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JP2005230661A - 可視光光触媒組成物および可視光光触媒含有塗膜 - Google Patents

可視光光触媒組成物および可視光光触媒含有塗膜 Download PDF

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JP2005230661A
JP2005230661A JP2004042136A JP2004042136A JP2005230661A JP 2005230661 A JP2005230661 A JP 2005230661A JP 2004042136 A JP2004042136 A JP 2004042136A JP 2004042136 A JP2004042136 A JP 2004042136A JP 2005230661 A JP2005230661 A JP 2005230661A
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carbon atoms
titanium
same
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Application number
JP2004042136A
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English (en)
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Taro Kanamori
太郎 金森
Keisuke Yashima
啓介 八島
Akira Nishikawa
昭 西川
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JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
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Abstract

【課題】400nm未満のスペクトル成分が少なく、可視光が多い環境下、たとえば室内環境下や紫外線カットガラスを有する車室内においても、十分な光触媒作用を示し、かつ透明性に優れたコーティング膜を得ることができ、さらには分散液の保存安定性に優れた可視光光触媒組成物、および透明性に優れた可視光光触媒含有塗膜を得る。
【解決手段】 特定の酸化物半導体、特定の構造を有するチタン化合物、特定の構造を有するオルガノシランの加水分解物、および特定の構造を有するオルガノシロキサンオリゴマーを含有する可視光光触媒組成物、および該可視光光触媒組成物から得られる可視光光触媒含有塗膜。


Description

本発明は、可視光によって光触媒作用を示す可視光光触媒組成物、特にコーティング用に有用な可視光光触媒組成物および該可視光光触媒組成物からなる可視光光触媒含有塗膜に関する。
可視光光触媒活性を有する酸化物半導体(a)について盛んに研究が行われており、可視光で光触媒作用を示す酸化物半導体微粒子が数多く提案されている。また、比較的低温で前記半導体微粒子を固定化するためにバインダーにシロキサン樹脂を使用したコーティング材も一部提供されているが、乾燥塗膜0.1μmとした場合のヘイズが2を超える等、透明性に劣る場合が多い。特に、長期保存した場合に、増粘・ゲル化や粒子沈降などを引き起こし、透明塗膜が得られないなどの問題があり、より分散安定性や貯蔵安定性の優れる可視光光触媒組成物が望まれていた。
一方、特許文献1、2にて光触媒コーティング組成物が提案されている。しかし、光触媒微粒子として可視光で光触媒作用を発揮するよう特別な処理を施した新規な半導体微粒子を使用した場合、半導体微粒子の表面特性が相違し、従来のコーティング組成物では増粘、ゲル化や粒子沈降を引き起こし、十分な分散安定性を確保できず、乾燥塗膜0.1μmとした場合のヘイズが2以下の透明な塗膜を得ることができない場合があった。特に可視光で光触媒作用を示す半導体微粒子の含有量が固形分中25%を超える場合に透明性の低下が顕著になり、より分散安定性、貯蔵安定性に優れ、透明な塗膜が得られる可視光光触媒組成物が望まれていた。
特開2001−192616号公報 特開2002−371234号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、400nm未満のスペクトル成分が少なく可視光が多い環境下、たとえば室内環境下や紫外線カットガラスを有する車室内、において十分な光触媒作用を示し、かつ塗膜の透明性や分散液の保存安定性に優れる可視光光触媒組成物および該可視光光触媒組成物からなる可視光光触媒含有塗膜を提供することを目的としている。
本発明の可視光光触媒組成物および可視光光触媒含有塗膜は以下のとおりである。
すなわち、本発明に係る第一の可視光光触媒組成物は、
(a)可視光光触媒活性を有する酸化物半導体、
(b)下記式(1)
1 mTi(OR2)4-m (1)
(式中、R1は炭素数1〜8個の有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R2は炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアシル基およびフェニル基からなる群から選択される有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R1およびR2は同じであっても異なっていてもよく、mは0〜3の整数である)
で表されるチタンアルコレートおよびその誘導体、ならびに上記式(1)で表されるチタンアシレートおよびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のチタン化合物、および
(c)下記一般式(2)
3 nSi(OR4)4-n (2)
(式中、R3は炭素数1〜8個の1価の有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R4は炭素数1〜5個のアルキル基または炭素数1〜6個のアシル基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R3およびR4は同じであっても異なっていてもよく、nは0〜3の整数である)
で表されるオルガノシランおよびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物、
を含有し、400nm以上の可視光照射下で光触媒活性を有することを特徴としている。
また、本発明に係る第二の可視光光触媒組成物は
(a)可視光光触媒活性を有する酸化物半導体、
(b)下記式(1)
1 mTi(OR2)4-m (1)
(式中、R1は炭素数1〜8個の有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R2は炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアシル基およびフェニル基からなる群から選択される有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R1およびR2は同じであっても異なっていてもよく、mは0〜3の整数である)
で表されるチタンアルコレートおよびその誘導体、ならびに上記式(1)で表されるチタンアシレートおよびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のチタン化合物、および
(d)Si−O結合を有し、重量平均分子量が300〜100,000であり、かつ、下記式(3)
−(R5O)p−(R6O)q−R7 (3)
(式中、R5およびR6は炭素数1〜5個のアルキル基を表し、同じであっても異なっていてもよく、R7は水素原子または炭素数1〜5個のアルキル基を表し、pおよびqは、p+qの値が2〜50となる数である)
で表される構造を含有するオルガノシロキサンオリゴマー、
を含有し、400nm以上の可視光照射下で光触媒活性を有することを特徴としている。
さらに、本発明に係る第三の可視光光触媒組成物は
(a)可視光光触媒活性を有する酸化物半導体、
(b)下記式(1)
1 mTi(OR2)4-m (1)
(式中、R1は炭素数1〜8個の有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R2は炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアシル基およびフェニル基からなる群から選択される有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R1およびR2は同じであっても異なっていてもよく、mは0〜3の整数である)
で表されるチタンアルコレートおよびその誘導体、ならびに上記式(1)で表されるチタンアシレートおよびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のチタン化合物、
(c)下記一般式(2)
3 nSi(OR4)4-n (2)
