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JP2005288214A - 硬化膜製造方法 - Google Patents

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JP2005288214A
JP2005288214A JP2004103039A JP2004103039A JP2005288214A JP 2005288214 A JP2005288214 A JP 2005288214A JP 2004103039 A JP2004103039 A JP 2004103039A JP 2004103039 A JP2004103039 A JP 2004103039A JP 2005288214 A JP2005288214 A JP 2005288214A
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Isao Tabayashi
勲 田林
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

【課題】 光、熱、電気等に対する物性が異方性を有する硬化膜であって、その特性を利用して膜単独で、あるいは基体上に硬化膜を形成して、光拡散膜、光反射防止膜、熱伝導性膜、電気伝導性膜、電気伝導性フィルムあるいは偏光素子としての応用が可能で、かつ表面の耐摩擦性・耐擦過性に優れた硬化膜の製造方法を提供する。
【解決手段】 2種以上の分散微粒子を含有する塗布液を支持体上に塗布して塗膜を形成し、前記塗膜の硬化前に該塗膜に電場または磁場を印加することにより、前記分散微粒子が種類毎に異なった局在化状態または配向状態を維持しながら、前記塗膜を硬化する。
少なくとも1種の分散微粒子が、平均アスペクト比2〜1000の形状異方性を有しており、前記硬化膜中において配向し、さらに別の種類分散微粒子が、平均アスペクト比2未満の球状または不定形を有しており、前記硬化膜表面に局在化している状態で該塗膜を硬化させることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は光、熱、電気等に対する物性が異方性を有する硬化膜の形成方法、製造方法に関し、その異方性を利用して各産業分野において、光拡散フィルム、光拡散膜、熱伝導性フィルム、熱伝導性膜、電気伝導性フィルム、電気伝導性膜、あるいは偏光素子等として応用が可能であり、さらに優れた機械強度を有するため実用性の高い硬化膜の形成方法、製造方法に関する。
従来光、熱、電気等に対する物性の異方性を有する塗膜、フィルムとしては、光学結晶や通常の光学異方性フィルムのように、それ自身の結晶構造の方向性や、分子構造の光学的異方性に起因したものが多く、その種類や特性に限りがあった。このため特に可撓性に富んで大面積の加工、使用の可能な樹脂塗膜、樹脂フィルムの分野においては、上記異方性を有した材料に対して想定される利用分野が非常に多いにもかかわらず、適合した素材の提供が簡単ではなかった。さらにこれら樹脂塗膜、樹脂フィルムには共通した問題として、表面硬度が低く、耐久性、耐摩耗性が低いという実使用上の欠点があり、これら問題を同時に解決した材料の提供が求められていた。
例えば光、熱、電気等に対する物性の異方性を有する塗膜、フィルムとしては、従来、液晶テレビ、携帯端末、パソコンのディスプレイ等の液晶を使用する表示装置では、その表示画像を見やすくするために、液晶表示パネルの後方に照明パネルを配置し、この照明パネルからの光を液晶表示パネルの後方から前方に透光させて表示を行っている。ここで使用されるバックライトは、液晶表示画面全体に均一に照射させることが求められており、一般に、光を均一に伝播・拡散させることの出来る導光板を使用して液晶表示素子画面を均一に照射しているが、導光板の裏側には反射板が配置されて液晶画面への光量を増加させ、導光版の光射出面には光射出面から出る光を拡散させ、照射面の輝度を均一にする光拡散フィルム・シートが使用されている。
光拡散フィルム・シートとしては、通常メタクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等に無機系や有機系の光拡散材を含有したシートが使用されており、液晶表示素子の他にも、照明器具のカバー、看板、導光板、グレージング、透過型スクリーン等に適用されている。
これら光拡散フィルム、シート等は、光源からの光を光量を落とすことなく表示面表面に導くことが必要で、拡散光が均一で、視野角依存性がなく、かつより高輝度な性能が求められている。
しかし、従来の光拡散フィルム、シートに使用されている不定形または球状の微粒子では、入射光が光拡散フィルム、シートの光拡散層を通過するにあたり、粒子に反射した光が広範な方向に反射し、それが繰り返される結果、再度入射光側に戻ってしまい、出射光側から射出されない散乱光成分の存在や拡散材による吸収等により、透過光強度が低下する問題を有していた。
光反射フィルムとしては外光の写り込みを防ぐAG(アンチグレア)フィルムに無機粒子を入れたアクリル樹脂が用いられているが、光拡散フィルムの場合と同様で、再度入射光側に戻る光成分による反射光の影響が避けられなかった。
一方、熱伝導異方性はコンピュータ等の性能向上に伴い、デバイスの放熱効果を高める必要があり、液晶ポリマーの配向による検討が行われている。しかしながら従来の方法では十分な放熱効果が得られなかった。
