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JP2005097426A - 高透湿性ポリエステル系フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

高透湿性ポリエステル系フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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JP2005097426A JP2003333074A JP2003333074A JP2005097426A JP 2005097426 A JP2005097426 A JP 2005097426A JP 2003333074 A JP2003333074 A JP 2003333074A JP 2003333074 A JP2003333074 A JP 2003333074A JP 2005097426 A JP2005097426 A JP 2005097426A
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polyester film
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Kuniharu Mori
邦治 森
Hirohisa Fujita
裕久 藤田
Hideto Ohashi
英人 大橋
Koji Kobayashi
幸治 小林
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Abstract

【課題】 高透湿性で、かつ耐水性に優れ、しかも高速で製膜しても溶融樹脂膜の耳ゆれおよび巾変動が小さく、表面平滑性にも優れたポリエステルエラストマー系フィルムを提供する。
【解決手段】 芳香族ジカルボン酸を主体とする酸成分とグリコール成分としてポリエーテルグリコールを有するポリエステルエラストマーとオレフィン系樹脂とが75/25〜99/1(重量%)である溶融樹脂膜を冷却ロールで固化して得た高透湿性ポリエステル系フィルムであり、該ポリエステル系フィルムの表面粗さ(Ra)が0.1μm以下であり、かつ前記オレフィン系樹脂中の官能基濃度が200〜2000当量/トンである高透湿性ポリエステル系フィルム及び前記溶融樹脂膜を表面粗さ(Ra)が0.2〜10μmの冷却ロール上にキャスティングする製造法。
【選択図】 なし

Description

本発明は吸湿性が低いにもかかわらず、透湿性が高いポリエステル系フィルムおよびその積層体に関するものである。さらに詳しくは、耐水性、防水性で、かつ高透湿性が要求される衛生材料用、衣料材料用、農業用、建築材料用等に好適な高透湿性ポリエステル系フィルムおよびその製造方法に関するものである。
従来、高透湿性ポリエステル系フィルムとして、芳香族ポリエステル単位をハードセグメントとし、異なる2種以上のアルキレンオキシド単位を共重合したポリエーテルグリコール単位をソフトセグメントとした熱可塑性エラストマーフィルムが開示されている。しかながら、該熱可塑性エラストマーを溶融後Tダイスから層状に押出して熱可塑性エラストマーの単体フィルムを製造する際、あるいは不織布またはプラスチックシート等の基材に押出ラミネートして積層体を製造する際、溶融樹脂膜の耳ゆれおよび/または巾変動が発生しやすく、低速でしか製造できないという欠点があった(例えば、特許文献1参照)。
かかる欠点を解決するため、ポリエステルエラストマーにポリプロピレン樹脂および/またはポリエチレン樹脂を含有させた混合物を不織布上に押出ラミネートした複合シートが開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、該混合物も溶融後Tダイスから層状に押出しする際の溶融樹脂膜の耳ゆれおよび/または巾変動の低減効果が小さく(溶融押出し条件を最適化しても30m/分を超えると溶融樹脂膜の耳ゆれおよび巾変動が著しく発生し)、さらに、ポリプロピレン樹脂および/またはポリエチレン樹脂の配合による透湿性の低下が大きく、さらに、低速(例えば、25m/分)で製膜する際もポリエステル製膜で公知なクロムメッキの鏡面ロールを用いて製膜した場合、ロールと接触するフィルム表面に50μmを超える凹みが発生しやすく(得られたフィルムの外観が悪く)、商品価値が低下するため、経済的に外観が良好な高透湿性フィルムおよびその製造方法が必要という昨今の要求に対して、満足できるものではなかった。
特開2001−172411号公報 特開平9−277462号公報
従来、安定製造が困難であったポリエステルエラストマー系フィルムを安定して、しかも低コストで得ようとするものであり、30m/分を超える高速で製膜しても溶融樹脂膜の耳ゆれおよび巾変動が小さくでき、かつ高透湿性でありながら耐水性、防水性を有するポリエステル系フィルムおよびその製造方法を提供しようとするものである。
すなわち、本発明は、以下の構成を採用するものである。
1.芳香族ジカルボン酸を主体とする酸成分とグリコール成分としてポリエーテルグリコール成分を有するポリエステルエラストマーとオレフィン系樹脂とが75/25〜99/1(重量%)の比率で溶融混合されてなる溶融樹脂膜を冷却固化して得た高透湿性ポリエステル系フィルムであり、該ポリエステル系フィルムの表面粗さ(Ra)が0.1μm以下であり、かつ前記オレフィン系樹脂中の官能基濃度が200〜2000当量/トンであることを特徴とする高透湿性ポリエステル系フィルム。
