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JP2006117714A - 光学フィルム、偏光板及び表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板及び表示装置 Download PDF

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JP2006117714A JP2004304030A JP2004304030A JP2006117714A JP 2006117714 A JP2006117714 A JP 2006117714A JP 2004304030 A JP2004304030 A JP 2004304030A JP 2004304030 A JP2004304030 A JP 2004304030A JP 2006117714 A JP2006117714 A JP 2006117714A
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隆 村上
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Abstract

【課題】 本発明の目的は溶媒を使用することなく光学的、物理的に優れ、特に製造時の破断が少なく、リターデーションのバラツキの少ない光学フィルム及びそれを用いた偏光板、表示装置を提供することにある。
【解決手段】 セルロースエステルを超臨界流体で液状物にし、次いで超臨界流体を揮発させたセルロースエステル原料を含有する溶融物を溶融流延して製膜したことを特徴とする光学フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は光学フィルムに関し、より詳しくは製造時の破断が少なく、リターデーションのバラツキの少ない光学フィルム及びそれを用いた偏光板、表示装置に関する。
液晶表示装置(LCD)は低電圧、低消費電力でIC回路への直結が可能であり、そして特に薄型化が可能であることから、ワードプロセッサやパーソナルコンピュータ、テレビ、モニター、携帯情報端末等の表示装置として広く採用されている。このLCDは、基本的な構成は例えば液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。
ところで偏光板は一定方向の偏波面の光だけを通すものである。従って、LCDは電界による液晶の配向の変化を可視化させる重要な役割を担っている。即ち、偏光板の性能によってLCDの性能が大きく左右される。
偏光板の偏光子はヨウ素等を高分子フィルムに吸着・延伸したものである。即ち、二色性物質(ヨウ素)を含むHインキと呼ばれる溶液を、ポリビニルアルコールのフィルムに湿式吸着させた後、このフィルムを一軸延伸することにより、二色性物質を一方向に配向させたものである。
偏光板の保護フィルムとしては、セルロース樹脂、特にセルローストリアセテートが用いられている。セルロースエステルフィルムは、光学的、物理的に偏光板用の保護フィルムとして有用であるため一般に広く用いられている。しかしながら、フィルムの製造方法はハロゲン系の溶媒を用いた流延製膜法による製造方法であるため、溶媒回収に要する費用は非常に大きな負担となっていた。そのため、ハロゲン系以外の溶媒が色々と試験されたが満足する溶解性の得られる代替物はなかった。代替溶媒以外に、特許文献1に記載の冷却法等新規溶解方法も試されたが、工業的な実現が難しくさらに検討が必要とされている。
一方、偏光板の保護フィルムとして、広い視野角が得られる光学補償フィルムも用いられている。視野角を拡大するには、位相差フィルムを偏光板と液晶セルの間に配置すればよく、例えば、面内リターデーションが20〜200nm、厚み方向リターデーションが70〜400nmのポリマーフィルムを用いることで視野角が改善されるとしている(例えば、特許文献2参照。)。
このようなリターデーションを有するポリマーフィルムは、テンターと呼ばれる延伸機を用いて、フィルムの両端をクリップやピン等の把持手段で把持しつつ幅方向または長手方向と幅方向同時に延伸して、延伸方向に分子配向させることで製造されるが、テンター延伸機を用いて延伸する場合、フィルムの把持部分に応力が集中するため、破断が起こり易いという問題があった。
さらに、光学補償フィルムの品質において、光学的な均一性も非常に重要である。フィルムをテンターにより延伸する際に、フィルムの持つ面内及び厚み方向のリターデーションの均一性が乱れることにより、フィルムをLCD部材として組み込んだ際、均一な視認性を得ることが難しく実用上甚大な欠陥をもたらしていた。
特開平10−95861号公報 特開2002−22943号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は溶媒を使用することなく光学的、物理的に優れ、特に製造時の破断が少なく、リターデーションのバラツキの少ない光学フィルム及びそれを用いた偏光板、表示装置を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
(請求項1)
セルロースエステルを超臨界流体で液状物にし、次いで超臨界流体を揮発させたセルロースエステル原料を含有する溶融物を溶融流延して製膜したことを特徴とする光学フィルム。
(請求項2)
前記セルロースエステル原料をフィルム中の全セルロースエステルに対して10〜100質量%含有する溶融物を溶融流延して製膜したことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
(請求項3)
前記セルロースエステル原料がセルロースエステル及び少なくとも1種の添加剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルム。
(請求項4)
前記添加剤が可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、酸捕捉剤、マット剤等の金属化合物微粒子、ラジカル捕捉剤、リターデーション制御剤、染料、顔料、セルロースエステル以外の樹脂から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項3に記載の光学フィルム。
(請求項5)
セルロースエステルを超臨界流体で液状物にし次いで超臨界流体を揮発させたセルロースエステル原料と、溶融流延製膜されたフィルム屑とを、全セルロースエステル中に50質量%以上含有する溶融物を溶融流延して製膜したことを特徴とする光学フィルム。
(請求項6)
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムを一方の面または両面に有することを特徴とする偏光板。
(請求項7)
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムを有することを特徴とする表示装置。
本発明により、溶媒を使用することなく光学的、物理的に優れ、特に製造時の破断が少なく、リターデーションのバラツキの少ない光学フィルム及びそれを用いた偏光板、表示装置を提供することが出来る。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の光学フィルムは、セルロースエステルを超臨界流体で液状物にし、次いで超臨界流体を揮発させたセルロースエステル原料を含有する溶融物を溶融流延して製膜したことを特徴とする。
先ず、本発明に有用な超臨界状態及び超臨界流体について説明する。ある物質に対して、温度と圧力とを上昇させていくと、ある条件になったところで物質は液体と気体の中間の性質を持つ流体となる。これは臨界温度(超臨界温度ともいう)Tcと臨界圧力(超臨界圧力ともいう)Pcを越えた領域での物質の状態であり、この状態を超臨界状態という。超臨界状態における超臨界流体は常態の液体よりも2桁も大きい拡散係数を持ち、粘度は気体並になる。食品、香料、医薬品分野での抽出、ファインセラミックの成型過程での利用、超微細発砲ポリマーの製造、難分解化合物や有害物質の分解、原料回収等幅広く応用されている。これらは超臨界状態の物質が他の物質内に拡散する性質を利用したものである。
本発明は、この超臨界流体の物質の他の物質への拡散し易いことと粘度が気体並であるという性質に注目し、ポリマーを完全な状態に溶解させる方法を鋭意検討した結果、従来、大量のメチレンクロライド若しくは酢酸メチル等の有機溶媒に溶解していたセルロースエステルを、超臨界流体を用いることにより溶解させることが出来、次いで超臨界流体を揮発させることで揮発成分を一緒に除去出来る為、セルロースエステル原料の不均一性や
異物、更に添加剤の不均一性の影響による製膜時の破断が著しく低減出来、さらに仕上がりフィルムのリターデーションのばらつきも改善されることを見出し本発明を成すに至った次第である。
本発明者等は、必ずしも臨界温度Tc及び臨界圧力Pcを共に越えた領域の超臨界点以上の領域とならなくとも、TcあるいはPcの何れか一方を越えた状態においても超臨界流体に似た状態が発生し、同様な効果があることを認めた。従って、本発明においては、Tcを越えた領域あるいはPcを越えた領域の何れか、あるいはTcとPcを共に越えた超臨界点以上の領域を総称して超臨界状態という。そしてそれらの領域で発生する流体を超臨界流体と総称していうこととする。以降、本発明において、超臨界流体となる物質を超臨界流体あるいは超臨界物質と呼ぶことがある。
超臨界流体となる物質は、常態において気体または液体であり、下記のような物質を挙げることが出来る(カッコ内の前の数値はTc(℃)、後の数値はPc(MPa)である)。代表的なものとして、空気(−140.7、3.77)、メタン(−82.6、4.60)、エチレン(9.2、5.04)、二酸化炭素(31.1、7.38)、エタン(32.1、4.87)、プロパン(96.7、4.25)、アンモニア(132.4、11.28)、ブタン(152.0、3.80)、メタノール(239.4、8.09)、エタノール(240.7、6.14)、ベンゼン(289.0、4.90)、トルエン(318.6、4.11)、水(374.1、22.12)等が用いられる。本発明において、超臨界流体となる物質は制限なく使用出来るが、これらの内、本発明に好ましい超臨界物質としては、Tc及びPcの点から、エチレン、二酸化炭素、エタン、プロパンを好ましく挙げることが出来、特に、二酸化炭素が温度圧力ともに使用し易い範囲にあること、無味、無臭、不燃、化学的に安定、有資源、安価、製品中に超臨界物質が残らない等の観点から好ましく用いることが出来る。二酸化炭素は、一般的に石炭からの重油の抽出、ポリマーからの残留モノマーの抽出、スプレー用溶媒などに用いられている。水も安全な物質であるが、Tc及びPcがかなり高く、超臨界水はポリマーや毒性の強い化合物を分解する等廃棄物処理に効果があり、ポリマーを溶解するというより分解するために使用するもので、本発明には条件が過酷過ぎるので、あまり適しているとはいえない。
本発明のセルロースエステル溶液の調製方法について説明する。
本発明の超臨界状態での溶解方法は、超臨界流体がポリマーの分子レベルでポリマー分子を分離させるので、溶媒の溶媒和を助長しほぼ完全な溶液とすることが可能である。良溶媒のみならず、通常では良溶媒となり得ない溶媒でも溶解能を向上させることが出来る。例えば、耐熱性樹脂のように溶解し難いポリマーも容易に溶解することが出来るし、溶媒の使用が制限され他の状態では溶解し難い溶媒を使用しなければならない場合でも本発明の超臨界状態で溶解させることによって溶液を得ることが出来る。さらに溶液中の不純物の存在によって結晶が成長するような場合でも結晶化が妨げられ易い。また高濃度であっても超臨界状態では溶液粘度が低く、移送することも、濾過することも容易で、以上の如く溶媒の代わりに可塑剤を添加して溶解させることが出来る等、通常では考えられなかったことを容易に達成することが出来るものである。
超臨界物質と溶媒との混合比はモル比で10/90〜90/10で溶解させることが好ましく、更に好ましくは30/70〜70/30である。溶液中のポリマーの濃度(溶液の重量に対するポリマー質量の割合を%で表す)は5〜60質量%の範囲でポリマーを溶解することが出来、好ましくは10〜50質量%である。
ここで、本発明のセルロースエステル溶液を調製する装置及び溶解方法の概略を説明するが、これに限定されない。図1は例えば、二酸化炭素を使用するバッチ式のセルロースエステル溶液調製装置の概略図である。本発明に用いるセルロースエステルの耐圧性溶解容器6は50〜500気圧程度の耐圧性があれば制限なく使用出来るが、耐圧性は二酸化炭素を超臨界物質として使用する場合は、150気圧に耐えればよい。耐圧性溶解容器6には、セルロースエステル、溶媒、その他の添加剤、超臨界物質、充填ガス等を導入するに当たり定まった順序はないが、セルロースエステルを初めに導入するのが好ましい。溶解に先だって予めセルロースエステルとそれに続いて溶媒、若しくは他の添加剤を投入(何れの投入手段も図示してない)して、窒素または二酸化炭素ガスで溶解容器6内の空気を置換しておき、溶解温度を、超臨界物質の超臨界温度以上に加温(加温手段は図示してない)しておく。二酸化炭素ボンベ1から導管2を通して二酸化炭素ガスを加圧装置3に導入し、加熱器(熱交換器)4で加熱して二酸化炭素を超臨界流体とし、弁5を通して耐圧性溶解容器6に導入する。所定量の超臨界流体の二酸化炭素を耐圧性溶解容器6に導入し終わったら弁5を閉じ、超臨界流体と混合相溶した溶媒とセルロースエステルを所定の時間、攪拌しながら(攪拌手段は図示してない)二酸化炭素の超臨界状態を維持する。セルロースエステルの溶解が完了し均一にした後、調節弁7を開き、超臨界状態の圧力と温度を保ちながら導管8を通して濾過装置9に導入し、濾過後減圧弁10を通して気液分離容器11に導入し、二酸化炭素ガスを弁12、導管13を経て減圧調節器14に導入し二酸化炭素ガスを開放15する。この二酸化炭素はリサイクリングされ、再び使用される。一方セルロースエステル溶液は気液分離容器11の下方にたまり必要に応じて弁16から、例えば乾燥装置方向へ導管17に送られる。本発明に使用する濾過装置9には、通常の濾過方法を用いることが出来、濾紙を濾材として用いるフィルタープレス方式、ステンレス鋼線を用いるリーフディスクフィルター方式等を用いることが出来る。超臨界状態のセルロースエステル溶解物を濾過したものを、溶融流延のセルロースエステル原料として用いると破断が少なくなる為特に好ましい。濾過は前段で目の粗い濾過装置を通して大きな異物を除去し、後半で微細な濾過装置で微細な異物を除去する2段以上で行ってもよい。本発明におけるセルロースエステル溶液の濾過は超臨界状態で行われる。超臨界状態で濾過を行うことによって、セルロースエステルが高濃度であっても溶液粘度が低く、フィルターの圧力損失が殆どなく容易にしかも長時間濾過を継続することが出来る。また若干圧力を低下させて濾材に負担をかけないようにして濾過装置を通過させてもよい。濾過後、超臨界物質を系内から系外へ除去して真の溶液とするが、除去する手段としては、減圧弁を通してから容積の比較的大きい気液分離容器11に導入して圧力を低下させて二酸化炭素ガスを減圧調節出来るようにするのが好ましい。また超臨界物質(二酸化炭素ガス)を系外に排出する際の温度は0〜120℃で行い、減圧して得られたセルロースエステルは超臨界流体や溶媒などの揮発性の残留物を除去するため、40〜120℃にして、残留物を揮発、乾燥させることが出来る。またその際に1気圧以下に減圧してもよい。いずれにしても減圧の際は、その低下させる温度を臨界温度以下にするが、その後の工程に供する際の温度付近に調整するのが好ましい。図1はバッチ式であるが、図示はしてないが、連続調製装置によってもセルロースエステルを溶解調製することが出来る。
例えば、本発明においては、セルロースエステル中の揮発成分を適当な乾燥装置により乾燥させることが必要である。
例えば、超臨界状態のセルロースと溶媒を用いてセルロース溶液を調製した場合、得られたセルロース溶液から溶媒及びその他の揮発成分を円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて除去し、押出機からストランド状に押し出し冷却後ペレット化して回収し、得られたペレットを下記の乾燥機を用いて更に水分或いは残存揮発成分を除去することも出来る。
乾燥装置としては、気流乾燥機、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機等を挙げることが出来るが、これらの中では気流乾燥機が好ましい。又、2次乾燥の乾燥装置としては、振動気流乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機等を挙げることが出来るが、これらの中では振動気流乾燥機が好ましい。
本発明は、上記の如くセルロースエステルを超臨界流体で液状物にし次いで乾燥させたセルロースエステル原料を含有する溶融物を溶融流延して製膜したことを特徴とする。
本発明における溶融流延とは、溶媒を用いずセルロースエステルを含む溶融物を流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後流動性のセルロースエステルを含む溶融物をエンドレスベルト、若しくはドラム上に押し出し製膜することを意味する。
流延に用いられる各種添加物を含んでもよいセルロースエステル溶融物には殆ど揮発性溶媒を含まないが、一方でそのセルロースエステル溶融物を調製する過程の一部では溶媒を使用してもよい。超臨界流体に用いられたガス(炭酸ガス)や溶媒、水分等の揮発成分が残存していると発泡により故障となることがある為、発泡が生じない程度まで乾燥工程にて低減させることが望ましい。
図2は、溶融流延製膜方法により製膜するセルロースエステルフィルム製造装置の概略図である。
セルロースエステルフィルムを製造する過程を説明すると、図1に例示したセルロースエステル溶液調製装置で溶解され、乾燥されたセルロースエステルは必要に応じてペレット化される。これを用いて調製したセルロースエステル溶融物が、溶融流延製膜装置の押し出しダイス21に送られる。溶融されたセルロースエステル溶液(ドープ22)は、押し出しダイス21から製膜ドラム25(一つ以上のドラムで支えられている)に押し出され、剥離点24でウェブ23を剥離し、テンター装置26内で延伸され、巻き取り機27でフィルムとして巻き取られる。テンター装置26は温風を導入することが出来、温度をかけながらテンターで幅保持し延伸する。またフィルムの使用目的によっては、テンター内で長手方向に延伸する方法もある。
〔セルロースエステル〕
本発明に係るセルロースエステルは、脂肪酸アシル基、置換若しくは無置換の芳香族アシル基の中から少なくともいずれかの構造を含む、セルロースの前記単独または混合酸エステルである。
以下、本発明の目的を満たす上で有用なセルロースエステルについて例示するがこれらに限定されるものではない。
芳香族アシル基において、芳香族環がベンゼン環であるとき、ベンゼン環の置換基の例としてハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基及びアリールオキシスルホニル基、−S−R、−NH−CO−OR、−PH−R、−P(−R)2、−PH−O−R、−P(−R)(−O−R)、−P(−O−R)2、−PH(=O)−R−P(=O)(−R)2、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)(−O−R)、−P(=O)(−O−R)2、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)2−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)(−O−R)、−O−P(=O)(−O−R)2、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)(−O−R)、−NH−P(=O)(−O−R)2、−SiH2−R、−SiH(−R)2、−Si(−R)3、−O−SiH2−R、−O−SiH(−R)2及び−O−Si(−R)3が含まれる。上記Rは脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基である。置換基の数は、一個〜五個であることが好ましく、一個〜四個であることがより好ましく、一個〜三個であることが更に好ましく、一個または二個であることが最も好ましい。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基及びウレイド基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基及びカルボンアミド基がより好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基及びアリールオキシ基が更に好ましく、ハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基が最も好ましい。
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が含まれる。上記アルキル基は、環状構造或いは分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル及び2−エチルヘキシルが含まれる。上記アルコキシ基は、環状構造或いは分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基は、更に別のアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ、ブチルオキシ、ヘキシルオキシ及びオクチルオキシが含まれる。
上記アリール基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリール基の例には、フェニル及びナフチルが含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールオキシ基の例には、フェノキシ及びナフトキシが含まれる。上記アシル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アシル基の例には、ホルミル、アセチル及びベンゾイルが含まれる。上記カルボンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。カルボンアミド基の例には、アセトアミド及びベンズアミドが含まれる。上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド及びp−トルエンスルホンアミドが含まれる。上記ウレイド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。ウレイド基の例には、(無置換)ウレイドが含まれる。
上記アラルキル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることが更に好ましい。アラルキル基の例には、ベンジル、フェネチル及びナフチルメチルが含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルが含まれる。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることが更に好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニルが含まれる。上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8〜20であることが好ましく、8〜12であることが更に好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例には、ベンジルオキシカルボニルが含まれる。上記カルバモイル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。カルバモイル基の例には、(無置換)カルバモイル及びN−メチルカルバモイルが含まれる。上記スルファモイル基の炭素原子数は、20以下であることが好ましく、12以下であることが更に好ましい。スルファモイル基の例には、(無置換)スルファモイル及びN−メチルスルファモイルが含まれる。上記アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシ及びベンゾイルオキシが含まれる。
上記アルケニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルケニル基の例には、ビニル、アリル及びイソプロペニルが含まれる。上記アルキニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルキニル基の例には、チエニルが含まれる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。上記アリールスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。
本発明のセルロースエステルにおいて、セルロースの水酸基部分の水素原子が脂肪族アシル基との脂肪酸エステルであるとき、脂肪族アシル基は炭素原子数が2〜20で具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等が挙げられる。
本発明において前記脂肪族アシル基とは更に置換基を有するものも包含する意味であり、置換基としては上述の芳香族アシル基において、芳香族環がベンゼン環であるとき、ベンゼン環の置換基として例示したものが挙げられる。
また、上記セルロースエステルのエステル化された置換基が芳香環であるとき、芳香族環に置換する置換基Xの数は0または1〜5個であり、好ましくは1〜3個で、特に好ましいのは1または2個である。更に、芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、互いに同じでも異なっていてもよいが、また、互いに連結して縮合多環化合物(例えばナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
上記セルロースエステルにおいて置換若しくは無置換の脂肪族アシル基、置換若しくは無置換の芳香族アシル基の少なくともいずれか1種選択された構造を有する構造を有することが本発明のセルロースエステルに用いる構造として用いられ、これらは、セルロースの単独または混合酸エステルでもよく、二種以上のセルロースエステルを混合して用いてもよい。
本発明に係るセルロースエステルは、アシル基の全置換度が2.5〜2.9であることが好ましい。
アシル基の置換度について説明すると、セルロースには、1グルコース単位に3個の水酸基があり、置換度とは、平均して1グルコース単位にいくつのアシル基が結合しているかを示す数値である。従って、最大の置換度は3.0である。これらアシル基は、グルコース単位の2位、3位、6位に平均的に置換していてもよいし、分布をもって置換していてもよい。2位と3位とのアシル基置換度の合計は、1.5〜1.95であることが好ましく、更に好ましくは1.7〜1.95であり、更に好ましくは1.73〜1.93である。6位のアシル置換度が0.7〜1.00であることが好ましく、更に好ましくは0.85〜0.98である。2位或いは3位の置換度に対して、6位の置換度が高いことが好ましい。
本発明に好ましく用いられるセルロースエステルとしては、例えば、(全置換度2.81、6位置換度0.84のセルロースエステル)、(全置換度2.82、6位置換度0.85のセルロースエステル)、(全置換度2.77、6位置換度0.94のセルロースエステル)、(全置換度2.72、6位置換度0.88のセルロースエステル)、(全置換度2.85、6位置換度0.92のセルロースエステル)、(全置換度2.70、6位置換度0.89のセルロースエステル)、(全置換度2.75、6位置換度0.91のセルロースエステル)、(全置換度2.80、6位置換度0.86のセルロースエステル)、(全置換度2.85、6位置換度0.93のセルロースエステル)、(全置換度2.74、6位置換度0.0.84のセルロースエステル)、(全置換度2.72、6位置換度0.85のセルロースエステル)、(全置換度2.78、6位置換度0.92のセルロースエステル)、(全置換度2.88、6位置換度0.87のセルロースエステル)、(全置換度2.84、6位置換度0.87のセルロースエステル)、(全置換度2.88、6位置換度0.89のセルロースエステル)、(全置換度2.9、6位置換度0.95のセルロースエステル)、(全置換度2.80、6位置換度0.94のセルロースエステル)、(全置換度2.75、6位置換度0.87のセルロースエステル)、(全置換度2.70、6位置換度0.90のセルロースエステル)、(全置換度2.70、6位置換度0.82のセルロースエステル)、(全置換度2.70、6位置換度0.82のセルロースエステル)などが単独で若しくは2種以上を混合して使用することが出来る。その場合、全置換度の差が0〜0.5のセルロースエステル同士を混合して用いることが好ましく、0.01〜0.3のセルロースエステル同士を混合して用いることが好ましく、0.02〜0.1のセルロースエステル同士を混合して用いることが好ましい。尚、ここでいう全置換度は2位、3位、6位のアシル基置換度を合計したものであり、総アシル基置換度と同義である。
本発明の光学フィルムを構成する前記セルロースエステルにおいて、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及びセルロースフタレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
これらの中で特に好ましいセルロースエステルは、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオネートブチレートが挙げられる。
混合脂肪酸エステルの置換度として、更に好ましいセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートの低級脂肪酸エステルは炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基またはブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含む。尚、アセチル基の置換度と他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96により求めたものである。
式(I) 2.5≦X+Y≦2.9
式(II) 0≦X≦2.5
この内特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも1.8≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦0.9であることが好ましい。アシル基の置換度の異なるセルロースエステルをブレンドして、セルロースエステルフィルム全体として上記範囲に入っていてもよい。上記アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているのものである。これらは公知の方法で合成することが出来る。
セルロースエステルは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することが更に好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することが最も好ましい。
更に、本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が1.3〜5.5のものが好ましく用いられ、特に好ましくは1.5〜5.0であり、更に好ましくは1.7〜3.0であり、更に好ましくは2.0〜3.0のセルロースエステルが好ましく用いられる。
本発明に使用されるセルロースエステルの粘度平均重合度(重合度)は、200以上700以下が好ましく、特に、250以上500以下のものが好ましい。上記範囲にあることにより、機械的強度にも優れた光学フィルムが得られる。
粘度平均重合度(DP)は、以下の方法により求めたものである。
〔粘度平均重合度(DP)の測定〕
絶乾したセルロースエステル0.2gを精秤し、メチレンクロライドとエタノールの混合溶媒(質量比9:1)100mlに溶解する。これをオストワルド粘度計にて、25℃で落下秒数を測定し、重合度を以下の式によって求める。
ηrel=T/Ts
[η]=(lnηrel)/C
DP=[η]/Km
ここで、Tは測定試料の落下秒数、Tsは溶媒の落下秒数、Cはセルロースエステルの濃度(g/l)、Km=6×10-4である。
本発明に用いられるセルロースエステルのアルカリ土類金属含有量は、1〜50ppmの範囲であることが好ましい。50ppmを超えるとリップ付着汚れが増加或いは熱延伸時や熱延伸後でのスリッティング部で破断しやすくなる。1ppm未満でも破断しやすくなるがその理由はよく分かっていない。1ppm未満にするには洗浄工程の負担が大きくなり過ぎるためその点でも好ましくない。更に1〜30ppmの範囲が好ましい。ここでいうアルカリ土類金属とはCa、Mgの総含有量のことであり、X線光電子分光分析装置(XPS)を用いて測定することが出来る。
本発明に用いられるセルロースエステル中の残留硫酸含有量は、硫黄元素換算で0.1〜45ppmの範囲であることが好ましい。これらは塩の形で含有していると考えられる。残留硫酸含有量が45ppmを超えると熱溶融時のダイリップ部の付着物が増加するため好ましくない。また、熱延伸時や熱延伸後でのスリッティングの際に破断しやすくなるため好ましくない。少ない方が好ましいが、0.1未満とするにはセルロースエステルの洗浄工程の負担が大きくなり過ぎるため好ましくないだけでなく、逆に破断しやすくなることがあり好ましくない。これは洗浄回数が増えることが樹脂に影響を与えているのかもしれないがよく分かっていない。更に1〜30ppmの範囲が好ましい。残留硫酸含有量は、ASTM−D817−96により測定することが出来る。
本発明に用いられるセルロースエステル中の遊離酸含有量は、1〜500ppmであることが好ましい。500ppmを超えるとダイリップ部の付着物が増加し、また破断しやすくなる。洗浄で1ppm未満にすることは困難である。更に1〜100ppmの範囲であることが好ましく、更に破断しにくくなる。特に1〜70ppmの範囲が好ましい。遊離酸含有量はASTM−D817−96により測定することが出来る。光学フィルム中の遊離酸含有量は通常3000ppm未満であるが、1〜500ppmであることが好ましい。
合成したセルロースエステルの洗浄を、溶液流延法に用いられる場合に比べて更に十分に行うことによって、アルカリ土類金属量及び残留硫酸含有量を上記の範囲とすることが出来、溶融流延法によってフィルムを製造する際に、リップ部への付着が軽減され、平面性に優れるフィルムが得られ、寸法変化、機械強度、透明性、耐透湿性、Rt値、Ro値が良好なフィルムを得ることが出来る。
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、或いは単独で使用することが出来る。
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることが出来る。
また、本発明では、セルロースエステル樹脂のほか、セルロースエーテル系樹脂、ビニル系樹脂(ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂なども含む)、環状オレフイン樹脂、ポリエステル系樹脂(芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、若しくはそれらを含む共重合体)、アクリル系樹脂(共重合体も含む)などを含有させることが出来る。セルロースエステル以外の樹脂の含有量としては0.1〜30質量%が好ましい。
〔可塑剤〕
本発明の光学フィルムに可塑剤として知られる化合物を添加することは、機械的性質向上、柔軟性を付与、耐吸水性付与、水分透過率の低減等のフィルムの改質の観点において好ましい。また本発明で行う溶融流延法において可塑剤を添加する目的には、用いるセルロースエステル単独のガラス転移温度よりも可塑剤の添加によりフィルム構成材料の溶融温度を低下させること、または同じ加熱温度においてセルロースエステル単独よりも可塑剤を含むフィルム構成材料の粘度を低下出来ることが含まれる。
また、超臨界状態でセルロースエステルを溶解させる際に可塑剤は溶媒としても働くことも期待出来る。
ここで、本発明において、フィルム構成材料の溶融温度とは、該材料が加熱され流動性が発現された状態において、材料が加熱された温度を意味する。
セルロースエステル単独では、ガラス転移温度よりも低いとフィルム化するための流動性は発現されない。しかしながらセルロースエステルは、ガラス転移温度以上において、熱量の吸収により弾性率或いは粘度が低下し、流動性が発現される。フィルム構成材料を溶融させるためには、添加する可塑剤がセルロースエステルのガラス転移温度よりも低い融点またはガラス転移温度をもつことが上記目的を満たすために好ましい。
本発明に係る可塑剤しては特に限定はないが、フィルムにヘイズを発生させたりフィルムからブリードアウト或いは揮発しないように、セルロース誘導体や他の添加剤と水素結合などによって相互作用可能である官能基を有していることが好ましい。
このような官能基としては、水酸基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、カルボン酸残基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、スルホン酸残基、ホスホニル基、ホスホン酸残基等が挙げられるが、好ましくはカルボニル基、エステル基、ホスホニル基である。
このような可塑剤の例として、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを好ましく用いることが出来るが、特に好ましくは多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤等の非リン酸エステル系可塑剤である。
多価アルコールエステルは2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。
本発明に用いられる多価アルコールは次の一般式(1)で表される。
一般式(1) R1−(OH)n
(但し、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数を表す)
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることが出来る。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
中でも炭素数5以上の多価アルコールを用いた多価アルコールエステルが好ましい。特に好ましくは炭素数5〜20である。
本発明の多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることが出来る。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることが出来る。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロース誘導体との相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることが出来る。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来るが、特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜3000であることが好ましく、350〜1500であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロース誘導体との相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を示す。
Figure 2006117714
Figure 2006117714
Figure 2006117714
Figure 2006117714
また、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するポリエステル系可塑剤を好ましく用いることが出来る。好ましいポリエステル系可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(2)で表せる可塑剤が好ましい。
一般式(2) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは0以上の整数を表す。)
一般式(2)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
本発明で使用されるポリエステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することが出来る。
本発明のポリエステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
また、本発明の芳香族末端エステルの炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用出来る。
本発明の芳香族末端エステルの炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
本発明で使用されるポリエステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは250〜2000、より好ましくは300〜1500の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は15mgKOH/g以下のものが好適である。
以下、本発明に用いられる芳香族末端エステル系可塑剤の合成例を示す。
