JP2005142014A - 耐酸性に優れた燃料電池用電解質膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来の高分子電解質膜、特に、スチレン等の芳香族炭化水素モノマーを放射線グラフト重合したイオン交換膜の導電率、膨潤抑制能、保水性、耐久性などの特性を改良すること。
【解決手段】 高分子基材に、化学式:
CH2=CH-CR=O R=CnH2n+1 (n=1〜6) (1)
で表される、アルキルビニルケトンを骨格とするモノマーもしくはその誘導体の一種又は複数種をグラフト重合した後、グラフト鎖にスルホン酸基を導入して得られる、燃料電池用電解質膜。
【選択図】 図1
【解決手段】 高分子基材に、化学式:
CH2=CH-CR=O R=CnH2n+1 (n=1〜6) (1)
で表される、アルキルビニルケトンを骨格とするモノマーもしくはその誘導体の一種又は複数種をグラフト重合した後、グラフト鎖にスルホン酸基を導入して得られる、燃料電池用電解質膜。
【選択図】 図1
Description
本発明は、固体高分子型燃料電池に適した電解質膜であって、優れた耐酸性を有する高分子イオン交換膜に関する。
固体高分子型燃料電池はエネルギー密度が高いことから、家庭用コージェネ電源や携帯機器用電源、電気自動車の電源、簡易補助電源として期待されている。この燃料電池では電解質として、長寿命で耐久性を有する高分子イオン交換膜が必要である。
固体高分子型燃料電池においては、イオン交換膜はプロトンを伝導するための電解質として作用し、燃料である水素やメタノールと酸素とを直接混合させないための隔膜としての役割も有する。このようなイオン交換膜としては、大きな電流を長期間流すので膜の化学的な安定性、特に酸性水溶液中での安定性(耐酸性)、過酸化ラジカル等に対する耐性(耐酸化性)や耐熱性が優れていること、電気抵抗の低いことが要求される。一方、隔膜としての役割から、膜の力学的な強度が強いこと及び寸法安定性が優れていること、燃料である水素ガスやメタノール及び酸素ガスに対しガス透過性の低いことなどが要求される。
初期の固体高分子型燃料電池では、スチレンとジビニルベンゼンの共重合で製造した炭化水素系高分子イオン交換膜が使用された。しかし、このイオン交換膜は耐酸性、耐酸化性に起因する耐久性が非常に劣っていたため実用性に乏しく、その後はデュポン社により開発されたパーフルオロスルホン酸膜「ナフィオン(デュポン社登録商標)」などが一般に用いられてきた。
しかしながら、「ナフィオン(登録商標)」等の従来のフッ素系高分子イオン交換膜は、化学的な安定性には優れているがイオン交換容量がl meq/g前後と小さく、また、保水性が不十分でイオン交換膜が乾燥してプロトン伝導性が低下したり、あるいは、メタノールを燃料とする場合にはアルコール類に対する膜の膨潤が起き、メタノールのクロスオーバーが燃料電池特性の低下を来たしたりする。そして、イオン交換容量を大きくするためにスルホン酸基を多く導入すると、膜強度が著しく低下し、容易に破損するようになる。したがって、従来のフッ素系高分子のイオン交換膜ではスルホン酸基の量を膜強度が保持される程度に抑える必要があり、このためイオン交換容量1 meq/g程度のものしかできなかった。また、ナフィオン(登録商標)などのフッ素系高分子イオン交換膜はモノマーの合成が複雑なため非常に高価であり、固体高分子型燃料電池を実用化する場合の大きな障害になっている。そのため、前記ナフィオン(登録商標)等に替わる低コストで高性能な電解質膜を開発する努力がおこなわれてきた。
例えば、炭化水素構造を含むエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(以下、ETFEと略す)にスチレンモノマーを放射線グラフト反応により導入し、次いでスルホン化することにより合成したイオン交換膜は燃料電池用イオン交換膜として機能する(特許文献1参照のこと)。しかし、欠点として、膜に大きな電流を長時間流すとポリスチレンに導入されたスルホン基の脱離が起こり、膜のイオン交換能が大幅に低下する。また、この炭化水素構造を多く含むイオン交換膜を電解質膜に用いると、ガス拡散電極の触媒層に十分な撥水性がない場合には、特に燃料電池反応で水が生成する正極で、電極が湿り過ぎることに起因する出力低下が起こるという問題が指摘されている(特許文献2参照のこと)。
スルホン酸基の脱離を抑制するため、スルホン酸基をスチレンのような芳香族炭化水素中のベンゼン環に直結せず、間にアルキレン基を介して導入する試みがなされ、ある程度の効果が報告されている(特許文献3参照のこと)。すなわち、ベンゼン環に直接スルホン酸基を導入しないことは、このような耐酸性の向上に有効とされている。
特開平9−102322号公報
特開平11−111310号公報
特開2003−100317号公報