2.前記ポリエステルエラストマーのポリエーテルグリコールが、ランダム共重合ポリエーテルグリコールであることを特徴とする第1の発明に記載の高透湿性ポリエステル系フィルム。
3.前記オレフィン系樹脂が、少なくとも1種以上の炭素数2〜6のα−オレフィンとエチレン結合形成性α,β−不飽和カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる構成単位とする共重合体、あるいはそれを含む他のポリマーとの混合体であることを特徴とする第1または2の発明に記載の高透湿性ポリエステル系フィルム。
4.前記オレフィン系樹脂が、(A)少なくとも1種以上の炭素数2〜6のα−オレフィンを主たる構成単位とする重合体と(B)少なくとも1種以上の炭素数2〜6のα−オレフィンとエチレン結合形成性α,β−不飽和カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる構成単位とする共重合体からなることを特徴とする第1〜3の発明のいずれかに記載の高透湿性ポリエステル系フィルム。
5.前記オレフィン系樹脂が、ポリエステル系フィルム中に微分散しており、分散粒子の平均径が0.2〜8μmであることを特徴とする第1〜4の発明のいずれかに記載の高透湿性ポリエステル系フィルム。
6.芳香族ジカルボン酸を主体とする酸成分とグリコール成分がグリコール及びポリエーテルグリコールからなるポリエステルエラストマーとオレフィン系樹脂とを溶融押出機中で75/25〜99/1(重量%)の比率で溶融混合物とした後、さらに該混合物を溶融押出機から表面粗さ(Ra)が0.2〜10μmの冷却ロール上にキャスティングして冷却固化させることによりフィルムとなし、該フィルムの表面粗さ(Ra)を0.1μm以下とすることを特徴とする高透湿性ポリエステル系フィルムの製造方法。
7.第6の発明に記載のオレフィン系樹脂が、少なくとも1種以上の炭素数2〜6のα−オレフィンとエチレン結合形成性α,β−不飽和カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる構成単位とする共重合体、あるいはそれを含む他のポリマーとの混合体であることを特徴とする高透湿性ポリエステル系フィルムの製造方法。
8.第6の発明に記載のオレフィン系樹脂が、(A)少なくとも1種以上の炭素数2〜6のα−オレフィンを主たる構成単位とする重合体と(B)少なくとも1種以上の炭素数2〜6のα−オレフィンとエチレン結合形成性α,β−不飽和カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる構成単位とする共重合体からなることを特徴とする高透湿性ポリエステル系フィルムの製造方法。
本発明のポリエステル系フィルムは、ポリエステルエラストマー系の表面平滑性に優れたポリエステル系フィルムであり、高い透湿性と耐水性、防水性というような二律背反的性能を併せ持つフィルムである。しかも30m/分を超える高速で製膜しても溶融樹脂膜の耳ゆれおよび巾変動が小さく安定製膜が可能なため、経済性に優れたポリエステルエラストマー系フィルムである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル系フィルムを構成するポリエステルエラストマーは芳香族ジカルボン酸を主体とする酸成分とグリコール成分としてポリエーテルグリコール成分を有するものである。
芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等から選ばれた1種または2種以上を使用できる。これらのうち、テレフタル酸および/またはナフタレンジカルボン酸が好ましい。芳香族ジカルボン酸は全酸成分の70モル%以上であることがポリエステルエラストマーの熱安定性を保持する点で好ましい。その他の酸成分として、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が使用できるが、その量は30モル%未満が好ましい。芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸が30モル%を超えるとポリエステルエラストマーの熱安定性が悪くなる。
グリコール成分としては、エチレングリコール、プロパンジオール、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物等の芳香族グリコールが使用できる。これらのうち、エチレングリコールおよび/または1,4−ブタンジオールが好ましい。
また、ポリエーテルグリコール成分としては、炭素数2〜10の1種または2種以上のアルキレン単位の繰り返しからなる、分子量が2000〜4000のポリエーテルグリコール成分が好ましい。ポリエーテルグリコール成分として、エチレンオキサイド成分、テトラメチレンオキサイド成分、ポリテトラメチレンオキサイド成分が使用できる。ポリエーテルグリコールの分子量が2000未満の場合、十分な柔軟性と成形性を有するポリエステルエラストマーが得られないことがある。逆に、分子量が4000を超える場合、ポリマー合成時に相分離しやすくなり、ポリエステルエラストマーが得られないことがある。
ポリエーテルグリコール成分はブロック共重合ポリエーテルグリコールでもランダム共重合ポリエーテルグリコールでも使用できるが、低吸水性ポリエステル系フィルムを得るには、ランダム共重合ポリエーテルグリコールを使用することが好ましい。
