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JP2006003840A - 表示素子および表示装置 - Google Patents

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JP2006003840A
JP2006003840A JP2004183018A JP2004183018A JP2006003840A JP 2006003840 A JP2006003840 A JP 2006003840A JP 2004183018 A JP2004183018 A JP 2004183018A JP 2004183018 A JP2004183018 A JP 2004183018A JP 2006003840 A JP2006003840 A JP 2006003840A
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Iichiro Inoue
威一郎 井上
Yasushi Shibahara
靖司 芝原
Kiyoshi Ogishima
清志 荻島
Koichi Miyaji
弘一 宮地
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Sharp Corp
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Abstract

【課題】 駆動電圧が低く、かつ、高応答性能を有する表示素子を実現する。
【解決手段】 表示素子100は、電界印加手段として、櫛歯状電極4と、平板状電極5とを備え、櫛歯状電極4の各電極間に生じる基板面内方向電界、および櫛歯状電極4と平板状電極5との間に生じる基板法線方向電界が、等方相を呈している誘電性物質層1内のネガ型液晶材料Aを配向させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、等方相を呈している状態で表示に使用される表示素子、および表示装置に関する。
従来から、ネマティック液晶を用いた液晶表示素子は、時計や電卓等の数値をセグメント型表示する表示素子から始まり、省スペースかつ低消費電力という長所を活かしたノートブックPCや、デスクトップモニター用ディスプレイとしても広く普及している。そして近年ではCRT(Cathode Ray Tube)で独占されていたテレビの市場においても、FPD(Flat Panel Display)の代表格としてLCD(Liquid Crystal Display)−TVは確固たる地位を築きつつある。
ところで、従来のLCD−TVでは、動画に対応し得る高速動画応答性能と、見る角度によって画像、画質が変化しないという広視野角性能とを向上させることが課題となっている。
すなわち、ネマティック液晶相の液晶表示モードである、ツイステッドネマティック(TN(Twisted Nematic))モード、位相差板で光学的に補償したTNモード、インプレーンスイッチング(IPS(In-Plane-Switching))モード、バーティカルアラインメント(VA(Vertical Alignment))モード、および光学補償ベンド(OCB(Optically Compensated Birefringence))モード等は、LCD−TVとして既に市場に出ているものもあるが、高速動画性能と広視野角性能をさらに向上させることが望まれている。
また、ネマティック液晶相より秩序度が高いスメクティック液晶相において強誘電性が発現した強誘電性液晶(FLC(Ferroelectricity Liquid Crystal))モードもしくは反強誘電性液晶(AFLC(Antiferroelectric Liquid Crystal))モードは、本質的にマイクロ秒程度の非常に高速な応答を示すが、耐衝撃性、温度特性等の課題が解決されておらず、実用化には至っていない。
その他、散乱と透明とをスイッチングさせる高分子分散型液晶(PDLC(Polymer Diffuse Liquid Crystal))モードは、偏光板が不要であり高輝度表示が可能であるが、散乱と透明とのコントラスト差が低い、駆動電圧が高い等の課題があって実用化されていない。
上記で述べた複数のネマティックモード(ネマティック(Nematic)液晶相の液晶表示モード)は、いずれもバルクの液晶相が配向変化して光学的に取り出す表示方式となっており、見る角度、見る方位によって画質は全く同一とはならない。またバルクの液晶相が応答するにはどうしても数十〜数百ミリ秒程度の時間を要してしまうため、数ミリ秒以下への更なる高速応答化は困難である。
ネマティック相においては、基板界面の配向規制力によって基板界面付近の液晶分子が配向し、それがきっかけとなって液晶分子自体が持つ自己配向性によって、セル内部のバルク全体に渡って液晶分子が配向する、いわゆる長距離秩序(long range order)が存在している。このような長距離秩序による配向は、セル内部のバルク全体に液晶分子自体の自己配向性による配向規制力が伝播するまでの時間を要する。また、液晶分子の配向方向も一定の方向に限られる。従って、ネマティックモード(ネマティック液晶表示モード)による液晶分子の配向を用いている限り、LCD−TVにおいて必須となる高速応答性と広視野角性との実現には本質的に限界がある。
これに対し、スメクティック液晶モードであるFLC、AFLCといった表示モードは高速応答性と広視野角性との解決策になり得るが、耐衝撃性、温度特性等の課題が本質的に解決できない。
一方、電界印加によるバルクの液晶分子の回転を利用するこれらの表示モードに対して、2次の電気光学効果を利用した電子分極による表示方式が提案されている。電気光学効果とは、物質の屈折率が外部電界によって変化する現象である。電気光学効果としては、物質の屈折率が電界の1次に比例する効果、および2次に比例する効果とがあり、それぞれポッケルス効果、およびカー効果と呼ばれている。
カー効果は1875年にJ.Kerr(カー)によって発見されたものであり、これまでにカー効果を示す材料としてはニトロベンゼンや二硫化炭素等の有機液体が知られている。これら材料は、例えば、上記した高速の光シャッター、光変調素子、光偏向素子、または電力ケーブル等の高電界強度測定等に利用されている。
また、液晶材料が大きなカー定数を有することが示され、光変調素子、光偏向素子、更には光集積回路への応用に向けて基礎検討が行われ、上記ニトロベンゼンの200倍を超えるカー定数を示す液晶化合物も報告されている。
このような状況において、カー効果の表示装置への応用が検討され始めている。カー効果を表示装置に適用した場合、カー効果は本質的に数マイクロ秒〜数ミリ秒の応答特性を示すため、高速応答表示装置の実現が期待できる。
ところで、カー効果は、物質の屈折率が電界強度の2次に比例するため、電界の1次に比例するポッケルス効果と比較して相対的に低電圧駆動を見込むことができる。しかしながら、カー効果を利用しない液晶表示素子と比較すると駆動電圧が高くなる可能性がある。そのため、カー効果を表示素子に適用するためには、駆動電圧を低下させる必要がある。
そこで、例えば特許文献1では、予め基板表面に配向処理を施しておき、カー効果が発現しやすいような状態を作り出す手法が提案されている。
特開2001−249363号公報(公開日2001年9月14日)
しかしながら、特許文献1に開示されている方法ではカー効果が発現しやすくなる範囲は基板界面近傍に限られる。すなわち、配向処理が施された基板界面近傍の分子しか配向させられない。従って、この技術では、駆動電圧をわずかしか低減できない。
また、特許文献1には、基板上に配向処理を施した配向膜を塗布して、大きなカー定数が見込まれ、結果として低電圧化が実現できると記載されている。しかしながら、この方法によって得られる低電圧化の効果は、実使用上充分ではない。また、特許文献1の技術では、カー効果を用いた表示を行える温度範囲も狭く、表示装置として実用化するのが困難である。
これは液晶層を等方相(アイソトロピック相, Isotropic相)において駆動させていることに起因している。
従来の液晶ディスプレイは、液晶層(誘電性物質層)に封入されている液晶性物質がネマティック相(Nematic相)を示す状態において駆動させている。従来の液晶ディスプレイでは、液晶層がネマティック相を示す状態において、基板界面に予め配向処理を施した配向膜がきっかけとなって、基板界面上の液晶分子の配向方向(極角、方位角)が規定される。さらに、この基板界面における液晶分子の配向性が、液晶分子自体が持つ自己配向能力によって、セル内部に向かって伝播する。これにより、バルクの液晶層全体が一様に配向した状態でスイッチングする(配向方向が変化する)。
これに対し、特許文献1に開示されているのは主に、ネマティック相の上の相である等方相において電界を印加して、電界強度の2次に比例する屈折率変化(カー効果)を発現させるものである。すなわち、特許文献1における液晶材料は、ネマティック相から温度を上げていくと、ある臨界温度(Tni点、ネマティック−アイソトロピック相転移温度)以上になると等方相に相転移する。そして、特許文献1では、液晶材料が等方相を示している状態において、この液晶材料に電界を印加し、カー効果を発現させる。
等方相においては通常の液体と同じように、熱力学的揺らぎのファクター(運動エネルギー)が分子間に作用する力より大きく、分子は自由に移動・回転している。等方相中においては液晶分子間に働く自己配向能力が働かないので、界面に配向処理を施してもそれはセル内部にはあまり伝わらず、多少の低電圧化は実現できても、ディスプレイとして実用化できるレベルにまでは至らない。更に、前述の熱力学的揺らぎのファクター(運動エネルギー)は温度が上昇すると著しく大きくなり、カー効果が発現する電圧は著しく上昇する。
さらに、特許文献1の技術を、基板法線方向に電界を発生させることによってネガ型液晶性を有する分子を配向させる表示素子に適用する場合、バルク領域における分子長軸方向の方位が一方向に定まらないという問題がある。即ち、ラビング処理が施された基板界面近傍では電界印加により液晶分子がラビング方向に配列しようとするが、基板から離れたバルク領域では分子長軸方向の方位が基板面内方向のあらゆる方向を向く。これは分子の分極が配列したとしても、分極が概ね分子短軸方向に存在するためである。即ち、電界印加により分極が配向していても、バルク領域を正面方向(基板法線方向)から見ると光学的には等方であり光学特性に寄与しない。従ってこの表示素子に特許文献1の技術を適用しても、実用レベルの電圧で得られる光学特性は基板近傍のみであり、実用レベルをはるかに上回る駆動電圧を印加しない限り、バルク領域において光学応答を得られない。
