジスタは、図52に示すn−chIGBT130で構成されたブリッジ回路のハイサイド側のレベルシフトとして用いられる。このような用途において、p−chMOSトランジスタがオフした場合には、基板電位とn+ドレイン電位とは0Vのままで、p+ソース層の電位とゲート電極層の電位とは0から正の高電圧まで上昇する。
このような用途に用いられるp−chMOSトランジスタを含むp−ch電力用デバイスに本発明のソース・エレクトロード・サラウンド・ドレイン構造を適用した場合、n+ドレイン(コレクタ)側からソース側へ空乏層が延びるため、このソース付近に位置するトレンチ分離の溝側壁の電位は安定していない。
それゆえ、図53に示すように、p−chパワーデバイスを、トレンチ分離を介して取囲む分離領域を設け、その分離領域を、ソース電位と同電位にすることで、溝側壁の電位を安定化させることができる。具体的には、図53において、p−chIGBT領域の周囲を溝63によるトレンチ分離を介在して、高抵抗n型層5、n型層521と高濃度n型層523との積層構造よりなる分離領域が設けられている。この分離領域の高濃度n型層523と、p−chIGBTのp+ソース層309とは、同一の第1の配線層553bにより電気的に接続されている。
このような構成とすることにより、溝63側壁の電位を安定化、すなわちシールド化させることができる。本願ではこの配線層553bをシールド電極と呼ぶ。
実施の形態7
実施の形態6においてソース領域と同電位とされる分離領域5、521、523およびシールド電極553bとは、p−chの電力用デバイスに限られず、図54に示すn−chIGBTなどのn−chの電力素子に用いられてもよい。
図54を参照して、n−chIGBTの形成領域を溝63によりトレンチ分離を介在して取囲むように、高抵抗n型層5とn型層421と高濃度n型層423との積層構造よりなる分離領域が設けられている。この分離領域の高濃度n型層423とn−chIGBTのn+ソース層109とは、シールド電極453bにより同電位とされている。
このような構成とすることにより、実施の形態6と同様、溝63側壁の電位を安定化、すなわちシールド化することができる。
実施の形態8
図55は、本発明の実施の形態8に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。図55を参照して、本実施の形態では、n型貼り合せSOI基板に、横型のp−chIGBTと横型のn−chIGBTとを併存させた場合の構成が示されている。このような構成の場合には、n−chIGBTにおいて、フィールド酸化膜69の直下に、n型バッファ層103に接するように、かつn+ソース層109と所定の距離を隔てて対向するようにp-トップ層601を設けることが望ましい。
なお、これ以外の構成については、n−chIGBTについては、図19に示す構成と、またp−chIGBTについては、図45に示す構成とほぼ同じであるため、同一の部材についは同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態においては、n−chIGBTにおいて、フィールド酸化膜直下にp-トップ層601を設けたため、p−chIGBTのp- ドレイン層315とn−chIGBTのp-トップ層601とをオフ時に高電圧が印加されたときに完全に空乏化するような濃度に設定することで、図56に示すように素子耐圧を高く、しかもほぼ同じ耐圧にすることができる。
実施の形態9
図57は、本発明の実施の形態9に係る半導体装置の構成を示す鳥瞰図である。図57を参照して、n−chIGBTにおいて、n+ソース層709と、高濃度p型層717との接合部は、平面的に見て櫛状の構造を有している。
実施の形態2において、pベース抵抗がラッチアップ耐量を決める要因であることを述べた。そこで、図57に示すようにn+ソース層709と高濃度p型層717との接合部を櫛状構造にすることで、n+ソース層直下のpベース抵抗rが部分的に低くなる。つまり、n+ソース層709と高濃度p型層717との接合部が、n+ソース層709側へ突出(入り込んでいる)状態にある部分では、n+ソース層709の幅W10は、小さくなる。このようにn+ソース層709の幅W10が小さくなるため、この部分におけるpベース抵抗rが低くなる。よって、この構造をとることで、ラッチアップ耐量を向上することが可能となる。
なお、n+ソース層709の厚い幅W11部分は、ソース引出電極層とのコンタクトを確実に取るために必要である。
実施の形態10