〈サンプルNo.1(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、アジピン酸365部(2.5モル)、1,2−プロピレングリコール418部(5.5モル)、安息香酸610部(5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.30部を一括して仕込み窒素気流中で攪拌下、還流凝縮器を付して過剰の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで130〜250℃で加熱を続け生成する水を連続的に除去した。次いで200〜230℃で1.33×104〜最終的に4×102Pa以下の減圧下、留出分を除去し、この後濾過して次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);815
酸価 ;0.4
〈サンプルNo.2(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、アジピン酸365部(2.5モル)、安息香酸610部(5モル)、ジエチレングリコール583部(5.5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.45部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);90
酸価 ;0.05
〈サンプルNo.3(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器にフタル酸410部(2.5モル)、安息香酸610部(5モル)、ジプロピレングリコール737部(5.5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.40部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステル系可塑剤を得た。
粘度(25℃、mPa・s);43400
酸価 ;0.2
以下に、芳香族末端エステル系可塑剤の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2006117714
Figure 2006117714
本発明に用いられるポリエステル系可塑剤の含有量は、セルロースエステルフィルム中に1〜20質量%含有することが好ましく、特に3〜11質量%含有することが好ましい。
本発明の光学フィルムは、上記可塑剤以外の可塑剤を含有することも好ましい。
2種以上の可塑剤を含有させることによって、可塑剤の溶出を少なくすることが出来る。その理由は明らかではないが、1種類当たりの添加量を減らすことが出来ることと、2種の可塑剤同士及びセルロースエステルとの相互作用によって溶出が抑制されるものと思われる。
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するグリコレート系可塑剤を好ましく用いることが出来る。好ましいグリコレート系可塑剤としては、例えばブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート等を用いることが出来る。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
また、特開平11−349537号中に記載の一般式(1)で表されるフタル酸エステル系二量体が好ましく用いられ、具体的には、段落番号23、26に記載の化合物−1、化合物−2が好ましく用いられる。
Figure 2006117714
フタル酸エステル系二量体化合物は、上記一般式(1)で示される構造式を持つ化合物であり、二つのフタル酸を二価アルコールと混合加熱して脱水エステル化反応させて得ることができる。フタル酸エステル系二量体、末端水酸基含有ビスフェノール系化合物の平均分子量は250〜3000程度が好ましく、特に好ましくは300〜1000である。250以下では、熱安定性や可塑剤の揮発性及び移行性に問題が生じ、3000を越えると可塑剤としての相溶性、可塑化能力が低下し、脂肪酸セルロースエステル系樹脂組成物の加工性、透明性や機械的性質に悪影響を及ぼす。
クエン酸エステル系可塑剤としては、特に限定されずクエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられるが、下記一般式(3)で示されるクエン酸エステル化合物が好ましい。
Figure 2006117714
一般式(3)において、R1の脂肪族アシル基としては特に制限はないが、好ましくは炭素数1〜12であり、特に好ましくは炭素数1〜5である。具体的にはホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、パルミトイル、オレイル等を例示することが出来る。またR2のアルキル基としては特に制限はなく、また直鎖状、分岐を有するもののいずれでもよいが、好ましくは炭素数1〜24のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。特に酢酸セルロースエステル系樹脂の可塑剤として好ましいものとしては、R1が水素原子であり、R2がメチル基またはエチル基であるもの、並びにR1がアセチル基であり、R2がメチル基またはエチル基であるものである。
〈R1が水素原子であるクエン酸エステル化合物の製法〉
本発明に用いられるクエン酸エステル化合物の内、R1が水素原子であるものは、公知の方法を応用して製造することが出来る。公知の方法としては、例えば英国特許公報931,781号に記載のフタル酸ハーフエステルとα−ハロゲン化酢酸アルキルエステルからフタリルグリコール酸エステルを製造する方法が挙げられる。具体的には、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウムまたはクエン酸(以下、これらをクエン酸原料と略す。)、好ましくはクエン酸三ナトリウムの1モルに対し、R2に対応するアルキルエステルであるα−モノハロゲン化酢酸アルキル、例えばモノクロル酢酸メチル、モノクロル酢酸エチル等を化学量論以上の量、好ましくは1〜10モル、更に好ましくは2〜5モルを反応させる。反応系に水分が存在すると目的化合物の収率が低下するので、原料は出来る限り無水和物を用いる。反応にはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等の鎖状若しくは環状脂肪族第3アミンを触媒として用いることが出来、中でもトリエチルアミンが好ましい。触媒の使用量は、クエン酸原料1モルに対し、0.01〜1.0モル、好ましくは0.2〜0.5モルの範囲である。反応温度は60〜150℃で1〜24時間反応させる。反応溶媒は特に必要ではないが、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン等を使用することが出来る。反応後は、例えば水を加えて副生物や触媒を除去し、油層を水洗したのち、蒸留により、未反応の原料化合物と分離し目的物を単離することが出来る。
〈R1が脂肪族アシル基であるクエン酸エステル化合物の製法〉
1が脂肪族アシル基であり、R2がアルキル基である本発明のクエン酸エステル化合物は前記のR1が水素原子であるクエン酸エステル化合物を用いて製造することが出来る。即ち該クエン酸エステル化合物1モルに対しR1の脂肪族アシル基に相当するハロゲン化アシル、例えば塩化ホルミル、塩化アセチル等を1〜10モル反応させる。触媒としては、塩基性のピリジン等を該クエン酸エステル化合物1モルに対し0.1〜2モルを用いることが出来る。反応は無溶媒でよく、温度80〜100℃にて1〜5時間行う。反応後、反応混合物に水及び水に不溶の有機溶媒、例えばトルエンを加えて目的物を有機溶媒に溶解させ、水層と有機溶媒層を分離し、有機溶媒層を水洗したのち、蒸留等の常法により目的物を単離することが出来る。
本発明で用いられるクエン酸エステル化合物は、重量平均分子量490〜50000の紫外線吸収剤との組み合わせにおいて、白化ムラが少なく、活性線硬化樹脂層の筋状故障が発生し難く特に好ましい。
セルロースエステルに添加されるクエン酸エステル化合物の量は、セルロースエステル100質量部に対して5〜200質量部、特には10〜200質量部であることが好ましい。
またクエン酸エステル化合物のフィルム中の含有量は1〜30質量%が好ましく、特に2〜20質量%が好ましい。
リン酸エステル系可塑剤は、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等を用いることが出来るが、本発明ではリン酸エステル系可塑剤の含有比率が全可塑剤含有量の40質量%以下であることが好ましく、特に好ましくはリン酸エステル系可塑剤の含有量が1質量%未満である。更に好ましいのは添加していないことである。
エチレングリコールエステル系の可塑剤:具体的には、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート等のエチレングリコールアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジシクロプロピルカルボキシレート、エチレングリコールジシクロヘキルカルボキシレート等のエチレングリコールシクロアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジベンゾエート、エチレングリコールジ4−メチルベンゾエート等のエチレングリコールアリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていても良い。またアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基のミックスでも良く、またこれら置換基同志が共有結合で結合していても良い。更にエチレングリコール部も置換されていても良く、エチレングリコールエステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていても良く、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
グリセリンエステル系の可塑剤:具体的にはトリアセチン、トリブチリン、グリセリンジアセテートカプリレート、グリセリンオレートプロピオネート等のグリセリンアルキルエステル、グリセリントリシクロプロピルカルボキシレート、グリセリントリシクロヘキシルカルボキシレート等のグリセリンシクロアルキルエステル、グリセリントリベンゾエート、グリセリン4−メチルベンゾエート等のグリセリンアリールエステル、ジグリセリンテトラアセチレート、ジグリセリンテトラプロピオネート、ジグリセリンアセテートトリカプリレート、ジグリセリンテトララウレート、等のジグリセリンアルキルエステル、ジグリセリンテトラシクロブチルカルボキシレート、ジグリセリンテトラシクロペンチルカルボキシレート等のジグリセリンシクロアルキルエステル、ジグリセリンテトラベンゾエート、ジグリセリン3−メチルベンゾエート等のジグリセリンアリールエステル等が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていても良い。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでも良く、またこれら置換基同志が共有結合で結合していても良い。更にグリセリン、ジグリセリン部も置換されていても良く、グリセリンエステル、ジグリセリンエステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていても良く、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
ジカルボン酸エステル系の可塑剤:具体的には、ジドデシルマロネート(C1)、ジオクチルアジペート(C4)、ジブチルセバケート(C8)等のアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロペンチルサクシネート、ジシクロヘキシルアジーペート等のアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルサクシネート、ジ4−メチルフェニルグルタレート等のアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジヘキシル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロヘキシル−1,2−シクロブタンジカルボキシレート、ジシクロプロピル−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニル−1,1−シクロプロピルジカルボキシレート、ジ2−ナフチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロプロピルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルフタレート、ジ4−メチルフェニルフタレート等のアリールジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また一置換でも良く、これらの置換基は更に置換されていても良い。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでも良く、またこれら置換基同志が共有結合で結合していても良い。更にフタル酸の芳香環も置換されていて良く、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でも良い。またフタル酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていても良く、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
多価カルボン酸エステル系の可塑剤:具体的には、トリドデシルトリカルバレート、トリブチル−meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロヘキシルトリカルバレート、トリシクロプロピル−2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート、テトラ3−メチルフェニルテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、テトラヘキシル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、テトラブチル−1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、テトラシクロプロピル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、トリシクロヘキシル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート、ヘキサ4−メチルフェニル−1,2,3,4,5,6−シクロヘキシルヘキサカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、トリドデシルベンゼン−1,2,4−トリカルボキシレート、テトラオクチルベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロペンチルベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、テトラシクロヘキシルベンゼン−1,2,3,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニルベンゼン−1,3,5−テトラカルトキシレート、ヘキサ4−メチルフェニルベンゼン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また一置換でも良く、これらの置換基は更に置換されていても良い。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでも良く、またこれら置換基同志が共有結合で結合していても良い。更にフタル酸の芳香環も置換されていて良く、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でも良い。またフタル酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていても良く、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
ポリマー可塑剤:具体的には、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドン等のビニル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア等が挙げられる。数平均分子量は、1000〜500000程度が好ましく、特に好ましくは、5000〜200,000である。1000以下では揮発性に問題が生じ、500000を超えると可塑化能力が低下し、セルロースエステル誘導体組成物の機械的性質に悪影響を及ぼす。これらポリマー可塑剤は1種の繰り返し単位からなる単独重合体でも、複数の繰り返し構造体を有する共重合体でも良い。また、上記ポリマーを2種以上併用して用いても良く、他の可塑剤、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤、滑り剤及びマット剤等を含有させても良い。
これらの可塑剤は単独或いは2種以上混合して用いることが出来る。フィルム中の可塑剤の総含有量は、セルロースエステルに対して1質量%未満ではフィルムの透湿度を低減させる効果が少ないため好ましくなく、30質量%を越えると相溶性やブリードアウトといった問題が起こりやすく、フィルムの物性が劣化するため、1〜30質量%が好ましい。5〜25質量%が更に好ましく、特に好ましくは8〜20質量%である。
〔紫外線吸収剤〕
本発明に用いられる紫外線吸収剤は、特に制限されるものではないが、重量平均分子量が490〜50000の範囲内の紫外線吸収剤であることが好ましく、紫外線吸収骨格として少なくともベンゾトリアゾール骨格を2つ以上有する化合物であることが好ましく、更に該紫外線吸収剤が重量平均分子量490〜2000の化合物と、重量平均分子量2000〜50000の紫外線吸収剤とを含有することが好ましい。
以下、本発明に用いられる紫外線吸収剤について詳細に説明する。
紫外線吸収剤としては、偏光子や表示装置の紫外線に対する劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることが出来るが、ベンゾフェノン系化合物や着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤を用いてもよい。
これらの紫外線吸収剤の中でも、重量平均分子量が490〜50000の範囲内の紫外線吸収剤であることが、本発明の効果を呈する上で好ましい。重量平均分子量が490未満である場合は、フィルム表面への滲出が起こる傾向にあると同時に、経時で着色する傾向が認められた。重量平均分子量が50000を超える場合は、フィルム樹脂との相溶性が悪くなる傾向にある。
また、本発明に係る紫外線吸収剤が、重量平均分子量490〜2000未満の紫外線吸収剤(A)と、重量平均分子量2000〜50000の紫外線吸収剤(B)とを含有することも好ましい態様である。分子量の異なる紫外線吸収剤を併用することは、本発明の効果を高めると同時に、前記滲出性や相溶性を満足する上で好ましい方法である。紫外線吸収剤(A)、(B)の混合比率は、1:99〜99:1の範囲で適宜選択されることが好ましい。
重量平均分子量が上記範囲内にあり、紫外線吸収骨格として少なくともベンゾトリアゾール骨格を2つ以上有する化合物である紫外線吸収剤の例としては、下記記一般式(4)で示されるようなビスベンゾトリアゾールフェノールであることが好ましい。
Figure 2006117714
一般式(4)において、R1、R2は、それぞれ、水素原子、置換、無置換の炭素数1〜20のアルキル基、R3、R4はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、Lは炭素数1〜4のアルキレン基を表す。
アルキル基の置換原子、置換基としては、ハロゲン原子、例えばクロロ原子、ブロム原子、フッ素原子など、ヒドロキシル基、フェニル基(このフェニル基には、アルキル基またはハロゲン原子などを置換していてもよい)等が挙げられる。
一般式(4)で示されるようなビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
1)RUVA−100/110(大塚化学製)
2)RUVA−206(大塚化学製)
3)Tinuvin−360(チバスペシャルティケミカルズ製)
4)アデカスタブLA−31(旭電化製)
5)アデカスタブLA−31RG(旭電化製)
また、本発明に係る紫外線吸収剤の少なくとも1種が380nmにおけるモル吸光係数が4000以上である紫外線吸収性モノマーとエチレン性不飽和モノマーとの共重合体であり、更に該エチレン性不飽和モノマー成分として、少なくとも1種の親水性基を有するエチレン性不飽和モノマー成分を有することが好ましい。
380nmに於けるモル吸光係数が4000以上である場合、紫外線吸収性能が良好であることを示し、紫外光を遮断しうるのに充分な効果が得られ、よって光学フィルム自身が黄色く着色してしまう等の問題は改善され、光学フィルム自身の透明性は向上する。
本発明に於ける紫外線吸収性共重合ポリマーに用いる紫外線吸収性モノマーとしては、380nmに於けるモル吸光係数が4000以上、好ましくは8000以上、更に好ましくは10000以上のものを使用するのが良い。380nmに於けるモル吸光係数が4000未満の場合、所望のUV吸収性能を得るために多量の添加が必要となり、ヘイズの上昇或いは紫外線吸収剤の析出等により透明性の低下が著しく、フィルム強度が低下する傾向となる。
更に上記紫外線吸収性共重合ポリマーに用いる紫外線吸収性モノマーとしては、380nmに於けるモル吸光係数に対する400nmに於けるモル吸光係数の比が20以上であることが好ましい。
即ちより可視域に近い、400nm付近の光の吸収を抑え、所望のUV吸収性能を得るためには、可能な限り紫外光を吸収しうる性能を有する紫外線吸収性モノマーを含有することが本発明においては好ましい。
a.紫外線吸収性モノマー
紫外線吸収性モノマー(紫外線吸収剤)は380nmに於けるモル吸光係数が4000以上であり、特に380nmに於けるモル吸光係数に対する400nmに於けるモル吸光係数の比が20以上であることが好ましい。
紫外線吸収性モノマーとしては、例えばサリチル酸系紫外線吸収剤(フェニルサリシレート、p−tert−ブチルサリシレート等)或いはベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン等)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミル−フェニル)ベンゾトリアゾール等)、シアノアクリレート系紫外線吸収剤(2′−エチルへキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3−(3′,4′−メチレンジオキシフェニル)−アクリレート等)、トリアジン系紫外線吸収剤(2−(2′−ヒドロキシ−4′−へキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニルトリアジン等)或いは特開昭58−185677号、同59−149350号記載の化合物等が知られている。
本発明に於ける紫外線吸収性モノマーとしては、上記に示したような公知の様々なタイプの紫外線吸収剤の中から適宜基本骨格を選択し、エチレン性不飽和結合を含む置換基を導入し、重合可能な化合物とした上で、380nmに於けるモル吸光係数が4000以上であるものを選択して用いることが好ましい。本発明の紫外線吸収性モノマーとしては保存安定性の点で、ベンゾトリアゾール系化合物を用いることが好ましい。特に好ましい紫外線吸収性モノマーは、下記一般式(5)で表される。
Figure 2006117714
一般式(5)に於いて、R11〜R16で示される各置換基は、特に断りがない限り更に置換基を有していても良い。
一般式(5)に於いて、R11〜R16で示される基の何れか1つは、上記構造の基で表される重合性基を部分構造として有する。
式中、Lは2価の連結基または単なる結合手を表し、R1は水素原子またはアルキル基を表す。R1としては水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。上記重合性基を含む基は、R11〜R16で示される基の何れであっても良いが、R11またはR13、R14、R15が好ましく、特にR14が好ましい。
一般式(5)に於いて、R11はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を介してベンゼン環上に置換する基を表す。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられるが、塩素原子が好ましい。
酸素原子を介してベンゼン環上に置換する基としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、2−エトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ基、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ基等)、複素環オキシ基(例えば4−ピリジルオキシ基、2−ヘキサヒドロピラニルオキシ基等)、カルボニルオキシ基(例えばアセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等のアリールオキシ基等)、ウレタン基(例えばN,N−ジメチルウレタン基等のアルキルウレタン基、N−フェニルウレタン基、N−(p−シアノフェニル)ウレタン基等のアリールウレタン基)、スルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、n−ドデカンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基)等が挙げられるが、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、特に炭素数2〜4のアルコキシ基が好ましい。
窒素原子を介してベンゼン環上に置換する基としては、ニトロ基、アミノ基(例えばジメチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基等のアルキルアミノ基、アニリノ基、p−t−オクチルアニリノ基等のアリールアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ヘプタフルオロプロパンスルホニルアミノ基、ヘキサデシルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基、ペンタフルオロベンゼンスルホニルアミノ等のアリールスルホニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(例えばN,N−ジメチルスルファモイルアミノ基等のアルキルスルファモイルアミノ基、N−フェニルスルファモイルアミノ基等のアリールスルファモイルアミノ基)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ミリストイルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等アリールカルボニルアミノ基)、ウレイド基(例えばN,N−ジメチルアミノウレイド基等のアルキルウレイド基、N−フェニルウレイド基、N−(p−シアノフェニル)ウレイド基等のアリールウレイド基)等が挙げられるが、アシルアミノ基が好ましい。
硫黄原子を介してベンゼン環上に置換する基としては、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、t−オクチルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基等)、複素環チオ基(例えば1−フェニルテトラゾール−5−チオ基、5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−チオ基等)、スルフィニル基(例えばメタンスルフィニル基、トリフルオロメタンスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基、及びp−トルエンスルフィニル基等のアリールスルフィニル基)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、及びp−トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基)、スルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノスルホニル基等のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等のアリールスルファモイル基)が挙げられるが、スルフィニル基が好ましく、特に炭素数4〜12のアルキルスルフィニル基が好ましい。
一般式(5)に於いて、nは1〜4迄の整数を表すが、1または2が好ましい。nが2以上の場合、R11で示される複数の基は同じであっても良いし、異なっていてもよい。R11で表される置換基の置換位置は特に制限は無いが、4位または5位が好ましい。
一般式(5)に於いて、R12は水素原子、または脂肪族基(例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等)、芳香族基(例えばフェニル基、p−クロロフェニル基等)、ヘテロ環基(例えば2−テトラヒドロフリル基、2−チオフェニル基、4−イミダゾリル基、インドリン−1−イル基、及び2−ピリジル基等)を表す。R12としては水素原子及びアルキル基が好ましい。
一般式(5)に於いて、R13は水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表すが、R13としては水素原子または炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、特にi−プロピル基、t−ブチル基、t−アミル基の様な分岐アルキル基が耐久性に優れるため好ましい。
一般式(5)に於いて、R14は酸素原子または窒素原子を介してベンゼン環上に置換する基を表し、具体的にはR11で示した酸素原子または窒素原子を介してベンゼン環上に置換する基と同様な基が挙げられる。R14としてはアシルアミノ基またはアルコキシ基が好ましい。R14に前記重合性基が部分構造として含まれる場合、R14としては、
Figure 2006117714
が好ましい。
式中、L2は炭素数1〜12のアルキレン基、好ましくは3〜6の直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基を表す。R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは2〜6のアルキル基を表す。
一般式(5)に於いて、R15は水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表すが、R15としては水素原子または炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、特にi−プロピル基、t−ブチル基、t−アミル基の様な分岐アルキル基が好ましい。
一般式(5)に於いて、R16は水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表すが、R16としては水素原子が好ましい。
以下に本発明で用いられる好ましい紫外線吸収性モノマーを例示するが、これらに限定されるものではない。
Figure 2006117714
Figure 2006117714
Figure 2006117714
b.ポリマーの説明
本発明に用いられる紫外線吸収性共重合ポリマーは上記紫外線吸収性モノマーとエチレン性不飽和モノマーとの共重合体であって、該共重合体の重量平均分子量が490〜50000の範囲内であることが好ましい。
共重合体とすることで、ヘイズが低減され、透明度に優れる光学フィルムを得ることが出来る。本発明に於いて、重量平均分子量は490〜50000の範囲内であるが、好ましくは2000〜20000、更に好ましくは7000〜15000が良い。重量平均分子量が490未満の場合、フィルム表面への滲出が起こる傾向があると同時に、経時で着色する傾向が認められた。また50000より大きい場合、樹脂との相溶性が悪くなる傾向にある。
上記紫外線吸収性モノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、例えばメタクリル酸及びそのエステル誘導体(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等)、或いはアクリル酸及びそのエステル誘導体(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸ジエチレングリコールエトキシレート、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル等)、アルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等)、アルキルビニルエステル(ギ酸ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等)、アクリロニトリル、塩化ビニル、スチレン等を挙げることが出来る。
これらエチレン性不飽和モノマーの内、ヒドロキシル基またはエーテル結合を有するアクリル酸エステル、またはメタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸ジエチレングリコールエトキシレート、アクリル酸3−メトキシブチル)が好ましい。これらは1種単独で、または2種以上混合して、紫外線吸収性モノマーと共重合させることが出来る。
上記紫外線吸収性モノマーと共重合可能な上記エチレン性不飽和モノマーの使用割合は、得られる紫外線吸収性共重合ポリマーと透明樹脂との相溶性、光学フィルムの透明性や機械的強度に対する影響を考慮して選択される。好ましくは上記共重合体中に紫外線吸収性モノマーが20〜70質量%、更に好ましくは30〜60質量%含有される様に両者を配合するのが良い。紫外線吸収性モノマーの含有量が20質量%未満の場合、所望の紫外線吸収性能を得るために多量の添加が必要となり、ヘイズの上昇或いは析出等により透明性が低下し、フィルム強度が低下する傾向となる。紫外線吸収性モノマーの含有量が70質量%より大きい場合、透明樹脂との相溶性が悪くなる傾向に有り、フィルム形成する場合の作業性に劣る。
c.重合法の説明
本発明に於ける紫外線吸収性共重合ポリマーを重合する方法は特に問わないが、従来公知の方法を広く採用することが出来、例えばラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などが挙げられる。ラジカル重合法の開始剤としては、例えば、アゾ化合物、過酸化物等が挙げられ、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソブチル酸ジエステル誘導体、過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。重合溶媒は特に問わないが、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、メタノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、水溶媒等が挙げられる。溶媒の選択により、均一系で重合する溶液重合、生成したポリマーが沈澱する沈澱重合、ミセル状態で重合する乳化重合を行うことも出来る。
上記紫外線吸収性共重合ポリマーの重量平均分子量は、公知の分子量調節方法で調整することが出来る。そのような分子量調節方法としては、例えば四塩化炭素、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル等の連鎖移動剤を添加する方法等が挙げられる。重合温度は通常室温から130℃、好ましくは50〜100℃で行われる。
上記紫外線吸収性共重合ポリマーは、光学フィルムを形成する透明樹脂に対し、0.01〜40質量%の割合で混ぜることが好ましく、更に好ましくは0.1〜10質量%の割合で混ぜることが好ましい。この時、光学フィルムを形成したときのヘイズが0.5以下であれば特に制限はされないが、好ましくはヘイズが0.2以下である。更に好ましくは、光学フィルムを形成したときのヘイズが0.2以下であり380nmに於ける透過率が10%以下であることである。
更に、紫外線吸収剤の少なくとも1種が下記一般式(6)で表される紫外線吸収モノマーから誘導されるポリマーを含有することも好ましい。
Figure 2006117714
一般式(6)において、nは0〜3の整数を表し、nが2以上の時、複数のR5同士は同じであっても異なっていても良く、また互いに連結して5〜7員の環を形成していても良い。
1〜R5は、各々水素原子、ハロゲン原子または置換基を表す。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、好ましくはフッ素原子、塩素原子である。また、置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基など)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基など)、ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基など)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アシル基(例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基など)、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基など)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基など)、アニリノ基(例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基など)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基など)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基など)、スルファモイルアミノ基(例えば、ジメチルスルファモイルアミノ基など)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、フェニルスルホニル基など)、スルファモイル基(例えば、エチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基など)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基など)、ウレイド基(例えば、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基など)、イミド基(例えば、フタルイミド基など)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ブチルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基など)等が挙げられるが、好ましくは、アルキル基、アリール基である。
一般式(6)において、R1〜R5で表される各基が、更に置換可能な基である場合、更に置換基を有していてもよく、また、隣接するR1〜R4が互いに連結して5〜7員の環を形成していてもよい。
6は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環を表すが、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基などが挙げられる。また、上記アルキル基は更にハロゲン原子、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、置換基としては、例えば、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基など)、アシル基(例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基など)、アニリノ基(例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基など)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基など)、ヒドロキシル基、シアノ基、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基など)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基など)が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和環式炭化水素を挙げることが出来、これらは無置換でも、置換されていても良い。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−メチル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、オレイル基などが挙げられるが、好ましくはビニル基、1−メチル−2−プロペニル基である。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基、ブタジイル基、フェニルエチニル基、プロパルギル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−ブチニル基、1,1−ジメチル−2−プロピニル基などが挙げられるが、好ましくは、エチニル基、プロパルギル基である。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などが挙げられるが、上記アリール基は更にハロゲン原子、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子などが挙げられ、置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基など)、アシル基(例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基など)、アニリノ基(例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基など)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基など)、ヒドロキシル基、シアノ基、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基など)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基など)が挙げられる。