また、特許文献1の技術を、基板面内方向の電界により、ポジ型液晶性を有する分子を配向させる表示素子に適用する場合、バルク領域の配向方位は、電界方向とほぼ同一に決められるが、配向処理によって配向が低電圧化される領域は基板界面近傍のみであり、やはり、駆動電圧を実用レベルにまでは低減できない。
本発明は上述した課題に鑑みてなされた発明であり、その目的は、電圧無印加時に光学的等方性を示し、電圧印加に光学的異方性が発現する表示素子であって、駆動電圧が低く、かつ、高速応答性能を有する表示素子、およびそれを用いた表示装置を提供するものである。
本発明に係る表示素子は、上記課題を解決するために、対向する一対の基板と、上記一対の基板に挟持される誘電性物質層と、上記誘電性物質層内に電界を生じさせる電界印加手段手段とを備えた表示素子において、上記誘電性物質層に、電圧無印加時には光学的等方性を示し、電圧を印加することによって光学的異方性が発現する液晶性物質を含み、上記電界印加手段は、上記基板面に垂直な方向の電気力線を含む第一電界、および、上記基板面に平行な方向の電気力線を含む第二電界を生じさせることを特徴とする。
これにより、電界印加手段は、電気力線が基板の面に垂直な方向の第一電界、および電気力線が基板の面に平行な方向の第二電界を含む電界を生じさせ、第一電界および第二電界を含む電界によって、液晶性物質に光学的異方性を発現させる。
そのため、上記の2つの電界のどちらか一方が存在する場合より低い電圧を印加して、誘電性物質層に電界を生じさせ、光学的異方性が発現することが可能となる。よって、低電圧駆動で、高速応答性能を有する表示素子を実現することができる。
また、上記第一電界がきっかけとなって上記第二電界における光学的異方性の発現を促進させる、または、上記第二電界がきっかけとなって上記第一電界における光学的異方性の発現を促進させる場合は、より低い電圧を印加することで光学的異方性を発現させることが可能となる。
また、上記電界印加手段は、一方の基板に形成された第一電極および第二電極と、他方の基板に形成された第三電極とからなり、上記第一電極と第三電極との間、および、上記第二電極と第三電極との間に電圧を印加することによって、上記第一電界を生じさせ、上記第一電極と第二電極との間に電圧を印加することによって上記第二電界を生じさせることが好ましい。
上記の構成とすると、第一電極と第三電極との間、および第二電極と第三電極との間の電位差により生じる第一電界と、第一電極と第二電極との間の電位差により生じる第二電界との両方により、光学異方性が発現する。そのため、低電圧で、かつ高速応答性能を有する表示素子を実現できる。
また、上記第一電極および上記第二電極は、それぞれ、互いに平行な複数の電極対を有し、上記第一電極における上記電極対と、上記第二電極における上記電極対とが、上記基板の基板面に平行な方向に、互いに平行となるように、交互に配置されていることが好ましい。
上記の構成とすると、第一電極と第二電極とは、電極対が基板の基板面に平行な方向に、互いに平行となるように配置されている。これにより、各電極対間において、均一な電界強度を有する第二電界を生じさせることができる。そのため、不必要に大きい電圧を印加すること無く、低電圧で光学的異方性を発現させることができる。
また、上記第一電極および第二電極における上記各電極対は、一方向に延在する形状からなることが好ましい。
上記の構成とすると、第一電極および第二電極における各電極対が一方向に延在している。これにより、電極対間において、同一方向の電気力線を有する第二電界が生じるため、第二電界により、液晶性物質を構成する液晶分子を同一方向に配向させることができる。よって、上記分子の配向により光学的異方性が発現する構成とすることが可能である。
また、上記第一電極および第二電極における上記各電極対は、上記基板面の法線方向から見て、ジグザグ形状を有していてもよい。
上記の構成とすると、第一電極および第二電極における各電極対が、基板面の法線方向から見て、ジグザグ形状を有している。これにより、基板面の法線方向から見て、各電極対のジグザグ形状に沿ってジグザグ形状に、第一電界および第二電界を形成できる。そのため、異なる方向に光学的異方性が発現し、光学的異方性の方向同士が互いにジグザグ形状を成す、複数の領域を有することができる。よって、広視野角な表示素子が実現できる。
また、上記第三電極は、上記第一電極および上記第二電極における電位の平均の電位を有することが好ましい。
上記の構成とすると、第三電極は、第一電極と第二電極との平均の電位を有するため、第一電極と第三電極との間、および第二電極と第三電極との間に、同じ電界強度を有する第一電界を生じさせることができる。これにより、不必要に大きい電圧を印加すること無く、効率よく光学的異方性を発現させることができる。
また、上記第一電極および第二電極と第三電極との両方、または片方は透明の電極からなり、第一電極および第二電極が透明の電極からなる場合、第一電極および第二電極が形成された基板が透明であり、第三電極が透明の電極からなる場合、第三電極が形成された基板が透明であることが好ましい。
上記の構成とすると、誘電性物質層における、第一電界が生じている領域および第二電界が生じている領域の両方の領域を表示に使用することが可能となるので、高開口率を有する表示素子が実現できる。
上記液晶性物質は、分子の短軸方向の誘電率が長軸方向の誘電率より大きい液晶分子からなることが好ましい。
上記の構成により、分子の短軸方向を第一電界および第二電界に平行な方向に配向させ、配向規制力を誘電性物質層界面から離れたバルク領域においても光学的異方性を発現させることができる。
上記液晶性物質は、ネマティック相とアイソトロピック相とに相転移する液晶性物質であり、上記液晶性物質がアイソトロピック相を呈することによって、上記電圧無印加時における光学的等方性を示すことが好ましい。
上記の構成により、分子間に作用する力の小さい等方相において、第一電界および第二電界により、配向規制力をバルク領域にまで作用させることができる。また、等方相においては液晶分子の屈折率が電界強度の2次に比例するカー効果を増大させることができるため、応答速度が本質的に速いカー効果を用いて、高速応答性能を有する表示素子を実現できる
上記液晶性物質を構成する分子は、電圧無印加時に光学波長以下の秩序構造を有し、電圧を印加することによって上記秩序構造が変化して光学的異方性を示すことが好ましい。
上記の構成により、第一電界および第二電界を用いて、液晶性物質を構成する液晶分子の秩序構造を変化させて光学的異方性を発現させることができる。
また、上記基板の少なくとも一方と、上記誘電性物質層との間に、上記誘電性物質層に含まれる液晶性物質の液晶分子を、上記第一電界および第二電界に概垂直な方向に配向させる配向膜が設けられていてもよい
上記の構成とすると、配向膜がさらに電圧印加時の光学的異方性発現を促進し、低電圧で、光学的異方性が発現する表示素子を実現できる。
また、上記配向膜は、上記液晶分子を、上記第一電界および第二電界に概垂直な方向に配向させるためのラビング処理が施されていてもよい。
上記の構成とすると、ラビング処理された配向膜と第一電界および第二電界とによって液晶分子を同じ方向に配向させることができる。これにより、配向膜と電界との相乗効果により、低電圧で、光学的異方性が発現する表示素子を実現できる。
また、上記配向膜は、上記液晶分子を、上記第一電界および第二電界に概垂直な方向に配向させるための多数の溝が形成されていてもよい。
上記の構成とすると、上記第一電界および第二電界と多数の溝が形成されている配向膜とにより、低電圧で、光学的異方性が発現する表示素子を実現できる。
また、上記多数の溝は、上記第一電極および第二電極における上記各電極対と平行な方向に延在する形状からなることが好ましい。
上記の構成とすると、第二の電界印加手段の構成部分が直方体形状を有する場合に、マイクログルーブによる光学的異方性発現の方位と、第二電界による光学的異方性発現の方位とが一致するので、低電圧で光学的異方性を発現することができる。
また、上記第一電極および第二電極における上記各電極対が、上記基板面の法線方向から見て、ジグザグ形状を有する場合、上記多数の溝は、上記基板面の法線方向から見て、上記第一電極および第二電極における上記各電極対と平行な方向にジグザグに延在する形状からなることが好ましい。
上記の構成とすると、上記第二の電界印加手段の構成部分がジグザグ形状を有する場合に、異なる方向に光学的異方性が発現し、光学的異方性の方向同士が互いにジグザグ形状を成す複数の領域を有することができる。そのため、低電圧、かつ広視野角な表示素子が実現できる。
また、上記誘電性物質層に、上記光学的異方性の発現を促進させるための配向補助材が形成されていてもよい。
上記の構成とすると、配向補助材がさらに電圧印加時の光学的異方性発現を補助し、低電圧かつ広温度範囲で、光学的異方性が発現する表示素子を実現できる。
また、上記配向補助材は鎖状高分子材料、網目状高分子材料、多孔質無機材料、水素結合体の何れかからなることが好ましい。
上記の構成とすると、電圧印加時の光学的異方性発現を補助し、低電圧かつ広温度範囲で発現させることが可能な配向補助材を、適切に形成できる。
また、上記誘電性物質層に、カイラル剤が添加されていてもよい。あるいは、上記誘電性物質層に封入する液晶性物質が、カイラル物質であってもよい。
これらの構成によれば、誘電性物質層に添加されているカイラル剤により、液晶性物質を構成する液晶分子同士を結び付けて、各液晶分子を、長軸方向が電界に垂直であって、かつ、一方の電極から他方の電極にかけて各液晶分子の長軸方向が螺旋状となるように配向させることができる。そして、この、らせん構造による、光の分子長軸の方向に沿った旋光によって光学的異方性を発現させることができる。よって、配向膜を用いること無しに、低電圧で液晶分子を配向させることができる。
また、上記誘電性物質層に封入する液晶性物質は、電界強度の2次に比例して屈折率が変化するものであってもよい。
上記の構成とすると、第一電界および第二電界により、液晶分子の屈折率が電界強度の2次に比例するカー効果を、バルク領域にまで及ぼすことができる。従って、応答速度が本質的に速いカー効果を用いて、高速応答性能を有する表示素子を実現できる
また、本発明による表示装置は、上記のいずれかの表示素子を具備していることを特徴とする。
上記の構成とすることで、画素の1部、または1画素に上記液晶素子を有する表示装置が実現される。これにより、低電圧駆動で高速応答性能を有する、テレビ放送やビデオ、DVDなどの画像を表示する表示装置、ワープロ、パソコン、携帯電話などに備えられる表示装置、フラットパネルディスプレイ(FPD(flat panel display))テレビなどが実現できる。