これらの諸問題を解決する手段として、微粒子の配向が幾つか提案されている。例えば略回転楕円形状を有する拡散粒子が、略一軸方向に揃った状態で一定の屈折率差を有する透光性樹脂中に一定濃度含有されている拡散シート(特許文献1参照)では、球状拡散粒子を含有した樹脂シートを延伸することにより、延伸変形に追随してラグビーボール状の一軸回転楕円形状に変形され、この拡散粒子の長軸がシートに対し水平方向となる。このため、得られた拡散シートの異方拡散性は良好であるが、拡散粒子の長軸方向が拡散シートの膜厚方向に配向されているわけではないので、透過スクリーンとしてのゲイン低下を生じやすい。
また、光拡散剤を分散して含む透明樹脂体からなり、光拡散剤が平均粒子径50μm以下であり、かつアスペクト比5〜300であるシリカの板状粒子である光拡散シート(特許文献2参照)や入射光の散乱特性を特定した異方性拡散フィルム(特許文献3参照)において開示されているシート成型方法においても、いずれも成型時に光拡散剤の長軸方向がシート・フィルムの膜表面と水平方向に配向していて、特に成型過程にフィルムの延伸工程を含む場合には、一軸方向に均一に配向するため光拡散性が大きいものの透過光量が低下する。
このように樹脂膜、樹脂フィルムに対し異方性を付与する試みが成されているがまだ充分な特性を得るには至っていない。
一方、樹脂膜や樹脂フィルムの機械強度向上は様々な産業分野で要求されており、一般的に表面が傷つきやすいポリマー表面の耐摩擦性・耐擦過性を向上させるために、硬度の高い保護フィルムのラミネート、化学的な処理方法としてカップリング剤・多層重合・ハードコート剤塗装等が、また物理的な処理としてプラズマ処理・メカノケミカル処理等が知られている。
これらのうち硬度の高い保護フィルムのラミネートは基体との接着の問題や、反り、皺等様々な問題を有している。
また、シリコーン系、フッ素系、多官能アクリル系(ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等)モノマー・オリゴマー・ポリマーなどの硬化液を塗布後、熱又は活性エネルギー線を用いて重合硬化し耐摩擦性・耐擦過性の向上を行う方法は、特に光ディスクや光学フィルム等の光学材料で、光学特性・平坦性・耐候性等を低下させずにコーティング膜表面の耐摩擦性・耐擦過性等の耐久性を向上させる手段として、前述のうち、モノマー・オリゴマー等からなる紫外線硬化性塗料を塗布後、紫外線硬化させる方法が一般的に知られている。しかしこれら方法では有機材料としての耐久性の限界があった。
さらに耐久性を向上させる手段としてアルコキシシランを組み合わせた有機無機ハイブリッド膜を用いる方法は、コーティング膜全体を硬化したときの収縮による変形の問題が避けられなかった。
一方、高耐圧・高硬度が得られるシリコンまたはシリコン化合物薄膜を成膜する方法として、CVD法を用いた蒸着方法が広く用いられている。しかし、CVD法では成膜レートが大きいといわゆるフレークという膜の異常成長が生じたり、他の構造膜にダメージを与える等の問題が生じるため量産性に劣っていた。量産性に優れた方法として高密度プラズマガンを用いて材料を蒸発させ、基板上にシリコンまたはシリコン化合物薄膜を成膜するシリコンまたはシリコン化合物薄膜の製造方法が提案されているが、湿式のコーティング法と比較して量産性が劣り、光学材料への応用にはフィルムやディスクの反りを考慮した設計・制御が必要であった(特許文献4参照)。
上記のような耐久性、耐摩耗性の問題を解決する方法として、有機高分子成分と金属酸化物成分からなる複合体で、複合体の表面から深さ方向に、金属酸化成分の複合体中での含有率が連続的に変化する成分傾斜構造を有する、有機高分子と金属酸化物成分との成分傾斜複合体(特許文献5参照)が提案されている。また、金属アルコキシ基を有する有機重合体からゾル−ゲル法によって作製した湿潤ゲル又は溶剤に溶解する有機重合体と、金属酸化物、金属アルコキシド化合物又は金属アルコキシド化合物の部分的加水分解物及び重縮合物とを接触させ、相互にまたは一方から他方へ拡散させる工程を用いることによって、有機重合体成分および/または金属酸化物成分の濃度が連続的に変化した成分傾斜構造を有する有機−無機成分傾斜複合材料を製造する方法(特許文献6参照)が提案されている。
さらに、有機高分子化合物と金属系化合物との化学結合を含有する有機−無機複合材料であって、材料中の金属系化合物の含有率が、材料の表面から深さ方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有することを特徴とする有機−無機複合傾斜材料(特許文献3参照)が提案されており、また、無機高分子化合物の存在下に、有機高分子鎖を形成し得る官能基をもつ少なくとも1種の有機化合物を重合させてなる有機−無機複合物に希釈溶媒を加えて得た溶液を基材上に塗工して形成された薄膜からなり、該薄膜中の無機成分の含有率が、薄膜の表面から深さ方向に連続的に変化する成分傾斜構造を有することを特徴とする有機−無機複合傾斜膜(特許文献7参照)が提案されている。
しかし、これらの公知文献で開示されている技術では無機成分の傾斜構造は取りうるものの、膜表面への無機成分の局在化が不十分で、特に膜の表面硬度をより高くするには限界があり、かつ処理時間が大幅に必要であった。