ヘテロ環基としては、例えば、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基等が挙げられる。R6として、好ましくはアルキル基である。
一般式(6)において、Xは−COO−、−CONR7−、−OCO−または−NR7CO−を表す。
7は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表すが、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基などが挙げられる。かかるアルキル基は、更にハロゲン原子、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、置換基としては、例えば、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基など)、アシル基(例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基など)、アニリノ基(例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基など)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基など)、ヒドロキシル基、シアノ基、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基など)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基など)が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和環式炭化水素を挙げることが出来、これらは無置換でも、置換されていても良い。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などが挙げられるが、かかるアリール基は更にハロゲン原子、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子などが挙げられ、置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基など)、アシル基(例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基など)、アニリノ基(例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基など)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基など)、ヒドロキシル基、シアノ基、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基など)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基など)が挙げられる。
ヘテロ環基としては、例えば、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基等が挙げられる。R7として、好ましくは水素原子である。
本発明でいう重合性基とは、不飽和エチレン系重合性基または二官能系重縮合性基を意味するが、好ましくは不飽和エチレン系重合性基である。不飽和エチレン系重合性基の具体例としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、シアン化ビニル基、2−シアノアクリルオキシ基、1,2−エポキシ基、ビニルベンジル基、ビニルエーテル基などが挙げられるが、好ましくは、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基アクリルアミド基、メタクリルアミド基である。また、重合性基を部分構造として有するとは、上記重合性基が直接、若しくは2価以上の連結基によって結合していることを意味し、2価以上の連結基とは、例えば、アルキレン基(例えば、メチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、シクロヘキサン−1,4−ジイルなど)、アルケニレン基(例えば、エテン−1,2−ジイル、ブタジエン−1,4−ジイルなど)、アルキニレン基(例えば、エチン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイン−1,4−ジイルなど)、少なくとも一つの芳香族基を含む化合物から誘導される連結基(例えば、置換若しくは無置換のベンゼン、縮合多環炭化水素、芳香族複素環、芳香族炭化水素環集合、芳香族複素環集合など)、ヘテロ原子連結基(酸素、硫黄、窒素、ケイ素、リン原子など)が挙げられるが、好ましくは、アルキレン基、及び、ヘテロ原子で連結する基である。これらの連結基は更に組み合わせて複合基を形成してもよい。紫外線吸収性モノマーから誘導されるポリマーの重量平均分子量が2000以上30000以下であることが好ましく、より好ましくは5000以上20000以下である。
本発明に用いられる紫外線吸収性ポリマーの重量平均分子量は、公知の分子量調節方法で調整することが出来る。そのような分子量調節方法としては、例えば四塩化炭素、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル等の連鎖移動剤を添加する方法等が挙げられる。重合温度は通常室温から130℃、好ましくは50℃から100℃で行われる。
本発明に用いられる紫外線吸収性ポリマーは、紫外線吸収性モノマーと他の重合性モノマーとの共重合体であることが好ましく、共重合可能な他の重合性モノマーとしては、例えば、スチレン誘導体(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレンなど)、アクリル酸エステル誘導体(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなど)、メタクリル酸エステル誘導体(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等)、アルキルビニルエーテル(例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなど)、アルキルビニルエステル(例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなど)、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和化合物が挙げられる。好ましくは、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニルである。
紫外線吸収性モノマーから誘導されるポリマー中の紫外線吸収性モノマー以外の共重合成分が、親水性のエチレン性不飽和モノマーを少なくとも1種含有することも好ましい。
親水性のエチレン性不飽和モノマーとしては、親水性で分子中に重合可能な不飽和二重結合を有するもので有れば特に制限されず、例えば、アクリル酸或いはメタクリル酸等の不飽和カルボン酸、若しくはヒドロキシル基またはエーテル結合を有する、アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロピルメタクリレート、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸ジエチレングリコールエトキシレート、アクリル酸3−メトキシブチルなど)、アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン等が挙げられる。
親水性のエチレン性不飽和モノマーとしては、水酸基若しくはカルボキシル基を分子内に有する(メタ)アクリレートが好ましく、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルが特に好ましい。
これらの重合性モノマーは、1種、または2種以上併用して紫外線吸収性モノマーと共重合させることが出来る。
本発明に用いられる紫外線吸収性共重合ポリマーの重合方法は、特に問わないが、従来公知の方法を広く採用することが出来、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などが挙げられる。ラジカル重合法の開始剤としては、例えば、アゾ化合物、過酸化物等が挙げられ、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソブチル酸ジエステル誘導体、過酸化ベンゾイル、過酸化水素などが挙げられる。重合溶媒は特に問わないが、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、メタノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、水溶媒等が挙げられる。溶媒の選択により、均一系で重合する溶液重合、生成したポリマーが沈澱する沈澱重合、ミセル状態で重合する乳化重合、懸濁状態で重合する懸濁重合を行うことも出来る。
上記紫外線吸収性モノマー、これと共重合可能な重合性モノマー及び親水性のエチレン性不飽和モノマーの使用割合は、得られる紫外線吸収性共重合ポリマーと他の透明ポリマーとの相溶性、光学フィルムの透明性や機械的強度に対する影響を考慮して適宜選択される。
紫外線吸収性モノマーから誘導されるポリマー中の紫外線吸収性モノマーの含有比率は全体の1〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは、5〜60質量%である。紫外線吸収性ポリマーにおける紫外線モノマーの含有比率が1質量%未満の場合、所望の紫外線吸収性能を満たそうとした場合に多量の紫外線吸収性ポリマーを使用しなければならず、ヘイズの上昇或いは析出などにより透明性が低下し、フィルム強度を低下させる要因となる。一方、紫外線吸収性ポリマーにおける紫外線モノマーの含有比率が70質量%を超えた場合、他のポリマーとの相溶性が低下するため、透明な光学フィルムを得ることが困難になる場合もある。
親水性エチレン性不飽和モノマーは、上記紫外線吸収性共重合体中に、0.1〜50質量%含まれることが好ましい。0.1質量%以下では、親水性エチレン性不飽和モノマーによる相溶性の改良効果が現れず、50質量%より多いと共重合体の単離精製が困難となる。親水性エチレン性不飽和モノマーの更に好ましい含量は0.5〜20質量%である。紫外線吸収性モノマー自身に親水性基が置換している場合、親水性の紫外線吸収性モノマーと、親水性エチレン性不飽和モノマーの合計の含量が上記範囲内であることが好ましい。
紫外線吸収性モノマー及び親水性モノマーの好ましい含有量を満たすために、両者に加え、更に分子中に親水性基を有さないエチレン性不飽和モノマーを共重合させることが好ましい。
紫外線吸収性モノマー及び(非)親水性エチレン性不飽和モノマーは、各々2種以上混合して共重合させても良い。
以下、本発明に好ましく用いられる紫外線吸収性モノマーの代表例を例示するが、これらに限定されるものではない。
Figure 2006117714
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本発明に用いられる紫外線吸収剤、紫外線吸収性モノマー及びその中間体は公知の文献を参照して合成することが出来る。例えば、米国特許第3,072,585号、同3,159,646号、同3,399,173号、同3,761,272号、同4,028,331号、同5,683,861号、ヨーロッパ特許第86,300,416号、特開昭63−227575号、同63−185969号、Polymer Bulletin.V.20(2)、169−176及びChemical Abstracts V.109、No.191389などを参照して合成することが出来る。
本発明に用いられる紫外線吸収剤及び紫外線吸収性ポリマーは、他の透明ポリマーに混合する際に、必要に応じて低分子化合物若しくは高分子化合物、無機化合物などを一緒に用いることも出来る。例えば、本発明に用いられる紫外線吸収性ポリマーと他の比較的低分子紫外線吸収剤とを同時に他の透明ポリマーに混合したり、本発明に用いられる紫外線吸収性ポリマーと他の比較的低分子の紫外線吸収剤とを、同時に他の透明ポリマーに混合することも好ましい態様の一つである。同様に、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤などの添加剤を同時に混合することも好ましい態様の一つである。
本発明に用いられる紫外線吸収剤及び紫外線吸収性ポリマーの添加方法は、特に限定されないが樹脂と混練したり、樹脂と共に一度溶媒に溶解したものを乾燥固形化して用いてもよい。
また前述の紫外線吸収性ポリマーの中間体である紫外線吸収性モノマー及び他の共重合成分であるモノマーを、セルロースエステル溶解物中に含有させ製膜中若しくは製膜後に重合させることも出来る。
本発明に用いられる紫外線吸収剤及び紫外線吸収性ポリマーの使用量は、化合物の種類、使用条件などにより一様ではないが、紫外線吸収剤である場合には、光学フィルム1m2当たり0.1〜5.0gが好ましく、0.1〜3.0gが更に好ましく、0.4〜2.0が更に好ましく、0.5〜1.5が特に好ましい。また、紫外線吸収ポリマーである場合には、光学フィルム1m2当たり0.1〜10gが好ましく、0.6〜9.0gが更に好ましく、1.2〜6.0gが更に好ましく、1.5〜3.0gが特に好ましい。
更に前述したように、液晶劣化防止の観点から波長380nm以下の紫外線吸収性能に優れ、かつ、良好な液晶表示性の観点から400nm以上の可視光吸収が少ないものが好ましい。本発明においては、特に、波長380nmでの透過率が8%以下であることが好ましく、4%以下が更に好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
本発明に用いることの出来る市販品としての紫外線吸収剤モノマーとして、UVM−1の1−(2−ベンゾトリアゾール)−2−ヒドロキシ−5−(2−ビニルオキシカルボニルエチル)ベンゼン、大塚化学社製の反応型紫外線吸収剤RUVA−93の1−(2−ベンゾトリアゾール)−2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)ベンゼンまたはこの類似化合物がある。これらを単独または共重合したポリマーまたはコポリマーも好ましく用いられるが、これらに限定されない。例えば、市販品の高分子紫外線吸収剤として、大塚化学(株)製のPUVA−30Mも好ましく用いられる。紫外線吸収剤は2種以上用いてもよい。
(セルロースエステルと添加剤との混合)
本発明は、加熱溶融する前にセルロースエステルと可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤を混合することが好ましい。
添加剤を混合させる方法としては、好ましくはセルロースエステルと添加剤との混合物を超臨界状態として混合、均一化することである。この時溶媒も用いた場合は、溶媒を除去する方法として公知の方法が適用出来、例えば、液中乾燥法、気中乾燥法、溶媒共沈法、凍結乾燥法、溶液流延法等が挙げられ、溶媒除去後のセルロースエステル及び添加剤の混合物は、粉体、顆粒、ペレット、フィルム等の形状に調整することが出来る。
添加剤の混合は、セルロースエステルの合成工程において析出固化と同時に行っても良い。
液中乾燥法は、例えば、セルロースエステル及び添加剤を溶解した溶液にラウリル硫酸ナトリウム等の活性剤水溶液を加え、乳化分散する。次いで、常圧または減圧蒸留して溶媒を除去し、添加剤と混合されたセルロースエステルの分散物を得ることが出来る。更に、活性剤除去のため、遠心分離やデカンテーションを行うことが好ましい。乳化法としては、各種の方法を用いる事が出来、超音波、高速回転せん断、高圧による乳化分散装置を使用する事が好ましい。
超音波による乳化分散では、所謂バッチ式と連続式の2通りが使用可能である。バッチ式は、比較的少量のサンプル作製に適し、連続式は大量のサンプル作製に適する。連続式では、例えば、UH−600SR(株式会社エスエムテー製)のような装置を用いることが可能である。このような連続式の場合、超音波の照射時間は、分散室容積/流速×循環回数で求めることが出来る。超音波照射装置が複数ある場合は、それぞれの照射時間の合計としてもとめられる。超音波の照射時間は実際上は10000秒以下である。また、10000秒以上必要であると、工程の負荷が大きく、実際上は乳化剤の再選択などにより乳化分散時間を短くする必要がある。その為10000秒以上は必要でない。更に好ましくは、10秒以上、2000秒以内である。
高速回転せん断による乳化分散装置としては、ディスパーミキサー、ホモミキサー、ウルトラミキサーなどが使用出来、これらの型式は、乳化分散時の液粘度によって使い分けることが出来る。
高圧による乳化分散では、LAB2000(エスエムテー社製)などが使用出来るが、その乳化・分散能力は、試料にかけられる圧力に依存する。圧力は104kPa〜5×105kPaの範囲が好ましい。
活性剤としては、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、高分子分散剤などを用いることが出来、溶媒や目的とする乳化物の粒径に応じて決めることが出来る。
気中乾燥法は、例えば、GS310(ヤマト科学社製)のようなスプレードライヤーを用いて、セルロースエステル及び添加剤を溶解した溶液を、噴霧し乾燥するものである。
溶媒共沈法は、セルロースエステル及び添加剤を溶解した溶液を、セルロースエステル及び添加剤に対して貧溶媒であるものに添加し、析出させるものである。貧溶媒はセルロースエステルを溶解する前記溶媒と任意に混合することが出来る。貧溶媒は混合溶媒でもかまわない。また、セルロースエステル及び添加剤の溶液中に、貧溶媒を加えてもかまわない。
析出したセルロースエステル及び添加剤の混合物は、濾過、乾燥し分離することが出来る。
セルロースエステルと添加剤の混合物において、混合物中の添加剤の粒径は、1μm以下であることが好ましく、更に好ましくは500nm以下であり、特に好ましくは200nm以下である。添加剤の粒径が小さいほど、溶融成形物の機械特性、光学特性の分布が均一になり好ましい。
上記セルロースエステルと添加剤の混合物、及び加熱溶融時に添加する添加剤は、加熱溶融前または加熱溶融時に乾燥されることが望ましい。ここで乾燥とは、溶融材料のいずれかが吸湿した水分に加え、セルロースエステルと添加剤の混合物の調整時に用いた水または溶媒、セルロースエステルに残存する流体、超臨界となる物質、添加剤の合成時に混入している溶媒のいずれかの除去をさす。
この除去する方法は公知の乾燥方法が適用出来、加熱法、減圧法、加熱減圧法等の方法で行うことが出来、空気中または不活性ガスとして窒素を選択した雰囲気下で行ってもよい。これらの公知の乾燥方法を行うとき、材料が分解しない温度領域で行うことがフィルムの品質上好ましい。
例えば、前記乾燥工程で除去した後の残存する水分または溶媒は、各々フィルム構成材料の全体の質量に対して10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下にすることである。このときの乾燥温度は、100℃以上且つ乾燥する材料のTg以下であることが好ましい。材料同士の融着を回避する観点を含めると、乾燥温度は、より好ましくは100℃以上(Tg−5)℃以下、更に好ましくは110℃以上(Tg−20)℃以下である。好ましい乾燥時間は0.5〜24時間、より好ましくは1〜18時間、更に好ましくは1.5〜12時間である。これらの範囲よりも低いと乾燥度が低いか、または乾燥時間がかかり過ぎることがある。また乾燥する材料にTgが存在するときには、Tgよりも高い乾燥温度に加熱すると、材料が融着して取り扱いが困難になることがある。
乾燥工程は2段階以上に分けて行ってもよく、例えば予備乾燥工程による材料の保管と、溶融製膜する直前〜1週間前の間に行う直前乾燥工程を介して溶融製膜してもよい。
(添加剤)
本発明に用いることの出来る前記可塑剤、紫外線吸収剤以外の添加剤としては、酸化防止剤、酸捕捉剤、光安定剤、過酸化物分解剤、ラジカル捕捉剤、金属不活性化剤、マット剤等の金属化合物、リターデーション調整剤、染料、顔料などが挙げられる。また、上記機能を有するものであれば、これに分類されない添加剤も用いられる。
フィルム構成材料の酸化防止、分解して発生した酸の捕捉、光または熱によるラジカル種基因の分解反応を抑制または禁止する等、解明出来ていない分解反応を含めて、着色や分子量低下に代表される変質や材料の分解による揮発成分の生成を抑制するために、また透湿性、易滑性といった機能を付与するために添加剤を用いる。
一方、フィルム構成材料を加熱溶融すると分解反応が著しくなり、この分解反応によって着色や分子量低下に由来した該構成材料の強度劣化を伴うことがある。またフィルム構成材料の分解反応によって、好ましくない揮発成分の発生も併発することもある。
フィルム構成材料を加熱溶融する時、上述の添加剤を含有していることが好ましく、材料の劣化や分解に基づく強度の劣化を抑制すること、または材料固有の強度を維持出来る観点で優れている。
また、上述の添加剤の存在は、加熱溶融時において可視光領域の着色物の生成を抑制すること、または揮発成分がフィルム中に混入することによって生じる透過率やヘイズ値といった光学フィルムとして好ましくない性能を抑制または消滅出来る点で優れている。
本発明において液晶表示画像の表示画像は、本発明の構成で光学フィルムを用いるとき1%を超えると影響を与えるため、好ましくはヘイズ値は1%未満、より好ましくは0.5%未満である。
上述のフィルム構成材料の保存或いは製膜工程において、空気中の酸素による劣化反応が併発することがある。この場合、上記添加剤の安定化作用とともに、空気中の酸素濃度を低減させることが好ましい。これは、公知の技術として不活性ガスとして窒素やアルゴンの使用、減圧〜真空による脱気操作、及び密閉環境下による操作が挙げられ、これら3者の内少なくとも1つの方法を上記添加剤を存在させる方法と併用することが出来る。フィルム構成材料が空気中の酸素と接触する確率を低減することにより、該材料の劣化が抑制出来、本発明の目的のためには好ましい。
本発明の光学フィルムは、偏光板保護フィルムとして活用するため、本発明の偏光板及び偏光板を構成する偏光子に対して経時保存性を向上させる観点からも、フィルム構成材料中に上述の添加剤が存在することが好ましい。
本発明の偏光板を用いた液晶表示装置において、本発明の光学フィルムに上述の添加剤が存在するため、上記の変質や劣化を抑制する観点から光学フィルムの経時保存性が向上出来るとともに、液晶表示装置の表示品質向上においても、光学フィルムが付与された光学的な補償設計が長期にわたって機能発現出来る点で優れている。
以下、添加剤について、更に詳述する。
(酸化防止剤)
本発明に用いられる酸化防止剤について説明する。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、耐熱加工安定剤、酸素スカベンジャー等が挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、成型時の熱や酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を防止出来る。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることが出来、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明に係る重合体100質量部に対して好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール酸化防止剤化合物が好ましく、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12〜14欄に記載されているものなどの、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物が含まれる。このような化合物には、以下の一般式(7)のものが含まれる。
Figure 2006117714
上式中、R1、R2及びR3は、更に置換されているかまたは置換されていないアルキル置換基を表す。ヒンダードフェノール化合物の具体例には、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリトリトール−テトラキス−[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトール−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。上記タイプのヒンダードフェノール系酸化防止剤化合物は、例えば、Ciba Specialty Chemicalsから、”Irganox1076”及び”Irganox1010”という商品名で市販されている。
その他の酸化防止剤としては、具体的には、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等の耐熱加工安定剤、特公平08−27508記載の3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン系化合物、3,3’−スピロジクロマン系化合物、1,1−スピロインダン系化合物、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンオキシド、チオモルホリンジオキシド、ピペラジン骨格を部分構造に有する化合物、特開平03−174150記載のジアルコキシベンゼン系化合物等の酸素スカベンジャー等が挙げられる。これら酸化防止剤の部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていても良く、可塑剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
酸化防止剤はセルロースエステルと共に超臨界状態とされ、セルロースエステルと混合されることが好ましい。
(酸捕捉剤)
酸捕捉剤としては、米国特許第4,137,201号明細書に記載されている酸捕捉剤としてのエポキシ化合物を含んでなるのが好ましい。このような酸捕捉剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシドなどの縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテルなど、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(即ち、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、2〜22この炭素原子の脂肪酸の4〜2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)など)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリドなど(例えば、エポキシ化大豆油などの組成物によって代表され、例示され得る、エポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらは時としてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している))が含まれる。特に好ましいのは、市販のエポキシ基含有エポキシドエステル化合物 EPON815c(miller−stephenson chemical company,inc.製)、及び一般式(8)の他のエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生成物である。
Figure 2006117714
上式中、nは0〜12に等しい。用いることが出来る更に可能な酸捕捉剤としては、特開平5−194788号公報の段落87〜105に記載されているものが含まれる。
酸捕捉剤はセルロースエステルと共に超臨界状態とされ、セルロースエステルと混合されることが好ましい。
(光安定剤)
光安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)化合物が挙げられ、これは既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄及び米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、またはそれらの酸付加塩若しくはそれらと金属化合物との錯体が含まれる。このような化合物には、以下の一般式(9)のものが含まれる。
Figure 2006117714
上式中、R1及びR2は、Hまたは置換基である。ヒンダードアミン光安定剤化合物の具体例には、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−アリル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ベンジル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(4−t−ブチル−2−ブテニル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−エチル−4−サリチロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル−β(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1−ベンジル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルマレイネート(maleinate)、(ジ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−アジペート、(ジ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−セバケート、(ジ−1,2,3,6−テトラメチル−2,6−ジエチル−ピペリジン−4−イル)−セバケート、(ジ−1−アリル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−フタレート、1−アセチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセテート、トリメリト酸−トリ−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)エステル、1−アクリロイル−4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ジブチル−マロン酸−ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−ピペリジン−4−イル)−エステル、ジベンジル−マロン酸−ジ−(1,2,3,6−テトラメチル−2,6−ジエチル−ピペリジン−4−イル)−エステル、ジメチル−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オキシ)−シラン,トリス−(1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ホスフィット、トリス−(1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ホスフェート,N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレン−1,6−ジアミン、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレン−1,6−ジアセトアミド、1−アセチル−4−(N−シクロヘキシルアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン、4−ベンジルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N’−ジブチル−アジパミド、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N’−ジシクロヘキシル−(2−ヒドロキシプロピレン)、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−p−キシリレン−ジアミン、4−(ビス−2−ヒドロキシエチル)−アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−メタクリルアミド−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、α−シアノ−β−メチル−β−[N−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)]−アミノ−アクリル酸メチルエステル。好ましいヒンダードアミン光安定剤の例には、以下のHALS−1及びHALS−2が含まれる。
Figure 2006117714
これらのヒンダードアミン系耐光安定剤は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることが出来、またこれらヒンダードアミン系耐光安定剤と可塑剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤と併用しても、添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、フィルム中に好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%、特に好ましくは0.05〜1質量%である。
光安定剤はセルロースエステルと共に超臨界状態とし、セルロースエステルと混合されることが好ましい。
(微粒子剤)
本発明の光学フィルムは、滑り性を付与するため、或いは物性を改善するためにマット剤等の微粒子を添加することが出来る。微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられ、その形状としては球状、平板状、棒状、針状、層状、不定形状等が用いられる。
微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の金属酸化物、水酸化物、ケイ酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることが出来る。中でも、二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを低く出来るので好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下出来るため好ましい。
表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどが挙げられる。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。また、微粒子の平均粒径は0.005〜1.0μmの範囲である。これらの一次粒子であっても凝集によって出来た二次粒子であってもよい。好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜50nmが好ましく、更に好ましくは、7〜14nmである。これらの微粒子はフィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させることが出来る。微粒子のセルロースエステル中の含有量はセルロースエステルに対して0.005〜10質量%が好ましく、特に0.05〜5質量%が好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子としては、日本アエロジル(株)製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600等を挙げることが出来、好ましくはアエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することが出来る。この場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えば、アエロジル200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲で使用出来る。
上記マット剤として用いられるフィルム中の微粒子の存在は、別の目的としてフィルムの強度向上のために用いることも出来る。
これらの微粒子はエステルと混練して添加することが出来、更に可塑剤、ヒンダードアミン化合物、ヒンダードフェノール化合物、紫外線吸収剤、酸捕捉剤などとともに混練することも出来る。或いは予めメタノール、エタノールなどの溶媒中に分散した微粒子をセルロースエステルに噴霧し、混合後乾燥させたものを用いてもよく、溶媒中に分散した微粒子を主にメチレンクロライド或いは酢酸メチルを溶媒とするセルロースエステル溶液に添加混合したものを乾燥させて固形化したものを溶融流延の原材料として用いてもよい。この微粒子を含むセルロースエステル溶液には、更に可塑剤、ヒンダードアミン化合物、ヒンダードフェノール化合物、紫外線吸収剤、酸捕捉剤などの一部若しくは全部を含有させることがより好ましい。
或いは、これらの微粒子はセルロースエステルと共に超臨界状態とされ、セルロースエステルと混合されることが好ましい。
微粒子を含む表面層を有するフィルムは、フィルムを共押出し法または逐次押出し法により製膜することで、少なくとも一方の面に平均粒子径が1.0μm以下の微粒子を含む表面層とから構成することが出来る。表面層に微粒子を含有する場合、フィルム内部を構成する層にも上記の微粒子を含有させてもよい。
(リターデーション制御剤)
本発明の光学フィルムは、液晶表示品質の向上のために、フィルム中にリターデーション制御剤を添加したり、配向膜を形成して液晶層を設け、光学フィルムと液晶層由来のリターデーションを複合化したりすることにより光学補償能を付与することが出来る。リターデーションを調節するために添加する化合物は、欧州特許911,656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物をリターデーション制御剤として使用することも出来る。例えば、下記棒状化合物が挙げられる。また二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環が特に好ましい。
〈棒状化合物〉
本発明の光学フィルムは、溶液の紫外線吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を含有させることが好ましい。
リターデーション値制御剤の機能の観点では、棒状化合物は、少なくとも一つの芳香族環を有することが好ましく、少なくとも二つの芳香族環を有することが更に好ましい。棒状化合物は、直線的な分子構造を有することが好ましい。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析または分子軌道計算によって求めることが出来る。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることが出来る。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造の角度が140度以上であることを意味する。棒状化合物は、液晶性を示すことが好ましい。棒状化合物は、加熱により液晶性を示す(サーモトロピック液晶性を有する)ことが更に好ましい。液晶相は、ネマチィク相またはスメクティック相が好ましい。
棒状化合物としては、下記一般式(10)で表されるトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エステル化合物が好ましい。
一般式(10) Ar1−L1−Ar2