上記の構成とすると、電界印加手段は、電気力線が基板の面に垂直な方向の第一電界、および電気力線が基板の面に平行な方向の第二電界を含む電界を生じさせ、第一電界および第二電界を含む電界によって、等方相を呈している液晶分子を配向させる。
そのため、上記の2つの電界のどちらか一方が存在する場合より低い電圧を印加して、誘電性物質層に電界を生じさせ、液晶分子に光学的異方性を発現させることが可能となる。また、上記の2つの電界により、応答性よく液晶分子を配向させることできる。よって、低電圧駆動で、高速応答性能を有する表示素子を実現することができる。
また、上記第一電界がきっかけとなって上記第二電界における光学的異方性の発現を促進させる、或いは、上記第二電界がきっかけとなって上記第一電界における光学的異方性の発現を促進させる場合は、より低い電圧を印加することで液晶分子に光学的異方性を発現させることが可能となる。
[実施の形態1]
本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。図1(a)は本実施形態に係る表示素子100の概略構成を示した断面図である。なお、図1(a)は、電圧が印加されていない状態を示している。
なお、表示素子100は、駆動回路や信号線、走査線、スイッチング素子などとともに表示装置に備えられるものである。また、表示素子100は、等方相(アイソトロピック相)を呈している液晶材料に電界を印加して、電界強度の2次に比例する屈折率変化(カー効果)を発現させ、表示を行うものである。
この図に示すように、表示素子100は、対向する透光性基板(基板)6,7と、透光性基板6における透光性基板7との対向面に設けられた櫛歯状電極(第一電極、第二電極)4と、透光性基板6の上記対向面に櫛歯状電極4を覆うように設けられた配向膜3と、透光性基板7における透光性基板6との対向面に設けられた平板状電極(第三電極)5と、透光性基板7の上記対向面に平板状電極5を覆うように設けられた配向膜3と、透光性基板6および7における他方の基板との対向面とは反対側の面にそれぞれ設けられた偏光板(偏光素子)8,9と、透光性基板6−7間(配向膜3−2間)に形成された誘電性物質層1とからなる。
透光性ガラス基板6,7は、可視光に対して透明な基板であり、その材質は特に限定されないが、例えばガラスからなる。
誘電性物質層1には、液晶分子としてネガ型液晶材料(ネガ型ネマティック液晶材料)Aが封入されている。また、表示素子100では、この誘電性物質層1に電界を印加することによって生じるネガ型液晶材料Aの液晶分子の配向性(光学的異方性)により、表示素子100に光が透過する状態と透過しない状態とを生じさせる。また、誘電性物質層1における基板面垂直方向の厚さ(セル厚d)は5μmである。
図8は、ネガ型液晶材料Aにおける液晶分子の誘電率εおよび屈折率nを説明するための説明図である。この図に示すように、ネガ型液晶材料Aにおいては、液晶分子の長軸方向の誘電率εの値よりも、液晶分子の短軸方向の誘電率εの値の方が大きく、Δε=ε−εの値は負になる。すなわち、ネガ型液晶材料とは、負の誘電異方性を有する液晶分子からなる液晶材料(ネガ型の性質を示す液晶性物質)である。
また、本実施形態で用いたネガ型液晶材料Aは、以下に示す5種類のエステル系のネガ型液晶材料を混合したものであり、Δn=0.15,Δε=−14,ネマティック相(液晶相)−アイソトロピック相(等方相)の相転移温度Tni=62℃という物性を示す。ここで、Δnは、長軸方向の屈折率nと短軸方向の屈折率nとの差である。また、Tniは、ネマティック相−アイソトロピック相転移温度である。なお、ネマティック−アイソトロピック相転移温度とは、ネマティック相から温度を上昇させたときに、ネマティック相から等方相へ相転移する温度(臨界温度)である。
Figure 2006003840
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なお、上記の各化学式中、R、R’はアルキル鎖を示す。
このように、本実施形態では誘電異方性が負のネガ型液晶材料Aを誘電性物質層1に封入しているので、誘電性物質層1に電界を印加すると、ネガ型液晶材料Aの分子長軸は電界方向と垂直な方向を向く。すなわち、ネガ型液晶材料Aの方向(分子長軸方向)は、電界と直交する方向となる。
なお、分子長軸方向の誘電率εより分子短軸方向の誘電率εの方が小さいポジ型液晶材料(誘電異方性が正の液晶材料)では、ネガ型液晶材料Aの場合とは逆に、分子長軸方向が電界方向を向く。本実施形態でポジ型ではなく、ネガ型の液晶材料を用いた理由は以下で詳細に述べるが、基板面内方向電界(第二電界)と、基板法線方向電界(第一電界)との両方で、光の位相差(リターデーション)を発生させ、光学異方性を発現させることができるからである。基板面内方向電界とは、基板面に概平行な方向(基板面内方向)の電気力線を含む電界であり、基板法線方向電界とは、基板面に概垂直な方向(基板法線方向)の電気力線を含む電界である。
偏光板8および偏光板9は、光波の振動を所定の方向に制限する。これにより、誘電性物質層1のネガ型液晶材料Aが所定の方向に配向しているときに、光が表示素子100を透過する。
配向膜2および3は、配向膜2と配向膜3との間に誘電性物質層1にネガ型液晶材料Aを封入する前に、配向膜2および配向膜3にラビング処理が施されており、これによって、基板界面付近のネガ型液晶材料Aに配向規制力を与え、一定方向に配向させるものである。なお、表示素子100では、配向膜2および配向膜3として、従来のネマティック液晶表示素子(モード)で広く実績のあるポリイミドを用いている。
図2は、配向膜2および3に施したラビング方向、および、偏光板8および9の吸収軸の方向を示している。この図に示すように、配向膜2および3のラビング方向は互いに反平行(平行かつ反対方向;逆平行)であり、両基板の基板面に平行かつ櫛歯状電極4によって印加される電界に直交する方向(y方向)となっている。なお、この図に示すように、本実施形態では、Zは両基板に垂直な方向、Xは両基板の基板面に平行かつ櫛歯状電極4によって印加される電界に平行な方向、Yは両基板の基板面に平行かつ櫛歯状電極4によって印加される電界に直交する方向を指すものとする。
したがって、図1(a)では、配向膜3のラビング方向は、透光性基板6に平行、かつ、紙面垂直方向(図面座標系で+y方向)であり、配向膜2のラビング方向は、透光性基板6に平行、かつ、紙面垂直方向(図面座標系で−y方向)である。
また、図2に示すように、偏光板8および9は、クロスニコル(互いの吸収軸のなす角が90°)に配置されている。また、配向膜2および3に施したラビング方向と、偏光板8および9における吸収軸方向とは45°の角度をなすように配置されている。
従って、誘電性物質層1のネガ型液晶材料Aが光学的等方性を示す場合は、光が透過しない暗状態、誘電性物質層1のネガ型液晶材料Aが光学的異方性を示す場合は、光が透過する明状態になる。
櫛歯状電極4は、誘電性物質層1に対して、基板面方向(基板面に平行な方向)および基板法線方向(基板面に垂直な方向)に電界を印加する手段であり、その金属膜種としては、透明電極材料(可視光に対して透明な電極材料)であるITO(錫酸化物(indium tin oxide))を用いている。図1(a)に示したように、櫛歯状電極4は、紙面垂直方向(y方向)に延びる複数の櫛歯状の電極部分(電極対)が、x方向に互いに対向するようにストライプ状にパターニングされてなる。
図3に、櫛歯状電極4を基板面に垂直な方向から見た場合の平面図を示す。この図に示すように、櫛歯状電極4は、ストライプ状に交互に配置された櫛歯状電極4a(第一電極)および櫛歯状電極4b(第二電極)からなり、この櫛歯状電極4aおよび櫛歯状電極4bにそれぞれ逆極性の電位を与えることにより、両電極4a・4b間に電界を生じさせるようになっている。
なお、櫛歯状の各電極部分における断面(X−Z面の断面)は、直方体形状であり、電極幅(x方向の幅)Lは4μm、電極間隔(x方向の電極間隔)Sは4μmである(図1(a)参照)。
また、櫛歯状電極4は、基板面法線方向に電界を印加する手段としても機能する。すなわち、表示素子100では、櫛歯状電極4と平板状電極5とによって、両基板間に電界を印加するようになっている。
なお、平板状電極5は、透光性基板7における誘電性物質層1側の表面に、平板形状で形成されている。また、平板状電極5は、櫛歯状電極4と同様、透明電極材料であるITOからなる。
ところで、図1(a)に示したように、表示素子100に電圧が印加されていない状態(基板面内方向および基板面法線方向のいずれにも電界が印加されていない状態)において、ネガ型液晶材料Aは、基板面(配向膜2,3)との界面付近の領域では、基板面2および3に施されたラビング処理によって生じる配向規制力により、分子長軸方向が、各配向膜に施されたラビング方向に平行な方向を向いている。すなわち、光学的異方性を示している。
これに対し、セル内部のバルク領域では、ネガ型液晶材料Aに対して、ラビング処理の配向規制力(分子を配向するよう規制する力)より熱運動のファクターが支配的であって、ネガ型液晶材料Aは全くランダムな方向を向いている。すなわち、光学的等方性を示している。ここで、セル内部のバルク領域とは、誘電性物質層1内部の配向膜2および配向膜3から離れた、櫛歯状電極4上のセル中層部の領域である。
ここで、表示素子100の光学特性を調べるために行った実験の結果について説明する。まず、表示素子100を使用する前に、表示素子100を、ネガ型液晶材料Aのネマティック−アイソトロピック相転移温度(Tni)の1K上の温度(T=Tni+1)まで加熱してその温度で保温した。この温度では、ネガ型液晶材料Aは等方相を呈している。等方相においては、ネガ型液晶材料Aは、液体と同じように、熱力学的揺らぎのファクター(運動エネルギー)が分子間に作用する力より大きい。そのため、基板界面付近の領域を除く領域では、分子は自由に移動・回転している。
次に、図1(b)に示されるように、外部電源から電圧を印加した。すなわち、櫛歯状電極4の各電極4a・4bの一方に+9V、他方に−9V平板状電極5に0Vの電位を与えた。すなわち、櫛歯状電極4の各電極4a・4b間の電位差(電圧)は18V、櫛歯状電極4(4aおよび4b)と平板状電極5との間の電位差(電圧)は9Vである。これにより、誘電性物質層1内において、電界強度分布が面(z−y平面)に対称的な電界を生じさせることができる。
このとき、櫛歯状電極4と平板状電極5との電位差により、誘電性物質層1内に、基板法線方向電界が生じる。また、櫛歯状電極4aと櫛歯状電極4bとの電位差により、誘電性物質層1内に基板面内方向電界が生じる。また、上記に示した条件より、基板面内方向の電界強度EとしてはE=18/4=4.5V/μm、基板法線方向の電界強度EとしてはE=9/5=1.8V/μmである。
上記のように誘電性物質層1に電界を印加することにより、図1(b)に示されるように、ネガ型液晶材料Aは、分子長軸方向が、電界と直交する方向であるy方向(紙面垂直方向)を向いて配向する。
