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JP2006152362A - 剛性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents

剛性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 Download PDF

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JP2006152362A JP2004343668A JP2004343668A JP2006152362A JP 2006152362 A JP2006152362 A JP 2006152362A JP 2004343668 A JP2004343668 A JP 2004343668A JP 2004343668 A JP2004343668 A JP 2004343668A JP 2006152362 A JP2006152362 A JP 2006152362A
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Abstract

【課題】主として自動車の車体用として用いるのに好適な、圧延直角方向の引張強度が590MPa以上、圧延直角方向のヤング率が230GPa以上および剪断弾性率が80GPa以上であるような高強度鋼板とその製造方法を提供する。
【解決手段】フェライト相を面積率で50%以上、マルテンサイト相を面積率で1〜50%有し、フェライト相の面積率とマルテンサイト相の面積率の合計が95%以上であり、かつフェライト粒の粒度番号は10以上、マルテンサイト粒の粒度番号は12以上である組織を有し、さらに、
Figure 2006152362

方位のODF解析強度f1が4以上、
Figure 2006152362

方位のODF解析強度f2が6以上であり、かつ、0.5≦f2/f1≦3.0を満たすような集合組織を有するとともに、圧延直角方向の引張強度が590MPa以上、ヤング率が230GPa以上、剪断弾性率が80GPa以上であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、主として自動車の車体用として好適な剛性に優れた高強度鋼板およびその製造方法に関する。本発明の高強度鋼板は、自動車のセンターピラー、ロッカー、サイドフレームおよびクロスメンバーなど、剛性の板厚感受性指数が1に近いコラム状あるいはそれに近い断面形状の構造用部材で、曲げ剛性や捻り剛性が必要とされる用途に広く適するものである。
近年、地球環境問題への関心の高まりを受けて、自動車でも排ガス規制が行われるなど、自動車における車体の軽量化は極めて重要な課題である。そのため、鋼板の高強度化により板厚を減少させることで、車体の軽量化を図ることは有効な方法である。一方、最近では、鋼板の高強度化が顕著に進んだ結果、板厚2.0mmを下回るような鋼板の使用が増加してきており、さらなる高強度化による軽量化のためには、薄肉化による部品剛性の低下を同時に抑制することが不可欠になってきている。鋼板の薄肉化による部品剛性低下の問題は、590MPa以上の鋼板で顕在化してきており、とくに700MPa以上の鋼板におけるこの問題は重大である。
一般に、部品の剛性を高めるには、部品形状を変更したり、スポット溶接がなされている部品に対しては、溶接点を増加するか、あるいは、レーザ溶接に切り替えるなどの溶接条件を変更することが有効である。また、必要な部分だけ板厚を厚くするためにテーラードブランク材を用いるなどの技術もある。しかし、自動車用部品として用いられる場合、自動車内の限られた空間で部品形状を変更するのは容易ではないし、また、溶接条件の変更やテーラードブランク材の使用もコストの増加を伴うなどの問題がある。
そこで、部品形状や溶接条件を変更することなく、部品の剛性を高めるには、部品に使用される部材のヤング率や剪断弾性率を高めることが有効となる。ここで、ヤング率は、部品の曲げ剛性に対応し、剪断弾性率は、部品の捻り剛性に対応する。
一般に、部品形状や溶接条件が同じ部品の曲げ剛性は、部材のヤング率と部品の断面二次モーメントの積で表され、さらに、断面二次モーメントは、材料の板厚をtとしたとき、近似的に
Figure 2006152362

に比例するとして表現できる。ここで、λEは曲げ剛性の板厚感受性指数で、部品の形状により1〜3の値をとる。
例えば、自動車のパネル部品のような一枚板の形状をとる場合は、λEは3に近い値をとり、構造部品のようなコラム状の場合には、λEは1に近い値をとる。同様に、部品形状や溶接条件が同じ部品の捻り剛性は、部材の剪断弾性率と部品の断面二次モーメントの積で表され、さらに、断面二次モーメントは、材料の板厚をtとしたとき、近似的に
Figure 2006152362