式(10)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基を含む。アリール基及び置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることが更に好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子が更に好ましい。芳香族性へテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環及びピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ)、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、スルファモイル、アルキルスルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ウレイド、アルキルウレイド基(例、N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N,N,N’−トリメチルウレイド)、アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、s−ブチル、t−アミル、シクロヘキシル、シクロペンチル)、アルケニル基(例、ビニル、アリル、ヘキセニル)、アルキニル基(例、エチニル、ブチニル)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、ブチリル、ヘキサノイル、ラウリル)、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ブチリルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ラウリルオキシ)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ、ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ)、アリールチオ基(例、フェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル)、アミド基(例、アセトアミド、ブチルアミド基、ヘキシルアミド、ラウリルアミド)及び非芳香族性複素環基(例、モルホリル、ピラジニル)が含まれる。
置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、アミノ、アルキル置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基及びアルキル基が好ましい。アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、更に置換基を有していてもよい。アルキル部分及びアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分及びアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシ基が好ましい。
式(10)において、L1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、二価の飽和ヘテロ環基、−O−、−CO−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが更にまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。
アルケニレン基及びアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することが更に好ましい。アルケニレン基及びアルキニレン基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましく、2〜8であることがより好ましく、2〜6であることが更に好ましく、2〜4であることが更にまた好ましく、2(ビニレンまたはエチニレン)であることが最も好ましい。二価の飽和ヘテロ環基は、3員〜9員のヘテロ環を有することが好ましい。ヘテロ環のヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子またはゲルマニウム原子が好ましい。飽和ヘテロ環の例には、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ピロリジン環、イミダゾリジン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、テトラヒドロチオフェン環、1,3−チアゾリジン環、1,3−オキサゾリジン環、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジチオラン環及び1,3,2−ジオキサボロランが含まれる。特に好ましい二価の飽和ヘテロ環基は、ピペラジン−1,4−ジイレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイレン及び1,3,2−ジオキサボロラン−2,5−ジイレンである。
組み合わせからなる二価の連結基の例を示す。
L−1:−O−CO−アルキレン基−CO−O−
L−2:−CO−O−アルキレン基−O−CO−
L−3:−O−CO−アルケニレン基−CO−O−
L−4:−CO−O−アルケニレン基−O−CO−
L−5:−O−CO−アルキニレン基−CO−O−
L−6:−CO−O−アルキニレン基−O−CO−
L−7:−O−CO−二価の飽和ヘテロ環基−CO−O−
L−8:−CO−O−二価の飽和ヘテロ環基−O−CO−
一般式(10)の分子構造において、L1を挟んで、Ar1とAr2とが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。棒状化合物としては、下記一般式(11)で表される化合物が更に好ましい。
一般式(11) Ar1−L2−X−L3−Ar2
式(11)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義及び例は、式(10)のAr1及びAr2と同様である。
式(11)において、L2及びL3は、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することが更に好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが更にまた好ましく、1または2(メチレンまたはエチレン)であることが最も好ましい。L2及びL3は、−O−CO−または−CO−O−であることが特に好ましい。
式(11)において、Xは、1,4−シクロへキシレン、ビニレンまたはエチニレンである。以下に、式(10)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 2006117714
Figure 2006117714
Figure 2006117714
Figure 2006117714
Figure 2006117714
具体例(1)〜(34)、(41)、(42)、(46)、(47)、(52)、(53)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。但し、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)、(46)、(47)、(52)、(53)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1−trans)とシス型(1−cis)とを、以下に示す。
Figure 2006117714
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。その為、トランス型の方がシス型よりも好ましい。具体例(2)及び(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、L或いはラセミ体のいずれでもよい。具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成出来る。文献としては、Mol.Cryst.Liq.Cryst.,53巻、229頁(1979年)、同89巻、93頁(1982年)、同145巻、111頁(1987年)、同170巻、43頁(1989年)、J.Am.Chem.Soc.,113巻、1349頁(1991年)、同118巻、5346頁(1996年)、同92巻、1582頁(1970年)、J.Org.Chem.,40巻、420頁(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437頁(1992年)を挙げることが出来る。
また、本発明の円盤状化合物として、1,3,5−トリアジン環を有する化合物を好ましく用いることが出来る。
1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、中でも、下記一般式(12)で表される化合物が好ましい。
Figure 2006117714
一般式(12)において、X1は、単結合、−NR4−、−O−または−S−であり;X2は単結合、−NR5−、−O−または−S−であり;X3は単結合、−NR6−、−O−または−S−であり;R1、R2及びR3はアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基であり;そして、R4、R5及びR6は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。一般式(12)で表される化合物は、メラミン化合物であることが特に好ましい。
メラミン化合物では、一般式(12)において、X1、X2及びX3が、それぞれ、−NR4−、−NR5−及び−NR6−であるか、或いは、X1、X2及びX3が単結合であり、かつ、R1、R2及びR3が窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基である。−X1−R1、−X2−R2及び−X3−R3は、同一の置換基であることが好ましい。R1、R2及びR3は、アリール基であることが特に好ましい。R4、R5及びR6は、水素原子であることが特に好ましい。
上記アルキル基は、環状アルキル基よりも鎖状アルキル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基の方が好ましい。
アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが更にまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。
置換基の具体例としては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)及びアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)等が挙げられる。上記アルケニル基は、環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましく、2〜8であることが更にまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は、置換基を有していてもよい。
置換基の具体例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)またはアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等の各基)が挙げられる。
上記アリール基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。アリール基は置換基を有していてもよい。
置換基の具体例としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基及びアシル基が含まれる。上記アルキル基は、前述したアルキル基と同義である。
アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルキル置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基とアシル基のアルキル部分も、前述したアルキル基と同義である。
上記アルケニル基は、前述したアルケニル基と同義である。
アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、アルケニル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルケニル置換カルバモイル基、アミド基、アルケニルチオ基及びアシル基のアルケニル部分も、前述したアルケニル基と同義である。
上記アリール基の具体例としては、例えば、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−メトキシフェニル、3,4−ジエトキシフェニル、4−オクチルオキシフェニルまたは4−ドデシルオキシフェニル等の各基が挙げられる。
アリールオキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アリールチオ基及びアシル基の部分の例は、上記アリール基と同義である。
1、X2またはX3が−NR−、−O−または−S−である場合の複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。
芳香族性を有する複素環基中の複素環としては、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることが更に好ましく、6員環であることが最も好ましい。
複素環中のヘテロ原子は、N、SまたはO等の各原子であることが好ましく、N原子であることが特に好ましい。
芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、例えば、2−ピリジルまたは4−ピリジル等の各基)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
1、X2またはX3が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることが更に好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。
また、複素環基中のヘテロ原子は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O原子、S原子)を有していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の具体例は、上記アリール部分の置換基の具体例と同義である。
以下に、窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基の具体例を示す。
Figure 2006117714
Figure 2006117714
1,3,5−トリアジン環を有する化合物の分子量は、300〜2000であることが好ましい。該化合物の沸点は、260℃以上であることが好ましい。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定出来る。
以下に、1,3,5−トリアジン環を有する化合物の具体例を示す。
尚、以下に示す複数のRは同一の基を表す。
Figure 2006117714
(1)ブチル
(2)2−メトキシ−2−エトキシエチル
(3)5−ウンデセニル
(4)フェニル
(5)4−エトキシカルボニルフェニル
(6)4−ブトキシフェニル
(7)p−ビフェニリル
(8)4−ピリジル
(9)2−ナフチル
(10)2−メチルフェニル
(11)3,4−ジメトキシフェニル
(12)2−フリル
Figure 2006117714
Figure 2006117714
(14)フェニル
(15)3−エトキシカルボニルフェニル
(16)3−ブトキシフェニル
(17)m−ビフェニリル
(18)3−フェニルチオフェニル
(19)3−クロロフェニル
(20)3−ベンゾイルフェニル
(21)3−アセトキシフェニル
(22)3−ベンゾイルオキシフェニル
(23)3−フェノキシカルボニルフェニル
(24)3−メトキシフェニル
(25)3−アニリノフェニル
(26)3−イソブチリルアミノフェニル
(27)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(28)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(29)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(30)3−メチルフェニル
(31)3−フェノキシフェニル
(32)3−ヒドロキシフェニル
(33)4−エトキシカルボニルフェニル
(34)4−ブトキシフェニル
(35)p−ビフェニリル
(36)4−フェニルチオフェニル
(37)4−クロロフェニル
(38)4−ベンゾイルフェニル
(39)4−アセトキシフェニル
(40)4−ベンゾイルオキシフェニル
(41)4−フェノキシカルボニルフェニル
(42)4−メトキシフェニル
(43)4−アニリノフェニル
(44)4−イソブチリルアミノフェニル
(45)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(46)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(47)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(48)4−メチルフェニル
(49)4−フェノキシフェニル
(50)4−ヒドロキシフェニル
(51)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(52)3,4−ジブトキシフェニル
(53)3,4−ジフェニルフェニル
(54)3,4−ジフェニルチオフェニル
(55)3,4−ジクロロフェニル
(56)3,4−ジベンゾイルフェニル
(57)3,4−ジアセトキシフェニル
(58)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(59)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(60)3,4−ジメトキシフェニル
(61)3,4−ジアニリノフェニル
(62)3,4−ジメチルフェニル
(63)3,4−ジフェノキシフェニル
(64)3,4−ジヒドロキシフェニル
(65)2−ナフチル
(66)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(67)3,4,5−トリブトキシフェニル
(68)3,4,5−トリフェニルフェニル
(69)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(70)3,4,5−トリクロロフェニル
(71)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(72)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(73)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(74)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(75)3,4,5−トリメトキシフェニル
(76)3,4,5−トリアニリノフェニル
(77)3,4,5−トリメチルフェニル
(78)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(79)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
Figure 2006117714
(80)フェニル
(81)3−エトキシカルボニルフェニル
(82)3−ブトキシフェニル
(83)m−ビフェニリル
(84)3−フェニルチオフェニル
(85)3−クロロフェニル
(86)3−ベンゾイルフェニル
(87)3−アセトキシフェニル
(88)3−ベンゾイルオキシフェニル
(89)3−フェノキシカルボニルフェニル
(90)3−メトキシフェニル
(91)3−アニリノフェニル
(92)3−イソブチリルアミノフェニル
(93)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(94)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(95)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(96)3−メチルフェニル
(97)3−フェノキシフェニル
(98)3−ヒドロキシフェニル
(99)4−エトキシカルボニルフェニル
(100)4−ブトキシフェニル
(101)p−ビフェニリル
(102)4−フェニルチオフェニル
(103)4−クロロフェニル
(104)4−ベンゾイルフェニル
(105)4−アセトキシフェニル
(106)4−ベンゾイルオキシフェニル
(107)4−フェノキシカルボニルフェニル
(108)4−メトキシフェニル
(109)4−アニリノフェニル
(110)4−イソブチリルアミノフェニル
(111)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(112)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(113)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(114)4−メチルフェニル
(115)4−フェノキシフェニル
(116)4−ヒドロキシフェニル
(117)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(118)3,4−ジブトキシフェニル
(119)3,4−ジフェニルフェニル
(120)3,4−ジフェニルチオフェニル
(121)3,4−ジクロロフェニル
(122)3,4−ジベンゾイルフェニル
(123)3,4−ジアセトキシフェニル
(124)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(125)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(126)3,4−ジメトキシフェニル
(127)3,4−ジアニリノフェニル
(128)3,4−ジメチルフェニル
(129)3,4−ジフェノキシフェニル
(130)3,4−ジヒドロキシフェニル
(131)2−ナフチル
(132)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(133)3,4,5−トリブトキシフェニル
(134)3,4,5−トリフェニルフェニル
(135)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(136)3,4,5−トリクロロフェニル
(137)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(138)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(139)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(140)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(141)3,4,5−トリメトキシフェニル
(142)3,4,5−トリアニリノフェニル
(143)3,4,5−トリメチルフェニル
(144)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(145)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
Figure 2006117714
(146)フェニル
(147)4−エトキシカルボニルフェニル
(148)4−ブトキシフェニル
(149)p−ビフェニリル
(150)4−フェニルチオフェニル
(151)4−クロロフェニル
(152)4−ベンゾイルフェニル
(153)4−アセトキシフェニル
(154)4−ベンゾイルオキシフェニル
(155)4−フェノキシカルボニルフェニル
(156)4−メトキシフェニル
(157)4−アニリノフェニル
(158)4−イソブチリルアミノフェニル
(159)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(160)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(161)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(162)4−メチルフェニル
(163)4−フェノキシフェニル
(164)4−ヒドロキシフェニル
Figure 2006117714
(165)フェニル
(166)4−エトキシカルボニルフェニル
(167)4−ブトキシフェニル
(168)p−ビフェニリル
(169)4−フェニルチオフェニル
(170)4−クロロフェニル
(171)4−ベンゾイルフェニル
(172)4−アセトキシフェニル
(173)4−ベンゾイルオキシフェニル
(174)4−フェノキシカルボニルフェニル
(175)4−メトキシフェニル
(176)4−アニリノフェニル
(177)4−イソブチリルアミノフェニル
(178)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(179)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(180)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(181)4−メチルフェニル
(182)4−フェノキシフェニル
(183)4−ヒドロキシフェニル
Figure 2006117714
(184)フェニル
(185)4−エトキシカルボニルフェニル
(186)4−ブトキシフェニル
(187)p−ビフェニリル
(188)4−フェニルチオフェニル
(189)4−クロロフェニル
(190)4−ベンゾイルフェニル
(191)4−アセトキシフェニル
(192)4−ベンゾイルオキシフェニル
(193)4−フェノキシカルボニルフェニル
(194)4−メトキシフェニル
(195)4−アニリノフェニル
(196)4−イソブチリルアミノフェニル
(197)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(198)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(199)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(200)4−メチルフェニル
(201)4−フェノキシフェニル
(202)4−ヒドロキシフェニル
Figure 2006117714
(203)フェニル
(204)4−エトキシカルボニルフェニル
(205)4−ブトキシフェニル
(206)p−ビフェニリル
(207)4−フェニルチオフェニル
(208)4−クロロフェニル
(209)4−ベンゾイルフェニル
(210)4−アセトキシフェニル
(211)4−ベンゾイルオキシフェニル
(212)4−フェノキシカルボニルフェニル
(213)4−メトキシフェニル
(214)4−アニリノフェニル
(215)4−イソブチリルアミノフェニル
(216)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(217)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(218)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(219)4−メチルフェニル
(220)4−フェノキシフェニル
(221)4−ヒドロキシフェニル
Figure 2006117714
(222)フェニル
(223)4−ブチルフェニル
(224)4−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(225)4−(5−ノネニル)フェニル
(226)p−ビフェニリル
(227)4−エトキシカルボニルフェニル
(228)4−ブトキシフェニル
(229)4−メチルフェニル
(230)4−クロロフェニル
(231)4−フェニルチオフェニル
(232)4−ベンゾイルフェニル
(233)4−アセトキシフェニル
(234)4−ベンゾイルオキシフェニル
(235)4−フェノキシカルボニルフェニル
(236)4−メトキシフェニル
(237)4−アニリノフェニル
(238)4−イソブチリルアミノフェニル
(239)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(240)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(241)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(242)4−フェノキシフェニル
(243)4−ヒドロキシフェニル
(244)3−ブチルフェニル
(245)3−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(246)3−(5−ノネニル)フェニル
(247)m−ビフェニリル
(248)3−エトキシカルボニルフェニル
(249)3−ブトキシフェニル
(250)3−メチルフェニル
(251)3−クロロフェニル
(252)3−フェニルチオフェニル
(253)3−ベンゾイルフェニル
(254)3−アセトキシフェニル
(255)3−ベンゾイルオキシフェニル
(256)3−フェノキシカルボニルフェニル
(257)3−メトキシフェニル
(258)3−アニリノフェニル
(259)3−イソブチリルアミノフェニル
(260)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(261)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(262)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(263)3−フェノキシフェニル
(264)3−ヒドロキシフェニル
(265)2−ブチルフェニル
(266)2−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(267)2−(5−ノネニル)フェニル
(268)o−ビフェニリル
(269)2−エトキシカルボニルフェニル
(270)2−ブトキシフェニル
(271)2−メチルフェニル
(272)2−クロロフェニル
(273)2−フェニルチオフェニル
(274)2−ベンゾイルフェニル
(275)2−アセトキシフェニル
(276)2−ベンゾイルオキシフェニル
(277)2−フェノキシカルボニルフェニル
(278)2−メトキシフェニル
(279)2−アニリノフェニル
(280)2−イソブチリルアミノフェニル
(281)2−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(282)2−(3−エチルウレイド)フェニル
(283)2−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(284)2−フェノキシフェニル
(285)2−ヒドロキシフェニル
(286)3,4−ジブチルフェニル
(287)3,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(288)3,4−ジフェニルフェニル
(289)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(290)3,4−ジドデシルオキシフェニル
(291)3,4−ジメチルフェニル
(292)3,4−ジクロロフェニル
(293)3,4−ジベンゾイルフェニル
(294)3,4−ジアセトキシフェニル
(295)3,4−ジメトキシフェニル
(296)3,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(297)3,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(298)3,4−ジフェノキシフェニル
(299)3,4−ジヒドロキシフェニル
(300)3,5−ジブチルフェニル
(301)3,5−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(302)3,5−ジフェニルフェニル
(303)3,5−ジエトキシカルボニルフェニル
(304)3,5−ジドデシルオキシフェニル
(305)3,5−ジメチルフェニル
(306)3,5−ジクロロフェニル
(307)3,5−ジベンゾイルフェニル
(308)3,5−ジアセトキシフェニル
(309)3,5−ジメトキシフェニル
(310)3,5−ジ−N−メチルアミノフェニル
(311)3,5−ジイソブチリルアミノフェニル
(312)3,5−ジフェノキシフェニル
(313)3,5−ジヒドロキシフェニル
(314)2,4−ジブチルフェニル
(315)2,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(316)2,4−ジフェニルフェニル
(317)2,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(318)2,4−ジドデシルオキシフェニル
(319)2,4−ジメチルフェニル
(320)2,4−ジクロロフェニル
(321)2,4−ジベンゾイルフェニル
(322)2,4−ジアセトキシフェニル
(323)2,4−ジメトキシフェニル
(324)2,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(325)2,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(326)2,4−ジフェノキシフェニル
(327)2,4−ジヒドロキシフェニル
(328)2,3−ジブチルフェニル
(329)2,3−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(330)2,3−ジフェニルフェニル
(331)2,3−ジエトキシカルボニルフェニル
(332)2,3−ジドデシルオキシフェニル
(333)2,3−ジメチルフェニル
(334)2,3−ジクロロフェニル
(335)2,3−ジベンゾイルフェニル
(336)2,3−ジアセトキシフェニル
(337)2,3−ジメトキシフェニル
(338)2,3−ジ−N−メチルアミノフェニル
(339)2,3−ジイソブチリルアミノフェニル
(340)2,3−ジフェノキシフェニル
(341)2,3−ジヒドロキシフェニル
(342)2,6−ジブチルフェニル
(343)2,6−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(344)2,6−ジフェニルフェニル
(345)2,6−ジエトキシカルボニルフェニル
(346)2,6−ジドデシルオキシフェニル
(347)2,6−ジメチルフェニル
(348)2,6−ジクロロフェニル
(349)2,6−ジベンゾイルフェニル
(350)2,6−ジアセトキシフェニル
(351)2,6−ジメトキシフェニル
(352)2,6−ジ−N−メチルアミノフェニル
(353)2,6−ジイソブチリルアミノフェニル
(354)2,6−ジフェノキシフェニル
(355)2,6−ジヒドロキシフェニル
(356)3,4,5−トリブチルフェニル
(357)3,4,5−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(358)3,4,5−トリフェニルフェニル
(359)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(360)3,4,5−トリドデシルオキシフェニル
(361)3,4,5−トリメチルフェニル
(362)3,4,5−トリクロロフェニル
(363)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(364)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(365)3,4,5−トリメトキシフェニル
(366)3,4,5−トリ−N−メチルアミノフェニル
(367)3,4,5−トリイソブチリルアミノフェニル
(368)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(369)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(370)2,4,6−トリブチルフェニル
(371)2,4,6−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(372)2,4,6−トリフェニルフェニル
(373)2,4,6−トリエトキシカルボニルフェニル
(374)2,4,6−トリドデシルオキシフェニル
(375)2,4,6−トリメチルフェニル
(376)2,4,6−トリクロロフェニル
(377)2,4,6−トリベンゾイルフェニル
(378)2,4,6−トリアセトキシフェニル
(379)2,4,6−トリメトキシフェニル
(380)2,4,6−トリ−N−メチルアミノフェニル
(381)2,4,6−トリイソブチリルアミノフェニル
(382)2,4,6−トリフェノキシフェニル
(383)2,4,6−トリヒドロキシフェニル
(384)ペンタフルオロフェニル
(385)ペンタクロロフェニル
(386)ペンタメトキシフェニル
(387)6−N−メチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(388)5−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(389)6−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(390)5−エトキシ−7−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(391)3−メトキシ−2−ナフチル
(392)1−エトキシ−2−ナフチル
(393)6−N−フェニルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(394)5−メトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(395)1−(4−メチルフェニル)−2−ナフチル
(396)6,8−ジ−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(397)6−N−2−アセトキシエチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(398)5−アセトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(399)3−ベンゾイルオキシ−2−ナフチル
(400)5−アセチルアミノ−1−ナフチル
(401)2−メトキシ−1−ナフチル
(402)4−フェノキシ−1−ナフチル
(403)5−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(404)3−N−メチルカルバモイル−4−ヒドロキシ−1−ナフチル
(405)5−メトキシ−6−N−エチルスルファモイル−1−ナフチル
(406)7−テトラデシルオキシ−1−ナフチル
(407)4−(4−メチルフェノキシ)−1−ナフチル
(408)6−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(409)3−N,N−ジメチルカルバモイル−4−メトキシ−1−ナフチル
(410)5−メトキシ−6−N−ベンジルスルファモイル−1−ナフチル
(411)3,6−ジ−N−フェニルスルファモイル−1−ナフチル
(412)メチル
(413)エチル
(414)ブチル
(415)オクチル
(416)ドデシル
(417)2−ブトキシ−2−エトキシエチル
(418)ベンジル
(419)4−メトキシベンジル
Figure 2006117714
(424)メチル
(425)フェニル
(426)ブチル
Figure 2006117714
(430)メチル
(431)エチル
(432)ブチル
(433)オクチル
(434)ドデシル
(435)2−ブトキシ2−エトキシエチル
(436)ベンジル
(437)4−メトキシベンジル
Figure 2006117714
Figure 2006117714
本発明においては、1,3,5−トリアジン環を有する化合物として、メラミンポリマーを用いてもよい。メラミンポリマーは、下記一般式(13)で示すメラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応により合成することが好ましい。
Figure 2006117714
上記合成反応スキームにおいて、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。
上記アルキル基、アルケニル基、アリール基及び複素環基及びこれらの置換基は前記一般式(4)で説明した各基、それらの置換基と同義である。
メラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応は、通常のメラミンエステル(例えば、メラミンホルムアルデヒドエステル等)の合成方法と同様である。また、市販のメラミンポリマー(メラミンエステル)を用いてもよい。
メラミンポリマーの分子量は、2千〜40万であることが好ましい。メラミンポリマーの繰り返し単位の具体例を以下に示す。