また、櫛歯状電極4および平板状電極5として透明電極を使用しているため、ネガ型液晶材料Aをy方向に配向させることで、櫛歯状電極4の各電極間の領域(Sの長さを有する領域、以下S領域)と、櫛歯状電極4の各電極上の領域(Lの長さを有する領域、以下L領域)との両方の領域において、光透過状態(明状態)とすることができる。
なお、表示素子100では、上記のように基板面内方向と基板法線方向の両方に同時に電界を印加するようになっている。この場合、基板面内方向の電界強度の方が、基板面法線方向の電界強度より強いので、櫛歯状電極4の各電極4a・4b間における液晶分子に最初にカー効果が生じて、その領域の液晶分子がy方向に配向する。
また、カー効果による液晶分子の配向状態が、隣接する液晶分子を同方向に配向させようとする分子間相互作用によって、櫛歯状電極4の各電極間以外の領域における液晶分子に伝達される。
さらに、この分子間相互作用による液晶分子の配向が引き金となって、ネガ型液晶材料Aの液晶分子をy方向に配向させる基板面法線方向の電界による配向規制力によって液晶分子がy方向に配向する。すなわち、分子間相互作用および基板面法線方向の電界による2つの配向規制力の相乗効果によってバルク領域の液晶分子が配向する。セル内部のバルク領域のネガ型液晶材料Aがy方向を向く。セル内部のバルク領域とは、図1(b)における四角で囲まれた領域であり、図1(b)では、この領域内の液晶分子にハッチングを施している。
次に、平板状電極5の電位を0V(GND)とし、櫛歯電極4の電位を、隣接する櫛歯電極4a・4bの電位が逆極性かつ絶対値が等しい状態を保つように変化させることにより、表示素子100における光学特性の定量評価を行った。
その結果、印加電圧に応じて光学的異方性が発現し、偏光板クロスニコル下で光が透過してきて明状態となり、この明るさが最初に最大になる櫛歯電極4・4間の電圧Vmaxは、21Vであった。
次に、比較のために、透光性基板7側に平板状電極5を形成しない以外は、表示素子100と同様に作成した表示素子101(図10参照)を用意し、その光学特性の定量評価を行った。
表示素子101における櫛歯電極4・4間に印加する電圧を、隣接する櫛歯電極4・4における電位が逆極性かつ絶対値が等しくなるように変化させ、明るさが最初に最大になる櫛歯電極間の電圧Vmaxを測定したところ、Vmaxは49Vであった。つまり、表示素子100に比べて、2倍以上になった。
ここで、表示素子101が、表示素子100の2倍以上のVmaxを有する理由としては、以下のことが挙げられる。すなわち、表示素子101では、櫛歯状電極4・4間に電圧を印加しても、平板状電極5を備えていないので、セル内部のバルク領域において基板法線方向には電界が生じない。このため、図10に示したように、バルク領域における液晶分子の配向方位は定まらず、櫛歯電極4上の領域の大部分は光学的等方性を示す。つまり、この領域は暗状態のままであって、光学的異方性の発現に寄与するのは、櫛歯状電極4の各電極間の基板面内方向電界のみであり、明るさを最大に至らしめるには、表示素子100と比較して約2倍以上の電圧を要することになる。
さらに、表示素子100との比較のために、図11に示すように、透光性基板6および透光性基板7の双方に、平板状電極のみを有する表示素子102を用意し、その光学特性の定量評価を行った。なお、表示素子102は、表示素子100における櫛歯状電極4に代えて、透光性基板6上に平板状電極5を形成した以外は、表示素子100と同様に形成した。
表示素子102の両基板6,7における平板状電極5・5間に印加する電圧を変化させ、明るさが最初に最大になる平板状電極5・5間の電圧Vmaxを測定したところ、Vmaxは62Vであった。つまり、表示素子100に比べて3倍程度になった。
ここで、表示素子102におけるVmaxが、表示素子100の3倍程度となった理由として、以下のことが挙げられる。
表示素子102では両基板6,7に形成された平板状電極5しか有さず、櫛歯状電極4を備えていないため、基板法線方向の電界しか印加できない。配向膜2および配向膜3にはラビング処理を施してあるので、配向膜2および配向膜3の界面近傍の液晶分子は、電圧無印加時においても、配向膜2,3に施したラビング方向を向いている。そして、この状態で電界を印加すると、この界面近傍における配向規制力の影響を受けて、セル内部のバルク領域の液晶性物質もある程度、配向膜2,3に施したラビング方向と同じ方向である紙面垂直方向(y方向)を向く。
しかしながら、このラビング処理の影響によってバルク領域の液晶分子を配向させる力は、等方相における熱運動エネルギーに打ち勝ってy方向に向かせる程、十分大きくはない。このため、バルク領域における液晶分子を十分にy方向に向かせるためには、さらに大きい電圧を印加しなければならず、Vmaxは上昇し、表示素子100と比べて約3倍となる。
従って、表示素子100、表示素子101、および表示素子102に、同じ電界強度の電界を印加した場合、図1(b)、図10、図11に示した各表示素子における液晶分子の配向状態からも明らかなように、表示素子100における液晶分子が最もy方向に揃って配向しており、したがって、表示素子100における光の透過率が最も高くなる。
以上のように、本実施形態にかかる表示素子100では、透光性基板6における基板面内方向に電界を印加する櫛歯状電極4と、透光性基板6に対向する透光性基板7に備えられ、透光性基板6における櫛歯状電極4との間で両基板法線方向の電界を印加する平板状電極5とを備えており、これによってネガ型液晶材料Aが封入された誘電性物質層1に対して基板面法線方向および基板面内方向の電界を印加する。
これにより、櫛歯状電極4・4間の領域に作用する電界によってこの領域における液晶分子を電界に垂直な方向(y方向)に配向させることができる。また、この領域における液晶分子が配向することによって隣接するバルク領域における液晶分子が分子間相互作用によって配向する効果と、櫛歯状電極4と平板状電極5との間に作用する基板面法線方向の電界によってバルク領域の液晶分子が配向する効果とが相乗的に作用し、バルク領域の液晶分子を十分にy方向に配向させることができる。
このため、表示素子100では、最大透過率を得るために必要な駆動電圧を、低く抑えることができる。
なお、実施形態1においては上下基板6,7の配向膜2,3上にラビング処理を施している。このため、図1(b)のように基板法線方向の電界を印加すると、ラビングされた配向膜界面の影響をある程度受けて櫛歯電極4上の液晶分子をある程度y方向に配向させる力はある。しかしながら、図1(b)で四角で囲まれ、ハッチングを施された液晶分子までは充分にy方向に向かせる力はない。それにもかかわらず、表示素子100において、セル中層部の液晶分子までも充分y方向に配向させることができたのは、あくまでも基板面内方向電界部、即ち、櫛歯電極4・4間の分子配向が大きく作用しているためである。
また、上述したように、表示素子100において、セル内部のバルク領域でもネガ型液晶材料Aがy方向に配向するのは、液晶相は等方相中にありながらネマティック液晶相で見られるような液晶分子の弾性的な自己配向性が顕在化して、櫛歯電極上もより一層、液晶分子をy方向に配向するものと推察される。これは電極幅L、電極間隔Sともに4μmと非常に狭く、この程度のサイズの領域では等方相中でもある程度、分子間相互作用が働いているものと推察される。
[実施の形態2]
次に、本発明の他の実施形態について図に基づいて説明する。尚、説明の便宜上、実施形態1にかかる表示素子100と同様の構成および機能を有する部材については同じ符号を付し、その説明を省略する。図4(a)〜(d)は、本実施形態にかかる表示素子200の概略構成を示す断面図であり、櫛歯電極4・4間に働く、基板面内電界の方向(x方向)から見た断面図である。つまり、実施形態1において表示素子100の説明に用いた図1(a)、図1(b)とは、両基板面に平行、かつ、90度異なる方向から見た図である。
また、図4(a)は高分子鎖を形成しない場合の、ネマティック相を呈した状態での電圧無印加時のマイクログルーブによる液晶分子の配向状態を示し、図4(b)は高分子鎖を形成した場合の、ネマティック相を呈した状態での液晶分子の配向状態を示し、図4(c)はアイソトロピック相を呈した状態での電圧無印加時のネガ型液晶材料Aの配向状態を示し、図4(d)はアイソトロピック相を呈した状態での電圧印加時のネガ型液晶材料Aの配向状態を示したものである。
図4(b)に示すように、表示素子200は、実施形態1にかかる表示素子100と同様、一方の基板(透光性基板6)上には電極は櫛歯状電極4、他方の基板(透光性基板7)上には平板状電極5が形成されている。
櫛歯状電極4の電極幅(櫛歯電極幅)L、電極間隔(櫛歯電極間隔)S、誘電性物質層1のセル厚dも実施形態1と同一である。即ち、L/S = 4μm/4μm、d=5μmである。また、櫛歯状電極4および平板状電極5の電極材料についても、実施形態1と同様、すべてITOである。
また、誘電性物質層1には、表示素子100と同様の組成からなるネガ型液晶材料A(Δn=0.15、Δε=−14、Tni=62℃)が封入されている。ネガ型液晶材料Aのネマティック相−アイソトロピック相相転移温度Tniは62℃なので、室温(例えば約30℃)ではネマティック相を示す。すなわち、図4(b)は、ネマティック相を示している状態における電圧無印加時の表示素子200の状態を示す断面図である。
一方、表示素子200が表示素子100と相違する点は、図4(b)に示したように、表示素子100における配向膜2,3(ポリイミドからなる、ラビング処理が施された配向補助材)に代えて、マイクログルーブ14,15が形成されている点、および、誘電性物質層1に封入されたネガ型液晶材料Aの中に高分子鎖22が形成されている点である。
マイクログルーブ14,15は、図4(b)中に示した方向(y方向)に延びる、ミクロな(微小な(1μm以下の))深さとピッチとを有する溝が形成されている。なお、マイクログルーブ14,15は、基板界面付近の液晶分子に対して、マイクログルーブの方向(溝の延在方向、y方向)への配向規制力を付与するものである。
高分子鎖22は、ネガ型液晶材料Aを封入する際に添加された光重合性モノマーが、紫外線(光)が照射されることによって重合され、鎖状高分子(高分子鎖)を形成したものである。図4(b)に示すように、高分子鎖22は、その主要部分が、マイクルグループ14,15の延在方向(y方向)に延びている。なお、高分子鎖22の形成方法については、後で詳しく説明する。
ここで、マイクログルーブ14,15の形成方法について説明する。マイクログルーブ14,15は、例えばフォトレジストのような感光性樹脂を露光、現像するといったフォトリソグラフィープロセスやスタンプ法(型押し法)、マスクUV露光プロセス等を経て作製する。