に比例するとして表現できる。
ここで、λGは捻り剛性の板厚感受性指数で、部品の形状により1〜4の値をとる。例えば、自動車のパネル部品のような一枚板の形状をとる場合は、λGは4に近い値をとり、構造部品のようなコラム状の場合には、λGは1に近い値をとる。
例えば、部品のλEが3のとき、部品の曲げ剛性を等価に保ちながら、板厚を10%小さくするには、部材のヤング率を37%向上させる必要があるが、部品のλEが1のときは、板厚を10%小さくするのに、ヤング率は11%だけ向上させればよいことになる。捻り剛性も同様である。すなわち、コラム部品のように、λEやλGが1に近い部品の場合、軽量化のために鋼板自体のヤング率や剪断弾性率を高めることは非常に有効である。そして、圧延直角方向に対して平行に剪断、板取りを行い、部品を成形する場合において、とくに、圧延直角方向のヤング率、剪断弾性率が高い高強度鋼板が強く望まれている。
一般にヤング率は、集合組織に大きく支配され、体心立方格子である鋼の場合は、原子の最稠密方向である<111>方向に応力が働く場合に最も高く、逆に原子密度の小さい<100>方向に応力が働く場合に最も小さいことが知られている。剪断弾性率も同様に、<111>方向に剪断応力が働く場合に最も高く、<100>方向に剪断応力が働く場合に最も小さくなる。
ここで、ある方向に鋼板を長く切り出した場合に、長手方向に曲げ荷重が働く場合の曲げ剛性、および、長手方向を軸として捻り荷重が働く場合の捻り剛性を考える。曲げ剛性の場合は、切り出し方向と曲げ荷重が働く方向が同じであることから、切り出し方向に原子密度を高くすれば、その方向のヤング率が高く、切り出された鋼板の曲げ剛性も大きくなることがわかる。なお、一方向の圧延により製造される鋼板の切り出し方向については、圧延方向あるいは圧延直角方向とすることが、材料の歩留まりの点から有利である。さらに、切り出しの手間を考慮すれば、鋼板の圧延幅を部品の長さにして、圧延直角方向に切り出していくのが便利である。
したがって、圧延直角方向のヤング率を高めるには、いくつかの方位の発達が考えられるが、ロールによる圧延と熱処理からなる鉄鋼プロセスでは、{112}<110>を発達させることが有効である。一方、稔り剛性に関しては、切り出し方向と捻り荷重が働く方向は一致しないことから、切り出し方向に原子密度を高くしても、その方向の剪断弾性率は高くならない。したがって、その方向の剪断弾性率および捻り剛性を高めるには、捻り荷重の働く方向に原子密度を高くする必要が生じる。
従来より、ヤング率に関しては、集合組織を制御することでヤング率を高めた鋼板の検討が種々なされてきている。
例えば、特許文献1には、極低炭素鋼にNbあるいはTiを添加した鋼を用い、熱間圧延工程において、Ar3〜(Ar3+150℃)での圧下率を85%以上とし、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進することで、熱延板段階でのフェライトの集合組織を{311}<011>および{332}<113>とし、これを初期方位として冷延、再結晶焼鈍を施すことで、{211}<011>を主方位とし、圧延方向と直角方向のヤング率を高める技術が開示されている。
また、特許文献2には、C量が0.02〜0.15%の低炭素鋼にNb、Mo、Bを添加し、Ar3〜950℃での圧下率を50%以上とすることで、{211}<011>を発達させ、ヤング率を高めた熱延鋼板の製造方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、C量が0.05%以下の低炭素鋼にSiとAlを添加してAr3変態点を高めることで、熱間圧延において、Ar3変態点以下での圧下率を60%以上とし、それにより{111}<112>を発達させることで、圧延方向と直角方向のヤング率を高めた熱延鋼板の製造方法が開示されている。
さらにまた、特許文献4には、C量が0.05〜0.25%で、フェライトとマルテンサイトの2相からなり、降伏比が0.50以下である鋼において、鋼中に固溶Cを残存させることにより、焼付硬化後のYPが大きく上昇することを利用して、部品剛性が確保できるという方法が開示されている。
特開平5−255804号公報 特開平8−311541号公報 特開平9−53118号公報 特開平11−350063号公報
しかし、前述の技術ではつぎのような問題があった。すなわち、特許文献1に開示されている技術では、C量が0.01%以下の極低炭素鋼を用いることで、集合組織を制御し、鋼板のヤング率を高めているが、引張強度がせいぜい450MPa程度と低く、この技術の適用により高強度化を図るには問題があった。
一方、特許文献2に開示されている技術では、C量が0.02〜0.15%と高く、高強度化は可能であるが、対象とする鋼板が熱延鋼板であるために、冷間加工による集合組織制御を利用することができず、一層の高ヤング率化は困難であるほか、板厚が2mmを下回るような高強度鋼板を低温仕上圧延により安定的に製造することも難しいという問題があった。特に、C量を0.02%以上と高めて高強度化をねらった冷延鋼板では、高ヤング率を達成できる技術がなかった。
さらに特許文献3に開示されている技術では、フェライト域での圧延を行うことで、結晶粒が粗大化してしまい、高強度化することが困難であるとともに加工性が著しく低下するという問題もあった。
また、特許文献4では、もともとプレス時の形状凍結性を重視し、極端にYPが低いことから、焼付硬化による高YP化で剛性が確保できるとしたものであり、高剛性化には至っていなかった。
このように、従来技術では、高ヤング率化に関しては、板厚の大きい熱延鋼板や、軟質鋼板を対象にしたものであり、従来技術を用いて、板厚の小さい高強度鋼板、特に高強度冷延鋼板を高ヤング率化することは困難であった。さらに、高ヤング率化に特化した従来の高強度鋼板の場合には、一方で剪断弾性率の大幅な低下を招く傾向があることを新たに知見し、このような部材は主に曲げ荷重が作用する部品には適用できるが、捻り荷重が作用する場合には適用できず、部材としての適用範囲が著しく狭くなるといった問題もあった。
本発明は、前記課題を解決した圧延直角方向の引張強度が590MPa以上と高強度で、より好ましくは引張強度が700MPa以上と高強度で、かつ、圧延直角方向のヤング率が230GPa以上、剪断弾性率が80GPa以上であるような高強度鋼板とその製造方法を提供することを目的とする。
この発明は、上述した問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果なされた。なお、本発明により、鋼板のヤング率および剪断弾性率を高めることができるメカニズムは、本発明を規定するものではないが、つぎのように考えられる。
すなわち、ヤング率、剪断弾性率とも、集合組織に大きく支配され、体心立方格子である鋼の場合は、原子の最稠密方向である<111>方向に応力が働く場合に最も高く、逆に原子密度の最も小さい<100>方向に応力が働く場合に最も小さいことが知られている。
ここで、圧延直角方向に対して平行に切り出した鋼板に曲げ荷重が働く場合には、応力が働く方向は鋼板を切り出した方向と等しくなるのに対し、捻り荷重が働く場合は、応力が働く方向と鋼板を切り出した方向は一致しない。
したがって、ロールによる圧延と熱処理からなる鉄鋼プロセスにおいて、圧延直角方向のヤング率を高めるには、{112}<110>方位を発達させることが有効となるが、一方で、{112}<110>方位は剪断弾性率を大きく低下させる傾向がある。