(式中、R3は炭素数1〜8個の1価の有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R4は炭素数1〜5個のアルキル基または炭素数1〜6個のアシル基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R3およびR4は同じであっても異なっていてもよく、nは0〜3の整数である)
で表されるオルガノシランおよびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物、および
(d)Si−O結合を有し、重量平均分子量が300〜100,000であり、かつ下記式(3)
−(R5O)p−(R6O)q−R7 (3)
(式中、R5およびR6は炭素数1〜5個のアルキル基を表し、同じであっても異なっていてもよく、R7は水素原子または炭素数1〜5個のアルキル基を表し、pおよびqは、p+qの値が2〜50となる数である)
で表される構造を含有するオルガノシロキサンオリゴマー、
を含有し、400nm以上の可視光照射下で光触媒活性を有することを特徴としている。
また、本発明に係る第四の可視光光触媒組成物では、本発明に係る第一〜第三の可視光光触媒組成物において、(a)可視光光触媒活性を有する酸化物半導体が拡散反射スペクトル測定により測定した400nmにおける吸光度が0.05以上であることが好ましい。
また、本発明に係る第五の可視光光触媒組成物では、本発明に係る第一〜第四の可視光光触媒組成物において、(a)可視光光触媒活性を有する酸化物半導体がブルッカイト型の酸化チタン、イオン注入タイプの酸化チタン、プラズマ処理を施した酸化チタン、酸素欠陥酸化チタン、窒素ドープ酸化チタン、硫黄ドープ酸化チタンおよび白金担持酸化チタンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明に係る第六の可視光光触媒組成物では、本発明に係る第一〜第五の可視光光触媒組成物において、さらに(f)触媒を含有することが好ましい。
また、本発明に係る第七の可視光光触媒組成物では、本発明に係る第一〜第六の可視光光触媒組成物において、膜厚0.1μmの乾燥塗膜としたときのヘイズが2以下であることが好ましい。
本発明に係る可視光光触媒含有塗膜は前記可視光光触媒組成物から得ることができる。
本発明によると、400nm未満のスペクトル成分が少なく、可視光が多い環境下、たとえば室内環境下や紫外線カットガラスを有する車室内においても、十分な光触媒作用を示し、かつ透明性に優れたコーティング膜を得ることができ、さらには分散液の保存安定性に優れた光触媒組成物を得ることができる。また、このような光触媒組成物から得られるコーティング膜は有機物分解など光触媒性能を利用した幅広い用途に好適に使用できる。
以下、本発明に係る可視光光触媒組成物の各成分について詳細に説明する。
(a)可視光光触媒活性を有する酸化物半導体:
本発明に用いられる可視光光触媒活性を有する酸化物半導体は、400nm以上の可視光照射下で光触媒活性を有する可視光光触媒組成物が得られる酸化物半導体(以下、「酸化物半導体(a)」という)であれば特に限定されるものではない。
酸化物半導体(a)としては、たとえば、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化鉄、酸化銅、チタン酸鉄、酸化ニッケル、酸化ビスマスなどの酸化物半導体に、可視光で作用するよう変性処理を行ったものが挙げられる。さらに好ましくは、ブルッカイト型の酸化チタン、イオン注入タイプの酸化チタン、プラズマ処理を施した酸化チタン、酸素欠陥酸化チタン、窒素ドープ酸化チタン、硫黄ドープ酸化チタン、白金担持酸化チタン等が上げられる。
これらの酸化物半導体(a)は、拡散反射スペクトル測定により測定した400nmにおける吸光度が0.05以上、さらには0.07以上、特には0.10以上であることが好ましく、吸光度の高い酸化物半導体(a)を用いることにより得られる光触媒組成物が可視光照射下で光触媒活性が効果的に発現される。拡散反射スペクトル測定による吸光度は、たとえば、日本分光社製の分光光度計V−570により測定することができる。
酸化物半導体(a)は形態を限定されないが、例えば、粉体、水に分散した水系のゾルもしくはコロイド、あるいはアルコール等の極性溶媒やトルエンなどの非極性溶媒中に分散した有機溶媒系のゾルもしくはコロイドなどの形態が挙げられる。酸化物半導体(a)が有機溶媒系のゾルもしくはコロイドである場合、その分散性に応じてさらに水や有機溶媒を用いて希釈してもよく、また、分散性を向上させるために酸化物半導体(a)の表面を処理しても良い。酸化物半導体(a)の形態は、塗膜の所望の特性に応じて適宜決定される。また、酸化物半導体(a)がゾルあるいはコロイドの形態である場合、固形分濃度は40重量%以下が好ましい。酸化物半導体(a)の一次粒子径は200nm以下、特には100nm以下が好ましい。一次粒径が200nmを超える場合、透明性が劣り、0.1μmの塗膜とした場合にヘイズが2を超える場合がある。
酸化物半導体(a)は、可視光光触媒組成物中に、該組成物の全固形分に対して、1重量%〜90重量%、好ましくは15〜85重量%、より好ましくは25〜80重量%の量で含有されることが望ましい。酸化物半導体(a)の量が、可視光光触媒組成物の全固形分中に対して、上記下限未満であると可視光光触媒作用を示さないことがあり、上記上限を超えるとコーティング膜を形成する際にチョーキング等が発生し、製膜性が劣ることがある。
(b)チタン化合物:
本発明に用いられるチタン化合物(b)は、下記式(1)
1 mTi(OR2)4-m (1)
(式中、R1は炭素数1〜8個の有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R2は炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアシル基およびフェニル基からなる群から選択される有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R1およびR2は同じであっても異なっていてもよく、mは0〜3の整数である)
で表されるチタンアルコレートおよびその誘導体、ならびに上記式(1)で表されるチタンアシレートおよびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のチタン化合物である。
チタンアルコレートの誘導体としては、前記チタンアルコレートの加水分解物、前記チタンアルコレートの縮合物、前記チタンアルコレートのキレート化合物、前記チタンアルコレートのキレート化合物の加水分解物、および前記チタンアルコレートのキレート化合物の縮合物が挙げられる。
また、チタンアシレートの誘導体としては、前記チタンアシレートの加水分解物、前記チタンアシレートの縮合物、前記チタンアシレートのキレート化合物、前記チタンアシレートのキレート化合物の加水分解物、および前記チタンアシレートのキレート化合物の縮合物が挙げられる。
上記式(1)において、R1は炭素数1〜8個の有機基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基;
ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基などのアシル基;
ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアネート基などが挙げられる。
さらに、R1として、上記有機基の置換誘導体などが挙げられる。R1の置換誘導体の置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基などが挙げられる。ただし、これらの置換誘導体からなるR1の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8個以下が好ましい。式(1)中にR1が複数個存在する場合には、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
炭素数が1〜6個のアルキル基であるR2として、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基などが挙げられる。
また、炭素数が1〜6個のアシル基であるR2として、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、トリオイル基、カプロイル基などが挙げられる。
式(1)中にR2が複数個存在する場合には、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
チタンアルコレートのキレート化合物は、前記チタンアルコレートと、β−ジケトン類、β−ケトエステル類、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸エステル、ケトアルコールおよびアミノアルコールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物(以下、キレート化剤ともいう)とを反応させることによって得ることができる。また、チタンアシレートのキレート化合物は前記チタンアシレートと前記キレート化剤とを反応させることによって得ることができる。これらのキレート化剤うち、β−ジケトン類またはβ−ケトエステル類が好ましく用いられる。より具体的には、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどが用いられる。