また、本実施形態では、マイクログルーブ14、15は櫛歯状電極4や平板状電極5の上に形成されている構成を示しているが、この構成に限定されるものではない。マイクログルーブ14、15をまず透光性基板6、7の上に形成して、その上に櫛歯状電極4や平板状電極5を形成してもよい。この場合、マイクログルーブ層の上に電極が存在していても、マイクログルーブの凹凸と比べて電極厚の方が小さいので、マイクログルーブの溝は電極上でも維持されて等方相中の液晶分子を配向させるのに充分な効果があることを確認した。
図9は、櫛歯状電極4が形成された透光性基板6上に形成したマイクログルーブ15を示す断面図である。なお、この図は、櫛歯状電極4a・4bの延在方向に垂直な方向、すなわち表示素子200を形成した場合に基板面内電界方向に垂直な方向(y方向)となる方向から見た断面図である。また、図9は、マイクログルーブ15の方向が1方向(y方向)の場合だけでなく、後述する、マイクログルーブ15がジグザグ形状を有する場合の断面形状も示している。
この図に示したように、マイクログルーブ15は、透光性基板6側から突出する、多数の、ミクロな高さ(図中、Δm)とピッチ(図中、l(エル))とを有すると突出部(ミクロ山)(ミクロな深さとピッチとを有する多数のミクロ溝)からなる。
なお、透光性基板7上(平板状電極5上)に形成されるマイクログルーブ14についても同様に、多数のミクロ溝(またはミクロ山)からなる。
図4(a)は、上記のようにマイクログルーブ14,15を形成した透光性基板5,6を対向させ、両基板間の領域である誘電性物質層1にネガ型液晶材料Aを封入した状態を示す断面図である。なお、この図は、室温における状態を示しており、したがって、ネガ型液晶材料Aはネマティック相を呈している。この図に示すように、マイクログルーブ14,15による配向規制力が液晶分子に作用し、ネマティック相を示す状態では、誘電性物質層1における液晶分子はマイクログルーブの方向(マイクログルーブの溝方向)に配向する。
なお、液晶分子を配向させる、マイクログルーブ14およびマイクログルーブ15における突出部のピッチlおよび高さΔmについて調べたところ、本実施形態にかかる表示素子200では、ピッチlは0.8μm、高さΔmは0.3μmであった。このようなスケールのマイクログルーブを形成することにより、ネマティック相(T<Tni)のネガ型液晶材料Aをミクロ溝方向に充分に配向させることができる。
次に、高分子鎖22の形成方法について説明する。誘電性物質層1に、ネガ型液晶材料Aを封入する際、ネガ型液晶材料Aに光重合性モノマー(重合性化合物)(図示せず)を添加する。なお、光重合性モノマーに加えて、さらに、メチルエチルケトンパーオキサイドなどの、光重合性モノマーの重合を迅速に行わせるための重合開始剤(図示せず)を添加してもよい。
このように光重合性モノマーを添加したネガ型液晶材料Aを封入した誘電性物質層1は、ネマティック−アイソトロピック相転移温度(Tni)より低い温度(ネガ型液晶材料Aがネマティック液晶相を呈している状態)では、図4(a)の状態と同様、誘電性物質層1のほぼ全域において液晶分子が一方向(マイクログルーブの方向)に配向している。
次に、誘電性物質層1の温度をネマティック−アイソトロピック相転移温度(Tni)より低い温度に保持しつつ、誘電性物質層1に紫外線を照射する。これにより、図4(b)に示すように、光重合性モノマーが重合し、高分子鎖22(配向補助材)(光重合性モノマーが重合した部分)が形成される。
ここで、高分子鎖22は、平均的に液晶分子の配向方向(マイクログルーブ14およびマイクログルーブ15の方向)に平行な方向を向くように固定化される。これは、ネマティック液晶相の1軸配向状態(液晶分子が一方向に配向している状態)で光重合性モノマーを光重合させて、高分子ネットワーク(重合体)を形成したことによる。
次に、表示素子200における動作について説明する。表示素子200を使用する際には、誘電性物質層1の温度をネマティック−アイソトロピック相転移温度(Tni)より数K程高い温度(T=Tni+2)まで上昇させ、誘電性物質層1に封入したネガ型液晶材料Aがアイソトロピック相(等方相)を示す状態で用いる。
図4(c)は、誘電性物質層1の温度をTni+2(℃)とし、各電極に電圧を印加していない状態(電圧無印加時)における、マイクログルーブ14,15の方向に沿った断面図である。
この図に示すように、ネガ型液晶材料Aの液晶分子はマイクログルーブ方向に略平行に向いている高分子鎖22に囲まれた状態で(高分子鎖22同士の間で)、熱運動エネルギーが支配的となって等方相状態を呈する。これは、高分子鎖22が存在していても、それに囲まれた内部のネガ型液晶材料Aが熱運動的ファクターで全くランダムな方向を向いており、マクロに見ると光学的等方性を呈していることを示す。なお、この状態では、表示素子200は暗(黒)状態となっている。また、ネガ型液晶材料Aを囲んでいる高分子鎖22同士の間隔は可視光波長以下であるため、仮に散乱が起こっても可視光波長オーダーの光に対しては影響が無い。よって、表示素子200の誘電性物質層1は、目視上、散乱によって白濁している状態とはならない。
このような等方相状態を保った状態で、各電極(櫛歯状電極4a・4b間および櫛歯状電極4−平板状電極5間)に電圧を印加する。すなわち、透光性基板6上に形成された櫛歯状電極4の各電極には+V、または−Vの電位を、対向側の透光性基板7上の平板状電極5には0V(GND)の電位を印加する。
上記のように電圧を印加すると、図4(d)に示すように、ネガ型液晶材料Aの液晶分子は、マイクログルーブ14,15による分子配向規制力に加えて、高分子鎖22等の分子配向規制力により、誘電性物質層1のほぼ全域において、液晶分子がマイクログルーブ14,15および高分子鎖22の方向(基板面内位相差の方向、遅相軸方向)に配向し、光学的異方性を示す。
以上のように、誘電性物質層1に封入するネガ型液晶材料Aに上記した光重合性モノマーを添加し、ネガ型液晶材料Aの液晶分子が一方向(マイクログルーブ14,15の方向)に配向した状態でこの光重合性モノマーを重合させることにより、この状態における液晶分子の配向方向と略平行な方向に延びる高分子鎖22を形成できる。
そして、このように高分子鎖22を形成した表示素子200において、ネガ型液晶材料Aが等方相を示す状態で各電極に電圧を印加することにより、マイクログルーブ14,15による配向規制力に加えて、高分子鎖22等の分子配向規制力によって、誘電性物質層1のほぼ全域において、液晶分子を配向させることができる。
これにより、高分子鎖22を形成しない場合に比べて、表示素子200における明るさを最大とする駆動電圧を低くすることができる。
なお、本実施形態では、基板界面付近の液晶分子に配向規制力を付与するための手段として、マイクログルーブ14,15を用いているが、これに限るものではない。例えば、マイクログルーブ13,15に代えて、実施形態1と同様、ラビング処理を施した配向膜を用いても上記した表示素子200と略同様の効果が得られる。
また、表示素子200において高分子鎖22を形成しない構成、すなわち、実施形態1にかかる表示素子100において、配向膜2,3をマイクログルーブ14,15に代えただけの構成としてもよく、この場合には表示素子100と略同様の効果を奏する。
また、上記の説明では、マイクログルーブ14,15の方向が1方向(y方向)の場合について説明したが、マイクログルーブの方向はこれに限るものではない。例えば、図5〜7に示すように、ジグザグ形状としてもよい。
図5は、マイクログルーブ14,15をジグザグ形状に形成した場合の、マイクログルーブ14,15の方向、および、偏光板9,10の吸収軸方向の一例を示している。この図に示すように、偏光板9および偏光板8の吸収軸は互いに直交する配置(クロスニコル)としており、マイクログルーブ14およびマイクログルーブ15の方向はジグザグになっていると共に、偏光板9および偏光板8の吸収軸とそれぞれ45°の角度を成す。また、マイクログルーブ14におけるマイクログルーブの方向は、対向する位置におけるマイクログルーブ15におけるマイクログルーブの方向と略平行になっている。
図6は、透光性基板6上に形成された櫛歯状電極4(櫛歯状電極4aおよび4b)の形状を示す平面図である。この図に示すように、表示素子200の櫛歯状電極4は、マイクログルーブ14およびマイクログルーブ15と同様にジグザグ状となっている。
図9は、櫛歯状電極4が形成された透光性基板6上に形成したマイクログルーブ15を示す断面図である。またこの場合、図5におけるC-C'の線で示した位置における断面図である。この図に示すように、櫛歯状電極4の延在方向は、その上に形成されるマイクログルーブ15の方向と略平行になっている。
図7(a)は、表示素子200における各電極間に電界を印加していないOFF時(電界無印加時)の状態における、液晶分子の配向状態を模式的に示す透視断面図である。また、図7(b)は、表示素子200における各電極間に電界を印加したON時(電界印加時)の状態を模式的に示す透視断面図である。
図7(a)に示したように、OFF時にはネガ型液晶材料Aの液晶分子は、熱運動によって全くランダムな位置と方向とに配置される。すなわち、誘電性物質層1に含まれるネガ型液晶材料A全体がなす屈折率楕円体は、短軸方向の屈折率n、nと、長軸方向の屈折率nとが等しくなり(屈折率n=n=n)、誘電性物質層1は光学的等方性を示す。
これに対し、図7(b)に示したように、ON時には、マイクログルーブによる基板界面付近の液晶分子の配向規制力と、電界による電界と直行する方向への分子配向規制力とによって分子が電界方向と直交する方向に配向する。
つまり、これらの2つの分子配向規制力(ファクター)は両方とも、ネガ型液晶材料Aの液晶分子をちょうど同じ方向(マイクログルーブ方向、電界直交方向)に向かせるように作用する。そのため、マイクログルーブによる分子配向規制力と合わさって、より効率的に、つまり、より低い電圧でネガ型液晶材料Aをマイクログルーブ方向に配向させることができる。これにより、誘電性物質層1に含まれるネガ型液晶材料A全体がなす屈折率楕円体は、短軸方向の屈折率nが、長軸方向の屈折率nより小さくなり(n>n)、誘電性物質層1に光学的異方性が発現する。
このように、マイクログルーブ14および15、櫛歯状電極4をジグザグ状に形成することにより、液晶分子を、基板面に平行であって、異なる方向に配向させることができる。これにより、簡易的にマルチドメイン化を実現できるので、表示素子200の広視野角な視覚特性(広視野角特性)を実現できる。つまり、表示素子200は、IPSモードのように基板面内で位相差を発現させるため、本質的に広視野角性能を有しているが、マイクログルーブを用いることにより、広視野角性能をより向上させることができる。また、マイクログルーブをジグザグに形成することは、ラビング法とは違って容易なので、簡易的にマルチドメイン化を実現できる。
