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JP2011140187A - 積層フィルム、透明導電性積層フィルムおよび電子部品 - Google Patents

積層フィルム、透明導電性積層フィルムおよび電子部品 Download PDF

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JP2011140187A
JP2011140187A JP2010002816A JP2010002816A JP2011140187A JP 2011140187 A JP2011140187 A JP 2011140187A JP 2010002816 A JP2010002816 A JP 2010002816A JP 2010002816 A JP2010002816 A JP 2010002816A JP 2011140187 A JP2011140187 A JP 2011140187A
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inorganic glass
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JP2010002816A
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Yukinori Ikeda
幸紀 池田
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Teijin Ltd
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

【課題】ガスバリア性が高く、温度や湿度による寸法変化や反りが小さく、透明性・低複屈折といったディスプレイ基板として良好な光学特性を有する積層フィルムを提供する。
【解決手段】厚さが5μm〜200μmの無機ガラスフィルムの両面に、高分子からなる厚さが0.01μm〜1μmの接着層、および耐熱性有機高分子からなる厚さが5μm〜200μmの保護層が順次塗布形成された厚さ方向に対称構造を持つ積層フィルムであって、
前記無機ガラスフィルムの厚さと、前記保護層の総厚さの比が0.20〜10、積層フィルムの全光線透過率が85%以上、ヘーズが1%以下、積層フィルムの波長550nmにおける面内位相差(R)が0〜5nmであり、且つ波長550nmにおける厚さ方向の位相差(Rth)が0nm〜50nm
であることを特徴とする、電子部品の基板として適した積層フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は無機ガラスフィルムに有機高分子を保護層として積層して形成した積層フィルムに関する。詳しくはガスバリア性が高く、温度や湿度による寸法変化や反りが小さく、透明性・低複屈折という良好な光学特性を有する積層フィルムに関する。また、本発明はこのような積層フィルムを基材とした透明導電性積層フィルムおよび電子部品に関する。
液晶ディスプレイや有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイなどのディスプレイ基板や、有機EL照明基板、薄膜系太陽電池の透明導電基板について、従来ガラスを基材として使用していたものをプラスチックに置き換えようとする動きが盛んである。これは、ガラスに比してプラスチックが軽量化や柔軟性といった特性に秀でており、携帯性やデザイン自由度といった要求を満たすだけでなく、剛直なガラス基板では不可能であった、Roll to Rollを使用した製造プロセスによる大幅なコストダウンが期待できるためである。
このようなプラスチック基板としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエーテルスルホンからなる基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながらプラスチックからなる基板は、ガラスからなる基板と比較すると、いくつかの課題を抱えている。まず、プラスチック基板は耐熱性が低いという問題があり、このため基板上へのTFT(薄膜トランジスタ)形成や抵抗値の低い透明導電層の形成、あるいは絶縁材による封止など、耐熱性を要求される基板形成プロセスへの対応に課題を抱えている。また、プラスチック基板は一般に気体分子をほとんど透過させないガラス基板と比較してガスバリア性が小さく、発光素子の水や酸素による劣化を防止する必要がある有機ELディスプレイや有機EL照明の基板や、水や酸素に弱いとされる有機半導体を基板内に使用したディスプレイ基板へ適用する際に問題となる。同様に光電変換材料の劣化を防止する必要がある薄膜シリコンや有機半導体の太陽電池の基板としての適用の際にも、ガスバリア性の低いプラスチック基板の場合、通過する水や酸素に起因した寿命の低下が生じる。更に、ガラスやシリコン、配線形成材料(銀や銅、アルミなど)と比べると通常プラスチックは線膨張係数や熱収縮率や吸湿膨張係数が高く、熱や湿度による寸法変化が大きいため、デバイス形成時および形成後の基板の反りや、配線の断線、画素ドットの位置ずれなどの問題が生じるとされる。
これらの課題を同時に解決する方法として、ガラスフィルムと樹脂を複合化する方法が提案されている(特許文献2〜11)。これはガラスの持つガスバリア性や低線膨張係数と、樹脂の持つ柔軟性を同時に実現させうるものとして期待できる。
しかしながら、実際にディスプレイ基板として使用するには更に解決できていない問題がある。例えば特許文献2〜6では、ガラスフィルムとプラスチックフィルムを貼合した積層フィルムが提案されている。しかしながら、プラスチックフィルムはその製造の際に、ディスプレイの表示品質を低下させる原因となる複屈折が生じ易く、またガラスフィルムとの貼合の際に生じる圧着応力により生じるひずみによる複屈折や機械的ひずみによるガラスフィルムの破壊などの問題がある。またガラスフィルムの片面のみにプラスチックフィルムを貼合したものは、ガラスと樹脂との熱膨張係数や吸湿膨張係数の違いから、温度や湿度によってフィルムに反りが生じてしまうという問題がある。
一方、特許文献7ではガラスフィルムにフィラー入りの樹脂を塗工することで、ガラスと樹脂との線膨張係数の違いを低減させ、これにより温度によるフィルムの反り発生を低減させた積層体が提案されている。しかしながら、この手法は特許文献3と同様に、樹脂とフィラーとの界面での光散乱による透明性の低下を防ぐことが難しい。また完全に線膨張係数を合わせることは難しいため、反りを完全に抑制することはできない。よって、実際に基板として使用するには適さない。
特許文献8,9では、2枚の薄いガラスフィルムに樹脂を挟み込んだ構成の積層体が提案されている。この場合、ガラスフィルムが最表面となるためにフィルム自体が物体との接触衝撃にて割れ易いという欠点を有すると同時に、樹脂と比較して弾性率の高いガラスで両面を挟み込んだ構造では積層体として剛性の高いものとなり、柔軟性の観点から好ましい形態とはいえない。
特許文献10,11では、ガラスフィルムの少なくとも一方に樹脂層を直接適用した積層体方法が示されている。ここでは、樹脂層はガラスフィルムの片面でもよいが、仮に片面だけの塗布の場合、樹脂層の適用の際の収縮や、ガラスと樹脂との熱膨張係数や吸水率、熱収縮率の違いにより、積層フィルムに反りが生じてしまうため、実用的に使用することができなかった。
また、ガラスの厚さに対して樹脂層の厚さが十分に厚くない場合、積層フィルムは衝撃に対する強度が十分とは言い難かった。
更に、ポリマー層として使用する樹脂として、熱や吸水による寸法変化が小さく、且つ耐熱性の高いものを選択した場合、通常このような樹脂はガラスとの密着性が悪く、ガラスフィルムに直接適用した場合には容易に剥離を生じてしまうため使用に適さない。これはガラスフィルム表面をコロナ処理などの表面処理を施しても容易には改善できない。一方でガラスとの密着性の良好な樹脂を選択すると、吸水性が高いものか、耐熱性の低いものとなり、これらの樹脂をガラスフィルム上に直接適用すると、ガラスと樹脂の熱膨張や吸湿膨張の違いにより積層フィルムの反りや、層間での応力発生による複屈折の発生、ガラスの割れなどが起こるため、実用には向かないという問題があった。
特開2004−330507号公報 特開2001−113631号公報 特開2002−299041号公報 特開2008−273211号公報 特開2007−010834号公報 特開平4−235527号公報 特開2007−203473号公報 特開平7−043696号公報 特開2008−037094号公報 特表2002−534305号公報 特表2002−542971号公報
本発明の目的は、ガスバリア性が高く、温度や湿度による寸法変化や反りが小さく、透明性・低複屈折といったディスプレイ基板として良好な光学特性を有する積層フィルムを提供することである。また本発明の目的は、このような積層フィルムからなる透明導電性積層フィルムおよび電子部品を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ガラスフィルムをコアとして両面に高分子からなる接着層、および耐熱性有機高分子からなる保護層を厚さ方向に対称構造を持つように順次塗布形成した積層フィルムにより、上記課題を達成することを見出し、下記の本発明に至った。
1.無機ガラスフィルムの両面に、高分子からなる接着層、および耐熱性有機高分子からなる保護層が順次塗布形成された積層フィルムであって、以下の(1)〜(7)
(1)積層フィルムが厚さ方向に対称構造を持つ
(2)無機ガラスフィルムの厚さが5μm〜200μm
(3)接着層の厚さが0.01μm〜1μm
(4)保護層の片面の厚さが5μm〜200μm
(5)前記無機ガラスフィルムの厚さと、前記保護層の総厚さの比が、
0.20 ≦ 無機ガラスフィルムの厚さ(μm)/保護層の総厚さ(μm) ≦ 10
