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JP2005139215A - 帯電防止性熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形品 - Google Patents

帯電防止性熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形品 Download PDF

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JP2005139215A JP2003374037A JP2003374037A JP2005139215A JP 2005139215 A JP2005139215 A JP 2005139215A JP 2003374037 A JP2003374037 A JP 2003374037A JP 2003374037 A JP2003374037 A JP 2003374037A JP 2005139215 A JP2005139215 A JP 2005139215A
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Norifumi Sumimoto
典史 住本
Takashi Kurata
貴志 蔵田
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Abstract

【課題】 アウトガスの発生量が極めて少なく、かつ、帯電防止性に優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物及び成形品を提供する。
【解決手段】 ポリアミドエラストマー及び/又はポリエステルエラストマー(A)2〜60重量%と;ゴム質重合体(b−1)の存在下、芳香族ビニル化合物並びにシアン化ビニル化合物及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むビニル系単量体(b−2)を重合して得られるゴム強化共重合体(B−1)、又は、該ゴム強化共重合体(B−1)とビニル系単量体の(共)重合体(B−2)との混合物からなるゴム強化樹脂98〜40重量%を含有する帯電防止性熱可塑性樹脂組成物であって、総揮発性物質の含有量が該組成物全体の0.3%以下であることを特徴とする帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。該組成物は帯電防止剤としてリチウム化合物、特にLiBrを含むことが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アウトガスの発生量が極めて少なく、かつ、帯電防止性に優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物、および本熱可塑性樹脂組成物を用いてなる成形品に関する。
ABS樹脂などのスチレン系樹脂は、成形加工性、物理的性質および機械的性質に優れていることから、電気・電子分野、家電分野および自動車分野などに幅広く使用されている。しかしながら、このスチレン系樹脂は、電気絶縁体であり、絶縁材料として有効であるが、帯電した電気を漏洩することができず、表面にほこりが付いたり、電子機器関係において帯電した電気が妨害を与えるという欠点を有している。
これらの欠点を改良する方法として、一般的に帯電防止剤を練り込む方法が知られているが、この方法では表面固有抵抗値が経時変化して高くなるので、帯電防止効果が持続しないという欠点を有している。帯電防止効果の持続性を向上させる方法として、ポリアミドエラストマーをABS樹脂などのスチレン系樹脂に配合する方法が提案されている(下記特許文献2、3、4および6参照)。また、該スチレン系樹脂に添加する帯電防止剤としてリチウム化合物を用いることにより、帯電防止性を更に向上できることも知られている(下記特許文献1および5参照)。これらの手法によってスチレン系樹脂の帯電防止性をかなり向上させることはできるが、近年、電気・電子分野において、更に良好な帯電防止性が求められている。
また、近年、電気・電子分野では、電気・電子部品を収納または搬送するためのプラスチック製の容器から揮発するガス(所謂「アウトガス」)によって、該容器に収容された電気・電子部品が損傷を受けるという問題が指摘されている。また、樹脂の成形時にアウトガスが発生すると成形型が汚染され、成形品外観が悪くなる場合もある。かかる状況下で、スチレン系樹脂に関しても、アウトガスの発生が高度に抑制されたものが求められている。
特開平5−163402号公報 特開平5−163441号公報 特開平6−107884号公報 特開平6−220274号公報 特開平8−109327号公報 特許第3386612号明細書
本発明の目的は、アウトガスの発生量が極めて少なく、かつ、帯電防止性に優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物、並びに本熱可塑性樹脂組成物を用いてなる成形品を提供することにある。
本発明者は、上記目的の下に鋭意研究した結果、ポリアミドエラストマー及び/又はポリエステルエラストマーが配合されたスチレン系樹脂において、その総揮発性物質の含有量を特定量以下に低減させることにより、アウトガスの発生量が低減するだけでなく、帯電防止性も顕著に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、下記成分(A)2〜60重量%、および、下記成分(B)98〜40重量%を含有する帯電防止性熱可塑性樹脂組成物(ただし、成分(A)と成分(B)の合計は100重量%)であって、総揮発性物質の含有量が該組成物全体の0.3%以下であることを特徴とする帯電防止性熱可塑性樹脂組成物が提供される。
成分(A)は、ポリアミドエラストマー及び/又はポリエステルエラストマーである。
成分(B)は、ゴム質重合体(b−1)の存在下、芳香族ビニル化合物並びにシアン化ビニル化合物及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むビニル系単量体(b−2)を重合して得られるゴム強化共重合体(B−1)、又は、該ゴム強化共重合体(B−1)とビニル系単量体の(共)重合体(B−2)との混合物からなるゴム強化樹脂である。