なお、櫛歯状電極4をストライプ状に形成することは特性上問題無いが、実パネルへの適用する際に、広視野角特性化を実現するためには、櫛歯状電極4をジグザグ状に形成することが好ましい。
次に、表示素子200における光学特性を調査した結果について説明する。なお、ここでは、図5〜図7に示したように、ジグザグ状の櫛歯状電極4およびマイクログルーブ14,15を形成した表示素子200を用いた。また、調査方法については、実施の形態1と同様、誘電性物質層1の温度をネマティック−アイソトロピック相転移温度Tniよりも数Kほど高い温度T(ここでは、T=Tni+2(K))に保つとともに、透光性基板7上に形成した平板状電極5の電圧を0Vに保ち、透光性基板6上に形成した櫛歯状電極4の隣り合う電極4a・4bが、同じ絶対値で正負が逆の電圧を有するように、櫛歯状電極4a・4bの電圧を変化させた。この場合、表示素子200が明状態となり、その明るさが最大となるときの櫛歯状電極4a−4b間の電圧Vmaxは34Vであった。
次に、上記した表示素子200との比較のために、誘電性物質層1に光重合性モノマーを添加せず、高分子安定化されていない(ネガ型液晶材料A単独の系である)比較用表示素子に関して、電圧Vmaxについての評価を行った。なお、この比較用表示素子は、高分子安定化されていない以外は、表示素子200と同様に形成されている。
この比較用表示素子において、誘電性物質層1の温度をTni+2(K)に保ち、各電極の電位を上記した表示素子200と同様に変化させたところ、明るさが最大となるときの、櫛歯状電極4a・4b間の電圧Vmaxは110Vであった。
上記の評価結果より、ネガ型液晶材料Aを高分子安定化した場合(高分子鎖22を形成した場合)、高分子安定化していない場合の約1/3の駆動電圧で明るさを最大にできることがわかる。
次に、図5〜図7に示したようにジグザグ状の櫛歯状電極4およびマイクログルーブ14,15を形成した表示素子200において、明るさを最大にする駆動電圧に対する、温度の影響について評価した。表示素子200を、Tni点より30K高い温度(T=Tni+30)に保持するとともに、上記と同様に電圧を印加し、Vmaxを測定したところ、39Vであった。すなわち、表示素子200は、Tni+2<T<Tni+30という広い温度範囲(温度幅約30K)において、駆動電圧の温度依存性をほぼフラットにすることができる。したがって、40V以下という、十分に実用化が可能となる低い駆動電圧で透過率が最大となる。
つまり、表示素子200のように高分子安定化を施しておくと、温度をTni直上から約30K程度高い温度においても高分子鎖22の壁の影響(壁によるアンカリング効果)を作用させることができる。そのため、高分子鎖22同士の間隔(高分子鎖22内部)程度のサイズのネガ型液晶材料Aについて、分子同士の自己配向性に基づく相互作用を働かせることができ、駆動電圧をあまり上げることなく、光学的異方性を発現させることが可能となる。
このように、表示素子200では、(1)基板界面のマイクログルーブの効果、(2)基板面内方向電界と基板法線方向電界の効果、(3)マイクログルーブ方向に向いている高分子鎖22の壁面による効果、の3つの効果がそれぞれ相乗効果をもたらして、ネガ型液晶材料Aの液晶分子を効率よく配向させる。
また、表示素子200におけるマイクログルーブ14,15はジグザグ形状を有し、櫛歯状電極4はマイクログルーブ14に略平行に形成される。これにより、電圧印加時に基板界面上のマイクログルーブ15と電界方向との合わせ技により、つまり、マイクログルーブ15と櫛歯状電極4a−4b間に作用する電界とが同一方向にネガ型液晶材料Aの液晶分子を配向させることにより、一層低電圧でネガ型液晶材料Aを所望の方向に配向させることが可能となる。
また、マイクログルーブを液晶性物質の配向補助材として使用し、基板面内方向電界印加手段である櫛歯状電極4のストライプ方向とマイクログルーブ方向とを一致させておき、ネガ型液晶材料Aを高分子安定化処理しておくことで、液晶性物質単独では実現し得ない低電圧、広温度範囲で駆動でき、かつ、高透過率、広視野角特性を有する表示素子を実現できる。
また、本実施形態では、誘電性物質層1に形成する配向補助材として高分子鎖22を用いたが、配向補助材の構成はこれに限るものではない。例えば、液晶骨格と重合性官能基とを分子内に有する他の液晶(メタ)アクリレートや、エポキシアクリレートなどを用いてもよい。
また、配向補助材を形成するために媒質に添加する重合性化合物は、光照射によって重合する光重合性モノマーに限らず、光照射以外の方法で重合する重合性モノマーであってもよい。
また、上記したいずれの重合性化合物を用いる場合においても、重合性化合物の添加量は、配向補助材としての機能を十分に発揮でき、かつ、配向補助材に印加される電界の割合が大きくなって駆動電圧が増大してしまわないように、適宜調整することが好ましい。
また、配向補助材の形状は高分子鎖に限らず、電圧印加によって分子が配向することを補助(促進)できるものであればよく、例えば、網目状高分子(網目状高分子材料)、環状高分子(環状高分子材料)などであってもよい。
また、配向補助材は、必ずしも重合性化合物から形成する必要はない。例えば、配向補助材として多孔質無機材料を用いてもよい。この場合、例えば、チタン酸バリウムなどのゾルゲル材料(多孔質無機材料)を誘電性物質層1に封入する媒質(誘電性液体)にあらかじめ加えておけばよい。これにより、高分子鎖22(重合性化合物)からなる配向補助材と用いる場合と同等の効果を得ることができる。
また、誘電性物質層1に形成する配向補助材として、水素結合ネットワーク(水素結合体)を用いることもできる。ここで、水素結合ネットワークとは、化学結合ではなく水素結合によって形成された結合体を意味する。
また、本実施の形態では、重合開始剤を添加しているが、重合開始剤は、配向補助材を重合性化合物から形成する場合であっても、必ずしも添加する必要はない。ただし、重合性化合物を、例えば光や熱により重合して高分子化するためには、重合開始剤を添加することが好ましい。重合開始剤を添加することによって重合を迅速に行うことができる。なお、重合開始剤の添加量は、重合開始剤が不純物として作用し、表示素子の比抵抗が低下しないように適宜調整することが好ましい。
なお、上記した表示素子200の光学特性の調査では、Tni+30の場合についてしか調査していないが、さらに高温にした場合にも、最大透過率を得るための駆動電圧は大きくは変化しないと思われる。例えば、Tni+60(K)までの温度範囲において最大透過率を得るための駆動電圧が大きくは変化しなければ、温度幅60Kにおいて駆動電圧の温度依存性をほぼフラットにすることができ、実用上好ましい。換言すれば、誘電性物質層1に封入する液晶性物質として、Tni+60(K)までの温度範囲において最大透過率を得るための駆動電圧が大きくは変化しない液晶性物質を用いることが好ましい。
なお、上記においては、高分子鎖とマイクログルーブとを用いて、基板面内方向電界および基板法線方向電界に垂直な方向に液晶分子を配向させる構成とした。しかしながらこれに限定されるものではなく、高分子鎖のみを用いて、基板面内方向電界および基板法線方向電界に垂直な方向に液晶分子を配向させる構成としてもよい。または、マイクログルーブのみを用いて、基板面内方向電界および基板法線方向電界に垂直な方向に液晶分子を配向させるようにしてもよい。
[実施の形態3]
本発明のさらに他の実施形態に係る表示素子300について説明する。尚、説明の便宜上、実施形態1にかかる表示素子100と同様の構成および機能を有する部材については同じ符号を付し、その説明を省略する。
図12(b)に示すように、表示素子300は、実施形態1にかかる表示素子100と同様、一方の基板(透光性基板6)上には櫛歯状電極4、他方の基板(透光性基板7)上には平板状電極5が形成されている。
櫛歯状電極4の電極幅(櫛歯電極幅)L、電極間隔(櫛歯電極間隔)S、誘電性物質層1のセル厚dも実施形態1と同一である。即ち、L/S = 4μm/4μm、d=5μmである。また、櫛歯状電極4および平板状電極5の電極材料についても、実施形態1と同様、すべてITOである。
基板面内方向の電界強度E、基板法線方向の電界強度Eも実施形態1と同一である。即ち、E=18/4=4.5V/μm、E=9/5=1.8V/μmである。
また、表示素子300においては、櫛歯状電極4の電極間隔(x方向の電極間隔)Sが、櫛歯状電極4と平板状電極5との間の電極間隔N(z方向の電極間隔)よりも狭い。また、櫛歯状電極4の電極幅(x方向の幅)Lが、櫛歯状電極4の電極幅(y方向の幅)Mよりも狭い。
また、表示素子300には、表示素子100とは異なり、配向膜2および配向膜3が備えられていない。
また、表示素子300では、誘電性物質層1に封入するネガ型液晶材料Aにカイラル剤が添加されている点が、実施形態1と異なる。なお、カイラル剤は、捩れ力(ヘリカルツイストパワー)により液晶性物質を構成する液晶分子同士を結び付けて、液晶分子が配列している平面毎に分子長軸の角度がずれるツイスト(らせん)構造を有する、コレステリック相を形成するものである。カイラル剤としては、以下に示すカイラル剤S811(E.Merck社)が用いられている。
Figure 2006003840
なお、カイラル剤S811とネガ型液晶材料Aとの混合物(カイラル剤添加液晶材料)は、カイラル剤S811重量%濃度が35%となるように調整されており、誘電性物質層1内において、コレステリック液晶相(カイラルネマティック液晶相)となっている。
このようにカイラル剤が添加されていることにより、表示素子300における液晶分子は、電圧印加時には、図15に示すように、右捩れあるいは左捩れの一方向の掌性を有するツイスト構造をなすクラスター(分子の小集団)が発生する。
図15に示すように、コレステリック液晶相は、螺旋の中心軸の方向(螺旋軸方向、Helix方向、図中においてhで示される方向)が、ネガ型液晶材料Aのダイレクタ(分極双極子)の方向(図中においてnで示される方向)と垂直になっている。このカイラル剤添加液晶材料レステリック液晶相(コレステリック相を呈する液晶性物質の集合体)について、カイラルピッチ(自発的捩れピッチ、ナチュラルカイラルピッチ)pをCano-wedgeセルを用いて外挿により見積もったところ、約0.15μmであった。
このように、カイラルピッチpの値が可視光波長より充分小さいと、カイラルネマティック液晶相(コレステリック液晶相)において、可視光の光はネガ型液晶材料Aの捩れを感ずることができずに、事実上、図15に示したような負の1軸性屈折率楕円体となる。