そこで、{111}<112>方位を大きく発達させることが、剪断弾性率の低下抑制に大きな効果をもつ。さらに、フェライト、マルテンサイト相の微細化により{112}<110>および{111}<112>方位をもつ結晶粒を微細分散させることで、実質的に{112}<110>および{lll}<112>方位の影響をより大きくすることができる。
すなわち、Mn、Nbを添加した鋼を、熱間圧延において、920℃以下での総圧下量を30%以上とし、かつ800〜900℃で最終仕上圧延を終了することで、{112}<111>および{110}<112>の結晶方位からなる未再結晶のオーステナイト組織を増加させるとともに、その後、700℃までを10℃/s以上の冷却速度で冷却し、{112}<111>、{110}<112>の未再結晶オーステナイトからフェライト変態を促進させることで、{113}<110>、{332}<113>のフェライト方位を発達させることができる。
さらに、650℃以下で巻取り、次いで、冷間圧延を40〜80%の圧下率で行うことで、{113}<110>、{110}<112>の結晶方位をそれぞれ{l12}<110>、{111}<112>に回転させ、その後の焼鈍工程における昇温過程において、500〜750℃までを平均1℃/s以上の昇温速度で加熱することで、昇温途中のフェライトの再結晶を抑制し、さらに、750〜870℃の均熱温度域で300s以下の保持を行うことで、未再結晶フェライト相から変態に伴う歪を小さくする方位の優先選択であるバリアント選択によるオーステナイト変態を促進しつつ、オーステナイトの粒成長を抑制し、さらに、750℃から650℃までの温度域を20℃/sおよび(40−5×Mn)℃/sのうち大きい値の速度以上で冷却することで、オーステナイト相からのバリアント選択によるフェライト変態を促進する。このように、バリアント選択を主体としたオーステナイト変態、フェライト変態、および、それぞれの変態後の粒成長を抑制することで、冷間圧延により増加させた{112}<110>、{lll}<112>方位を、焼鈍後に微細な{112}<110>、{lll}<112>方位をもつ結晶粒として多くを存在させることができる。
なお、本発明が対象とする鋼板の中には、冷延鋼板の他に、合金化を含む溶融亜鉛めっき材や電気亜鉛めっき材などの表面処理を施した鋼板も含む。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)フェライト相を面積率で50%以上、マルテンサイト相を面積率で1〜50%有し、フェライト相の面積率とマルテンサイト相の面積率の合計が95%以上であり、かつフェライト粒の粒度番号は10以上、マルテンサイト粒の粒度番号は12以上である組織を有し、さらに、
Figure 2006152362

方位のODF解析強度f1が4以上、
Figure 2006152362

方位のODF解析強度f2が6以上であり、かつ、0.5≦f2/f1≦3.0を満たすような集合組織を有するとともに、圧延直角方向の引張強度が590MPa以上、ヤング率が230GPa以上、剪断弾性率が80GPa以上であることを特徴とする剛性に優れた高強度鋼板。
(2)化学成分として、質量%でC:0.02〜0.20%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:1.5%以下、N:0.01%以下およびNb:0.01〜0.30%を含有し、かつ、Nb−(92.9/14)×N≧0.01なる関係、および、0.01≦C+(12/14)×N−(12/92.9)×Nb≦0.15なる関係(ただし、式中の元素記号は各々の元素の含有量(質量%))を満たし、残部は実質的に鉄および不可避的不純物からなる組成を有する、上記(1)に記載の高強度鋼板。
(3)化学成分として、質量%でC:0.02〜0.20%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:1.5%以下、N:0.01%以下およびNb:0.01〜0.30%を含有するとともに、Ti:0.01〜0.20%およびV:0.01〜0.20%のいずれか1種以上を含有し、かつ、下記で定義する、N*に対してNb−(92.9/14)×N*≧0.01なる関係およびTi*に対して0.01≦C+(12/14)×N*−(12/92.9)×Nb−(12/47.9)×Ti*−(12/50.9)×V≦0.15なる関係を満たし、残部は実質的に鉄および不可避的不純物からなる組成を有する上記(1)に記載の高強度鋼板。

ここでN−(14/47.9)×Ti>0のとき、N*=N−(14/47.9)×Ti、N−(14/47.9)×Ti≦0のとき、N*=0、さらに、Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S>0のとき、Ti*=Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S、Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S≦0のとき、Ti*=0、ただし、式中の元素記号は各々の元素の含有量(質量%)とする。
(4)化学成分として、質量%でC:0.02〜0.20%、Si:1.5%以下、Mn:0.5〜3.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:1.5%以下、N:0.01%以下およびNb:0.01〜0.30%を含有し、さらにCr:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%およびB:0.0005〜0.0030%のいずれか1種以上を含有し、かつ、Nb−(92.9/14)×N≧0.01なる関係、0.01≦C+(12/14)×N−(12/92.9)×Nb≦0.15なる関係および、Mn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)≧1.0なる関係(ただし、式中の元素記号は各々の元素の含有量(質量%))を満たし、残部は実質的に鉄および不可避的不純物からなる組成を有する、上記(1)に記載の高強度鋼板。
(5)化学成分として、質量%でC:0.02〜0.20%、Si:1.5%以下、Mn:0.5〜3.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:1.5%以下、N:0.01%以下およびNb:0.01〜0.30%を含有するとともに、Ti:0.01〜0.20%およびV:0.01〜0.20%のいずれか1種以上を含有し、さらにCr:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%およびB:0.0005〜0.0030%のいずれか1種以上を含有し、かつ、Mn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)≧1.0(ただし、式中の元素記号は各々の元素の含有量(質量%))なる関係、および下記で定義する、N*に対してNb−(92.9/14)×N*≧0.01なる関係およびTi*に対して0.01≦C+(12/14)×N*−(12/92.9)×Nb−(12/47.9)×Ti*−(12/50.9)×V≦0.15なる関係を満たし、残部は実質的に鉄および不可避的不純物からなる組成を有する上記(1)に記載の高強度鋼板。