チタンアルコレートおよびチタンアルコレートのキレート化合物として、具体的には、テトラ−i−プロポキシチタニウム、テトラ−n−ブトキシチタニウム、テトラ−t−ブトキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(ラクテタート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナート)チタニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタニウムなどが挙げられる。
これらのうち、テトラ−i−プロポキシチタニウム、テトラ−n−ブトキシチタニウム、テトラ−t−ブトキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウムが好ましい。
また、チタンアシレートおよびチタンアシレートのキレート化合物として、具体的には、ジヒドロキシ・チタンジブチレート、ジ−i−プロポキシ・チタンジアセテート、ビス(アセチルアセトナート)・チタンジアセテート、ビス(アセチルアセトナート)・チタンジプロピオネート、ジ−i−プロポキシ・チタンジプロピオネート、ジ−i−プロポキシ・チタンジマロニエート、ジ−i−プロポキシ・チタンジベンゾイレート、ジ−n−ブトキシ・ジルコニウムジアセテート、ジ−i−プロピルアルミニウムモノマロニエートなどが挙げられる。これらのうち、ジヒドロキシ・チタンジブチレート、ジ−i−プロポキシ・チタンジアセテートが好ましい。
チタンアルコレートの加水分解物、チタンアルコレートのキレート化合物の加水分解物、チタンアシレートの加水分解物、またはチタンアシレートのキレート化合物の加水分解物は、チタンアルコレートまたはチタンアシレートに含まれるOR2基の少なくとも1個が加水分解されていればよく、たとえば1個のOR2基が加水分解されたもの、2個以上のOR2基が加水分解されたもの、あるいはこれらの混合物であってもよい。
チタンアルコレートの縮合物、チタンアルコレートのキレート化合物の縮合物、チタンアシレートの縮合物、およびチタンアシレートのキレート化合物の縮合物はそれぞれ、チタンアルコレート、チタンアルコレートのキレート化合物、チタンアシレート、およびチタンアシレートのキレート化合物が加水分解して生成する加水分解物中のTi−OH基が縮合してTi−O−Ti結合を形成したものである。本発明では、このTi−OH基がすべて縮合している必要はなく、前記縮合物は、僅かな一部のTi−OH基が縮合したもの、大部分(全部を含む)のTi−OH基が縮合したもの、さらには、Ti−OR基とTi−OH基とが混在している縮合物の混合物なども包含する。
本発明では、チタン化合物(b)は、反応性をコントロールしてゲル化を抑制するために、前記縮合物を使用することが好ましく、該縮合物の縮合度は2量体から20量体がより好ましく、縮合度が2から10量体が特に好ましい。この縮合物は、チタンアルコレート、チタンアルコレートのキレート化合物、チタンアシレート、およびチタンアシレートのキレート化合物からなる群から選択される1種のチタン化合物もしくは2種以上のチタン化合物の混合物を、予め加水分解・縮合したものを使用してもよく、あるいは市販されている縮合物を使用してもよい。また、チタンアルコレートまたはチタンアシレートの縮合物は、そのまま使用してもよく、該縮合物中に含まれるOR2基の一部もしくは全部を加水分解したもの、または該縮合物を前記キレート化剤と反応させて得られる、チタンアルコレートもしくはチタンアシレートのキレート化合物の縮合物として使用してもよい。
市販されているチタンアルコレートの縮合物(2量体から10量体)として、日本曹達社製のA−10、B−2、B−4、B−7、B−10等が挙げられる。このようなチタン化合物(b)は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いられるチタン化合物(b)の量は、酸化物半導体(a)の固形分100重量部に対して、完全加水分解縮合物換算で1〜50重量部、好ましくは2〜45重量部、さらに好ましくは3〜40重量部が好ましい。ここで、完全加水分解縮合物とは、式(1)中のOR2基が100%加水分解してTi−OH基となり、さらにTi−OH基が完全に縮合してTi−O−Ti構造を形成したものをいう。これらのチタン化合物(b)は、酸化物半導体(a)の表面に吸着、あるいは結合し、酸化物半導体(a)の溶媒への親和性を向上させ、分散粒子径を減少させる作用や分散性を高める作用があると考えられる。
(c)シラン化合物:
本発明に用いられるシラン化合物(c)は、下記式(2)
3 nSi(OR4)4-n (2)
(式中、R3は炭素数1〜8個の1価の有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R4は炭素数1〜5個のアルキル基または炭素数1〜6個のアシル基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R3およびR4は同じであっても異なっていてもよく、nは0〜3の整数である)
で表されるオルガノシラン(以下、「オルガノシラン(2)」という)およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物である。
オルガノシラン(2)の誘導体としては、オルガノシラン(2)の加水分解物およびオルガノシラン(2)の縮合物が挙げられる。
本発明に用いられるシラン化合物(c)は、オルガノシラン(2)、オルガノシラン(2)の加水分解物、およびオルガノシラン(2)の縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物であって、これら3種のシラン化合物うち、1種のシラン化合物だけを用いてもよく、任意の2種のシラン化合物を混合して用いてもよく、または3種すべてのシラン化合物を混合して用いてもよい。
上記式(2)において、R3は炭素数1〜8個の1価の有機基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基;
アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基などのアシル基;
ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアネート基などが挙げられる。
さらに、R3として、上記有機基の置換誘導体などが挙げられる。R3の置換誘導体の置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基などが挙げられる。ただし、これらの置換誘導体からなるR3の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8個以下が好ましい。式(2)中にR3が複数個存在する場合には、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
炭素数が1〜5個のアルキル基であるR4として、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などを挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基などが挙げられる。
また、炭素数が1〜6個のアシル基であるR4は、(b)チタン化合物に記載の炭素数が1〜6個のアシル基が挙げられる。式(2)中にR4が複数個存在する場合には、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
このようなオルガノシラン(2)として、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類;
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシランなどのモノアルコキシシラン類;
メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシランなどが挙げられる。
これらのうち、トリアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類が好ましく、より好ましくは、トリアルコキシシラン類として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが望ましく、ジアルコキシシラン類として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが望ましい。
本発明に用いられるオルガノシラン(2)は、上記オルガノシラン(2)を1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。たとえば、トリアルコキシシランのみ、またはトリアルコキシシラン40〜95モル%とジアルコキシシラン60〜5モル%との混合物が特に好ましく用いられる。ジアルコキシシランとトリアルコキシシランとを併用することにより、得られるコーティング膜が柔軟化し、耐アルカリ性を向上させることができる。
