[go: up one dir, main page]

JP2005278596A - 甘藷茎葉処理物の製造方法 - Google Patents

甘藷茎葉処理物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005278596A
JP2005278596A JP2004101927A JP2004101927A JP2005278596A JP 2005278596 A JP2005278596 A JP 2005278596A JP 2004101927 A JP2004101927 A JP 2004101927A JP 2004101927 A JP2004101927 A JP 2004101927A JP 2005278596 A JP2005278596 A JP 2005278596A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sweet potato
powder
heat
leaves
foliage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004101927A
Other languages
English (en)
Inventor
Akiyoshi Sugawara
晃美 菅原
Keien Ko
炯炎 顧
Hideo Fukazawa
秀夫 深澤
Makoto Yoshimoto
誠 吉元
Kinya Takagaki
欣也 高垣
Sadao Mori
貞夫 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Shinyaku Co Ltd
National Agriculture and Bio Oriented Research Organization NARO
Original Assignee
Toyo Shinyaku Co Ltd
National Agriculture and Bio Oriented Research Organization NARO
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Shinyaku Co Ltd, National Agriculture and Bio Oriented Research Organization NARO filed Critical Toyo Shinyaku Co Ltd
Priority to JP2004101927A priority Critical patent/JP2005278596A/ja
Publication of JP2005278596A publication Critical patent/JP2005278596A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Preparation Of Fruits And Vegetables (AREA)

Abstract

【課題】 ポリフェノール含有量および/または抗酸化活性が高い甘藷茎葉処理物の製造方法を提供すること。
【解決手段】 ポリフェノール含有量および/または抗酸化活性が高い甘藷茎葉処理物の製造方法であって、甘藷茎葉を、pHが5.6以上で加熱処理する工程を包含する、方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、甘藷茎葉処理物の製造方法に関する。より詳細には、ポリフェノール含有量および/または抗酸化活性が高い甘藷茎葉処理物の製造方法に関する。
甘藷の茎葉は、ビタミン、ミネラルなどの健康に有効な成分を含有することが知られており、食品原料として利用されている(特許文献1)。例えば、特許文献1には、甘藷の茎葉を水に浸漬、煮沸し、溶出液を濃縮し、得られたエキスを海苔に塗布したカリウム含有食品が記載されている。特許文献2には、甘藷茎葉の処理方法として、甘藷茎葉を洗浄する際に、含有されるビタミン、ミネラルなどの有効成分を流出させないように、噴出水で洗浄し、乾燥、粉末化することが記載されている。
この甘藷茎葉は、近年、ビタミン、ミネラル以外の有効成分として、さらにポリフェノールを含有することが明らかになり、注目されている。ポリフェノールは、種々の植物、例えば、紫サツマイモ、コガネセンガンなどに含有され(例えば、非特許文献1および2)、抗酸化作用などの種々の生体内活性を有する。特許文献3には、ポリフェノールの1つであるプロアントシアニジンとグルタチオンとを含有する食品組成物が、相乗的な美白効果を有することが記載されている。