Figure 2006117714
MP−1:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−2:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−3:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−4:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−5:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−6:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−7:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−8:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−9:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−10:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−11:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−12:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−13:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−14:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−15:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−16:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−17:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−18:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−19:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
MP−20:R13、R16:CH2O−i−C49;R14、R15:CH2OH
MP−21:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−22:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−23:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−24:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49
MP−25:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−26:R13、R14、R16:CH2O−n−C49;R15:CH2OH
MP−27:R13、R16:CH2O−n−C49;R14、R15:CH2OH
MP−28:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−29:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−30:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−31:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−32:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−33:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−34:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−35:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−36:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−37:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−38:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−39:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C4H9;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−40:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−41:R13:CH2OH;R14:CH2O−n−C49;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−42:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−43:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−44:R13:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−45:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−46:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−47:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−48:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−49:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−50:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
Figure 2006117714
MP−51:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−52:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−53:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−54:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−55:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−56:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−57:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−58:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−59:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−60:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−61:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−62:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−63:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−64:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−65:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−66:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−67:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−68:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−69:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
MP−70:R13、R16:CH2O−i−C49;R14、R15:CH2OH
MP−71:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−72:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−73:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−74:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49
MP−75:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−76:R13、R14、R16:CH2O−n−C49;R15:CH2OH
MP−77:R13、R16:CH2O−n−C49;R14、R15:CH2OH
MP−78:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−79:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−80:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−81:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−82:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−83:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−84:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−85:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−86:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−87:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−88:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−89:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−90:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−91:R13:CH2OH;R14:CH2O−n−C49;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−92:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−93:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−94:R13:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−95:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−96:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−97:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−98:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−99:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−100:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
Figure 2006117714
MP−101:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−102:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−103:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−104:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−105:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−106:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−107:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−108:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−109:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−110:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−111:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−112:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−113:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−114:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−115:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−116:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−117:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−118:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−119:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
MP−120:R13、R16:CH2O−i−C49;R14、R15:CH2OH
MP−121:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−122:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−123:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−124:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49
MP−125:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−126:R13、R14、R16:CH2O−n−C49;R15:CH2OH
MP−127:R13、R16:CH2O−n−C49;R14、R15:CH2OH
MP−128:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−129:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−130:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−131:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−132:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−133:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−134:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−135:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−136:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−137:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−138:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−139:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−140:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−141:R13:CH2OH;R14:CH2O−n−C49;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−142:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−143:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−144:R13:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−145:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−146:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−147:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−148:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−149:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−150:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
Figure 2006117714
MP−151:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−152:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−153:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−154:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−155:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−156:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−157:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−158:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−159:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−160:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−161:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−162:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−163:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−164:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−165:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−166:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−167:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−168:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−169:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
MP−170:R13、R16:CH2O−i−C49;R14、R15:CH2OH
MP−171:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−172:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−173:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−174:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49
MP−175:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−176:R13、R14、R16:CH2O−n−C49;R15:CH2OH
MP−177:R13、R16:CH2O−n−C49;R14、R15:CH2OH
MP−178:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−179:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−180:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−181:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−182:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−183:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−184:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−185:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−186:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−187:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−188:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−189:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−190:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−191:R13:CH2OH;R14:CH2O−n−C49;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−192:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−193:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−194:R13:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−195:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−196:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−197:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−198:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−199:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−200:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
本発明においては、上記繰り返し単位を二種類以上組み合わせたコポリマーを用いてもよい。二種類以上のホモポリマーまたはコポリマーを併用してもよい。
また、二種類以上の1,3,5−トリアジン環を有する化合物を併用してもよい。二種類以上の円盤状化合物(例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とポルフィリン骨格を有する化合物)を併用してもよい。
これらの添加剤は光学フィルムに対して0.2〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%含有することが好ましい。
レターデーション制御剤はセルロースエステルと共に超臨界状態とされ、セルロースエステルと混合されることが好ましい。
(高分子材料)
本発明の光学フィルムはセルロースエステル以外の高分子材料やオリゴマーを適宜選択して混合してもよい。前述の高分子材料やオリゴマーはセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにしたときの透過率が80%以上、更に好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上であることが好ましい。セルロースエステル以外の高分子材料やオリゴマーの少なくとも1種以上を混合する目的は、加熱溶融時の粘度制御やフィルム加工後のフィルム物性を向上するために行う意味を含んでいる。この場合は、上述のその他添加剤として含むことが出来る。
これらの高分子材料はセルロースエステルと共に超臨界状態として、セルロースエステルと混合されることが好ましい。
(製膜)
本発明の光学フィルムは例えば、セルロースエステル及び添加剤の混合物を、熱風乾燥または真空乾燥した後、溶融押出し、T型ダイよりフィルム状に押出しして、静電印加法等により冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得ることが出来る。冷却ドラムの温度は90〜150℃に維持されていることが好ましい。
溶融押出しは、一軸押出し機、二軸押出し機、更に二軸押出し機の下流に一軸押出し機を連結して用いてもよいが、得られるフィルムの機械特性、光学特性の点から、一軸押出し機を用いることが好ましい。更に、原料タンク、原料の投入部、押出し機内といった原料の供給、溶融工程を、窒素ガス等の不活性ガスで置換、或いは減圧することが好ましい。
本発明の前記溶融押出し時の温度は150〜250℃の範囲であることが好ましい。更に200〜240℃の範囲であることが好ましい。
フィルム構成材料が溶融されるときの揮発成分の含有量は1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.01質量%以下のものであることが望ましい。本発明においては、示差熱重量測定装置(セイコー電子工業社製TG/DTA200)を用いて、30℃から350℃までの加熱減量を求め、その量を揮発成分の含有量とする。
本発明の光学フィルムは、例えば溶融されたセルロースエステル組成物を押出ししてフィルム状に加工され、冷却ロールで冷却される。
本発明のフィルムの表面にはダイラインなどの凹部が少ない若しくは無いことが好ましい。ダイラインなどの凹部は皆無であることが理想であるが、実際には完全に無くすことは困難であり、少なからず存在してしまうことがある。表面に凹部が存在する場合、凹部深さをΔdとすると、Δdは0.5μm以下であることが好ましく、0.3μmであることが更に好ましく、0.1μm以下であることが更に好ましく、0.05μm以下であることが更に好ましく、0.01μm以下であることが更に好ましい。
本発明の光学フィルムは、後述するように幅手方向若しくは製膜方向に延伸製膜されたフィルムであることが好ましい。
延伸されたフィルムは、両端をスリット加工した後巻き取られる。スリットした端部(返材)は再度原料として再利用することが好ましい。
本発明ではセルロースエステルを超臨界流体で液状物にし次いで乾燥させたセルロースエステル原料と溶融流延製膜されたフィルム屑を、全セルロースエステル中に50質量%以上含有する溶融物を溶融流延して製膜することが好ましい。
溶融物に含まれている再利用される返材(フィルム屑)の比は、10%〜90%が好ましく、より好ましくは20%〜80%、更に好ましくは30%〜70%である。スリットしたフィルム端部は1〜30mmに細かく断裁された後、溶融組成物の調製に用いられることが好ましい。必要に応じて再度乾燥させた後に原料の一部として再利用される。断裁物を更にペレット化したものを溶融組成物の調製に用いてもよい。また、これらは再溶融されるまでに吸湿しないように保持することが好ましい。その為、スリット部からフィルム端部の搬送工程、断裁工程、保管工程などが低湿度条件若しくは水を含まない雰囲気下で行うことが好ましく、乾燥空気下で行うことが好ましい。また、更に酸素濃度も低いことが好ましく、酸素濃度10%以下、好ましくは5%以下、更に好ましくは1%以下、特に好ましくは0.1%以下であることが好ましく、例えば乾燥窒素雰囲気下で行うことが好ましい。溶融押出し工程からスリッティング工程までの区間は低湿度条件下で行われることが好ましく、若しくは水を含まない雰囲気下で行うことが好ましい。また、酸素濃度も低いことが好ましい。特に溶融押出し部の雰囲気は低湿度かつ低酸素濃度条件に維持されていることが好ましい。
延伸工程で水蒸気を当てながら、若しくは水を含ませた状態で延伸するような場合、或いは処理した返材を再利用する場合は、返材は乾燥させて水分を飛ばした後、原料の一部として再利用されることが好ましい。
前述の可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子等の添加物濃度が異なるセルロースエステルを含む組成物を共押出しして、積層構造のセルロースエステルフィルムを作製することも出来る。例えば、スキン層/コア層/スキン層といった構成のセルロースエステルフィルムを作ることが出来る。例えば、微粒子は、スキン層に多く、またはスキン層のみに入れることが出来る。可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多く入れることが出来、コア層のみに入れてもよい。また、コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変更することも出来、例えば、スキン層に低揮発性の可塑剤及び/または紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤、或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することも出来る。スキン層とコア層のTgが異なっていても良く、スキン層のTgよりコア層のTgが低いことが好ましい。また、溶融流延時のセルロースエステルを含む溶融物の粘度もスキン層とコア層で異なっていても良く、スキン層の粘度>コア層の粘度でも、コア層の粘度≧スキン層の粘度でもよい。
共押出し法により膜厚方向の可塑剤などの添加剤濃度に分布を持たせ、表面の含有量を少なくすることも出来るが、単層押出しによって膜厚方向の添加剤分布が少ない均一なフィルムを得ることも出来、好ましく用いることが出来る。
本発明のフィルムの幅は1〜4mが好ましく、より好ましくは1.3〜3m、更に好ましくは1.4〜2mである。厚さは10〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることが好ましく、より好ましくは30〜150μmであることが好ましく、更に好ましくは60〜120μmである。長さは1ロールあたり300〜6000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜5000mであり、更に好ましくは1000〜4000mである。巻き取る際、少なくとも片端に、好ましくは両端にナーリングを付与するのが好ましく、幅は3mm〜50mm、より好ましくは5mm〜30mm、高さは5〜500μmであり、より好ましくは8〜200μmであり、更に好ましくは10〜50μmである。これは片押しであっても両押しであっても良い。
(延伸操作)
本発明の光学フィルムに好ましい延伸操作について説明する。
本発明の光学フィルムは、下記延伸操作により位相差の制御を行うことが好ましい。延伸操作としては、セルロースエステルの1方向に1.0〜2.0倍及びフィルム面内にそれと直交する方向に1.01〜2.5倍延伸することで好ましい範囲の位相差を得ることが出来る。
例えばフィルムの長手方向及びそれとフィルム面内で直交する方向、即ち幅手方向に対して、逐次または同時に延伸することが出来るが、このとき少なくとも1方向に対しての延伸倍率が小さ過ぎると十分な位相差が得られず、大き過ぎると延伸が困難となり破断が発生してしまう場合がある。
例えば溶融して流延した方向に延伸した場合、幅方向の収縮が大き過ぎると、フィルムの厚み方向の屈折率が大きくなり過ぎてしまう。この場合、フィルムの幅収縮を抑制或いは、幅方向にも延伸することで改善出来る。幅方向に延伸する場合、幅手で屈折率に分布が生じる場合がある。これは、テンター法を用いた場合にみられることがあるが、幅方向に延伸したことで、フィルム中央部に収縮力が発生し、端部は固定されていることにより生じる現象で、所謂ボーイング現象と呼ばれるものと考えられる。この場合でも、該流延方向に延伸することで、ボーイング現象を抑制出来、幅手の位相差の分布を少なく改善出来る。
更に、互いに直行する2軸方向に延伸することにより、得られるフィルムの膜厚変動が減少出来る。光学フィルムの膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなり、液晶ディスプレイに用いたとき着色等のムラが問題となることがある。
本発明の光学フィルムの膜厚変動は、±3%、更に±1%の範囲とすることが好ましい。以上の様な目的において、互いに直交する2軸方向に延伸する方法は有効であり、互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に1.0〜2.0倍、幅方向に1.01〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に1.01〜1.5倍、幅方向に1.05〜2.0倍の範囲で行うことが好ましい。
位相差フィルムとして、面内方向若しくは厚み方向のリターデーションを制御するため、製膜方向に自由端一軸延伸、若しくは幅方向に延伸し流延方向に収縮させるアンバランス二軸延伸をおこなってもよい。収縮させる方向の倍率は0.7〜1.0倍が好ましい。
応力に対して、正の複屈折を得るセルロースエステルを用いる場合、幅方向に延伸することで、光学フィルムの遅相軸を幅方向に付与することが出来る。この場合、(幅方向の延伸倍率)>(流延方向の延伸倍率)を満たすことが好ましい。
溶融されたセルロースエステル組成物を押出しして、冷却ロールで冷却されたフィルムは、延伸に先だって50〜180℃以下、より好ましくは60〜160℃以下、更に好ましくは70〜150℃以下で、5秒以上3分以下、より好ましくは10秒以上2分以下、更に好ましくは15秒以上90秒以下熱処理(前熱処理)するのが好ましい。この熱処理はテンターでフィルムを把持する直前から把持してから延伸が始まる直前までの間に実施することが好ましい。特に好ましくはテンターでフィルムを把持してから延伸が始まる直前までの間に実施することがよい。
本発明の光学フィルムは、含水率2質量%未満の水を含まない状態で延伸することが出来るが、延伸前にフィルムの含水率を制御することも出来る。例えば、延伸前に水中に浸漬及び/又は水蒸気に曝し含水させた後延伸することが出来る。この場合、フィルムの含水率は2〜10質量%とすることが好ましい。水中に浸漬する場合、水温は60〜100℃が好ましく、更に好ましくは80〜100℃である。この温水中に0.1〜20分間延伸前のフィルムをロール搬送させることで含水させることが出来る。或いは、好ましくは60〜150℃、相対湿度70〜100%RHの水蒸気に0.1〜20分間曝すことで含水させることが出来る。
必要に応じて、上述の方法で含水率を2.0質量%以上10.0質量%以下としたセルロースエステルフィルムを延伸することも出来る。
延伸は5〜300%/分、より好ましくは10〜200%/分、更に好ましくは15〜150%/分で実施することが好ましい。このような延伸は80〜180℃以下、より好ましくは90〜160℃以下、更に好ましくは100〜150℃以下で行なうのが好ましい。延伸にはテンターを用いてフィルム両端を把持して行なうのが好ましい。
延伸角度としては、2°〜10°が好ましく、3°〜7°が更に好ましく、3°〜5°が最も好ましい。延伸速度は、一定で行っても良いし、変化させても良い。
テンター工程内の雰囲気温度は分布が少ない事が好ましく、幅手方向で±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が更に好ましく、±0.5℃以内が最も好ましい。テンター工程内では、熱伝達係数20J/m2hr〜130×103J/m2hrで熱処理を行うのが好ましい。更に好ましくは、40J/m2hr〜130×103J/m2hrの範囲であり、最も好ましくは42J/m2hr〜84×103J/m2hrの範囲である。
フィルム製膜の際の長尺方向の搬送速度は10〜200m/minが好ましく、20〜120m/minが更に好ましい。
テンター内などの製膜工程でのフィルム搬送張力は温度にもよるが、120N/m〜200N/mが好ましく、140N/m〜200N/mが更に好ましい。140N/m〜160N/mが最も好ましい。
製膜工程内での意図しないフィルムの伸びを防止する目的で、テンターの前或いは後ろにテンションカットロールを設けることが好ましい。
本発明における2軸延伸は、ロール搬送中に搬送方向に張力を付与することによって行うことが好ましく、搬送方向に張力を付与する方法としては周速の異なる搬送ロール間で行ったり、2対のニップロールを用いて、その間で張力を付与することが好ましい。
このニップロールは片方或いは両方がゴムで被覆されていることが好ましい。延伸フィルム中の含水率が高い場合はスリップし易いため、ゴムで被覆したものを用いることが好ましい。ゴムの材質は天然ゴム、合成ゴム(ネオプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム)が挙げられる。好ましい被覆ゴムの厚みは1mm以上50mm以下が好ましく、より好ましくは2mm以上40mm以下、更に好ましくは3mm以上30mm以下である。ニップロールの直径は5cm以上100cm以下が好ましく、より好ましくは10cm以上50cm以下、更に好ましくは15cm以上40cm以下である。このようなニップロールは中空にして内部から温調できるようにしたものも好ましい。
2対のニップロールを用いる場合、入口側ニップロール上の温度より、2対のニップロールスパン間の温度を5〜50℃以下高い温度にして延伸することが好ましい。2対のニップロールスパン間の距離は、延伸前のフィルム幅の1倍以上10倍、好ましくは2倍から8倍となるように設置することが好ましく、このように設置した2対のニップロールを用い、かつ両端を中央部より5℃以上50℃以下高い温度で延伸することがより好ましい。
また、このときの延伸速度Sは搬送方向に対してフィルムの延伸前の幅をWL1としたとき、1秒間当たり0.2WL1≦S≦2WL1の延伸速度で行うことが好ましく、0.3WL1≦S≦1.8WL1の延伸速度で行うことが好ましく、0.4WL1≦S≦1.5WL1の延伸速度で行うこと更に好ましい。スパン間を上記範囲内とし、延伸速度を制御することで膜厚むらやリターデーションむらが少ない延伸フィルムを得ることが出来る。2対のニップロールスパン間の温度は所定の延伸温度に保持することが求められる。その為、2対のニップロール間を恒温槽に入れ、フィルムが延伸中所定の温度になるようにするのが好ましい。延伸されるフィルムの上下より温度制御された風を送ってフィルムの温度を制御することが好ましい。このとき幅手方向の温度を均一にすることも出来るが、両端を中央部より1〜50℃高くすることが好ましく、更に好ましくは5〜40℃高くすることが好ましく、更に好ましくは10〜35℃高い温度で延伸することである。幅方向に温度分布を設けて延伸することで、幅方向のリターデーション(Ro、Rt)の分布を低減することが出来る。端部の温度を高くする方法としては、赤外線ヒーターやハロゲンランプのような放射熱源、局所的に熱風を吹き出すスリット等を設けることで達成出来る。尚、延伸部の温度は、フィルム幅方向の中央部で100〜180℃であることが好ましく、より好ましくは110〜170℃であり、更に好ましくは120〜160℃である。特にニップロール間の中央部がこの範囲にあることが好ましい。