本発明は、高分子イオン交換膜における最大の欠点であるイオン交換容量が小さく、かつ、保水性が悪いこと、また、スチレンに代表される芳香族炭化水素モノマーをグラフトしたイオン交換膜における最大の欠点である耐酸性が低いことなどのような従来技術の問題点を克服するためになされたものであり、放射線グラフト重合による高分子イオン交換膜において、固体高分子電解質として高い導電率を有し、さらに、湿潤状態での膨潤が抑制され、且つ、耐酸性の優れた膜を提供するものである。
本発明は、優れた耐酸性と広いイオン交換容量とを有する高分子イオン交換膜に関するものであり、特に燃料電池用電解質膜に適したイオン交換膜を提供する。
即ち、化学安定性に優れたフッ素系高分子又はオレフィン系高分子に、好ましくは架橋構造を付与して得られた高分子基材をベースマトリックスとし、これに化学式:
CH2=CH-CR=O R=CnH2n+1 (n=1〜6) (1)
の構造を有するモノマー又はその誘導体を放射線グラフト重合し、さらに、得られたポリマーのグラフト鎖にスルホン酸基を導入した結果、イオン交換容量、メタノール透過などの各特性を広い範囲で制御することができ、且つ、優れた耐酸性を有する高分子イオン交換膜を発明するに至った。
即ち、化学安定性に優れたフッ素系高分子又はオレフィン系高分子に、好ましくは架橋構造を付与して得られた高分子基材をベースマトリックスとし、これに化学式:
CH2=CH-CR=O R=CnH2n+1 (n=1〜6) (1)
の構造を有するモノマー又はその誘導体を放射線グラフト重合し、さらに、得られたポリマーのグラフト鎖にスルホン酸基を導入した結果、イオン交換容量、メタノール透過などの各特性を広い範囲で制御することができ、且つ、優れた耐酸性を有する高分子イオン交換膜を発明するに至った。
本発明の高分子イオン交換膜は、広い範囲でイオン交換容量を制御することができ、優れた保水性と高い耐酸性とを有する燃料電池膜である。本発明のイオン交換膜は、特に燃料電池膜に適している。また、安価で耐久性のある電解質膜やイオン交換膜として有用である。
本発明において使用できる高分子基材としてはフッ素系高分子があげられる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略す)、テトラフルオロエチレン−六フッ化プロピレン共重合体(以下、FEPと略す)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、PFAと略す)、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと略す)、ETFE、ポリフッ化ビニル(以下、PVFと略す)、ポリクロロトリフルオロエチレン(以下、PCTFEと略す)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(以下、ECTFEと略す)が使用できる。フッ素系高分子を予め架橋しておくと、得られる電解質膜は、さらに耐熱性や膨潤抑制能が向上する。
架橋PTFEの製造方法は、例えば、特開平6−116423号公報に示されている。架橋FEPや架橋PFAの製造方法は、例えば、特開平11−49867号公報に開示されている。架橋PVDF及び架橋ETFEの製造方法は、例えば、特開平11−349711号公報に開示されている。また、架橋PVF、架橋PCTFE、及び架橋ECTFEの製造方法は、それぞれ、L. A. Wall外2名によるJournal of Polymer Science Part A-1, 4, 349(1966)、S. Straus外1名によるS. P. E. Transactions, 4, 61(1964)、及びY. X. Luo外2名によるRadiation Physics and Chemistry, 18, 445(1981)に記載されている。ここで、架橋PTFEは、PTFEを300 ℃〜365 ℃の温度範囲、10-3 Torr〜10 Torrの減圧下、又は、10-2 Torr〜2 Torrの酸素分圧の不活性ガス中で、γ線、X線や電子線の放射線を5 kGy〜500 kGy照射して製造することができる。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウムガスなどを用いることができる。
また、本発明において使用できる別種の高分子基材としては、低密度、高密度、超高分子量のポリエチレン及びポリプロピレンや、トリメチルペンテンをモノマーとするポリマーなどで代表されるオレフィン系高分子があげられる。架橋したオレフィン系高分子を採用すると、得られる電解質膜の耐熱性が向上し、膨潤も抑制されるので、用途によっては、好ましい。
本発明において使用できるモノマーは、化学式:
CH2=CH-CR=O R=CnH2n+1 (n=1〜6) (1)
の構造を有する、ビニルケトンを骨格とするモノマー又はその誘導体である。nは好ましくは1〜3である。6以上にすると、重量当たりのスルホン酸基が減少し導電率が低下する。