ここでN−(14/47.9)×Ti>0のとき、N*=N−(14/47.9)×Ti、N−(14/47.9)×Ti≦0のとき、N*=0、さらに、Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S>0のとき、Ti*=Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S、Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S≦0のとき、Ti*=0、ただし、式中の元素記号は各々の元素の含有量(質量%)とする。
(6)化学成分として、さらにCu:0.1〜2.0質量%を含有する、上記(2)、(3)、(4)または(5)に記載の高強度鋼板。
(7)化学成分として、さらにW:0.1〜2.0質量%を含有する、上記(2)〜(6)のいずれか1項に記載の高強度鋼板。
(8)上記(2)〜(7)のいずれか1項に記載の高強度鋼板の組成と同一の組成からなる鋼スラブを、熱間圧延工程において、920℃以下での総圧下量を30%以上とし、かつ800〜900℃で最終仕上圧延を終了する仕上げ圧延を施し、その後、700℃までの平均冷却速度を10℃/s以上として冷却したのち、650℃以下で巻取り、次いで、40〜80%の圧下率で冷間圧延を行い、その後の焼鈍工程において、750〜870℃の均熱温度域まで昇温するにあたり、500〜750℃の温度域を平均速度:1℃/s以上で昇温し、該均熱温度域にて300s以下の保持を行ったのち、750℃から650℃までの温度域を20℃/sおよび(40−5×(Mn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)))℃/sのうち大きい値の速度以上で冷却することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の剛性に優れた高強度鋼板の製造方法。
本発明は、低炭素鋼にMn、Nbを添加した鋼スラブを、熱間圧延における、800〜900℃での圧延終了とその後の急冷で、未結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進し、さらに冷間圧延を行うことで、ヤング率、剪断弾性率の向上に有利な結晶方位を発達させ、その後の焼鈍工程における未再結晶フェライトからのオーステナイト変態と、均熱後の急冷による低温域でのフェライト変態による、バリアント選択を主体とした変態を促進することで、ヤング率および剪断弾性率の向上に有利な方位の結晶粒を冷間圧延後に生成させ、しかも、変態後も結晶粒を微細に存在させることができることで、高強度鋼板のヤング率と剪断弾性率を両立させることができ、工業上有効な効果をもたらす。
本発明の高強度鋼板は、圧延直角方向の引張強度が590MPa以上、ヤング率が230GPa以上、剪断弾性率が80GPa以上の高強度鋼板である。なお、本発明では、鋼板の板厚を特に限定せず、板厚が2.0mm未満のような板厚が薄い鋼板(薄鋼板)であっても、あるいは、板厚が2.0mm以上のような板厚が厚い鋼板(厚鋼板)であってもよい。
次に、本発明の高強度鋼板の組織集合組織について説明する。
本発明の高強度鋼板は、フェライト相を面積率で50%以上、マルテンサイト相を面積率で1〜50%有し、フェライト相の面積率とマルテンサイト相の面積率の合計が95%以上であり、かつフェライト粒の粒度番号は10以上、マルテンサイト粒の粒度番号は12以上である組織を有し、さらに、
Figure 2006152362

方位のODF解析強度f1が4以上、
Figure 2006152362

方位のODF解析強度f2が6以上であり、かつ、0.5≦f2/f1≦3.0を満たすような集合組織を有する。
(i)フェライト相を面積率で50%以上、マルテンサイト相を面積率で1〜50%有し、フェライト相の面積率とマルテンサイト相の面積率の合計が95%以上である組織を有すること
ヤング率および剪断弾性率を向上させるため、歪みのないフェライト相を多くする必要がある。この効果を得るには、フェライト相の面積率を50%以上とする必要がある。さらに、高強度鋼板としての強度を確保するためには、必要とされる強度に応じてマルテンサイト相を増加させる必要がある。このマルテンサイト相による高強度化の効果を得るには、マルテンサイト相の面積率を1%以上とする必要がある。また、上記フェライト相を得るためマルテンサイト相の上限は50%であるが、より好ましくは、30%である。パーライト相、ベイナイト相および残留オーステナイト相などのフェライト相およびマルテンサイト相以外のその他の相は極力少ないことが望ましいが、面積率で5%以下であれば問題ない。すなわち、フェライト相の面積率とマルテンサイト相の面積率の合計が95%以上であれば問題ない。なお、高強度化するためには、マルテンサイト相の面積率は高い程好ましく、例えばTS≧700MPaとするには、マルテンサイト相の面積率を16%以上とすることが好ましい。
(ii)フェライト粒の粒度番号は10以上、マルテンサイト粒の粒度番号は12以上である組織を有すること
フェライト相とマルテンサイト相の結晶粒を微細化することで、高ヤング率化、高剪断弾性率化に有利な方位を発達させた集合組織において、これらの方位をもつ結晶粒を微細に分散せることができ、これにより、高ヤング率化、高剪断弾性率化に不利な方位が存在しても、すぐ近傍にこれら有利な方位が存在することで、不利な方位の影響が小さくなり、実質的に有利な方位の影響を大きくすることができる。
したがって、結晶粒を微細化することで、高ヤング率化と高剪断弾性率化の双方に寄与することができる。さらに、粒内に歪みのあるマルテンサイト粒のサイズが大きい場合、その影響が顕著になり、ヤング率および剪断弾性率がともに低下してしまう傾向があることから、マルテンサイト粒はより細かく分散させる必要ある。
そのため、フェライト粒のサイズは粒度番号で10以上、マルテンサイト粒のサイズは粒度番号で12以上とする必要があり、より好ましくはフェライト粒のサイズを12以上、マルテンサイト粒のサイズを13以上とする。
ここで、フェライト粒度番号(Nf)は、鋼板の圧延方向の板厚断面すなわち鋼板の圧延方向と板厚方向を含む断面における板厚1/4位置で観察した組織をもとに、画像処理により、フェライト相の断面積とフェライト粒の数を測定し、JIS G 0551の表1の備考に示されている関係式を用い、フェライト相が1mmあたりのフェライト粒の数をafとしたとき、
Nf={1n(af)/1n(2)}−3 の式より算出した。
また、マルテンサイト粒度番号(Nm)も、上記フェライト粒度番号の測定と同様に、画像処理により、マルテンサイト相の断面積とマルテンサイト粒の数を測定し、マルテンサイト相が1mmあたりのマルテンサイト粒の数をamとしたとき、
Nm={1n(am)/1n(2)}−3 の式より算出した。
(iii)
Figure 2006152362

方位のODF解析強度f1が4以上、
Figure 2006152362

方位のODF解析強度f2が6以上であり、かつ、0.5≦f2/f1≦3.0を満たすような集合組織を有すること
圧延直角方向に対して平行に板を採取した鋼板の高ヤング率化には、{112}<110>方位を発達させることが、高剪断弾性率化には、{111}<112>方位を発達させる必要がある。一方、{112}<110>方位は剪断弾性率を小さくしてしまう方位でもあることから、高くなり過ぎない必要もある。したがって、集合組織のODF解析強度として
Figure 2006152362

方位の強度f1を4以上、
Figure 2006152362

方位の強度f2を6以上とするとともに、f2/f1≦3.0とする必要がある。一方、{111}<112>方位が、{112}<110>方位に対して高くなると、{111}<112>方位の影響が支配的となり、ヤング率が低下してしまう。したがって、f2/f1≧0.5とする必要がある。
図1は、フェライト粒の粒度番号が10以上、マルテンサイト粒の粒度番号が12以上である種々の鋼について、ヤング率および剪断弾性率におよぼす集合組織の影響を示したものである。図1から、
Figure 2006152362

方位のODF解析強度f1が4以上、
Figure 2006152362

方位のODF解析強度f2が6以上であり、かつ、0.5≦f2/f1≦3.0を満たすような集合組織を有する本発明鋼は、いずれもヤング率が230GPa以上、剪断弾性率が80GPa以上であることわかる。
ここでODF解析強度とは、例えばInternational Materials Reviews 1990 V.135 No.1 P1に示されるようにODF(Orientation Distribution Function)として広く一般に用いられる値であり、集合組織の表示法としてBunge法を用いた場合、関数fとして示されるものである。
ここでODF解析強度は、具体的にはシュルツ法により(110)、(200)、(211)極点図を求めたのち、ADC法によりODF解析を行い、Bunge法におけるφ2=45°断面上の
Figure 2006152362