しかし、ポリフェノールなどの抗酸化作用を有する有効成分は、一般に、酸化などにより分解され易く、損失され易い。このような損失は、植物の種類、植物の部位、処理方法などによって、その量および速度が異なるため、抗酸化作用を有する有効成分に着目する場合は、種々の検討を行うことが必要である。甘藷茎葉については、ポリフェノールまたは抗酸化活性に着目して処理することは、未だ検討されていない。
特開平7−11878号公報 特開平6−62783号公報 特許第3040992号公報 須田郁夫ら、DPPH分光法による有色農産物・食品のラジカル消去能の測定、九州農業研究、第61巻、第32頁、1999年 沖ら、紫サツマイモを原材料としたチップスのラジカル消去活性、食科工、第48巻、第12号、926頁〜932頁、2001年
そこで、ポリフェノール含有量が高い、あるいは抗酸化活性を有する甘藷茎葉処理物の製造方法が望まれている。
本発明のポリフェノール含有量および/または抗酸化活性が高い甘藷茎葉処理物の製造方法は、甘藷茎葉を、pH5.6以上で加熱処理する工程を包含する。
好ましい実施態様においては、上記加熱処理は、80℃より高い温度で行われる。
本発明の製造方法によれば、ポリフェノール含有量および/または抗酸化活性が高い甘藷茎葉処理物を得ることができる。この甘藷茎葉処理物は、さらに、甘藷茎葉が本来有する色彩などの安定性に優れ、苦味、えぐ味が少なく、嗜好性にも優れるため、種々の食品などと組み合わせて組成物とすることができる。
(甘藷茎葉)
本発明に用いられる甘藷は、一般にサツマイモと呼ばれる、ヒルガオ科に属する植物である。品種としては、例えば、コガネセンガン、シロユタカ、サツマスターチ、アヤムラサキ、すいおうなどが挙げられる。
本明細書において、甘藷茎葉とは、上記甘藷の栽培時における地上部位のことをいう。特に、地上から5cm以上、好ましくは10cm以上、より好ましくは20cm以上成長した甘藷茎葉が好適に用いられる。さらに、緑色を保持した甘藷茎葉を用いることが好ましい。
甘藷茎葉は、収穫後、通常、付着した泥などを落とすために水などで洗浄する。甘藷茎葉は、必要に応じて、適切な長さ(例えば、長径が10〜30cm程度)に裁断する。
(加熱処理工程)
上記甘藷茎葉を、pH5.6以上で加熱処理する。具体的には、甘藷茎葉を、pH調整剤を添加して所定のpHに調整した水溶液に浸漬して加熱処理する、あるいは上記水溶液を甘藷茎葉に噴霧した後に加熱処理する。ポリフェノールなどの抗酸化活性に有効な成分を高く保持する観点から、好ましくはpHが5.6以上8.4未満、より好ましくは5.6〜8.0、さらに好ましくは6.6〜8.0、最も好ましくは7.0〜8.0で加熱処理する。この加熱処理によって、抗酸化活性が高められた甘藷茎葉処理物が得られる。pHが5.6未満では、甘藷茎葉処理物中のポリフェノール量が減少し、抗酸化活性も減少する。pHが8.4を超えると、ポリフェノールが分解されるおそれがあるため、注意を要する。
pH調整剤は、例えば、塩基性に調整する場合は、水酸化ナトリウム、重曹、炭酸カルシウム(卵殻カルシウム、ホタテ貝殻カルシウム、サンゴカルシウムなど)、該炭酸カルシウムを焼成して得られる酸化カルシウムなどが用いられる。また、アルカリイオン水などを所定のpHに調整した水溶液として直接使用してもよい。酸性に調整する場合は、酢酸、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸などの有機酸などが用いられる。
所定のpHに調整した水溶液の量は、特に制限されない。甘藷茎葉に噴霧する場合は、十分に接触させることが好ましい。
加熱処理温度は、特に制限されないが、好ましくは80℃より高い温度、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは90℃〜97℃である。加熱時間は、甘藷茎葉の大きさ、加熱温度などによって適宜設定すればよい。好ましくは5分未満、より好ましくは3分以下、さらに好ましくは10秒間〜3分間程度、特に好ましくは10秒間〜2分間程度、最も好ましくは10秒間〜1分間程度である。
加熱処理方法としては、ブランチング処理(湯通し)、乾熱処理、マイクロウェーブ処理、赤外線または遠赤外線処理、水蒸気処理などが挙げられる。これらの中でも、ブランチング処理、水蒸気処理が好ましく用いられる。