CH2=CH-CR=O R=CnH2n+1 (n=1〜6) (1)
の構造を有する、ビニルケトンを骨格とするモノマー又はその誘導体である。nは好ましくは1〜3である。6以上にすると、重量当たりのスルホン酸基が減少し導電率が低下する。
上記のモノマーとして、具体的には、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトンなどがあげられる。これらのモノマーは一種だけでなく複数種を混合して用いてもよく、溶媒中に希釈して用いてもよい。
本発明においては、さらに、上記のモノマーに、一種もしくは複数種の炭化水素系ビニルモノマー及び/又は炭化フッ素系ビニルモノマーを30 重量%(wt%)以下添加して、グラフト重合をすることができる。30 wt%以上添加すると、スルホン酸基の含有量が減少して、導電率が低下する。
本発明に添加することができる炭化水素系ビニルモノマーとしては、エチレン、イソブチレン、イソブテン、ブタジエン、アセチレン誘導体などがあり、電池化学反応で劣化しやすいベンゼン骨格、エステル骨格、官能基(ハロゲン基、エポキシ基、ヒドロキシル基、スルホン酸基など)を含まない炭化水素系ビニルモノマーが好ましい。
本発明に添加することができる炭化フッ素系ビニルモノマーとしては、ヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル、エチルトリフルオロビニルエーテル、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル、パーフルオロ(4-メチル-3,6-ジオキサノン-1-エン)、トリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンなどがあり、電池化学反応で劣化しやすいベンゼン骨格、エステル骨格、官能基(ハロゲン基、エポキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基など)を含まないものが好ましい。
モノマーにジビニルベンゼンなどの架橋剤を重量比で10 %以下添加してグラフト鎖を架橋することも可能である。また、グラフト重合後に、多官能モノマーやトリアリルイソシアヌレートなどの架橋剤と反応させて、グラフト鎖を架橋することも可能である。
本発明においてグラフト鎖を架橋するのに使用することができる架橋剤としては、1,2-ビス(p-ビニルフェニル)エタン、ジビニルスルホン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、フェニルアセチレン、ジフェニルアセチレン、2,3-ジフェニルアセチレン、1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、ジアリルエーテル、2,4,6-トリアリルオキシ-1,3,5-トリアジン、トリアリル-1,2,4-ベンゼントリカルボキシレート、トリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオンなどをあげることができる。
高分子基材への上記モノマーのグラフト重合は、基材に放射線を照射後モノマーと反応させる、いわゆる前照射法によってグラフトさせるか、又は基材及びモノマーに同時に放射線を照射してグラフトさせる、いわゆる同時照射法のいずれの方法によってもグラフト重合可能であるが、ホモポリマーの生成量の少ない前照射法が好ましい。
前照射法には二通りの方法、すなわち、高分子基材を不活性ガス中で照射するポリマーラジカル法と、基材を酸素存在下で照射するパーオキサイド法とがあり、いずれも使用可能である。
前照射法の一例としては、まず高分子基材をガラス製容器などに挿入した後、この容器を真空脱気し、不活性ガスと置換する。その後、基材を含む容器に-10 ℃〜80 ℃の温度、好ましくは室温付近で、電子線やγ線を1 kGy〜500 kGy照射した後、酸素を含まない不活性ガスによるバブリングや凍結脱気などで酸素を除いたモノマーの混合液や溶媒に溶かしたモノマー溶液を、この照射した基材を含む容器内に充填する。グラフト重合温度は、通常30 ℃〜150 ℃、好ましくは40 ℃〜80 ℃で実施して、ポリマーグラフト鎖を導入する。
ポリマーのグラフト率は前照射線量が多いほど高くなる。得られるグラフト重合体のグラフト率は、高分子基材の重量基準で、6 wt%〜150 wt%、好ましくは10 wt%〜100 wt%である。
高分子基材にグラフト鎖を導入した後、次いで、スルホン酸基を導入する。スルホン化の条件は特開2001−348439に開示されているが、一例をあげると、1,2-ジクロロエタンを溶媒として、0.2モル濃度〜0.5モル濃度(以下、モル濃度はMで表す)のクロロスルホン酸溶液にグラフトフィルム基材を室温〜70 ℃で、2〜48時間浸漬して反応させる。所定時間反応後、膜を充分に水洗する。スルホン化反応に必要なスルホン化剤としては、濃硫酸、三酸化硫黄、チオ硫酸ナトリウムなどを使用することができるが、スルホン酸基を導入できるスルホン化剤であれば種類を問わない。