ランダム共重合ポリエーテルグリコールでは、エチレンオキサイド成分を用いても吸水率が低いポリエステルエラストマーが得られる。ランダム共重合ポリエーテルグリコールに含有されるエチレンオキサイド成分は80〜40モル%が好ましい。エチレンオキサイド成分が80モル%を超える場合、吸水率が高くなり、高透湿性フィルムの用途が疎水性を要求される場合、使用できなくなることがある。逆に、40モル%未満の場合、透湿性が低くなり高透湿性フィルムとして好ましくない。
ランダム共重合ポリエーテルグリコールの両末端は、実質的に全てがエチレンオキサイド由来の水酸基であることが好ましい。末端がテトラメチレンオキサイドおよび/またはポリテトラメチレンオキサイド由来の水酸基の場合、開環反応によりテトラヒドロフランが生成し、副生成物および/または臭気が発生するという点から好ましくない。
ランダム共重合ポリエステルエラストマーにおいてランダム共重合ポリエーテルグリコール以外のソフトセグメント成分を必要により共重合させてもよい。かかるソフトセグメント成分として、分子量400〜6000のポリエチレンオキサイドグリコール、ポリプロピレンオキサイドグリコール、ポリテトラメチレンオキサイドグリコール等のポリエーテルグリコール、または炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸と炭素数2〜12の脂肪族グリコールからなるポリエステル、例えばポリエチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリネオペンチルセバケート、ポリテトラメチレンドデカネート、ポリテトラメチレンアゼテート、ポリヘキサメチレンアゼテート、ポリ−ε−カプロラクトン等があげられる。
本発明のポリエステル系フィルムを構成するポリエステルエラストマーのソフトセグメント成分の合計量は全ポリマーの70〜95重量%である場合、得られたポリエステル系フィルムが優れた透湿性を保持しつつ、吸水率が低くなるため好ましい。ソフトセグメント成分の合計量が70重量%未満の場合、得られたポリエステル系フィルムの透湿性が低下することがある。逆に、95重量%を超える場合、ポリエステルエラストマーの結晶性低下により成形性が低下し、高速製膜性が失われることがある。
本発明のポリエステル系フィルムを構成するポリエステルエラストマーでは、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水ピロメリット酸等の三官能以上のポリカルボン酸および/またはトリメチルプロパン、グリセリン等の三官能以上のポリオールを少量含有させることができる。三官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールの合計量は全カルボン酸成分および/または全ポリオール成分の5モル%以下であることがポリエステルエラストマーの熱安定性を保持する点で好ましい。
本発明のポリエステル系フィルムを構成するポリエステルエラストマーの平均分子量の代用メジャーとして還元粘度で示すと、還元粘度は1.0〜4.0が好ましい。還元粘度が1.0未満の場合、得られたポリエステル系フィルムの機械特性が劣ることがある。逆に、4.0を超える場合、ポリエステルエラストマーとオレフィン系樹脂の混合物を溶融した時の流動性が悪くなり、製膜性が低下することがある。
本発明のポリエステル系フィルムを構成するポリエステルエラストマーは公知の方法で製造できる。例えば、エステル交換法または直接重合法のいずれの方法でも製造できる。また、分子量を高めるために固相重合法で製造してもかまわない。また、ポリエステルの重合後にイソシアネート化合物、エポキシ化合物等で鎖延長してもかまわない。
本発明のポリエステル系フィルムを構成するポリエステルエラストマーの製造の際には重合触媒としては酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、チタン化合物等が使用できる。特に、テトラブチルチタネート、テトラメチルチタネート等のテトラアルキルチタネートまたはシュウ酸チタンカリウム等のシュウ酸金属塩等が好ましい。またその他の触媒として、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズラウリレート等のスズ化合物、酢酸鉛等の鉛化合物も使用できる。
本発明のポリエステル系フィルムを構成するポリエステルエラストマーには、必要に応じて酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、潤滑剤、結晶核剤、無機または有機粒子よりなる滑剤等を配合させてもよい。これらの添加物の配合方法として、加熱ロール、バンバリーミキサー、押出機等の混練機を用いて配合することができる。また、ポリエステルエラストマーを製造する際のエステル交換反応の前または重縮合反応の前のオリゴマー中に添加および混合させてもよい。
本発明のポリエステル系フィルムを構成するオレフィン系樹脂はポリエチレンおよび/またはエチレン系共重合体が好ましい。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、アイオノマー、エチレン−無水マレイン酸グラフト共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が使用できる。また、オレフィン系樹脂として上記の中から選択された1種または2種以上が使用できる。