本発明では、シラン化合物(b)として、オルガノシラン(2)をそのまま使用してもよいが、オルガノシラン(2)の加水分解物および/または縮合物を使用することができる。
オルガノシラン(2)の加水分解物は、オルガノシラン(2)に含まれる1〜4個のOR4基のうちの少なくとも1個が加水分解されていればよく、たとえば、1個のOR4基が加水分解されたもの、2個以上のOR4基が加水分解されたもの、あるいはこれらの混合物であってもよい。
オルガノシラン(2)の縮合物は、オルガノシラン(2)が加水分解して生成する加水分解物中のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものである。本発明では、シラノール基がすべて縮合している必要はなく、前記縮合物は、僅かな一部のシラノール基が縮合したもの、大部分(全部を含む)のシラノール基が縮合したもの、さらには、これらの混合物などをも包含する。
このようなオルガノシラン(2)の加水分解物および/または縮合物は、オルガノシラン(2)を予め加水分解・縮合させて製造することができる。また、後述するように、可視光光触媒組成物を調製する際に、オルガノシラン(2)と水とを加水分解・縮合させて、オルガノシラン(2)の加水分解物および/または縮合物を調製することもできる。なお、この水は、独立して添加してもよいし、酸化物半導体(a)あるいは後述する(e)水または有機溶媒に含有される水を使用してもよい。独立して添加する場合の前記水の量は、オルガノシラン(2)1モルに対して、通常0.5〜5モル、好ましくは0.7〜3モル、特に好ましくは0.7〜モルが望ましい。
このようなオルガノシラン(2)の縮合物は、GPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」と表す)が、好ましくは300〜100,000、より好ましくは500〜50,000の縮合物が用いられる。
本発明におけるシラン化合物(c)は、上記シラン化合物を調製してもよいし、市販されているシラン化合物を用いてもよい。市販されているシラン化合物としては、三菱化学社製のMKCシリケート、コルコート社製のエチルシリケート、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のシリコンレジン、GE東芝シリコーン社製のシリコンレジン、信越化学工業社製のシリコンレジン、ダウコーニング・アジア社製のヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサン、日本ユニカー社製のシリコンオリゴマーなどが挙げられる。これらの市販されているシラン化合物は、そのまま用いてもよく、縮合させて使用してもよい。
このようなシラン化合物(c)は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において、シラン化合物(c)は、可視光光触媒組成物から上記酸化物半導体(a)を除いたもののうちの固形分に対して、完全加水分解縮合物換算で5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上の量で用いられることが望ましい。ここで、完全加水分解縮合物とは、式(2)中のOR4基が100%加水分解してSi−OH基となり、さらにSi−OH基が完全に縮合してシロキサン構造を形成したものをいう。シラン化合物(c)の含有率が上記下限未満であると、形成されたコーティング膜が脆く、チョーキング等が発生することがある。
(d)オルガノシロキサンオリゴマー:
本発明に用いられるオルガノシロキサンオリゴマー(d)は、Si−O結合を有し、重量平均分子量が300〜100,000であり、かつ、側鎖および/または末端に下記式(3)
−(R5O)p−(R6O)q−R7 (3)
(式中、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜5個のアルキル基を表し、R7は水素原子または炭素数1〜5個のアルキル基を表し、pおよびqは、それぞれ独立に、p+qの値が2〜50となる数である)
で表される構造を含有する。
上記式(3)で表される官能基として、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)基などのポリオキシアルキレン基が挙げられる。オルガノシロキサンオリゴマー(d)がこのような官能基を含有することにより、官能基中のポリオキシアルキレン基の部分が酸化物半導体(a)に吸着しやすく、酸化物半導体(a)の分散安定性が向上すると考えられる。
オルガノシロキサンオリゴマー(d)の主鎖には、水酸基、ハロゲン原子、または炭素数1〜15の有機基を含む官能基が置換していてもよい。
前記ハロゲン原子としてフッ素、塩素などが挙げられる。
炭素数1〜15の有機基として、アルキル基、アシル基、アルコキシル基、アルコキシシリル基、ビニル基、アリル基、アセトキシル基、アセトキシシリル基、シクロアルキル基、フェニル基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアネート基などが挙げられる。
炭素数1〜15のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。
炭素数1〜15のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トルオイル基などが挙げられる。
炭素数1〜15のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
炭素数1〜15のアルコキシシリル基としては、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、ブトキシシリル基などが挙げられる。
これらの基は、部分的に加水分解・縮合したものであってもよく、置換誘導体であってもよい。置換誘導体の置換基として、たとえば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基、ケトエステル基などが挙げられる。
これらのうち、シリル基のケイ素原子が加水分解性基および/または水酸基と結合した構造を含有するオルガノシロキサンオリゴマー(d)が特に好ましく用いられ、たとえば、クロロシランの縮合物あるいはアルコキシシランの縮合物が用いられる。このようなオルガノシロキサンオリゴマー(d)は、本発明に係る可視光光触媒組成物を硬化する際に、チタン化合物(b)および/またはシラン化合物(c)と共縮合して固定化されるため、安定なコーティング膜を得ることができる。
オルガノシロキサンオリゴマー(d)のGPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下「Mw」ともいう)は、300〜100,000、好ましくは600〜50,000である。重量平均分子量が、上記下限未満では得られるコーティング膜が十分な柔軟性を得られないことがあり、また、上記上限を超えると得られるコーティング組成物が十分な保存安定性を得られないことがある。
本発明において、オルガノシロキサンオリゴマー(d)は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合したオルガノシロキサンオリゴマー(d)として、Mw=400〜2,800のオルガノシロキサンオリゴマーとMw=3,000〜50,000のオルガノシロキサンオリゴマーとの混合物、または異なる官能基を有する2種類のオルガノシロキサンオリゴマーの混合物が挙げられる。
また、本発明では、オルガノシロキサンオリゴマー(d)として、市販されているオルガノシロキサンオリゴマーを用いることができ、たとえば、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製の変性シリコ−ンオイル、GE東芝シリコーン社製の変性シリコ−ンオイル、信越化学工業社製の変性シリコ−ンオイル、日本ユニカー社製の変性シリコンオリゴマーMAC−2101などが挙げられる。これらのオルガノシロキサンオリゴマーは、そのまま使用してもよく、または縮合させて使用してもよい。
本発明に用いられるオルガノシロキサンオリゴマー(d)の量は、酸化物半導体(a)の固形分100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは5〜100重量部、さらに好ましくは10〜80重量部が望ましい。オルガノシロキサンオリゴマー(d)の量が、上記下限未満であると十分な分散安定性を得られないことがあり、上記上限を超えると形成されたコーティング膜が脆く、チョーキング等が発生することがある。
(e)水および/または有機溶剤:
本発明に係る可視光光触媒組成物は、(e)水および/または有機溶剤を含有することが好ましい。有機溶剤としては、公知の有機溶剤を使用することができ、たとえば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類が挙げられる。