このように樹脂膜、樹脂フィルム中の分散粒子を配向させ、光、電気、熱等に対する物理特性に異方性を持たせようとする試み、あるいは樹脂組成に傾斜を持たせて樹脂塗膜や樹脂フィルムの表面硬度を向上させようとする試みがなされてはいるが、これら試みはいずれも上述の実使用上の問題点を解決するには至っていない。
したがって上記特性の2つ以上を同時に達成しうる技術についても、未だ実用性の高い製造方法に利用できるものは開発されていない。特に樹脂塗膜や樹脂フィルムに異方性を与えて各種機能性を付与しつつ、同時に表面硬度、耐摩耗性の低さという樹脂塗膜や樹脂フィルムに特有の実用上の問題点にも解決を与える方法が求められていたが、未だ提示されていなかった。
特開平2001−311807号公報 特開平2002−258011号公報 特開平2003−050306号公報 特開平11−6054号公報 特開2000−248065号公報 特開2000−336281号公報 特開2002−275284号公報
本発明の目的は、光、熱、電気等の物性に異方性を有し、加えて耐摩擦性・耐擦過性を付与された硬化膜の安価な形成方法、製造方法を提供することである。また本発明の別の目的は、樹脂塗膜、樹脂フィルム中の分散粒子の配向と局在化を行うことにより、高輝度の光拡散、戻り光の少ない光反射防止、優れた放熱効果、良好な電気伝導性等のいずれかの特性を備え、かつ優れた表面硬度と耐摩耗性を備えた実用的な機能性樹脂塗膜、樹脂フィルム、樹脂シート等の形成、製造を可能にすることである。
さらに本発明の別の目的は上記各種特性の2つ以上を備えた機能性樹脂塗膜、樹脂フィルム、樹脂シートの製造を可能にするための技術を提供することである。
本発明は、2種以上の分散微粒子を含有する塗布液を基体上に塗布して塗膜を形成し、前記塗膜の硬化前に該塗膜に電場または磁界を印加することにより、前記分散微粒子が種類毎に異なった分布状態または配向状態を維持しながら、前記塗膜を硬化することを特徴とする硬化膜製造方法を提供する。
すなわち本発明の硬化膜製造方法は以下の工程を有するものである。
(1)2種以上の分散微粒子を含有する塗布液を基体上に塗布して塗膜を形成する工程と、
(2)前記塗膜の硬化前に該塗膜に電場または磁界を印加することにより、前記分散微粒子が種類毎に異なった分布状態または配向状態を維持させる工程と、
(3)前記分散微粒子が種類毎に異なった分布状態または配向状態を維持しながら、前記塗膜を硬化する工程
本発明の硬化膜製造方法においては、2種類以上の分散微粒子を含有する塗布液より成る塗膜に電界または磁界を印加して、該分散微粒子の移動または配向を同時に行うため、分散微粒子の種類を適宜選択することにより、異なった物性に基づく機能を同時に達成することができる。さらにそれぞれの分散微粒子の粒径、形状等を調整することにより、また電界と磁界を分散微粒子に合わせて使い分けることによって、2種以上の各分散微粒子の硬化塗膜内での分布状況や、形状異方性のある分散微粒子の場合は配向状況を調整することができるため、多様な配向性、多様な粒子分布特性に基づく、塗膜の異方性や物性の傾斜特性を同時に実現することが可能である。特に形状異方性を有する分散微粒子と、球状または不定形粒子とを含む塗布液により形成された塗膜に電場を与えると、形状異方性を有する分散微粒子が主に長軸方向を電場方向と平行にして配向するのに対し、球状または不定形粒子は塗膜の表面近くに局在化させることができ、分散微粒子の配向による各種物性の異方性の付与と、分散微粒子の局在化による表面硬度の向上を同時に実現することができる。
したがって、形状異方性を有する分散微粒子と球形または不定形の分散微粒子を同時に含有する塗膜に、電界または磁界を印加して、形成された配向状態と分布状態を維持しつつ塗膜を硬化させれば、硬化塗膜中に形状異方性を有する分散粒子の配向と球状または不定形の分散粒子の局在化した硬化膜、フィルム、シートを形成することができ、光、熱、電気等の物性に対する異方性に加えて、耐摩擦性・耐擦過性を有する耐久性に優れた硬化塗膜を作製することができる。
本発明の硬化膜製造方法において使用する塗布液に含有される分散微粒子は、少なくとも1種の分散微粒子が、平均アスペクト比2〜1000の形状異方性を有するものであると、該分散微粒子の配向による異方性を塗膜に付与することができ好ましい。
さらに塗布液に含有される別の種類の分散微粒子が平均アスペクト比2未満の球状、または不定形を有していると、該分散微粒子の塗膜表面への局在化により塗膜表面硬度が向上し、塗膜の耐久性、耐摩耗性が改良されるので好ましい。
本発明で使用する塗布液に含有される分散微粒子は、該分散微粒子を移動して局在化もしくは、配向させる外力が電界であって、主に配向効果を利用する場合は、形状異方性を有する粒子を用いることが好ましい。形状異方性を有する粒子としては、電場の下で誘電分極を起こすという点で一般的に絶縁体は誘電体となりうるので絶縁性の形状異方性粒子であれば利用可能である。また、炭素繊維、針状アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、ATOで被覆された酸化チタン、針状インジウム−スズ酸化物(ITO)のような導電性を有する形状異方性粒子も電場の下で静電誘導による電荷を安定して生じ得る場合には利用可能であって、特に熱伝導異方性や電気伝導異方性等の機能を付与するときには好適に用いられるがこれらに限定されるものではない。