図58は、本発明の実施の形態10に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。図58を参照して、本実施の形態は、横型n−chIGBTとCMOSトランジスタとが併存する場合を示している。本実施の形態においては、n+ソース層109と、高濃度p型層117と、p+ドレイン層101と、nMOSトランジスタのソース/ドレイン層33と、pMOSトランジスタのソース/ドレイン領域43との表面がシリサイド化されて、その各表面にシリサイド層801が形成されている。
このように、n+ソース層109の表面をシリサイド化することにより、p+ソース層109のシート抵抗値を下げることが可能となる。これにより、このシリサイド層801を通じてn+ソース層109の全周に少ない抵抗で電流を供給することが可能となる。よって、ソース引出配線層853cは、n+ソース層109の全周にわたってn+ソース層109の表面と接するように設ける必要はなく、n+ソース層109の一部表面に接していればよい。
このようにソース引出配線層813cが楕円形状をとる必要はないため、ソース引出配線層853cとドレイン引出配線層813aとが同一の絶縁層上に形成されても、これらの配線層がショートするおそれはない。
また、n型バッファ層103と、p型ベース層107と、p型ウェル層31と、n型ウェル層41とは、シリコン酸化膜よりなる絶縁層3に達するように形成されていてもよい。この場合でも、この電力用のデバイスは同じ動作をすることができる。
実施の形態11
図59と図60とは、図38と図39とで示されたグラフにおいて縦軸のドレイン電流を電流密度換算(ドレイン電流をn−chIGBTの平面占有面積で割った値)でシミュレーションした結果を示す図である。
図59と図60とを参照して、このシミュレーションの結果より、レクトアングル構造に比べてシリンドリカル構造では、同一のS−D間距離でも高いドレイン電流密度の得られることが判明した。つまり、n−chIGBTのドレインの表面形状が略真円であり、かつドレイン領域を取囲むソース領域の表面形状が略真円の環形状(環形状を規定する内周円と外周円とが略真円)の場合には、最も高いドレイン電流密度を得ることができ、それによりラッチアップ能力を向上し得る最良の構造が得られることが判明した。
以上のシミュレーションの結果より、ドレイン電流密度を高くしラッチアップ能力を向上させるためには、n−chIGBTのユニットセルの平面形状をシリンドリカル構造とし、このユニットセルをアレイとして展開した構造が考えられる。このアレイとして展開した構造の一例を実施の形態11として以下に説明する。
図61は、本発明の実施の形態11における半導体装置の構成を概略的に示す平面レイアウト図である。図61を参照して、上述したシリンドリカル構造を有する1つのユニットセルを、仮想の正六角形の平面領域内に配置することで、各ユニットセルを蜂の巣状に無駄なく敷きつめることが可能となる。この蜂の巣状の平面レイアウト構造は、言い換えれば、互いに隣り合う3つのシリンドリカル構造を有するユニットセルのp+ドレイン領域101の中心が、略正三角形Nの頂点に配置された構造である。
図62は、図61のF−F線に沿う概略断面図である。図61と図62とを参照して、本実施の形態では、ユニットセルごとに溝分離を施すのではなく、セルアレイ全体として溝分離が施されている。つまり、蜂の巣状に展開したセルアレイの外周に沿って溝63が形成されている。このため、隣り合うn−chIGBTの間には溝63が設けられておらず、高濃度p型層117が各ユニットセル間で共有されている。
また各ユニットセルのp+ドレイン領域、ゲート電極層、n+ソース領域の各々は、メタル配線など(図示せず)で互いに接続されている。
なお、これ以外の構成については、図19に示すn−chIGBTを隣り合うよう配置した構造とほぼ同様であるため、同一の部材について同一の符号を付し、その説明を省略する。
なお、たとえば図63に示すように過電流検出によるリアルタイムクランプ回路に用いられるIGBTのソースをマルチソースにして、一方のソースには抵抗をつけ、過電流が流れた場合には、過電流と抵抗との積がMOSトランジスタのしきい値電圧になるように設定することで、IGBTのゲート電極を速やかにソース電位にし、IGBTの破壊を防ぐことができる。このような用途にIGBTを用いる場合には、図61、62に示す構造に限られず、以下に示すようにユニットセルごとに溝分離が施される。
図64は、ユニットセルごとに溝分離が施された構成を示す平面レイアウト図である。また図65は、図64のG−G線に沿う概略断面図である。