本発明による燃料電池用電解質膜は、グラフト率と導入するスルホン酸基の量とによって、電解質膜のイオン交換容量を広範囲にわたって制御することができる。ここでイオン交換容量とは、乾燥イオン交換膜の重量1 g当たりのイオン交換基量(meq/g)である。グラフト率が6 %以下ではイオン交換容量が不充分であり、一方、グラフト率が150 %以上では含水時に膜が膨潤して、ダイレクトメタノール型燃料電池においてはメタノールの透過量が大きくなってしまう。したがって、本発明による燃料電池用電解質膜のイオン交換容量は、0.3 meq/g〜6.0 meq/g、より好ましくは、0.5 meq/g〜2.O meq/gである。
一般に、高分子イオン交換膜は、25 ℃における電気伝導度が0.05 Ω-1cm-1以下であると、燃料電池としての出力が著しく低下する場合が多いため、イオン交換膜の電気伝導度は0.05 Ω-1cm-1以上、より高性能のイオン交換膜では0.1 Ω-1cm-1以上に設計されていることが多い。本発明による燃料電池用電解質膜ではイオン交換容量が大きいため、25 ℃におけるイオン交換膜の電気伝導度がナフィオン(登録商標)のそれよりも高い値であった。
イオン交換膜の電気伝導度を上げるためには、イオン交換膜の厚みを薄くすることも考えられる。しかし現状では、あまりに薄いイオン交換膜では破損しやすく、通常では30 μm〜200 μm厚の範囲のイオン交換膜が使われている。本発明の燃料電池用電解質膜においては、膜厚は5 μm〜200 μm、好ましくは20 μm〜100 μmの範囲のものが有用である。
燃料電池膜においては、従来のナフィオン(登録商標)はパーフルオロスルホン酸膜であり、分子間の架橋構造がないため、燃料の候補の一つとして考えられているメタノールによって大きく膨潤し、メタノールがアノード(燃料極)からカソード(空気極)へと電解質膜を透過拡散して発電効率が低下することが重大な問題とされている。しかし、本発明による燃料電池用電解質膜では、高いイオン交換容量を有するにも拘わらず、基材マトリックスが存在するため、メタノールをはじめとするアルコール類による膜の膨潤が少ない。このため、改質器を用いることなくメタノールを直接燃料とするダイレクト・メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell)の電解質膜として有用である。
また、燃料電池膜においては、膜の耐酸性は長寿命化に関係するきわめて重要な特性である。しかしながら、芳香族炭化水素高分子のベンゼン環に直結したスルホン酸基を有する電解質膜の場合には、電池作動後によってスルホン酸基が脱離しやすい。これは、ベンゼン環へ直接結合したスルホン酸基が温水中で解離平衡状態にあり、不安定であることに起因している。このため、含フッ素高分子基材にスチレンをグラフト重合した後、ポリスチレングラフト鎖をスルホン化して得た高分子イオン交換膜の耐酸性もきわめて低い。例えば、グラフト率58 %のポリスチレン鎖をスルホン化したポリスチレングラフト架橋PTFEイオン交換膜は、80 ℃の0.l M硫酸水溶液中でイオン交換膜が劣化し、約24時間でイオン交換容量はほぼ5分の1となる。これに対し、本発明による燃料電池用電解質膜は、グラフト鎖にベンゼン環がないので、耐酸性がきわめて高く、80 ℃の0.1 M硫酸水溶液に長時間置いてもイオン交換容量はほとんど変化しない。
以上のように、本発明の燃料電池用電解質膜は、優れた耐酸性やメタノール透過阻止性を有するとともに、膜としての重要な特性であるイオン交換容量を0.3 meq/g〜6.O meq/gの広い範囲で制御できるという特徴を有する。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、各測定値は以下の測定によって求めた。
(1)グラフト率(%)
高分子基材を主鎖部、モノマーのグラフト重合した部分をグラフト鎖部とすると、主鎖部に対するグラフト鎖部の重量比は、次式のグラフト率Xds(wt%)として表される。
(1)グラフト率(%)
高分子基材を主鎖部、モノマーのグラフト重合した部分をグラフト鎖部とすると、主鎖部に対するグラフト鎖部の重量比は、次式のグラフト率Xds(wt%)として表される。
Xds=100(W2-W1)/Wl
W1:グラフト前の重さ(乾燥状態)(g)
W2:グラフト後の重さ(乾燥状態)(g)
(2)イオン交換容量(meq/g)
膜のイオン交換容量Iex(meq/g)は次式で表される。
W1:グラフト前の重さ(乾燥状態)(g)
W2:グラフト後の重さ(乾燥状態)(g)
(2)イオン交換容量(meq/g)
膜のイオン交換容量Iex(meq/g)は次式で表される。
