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JP2005139477A - 加工性,耐コイル変形性,耐食性に優れた表面処理鋼板 - Google Patents

加工性,耐コイル変形性,耐食性に優れた表面処理鋼板 Download PDF

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JP2005139477A JP2003374211A JP2003374211A JP2005139477A JP 2005139477 A JP2005139477 A JP 2005139477A JP 2003374211 A JP2003374211 A JP 2003374211A JP 2003374211 A JP2003374211 A JP 2003374211A JP 2005139477 A JP2005139477 A JP 2005139477A
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Masanori Matsuno
雅典 松野
Shinya Furukawa
伸也 古川
Shigeyasu Morikawa
茂保 森川
Koichiro Ueda
耕一郎 上田
Hirobumi Taketsu
博文 武津
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

【課題】 プレス加工性が良好で、コイル変形や切板パイリング時の荷崩れが抑えられた表面処理鋼板を提供する。
【解決手段】 有機質潤滑剤,シランカップリング剤,バルブメタル化合物が水性樹脂に配合された有機樹脂皮膜を鋼板表面に設けた表面処理鋼板である。有機樹脂皮膜は、最表層における水素以外の元素に対する炭素の原子数比:C/全元素が0.75〜0.9、シランカップリング剤のSi及びバルブメタル化合物のメタル(M)の原子数比:(Si+M)/全元素が0.01〜0.05の範囲に調整されている。バルブメタル化合物としては、バルブメタルの酸化物,水酸化物,リン酸塩の1種又は2種以上が使用される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、潤滑油の必要なく目標形状にプレス加工でき、コイル状に巻いた鋼帯の変形や切板パイリング時の荷崩れも抑制されたCrフリーの表面処理鋼板に関する。
外装材,内装材,表装材,車両用鋼板等に使用されている亜鉛系,アルミニウム系等のめっき鋼板は、耐食性,塗膜密着性を改善するためクロメート処理,リン酸塩処理等の化成処理が施される場合が大半である。最近では、環境負荷の大きなCrを含まないCrフリーの化成処理も開発されている。化成皮膜を設けた鋼板を目標形状にプレス加工するとき、化成処理皮膜が潤滑性に乏しいのでプレス加工に先立って高粘度潤滑剤の塗布によって潤滑性を表面処理鋼板に付与している。
潤滑剤を使用する場合、加工前の潤滑剤塗布,加工後の潤滑剤除去工程が必要になる。潤滑剤の塗布,除去工程を省略し無塗油で表面処理鋼板を加工できると、プレス加工の工数低減が図られ、生産性が向上する。潤滑剤を洗い落とす溶剤脱脂,アルカリ脱脂等も不要になり、環境に有害な廃液処理の負担も軽減される。このような観点から、無塗油で目標形状にプレス加工できる表面処理鋼板が研究・開発されている。
たとえば、イオンクラスターによる分子間会合したポリオレフィン系重合体をベースとし、アジリジニル基含有有機化合物,シリカ粒子,ポリエチレンワックスを添加した樹脂組成物から塗膜が形成された塗装鋼板(特許文献1)は、優れた潤滑性を呈し、無塗油でも目標形状にプレス加工できる。しかし、鋼板表面が滑りやすく、製造時の巻き緩みに起因するコイル潰れや切板パイリング時の荷崩れが生じやすい。
特開平8-207199号公報
平均分子量:5000以下,酸価:0.1以上のポリエチレン樹脂を固形潤滑剤に使用し、固形潤滑剤,防錆顔料を含む有機樹脂皮膜をクロメート処理した鋼板表面に形成すると、無塗油でプレス加工でき、コイル潰れ,パイリング時の荷崩れも抑えられた表面処理鋼板が得られる(特許文献2)。脂肪酸金属塩,脂肪酸ビスアミド,脂肪酸アミン,脂肪酸アミド誘導体等を含む有機複合皮膜をクロメート処理した鋼板表面に形成することによっても、無塗油でプレス加工でき、耐コイル変形性に優れた表面処理鋼板になる(特許文献3)。しかし、何れもクロメート処理工程を経ることから、環境保全が重視される傾向に合致した素材とはいえない。