(6)積層フィルムの全光線透過率が85%以上、且つヘーズが1%以下
(7)積層フィルムの波長550nmにおける面内位相差(R)が0〜5nmであり、且つ波長550nmにおける厚さ方向の位相差(Rth)が0nm〜50nm
[Rthは波長550nmにおける光学フィルムのRth=|(n+n)/2−n|×d(式中、n,n,nは光学フィルムの三次元屈折率でそれぞれx軸,y軸,z軸方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である)で計算される値である。]
を同時に具備することを特徴とする、電子部品の基板として適した積層フィルム。
2.前記無機ガラスフィルムの厚さと、前記保護層の総厚さ(両面の合計)の比が、0.50 ≦ 無機ガラスフィルムの厚さ(μm)/保護層の総厚さ(μm) ≦ 2.0である1記載の積層フィルム。
3.前記耐熱性有機高分子が、ガラス転移温度が200℃以上の熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂である1または2に記載の積層フィルム。
4.前記耐熱性有機高分子の波長550nmにおける光弾性係数の絶対値が80×10−12Pa−1以下である請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム
5.前記耐熱性有機高分子の吸水率が1.0%以下である1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
6.前記耐熱性有機高分子の50℃〜150℃の範囲における平均の線膨張係数が0〜100ppm/℃である1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
7.前記耐熱性有機高分子が、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂からなる群より選ばれるいずれかを主成分とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
8.無機ガラスフィルムと保護層との密着性が、碁盤目試験における剥離しなかった碁盤目の数/全碁盤目の数で80%以上である1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
9.1〜8のいずれかに記載の積層フィルムの片面または両面に、更にハードコート層を配した、ハードコート付き積層フィルム。
10.1〜8のいずれかに記載の積層フィルムまたは9記載のハードコート付き積層フィルムの片面または両面に、更に透明導電層を配したことを特徴とする透明導電性積層フィルム。
11.10記載の透明導電性積層フィルムを用いたことを特徴とする電子部品。
本発明によれば、耐熱性が高く、ガスバリア性が高く、温度や湿度による寸法変化や反りが小さく、光学特性の良好な積層フィルムが提供される。また本発明によれば、このような透明積層フィルムからなる透明導電性積層フィルムが提供される。
より具体的には、本発明の積層フィルムおよびそれよりなる透明導電性積層フィルムによれば、透明性が高く、耐熱性が高く、且つ面方向の線膨張係数が低いことによって、フレキシブルディスプレイの基板として使用する場合、TFT形成など耐熱性を要求される基板形成プロセスへの対応が可能となり、また基板形成後の基板の反りや、配線の断線、画素ドットの位置ずれなどの問題が生じにくい。また、本発明の透明積層フィルムおよびそれよりなる透明導電性積層フィルムによれば、ガラス本来のガスバリア性や寸法安定性を有しているため、有機ELディスプレイや有機EL照明、液晶ディスプレイや、太陽電池等の基板として使用した場合、高い耐久性を付与することが可能となる。
本発明の積層フィルムの層構成を説明するための図である。 本発明のハードコート付き積層フィルムの層構成を説明するための図である。 本発明の透明導電性積層フィルムの層構成を説明するための図である。
以下、本発明を説明する。
〈積層フィルム−層構成〉
本発明の積層フィルムは、無機ガラスフィルムの両面に、高分子からなる接着層を介して耐熱性有機高分子からなる保護層が厚さ方向に対称構造を持って形成された積層フィルムである。この本発明の積層フィルムの全ての態様は、図1に示すように、無機ガラスフィルム11の両面に、接着層12が形成され、更に耐熱性保護層13が形成された積層フィルム10である。
本発明の積層フィルムにおいて、「対称構造」とはすなわち、無機ガラスフィルムの両面に形成された接着層及び保護層が夫々表裏で同一の組成からなり、且つ保護層の厚さが表裏でほぼ同じ厚さであることをいう。ここで、ほぼ同じ厚さとは、無機ガラスフィルムの片面に形成された保護層の厚さ(Aとする)と、その反対面に形成された保護層の厚さ(Bとする)の比A/Bが0.7以上、1.5以下であることを示す。なお、A/Bは0.8以上、1.3以下であることが好ましく、より好ましくは0.9以上、1.1以下である。
また密着性の観点から、接着層の厚さ(Cとする)と保護層の厚さ(B)の比C/Bは0.002以上、0.01以下であることが好ましい。
本発明の積層フィルムの厚さは、ハンドリングや製造のし易さ、柔軟性、および強度の観点から、30μm〜500μmが好ましく、より好ましくは50μm〜200μmである。なお、接着層の表裏の厚さは、保護層の厚さに比べて非常に薄いので、その厚さの比は、特に制限されない。
〈無機ガラスフィルム〉
本発明における無機ガラスフィルムの成分としては、例えば、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラス、ゾルゲルガラス等が挙げられる。
本発明における無機ガラスフィルムは、これらの上記ガラスを主成分とするものや、ガラスに表面処理を施したもの等が挙げられる。これらの中でも、安価なソーダライムガラスにアルカリ封止コートしたもの、無アルカリガラス等が好ましい。
本発明の無機ガラスフィルムの厚さは5μm〜200μmであり、より好ましくは、10μm〜100μmであり、特に好ましくは20〜80μmである。厚さが5μm未満であると製造が困難となるため好ましくない。他方、ガラスの厚さが200μmを超えると、曲げ等の応力に対する反発力が大きく、フレキシビリティが失われるため好ましくない。
本発明の積層フィルムが適用を想定するディスプレイ基板において、特に有機ELディスプレイにおいては表面粗さRaとして1nm以下といった高い平滑性が求められる。本発明の積層フィルムではガラスフィルムも両面に接着層、および保護層を形成するため、ガラスフィルムの平滑性が極めて高い必要はないが、凹凸が大きすぎる場合は接着層や保護層によってもその凹凸を覆うことができないため好ましくない。
また、本発明の無機ガラスフィルムはその表面を研磨することによって作製しても良いが、研磨加工による手間、コストが嵩み、また研磨によって生じたガラス表面の傷が強度を低下させるため、無研磨であることが好ましい。肉薄で無研磨面を有するガラス板を大量に且つ安価に製造するには、オーバーフロー法、スロットダウン法、リドロー法等で成形することが適している。この中で、オーバーフロー法は極めて平滑なガラス表面を無研磨にて形成することに適している製法であるため好ましい。
〈無機ガラスフィルム−前処理〉
本発明の無機ガラスフィルムは、耐熱性保護層や接着層との密着性を確保する目的で、前処理を行ってもよい。ここでいう前処理とは、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、UVオゾン処理、アルカリ処理などを指す。これらは複数の前処理を組み合わせて行ってもよい。
〈接着層〉
本発明の積層フィルムにおいて、無機ガラスフィルムと保護層の間に、密着性を改善する目的で接着層を配する。ここでいう接着層とは無機ガラスフィルムと保護層の両者との密着を確保できる高分子を主成分とする層を表す。本発明における保護層は後述するように、耐熱性が高い有機高分子であるが、このような特性を有する有機高分子は一般にガラスとの密着性を確保することが困難であり、このような場合、無機ガラスフィルムと保護層の間に接着層を配することにより密着性を確保する必要がある。
このような接着層を形成する高分子としては、無機ガラスフィルムと保護層の間の密着性を確保するものであれば特に限定するものではなく、また選択する保護層により好ましい接着層を選択するが、例えば、無機ガラス・有機高分子両者との接着性の良好なシロキサン含有の熱可塑性樹脂や、オルガノシロキサン系の熱硬化性樹脂が好ましい。
シロキサン含有の熱可塑性樹脂としては、末端や側鎖、或いは主鎖中にシロキサン結合を含有したポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィンや、シロキサン結合を持つモノマーを単独或いは他のモノマーの混合して形成したアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などを挙げることができる。
本発明の接着層を形成する方法としては、例えば以下(a)〜(b)の接着層形成方法を挙げることができる。
(a)無機ガラスフィルム上に高分子の前駆体をモノマーやオリゴマーとして塗布し、塗布後に活性エネルギー線や熱エネルギーにより重合反応を行い、最終的に接着層を形成する。
(b)高分子を溶解する溶剤に溶解させ、その溶液を無機ガラスフィルム上に塗布し、その後溶剤を乾燥除去することによって接着層を形成する。
中でも、塗布後の処理の簡便さや、一度硬化させることにより、更なる保護層の塗布の際に溶解が生じにくい(a)の形成方法が好ましい。
このような接着層において、(a)の高分子形成方法により接着層を形成するような高分子としては、主にSiを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂が挙げられる。