さらに、本発明によれば、上記熱可塑性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品が提供される。
本発明によれば、ポリアミドエラストマー及び/又はポリエステルエラストマーが配合されたスチレン系樹脂において、総揮発性物質の含有量を該組成物全体の0.3%以下に低減させることとしたので、アウトガスの発生量が低減するだけでなく、樹脂の帯電防止性が格段に優れたものとなる。理論に拘束されるものではないが、総揮発性物質の含有量が低減された結果、樹脂中に配合されたポリアミドエラストマー及び/又はポリエステルエラストマーの吸湿性が良好に発揮されるため、帯電防止性が改善されるものと考えられる。さらに、樹脂に帯電防止剤を配合した場合には、一層高度な帯電防止性を達成できる。
以下、本発明を詳しく説明する。
なお、本明細書において、「(共)重合」および「(共)重合体」は、夫々、「単独重合」および/または「共重合」、並びに、「単独重合体」および/または「共重合体」を意味し、「(メタ)アクリル」および「(メタ)アクリレート」は、夫々、「アクリル」および/または「メタクリル」、並びに、「アクリレート」および/または「メタクリレート」を意味する。
本発明に用いられる(A)ポリアミドエラストマーとしては、代表的には、ポリアミドからなるハードセグメント(X)と、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールからなるソフトセグメント(Y)とを含んでなるブロック共重合体が挙げられる。ポリアミドエラストマー(A)中に占めるハードセグメント(X)の比率は、好ましくは10〜95重量%、さらに好ましくは20〜90重量%、特に好ましくは30〜70重量%である。ポリアミドエラストマー(A)中に占めるハードセグメント(X)の比率が10重量%未満では相溶性に劣り、一方95重量%を超えると帯電防止性に劣り好ましくない。
ハードセグメント(X)として使用されるポリアミド成分としては特に制限はなく、例えば、ジアミンとジカルボン酸とから導かれるポリアミド;ラクタム類の開環重合によって導かれるポリアミド;アミノカルボン酸から導かれるポリアミド;これらの共重合ポリアミド;さらにはこれらの混合ポリアミドなど挙げられる。
ジアミンとジカルボン酸とから導かれるポリアミドとしては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,3,4もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3もしくは1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンなどの脂肪族、脂環族または芳香族ジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの脂肪族、脂環族または芳香族ジカルボン酸とから導かれるポリアミドが挙げられる。かかるポリアミドとしては、代表的には、m+nが12以上のナイロンmn塩が挙げられ、具体的には、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11,6、ナイロン11,10、ナイロン12,6、ナイロン11,12、ナイロン12,6、ナイロン12,10、ナイロン12,12などのナイロン塩が挙げられる。
ラクタム類の開環重合によって得られるポリアミドとしては、例えば、炭素数が6以上のラクタム類から得られるポリアミド、具体的には、カプロラクタム、ラウロラクタムなどのラクタム類から得られるポリアミドが挙げられる。
アミノカルボン酸から導かれるポリアミドとしては、例えば、炭素数が6以上のアミノカルボン酸から得られるポリアミド、具体的には、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナン酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノベルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸から得られるポリアミドが挙げられる。
(X)成分の分子量は特に規定されないが、数平均分子量が500〜10,000、特に500〜5,000の範囲のものが好ましい。
ソフトセグメント(Y)として使用されるポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分としては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2または1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとのブロックまたはランダム共重合体、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
(Y)成分の分子量は、数平均分子量で好ましくは200〜20,000、さらに好ましくは300〜10,000、特に好ましくは300〜4,000である。
これらのグリコール(Y)のなかでも、帯電防止性が優れている点で、特にポリエチレングリコールが好ましく用いられる。なお、本発明では、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール(Y)の両末端を、アミノ化またはカルボキシル化してもよい。前記(X)成分と(Y)成分との結合は、(Y)成分の末端に対応してエステル結合またはアミド結合が考えられる。この結合の際に、ジカルボン酸やジアミンなどの第3成分を用いることができる。
上記第3成分として用いるジカルボン酸としては、代表的には、芳香族、脂環族または脂肪族ジカルボン酸が用いられる。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、炭素数4〜20のものが挙げられ、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウムなどが挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、具体的には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4−ジカルボン酸などが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で、または、2種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、特にテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデカンジカルボン酸が、重合性、色調、および物性の点から好ましく用いられる。