すなわち、コレステリック液晶相における屈折率楕円体は、Helix方向の屈折率nよりもHelix方向に垂直な方向の屈折率n//の方が大きい(n//>n)、負の1軸性屈折率楕円体となる。なお、コレステリック液晶相がなす屈折率楕円体における短軸方向の屈折率n//は、ネガ型液晶材料Aを構成する各液晶分子の短軸方向の屈折率n、および長軸方向の屈折率nを用いて、n//=Σ√((n +n )/2)で表される。また、コレステリック液晶相がなす屈折率楕円体における長軸方向の屈折率nは、各液晶分子における短軸方向の屈折率nと等しい(n=n)。
カイラルピッチpと捩れ力とは、反比例の関係であり、カイラルピッチpが短くなると捩れ力は増大する。このため、カイラルピッチpが0.15μm程度の小さい場合には、カイラル剤S811による捩れ力がカイラルピッチpの領域内に充分行き届いて液晶分子が1つの集団(クラスター)として強固に互いに結びつく。これは長距離秩序を有するネマティック相の、一つ上の温度相である等方相においても成立する。すなわち、カイラル剤を多量に添加することで、等方相においてもカイラルピッチp相当の短距離秩序領域を形成できる。
ここで、表示素子300の光学特性を調べるために行った実験の結果について、図12(a)、図12(b)、図16(a)、および図16(b)を用いて説明する。図12(a)は、表示素子300における電圧無印加時の状態を示す断面図であり、図12(b)は、表示素子300における電圧印加時の状態を示す断面図である。また、図12(a)および(b)は、基板面内方向(y軸方向)から見た場合の図である。図16(a)は、表示素子300の、電圧印加時にL領域でコレステリック相を呈している状態を示す断面図であり、図16(b)は、表示素子300の、電圧印加時にL領域で液晶分子が同一方向に配向した状態を示す断面図である。また、図16(a)および(b)は、基板法線方向から見た場合の、すなわち図12とは90度異なる方向から見た場合の図である。なお、各図ともに、誘電性物質層1の温度は液晶相−等方相の相転移温度よりも高い温度(T>Tni)であり、誘電性物質層は等方相状態となっている。
まず、誘電性物質層1を等方相温度域に保持する。図12(a)に示すように、等方相温度域においてOFF時(電圧無印加時)は、カイラル剤が上記のように多量に添加されていても、カイラル剤添加液晶材料は光学的等方性を示しており、ネガ型液晶材料Aは全くランダムな方向を向いている。
一方、図12(b)に示すように、表示素子300は、ON時(電圧印加時)には、まず、櫛歯状電極4a−4b間の領域であるS領域においてカイラル剤の捩れ力による近接相互作用が働き、この領域に光学的異方性が発生する。
すなわち、S領域において、ネガ型液晶材料Aのネガ型の性質により、液晶分子が電界方向と垂直な面内に配向しようとする。また、これと同時に、カイラル剤S811の捩れ力による近接相互作用により、Helix方向が電界方向と同じ方向に配向しようとする。なお、S領域では、基板面内方向の電界強度が基板法線方向の電界強度よりも強く(電界強度E>電界強度E)、櫛歯状電極4の電極間隔Sが、櫛歯状電極4と平板状電極5との間の電極間隔Nよりも狭いので、L領域における液晶分子の影響をあまり受けない。
これにより、S領域では、負の1軸性屈折率楕円体(アンパン)が透光性基板6に対して立ち上がったような形と同様の配置(屈折率楕円体の長軸方向が透光性基板6の基板面に略垂直方向となる状態)となる。従って、コレステリック液晶相においてn//−n>0であるため、透光性基板6と透光性基板7との間で位相差が発現して、光が透過する。
また、L領域のネガ型液晶材料Aは、S領域におけるネガ型液晶材料Aの屈折率楕円体が立ち上がったような配向領域に挟まれる状態となっている。つまり、S領域におけるネガ型液晶材料Aの屈折率楕円体は、透光性基板6に垂直な方向(y方向)にストライプ状に伸びた壁のような状態となっており、L領域のネガ型液晶材料Aを挟んでいる。そして、L領域においては、ネガ型液晶材料Aはネガ型の性質により、液晶分子の配向方向(長軸方向)が、基板垂直方向の電界に垂直な方向、すなわち、基板面内方向に制限されている。
すなわち、電界印加時にはまず、図16(a)に示されるように、カイラル剤が添加されていることによる効果から、L領域ではHelix方向が基板法線方向を向いたような形となる。
しかし、L領域は、電極幅(x方向の幅)Lが4μmと非常に狭く(電極幅(y方向の幅)Mよりも狭く)、また両サイドでS領域のy方向にストライプ状に伸びた壁に挟まれているため、両サイドの壁の効果(アンカリング効果)がL領域に瞬時に影響してくる。これにより、結果として、図16(b)に示されるように、L領域では液晶分子が平均的にy方向に配向した状態となる。これは、液晶分子が充分狭い幅の領域(L領域)に閉じ込められ、かつ、両サイドから一方向に伸びた壁に挟まれた場合、弾性的エネルギーが最小になるべく、液晶分子の長軸方向が壁と平行な方向に向こうとする、液晶分子の自己配向性能によるものである。また、この状態を光学的に表現すると、y方向に屈折率楕円体の長軸が伸びたような、ラグビーボールの長軸方向がy方向を向いたような状態である。
つまり、1)基板面内方向の電界強度が基板法線方向の電界強度よりも強いこと(電界強度E>電界強度E)、2)櫛歯状電極4の電極間隔(x方向の電極間隔)Sが、櫛歯状電極4と平板状電極5との間の電極間隔N(z方向の電極間隔)よりも狭いこと、3)櫛歯状電極4の電極幅(x方向の幅)Lが、櫛歯状電極4の電極幅(y方向の幅)Mよりも狭いことにより、L領域の液晶分子には螺旋状の捩れが生じず、y方向に配向する。
よって、L領域において、基板垂直方向電界および壁による分子配向規制力が合わさって(S領域の位相差の発生による影響を受けて)、ネガ型液晶材料Aがy方向に配向することにより、y方向に位相差が発現し光が透過する。そのため、表示素子300においては、S領域のみならず、L領域も含む全領域が透過領域として使用可能(表示可能)である。これにより、電界印加手段が透明電極であるため、高開口率かつ高透過率を有する表示素子を実現できる。
ここで、表示素子300と比較するために、透光性基板7上に平板状電極5を形成しない以外は表示素子と同様に製作した比較用表示素子301(図13参照)、および、透光性基板6上に、櫛歯状電極4に代えて平板状電極5を備えた比較用表示素子302(図14参照)を用意し、それらに電界を印加した場合の配向状態について調べた結果について説明する。
図13に示すように、表示素子301は、電圧印加手段として透光性基板6上の櫛歯状電極4のみを備え、透光性基板7上には平板状電極5(電圧印加手段)を備えていない。なお、電圧印加手段の構成以外は、表示素子300と同様になっている。
この図に示すように、表示素子301においては、透光性基板7上には電圧印加手段を備えていないためL領域に電界が生じず、このエリア(領域)における液晶分子は配向しないので、L領域を表示領域として使用できない。
図14に示すように、表示素子302は、透光性基板6および透光性基板7上に、それぞれ平板状電極5を備え、櫛歯状電極4を備えていない。なお、電圧印加手段の構成以外は表示素子300と同様な構成となっている。
この図に示すように、表示素子302においては、基板垂直方向電界によって液晶分子が基板面内方向を向く。さらに、カイラル剤の捩れ力によって、液晶分子が基板面内において螺旋状に捩れて配向する。
しかしながら、この場合、ネガ型液晶材料Aにおいては、光学的に見ると、負の1軸性屈折率楕円体の光軸方向(屈折率楕円体の短軸方向)が基板法線方向(z方向)を向いており、透光性基板6と透光性基板7との間の位相差は実質的にゼロとなる。そのため、表示素子302に縦方向電界(基板面法線方向の電界)を印加しても、全領域において位相差は発現せず、光は透過しない。
以上のように、誘電性物質層1にカイラル剤を添加すると共に、櫛歯状電極4と平板状電極5とを用いて電界を発生させることで、配向膜を用いること無しに、低電圧で液晶分子を配向させることができる。
また、配向膜やマイクログルーブを形成する必要がないので、製造工程を簡略化し、製造コストの低減を図ることができる。
なお、上記の説明では、誘電性物質層1に封入する液晶性物質にカイラル剤を添加するものとしたが、これに限らず、誘電性物質層1に封入する液晶性物質として、その液晶性物質自身がカイラル性を有するもの(カイラル物質)を用いてもよい。この場合にも、カイラル剤を添加する構成と略同様の効果を得ることができる。
上記各実施の形態において、透光性基板6、透光性基板7、櫛歯状電極4、および平板状電極5が透光性(可視光に対して透明である)であるとした。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば透光性基板6、透光性基板7の一方が透光性を有しない基板であってもよい。すなわち、透光性を有する基板側から入射した光(外光)を、他方の基板側で反射し、入射側の基板から出射させる反射型の表示素子としてもよい。また、この場合、透光性を有さない基板上に形成される電極を非透光性材料で形成し、この電極よりも光の入射側に反射手段を設けてもよい。
また、一方の基板およびその基板に備えられる電極を、半透過型の材料で形成してもよい。この場合、暗い場所ではバックライトの光を透過させることにより表示を行い、明るい場所ではバックライトを使わず、外光を反射させることにより表示を行う半透過型の液晶ディスプレイを構成することもできる。
また、上記各実施の形態においては、誘電性物質層1に含まれる液晶性物質をネガ型液晶材料Aであるとした。しかしながら、誘電性物質層1に封入する液晶性物質はこれに限定されるものではなく、基板面法線方向の電界と基板面内方向の電界とによって、同一方向の光学異方性が発現するものであればよい。
また、誘電性物質層1に封入する液晶性物質は、単一化合物で液晶性を示すものであってもよく、複数の物質の混合により液晶性を示すものでもよい。あるいは、これらに他の非液晶性物質が混入されていてもよい。
また、誘電性物質層1に封入する液晶性物質として、例えば、光学波長以下の秩序構造を有し、光学的には等方的に見える液晶相のうち、誘電異方性が負のものを適用することができる。これらに電界を印加することにより、分子あるいは集合体の微細構造にひずみを与え、光学変調を誘起させることができる。また、これらの液晶性物質を用いる場合にも、配向補助材を形成しておくことによって分子の配向を促進できるので、低電圧で駆動することが可能となる。
なお、誘電性物質層1中に、高分子鎖22などの配向補助材を形成する場合には、ネガ型の性質を示す液晶材料であり、等方相を示す1つ下の温度範囲でネマティック相を呈する液晶性物質を用いることが好ましい。これにより、例えば高分子安定化(配向補助材の形成)を、界面の影響がバルク領域を含む液晶相全体に伝播しているネマティック相にて行うことができる。
また、誘電性物質層1に封入する液晶材料は、ΔnおよびΔεが共に大きく、かつTniが室温に近いことが好ましい。