加熱処理は、特に、甘藷茎葉を、pH7.0〜8.0に調整された水溶液に浸漬させ、90℃〜97℃にて10秒間〜1分間ブランチング処理することが好ましい。上記の条件で処理することによって、色素であるクロロフィルを減少させずに甘藷茎葉が本来有する緑色を保持し、風味や栄養素を損なわず、かつポリフェノールなどの有効成分の生理活性(特に抗酸化活性)が高い甘藷茎葉処理物を得ることができる。
加熱処理する前に、風味を改善する観点から、水溶液中に予め0.01〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%の食塩を添加してもよい。食塩を添加することにより、さらに緑色が鮮やかで風味がよく嗜好性に優れた甘藷茎葉処理物を得ることができる。
加熱処理終了後、甘藷茎葉の緑色および風味を維持するために、直ちに冷却することが好ましい。冷却方法は、特に制限されず、当業者が通常用いる冷却手段を用いることができる。例えば、処理後の甘藷茎葉を、冷却水中に浸漬する、冷風を接触させるなどの方法が挙げられる。冷却は、より低温で行うことが、甘藷茎葉の緑色が映え、外観に優れる点から好ましい。冷却時間は、甘藷茎葉の処理量に応じた任意の時間であるが、甘藷茎葉自身が冷却温度と同等になるまで行うことが好ましい。
冷却水中に浸漬する場合、該冷却水は、30℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。
(甘藷茎葉処理物)
本発明によって得られる甘藷茎葉処理物は、ポリフェノールを高い割合で含有する。好ましくは、処理前の甘藷茎葉に比べて、好ましくは0.5倍〜2倍、より好ましくは0.5倍〜1.5倍、さらに好ましくは1倍〜1.5倍のポリフェノールを含有する。
上記甘藷茎葉処理物は、ポリフェノールの中でも特に、生理活性に優れた甘藷茎葉由来のポリフェノールを高い割合で含有する。このような甘藷茎葉由来のポリフェノールとしては、カフェー酸、カフェー酸とキナ酸とが結合したカフェオイルキナ酸などが挙げられる。カフェオイルキナ酸は、具体的には、1分子のキナ酸に対して、1分子のカフェー酸が結合したクロロゲン酸、2分子のカフェー酸が結合したジカフェオイルキナ酸(3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸など)、3分子のカフェー酸が結合したトリカフェオイルキナ酸(3,4,5−トリカフェオイルキナ酸など)、これらの誘導体などである。このような特徴的なポリフェノールは、高い抗酸化活性を発揮するのみならず、抗HIV効果などの様々な生理活性を有する。
上記甘藷茎葉処理物はさらに、処理しなかった甘藷茎葉に比べて、長期間(例えば、1ヶ月以上)保存した場合にも、甘藷茎葉本来の鮮やかな緑色を呈し、該緑色を安定に保持する。さらに、嗜好性に優れる。
上記甘藷茎葉処理物は、例えば、ペースト状、液状、粉末状などの種々の形態に処理され、食品原料として利用でき、食品組成物とすることができる。
上記ペーストは、フードプロセッサ、マスコロイダーなどの当業者が通常用いる破砕手段を行うことによって得られる。破砕を容易にする観点から、フードプロセッサなどで粗く破砕した後に、マスコロイダーなどを用いて更に細かく破砕することが好ましい。
上記液状物は、例えば、該甘藷茎葉処理物を圧搾機などで搾汁するか、あるいは上記ペーストの固形分を濾過などの当業者が通常用いる分離手段によって除去することによって得られる。この液状物はそのまま飲料などとして利用され得る。液状物を食品原料とする場合、80℃〜130℃で加熱殺菌して用いることが好ましい。
上記粉末は、例えば、該甘藷茎葉処理物を乾燥し、粉砕することにより得られる、あるいはそのペーストまたはその液状物を乾燥し、必要に応じて、粉砕することによって得られる。
甘藷茎葉処理物またはそのペーストを粉末化する場合の乾燥方法は、熱風乾燥機、高圧蒸気乾燥機、電磁波乾燥機、凍結乾燥機、直火式加熱機、回転式乾燥機などが用いられ得る。製造上のコストや乾燥の効率の面からは、熱風乾燥機、直火式加熱機、および回転式乾燥機が好適である。なお、乾燥温度は、風味が良く、かつ色が鮮やかな甘藷茎葉処理物の粉末を得る点から、60℃〜150℃程度で行うことが好ましい。
回転式乾燥機を用いる場合は、上記ペースト、好ましくはフードプロセッサなどで粗く破砕した後に、マスコロイダーなどを用いて更に細かく破砕したペーストを、好ましくは100℃〜150℃、より好ましくは110℃〜130℃の加熱温度で回転ドラムに投入することで、水分含有量が5重量%以下の甘藷茎葉粉末を得ることができる。加熱温度が高温であるため、同時に殺菌も行うことができる。なお、この場合の加熱時間は、甘藷茎葉が変色する恐れがあるため、30秒間〜2分間程度とすることが好ましい。