方位の解析強度f1、および、
Figure 2006152362

方位の解析強度f2を求めた。
本発明の高強度鋼板は、上記組織および集合組織を有することを必須の構成し、鋼板中の化学成分については特に限定はしないが、好適な化学成分について以下で説明する。なお、元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り、単に「%」で示す。
C:0.02〜0.20%
Cはオーステナイトを安定化させる元素であり、冷間圧延後の焼鈍時における冷却過程において、焼入れ性を高め、低温変態相の生成を大きく促進することで、高強度化に大きく寄与することができる。この効果を得るため、Cの含有量は0.02%以上とする必要がある。
一方、C量が大きくなると、硬質な低温変態相の分率が大きくなり、鋼が極端に高強度化するとともに、加工性が劣化してしまう。また、多量のC添加は、冷間圧延において、高ヤング率化、高剪断弾性率化に有利な方位の発達を抑制してしまう。さらに、多量のC添加は、溶接性の劣化も招く。そのため、Cの含有量は0.20%以下とする必要がある。C量が高いほど、熱間圧延工程における仕上圧延において、{112}<111>および{110}<112>の結晶方位からなる未再結晶のオーステナイト組織を増加させることで、高ヤング率化、高剪断弾性率化に寄与できる。さらに、700MPa以上の強度を得るためにも、Cの含有量は0.07%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.11%以上である。
Si:1.5%以下
Siは、Ar3変態点を上昇させることから、多量にSiを添加した場合には、熱間圧延において800〜900℃で仕上圧延を終了するにあたり、オーステナイト域で圧延を終了することが困難となり、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態により得られる高ヤング率化、高剪断弾性率化に有利な結晶方位が得られなくなる。また、多量のSi添加は、鋼板の溶接性を劣化させるとともに、熱間圧延工程での加熱時においては、スラブ表面においてファイヤライトの生成を促進することで、いわゆる赤スケールと呼ばれる表面模様の発生を助長する。さらに冷延鋼板として使用される場合には、表面に生成するSi酸化物が化成処理性を劣化させ、溶融亜鉛めっき鋼板として使用される場合には、表面に生成するSi酸化物が不めっきを誘発する。
したがって、Siの含有量は1.5%以下に制限する必要があり、表面性状を必要とする鋼板や溶融亜鉛めっき鋼板の場合には、0.5%以下とすることが好ましい。一方、Siは固溶強化元素として高強度化に寄与する元素であり、必要に応じて添加して鋼の強度を高めることができる。さらに、Siはフェライトを安定化させる元素であることから、冷間圧延後の焼鈍工程における均熱後の冷却過程において、フェライト変態を促進する一方、末変態のオーステナイト中にCを濃化することで、低温変態相の生成を促進し、鋼の強度を高めることができる。このような高強度化の効果を得るためには、0.2%以上含有させることが望ましい。
Mn:1.0〜3.5%、但し、Cr、Ni、MoおよびBのいずれか1種以上を含有する場合には、
Mn:0.5〜3.5%でかつMn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)≧1.0(ただし、式中の元素記号は各々の元素の含有量(質量%))
Mnは本発明の重要な元素の1つである。Mnは熱間圧延時において、加工オーステナイトの再結晶を抑制することで、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進し、その結果、{113}<110>、{332}<113>方位のフェライト組織を熱延板段階で発達させることができる。さらに、冷間圧延後の焼鈍工程における昇温過程において、Mnはフェライトの再結晶を抑制するとともに、オーステナイト安定化元素でもあることから、Ac1変態点を低下させることで、未再結晶フェライトからのオーステナイト変態を促進する効果も有する。また、均熱後の冷却過程においても高温域でのフェライト変態を抑制し、低温でのバリアント選択によるフェライト変態の促進と細粒化に作用する効果も有する。
以上のような作用を通して、Mnは、高ヤング率化、高剪断弾性率化に大きく寄与することのできる元素である。さらにMnは、焼鈍工程における均熱焼鈍後の冷却過程においては、焼入れ性を高め、低温変態相の生成を大きく促進することで、高強度化に大きく寄与することもできる。そして、固溶強化元素として作用することでも、鋼の高強度化に寄与することもできる。このような効果を得るためには、Mnの含有量を1.0%以上とする必要があり、より好ましくは2.0%以上とする。また、焼き入れ性を高める元素であるCr、Ni、MoおよびBのいずれか1種以上が添加される場合には、Mn含有量の下限を上記した1.0%に代えて0.5%とすることができる。ただし、この場合、0.5%以上のMn添加量に加えて、Mn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)≧1.0を満たす必要があり、より好ましくはMn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)≧2.0である。Mn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)は、オーステナイトおよびフェライトの再結晶抑制および焼入れ性をあらわすパラメータであり、このパラメータが1.0未満あるいはMnが0.5%未満だと、ヤング率、剪断弾性率、さらに強度が低下するという問題が生じるので好ましくない。
一方、多量のMn添加は、熱間圧延時および冷間圧延時における圧延荷重が著しく増大することで操業上の困難が伴う。さらに、多量のMn添加は鋼板の溶接性も劣化させてしまう。したがって、Mn含有量は3.5%以下とする必要がある。
P:0.05%以下
Pは粒界に偏析して、鋼板の延性、靭性を低下させるとともに、溶接性も劣化させる。また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板として使用される場合には、Pにより合金化速度が遅滞してしまう。したがって、Pの含有量は0.05%以下に制限する必要がある。一方、Pは固溶強化元素として高強度化に有効な元素であり、また、フェライト安定化元素として、オーステナイト中へのC濃化を促進する作用も有する。さらにSiを添加した鋼においては赤スケールの発生を抑制する作用も有する。このような作用を得るためにはPは0.01%以上含有させることが好ましい。
S:0.01%以下
Sは、熱間での延性を著しく低下させることで、熱間割れを誘発し、表面性状を著しく劣化させる。さらに、Sは、強度にほとんど寄与しないばかりか、不純物元素として粗大なMnSを形成することにより、延性、穴広げ性を低下させる。また、Tiを添加した場合には、粗大なTiSを形成することで、Ti添加の効果を低減させてしまう。これらの問題はS含有量が0.01%を超えると顕著となり、極力低減することが望ましい。したがって、S含有量は0.01%以下に制限する必要がある。さらに、穴広げ性をとくに向上させる観点からは、0.005%以下とすることが好ましい。
Al:1.5%以下
AlはAr3変態点を上昇させることから、多量にAlを添加した場合には、熱間圧延において800〜900℃で仕上圧延を終了するにあたり、オーステナイト域で圧延を終了することが困難となり、末再結晶オーステナイトからのフェライト変態により得られる高ヤング率化、高剪断弾性率化に有利な結晶方位が得られなくなる。したがってAlの含有量は1.5%以下に制限する必要がある。一方、Alはフェライトを安定化させる元素であることから、冷間圧延後の焼鈍工程における均熱後の冷却過程において、フェライト変態を促進する一方、未変態のオーステナイト中にCを濃化することで、低温変態相の生成を促進し、鋼の強度を高めることができる。そのため、必要に応じて鋼の強度を高めることができ、このような効果を得るためには、Alは0.2%以上含有させることが望ましい。
N:0.01%以下
Nは多量に含有すると、熱間圧延中にスラブ割れを伴い、表面疵が発生する恐れがある。また、粗大なNbNやNb(CN)を形成することで、Nb添加の効果を低減してしまう。Tiを添加した場合には、粗大なTiNを形成することで、Ti添加の効果を低減してしまう。したがって、N量は0.01%以下に制限する必要がある。
Nb:0.01〜0.30%でかつNb−(92.9/14)×N≧0.01なる関係、および、0.01≦C+(12/14)×N−(12/92.9)×Nb≦0.15(ただし、式中の元素記号は各々の元素の含有量(質量%))なる関係を満たすこと
Nbは、本発明における最も重要な元素である。すなわち、Nbは熱間圧延における仕上圧延工程において、加工されたオーステナイトの再結晶を抑制することで、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進し、その結果、{113}<110>、{332}<113>方位のフェライト組織を微細に熱延板段階で発達させることができる。また、冷間圧延後の焼鈍工程における昇温過程において、加工フェライトの再結晶を抑制することで、未再結晶フェライトからのオーステナイト変態を促進することができる。これらの作用を通して、Nbは高ヤング率化、高剪断弾性率化に大きく寄与することができる元素である。さらに、Nbの微細な炭窒化物は、強度上昇に寄与することもできる。このような作用を有するには、Nbの含有量を0.01%以上とする必要がある。一方、多量のNbを添加しても、通常の熱延工程における再加熱時においては、炭窒化物は全固溶することができず、粗大な炭窒化物が残るため、熱間圧延工程における加工オーステナイトの再結晶抑制効果や、冷間圧延後の焼鈍工程における加工フェライトの再結晶抑制効果を得ることはできない。また、連続鋳造からスラブを一旦冷却したのち再加熱を行う工程を経ることなく、連続鋳造後、そのまま熱間圧延を開始する場合においても、Nbの含有量が0.30%を超えた分の再結晶抑制効果の寄与分は小さく、そのうえ、合金コストの増加も招いてしまう。さらに、多量のNbは熱間圧延時および冷間圧延時における圧延荷重が著しく増大することで操業上の困難が伴う。したがって、Nb含有量は0.30%以下とする必要がある。
また、Nが含有される場合には、NはNbを粗大なNbNやNb(CN)として固定してしまうことから、粗大な析出物で固定されたNbは、高ヤング率化、高剪断弾性率化、高強度化の効果がなくなってしまう。したがって、Nbの含有量は、Nの含有量に応じてNb−(92.9/14)×N≧0.01の関係を満たす必要がある。
炭化物として固定されないCが多量に存在すると、冷間圧延時の歪みの導入が不均一となり、高ヤング率化、高剪断弾性率化に有利な集合組織の発達が抑制されることから、炭化物として固定されないC量であるC+(12/14)×N−(12/92.9)×Nbの量は0.15%以下とする必要がある。
一方、炭化物として固定されないCが少ないと、焼鈍時のマルテンサイト相の生成が抑制されることで、鋼の高強度化が困難になる。したがって、炭化物として固定されないC量であるC+(12/14)×N−(12/92.9)×Nbの量は0.01%以上とする必要がある。