特開平10-15483号公報 特開2001-288583号公報
水性樹脂,シランカップリング剤,リン酸成分を含む皮膜を下地処理層とし、有機樹脂,微細シリカ,ポリエチレンワックスの上層皮膜を積層すると、耐プレスかじり性,耐コイル変形性が改善されたCrフリー表面処理鋼板が得られる(特許文献4)。しかし、下層皮膜,上層皮膜を形成する二段処理のために製造工程が複雑化するだけでなく、クロメート皮膜と同等な耐食性を満足するに至っていない。
特開2002-212749号公報
本発明は、従来の表面処理鋼板又は塗装鋼板と異なり、鋼板表面に設けた有機樹脂皮膜の最表層を改質することにより、クロメート処理に匹敵する耐食性は勿論、無塗油でも目標形状にプレス加工でき、コイル潰れやパイリング時の荷崩れがない表面処理鋼板を提供することを目的とする。
本発明の表面処理鋼板は、有機質潤滑剤,シランカップリング剤,バルブメタル化合物が水性樹脂に配合された有機樹脂皮膜が鋼板表面に設けている。有機樹脂皮膜は、最表層における水素以外の元素に対する炭素の原子数比:C/全元素が0.75〜0.9、シランカップリング剤のSi及びバルブメタル化合物のメタル(M)の原子数比:(Si+M)/全元素が0.01〜0.05の範囲に調整されている。バルブメタル化合物としては、バルブメタルの酸化物,水酸化物,リン酸塩の1種又は2種以上が使用される。
表面処理鋼板は、鋼板表面に設けた有機樹脂皮膜の最表層如何にプレス加工性,耐コイル変形性が影響される。
表面処理鋼板の極表層の親和力が低いほどプレス加工性が向上することから、親和力を高める成分(たとえば、カルボキシル基,水酸基,アミン基等の有機極性基や無機質の水酸化物)をほとんど含まないワックスを表層形成用樹脂に添加し、表面にブリードさせることにより、プレス加工性にとって好ましくない有機官能基や無機化合物の少ない表面が得られる。しかし、単純に表面の親和力を低下すると、コイル崩れや切板パイリング時の荷崩れが生じやすくなる。表面処理鋼板を相互に重ねた際の潤滑性がコイル変形,荷崩れの支配要因であり、コイル変形,荷崩れを抑制する上では親和力の高い表面が望まれる。
プレス加工性と耐コイル変形性,耐荷崩れ性とは相反する傾向にあるが、有機樹脂皮膜の最表層にあるC,Si,M(バルブメタル)の濃度を適正管理し、親和力の高い極性基をもつ成分を有機樹脂皮膜の極表層に配向させ、硬質粒子を皮膜表面に臨ませるとき、プレス加工性と耐コイル変形性,耐荷崩れ性の両立が可能になる。
〔極性基の配向が及ぼす影響〕
鋼板表面に設けた有機樹脂皮膜の極表層に親和力の高い極性基をもつ成分(以下、「極性基成分」という)を微細に配向させると、表面処理鋼板を重ね合わせた際に極性基成分が相互に重なる頻度が高くなる。極性基成分が重なった部分は、自由エネルギーが等しくなり親和力が高くなることから強い接着性を示し、極性基成分が少量であっても高いブレーキ効果が発現し、潤滑性が低下する。その結果、コイル状に巻き取った場合のコイル変形や切板パイリング時の荷崩れが抑えられる。他方、プレス金型/表面処理鋼板の接触界面では極性基成分が重なり合うことがないのでブレーキ効果が小さく、良好な潤滑性が維持される。
カルボン酸基,水酸基等を有する有機化合物(多価フェノール,オキシカルボン酸等)やエポキシ系,アクリル系有機樹脂は、有機樹脂皮膜中で鋼板側に配向しやすいので、有機樹脂皮膜の極表層に配向させるためには増量の必要がある。しかし、これらの有機化合物や有機樹脂を過剰添加すると、皮膜物性が大きく変化しやすい。たとえば、有機化合物の多量添加は、皮膜中でのポアを多発させて耐食性が低下する原因である。また、有機樹脂の多量添加は、皮膜の伸びを低下させ、加工性,加工後耐食性にとっても好ましくない。更に、カルボン酸基が多量に含まれる皮膜では耐水性,耐アルカリ性も低下する。