Siを含む活性エネルギー線硬化型樹脂を与えるモノマーとしては、例えば、メチルアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート、アリルトリメチルシラン、ジアリルジフェニルシラン、メチルフェニルビニルシラン、メチルトリアリルシラン、フェニルトリアリルシラン、テトラアリルシラン、テトラビニルシラン、トリアリルシラン、トリエチルビニルシラン、ビニルトリメチルシラン、1,3−ジメチル−1,1,3,3−テトラビニルジシロキサン、ジビニルテトラメチルジシロキサン、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニルメチルビス(トリメチルシリロキシ)シラン、N−(トリメチルシリル)アリルアミン、両末端に2重結合を有するポリジメチルシロキサン、シリコーン含有アクリレートが挙げられる。
なお、活性エネルギー線によって樹脂層の重合を行う場合、一般に光重合開始剤を適量添加し、また必要に応じ光増感剤を適量添加してもよい。この光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾイルベンゾエート、チオキサンソン類等が挙げられ、光増感剤としては、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
熱硬化型樹脂としては、例えばアルコキシシラン系化合物などのオルガノシラン系熱硬化型樹脂や、アルコキシチタン系の熱硬化型樹脂、エーテル化メチロールメラミン等をモノマーとしたメラミン系熱硬化型樹脂、イソシアネート系熱硬化型樹脂、フェノール系熱硬化型樹脂、エポキシ硬化型樹脂等が挙げられる。これら熱硬化型樹脂を単独又は複数組み合わせて使用することも可能である。また必要に応じ、熱硬化型樹脂に、熱可塑性樹脂を混合することも可能である。
オルガノシラン系の熱硬化型樹脂としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4,エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等を用いることが好ましい。中でも、基板への密着性の安定化を図るという観点から、安定した性能を発揮するメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランを単独またや混合して用いることが好ましい。オルガノシロキサン系熱硬化型樹脂の好ましい混合比としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとメチルトリメトキシシランとN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを重量比で4:2:1にて混合するなどが挙げられる。
本発明における接着層を形成する高分子は、最終的な積層フィルムとしての特性を満たす範囲であれば、複数の高分子をブレンドしても構わない。
また、接着層形成方法についても複数の方法を組み合わせて行っても構わない。例えば上記(a)と(b)を組み合わせた方法、すなわち、無機ガラスフィルム上に高分子の前駆体、すなわちモノマーやオリゴマーをそれらが溶解するような溶剤に溶解して塗布し、塗布後に溶剤を乾燥除去させると共に、活性エネルギー線や熱エネルギーにより重合反応を行い、最終的に接着層を形成してもよい。
本発明における接着層は厚さ0.01μm〜1μmである。好ましくは0.02μm〜0.5μmであり、特に好ましくは0.02μm〜0.3μmである。接着層が薄すぎる場合は、無機ガラスフィルムと保護層の間の密着性を改良するには十分でないため好ましくない。一方、接着層が厚すぎる場合には、接着層の耐熱性や機械的強度が積層フィルムとしての特性に影響し、密着性や耐熱性を低下させたり、反りを発生させてしまう。
〈保護層〉
本発明における保護層とは、透明性・耐熱性が共に高く、層形成時の複屈折の発生が小さな、有機分子が重合された耐熱性を有する有機高分子を主成分とする層である。ここで無機ガラスフィルムに形成された保護層の片面の厚さは、5μm〜200μmであり、8μm〜100μmであることが好ましく、10μm〜50μmであることが特に好ましい。保護層の片面の厚さが小さすぎる場合には、無機ガラスの保護としての役割を十分に果たすことが困難であるため好ましくない。一方、保護層の片面の厚さが大きすぎる場合には、積層フィルムに十分なフレキシビリティを与えられないことに加え、積層フィルムの位相差は保護層の厚さに大きく依存し、位相差が大きくなってしまうため好ましくない。
〈積層フィルム−層の厚さの比〉
本発明における積層フィルムは、無機ガラスフィルムの厚さと、保護層の総厚さの比(無機ガラスフィルムの厚さ/保護層の総厚さ)をDとすると、0.20 ≦ D ≦ 10の範囲である。好ましくは、0.50≦D≦2.0の範囲であり、特に好ましくは、0.70 ≦ D ≦ 1.5の範囲である。Dが小さすぎる場合、耐熱性有機高分子からなる保護層を形成する際の収縮や、温度や湿度などの環境変化による膨張収縮による寸法変化が大きくなり、ひどい場合は、生じる応力により、無機ガラスフィルムが割れてしまう可能性がある。一方Dが大きすぎる場合、保護層の厚みが足りず、衝撃により無機ガラスフィルムが割れやすくなる。
〈耐熱性有機高分子−ガラス転移温度〉
本発明における耐熱性有機高分子とは、高いガラス転移温度を有する有機高分子を示す。本発明における耐熱性有機高分子はガラス転移温度が200℃以上、または硬化性樹脂や架橋型樹脂などの高耐熱性を有することが好ましい。より好ましくはガラス転移温度が230℃以上であることがより好ましい。特に好ましくはガラス転移温度が250℃以上であることが特に好ましい。また、ポリイミドや架橋度の高い樹脂においては明確なTgは示さないが、これらの樹脂も好適に用いることができる。ガラス転移温度が低い場合、積層フィルムの耐熱性が十分でなく、例えばディスプレイ基板におけるTFT形成など高温プロセスに適合が困難となるため好ましくない。
なお、本発明に関して、ガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置(DSC)を用いて、昇温速度20℃/分にて測定し、温度−示差熱曲線の変局点をガラス転移温度として評価するものである。
〈耐熱性有機高分子−光弾性係数〉
本発明における耐熱性有機高分子は、波長550nmにて測定した光弾性係数の絶対値が80×10−12Pa−1以下であることが好ましい。波長550nmにて測定した光弾性係数の絶対値は50×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、50×10−12Pa−1以下であることが特に好ましい。
ここで光弾性係数Cとは下記式で定義されるものであり、弾性体が外力を受けたとき一時的に光学的異方体となって複屈折を生じ、外力を除いたあと元に戻る光弾性効果を示す物質において応力方向とその垂直方向における屈折率差の応力依存性を表す定数である。即ち、屈折率差(Δn)と光弾性係数Cとの関係は次式で表される。
Δn=C・σ
Δn:屈折率差(応力方向とその垂直方向における屈折率の差)
C:光弾性係数(Pa−1
σ:応力(Pa)
正の光弾性係数を有する樹脂とは上記光弾性係数の符号が正の樹脂であり、負の光弾性係数を有する樹脂とは上記光弾性係数の符号が負の樹脂である。従って、上述したように、X−Y面内にて方位xに応力を加えた場合には、光弾性係数が正の場合にはnx>nyとなり、負の場合にはny>nxとなる。
光弾性係数の絶対値が高い場合、保護層の形成や、積層フィルムの屈曲、或いは温度や湿度の変化により生じる保護層の内部応力により複屈折が生じ、ディスプレイ基板として使用する場合には、表示品位の低下を招いてしまうため好ましくない場合がある。特に液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイにおいて偏光板と組み合わせて使用する際には、画面の光抜けや、画質の視野角依存性といった表示品位の低下が生じるため好ましくない場合がある。
〈耐熱性有機高分子−吸水率〉
本発明における耐熱性有機高分子は、吸水率が1.0%以下であることが好ましい。好ましくは0.7%以下であり、より好ましくは0.5%以下である。吸水率が高いものは湿度により体積膨張・収縮が生じることで、積層体の反りや無機ガラス層との応力発生による層間の剥離やガラスフィルムの破壊を生じさせることがある。
なお、本発明に関して、吸水率は、50mm角、厚さ100μmのフィルム状のサンプルを用いて測定し、JIS K7209準拠で定義される方法にて評価するものである。
〈耐熱性有機高分子−線膨張係数〉
本発明における耐熱性有機高分子は、50℃〜150℃における線膨張係数が0〜100ppm/℃であることが好ましい。より好ましくは0〜80ppm/℃であり、特に好ましくは0〜50ppm/℃である。線膨張係数が高い場合、温度により体積膨張・収縮が生じることで、積層体の反りや無機ガラス層との応力発生による層間の剥離やガラスフィルムの破壊を生じさせることがあるため、好ましくない。
なお、本発明に関して、線膨張係数は、厚さ100μmの未延伸フィルムのサンプルを用いて測定されたものである。
〈耐熱性有機高分子−成分〉
本発明における耐熱性有機高分子は、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂のいずれかを主成分とすることが好ましい。
この中でもポリカーボネートは透明性、耐熱性、機械的強度を兼ね備えており好ましい。特に一般的な2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(いわゆるビスフェノール−A)をモノマーとするポリカーボネートから、モノマーを変更することによりガラス転移温度を高めた耐熱ポリカーボネートは、透明性や機械的強度に加え高い耐熱性を有するため好ましい。なお、耐熱ポリカーボネートについては、例えば特開平06−25398号公報、特開2001−139676号公報などに記載の方法によって得ることができる。