図64と図65とを参照して、ユニットセルごとに溝分離が施されるため、セルアレイの外周領域のみならず、隣り合うn−chIGBTの間にも少なくとも1つの溝63が配置されることになる。ここで、各n−chIGBTに設けられるソース引出配線層53b1、53b2は、過電流検出に使用されるIGBTと使用されないIGBTとで分割されている。つまり、ソース引出配線層53b1とソース引出配線層53b2とは、互いに電気的に絶縁されている。このようにソース引出配線層53b1、53b2を分割することで、抵抗の電圧効果による電流損失を極力減らす効果がある。
なお、隣り合うn−chIGBTの各ゲート電極層21間と各p+ドレイン領域101間とは電気的に接続されている。
なお、これ以外の構成については、図61と図62とに示す構成とほぼ同様であるため、同一の部材については同一の符号を付しその説明を省略する。
実施の形態12
図66に示すようなハーフブリッジ回路はIGBT610とダイオード620とからなっている。上述のシリンドリカル構造を有するIGBTをこのハーフブリッジ回路のIGBT610に用いる場合、IGBT610として、図67に示すようにたとえば蜂の巣状に展開されたセルアレイが用いられ、ダイオード620には、図67に示すようにたとえばトラック形状のダイオードが用いられる。以下、このハーフブリッジ回路を構成するダイオードの構造および配線接続の状態について説明する。
図68は、図67に示すダイオードのH−H線に沿う概略断面図である。また図69〜図71は、IGBTとダイオードとを結ぶ配線の配置を下層から3段階に分割して示す概略平面図である。
主に図67と図68とを参照して、シリコン基板1の表面上にたとえばシリコン酸化膜よりなる絶縁層3を介在して高抵抗n型ベース層5が形成されている。この高抵抗n型ベース層5のダイオードの形成領域は、溝63よりなるトレンチ分離によって、他の素子の形成領域と電気的に分離されている。
ダイオード620は、n+カソード層621と、p+アノード層623とを有している。n+カソード層621は、高抵抗n型ベース層5に形成されたn型層625内の表面に形成されている。またp+アノード層623は、高抵抗n型ベース層5に形成されたp型層627内の表面に形成されている。
p+アノード層623は、高抵抗n型ベース層5の表面において、n+カソード層621の周囲を取囲んでおり、それによりダイオード620はトラック形状を有している。このトラック形状とは、p+アノード層623と高抵抗n型ベース層5とから構成されるpn接合が、半導体層の表面において直線状に延びる部分(図67の領域J)を多く有する構造である。
またn型層625の領域上には、絶縁層655を介して導電層637が形成されている。またp型層627と高抵抗n型ベース層5との表面上には絶縁層629を介して導電層631が形成されている。この導電層637と631とは、たとえばドープドポリシリコン層637a、631aとタングステンシリサイド層637b、631bとの2層構造を有している。また導電層637、631の各側壁には側壁酸化膜639、633が形成されている。
このダイオード形成領域上には第1の層間絶縁層51が形成されている。この第1の層間絶縁層51に設けられたコンタクトホール51j、51kを通じて各下層に電気的に接続されるように第1の配線層653a、53bが形成されている。第1の配線層53bは、アノード引出配線層である。
主に図69を参照して、アノード引出配線層53bは、たとえば楕円形状に形成されるp+アノード層623の全周にわたって、p+アノード層623の表面に接するように形成されている。このアノード引出配線層53bは、IGBTのn+ソース層に電気的に接続されるソース引出配線層53bと一体的に形成されている。つまり、ダイオードのp+アノード層623とIGBTのn+ソース層とは電気的に接続されている。
主に図68を参照して、このアノード引出配線層53bなどを覆うように第1の層間絶縁層上に第2の層間絶縁層55が形成されている。この層間絶縁層55上には、コンタクトホール55bを通じて第1配線層653aに電気的に接続される第2配線層657が形成されている。
主に図70を参照して、またIGBTの形成領域においては、第2の層間絶縁層55上に導電層57aが形成されている。この導電層57aはセルアレイを構成する各ユニットセルのゲート電極層27をコンタクトホール58を通じて電気的に接続している。
主に図68を参照して、第2配線層657および導電層57aを覆うように第2の層間絶縁層55上に第3の層間絶縁層59が形成されている。ダイオード形成領域においては、コンタクトホール57bを通じてn+ カソード層621と電気的に接続するようにカソード引出配線層61が第3の層間絶縁層59上に形成されている。