より具体的には、アルコール類として、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコールなどが挙げられ、 芳香族炭化水素類として、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、 エーテル類として、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられ、 ケトン類として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどが挙げられ、 エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ノルマルプロピル、乳酸イソプロピル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
(f)触媒:
本発明に係る可視光光触媒組成物は、シラン化合物(c)、オルガノシロキサンオリゴマー(d)などの加水分解・縮合反応を促進するため、触媒(f)を含有することが好ましい。本発明に用いられる触媒(f)として、酸性化合物、アルカリ性化合物、塩化合物、アミン化合物、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物(以下、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物をまとめて、「有機金属化合物類」という)が挙げられる。
前記酸性化合物として、たとえば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、アルキルチタン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などが挙げられ、これらのうち酢酸が好ましい。
前記アルカリ性化合物として、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、これらのうち水酸化ナトリウムが好ましい。
前記塩化合物として、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩などが挙げられる。
前記アミン化合物として、たとえば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・メチル・ジメトキシシラン、3−アニリノプロピル・トリメトキシシラン、アルキルアミン塩類、四級アンモニウム塩類が挙げられる。また、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミンなどを用いることもできる。これらのうち、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシランが好ましい。
前記有機金属化合物類としては、たとえば、下記式(4)
M(OR8)r(R9COCHCOR10)s (4)
(式中、Mは、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムからなる群からを選択される少なくとも1種の金属原子を表し、R8およびR9は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6個の1価の炭化水素基を表し、R10は、前記炭素数1〜6個の1価の炭化水素基、または、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16個のアルコキシル基を表し、rおよびsは、それぞれ独立に0〜4の整数であって、(r+s)=(Mの原子価)の関係を満たす)
で表される化合物(以下、「有機金属化合物(4)」という)、
1つのスズ原子に炭素数1〜10個のアルキル基が1〜2個結合した4価のスズの有機金属化合物(以下、「有機スズ化合物」という)、あるいは、
これらの部分加水分解物などが挙げられる。
また、有機金属化合物類として、上記したチタン化合物(b)を用いることができる。
有機金属化合物(4)として、たとえば、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;
テトラ−i−プロポキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどの有機チタン化合物;
トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物が挙げられる。
これらの有機金属化合物(4)およびその部分加水分解物のうち、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、あるいはこれらの部分加水分解物が好ましく用いられる。
有機スズ化合物として、たとえば、
(C492Sn(OCOC11232
(C492Sn(OCOCH=CHCOOCH32
(C492Sn(OCOCH=CHCOOC492
(C8172Sn(OCOC8172
(C8172Sn(OCOC11232
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOCH32
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC492
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC8172
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC16332
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC17352
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC18372
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC20412
(C492SnOCOCH3



(C492SnOCOCH3
(C49)Sn(OCOC11233
(C49)Sn(OCONa)3
などのカルボン酸型有機スズ化合物;
(C492Sn(SCH2COOC8172
(C492Sn(SCH2CH2 COOC8172
(C8172Sn(SCH2COOC8172
(C8172Sn(SCH2CH2COOC8172
(C8172Sn(SCH2COOC12252
(C8172Sn(SCH2CH2COOC12252
(C49)Sn(SCOCH=CHCOOC8173
(C817)Sn(SCOCH=CHCOOC8173
(C492Sn(SCH2COOC817



(C492Sn(SCH2COOC817
などのメルカプチド型有機スズ化合物;
(C492Sn=S、(C8172Sn=S、
(C49)Sn=S



(C49)Sn=S
などのスルフィド型有機スズ化合物;
(C49)SnCl3、(C492SnCl2
(C8172SnCl2
(C492SnCl



(C492SnCl
などのクロライド型有機スズ化合物;
(C492SnO、(C8172SnOなどの有機スズオキサイドや、これらの有機スズオキサイドとシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物;
などが挙げられる。
このような触媒(f)は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよく、また、亜鉛化合物やその他の反応遅延剤と混合して使用することもできる。
触媒(f)は、本発明に係る可視光光触媒組成物を調製する工程で配合してもよく、また、コーティング膜を形成する工程で可視光光触媒組成物に配合してもよく、さらには、可視光光触媒組成物の調製工程とコーティング膜の形成工程との両方で配合してもよい。
本発明に用いられる触媒(f)の量は、シラン化合物(c)中に含まれるOR4基1モルに対して、通常10モル以下、好ましくは0.001〜7モル、より好ましくは0.001〜5モルが望ましい。触媒(f)の量が上記上限を超えると、可視光光触媒組成物の保存安定性が低下したり、コーティング膜にクラックが発生することがある。
触媒(f)は、シラン化合物(c)、オルガノシロキサンオリゴマー(d)などの加水分解・縮合反応を促進する。したがって、触媒(f)を使用することにより、たとえば、オルガノシロキサンオリゴマー(d)の重縮合反応により生成するポリシロキサン樹脂の分子量が大きくなり、得られるコーティング膜の硬化速度を向上させるとともに、強度や耐久性などに優れたコーティング膜を得ることができ、かつコーティング膜の厚膜化を図ることができ、塗装作業も容易となる。
(g)安定性向上剤:
本発明に係る可視光光触媒組成物には、必要に応じて保存安定性などを向上させるため、安定性向上剤(g)を含有させることができる。本発明に用いられる安定性向上剤(g)は、下記式(5)
11COCH2COR12 (5)
(式中、R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6個の1価の炭化水素基を表し、R12は、前記炭素数1〜6個の1価の炭化水素基、または、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16個のアルコキシル基を表す)
で表されるβ−ジケトン類、β−ケトエステル類、カルボン酸化合物、ジヒドロキシ化合物、アミン化合物およびオキシアルデヒド化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