耐熱ポリカーボネートとしては、例えば、下記一般式[1]
Figure 2011140187
[式中R1 〜R4 は水素原子、ハロゲン原子、フェニル基、炭素数1〜3のアルキル基であって、同一又は異なっていてもよい。]で表される構成単位及び下記一般式[2]
Figure 2011140187
[式中Wは単結合、アルキリデン基、シクロアルキリデン基、フェニル基置換アルキリデン基、スルホン基、スルフィド基又はオキシド基であり、R5 及びR6は水素原子、ハロゲン原子、フェニル基、炭素数1〜3のアルキル基であって、同一又は異なっていてもよく、m及びnは夫々1〜4の整数である。]で表される構成単位からなるポリカーボネートを挙げることができる。
また本発明における耐熱性有機高分子には、アクリル樹脂も好適に使用される。このアクリル樹脂は、熱硬化樹脂や活性エネルギー線硬化樹脂などで形成することができる。なかでも、活性エネルギー線に紫外線を用いた、紫外線硬化による硬化方法は生産性や経済性に優れており好適である。
このような紫外線硬化型のアクリル樹脂としては、例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリイソプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート及びビスフェノールAジメタクリレートの如きジアクリレート類;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールモノヒドロキシトリアクリレート及びトリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレートの如きトリアクリレート類;ペンタエリトリトールテトラアクリレート及びジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレートの如きテトラアクリレート類;並びにジペンタエリトリトール(モノヒドロキシ)ペンタアクリレートの如きペンタアクリレート類を挙げることができる。耐熱性有機高分子としての紫外線硬化型のアクリル樹脂としては、この他にも、5官能以上の多官能アクリレートも用いることができる。これらの多官能アクリレートは1種単独、又は2種以上混合して同時に用いてもよい。さらにこれらのアクリレート類には、光開始剤、光増感剤、レベリング剤、金属酸化物やアクリル成分などから成る微粒子や超微粒子などの第三成分を1種又は2種以上を添加して用いることができる。
〈保護層−形成方法〉
本発明の保護層を形成する有機高分子は、接着層が形成された無機ガラスフィルム上に保護層を形成することが可能で、且つ積層フィルムとしての特性を満たすものであれば、その有機高分子・及び保護層形成方法は特に限定するものではないが、例えば以下(c)〜(e)のような有機高分子・及び保護層形成方法を挙げることができる。
(c)無機ガラスフィルム上に有機高分子の前駆体、すなわちモノマーやオリゴマーとして塗布し、塗布後に活性エネルギー線や熱エネルギーにより重合反応を行い、最終的に保護層を形成する。
(d)熱可塑性の耐熱性有機高分子を加熱溶融させ、その溶融体を無機ガラスフィルム上に塗布し、その後冷却することにより保護層を形成する。
(e)溶解する溶剤に耐熱性有機高分子を溶解させ、その溶液を無機ガラスフィルム上に塗布し、その後溶剤を乾燥除去することによって保護層を形成する。
本発明における保護層を形成する耐熱性有機高分子は、最終的な積層フィルムとしての特性を満たす範囲であれば、複数の有機高分子をブレンドしても構わない。
また、保護層形成方法についても複数の方法を組み合わせて行っても構わない。例えば上記(c)と(d)を組み合わせる方法、すなわち、無機ガラスフィルム上への有機高分子前駆体の溶融塗布と、重合反応を同時に行ってもよい。また例えば、上記(c)と(e)を組み合わせた方法、すなわち、無機ガラスフィルム上に有機高分子の前駆体、すなわちモノマーやオリゴマーをそれらが溶解するような溶剤に溶解して塗布し、塗布後に溶剤を乾燥除去させると共に、活性エネルギー線や熱エネルギーにより重合反応を行い、最終的に保護層を形成してもよい。
〈保護層−添加剤〉
本発明における保護層には、積層フィルムや保護層としての特性を維持する範囲で、熱安定性や耐候性を改善する目的で、熱安定剤や光安定剤、耐加水分解抑制剤などの各種安定剤を添加してもよい。これら安定剤は使用する有機高分子により好ましい剤および添加量が選択される。これら安定剤は一種または複数を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明における保護層には、積層フィルムや保護層としての特性を維持する範囲で、色調や屈折率、表面の滑り性を改善・調整する目的で色調調整剤、屈折率調整剤、易滑付与剤などの各種添加剤を添加してもよい。これら添加剤は一種または複数を組み合わせてもよい。
また、本発明における保護層には、積層フィルムや保護層としての特性を維持する範囲で、線膨張係数や吸水率を抑制する目的で、フィラーや繊維を添加してもよい。
〈層の塗布手段〉
保護層や接着層を形成する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ドクターナイフ、ダイコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、スピンコータ−、リップコーター、キャピラリーコーター等による塗工法、またはスプレー法、浸漬法等、公知のあらゆる方法を用いることができる。この中では塗工厚さや、Roll to Rollでの塗工の容易さを考慮すると、ダイコーターやグラビアロールコーター、浸漬法が好ましい。また、保護層や接着層は、層形成時に無機ガラスフィルムの片面にのみ層形成すると収縮等による反りやカールが生じることが多いため、両面同時に塗布することが好ましい。
本発明における接着層および保護層は、無機ガラスフィルムに連続的に塗布し、その後ロール状に巻き取ることが好ましい。この場合、製造した無機ガラスフィルムに連続的に接着層および保護層を形成し、その後ロール状に巻き取ってもよい。また、ロール状に巻き取った無機ガラスフィルムを巻き出して、接着層および保護層を形成し、その後ロール状に巻き取ってもよい。このとき、接着無機ガラスフィルム上に接着層を形成し一度ロール状に巻き取った後、再度このフィルムを巻き出して保護層を形成し、ロール状に巻き取る方法でもよく、或いは、製膜した無機ガラスフィルムに接着層を連続的に形成し、続いて保護層を連続的に塗布形成し、その後ロール状に巻き取ってもよい。
これらの塗布方法の中でも、無機ガラスフィルムは単独では非常に割れやすいため、製膜した無機ガラスフィルムに製膜した無機ガラスフィルムに接着層を連続的に形成し、続いて保護層を連続的に塗布形成し、その後ロール状に巻き取ることが好ましい。接着層および保護層は、ロール状に巻き取った無機ガラスフィルムから、Roll to Rollにより塗布・形成してもよく、また無機ガラスフィルムを製膜し、その後連続プロセスで接着層および保護層を塗布・形成してもよい。
〈積層フィルム−積層時の反り〉
本発明の積層フィルムは厚さ方向に対称構造を持つため、保護層形成時の膨張・収縮により、無機ガラスフィルム部分と耐熱性有機高分子部分との間に歪みが生じたとしても、その歪みが積層フィルム自体の反りとして反映されることが極めて少ない。一方、厚さ方向に対称構造を持たない積層フィルムにおいて、保護層形成時の膨張・収縮により、無機ガラスフィルム部分と有機高分子部分との間に歪みが生じた場合、積層フィルムの片面とその反対面での歪みの大きさが異なるため、結果的に積層フィルムに反りが生じてしまうため好ましくない。
なお、積層フィルムの反りは、例えば作成した積層フィルムを100mm×100mmの大きさの正方形にカットして平らな板上に置き、温度や湿度などの環境の変化による、積層フィルムの四隅の浮きの高さの平均の変化量を計測することによって評価することができる。このときの好ましい範囲は、0〜5mmであり、より好ましくは0〜1mmである。
〈積層フィルム−環境変化による反り〉
本発明の積層フィルムは厚さ方向に対称構造を持つため、温度や湿度により、無機ガラスフィルムと保護層との膨張・収縮率の違いから歪みが生じたとしても、その歪みが積層フィルム自体の反りとして反映されることが極めて少ない。一方、厚さ方向に対称構造を持たない積層フィルムにおいて、温度や湿度により、無機ガラスフィルムと保護層との膨張・収縮率の違いから歪みが生じた場合、積層フィルムの片面とその反対面での歪みの大きさが異なるため、結果的に積層フィルムに反りが生じてしまうため好ましくない。
なお、積層フィルムの反りは、例えば100mm×100mmの大きさの正方形にカットしたサンプルフィルムを平らな板上に置き、温度25℃、相対湿度50%の環境下で12時間以上経過した前後での、中心や四隅の浮きの高さの平均の変化量を計測することによって評価することができる。このときの好ましい範囲は、0〜5mmであり、より好ましくは0〜1mmである。
〈積層フィルム−全光線透過率〉
視認性の観点から、本発明の積層フィルムは、全光線透過率が85%以上であり、87%以上がより好ましく、88%以上が特に好ましい。
本発明に関して全光線透過率は、JIS K7361−1に準じて測定されるものである。具体的には全光線透過率τ(%)は、下記の式によって表される値である。
τ=τ/τ×100
(τ:入射光
τ:試料片を透過した全光線)
本発明の積層フィルムは、ガラス及び保護層としての耐熱性有機高分子、並びに接着層としての高分子が夫々高い透明性を有することにより、高い全光線透過率の積層フィルムを実現することができる。
〈積層フィルム−ヘーズ〉
同様に視認性の観点から、本発明の積層フィルムは、ヘーズ(曇度)が1%以下であり、0.7%以下がより好ましく、0.5%以下が特に好ましい。
なお、本発明に関して、ヘーズは、JIS K7136準拠で定義されるものである。具体的には、ヘーズは、全光線透過率τtに対する拡散透過率τdの比として定義される値であり、より具体的には下記の式から求めることができる:
ヘーズ(%)=[(τ4/τ2)−τ3(τ2/τ1)]×100
τ1: 入射光の光束
τ2: 試験片を透過した全光束
τ3: 装置で拡散した光束
τ4: 装置及び試験片で拡散した光束
本発明の積層フィルムは、ガラス及び保護層としての耐熱性有機高分子、並びに接着層としての高分子が夫々高い透明性を有することにより、低いヘーズの積層フィルムを実現することができる。
〈積層フィルム−位相差〉
本発明の積層フィルムは、波長550nmにおける面内位相差(R)が0〜5nmであり、好ましくは0〜3nmであり、0〜2nmが特に好ましい。ここで位相差Rとは下記式で定義されるものであり、フィルムに垂直方向に透過する光の位相の遅れを表す特性である:
R(nm)=(n−n)×d
x:波長550nmにおけるフィルム面内の遅相軸(最も屈折率が高い軸)の屈折率
:波長550nmにおけるnと垂直方向の屈折率
d:フィルムの厚さ(nm)
また本発明の積層フィルムは、波長550nmにおける厚さ方向の位相差(Rth)が0nm〜50nmであり、好ましくは0nm〜40nm以下であり、0nm〜30nmが特に好ましい。ここで厚さ方向の位相差Rthとは下記式で定義されるものである:
th=|(n+n)/2−n|×d
x:波長550nmにおけるフィルム面内の遅相軸(最も屈折率が高い軸)の屈折率
:波長550nmにおけるnと垂直方向の屈折率
:波長550nmにおける厚さ方向の屈折率
d:フィルムの厚さ(nm)
一般に、保護層形成時に硬化反応を伴う場合、形成された保護層は硬化収縮により面方向に分子配向が生じると共に、硬化時の温度と冷却後の温度の違いがある場合は、積層フィルムの保護層・無機ガラスフィルムの熱膨張係数の違いとにより、両者に残留応力が生じる。また、加熱溶融した有機高分子を無機ガラスフィルムに塗布し冷却することで保護層を形成する場合、の温度の違いと、積層フィルムの保護層と無機ガラスフィルムの熱膨張係数保護層は冷却時の熱収縮により面方向に分子配向が生じることがあり、同時に、溶融塗布時の温度と冷却後の違いとにより、両者に残留応力が生じることもある。また、溶剤に溶解させた有機高分子を無機ガラスフィルムに塗布した後、乾燥により溶剤を乾燥除去することで保護層を形成する場合には、乾燥時の体積減少に伴い面方向に分子配向が生じることがあり、同時に、乾燥時の温度と冷却後の温度の違い、積層フィルムの保護層・無機ガラスフィルムの熱膨張係数の違いとにより、両者に残留応力が生じることもある。これら保護層の形成時に生じる分子配向や残留応力により、形成された積層フィルムには面内位相差や厚さ方向の位相差が生じることがある。ここで、分子配向や残留応力は面内では、どの方向にも一様に生じることが多く、この場合面内位相差は互いに相殺するため、小さい。一方、厚み方向の位相差は面内位相差と比較して大きくなる傾向がある。位相差の発生を低減するためには、面配向のし難いもの、または面配向しても位相差の発現が小さい−すなわち固有複屈折の小さなもの、更には光弾性係数の小さなものを耐熱性有機高分子として選択することが好ましい。また、乾燥や硬化時の温度を可能な限り室温に近い温度にて行うことによっても位相差の発現を抑制することができる。
なお、接着層についても保護層と同様に分子配向や残留応力による位相差の発生の可能性があるが、層厚みが小さいため問題とはならない。
面内位相差(R)や厚さ方向の位相差(Rth)の絶対値が大きすぎる場合は、ディスプレイ基板として使用する場合には、表示品位の低下を招いてしまうため好ましくない。特に液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイにおいて偏光板と組み合わせて使用する際には、画面の光抜けや、画質の視野角依存性といった表示品位の低下が生じるため好ましくない。
〈積層フィルム−密着性〉
本発明の積層フィルムは、無機ガラスフィルムと保護層の密着性が、碁盤目剥離試験による評価にて80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが特に好ましい。ここで碁盤目剥離試験による密着性とは、以下の評価にて測定されるものである:
サンプルフィルムを両面テープにてステンレス製平板に粘着テープにて貼付固定した後、積層フィルムにカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作成する。続いて、ニチバン製粘着テープ(商品名“セロテープ(登録商標) No.405”)を碁盤目上に指先にてしっかりと圧着し、垂直に強く引き剥がして無機ガラスフィルム上に保護層が残った程度を観察し、残った100個の碁盤目のうち残った数をパーセンテージとして評価する。
本発明の積層フィルムは無機ガラスと耐熱性有機高分子の保護層間の接着性を高めるため接着層を有しており、高い密着性を得ることができる。
〈積層フィルム−線膨張係数〉
本発明における積層フィルムは、無機ガラスフィルムが保護層と比較して低い線膨張係数と高い引張弾性率を有することから、積層フィルムとしての線膨張係数も、電子部品の基板として好ましい低い線膨張係数を持つ。本発明における積層フィルムの線膨張係数は、0〜20ppm/℃であることが好ましい。より好ましくは0〜15ppm/℃であり、特に好ましくは0〜10ppm/℃である。ここで線膨張係数とは、以下の評価にて測定されるものである:
熱・応力−歪測定装置を用いて、昇温速度5℃/分にて測定し、温度範囲50℃〜150℃における線膨張係数の平均を算出する。なお、保護層の線膨張係数については、厚さ約100μmの未延伸の有機高分子フィルムを別途作成し、これをサンプルとして測定する。
〈積層フィルム−耐衝撃性〉
本発明における積層フィルムは、単独では耐衝撃性の低い無機ガラスフィルムを保護層で保護した積層体構造となっており、電子部品の基板として好ましい耐衝撃性を有している。ここで耐衝撃性とは、以下の落錘試験にて評価されるものである
:JIS K7211−1準拠の試験装置及び錘を用いて試験する。50mm角のサンプルを平坦な厚さ5mmのSUS板上に置き、四辺をテープで固定し、10cmの高さから先端のR2.5mm、30gの錘を落とし、その後のフィルムサンプルの状況を顕微鏡にて観察し、フィルムが衝突により割れた高さを評価する。尚、70cmの高さから鉄球を落としても、フィルムに割れが生じがなかったものについては「○」とする。
〈ハードコート層〉
本発明の積層フィルムには、用途に応じて、積層フィルム表面の硬度や耐摩耗性を付与する目的で、特性を失わない範囲で、単独又は複数のハードコート層を更に有することができる。このハードコート層は、本発明の積層フィルム片面あるいは両面に配置することができるが、温度や湿度による積層フィルムの反りが生じないために、両面に、同じ組成のものを、同程度の厚さで有することが好ましい。
ハードコート層は、熱硬化樹脂や活性エネルギー線硬化樹脂などで形成することができる。なかでも、活性エネルギー線に紫外線を用いた、紫外線硬化型樹脂は生産性や経済性に優れており好適である。
ハードコート層のための紫外線硬化型樹脂としては、例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリイソプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート及びビスフェノールAジメタクリレートの如きジアクリレート類;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールモノヒドロキシトリアクリレート及びトリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレートの如きトリアクリレート類;ペンタエリトリトールテトラアクリレート及びジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレートの如きテトラアクリレート類;並びにジペンタエリトリトール(モノヒドロキシ)ペンタアクリレートの如きペンタアクリレート類を挙げることができる。追加の硬化樹脂層のための紫外線硬化型樹脂としては、この他にも、5官能以上の多官能アクリレートも用いることができる。これらの多官能アクリレートは1種単独、又は2種以上混合して同時に用いてもよい。さらにこれらのアクリレート類には、光開始剤、光増感剤、レベリング剤、金属酸化物やアクリル成分などから成る微粒子や超微粒子などの第三成分を1種又は2種以上を添加して用いることができる。
なお、活性エネルギー線によって樹脂層の重合を行う場合、一般に光重合開始剤を適量添加し、また必要に応じ光増感剤を適量添加してもよい。この光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾイルベンゾエート、チオキサンソン類等が挙げられ、光増感剤としては、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
ハードコート層のための熱硬化型樹脂としては、例えばアルコキシシラン系化合物などのオルガノシラン系熱硬化型樹脂や、アルコキシチタン系の熱硬化型樹脂、エーテル化メチロールメラミン等をモノマーとしたメラミン系熱硬化型樹脂、イソシアネート系熱硬化型樹脂、フェノール系熱硬化型樹脂、エポキシ硬化型樹脂等が挙げられる。これら熱硬化型樹脂を単独又は複数組み合わせて使用することも可能である。また必要に応じ、熱硬化型樹脂に、熱可塑性樹脂を混合することも可能である。
なお、熱によって樹脂層の架橋を行う場合には、反応促進剤及び/又は硬化剤を適量配合することができる。反応促進剤としては、例えばトリエチレンジアミン、ジブチル錫ジラウレート、ベンジルメチルアミン、ピリジン等が挙げられる。また、硬化剤としては、例えばメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′―ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。