前述の形状異方性粒子の長軸の平均長さは0.1μm〜500μm、光学的な目的では0.1μm〜10μmが、平均アスペクト比は2〜1000、特に5〜500が好ましいが、必ずしも限定されるものではない。また、微粒子の形状も特に限定されるものではない。また、塗膜の厚み以上の長さを有する形状異方性粒子にあっては塗布面と微粒子の長軸方向の角度に制限が生じるが、本発明において利用可能である。
誘電体である形状異方性粒子としては、例えば、ロッシェル塩、リン酸二水素カリウム、チタン酸バリウム・チタン酸カリウム・チタン酸ストロンチウム・チタン酸カルシウム等のチタン酸塩、ニオブ酸リチウム・ニオブ酸カリウム等のニオブ酸塩、硫酸グアニジンアルミニウム、SrBiTa・BiTi12・SrBiNb等のBi層状ペロブスカイト構造化合物、SrNaNb15等のタングステンブロンズ型化合物等の強誘電体、炭酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、マイカ等の無機の誘電体、アラミド繊維、全芳香族性ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維等の無機あるいは有機繊維があり、特に上記の形状異方性を有する材料のうち想定される使用波長に対して透明なもの、または長軸長が想定される使用波長の1/2以下、使用波長に幅のあるものについては最短波長の1/2以下のものが光拡散や光反射防止の機能を付与するための分散微粒子として好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。また、分散微粒子を光学材料に用いる場合の分散微粒子の屈折率は、透明性を確保するため、塗膜樹脂の屈折率との差が小さい事が望ましい。これら形状異方性を有する粒子の中から個々の用途に適した物性を与える粒子(用途が光拡散の場合は光拡散剤)を選んで使用することができる。
分散微粒子を移動して局在化もしくは、配向させる外力が電界であって、主に密度分布に勾配を形成する硬化局在化効果を利用する場合は、球状または他の平均アスペクト比2未満の不定形の分散粒子を用いることができる。具体的には架橋樹脂粒子、金属、金属酸化物、金属塩等特に制限はないが、塗膜表面に局在化したときの表面硬度及び透明性を考慮すると、シリカ、アルミナ、セリア、ジルコニア、酸化チタン等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、タルク、ケイ酸カルシウム、ガラス等のケイ酸塩、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム等の金属チタン酸塩が好ましい。
金属酸化物を分散させるには、一般的に知られている分散手法、即ち、金属酸化物の種類に応じて分散剤を選択して、他の塗布液組成と共に公知の分散機を用いて微分散を行えばよい。金属酸化物の分散以外に、アルコキシシランのような金属アルコキシドを他の塗布液組成中でゲル化し有機無機ハイブリッド粒子としてもよい。また、予め特許文献等に示された手段により、無機成分粒子の成分傾斜膜としておいても良い。
分散微粒子を配向もしくは局在化させるための外力が磁界の場合、分散微粒子としては磁性粒子を用いる。主に配向効果を利用する場合は磁性粒子は、外力に電界を用いる場合と同様に形状異方性を有することが好ましく、同様のアスペクト比を有することが好ましい。具体的な磁性粒子としてはγ−Fe2O3、Co被着γ−Fe2O3、Fe3O4、Co被着Fe3O4、CrO2等の形状異方性を有する磁性微粒子を使用することができる。また主に局在化効果を利用する場合はバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等、形状異方性を有さない磁性粒子を特に制限無く使用することができる。
本発明の硬化膜製造方法においては上記の分散微粒子のうちから機能に応じて少なくとも2種以上を選択し、電界または磁界もしくはその両方を用いて硬化膜中にこれら2種以上の分散微粒子を配向、分布または局在化させる。
本発明においては、塗膜中の分散微粒子の配向、移動による密度勾配の形成または局在化は電界または磁界による外力を分散微粒子に与えることで行われる。
すなわち硬化前の塗膜中の分散微粒子に電界を印加すると分散微粒子の表面電位に応じて、陽極側または陰極側への移動が電気泳動によって行われる。一方磁性を有する分散微粒子に磁界を印加すると分散微粒子は磁界に沿って近接する磁極側へと移動する。
分散微粒子の未硬化塗膜表面への局在化または濃度勾配の形成は、電気的または磁気的な泳動速度と泳動時間で制御可能であり、例えば局在化にしても100%表面に移動させることも出来るが、完全には局在化させず塗膜中での粒子密度に傾斜構造を形成させることもできる。そのためには電界もしくは磁界の印加時間を短くして、分散微粒子の移動途中で塗膜を硬化させてもよい。あるいは未硬化塗膜表面への分散微粒子の局在化後に、一定の時間をおいて局在化した分散微粒子を一部拡散させ、塗膜を硬化することによっても粒子密度の傾斜構造を有する塗膜を得ることが出来る。
このような分散微粒子の密度の傾斜構造により、分散微粒子の局在化による異質の2層構造に伴う機械的・光学的な歪みを避けることが可能となり、分散粒子濃度が低い塗膜内部での柔軟性と、分散粒子濃度が高い表面部分での硬度を合わせ持つ塗膜あるいはフィルムを形成することが可能となる。