Iex=n(酸基)obs/Wd
n(酸基)obs:イオン交換膜の酸基量(mM)
Wd:イオン交換膜の乾燥重量(g)
n(酸基)obsの測定は50 ℃に保った3 MのNaC1水溶液中に24時間浸漬して-S03Na型とし、交換したプロトン(H+)を0.2 MのNaOH水溶液で中和滴定することにより行った。
n(酸基)obs:イオン交換膜の酸基量(mM)
Wd:イオン交換膜の乾燥重量(g)
n(酸基)obsの測定は50 ℃に保った3 MのNaC1水溶液中に24時間浸漬して-S03Na型とし、交換したプロトン(H+)を0.2 MのNaOH水溶液で中和滴定することにより行った。
(3)含水率(%)
室温で水中に保存しておいたイオン交換膜を水中から取出し、軽くふき取った後(約1分後)の膜の重量をWs(g)とし、その後、この膜を40 ℃にて24時間以上、真空乾燥したときの膜の乾燥重量をWd(g)とすると、Ws、Wdから次式により含水率(%)が求められる。
室温で水中に保存しておいたイオン交換膜を水中から取出し、軽くふき取った後(約1分後)の膜の重量をWs(g)とし、その後、この膜を40 ℃にて24時間以上、真空乾燥したときの膜の乾燥重量をWd(g)とすると、Ws、Wdから次式により含水率(%)が求められる。
含水率=100(Ws-Wd)/Wd
(4)耐酸化性(重量残存率 %)
60 ℃で16時間真空乾燥後の膜の重量をW3(g)とし、80 ℃の3 %過酸化水素水溶液で24時間処理した膜の乾燥後重量をW4(g)とする。
(4)耐酸化性(重量残存率 %)
60 ℃で16時間真空乾燥後の膜の重量をW3(g)とし、80 ℃の3 %過酸化水素水溶液で24時間処理した膜の乾燥後重量をW4(g)とする。
耐酸化性=100(W4−W1)/(W3−W1)
(5)耐酸性(%)
イオン交換膜を室温で水中に保存しておき、それを80 ℃の0.l M硫酸水溶液に24時間浸漬した。浸漬前後における膜のイオン交換容量の比を百分率で表したものを耐酸性(%)とする。浸漬前のイオン交換容量をI1とし、浸漬後のイオン交換容量をI2とする。
(5)耐酸性(%)
イオン交換膜を室温で水中に保存しておき、それを80 ℃の0.l M硫酸水溶液に24時間浸漬した。浸漬前後における膜のイオン交換容量の比を百分率で表したものを耐酸性(%)とする。浸漬前のイオン交換容量をI1とし、浸漬後のイオン交換容量をI2とする。
耐酸性=100(I2/I1)
(実施例1)
架橋PTFEフィルムを得るために以下の照射を行った。
(実施例1)
架橋PTFEフィルムを得るために以下の照射を行った。
厚さ50 μm、面積12×15 cmのPTFEフィルム(日東電工製、品番No.900)をヒータ
ー付きのSUS製オートクレーブ照射容器(内径4 cm、高さ30 cm)に入れ、容器内を脱
気後に0.5気圧のアルゴンガスを充填した。その後、電気ヒーターで加熱してフィルムの温度を340 ℃として、60Co線源からのγ線を線量率3 kGy/hで線量100 kGy照射した。照射後、容器を冷却してフィルムを取り出した。
ー付きのSUS製オートクレーブ照射容器(内径4 cm、高さ30 cm)に入れ、容器内を脱
気後に0.5気圧のアルゴンガスを充填した。その後、電気ヒーターで加熱してフィルムの温度を340 ℃として、60Co線源からのγ線を線量率3 kGy/hで線量100 kGy照射した。照射後、容器を冷却してフィルムを取り出した。
この架橋PTFEフィルム4 cm角をコック付きのガラス製セパラブル容器(内径1.5 cm、
高さ15 cm)に入れて脱気後、1気圧のアルゴンガスを充填した。この状態で架橋PTFE
フィルムに、再び30 kGyのγ線(線量率10 kGy/h)を室温で照射した。引き続いて、このガラス容器中に予め脱気しておいた40 vo1%(体積百分率)トルエン希釈のエチルビニルケトン溶液20 mlを入れ、フィルムを浸漬した。容器を密閉し、容器内をアルゴンに置換した後、50 ℃にして48時間反応させた。反応後、トルエンで洗浄し乾燥した。グラフト率は11 %であった。
高さ15 cm)に入れて脱気後、1気圧のアルゴンガスを充填した。この状態で架橋PTFE
フィルムに、再び30 kGyのγ線(線量率10 kGy/h)を室温で照射した。引き続いて、このガラス容器中に予め脱気しておいた40 vo1%(体積百分率)トルエン希釈のエチルビニルケトン溶液20 mlを入れ、フィルムを浸漬した。容器を密閉し、容器内をアルゴンに置換した後、50 ℃にして48時間反応させた。反応後、トルエンで洗浄し乾燥した。グラフト率は11 %であった。
得られたグラフト重合膜をスルホン化するため、1,2-ジクロロエタンで希釈した0.2 Mのクロロスルホン酸と50 ℃で6時間反応させた後、水洗による加水分解を行った。本実施例で得られた膜のイオン交換容量、含水率、耐酸化性、及び耐酸性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