〈透明導電層〉
本発明において、透明導電層は、特に制限は無いが、例えば結晶質の金属層あるいは結晶質の金属化合物層を挙げることができる。透明導電層を構成する成分としては、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫等の金属酸化物の層が挙げられる。これらのうち酸化インジウムを主成分とした結晶質の層であることが好ましく、特に結晶質のITO(Indium Tin Oxide)からなる層が好ましく用いられる。
透明導電層は、公知の手法にて形成することが可能であり、例えばDCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、パルスレーザーデポジション法等の物理的形成法(Physical Vapor Deposition(以下では「PVD」とする))等を用いることができるが、大面積に対して均一な膜厚の金属化合物層を形成するという工業生産性に着目すると、DCマグネトロンスパッタリング法が望ましい。なお、上記物理的形成法(PVD)のほかに、化学気相堆積法(Chemical Vapor Deposition(以下では「CVD」とする))、ゾルゲル法などの化学的形成法を用いることもできるが、膜厚制御の観点からはやはりスパッタリング法が望ましい。
透明導電層の膜厚は、必要とする透明性や抵抗値の値から適切な膜厚が選択されるが、膜の安定性や透明性などの観点から5〜500nmであることが好ましい。
本発明の透明導電性積層体を液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどの表示素子における透明電極や、有機EL照明用の透明電極、薄膜系太陽電池の透明電極として用いる場合、透明導電層の表面抵抗値が1〜50Ω/□(Ω/sq)、より好ましくは1〜30Ω/□(Ω/sq)の範囲を示す透明導電層を用いることが好ましい。
〈その他の機能層〉
本発明の積層フィルムには、ハードコート層や透明導電層以外に、積層フィルムあるいはハードコート付き積層フィルム乃至透明導電性積層フィルムとしての特性を損なわない範囲で、別途機能層を付与することができる。ここでいう機能層とは、化学的、光学的、電気的、物理的に何らかの機能を発現することを目的とした層であり、特に限定するものではないが、例えば、反射防止性、アンチグレア性、発光、偏光、光散乱、集光、光の屈折、防汚性、耐薬品性、易滑性、絶縁性などの機能を発現させうる層を挙げることができる。
以下では実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」及び「%」は、特に断らない限り重量基準である。また、実施例中における各種の測定は、下記のとおり行った。
〈厚さ〉
無機ガラスフィルム、および積層フィルムの厚さについては、アンリツ社製の電子マイクロ膜厚計で測定した。
積層フィルムにおける保護層の厚さについては、断面を走査型電子顕微鏡にて観察し計測した。
積層フィルムにおける接着層の厚さについては、積層面の光反射スペクトル上に光干渉効果に基づいて発現する反射率の極大ピークもしくは極小ピークの波長とそのピーク反射率の値を用いて、光学シミュレーションにより算出した。なお、反射スペクトルについては日立製分光光度計U3500の積分球測定モードにて各スペクトルの測定を行った。このとき、測定光のサンプルへの入射角度は5度とし、裏面側には遮光層を形成し、サンプルの裏面反射や裏面側からの光の入射がほとんどない状態で測定を行った。
〈ガラス転移温度(Tg)〉
積層フィルムを測定試料として用い、TAインスツルメント社製の熱分析システムDSC−2910を使用して、JISK7121に従い窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
〈ヘーズ〉
JIS K7136号に準じ、日本電色(株)製ヘーズメーター(MDH2000)を用いて積層フィルムのヘーズを測定した。
〈全光線透過率〉
日本電色(株)製ヘーズメーター(MDH2000)を用いてJIS K7361−1に準じて積層フィルムの全光線透過率を測定した。
〈位相差R、Rth
日本分光(株)製分光エリプソメーターM220を使用し、光線波長550nmで測定した。面内位相差値Rは、入射光線がフィルム面に垂直な状態で測定したものである。膜厚方向位相差値Rthは、入射光線とフィルム面との角度を少しずつ変えそれぞれの角度での位相差値を測定し、公知の屈折率楕円体の式でカーブフィッティングすることにより三次元屈折率であるn、n、nを求め、Rth=|(n+n)/2−n|×d
に代入することにより求めた。なおその際、積層フィルムの平均屈折率が必要となるが、別にアッベ屈折計((株)アタゴ社製商品名「アッベ屈折計2−TERT」)を用いて測定した。
〈線膨張係数〉
積層フィルムおよび保護層の線膨張係数は、4mm幅×30mmのサンプルを25℃、50%RHにて24時間置いた後に、熱・応力−歪測定装置(SIIナノテクノロジー社製SS6100)を用いて、昇温速度5℃/分にて測定し、温度範囲50℃〜150℃における線膨張係数の平均を算出した。なお、保護層の線膨張係数については、厚さ約100μmの未延伸の有機高分子フィルムを別途作成し、これをサンプルとして測定した。
〈積層フィルム−積層時の反り〉
100mm×100mmの大きさの正方形にカットしたサンプルフィルムを平らな板上に置き、温度25℃、相対湿度50%の環境下で12時間以上経過した後、フィルムの四隅の浮きの高さをノギスにて測定した。
〈積層フィルム−環境変化による反り〉
100mm×100mmの大きさの正方形にカットしたサンプルフィルムを平らな板上に置き、温度25℃、相対湿度50%の環境下で12時間以上経過した後、フィルムの四隅の浮きの高さをノギスにて測定し、その平均をA(mm)とした。続いて、このサンプルを温度60℃、相対湿度90%の恒温高湿装置に30分間投入し、その後温度25℃、相対湿度50%の環境に取り出し、平らな板上に置き、フィルムの四隅の浮きの高さをノギスにて測定し、その平均をB(mm)とした。AとBとの差(B−A(mm))の絶対値を反りとして示した。
〈密着性〉
サンプルフィルムを両面テープにてステンレス製平板に強粘着テープにて貼付固定した後、積層フィルムにカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作成した。続いて、ニチバン製粘着テープ(商品名“セロテープ(登録商標) No.405”)を碁盤目上に指先にてしっかりと圧着し、垂直に強く引き剥がして無機ガラスフィルム上に保護層が残った程度を観察し、100個の碁盤目のうち残った数をパーセンテージとして評価した。
〈光弾性係数〉
20mm幅×100mmのサンプルを25℃、50%RHにて24時間置いた後に、日本分光(株)製分光エリプソメーターM220にて測定した。測定波長550nmにて応力を与えたときの位相差値の変化から算出した。
〈吸水率〉
50mm角、厚さ100μmの未延伸の有機高分子フィルムを別途作成し、これをサンプルとした。JIS K7209に準拠し評価した。
〈耐衝撃性−落球試験〉
100mm角のサンプルを平坦な厚さ5mmのステンレス鋼板上に置き、四辺をテープで固定した。10cmずつ高さを変えながら直径11mm、重さ5.4gの鉄球をサンプル上から落下させ、サンプルに衝突させた。その後のフィルムサンプルの鉄球が衝突した部分を顕微鏡にて観察し、フィルムが衝突により割れた高さを評価した。尚、70cmの高さから鉄球を落としても、フィルムに割れが生じがなかったものについては「○」とした。
〈ヒートサイクル試験〉
作成した透明導電フィルムを恒温恒湿機に入れ、以下の(1)〜(4)の条件を繰り返し500時間まで行い、試験後の透明導電膜に微細な割れが発生していないか、顕微鏡にて観察した。
(1)温度25℃、相対湿度90%にて1時間
(2)温度60℃、相対湿度90%にて5時間
(3)温度25℃、相対湿度90%にて1時間
(4)温度−20℃、相対湿度0%にて5時間
[実施例1]
<接着層形成用の塗工液A−1の調製>
水720重量部と2−プロパノール1080重量部と酢酸46重量部を混合した後に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製の商品名「KBM403」)480重量部とメチルトリメトキシシラン(信越化学社製の商品名「KBM13」)240重量部とN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製の商品名「KBM603」)120重量部を順次混合してアルコキシシラン混合液を生成し、このアルコキシシラン混合液を3時間攪拌して加水分解、部分縮合を行い、さらにイソプロピルアルコールと1−メトキシ−2−プロパノールの重量比率1:1の混合溶媒40000重量部で希釈し、塗工液A−1を作成した。
<耐熱ポリカーボネートの重合>
特開2001−139676号公報の実施例1を参考に重合を行った。
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水190500部、25%水酸化ナトリウム水溶液105400部を入れ、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“ビスクレゾールフルオレン”と略称することがある)43560部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“ビスフェノールA”と略称することがある)11260部およびハイドロサルファイト110部を溶解した後、塩化メチレン178400部を加えた後撹拌下15〜25℃でホスゲン22810部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール222.2部を塩化メチレン3300部に溶解した溶液および25%水酸化ナトリウム水溶液13200部を加え、乳化後、トリエチルアミン40部を加えて28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで、塩化メチレン相を濃縮、脱水してポリカーボネート濃度が20%の溶液を得た。この溶液から溶媒を除去して得たポリカーボネートはビスクレゾールフルオレンとビスフェノールAとの構成単位の比がモル比で70:30であった(ポリマー収率97%)。また、このポリマーの極限粘度は0.685、Tgは235℃であった。