これに対して分散微粒子が形状異方性を有する場合は、電界を印加した場合泳動現象も生じるが、誘電分極あるいは静電誘導により、例えば分散微粒子が全体として電気的に中性のときは、その一方に電荷が誘起され、該電荷の誘起された場所から位置的に最も遠い位置に反対極性の電荷が誘起される。反対符号を持つ電荷の反発力によりこれら電荷は形状異方性を有する分散粒子の両端に局在して形成されるが、電場によって分散粒子の長軸方向が電場方向と平行となるような回転力を受ける。同様の現象は一般に磁化率を有する形状異方性粒子を含む塗膜に磁界を印可することでも得ることが可能である。このように、電界と磁界とそれぞれに感応する粒子を組み合わせて、電界、磁界の強度や印加時間を調整することにより各分散微粒子の配向及び泳動を制御することが可能である。
形状異方性を有する微粒子と、球状または不定形粒子とを同時に含有する塗布液を塗布してなる塗膜に電場を印加すると、塗工直後はランダムな方向に向いていた異方性粒子は、比較的短時間に塗膜の膜厚方向に対して水平となる一方で、競争的に粒子帯電極性と反対極に泳動する。この時、形状異方性を有する微粒子は分散媒である塗布液の液成分の粘性抵抗によって、電場方向に粒子の回転を生じて泳動速度は低下する。一方、球状または不定形粒子は粒子帯電極性と反対極に泳動のみを生じて形状異方性を有する微粒子と比較して高い移動度を示す。結果として塗膜表面近傍に球状または不定形粒子濃度の高い粒子層が形成され、塗膜内部には形状異方性を有する粒子が塗膜面に対して縦位置に配向した異方性層を形成する。
このように、粒子径、粒子の帯電極性・帯電量・誘電率・電気抵抗、塗膜液成分の粘度・電気抵抗・誘電率等複雑な因子によって配向、局在化現象のうける影響の詳細については必ずしも解明されていないが、形状異方性を有する分散微粒子の配向による異方性を有し、または不定形粒子の塗膜表面への局在化による塗膜表面硬度の向上した塗膜が得られる。
さらに塗膜中の分散粒子を配向または移動、局在化するための方法について記載する。
磁界中で形状異方性粒子の配向と球状または不定形粒子の塗膜表面への泳動を行う場合は、異方性を有する磁性微粒子を含む塗布液を基体に塗布し、得られた塗膜に対し膜厚方向の磁界を加えて前記磁性微粒子の長軸方向を膜厚方向に配向させるか、不定形の磁性粒子を磁極方向に移動させた後、該塗膜を硬化させる。磁界を用いる方法では永久磁石による静磁界の利用が可能であってその発生手段、磁界の方向制御が比較的容易であり、膜厚と直交する面内の一定方向に磁性微粒子を配向させることも可能である。しかし、通常に使用される磁性体の多くは有色不透明であり、光学材料分野での応用については大きな制約となっている。しかし超電導磁石を用いた強磁界下では磁化率が極めて小さい形状異方性粒子であって配向可能であって、今後の技術開発の進展次第では磁界による配向方法、が実用性を得る可能性が充分ある。
電界中で形状異方性粒子の配向と球状または不定形粒子の塗膜表面への泳動を行う場合は、塗膜を形成した基体の塗膜を挟んで反対側に対向電極を当てて、塗膜上に設置する配向・泳動電極によって基体ごと塗膜を挟み込んで電場をかけても良いが、基体と塗膜の間に導電層、例えばITOのような透明導電層を設けて対向電極としても良く、基体が導電体である場合は基体を対向電極として用いることも出来る。このような電極配置にすれば電極間隔が狭まって高い電場をかけることができる。塗膜表面側の配向・泳動電極は、塗膜をロールコート法で形成するときは、塗工ロールを配向・泳動電極として兼用してもよい(図4参照)。また、配向・泳動電極の替わりに塗布液の塗工直後で、乾燥もしくは固化前に、塗膜表面にコロナ帯電・イオンフロー帯電を行って、この電荷による電界によって配向及び泳動を行っても良い(図1、図2、図3参照)。電界中で形状異方性粒子の配向と球状または不定形粒子の泳動において配向・泳動速度を速める場合には塗布液の粘度は低く、電気抵抗値は高いことが望ましいが、配向・泳動条件(電圧・時間)によって適宜材料の組合せを選択し最適物性とすればよい。分散微粒子の配向・泳動は電場をなくすと直ちにブラウン運動によって乱れ始める。このため特に硬化手段に活性エネルギー線を用いるときは、電極の少なくとも一方は、電場を印加しつつ活性エネルギー線を照射できるように活性エネルギー線透過性の材質で形成されていることが好ましい。
形状異方性粒子の分極を補助したり、球状粒子または不定形粒子の帯電を促進するための電荷制御剤、粒子の分散安定剤などの助剤として、通常、電子写真用静電荷現像用液体現像剤に用いられるものから選択して使用してもよく、例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、オレイン酸コバルト、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸コバルト、アルミニウムオキサイドアシレートの多量体、ナフテン酸、オクテン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪族の金属塩、スルホコハク酸エステルの金属塩、油溶性スルホン酸金属塩、リン酸エステル金属塩、アビエチン酸もしくは水素添加アビチン酸の金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸Ca塩類、芳香族カルボン酸あるいはスルホン酸の金属塩類、ポリオキシエチル化アルキルアミンのような非イオン性界面活性剤、レシチン、アマニ油等の油脂類、ポリビニルピロリドン、多価アルコールの有機酸エステル、リン酸エステル系界面活性剤、スルホン酸樹脂、アミノ酸誘導体、マレイン酸ハーフアミド成分を含む共重合体、4級化アミンポリマーなどが知られている。