厚さ50 μm、4 cm角のETFEフィルムをコック付きのガラス製セパラブル容器(内径
1.5 cm、高さ15 cm)に入れて脱気後、1気圧のアルゴンガスで置換した。この状態で
、30 kGyのγ線(線量率10 kGy/h)を室温で照射した。照射後、容器を真空脱気し、予めアルゴンガスで脱気したエチルビニルケトン溶液20 ml(40 vol%トルエン希釈)を入れ、フィルムを浸漬した。容器を密閉し、容器内をアルゴンに置換した後、50 ℃にして48時間反応させた。反応後、トルエンで洗浄し乾燥した。グラフト率は39 %であった。このグラフト重合して得たETFEフィルムを1,2-ジクロロエタンで希釈した0.2 Mのクロロスルホン酸と50 ℃で6時間反応後、水洗し、イオン交換容量、含水率、耐酸化性、及び耐酸性を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例3)
室温、窒素雰囲気下で電子線を220 kGy照射することにより架橋した厚さ50 μm、4 cm角のETFEフィルムをコック付きのガラス製セパラブル容器(内径1.5 cm、高さ15 c
m)に入れて脱気後、1気圧のアルゴンガスで置換した。この状態で再び、γ線(線量率10 kGy/h)を30 kGyまで室温で照射した。照射された架橋ETFEフィルムの入ったガラス容器中に、トルエンで40 vo1%に希釈し予め脱気したエチルビニルケトン溶液20 mlを入れ、フィルムを浸漬した。容器を密閉し、容器内をアルゴンに置換した後、50 ℃にして48時間反応させた。反応後、トルエンで洗浄し乾燥した。グラフト率は59 %であった。
(実施例2)
厚さ50 μm、4 cm角のETFEフィルムをコック付きのガラス製セパラブル容器(内径
1.5 cm、高さ15 cm)に入れて脱気後、1気圧のアルゴンガスで置換した。この状態で
、30 kGyのγ線(線量率10 kGy/h)を室温で照射した。照射後、容器を真空脱気し、予めアルゴンガスで脱気したエチルビニルケトン溶液20 ml(40 vol%トルエン希釈)を入れ、フィルムを浸漬した。容器を密閉し、容器内をアルゴンに置換した後、50 ℃にして48時間反応させた。反応後、トルエンで洗浄し乾燥した。グラフト率は39 %であった。このグラフト重合して得たETFEフィルムを1,2-ジクロロエタンで希釈した0.2 Mのクロロスルホン酸と50 ℃で6時間反応後、水洗し、イオン交換容量、含水率、耐酸化性、及び耐酸性を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例3)
室温、窒素雰囲気下で電子線を220 kGy照射することにより架橋した厚さ50 μm、4 cm角のETFEフィルムをコック付きのガラス製セパラブル容器(内径1.5 cm、高さ15 c
m)に入れて脱気後、1気圧のアルゴンガスで置換した。この状態で再び、γ線(線量率10 kGy/h)を30 kGyまで室温で照射した。照射された架橋ETFEフィルムの入ったガラス容器中に、トルエンで40 vo1%に希釈し予め脱気したエチルビニルケトン溶液20 mlを入れ、フィルムを浸漬した。容器を密閉し、容器内をアルゴンに置換した後、50 ℃にして48時間反応させた。反応後、トルエンで洗浄し乾燥した。グラフト率は59 %であった。
このグラフト重合して得た架橋ETFEフィルムを1,2-ジクロロエタンで希釈した0.2 Mのクロロスルホン酸と50 ℃で6時間反応後、水洗した。本実施例で得られた膜のイオン交換容量、含水率、耐酸化性、及び耐酸性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、フィルムを厚さ50 μmの高密度ポリエチレンにしてグラフト重合した。48時間反応後のグラフト率は30 %であった。
(実施例4)
実施例1において、フィルムを厚さ50 μmの高密度ポリエチレンにしてグラフト重合した。48時間反応後のグラフト率は30 %であった。
このグラフト重合して得た高密度ポリエチレンフィルムを1,2-ジクロロエタンで希釈した0.2 Mのクロロスルホン酸と50 ℃で6時間反応後、水洗し、イオン交換容量、含水率、耐酸化性、及び耐酸性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1の条件で架橋したPTFEフィルム4 cm角をガラス製セパラブル容器(内径1.5
cm、高さ15 cm)に入れて脱気後、1気圧のアルゴンガスを充填した。この状態で架橋
PTFEフィルムに、再び、γ線(線量率10 kGy/h)を30 kGyまで、室温で照射した。引き続いて、照射された架橋PTFEフィルムの入った容器中に予め脱気したエチルビニルケトン20 mlを希釈せずに入れ、フィルムを浸漬した。容器を密閉し、容器内を窒素に置換した後、50 ℃にして48時間反応させた。反応後、トルエンで洗浄し乾燥させた。グラフト率は28 %であった。