また、この第3成分として用いるジアミンとしては、代表的には、芳香族、脂環族または脂肪族ジアミンが用いられる。芳香族ジアミンとしては、具体的には、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルメタンなど挙げられる。脂環族ジアミンとしては、具体的には、ピペラジン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、シクロヘキシルジアミンなど挙げられる。脂肪族ジアミンとしては、具体的には、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの炭素数2〜12のものが挙げられる。これらのジアミンのうち、好ましいものは、ヘキサメチレンジアミンである。
なお、ポリアミドエラストマー(A)として、(1)炭素数6以上のアミノカルボン酸もしくはラクタム類から導かれるポリアミド、または、炭素数6以上のジアミンとジカルボン酸の塩から導かれるポリアミド、(2)数平均分子量が200〜6,000のポリエチレングリコール、および(3)炭素数4〜20のジカルボン酸から構成されるポリエーテルエステルアミドで、ポリエーテルエステル単位が10〜95重量%であるポリエーテルエステルアミドを用いると、一段と優れた機械的性質および帯電防止性を有する熱可塑性樹脂組成物が得られる。このうち、好ましい(1)成分としては、カプロラクタム、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩が挙げられる。好ましい(2)成分としては、数平均分子量が200〜6,000、好ましくは250〜4,000のポリエチレングリコールが挙げられ、数平均分子量がこの範囲にあると機械的性質、帯電防止性の優れたものが得られる。好ましい(3)成分のジカルボン酸としては、上記第3成分として挙げたジカルボン酸を使用できる。
また、特開平8−109327号公報の記載に従い、上記ソフトセグメント(Y)として、ビスフェノールAなどの2価フェノール化合物を共重合したポリ(アルキレンオキシド)グリコールを使用してもよい。この場合、熱安定性に優れ、例えば、押出成形加工や射出成形加工等の成形加工時などの熱履歴を受けても帯電防止性能が変化しにくい組成物が得られる。
また、特許第3386612号明細書の記載に従い、ポリアミドエラストマー(A)として、その重合前、重合中あるいは重合後エラストマーの分離・回収前に、カリウム化合物を存在させて製造されたものを使用することもできる。この場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物の衝撃強さを低下させることなく、帯電防止性能を向上させることができる。カリウム化合物の使用量は、ポリアミドエラストマー(A)中に、カリウム原子換算で10〜50,000ppm、好ましくは20〜3,000ppm、さらに好ましくは50〜1,000ppmである。その使用量が10ppm未満では帯電帯電防止性能が劣り、一方50,000ppmを超えると成形品の表面外観が劣るものとなる。
本発明に用いられるポリアミドエラストマー(A)の還元粘度ηSP/C(ギ酸溶液中、0.5g/100ml、25℃で測定)は、好ましくは0.5〜3.0であり、さらに好ましくは1.0〜2.5である。なお、ポリアミドエラストマー(A)は、本発明の組成物製造時および成形加工時の熱劣化によって、分子量低下を生起する場合があるが、最終製品中の還元粘度ηSP/Cは0.3以上であることが好ましい。
上記ポリアミドエラストマー(A)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。上記ポリアミドエラストマー(A)の配合量は、該成分(A)と後で詳述する成分(B)との合計100重量%に対して2〜60重量%、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは7〜25重量%、特に好ましくは7〜20重量%である。(a)成分が2重量%未満では帯電防止性能が劣り、一方60重量%を超えると剛性が低下し好ましくない。
ポリアミドエラストマー(A)の合成法は特に制限されないが、例えば特公昭56−45419号公報、特開昭55−133424号公報などにおいて開示されている方法を採用することができる。
ポリエステルエラストマーは、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物との重縮合、オキシカルボン酸化合物の重縮合ラクトン化合物の開環重縮合、またはこれらの各成分の混合物の重縮合などによって得られるポリエステルであり、ホモポリエステルまたはコポリエステルの何れを用いても本発明の効果が得られる。上記ジカルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられ、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体なども含まれる。また、これらのジカルボン酸化合物は、エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエステルのような低級アルコールエステルの形で使用することも可能である。本発明においては、これらのジカルボン酸化合物を単独でまたは2種以上組み合わせて用いることがてきる。上記ジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブテンジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、シクロヘキサンジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、シクロヘキサンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられ、ポリオキシアルキレングリコールおよびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体も含まれる。これらのジヒドロキシ化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。上記オキシカルボン酸化合物としては、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸、ジフェニレンオキシカルボン酸などが挙げられ、これらのアルキル、アルコキシおよびハロゲン置換体も含まれる。これらのオキシカルボン酸化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。また、ポリエステルエラストマーの製造のために、ε−カプロラクトンなどのラクトン化合物を用いることもできる。