本発明のポリエステル系フィルムでは、ポリエステルエラストマーとオレフィン系樹脂の混合比率は75/25〜99/1(重量%)であることが溶融樹脂膜の耳ゆれおよび/または巾変動を抑制し、高透湿性を保持する点から必要である。オレフィン系樹脂が1質量%未満の場合、混合物を溶融後Tダイスから層状に押出す際の溶融樹脂膜の耳ゆれおよび/または巾変動の抑制効果が小さいため好ましくない。逆に、オレフィン系樹脂が25重量%を超える場合、得られたポリエステル系フィルムの透湿性が低下するため好ましくない。
本発明のポリエステル系フィルムを構成するオレフィン系樹脂は官能基を含有し、官能基濃度が200〜2000当量/トン(オレフィン系ポリマー全体の質量1トン中に存在する官能基のモル当量)の範囲であることが必要である。官能基濃度が上記の範囲である場合、オレフィン系樹脂のポリエステルエラストマーに対する親和性が適度に増し、オレフィン系樹脂とポリエステルの分子鎖同士が化学的に相互作用することにより、溶融樹脂膜の耳ゆれおよび/または巾変動を抑制し、得られたポリエステル系フィルムの高透湿性を保持できる。オレフィン系樹脂中の官能基濃度が200当量/トン未満の場合、混合物を溶融後Tダイスから層状に押出す際、溶融樹脂膜の耳ゆれおよび/または巾変動の抑制効果が小さい傾向がある。逆に、官能基濃度が2000当量/トンを超える場合、溶融樹脂膜の耳ゆれおよび/または巾変動抑制効果が飽和するばかりでなく、ポリエステルエラストマーとオレフィン樹脂との混合物の熱安定性が低下することがある。
ここでいう官能基を含有するオレフィン系樹脂の例として、オレフィンと官能基含有ビニルモノマーの共重合体をあげられる。好ましい官能基として、極性を有し、ポリエステル樹脂との親和性を高める効果のある官能基があげられる。例えば、カルボキシル基、グリシジル基、酸無水物基等があげられる。具体的には各種製法および触媒により製造されたエチレン−(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体があげられる。但し、官能基を有するビニルモノマーの共重合体としてα,β−不飽和カルボン酸のカルボン酸基の一部または全部をNa、K、Li、Zn、Mg、Ca等の金属イオンで中和したアイオノマーを用いる場合は、溶融押出し工程で金属粒子を核とする異物が発生しやすいため、金属イオンの総量がオレフィン系ポリマーの総量に対して200ppmを超えないようにすることが好ましい。
本発明のポリエステル系フィルムでは、ポリエステル中に混合されたオレフィン系樹脂は粒子状に微分散し、その分散粒子の平均径は0.2〜8μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜4μm、さらに好ましくは0.4〜2μmである。分散粒子の平均径が上記範囲にある場合、オレフィン系樹脂とポリエステルエラストマーの相互作用により、溶融樹脂膜の耳ゆれおよび/または巾変動を抑制し、得られたポリエステル系フィルムの高透湿性を保持できる。オレフィン系樹脂の分散粒子径が0.2μm未満の場合、混合物を溶融後Tダイスから層状に押出しする際の溶融樹脂膜の耳ゆれおよび/または巾変動の抑制効果が小さくなる傾向がある。逆に、8μmを超える場合、溶融樹脂膜の耳ゆれおよび/または巾変動の抑制効果がない場合があり、得られたポリエステル系フィルムの透湿性が低下することがある。
オレフィン系樹脂が上記範囲に微分散するためのオレフィン系樹脂の選択例として、官能基を含有しないオレフィン系樹脂と、官能基を含有するオレフィン樹脂の併用があげられる。具体例として、ポリエチレンとエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の併用、エチレン−α−オレフィン共重合体とエチレン−α−オレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体の併用があげられる。
また、本発明の目的とする効果を得るために、さらに好適なオレフィン系樹脂の例として、架橋構造および/または枝分かれ構造を形成し得るモノマー成分を各々5重量%未満の範囲で含有するオレフィン系樹脂があげられる。上記モノマーとして、2つ以上の付加重合性の反応基をもつ不飽和モノマーがあげられる。架橋結合性モノマーの例として、ブチレンジアクリレート、ブチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート等があげられる。これらのうち、ブチレンジアクリレート、ブチレンジメタクリレートが好ましい。グラフト結合性モノマーの例として、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸モノアリル、フマル酸モノアリル、イタコン酸モノアリル等があげられる。これらのうち、アリルメタクリレート、ジアリルメタクリレートが好ましい。
本発明のポリエステル系フィルムの目的とする効果を得るために、好適なオレフィン系樹脂の選択の例として、下記式(I)を満足する樹脂があげられる。
0.15≦(Mi−Mf)/m≦1.0 ・・・・・(I)
(式中、Miは結晶性ポリエステルエラストマーの融点+30℃の温度で測定したポリエステルエラストマーのメルトフローレート(MFR、g/10分)。Mfはポリエステルエラストマーの融点+30℃の温度で測定したポリエステルエラストマーとオレフィン系樹脂を溶融混合物のMFR(g/10分)。mは混合物中のオレフィン系樹脂の含有量(重量%)である。)