本発明で用いる塗布液の組成としては、塗膜形成性成分として分散微粒子の他に、塗膜形成性樹脂、またはモノマー、またはオリゴマーを含有することが好ましく、またそれらを溶解する溶剤を含有していてもよい。
塗布液を基体に塗工し、粒子の配向・泳動後に硬化膜を形成する方法としては溶剤の蒸発でもよく、この場合は通常塗膜形成に用いられる種々の塗膜形成性樹脂と溶剤との組み合わせを用いることができる。あるいは熱溶融した樹脂の冷却による硬化をもちいることができる。あるいはまた塗膜形成性成分として金属アルコキシドを用いた塗布液において、加水分解によるゲル化を用いることもできる。
前記塗布液を塗布する基体が、プラスチック基板・フィルムのような溶剤や加熱等による影響を受けやすい場合には、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物よりなる塗布液で、該塗布液が感応する活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、例えば光学材料では光学特性に影響を及ぼすことなく瞬時に優れた硬化塗膜を得ることができるため好ましい。
活性エネルギー線としては、電子線などの粒子線、X線や紫外線等の電磁波が利用可能であるが、紫外線が取扱・コスト等で好適である。この時、塗布液の組成は紫外線硬化性化合物を含有する紫外線硬化性組成物よりなる塗布液であれば良い。
紫外線硬化性組成物よりなる塗布液の紫外線硬化性を与える構成成分としては、目的に応じて、光ラジカル重合性成分や、光イオン重合性成分等を適宜選択して組み合わせて用いればよいが、一例として多官能アクリル系モノマー・オリゴマーがある。具体的には(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー、分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー、(メタ)アクリロイル基を有する1〜2官能モノマーである。
(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーの例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス((メタ)アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有する1〜2官能モノマーの例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、等の1官能(メタ)アクリレートモノマー;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1、9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1、4−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ビス−(2−メタアクリロイルオキシエチル)フタレート等の2官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
これら紫外線硬化性成分の多くは、紫外線以外の活性エネルギー線の硬化性成分としても用いることができる。
その他成分として、必要に応じて、フィルム等の厚みが薄い基板の上に保護膜を着ける場合には、紫外線硬化性組成物中に、高分子量のオリゴマー成分や希釈用有機溶剤を併用しても良い。また紫外線照射によって塗膜の硬化を行う場合には、光重合開始剤を用いても良い。
光重合開始剤の例としては、ベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2、2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2、4、6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド等を挙げることができる。これらの中では、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが、透明性、硬化性の観点から、特に好ましい。
また、紫外線硬化性組成物を濡れにくい表面を持つ基体に塗布する場合には、良好な塗布品質の保護膜を得るために、界面活性剤、塗料添加剤の添加を行う事が出来る。例えば、フッ素系ノニオン界面活性剤、変性シリコーン系界面活性剤、ビニル系またはアクリル系重合体塗料添加剤等を紫外線硬化性組成物に単独或いは混合して添加することにより、基体との濡れや硬化後の表面平滑性を改良する。また帯電防止剤を添加すると、ホコリの吸着を抑制できる。
さらに金属との接着性増強剤として、例えば、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート、また、エチレンオキシド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸基ジ(メタ)アクリレート等のリン酸基を分子内に有する(メタ)アクリレートを添加することも出来る。