入口側ニップロール上の温度より、2対のニップロールスパン間の温度を5℃以上50℃以下、より好ましくは7℃以上40℃以下、更に好ましくは10℃以上30℃以下高い温度にして延伸する。2対のニップロールスパン間の温度とは、ニップロールスパンの中央部1/2の部分の平均温度を指す。通常の延伸は延伸中の長手方向の温度は均一にするが、上記のような温度分布を与えることも出来る。即ち延伸ゾーン内を全て均一にしておくと、延伸ゾーンの全領域にわたって延伸される。即ち入口側ニップロールから延伸が開始される。しかしニップロール上ではフィルムが固定されており幅方向にネックイン出来ないが、ここから離れると急激にネックインが開始される。このように不連続に幅方向の応力が変化するため、幅方向の応力斑が発現しやすく、厚み斑、Re斑を引き起こす。本発明では、入口側ニップロールより、その後の温度を高くすることで延伸が開始する点をニップロールから後ろに離すことが出来る。この結果延伸開始点がニップロールで拘束されていないため、上記のような不連続な応力変化がなく、応力斑に起因するRe斑、厚み斑を小さく出来る。このような長手方向の温度分布は、幅方向中央部、端部の少なくとも一方で付与されていることが好ましい。入口ニップロールの温度の調整はニップロールの少なくとも一本のロールを温調ロール、例えば、中空ロールとし中に温調した流体を循環させたり、或いは中にIRヒーター等の熱源を入れこの出力を調整することで容易に達成出来る。
ニップロールのニップ圧は、1m幅当たり0.5t以上20t以下が好ましく、1t以上10t以下がより好ましく、2t以上7t以下が更に好ましい。本発明では、延伸が50℃以上150℃以下、より好ましくは60℃以上140℃以下、更に好ましくは70℃以上130℃以下で実施するのが好ましい。温度は、幅方向、長手方向均一に行うのが一般的であるが、本発明では少なくとも片方に温度差を設けるのが好ましい。好ましい温度差は1℃以上20℃以下、より好ましくは2℃以上17℃以下、更に好ましくは2℃以上15℃以下である。含水したフィルムでは、ガラス転位温度(Tg)が低下しており、弱い応力で延伸することが出来るが、ネックインを生じやすく、延伸ムラを発生し易い。これを防ぐため、下記のように温度分布を付与することが有効である。
〈長手方向の温度分布〉
ニップロール延伸では、上流側のニップロール出口(即ち延伸開始点)に応力が集中し易く、ここで集中的に延伸され、均一延伸されにくい。即ち、全領域にわたって均一延伸するため、延伸部の平均温度(即ち延伸部の長手方向中央の温度)より、上流側ニップロール直後の温度を、上記の温度だけ低くすることが好ましい。このような温度分布は、上流側のニップロールを温調ロールとしこの温度を下げることでも実施出来るし、長手方向に沿って設置した分割熱源(IRヒーター等の放射熱源や、複数のい吹き出し口を設けた熱吹き出し口)を用いることで達成出来る。
〈幅方向の温度分布〉
小さなアスペクト比での延伸では、幅方向で延伸ムラが発生し易い。即ち、両端が中央部に比べ延伸されやすい。従って、両端の温度を幅方向中央部に比べ上記の温度だけ高くすることが好ましい。このような温度分布は、幅手方向に沿って設置した分割熱源(IRヒーター等の放射熱源や、複数のい吹き出し口を設けた熱吹き出し口)を用いることで達成出来る。
このような延伸は1〜30秒、より好ましくは2〜25秒、更に好ましくは3〜20秒で実施されることが好ましい。
延伸後、熱処理して残存する歪を緩和することが好ましい。熱処理は80〜200℃、好ましくは100〜180℃で行うことが好ましく、更に好ましくは130〜160℃で行うことである。このとき、熱伝達係数20J/m2hr〜130×103J/m2hrで熱処理を行うのが好ましい。更に好ましくは、40J/m2hr〜130×103J/m2hrの範囲であり、最も好ましくは42J/m2hr〜84×103J/m2hrの範囲である。これによって、残存する歪が低減され、90℃などの高温条件、或いは80℃、90%RHなどの高温高湿条件における寸法安定性が改善される。
延伸されたフィルムは、延伸後室温まで冷却される。延伸されたフィルムは、テンターで幅保持されたまま冷却し始めることが好ましく、この間にテンターによって把持している幅を延伸後のフィルム幅に対し1〜10%、より好ましくは2〜9%、更に好ましくは2%以上8%以下縮め、弛緩させるのが好ましい。冷却速度は10〜300℃/分で実施するのが好ましく、より好ましくは30〜250℃/分、更に好ましくは50〜200℃/分である。テンターで把持したまま室温まで冷却してもよいが、途中で把持をやめて、ロール搬送に切り替えることが好ましく、この後ロール状に巻き取られる。
以上のようにして製造された本発明の光学フィルムは以下の特性を有している。
(光学特性)
本発明の光学フィルムは、下記式(I)により定義されるリターデーション値Roが0〜300nmでかつ下記式(II)により定義されるリターデーション値Rtが−600〜600nmの範囲にあることが好ましい。また、より好ましい範囲はRo値が0〜80nm、Rt値が−400〜400nmの範囲であり、特に好ましい範囲はR0値が0〜40nm及び−200〜200nmの範囲である。
本発明の光学フィルムを位相差フィルム、特にλ/4板として使用する場合は、波長400から700nmにおける複屈折が長波長ほど大きく、波長450nmで測定した面内方向のリターデーション値(R450)が80〜125nmであり、かつ波長590nmで測定した面内方向のリターデーション値(R590)が120〜160nmである。このとき、R590−R450≧5nmであることが更に好ましく、R590−R450≧10nmであることが最も好ましい。R450が100〜120nmであり、波長550nmで測定した面内方向のリターデーション値R550が125〜142nmであり、R590が130〜152nmであり、そして、R590−R550≧2nmであることが好ましい。R590−R550≧5nmであることが更に好ましく、R590−R550≧10nmであることが最も好ましい。また、R550−R450≧10nmであることも好ましい。
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
〔式中、nxはフィルム面内の屈折率が最も大きい方向の屈折率、nyはnxに直角な方向でのフィルム面内の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。〕
リターデーション値を上記範囲にすることで、特に偏光板用位相差フィルムとしての光学性能を十分に満足することが出来る。
本発明のフィルムの波長590nmで測定した面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率ny及び厚み方向の屈折率nzは、0.3≦(nx−nz)/(nx−ny)≦2の関係を満足することが好ましく、1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦2であることが更に好ましい。
また、本発明のセルロースフィルムのフィルム面内における遅相軸方向の屈折率nxと進相軸方向の屈折率nyの差が、0〜0.0050であることが好ましい。更に好ましい範囲は、0.0010以上、0.0030以下である。また、フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率Nx、進相軸方向の屈折率Ny、厚み方向の屈折率Nzとしたとき、(Nx+Ny)/2−Nzの絶対値が0.005以下であることが好ましい。
Rt/Ro比は−10〜10であることが好ましく、−2〜2であることがより好ましく、−1.5〜1.5であることが更に好ましく、−1〜1であることが特に好ましい。これらは用途によってより好ましい範囲を選択して使用される。例えばVA用液晶セルの補償に用いられる場合は2〜10好ましくは2〜4が好ましく用いられる。
波長590nmで測定したセルロースエステルフィルムのRo値及びRt値の30℃15%RHから30℃85%RHの範囲における湿度依存性が、絶対値で各々2%/%RH以下、3%/%RH以下であることが好ましい。
波長450nmで測定したRt値(Rt450)と波長650nmで測定したRt値(Rt650)が下式の関係を満たすことが好ましい。
0≦|Rth450−Rth650|≦35(nm)
Ro値及びRt値の5℃から85℃の範囲における温度依存性が、絶対値で各々5%/℃以下、6%/℃以下であることが好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムでは、Ro値及びRt値の30℃15%RHから30℃85%RHの範囲における湿度依存性が、絶対値で各々2%/%RH以下、3%/%RH以下であることが好ましい。
Ro値及びRt値の15℃から40℃における、15%RHから85%RHでの湿度依存性は小さいほど好ましく、各温度50%RHでの値に対し、絶対値で各々、2%/%RH以下、3%/%RH以下であることが好ましい。特に、30℃15%RHから30℃85%RHの間での湿度依存性は、絶対値で各々、2%/%RH以下、3%/%RH以下であることが好ましく、とりわけ1.5%/%RH以下、2.5%/%RH以下であることが好ましい。
これらは異なる湿度条件下における平衡含水率の差が少ないことが好ましく、例えば、30℃、15%RH、30℃、85%RHの2つの湿度環境下において、下式で表される平衡含水率の差WHが2.5%以下であることが好ましく、更に好ましくは2%以下であることが好ましく、更に好ましくは1.5%以下であることが好ましく、更に好ましくは1%以下であることが好ましく、更に好ましくは0.5%以下とすることである。
WH=[30℃、85%RHにおける平衡含水率]−[30℃、15%RHにおける平衡含水率]
平衡含水率変動を低減するためには、可塑剤含有量を増加させる。芳香族環やシクロアルキル環、ノルボルネン環などの疎水性基を有する可塑剤或いはエステルなどの添加剤を添加する、延伸後の熱処理温度を高く設定(例えば110〜180℃)することなどが有効である。
また、Ro値及びRt値の15%RHから85%RHにおける、5℃から85℃での温度依存性は小さいほど好ましく、30℃での値に対し、Ro値変動量が±5%/℃以内、Rt値変動量が±6%/℃以内であることが好ましい。更に好ましくは、5℃55%RHから85℃55%RHの間で、Ro値±3%/℃以内、Rt値±4%/℃以内であることが好ましく、Ro値±1%/℃以内、Rt値 ±2%/℃以内であることが好ましく、R0値±0.5%/℃以内、Rt値±1%/℃以内であることが更に好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムは23℃、55%RHで24時間放置した際のRoに対して、温度が−30℃〜80℃、相対湿度が10%RH〜80%RHの範囲の環境に600時間放置した後に、再び23℃、55%RHで24時間放置した後のRo値が、±10%以内であることが好ましく、±3%以内であるのがより好ましい。同様に23℃、55%RHで24時間放置した際のRtに対して、温度が−30℃〜80℃、相対湿度が10%RH〜80%RHの範囲の環境に600時間放置した後に、再び23℃、55%RHで24時間放置した後のRt値が、±10%以内であることが好ましく、±3%以内であるのがより好ましい。より好ましくは1000時間以上の長期間でも上記変動範囲内であることが好ましい。
本発明の光学フィルムは、波長400〜700nmの範囲で、長波長ほど大きい位相差を示すことが好ましい。具体的には450nm、590nm、650nmの各波長で求めたフィルムの面内のリターデーションをそれぞれR450、R590、R650としたとき、
0.5<R450/R590<1.0
1.0<R650/R590<1.5
の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、0.7<R450/R590<0.95、1.01<R650/R590<1.2であり、特に好ましくは、0.8<R450/R590<0.93、1.02<R650/R590<1.1である。
これらは、自動複屈折計KOBURA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が450、590、650nmにおいて、それぞれ複屈折率測定を行い、それぞれ得られた値をR450、R590、R650とした。
リターデーション(Ro、Rt)値、及び各々の分布は、自動複屈折計KOBURA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmにおいて、試料の幅手方向に1cm間隔で自動複屈折率測定を行った。得られた面内及び厚み方向のリターデーションをそれぞれ(n−1)法による標準偏差を求めた。リターデーション分布は以下で示される変動係数(CV)を求め、指標とした。実際の測定に当たっては、nとしては、130〜140に設定した。
変動係数(CV)=標準偏差/リターデーション平均値
セルロースエステルフィルムの長手、幅手方向の光弾性係数をそれぞれC(md)、C(td)とした時、それぞれの値が1×10-8〜1×10-14Pa-1の範囲にあることが好ましく、特に1×10-9〜1×10-13Pa-1の範囲にあることが好ましい。光弾性係数は、フィルムに荷重を加えながらフィルム面内のリターデーション(Ro)を測定し、これをフィルムの厚み(d)で割ってΔn(=R/d)を求めることが出来る。荷重を変えながらΔnを求め、荷重−Δn曲線を作成して、その傾きを光弾性係数とする。荷重をかける方向をフィルムの長手方向或いは幅手方向とすることでそれぞれの値を求めることが出来る。フィルム面内のリターデーション(R)は、リターデーション測定装置(KOBURA31PR、王子計測機器社製)を用い、波長590nmにおける値とした。
光弾性係数はC(md)はC(td)略同等若しくはC(td)がC(md)より大きいことが好ましい。
本発明の光学フィルムの遅相軸または進相軸がフィルム面内に存在し、製膜方向と遅相軸とのなす角をθ1とするとθ1は−1°以上+1°以下であることが好ましく、−0.5°以上+0.5°以下であることがより好ましい。或いは製膜方向と進相軸とのなす角度が上記範囲内にあることが好ましい。このθ1は配向角として定義出来、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて行うことが出来る。
θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制または防止することに寄与出来、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現を得ることに寄与出来る。
以下、本発明の光学フィルムの他の物性について説明する。
(透湿度)
本発明のセルロースエステルフィルムの透湿度は、25℃、90%RH環境下で1〜250g/m2・24時間であることが好ましく、10〜200g/m2・24時間であることが更に好ましく、20〜180g/m2・24時間であることが最も好ましい。透湿度は、JIS Z0208に記載の方法で測定する事が出来る。
(平衡含水率)
セルロースエステルフィルムは、温度25℃かつ相対湿度60%における平衡含水率が0.1乃至3%であることが好ましく、0.3乃至2%であることが更に好ましく、0.5乃至1.5%であることが特に好ましい。
平衡含水率は、カールフィッシャー法に従う測定機(カールフィッシャー水分測定装置CA−05、三菱化学(株)製、水分気化装置:VA−05、内部液:アクアミクロンCXμ、外部液:アクアミクロンAX、窒素気流量:200ml/分、加熱温度:150℃)を用いて容易に測定出来る。具体的には、25℃、相対湿度60%で24時間以上調湿した試料を、0.6〜1.0g精秤し、測定機で測定し、得られた水分量から平衡含水率を求めることが出来る。
本発明のセルロースエステルフィルムの含水量は、ポリビニルアルコール(偏光子)との接着性を損なわないために、30℃85%RH下で0.3〜15g/m2であることが好ましい。0.5〜10g/m2であることがより好ましい。15g/m2より大きいと温度変化や湿度変化によるリターデーションの変動が大きくなる傾向がある。
(寸法安定性)
本発明に係わるセルロースエステルフィルムは、寸度安定性が優れているとの特徴もある。寸度安定性は、下記測定法により元の長さに対する変化率(%)として、寸度変化(収縮)率を測定して評価する。寸度変化率は、0〜−0.06%であることが好ましい。
(セルロースエステルフィルムの幅手方向、長手方向の寸法変化率)
セルロースエステルフィルムを幅手方向に延伸する際に、寸法変化率をある範囲に制御する条件で延伸する事が好ましい。
90℃、ドライ条件下で24時間処理した前後でのTD方向、MD方向の寸法変化率をそれぞれStd、Smdとしたとき、−0.4%<StdまたはSmd<0.4%が好ましく、−0.2%<StdまたはSmd<0.2%が更に好ましく、−0.1%<StdまたはSmd<0.1%が更に好ましく、−0.05%<StdまたはSmd<0.05%であることが特に好ましい。
80℃、90%RHの高温高湿条件において24時間処理した前後でのTD方向、MD方向の寸法変化率についても、同様であり、−0.4%<StdまたはSmd<0.4%が好ましく、−0.2%<StdまたはSmd<0.2%が更に好ましく、−0.1%<StdまたはSmd<0.1%が更に好ましく、−0.05%<StdまたはSmd<0.05%であることが特に好ましい。
〈寸法変化率の測定〉
フィルムを、温度23℃、相対湿度55%に調湿された部屋で24時間調湿した後、幅手、長手それぞれに約10cm間隔にカッターにより目印をつけ、距離(L1)を測定した。次に、所定の温湿度条件に設定された恒温槽中でフィルムを24時間保管した。再度、フィルムを温度23℃、相対湿度55%に調湿された部屋で24時間調湿した後、目印の距離(L2)を測定した。寸法変化率は、以下の式により評価を行った。
寸法変化率(%)={(L2−L1)/L1}×100
(吸湿膨張係数)
本発明のセルロースエステルフィルムの吸湿膨張係数が所定の範囲内であることが好ましい。幅手方向(TD)、長手方向(MD)の吸湿膨張率は同じであっても異なっていても良い。具体的には、60℃、90%RHにおける吸湿膨張率が−1から1%の範囲が好ましく、−0.5から0.5%の範囲が更に好ましく、−0.2から0.2%の範囲が更に好ましく、0から0.1%以下が最も好ましい。
〈吸湿膨張率の測定〉
フィルムを、温度23℃、相対湿度55%に調湿された部屋で24時間調湿した後、幅手、長手それぞれに約20cm間隔にカッターにより目印をつけ、距離(L3)を測定した。次に、60℃90%に調湿された恒温槽中でフィルムを24時間保管。フィルムを恒温槽から出した後、2分以内に目印の距離(L4)を測定した。吸湿膨張率は、以下の式により評価を行った。
吸湿膨張率(%)={(L4−L3)/L3}×100
(熱収縮開始温度)
本発明のフィルムの熱収縮開始温度は、フィルムが熱収縮する場合は、130〜220℃の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは135℃以上200℃以下であり、更に好ましくは140〜190℃以下であることが更に好ましい。熱収縮開始温度は、TMA(Thermal Mechanical Analyzer)を用いて測定出来る。具体的には、フィルムを昇温しながらサンプルの寸法を測長し、原長に対し2%収縮した温度を調べる。延伸倍率によって熱収縮開始温度は変化するが、高延伸倍率方向のサンプルで上記熱収縮開始温度の範囲にあることが好ましい。
熱収縮開始温度は高いほど熱による寸法変化が少ないため好ましいが、高過ぎると溶融流延の際の溶融温度も高くなるため溶融時のエステルの分解や、溶融粘度の増加によりフィルム表面の平滑性確保が難しくなることがある。熱収縮開始温度はフィルムのTgや製膜されたフィルムに残留する歪によって変動する。その為、これらを制御することによって熱収縮開始温度を調整することが出来る。特にフィルムに残留する歪を少なくするために、延伸条件(延伸倍率、延伸温度、延伸速度など)や延伸後の緩和条件、熱処理条件を制御することが好ましい。これによって熱収縮しない、若しくは2%未満の収縮に抑えられているフィルムは寸法安定性の点から特に好ましい。
〈熱収縮開始温度の測定〉
測定したい方向に沿って長さ35mm、幅3mm幅のフィルムサンプルをカットする。長手方向に両端を25mm間隔でチャックする。これをTMA測定器(TMA2940型 Thermomechanical Analyzer、TA instruments社製)を用いて、0.04Nの力を加えながら30℃から200℃まで3℃/分で昇温しながら寸法変化を測定する。30℃の寸法を基長とし、これから500μm収縮した温度を収縮開始温度とする。
(熱伝導率)
本発明のフィルムの熱伝導率は0.1〜15W/(m・K)であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜11W/(m・K)である。フィルムの熱伝導率を制御するため、熱伝導率の高い樹脂或いは添加剤をブレンドしたり、高熱伝導性粒子を添加することが好ましい。高熱伝導性の層を塗布若しくは共押出し法によって形成することも出来る。高熱伝導性粒子としては、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化マグネシウム、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭素、ダイヤモンド、金属等を挙げる事が出来る。フィルムの透明性を損なわないために、透明な粒子を使用することが望ましい。ポリマーフィルムとしてセルロースアセテートフィルムを用いる場合、高熱伝導性粒子の配合量は、セルロースアセテート100質量部に対して5〜100質量部のはんいで充填するのがよい。配合量が5質量部未満であると熱伝導の向上が乏しく、また50質量部を超える充填は、生産性の面で困難かつフィルムが脆いものになってしまう。高熱伝導性粒子の平均粒径は0.05〜80μm、好ましくは0.1〜10μmが好ましい。球状の粒子を用いても良いし、針状の粒子を用いても良い。
(引き裂き強度)
本発明に係わるセルロースエステルフィルムの引き裂き強度は、溶融流延での製膜工程での取り扱い性を損なわないために、30℃85%RHにおいて2〜55gであることが好ましい。
セルロースエステルフィルムを幅手方向に延伸する際に、機械搬送方向(以下、MD方向)と幅手方向(以下、TD方向)のフィルム引き裂き強度の比をある範囲に制御する条件で延伸する事が好ましい。TD、MD方向の引き裂き強度をそれぞれHtd、Hmdとしたとき、0.5<Htd/Hmd<2であることが好ましく、更に好ましくは0.6<Htd/Hmd<1であり、0.8<Htd/Hmd<1が更に好ましく、0.9<Htd/Hmd<1が最も好ましい。
〈引き裂き強度の測定〉
セルロースエステルフィルムを、温度23℃、相対湿度55%に調湿された部屋で4時間調湿した後、試料寸法試料幅50mm×64mmに切り出し、ISO 6383/2−1983に従い測定して求めた。
(動摩擦係数)
フィルムの当該表面の動摩擦係数は1.0以下、更に好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.40以下であることが好ましい。0.35以下であることがより好ましく、0.30以下であることが更に好ましく、0.25以下であることが最も好ましい。前述のようにセルロースエステルフィルム中に微粒子を添加したり、表面に微粒子含有層を設けることによって、微細な凹凸を形成することで、動摩擦係数を低減出来る。
(弾性率)
セルロースエステルフィルムを幅手方向に延伸する際に、延伸終了後のフィルムの弾性率をある範囲に制御する条件で延伸する事が好ましい。幅手方向(TD)、長手方向(MD)の弾性率は同じであっても異なっていても良い。具体的には、弾性率が1.5GPa〜5GPaの範囲が好ましく、更に好ましくは、1.8GPa〜4GPaであり、特に好ましくは、1.9GPa〜3GPaの範囲である。
(破断点応力)
本発明の光学フィルムの破断点応力は、50から200MPaの範囲とすることが好ましい。破断点応力をこの範囲とすることで、寸法安定性や平面性が改善される。破断点応力は延伸倍率、延伸温度などによって制御することが出来る。
破断点応力は、70から150MPaの範囲で制御する事が更に好ましく、80から100MPaの範囲に制御することが最も好ましい。
(破断点伸度)
本発明のフィルムの破断点伸度は、10〜120%であることが好ましい。特に延伸前のフィルムでは、フィルム面内のいずれの方向においても、破断点伸度が40〜100%の範囲であることが好ましく、50〜100%の範囲であることが好ましく、60〜90%の範囲にあることが更に好ましい。破断点伸度は添加剤含有量、セルロースエステルブレンドやポリエステル或いはポリウレタンなどの高分子可塑剤の添加、延伸温度、延伸倍率、延伸後の熱処理や緩和条件によって制御することが出来る。
延伸した方向の破断点伸度は、延伸前と比べて低くなる傾向があり、延伸倍率が高くなるほど低くなる傾向がある。最大の延伸倍率で延伸した方向に対してフィルム面で直交する方向では、延伸前のフィルムの破断点伸度をなるべく保持することが好ましい。
最大の延伸倍率で延伸した方向に対してフィルム面で直交する方向におけるセルロースエステルフィルムの破断伸びは、20〜120%であることが好ましく、更に好ましくは30〜100%である。最大の延伸倍率で延伸した方向における本発明のフィルムの破断点伸度は、10〜100%であることが好ましく、12〜60%であることが更に好ましく、15〜30%であることが更に好ましい。
破断点伸度を上記範囲内とすることによって、平面性に優れたフィルムを得ることが出来、寸法安定性も改善される。
破断点伸度は、延伸によって破断するまでの伸びの量の比(百分率)である。測定は引張試験器を用いて行うことが出来る。測定したい方向に対して、長さ15cm、幅1cmの大きさのカットサンプルを用意する。25℃、60%RHの環境下で24時間放置して調湿したサンプルを同条件下で延伸し、破断した時の伸びを測定する。引張試験機のチャック間距離は10cm、引張速度は10mm/分とした。延伸前のサンプルの長さに対する破断した際の伸びの量の比(百分率で表す)を、破断伸び(%)とする。
〈フィルム弾性率、破断点伸度、破断点応力の測定方法〉
JIS K 7127に記載の方法に従い23℃55%RHの環境下で測定を行った。試料幅を10mm、長さ130mmに切り出し、任意温度でチャック間距離100mmにし、引っ張り速度100mm/分で引っ張り試験を行い求めた。
(中心線平均粗さ(Ra))
本発明の光学フィルムは高い平面性が要求され、中心線平均粗さ(Ra)としては、0.1μm以下が好ましく、更に好ましくは、0.01μm以下であり、特に好ましくは、0.001μm以下である。中心線平均粗さ(Ra)は、JIS B 0601に規定された数値であり、測定方法としては、例えば、触針法若しくは光学的方法等が挙げられる。
中心線平均粗さ(Ra)は、非接触表面微細形状計測装置WYKO NT−2000を用いて測定した。
(厚み)
本発明のセルロースエステルフィルムの厚みは、通常5〜500μmの範囲であるが、偏光板保護フィルムとしても用いる場合は、20〜200μmの範囲が、偏光板の寸法安定性、水バリアー性等の点から好ましい。また、ロールフィルムとしての長さ方向及び幅手方向の膜厚分布はそれぞれ±3%以内であることが好ましく特に±1%以内であることが好ましく、±0.1%以内であることが望ましい。
(膜厚分布)
試料フィルムを温度23℃、相対湿度55%に調湿された部屋で4時間調湿した後、幅手方向に10mm間隔で、膜厚を測定を行った。得られた膜厚分布データから、以下の式に従って膜厚分布R(%)を算出した。
R(%)={R(max)−R(min)}×100/R(ave)
ここで、R(max):最大膜厚、R(min):最小膜厚、R(ave):平均膜厚
(カール)
本発明のフィルムは樋状カール(幅方向のカール)が30m-1以下であることが好ましい。より好ましくは25m-1、更に好ましくは20m-1以下である。ここで云うカール値はカールの曲率半径(mを単位として測定)の逆数で示したものであり、これが大きいものほど強いカールであることを示す。カールの測定方法は下記に示す。カールが強い場合、ポリマーフィルムは樋状ではなく、丸まってしまう場合もある。フィルムを熱処理した後でもこの範囲内にあることが好ましい。樋状カールは塗布層を設けることで増加或いは減少させることが可能であり、フィルムを膨潤若しくは溶解させる溶媒を塗布することによって、塗布面に対して内側にカールするようにすることも出来、これによって相殺することでカールを所定範囲内に収めることも可能である。
〈カールの測定方法〉
当該フィルム試料を25℃55%RH環境下で3日間放置後、該フィルムを幅手方向50mm、長手方向2mmに裁断した。更に、そのフィルム小片を23℃±2℃55%RH環境下で24時間調湿し、曲率スケールを用いて該フィルムのカール値を測定することが出来る。カール度の測定はJIS−K7619−1988のA法に準じて行った。
カール値は1/Rで表され、Rは曲率半径で単位はmを用いる。
(輝点異物)
本発明で用いられるセルロースエステル或いは溶融組成物は輝点異物が少ないものが好ましく用いられる。輝点異物とは、クロスニコルに配置された偏光板の間にセルロースエステルフィルム試料を配置し、一方より光を当てて、もう一方より観察するとき、光源の光が透過してくることによって光って見える点のことを指し、これを輝点異物という。表示装置用の光学フィルムではこれが少ないものが求められており、10μm以上の大きさの輝点異物が100個/cm2以下、特に好ましくは実質的にないことが好ましく、5〜10μmの大きさの輝点異物が200個/cm2以下、に好ましくは、50個/cm2以下、実質的にないことが好ましい。5μm未満の輝点異物も少ないことが望ましい。光学フィルムの輝点異物は原料のセルロ^スエステルの輝点異物が少ないものを選択すること及びセルロースエステル溶液若しくはセルロースエステル溶融物を濾過することによって減らすことが出来る。
〈輝点異物の測定方法〉
フィルムを2枚の偏光子を直交状態(クロスニコル状態)で挟み、一方の偏光板の外側から光を当て、他方の偏光板の外側から顕微鏡(透過光源で倍率30倍)で25mm2当たりの光って見える異物(輝点異物)の数を測定した。この輝点異物は、外側からあてている光が異物が存在する部分だけ透過されてくることによって光って見える異物である。測定は、10箇所にわたって行い計250mm2当たりの個数から輝点異物を個/cm2を求め評価した。
(像鮮明度)
JIS K−7105で定義される。1mmスリットで測定した時、90%以上が好ましく、95%以上が好ましく、99%以上が好ましい。
(機能性層の形成)
本発明の光学フィルム製造に際し、延伸の前及び/または後で透明導電層、ハードコート層、反射防止層、易滑性層、易接着層、防眩層、ガスバリア層、光学補償層等の機能性層を塗設してもよい。特に、透明導電層、ハードコート層、反射防止層、易接着層、防眩層及び光学補償層から選ばれる少なくとも1層を設けることが好ましい。この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、アルカリケン化処理などの薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことが出来る。
〈透明導電層〉
本発明のフィルムには、界面活性剤や導電性微粒子分散物などを用いて、透明導電層を設けることも好ましい。フィルム自身に導電性を付与しても、透明導電性層を設けてもよい。帯電防止性を付与するには透明導電性層を設けることが好ましい。透明導電性層は、塗布、大気圧プラズマ処理、真空蒸着、スパッタ、イオンプレーティング法などによって設けることも出来る。或いは共押出し法で表層或いは内部層のみに導電性微粒子を含有させて、透明導電性層とすることも出来る。透明導電層はフィルムの一方の面のみに設けても両面に設けてもよい。導電性微粒子を滑り性を付与させるマット剤と併用若しくは兼用することも出来る。導電剤としては、下記の導電性を有する金属酸化物粉体を使用することが出来る。
金属酸化物の例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO2、V25等、或いはこれらの複合酸化物が好ましく、特にZnO、TiO2及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、TiO2に対してはNb、Ta等の添加、またSnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特に好ましい。
また、これらの導電性を有する金属酸化物粉体の体積抵抗率は1×107Ωcm特に1×105Ωcm以下であって、一次粒子径が100Å以上、0.2μm以下で、高次構造の長径が300Å以上、6μm以下である特定の構造を有する粉体を導電層に体積分率で0.01%以上、20%以下含んでいることが好ましい。
本発明において透明導電層の形成は、導電性微粒子をバインダーに分散させて基体上に設けてもよいし、基体上に下引処理を施し、その上に導電性微粒子を被着させてもよい。
また、特開平9−203810号公報の段落番号0038〜同0055に記載の一般式(I)〜(V)で表されるアイオネン導電性ポリマーや、同公報の段落番号0056〜同0145に記載の一般式(1)または(2)で表される第4級アンモニウムカチオンポリマーを含有させることが出来る。
また、本発明の効果を阻害しない範囲で、金属酸化物からなる透明導電層中に耐熱剤、耐候剤、無機粒子、水溶性樹脂、エマルジョン等をマット化、膜質改良のために添加してもよい。
透明導電層で使用するバインダーは、フィルム形成能を有する物であれば特に限定されるものではないが、例えば、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース化合物、デキストラン、寒天、アルギン酸ソーダ、デンプン誘導体等の糖類、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸等の合成ポリマー等を挙げることが出来る。
特に、ゼラチン(石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酸素分解ゼラチン、フタル化ゼラチン、アセチル化ゼラチン等)、アセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリルアミド、デキストラン等が好ましい。
〈反射防止フィルム〉
本発明の光学フィルムは、その表面にハードコート層及び反射防止層を設け、反射防止フィルムとすることも好ましい。
ハードコート層としては、活性線硬化樹脂層または熱硬化樹脂層が好ましく用いられる。ハードコート層は、支持体上に直接設層しても、帯電防止層または下引層等の他の層の上に設層してもよい。
ハードコート層として活性線化樹脂層を設ける場合には、紫外線等光照射により硬化する活性線硬化樹脂を含有することが好ましい。
ハードコート層は、光学設計上の観点から屈折率が1.45〜1.65の範囲にあることが好ましい。また、反射防止フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与し、かつ、適度な屈曲性、作製時の経済性等を鑑みた観点から、ハードコート層の膜厚としては、1μm〜20μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、1μm〜10μmである。
活性線硬化性樹脂層とは紫外線や電子線のような活性線照射(本発明では、『活性線』とは、電子線、中性子線、X線、アルファ線、紫外線、可視光線、赤外線等、種々の電磁波を全て光と定義する)により架橋反応等を経て硬化した樹脂を主たる成分として含有する層をいう。活性線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の光照射によって硬化する樹脂でもよい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂を挙げることが出来る。
また、光反応開始剤、光増感剤を含有させることも出来る。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。また、エポキシアクリレート系樹脂の合成に光反応剤を使用する際に、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。塗布乾燥後に揮発する溶媒成分を除いた紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる光反応開始剤また光増感剤は、組成物の2.5〜6質量%であることが好ましい。
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が1個のモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、酢酸ビニル、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来る。また不飽和二重結合を2個以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前述のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることが出来る。
また、紫外線硬化性樹脂組成物の活性線硬化を妨げない程度に、紫外線吸収剤を紫外線硬化性樹脂組成物に含ませてもよい。紫外線吸収剤としては、前記基材に使用してもよい紫外線吸収剤と同様なものを用いることが出来る。
また硬化された層の耐熱性を高めるために、活性線硬化反応を抑制しないような酸化防止剤を選んで用いることが出来る。例えば、ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピオン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げることが出来る。具体的には、例えば、4,4′−チオビス(6−t−3−メチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、ジ−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルホスフェート等を挙げることが出来る。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、アデカオプトマーKR、BYシリーズのKR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業(株)製)、コーエイハードのA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業(株)製)、セイカビームのPHC2210(S)、PHCX−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業(株)製)、KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー(株))、RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製)、サンラッド H−601(三洋化成工業(株)製)、SP−1509、SP−1507(以上、昭和高分子(株)製)、RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成(株)製)、またはその他の市販のものから適宜選択して利用することが出来る。
活性線硬化性樹脂層の塗布組成物は、固形分濃度は10〜95質量%であることが好ましく、塗布方法により適当な濃度が選ばれる。
活性線硬化性樹脂を活性線硬化反応により硬化被膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であればいずれでも使用出来る。具体的には、前記光の項に記載の光源を使用出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量としては20mJ/cm2〜10000mJ/cm2の範囲が好ましく、更に好ましくは、50mJ/cm2〜2000mJ/cm2である。近紫外線領域から可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって使用出来る。
活性線硬化性樹脂層を塗設する際の溶媒は、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール類(ジアセトンアルコール)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、或いはこれらを混合し利用出来る。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
活性線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方法としては、グラビアコータ、スピナーコータ、ワイヤーバーコータ、ロールコータ、リバースコータ、押出コータ、エアードクターコータ等公知の方法を用いることが出来る。塗布量はウェット膜厚で0.1μm〜30μmが適当で、好ましくは0.5μm〜15μmである。塗布速度は10m/分〜60m/分の範囲が好ましい。