ここでいうメルトフローレート(MFR)とは、JIS K7210に規定された方法により溶融指数測定装置(MELT INDEXER、東洋精機社製)で、オリフィス径2.09mm、加重2.16kgfの条件で測定した溶融特性を示す値であり、この値を上式に示す特定の範囲内に入るようにオレフィン系樹脂の種類及び量を設定することによって、本発明のポリエステル系フィルムの優れた効果が実現される。
本発明のポリエステル系フィルムでは、ポリエステルエラストマーとオレフィン系樹脂をドライブレンドまたは溶融混合して得たポリマーを公知の1軸または2軸押出機内で溶融させた後、Tダイスを使用して層状の溶融樹脂膜を得る。
本発明ではポリエステルを公知の1軸又は2軸押出機内で溶融させた後、Tダイから層状に押出した溶融樹脂膜を表面粗さ(Ra)が0.2〜10μmの冷却ロールで固化することが必要である。また、冷却ロールの表面形状はスパイラル状の溝に仕上げたもの、ダイヤカット状の溝に仕上げたもの、梨地状に仕上げたもの等が使用できるが、これらのうち、表面を梨地状に仕上げたロールが特に好ましい。
表面粗さが0.2μm未満の場合、溶融樹脂膜を冷却固化すると50μmを超える凹部が冷却ロールと接触するフィルム表面に無数に発生し、得られたポリエステル系フィルムの商品価値が低下する。合、商品価値が低下するため好ましくない。
溶融樹脂膜を冷却固化すると50μmを超える凹部が冷却ロールと接触するフィルム表面に無数に発生し、逆にロール表面粗さが10μmを超える場合、梨地模様がフィルムに転写するため、いずれもポリエステル系フィルムと繊維状基材とのラミネート性が低下するばかりでなく、得られた積層体の外観が悪くなるため商品価値が低下する。
このとき、ロール表面粗さ(Ra)は0.2〜3.5μmが好ましく、0.2〜2.5μmが更に好ましい。
本発明ではポリエステル系フィルムの表面粗さ(Ra)が0.1μm以下であることが繊維状基材とのラミネート性を確保するために必要であるが、表面粗さ(Ra)が0.02〜0.1μmであることが他素材とのラミネート性を確保し、保管後のフィルムのブロッキングを低減させる点からさらに好ましい。
本発明では溶融樹脂膜を冷却ロールに接触させる際、強制的にエアーを吹き付ける方法または静電気で密着させる方法を採用することが好ましい。また、強制エアー吹き付け法,静電密着法のいずれにおいても層状樹脂の両端部と中央部を独立させて実施する方法がより好ましい。さらに、溶融樹脂が冷却ロールに接触する際、反対側を減圧して随伴流を低減させる方策(例えば、バキュームチャンバー、バキュームボックス等の装置)を併用することがより好ましい。
本発明では冷却固化させた後、必要に応じて両端部を切断除去してポリエステル系フィルムを得る。また、冷却固化後に巻取る前に両端部を切断除去して得たものを細断した後、押固める方法または加熱溶融させる方法等によって得たポリマーを再使用することは可能である。再使用率は特に限定しないが、5〜60重量%が好ましい。また、冷却固化後に巻取る前にポリエステル系フィルムにコロナ放電処理を施してもよい。
本発明のポリエステル系フィルムの透湿性は、JIS Z0208の塩化カルシウム法に準拠して求められるものであり、4000g/m2・日であることが好ましく、より好ましくは5000〜10000g/m2・日程度である。フィルムの透湿性は高い方が好ましいが、あまり高くなりすぎると、フィルムの耐水性、防水性が劣るようになるため、上限は10000g/m2・日程度である。
本発明のポリエステル系フィルムの厚みは透湿性に直接的に影響する特性であるが、0.5〜500μmが好ましく、5〜100μmがさらに好ましく、10〜50μmが最も好ましい。ポリエステル系フィルムの厚みが0.5μm未満の場合、ピンホールが発生しやすいため好ましくない。逆に、500μmを超える場合、十分な透湿性が得られないことがあるため好ましくない。
以下、実施例をもとに本発明をさらに詳細に説明する。
[評価方法]
(1)ポリエステルエラストマーの還元粘度
ポリエステルエラストマー0.05gを混合溶媒(フェノール/テトラクロロエタン=60/40(容量%))に溶解させ、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
(2)オレフィン系樹脂の官能基濃度
オレフィン系ポリマーをクロロホルム−d/トリフロロ酢酸の混合溶媒に溶解し、H−NMRスペクトル分析によりオレフィン系樹脂の分子構造及び官能基濃度(モル%)を求め、これを質量換算し、オレフィン系樹脂1トン当たりの官能基の含有量(当量)を算出した。
(3)ポリエステル系フィルム中でのオレフィン系樹脂の平均分散粒子径
ポリエステル系フィルムをエポキシ樹脂に包埋して硬化させたものをクライオミクロトームにて各延伸方向と平行となる断面で切開し超薄切片を作製した。これを酸化ルテニウムで染色したのち室温で10分間保持し、次いでカーボン蒸着して透過型電子顕微鏡で観察した。分散粒子の平均径は画像解析装置(東洋紡績社製、V10)を用いて長径の加重平均により求めた。
(4)冷却ロールの表面粗さ(Ra)
JIS B0601(1982)にしたがって測定した。
(5)ポリエステル系フィルムの表面粗さ(Ra)
10cm×10cmに切り出したフィルムを目視観察してキャスト時に冷却ロールに接したフィルム表面に50μmを超える凹みがないものを評価価値ありとして下記の方法で評価した。なお、20回測定の平均値をもって表面粗さ(Ra)とした。
a.測定装置:(株)小坂研究所製 ET−30HK
b.触診先端半径:0.5μm
c.触診荷重:5mg
d.測定長:1mm