また、表示素子100、表示素子200、または表示素子300を備えた表示装置を用いることもできる。すなわち、本発明の表示素子を複数備えるとともに、各表示素子における電圧印加状態と電圧無印加状態とを切り替えるスイッチング手段、各スイッチング手段の動作を制御する制御手段を備えた表示装置を構成することができる。
本発明の表示素子を用いて表示装置を構成することにより、低電圧駆動、広温度範囲かつ広視野角性、高速応答性をトレードオフなく可能にすることができる表示装置を実現できる。
本発明の表示装置は、画素の1部、または1画素に、表示素子100、表示素子200、表示素子300の何れかを有するものである。例えばテレビ放送やビデオ、DVDなどの画像を表示する表示装置、ワープロ、パソコン、携帯電話などに備えられる表示装置などであってもよい。また、低電圧駆動、広温度範囲かつ広視野角性、高速応答性をトレードオフなく実現できるので、次世代FPD(フラットパネルディスプレイ)テレビとしても非常に有望である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の表示素子は、液晶を用いて表示を行う表示装置全般に用いることができる。例えば、PCや携帯電話などに備えられる表示装置、テレビ、次世代FPDなど、様々な用途で用いられる。
本発明の一実施形態にかかる表示素子の構成を示す断面図であり、(a)は電圧無印加時の誘電性物質層の光学的等方性を示す断面図であり、(b)は電圧印加時に発現する誘電性物質層の光学的異方性を示す断面図である。 図1の表示素子における、偏光板の偏光軸方向、およびラビング方向の配置関係を示す、基板法線方向から見た時の平面図である。 図1の表示素子における、第二の電界印加手段、基板面内方向電界方向、および基板法線方向電界方向の配置関係を示す、基板法線方向から見た時の平面図である。 本発明の他の実施形態にかかる表示素子の構成を示す断面図であり、(a)は高分子鎖を形成しない場合の、ネマティック相状態での電圧無印加時のマイクログルーブによる液晶分子の配向状態を示し、(b)はネマティック相状態での電圧無印加時の液晶分子の配向状態を示し、(c)はアイソトロピック相状態での電圧無印加時の液晶分子の配向状態を示し、(d)はアイソトロピック相状態での電圧印加時の液晶分子の配向状態を示したものである。 図4の表示素子における、偏光板の偏光軸方向、およびマイクログルーブの溝方向の配置関係を示す、基板法線方向から見た時の平面図である。 図4の表示素子における、第二の電界印加手段、基板面内方向電界方向、および基板法線方向電界方向の配置関係を示す、基板法線方向から見た時の平面図である。 図4の表示素子における、液晶性物質の配向状態を示し、(a)は電圧無印加時の基板法線方向から見たときの平面図であり、(b)は電圧印加時の基板法線方向から見たときの平面図である。 本発明の一実施形態、および他の実施形態にかかる表示素子に用いるネガ型液晶材料を示す斜視図である。 図4の表示素子における、基板、第二の電界印加手段、およびマイクログルーブを示す断面図である。 図1の表示素子に対する比較のための表示素子の、電圧印加時に発現する誘電性物質層の光学的異方性を示す断面図である。 図1の表示素子に対する比較のための表示素子の、電圧印加時に発現する誘電性物質層の光学的異方性を示す断面図である。 本発明の他の実施形態にかかる表示素子の構成を示す断面図であり、(a)は電圧無印加時の誘電性物質層の光学的等方性を示す断面図であり、(b)は電圧印加時に発現する誘電性物質層の光学的異方性を示す断面図である。 図12の表示素子に対する比較のための表示素子の、電圧印加時に発現する誘電性物質層の光学的異方性を示す断面図である。 図12の表示素子に対する比較のための表示素子の、電圧印加時に発現する誘電性物質層の光学的異方性を示す断面図である。 図12の表示素子に用いる、コレステリック相を呈する液晶性物質の集合体を示す斜視図である。 図12の表示素子の構成を示す断面図であり、(a)は電圧印加時に第一電極および第二電極上でコレステリック相を呈する液晶性物質の集合体が生じている状態を示す断面図であり、(b)は電圧印加時に第一電極および第二電極上で液晶分子が同一方向に配向した状態を示す断面図である。
符号の説明
1 誘電性物質層
2 配向膜
3 配向膜
4 櫛歯状電極(第一電極、第二電極)
4a 櫛歯状電極(第一電極、電極対)
4b 櫛歯状電極(第二電極、電極対)
5 平板状電極(第三電極)
6 透光性基板(基板)
7 透光性基板(基板)
8 偏光板
9 偏光板
10 ネガ型液晶材料A(液晶性物質)
11 ラビング方向
12 ラビング方向
14 マイクログルーブ(配向膜)
15 マイクログルーブ(配向膜)
22 高分子鎖(配向補助材)
100 表示素子
101 比較用表示素子
102 比較用表示素子
200 表示素子
300 表示素子
301 比較用表示素子
302 比較用表示素子

Claims (21)

  1. 対向する一対の基板と、上記一対の基板に挟持される誘電性物質層と、上記誘電性物質層内に電界を生じさせる電界印加手段手段とを備えた表示素子において、
    上記誘電性物質層に、電圧無印加時には光学的等方性を示し、電圧を印加することによって光学的異方性が発現する液晶性物質を含み、
    上記電界印加手段は、上記基板面に垂直な方向の電気力線を含む第一電界、および、上記基板面に平行な方向の電気力線を含む第二電界を生じさせることを特徴とする表示素子。
  2. 上記電界印加手段は、一方の基板に形成された第一電極および第二電極と、他方の基板に形成された第三電極とからなり、
    上記第一電極と第三電極との間、および、上記第二電極と第三電極との間に電圧を印加することによって、上記第一電界を生じさせ、
    上記第一電極と第二電極との間に電圧を印加することによって上記第二電界を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の表示素子。
  3. 上記第一電極および上記第二電極は、それぞれ、互いに平行な複数の電極対を有し、
    上記第一電極における上記電極対と、上記第二電極における上記電極対とが、上記基板の基板面に平行な方向に、互いに平行となるように、交互に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の表示素子。
  4. 上記第一電極および第二電極における上記各電極対は、一方向に延在する形状からなることを特徴とする請求項3に記載の表示素子。
  5. 上記第一電極および第二電極における上記各電極対は、上記基板面の法線方向から見て、ジグザグ形状を有することを特徴とする請求項3に記載の表示素子。
  6. 上記第三電極は、上記第一電極および上記第二電極における電位の平均の電位を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の表示素子。
  7. 上記一方の基板およびその基板に形成された第一電極および第二電極と、他方の基板およびその基板に形成された第三電極と、の少なくとも一方が、可視光に対して透明であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の表示素子。
  8. 上記液晶性物質は、分子の短軸方向の誘電率が長軸方向の誘電率より大きい液晶分子からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示素子。
  9. 上記液晶性物質は、ネマティック相とアイソトロピック相とに相転移する液晶性物質であり、
    上記液晶性物質がアイソトロピック相を呈することによって、上記電圧無印加時における光学的等方性を示すことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示素子。
  10. 上記液晶性物質を構成する分子は、
    電圧無印加時に光学波長以下の秩序構造を有し、電圧を印加することによって上記秩序構造が変化して光学的異方性を示すことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示装置。
  11. 上記基板の少なくとも一方と、上記誘電性物質層との間に、上記誘電性物質層に含まれる液晶性物質の液晶分子を、上記第一電界および第二電界に概垂直な方向に配向させる配向膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の表示素子。
  12. 上記配向膜は、上記液晶分子を、上記第一電界および第二電界に概垂直な方向に配向させるためのラビング処理が施されていることを特徴とする請求項11に記載の表示素子。
  13. 上記配向膜は、上記液晶分子を、上記第一電界および第二電界に概垂直な方向に配向させるための多数の溝が形成されてなることを特徴とする請求項11に記載の表示素子。
  14. 上記多数の溝は、上記第一電極および第二電極における上記各電極対と平行な方向に延在する形状からなることを特徴とする請求項3〜13のいずれか1項に記載の表示素子。
  15. 上記第一電極および第二電極における上記各電極対が、上記基板面の法線方向から見て、ジグザグ形状を有する場合、
    上記多数の溝は、上記基板面の法線方向から見て、上記第一電極および第二電極における上記各電極対と平行な方向にジグザグに延在する形状からなることを特徴とする請求項14に記載の表示素子。
  16. 上記誘電性物質層に、上記光学的異方性の発現を促進させるための配向補助材が形成されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に表示素子。
  17. 上記配向補助材は鎖状高分子材料、網目状高分子材料、多孔質無機材料、水素結合体のいずれかからなることを特徴とする請求項16に記載の表示素子。
  18. 上記誘電性物質層に、カイラル剤が添加されていることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の表示素子。
  19. 上記誘電性物質層に封入する液晶性物質が、カイラル物質であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の表示素子。
  20. 上記誘電性物質層に封入する液晶性物質は、電界強度の2次に比例して屈折率が変化することを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の表示素子。
  21. 請求項1〜20のいずれか1項に記載の表示素子を具備していることを特徴とする表示装置。
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