このような安定性向上剤(g)として、たとえば、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、ヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、マロン酸、シュウ酸、フタル酸、グリコール酸、サリチル酸、アミノ酢酸、イミノ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコール、カテコール、エチレンジアミン、2,2−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、ジエチレントリアミン、2−エタノールアミン、ジメチルグリオキシム、ジチゾン、メチオニン、サリチルアルデヒドなどが挙げられる。これらのうち、アセチルアセトンおよびアセト酢酸エチルが好ましい。
このような安定性向上剤(g)は、チタン化合物(b)または触媒(f)として有機金属化合物類を使用する場合に、特に好ましく用いられる。また、安定性向上剤(g)は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
安定性向上剤(g)を用いることによって、安定性向上剤(g)が有機金属化合物類の金属原子に配位し、この配位が、シラン化合物(c)やオルガノシロキサンオリゴマー(d)の共縮合反応についての有機金属化合物類の促進作用を適度に調節し、得られる可視光光触媒組成物の保存安定性をさらに向上させることができると考えられる。
本発明に用いられる安定性向上剤(g)の量は、前記有機金属化合物類の有機金属化合物1モルに対して、通常2モル以上、好ましくは3〜20モルが望ましい。安定性向上剤(g)の量が上記下限未満であると、固形分濃度が高い可視光光触媒組成物では、得られる組成物の保存安定性の向上効果が不充分となることがある。
(h)充填剤:
本発明に係る可視光光触媒組成物には、得られるコーティング膜の着色、厚保膜化などのため、必要に応じて充填剤を添加、分散させることも好ましい。
本発明に用いられる充填剤として、非水溶性の有機顔料および無機含量;粒子状、繊維状または鱗片状の顔料以外のセラミックス、金属または合金、ならびにこれらの金属の酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物および硫化物などが挙げられる。
具体的には、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、顔料用酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、ピグメントブルー、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントイエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛、亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーン黒、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデン などが挙げられる。
これらの充填剤は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
また、充填剤の使用量は、本発明の可視光光触媒組成物の全固形分100重量部に対して、300重量部以下が好ましい。
(i)その他の添加剤:
本発明に係る可視光光触媒組成物には、必要に応じて、
オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの公知の脱水剤;
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリカルボン酸塩、ポリリン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリアミドエステル塩、ポリエチレングリコールなどの分散剤
を配合することができる。
また、本発明に係る組成物のコーティング性(製膜性ともいう)をより向上させるために、レベリング剤を配合することができる。このようなレベリング剤として、たとえば、ビーエムケミー(BM−CHEMIE)社のBM1000(商品名、以下同様)、BM1100;エフカケミカルズ社のエフカ772、エフカ777;共栄社化学社のフローレンシリーズ;住友スリーエム社のFCシリーズ;東邦化学社のフルオナールTFシリーズなどのフッ素系のレベリング剤;
ビックケミー社のBYKシリーズ;シュメグマン(Sshmegmann)社のSshmegoシリーズ;エフカケミカルズ社のエフカ30、エフカ31、エフカ34、エフカ35、エフカ36、エフカ39、エフカ83、エフカ86、エフカ88などのシリコーン系のレベリング剤;
日信化学工業社のカーフィノール;花王社のエマルゲン、ホモゲノールなどのエーテル系またはエステル系のレベリング剤が挙げられる。
このようなレベリング剤を配合することにより、コーティング膜の仕上がり外観が改善されるとともに、均一な薄膜を調製することができる。
本発明において、レベリング剤は、全組成物に対して、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.02〜3重量%の量で用いられる。
レベリング剤を配合する方法は、本発明に係る可視光光触媒組成物を調製する工程で配合してもよく、またコーティング膜を形成する工程で可視光光触媒組成物に配合してもよく、さらには可視光光触媒組成物の調製工程とコーティング膜の形成工程との両方で配合してもよい。
<可視光光触媒組成物の製造方法>
本発明に係る可視光光触媒組成物の製造方法として、具体的には、以下の方法が挙げられる。
(1)酸化物半導体(a)が粉末の場合:
酸化物半導体(a)に、(e)水および/または有機溶剤、(b)チタン化合物および/または(d)オルガノシロキサンオリゴマーを添加し、たとえば分散機により分散した後、必要に応じて(c)シラン化合物と、必要に応じて(e)水および/または有機溶剤、および/または(f)触媒とを添加し、加水分解・縮合させる。
(2)酸化物半導体(a)がゾルの場合:
酸化物半導体(a)のゾルに、(b)チタン化合物および/または(d)オルガノシロキサンオリゴマーを添加し、攪拌した後、さらに必要に応じて(c)シラン化合物と、必要に応じて(e)水および/または有機溶剤、および/または(f)触媒とを添加し、加水分解・縮合させる。
上記製造方法(1)および(2)において、成分(b)〜(f)は、それぞれを一括添加しても、逐次添加してもよい。特に、酸化物半導体(a)に対する相溶性が低い成分については、逐次添加することが好ましい。ここで、「一括添加」とは、ある1種の成分を一時に添加することをいい、「逐次添加」とは、ある1種の成分を任意の時間をかけて添加することをいう。さらに、成分(b)〜(f)は、それぞれを一括添加する場合、成分(b)〜(f)を一時に一括して添加してもよいが、酸化物半導体(a)との相溶性を考慮して、各成分を独立して添加してもよい。
酸化物半導体(a)にチタン化合物(b)および/またはオルガノシロキサンオリゴマー(d)を添加することによって、チタン化合物(b)および/またはオルガノシロキサンオリゴマー(d)が酸化物半導体(a)に吸着および/または反応し、酸化物半導体(a)の分散安定性が確保される。特に酸化物半導体(a)の凝集力が強く分散しにくい場合には、チタン化合物(b)とオルガノシロキサンオリゴマー(d)とを併用することが好ましい。
前記製造方法(1)において用いられる分散機として、超音波分散機、ボールミル、サンドミル(ビーズミル)、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ナノマイザー、プロペラミキサー、ハイシェアミキサーなどが挙げられる。
また、前記製造法(1)において、チタン化合物(b)の存在下で分散機により酸化物半導体(a)を分散させることによって、酸化物半導体(a)の二次粒径(分散粒径)が低下する。さらに酸化物半導体(a)がオルガノシロキサンオリゴマー(d)の前記式(3)で表される構造と吸着することによって、オルガノシロキサンオリゴマー(d)中に固定化され分散安定性が確保される。
そして、必要に応じてシラン化合物(c)を添加することにより、シラン化合物が結着材の役割を果たし、酸化物半導体(a)の含有量が多い場合でもチョーキングなく製膜することができる。
本発明に係る可視光光触媒組成物中の全固形分濃度は、通常1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%が望ましい。全固形分濃度が上記上限を超えると、保存安定性が低下することがある。
本発明に係る可視光光触媒組成物は、通常、使用目的に応じてさらに適宜調製することができ、たとえば、基材に製膜するコーティング膜の材料や劣化塗膜の再塗装用材料として用いることができる。
<コーティング膜>
本発明に係るコーティング膜は、前記可視光光触媒組成物を、たとえば下記の基材に製膜して形成させることができる。
(基材)
前記基材として、たとえば、鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属;
セメント、コンクリート、軽量コンクリート(ALC)、フレキシブルボード、モルタル、スレート、石膏、セラミックス、レンガなどの無機窯業系材料;
フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、熱可塑性ノルボルネン系樹脂などのプラスチック成型品;
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアクリル、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ノルボルネン系樹脂などのプラスチックフィルム;
シリコンウエハー、石英ガラス、ガラスなどの無機材料や、木材、紙
などが挙げられる。
これらの基材は、下地調整、密着性向上、多孔質基材の目止め、平滑化、模様付けなどを目的として、予め表面処理を施してもよい。
金属系基材に対する表面処理として、研磨、脱脂、メッキ処理、クロメート処理、火炎処理、カップリング処理など;
プラスチック系基材に対する表面処理として、ブラスト処理、薬品処理、脱脂、火炎処理、酸化処理、蒸気処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、イオン処理など;
無機窯業系基材に対する表面処理として、研磨、目止め、模様付けなど;
木質基材に対する表面処理として、研磨、目止め、防虫処理など;
紙質基材に対する表面処理として、目止め、防虫処理など;
劣化塗膜に対する表面処理として、ケレンなどが挙げられる。
また、基材との密着性を確保するために各種プライマーを用いてもよい。
(コーティング膜形成方法)
本発明に係るコーティング膜を形成する方法は、たとえば、前記可視光光触媒組成物を基材に製膜した後、この塗膜を乾燥する方法が挙げられる。
前記可視光光触媒組成物を基材に製膜する方法として、たとえば、刷毛、ロールコーター、バーコーター、フローコーター、遠心コーター、超音波コーター、(マイクロ)グラビアコーターなどを用いた塗布;ディップコート;流し塗り;スプレー;スクリーンプロセス;電着;蒸着など方法が挙げられる。
これらの方法により可視光光触媒組成物を基材に製膜した後、常温で乾燥することにより、または30〜200℃程度の温度で通常1〜60分間加熱して乾燥することにより、安定なコーティング膜を形成することができる。
本発明に係る可視光光触媒組成物を製膜すると、1回塗りの場合には乾燥膜厚0.05〜20μm程度、2回塗りの場合には乾燥膜厚0.1〜40μm程度のコーティング膜を形成することができる。
本発明に係るコーティング膜は、前記酸化物半導体(a)と、ポリチタノキサンと、ポリシロキサンとを含む。このポリチタノキサンは前記チタン化合物(b)に由来すると想定される。また、前記ポリシロキサンは前記シラン化合物(c)および/または前記オルガノシロキサンオリゴマー(d)に由来すると考えられる。
前記酸化物半導体(a)が、前記ポリチタノキサンに隣接し、かつ前記ポリチタノキサンを介して前記ポリシロキサン中に分散していることが望ましい。
前記酸化物半導体(a)は、前記ポリチタノキサンを介して前記ポリシロキサンと結合することにより、前記酸化物半導体(a)の分散粒子径を減少させる作用や分散性を高める作用があると考えられる。また、前記ポリシロキサンはコーティング膜を安定させる作用がある。
本発明に係るコーティング膜は、前記酸化物半導体(a)の固形分100重量部に対して、ポリチタノキサンを、通常1〜50重量部、好ましくは2〜45重量部、さらに好ましくは3〜40重量部含有することが望ましい。ポリチタノキサンの含有量が上記下限未満であると結合安定性や分散性が劣ることがあり、上記上限を超えると可視光での光触媒機能を損なうことがある。また、ポリシロキサンは、前記コーティング膜中に、通常1〜200重量部、好ましくは5〜100重量部、さらに好ましくは10〜80重量部含まれることが望ましい。ポリシロキサンの含有量が、上記下限未満であると十分な分散安定性を得られないことがあり、上記上限を超えると形成されたコーティング膜が脆く、チョーキング等が発生することがある。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の部および%は、特に限定しない限り、重量基準とする。また、光触媒組成物を下記の方法により評価した。
(1)保存安定性:
光触媒組成物をポリエチレン製ビン内に40℃で3ヶ月密栓保存して、ゲル化の有無を目視により判定した。ゲル化しなかったものについて、東京計器社製のBM型粘度計により粘度測定を行った。以下の基準に従って、光触媒組成物の保存安定性を評価した。
◎:密閉保存前後の粘度変化率が20%以下のもの
○:密閉保存前後の粘度変化率が20%を超えるもの
×:密閉保存後、ゲルが生成したもの
(2)透明性:
光触媒組成物を、i−プロピルアルコールで固形分濃度5%に希釈し、石英ガラス上に、ROD.NO.3のバーコーターで乾燥膜厚が0.1μmになるように塗布したのち、150℃で30分乾燥し、光触媒含有塗膜を作製した。ガードナー社製のヘイズ試験器(haze−gard plus illuminant CIE−C)を用いて塗膜のHazeを測定した。下記基準にしたがってコーティング膜の透明性を評価した。
◎:ヘイズが1以下のもの
○:ヘイズが1を超え2以下のもの
×:ヘイズが2を超えるのもの
(3)可視光照射下の光触媒性能(可視光光触媒活性):
光触媒組成物をスプレー塗装にて乾燥膜厚10μmとなるように100cmのアルミ板に塗布し、150℃で30分間乾燥した。得られた光触媒含有塗膜を有するアルミ板をガラス製ベルジャー内に設置し、400Wキセノンランプ(ウシオ電機社製)を用い、400nm未満の紫外線をカットするガラスフィルターを用いた場合を可視光照射とした。系内のアルデヒドを十分に排気した後、1000ppmのイソプロパノールをガラス製ベルジャー内に注入した。イソプロパノールが吸着平衡に達した後、100分間光照射を行い、系中に生成したアセトンをガスクロマトグラフィー(FID)で分析し、下記基準に従って、可視光照射下での光触媒性能を評価した。
◎:100ppmを超えるもの
○:50ppmを超え、100ppm以下のもの
△:1ppmを超え50ppm以下のもの
×:1ppm以下のもの
〈実施例1〉
酸化物半導体(a)として拡散反射スペクトル測定により測定した400nmにおける吸光度が0.06である酸素欠陥タイプの二酸化チタン:100部、チタン化合物(b)としてテトラ−n−ブトキシチタンの10量体(日本曹達社製、商品名:B−10):56部、シラン化合物(c)としてメチルトリメトキシシラン:96部、有機溶媒(e)としてイソプロピルアルコール:700部を容器に入れ、粒子径0.3mmのジルコニアビーズ:600部を加え、ビーズミルを用いて1時間攪拌・分散した。その後、ビーズを除去した後、触媒(f)としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム:4部、水(e):12部を添加し、60℃で4時間加熱攪拌した後に、イソプロピルアルコールで固形分濃度約10%に調整し光触媒組成物Aを得た。得られた組成物Aの保存安定性は◎、透明性は○、可視光光触媒活性は◎であった。
〈実施例2〉
酸化物半導体(a)として拡散反射スペクトル測定により測定した400nmにおける吸光度が0.10の酸素欠陥タイプの二酸化チタン:100部、チタン化合物(b)としてテトラ−n−ブトキシチタンの10量体(日本曹達社製、商品名:B−10):56部、シラン化合物(c)としてメチルトリメトキシシラン:96部、オルガノシロキサンオリゴマー(d)としてMAC−2101(日本ユニカー社製):46部、有機溶媒(e)としてイソプロピルアルコール:720部を容器に入れ、粒子径0.3mmのジルコニアビーズ:600部を加え、ビーズミルを用いて1時間攪拌・分散した。その後、ビーズを除去した後、触媒(f)としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム:4部、水(e):6部を添加し、60℃で4時間加熱攪拌した後に、イソプロピルアルコールで固形分濃度約10%に調整し光触媒組成物Bを得た。得られた組成物Bの保存安定性は◎、透明性は◎、可視光光触媒活性は◎であった。
〈実施例3〉
酸化物半導体(a)として拡散反射スペクトル測定により測定した400nmにおける吸光度が0.08の白金担時タイプの二酸化チタン:100部、チタン化合物(b)としてテトラ−n−ブトキシチタンの10量体(日本曹達社製、商品名:B−10):60部、オルガノシロキサンオリゴマー(d)としてMAC−2101(日本ユニカー社製):56部、有機溶媒(e)としてイソプロピルアルコール:720部を容器に入れ、粒子径0.3mmのジルコニアビーズ:600部を加え、ビーズミルを用いて1時間攪拌・分散した。その後、ビーズを除去した後、触媒(f)としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム:4部、水(e):12部を添加し、60℃で4時間加熱攪拌した後に、イソプロピルアルコールで固形分濃度約10%に調整し光触媒組成物Cを得た。得られた組成物Cの保存安定性は◎、透明性は◎、可視光光触媒活性は◎であった。
〈実施例4〉