e.カットオフ値:0.08mm
(6)溶融樹脂膜の安定性(サージング)
ポリエステルエラストマーとオレフィン系樹脂の混合物を溶融した後、Tダイを用いて層状に押出した際の溶融樹脂膜の巾変動、端部の安定性(耳ゆれ)を評価した。樹脂膜の巾の変動、耳ゆれがなく安定している場合(○の場合)、実用性ありと評価した。
○:良好
×:両端部が激しくゆれ、溶融樹脂膜の巾が変動する。
(7)ポリエステル系フィルムの透湿性
得られたポリエステル系フィルムを、JIS Z0208の塩化カルシウム法に準拠し、40℃、90%RHの下で測定した。
[ポリエステルエラストマーの製造方法]
投入口、温度計、圧力計および精留塔付留出管、撹拌翼を備えた反応装置にジメチルテレフタレート197重量部、テトラメチレンオキサイドとエチレンオキサイドのランダム共重合体(日本油脂社製、商品名:DC−3000)1006重量部、フェノール系酸化防止剤(日本チバガイギー社製、商品名:イルガノックス1330)2.4重量部、テトラブチルチタネート1.2重量部を仕込み、室温から200℃まで昇温してエステル交換を行った。ついで、重合缶内を減圧しながら昇温した後、245℃・1hPa以下にして初期縮合反応を行った。さらに245℃・1hPa以下にして重合反応を行い、ペレット状のポリエステルエラストマー(還元粘度:2.53dl/g)を得た。
[ポリエステルエラストマーと混合するオレフィン系樹脂]
(イ)低密度ポリエチレン[LDPE]:(住友化学社製、商品名:スミカセンG401)、官能基量:0当量/トン。
(ロ)エチレン−アクリル酸共重合体[EAA]:(ダウ・ケミカル社製、商品名:プリマコール3440)、官能基量:1389当量/トン。
(ハ)エチレン−エチルアクリレート共重合体[EEA](三井デュポンポリケミカル社製、商品名:エバフレックスA712)、官能基量:1300当量/トン。
(ニ)エチレン−メチルアクリレート共重合体[EMA]:(イーストマンケミカル社、商品名:EMAC2260)、官能基量:2790当量/トン。
(ホ)エチレン−メタクリル酸共重合体[EMAA](三井デュポンポリケミカル社製、商品名:ニュクレルN1108C)、官能基量:2246当量/トン。
(ヘ)スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体[SEBS、S/EB比=30/70](旭化成社製、:タフテックM1913)、官能基量:0当量/トン。
(ト)エチレン−1−ブテン共重合体[EBM]:(日本合成ゴム社製、商品名:EBM2041P)、官能基量:0当量/トン。
(チ)ポリプロピレン[PP](住友化学社製、商品名:ノーブレンFS2011DG2)、官能基量:0当量/トン。
[実施例1]
ポリエステルエラストマー/EAA=94/6(重量%)の混合物にペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(日本チバガイギー社製、商品名:イルガノックス1010)0.3重量部、ジラウリルチオプロピオネート(白石カルシウム社製、商品名:シーノックスDL)0.3重量部、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−第3ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(白石カルシウム社製、商品名:シーソープ705)0.5重量部を添加した混合物を220℃で2軸ベント式押出機を用いて予備混練してペレット状混合物を得た。ついで、真空下で加熱乾燥したペレット状混合物を220℃で単軸押出機を用いて溶融させた後、Tダイス(リップギャップ:0.8mm、220℃に加熱)からエアーギャップ2cmの条件で表面粗さ(Ra)が1μmの梨地状の冷却ロール(周速80m/分、即ち、高速製膜速度)へ層状にキャストし、Tダイと冷却ロールとの間隔2cm、中央部と両端部は別々の装置で静電密着させ(中央部:4.5kV、両端部:6kVの直流電源を印加)冷却固化させた後、厚みが30μmのポリエステル系フィルムを得た。
なお、Tダイスからの溶融押出しされた溶融樹脂膜はサージングが認められなかった。 また、得られたポリエステル系フィルムの透湿性は、5400g/m2・日であり、オレフィン系樹脂の分散粒子径は0.5μm、フィルムの表面粗さは1μmであった。これらの結果を表1に示した。
[実施例2]
ポリエステルエラストマー/LDPE/EAA=94/3/3(重量%)の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして厚みが30μmのポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示した。
[実施例3]
ポリエステルエラストマー/LDPE/EAA=88/6/6(重量%)の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして厚みが30μmのポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示した。
[実施例4]
ポリエステルエラストマー/LDPE/EAA=88/9/3(重量%)の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして厚みが30μmのポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示した。
[実施例5]