更にまた、紫外線吸収剤、光安定剤および酸化防止剤などの各種耐久性向上剤、紫外線硬化性組成物の塗布適性を変えたり、或いは保護膜表面の凸凹形成等のために無機系又は有機系フィラー類、着色のためには着色剤などを、それぞれ添加することが出来る。
上記種々の成分を含む塗布液を塗布する基体は、特に形態上、材質上の制約は無く、光拡散性や、光反射防止性、熱伝導性、電気伝導性など種々の機能の付与が必要とされるフィルムやシート等、薄膜状の基体の他に、光学素子、電子部品など製品そのものも基体として用いることができる。
形状異方性を有する粒子と、不定形または球形の粒子を含有した塗布液を使用する本発明の形成方法、製造方法を用いることにより、耐摩擦性・耐擦過性に優れた高輝度の光拡散シートや、反射戻り光の少ない反射防止板あるいは放熱フィルムを作製することができる。
本発明の硬化膜製造方法により光拡散シートを作製する場合には、形状異方性粒子の長軸方向を膜厚方向に配向させることにより行うことができる。光拡散層の入射側から入った光は、塗膜の膜厚方向に配向された光拡散剤によって透過側方向の成分を持つ方向に反射される。このため反射光は、不定形粒子や球状粒子が塗膜中に分散されている場合や、あるいは形状異方性粒子が分散されていても長軸方向が膜厚方向に配向されていない場合の反射光に比べて、入射側に戻ってくることが少なく極めて効率よく光拡散層の透過側に抜けることが可能になる。加えて球状または不定形粒子が表面に局在化した内部粒子層が形成されることにより、耐摩擦性・耐擦過性のみならず、光学的にも粒子配向層を抜けた光をさらに拡散する効果が増大する。
本発明の硬化膜製造方法により光反射防止フィルム・シートを作製する場合には、前述光拡散フィルムと同様、耐摩擦性・耐擦過性に優れ、かつ再度入射光側に戻る光成分による反射光が少なくなり、従来の無機粒子を入れたアクリル樹脂からなるAG(アンイグレア)フィルムと比較して大幅な反射防止効果が得られる。加えて球状または不定形粒子が表面に局在化した内部粒子層が形成されることにより、耐摩擦性・耐擦過性のみならず、内部粒子層の厚みを制御することによって光学的にも反射光の位相を制御して優れたAG特性を得ることが可能となる。
本発明の硬化膜製造方法により放熱フィルム・シートを作製する場合には、形状異方性粒子の長軸方向を塗布面に対して膜厚方向に配向させることにより、熱の伝導方向が、フィルム、シート面に対し縦方向に、より効果的な熱伝導異方性を示し、不定形粒子や球状粒子あるいは形状異方性粒子の長軸方向が膜厚方向に配向されていない場合に比べて、極めて効率よく膜厚方向の熱の伝導が可能になる。加えて球状または不定形粒子が表面に局在化した内部粒子層が形成されることにより、耐摩擦性・耐擦過性のみならず、熱的にも粒子配向層を通った熱を表面で放散する効果が増大する。
本発明の硬化膜製造方法により電気伝導性フィルム・シートを作製する場合には、導電性を有する形状異方性粒子の長軸方向を、塗布面に対して膜厚方向に配向させることにより、電気伝導方向が、フィルム・シート面に対し膜厚方向により効果的な電気伝導異方性を示し、不定形粒子や球状粒子あるいは形状異方性粒子の長軸方向が縦方向に配向されていない場合に比べて、極めて効率よく膜厚方向の電気の伝導が可能になる。加えて球状または不定形粒子が表面に局在化した内部粒子層が形成されることにより、耐摩擦性・耐擦過性が増大する。
本発明の形成方法、製造方法で製造される硬化膜中の形状異方性を有する分散微粒子は、その長軸が硬化膜の膜厚方向に配向しているが、該長軸方向は硬化膜表面に対して必ずしも垂直である必要はなく、形状異方性粒子の長軸方向が塗布時に比して、塗布面に対し僅かにでも立っていれば相応の効果が発揮される。特に形状異方性を有する分散微粒子は塗布液の塗布時に塗布方向に沿って塗布面と平行方向に配向することが多く、この状態から配向手段として加える電場や磁界の強度や印加時間に応じて膜厚方向に立ち上がる。このとき塗布面と分散微粒子の長軸方向の角度の平均値は30度以上が好ましく、より好ましくは45度以上である。
但し、分散微粒子濃度が高い場合には隣り合う分散微粒子同士は接触しており、電気伝導異方性や熱伝導異方性のように電子や熱の伝導を利用する場合には、硬化膜表面に対して横方向への伝導を最小限にするために、塗布面と分散微粒子の長軸方向の角度の平均値は45度以上が好ましく、より好ましくは60度以上であり、全ての分散微粒子である必要はないが分散微粒子の一部が硬化膜の表面に出ていることが好ましい。平均角度は例えば硬化膜の断面を光学顕微鏡または電子顕微鏡にて撮影した後、撮影した画像から少なくとも100以上のサンプルを任意に選んで角度を測定し平均することによって求めることができる。
本発明の製造方法で製造される硬化膜は基体上に形成されて、該基体に各種物性を付与する機能性膜として、あるいは薄膜状基体と共に機能性硬化フィルム、機能性硬化シートとして用いられる他、基体を伴わずに硬化フィルム、硬化シートとして用いることもできる。このようなフィルム、シートは、例えば基体として可撓性フィルムを用い、該フィルム上にシリコーンやフッ素系樹脂を塗設したり、ポリテトラフルオロエチレンを蒸着したりして剥離層を形成したのち、その上に形状異方性を有する分散微粒子を配向させた硬化膜を形成し、該硬化膜を剥離することによって作製することができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明の製造方法をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。まず、表1に示す組成からなる無溶剤系紫外線硬化性組成物を作製した。表中の数字は全て質量部を表す。