<保護層形成用の塗工液B−1の調製>
重合した耐熱ポリカーボネート30部に塩化メチレン70部を加え、均一に溶解するまで撹拌し、耐熱ポリカーボネートの濃度30%の塗工液B−1を調整した。
<接着層の浸漬法による塗布>
日本電気硝子(株)製のオーバーフロー方式にて製造された、幅200mm、長さ300mm、厚さ50μmの無アルカリガラスの無機ガラスフィルム(商品名OA−10G)を、塗工液A−1中に浸け、その後引き上げ速度100mm/分にて無機ガラスフィルムを垂直に引き上げ、130℃にて5分間熱処理し、無機ガラスフィルムの両面に接着層が形成されたガラスフィルムを得た。
<耐熱ポリカーボネート保護層の浸漬法による塗布>
続いて、接着層が形成された無機ガラスフィルムを、塗工液B−1中に浸け、その後引き上げ速度100mm/分にて無機ガラスフィルムを垂直に引き上げ、40℃にて10分間乾燥した後、120℃にて10分間乾燥し、更に200℃にて60分間乾燥し、無機ガラスフィルムの両面に耐熱ポリカーボネート層が形成された積層フィルムを作成した。
作成した積層フィルムの特性を表1に示す。
[実施例2]
無機ガラスフィルムの厚さを表1に示すとおり30μmに変更する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作成した。
作成した積層フィルムの特性を表1に示す。
[実施例3]
無機ガラスフィルムの厚さを表1に示すとおり厚さ100μmに変更する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作成した。
作成した積層フィルムの特性を表1に示す。
[実施例4]
塗工液B−1の耐熱ポリカーボネートの濃度を15%とした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作成した。
作成した積層フィルムの特性を表1に示す。
[実施例5]
塗工液B−1の耐熱ポリカーボネートの濃度を40%とした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作成した。
作成した積層フィルムの特性を表1に示す。
[実施例6]
耐熱ポリカーボネート層の浸漬法による塗布の際に、無機ガラスフィルムを垂直ではなくフィルム面の法線が水平から10°傾くようにして引き上げること以外は、実施例1と同様の方法にて、無機ガラスフィルムの両面に耐熱ポリカーボネート層が形成され、両面の耐熱ポリカーボネートの層がやや異なった積層フィルムを得た。
作成した積層フィルムの特性を表1に示す。
[実施例7]
接着層の形成の際に、塗工液A−1の混合溶媒による希釈量を80000重量部とした以外は、実施例1と同様の方法にて厚みの異なる接着層を形成した。続いて実施例1と同様の方法にて保護層を形成し、無機ガラスフィルムの両面に耐熱ポリカーボネート層が形成された積層フィルムを得た。
作成した積層フィルムの特性を表1に示す。
[実施例8]
接着層の形成の際に、塗工液A−1の混合溶媒による希釈量を20000重量部とした以外は、実施例1と同様の方法にて厚みの異なる接着層を形成した。続いて実施例1と同様の方法にて保護層を形成し、無機ガラスフィルムの両面に耐熱ポリカーボネート層が形成された積層フィルムを得た。
作成した積層フィルムの特性を表1に示す。
[実施例9]
<接着層形成用の塗工液A−2の調製>
水720重量部と2−プロパノール1080重量部と酢酸46重量部を混合した後に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製の商品名「KBM503」)840重量部を混合してアルコキシシラン混合液を生成し、このアルコキシシラン混合液を2時間攪拌して加水分解、部分縮合を行い、さらにイソプロピルアルコールと1−メトキシ−2−プロパノールの重量比率1:1の混合溶媒で希釈し、塗工液A−2を作成した。
<接着層の浸漬法による塗布>
日本電気硝子(株)製のオーバーフロー方式にて製造された、幅200mm、長さ300mm、厚さ50μmの無アルカリガラスの無機ガラスフィルムを、塗工液A−2中に浸け、その後引き上げ速度100mm/分にて無機ガラスフィルムを垂直に引き上げ、130℃にて5分間熱処理し、無機ガラスフィルムの両面に接着層が形成されたガラスフィルムを得た。
<耐熱ポリカーボネート保護層の浸漬法による塗布>
前述の方法により接着層の形成された日本電気硝子(株)製のオーバーフロー方式にて製造された、幅200mm、長さ300mm、厚さ50μmの無アルカリガラスの無機ガラスフィルム(商品名OA−10G)を、塗工液B−1中に浸け、その後引き上げ速度100mm/分にて無機ガラスフィルムを垂直に引き上げ、40℃にて10分間乾燥した後、120℃にて10分間乾燥し、更に200℃にて60分間乾燥し、無機ガラスフィルムの両面に耐熱ポリカーボネート層が形成された積層フィルムを得た。
作成した積層フィルムの特性を表1に示す。
[実施例10]
<保護層形成用の塗工液B−2の調製>
帝人化成(株)製のポリカーボネート(グレード名:C−1400、以下“PC−A”と略称する)30部に塩化メチレン70部を加え、均一に溶解するまで撹拌し、ポリカーボネートの濃度30%の塗工液B−2を調製した。
<接着層の浸漬法による塗布>
日本電気硝子(株)製のオーバーフロー方式にて製造された、幅200mm、長さ300mm、厚さ50μmの無アルカリガラスの無機ガラスフィルム(商品名OA−10G)を、塗工液A−1中に浸け、その後引き上げ速度100mm/分にて無機ガラスフィルムを垂直に引き上げ、130℃にて5分間熱処理し、無機ガラスフィルムの両面に接着層が形成されたガラスフィルムを得た。
<ポリカーボネート保護層の浸漬法による塗布>
続いて、接着層が形成された無機ガラスフィルムを、塗工液B−2中に浸け、その後引き上げ速度100mm/分にて無機ガラスフィルムを垂直に引き上げ、40℃にて10分間乾燥した後、120℃にて60分間乾燥し、無機ガラスフィルムの両面にポリカーボネート層が形成された積層フィルムを得た。
作成した積層フィルムの特性を表1に示す。
[実施例11]
<塗工液B−3の調製>
4官能アクリレートとして東亞合成(株)製 アロニックスM405を100重量部、光開始剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製(イルガキュア184)5重量部をイソプロピルアルコールと1−メトキシ−2−プロパノールの1:1混合溶媒に溶解し塗工液B−3を作製した。
<アクリル保護層の浸漬法による塗布>
実施例1と同様の方法にて作成した、接着層が形成されたガラスフィルムを、塗工液B−3中に浸け、その後引き上げ速度100mm/分にて無機ガラスフィルムを垂直に引き上げ、50℃にて2分間乾燥した後、強度160wの高圧水銀ランプで積算光量700mJ/cmの紫外線を照射し、無機ガラスフィルムの両面にアクリル層が形成された積層フィルムを得た。
作成した積層フィルムの特性を表1に示す。
[比較例1]
無機ガラスフィルムとして、日本電気硝子(株)製のオーバーフロー方式にて製造された、幅200mm、長さ300mm、厚さ50μmの無アルカリガラスの無機ガラスフィルムを用い、保護層や接着層を形成しなかった以外は実施例1とな操作を繰り返した。この無機ガラスフィルムの評価結果を表2に示す。
[比較例2]
<接着層の浸漬法による塗布>
日本電気硝子(株)製のオーバーフロー方式にて製造された、幅200mm、長さ300mm、厚さ50μmの無アルカリガラスの無機ガラスフィルムを、液A−1中に浸け、その後引き上げ速度100mm/分にて無機ガラスフィルムを垂直に引き上げ、130℃にて5分間熱処理し、無機ガラスフィルムの両面に接着層が形成されたガラスフィルムを得た。
この接着層が形成されたガラスフィルムの特性を表2に示す。
[比較例3]
<耐熱ポリカーボネート保護層の浸漬法による塗布>
日本電気硝子(株)製のオーバーフロー方式にて製造された、幅200mm、長さ300mm、厚さ50μmの無アルカリガラスの無機ガラスフィルム(商品名OA−10G)を、接着層を形成しない状態で、塗工液B−1中に浸け、その後引き上げ速度100mm/分にて無機ガラスフィルムを垂直に引き上げ、40℃にて10分間乾燥した後、120℃にて10分間乾燥し、更に200℃にて60分間乾燥し、無機ガラスフィルムの両面に耐熱ポリカーボネート層が形成された積層フィルムを得た。
作成した積層フィルムの特性を表2に示す。
[比較例4]
<耐熱ポリカーボネート層のダイコート>
実施例1と同様にして接着層を形成した、幅200mm、長さ300mm、厚さ50μmの無機ガラスフィルムの片面上に、耐熱ポリカーボネートの濃度30%の塗工液Bをダイコート法にてコートし、40℃にて10分間乾燥した後、120℃にて10分間乾燥し、更に200℃にて60分間乾燥し、無機ガラスフィルムの片面に耐熱ポリカーボネート層が形成された積層フィルムを得た。耐熱ポリカーボネート層の厚みは20μmであった。なお、作成した積層フィルムは乾燥後、室温に戻した時点で耐熱ポリカーボネート層を内側にして、反りの評価が困難なほどカールした。
作成した積層フィルムの特性を表2に示す。
[比較例5]
保護層用の塗工液として、耐熱ポリカーボネートの濃度を5%とした塗工液B−1を使用する以外は、実施例1と同様の方法にて、無機ガラスフィルムの両面に耐熱ポリカーボネート層が形成された積層フィルムを得た。
作成した積層フィルムの特性を表2に示す。
[比較例6]