なお、これらの手段において「残部が実質的に鉄および不可避的不純物からなる」とは、本発明の作用・効果を損なわない限り、不可避的不純物をはじめ、他の微量元素を含有する場合も本発明の範囲に含まれることを意味する。ここで、不可避的不純物元素としては、例えばSb、Sn、Zn、Co等が挙げられ、これらの含有量の許容範囲としては、Sb:0.01%以下、Sn:0.1%以下、Zn:0.01%以下、Co:0.1%以下である。また、その他の微量元素としては、例えばCa、REM等が挙げられ、これらの元素は、硫化物系介在物の形態を制御することで鋼板の伸びフランジ性向上に寄与する。したがって、特に限定はしないが、この効果を得るためには、Ca、REMのうち1種以上を含み、これらの含有量の合計を0.001%以上とするのが好ましい。またCa、REMの含有量の合計が0.01%を超えると効果が飽和することから、これらの含有量の合計は0.01%以下とするのが好ましく、より好ましくは、0.005%以下である。また、さらに剛性や強度を向上させる場合には上記化学成分の規定に加え、必要に応じて下記の成分を1種類以上添加してもよい。
Ti:0.01〜0.20%
Tiは、微細な炭窒化物を形成することで、強度上昇に寄与することができる。また、熱間圧延における仕上圧延工程においては、加工されたオーステナイトの再結晶を抑制することで、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進するとともに、冷間圧延後の焼鈍工程における昇温過程においては、加工フェライトの再結晶を抑制することで、未再結晶フェライトからのオーステナイト変態を促進することができる。これらの作用を通して、Tiは高ヤング率化、高剪断弾性率化に大きく寄与することができる元素である。このような作用を有するために、Tiの含有量を0.01%以上とすることが好ましい。
一方、多量のTiを添加しても、通常の熱延工程における再加熱時においては、炭窒化物は全固溶することができず、粗大な炭窒化物が残るため、強度上昇効果や再結晶抑制効果を得ることができない。また、連続鋳造からスラブを一旦冷却したのち再加熱を行う工程を経ることなく、連続鋳造後、そのまま熱間圧延を開始する場合においても、Tiの含有量が0.20%を超えた分の強度上昇効果、および、再結晶抑制効果の寄与分は小さく、そのうえ、合金コストの増加も招いてしまう。したがって、Ti含有量は0.20%以下とすることが好ましい。
さらに、Nが含有される場合には、NbNやNb(CN)よりも優先的にTiNが粗大析出することから、上記式:Nb−(92.9/14)×N≧0.01の代わりに、以下に定義されるN*に対して、Nb−(92.9/14)×N*≧0.01の関係を満たす必要がある。ここでN*は、N−(14/47.9)×Ti>0のときN*=N−(14/47.9)×Tiであり、N−(14/47.9)×Ti≦0のときN*=0である。
V:0.01〜0.20%
Vは、微細な炭窒化物を形成することで、強度上昇に寄与することができる。このような作用を有するために、Vの添加量を0.01%以上とすることが好ましい。一方、多量のVを添加しても、0.20%を超えた分の強度上昇効果は小さく、そのうえ、合金コストの増加も招いてしまう。したがって、Vの添加量は0.20%以下とすることが好ましい。
さらに、TiあるいはVのいずれか1種以上が添加される場合には、Ti,VはNbと同様に炭化物を形成し、さらにTiは硫化物も形成することから、上記式:0.01≦C+(12/14)×N−(12/92.9)×Nb≦0.15の代わりに、以下に定義するN*、Ti*に対して、0.01≦C+(12/14)×N*−(12/92.9)×Nb−(12/47.9)×Ti*−(12/50.9)×V≦0.15なる関係を満たす必要がある。ここでN*は、N−(14/47.9)×Ti>0のときN*=N−(14/47.9)×Tiであり、N−(14/47.9)×TI≦0のときN*=0である。またTi*は、Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S>0のとき、Ti*=Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×Sであり、Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S≦0のとき、Ti*=0である。
なお、鋼板の高強度化を図る上では、C+(12/14)×N−(12/92.9)×Nb量、あるいは、C+(12/14)×N*−(12/92.9)×Nb−(12/47.9)×Ti*−(12/50.9)Vの値は、0.03以上が好ましく、より好ましくは0.06以上である。
Cr:0.05〜1.0%
Crは、セメンタイトの生成を抑制することで、焼入れ性を高める元素であり、焼鈍工程における均熱後の冷却過程において、低温変態相の生成を大きく促進することで、高強度化に大きく寄与することができる。また、熱間圧延工程において、加工オーステナイトの再結晶を抑制することで、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進し、{113}<110>、{332}<113>方位を熱延板段階で発達させることができる。さらに、均熱後の冷却過程においても高温域でのフェライト変態を抑制し、低温でのバリアント選択によるフェライト変態を促進することができ、ヤング率と剪断弾性率の双方を向上させることができる。このような効果を得るには、Crを0.05%以上含有させることが好ましい。一方、多量にCrを添加しても効果が飽和するだけでなく、合金コストが増加することから、Crは1.0%以下で含有させることが好ましく、さらに、溶融亜鉛めっき鋼板として使用される場合には、表面に生成するCrの酸化物が不めっきを誘発してしまうので、0.5%以下で含有させることが好ましい。
Ni:0.05〜1.0%
Niは、オーステナイトを安定化することで焼入れ性を高める元素であり、焼鈍工程における均熱後の冷却過程において、低温変態相の生成を大きく促進することで、高強度化に大きく寄与することができる。またNiは、熱間圧延時において、加工オーステナイトの再結晶を抑制し、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進することで、{113}<110>、{332}<113>方位を熱延板段階で発達させることができる。さらに、オーステナイト安定化元素であるNiは、冷間圧延後の焼鈍工程における昇温過程において、Ac1変態点を低下させ、未再結晶フェライトからのオーステナイト変態を促進する効果を有する。また、均熱後の冷却過程においても高温域でのフェライト変態を抑制し、低温でのバリアント選択によるフェライト変態を促進することができる。Niは、これらの作用により、ヤング率、剪断弾性率の向上に寄与することのできる元素である。さらにまた、Cu添加鋼の場合には、熱間圧延時において、熱間延性の低下にともなう割れにより表面欠陥が誘発されるが、Niを複合添加することで、表面欠陥の発生を抑制することができる。このような作用を得るためには、Niを0.05%以上含有させることが好ましい。一方、多量のNi添加は、合金コストの増加を招くことから、Niの含有量は1.0%以下とするのが好ましい。
Mo:0.05〜1.0%
Moは、界面の易動度を小さくすることで、焼入れ性を高める元素であり、冷間圧延後の焼鈍工程における冷却過程においては、低温変態相の生成を大きく促進することで、高強度化に大きく寄与することができる。また、熱間圧延工程では、加工オーステナイトの再結晶を抑制することができ、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進することで、{113}<110>、{332}<113>方位を熱延板段階で発達させることができる。さらに、界面の易動度を小さくするMoは、冷間圧延後の焼鈍工程における均熱後の冷却過程において、高温域でのフェライト変態を抑制し、低温でのバリアント選択によるフェライト変態の促進と細粒化に作用する。以上のような作用を通して、Moは高ヤング率化、高剪断弾性率化に寄与することのできる元素である。このような高強度化、高ヤング率化、高剪断弾性率化の作用を得るためには、Moを0.05%以上含有させることが好ましい。一方、多量にMoを添加しても、効果が飽和するだけでなく、合金コストが増加することから、Moの含有量は1.0%以下とすることが好ましい。
B:0.0005〜0.0030%
Bはオーステナイトからフェライトへの変態を抑制することで、焼き入れ性を高める元素で、冷間圧延後の焼鈍工程における冷却過程においては、低温変態相の生成を大きく促進することで、高強度化に大きく寄与することができる。また、熱間圧延工程では、加工オーステナイトの再結晶を抑制することができ、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進することで、{113}<110>、{332}<113>方位を熱延板段階で発達させることができる。さらに、冷間圧延後の焼鈍工程における均熱後の冷却過程において、Bは高温域でのフェライト変態を抑制することで、低温でのバリアント選択によるフェライト変態の促進と細粒化に作用する。以上のような作用を通して、Bは高ヤング率化、高剪断弾性率化に寄与することのできる元素である。このような高強度化、高ヤング率化、高剪断弾性率化の作用を得るためには、Bを0.0005%以上含有させることが好ましい。一方、過剰なBを添加しても、効果が飽和するとともに、熱間圧延時および冷間圧延時における圧延荷重が著しく増大することで操業上の困難が伴うことから、Bの含有量は0.0030%以下とすることが好ましい。
なお、上記Cr,Ni,Mo,Bを添加するに際しては、前記のようにMnの含有量を0.5〜3.5%とし、さらにMn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)≧1.0を満たす必要がある。
Cu:0.1〜2.0%
Cuは、焼入れ性を高める元素であり、冷間圧延後の焼鈍工程における冷却過程においては、低温変態相の生成を大きく促進することで、高強度化に大きく寄与することができる。さらに、微細な析出物を形成することでも高強度化に寄与することができる。この効果を得るためには、Cuを0.1%以上含有させることが好ましい。一方、過剰なCu添加は熱間での延性を低下させ、熱間圧延時の割れにともなう表面欠陥を誘発するとともに、Cuによる焼入れ効果も飽和することから、Cuの含有量は2.0%以下とすることが好ましい。
W:0.1〜2.0%
Wは、固溶元素や炭化物として存在することで、ヤング率および剪断弾性率とも向上させることができる。この効果を得るためには、Wを0.1%以上含有させることが好ましい。一方、多量のW添加は、合金コストが増加することから、Wの含有量は2.0%以下とすることが好ましい。
次に、本発明の高強度鋼板の製造条件について説明する。
本発明の製造方法に用いられる鋼スラブの組成は、上述した鋼板の組成と同様であるので、鋼スラブの限定理由の記載は省略する。
本発明では、上記した範囲内の組成を有する鋼スラブに熱間圧延を施し熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に焼鈍を施す冷延板焼鈍工程とを順次経ることにより高強度鋼板を製造できる。
本発明では、まず、鋼スラブを、920℃以下での総圧下量を30%以上とし、かつ800〜900℃で最終仕上圧延を終了する熱間圧延を施す(熱間圧延工程)。
920℃以下での総圧下量30%以上でかつ最終仕上圧延温度800〜900℃
熱間圧延工程における仕上圧延では、オーステナイトの未再結晶域で圧延をおこなうことで、{112}<111>および{110}<112>の結晶方位からなる未再結晶のオーステナイト組織を増加させることができる。そのため、920℃以下での総圧下量を30%以上とする必要がある。
また、仕上圧延の最終温度すなわち仕上圧延の終了温度が900℃を上回る場合には、{112}<111>の結晶方位からなる未再結晶オーステナイト組織が顕著に発達し、その後のフェライト変態と冷間圧延により{112}<110>方位となることから、焼鈍後も{112}<110>方位のみが大きく発達することになる。その結果、
Figure 2006152362