酸化物半導体(a)として拡散反射スペクトル測定により測定した400nmにおける吸光度が0.15の白金担時タイプの二酸化チタン:100部、チタン化合物(b)としてテトラi−プロポキシチタンの10量体(日本曹達社製、商品名:A−10):56部、シラン化合物(c)としてメチルトリメトキシシラン:96部、オルガノシロキサンオリゴマー(d)としてMAC−2101(日本ユニカー社製):46部、有機溶媒(e)としてイソプロピルアルコール:720部を容器に入れ、粒子径0.3mmのジルコニアビーズ:600部を加え、ビーズミルを用いて1時間攪拌・分散した。その後、ビーズを除去した後、触媒(f)としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム:4部、水(e):12部を添加し、60℃で4時間加熱攪拌した後に、イソプロピルアルコールで固形分濃度約10%に調整し光触媒組成物Dを得た。得られた組成物Dの保存安定性は◎、透明性は◎、可視光光触媒活性は◎であった。
〈実施例5〉
酸化物半導体(a)として拡散反射スペクトル測定により測定した400nmにおける吸光度が0.15の白金担持タイプの二酸化チタン:100部、チタン化合物(b)としてテトラ−n−ブトキシチタンの7量体(日本曹達社製、商品名:B−7):56部、シラン化合物(c)としてメチルトリメトキシシラン:96部、オルガノシロキサンオリゴマー(d)としてMAC−2101(日本ユニカー社製):46部、有機溶媒(e)としてイソプロピルアルコール:720部を容器に入れ、粒子径0.3mmのジルコニアビーズ:600部を加え、ビーズミルを用いて1時間攪拌・分散した。その後、ビーズを除去した後、触媒(f)としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム:4部、水(e):12部を添加し、60℃で4時間加熱攪拌した後に、イソプロピルアルコールで固形分濃度約10%に調整し光触媒組成物Dを得た。得られた組成物Dの保存安定性は◎、透明性は◎、可視光光触媒活性は◎であった。
〈比較例1〉
(a)成分として拡散反射スペクトル測定により測定した400nmにおける吸光度が0.02未満のアナターゼ型酸化チタン(石原産業社製、商品名:ST−01)を用いた以外は実施例1と同様に調製した。得られた組成物の保存安定性は◎、透明性は◎、可視光光触媒活性は×であった。
〈比較例2〉
チタン化合物(b)、およびオルガノシロキサンオリゴマー(d)を使用しない以外は実施例4と同様に調製した。得られた組成物の保存安定性は×(静置後10分で沈降分離)、透明性は×であった。
〈比較例3〉
チタン化合物(b)を使用しない以外は実施例5と同様に調製した。得られた組成物の保存安定性は×(静置後10分で沈降分離)、透明性は×であった。

Claims (8)

  1. (a)可視光光触媒活性を有する酸化物半導体、
    (b)下記式(1)
    1 mTi(OR2)4-m (1)
    (式中、R1は炭素数1〜8個の有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R2は炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアシル基およびフェニル基からなる群から選択される有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R1およびR2は同じであっても異なっていてもよく、mは0〜3の整数である)
    で表されるチタンアルコレートおよびその誘導体、ならびに上記式(1)で表されるチタンアシレートおよびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のチタン化合物、
    および
    (c)下記一般式(2)
    3 nSi(OR4)4-n (2)
    (式中、R3は炭素数1〜8個の1価の有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R4は炭素数1〜5個のアルキル基または炭素数1〜6個のアシル基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R3およびR4は同じであっても異なっていてもよく、nは0〜3の整数である)
    で表されるオルガノシランおよびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物、
    とを含有し、400nm以上の可視光照射下で光触媒活性を有することを特徴とする可視光光触媒組成物。
  2. (a)可視光光触媒活性を有する酸化物半導体、
    (b)下記式(1)
    1 mTi(OR2)4-m (1)
    (式中、R1は炭素数1〜8個の有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R2は炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアシル基およびフェニル基からなる群から選択される有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R1およびR2は同じであっても異なっていてもよく、mは0〜3の整数である)
    で表されるチタンアルコレートおよびその誘導体、ならびに上記式(1)で表されるチタンアシレートおよびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のチタン化合物、および
    (d)Si−O結合を有し、重量平均分子量が300〜100,000であり、かつ下記式(3)
    −(R5O)p−(R6O)q−R7 (3)
    (式中、R5およびR6は炭素数1〜5個のアルキル基を表し、同じであっても異なっていてもよく、R7は水素原子または炭素数1〜5個のアルキル基を表し、pおよびqは、p+qの値が2〜50となる数である)
    で表される構造を含有するオルガノシロキサンオリゴマー、
    とを含有し、400nm以上の可視光照射下で光触媒活性を有することを特徴とする可視光光触媒組成物。
  3. (a)可視光光触媒活性を有する酸化物半導体、
    (b)下記式(1)
    1 mTi(OR2)4-m (1)
    (式中、R1は炭素数1〜8個の有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R2は炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアシル基およびフェニル基からなる群から選択される有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R1およびR2は同じであっても異なっていてもよく、mは0〜3の整数である)
    で表されるチタンアルコレートおよびその誘導体、ならびに上記式(1)で表されるチタンアシレートおよびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のチタン化合物、
    (c)下記一般式(2)
    3 nSi(OR4)4-n (2)
    (式中、R3は炭素数1〜8個の1価の有機基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R4は炭素数1〜5個のアルキル基または炭素数1〜6個のアシル基を表し、複数個存在する場合には同じであっても異なっていてもよく、R3およびR4は同じであっても異なっていてもよく、nは0〜3の整数である)
    で表されるオルガノシランおよびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物、および
    (d)Si−O結合を有し、重量平均分子量が300〜100,000であり、かつ下記式(3)
    −(R5O)p−(R6O)q−R7 (3)
    (式中、R5およびR6は炭素数1〜5個のアルキル基を表し、同じであっても異なっていてもよく、R7は水素原子または炭素数1〜5個のアルキル基を表し、pおよびqは、p+qの値が2〜50となる数である)
    で表される構造を含有するオルガノシロキサンオリゴマー、
    を含有し、400nm以上の可視光照射下で光触媒活性を有することを特徴とする可視光光触媒組成物。
  4. (a)可視光光触媒活性を有する酸化物半導体が拡散反射スペクトル測定により測定した400nmにおける吸光度が0.05以上である請求項1〜3いずれかに記載の可視光光触媒組成物。
  5. (a)可視光光触媒活性を有する酸化物半導体がブルッカイト型の酸化チタン、イオン注入タイプの酸化チタン、プラズマ処理を施した酸化チタン、酸素欠陥酸化チタン、窒素ドープ酸化チタン、硫黄ドープ酸化チタンおよび白金担持酸化チタンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4記載の可視光光触媒組成物。
  6. さらに(f)触媒を含有することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の可視光光触媒組成物。
  7. 膜厚0.1μmの乾燥塗膜としたときのヘイズが2以下であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の可視光光触媒組成物。
  8. 請求項1〜7いずれかに記載の可視光光触媒組成物から得られる可視光光触媒含有塗膜。

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