熱風乾燥機を用いる場合は、緑葉の水分含量が5重量%となるまで1段階で乾燥を行ってもよいが、2段階乾燥を行うことが好ましい。2段階乾燥は、水分含有量が25重量%以下となるまで60〜80℃の温度で一次乾燥した後、該一次乾燥した緑葉の水分含量が5重量%以下となるまで一次乾燥よりも高い温度で二次乾燥することが好ましい。乾燥温度が60℃未満では乾燥速度が遅くなり、また、乾燥温度が100℃を超える場合は焦げを生じることがある。そのため、1次乾燥温度を80℃前後に調整することでポリフェノール含有量が多く色鮮やかな甘藷茎は粉末を得ることができる。この2段階乾燥を行うことにより、乾燥時間が短縮されると同時に、甘藷茎葉の緑色および風味が維持される。一次乾燥と二次乾燥との温度差は、約5〜15℃が好ましく、約10℃であることがより好ましい。また、温度差を上記のように一定範囲に設定することにより、乾燥工程における緑葉の水分管理が容易になり、効率的に乾燥が行われる。
乾燥した甘藷茎葉処理物は、必要に応じて、粉砕することによって、甘藷茎葉処理物の微粉末とすることができる。甘藷茎葉は、茎部、葉部、葉柄部などの異なる大きさ、硬さなどを有する。そのため、粉砕を容易にする観点から、粗粉砕処理を行った後に微粉砕処理を行うことが好ましい。
粗粉砕処理は、乾燥した緑葉をカッター、スライサー、ダイサーなどの当業者が通常用いる任意の機械または道具を用いて行われる。粗粉砕物の大きさは、長径が20mm以下であり、好ましくは0.1〜10mmである。
粗粉砕処理と微粉砕処理との間で殺菌処理することが好ましい。甘藷茎葉処理物を均一に加熱することができ、甘藷茎葉処理物の香味を良好にし、かつ効率の良い殺菌を行うことができる。この殺菌処理は、110℃以上で行い、高圧殺菌機、加熱殺菌機、加圧蒸気殺菌機などを用いることができる。例えば、加圧蒸気殺菌による加熱処理の場合、粗粉砕物は、例えば、0.5〜10kg/cmの加圧下、110〜200℃の飽和水蒸気により、2〜10秒間加熱処理される。
微粉砕処理は、得られる粗粉砕物の90重量%が200メッシュ区分を通過するように、微粉砕される。微粉砕は、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの当業者が通常用いる任意の機械または道具を用いて行われる。微粉砕することにより食感がよくなる。特に、粗粉砕処理、加熱処理、および微粉砕処理の順に行われることにより、さらに食感がよくなる。
甘藷茎葉処理物の液状物を粉末化する方法としては、例えば、加熱乾燥機、減圧濃縮機または凍結乾燥機等で乾燥した後、粉砕するか、あるいはスプレードライヤーなどの噴霧乾燥機を用いて直接粉末化され得る。噴霧乾燥を用いる場合は、回収率を上げるために、必要に応じて、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、マルトースのような賦形剤を添加して行われる。好適にはデキストリンが用いられる。液状物とデキストリンの比は、デキストリン添加により粉末化を容易にするため、重量比で1:10〜5:1が好ましい。
(甘藷茎葉処理物含有組成物)
本発明の甘藷茎葉処理物は、そのまま、あるいは、必要に応じて、種々の食品、添加剤などと配合することにより甘藷茎葉処理物含有組成物とすることができる。甘藷茎葉処理物の含有量は、特に制限されない。
添加剤としては、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料などが挙げられる。食品添加剤としては、例えば、ローヤルゼリー、ビタミン、プロテイン、カルシウム、キトサン、レシチン、糖液、調味料などが挙げられる。
このような組成物は、必要に応じて、ハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、錠剤、丸剤、顆粒、ティーバッグ、飴状の粘稠な液体、液体などの当業者が通常用いる形態で利用される。これらは、形状または好みに応じて、そのまま食してもよく、あるいは水、湯、牛乳などに溶いて飲んでもよく、成分を浸出させたものを摂取してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、この実施例は本発明を制限することを意図しない。
(実施例1:甘藷茎葉加熱処理物の調製)
シロユタカの種芋を植え込み、栽培して、地上から30cm程度に成長した茎葉を刈り取り、水で2回洗浄して2kgの甘藷茎葉を得た。