方位のODF解析強度をf1
Figure 2006152362

方位のODF解析強度をf2としたとき、f2/f1≧0.5を満たすことができなくなってしまう。したがって、仕上圧延の最終温度は900℃以下とする必要がある。一方、仕上圧延の最終温度が800℃を下回る場合には、{110}<112>の結晶方位からなる未再結晶オーステナイト組織が顕著に発達し、その後のフェライト変態と冷間圧延により{111}<112>方位となることから、焼鈍後も{111}<112>方位のみが大きく発達することになる。その結果、f2/f1≦3.0を満たすことができなくなってしまう。さらに、圧延温度の低下は、圧延荷重の増大による操業上の困難も伴うことになる。したがって、仕上圧延の最終温度は800℃以上とする必要がある。
熱間圧延後、700℃までの平均冷却速度を10℃/s以上として冷却したのち、650℃以下で巻取り、次いで、40〜80%の圧下率で冷間圧延を行う(冷間圧延工程)。
700℃までの平均冷却速度10℃/s以上
未再結晶オーステナイト域で仕上圧延を終了したのち、オーステナイト域での再結晶を避けるため、仕上圧延後の冷却速度は、700℃までを10℃/s以上とすることとする。一方、100℃/sを超えて冷却しても、効果が飽和することから、冷却速度は100℃/s以下で十分である。なお、ここで、上記冷却速度は仕上圧延の最終温度から700℃までの平均冷却速度である。
巻取り温度:650℃以下
仕上圧延後の巻取り温度が650℃を上回ると、Nb、Tiの炭窒化物が粗大化してしまい、冷間圧延後の焼鈍工程における昇温過程において、フェライトの再結晶抑制効果が小さくなり、未再結晶フェライトからオーステナイトに変態させることが困難となる。その結果、ヤング率と剪断弾性率がともに大きく低下してしまう。したがって、仕上圧延後の巻取り温度は650℃以下とする必要がある。
なお、巻取り温度が低いと低温変態相の生成により熱延板が硬質化し、その後の冷間圧延の荷重が上昇するため、450℃以上とすることが好ましい。
ここで巻取後の熱延板はスケールを除去するために冷間圧延前に酸洗を行なうことが好ましい。酸洗条件としては通常の条件にて行なえばよい。
冷間圧延率:40〜80%
熱間圧延後に冷間圧延を行うことで、熱延鋼板で発達した{113}<110>、{332}<113>方位を、それぞれヤング率と剪断弾性率の向上に有効な{112}<110>、{111}<112>方位に回転させることができる。このように、冷間圧延により{112}<110>、{111}<112>方位を発達させることで、その後の焼鈍工程後の組織においても、{112}<110>、{111}<112>方位を高め、ヤング率および剪断弾性率の双方を高くすることができる。このような効果を得るには、冷間圧延時の圧延率を40%以上とする必要がある。一方、冷間圧延時の圧下率が80%を超えると、{332}<113>から{lll}<112>方位に回転した結晶がさらに{111}<110>にまで回転してしまい、その後の焼鈍工程後の組織においても、{111}<112>方位を高めることができなくなってしまう。したがって、冷間圧延時の圧下率は40〜80%とする必要がある。
冷間圧延の後、750〜870℃の均熱温度域まで昇温するにあたり、500〜750℃の温度域を平均速度:1℃/s以上で昇温し、均熱温度域にて300s以下の保持を行ったのち、750℃から650℃までの温度域を20℃/sおよび(40−5×(Mn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)))℃/sのうち大きい値の速度以上で冷却する(焼鈍工程)。
500〜750℃の温度域の平均昇温速度1℃/s以上
焼鈍工程における昇温過程では、加工フェライトの再結晶を抑制して、未再結晶フェライトからのオーステナイト変態を促進する必要がある。したがって、焼鈍工程における昇温速度は、実質的にフェライトの再結晶に影響をおよぼす500℃から750℃までを平均で1℃/s以上とする必要がある。昇温速度の上限はとくに規定しないが、昇温速度が大きいほど、昇温過程での炭窒化物の粗大化が抑制されることで、フェライトの再結晶抑制効果が大きくなるが、この炭窒化物の粗大化抑制効果は100℃/sで飽和することから、最大100℃/sで焼鈍すれば十分である。
均熱温度域750〜870℃で保持時間300s以下
焼鈍工程における均熱過程では、未再結晶フェライトからのオーステナイト変態を起こさせる必要がある。したがって、均熱過程における最高到達温度である均熱温度が低いとオーステナイト域に至らず、変態させることができなくなり、ヤング率および剪断弾性率の低下を招いてしまう。したがって、均熱温度域の下限は750℃とする必要がある。一方、均熱温度が高いと、未再結晶フェライトからのオーステナイト変態において、優先的に変態したオーステナイト粒の成長による変態が進行することで、未再結晶フェライトからのバリアント選択によるオーステナイト変態が妨げられてしまい、ヤング率および剪断弾性率の低下を招いてしまう。その影響は、均熱温度が870℃を超えると顕著になることから、均熱温度域の上限は870℃とする必要がある。また、均熱温度域での保持時間が長い場合、変態したオーステナイトの粒成長が進行し、成長するオーステナイト粒の結晶方位が主体となってしまうことから、変態直後の集合組織を保つことができなくなってしまう。さらに、均熱後の冷却において、粗大なオーステナイト粒から変態して生成するフェライト相やマルテンサイト相の粒径も大きくなってしまう。このような影響は、均熱温度域での保持時間が300s(秒)を超えると顕著になり、ヤング率および剪断弾性率の低下を招いてしまうことから、均熱温度域での保持時間は300s以下とする必要があり、より好ましくは200s以下である。なお、750℃から均熱温度間の加熱速度と冷却速度は特に規定する必要はなく、750℃〜870℃の均熱温度域での保持時間300s以下を満足しさえすればよい。
また、均熱温度域での保持時間の下限は特に限定するものではないが、オーステナイト変態を安定して起こさせるため30s程度とすることが好ましい。
750℃から650℃までの平均冷却速度:20℃/sおよび(40−5×(Mn+5×(Cr+Mo+100×B+Ni)))℃/sのうち大きい値の速度以上
均熱後の冷却過程は、本発明における重要なプロセスの1つである。すなわち、冷却過程では、オーステナイト相からのバリアント選択によるフェライト変態を促進する必要がある。したがって、均熱焼鈍後に急速冷却を行うにあたり、その急冷停止温度が高いと、その後に優先的に変態したフェライト粒の成長による変態が進行してしまうことで、その方位をもつ結晶粒が主因となり、ヤング率と剪断弾性率の向上に有利な方位を発達させることができなくなる。この影響は、均熱後の急速冷却を650℃より高い温度で停止した場合に顕著になることから、均熱後の急速冷却は、少なくとも650℃まで行う必要がある。
さらに、均熱後の冷却速度が小さいと、優先的に変態したフェライト粒の成長による変態が進行することで、その方位をもつ結晶粒が主因となり、ヤング率および剪断弾性率の向上に有利な方位を発達させることができなくなる。
また、Mn、Cr、Ni、Mo、Bは、高温でのフェライト変態を抑制することから、これらの元素が少ないほど、優先的に変態したフェライト粒の成長による変態が進行し易くなってしまう。したがって、上記均熱温度域での均熱後の冷却速度は、Mn、Cr、Ni、Mo、B量に応じて決める必要がある。
40−Mn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)は焼入性を示す回帰式であり、この式で算出される値未満の冷却温度とすると、オーステナイト域からのバリアント選択による変態を起こさせることができなくなる。また、均熱後の冷却速度が20℃/sを下回る場合は、いかなるMn、Cr、Ni、Mo、B量においても、オーステナイト相からのバリアント選択による変態を起こさせることができなくなってしまう。したがって、均熱後の冷却速度は、均熱温度域の下限温度である750℃から650℃までの範囲を平均で20℃/sあるいは(40−5×(Mn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)))℃/sのうち大きい値の速度以上とする必要がある。冷却速度の上限はとくに設けないが、50℃/sを超えて冷却しても効果は飽和することから50℃/sで十分である。なお、650℃よりも低い温度域での冷却速度については特に限定する必要がないが、20℃/s未満とするか、あるいは550℃〜200℃で30s〜1000s程度の保持を行うことが低温域でのフェライト生成を促進する上で好ましい。
発明の実施に当たっては、目的とする強度レベルに応じた化学成分の鋼を溶製する。溶製方法は、通常の転炉法、電炉法等、適宜適用することができる。溶製された鋼は、スラブに鋳造後、そのまま、あるいは冷却して加熱し、熱間圧延を施す。熱間圧延では前述の仕上圧延条件で仕上げた後、前述の巻取り温度で巻取り、その後、通常の酸洗、冷間圧延を施す。焼鈍については、前述の条件で昇温、均熱、冷却を行う。冷延鋼板の場合は焼鈍時の冷却途中、あるいは、焼鈍後の冷却終了後に再加熱による過時効処理を行ってもよい。溶融亜鉛めっき鋼板として製造させる場合には、溶融亜鉛浴中を通板させることでめっきすることもできるし、さらに、合金化溶融亜鉛めっき鋼板として製造される場合には、合金化処理のため、500℃以上の再加熱を行うこともできる。
本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
まず、表1に示す成分の鋼を実験室真空溶解炉にて溶製し、一旦室温まで冷却した。
Figure 2006152362

Figure 2006152362
その後、実験室にて熱間圧延、酸洗、冷間圧延および焼鈍を順次行った。鋼塊は1250℃で1時間の加熱を行った後、熱間圧延を開始し、920℃以下での総圧下量をTR(%)として、仕上圧延の最終温度をFT(℃)としたのち、700℃までを平均冷却速度CR1(℃/s)で冷却し、700℃から巻取り温度までを空冷したのち、巻取り温度CT(℃)で巻き取った。熱延板の板厚は3.0mmとした。その後、酸洗を行ったのち、冷延圧下率をRE(%)として冷間圧延を行った。焼鈍は、500℃までを10℃/sの昇温速度で加熱し、500℃から750℃までの昇温速度をHR(℃/s)とした。さらに、焼鈍中の最高到達温度である均熱温度をST(℃)とし、750〜870℃の均熱温度域での保持時間をHT(s)とし、均熱後は750℃から650℃までの温度域を平均冷却速度CR2(℃/s)で冷却した。その後の冷却は2通りのパターンで行なった。1つは、溶融亜鉛めっき鋼板の製造をシミュレートしたもので、650℃から550℃までをさらに平均冷却速度CR3で冷却したのち、550℃で90sの保持を行ったのち、空冷した。この処理はパターン1とする。もう1つは、冷延鋼板の製造をシミュレートしたもので、650℃から350℃までをさらに平均冷却速度CR4で冷却したのち、350℃で150sの保持を行い、空冷した。この処理はパターン2とする。表2に個別試料ごとの製造条件を示す。
Figure 2006152362

Figure 2006152362
焼鈍後のサンプルは、圧延方向に対し直角な方向を長手方向として10×60mmの試験片を切り出し、横振動型の共振周波数測定装置を用いて、American Society for Testing Materialsの基準(C1259)に従い、ヤング率、E(GPa)、剪断弾性率およびG(GPa)を計算した。また、0.5%の調質圧延を施した板に関し、圧延方向に対し直角な方向を長手方向としてJIS5号引張り試験片を切り出し、引張試験に供した。さらに、圧延方向の断面組織はナイタール腐食した後、板厚1/4位置でSEM観察を行い、30×30μm2域の写真を3枚撮ったのち、画像処理によりフェライト相とマルテンサイト相の粒度番号、および、フェライト相、マルテンサイト相およびその他の相の面積率を測定した。
ここで、フェライト粒度番号(Nf)は、前述のように画像処理によりフェライト相の断面積とフェライト粒の数を測定し、フェライト相が1mmあたりのフェライト粒の数をafとしたとき、
Nf={1n(af)/1n(2)}−3 の式より算出した。
また、マルテンサイト粒度番号(Nm)も、上記フェライト粒番号の測定と同様に、画像処理によりマルテンサイト相の断面積とマルテンサイト粒の数を測定し、マルテンサイト相が1mmあたりのマルテンサイト粒の数をamとしたとき、
Nm={1n(am)/1n(2)}−3 の式より算出した。
集合組織は、シュルツ法により(110)、(200)、(211)極点図を求めたのち、ADC法によりODF解析を行い、Bunge法におけるφ2=45°断面上の
Figure 2006152362