主に図71とを参照して、このカソード引出配線層61は、IGBTのp+ドレイン層101にコンタクトホール62を通じて電気的に接続されたドレイン引出配線層61と一体的に形成されている。つまり、ダイオードのn+カソード層621とIGBTのp+ドレイン層101とは電気的に接続されている。
なお、図67のG−G線に沿うIGBTの断面は、たとえば図62に示す構造が対応する。
ここで、横型ダイオードに関しては、図72と図73とに示されるように、順方向(I−V)特性は、レクトアングル構造のほうがシリンドリカル構造に比べて高いドレイン電流密度を得ることができる。この理由は以下のように説明される。
IGBTにおいては、MOSトランジスタ部分のチャネルを流れるチャネル電流によって導電率変調が決まっていた。このため、IGBTにおいてドレイン電流密度を大きくするには、IGBTの単位平面占有面積当たりにおけるチャネル面積の割合を大きくできるシリンドリカル構造がレクトアングル構造よりも有利であった。
しかし、ダイオードにはMOSトランジスタ部分はない。このため、ダイオードの平面占有面積当たりにおけるチャネル面積を大きくすべくシリンドリカル構造にする必要はない。また、シリンドリカル構造にした場合、そのシリンドリカル構造の中心に配置されるn+カソード層621とカソード引出配線層61との接触面積が小さくなる。また、p+アノード層627からn+カソード層621へ流込む電流密度は変化している。
一方、レクトアングル構造では、ダイオードのpn接合部が半導体層の表面において直線状に延在している(図67の領域J)。このため、n+カソード層621とカソード引出配線層64との接触面積は、シリンドリカル構造よりも大きくできる。また、p+アノード層627からn+カソード層621へ流込む電流密度は領域Jでは変化しない。よってシリンドリカル構造よりもレクトアングル構造のほうが、電流密度のアノード側とカソード側での差が少ない。その結果、同じオン電圧でも多くの電流を得ることができる。
以上の説明より、ダイオードは、図67に示すように、レクトアングル部分(領域Jで囲まれた部分)を多く有するトラック形状の構造のほうがシリンドリカル構造よりも有利である。
以上より、本実施の形態においては、ダイオードの平面形状をトラック形状としたため、シリンドリカル構造のダイオードを採用した場合に比べて、同じオン電圧でも電流を多くとれるハーフブリッジ回路を得ることが可能となる。
実施の形態13
実施の形態11においては、仮想の正六角形の平面領域内にシリンドリカル構造のIGBTを配置し、その正六角形を蜂の巣状に配置した構造について説明した。しかし、ユニットセルの平面外形形状は、この蜂の巣状の配置に限られず、シリンドリカル構造のIGBTを仮想の正方形の平面領域内に配置した構造であってもよい。この場合には、複数のユニットセルは、図74に示すように格子状に展開されることでセルアレイを構成することになる。この格子状の平面レイアウト構造は言い換えれば、互いに隣り合う4つのシリンドリカル構造を有するユニットセルのp+ドレイン領域101の中心が、略正方形Mの頂点に配置された構造である。
このようにユニットセルを格子状に展開した場合には、各ユニットセルのソース、ドレインもしくはゲートなどを接続する各配線を、互いに直角もしくは45°の角度で交差するように配置することが容易となる。このような角度で互いに交差する配線層を形成する場合、その配線層を形成する際の写真製版技術に用いられるフォトマスクを製作する際のデータ量は、たとえば配線層が30°もしくは60°などで交差する場合よりも少なくできる。このため、ユニットセルを図74に示すように格子状に展開した場合、電子線露光時間を短縮できるというメリットがある。
なお、上記した実施の形態11〜13においては、n−chIGBTについて説明したが、使用されている不純物の導電型をすべて反転させることで、p−chIGBTについても同様に成立し、かつ同様の効果を得ることができる。
なお、上記した実施の形態1〜13におけるトレンチ分離の溝の形状は、図75や図76に示すV溝形状や逆V溝形状であってもよい。
なお、本発明の構成はバイポーラ素子にも適用することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 シリコン基板、3 絶縁層、5 高抵抗n型ベース層、9,309 p+ソース層、11,101 p+ ドレイン層、13,313 p型バッファ層、15,315 p-ドレイン層、63 溝、103,213 n型バッファ層、109,209 n+ソース層、211,311 n+ドレイン層、30 p−chMOSトランジスタ、130 n−chIGBT、230 n−chMOSトランジスタ、330 p−chIGBT。