Figure 2005288214
M−315:トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
TMP3A:トリメチロールプロパントリアクリレート
BP:ベンゾフェノン
DMAEA:N、N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド
FZ−2188:日本ユニカー社製ポリエーテル変性シリコーンオイル
形状異方性粒子1:気相法炭素繊維(昭和電工製VGCF)繊維径150nm、アスペクト比100。
形状異方性粒子2:炭酸ガス化合法で得られた炭酸ストロンチウム結晶。粒径150nmアスペクト比3の微細形状のもの。
疎水性シリカ:日本アエロジル社製アエロジルR972(メタクリルシラン処理シリカ)
(実施例1・比較例1)
(硬化膜作成条件)
表1の実施例1、比較例1の塗料を基板上に膜厚が約5μmとなる様にスピン塗布し、コロナ放電装置に40KVの電圧を印可し塗布膜表面を正帯電させ、コンベア式紫外線硬化装置(入力電力120W/cm)にて、1パス0.75J/cm2となる様にコンベアスピードを調節し、塗膜を硬化した(図1、図2、図3参照)。
(実施例2・比較例2)
図4に概略図を示した本発明の硬化膜の製造方法例を用いて表1の実施例2、比較例2の塗料を基板上に膜厚が約10μmとなる様に塗布し、実施例2では塗工ロールに1KVの正電圧を印可しながら、比較例2では塗工ロールに電圧を印可せずに、直後に設置したコンベア式紫外線硬化装置(入力電力120W/cm)にて、1パス0.75J/cm2となる様にコンベアスピードを調節し、塗膜を硬化した。
作製した硬化膜の特性を以下の評価方法にて測定した。
(塗膜の硬化性)
表面をメタノールで含浸したキムワイプで擦り、表面の白化の有無で、塗膜の硬化を確認した。表中、OKは、硬化膜表面が溶剤に侵されず、白化を生じない場合を表し、NGは、白化が見られた場合を表す。
(鉛筆硬度の評価)
上記と同様(但し、塗料Fの硬化条件は、1パス1.0J/cm2 )にして、透明ガラス基板上に硬化膜を調製し、JIS K−5400に従い、すり傷にて、膜硬度を評価した。
(環状オレフィンフイルムへの接着性評価)
ジェイエスアール社製「アートン」フイルム(188μm厚み)上に紫外線硬化性組成物を塗布して硬化させ、硬化膜の接着性を評価した。接着性の評価は、JIS K−5400に従い、クロスカット−セロテープ(登録商標)剥離試験方法により行った。表中、OKは、硬化膜のフイルムからの剥離が見られなかった場合を表し、NGは剥離が見られた場合を表す。
(熱伝導率)
基板から硬化膜を剥がし、硬化膜を市販の熱伝導率測定計により測定した。
(輝度)
基体側からバックライトを照射したときの目視による輝度の観察を行った。
以上の測定項目の測定結果を表2に示す。
Figure 2005288214
表2の結果から明らかなように、実施例に示す硬化膜はそれぞれ対応する硬化膜に比べて熱伝導率と輝度が改良されている。実施例2の輝度も目視観察上明らかに比較例2の輝度より改善されていた。またこれら実施例1、実施例2においては、形状異方性を有する分散微粒子の硬化膜表面方向への、電気泳動による移動が発生しており、硬化膜表面の硬度が上昇している。
本発明の硬化膜製造方法における塗布液の基体への塗工工程の例を示した説明図である。 本発明の硬化膜製造方法の配向工程の例として、コロナ帯電による分散微粒子の配向工程を示した説明図である。 本発明の硬化膜製造方法における硬化工程の例として、紫外線硬化からなる硬化工程を示した説明図である。 本発明の硬化膜製造方法における配向工程の例として、塗工ロールを配向電極として、支持ロールを対向電極として用いた配向工程を示した説明図である。
符号の説明
1 未硬化塗膜
2 基体
3 コロナ帯電電極
4 紫外線
5 塗工ロール兼配向電極
6 支持ロール兼対向電極
7 粒子の配向した硬化膜(硬化)
8 進行方向

Claims (5)

  1. 2種以上の分散微粒子を含有する塗布液を基体上に塗布して塗膜を形成し、前記塗膜の硬化前に該塗膜に電界または磁界を印加することにより、前記分散微粒子が種類毎に異なった分布状態または配向状態を維持しながら、前記塗膜を硬化することを特徴とする硬化膜製造方法。
  2. 少なくとも1種の前記分散微粒子が、平均アスペクト比2〜1000の形状異方性を有しており、前記硬化膜中において配向している請求項1に記載の硬化膜製造方法。
  3. さらに別の種類の分散微粒子が、平均アスペクト比2未満の球状または不定形を有しており、前記硬化膜表面に局在化している請求項2に記載の硬化膜製造方法。
  4. 前記塗布液により形成した塗膜を硬化する工程が、該塗布液の感応する活性エネルギー線を照射して前記塗布膜を硬化するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化膜製造方法。
  5. 前記塗布液が紫外線硬化性組成物であり、前記活性エネルギー線が紫外線である請求項4に記載の硬化膜製造方法。

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