上記甘藷茎葉100gを、酢酸および/または重曹でpHを5.6に調整した熱水(97℃)に1分間浸漬した。次いで、直ちに20℃の水に浸漬し、冷却した。得られた甘藷茎葉加熱処理物を凍結乾燥し、マイクロハンマーミル(KG IKA-Labortechnik、Janke & Kunkel Gmph & Co.)を用いて粉砕し、甘藷茎葉加熱処理物の乾燥粉末を得た(粉末1)。
この甘藷茎葉加熱処理物の乾燥粉末(粉末1)中の総ポリフェノール量を以下のようにして測定した。まず、10mgの粉末1に80容量%のエタノール水溶液5mLを加えて100℃にて5分間抽出した。その後、3000rpmにて15分間遠心分離を行い、上清を回収した。この上清25μLをマイクロプレートに採取して減圧濃縮乾固させた後、蒸留水を25μL加えて分析用サンプルとした。この分析用サンプルに25μLの蒸留水および125μLの10%タンパク質測定用フェノール試薬(ナカライテスク株式会社製)を加えて3分間攪拌した後、125μLの10%炭酸ナトリウム水溶液を加えてブルーに発色させた。発色後、マイクロプレートリーダーを用いて600nmの吸光度を測定した。なお、標準物質として、市販のクロロゲン酸(シグマ・アルドリッチジャパン社製)を用いた。上記と同様に600nmの吸光度を測定して検量線を作成し、これを用いて、クロロゲン酸換算にて総ポリフェノール量を算出した。さらに、上記操作を3回行って総ポリフェノール量の平均値を求めた。結果を表1に示す。
(実施例2〜7)
実施例1のpHを5.6に調整した熱水(97℃)の代わりに、pHを6.6、7.0、7.3、7.6、8.0、および8.4に調整した6種類の熱水(97℃)をそれぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様にして、甘藷茎葉加熱処理物の乾燥粉末を得(粉末2〜7)、各粉末中の総ポリフェノール量を実施例1と同様にして測定し、平均値を求めた。結果を表1に併せて示す。
(比較例1および2)
実施例1のpHを5.6に調整した熱水(97℃)の代わりに、pHを3.4および4.0に調整した2種類の熱水(97℃)をそれぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様にして、甘藷茎葉加熱処理物の乾燥粉末を得(粉末8および9)、その総ポリフェノール量を測定し、平均値を求めた。結果を表1に併せて示す。
Figure 2005278596
表1の結果から、実施例のpHを5.6以上の熱水で加熱処理を行った粉末(粉末1〜7)は、比較例の上記pH5.6未満の熱水で加熱処理を行った粉末(粉末8および9)に比べて、総ポリフェノール量が多かった。このことは、本発明の製造方法によって、総ポリフェノール量の残存量が高い甘藷茎葉処理物が得られることを示す。
(実施例8:抗酸化活性)
実施例1、2、4、および7で得られた4種類の粉末(粉末1、2、4、および7)の抽出液を用いて、抗酸化活性を評価する指標として、ラジカル消去活性を測定した。ラジカル消去活性の測定は、DPPH法(非特許文献1および2)を参考にして行った。まず、各抽出液を3倍希釈し、試験液とした。次いで、各試験液75μLをマイクロプレートの各ウェルに入れ、0.1MのMES(2−モルホリノエタンスルホン酸1水和物、和光純薬工業株式会社製)含有エタノール溶液(pH6.0)150μLおよび0.16mg/mLのDPPH含有エタノール溶液(3.94mgのDPPHを50%エタノール溶液に溶解)75μLを添加して2分間攪拌した。攪拌後、二波長フライングスポットデンシトメーター(島津製作所製、CS9300)を用いて520nmの吸光度を測定した。標準物質として、Trolox(シグマ・アルドリッチジャパン社製)を用いた。このTroloxを80%エタノール水溶液に溶解させた標準希釈溶液(0.4mM、0.13mM、0.04mM、および0.01mM)を調製し、上記と同様に測定して検量線を作成した。なお、ブランクとして、80%エタノール水溶液を用いた。この検量線を用いて、各試験液の吸光度から、粉末1g当たりのTrolox量を算出した。さらに、上記操作を3回行って粉末1g当たりのTrolox量の平均値を求めた。結果を表2に示す。なお、Trolox量の値が大きいほど、ラジカル消去活性が高いことを示す。
Figure 2005278596
表2の結果から、実施例のpHを5.6以上の熱水で加熱処理を行った粉末(粉末1、2、4、および7)は、抗酸化活性を有することがわかる。特に、粉末1、2、および4(pH5.6〜7.3で加熱処理)、好ましくは粉末4(pH7.3で加熱処理)が抗酸化活性が高かった。なお、これらの甘藷茎葉処理物は鮮やかな緑色を呈し、1ヶ月間室温で放置しても、安定に保持されていた。