耐熱ポリカーボネート層の浸漬法による塗布の際に、無機ガラスフィルムを垂直ではなく、実施例6よりも更に10°傾けて斜めに引き上げること以外は、実施例6と同様の方法にて、無機ガラスフィルムの両面に耐熱ポリカーボネート層が形成された積層フィルムを得た。
作成した積層フィルムの特性を表2に示す。
[比較例7,8]
接着層の形成の際に、塗工液A−1の混合溶媒による希釈量を変更した以外は、実施例1と同様の方法にて厚みの異なる接着層を形成した。続いて実施例1と同様の方法にて保護層を形成し、無機ガラスフィルムの両面に耐熱ポリカーボネート層が形成された積層フィルムを得た。
作成した積層フィルムの特性を表2に示す。
[比較例9]
塗工液B−1を鏡面仕上げのステンレス板上にキャスティングし、次いで40℃にて10分間乾燥した後、120℃にて10分間乾燥し、更に200℃にて60分間乾燥し、厚さ100μmの耐熱ポリカーボネートのフィルムを作成した。
作成した耐熱ポリカーボネートフィルムの特性を表2に示す。
[比較例10]
<耐熱ポリカーボネートフィルムの作成>
実施例1で使用した保護層形成用の塗工液B−1を鏡面仕上げのステンレス基板上にドクターナイフを使用してキャストし、40℃にて10分間乾燥し、続いて100℃にて60分間乾燥し、更に200℃にて60分間乾燥し、膜厚50μmの耐熱ポリカーボネートのフィルムを作成した。
<接着剤による貼合>
無機ガラスフィルムの片面上に膜厚15μmのアクリル系の接着剤を塗布し、続いて作成した耐熱ポリカーボネートフィルムを貼合した。続いて、そのガラス−フィルム積層体のガラス面に、同様に膜厚15μmのアクリル系の接着剤を塗布し、続いて作成した耐熱ポリカーボネートフィルムを貼合し、無機ガラスフィルムの両面に耐熱ポリカーボネートフィルムを貼合した積層フィルムを作成した。
作成した積層フィルムの特性を表2に示す。
[実施例12]
<塗工液C−1の調製>
ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート(大阪ガス社製)59重量部、ウレタンアクリレート(新中村化学製の商品名「NKオリゴU−15HA」)41重量部に、希釈溶剤として1−メトキシ−2−プロパノールを用いて希釈を行い、更に光開始剤としてイルガキュア184(チバガイギー社製)3重量部を加えて均一になるまで攪拌したものを使用した。
実施例1で作成した、積層フィルムの一方の面に塗工液C−1を用いて膜厚が3μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層積層後の反りは、0.5mmとほとんど反りを生じなかった。また、ハードコート積層後の面内位相差(R)は1.0nm、厚さ方向位相差(Rth)は2.0nmであった。
[実施例13]
実施例12で作成したハードコート層付き積層フィルムのハードコート層上に、酸化インジウムと酸化錫の質量比が95:5の組成で充填密度が98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いて、スパッタリング法により結晶質の透明導電層(ITO層)を形成した。ITO層の厚さは約130nm、表面抵抗値は約50Ω/□(Ω/sq)であった。
この透明導電フィルムについてヒートサイクル試験を行った結果、透明導電膜は試験前と同様、微細クラックは発生していなかった。試験後の表面抵抗値は約55Ω/□(Ω/sq)であった。
[比較例11]
比較例6で作成した積層フィルムの、保護層が薄く塗布されている面に紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂塗料を用いて膜厚が3μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層積層後の反りは、7.5mmと反りを生じていた。また、ハードコート積層後の面内位相差(R)は1.0nm、厚さ方向位相差(Rth)は2.0nmであった。
[比較例12]
比較例10で作成したハードコート層付き積層フィルムのハードコート層上に、酸化インジウムと酸化錫の質量比が95:5の組成で充填密度が98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いて、スパッタリング法により結晶質の透明導電層(ITO層)を形成した。ITO層の厚さは約130nm、表面抵抗値は約50Ω/□(Ω/sq)であった。
この透明導電フィルムについてヒートサイクル試験を行った結果、透明導電膜は試験前と異なり、微細なクラックが多数発生していた。試験後の表面抵抗値は約2000Ω/□(Ω/sq)であった。
Figure 2011140187
Figure 2011140187
表1から明らかなように、実施例1〜11の積層フィルムではいずれも、無機ガラスフィルムと保護層との密着性が良好であり、また積層時並びに環境変化によるフィルムの反りが小さく、更に耐衝撃性が良好であった。これに対して、表2から明らかなように、比較例の積層フィルムは、密着性が良好でない、積層時や環境変化によるフィルムの反りが大きい、耐衝撃性が低いなどの問題があった。
また、実施例13の透明導電フィルムは、環境変化によるフィルムの反り変形がないため、ヒートサイクル試験を行っても透明導電膜が破壊されることがなく、良好な導電性を維持できた。これに対して、比較例11の透明導電フィルムは環境変化によるフィルムの反り変形が大きいため、ヒートサイクル試験後の透明導電膜が破壊され、導電性が低下した。
本発明の積層フィルムは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどの表示素子における透明基板として使用できる。また、有機EL照明などの照明装置の透明電極基板として使用できる。また、薄膜シリコン太陽電池、薄膜化合物太陽電池、有機薄膜太陽電池などの太陽電池の透明電極基板として使用できる。特に、前記表示素子駆動ためのTFTを形成した回路基板や有機ELの発光層や太陽電池の半導体層(電荷やホールの発生層)を形成するための基板として好適に使用される。
11,21,31 無機ガラスフィルム
12,22,32 接着層
13,23,33 保護層
24,34 ハードコート層
35 透明導電層
10 積層フィルム
20 ハードコート付き積層フィルム
30 透明導電性積層フィルム

Claims (11)

  1. 無機ガラスフィルムの両面に、高分子からなる接着層、および耐熱性有機高分子からなる保護層が順次塗布形成された積層フィルムであって、以下の(1)〜(7)
    (1)積層フィルムが厚さ方向に対称構造を持つ
    (2)無機ガラスフィルムの厚さが5μm〜200μm
    (3)接着層の厚さが0.01μm〜1μm
    (4)保護層の片面の厚さが5μm〜200μm
    (5)前記無機ガラスフィルムの厚さと、前記保護層の総厚さ(両面の合計)の比が0.20 ≦ 無機ガラスフィルムの厚さ(μm)/保護層の総厚さ(μm) ≦ 10
    (6)積層フィルムの全光線透過率が85%以上、且つヘーズが1%以下
    (7)積層フィルムの波長550nmにおける面内位相差(R)が0〜5nmであり、且つ波長550nmにおける厚さ方向の位相差(Rth)が0nm〜50nm
    [Rthは波長550nmにおける光学フィルムのRth=[n−(n+n)/2]×d(式中、n,n,nは光学フィルムの三次元屈折率でそれぞれx軸,y軸,z軸方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である)で計算される値である。]
    を同時に具備することを特徴とする、電子部品の基板として適した積層フィルム。
  2. 前記無機ガラスフィルムの厚さと、前記保護層の総厚さ(両面の合計)の比が、
    0.50 ≦ 無機ガラスフィルムの厚さ(μm)/保護層の総厚さ(μm) ≦ 2.0
    である、請求項1記載の積層フィルム。
  3. 前記耐熱性有機高分子が、ガラス転移温度が200℃以上の熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂である請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記耐熱性有機高分子の波長550nmにおける光弾性係数の絶対値が80×10−12Pa−1以下である請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記耐熱性有機高分子の吸水率が1.0%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記耐熱性有機高分子の50℃〜150℃の範囲における平均の線膨張係数が0〜100ppm/℃である請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 前記耐熱性有機高分子が、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂からなる群より選ばれるいずれかを主成分とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 無機ガラスフィルムと保護層との密着性が、碁盤目試験における剥離しなかった碁盤目の数/全碁盤目の数で80%以上である請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルムの片面または両面に、更にハードコート層を配した、ハードコート付き積層フィルム。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルムまたは請求項9記載のハードコート付き積層フィルムの片面または両面に、更に透明導電層を配したことを特徴とする透明導電性積層フィルム。
  11. 請求項10記載の透明導電性積層フィルムを用いたことを特徴とする電子部品。
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