次に、本発明に用いられるゴム強化樹脂(B)は、ゴム質重合体(b−1)の存在下、芳香族ビニル化合物並びにシアン化ビニル化合物及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むビニル系単量体(b−2)を重合して得られるゴム強化共重合体(B−1)、又は、該ゴム強化共重合体(B−1)とビニル系単量体の(共)重合体(B−2)との混合物からなるものである。
ゴム質重合体(b−1)としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン含量5〜60重量%が好ましい)、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体、アクリルゴム、ブタジエン−アクリル共重合体、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化ブタジエン系重合体、エチレン系アイオノマーなどが挙げられる。上記スチレン−ブタジエンブロック共重合体およびスチレン−イソプレンブロック共重合体には、AB型、ABA型、テーパー型、またはラジアルテレブロック型の構造を有するものが含まれる。また、水素化ブタジエン系重合体は、前記ブロック共重合体の水添物のほか、スチレン重合体とスチレン−ブタジエンランダム共重合体とのブロック体の水添物、ブタジエン部分の1,2−ビニル結合が20重量%以下のブロックと1,2−ビニル結合が20重量%を超えるポリブタジエンとからなるブロック重合体の水添物などが挙げられる。
前記ゴム質重合体(b−1)の使用量は、成分(B)全体に対して3〜90重量%、耐衝撃性の面からは好ましくは3〜70重量%、さらに好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは10〜60重量%である。また、前記ゴム質重合体(b−1)の使用量の本発明の組成物全体に対する割合は、耐衝撃性の面から好ましくは5〜25重量%、さらに好ましくは6〜20重量%程度である。
ビニル系単量体(b−2)は、芳香族ビニル化合物を必須成分として含有するとともに、シアン化ビニル化合物及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須成分として含有するが、必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体を含有してもよい。(b−2)中のシアン化ビニル化合物の好ましい含有量は0〜50重量%、より好ましくは1〜40重量%、更に好ましくは3〜40重量%である。(b−2)中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好ましい含有量は、0〜90重量%、より好ましくは5〜90重量%、更に好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは50〜90重量%である。シアン化ビニル化合物が上記の範囲にあると、耐薬品性と耐衝撃性に優れたものが得られる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルが上記の範囲にあると、透明感、透明性に優れた成形品が得られる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン、o−メチルスチレン、ジメチルスチレンなどであり、これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、好ましく用いられる芳香族ビニル化合物はスチレンであり、2種以上の芳香族ビニル化合物を併用する場合も、芳香族ビニル化合物中のスチレン含有量は20重量%以上であることが好ましい。
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、好ましくはアクリロニトリルである。これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
上記単量体と共重合可能な他のビニル系単量体としては、各種の官能基含有不飽和化合物が挙げられる。かかる官能基含有不飽和化合物としては、マレイミド基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、置換基または非置換のアミノ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等の官能基含有不飽和化合物が挙げられる。これらの官能基含有不飽和化合物は1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
マレイミド基含有不飽和化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド化合物が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。また、このマレイミド化合物は、無水マレイン酸を共重合させ、その後イミド化する方法で導入してもよい。
カルボキシル基含有不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和カルボン酸無水物が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