活性線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥された後、紫外線を照射するが、照射時間は0.5秒〜5分がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率から3秒〜2分がより好ましい。
こうして硬化被膜層を得ることが出来るが、液晶表示装置パネルの表面に防眩性を与えるために、また他の物質との対密着性を防ぎ、対擦り傷性等を高めるために、硬化被膜層用の塗布組成物中に無機または有機の微粒子を加えることも出来る。
例えば、無機微粒子としては酸化珪素、酸化ジルコニウム酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることが出来る。
また、有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げることが出来る。これらは紫外線硬化性樹脂組成物に加えて用いることが出来る。これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.01μm〜10μmであり、使用量は紫外線硬化樹脂組成物100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部となるように配合することが望ましい。防眩効果を付与するには、平均粒径0.1μm〜1μmの微粒子を紫外線硬化樹脂組成物100質量部に対して1質量部〜15質量部用いるのが好ましい。
このような微粒子を紫外線硬化樹脂に添加することによって、中心線平均表面粗さRaが0.05μm〜0.5μmの好ましい凹凸を有する防眩層を形成することが出来る。また、このような微粒子を紫外線硬化性樹脂組成物に添加しない場合、中心線平均表面粗さRaは0.05μm未満、より好ましくは0.002μm〜0.04μm未満の良好な平滑面を有するハードコート層を形成することが出来る。
この他、ブロッキング防止機能を果たすものとして、上述したのと同じ成分で、体積平均粒径0.005μm〜0.1μmの極微粒子を樹脂組成物100質量部に対して0.1質量部〜5質量部を用いることも出来る。
反射防止層は上記ハードコート層の上に設けるが、その方法は特に限定されず、塗布、スパッタ、蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、大気圧プラズマ法またはこれらを組み合わせて形成することが出来る。本発明では、特に塗布によって反射防止層を設けることが好ましい。
反射防止層を塗布により形成する方法としては、溶剤に溶解したバインダー樹脂中に金属酸化物の粉末を分散し、塗布乾燥する方法、架橋構造を有するポリマーをバインダー樹脂として用いる方法、エチレン性不飽和モノマーと光重合開始剤を含有させ、活性線を照射することにより層を形成する方法等の方法を挙げることが出来る。
本発明においては、紫外線硬化樹脂層を付与したセルロースエステルフィルムの上に反射防止層を設けることが出来る。光学フィルムの最上層に低屈折率層を形成し、その間に高屈折率層の金属酸化物層を形成したり、更に光学フィルムと高屈折率層との間に更に中屈折率層(金属酸化物の含有量或いは樹脂バインダーとの比率、金属の種類を変更して屈折率を調整した金属酸化物層)を設けることは、反射率の低減のために、好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.55〜2.30であることが好ましく、1.57〜2.20であることが更に好ましい。中屈折率層の屈折率は、基材であるセルロースエステルフィルムの屈折率(約1.5)と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。各層の厚さは、5nm〜0.5μmであることが好ましく、10nm〜0.3μmであることが更に好ましく、30nm〜0.2μmであることが最も好ましい。金属酸化物層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。金属酸化物層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で3H以上であることが好ましく、4H以上であることが最も好ましい。金属酸化物層を塗布により形成する場合は、無機微粒子とバインダーポリマーとを含むことが好ましい。
本発明における中、高屈折率層は下記一般式(14)で表される有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物を含有する塗布液を塗布し乾燥させて形成させた屈折率1.55〜2.5の層であることが好ましい。
一般式(14)
Ti(OR14
式中、R1としては炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基がよいが、好ましくは炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基である。また、有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物は、アルコキシド基が加水分解を受けて−Ti−O−Ti−のように反応して架橋構造を作り、硬化した層を形成する。
本発明に用いられる有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーとしては、Ti(OCH34、Ti(OC254、Ti(O−n−C374、Ti(O−i−C374、Ti(O−n−C494、Ti(O−n−C374の2〜10量体、Ti(O−i−C374の2〜10量体、Ti(O−n−C494の2〜10量体等が好ましい例として挙げられる。これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることが出来る。中でもTi(O−n−C374、Ti(O−i−C374、Ti(O−n−C494、Ti(O−n−C374の2〜10量体、Ti(O−n−C494の2〜10量体が特に好ましい。
本発明における中、高屈折率層用塗布液は、水と後述する有機溶媒が順次添加された溶液中に上記有機チタン化合物を添加することが好ましい。水を後から添加した場合は、加水分解/重合が均一に進行せず、白濁が発生したり、膜強度が低下する。水と有機溶媒は添加された後、良く混合させるために攪拌し混合溶解されていることが好ましい。
また、別法として有機チタン化合物と有機溶媒を混合させておき、この混合溶液を、上記水と有機溶媒の混合攪拌された溶液中に添加することも好ましい態様である。
また、水の量は有機チタン化合物1モルに対して、0.25〜3モルの範囲であることが好ましい。0.25モル未満であると、加水分解、重合の進行が不十分で膜強度が低下する。3モルを超えると加水分解、重合が進行し過ぎて、TiO2の粗大粒子が発生し白濁するため好ましくない。従って水の量は上記範囲で調整する必要がある。
また、水の含有率は塗布液総量に対して10質量%未満であることが好ましい。水の含有率を塗布液総量に対して10質量%以上にすると、塗布液の経時安定が劣り白濁を生じたりするため好ましくない。
本発明に用いられる有機溶媒としては、水混和性の有機溶媒であることが好ましい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられるが、特に、アルコール類、多価アルコール類、多価アルコールエーテル類が好ましい。これらの有機溶媒の使用量は、前述したように、水の含有率が塗布液総量に対して10質量%未満であるように、水と有機溶媒のトータルの使用量を調整すればよい。
本発明に用いられる有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物は、単独で用いる場合は、塗布液に含まれる固形分に対し50.0質量%〜98.0質量%を占めていることが望ましい。固形分比率は50質量%〜90質量%がより好ましく、55質量%〜90質量%が更に好ましい。この他、塗布組成物には有機チタン化合物のポリマー(予め有機チタン化合物の加水分解を行って架橋したもの)或いは酸化チタン微粒子を添加することも好ましい。
本発明における高屈折率層及び中屈折率層は、微粒子として金属酸化物粒子を含んでもよく、更にバインダーポリマーを含んでもよい。
上記塗布液調製法で加水分解/重合した有機チタン化合物と金属酸化物粒子を組み合わせると、金属酸化物粒子と加水分解/重合した有機チタン化合物とが強固に接着し、粒子のもつ硬さと均一膜の柔軟性を兼ね備えた強い塗膜を得ることが出来る。
高屈折率層及び中屈折率層に用いる金属酸化物粒子は、屈折率が1.80〜2.80であることが好ましく、1.90〜2.80であることが更に好ましい。金属酸化物粒子の1次粒子の重量平均径は、1〜150nmであることが好ましく、1〜100nmであることが更に好ましく、1〜80nmであることが最も好ましい。層中での金属酸化物粒子の重量平均径は、1〜200nmであることが好ましく、5〜150nmであることがより好ましく、10〜100nmであることが更に好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。金属酸化物粒子の平均粒径は、20〜30nm以上であれば光散乱法により、20〜30nm以下であれば電子顕微鏡写真により測定される。金属酸化物粒子の比表面積は、BET法で測定された値として、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることが更に好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
金属酸化物粒子の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも一種の元素を有する金属酸化物であり、具体的には二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、及び酸化ジルコニウムが挙げられる。中でも、酸化チタン、酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。金属酸化物粒子は、これらの金属の酸化物を主成分とし、更に他の元素を含むことが出来る。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びS等が挙げられる。
金属酸化物粒子は表面処理されていることが好ましい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施することが出来る。表面処理に用いる無機化合物の例としては、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム及び酸化鉄が挙げられる。中でもアルミナ及びシリカが好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例としては、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が挙げられる。中でも、シランカップリング剤が最も好ましい。
具体的なシランカップリング剤の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、珪素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが挙げられる。
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、珪素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
2種類以上のカップリング剤を併用してもよい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリング剤を用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例えば、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec−ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)及びその加水分解物が挙げられる。
カップリング剤による表面処理は、微粒子の分散物に、カップリング剤を加え、室温から60℃までの温度で、数時間から10日間分散物を放置することにより実施出来る。表面処理反応を促進するため、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸(例えば、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、フェノール、ポリグルタミン酸)、またはこれらの塩(例えば、金属塩、アンモニウム塩)を、分散物に添加してもよい。
これらシランカップリング剤は予め必要量の水で加水分解されていることが好ましい。シランカップリング剤が加水分解されていると、前述の有機チタン化合物及び金属酸化物粒子の表面が反応し易く、より強固な膜が形成される。また、加水分解されたシランカップリング剤を予め塗布液中に加えることも好ましい。この加水分解に用いた水も有機チタン化合物の加水分解/重合に用いることが出来る。
本発明では2種類以上の表面処理を組み合わせて処理されていても構わない。金属酸化物粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状或いは不定形状であることが好ましい。2種類以上の金属酸化物粒子を高屈折率層及び中屈折率層に併用してもよい。
高屈折率層及び中屈折率層中の金属酸化物粒子の割合は、5〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜85質量%であり、更に好ましくは20〜80質量%である。微粒子を含有する場合に、前述の有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物の割合は、塗布液に含まれる固形分に対し1〜50質量%であり、好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは1〜30質量%である。
上記金属酸化物粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、高屈折率層及び中屈折率層を形成するための塗布液に供される。金属酸化物粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
また金属酸化物粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することが出来る。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが挙げられる。
本発明における高屈折率層及び中屈折率層は、架橋構造を有するポリマー(以下、架橋ポリマーともいう)をバインダーポリマーとして用いることが好ましい。架橋ポリマーの例として、ポリオレフィン等の飽和炭化水素鎖を有するポリマー(以下、ポリオレフィンと総称する)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミド及びメラミン樹脂等の架橋物が挙げられる。中でも、ポリオレフィン、ポリエーテル及びポリウレタンの架橋物が好ましく、ポリオレフィン及びポリエーテルの架橋物が更に好ましく、ポリオレフィンの架橋物が最も好ましい。また、架橋ポリマーがアニオン性基を有することは更に好ましい。アニオン性基は無機微粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋構造はポリマーに皮膜形成能を付与して皮膜を強化する機能を有する。上記アニオン性基は、ポリマー鎖に直接結合していてもよいし、連結基を介してポリマー鎖に結合していてもよいが、連結基を介して側鎖として主鎖に結合していることが好ましい。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)及びリン酸基(ホスホノ)が挙げられる。中でも、スルホン酸基及びリン酸基が好ましい。ここで、アニオン性基は、塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは、解離していてもよい。アニオン性基とポリマー鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。好ましいバインダーポリマーである架橋ポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。この場合、コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることが更に好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、2以上のアニオン性基を有していてもよい。
アニオン性基を有する架橋ポリマーには、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造も有しない繰り返し単位)が含まれていてもよい。その他の繰り返し単位としては、アミノ基または4級アンモニウム基を有する繰り返し単位及びベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または4級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に、無機微粒子の分散状態を維持する機能を有する。ベンゼン環は、高屈折率層の屈折率を高くする機能を有する。尚、アミノ基、4級アンモニウム基及びベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位或いは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
上記アミノ基または4級アンモニウム基を有する繰り返し単位を構成単位として含有する架橋ポリマーにおいて、アミノ基または4級アンモニウム基は、ポリマー鎖に直接結合していてもよいし、或いは連結基を介し側鎖としてポリマー鎖に結合していてもよいが、後者がより好ましい。アミノ基または4級アンモニウム基は、2級アミノ基、3級アミノ基または4級アンモニウム基であることが好ましく、3級アミノ基または4級アンモニウム基であることが更に好ましい。2級アミノ基、3級アミノ基または4級アンモニウム基の窒素原子に結合している基としては、アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。4級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または4級アンモニウム基とポリマー鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせから選ばれる2価の基であることが好ましい。架橋ポリマーが、アミノ基または4級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることが更に好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
架橋ポリマーは、架橋ポリマーを生成するためのモノマーを配合して高屈折率層及び中屈折率層形成用の塗布液を調製し、塗布液の塗布と同時または塗布後に、重合反応によって生成させることが好ましい。架橋ポリマーの生成と共に、各層が形成される。アニオン性基を有するモノマーは、塗布液中で無機微粒子の分散剤として機能する。アニオン性基を有するモノマーは、無機微粒子に対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%使用される。また、アミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーは、塗布液中で分散助剤として機能する。アミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーは、アニオン性基を有するモノマーに対して、好ましくは3〜33質量%使用される。塗布液の塗布と同時または塗布後に、重合反応によって架橋ポリマーを生成する方法により、塗布液の塗布前にこれらのモノマーを有効に機能させることが出来る。
本発明に用いられるモノマーとしては、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーが最も好ましいが、その例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミド等が挙げられる。アニオン性基を有するモノマー、及びアミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーは市販のモノマーを用いてもよい。好ましく用いられる市販のアニオン性基を有するモノマーとしては、KAYAMARPM−21、PM−2(日本化薬(株)製)、AntoxMS−60、MS−2N、MS−NH4(日本乳化剤(株)製)、アロニックスM−5000、M−6000、M−8000シリーズ(東亞合成化学工業(株)製)、ビスコート#2000シリーズ(大阪有機化学工業(株)製)、ニューフロンティアGX−8289(第一工業製薬(株)製)、NKエステルCB−1、A−SA(新中村化学工業(株)製)、AR−100、MR−100、MR−200(第八化学工業(株)製)等が挙げられる。また、好ましく用いられる市販のアミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーとしてはDMAA(大阪有機化学工業(株)製)、DMAEA,DMAPAA(興人(株)製)、ブレンマーQA(日本油脂(株)製)、ニューフロンティアC−1615(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
ポリマーの重合反応は、光重合反応または熱重合反応を用いることが出来る。特に光重合反応が好ましい。重合反応のため、重合開始剤を使用することが好ましい。例えば、ハードコート層のバインダーポリマーを形成するために用いられる後述する熱重合開始剤、及び光重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤として市販の重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤に加えて、重合促進剤を使用してもよい。重合開始剤と重合促進剤の添加量は、モノマーの全量の0.2〜10質量%の範囲であることが好ましい。塗布液(モノマーを含む無機微粒子の分散液)を加熱して、モノマー(またはオリゴマー)の重合を促進してもよい。また、塗布後の光重合反応の後に加熱して、形成されたポリマーの熱硬化反応を追加処理してもよい。
中屈折率層及び高屈折率層には、比較的屈折率が高いポリマーを用いることが好ましい。屈折率が高いポリマーの例としては、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及び環状(脂環式または芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタンが挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高く用いることが出来る。
本発明に用いることの出来る低屈折率層としては、熱または電離放射線により架橋する含フッ素樹脂(以下、「架橋前の含フッ素樹脂」ともいう)の架橋からなる低屈折率層、ゾルゲル法による低屈折率層、または微粒子とバインダーポリマーを用い、微粒子間または微粒子内部に空隙を有する低屈折率層等が用いられるが、本発明に適用出来る低屈折率層は、主として微粒子とバインダーポリマーを用いる低屈折率層であることが好ましい。特に粒子内部に空隙を有する(中空微粒子ともいう)低屈折率層である場合、より屈折率を低下することが出来好ましい。但し、低屈折率層の屈折率は、低ければ反射防止性能が良化するため好ましいが、低屈折率層の強度付与の観点では困難となる。このバランスから、低屈折率層の屈折率は1.45以下であることが好ましく、更に1.30〜1.50であることが好ましく、1.35〜1.49であることがより好ましく、1.35〜1.45であることが特に好ましい。
また、上記低屈折率層の調製方法は適宜組み合わせて用いても構わない。
架橋前の含フッ素樹脂としては、含フッ素ビニルモノマーと架橋性基付与のためのモノマーから形成される含フッ素共重合体を好ましく挙げることが出来る。上記含フッ素ビニルモノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えば、ビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。架橋性基付与のためのモノマーとしては、グリシジルメタクリレートや、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルグリシジルエーテル等のように分子内に予め架橋性官能基を有するビニルモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有するビニルモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル等)が挙げられる。後者は共重合の後、ポリマー中の官能基と反応する基ともう1つ以上の反応性基を持つ化合物を加えることにより、架橋構造を導入出来ることが特開平10−25388号、同10−147739号に記載されている。架橋性基の例には、アクリロイル、メタクリロイル、イソシアナート、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロール及び活性メチレン基等が挙げられる。含フッ素共重合体が、加熱により反応する架橋基、若しくは、エチレン性不飽和基と熱ラジカル発生剤若しくはエポキシ基と熱酸発生剤等の組み合わせにより、加熱により架橋する場合、熱硬化型であり、エチレン性不飽和基と光ラジカル発生剤若しくは、エポキシ基と光酸発生剤等の組み合わせにより、光(好ましくは紫外線、電子ビーム等)の照射により架橋する場合、電離放射線硬化型である。
また上記モノマー加えて、含フッ素ビニルモノマー及び架橋性基付与のためのモノマー以外のモノマーを併用して形成された含フッ素共重合体を架橋前の含フッ素樹脂として用いてもよい。併用可能なモノマーには特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等を挙げることが出来る。また、含フッ素共重合体中に、滑り性、防汚性付与のため、ポリオルガノシロキサン骨格や、パーフルオロポリエーテル骨格を導入することも好ましい。これは、例えば末端にアクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基、スチリル基等を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルと上記のモノマーとの重合、末端にラジカル発生基を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルによる上記モノマーの重合、官能基を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルと、含フッ素共重合体との反応等によって得られる。
架橋前の含フッ素共重合体を形成するために用いられる上記各モノマーの使用割合は、含フッ素ビニルモノマーが好ましくは20〜70モル%、より好ましくは40〜70モル%、架橋性基付与のためのモノマーが好ましくは1〜20モル%、より好ましくは5〜20モル%、併用されるその他のモノマーが好ましくは10〜70モル%、より好ましくは10〜50モル%の割合である。
含フッ素共重合体は、これらモノマーをラジカル重合開始剤の存在下で、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合法等の手段により重合することにより得ることが出来る。
架橋前の含フッ素樹脂は、市販されており使用することが出来る。市販されている架橋前の含フッ素樹脂の例としては、サイトップ(旭硝子製)、テフロン(登録商標)AF(デュポン製)、ポリフッ化ビニリデン、ルミフロン(旭硝子製)、オプスター(JSR製)等が挙げられる。
架橋した含フッ素樹脂を構成成分とする低屈折率層は、動摩擦係数が0.03〜0.15の範囲、水に対する接触角が90〜120度の範囲にあることが好ましい。
架橋した含フッ素樹脂を構成成分とする低屈折率層が後述する無機粒子を含有することは、屈折率調整の点から好ましい。また無機微粒子は、表面処理を施して用いることも好ましい。表面処理法としてはプラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理とカップリング剤を使用する化学的表面処理があるが、カップリング剤の使用が好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキシ金属化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤等)が好ましく用いられる。無機微粒子がシリカの場合はシランカップリング剤による処理が特に有効である。
また、低屈折率層用の素材として、各種ゾルゲル素材を用いることも出来る。この様なゾルゲル素材としては、金属アルコレート(シラン、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等のアルコレート)、オルガノアルコキシ金属化合物及びその加水分解物を用いることが出来る。特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシラン及びその加水分解物が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙げられる。また、各種の官能基を有するオルガノアルコキシシラン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビニルジアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキジシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン等)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等)を用いることも好ましい。特にフッ素含有のシラン化合物を用いることは、層の低屈折率化及び撥水・撥油性付与の点で好ましい。
低屈折率層として、無機若しくは有機の微粒子を用い、微粒子間または微粒子内のミクロボイドとして形成した層を用いることも好ましい。微粒子の平均粒径は、0.5〜200nmであることが好ましく、1〜100nmであることがより好ましく、3〜70nmであることが更に好ましく、5〜40nmの範囲であることが最も好ましい。微粒子の粒径は、なるべく均一(単分散)であることが好ましい。
無機微粒子としては、非晶質であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物または金属ハロゲン化物からなることが更に好ましく、金属酸化物または金属フッ化物からなることが最も好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、Pb及びNiが好ましく、Mg、Ca、B及びSiが更に好ましい。二種類の金属を含む無機化合物を用いてもよい。好ましい無機化合物の具体例としては、SiO2、またはMgF2であり、特に好ましくはSiO2である。
無機微粒子内にミクロボイドを有する粒子は、例えば、粒子を形成するシリカの分子を架橋させることにより形成することが出来る。シリカの分子を架橋させると体積が縮小し、粒子が多孔質になる。ミクロボイドを有する(多孔質)無機微粒子は、ゾル−ゲル法(特開昭53−112732号、特公昭57−9051号に記載)または析出法(APPLIED OPTICS,27巻,3356頁(1988)記載)により、分散物として直接合成することが出来る。また、乾燥・沈澱法で得られた粉体を、機械的に粉砕して分散物を得ることも出来る。市販の多孔質無機微粒子(例えば、SiO2ゾル)を用いてもよい。
これらの無機微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)及びケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)が好ましい。
有機微粒子も非晶質であることが好ましい。有機微粒子は、モノマーの重合反応(例えば乳化重合法)により合成されるポリマー微粒子であることが好ましい。有機微粒子のポリマーはフッ素原子を含むことが好ましい。ポリマー中のフッ素原子の割合は、35〜80質量%であることが好ましく、45〜75質量%であることが更に好ましい。また、有機微粒子内に、例えば、粒子を形成するポリマーを架橋させ、体積を縮小させることによりミクロボイドを形成させることも好ましい。粒子を形成するポリマーを架橋させるためには、ポリマーを合成するためのモノマーの20モル%以上を多官能モノマーとすることが好ましい。多官能モノマーの割合は、30〜80モル%であることが更に好ましく、35〜50モル%であることが最も好ましい。上記有機微粒子の合成に用いられるモノマーとしては、含フッ素ポリマーを合成するために用いるフッ素原子を含むモノマーの例として、フルオロオレフィン類(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、アクリル酸またはメタクリル酸のフッ素化アルキルエステル類及びフッ素化ビニルエーテル類が挙げられる。フッ素原子を含むモノマーとフッ素原子を含まないモノマーとのコポリマーを用いてもよい。フッ素原子を含まないモノマーの例としては、オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル類(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、スチレン類(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル類(例えば、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル)、アクリルアミド類(例えば、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド類及びアクリルニトリル類が挙げられる。多官能モノマーの例としては、ジエン類(例えば、ブタジエン、ペンタジエン)、多価アルコールとアクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、多価アルコールとメタクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジメタクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート)、ジビニル化合物(例えば、ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジビニルベンゼン)、ジビニルスルホン、ビスアクリルアミド類(例えば、メチレンビスアクリルアミド)及びビスメタクリルアミド類が挙げられる。
粒子間のミクロボイドは、微粒子を少なくとも2個以上積み重ねることにより形成することが出来る。尚、粒径が等しい(完全な単分散の)球状微粒子を最密充填すると、26体積%の空隙率の微粒子間ミクロボイドが形成される。粒径が等しい球状微粒子を単純立方充填すると、48体積%の空隙率の微粒子間ミクロボイドが形成される。実際の低屈折率層では、微粒子の粒径の分布や粒子内ミクロボイドが存在するため、空隙率は上記の理論値からかなり変動する。空隙率を増加させると、低屈折率層の屈折率が低下する。微粒子を積み重ねてミクロボイドを形成すると、微粒子の粒径を調整することで、粒子間ミクロボイドの大きさも適度の(光を散乱せず、低屈折率層の強度に問題が生じない)値に容易に調節出来る。更に、微粒子の粒径を均一にすることで、粒子間ミクロボイドの大きさも均一である光学的に均一な低屈折率層を得ることが出来る。これにより、低屈折率層は微視的にはミクロボイド含有多孔質膜であるが、光学的或いは巨視的には均一な膜にすることが出来る。粒子間ミクロボイドは、微粒子及びポリマーによって低屈折率層内で閉じていることが好ましい。閉じている空隙には、低屈折率層表面に開かれた開口と比較して、低屈折率層表面での光の散乱が少ないとの利点もある。
ミクロボイドを形成することにより、低屈折率層の巨視的屈折率は、低屈折率層を構成する成分の屈折率の和よりも低い値になる。層の屈折率は、層の構成要素の体積当たりの屈折率の和になる。微粒子やポリマーのような低屈折率層の構成成分の屈折率は1よりも大きな値であるのに対して、空気の屈折率は1.00である。その為、ミクロボイドを形成することによって、屈折率が非常に低い低屈折率層を得ることが出来る。
また、本発明ではSiO2の中空微粒子を用いることも好ましい態様である。
本発明でいう中空微粒子とは、粒子壁を有しその内部が空洞であるような粒子をいい、例えば前述の微粒子内部にミクロボイドを有するSiO2粒子を更に有機珪素化合物(テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン類)で表面を被覆しその細孔入り口を閉塞して形成された粒子である。或いは前記粒子壁内部の空洞が溶媒または気体で満たされていてもよく、例えば空気の場合は中空微粒子の屈折率は、通常のシリカ(屈折率=1.46)と比較して著しく低くすることが出来る(屈折率=1.44〜1.34)。この様な中空SiO2微粒子を添加することにより、低屈折率層の更なる低屈折率化が可能となる。
上記無機微粒子内にミクロボイドを有する粒子を中空にする調製方法は、特開2001−167637号公報、2001−233611号公報に記載されている方法に準じればよく、また本発明では市販の中空SiO2微粒子を用いることが出来る。市販の粒子の具体例としては、触媒化成工業社製P−4等が挙げられる。
低屈折率層は、5〜50質量%の量のポリマーを含むことが好ましい。ポリマーは、微粒子を接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。ポリマーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持出来るように調整する。ポリマーの量は、低屈折率層の全量の10〜30質量%であることが好ましい。ポリマーで微粒子を接着するためには、(1)微粒子の表面処理剤にポリマーを結合させるか、(2)微粒子をコアとして、その周囲にポリマーシェルを形成するか、或いは(3)微粒子間のバインダーとして、ポリマーを使用することが好ましい。(1)の表面処理剤に結合させるポリマーは、(2)のシェルポリマーまたは(3)のバインダーポリマーであることが好ましい。(2)のポリマーは、低屈折率層の塗布液の調製前に、微粒子の周囲に重合反応により形成することが好ましい。(3)のポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に、重合反応により形成することが好ましい。上記(1)〜(3)のうちの二つまたは全てを組み合わせて実施することが好ましく、(1)と(3)の組み合わせ、または(1)〜(3)全ての組み合わせで実施することが特に好ましい。(1)表面処理、(2)シェル及び(3)バインダーについて順次説明する。
(1)表面処理
微粒子(特に無機微粒子)には、表面処理を実施して、ポリマーとの親和性を改善することが好ましい。表面処理は、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理と、カップリング剤を使用する化学的表面処理に分類出来る。化学的表面処理のみ、または物理的表面処理と化学的表面処理の組み合わせで実施することが好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。微粒子がSiO2からなる場合は、シランカップリング剤による表面処理が特に有効に実施出来る。具体的なシランカップリング剤の例としては、前記したシランカップリング剤が好ましく用いられる。
カップリング剤による表面処理は、微粒子の分散物に、カップリング剤を加え、室温から60℃までの温度で、数時間から10日間分散物を放置することにより実施出来る。表面処理反応を促進するため、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸(例えば、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、フェノール、ポリグルタミン酸)、またはこれらの塩(例えば、金属塩、アンモニウム塩)を、分散物に添加してもよい。
(2)シェル
シェルを形成するポリマーは、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが好ましい。フッ素原子を主鎖または側鎖に含むポリマーが好ましく、フッ素原子を側鎖に含むポリマーが更に好ましい。ポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルが好ましく、フッ素置換アルコールとポリアクリル酸またはポリメタクリル酸とのエステルが最も好ましい。シェルポリマーの屈折率は、ポリマー中のフッ素原子の含有量の増加に伴い低下する。低屈折率層の屈折率を低下させるため、シェルポリマーは35〜80質量%のフッ素原子を含むことが好ましく、45〜75質量%のフッ素原子を含むことが更に好ましい。フッ素原子を含むポリマーは、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの重合反応により合成することが好ましい。フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの例としては、フルオロオレフィン(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、フッ素化ビニルエーテル及びフッ素置換アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルが挙げられる。