(実施例9)
実施例1で得られた甘藷茎葉100gを、重曹でpHを8.3に調整した1Lの熱水(70℃)に1分間浸漬した。次いで、直ちに20℃の水に浸漬し、冷却した。得られた甘藷茎葉加熱処理物を凍結乾燥し、マイクロハンマーミル(KG IKA-Labortechnik、Janke & Kunkel Gmph & Co.)を用いて粉砕し、甘藷茎葉加熱処理物の乾燥粉末を得た(粉末10)。この甘藷茎葉加熱処理物の乾燥粉末の総ポリフェノール量を実施例1と同様にして、ラジカル消去活性を実施例8と同様にして測定し、それぞれ3回測定した値の平均値を求めた。結果を表3に示す。
(実施例10〜12)
70℃の熱水の代わりに、80℃、90℃、および97℃の各熱水を用いたこと以外は、実施例9と同様にして、甘藷茎葉加熱処理物の粉末を得(粉末11〜13)、その総ポリフェノール量およびラジカル消去活性を測定し、それぞれ3回測定した値の平均値を求めた。結果を表3に併せて示す。
Figure 2005278596
表3の結果から、甘藷茎葉を所定のpHで加熱処理する場合、特に70℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上で加熱処理することにより、より高いポリフェノール含有量および抗酸化活性を有する甘藷茎葉加熱処理物が得られることがわかる。
(実施例13)
実施例1の甘藷茎葉30gを、1.5LのpH7.0に調整した熱水(97℃)に10秒間浸漬した。加熱処理された甘藷茎葉を取り出し、直ちに20℃の水に浸漬し、冷却した。得られた甘藷茎葉加熱処理物を凍結乾燥し、マイクロハンマーミル(KG IKA-Labortechnik、Janke & Kunkel Gmph & Co.)を用いて粉砕し、甘藷茎葉加熱処理物の乾燥粉末を得た(粉末14)。上記と同様にして、加熱処理を20、30、60、120、180、および300秒間行った甘藷茎葉加熱処理物の乾燥粉末を得た。各粉末をそれぞれ粉末15〜20とする。さらに、加熱処理しないこと以外は、上記と同様にして、甘藷茎葉の乾燥粉末を得た。これを粉末21とする。粉末14〜21の総ポリフェノール量を実施例1と同様にして測定し、平均値を求めた。また、加熱処理を60秒間、120秒間、および180秒間行った粉末17〜19については、さらに、実施例1と同様の方法でTrolox量を測定し、平均値を求め、抗酸化活性を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2005278596
表4の結果から、pH5.6以上で加熱処理を行った粉末(粉末14〜20)はポリフェノールを保持していることがわかる。特に、pH5.6以上で加熱処理を10秒間〜60秒間行った粉末(粉末14〜17)は、加熱処理していない粉末(粉末21)に比べて、総ポリフェノール量が増加した。また、加熱処理を300秒間行った粉末(粉末20)の総ポリフェノール量は、加熱処理していない粉末(粉末21)の50%以下であった。抗酸化活性については、測定した粉末(粉末17〜19)はいずれも、高いTrolox量を示し、ラジカル消去活性に優れていた。
(実施例14)
上記実施例で得られた粉末1、2、4、10〜12、18、および19の8種類の粉末について、さらに、ポリフェノールの中でも、甘藷茎葉由来の特徴成分である、カフェー酸(CFA)、クロロゲン酸(CHA)、3,4−ジカフェオイルキナ酸(3,4−diCQA)、3,5−ジカフェオイルキナ酸(3,5−diCQA)、4,5−ジカフェオイルキナ酸(4,5−diCQA)、および3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(3,4,5−triCQA)を、HPLCを用いて以下の条件で測定した。結果を表5に示す。なお、試料は、100mgの粉末に精製水8mLを加えて数秒間ボルテックスで混合した後、沸騰水中で10分間加熱し、遠心分離により上清を回収し、この上清に2%アスコルビン酸水溶液を等量添加することによって調製した。
(HPLC条件)
カラム:YMC−Pack ODS−AMAM−302
(4.6mm I.D.×150mm)
移動相A: 0.2%ギ酸水溶液
移動相B: 0.2%ギ酸メタノール溶液
移動相AとBとの容量比:試料インジェクト後0分〜5分は、A:B=98:2。それ以後、15分〜50分かけて98:2から55:45となるようにグラジエント
流速:1mL/min.