表面粗さ(Ra)が0.5μmの梨地状の冷却ロールを用いた以外は実施例1と同様にして厚みが30μmポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示した。
[実施例6]
表面粗さ(Ra)が0.5μmの梨地状の冷却ロールを用いた以外は実施例2と同様にして厚みが30μmポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示した。
[実施例7]
表面粗さ(Ra)が3.3μmの梨地状の冷却ロールを用いた以外は実施例1と同様にして厚みが30μmポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示した。
[実施例8]
表面粗さ(Ra)が3.3μmの梨地状の冷却ロールを用いた以外は実施例2と同様にして厚みが30μmポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示した。
[実施例9]
ポリエステルエラストマー/EEA=94/6(重量%)の混合物を用いた以外は実施例2と同様にして厚みが30μmのポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示した。
[実施例10]
ポリエステルエラストマー/LDPE/EEA=94/3/3(重量%)の混合物を用いた以外は実施例2と同様にして厚みが30μmのポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示した。
[実施例11]
ポリエステルエラストマー/LDPE/EMA=94/3/3(重量%)の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして厚みが30μmのポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示した。
[実施例12]
ポリエステルエラストマー/EBM/EAA=94/3/3(重量%)の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして厚みが30μmのポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示した。
[比較例1]
ポリエステルエラストマー単体を用いた以外は実施例1と同様にしてポリエステル系フィルムを得ようとしたが、溶融樹脂膜の両端部が激しくゆれ、溶融樹脂膜の巾変動が大きく、安定製膜ができなかった。そこで、製膜速度を25m/分で厚みが30μmポリエステル系フィルムを得た。走行速度が25m/分では、溶融樹脂膜の両端部がややゆれていた。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表2に示した。
[比較例2]
表面粗さ(Ra)が0.05μm以下の鏡面状の冷却ロールを用いた以外は実施例1と同様にして厚みが30μmポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表2に示した。
得られたポリエステル系フィルムは外観が悪く(50μm以上の凹みが無数に発生しており)、高透湿性ポリエステル系フィルムとして好ましくないものであった。
[比較例3]
表面粗さ(Ra)が4μmの梨地状の冷却ロールを用いた以外は実施例1と同様にして厚みが30μmポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表2に示した。
得られたポリエステル系フィルムは外観が悪く(梨地の跡型が斑状に広がっており)、
高透湿性ポリエステル系フィルムとして好ましくないものであった。
[比較例4]
ポリエステルエラストマー/LDPE/EAA=70/15/15(重量%)の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして厚みが30μmポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表2に示した。
この方法は、高速でのTダイスからの溶融押出し性が優れていたが、透湿性が低いため、高透湿性ポリエステル系フィルムとして好ましくないものであった。
[比較例5]
表面粗さ(Ra)が0.05μm以下の鏡面状の冷却ロールを用いた以外は実施例2と同様にして厚みが30μmポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表2に示した。
得られたポリエステル系フィルムは外観が悪く(50μm以上の凹みが無数に発生しており)、高透湿性ポリエステル系フィルムとして好ましくないものであった。
[比較例6]
表面粗さ(Ra)が4μmの梨地状の冷却ロールを用いた以外は実施例2と同様にして厚みが30μmポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表2に示した。
得られたポリエステル系フィルムは外観が悪く(梨地の跡型が斑状に広がっており)、
高透湿性ポリエステル系フィルムとして好ましくないものであった。
[比較例7]
ポリエステルエラストマー/EMA=94/6(重量%)の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして厚みが30μmポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表2に示した。
得られたフィルム中にはゲル化物が散見され、高透湿性ポリエステル系フィルムとして好ましくないものであった。