水酸基含有不飽和化合物としては、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミドなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アクリルアミン、メタクリルアミン、N−メチルアクリルアミン、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、p−アミノスチレン等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
かかる官能基含有不飽和化合物を使用した場合、(A)成分と(B)成分との相溶性を向上させることができる。かかる効果を達成するために好ましい単量体は、エポキシ基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、マレイミド基含有不飽和化合物および水酸基含有不飽和化合物であり、さらに好ましくは水酸基含有不飽和化合物であり、特に好ましくは2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレートである。
官能基含有不飽和化合物の使用量は、ゴム強化共重合体(B−1)と下記(共)重合体(B−2)で使用される官能基含有不飽和化合物との合計量で、ゴム強化樹脂(B)全体に対して0.01〜20重量%が好ましく、本発明の組成物全体に対して0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%がさらに好ましい。
本発明に使用されるゴム強化共重合体(B−1)は、ゴム質重合体(b−1)の存在下に前記ビニル系単量体(b−2)を乳化重合、溶液重合、懸濁重合などの方法で重合することにより製造できる。また、この際、重合に用いられる重合開始剤、分子量調節剤、乳化剤、分散剤、溶媒などとしては、通常、これらの重合法で用いられるものをそのまま用いることが可能である。ゴム強化共重合体(B−1)の製造方法の好ましい方法としては、乳化重合により得られるゴム質重合体(b−1)の存在下に、前記ビニル系単量体(b−2)および追加の乳化剤、重合開始剤を用い、一般に重合温度30〜90℃、重合時間1〜15時間、重合圧力−1.0〜5.0kg/cmの条件下でグラフト共重合する方法が挙げられる。かくして得られるグラフト共重合体には、通常、ゴム質重合体(b−1)にビニル系単量体(b−2)がグラフト重合した共重合体の他、ゴム質重合体(b−1)にグラフトしていないビニル系単量体(b−2)同士の共重合体が含まれる。
ゴム強化共重合体(B−1)中に分散する平均ゴム粒子径は、500〜30000Åの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、1000〜20000Å、特に好ましくは、1500〜8000Åである。なお、この平均ゴム粒子径は、ゴム強化共重合体(B−1)の重合時に原料として使用したゴム質重合体(b−1)のラテックス粒子径にそのまま対応する。
ゴム質重合体(b−1)として乳化重合したものを使用する場合、ゴム質重合体(b−1)中のゲル含率は、通常、98重量%以下であり、40〜98重量%であることが好ましく、更に好ましくは、50〜95重量%、特に好ましくは、60〜90重量%である。ゲル含率が40〜98重量%において、特に優れた耐衝撃性及び成形品表面外観を示す成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
尚、上記ゲル含率は、トルエン100mlにゴム質重合体1gを投入し、室温で48時間静置した後、100メッシュ金網(重量W)で濾過してトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(重量W)し、次式により算出される値である。
ゲル含率(%)=[{W(g)―W(g)}/1(g)]×100
ゴム強化共重合体(B−1)のグラフト率は、好ましくは20〜200重量%、更に好ましくは30〜150重量%、特に好ましくは40〜120重量%である。尚、グラフト率(重量%)は、次式により求められる。
グラフト率(重量%)={(T−S)/S}×100
上記式中、Tはゴム強化共重合体(B−1)1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の重量(g)であり、Sはゴム強化共重合体(B−1)1gに含まれるゴム質重合体(b−1)の重量(g)である。
ゴム強化共重合体(B−1)のメチルエチルケトン可溶分の固有粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、通常0.3〜1.5であり、好ましくは0.3〜1.3dl/g、より好ましくは0.4〜1.0dl/g、特に好ましくは0.4〜0.8dl/gである。この固有粘度が0.3dl/g未満では耐疲労性が劣り、一方1.5dl/gを超えると帯電防止性、耐疲労性が劣る。この固有粘度は、連鎖移動剤、重合時間、重合温度などによって制御することができる。
ゴム強化共重合体(B−1)は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニル系単量体の(共)重合体(B−2)を構成するビニル系単量体としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および、これらと共重合可能な他のビニル系単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種を使用できる。
芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、ゴム強化共重合体(B−1)に関して上記したものを全て使用できる。これらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、ゴム強化共重合体(B−1)に関して上記した官能基含有不飽和化合物と同様のものが全て使用できる。(A)成分と(B)成分との相溶性を向上させるためには、官能基含有不飽和化合物として、エポキシ基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、マレイミド基含有不飽和化合物または水酸基含有不飽和化合物を使用することが好ましい。