カラム温度:40℃
測定波長:326nm
標準物質:クロロゲン酸(和光純薬工業株式会社)
Figure 2005278596
表5の結果から、pH5.6以上の熱水で加熱処理を行った粉末、すなわち測定した粉末はいずれも、甘藷茎葉由来の特徴的なポリフェノールを高い割合で含有することがわかる。特に、pH5.6以上で、かつ80℃以上の熱水で加熱処理を行った粉末(1、2、4、11、12、18、および19)は、pH5.6以上で、かつ70℃の熱水で加熱処理を行った粉末(粉末10)に比べて、粉末中のクロロゲン酸(II)(CHA)の含有量が高いことならびにジカフェオイルキナ酸(III)(diCQA)およびトリカフェオイルキナ酸(IV)(triCQA)の合計量(III+IV)が高いことがわかる。この甘藷茎葉の特徴的なポリフェノールを高い割合で含有するための加熱処理条件は、pHについては、粉末1、2、および4の比較からpH6.6以上および8.4未満であること、加熱処理温度については、粉末10〜12の比較から90℃以上であること、加熱処理時間については、粉末18および19の比較から3分以内、特に2分以内であることが好ましいことがわかる。
(実施例15)
シロユタカの種芋を植え込み、栽培して、地上から30cm程度に成長した茎葉を刈り取り、水で2回洗浄して5kgの甘藷茎葉を得た。この甘藷茎葉5kgを、重曹でpH7.6に調整した2Lの熱水(97℃)に1分間浸漬した。次いで、直ちに25℃の水に浸漬し、冷却した。得られた甘藷茎葉加熱処理物を、フードプロセッサを用いて粉砕し、更にマスコロイダーを用いて粉砕して、ペーストとした。このペーストを、回転式乾燥機(ドラムドライヤ:JOHN-MILLDER研究開発用ドラムドライヤー試験機、ジョンソンボイラ株式会社製)を用いて120℃にて加熱乾燥し、甘藷茎葉加熱処理物の乾燥粉末0.5kgを得た。
(実施例16)
シロユタカの地上から30cm程度に成長した茎葉を刈り取り、水で2回洗浄して1.5kgの甘藷茎葉を得た。この甘藷茎葉1.5kgをpH7.3に調整した2Lの熱水(90℃)に1分間浸漬した。次いで、直ちに25℃の水に浸漬し、冷却した。得られた甘藷茎葉加熱処理物を30秒間遠心分離してある程度まで脱水した後、甘藷茎葉加熱処理物の水分量が約20重量%となるように、70℃にて2時間温風乾燥(一次乾燥)した。次いで、甘藷茎葉加熱処理物の最終水分量が3重量%となるように、80℃にて4時間温風乾燥(二次乾燥)した。得られた甘藷茎葉加熱処理物の乾燥物を約5mmの大きさにカッターを用いて粗粉砕(切断)した。次いで、150℃の飽和水蒸気圧を用いて3秒間加圧蒸気殺菌した。さらに粗粉砕物を乾燥した後、200メッシュ区分を90重量%が通過するようにハンマーミルを用いて微粉砕して、甘藷茎葉加熱処理物の微粉末を得た。この甘藷茎葉加熱処理物の微粉末は、水に溶解すると青汁として利用できる優れた緑色を有した。この青汁は、苦味やえぐみが少なく、嗜好性のよいものであった。
本発明の方法は、甘藷茎葉を、pH5.6以上で加熱処理する工程を包含することによって、ポリフェノール含有量および/または抗酸化活性が高い甘藷茎葉処理物を得ることができる。この甘藷茎葉処理物は、さらに、甘藷茎葉が本来有する色彩などの安定性に優れ、苦味、えぐ味が少なく、嗜好性にも優れる。この方法によって得られる甘藷茎葉処理物は、食品原料(例えば、青汁)などとして利用される。

Claims (2)

  1. ポリフェノール含有量および/または抗酸化活性が高い甘藷茎葉処理物の製造方法であって、
    甘藷茎葉を、pH5.6以上で加熱処理する工程を包含する、方法。
  2. 前記加熱処理が、80℃より高い温度で行われる、請求項1に記載の方法。
JP2004101927A 2004-03-31 2004-03-31 甘藷茎葉処理物の製造方法 Pending JP2005278596A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004101927A JP2005278596A (ja) 2004-03-31 2004-03-31 甘藷茎葉処理物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004101927A JP2005278596A (ja) 2004-03-31 2004-03-31 甘藷茎葉処理物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005278596A true JP2005278596A (ja) 2005-10-13

Family

ID=35177647

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004101927A Pending JP2005278596A (ja) 2004-03-31 2004-03-31 甘藷茎葉処理物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005278596A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007045798A (ja) * 2005-08-12 2007-02-22 Saga Univ ポリフェノールの抽出方法とその装置