(実施例5)
実施例1の条件で架橋したPTFEフィルム4 cm角をガラス製セパラブル容器(内径1.5
cm、高さ15 cm)に入れて脱気後、1気圧のアルゴンガスを充填した。この状態で架橋
PTFEフィルムに、再び、γ線(線量率10 kGy/h)を30 kGyまで、室温で照射した。引き続いて、照射された架橋PTFEフィルムの入った容器中に予め脱気したエチルビニルケトン20 mlを希釈せずに入れ、フィルムを浸漬した。容器を密閉し、容器内を窒素に置換した後、50 ℃にして48時間反応させた。反応後、トルエンで洗浄し乾燥させた。グラフト率は28 %であった。
このグラフト重合して得た架橋PTFEフィルムをスルホン化するため、1,2-ジクロロエタンで希釈した0.2 Mのクロロスルホン酸と50 ℃で6時間反応させた後、水洗した。本実施例で得られた膜のイオン交換容量、含水率、耐酸化性、及び耐酸性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例5において、エチルビニルケトンの代わりにプロピルビニルケトン20 mlを用い、温度を60 ℃にしてグラフト重合した。グラフト率は25 %であった。
(実施例6)
実施例5において、エチルビニルケトンの代わりにプロピルビニルケトン20 mlを用い、温度を60 ℃にしてグラフト重合した。グラフト率は25 %であった。
このグラフト重合して得た架橋PTFEフィルムを1,2-ジクロロエタンで希釈した0.2 Mのクロロスルホン酸と50 ℃で6時間反応後、水洗し、イオン交換容量、含水率、耐酸化性、及び耐酸性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例5において、エチルビニルケトンの代わりにメチルビニルケトン20 mlを用い、温度を40 ℃にしてグラフト重合した。グラフト率は28 %であった。
(実施例7)
実施例5において、エチルビニルケトンの代わりにメチルビニルケトン20 mlを用い、温度を40 ℃にしてグラフト重合した。グラフト率は28 %であった。
このグラフト重合して得た架橋PTFEフィルムをスルホン化するため、1,2-ジクロロエタンで希釈した0.2 Mのク口口スルホン酸と50 ℃で6時間反応させた後、水洗し、本実施例で得られた膜のイオン交換容量、含水率、耐酸化性、及び耐酸性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例5において、エチルビニルケトン20 mlに、さらに架橋剤としてジビニルベンゼン2.2 mlを入れ、グラフト重合した。グラフト率は26 %であった。
(実施例8)
実施例5において、エチルビニルケトン20 mlに、さらに架橋剤としてジビニルベンゼン2.2 mlを入れ、グラフト重合した。グラフト率は26 %であった。
このグラフト重合して得た架橋PTFEフィルムを1,2-ジクロロエタンで希釈した0.2 Mのクロロスルホン酸と50 ℃で6時間反応後、水洗し、イオン交換容量、含水率、耐酸化性、及び耐酸性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1で得た架橋PTFEフィルム(厚さ50 μm)をコック付きのガラス製セパラブル容器(内径1.5 cm、高さ15 cm)に入れて脱気後、アルゴンガスで置換した。この状
態で架橋PTFEフィルムに、再び、γ線(線量率10 kGy/h)を15 kGyまで室温で照射した。アルゴンガスのバブリングによって酸素を除いたスチレンモノマーを架橋PTFEフィルムの入ったガラス容器に、膜が浸漬されるまで導入した。容器内を撹拌し、60 ℃で5時間反応させた。その後、グラフト重合膜をトルエンで洗浄し、乾燥した。グラフト率は62 %であった。このグラフト重合膜を0.2 Mクロロスルホン酸(1,2-ジクロロエタン溶媒)に浸漬し50 ℃、6時間スルホン化反応を行った。その後、この膜を水洗いしてスルホン酸基とした。この膜について、イオン交換容量、含水率、耐酸化性、及び耐酸性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1において、スチレンに、さらに架橋剤としてジビニルベンゼンを10 vo1%混ぜ、グラフト重合した。グラフト率は58 %であった。
(比較例1)
実施例1で得た架橋PTFEフィルム(厚さ50 μm)をコック付きのガラス製セパラブル容器(内径1.5 cm、高さ15 cm)に入れて脱気後、アルゴンガスで置換した。この状