好ましい(共)重合体(B−2)の単量体の組み合わせとしては、(a)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物、(b)芳香族ビニル化合物/(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(c)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(d)芳香族ビニル化合物/マレイミド化合物、(e)芳香族ビニル化合物/エポキシ基含有不飽和化合物、(f)芳香族ビニル化合物/エポキシ基含有不飽和化合物/ビニルシアン化合物、(g)芳香族ビニル化合物/酸無水物基含有不飽和化合物、(h)芳香族ビニル化合物/カルボキシル基含有不飽和化合物、(i)芳香族ビニル化合物/カルボキシル基含有不飽和化合物/ビニルシアン化合物、(j)芳香族ビニル化合物/水酸基含有不飽和化合物、(k)芳香族ビニル化合物/水酸基含有不飽和化合物/ビニルシアン化合物、(l)(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。これらうち、好ましくは、(a)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物、(b)芳香族ビニル化合物/(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(c)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(j)芳香族ビニル化合物/水酸基含有不飽和化合物、(k)芳香族ビニル化合物/水酸基含有不飽和化合物/シアン化ビニル化合物である。耐衝撃性と熱安定性の面から、(a)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物、(j')芳香族ビニル化合物/2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、および、(k')芳香族ビニル化合物/2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート/シアン化ビニル化合物が特に好ましい。
(共)重合体(B−2)は、前記ビニル系単量体の重合をゴム質重合体の非存在下に行なう以外、前記ゴム強化共重合体(B−1)と同様の方法により製造できる。
(共)重合体(B−2)は、単一組成の(共)重合体であってもよいし、組成の異なる2種以上の(共)重合体のブレンドであってもよい。
(共)重合体(B−2)のメチルエチルケトン可溶分の固有粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、通常0.3〜1.5であり、好ましくは0.3〜1.3dl/g、より好ましくは0.4〜1.0dl/g、特に好ましくは0.4〜0.8dl/gである。この固有粘度が0.3dl/g未満では耐疲労性が劣り、一方1.5dl/gを超えると帯電防止性、耐疲労性が劣る。この固有粘度は、連鎖移動剤、重合時間、重合温度などによって制御することができる。
(共)重合体(B−2)は、上記ゴム強化共重合体(B−1)に適宜の方法で混合することができる。
なお、ゴム強化樹脂(B)には、ポリアミドエラストマー及び/又はポリエステルエラストマー(A)との相溶性を向上させる目的で、α−オレフィンと上記官能基含有ビニル系単量体との共重合体を含有せしめることもできる。
本発明の目的である帯電防止性能をさらに向上させる目的から、本発明の組成物には、さらに帯電防止剤(C)を配合することができる。好ましい帯電防止剤としては、ナトリウム化合物、カリウム化合物、リチウム化合物が挙げられる。ナトリウム化合物、カリウム化合物およびリチウム化合物には、ナトリウム、カリウムおよびリチウムと有機酸、過塩素酸、チオシアン酸、硫酸、炭酸、ハロゲン、リン酸、ホウ酸等との化合物が含まれる。
本発明に使用される帯電防止剤(C)としては、リチウム化合物が好ましく、具体的には、LiCl、LiBr、LiI、LiSCN、LiBF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、LiC12SO、LiHgI、LiAlH、LiBH、LiCO、Li・4HO、LiF、LiOH・HO、LiNO、LiPO、LiSO・HO、LiBなどの無機化合物のほか、カルボキシル基、フェノール基、スルホン酸基、リン酸基、亜リン酸基などの酸基を有する有機化合物のリチウム塩を用いることができ、これらの例としてラウリル酸リチウム、ステアリン酸リチウム、ロジン酸リチウムなどが挙げられる。これらのリチウム化合物のうち、LiCl、LiBr、LiIなどのハロゲン化リチウム化合物が好ましく、成形時に汗かきを生じない点で、LiBrがより好ましい。
リチウム化合物の配合量は、成分(A)および成分(B)の合計量に対して、リチウム原子換算で10〜50,000ppm、好ましくは50〜10,000ppm、さらに好ましくは100〜1,000ppmである。10ppm未満では帯電防止性が劣り、一方50,000ppmを超えるとウエルドが目立ちやすくなり、外観が劣るものとなる。これらのリチウム化合物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物製造時に各成分とともに配合してもよく、溶媒に溶解させて配合してもよい。また、リチウム化合物は、ポリアミドエラストマー(A)および/またはゴム強化樹脂(B)の製造時に添加してもよい。成分(A)の製造時に配合する方法としては、各重合成分添加時に添加する方法、重合途中に添加する方法、重合後に添加する方法、およびポリ(アルキレン)グリコールに溶解させて添加する方法などがある。また、ゴム強化樹脂(B)の製造時に配合する方法としては、重合中または重合の前後に添加する方法などがあるが、乳化重合の場合は、エマルジョンの凝固時に廃液とともに流失するので、凝固後、乾燥までの間に水溶液もしくは他の溶媒に溶液として加えることもできる。さらに、リチウム化合物は、樹脂のペレット、粉体または粒体に塗布(コート)、付着、またはまぶしたりしてもよい。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には必要に応じて後述の各種の安定剤、充填剤等の添加物が使用されるが、その添加剤の配合時に成分(C)を配合してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成分(A)と成分(B)の相溶性を向上させるために、さらに、下記成分(D)を含有してもよい。