有機化合物や有機樹脂に比較して異なる極性基を分子中に多く有するシランカップリング剤を有機樹脂皮膜に含ませると、鋼板/皮膜の界面及び皮膜の極表層にシランカップリング剤が濃化する。そのため、少量の添加量で有機樹脂皮膜の極表層に極性基を配向でき、皮膜物性もほとんど低下しない。しかも、有機樹脂に比較して分子量が小さいため、親和力の高いサイトが島状に微細配向し、耐コイル変形性,プレス加工性の両立に好適な表面状態が得られる。
〔硬質粒子の分布が及ぼす影響〕
金属酸化物,水酸化物,リン酸塩等の硬質粒子が有機樹脂皮膜の表面に露出した表面処理鋼板を相互に重ね合わせると、硬質粒子が相手側の有機樹脂皮膜に押し込まれ、接触界面に機械的噛合い力、ひいてはブレーキ作用が働く。その結果、コイル状に捲回した場合のコイル変形や切板パイリング時の荷崩れが抑えられる。表面処理鋼板がプレス金型に接触した状態では、プレス金型の押圧力で硬質粒子が鋼板側に押し込められるので、表面処理鋼板/プレス金型の接触界面に機械的な噛合いが生じることなく、無塗油プレス加工に必要な潤滑性が維持される。
耐コイル変形性に及ぼす影響は硬質粒子の種類に依らないが、酸化物の絶縁抵抗が高いバルブメタルの化合物を硬質粒子に使用するとき耐食性,耐水性の向上も図られる。耐食性,耐水性の向上は、バルブメタル化合物の均一分散により有機樹脂皮膜が緻密化することに原因があると推察される。なかでも、バルブメタルの酸化物,水酸化物,リン酸塩が有効である。他方、二硫化モリブデン等の無機潤滑剤は、潤滑剤自体の結晶が崩壊し、崩壊結晶のコロ作用によって潤滑性を発現するが、結晶崩壊に伴う滑りが一旦生じると耐コイル変形性,切板パイリング時の荷崩れ等に抗するブレーキ効果が得られがたい。
有機樹脂皮膜が形成される鋼板(化成処理原板)は材質に特段の制約が加わるものではなく、普通鋼板,めっき鋼板,ステンレス鋼板等が使用される。めっき鋼板には、Znめっき鋼板,Alめっき鋼板,Zn−Al合金めっき鋼板,Zn−Al−Mg合金めっき鋼板,Cuめっき鋼板,Snめっき鋼板等が挙げられる。
化成処理原板は、有機樹脂皮膜の形成に先立って脱脂,リン酸塩処理等の下地処理が適宜施される。化成処理原板の表面に有機質潤滑剤,シランカップリング剤,バルブメタル化合物を含む水性樹脂液を塗布し、水洗工程を経ずに乾燥することにより目標とする有機樹脂皮膜が形成される。水性樹脂液の塗布にはロールコート法,スピンコート法,スプレー法等が採用される。乾燥は、常温でも可能であるが、連続操業等を考慮すると50℃以上に保持して乾燥時間を短縮することが好ましい。ただし、200℃を超える高温加熱では、皮膜に含まれる有機成分が熱分解し、潤滑性,耐食性等の品質特性が低下する虞がある。
水性樹脂液は、皮膜形成成分としてウレタン,エポキシ,ポリプロピレン,エチレン−アクリル共重合体等のオレフィン系,ポリスチレン系,ポリエステル系、或いはこれらの共重合体,変性物,アクリル系等の有機樹脂を含んでいる。なかでも、ポリイソシアネートとポリオールとの反応で得られる水溶性又は水分散性のウレタン樹脂,特に自己乳化型ウレタン樹脂が好ましい。ポリイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート,トリレンジイソシアネート,ジフェニルメタンジイソシアネート,ナフタレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートや、シクロヘキサンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,ノルボルナンジイソシアネート,キシリレンジイソシアネート,テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートがある。ポリオールには、ポリエステルポリオール,ポリエーテルポリオール,ポリカーボネートポリオール,ポリアセタールポリオール,ポリアクリレートポリオール,ポリブタジエン系等のポリオレフィンポリオールが使用される。
水性樹脂液に添加される有機質潤滑剤としてはフッ素系,ポリエチレン系,スチレン系等のワックスがあるが、低融点ワックス,高融点ワックスの何れもが使用可能である。低融点ワックスは、有機樹脂皮膜の乾燥時に皮膜表面にブリードし、潤滑性を発現する。高融点ワックスは、有機樹脂皮膜中に分散状態で存在するが、皮膜の最表層では島状分布で皮膜表面に露出して親和力を低下させ、潤滑性を発現する。