方位の解析強度f1、および、
Figure 2006152362

方位の解析強度f2を求めた。表3に、組織、集合組織および機械特性値の測定結果を示す。
Figure 2006152362

Figure 2006152362
さらに、化学組成、組織、集合組織および製造条件と、ヤング率および剪断弾性率の関係について上記実施例の結果をまとめた図面を用いて説明する。
図1は、フェライトの粒度番号が10以上でかつマルテンサイトの粒度番号が12以上のときの、ヤング率および剪断弾性率におよぼす集合組織f1およびf2の影響を示したものである。図1の結果から、f1およびf2の値が本発明の範囲を満足する鋼板はいずれも、ヤング率が230GPa以上でかつ剪断弾性率が80GPa以上と優れた値を示した。
図2は、f1が4以上、f2が6以上で、かつ、0.5≦f2/f1≦3を満たすときの、ヤング率および剪断弾性率におよぼすフェライトおよびマルテンサイトの粒度番号の影響を示したものである。図2の結果から、フェライトおよびマルテンサイトの粒度番号が本発明の範囲を満足する鋼板はいずれも、ヤング率が230GPa以上でかつ剪断弾性率が80GPa以上と優れた値を示した。
図3は、ヤング率および剪断弾性率におよぼすMn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)の値の影響を示したものである。なお、図3では、Mn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)の値以外は、本発明の範囲を満足している鋼板を用いたときの結果である。図3の結果から、Mn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)の値が1以上と本発明の範囲である鋼板はいずれも、ヤング率が230GPa以上でかつ剪断弾性率が80GPa以上と優れた値を示した。
図4は、ヤング率および剪断弾性率におよぼすCR2/Aの影響を示す。ここで、Aは焼鈍時における均熱後の平均冷却速度の臨界値であり、Mn、Cr、Ni、MoおよびB量により決まる値である。CR2/Aが1以上、すなわち、本発明で規定する、20℃/sおよび(40−5×(Mn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)))℃/sのうち大きい値の速度以上で冷却した本発明の鋼板はいずれも、ヤング率が230GPa以上でかつ剪断弾性率が80GPa以上と優れた値を示した。
本発明は、低炭素鋼にMn、Nbを添加した鋼スラブを、熱間圧延における、800〜900℃での圧延終了とその後の急冷で、未結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進し、さらに冷間圧延を行うことで、ヤング率、剪断弾性率の向上に有利な結晶方位を発達させ、その後の焼鈍工程における未再結晶フェライトからのオーステナイト変態と、均熱後の急冷による低温域でのフェライト変態による、バリアント選択を主体とした変態を促進することで、ヤング率および剪断弾性率の向上に有利な方位の結晶粒を冷間圧延後に生成させ、しかも、変態後も結晶粒を微細に存在させることができることで、高強度鋼板のヤング率と剪断弾性率を両立させることができ、工業上有効な効果をもたらす。
ヤング率および剪断弾性率におよぼす集合組織の影響を示す図である。 ヤング率および剪断弾性率におよぼすフェライトおよびマルテンサイトの粒度番号の影響を示す図である。 ヤング率および剪断弾性率におよぼすMn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)の値の影響を示す図である。 ヤング率および剪断弾性率におよぼすCR2/Aの影響を示す図である。

Claims (8)

  1. フェライト相を面積率で50%以上、マルテンサイト相を面積率で1〜50%有し、フェライト相の面積率とマルテンサイト相の面積率の合計が95%以上であり、かつフェライト粒の粒度番号は10以上、マルテンサイト粒の粒度番号は12以上である組織を有し、さらに、
    Figure 2006152362

    方位のODF解析強度f1が4以上、
    Figure 2006152362

    方位のODF解析強度f2が6以上であり、かつ、0.5≦f2/f1≦3.0を満たすような集合組織を有するとともに、圧延直角方向の引張強度が590MPa以上、ヤング率が230GPa以上、剪断弾性率が80GPa以上であることを特徴とする剛性に優れた高強度鋼板。
  2. 化学成分として、質量%でC:0.02〜0.20%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:1.5%以下、N:0.01%以下およびNb:0.01〜0.30%を含有し、かつ、Nb−(92.9/14)×N≧0.01なる関係、および、0.01≦C+(12/14)×N−(12/92.9)×Nb≦0.15なる関係(ただし、式中の元素記号は各々の元素の含有量(質量%))を満たし、残部は実質的に鉄および不可避的不純物からなる組成を有する、請求項1に記載の高強度鋼板。
  3. 化学成分として、質量%でC:0.02〜0.20%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:1.5%以下、N:0.01%以下およびNb:0.01〜0.30%を含有するとともに、Ti:0.01〜0.20%およびV:0.01〜0.20%のいずれか1種以上を含有し、かつ、下記で定義する、N*に対してNb−(92.9/14)×N*≧0.01なる関係およびTi*に対して0.01≦C+(12/14)×N*−(12/92.9)×Nb−(12/47.9)×Ti*−(12/50.9)×V≦0.15なる関係を満たし、残部は実質的に鉄および不可避的不純物からなる組成を有する請求項1に記載の高強度鋼板。

    ここでN−(14/47.9)×Ti>0のとき、N*=N−(14/47.9)×Ti、N−(14/47.9)×Ti≦0のとき、N*=0、さらに、Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S>0のとき、Ti*=Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S、Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S≦0のとき、Ti*=0、ただし、式中の元素記号は各々の元素の含有量(質量%)とする。
  4. 化学成分として、質量%でC:0.02〜0.20%、Si:1.5%以下、Mn:0.5〜3.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:1.5%以下、N:0.01%以下およびNb:0.01〜0.30%を含有し、さらにCr:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%およびB:0.0005〜0.0030%のいずれか1種以上を含有し、かつ、Nb−(92.9/14)×N≧0.01なる関係、0.01≦C+(12/14)×N−(12/92.9)×Nb≦0.15なる関係および、Mn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)≧1.0なる関係(ただし、式中の元素記号は各々の元素の含有量(質量%))を満たし、残部は実質的に鉄および不可避的不純物からなる組成を有する、請求項1に記載の高強度鋼板。
  5. 化学成分として、質量%でC:0.02〜0.20%、Si:1.5%以下、Mn:0.5〜3.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:1.5%以下、N:0.01%以下およびNb:0.01〜0.30%を含有するとともに、Ti:0.01〜0.20%およびV:0.01〜0.20%のいずれか1種以上を含有し、さらにCr:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%およびB:0.0005〜0.0030%のいずれか1種以上を含有し、かつ、Mn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)≧1.0(ただし、式中の元素記号は各々の元素の含有量(質量%))なる関係、および下記で定義する、N*に対してNb−(92.9/14)×N*≧0.01なる関係およびTi*に対して0.01≦C+(12/14)×N*−(12/92.9)×Nb−(12/47.9)×Ti*−(12/50.9)×V≦0.15なる関係を満たし、残部は実質的に鉄および不可避的不純物からなる組成を有する請求項1に記載の高強度鋼板。

    ここでN−(14/47.9)×Ti>0のとき、N*=N−(14/47.9)×Ti、N−(14/47.9)×Ti≦0のとき、N*=0、さらに、Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S>0のとき、Ti*=Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S、Ti−(47.9/14)×N−(47.9/32.1)×S≦0のとき、Ti*=0、ただし、式中の元素記号は各々の元素の含有量(質量%)とする。
  6. 化学成分として、さらにCu:0.1〜2.0質量%を含有する、請求項2、3、4または5に記載の高強度鋼板。
  7. 化学成分として、さらにW:0.1〜2.0質量%を含有する、請求項2〜6のいずれか1項に記載の高強度鋼板。
  8. 請求項2〜7のいずれか1項に記載の高強度鋼板の組成と同一の組成からなる鋼スラブを、熱間圧延工程において、920℃以下での総圧下量を30%以上とし、かつ800〜900℃で最終仕上圧延を終了する仕上げ圧延を施し、その後、700℃までの平均冷却速度を10℃/s以上として冷却したのち、650℃以下で巻取り、次いで、40〜80%の圧下率で冷間圧延を行い、その後の焼鈍工程において、750〜870℃の均熱温度域まで昇温するにあたり、500〜750℃の温度域を平均速度:1℃/s以上で昇温し、該均熱温度域にて300s以下の保持を行ったのち、750℃から650℃までの温度域を20℃/sおよび(40−5×(Mn+5×(Cr+Ni+Mo+100×B)))℃/sのうち大きい値の速度以上で冷却することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の剛性に優れた高強度鋼板の製造方法。

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