態で架橋PTFEフィルムに、再び、γ線(線量率10 kGy/h)を15 kGyまで室温で照射した。アルゴンガスのバブリングによって酸素を除いたスチレンモノマーを架橋PTFEフィルムの入ったガラス容器に、膜が浸漬されるまで導入した。容器内を撹拌し、60 ℃で5時間反応させた。その後、グラフト重合膜をトルエンで洗浄し、乾燥した。グラフト率は62 %であった。このグラフト重合膜を0.2 Mクロロスルホン酸(1,2-ジクロロエタン溶媒)に浸漬し50 ℃、6時間スルホン化反応を行った。その後、この膜を水洗いしてスルホン酸基とした。この膜について、イオン交換容量、含水率、耐酸化性、及び耐酸性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1において、スチレンに、さらに架橋剤としてジビニルベンゼンを10 vo1%混ぜ、グラフト重合した。グラフト率は58 %であった。
このグラフト重合して得た架橋PTFEフィルムを1,2-ジクロロエタンで希釈した0.2 Mのクロロスルホン酸と50 ℃で6時間反応後、水洗し、イオン交換容量、含水率、耐酸化性、及び耐酸性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)
ナフイオンl17(デュポン社製)について測定されたイオン交換容量、含水率、耐酸化性、及び耐酸性の結果を表1に示す。
(比較例3)
ナフイオンl17(デュポン社製)について測定されたイオン交換容量、含水率、耐酸化性、及び耐酸性の結果を表1に示す。
(アルコールの膨潤度の測定)
実施例5で得た電解質膜及びナフイオン117を3 Mの硫酸溶液に浸漬し、イオン交換基をH型(-SO3H)とした。そして、室温水に浸漬し、湿潤状態で寸法を測定した。次に膜をメタノール、イソプロパノール(以下、IPAと略す)の各アルコール溶液に浸けて60 ℃、3時間保持し、その後、室温まで一夜放冷した後、膜の寸法変化を測定した。アルコール添加量に対する膨潤特性の変化を図1に示す。本実施例で得られた膜は、ナフィオンに比べメタノールなどによる膜の膨潤がほとんど認められないので、直接メタノール型燃料電池の膜材料としてきわめて有効である。
実施例5で得た電解質膜及びナフイオン117を3 Mの硫酸溶液に浸漬し、イオン交換基をH型(-SO3H)とした。そして、室温水に浸漬し、湿潤状態で寸法を測定した。次に膜をメタノール、イソプロパノール(以下、IPAと略す)の各アルコール溶液に浸けて60 ℃、3時間保持し、その後、室温まで一夜放冷した後、膜の寸法変化を測定した。アルコール添加量に対する膨潤特性の変化を図1に示す。本実施例で得られた膜は、ナフィオンに比べメタノールなどによる膜の膨潤がほとんど認められないので、直接メタノール型燃料電池の膜材料としてきわめて有効である。
以上示したとおり、図1及び表1の結果により本発明の高い有効性が実証された。
Claims (6)
- 高分子基材にモノマーとして、化学式:
CH2=CH-CR=O R=CnH2n+1 (n=1〜6) (1)
で表される、アルキルビニルケトンを骨格とするモノマーもしくはその誘導体の一種又は複数種を組み合わせ、それをグラフト重合後に、スルホン酸基を導入して得られる燃料電池用電解質膜。 - 化学式(1)に示すモノマーもしくはその誘導体の一種又は複数種と、他の炭化水素系ビニルモノマー及び/又は炭化フッ素系ビニルモノマーとを組み合わせ、それらを高分子基材にグラフト重合する、請求項1に記載の燃料電池用電解質膜。
- グラフト重合したスルホン酸基保持ポリマー鎖が架橋構造を有する、請求項1又は2に記載の燃料電池用電解質膜。
- 高分子基材がオレフィン系高分子又はフッ素系高分子からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池用電解質膜。
- 高分子基材が架橋構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池用電解質膜。
- 得られたグラフト重合体のグラフト率が6 %〜200 %、イオン交換容量が0.3 meq/g〜6.O meq/gであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池用電解質膜。
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JP2003376738A JP2005142014A (ja) | 2003-11-06 | 2003-11-06 | 耐酸性に優れた燃料電池用電解質膜 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005142014A true JP2005142014A (ja) | 2005-06-02 |
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-
2003
- 2003-11-06 JP JP2003376738A patent/JP2005142014A/ja active Pending
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