JP2012039905A (ja) * 2010-08-17 2012-03-01 Mikasa Sangyo Kk 高活性酸素吸収作用を有する乾燥野菜の製法およびそれにより得られた乾燥野菜
CN102626209A (zh) * 2012-04-13 2012-08-08 华南农业大学 一种功能性番薯干及其制备方法
CN103393882A (zh) * 2013-07-30 2013-11-20 中国农业科学院农产品加工研究所 一种甘薯茎叶多酚及其制备方法
JP2014121282A (ja) * 2012-12-20 2014-07-03 Kao Corp クロロゲン酸類の安定化方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007045798A (ja) * 2005-08-12 2007-02-22 Saga Univ ポリフェノールの抽出方法とその装置
JP2012039905A (ja) * 2010-08-17 2012-03-01 Mikasa Sangyo Kk 高活性酸素吸収作用を有する乾燥野菜の製法およびそれにより得られた乾燥野菜
CN102626209A (zh) * 2012-04-13 2012-08-08 华南农业大学 一种功能性番薯干及其制备方法
JP2014121282A (ja) * 2012-12-20 2014-07-03 Kao Corp クロロゲン酸類の安定化方法
CN103393882A (zh) * 2013-07-30 2013-11-20 中国农业科学院农产品加工研究所 一种甘薯茎叶多酚及其制备方法
CN103393882B (zh) * 2013-07-30 2016-04-13 中国农业科学院农产品加工研究所 一种甘薯茎叶多酚及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5887470B1 (ja) 阿蘇産の大麦の茎及び/又は葉
KR102136531B1 (ko) 메밀이 함유된 기능성 드립백 커피의 제조방법
US11000048B2 (en) Method of producing protein-containing powder
JP2006306851A (ja) 健康食品
JP4977920B2 (ja) 緑葉搾汁混合液および緑色搾汁混合粉末の製造方法、緑葉搾汁混合液および緑色搾汁混合粉末、これらを含む飲食品、健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品
KR101836377B1 (ko) 아로니아분말을 이용한 고추장의 제조방법
JP2005278596A (ja) 甘藷茎葉処理物の製造方法
KR20140072595A (ko) 모시잎 추출물을 함유하는 천연조미료 및 그의 제조방법
CN101610685A (zh) 风味改善剂及含有该风味改善剂的食品
JP7104049B2 (ja) 植物含有組成物の製造方法
JP2006008665A (ja) 甘藷茎葉の抽出物
WO2006118316A1 (ja) 肝中脂質蓄積抑制剤
JP2005237291A (ja) 健康食品
KR101853848B1 (ko) 참외 주박 소금 제조방법 및 그 참외 주박 소금
JP2006006318A (ja) 味覚修飾剤
KR20190066269A (ko) 비린내를 제거한 홍합분말의 제조방법
JP3277181B1 (ja) 緑葉乾燥微粉末の製造方法
JP2006306852A (ja) 抗肥満剤
JP2003000178A (ja) 麦若葉末の製造方法
JP2005330240A (ja) 抗高血圧剤
KR101278186B1 (ko) 마늘 진액 발효소금의 제조방법
KR20170127671A (ko) 초고압을 이용한 유색식물 추출물을 포함하는 청국장 분말의 제조방법
JP5815083B2 (ja) 黒ボク土を用いて栽培した大麦の葉及び/又は茎
JP2006006317A (ja) 味覚修飾剤
KR102308716B1 (ko) 블루베리가 첨가된 냉면 면발의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070117

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090407

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090414

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090604

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090707