当該成分(D)は、ゴム質重合体(b−1)の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物、並びに、マレイミド基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、置換基または非置換のアミノ基含有不飽和化合物、および、オキサゾリン基含有不飽和化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基含有不飽和化合物を単量体成分として重合して得られた重合体である。
芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、ゴム強化共重合体(B−1)に関して上記したものを全て使用できる。官能基含有不飽和化合物としては、ゴム強化共重合体(B−1)に関して上記した官能基含有不飽和化合物と同様のものが全て使用できる。
成分(D)中の官能基含有不飽和化合物の含有量は、好ましくは、0.01〜50重量%、より好ましくは0.1〜30重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%である。
成分(D)の使用量は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部、より好ましくは0.1〜15重量部である。0.1重量部未満では十分な相溶性が得られず、20重量部を超えると成形加工性が劣る。
成分(D)は上記成分(B−1)又は(B−2)と同様の製造方法で製造することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の使用に際しては、ガラス繊維、ガラス粉、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、ワラストナイト、ロックフィラー、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラスフレーク、カオリン、硫酸バリウム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛ウイスカー、チタン酸カリウムウイスカーなどの充填材を、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。これらの充填材のうち、ガラス繊維および炭素繊維の形状としては、6〜60μmの繊維径と30μm以上の繊維長を有するものが好ましい。これらの充填材は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して5〜150重量部程度使用できる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、そのほか公知の難燃剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤、滑剤などを添加物として配合することもできる。酸化防止剤としては、特開平6−107884号公報に記載のような分子内に二重結合を有するフェノール系化合物の他、特開平6−220274号公報に記載のようなヒンダードフェノール系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤を使用でき、この場合、熱安定性に優れた樹脂組成物が得られる。また、リン系の酸化防止剤等の他の酸化防止剤も使用できる。
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、要求される性能に応じて他の重合体、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、フッ化ビニリデン重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを適宜ブレンドすることができる。これらの重合体は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種押し出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど、好ましくは押し出し機を用い、各成分を混練りすることによって得ることができる。各成分を混練りするに際し、各成分を一括して混練りしてもよく、また多段添加方式で混練りしてもよい。
かくして得られる熱可塑性樹脂組成物の総揮発性物質の含有量を組成物全体の0.3%以下、好ましくは0.25%以下とし、また、オリゴマー残存量を好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下に低下させるためには、上記混練り時やペレット化時に、(1)押し出し機などにおける脱気工程を増やしたり、(2)脱気の真空度を上げたり、または(3)組成物に水を共存させて共沸により脱気させるなどの方法を採用することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、シート押し出し、フィルム押し出し、真空成形、異形成形、発泡成形などによって各種成形品となすことができる。このようにして得られる成形品は、その優れた性質を利用して家電製品の各種部品およびハウジング、並びに、電気・電子分野や自動車分野の各種部品およびハウジング、雑貨、電気・電子部品の収納用または搬送用容器またはトレー、例えば、モジュール出荷トレー、液晶トレー、セル搬送トレー、セル搬送ボックス、ウエハケースなどに有用である。
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り重量基準である。また、実施例における各種物性の測定は、下記(1)〜(3)に従った。
(1)表面固有抵抗(帯電防止性)
直径100mm、厚み2mmの円板を成形し、23℃×相対湿度50%で7日間状態調節したのち、横河ヒューレット・パッカード(株)製、4329A型超絶縁抵抗計を用いて表面固有抵抗を測定した。
(2)総揮発性物質(TVM)
樹脂をジメチルホルムアミド(以下、DMF)に溶解後、該溶液をガスクロマトグラフィーに注入し、得られたクロマトグラムより、樹脂中に残留する総揮発性物質を測定した。ここでいう総揮発性物質とは、トルエン、エチルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−プロピルベンゼン、スチレン、アクリロニトリルの6成分である。