[比較例8]
ポリエステルエラストマー/SEBS=94/6(重量%)の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして厚みが30μmのポリエステル系フィルムを得た。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表2に示した。
高速でのTダイスからの溶融押出し性が劣る(溶融樹脂膜の両端部がややゆれていた)、ものであった。
[比較例9]
ポリエステルエラストマー/PP=94/6(重量%)の混合物を用いた以外は実施例1と同様にしてを得ようとしたが、溶融樹脂膜の両端部が激しくゆれ、溶融樹脂膜の巾変動が大きく、安定製膜ができなかった。そこで、製膜速度を25m/分で厚みが30μmポリエステル系フィルムを得た。製膜速度が25m/分では、溶融樹脂膜の両端部は安定していた。
溶融樹脂膜の製膜性、得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表2に示した。
Figure 2005097426
Figure 2005097426
従来、安定製造が困難であったポリエステルエラストマー系フィルムを表面平滑性に優れ、しかも高速で安定に製造することができ、経済性に優れた高透湿性ポリエステルエラストマー系フィルムを提供することができる。本発明のポリエステルエラストマー系フィルムは、耐水性、防水性を有し、かつ高透湿性であるため、衛生材料用、衣料材料用、農業用、建築材料用等に好適に利用できる高透湿性フィルムである。

Claims (8)

  1. 芳香族ジカルボン酸を主体とする酸成分とグリコール成分としてポリエーテルグリコール成分を有するポリエステルエラストマーとオレフィン系樹脂とが75/25〜99/1(重量%)の比率で溶融混合されてなる溶融樹脂膜を冷却固化して得た高透湿性ポリエステル系フィルムであり、該ポリエステル系フィルムの表面粗さ(Ra)が0.1μm以下であり、かつ前記オレフィン系樹脂中の官能基濃度が200〜2000当量/トンであることを特徴とする高透湿性ポリエステル系フィルム。
  2. 前記ポリエステルエラストマーのポリエーテルグリコールが、ランダム共重合ポリエーテルグリコールであることを特徴とする請求項1に記載の高透湿性ポリエステル系フィルム。
  3. 前記オレフィン系樹脂が、少なくとも1種以上の炭素数2〜6のα−オレフィンとエチレン結合形成性α,β−不飽和カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる構成単位とする共重合体、あるいはそれを含む他のポリマーとの混合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の高透湿性ポリエステル系フィルム。
  4. 前記オレフィン系樹脂が、(A)少なくとも1種以上の炭素数2〜6のα−オレフィンを主たる構成単位とする重合体と(B)少なくとも1種以上の炭素数2〜6のα−オレフィンとエチレン結合形成性α,β−不飽和カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる構成単位とする共重合体からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高透湿性ポリエステル系フィルム。
  5. 前記オレフィン系樹脂が、ポリエステル系フィルム中に微分散しており、分散粒子の平均径が0.2〜8μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高透湿性ポリエステル系フィルム。
  6. 芳香族ジカルボン酸を主体とする酸成分とグリコール成分がグリコール及びポリエーテルグリコールからなるポリエステルエラストマーとオレフィン系樹脂とを溶融押出機中で75/25〜99/1(重量%)の比率で溶融混合物とした後、さらに該混合物を溶融押出機から表面粗さ(Ra)が0.2〜10μmの冷却ロール上にキャスティングして冷却固化させることによりフィルムとなし、該フィルムの表面粗さ(Ra)を0.1μm以下とすることを特徴とする高透湿性ポリエステル系フィルムの製造方法。
  7. 請求項6記載のオレフィン系樹脂が、少なくとも1種以上の炭素数2〜6のα−オレフィンとエチレン結合形成性α,β−不飽和カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる構成単位とする共重合体、あるいはそれを含む他のポリマーとの混合体であることを特徴とする高透湿性ポリエステル系フィルムの製造方法。
  8. 請求項6記載のオレフィン系樹脂が、(A)少なくとも1種以上の炭素数2〜6のα−オレフィンを主たる構成単位とする重合体と(B)少なくとも1種以上の炭素数2〜6のα−オレフィンとエチレン結合形成性α,β−不飽和カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる構成単位とする共重合体からなることを特徴とする高透湿性ポリエステル系フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019108433A (ja) * 2017-12-15 2019-07-04 三菱ケミカル株式会社 透湿性フィルム、および食品ケーシング用フィルム

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