シランカップリング剤には、アミノ基,エポキシ基,メルカプト基,アクリロイルオキシ基,アルコキシ基等、1種又は2種以上の官能基を含むシラン化合物が使用される。シランカップリング剤は鋼板側及び皮膜表層側に濃化する傾向が強く、なかでも皮膜表層側に濃化した際に良好なブレーキ効果を発揮するアミノ基,エポキシ基を有するシランカップリング剤が好適である。
バルブメタル化合物は、金属酸化物,水酸化物,リン酸塩等として添加される。酸素酸塩には、アンモニウム塩,アルカリ金属塩,アルカリ土類金属塩,水素酸塩等がある。バルブメタル化合物は、処理液に溶解又は均一分散している何れの状態でも効果を発揮し、シリカゾル,アルミナゾル,チタニアゾル等に均一分散させた形態で添加しても良い。なかでも、酸化性を示す六価Mo,W,五価V等の酸化物,酸素酸塩を有機樹脂皮膜に含ませると、皮膜を介して下地めっき層が露出している欠陥部にバルブメタル化合物が溶出してめっき層を酸化し、めっき層成分とバルブメタルの化合物を再析出させる自己修復作用で皮膜のピンホール,加工欠陥等が修復され、耐食性が向上する。
水性樹脂液には、他の任意成分としてリン酸,リン酸塩,フッ化物等を添加することも可能である。リン酸,リン酸塩,フッ化物等は、反応性が高く基材に対する有機樹脂皮膜の密着性を向上させる。Al含有亜鉛系めっき鋼板を化成処理原板に使用する場合、Fe,Co,Ni等の化合物を水性樹脂液に添加すると表面処理鋼板の黒変化が抑制される。また、無機顔料,有機顔料,有機染料等を配合し、有機樹脂皮膜に所定の色調を付与することもできる。
水性樹脂液を化成処理原板に塗布・乾燥することにより有機樹脂皮膜が原板表面に形成されるが、良好な耐コイル変形性,切板パイリング時の耐荷崩れ性,プレス加工性を確保する上で皮膜最表層のC濃度及びシランカップリング剤,バルブメタル化合物の合計濃度が重要な要因となる。皮膜最表層のC濃度は、使用する水性樹脂種,ワックス種とその添加量、また低融点タイプのワックスを用いる場合には乾燥温度により管理できる。シランカップリング剤,バルブメタル化合物の合計濃度は、使用する添加剤の種類及び添加量、またゾルを用いる場合にはその粒径により管理できる。
C濃度が低いことは、親和力を高めるカルボキシル基,水酸基,アミノ基等の有機極性基や無機酸化物,水酸化物,リン酸塩等が皮膜表面に多く存在することを意味し、潤滑性,プレス加工性にとって好ましくない。C濃化に伴いプレス加工性が向上するものの、高すぎるC濃度ではブレーキ効果をもつ成分が少なくなり、耐コイル変形性,耐荷崩れ性等が低下する。シランカップリング剤,バルブメタル化合物は、皮膜最表層に濃化するほどブレーキ効果を向上させるがプレス加工性を低下させ、不十分な濃化ではブレーキ効果が不足して耐コイル変形性,耐荷崩れ性等が低下する。
本発明者等による調査・研究の結果から、皮膜最表層における水素以外の全元素に対するCの原子数比を0.75〜0.9の範囲に、水素以外の全元素に対するシランカップリング剤のSi及びバルブメタル化合物のメタル(M)の原子数比:(Si+M)/全元素を0.01〜0.05の範囲に維持するとき、プレス加工性と耐コイル変形性,耐荷崩れ性との両立が図れることが判った。なお、皮膜最表層にあるC,Si,M等の濃度は、ESCA,オージェ(AES)等で測定できる。
2種類の亜鉛めっき鋼板A,Bを化成処理原板に使用し、表1の水性樹脂液を塗布・乾燥することにより有機樹脂皮膜を原板表面に形成した。有機樹脂皮膜の膜厚は、水性樹脂液の塗布量によって種々変更した。形成された有機樹脂皮膜の膜厚及び皮膜最表層のC濃度及びシランカップリング剤,バルブメタル化合物の合計濃度を表2に示す。
A:付着量20g/m2,板厚0.8mmの電気亜鉛めっき鋼板
B:付着量20g/m2,板厚0.8mmの溶融Zn−6質量%Al−3質量%Mg合金めっき鋼板
Figure 2005139477
Figure 2005139477
有機樹脂皮膜が形成された各表面処理鋼板から試験片を切り出し、腐食試験,摩擦試験,プレス加工試験,コイル変形試験に供した。
〔腐食試験〕