(3)オリゴマー含量の測定方法
樹脂をメチルエチルケトン(以下、MEK)に溶解後、該溶液をガスクロマトグラフィーに注入し、得られたクロマトグラムより、樹脂中に残留するオリゴマーの量を測定した。ここでいうオリゴマーとは、スチレンダイマー及びスチレントリマーである。
参考例1(重合体(a)−1及び(a)−2の調製)
重合体(a)−1の調製:
ε−カプロラクタムの開環重縮合によりナイロン6の重合体ブロックを得たのち、アジピン酸で両末端をカルボン酸になしたのち、ポリエチレングリコール(分子量1500)を添加重合し、ポリエーテルエステルアミドエラストマーである重合体(a)−1を得た。重合体(a)−1のポリアミド成分とポリエチレングリコール成分の比は約50/50(%)であり、ギ酸を用い25℃、濃度0.5g/100mlで測定した還元粘度は1.50であった。また、DSC(示差熱分析)で測定した重合体の融点は、195℃であった。
重合体(a)−2の調製:
テレフタル酸ジメチルエステルとブタンジオールを反応させてポリブチレンテレフタレートを重合したのち、さらにテレフタル酸ジメチルエステルを添加し、ポリブチレンテレフタレートの両末端をテレフタル酸ジメチルエステル末端としたのち、ポリエチレングリコール(PEG1540)を添加して重縮合を継続し、ポリブチレンテレフタレートの融点が200℃のポリエステルエラストマー(a)−2を得た。
参考例2(重合体(b)−1〜(b)−3、及び、(d)−1の調製)
ゴム質重合体として、ポリブタジエン(ラテックス平均粒径=3500Å)(重合体―1という)を用い、表1の配合に従い、重合体−1の存在下または非存在下にスチレン、アクリロニトリル及び他のビニル系単量体を重合し、重合体(b)−1、(b)−2および(d)−1を得た。重合方法としては乳化重合を用いた。
また、ゴム質重合体として、水添ブロック共重合体(JSR(株)製、商品名「ダイナロン4600P」)(以下、重合体−2という)を用い、表1の配合処方で溶液重合法を用いて重合体(b)−3を得た。
Figure 2005139215
*)重合体−1の割合(40%)及び重合体−2の割合(30%)は、固形分換算である。
実施例1〜6、比較例1〜4
参考例1及び2で得られた各種重合体を、水分量0.1%以下に乾燥し、これらの重合体及びリチウム化合物(LiBr)を表2に示す配合割合で混合し、排気方法および真空度を表2に示すように設定したベント付き二軸押し出し機を用い溶融混練りし、ペレット化した。得られたペレットを除湿乾燥機で水分量0.1%以下まで乾燥し、表面固有抵抗測定用の試験片を作製し、表面固有抵抗を測定した。また、得られたペレットについて、総揮発性物質(TVM)およびオリゴマー含量を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2005139215
なお、表2中、
ダブルベントは、押出機付属のベント数2ヶ所を意味し、
シングルベントは、押出機付属のベント数1ヶ所を意味し、
真空度については、下記の通りである:
高:−90kPa、
中:−85kPa、
低:−80kPa。
表2から明らかなように、本発明の組成物(実施例1〜6)の場合、本発明の目的とする物性であるTVM0.3%以下が達成され、オリゴマー残存量も2%以下であり、帯電防止剤無添加の場合でも1×1012Ω未満の表面固有抵抗値が達成され(実施例2)、帯電防止剤添加の場合はさらに低い表面固有抵抗値が達成された(実施例3、4および6)。これに対し、比較例1〜4は、TVMが0.3%以上であり、オリゴマー残存量が2%以上であるため表面固有抵抗が劣る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、アウトガスの発生量が極めて少なく、帯電防止性に優れているため、電気・電子分野を中心とした各種分野で用いられる成形品を成形するために有用である。

Claims (7)

  1. 下記成分(A)2〜60重量%、および、下記成分(B)98〜40重量%を含有する帯電防止性熱可塑性樹脂組成物(ただし、成分(A)と成分(B)の合計は100重量%)であって、総揮発性物質の含有量が該組成物全体の0.3%以下であることを特徴とする帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
    成分(A)は、ポリアミドエラストマー及び/又はポリエステルエラストマーである。
    成分(B)は、ゴム質重合体(b−1)の存在下、芳香族ビニル化合物並びにシアン化ビニル化合物及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むビニル系単量体(b−2)を重合して得られるゴム強化共重合体(B−1)、又は、該ゴム強化共重合体(B−1)とビニル系単量体の(共)重合体(B−2)との混合物からなるゴム強化樹脂である。
  2. オリゴマー残存量が前記組成物全体の2%以下である請求項1に記載の組成物。
  3. さらに、成分(C)としてリチウム化合物を含有する請求項1又は2に記載の組成物。
  4. さらに、下記成分(D)を含有する請求項1〜3の何れか1項に記載の組成物。
    成分(D)は、ゴム質重合体(b−1)の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物、並びに、マレイミド基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、置換基または非置換のアミノ基含有不飽和化合物、および、オキサゾリン基含有不飽和化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基含有不飽和化合物を単量体成分として重合して得られた重合体である。
  5. 前記成分(A)が、ポリアミドからなるハードセグメントと、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールからなるソフトセグメントとを含んでなる請求項1〜4の何れか1項に記載の組成物。
  6. 表面固有抵抗値が1×1012Ω未満である請求項1〜5の何れか1項に記載の組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。

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