シェルを形成するポリマーは、フッ素原子を含む繰り返し単位とフッ素原子を含まない繰り返し単位からなるコポリマーであってもよい。フッ素原子を含まない繰り返し単位は、フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの例としては、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート)、スチレン及びその誘導体(例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル(例えば、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル)、アクリルアミド(例えば、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド及びアクリロニトリルが挙げられる。
後述する(3)のバインダーポリマーを併用する場合は、シェルポリマーに架橋性官能基を導入して、シェルポリマーとバインダーポリマーとを架橋により化学的に結合させてもよい。シェルポリマーは、結晶性を有していてもよい。シェルポリマーのガラス転移温度(Tg)が低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、低屈折率層内のミクロボイドの維持が容易である。但し、Tgが低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、微粒子が融着せず、低屈折率層が連続層として形成されない(その結果、強度が低下する)場合がある。その場合は、後述する(3)のバインダーポリマーを併用し、バインダーポリマーにより低屈折率層を連続層として形成することが望ましい。微粒子の周囲にポリマーシェルを形成して、コアシェル微粒子が得られる。コアシェル微粒子中に無機微粒子からなるコアが5〜90体積%含まれていることが好ましく、15〜80体積%含まれていることが更に好ましい。二種類以上のコアシェル微粒子を併用してもよい。また、シェルのない無機微粒子とコアシェル粒子とを併用してもよい。
(3)バインダー
バインダーポリマーは、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが更に好ましい。バインダーポリマーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが挙げられる。ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により合成することが好ましい。2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例としては、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が挙げられる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタンも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用出来る。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、架橋基は、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。バインダーポリマーの重合反応及び架橋反応に使用する重合開始剤は、熱重合開始剤や、光重合開始剤が用いられるが、光重合開始剤の方がより好ましい。光重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例としては、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが挙げられる。ベンゾイン類の例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが挙げられる。ベンゾフェノン類の例としては、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノンが挙げられる。ホスフィンオキシド類の例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが挙げられる。
バインダーポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に重合反応(必要ならば更に架橋反応)により形成することが好ましい。低屈折率層の塗布液に、少量のポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂)を添加してもよい。
また、本発明の低屈折率層或いは他の屈折率層には滑り剤を添加することが好ましく、滑り性を付与することによって耐傷性を改善することが出来る。滑り剤としては、シリコーンオイルまたはワックス状物質が好ましく用いられる。例えば、下記一般式で表される化合物が好ましい。
一般式 R1COR2
式中、R1は炭素原子数が12以上の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基を表す。アルキル基またはアルケニル基が好ましく、更に炭素原子数が16以上のアルキル基またはアルケニル基が好ましい。R2は−OM1基(M1はNa、K等のアルカリ金属を表す)、−OH基、−NH2基、または−OR3基(R3は炭素原子数が12以上の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、好ましくはアルキル基またはアルケニル基を表す)を表し、R2としては−OH基、−NH2基または−OR3基が好ましい。具体的には、ベヘン酸、ステアリン酸アミド、ペンタコ酸等の高級脂肪酸またはその誘導体、天然物としてこれらの成分を多く含んでいるカルナバワックス、蜜蝋、モンタンワックスも好ましく使用出来る。特公昭53−292号公報に開示されているようなポリオルガノシロキサン、米国特許第4,275,146号明細書に開示されているような高級脂肪酸アミド、特公昭58−33541号公報、英国特許第927,446号明細書または特開昭55−126238号公報及び同58−90633号公報に開示されているような高級脂肪酸エステル(炭素数が10〜24の脂肪酸と炭素数が10〜24のアルコールのエステル)、そして米国特許第3,933,516号明細書に開示されているような高級脂肪酸金属塩、特開昭51−37217号公報に開示されているような炭素数10までのジカルボン酸と脂肪族または環式脂肪族ジオールからなるポリエステル化合物、特開平7−13292号公報に開示されているジカルボン酸とジオールからのオリゴポリエステル等を挙げることが出来る。
例えば、低屈折率層に使用する滑り剤の添加量は0.01mg/m2〜10mg/m2が好ましい。
反射防止フィルムの各層またはその塗布液には、金属酸化物粒子、ポリマー、分散媒体、重合開始剤、重合促進剤等以外に、重合禁止剤、レベリング剤、増粘剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、帯電防止剤や接着付与剤を添加してもよい。
反射防止フィルムの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2,681,294号)により、塗布により形成することが出来る。2以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2,761,791号、同2,941,898号、同3,508,947号、同3,526,528号及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
本発明では、反射防止フィルムの製造において、前記調製した塗布液を支持体に塗布した後乾燥する際に、好ましくは60℃以上で乾燥することが好ましく、80℃以上で乾燥することが更に好ましい。また、露点20℃以下で乾燥することが好ましく、15℃以下で乾燥することが更に好ましい。更に支持体に塗布した後10秒以内に乾燥が開始されることが好ましく、上記条件と組み合わせることが、本発明の効果を得る上で好ましい製造方法である。
本発明の光学フィルムは、上述の如く反射防止フィルム、ハードコートフィルム、防眩フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム、帯電防止フィルム、輝度向上フィルム等に好ましく用いられる。
(偏光板)
偏光板は一般的な方法で作製することが出来る。本発明のセルロースエステルフィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理したセルロースエステルフィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面にも本発明のセルロースエステルフィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。本発明のセルロースエステルフィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは市販のセルロースエステルフィルムを用いることが出来る。例えば、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2M、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UY−HA、KC8UX−RHA(以上、コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。或いは更にディスコチック液晶、棒状液晶、コレステリック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることも好ましい。例えば、特開2003−98348記載の方法で光学異方性層を形成することが出来る。本発明の光学フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることが出来る。或いは、セルロースエステルフィルム以外の環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート等のフィルムをもう一方の面の偏光板保護フィルムとして用いてもよい。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光膜の膜厚は5〜40μm、好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは5〜20μmである。該偏光膜の面上に、本発明のセルロースエステルフィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
偏光膜は一軸方向(通常は長手方向)に延伸されているため、偏光板を高温高湿の環境下に置くと延伸方向(通常は長手方向)は縮み、延伸と垂直方向(通常は幅方向)には伸びる。偏光板保護用フィルムの膜厚が薄くなるほど偏光板の伸縮率は大きくなり、特に偏光膜の延伸方向の収縮量が大きい。通常、偏光膜の延伸方向は偏光板保護用フィルムの流延方向(MD方向)と貼り合わせるため、偏光板保護用フィルムを薄膜化する場合は、特に流延方向の伸縮率を抑える事が重要である。本発明の光学フィルムは極めて寸法安定に優れる為、このような偏光板保護フィルムとして好適に使用される。
即ち60℃、90%RHの条件での耐久性試験によっても波打ち状のむらが増加することはなく、裏面側に光学補償フィルムを有する偏光板であっても、耐久性試験後に視野角特性が変動することなく良好な視認性を提供することが出来る。
偏光板は、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することが出来る。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
(表示装置)
本発明の偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の表示装置を作製することが出来る。本発明の光学フィルムは反射型、透過型、半透過型LCD或いはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。また、本発明のセルロースエステルフィルムは、平面性に優れ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。特に画面が30型以上の大画面の表示装置では、色むらや波打ちむらが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
先ず測定方法について記載する。
(リターデーションRo、Rt)
23℃、55%RHの環境下に24時間放置したフィルムを用いて、同環境下で、波長が590nmにおけるフィルムのリターデーションを自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)で求めた。アッベ屈折率計で測定したフィルム構成材料の平均屈折率と膜厚dを入力し、面内リターデーション(Ro)及び厚み方向のリターデーション(Rt)の値を得た。また、上記装置によって3次元屈折率nx、ny、nzの値が算出される。
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
実施例1
〈セルロースエステルフィルム1の作製:本発明〉
セルロースエステル1:アセチル基の置換度が1.9、プロピオニル基の置換度が0.7、残留硫酸含有量(硫黄元素として)が25ppmであるセルロースアセテートプロピオネート 90質量部
可塑剤1:トリメチロールプロパントリベンゾエート 10質量部
添加剤1:IRGANOX1010(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)
0.2質量部
以上のセルロースエステル、可塑剤、添加剤を窒素雰囲気の耐圧溶解容器に導入し、次いで攪拌しながら酢酸メチル30質量部を導入して該容器を密閉し攪拌を続け、系内の窒素を二酸化炭素ガスで置換する。次に超臨界物質として二酸化炭素を100℃、7.4MPaとして導入して系内を超臨界状態とする。この状態で1時間攪拌し、セルロースエステル混合物となし、排出口のバルブを開け、超臨界状態のまま濾過器を通し、減圧弁から気液分離容器で二酸化炭素ガスとセルロースエステル混合物に分離した。
セルロースエステル混合物を押出機から押出し、更に溶媒等の揮発成分を乾燥してペレット化した。得られたペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて105℃で2時間乾燥して水分を除去した。次いで、前記ペレットを用いて、リップ幅1.5mのコートハンガータイプのTダイを有する短軸押出機(三菱重工業株式会社製:スクリュー径90mm、Tダイリップ部材質は炭化タングステン)を用いて溶融押出成形してセルロースエステルフィルムを製造した。押出成形は、クラス10000以下のクリーンルーム内で、溶融エステル温度240℃、Tダイ温度240℃の成形条件にて行った。得られたフィルムを乾燥工程途中にて、テンター装置を用い、幅手方向に延伸温度130℃にて1.3倍延伸し、リターデーション値Ro55nm、Rt130nmのセルロースエステルフィルムを得た。その際、テンター装置の長さ、クリップ間隔及びクリップの張力を調整した結果、フィルムの面内遅相軸とフィルム幅手方向とのなす配向角偏差は±0.4°以内であった。最終的にフィルムは1.4m幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施して巻き取り、膜厚80μmのセルロースエステルフィルム1を得た。
〈セルロースエステルフィルム2の作製:比較例〉
二酸化炭素を用いず、条件を超臨界状態にしなかった以外はセルロースエステルフィルム1と同様にしてセルロースエステルフィルム2を作製した。
〈セルロースエステルフィルム3の作製:比較例〉
〈セルロースエステルフィルム3の作製:比較例〉
セルロースエステルフィルム1で用いたものと同じ素材を用いて、セルロースエステル原材料を超臨界状態にすることなくセルロースエステルフィルムを作製した。すなわち、セルロースエステルフィルム1の製造で使用した短軸押し出し機(三菱重工業株式会社製:スクリュー径90mm、Tダイリップ部材質は炭化タングステン)に、下記セルロースエステル1、可塑剤1、添加剤1を順次投入した以外は同条件にて膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを製造し、セルロースエステルフィルム3とした。
セルロースエステル1:アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.7、残留硫酸含有量25ppmであるセルロースアセテートプロピオネート 90質量部
可塑剤1:トリメチロールプロパントリベンゾエート 10質量部
添加剤1:IRGANOX1010(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)
0.2質量部
〈セルロースエステルフィルム4の作製:本発明〉
セルロースエステルフィルム1の代わりに、セルロースエステル2:アセチル基の置換度が2.0、ブチリル基置換度が0.8、残留硫酸含有量(硫黄元素として)が12ppmであるセルロースアセテートブチレートを用いて、更に下記添加剤を添加した以外は、セルロースエステルフィルム1と同様にしてセルロースエステルフィルム4を作製した。
添加剤2:棒状化合物(例示化合物(10)1−trans) 1質量部
添加剤3:円盤状化合物(1,3,5−トリアジン) 1質量部
Figure 2006117714
Figure 2006117714
〈セルロースエステルフィルム5の作製:本発明〉
セルロースエステル1:アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.7、残留硫酸含有量25ppmであるセルロースアセテートプロピオネート 50質量部
セルロースエステル3:アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.8、残留硫酸含有量15ppmであるセルロースアセテートプロピオネート 40質量部
可塑剤1:トリメチロールプロパントリベンゾエート 10質量部
紫外線吸収剤UV−1:下記合成による高分子UV剤P−1 2質量部
(高分子UV剤P−1合成例)
2(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチル−フェニル)−5−カルボン酸−(2−メタクリロイルオキシ)エチルエステル−2H−ベンゾトリアゾール(例示化合物MUV−19)を、下記に記載の方法に従って合成した。
20.0gの3−ニトロ−4−アミノ−安息香酸を160mlの水に溶かし、濃塩酸43mlを加えた。20mlの水に溶解させた8.0gの亜硝酸ナトリウムを0℃で加えた後、0℃のまま2時間撹拌した。この溶液に、17.3gの4−t−ブチルフェノールを水50mlとエタノール100mlに溶解させた溶液中に、炭酸カリウムで液性をアルカリ性に保ちながら0℃で滴下した。この溶液を0℃に保ちながら1時間、更に室温で1時間撹拌した。反応液を塩酸で酸性にし、生成した沈殿物をろ過した後、よく水洗した。
ろ過した沈殿を500mlの1モル/LのNaOH水溶液に溶解させ、35gの亜鉛粉末を加えた後、40%NaOH水溶液110gを滴下した。滴下後、約2時間撹拌し、ろ過、水洗し、濾液を塩酸で中和して中性とした。析出した沈殿物をろ過、水洗、乾燥後、酢酸エチルとアセトンの混合溶媒で再結晶を行うことにより、2(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチル−フェニル)−5−カルボン酸−2H−ベンゾトリアゾールが得られた。
次いで、10.0gの2(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチル−フェニル)−5−カルボン酸−2H−ベンゾトリアゾールと0.1gのハイドロキノン、4.6gの2−ヒドロキシエチルメタクリレート、0.5gのp−トルエンスルホン酸とをトルエン100ml中に加え、エステル管を備えた反応容器で10時間加熱灌流を行う。反応溶液を水中に注ぎ、析出した結晶をろ過、水洗、乾燥し、酢酸エチルで再結晶を行うことで、例示化合物MUV−19である2(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチル−フェニル)−5−カルボン酸−(2−メタクリロイルオキシ)エチルエステル−2H−ベンゾトリアゾールが得られた。
次いで、2(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチル−フェニル)−5−カルボン酸−(2−メタクリロイルオキシ)エチルエステル−2H−ベンゾトリアゾールとメタクリル酸メチルとの共重合体(高分子UV剤P−1)を下記に記載の方法に従って合成した。
テトラヒドロフラン80mlに、上記合成例3で合成した4.0gの2(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチル−フェニル)−5−カルボン酸−(2−メタクリロイルオキシ)エチルエステル−2H−ベンゾトリアゾールと6.0gのメタクリル酸メチルとを加え、次いで、アゾイソブチロニトリル1.14gを加えた。窒素雰囲気下で9時間加熱還流した。テトラヒドロフランを減圧留去した後、20mlのテトラヒドロフランに再溶解し、大過剰のメタノール中に滴下した。析出した沈殿物を濾取し、40℃で真空乾燥して、9.1gの灰白色紛状重合体である高分子UV剤P−1を得た。この共重合体は、標準ポリスチレンを基準とするGPC分析により、重量平均分子量は9000であると確認した。
また、380nmにおけるモノマー成分のモル吸光係数は7320であった。
NMRスペクトル及びUVスペクトルから、上記共重合体が、2(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチル−フェニル)−5−カルボン酸−(2−メタクリロイルオキシ)エチルエステル−2H−ベンゾトリアゾールとメタクリル酸メチルの共重合体であることを確認した。上記重合体の組成は略、2(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチル−フェニル)−5−カルボン酸−(2−メタクリロイルオキシ)エチルエステル−2H−ベンゾトリアゾール:メタクリル酸メチル=40:60であった。
添加剤1:IRGANOX1010(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)
0.2質量部
添加剤4:酸捕捉剤(エポキシ化タル油) 0.1質量部
以上のセルロースエステル、可塑剤、紫外線吸収剤、添加剤を窒素で置換された耐圧溶解容器内に導入し、次いで攪拌しながら酢酸メチル100質量部及び下記の微粒子添加液A 3質量部を導入して該容器を密閉して攪拌を続け、容器内の窒素を二酸化炭素ガスで置換した。次に、超臨界物質として二酸化炭素を100℃、7.4MPaとして導入し、系内を超臨界状態とした。この状態で攪拌し、セルロースエステル混合物の超臨界流体溶液とし、排出口のバルブを開け、超臨界状態のまま濾過精度10μmを有する濾過器を通し、減圧弁から気液分離容器で二酸化炭素ガスとセルロースエステル混合物溶液に分離した。これを押出機から押出し、更に溶媒などの揮発成分を乾燥させて、ペレット化した。
得られたペレットは空気を流通させた熱風乾燥器を用いて105℃で2時間乾燥させて水分を除去した。次いで、前記ペレットを用いて、リップ幅1.5mのコートハンガータイプのTダイを有する短軸押し出し機(三菱重工業株式会社製:スクリュー径90mm、Tダイリップ部材質は炭化タングステン)を用いて溶融押し出し成形してセルロースエステルフィルムを製造した。押出し成形はクラス10000以下のクリーンルーム内で、溶融温度240℃、Tダイ温度240℃の成形条件にて行った。得られたフィルムは長手方向に1.1倍に延伸し次いで、テンター装置を用いて幅手方向に1.4倍に延伸して面内方向のリターデーションRo55nm、厚み方向のリターデーションRt130nm、膜厚80μm、幅1.4mのセルロースエステルフィルムを得た。フィルム両端部には幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施して巻き取りセルロースエステルフィルム5を作製した。
(微粒子添加液A)
(二酸化珪素分散液)
アエロジル972V(日本アエロジル(株)製) 10質量部
(一次粒子の平均径16nm、見掛け比重90g/リットル)
エタノール 75質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。分散後の液濁度は200ppmであった。この二酸化珪素分散液に75質量部の酢酸メチルを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合し、二酸化珪素分散希釈液を作製した。
酢酸メチル 100質量部
セルロースエステル3:アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.8、残留硫酸含有量15ppmであるセルロースアセテートプロピオネート 10質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、濾過した。
これに上記の二酸化珪素分散希釈液を20質量部、撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、アドバンテック東洋(株)のポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1Nで濾過し、微粒子添加液Aを調製した。
《評価》
上記作製したセルロースエステルフィルム1〜5について、以下の評価を行った。
(破断)
○:10回連続して製造した中で、搬送中、製膜中、巻き取り中に破断なし
△:10回連続して製造した中で、1〜2回、搬送中、製膜中、巻き取り中の何れかに破断が生じる
×:10回連続して製造した中で、3回以上、搬送中、製膜中、巻き取り中の何れかに破断が生じる
(リターデーション変動)
作製したフィルムの任意の10ヶ所の位置からサンプリングしたフィルム片を用いて、自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)により、23℃、55%RHの環境下で、波長590nmで複屈折率測定を行い、膜厚方向のリターデーション値Rtと面内方向のリターデーション値Roのばらつきを求めた。
得られた結果を表1に示す。
Figure 2006117714
上表より本発明のセルロースエステルフィルム1、4、5は、破断がなくリターデーションのばらつきも小さいことが明らかである。
実施例2
実施例1のセルロースエステルフィルム5を作製した過程で発生したフィルム屑とセルロースエステル1とを、質量で6:4になるように混合したセルロースエステル90質量部を用い、フィルム屑の使用量に対応して、可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子などセルロースエステルフィルムに含まれる添加剤は減量して、最終的なセルロースエステルフィルム組成がセルロースエステルフィルム5の設計値になるように組成調整を行った以外は同様にして、セルロースエステルフィルム6を作製した。
得られたセルロースエステルフィルム6について、実施例1と同様な評価を実施したところ、実施例1を再現し破断がなく、リターデーション変動の少ないセルロースエステルフィルムが得られた。
実施例3
《偏光板の作製》
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光膜と実施例1、2で作製した光学フィルム1〜6(セルロースエステルフィルム1〜6)を両面に貼り合わせて偏光板を作製し、それぞれ偏光板1〜6とした。
工程1:60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化した前記光学フィルムを得た。
工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した光学フィルムの上にのせて積層した。
工程4:工程3で偏光膜の両面を光学フィルムでサンドイッチした積層体を圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光膜とセルロースエステルフィルムと光学フィルムとを貼り合わせた試料を5分間乾燥し、偏光板1〜6を作製した。
《液晶表示装置の作製》
視野角測定を行う液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。
富士通製15型ディスプレイVL−150SDの予め貼合されていた両面の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板1〜6をそれぞれ液晶セルのガラス面に貼合した。
その際、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に光学フィルムの吸収軸が向くように行い、液晶表示装置1〜6を各々作製した。
〈視認性の評価〉
こうして得られた各液晶表示装置について、60℃、90%RHの条件で100時間放置した後、23℃、55%RHに戻し、液晶表示パネルを目視観察し、黒のしまり、鮮明さ、色ムラを評価した。その結果、本発明の液晶表示装置1、4〜6は光学フィルムのリターデーション変動が小さいことにより、視認性に優れ、かつコーナームラの発生もない表示装置であることが分かった。
それに対し、比較例の液晶表示装置2、3はリターデーションのバラツキがある為、黒のしまりに欠け、細かい色ムラが認められ目が疲れ易かった。
実施例4
《偏光板の作製》
実施例1、2で作製した光学フィルム1〜6を用いて、その一方の面にハードコート層及び反射防止層を形成し、ハードコート付き反射防止フィルム1〜6を作製した。これを用いて偏光板1P〜6Pを作製した。
〈ハードコート層〉
下記ハードコート層組成物を乾燥膜厚3.5μmとなるように塗布し、80℃にて1分間乾燥した。次に高圧水銀ランプ(80W)にて150mJ/cm2の条件で硬化させ、ハードコート層を有するハードコートフィルムを作製した。ハードコート層の屈折率は1.50であった。
〈ハードコート層組成物(C−1)〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(2量体以上の成分を2割程度含む)
108質量部
イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 2質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 180質量部
酢酸エチル 120質量部
〈中屈折率層〉
前記ハードコートフィルムのハードコート層の上に、下記中屈折率層組成物を押出しコーターで塗布し、80℃、0.1m/秒の条件で1分間乾燥させた。この時、指触乾燥終了(塗布面を指で触って乾燥していると感じる状態)までは非接触フローターを使用した。非接触フローターとしては、ベルマッティク社製の水平フロータータイプのエアータンバーを使用した。フローター内静圧は9.8kPaとし、約2mm幅手方向に均一に浮上させて搬送した。乾燥後、高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を、130mJ/cm2照射して硬化させ、中屈折率層を有する中屈折率層フィルムを作製した。この中屈折率層フィルムの中屈折率層の厚さは84nmで、屈折率は1.66であった。
〈中屈折率層組成物〉
20%ITO微粒子分散物(平均粒径70nm、イソプロピルアルコール溶液)
100g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 6.4g
イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 1.6g
テトラブトキシチタン 4.0g
10%FZ−2207(日本ユニカー社製、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液) 3.0g
イソプロピルアルコール 530g
メチルエチルケトン 90g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 265g
〈高屈折率層〉
前記中屈折率層の上に、下記高屈折率層組成物を押出しコーターで塗布し、80℃、0.1m/秒の条件で1分間乾燥させた。この時、指触乾燥終了(塗布面を指で触って乾燥していると感じる状態)までは非接触フローターを使用した。非接触フローターは中屈折率層形成と同じ条件とした。乾燥後、高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を130mJ/cm2照射して硬化させ、高屈折率層を有する高屈折率層フィルムを作製した。
〈高屈折率層組成物〉
テトラ(n)ブトキシチタン 95質量部
ジメチルポリシロキサン(信越化学社製 KF−96−1000CS) 1質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシシラン(信越化学社製 KBM503)
5質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 1750質量部
イソプロピルアルコール 3450質量部
メチルエチルケトン 600質量部
尚、この高屈折率層フィルムの高屈折率層の厚さ50μm、屈折率は1.82であった。
〈低屈折率層〉
最初にシリカ系微粒子(空洞粒子)の調製を行った。
(シリカ系微粒子P−1の調製)
平均粒径5nm、SiO2濃度20質量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として0.98質量%のケイ酸ナトリウム水溶液9000gとAl23として1.02質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、殆ど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO2・Al23核粒子分散液を調製した。(工程(a))
この核粒子分散液500gに純水1700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO2濃度3.5質量%)3000gを添加して第1シリカ被覆層を形成した核粒子の分散液を得た。(工程(b))
次いで、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%になった第1シリカ被覆層を形成した核粒子分散液500gに純水1125gを加え、更に濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、第1シリカ被覆層を形成した核粒子の構成成分の一部を除去したSiO2・Al23多孔質粒子の分散液を調製した(工程(c))。上記多孔質粒子分散液1500gと、純水500g、エタノール1,750g及び28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO228質量%)104gを添加し、第1シリカ被覆層を形成した多孔質粒子の表面をエチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆して第2シリカ被覆層を形成した。次いで、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%のシリカ系微粒子の分散液を調製した。
このシリカ系微粒子の第1シリカ被覆層の厚さ、平均粒径、MOx/SiO2(モル比)、及び屈折率を表2に示す。ここで、平均粒径は動的光散乱法により測定し、屈折率は標準屈折液としてCARGILL製のSeriesA、AAを用い、以下の方法で測定した。
〈粒子の屈折率の測定方法〉
(1)粒子分散液をエバポレーターに採り、分散媒を蒸発させる。
(2)これを120℃で乾燥し、粉末とする。
(3)屈折率が既知の標準屈折液を2、3滴ガラス板上に滴下し、これに上記粉末を混合する。
(4)上記(3)の操作を種々の標準屈折液で行い、混合液が透明になったときの標準屈折液の屈折率をコロイド粒子の屈折率とする。
Figure 2006117714
(低屈折率層の形成)
Si(OC254を95mol%、C37−(OC3624−O−(CF22−C24−O−CH2Si(OCH33を5mol%で混合したマトリックスに対して、平均粒径60nmの上記シリカ系微粒子P−1を35質量%添加し、1.0N−HClを触媒に用いて、更に溶媒で希釈した低屈折率コーティング剤を作製した。上記活性線硬化樹脂層または高屈折率層上にダイコーター法を用いてコーティング溶液を膜厚100nmで塗布し、120℃で1分間乾燥した後、紫外線照射を行うことにより、屈折率1.37の低屈折率層を形成した。
以上のようにして、反射防止フィルム1〜6を作製した。
次いで、厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光膜と前記反射防止フィルム1〜6、裏面側のセルロースエステルフィルムを貼り合わせて偏光板を作製した。裏面側の偏光板保護フィルムには市販のセルロースエステルフィルムであるコニカミノルタタックKC8UCR−4(コニカミノルタオプト(株)製)を用いてそれぞれ偏光板1P〜6Pとした。
工程1:60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化した前記反射防止フィルムを得た。
工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した光学フィルムの上にのせて積層した。
工程4:工程3で積層した反射防止フィルム試料と偏光膜とセルロースエステルフィルムを圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光膜とセルロースエステルフィルムと反射防止フィルムとを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、偏光板を作製した。
《液晶表示装置の作製》
視野角測定を行う液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。
富士通製15型ディスプレイVL−150SDの予め貼合されていた両面の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板1P〜6Pをそれぞれ液晶セルのガラス面に貼合した。
その際、その偏光板の貼合の向きは、上記反射防止フィルムの面が、液晶の観察面側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、液晶表示装置1P〜6Pを各々作製した。
(評価)
〈視認性、反射色ムラの評価〉
こうして得られた各液晶表示装置について、60℃、90%RHの条件で100時間放置した後、23℃、55%RHに戻した。その結果、表示装置の表面を観察すると本発明の偏光板1P、4P〜6Pを用いたものは、平面性に優れていたのに対し、比較の偏光板2P、3Pは細かい波打ち状のムラが認められ、目が疲れ易かった。
また、各液晶表示装置について、画面を黒表示として、表面の反射ムラを目視で評価したところ、本発明の液晶表示装置1P、4P〜6Pは反射色ムラも問題無く優れた視認性を有していた。
セルロースエステル溶液調製装置の概略図。 セルロースエステルフィルム製膜装置の概略図。
符号の説明
1 二酸化炭素ボンベ
2 導管
3 加圧装置
4 加熱器
5 弁
6 耐圧性溶解容器
7 調節弁
8 導管
9 濾過装置
10 減圧弁
11 気液分離容器
12 弁
13 導管
14 減圧調節器
16 弁
21 流延用ダイ
22 ドープ
23 ウェブ
24 剥離点
25 ベルト
26 テンター装置
27 巻き取り機

Claims (7)

  1. セルロースエステルを超臨界流体で液状物にし、次いで超臨界流体を揮発させたセルロースエステル原料を含有する溶融物を溶融流延して製膜したことを特徴とする光学フィルム。
  2. 前記セルロースエステル原料をフィルム中の全セルロースエステルに対して10〜100質量%含有する溶融物を溶融流延して製膜したことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記セルロースエステル原料がセルロースエステル及び少なくとも1種の添加剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. 前記添加剤が可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、酸捕捉剤、マット剤等の金属化合物微粒子、ラジカル捕捉剤、リターデーション制御剤、染料、顔料、セルロースエステル以外の樹脂から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項3に記載の光学フィルム。
  5. セルロースエステルを超臨界流体で液状物にし次いで超臨界流体を揮発させたセルロースエステル原料と、溶融流延製膜されたフィルム屑とを、全セルロースエステル中に50質量%以上含有する溶融物を溶融流延して製膜したことを特徴とする光学フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムを一方の面または両面に有することを特徴とする偏光板。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムを有することを特徴とする表示装置。
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