試験片の端面をシールし、JIS Z2371に準拠して35℃の5%NaCl水溶液を噴霧した。塩水噴霧を所定時間継続した後、試験片表面を観察した。試験片表面に発生している白錆の面積率を測定し、白錆発生面積率が5%以下を◎,5〜10%を○,10〜30%を△,30〜50%を▲,50%以上を×として平坦部の耐食性を評価した。
〔摩擦試験〕
動摩擦係数測定装置(HEIDON-14;新東科学株式会社製)を用い、荷重100gf,摺動速度150mm/分の条件下で直径10mmのステンレス鋼球を試験片表面に摺動させることにより動摩擦係数を測定した。
〔プレス加工試験〕
クランププレス装置を用いた単発のプレス試験で試験片をプレス加工し、成形品の摺動面を目視観察した。摺動面に疵が発生していない試験片を◎,摺動面に10面積%未満の割合で疵が検出された試験片を○,10〜50面積%の割合で摺動疵が発生した試験片を△,50面積%を超える摺動疵が発生した試験片を×としてプレス加工性を評価した。
〔コイル変形試験〕
各表面処理鋼板を10トン製造してコイルに巻き取った後、コイルをペイオフリールから払い出し、コイルカーに載せた。コイルカーを左右に3往復させたときに発生するコイル内周部の巻き緩み幅を測定したところ、巻き緩み幅の測定値と表面処理鋼板の静摩擦係数との間に図1の関係が成立していた。そこで、静摩擦係数0.15以上の表面処理鋼板を○,0.15未満の表面処理鋼板を×として耐コイル変形性を簡便評価した。なお、静摩擦係数の測定は、次の方法に依った。
幅:50mm,長さ:40mmの表面処理鋼板1R,1Lを金型2R,2Lに接着し、表面処理鋼板1R,1Lの間に幅:30mmの表面処理鋼板3を挟み込み、表面処理鋼板1R,1Lと表面処理鋼板3との接触面積を12cm2に設定した(図2)。表面処理鋼板3に加圧力F:600kgfを加えながら引抜き速度v:100mm/分で表面処理鋼板1R,1Lの間から引き抜いた。この条件下で表面処理鋼板3が動き出すときの引抜き力F1を加圧力Fで割った値F1/Fを静摩擦係数として算出した。
表3,4の調査結果にみられるように、C/全元素,(Si+M)/全元素の原子数比をそれぞれ0.75〜0.9,0.01〜0.05の範囲に維持した有機樹脂皮膜を設けた表面処理鋼板は、平坦部耐食性に優れ、プレス加工性,耐コイル変形性の何れも良好であった。他方、C/全元素の原子数比が低い処理液No.9で有機樹脂皮膜を設けた表面処理鋼板は動摩擦係数が大きくプレス加工性に劣っており、皮膜最表層の極性基不足が窺われる。(Si+M)/全元素の原子数比が低い処理液No.10で有機樹脂皮膜を設けた表面処理鋼板は耐コイル変形性に劣っており、皮膜最表層にアンカー効果をもつ成分が皮膜表層に不足していることが窺われる。バルブメタル化合物を含まない処理液No.11で有機樹脂皮膜を設けた表面処理鋼板は、耐コイル変形性,プレス加工性は良好であるものの耐食性に劣っていた。
Figure 2005139477
Figure 2005139477
以上に説明したように、鋼板表面に形成される有機樹脂皮膜のC/全元素,(Si+M)/全元素を適正管理することにより、プレス加工性と耐コイル変形性,切板パイリング時の耐荷崩れ性とを両立させた表面処理鋼板が得られる。この表面処理鋼板を巻き取ったコイルは変形が抑えられ、巻き緩みも少ないため取扱いが容易で、無塗油で目標形状にプレス成形できるため製造工程の簡略化も図られる。そのため、外装材,内装材,表装材等の広範な用途に適した素材として使用される。
静摩擦係数とコイル巻き緩み幅との相関関係を説明するグラフ 静摩擦係数測定の説明図

Claims (2)

  1. 有機質潤滑剤,シランカップリング剤,バルブメタル化合物が水性樹脂に配合された有機樹脂皮膜が鋼板表面に設けられ、有機樹脂皮膜の最表層における水素以外の元素に対する炭素の原子数比:C/全元素が0.75〜0.9、シランカップリング剤のSi及びバルブメタル化合物のメタル(M)の原子数比:(Si+M)/全元素が0.01〜0.05の範囲にあることを特徴とする加工性,耐コイル変形性,耐食性に優れた表面処理鋼板。
  2. 酸化物,水酸化物,リン酸塩の1種又は2種以上としてバルブメタル化合物が含まれている請求項1記載の表面処理鋼板。
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